JP2022041424A - 小豆餡の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】より良好に紫色を呈する小豆餡及びその製造方法を提供すること。【解決手段】(工程1)小豆を非沸騰下で吸水処理して、吸水小豆と残水とを分離する工程、及び(工程2)前記吸水小豆を閉鎖系で加熱処理する工程、を含む、小豆餡の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、小豆餡の製造方法等に関する。
小豆餡は、小豆を煮て得られる餡であり、和菓子をはじめとして、各種食品に用いられている。餡の元である小豆内容物は色が無いものの、小豆を煮る過程で、小豆の皮が有する色素が小豆内容物に付着し、着色した餡が得られる。小豆餡は、生餡及びさらし餡においては、紫系統の色を有しているが、同時に黄色系統の色も有しており、全体として多少なりとも茶色がかっていることが通常である。
一方、小豆餡が有する紫色の色素は、従来、アントシアニンであると考えられていたが、最近、別の色素(カテキノピラノシアニジンA、及びカテキノピラノシアニジンB)であることが明らかになった(非特許文献1)。
Scientific Reports volume 9, Article number: 1484 (2019)
本発明は、より良好に紫色を呈する小豆餡及びその製造方法を提供することを課題とする。具体的には、例えば、本発明は、黄色系統の色がより低減された(L*a*b*表色系におけるb*がより低い)小豆餡及びその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者は上記課題に鑑みて鋭意研究を進めた結果、(工程1)小豆を非沸騰下で吸水処理して、吸水小豆と残水とを分離する工程、及び(工程2)前記吸水小豆を閉鎖系で加熱処理する工程、を含む、小豆餡の製造方法、であれば、上記課題を解決できることを見出した。本発明者はこの知見に基づいてさらに研究を進めた結果、本発明を完成させた。即ち、本発明は、下記の態様を包含する。
項1. (工程1)小豆を非沸騰下で吸水処理して、吸水小豆と残水とを分離する工程、及び
(工程2)前記吸水小豆を閉鎖系で加熱処理する工程、
を含む、小豆餡の製造方法。
項2. 前記吸水処理の温度が70℃以下である、項1に記載の製造方法。
項3. 前記吸水処理の温度が40℃以下である、項1又は2に記載の製造方法。
項4. 前記加熱処理を蒸気排出機能を有する密閉容器内で行う、項1~3のいずれかに記載の製造方法。
項5. 前記加熱処理の温度が70℃以上である、項1~4のいずれかに記載の製造方法。
項6. 前記加熱処理の温度が85℃以上である、項1~5のいずれかに記載の製造方法。
項7. 前記工程1と前記工程2の間に、真空処理及び超音波処理からなる群より選択される少なくとも1種を行う、項1~6のいずれかに記載の製造方法。
項8. 項1~7のいずれかに記載の製造方法で得られる、小豆餡。
項9. 生餡、さらし餡、加糖餡、粒餡、つぶし餡、こし餡、又は小倉餡である、項8に記載の小豆餡。
項10. L*a*b*表色系におけるb*が2以下である、項8又は9に記載の小豆餡。
項11. L*a*b*表色系におけるb*が2以下である、小豆餡。
項12. 項8~11のいずれかに記載の小豆餡を含む、食品
本発明によれば、より良好に紫色を呈する小豆餡及びそのの製造方法を提供することができる。
試験例1の生餡の写真像を示す。 試験例6の加糖餡の写真像を示す。「試験サンプル」は、真空処理+100℃加熱生餡(試験例1-1)を使用して得られた加糖餡を示す。「試験対照」は、既存の直焚き生餡(試験例1-2)を使用して得られた加糖餡を示す。
本明細書中において、「含有」及び「含む」なる表現については、「含有」、「含む」、「実質的にからなる」及び「のみからなる」という概念を含む。
1.小豆餡の製造方法
