JP2022041499A - パラ型全芳香族ポリアミド牽切加工糸、およびその製造方法 - Google Patents

パラ型全芳香族ポリアミド牽切加工糸、およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ゴム製品を構成するゴムマトッリクスとの接着性、耐摩耗性に優れたパラ型全芳香族ポリアミド牽切加工糸を提供すること。【解決手段】牽切加工糸を構成する単糸繊度が2.3~4.5dtexであり、牽切加工糸の糸斑が10.0~15.0%であることを特徴とするパラ型全芳香族ポリアミド牽切加工糸である。【選択図】図1

Description

本発明は、パラ型全芳香族ポリアミド牽切加工糸、および製造方法に関する。さらに詳しくは、単糸線度が太いパラ型全芳香族ポリアミド繊維からなる牽切加工糸、およびその製造方法に関する。
パラ型全芳香族ポリアミド繊維(パラアラミド繊維)に代表される高強度、高弾性率、高耐熱性といった特性を有する繊維は、工業的に極めて有用な繊維であり、ゴムをマトリックスとする複合体の補強材として産業用途に広く用いられている。しかしながら、このような機能繊維による補強材は、その繊維表面の平滑性およびポリマーの化学的な不活性さに起因して、ゴムとの接着性は未だ十分ではなく、その結果、機能繊維が本来有する破断強度から期待されるほどに十分な補強効果は、得られていない。
そこで、ゴムとの接着性を向上させる目的で、機能繊維を紡績糸または牽切加工糸とする方法が提案されている。紡績糸または牽切加工糸は、糸表面近傍に毛羽が存在するため、当該毛羽によるアンカー効果によって、ゴム等のマトリックスとの接着性が向上し、しいては補強効果も向上することが期待できる。
特許文献1には、糸表面に無水珪酸アルミニウム及び/またはアルミノ珪酸ナトリウムを0.1~0.5wt%付着させて、かつ単糸繊度を0.4~0.7dtexである細い糸を用いて牽切加工糸にすることで、ゴムとの接着性が向上し、剥離強度が向上することが提案されている。
特許文献2には、平均繊維長が30~120cmである牽切加工糸にゴム付着用処理剤を5~20wt%付着させて、垂直長1~5mmの毛羽を50~300本/mにすることで、ゴムとの接着性が向上することが提案されている。
これらの文献に記載の牽切加工糸の特性では、今後のベルト、ホース、チューブ、シート等用途で、さらなる接着性、耐摩耗性の向上が求められている。
特開2012-12723号公報 特開2010-180491号公報
本発明は、上記の従来技術の背景になされたものであり、その目的は、ゴム製品を構成するゴムマトッリクスとの接着性、耐摩耗性に優れたパラ型全芳香族ポリアミド牽切加工糸、その製造方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、特定範囲の単糸繊度から構成されるパラ型全芳香族ポリアミド繊維牽切加工糸であり、また、該牽切加工糸が特定の糸斑(U%)を有することにより、ゴム材料の繊維補強材料として使用することで接着性が良好で、かつ耐摩耗性が向上されたゴム材料になることを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、
1.パラ型全芳香族ポリアミド繊維からなる牽切加工糸であって、前記牽切加工糸を構成する単糸繊度が2.3~4.5dtexであり、牽切加工糸の糸斑が10.0~15.0%であることを特徴とするパラ型全芳香族ポリアミド牽切加工糸、
2.牽切加工糸を構成する単糸の構成本数が90~250本である前記1に記載のパラ型全芳香族ポリアミド牽切加工糸、
3.耐摩耗性が2000回以上である前記1または2に記載のパラ型全芳香族ポリアミド牽切加工糸、そして、
4.パラ型全芳香族ポリアミド繊維からなる牽切加工糸を製造する方法であって、単糸繊度が2.3~4.5dtexからなる繊維を引き揃え、供給ローラーとニップローラー間で引きちぎり、引き続きその牽切繊維束を牽切ニップローラーから吸引空気ノズルによって吸引して取り出すと共に、該繊維束を撚りが掛かる方向の旋回流を有した抱合空気ノズルに通して該繊維束に交絡および牽切繊維端部による捲回を付与して結束し、次いでニップローラーを経て巻き取りして得る、パラ型全芳香族ポリアミド牽切加工糸の製造方法、そして、
5.前記1から3のいずれかに記載のパラ型全芳香族ポリアミド牽切加工糸を用いてなるベルト、ホース、チューブ、シート、
