JP2022041276A - 光造形用樹脂組成物 - Google Patents

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【課題】光造形用樹脂組成物は、光学的立体造形法(例えば、吊り上げ式液槽光造形法)によって造形したときに、低粘度で硬化性に優れるため造形しやすく、高強度、高弾性かつ耐摩耗性に優れる立体造形物を得ることができる光造形用樹脂組成物を提供する。【解決手段】重量平均分子量が1000以下のウレタン化(メタ)アクリル化合物(a)、(メタ)アクリルアミド化合物(b)、光重合開始剤(c)、及び平均粒子径が0.75~10μmである球状無機粒子(d)を含有し、前記球状無機粒子(d)の含有量が、前記重量平均分子量が1000以下のウレタン化(メタ)アクリル化合物(a)、及び(メタ)アクリルアミド化合物(b)及びその他の重合性単量体の合計量100質量部に対して50~400質量部である、光造形用樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は光造形用樹脂組成物に関する。より詳細には、本発明は、光学的立体造形法(例えば、吊り上げ式液槽光造形法)によって造形したときに、低粘度で硬化性に優れるため造形しやすく、高強度、高弾性かつ耐摩耗性に優れる立体造形物を得ることができる光造形用樹脂組成物に関する。
液状の光硬化性樹脂に必要量の制御された光エネルギーを供給して、薄層状に硬化させ、その上にさらに液状光硬化性樹脂を供給した後、制御下に光照射して薄層状に積層硬化させるという工程を繰り返すことによって立体造形物を製造する方法、いわゆる光学的立体造形法が普及している。
立体造形物を光学的に製造する際の代表的な方法としては、容器に入れた液状光硬化性樹脂組成物の液面に、所望のパターンが得られるようにコンピューターで制御された紫外線レーザーを選択的に照射して所定の厚さで硬化させて硬化層を形成し、次にその硬化層の上に1層分の液状光硬化性樹脂組成物を供給して、同様に紫外線レーザーを照射して前記と同じように硬化させて連続した硬化層を形成させるという積層操作を繰り返して最終的な形状の立体造形物を製造する液槽光造形という方法が一般に採用されている。この方法による場合は、造形物の形状がかなり複雑であっても、簡単にかつ比較的短時間で、精度良く目的とする立体造形物を製造することができるために近年大きな注目を集めている。さらに、従来は大量に液状光硬化性樹脂組成物を入れた容器中で造形物が降下していく方式が採られていたが、最近は液状光硬化性樹脂組成物が少量で済み、ロスが少ない吊り上げ式が主流になりつつある。
そして、光造形法によって得られる立体造形物が単なるコンセプトモデルから、テストモデル、試作品等へと用途が展開されるようになっており、それに伴ってその立体造形物は成形精度に優れていることが益々要求されるようになっている。しかも、そのような特性と併せて使用目的に合わせた特性も優れていることが求められている。とりわけ、歯科材料分野においては、クラウンやブリッジといわれる補綴物は、患者個人ごとに形状が異なり、かつ形状が複雑であることから、光造形法の応用が期待されているが、要求される成形精度(造形性)及び力学的特性が極めて高い。一般に成形精度は硬化性が高く、粘度が低いもので良好な結果が得られやすい。一方、硬化物の強度及び弾性率を向上させる方法としては、一般的に光造形用樹脂組成物へ高強度を発現する単量体の添加、無機粒子の添加が挙げられるが、高強度を発現する単量体は高粘度のものが多く、光造形用樹脂組成物に配合した場合、粘度が上昇し造形が困難となる、また、無機粒子を添加した場合も、粘度が上昇し造形が困難となる傾向があるといった問題があることに加え、フィラーの脱落等が生じやすくなることから耐摩耗性が低下する傾向がある。歯科材料分野以外に、工業分野では、従来、射出成形で成形されていた工業用部品が、光学的立体造形法により、より複雑かつ高機能な構造体としても成形が可能となったり、軽量安価な金型代替や模型材料として応用が進んでいる。しかしながら、これらの用途は成形精度だけでなく、金属或いはエンジニアリングプラスチック代替が多く、樹脂材料としては極めて高い水準の強度或いは耐摩耗性といった物性が要求されることになる。
このような背景の中、光造形用樹脂組成物に高い成形精度を付与する技術として、特許文献1には、N-アクリロイルモルホリンと特定の構造を有するウレタンアクリレート化合物を配合した低粘度化を可能にした技術が提案されている。さらに特許文献2には、特定の形状の無機粒子を配合し、強度と靭性を付与する技術が提案されている。一方、特許文献3には、特定の構造のウレタンアクリレート化合物と特定の粒子径の無機フィラーを配合した技術が、特許文献4にはウレタンアクリレート化合物と紫外線吸収性フィラーを配合した技術が提案されている。
特開平7-140651号公報 特開平8-183821号公報 特開2015-43793号公報 国際公開第2018/074380号
特許文献1に記載の光造形用樹脂組成物は、その造形物の力学的な物性については、具体的に記載されていない。また、特許文献2及び3に記載の光造形用樹脂組成物は、その造形物の弾性率には改善の余地が残されている。さらに、特許文献1~4に記載の光造形用樹脂組成物は、その造形物の耐摩耗性については何ら評価されていない。
そこで、本発明は、低粘度で硬化性に優れるため造形しやすく、高強度、高弾性かつ耐摩耗性に優れる立体造形物を得ることができる光造形用樹脂組成物に関する。
すなわち、本発明は以下の発明を包含する。
[1]重量平均分子量が1000以下のウレタン化(メタ)アクリル化合物(a)、(メタ)アクリルアミド化合物(b)、光重合開始剤(c)、及び平均粒子径が0.75~10μmである球状無機粒子(d)を含有し、
前記球状無機粒子(d)の含有量が、前記重量平均分子量が1000以下のウレタン化(メタ)アクリル化合物(a)、(メタ)アクリルアミド化合物(b)、及びその他の重合性単量体の合計量100質量部に対して50~400質量部である、光造形用樹脂組成物;
[2]前記球状無機粒子(d)の真球度が0.70~0.99である、[1]に記載の光造形用樹脂組成物;
[3]前記光造形用樹脂組成物の造形物の曲げ強度が120MPa以上、かつ曲げ弾性率が5.0GPa以上である、[1]又は[2]に記載の光造形用樹脂組成物;
[4]前記重量平均分子量が1000以下のウレタン化(メタ)アクリル化合物(a)の重量平均分子量が500以下である、[1]~[3]のいずれかに記載の光造形用樹脂組成物;
[5]前記(メタ)アクリルアミド化合物(b)が単官能(メタ)アクリルアミド化合物である、[1]~[4]のいずれかに記載の光造形用樹脂組成物;
[6]前記単官能(メタ)アクリルアミド化合物がN-アクリロイルモルホリンである、[5]に記載の光造形用樹脂組成物;
[7][1]~[6]のいずれかに記載の光造形用樹脂組成物の硬化物からなる歯科材料;
[8][1]~[6]のいずれかに記載の光造形用樹脂組成物の硬化物からなる歯科用補綴物;
[9][1]~[6]のいずれかに記載の光造形用樹脂組成物を用いて、光学的立体造形法によって立体造形物を製造する方法;
[10]前記光学的立体造形法が、吊り上げ式液槽光造形法である、[9]に記載の製造方法。
本発明の光造形用樹脂組成物は、低粘度で硬化性が高いため造形しやすく、高強度、高弾性かつ耐摩耗性に優れる立体造形物を得ることができる。そのため、各種歯科材料、各種工業部品、特に歯科用補綴物に好適に用いることができる。