本発明は、その一態様において、(工程1)小豆を非沸騰下で吸水処理して、吸水小豆と残水とを分離する工程、及び(工程2)前記吸水小豆を閉鎖系で加熱処理する工程、を含む、小豆餡の製造方法(本明細書において、「本発明の製造方法」と示すこともある。)に関する。以下、これについて説明する。
小豆は、アズキ種植物の種子であって、種皮に紫色色素(カテキノピラノシアニジンA、及びカテキノピラノシアニジンB)を有するものである限り、特に制限されない。このような小豆としては、外観が赤、赤紫、赤茶等、赤系統の色の小豆が挙げられる。小豆の具体例としては、エリモショウズ、きたろまん、きたのおとめ、しゅまり、サホロショウズ、紅南部、赤小豆、中納言、ときあかり等の普通小豆; とよみ大納言、アカネダイナゴン、ほまれ大納言、ほくと大納言、ベニダイナゴン、岩手大納言、京都大納言等の大納言等が挙げられる。
小豆の好ましい例としては、カテキノピラノシアニジンA、及びカテキノピラノシアニジンBを一定以上含む小豆が挙げられる。例えば、試験例2の方法により種皮を70℃以上で30分間熱水抽出して得られた抽出物をHPLC分析することにより算出された、乾燥小豆1g中のカテキノピラノシアニジンA及びカテキノピラノシアニジンBの合計含有量が、例えば0.8μg以上、好ましくは1μg以上、より好ましくは1.1μg以上、さらに好ましくは1.2μg以上の小豆が挙げられる。この場合の合計含量の上限は特に制限されず、例えば3μg、2.5μg、又は2μgである。
吸水処理に供される小豆は、収穫後に適宜選別された加熱されていない生状態の小豆である。また、乾燥した生状態の小豆を用いることも可能である。この乾燥した生状態の小豆とは、小豆を含水により軟化することなく、収穫、洗浄後、自然乾燥あるいは通風乾燥等により水分含量を10~20%程度にまで低下させた小豆であることができ、一般に流通している形態である。なお、生状態の小豆には、水蒸気や炒ることにより表面を殺菌した小豆も含まれる。
吸水処理は、小豆に水が接触する態様である限り特に制限されない。具体的には、例えば、小豆を水中に浸漬する処理が挙げられる。この場合、水の量は、小豆を浸漬可能な量である限り特に制限されないが、例えば小豆(吸水処理前)1質量部に対して、例えば1~10質量部、好ましくは2~7質量部、より好ましくは3~5質量部である。
吸水処理の温度は、非沸騰下、すなわち水が沸騰しない程度の温度である限り、特に制限されない。吸水処理の温度は、紫色色素の種皮からの流出を抑えつつ、褐色化の原因色素の種皮からの流出をより多くするという観点から、例えば70℃以下、好ましくは50℃以下、より好ましくは5~50℃、さらに好ましくは10~40℃、よりさらに好ましくは10~35℃、とりわけ好ましくは15~30℃、とりわけより好ましくは20~30℃である。
吸水処理の時間は、温度に応じて適宜調整することができる。温度が20~30℃である場合は、例えば5~30時間、好ましくは10~24時間、より好ましくは14~20時間である。他の温度の場合も、この時間を基準として、適宜調節すること(例えば温度がより高い場合は時間を短く、温度がより低い場合は時間を長くすること)ができる。
吸水処理を加熱下で行う場合、その加熱方法としては特に制限されないが、例えば水及び小豆を含む鍋等の容器を火等の熱源に近づけて加熱する方法、温度調整機能を備える加熱処理装置を使用する方法等が挙げられる。
吸水処理後は、水を吸水した小豆(吸水小豆)と、小豆に吸水されずに残った水(残水)とを分離する。分離の方法としては、特に制限されず、適当な固液分離手段、例えば吸水小豆のみ保持されるスクリーン等を用いた方法を採用することができる。得られた吸水小豆は、残水が有する褐色化の原因色素を除去するために、水等の溶媒で洗浄することが好ましい。
本発明の製造方法においては、沸騰下又はそれに準じる高温下(例えば80℃以上、90℃以上、95℃以上)での吸水処理を含まないことが好ましい。高温で吸水処理することにより、紫色色素が種皮から流出が促進してしまうからである。