が提供される。
本発明の牽切加工糸は、太い単糸繊度を牽切加工糸にすることで牽切加工糸の糸斑(U%)が向上することでゴムマトリックスとの接着性が向上し、更にはゴムマトッリクス中の繊維同士の耐摩耗性が向上したゴム材料が提供できる。
本発明に好ましく用いられる牽切加工装置を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<パラ型全芳香族ポリアミド繊維>
本発明のパラ型全芳香族コポリアミド繊維を構成するパラ型全芳香族ポリアミドは、2種以上の2価の芳香族基が、アミド結合により直接連結されたポリアミドである。また、芳香族基には、2個の芳香環が酸素、硫黄、または、アルキレン基を介して結合されたもの、あるいは、2個以上の芳香環が直接結合したものも含む。さらに、これらの2価の芳香族基には、メチル基やエチル基等の低級アルキル基、メトキシ基、クロル基等のハロゲン基等が含まれていてもよい。
このようなパラ型全芳香族コポリアミドとしては、例えばテレフタル酸成分と3,4’-ジアミノジフェニルエーテル成分、およびパラフェニレンジアミン成分とが共重合されたコポリパラフェニレン・3,4’-オキシジフェニレンテレフタルアミド、テレフタル酸成分とフェニルベンゾイミダゾール骨格を有する芳香族ジアミン成分およびパラフェニレンジアミン成分とが共重合されたコポリパラフェニレン・フェニルベンゾイミダゾール・テレフタルアミド等を挙げることができる。また、本発明が採用できる全芳香族コポリアミドとしては、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
本発明のパラ型全芳香族コポリアミド繊維においては、半乾半湿式紡糸法において高い機械的特性を発現する観点から、パラ型全芳香族コポリアミドを主成分とする繊維とすることが好ましい。ここで、「主成分」とは、得られるパラ型全芳香族ポリアミド繊維全体に対して、50質量%より大きく100質量%の範囲であることを意味する。
さらに、本発明においては、機械的強度が特に優れていることから、ポリパラフェニレンテレフタルアミド、またはコポリパラフェニレン・3,4’-オキシジフェニレンテレフタルアミドを用いることが好ましい。さらには、アミド系溶剤等に可溶であるため成形加工性に優れ、熱延伸を施すことにより強度や初期引張弾性率等の引張特性を著しく向上できることから、コポリパラフェニレン・3,4’-オキシジフェニレンテレフタルアミドを用いることが最も好ましい。
<単糸の繊度>
牽切加工糸を構成する単糸の繊度は、2.3~4.5dtexであることが必要であり、好ましくは2.3~4.0dtex、より好ましくは2.3~3.5dtex、さらに好ましくは2.5~3.5dtexである。
単糸繊度が2.3dtexより細い場合は、牽切加工糸の糸斑U%が低く、ゴム接着性が低下してしまう。単糸繊度が4.5dtexより太い場合は、牽切加工糸とする場合に引きちぎりにくくなり、牽切加工性が低下してしまう。
<単糸の引張強度>
牽切加工糸を構成する単糸の引張強度(引張破断強度)は、18cN/dtex以上であることが好ましい。より好ましくは20cN/dtex以上であり、さらに好ましくは24cN/dtexであり、さらに好ましくは26cN/dtex以上であり、特に好ましくは26.5cN/dtexである。18cN/dtexより小さい場合には、ゴム材料としての破断強力が低下してしまう。
<牽切加工糸を構成する単糸の構成本数>
本発明の牽切加工糸を構成する単糸の構成本数は、90~250本であることが好ましく、110~250本であることがより好ましい。90本より少ないと抱合工程で単糸同士が絡まり合わず断糸しやすくなり、250本より多いと牽切加工糸の糸斑U%が低く、ゴム接着性が低下してしまう。
尚、構成本数とは、牽切加工糸の繊度を該牽切加工糸を構成する単糸の繊度で割った値をいう。
<牽切加工糸の繊度>
本発明の牽切加工糸の繊度は、100~1300dtexが好ましく、250~900dtexがより好ましい。牽切加工糸の繊度が100dtex未満であると、牽切加工時に断糸しやすくなる。1300dtexを超えると牽切加工設備の負荷が上がる為好ましくない。
<牽切加工糸の糸斑(U%)>