本発明の光造形用樹脂組成物は、重量平均分子量が1000以下のウレタン化(メタ)アクリル化合物(a)、(メタ)アクリルアミド化合物(b)、光重合開始剤(c)、及び平均粒子径が0.75~10μmである球状無機粒子(d)を含有する。なお、本明細書において、数値範囲(各成分の含有量、各成分から算出される値及び各物性等)の上限値及び下限値は適宜組み合わせ可能である。また、本明細書において、「光造形」は「光学的立体造形」ともいう。
[重量平均分子量が1000以下のウレタン化(メタ)アクリル化合物(a)]
重量平均分子量が1000以下のウレタン化(メタ)アクリル化合物(a)(以下、単に「ウレタン化(メタ)アクリル化合物(a)」ともいう。)は、本発明の光造形用樹脂組成物において、光造形用樹脂組成物の造形物の強度、弾性、成形精度及び耐摩耗性を高めるために用いられる。重量平均分子量が1000以下のウレタン化(メタ)アクリル化合物(a)は、ポリマー構造を含有しないウレタン化(メタ)アクリル化合物、ポリマー構造を含有するウレタン化(メタ)アクリル化合物が挙げられる。
ウレタン化(メタ)アクリル化合物(a)は、例えば、アルキレン骨格、フェニレン骨格を含有するイソシアネートを含有する化合物と、水酸基(-OH)を有する(メタ)アクリル化合物とを付加反応させることにより、容易に合成することができる。一方、重量平均分子量が1000以下のウレタン化(メタ)アクリル化合物(a)がポリマー構造を含有するウレタン化(メタ)アクリル化合物である場合、強度に優れる観点から重量平均分子量は1000以下であることが必要である。なお、ウレタン化(メタ)アクリル化合物(a)がポリマー構造を含有しない場合、重量平均分子量の概念がないため、重量平均分子量の代わりに分子量を適用する。重量平均分子量が1000を超えた場合、造形物が低弾性化する傾向となる。強度及び弾性率の観点から、重量平均分子量は750以下であることが好ましく、700以下であることがより好ましく、500以下であることがさらに好ましい。さらに、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリエーテル等のポリマー構造を含有していないことが好ましく、これらの構造を含有している場合、低弾性化する傾向となる。とりわけウレタン結合は耐水性の観点から1分子内に3個以下であることがより好ましく、2個以下であることがさらに好ましい。なお、本発明における重量平均分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で求めたポリスチレン換算の重量平均分子量を意味する。
イソシアネート基を有する化合物としては、例えば、メチレンジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHMDI)、トリシクロデカンジイソシアネート(TCDDI)、アダマンタンジイソシアネート(ADI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、及びジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)等が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、本発明の光造形用樹脂組成物の造形物が高強度化、高弾性化する観点から、HDI、IPDI、TMHMDI、TCDDIが好ましく、IPDI、TMHMDIがより好ましい。
水酸基を有する(メタ)アクリル化合物としては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、10-ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、2-ヒドロキシ-3-アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、2,2-ビス[4-〔3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ〕フェニル]プロパン、1,2-ビス〔3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ〕エタン、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのトリ又はテトラ(メタ)アクリレート等のヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物等;N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド等のヒドロキシ(メタ)アクリルアミド化合物等が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、本発明の光造形用樹脂組成物が硬化性に優れる観点から、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドが好ましく、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートがより好ましい。
イソシアネート基を有する化合物と水酸基を有する(メタ)アクリル化合物との付加反応は、公知の方法に従って行うことができ、特に限定はない。
ポリマー構造を含有しないウレタン化(メタ)アクリル化合物(a)の例としては、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンビス(2-カルバモイルオキシエチル)ジメタクリレート(通称:UDMA)、2,4-トリレンビス(2-カルバモイルオキシエチル)ジメタクリレート、ビスヒドロキシエチルメタクリレート-イソホロンジウレタン、2,4-トリレンビス(2-カルバモイルオキシエチル)ジメタクリレート、N,N’-(2,2,4-トリメチルヘキサメチレン)ビス[2-(アミノカルボキシ)プロパン-1,3-ジオール]テトラメタクリレート、ヘキサメチレンビス{2-カルバモイルオキシ-3-フェノキシプロピル}ジアクリレート、2,4-トリレンビス(2-カルバモイルオキシエチル)ヘキサアクリレート等の二官能以上のウレタン化(メタ)アクリル化合物等が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも強度及び弾性の観点から、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンビス(2-カルバモイルオキシエチル)ジメタクリレート、N,N’-(2,2,4-トリメチルヘキサメチレン)ビス[2-(アミノカルボキシ)プロパン-1,3-ジオール]テトラメタクリレートが好ましく、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンビス(2-カルバモイルオキシエチル)ジメタクリレートがより好ましい。
本発明の光造形用樹脂組成物におけるウレタン化(メタ)アクリル化合物(a)の含有量は、ウレタン化(メタ)アクリル化合物(a)、(メタ)アクリルアミド化合物(b)及びその他の重合性単量体の総量100質量部において、10~99質量部であることが好ましく、硬化性、造形物の強度、成形精度及び耐摩耗性により優れる点から、30~90質量部であることがより好ましく、50~80質量部であることがさらに好ましい。