本発明の製造方法においては、工程1と工程2の間に、真空処理及び超音波処理からなる群より選択される少なくとも1種を行うことが好ましい。これにより、餡における紫色の発色をより良好にすることができる。
真空処理は、水或いは水及び小豆が接触する気体部分を減圧した後、減圧を解除する処理である限り、特に制限されない。真空処理により、褐色化の原因色素をより効率的に除去することができる。減圧時の圧力は、例えば0~80kPa、好ましくは10~60kPa、より好ましくは20~40kPaである。減圧の時間は、例えば1~20分間、好ましくは3~10分間である。真空処理は、通常、小豆を水浸漬した状態で行う。この場合、水の量は、小豆を浸漬可能な量である限り特に制限されないが、例えば小豆(吸水処理前換算)1質量部に対して、例えば2~20質量部、好ましくは4~15質量部、より好ましくは6~10質量部である。真空処理は、1回のみでもよいが、複数回(例えば2~10回、好ましくは3~7回)繰返して行うことが好ましい。真空処理後は、必要に応じて、残水の除去、小豆の水等の溶媒による洗浄を行うことができる。
超音波処理は、小豆を浸漬している水中に超音波を照射する処理である限り、特に制限されない。超音波処理により、褐色化の原因色素をより効率的に除去することができる。水の量は、小豆を浸漬可能な量である限り特に制限されないが、例えば小豆(吸水処理前換算)1質量部に対して、例えば2~20質量部、好ましくは4~15質量部、より好ましくは6~10質量部である。超音波処理の条件は、褐色化の原因色素の流出が促進される限りにおいて、特に制限されず、小豆と水の合計重量に応じて、適宜設定することができる。例えば、小豆と水の合計重量が1~3kg程度である場合は、振動数20~60kHz(好ましくは30~50kHz)、出力100~500W(好ましくは200~300W)とすることができる。超音波処理の時間は、例えば1~30分間、好ましくは5~20分間である。超音波処理は、例えば各種の超音波洗浄機を使用して行うことができる。超音波処理後は、必要に応じて、残水の除去、小豆の水等の溶媒による洗浄を行うことができる。
加熱処理に供される吸水小豆は、種皮を剥がす処理(例えば破砕処理等)を行うことにより種皮と内容物とが分離した状態であることもできるが、餡における紫色の発色の観点からは、種皮と内容物とが密着した状態であることが好ましい。
吸水小豆の加熱処理は、閉鎖系で行われる。閉鎖系とは、外気からある程度遮断された状態である限り、特に制限されない。これにより、外気の接触による紫色色素の酸化を抑制し、餡において紫色をより良好に発色させることができると考えられる。典型的には、加熱処理は、密閉容器内で行われる。なお、密閉容器は、蒸気による内圧の上昇を避けるために、蒸気排出機能を有することが好ましい。蒸気排出機能は、例えば内圧が一定以下である場合は閉じているが、内圧が一定値を超えると開放され、内部の蒸気を含む気体を排出する機能であり、密閉可能な市販の各種調理器(例えば、減圧調理器、加圧調理器等)が備える機能である。この機能により、加熱当初の容器内の大気(酸素含む)が、加熱と共に蒸気と共に排出され、結果として容器内の酸素濃度を下げ、紫色色素の酸化をより抑制することができる。また、この観点から、加熱処理の全体又は一部において、密閉容器内を減圧(例えば0~80kPa、好ましくは10~60kPa、より好ましくは20~40kPaまで減圧)する、或いは密閉容器内の気体を不活性ガス(例えば窒素ガス)に置換することが好ましい。
加熱処理は、好ましくは小豆が水に浸漬した状態で行われる。水の量は、小豆を浸漬可能な量である限り特に制限されないが、例えば小豆(吸水処理前換算)1質量部に対して、例えば2~20質量部、好ましくは4~15質量部、より好ましくは6~10質量部である。