牽切加工糸の糸斑の指標であるU%は、10.0~15.0%/1000mであることが必要である。好ましくは、11.0~14.0%/1000m、より好ましくは、11.0~13.0%/1000mである。U%が10.0%より小さい場合は、ゴムに対するアンカー効果が低下してしまい、ゴム接着性が低下してしまう。U%が15.0%より大きい場合は、牽切加工糸を使用したゴム材料自体の厚み斑に影響を与える為、好ましくない。
尚、牽切加工糸の糸斑U%は、以下の方法にて算出する。
(U%)
牽切加工糸について撚糸する前の糸条をイーブネステスター(計測器工業(株)製)を用いて、糸条の張力を0.05cN/dtex、送り速度は100m/min、測定長を1000mの条件で、U%を測定する。
<牽切加工糸の耐摩耗性>
本発明の牽切加工糸の耐摩耗性は、2000回以上であることが好ましく、2500回であることがより好ましく、2800回以上がさらに好ましく、3000回以上がとくに好ましい。
耐摩耗性が2000回に満たないと、本発明の課題を十分に満たすことができない。
<牽切加工糸の製造方法>
本発明の牽切加工糸を得るための方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法を採用することができる。例えば、特開2012-12723号公報(特許文献1)に記載された方法を採用することができる。
[牽切工程]
牽切工程においては、パラ型全芳香族ポリアミド繊維束を開繊し、ニップされたフィードローラーとニップされた引き取りローラー間の速度差により、当該長繊維束を引き千切る操作を実施して、短繊維束を作製する
[牽切倍率]
牽切工程における牽切倍率は11.0~16.0倍の範囲とすることが好ましい。より好ましくは14.0~16.0倍である。牽切倍率が11.0倍に満たないと、太い単糸を引きちぎりにくくなり、均一な牽切長にならず、また牽切加工性も低下する。また、16.0倍を超えると引き千切られた後の単糸を搬送する力より引き千切る力が強くなりすぎる為、牽切工程で断糸しやすくなり好ましくない。
[牽切速度]
牽切工程における牽切速度は特に限定されるものではないが、200~500m/分とすることが好ましい。牽切速度が500m/分を超える場合には、抱合工程における抱合ノズルでの単糸絡まり量が低下し、牽切加工の際、断糸しやすくなる。牽切速度が200m/分に満たないと、牽切加工糸の生産性が低い為好ましくない。
[抱合工程]
抱合工程においては、牽切工程によって作製された短繊維束を、旋回流を発生させる抱合ノズルを通過させて抱合処理する。
[抱合空気ノズル圧空圧]
抱合工程において付加する抱合圧は特に限定されるものではないが、0.5~0.8MPaの範囲とすることが好ましい。抱合圧が0.5MPaより低い場合は、単糸同士の絡まりが弱くなり、牽切加工の際、断糸しやすくなる。抱合圧が0.8MPaより高い場合は、生産コストアップになり好ましくない。
<ゴム材料>
本発明の牽切加工糸の用途としては、ベルト、シート、ホース、チューブ等のゴム材料のいずれかに用いることが好ましく、当該牽切加工糸をこれらゴム材料のマトリックスゴム中に含有されることで、ゴム材料の補強効果を発現できる。
本発明の牽切加工糸を用いたゴム剥離強度は、好ましくは40N以上、より好ましくは45N以上、さらに好ましくは50N以上である。ゴム剥離強度が40Nの満たないと、本発明の牽切加工糸とゴムマトリックスとの接着性が不充分であり、本発明の課題を十分に満たすことができない。尚、本願にいう剥離強度とは、以下条件により測定する。
(剥離強度)
牽切加工糸に撚係数1.0でS向きに撚りをかけたサンプル60本を25mm幅に並べ、HD2ゴム(NR/SBR系)に埋設し、150℃で30分、1.0MPaで加硫してゴムシートにしたものを4枚得た。続いて、ゴムシート面に対して90度の方向へ牽切加工糸を剥離し、このときの剥離強度を、引張試験機(INSTRON社製、商品名:INSTRON、型式:5565)を用いて、以下の条件で測定し、4枚の平均値とした。
[測定条件]
測定温度 :室温
引張速度 :300mm/min
ゴム材料中で使用される繊維の形態としては、牽切加工糸をそのままゴム中に埋没させても、牽切加工糸を短く切断して短繊維とし、ゴム中に分散させても牽切加工糸を筒状又はシート状の布帛にして用いても良い。また繊維表面にゴムとの接着性を向上させるゴム接着用処理剤(油剤とも称する)を被覆してもよい。