[(メタ)アクリルアミド化合物(b)]
(メタ)アクリルアミド化合物(b)は、本発明の光造形用樹脂組成物において、光造形用樹脂組成物の粘度を低減するため、並びに硬化性及び耐摩耗性を付与するために用いられる。さらに、本発明では高強度、高弾性を目的として比較的大きい無機粒子が配合されるが、一般的に粒子径が大きく、かつ球状のフィラーを配合した場合、フィラーが脱落しやすい傾向となり、耐摩耗性が低下する。しかしながら、(メタ)アクリルアミド(b)はウレタン化(メタ)アクリル化合物(a)と共重合することによって、強固かつフィラーとの相互作用が強い硬化物を与えるため、フィラーの脱落を抑制しながら、高強度化、高弾性化されることから、耐摩耗性に優れた硬化物が得られるものと推測される。
(メタ)アクリルアミド化合物(b)の例としては、N-アクリロイルモルホリン、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジ-n-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジ-n-ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジ-n-ヘキシル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジ-n-オクチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジ-2-エチルヘキシル(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド等の単官能(メタ)アクリルアミド化合物が挙げられる。これらは、1種を単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。これらの中でも、ウレタン化(メタ)アクリル化合物(a)との混和性が良く、光造形用樹脂組成物の硬化性及び硬化物の耐摩耗性が優れる点で、N-アクリロイルモルホリン、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミドがより好ましく、N-アクリロイルモルホリンがさらに好ましい。
(メタ)アクリルアミド化合物(b)の含有量は、ウレタン化(メタ)アクリル化合物(a)、(メタ)アクリルアミド化合物(b)及びその他の重合性単量体の総量100質量部において、5~80質量部が好ましく、硬化性、造形物の強度、成形精度及び耐摩耗性により優れる点から、10~60質量部がより好ましく、15~40質量部がさらに好ましい。
本発明の光造形用樹脂組成物は、重量平均分子量が1000以下のウレタン化(メタ)アクリル化合物(a)、(メタ)アクリルアミド化合物(b)以外の他の重合性単量体(以下、単に「他の重合性単量体」ともいう)を含んでいてもよい。
他の重合性単量体には、ラジカル重合性単量体が好適に用いられる。ラジカル重合性単量体の具体例としては、(メタ)アクリレート系重合性単量体;α-シアノアクリル酸、(メタ)アクリル酸、α-ハロゲン化アクリル酸、クロトン酸、桂皮酸、ソルビン酸、マレイン酸、イタコン酸等のエステル類;ビニルエステル類;ビニルエーテル類;モノ-N-ビニル誘導体;スチレン誘導体等が挙げられる。なかでも、硬化性の観点から、(メタ)アクリレート系重合性単量体が好ましい。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してよい。
(メタ)アクリレート系重合性単量体としては、重合性基を1個有する単官能性重合性単量体、及び重合性基を複数有する多官能性重合性単量体が挙げられる。
単官能性の(メタ)アクリレート系重合性単量体としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、10-ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、エリスリトールモノ(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2,3-ジブロモプロピル(メタ)アクリレート、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、11-(メタ)アクリロイルオキシウンデシルトリメトキシシラン、(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
多官能性重合性単量体としては、芳香族化合物系の二官能性重合性単量体、脂肪族化合物系の二官能性重合性単量体、三官能性以上の重合性単量体等が挙げられる。
芳香族化合物系の二官能性重合性単量体としては、2,2-ビス((メタ)アクリロイルオキシフェニル)プロパン、2,2-ビス〔4-(3-アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕プロパン、2,2-ビス〔4-(3-メタクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕プロパン(通称「Bis-GMA」)、2,2-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシテトラエトキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシペンタエトキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシジプロポキシフェニル)プロパン、2-(4-(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)-2-(4-(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン、2-(4-(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)-2-(4-(メタ)アクリロイルオキシトリエトキシフェニル)プロパン、2-(4-(メタ)アクリロイルオキシジプロポキシフェニル)-2-(4-(メタ)アクリロイルオキシトリエトキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシプロポキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシイソプロポキシフェニル)プロパン、1,4-ビス(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)ピロメリテート等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してよい。これらの中でも、硬化性、硬化物の強度が優れる点で、2,2-ビス〔4-(3-メタクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕プロパン、2,2-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパンが好ましい。2,2-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパンの中でも、2,2-ビス(4-メタクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパン(エトキシ基の平均付加モル数が2.6である化合物(通称「D-2.6E」))が好ましい。