加熱処理の温度は、小豆の内容物を、餡として使用可能な程度に軟化可能な温度である限り、特に制限されない。加熱処理の温度は、餡への紫色の着色の観点から、好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上、さらに好ましくは70℃以上、よりさらに好ましくは80℃以上、とりわけ好ましくは85℃以上、とりわけより好ましくは90℃以上、特に好ましくは95℃以上である。また、加熱処理の温度は、同様の観点から、好ましくは110℃以下、より好ましくは105℃以下、さらに好ましくは100℃以下である。
加熱処理の時間は、特に制限されないが、例えば10~180分間、好ましくは20~120分間、より好ましくは30分間~90分間、さらに好ましくは45~75分間である。
加熱処理の加熱方法としては特に制限されないが、例えば水及び小豆を含む容器を火等の熱源に近づけて加熱する方法、温度調整機能を備える加熱処理装置を使用する方法等が挙げられる。
加熱処理後は、小豆を潰することにより、餡が得られる。この際、一定の孔(例えば1~2mm孔径)を有する網目上の平面器具を利用して、種皮部分と餡部分とを分けることができる。また、さらに、より小さい孔(例えば100~500μm、好ましくは150~350μm孔径)を有する網目上の平面器具を利用して、必要に応じて水さらしを繰返すことにより、より滑らかな餡を得ることができる。
また、さらに、甘味料(天然及び人工を包含する)を添加して加熱下で練ることにより、加糖餡を得ることができる。甘味料としては、特に制限されないが、例えばショ糖、ブドウ糖、麦芽糖、果糖、水あめ、異性化糖、イソマルトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ダイズオリゴ糖、ラフィノース、トレハロース、乳糖、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、還元水あめ、還元パラチノース、キシリトール、エリスリトール、ステビア、甘草、サッカリン、アスパルテーム、アセスルファムK、スクラロース等が挙げられる。加糖餡の糖度(Brix値(%))は、例えば40以上、好ましくは50~70、より好ましくは50~65とすることができる。
また、必要に応じて、甘味料以外の調味成分を餡に添加することもできる。
また、餡を乾燥させて得られる乾燥物も、本発明における餡に包含される。
本発明の製造方法により、各種餡、例えば生餡、さらし餡、加糖餡、粒餡、つぶし餡、こし餡、小倉餡等の餡を製造することができる。
2.小豆餡
本発明は、その一態様において、本発明の製造方法で得られる、小豆餡(本明細書において、「本発明の小豆餡」と示すこともある。)に関する。
本発明の小豆餡の種類としては、特に制限されず、例えば生餡、さらし餡、加糖餡、粒餡、つぶし餡、こし餡、小倉餡等が挙げられる。
本発明の小豆餡は、より良好に紫色を呈する。
本発明の小豆餡は、例えば、黄色系統の色がより低減されている(L*a*b*表色系におけるb*がより低い)。この観点から、本発明の小豆餡は、L*a*b*表色系におけるb*が、好ましくは2以下であり、より好ましくは1.5以下であり、さらに好ましくは1.0以下であり、さらに好ましくは0.8以下であり、よりさらに好ましくは0.5以下である。b*の下限は、特に制限されず、例えば-5、-3、又は-2である。b*は、好ましくは-5~2、より好ましくは-3~1.5、さらに好ましくは-2~1.0である。
本発明の小豆餡は、L*a*b*表色系におけるa*が、好ましくは6以上、より好ましくは7以上、さらに好ましくは8以上、よりさらに好ましくは9以上、とりわけ好ましくは9.5以上である。a*の上限は、特に制限されず、例えば15、13、12、又は11である。a*は、好ましくは6~15、より好ましくは7~13、さらに好ましくは8~12である。
本発明の小豆餡のL*a*b*表色系におけるL*は、加糖の有無等に応じて異なり得るが、概ね8~60程度(好ましくは10~50程度)である。L*は、非加糖餡の場合は、好ましくは30~60、より好ましくは35~50である。L*は、加糖餡の場合は、好ましくは8~30、より好ましくは12~25、さらに好ましくは14~25である。