ゴム材料のゴムマトリックスとして使用されるゴムの種類としては、天然ゴム、アクリルゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、アクリロニトリル-ブタジエンゴム、水素化アクリロニトリル-ブタジエンゴム、ウレタンゴム、エチレン-プロピレンゴム、エチレン-プロピレン-ブタジエンゴム、シリコーンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、フッ素化ゴムを例示することができる。主成分としてはこれらのゴムを用いるが、この他に加硫剤、加硫促進剤や、カーボンブラックなどの添加剤が添加されていてもよい。またゴム材料は加熱し架橋させて用いてもよい。
<その他>
本発明の牽切加工糸には、ゴムマトリックスとの接着性を向上させるために、ゴム接着用処理剤を用いることが好ましい。
ゴム接着用処理剤は、ゴムマトリックスによって組成は変わるが、以下例示することができる。
例えば、イソプレンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、天然ゴム、クロロプレンゴムなどのマトリックスゴムを、表面に活性基を有するポリケトン繊維などの繊維で補強する場合は、レゾルシン・ホルマリン・ラテックスを含む処理剤で処理することが好ましい。
また、例えば、上記マトリックスゴムを、表面に活性基を持たないポリパラフェニレンテレフタラミド繊維、ポリメタフェニレンテレフタラミド繊維、または、コポリパラフェニレン-3,4-オキシジフェニレンテレフタラミド繊維などの芳香族ポリアミド繊維や、ポリエステルナフタレート繊維、ポリパラフェニレンベンズオキサゾール繊維などで補強する場合は、エポキシまたはウレタンを含む処理剤を一浴として処理し、ついでレゾルシン・ホルマリン・ラテックスを含む処理剤を二浴として処理することが好ましい。
エピクロロヒドリンゴム、ウレタンゴムなどのマトリックスゴムを繊維で補強する場合は、該繊維の表面が活性か、不活性かにかかわらず、ウレタンを含む処理剤で処理した後、該マトリックスゴムをトルエンやMEK、キシレン等の有機溶剤に溶かしたゴム糊からなる処理剤で処理することが例示される。
そして、ゴム接着用処理剤の付着量は、0.05~0.5質量%とすることが好ましく、かつ、水分含有率は7.0質量%以下とすることが好ましい。油剤付着量が0.05質量%未満の場合には、繊維に帯電している静電気による反発で、引き千切り加工の際にトウバラケによる断糸が多発し、安定に牽切加工することが困難となる。一方で、ゴム接着用処理剤が0.5質量%を超える場合には、ゴム接着用処理剤による繊維収束効果によりトウが十分に開繊せず、牽切糸を構成する単糸長ばらつきが大きくなるという問題が発生する。水分含有率が7.0質量%を超える場合には、水分による繊維収束効果により、油剤付着量が0.5%を超えたときと同じような現象が現れ、均一な牽切加工を実施することが困難となる。
以下、実施例および比較例により、本発明をさらに詳しく具体的に説明する。ただし、これらの実施例および比較例は本発明の理解を助けるためのものであって、これらの記載によって本発明の範囲が限定されるものではない。
(1)ポリマー溶液の調整
N-メチル-2-ピロリドン(NMP)中に、パラフェニレンジアミン50質量部と3,4’-ジアミノジフェニルエーテル50質量部を投入した後、テレフタル酸ジクロライド100質量部を添加し、重縮合反応を行ってコポリパラフェニレンテレフタルアミドのポリマー溶液を得た。
(2)パラ型全芳香族ポリアミド繊維の製造
得られた紡糸用溶液を用い、紡糸口金から吐出し、エアギャップ約10mmを介してNMP濃度30%の水溶液中で凝固させた後、水洗、乾燥を経て温度530℃で約10倍に延伸することで、コポリパラフェニレン・3,4’-オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維を得た。
<測定・評価方法>
実施例および比較例においては、下記の項目について、下記の方法によって測定・評価を行った。
(1)牽切加工糸の繊度
得られた牽切加工糸を、公知の検尺機を用いて100m巻き取り、その質量を測定した。得られた質量に100を乗じた値を10000mあたりの質量、即ち繊度(dtex)として算出した。
(2)牽切加工糸を構成する単糸の構成本数
牽切加工糸を構成する単糸の構成本数は、牽切加工糸の繊度を該牽切加工糸を構成する単糸を5本抜き取り、JIS L1015に準じて測定した各単糸の繊度の平均値を単糸