脂肪族化合物系の二官能性重合性単量体としては、グリセロールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2-エチル-1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-ビス(3-メタクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)エタン等が挙げられる。これらの中でも、硬化性、硬化物の強度が優れる点で、トリエチレングリコールジメタクリレートが好ましい。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してよい。
三官能性以上の重合性単量体としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、N,N’-(2,2,4-トリメチルヘキサメチレン)ビス〔2-(アミノカルボキシ)プロパン-1,3-ジオール〕テトラ(メタ)アクリレート、1,7-ジアクリロイルオキシ-2,2,6,6-テトラ(メタ)アクリロイルオキシメチル-4-オキサヘプタン等が挙げられる。これらの中でも、硬化性、硬化物強度が優れる点で、N,N’-(2,2,4-トリメチルヘキサメチレン)ビス〔2-(アミノカルボキシ)プロパン-1,3-ジオール〕テトラメタクリレート、1,7-ジアクリロイルオキシ-2,2,6,6-テトラアクリロイルオキシメチル-4-オキサヘプタンが好ましい。
[光重合開始剤(c)]
本発明に用いられる光重合開始剤(c)は、一般工業界で使用されている光重合開始剤から選択して使用でき、中でも歯科用途に用いられている光重合開始剤が好ましく用いられる。
光重合開始剤(c)としては、(ビス)アシルホスフィンオキシド類、チオキサントン類又はチオキサントン類の第4級アンモニウム塩、ケタール類、α-ジケトン類、クマリン類、アントラキノン類、ベンゾインアルキルエーテル化合物、α-アミノケトン系化合物等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してよい。
これらの光重合開始剤(c)の中でも、(ビス)アシルホスフィンオキシド類及びその塩、並びにα-ジケトン類からなる群より選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。これにより、紫外領域及び可視光領域での光硬化性に優れ、Arレーザー、He-Cdレーザー等のレーザー;ハロゲンランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ、発光ダイオード(LED)、水銀灯、蛍光灯等の照明等のいずれの光源を用いても十分な光硬化性を示す光造形用樹脂組成物が得られる。
上記光重合開始剤(c)として用いられる(ビス)アシルホスフィンオキシド類のうち、アシルホスフィンオキシド類としては、例えば、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,6-ジメトキシベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,6-ジクロロベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6-トリメチルベンゾイルメトキシフェニルホスフィンオキシド、2,4,6-トリメチルベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキシド、2,3,5,6-テトラメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ベンゾイルジ(2,6-ジメチルフェニル)ホスホネート、2,4,6-トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオキシドナトリウム塩、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドカリウム塩、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドのアンモニウム塩等が挙げられる。ビスアシルホスフィンオキシド類としては、例えば、ビス(2,6-ジクロロベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジクロロベンゾイル)-2,5-ジメチルフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジクロロベンゾイル)-4-プロピルフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジクロロベンゾイル)-1-ナフチルホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,5-ジメチルフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,5,6-トリメチルベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド等が挙げられる。さらに、特開2000-159621号公報に記載されている化合物が挙げられる。
これらの(ビス)アシルホスフィンオキシド類の中でも、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6-トリメチルベンゾイルメトキシフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、及び2,4,6-トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオキシドナトリウム塩が特に好ましい。
上記光重合開始剤(c)として用いられるα-ジケトン類としては、例えば、ジアセチル、ベンジル、カンファーキノン、2,3-ペンタジオン、2,3-オクタジオン、9,10-フェナントレンキノン、4,4’-オキシベンジル、アセナフテンキノンが挙げられる。この中でも、可視光領域の光源を使用する場合には、カンファーキノンが特に好ましい。
本発明の光造形用樹脂組成物における光重合開始剤(c)の含有量は、得られる光造形用樹脂組成物の硬化性等の観点から、ウレタン化(メタ)アクリル化合物(a)、(メタ)アクリルアミド化合物(b)及びその他の重合性単量体の総量100質量部に対して、0.1~10質量部が好ましく、0.5~7.5質量部がより好ましく、1.0~5.0質量部がさらに好ましい。光重合開始剤(c)の含有量が、ウレタン化(メタ)アクリル化合物(a)、(メタ)アクリルアミド化合物(b)及びその他の重合性単量体の総量100質量部に対し、10質量部を超える場合、光重合開始剤自体の溶解性が低い場合に、光造形用樹脂組成物からの析出を招くおそれがある。
[球状無機粒子(d)]