L*a*b*表色系における色は、後述の試験例1-4の方法に従って測定することができる。
本発明の小豆餡は、紫色色素(カテキノピラノシアニジンA(AZ1)、及びカテキノピラノシアニジンB(AZ2))を比較的多く含有することが好ましい。例えば、本発明の小豆餡は、その凍結乾燥物1g当たり、カテキノピラノシアニジンAを4.5μg以上(好ましくは4.5~10μg)、カテキノピラノシアニジンBを1.7μg以上(より好ましくは1.7~3.5μg)含有することが好ましい。これらの紫色色素を一定以上有することと、褐色化の原因色素の量がより低減されていることとが相まって、よりさらに良好に紫色を呈することができる。
本発明の小豆餡は、紫色色素(カテキノピラノシアニジンA(AZ1)、及びカテキノピラノシアニジンB(AZ2))の含有量は、後述の試験例1-5の方法に従って測定することができる。
本発明は、その一態様において、L*a*b*表色系におけるb*が2以下である、小豆餡、にも関する。この小豆餡の種類、色、紫色色素等については、本発明の小豆餡と同様である。
3.食品
本発明は、その一態様において、本発明の小豆餡を含む、食品(本明細書において、「本発明の食品」と示すこともある。)に関する。
食品の種類は、小豆餡を使用し得るものである限り、特に制限されない。食品としては、例えば、饅頭(最中・あんまん・月餅等)、餅(団子、あんころ餅、ぼたもち(おはぎ)、大福、安倍川もち等)、きんつば、最中、羊羹、ういろう、今川焼き(大判焼きなど)、たい焼き、どら焼き、あんパン、小倉トースト、あんドーナツ、あんこあめ、汁粉、ぜんざい、氷菓、のりたま等が挙げられる。
本発明の食品における本発明の小豆餡の含有量は、特に制限されず、食品の種類に応じて、適宜決定することができる。また、本発明の食品の製造方法も、特に制限されず、食品の種類に応じて、適宜決定することができる。
以下に、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
試験例1.生餡の製造及び色の評価1
<試験例1-1.生餡の製造1(低温浸漬後に加熱(閉鎖系))>
(1)容器に小豆(北海道十勝産、品種名:しゅまり)200gと水800gを入れ、25℃で16~18時間浸漬を行い、豆に吸水させた。吸水されなかった残水を捨て、吸水した小豆(吸水小豆)を水で洗浄した。
(2)吸水小豆に対して水1600gを加え、密閉可能な加熱調理器(製造元:エスペック社、商品名:Vide Pro)に入れ、真空処理(-70kPa程度の減圧(=30kPa程度までの減圧))5分間実施後に真空解除する操作を5回繰り返した。
(3)その後、密閉状態(加熱により生じる蒸気を含む気体は、常時排出される状態)で90℃又は100℃で1時間で加熱し、煮熟した煮豆を得た。
(4)煮豆を煮汁ごと、ストレーナー(約1.5mm孔径)に通して皮を除去し、さらにふるい(250μm孔径)に通して、水さらしを繰り返し、生餡を得た。
<試験例1-2.生餡の製造2(直炊きで通常加熱(開放系))>
(1)鍋に小豆(北海道十勝産、品種名:しゅまり)200gと水800gを入れ、ガス火で沸騰させて15分間加熱した。火を止めて常温の水200gを加え、20分間静置した(この間に豆が吸水する)。その後、煮汁を捨て(渋切り)、吸水小豆を水で洗浄した。
(2)鍋に吸水小豆を入れ、水1600gを加えて、ガス火で沸騰させてから弱火で60分間加熱して、煮熟した煮豆を得た。加熱時は水が蒸発するので、豆が空気に触れないように適宜、水を追加した。
(3)煮豆を煮汁ごと、ストレーナー(約1.5mm孔径)に通して皮を除去し、さらにふるい(250μm孔径)に通して、水さらしを繰り返し、生餡を得た。
<試験例1-3.生餡の製造3(低温浸漬後に通常加熱(開放系))>
(1)容器に小豆(北海道十勝産、品種名:しゅまり)200gと水800gを入れ、25℃で16~18時間浸漬を行い、豆に吸水させた。吸水されなかった残水を捨て、吸水小豆を水で洗浄した。
(2)鍋に吸水小豆を入れ、水1600gを加えて、ガス火で沸騰させてから弱火で60分間加熱して、煮熟した煮豆を得た。加熱時は水が蒸発するので、豆が空気に触れないように適宜、水を追加した。
(3)煮豆を煮汁ごと、ストレーナー(約1.5mm孔径)に通して皮を除去し、さらにふるい(250μm孔径)に通して、水さらしを繰り返し、生餡を得た。
<試験例1-4.生餡の色の評価>
得られた生餡について、水懸濁時の沈殿した餡の色を、色差計(日本電色工業、SA-4000、マンセル表色系D65/2°、φ30mm丸形セル使用、光源:ハロゲンランプ(12V、50W、NA55928))で測定した。測定結果を表1に示す。また、生餡の写真像を図1に示す。なお、表1及び図1における試験例1-1のデータは、(3)における加熱温度が100℃の場合のデータである。
Figure 2022041424000001
試験例2.加熱条件の検討1(小豆種皮からの紫色色素の流出)
(1)容器に小豆(北海道十勝産、品種名:しゅまり)200gと水800gを入れ、25℃で16~18時間浸漬を行い、豆に吸水させた。吸水されなかった残水を「小豆水浸漬液」としてサンプリングし、吸水小豆を水で洗浄した。
(2)吸水した豆の種皮を剥いて、種皮と内容物に分けた。種皮は乾燥しないように400gの水を加え、2℃、18時間保管した。(注:時間の都合上)次に種皮を浸漬液ごと、ストレーナー(約1.5mm孔径)に通して、「小豆皮水浸漬液」をサンプリングした。水切りした種皮は50℃、60℃、70℃、80℃、90℃、又は100℃で30分間熱水抽出し、得られた抽出液をフリーズドライして分析サンプルを得た。また、各浸漬液もフリーズドライして分析サンプルを得た。
(3)一方で、種皮を除いた内容物は、試験例1-1の(2)~(4)の方法で製餡し、無着色の生餡を得た。
(4)分析サンプル20 mgを精秤し、0.4 mLのメタノールに溶解後遠心分離(5,000 rpm, 20分間)し、その上清をカートリッジフィルターで濾過後、すでに確立した方法(Scientific Reports volume 9, Article number: 1484 (2019))でHPLC分析した。カテキノピラノシアニジンA(AZ1)、及びカテキノピラノシアニジンB(AZ2)の重量を検量線に基づき定量した。試料は秤量から2サンプル調製し、それぞれ2回繰り返して分析した。結果を表2に示す。
Figure 2022041424000002
試験例3.加熱条件の検討2(小豆種皮から小豆餡への紫色の着色)
試験例2の(1)及び(2)の方法で調製した色素抽出前の種皮(原料小豆50g相当)をビーカーに計量し、試験例2の(3)の方法で得られた無着色生餡(原料小豆50g相当)加え、水250gとともに50℃、60℃、70℃、80℃、90℃、100℃で30分間加熱した。得られた餡の色を試験例1-4と同様にして測定した。結果を表3に示す。
Figure 2022041424000003
試験例4.加熱条件の検討3(小豆種皮抽出液から小豆餡への紫色の着色)
試験例2の(1)及び(2)の方法で調製した色素抽出前の種皮に水を加え、試験例1-1の(2)~(3)の方法で種皮色素抽出液を得た。該種皮色素抽出液(原料小豆50g相当)に、試験例2の(3)の方法で得られた無着色生餡(原料小豆50g相当)を加え、水250gとともに50℃、60℃、70℃、80℃、90℃、100℃で30分間加熱した。得られた餡の色を試験例1-4と同様にして測定した。結果を表4に示す。
Figure 2022041424000004
考察
紫色の餡を調製するためには、なるべく低温で褐色化の原因色素化合物を除去し、加熱時に紫色色素が速やかに餡に結合することにより、紫色が安定すると考えられる。本発明の製造方法では、予め水溶性の褐色化の原因色素化合物を低温で除去し、紫色色素の流出が多くなる豆の加熱を閉鎖系で行うことにより、外気の接触による紫色色素の酸化を抑制し、餡において紫色をより良好に発色させることができると考えられる。
試験例5.餡中紫色色素の定量