繊度とし、前記で測定した牽切加工糸の繊度を該単糸繊度で割った値を構成本数とする。
(3)牽切加工糸の引張強度
引張試験機(INSTRON社製、商品名:5565型万能試験機)により、糸試験用チャックを用いて、以下の条件で破断強度を測定した。合計6回測定し、平均破断強度を算出した。
[測定条件]
温度 :室温
試験片 :500mm
試験速度 :250mm/分
(4)牽切加工糸の糸斑(U%)
牽切加工糸について撚糸する前の糸条をイーブネステスター(計測器工業(株)製)によりU%を測定して評価した。糸条の張力を0.05cN/dtex、送り速度は100m/min、測定長を1000mとした。
(5)単糸の引張強度
引張試験機(INTESCO社製、商品名:201X型試験機)により、糸試験用チャ
ックを用いて、以下の条件で破断強度を測定した。原糸から任意で抜き出した10本を測定し、平均単糸強度を算出した。
ここでいう原糸とは、牽切加工する前の長繊維束のことをいう。
[測定条件]
温度 :室温
試験片 :70mm
試験速度 :10mm/分
チャック間距離 :25.4mm
(6)牽切加工糸の耐摩耗性
牽切加工糸に撚係数4.0でS向きに撚りをかけたサンプルを摩耗試験機により、以下の条件で糸同士の摩耗試験を実施した。糸が破断した時の摩耗回数を測定した。
[測定条件]
荷重 :0.1g/dtex
速度 :60回/min
撚数は、以下の式で算出される。
撚数(回/m)=(撚係数×1055)/√繊度(tex)
(7)牽切加工糸の耐屈曲疲労性
牽切加工糸に撚係数4.0でS向きに撚りをかけたサンプルを、500gの荷重をかけて直径10mmのローラーに取り付け、室温下で100rpmの往復運動をさせ、10,000回の繰り返し屈曲を行ったのち、サンプルを取り出して強力を測定し、屈曲疲労後強度保持率を求めた。
屈曲疲労後強度保持率(%)=屈曲疲労試験後の引張強度/試験前の引張強度×100
(8)ゴム剥離強度
牽切加工糸に撚係数1.0でS向きに撚りをかけたサンプル60本を25mm幅に並べ、HD2ゴム(NR/SBR系)に埋設し、150℃で30分、1.0MPaで加硫してゴムシートにしたものを4枚得た。続いて、ゴムシート面に対して90度の方向へ牽切加工糸を剥離し、このときの剥離強度を、引張試験機(INSTRON社製、商品名:INSTRON、型式:5565)を用いて、以下の条件で測定し、4枚の平均値とした。
[測定条件]
測定温度 :室温
引張速度 :300mm/min
<実施例1>
前記に記載のポリマー溶液の調整で得たポリマーを、紡糸口金から吐出し、公知の方法、例えば特開2011-26725に記載の内容を参考に、エアギャップ約10mmを介してNMP濃度30%の水溶液中で凝固させた後、水洗、乾燥を経て温度530℃で約10倍に延伸することにより、総繊度(原糸繊度)1670dtex、単糸数500本、単糸の繊度3.34dtex、油剤付着量0.3%の捲縮を有しないコポリパラフェニレン・3,4’-オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維を得た。
図1に示す装置を用いて、得られた前記の繊維を3本引き揃え、ローラー間の距離(牽切長)が150cmの供給ニップローラー1とシューター2と牽切ニップローラー3との間で、15.2倍で400m/minの速度で同時に引きちぎり、引き続き該牽切繊維束を牽切ニップローラーから吸引空気ノズル4によって吸引して取り出すと共に、該繊維束をZ撚りが掛かる方向の旋回流を有した抱合空気ノズル5(圧空圧0.50MPa)に通して該繊維束に交絡および牽切繊維端部による捲回を付与して結束し、次いでニップローラー3とデリバリーローラー6を経て400m/min巻き取り、繊度440dtex、
構成本数が132本の牽切加工糸が得られた。得られた糸の物性は表1に示す。
<実施例2>
前記のコポリパラフェニレン・3,4’-オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維の単糸数を550本、単糸の繊度を3.04dtexにしたこと以外は実施例1と同様の方法で実施し、総繊度440dtex、構成本数が145本のパラ型全芳香族コポリアミド牽切加工糸を得た。得られた糸の物性を表1に示す。
<実施例3>