球状無機粒子(d)は、本発明の光造形用樹脂組成物において、特定の含有量の場合に、造形性を損なうことなく高弾性化するために用いられる。すなわち、球状無機粒子(d)が、球状であることによって、光造形用樹脂組成物に剪断応力が掛けられたときに、粒子同士の摩擦抵抗或いは相互作用が小さくなり、光造形用樹脂組成物が低粘度化されるため、造形性に優れる。また、特定の粒径とすることによって、粘度の上昇を抑えつつ、緻密に充填されるため、無機粒子の剛性が造形物に発現し、高弾性化する。しかしながら、無機粒子の粒径が小さすぎる場合、粒子同士の相互作用が大きくなり、高粘度化するだけでなく、無機粒子の剛性が発現しにくい。一方、無機粒子の粒径が大きすぎる場合、組成物が緻密に充填されにくくなり不均一化するため、高弾性化しにくくなる。また、球状無機粒子(d)は、光造形用樹脂組成物の硬化物に耐摩耗性を付与する。
本発明に用いられる球状無機粒子(d)としては、例えば、石英、シリカ、酸化チタン、酸化ジルコニウム(ジルコニア)、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化アルミニウム(アルミナ)、シリカ-チタニア、シリカ-チタニア-酸化バリウム、シリカ-ジルコニア、シリカ-アルミナ、アルミノシリケートガラス、フルオロアルミノシリケートガラス、カルシウムフルオロアルミノシリケートガラス、ストロンチウムフルオロアルミノシリケートガラス、バリウムフルオロアルミノシリケートガラス、及びストロンチウムカルシウムフルオロアルミノシリケートガラスが挙げられる。これらもまた、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、得られる光造形用樹脂組成物の硬化物の弾性率が優れる点で、石英、シリカ、アルミナ、ジルコニア、バリウムガラス、フルオロアルミノシリケートガラスが好ましく用いられ、より好ましくはシリカ、バリウムガラスが用いられ、さらに好ましくはシリカが用いられる。
光造形用樹脂組成物の造形性及び硬化物の力学的特性の観点から、球状無機粒子(d)の平均粒子径は、0.75~10μmであることが必要であり、0.8~5.0μmが好ましく、0.85~2.5μmがより好ましく、0.9~2.0μmがさらに好ましい。球状無機粒子(d)の平均粒子径が0.75μm未満の場合、光造形用樹脂組成物の粘度が高くなり成形精度が低下する傾向となり、また光造形用樹脂組成物の硬化物の弾性率が低下する傾向となり、光造形用樹脂組成物に含まれる樹脂(重合体)の影響を強く受けて耐摩耗性が低下する傾向となる。一方、球状無機粒子(d)の平均粒子径が10μmより大きいと、照射光が散乱しやすくなるため成形精度が低下する傾向となり、また、摩耗の力によって無機粒子が先に脱落しやすくなり、光造形用樹脂組成物の硬化物の耐摩耗性が低下する。ある好適な実施形態では、ウレタン化(メタ)アクリル化合物(a)、(メタ)アクリルアミド化合物(b)、光重合開始剤(c)、及び平均粒子径が0.75~10μmである球状無機粒子(d)を含有し、平均粒子径が0.75μm未満の無機粒子を含まない光造形用樹脂組成物が挙げられる。また、ある好適な実施形態では、無機粒子として無機繊維ウィスカーを含まない光造形用樹脂組成物が挙げられる。
球状無機粒子(d)の平均粒子径とは平均一次粒子径であり、レーザー回折散乱法により求めることができる。レーザー回折散乱法は、例えば、レーザー回折式粒子径分布測定装置(SALD-2300:株式会社島津製作所製)により、0.2%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を分散媒に用いて体積基準で測定することができる。
球状無機粒子(d)の形状は流動性に優れる観点から球状であることが必要である。球状無機粒子(d)の真球度が0.70~0.99であることが好ましく、0.80~0.99であることがより好ましく、0.90~0.99であることがさらに好ましい。
球状無機粒子(d)の形状は走査型電子顕微鏡(以下、SEMという)の撮影像より計測することができる。平均粒子径及び真球度は、SEM写真を画像解析装置で処理することにより求めることができる。画像処理するサンプル数は200個以上とし、その平均値を用いる。なお、ここで定義する「真球度」は、SEMの撮影像を画像処理することによって求められる円形度を代用する。円形度は、以下の式で示される。円形度=1は真円を表す。
円形度=(4・π・S)/(L2
(式中、Sは画像処理で得られた粒子の面積を表し、Lは粒子の周囲長を表す。)
また、円形度の算出に用いる粒子径としては、円相当径(真円と仮定した場合の直径)=(4・S/π)1/2とした。
本発明の光造形用樹脂組成物における球状無機粒子(d)の含有量は、得られる光造形用樹脂組成物の稠度、硬化物の成形精度及び力学的特性の観点からウレタン化(メタ)アクリル化合物(a)、(メタ)アクリルアミド化合物(b)及びその他の重合性単量体の総量100質量部に対して、50~400質量部であることが必要であり、75~300質量部が好ましく、100~200質量部がより好ましい。球状無機粒子(d)の含有量が50質量部未満の場合、立体造形物において十分な力学的特性が得られない。一方、球状無機粒子(d)の含有量が、400質量部を超える場合、光造形用樹脂組成物の粘度が上昇し、造形が困難になる。
球状無機粒子(d)は、ウレタン化(メタ)アクリル化合物(a)、(メタ)アクリルアミド化合物(b)及びその他の重合性単量体の総量100質量部との混和性を調整するため、酸性基を含有する有機化合物;飽和脂肪酸アミド、不飽和脂肪酸アミド、飽和脂肪酸ビスアミド、不飽和脂肪酸ビスアミド等の脂肪酸アミド;シランカップリング剤等の有機ケイ素化合物、等の公知の表面処理剤で予め表面処理することが好ましい。ウレタン化(メタ)アクリル化合物(a)、(メタ)アクリルアミド化合物(b)及びその他の重合性単量体と球状無機粒子(d)との化学結合性を高めて硬化物の強度及び耐摩耗性を向上させるために、酸性基を含有する有機化合物で表面処理することが好ましい。該酸性基含有有機化合物としては、リン酸基、ピロリン酸基、チオリン酸基、ホスホン酸基、スルホン酸基、カルボン酸基等の酸性基を少なくとも1個有する有機化合物が挙げられ、リン酸基を少なくとも1個有する有機化合物が好ましい。表面処理剤を2種以上使用する場合は、2種以上の表面処理剤の混合物の表面処理剤層としてもよいし、複数の表面処理剤層を積層した複層構造の表面処理剤層としてもよい。
リン酸基を含有する酸性基含有有機化合物としては、2-エチルヘキシルアシッドホスフェート、ステアリルアシッドホスフェート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルジハイドロジェンホスフェート、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルジハイドロジェンホスフェート、4-(メタ)アクリロイルオキシブチルジハイドロジェンホスフェート、5-(メタ)アクリロイルオキシペンチルジハイドロジェンホスフェート、6-(メタ)アクリロイルオキシヘキシルジハイドロジェンホスフェート、7-(メタ)アクリロイルオキシヘプチルジハイドロジェンホスフェート、8-(メタ)アクリロイルオキシオクチルジハイドロジェンホスフェート、9-(メタ)アクリロイルオキシノニルジハイドロジェンホスフェート、10-(メタ)アクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェート、11-(メタ)アクリロイルオキシウンデシルジハイドロジェンホスフェート、12-(メタ)アクリロイルオキシドデシルジハイドロジェンホスフェート、16-(メタ)アクリロイルオキシヘキサデシルジハイドロジェンホスフェート、20-(メタ)アクリロイルオキシイコシルジハイドロジェンホスフェート、ビス〔2-(メタ)アクリロイルオキシエチル〕ハイドロジェンホスフェート、ビス〔4-(メタ)アクリロイルオキシブチル〕ハイドロジェンホスフェート、ビス〔6-(メタ)アクリロイルオキシヘキシル〕ハイドロジェンホスフェート、ビス〔8-(メタ)アクリロイルオキシオクチル〕ハイドロジェンホスフェート、ビス〔9-(メタ)アクリロイルオキシノニル〕ハイドロジェンホスフェート、ビス〔10-(メタ)アクリロイルオキシデシル〕ハイドロジェンホスフェート、1,3-ジ(メタ)アクリロイルオキシプロピルジハイドロジェンホスフェート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルハイドロジェンホスフェート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチル-2-ブロモエチルハイドロジェンホスフェート、ビス〔2-(メタ)アクリロイルオキシ-(1-ヒドロキシメチル)エチル〕ハイドロジェンホスフェート、及びこれらの酸塩化物、アルカリ金属塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
また、ピロリン酸基、チオリン酸基、ホスホン酸基、スルホン酸基、カルボン酸基等の酸性基を有する酸性基含有有機化合物としては、例えば、国際公開2012/042911号に記載のものを好適に用いることができる。
飽和脂肪酸アミドとしては、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミド等が挙げられる。不飽和脂肪酸アミドとしては、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド等が挙げられる。飽和脂肪酸ビスアミドとしては、エチレンビスパルミチン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド等が挙げられる。不飽和脂肪酸ビスアミドとしては、エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’-ジオレイルセバシン酸アミド等が挙げられる。
有機ケイ素化合物としては、R1 nSiX4-nで表される化合物が挙げられる。但し、前記式中、R1は炭素数1~12の置換又は無置換の炭化水素基であり、Xは炭素数1~4のアルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子又は水素原子を示し、nは0~3の整数であり、但し、R1及びXが複数ある場合にはそれぞれ、同一でも異なっていてもよい。
具体的には、例えば、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、3,3,3-トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、メチル-3,3,3-トリフルオロプロピルジメトキシシラン、β-(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、トリメチルシラノール、メチルトリクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、トリメチルブロモシラン、ジエチルシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ω-(メタ)アクリロイルオキシアルキルトリメトキシシラン〔(メタ)アクリロイルオキシ基とケイ素原子との間の炭素数:3~12、例、γ-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等〕、ω-(メタ)アクリロイルオキシアルキルトリエトキシシラン〔(メタ)アクリロイルオキシ基とケイ素原子との間の炭素数:3~12、例、γ-メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン等〕、ヘキサエチルジシラザン、ヘキサn-プロピルジシラザン、ヘキサイソプロピルジシラザン、1,1,2,2-テトラメチル-3,3-ジエチルジシラザン、1,1,3,3-テトラメチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン、1,1,1,3,3-ペンタメチルジシラザン等が挙げられる。
この中でも、重合性単量体と共重合し得る官能基を有するシランカップリング剤、例えば、ω-(メタ)アクリロイルオキシアルキルトリメトキシシラン〔(メタ)アクリロイルオキシ基とケイ素原子との間の炭素数:3~12〕、ω-(メタ)アクリロイルオキシアルキルトリエトキシシラン〔(メタ)アクリロイルオキシ基とケイ素原子との間の炭素数:3~12〕、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等が好ましい。
表面処理の方法としては、公知の方法を特に限定されずに用いることができ、例えば、球状無機粒子(d)を激しく撹拌しながら前記の表面処理剤をスプレー添加する方法、適当な溶媒へ球状無機粒子(d)と上記の表面処理剤とを分散又は溶解させた後、溶媒を除去する方法等がある。
前記表面処理剤の使用量は、特に限定されず、例えば、球状無機粒子(d)100質量部に対して、0.1~50質量部が好ましい。
また、本発明の光造形用樹脂組成物には、劣化の抑制、又は光硬化性の調整を目的として、公知の安定剤を配合することができる。前記安定剤としては、例えば、重合禁止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、キレート剤、pH調整剤等が挙げられる。安定剤は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
重合禁止剤としては、例えば、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、ジブチルヒドロキノン、ジブチルヒドロキノンモノメチルエーテル、4-t-ブチルカテコール、2-t-ブチル-4,6-ジメチルフェノール、2,6-ジ-t-ブチルフェノール、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシトルエンが挙げられる。重合禁止剤の含有量は、ウレタン化(メタ)アクリル化合物(a)、(メタ)アクリルアミド化合物(b)及びその他の重合性単量体の総量100質量部に対し、0.001~5.0質量部が好ましい。