試験例1-1(90℃加熱)及び試験例1-2の生餡をフリーズドライ処理し、紫色色素(カテキノピラノシアニジンA(AZ1)、及びカテキノピラノシアニジンB(AZ2))の定量分析用サンプルとした。分析用サンプルを10g秤量し、そこへ50mLの酢酸エチル-水1:1を加え、超音波処理を20分間行った後、一晩静置して抽出した。抽出液を回収後、残渣へ10mLの酢酸エチルを加え、20分間行った後45分間静置した。さらに同様の操作を3回行った。抽出液は毎回回収して減圧下濃縮した。集めた抽出液を1mLのメタノールに溶解し、カートリッジフィルターでろ過後、定法でHPLC分析し、570nmで検出したピーク面積を用いて検量線から定量した。それぞれ3回分析したが、抽出溶媒の回収時に餡が混ざった場合があり、結果は、試験例1-2の生餡以外は、2回の分析結果の平均値とした。結果を表5に示す。
Figure 2022041424000005
試験例6.加糖餡の製造及び色の評価
試験例1-1(90℃加熱及び100℃加熱)及び試験例1-2の生餡の計3種の生餡(水分約67%)に対して、各重量の半量の水およびグラニュー糖を鍋に入れ、ガス火にかけながら練り上げて加糖餡を調製した。最終糖度は57~58%となった。
一方で、比較用に市販の加糖餡5種を準備した。
加糖餡の色を、水懸濁せずに直接セルに詰めて測定する以外は、試験例1-4と同様にして測定した。結果を表6に示す。
Figure 2022041424000006
試験例7.生餡の製造及び色の評価2
<試験例7-1.生餡の製造4(低温浸漬及び超音波処理後に加熱(閉鎖系))>
真空処理に代えて、超音波装置(製造元:(株)エスエヌディ、製品名:超音波洗浄機 US-20PS)を用いて超音波処理(振動数:38kHz、出力:240W、10分間)を行った後に新たな水に交換する処理を行う以外は、試験例1-1と同様にして生餡を得た。
<試験例7-2.生餡の製造5(低温浸漬後に加熱(閉鎖系))>
真空処理を行わず、密閉状態での加熱を、ヘッドスペースを窒素置換した状態で行う以外は、試験例1-1と同様にして生餡を得た。
<試験例7-3.生餡の色の評価>
生餡の色を試験例1-4と同様にして測定した。結果を表7に示す。
Figure 2022041424000007

Claims (12)

  1. (工程1)小豆を非沸騰下で吸水処理して、吸水小豆と残水とを分離する工程、及び
    (工程2)前記吸水小豆を閉鎖系で加熱処理する工程、
    を含む、小豆餡の製造方法。
  2. 前記吸水処理の温度が70℃以下である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記吸水処理の温度が40℃以下である、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記加熱処理を蒸気排出機能を有する密閉容器内で行う、請求項1~3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 前記加熱処理の温度が70℃以上である、請求項1~4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 前記加熱処理の温度が85℃以上である、請求項1~5のいずれかに記載の製造方法。
  7. 前記工程1と前記工程2の間に、真空処理及び超音波処理からなる群より選択される少なくとも1種を行う、請求項1~6のいずれかに記載の製造方法。
  8. 請求項1~7のいずれかに記載の製造方法で得られる、小豆餡。
  9. 生餡、さらし餡、加糖餡、粒餡、つぶし餡、こし餡、又は小倉餡である、請求項8に記載の小豆餡。
  10. L*a*b*表色系におけるb*が2以下である、請求項8又は9に記載の小豆餡。
  11. L*a*b*表色系におけるb*が2以下である、小豆餡。
  12. 請求項8~11のいずれかに記載の小豆餡を含む、食品。
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