前記のコポリパラフェニレン・3,4’-オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維の単糸数を667本、単糸の繊度を2.50dtexにしたこと以外は実施例1と同様の方法で実施し、総繊度440dtex、構成本数が176本のパラ型全芳香族コポリアミド牽切加工糸を得た。得られた糸の物性を表1に示す。
<実施例4>
前記のコポリパラフェニレン・3,4’-オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維の単糸数を400本、単糸の繊度を4.18dtexにしたこと以外は実施例1と同様の方法で実施し、総繊度440dtex、構成本数が105本のパラ型全芳香族コポリアミド牽切加工糸を得た。得られた糸の物性を表1に示す。
<比較例1>
前記のコポリパラフェニレン・3,4’-オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維の単糸数を750本、単糸の繊度を2.23dtexにしたこと以外は実施例1と同様の方法で実施し、総繊度440dtex、構成本数が198本のパラ型全芳香族コポリアミド牽切加工糸を得た。得られた糸の物性を表1に示す。
<比較例2>
前記のコポリパラフェニレン・3,4’-オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維の単糸数を1000本、単糸の繊度を1.67dtexにしたこと以外は実施例1と同様の方法で実施し、総繊度440dtex、構成本数が263本のパラ型全芳香族コポリアミド牽切加工糸を得た。得られた糸の物性を表1に示す。
<比較例3>
前記のコポリパラフェニレン・3,4’-オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維の単糸数を2000本、単糸の繊度を0.84dtexにしたこと以外は実施例1と同様の方法で実施し、総繊度440dtex、構成本数が527本のパラ型全芳香族コポリアミド牽切加工糸を得た。得られた糸の物性を表1に示す。
<比較例4>
前記のコポリパラフェニレン・3,4’-オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維の単糸数を333本、単糸の繊度を5.02dtexにしたこと以外は実施例1と同様の方法で実施し、総繊度440dtex、構成本数が88本のパラ型全芳香族コポリアミド牽切加工糸を得た。得られた糸の物性を表1に示す。
Figure 2022041499000002
本発明の牽切加工糸は、太い単糸繊度を牽切加工糸にすることでゴムマトリックスとの接着性が向上し、さらにはゴムマトッリクス中の繊維同士の耐摩耗性が向上したゴム材料を提供することができるので、その工業的価値は極めて大きい。
1 供給ニップローラー
2 シューター
3 牽切ニップローラー
4 吸引空気ノズル
5 旋回性抱合ノズル
6 デリベリローラー
7 巻取牽切加工糸
8 パラ型全芳香族ポリアミド繊維

Claims (5)

  1. パラ型全芳香族ポリアミド繊維からなる牽切加工糸であって、前記牽切加工糸を構成する単糸繊度が2.3~4.5dtexであり、牽切加工糸の糸斑が10.0~15.0%であることを特徴とするパラ型全芳香族ポリアミド牽切加工糸。
  2. 牽切加工糸を構成する単糸の構成本数が90~250本である請求項1に記載のパラ型全芳香族ポリアミド牽切加工糸。
  3. 耐摩耗性が2000回以上である請求項1または2に記載のパラ型全芳香族ポリアミド牽切加工糸。
  4. パラ型全芳香族ポリアミド繊維からなる牽切加工糸を製造する方法であって、単糸繊度が2.3~4.5dtexからなる繊維を引き揃え、供給ローラーとニップローラー間で引きちぎり、引き続きその牽切繊維束を牽切ニップローラーから吸引空気ノズルによって吸引して取り出すと共に、該繊維束を撚りが掛かる方向の旋回流を有した抱合空気ノズルに通して該繊維束に交絡および牽切繊維端部による捲回を付与して結束し、次いでニップローラーを経て巻き取りして得る、パラ型全芳香族ポリアミド牽切加工糸の製造方法。
  5. 請求項1から3のいずれかに記載のパラ型全芳香族ポリアミド牽切加工糸を用いてなるベルト、ホース、チューブ、シート。
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