また、本発明の光造形用樹脂組成物には、色調の調整又はペースト性状の調整を目的として、公知の添加剤を配合することができる。前記添加剤としては、例えば、着色剤(顔料、染料)、有機溶媒、増粘剤、界面活性剤等が挙げられる。添加剤は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。顔料としては、無機顔料、有機顔料が挙げられる。無機顔料としては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、酸化鉄等が挙げられる。有機顔料としては、例えば、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料;フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料;染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等);染色レーキ(塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ);ニトロ顔料;ニトロソ顔料;アニリンブラック;昼光蛍光顔料等が挙げられる。顔料は、平均一次粒子径が0.10μm未満の超微粒子であってもよい。
本発明の光造形用樹脂組成物は、低粘度で造形しやすく、硬化物が高強度、高弾性かつ耐摩耗性に優れる。従って、本発明の光造形用樹脂組成物は、このような利点が生かされる用途に適用でき、例えば、光学的立体造形法により製造される各種立体造形物に用いることができる。なかでも、歯科材料及び工業用部品に好適に用いることができ、特に歯科用補綴物に最適である。
本発明の他の実施形態としては、前記したいずれかの光造形用樹脂組成物を用いて、従来公知の光学的立体造形法(例えば、吊り上げ式液槽光造形法)によって立体造形物を製造する方法が挙げられる。
本発明の光造形用樹脂組成物を用いて従来公知の光学的立体造形法(例えば、吊り上げ式液槽光造形法)を行うに当たっては、従来公知の光学的立体造形法及び装置(例えば、DWS社製 DIGITALWAX(登録商標) 028J-Plus等の光造形機)のいずれもが使用できる。そのうちでも、本発明では、樹脂を硬化させるための光エネルギーとして、活性エネルギー光線を用いるのが好ましい。本発明における「活性エネルギー光線」とは、紫外線、電子線、X線、放射線、高周波等の、光造形用樹脂組成物を硬化させ得るエネルギー線を意味する。例えば、活性エネルギー光線は、300~410nmの波長を有する紫外線であってもよい。活性エネルギー光線の光源としては、Arレーザー、He-Cdレーザー等のレーザー;ハロゲンランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ、LED、水銀灯、蛍光灯等の照明等が挙げられ、レーザーが特に好ましい。光源としてレーザーを用いた場合には、エネルギーレベルを高めて造形時間を短縮することが可能であり、しかもレーザー光線の良好な集光性を利用して、造形精度の高い立体造形物を得ることができる。
上記したように、本発明の光造形用樹脂組成物を用いて光学的立体造形を行うに当たっては、従来公知の方法(例えば、吊り上げ式液槽光造形法)及び従来公知の光造形システム装置のいずれもが採用でき特に制限されないが、本発明で好ましく用いられる光学的立体造形法の代表例としては、所望のパターンを有する硬化層が得られるように、光造形用樹脂組成物に活性エネルギー光線を選択的に照射して硬化層を形成する工程、次いでその硬化層にさらに未硬化液状の光造形用樹脂組成物を供給し、同様に活性エネルギー光線を照射して前記の硬化層と連続した硬化層を新たに形成して積層する工程とを繰り返すことによって最終的に目的とする立体造形物を得る方法を挙げることができる。また、それによって得られる立体造形物はそのまま用いても、また場合によってはさらに光照射によるポストキュアあるいは熱によるポストキュア等を行って、その力学的特性あるいは形状安定性等を一層高いものとしてから使用するようにしてもよい。
本発明は、本発明の効果を奏する限り、本発明の技術的思想の範囲内において、上記の構成を種々組み合わせた実施形態を含む。
次に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で多くの変更が当分野において通常の知識を有する者により可能である。実施例又は比較例に係る光造形用樹脂組成物に用いた各成分を略号とともに以下に説明する。
[重量平均分子量が1000以下のウレタン化(メタ)アクリル化合物(a)]
UDMA:2,2,4-トリメチルヘキサメチレンビス(2-カルバモイルオキシエチル)ジメタクリレート(共栄社化学株式会社製 分子量:471)
U4TH:N,N’-(2,2,4-トリメチルヘキサメチレン)ビス[2-(アミノカルボキシ)プロパン-1,3-ジオール]テトラメタクリレート(共栄社化学株式会社製 分子量:673)
[(メタ)アクリルアミド化合物(b)]
ACMO:N-アクリロイルモルホリン(KJケミカルズ株式会社製)
DEAA:N,N-ジエチルアクリルアミド(KJケミカルズ株式会社製)
[光重合開始剤(c)]
TPO:2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド
BAPO:ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド
[平均粒子径が0.75~10μmである球状無機粒子(d)]
球状無機粒子(d)-1:γ-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン処理シリカ(商品名「アドマファイン(登録商標)SO-C4」、株式会社アドマテックス製、平均粒子径:1.0μm、真球度:0.96)
球状無機粒子(d)-2:γ-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン処理シリカ(商品名「アドマファイン(登録商標)SO-C6」、株式会社アドマテックス製、平均粒子径:2.0μm、真球度:0.97)
[その他の重合性単量体]
Bis-GMA:2,2-ビス〔4-(3-メタクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕プロパン(新中村化学工業株式会社製)
TEGDMA:トリエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学工業株式会社製)
[安定剤]
BHT:3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシトルエン
(実施例1~7及び比較例1~5)
表1及び表2に示す分量で各成分を常温(20℃±15℃、JIS(日本工業規格) Z 8703:1983)下で混合して、実施例1~7及び比較例1~5に係る光造形用樹脂組成物としてのインクを調製した。
<造形性>
1.造形の可否
各実施例及び比較例のインクについて、光造形機(DWS社製 DIGITALWAX(登録商標) 020D)を用いて、1辺の長さが10.000mmの立方体の立体造形物を、造形ピッチ50μm、レーザー走査速度4300mm/secで製造した。光造形機は、コート材で表面処理されたトレイ及び台座を備える。造形中の立体造形物の光造形機が備える台座からの脱落、造形途切れ、容器の破壊(樹脂組成物を充填しているトレイのコート材の損傷)等がなく、造形可能か目視により観察した(n=5)。1つでも造形できないものがあれば、「造形不可」とした。
2.流動性
一辺の長さが50mmの正方形の底面を有し、厚さ0.05mmのPETフィルムを平面に置き、その中心に各実施例及び比較例のインクを0.5ml滴下して、25℃の恒温室内にて、10分間静置した。次いで、円形に広がったインクの最大径(長径)と最小径(短径)の平均を取り、インクの径を算出した。各実施例及び比較例のインクについて、3つのサンプルをこの方法で測定し、インクの径を算出した(n=3)。算出値の平均値を表1及び表2に示す。さらに、この3回の測定結果の平均値を流動性の測定値とした。流動性が大きいほどインクが流れやすく、造形性に優れることを示す。この試験での粘度が30mm以上のものは、流動性が高く造形性に優れ、40mm以上のものがより好ましい。
3.成形精度
各実施例及び比較例のインクについて、光造形機(DWS社製 DIGITALWAX(登録商標) 020D)を用いて、1辺の長さが10.000mmの立方体の立体造形物を、造形ピッチ50μm、レーザー走査速度4300mm/secで製造した。得られた立体造形物を、エタノールで洗浄し、未重合の重合性単量体を除去した後、マイクロメーターを用いて寸法(単位:mm)を測定し、下記の式により、成形精度について成形誤差を算出した(n=5)。測定値の平均値を表1及び表2に示す。該成形誤差が1.0%以下である場合、成形精度に優れ、歯科用途においてクラウン或いはブリッジを造形した場合に、適合性に優れたものとなりやすく、0.80%以下が好ましい。
Figure 2022041276000001
<曲げ強さ、曲げ弾性率>
各実施例及び比較例の表1及び表2に記載の組成物について、光造形機(DWS社製 DIGITALWAX(登録商標) 028J-Plus)を用いて、長さ25.0mm×幅2.0mm×厚さ2.0mmの直方体の造形物を、造形ピッチ50μm、レーザー走査速度4300mm/secで製造した。得られた造形物を、メタノールで洗浄し、未重合の重合性単量体を除去した後、光照射機(EnvisionTEC社製 Otoflash(登録商標)G171)を用いて追い込み重合し、硬化物を得た。得られた硬化物をシリコンカーバイド紙300番で研磨した後、精密万能試験機(株式会社島津製作所製、商品名「AG-I 100N」)を用いて、支点間距離20mm、クロスヘッドスピード1mm/分で曲げ強さ(3点曲げ強さ)及び曲げ弾性率を測定した(n=5)。測定値の平均値を表1及び表2に示す。曲げ強さが120MPa以上であり、かつ曲げ弾性率が5.0GPa以上である硬化物は機械的強度に優れ、曲げ強さが140MPa以上であり、かつ曲げ弾性率が6.0GPa以上である硬化物は機械的強度により優れる。
<耐摩耗性(テーバー摩耗試験)>
各実施例及び比較例の表1及び表2に記載の組成物について、光造形機(DWS社製 DIGITALWAX(登録商標) 028J-Plus)を用いて、縦11cm×横11cm×厚さ0.5cmのシートの造形物を、造形ピッチ50μm、レーザー走査速度4300mm/secで製造した。得られた造形物を、メタノールで洗浄し、未重合の重合性単量体を除去した後、光照射機(EnvisionTEC社製 Otoflash(登録商標)G171)を用いて追い込み重合し、硬化物を得た。該シートから直径10.5cmの円形状に試験片を切り取り、JIS K 6264-2:2005(ランボーン摩耗試験)に準じて、研磨輪としてH-22摩耗輪(TABER INDUSTRIES社製)を用い、1kg荷重、1000回転の条件下でテーバー摩耗量を測定した(n=2)。測定値の平均値を表1及び表2に示す。この試験で摩耗量が55mm3以下であれば耐摩耗性が優れ、50mm3以下であれば耐摩耗性がより優れる。
Figure 2022041276000002
Figure 2022041276000003
無機粒子1:γ-メタクリロイルオキシトリメトキシシラン処理シリカ(商品名「アドマファイン(登録商標)SO-C1」、株式会社アドマテックス製、平均粒子径:300nm、真球度:0.96)
無機粒子2:石英(MARUWA QUARTZ製)をボールミルで粉砕し、平均粒子径が約2.8μmの石英粉を得た後、この石英粉100質量部に対して、通法により3質量部の3-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランで表面処理を行った破砕状無機粒子。
ウレタンアクリレート1:ポリエーテル系ウレタンジアクリレート(新中村化学工業株式会社製 分子量1400)
表1及び表2に示す通り、実施例1~7における光造形用樹脂組成物は、造形可能な粘度を有し、成形精度に優れていた。また、その硬化物は、曲げ強さ、曲げ弾性率及び耐摩耗性に優れていた。比較例1の重量平均分子量が1000以下のウレタン化(メタ)アクリル化合物(A)を含有しない組成物、及び球状無機粒子でなく破砕状の無機粒子を含有する比較例5に係る組成物は、造形が不可であった。重量平均分子量が1000を超えるウレタン化(メタ)アクリル化合物を含有する比較例2に係る組成物、及び(メタ)アクリルアミド化合物(b)を含有しない比較例3に係る組成物は、粘度が高く成形精度に劣り、その硬化物は、曲げ強度、弾性率及び耐摩耗性に劣っていた。平均粒子径が0.75より小さい球状無機粒子を含有する比較例4に係る組成物は、耐摩耗性に劣っていた。
本発明の光造形用樹脂組成物は、光学的立体造形法(例えば、吊り上げ式液槽光造形法)によって造形したときに、低粘度かつ硬化性に優れるため造形しやすく、造形物が高強度、高弾性かつ耐摩耗性に優れるため、各種歯科材料及び工業用部品、特に歯科用補綴物に好適である。

Claims (10)

  1. 重量平均分子量が1000以下のウレタン化(メタ)アクリル化合物(a)、(メタ)アクリルアミド化合物(b)、光重合開始剤(c)、及び平均粒子径が0.75~10μmである球状無機粒子(d)を含有し、
    前記球状無機粒子(d)の含有量が、前記重量平均分子量が1000以下のウレタン化(メタ)アクリル化合物(a)、(メタ)アクリルアミド化合物(b)、及びその他の重合性単量体の合計量100質量部に対して50~400質量部である、光造形用樹脂組成物。
  2. 前記球状無機粒子(d)の真球度が0.70~0.99である、請求項1に記載の光造形用樹脂組成物。
  3. 前記光造形用樹脂組成物の造形物の曲げ強度が120MPa以上、かつ曲げ弾性率が5.0GPa以上である、請求項1又は2に記載の光造形用樹脂組成物。
  4. 前記重量平均分子量が1000以下のウレタン化(メタ)アクリル化合物(a)の重量平均分子量が500以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の光造形用樹脂組成物。
  5. 前記(メタ)アクリルアミド化合物(b)が単官能(メタ)アクリルアミド化合物である、請求項1~4のいずれか1項に記載の光造形用樹脂組成物。
  6. 前記単官能(メタ)アクリルアミド化合物がN-アクリロイルモルホリンである、請求項5に記載の光造形用樹脂組成物。
  7. 請求項1~6のいずれか1項に記載の光造形用樹脂組成物の硬化物からなる歯科材料。
  8. 請求項1~6のいずれか1項に記載の光造形用樹脂組成物の硬化物からなる歯科用補綴物。
  9. 請求項1~6のいずれか1項に記載の光造形用樹脂組成物を用いて、光学的立体造形法によって立体造形物を製造する方法。
  10. 前記光学的立体造形法が、吊り上げ式液槽光造形法である、請求項9に記載の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2023210328A1 (ja) * 2022-04-25 2023-11-02 株式会社トクヤマデンタル 三次元光造形用光硬化性樹脂組成物

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