JP2022040986A - 画像読取装置、画像形成装置、画像処理方法及びプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】異常画素の判定精度が低下しにくい画像読取装置、画像形成装置、画像処理方法及びプログラムを提供する。【解決手段】画像読取装置10は、画像読取部2と、判定部61と、閾値決定部62と、を備える。画像読取部2は、搬送路を通して搬送されるシートの画像を読み取る。判定部61は、画像読取部2で読み取られる画像についての、画素ごとの濃度値と判定閾値との比較結果に基づいて異常画素を判定する。閾値決定部62は、画像読取部2で読み取られる画像における各画素の濃度値についての度数分布に基づいて、判定閾値を決定する。【選択図】図4
Description
本発明は、画像読取装置、画像形成装置、画像処理方法及びプログラムに関する。
関連技術として、異物に起因する筋状の画像を除去又は低減することのできる画像読取装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。シートスルー読み取り方式の読取動作が行われる場合、コンタクトガラスに、ゴミ、塵埃又は搬送されるシートの紙粉等の異物が付着していたり、傷又は汚れがついていたりする場合がある。この場合に、読み取った画像には副走査方向へ延びる比較的濃度の濃い筋状の画像が現れることがあり、関連技術に係る画像読取装置では、このような筋状の画像を除去又は低減可能とする。
関連技術に係る画像読取装置は、搬送されるシートの画像を読取可能な画像読取部と、(第1)濃度算出部と、(第1)閾値決定部と、(第1)判定部と、画像処理部と、を備える。濃度算出部は、画像読取部でシートより読み取られた(第1)読取画像のうち、シートの余白領域に対応する画像について濃度値ごとの画素数を示すヒストグラムを作成し、ヒストグラムに基づいて画素数が最も多い第1濃度値を算出する。閾値決定部は、上記第1濃度値、つまり読取画像の背景濃度を示す第1濃度値より、予め定められた値分だけ濃度が濃い濃度値を、判定閾値に決定する。判定部は、余白領域の各画素の濃度値と判定閾値との比較結果に基づき、余白領域における各画素のうち判定閾値より濃度が濃い濃度値の画素を、異常を示す(第1)異常画素と判定する。画像処理部は、読取画像のうち、主走査方向の位置が異常画素と一致する画素の濃度値を補正する。
上記関連技術の構成では、画素数が最も多い(読取画像の背景濃度を示す)濃度値より「予め定められた値」分だけ濃度が濃い濃度値が判定閾値となるので、「予め定められた値」の設定如何では、異常画素の判定精度が低下する場合がある。
本発明の目的は、異常画素の判定精度が低下しにくい画像読取装置、画像形成装置、画像処理方法及びプログラムを提供することにある。
本発明の一の局面に係る画像読取装置は、画像読取部と、判定部と、閾値決定部と、を備える。前記画像読取部は、搬送路を通して搬送されるシートの画像を読み取る。前記判定部は、前記画像読取部で読み取られる画像についての、画素ごとの濃度値と判定閾値との比較結果に基づいて異常画素を判定する。前記閾値決定部は、前記画像読取部で読み取られる画像における各画素の濃度値についての度数分布に基づいて、前記判定閾値を決定する。
本発明の他の局面に係る画像形成装置は、前記画像読取装置と、前記画像読取装置によって読み取られた前記シートの画像を別シートに形成する画像形成部と、を備える。
本発明の他の局面に係る画像処理方法は、搬送路を通して搬送されるシートの画像を画像読取部で読み取ることと、前記画像読取部で読み取られる画像についての、画素ごとの濃度値と判定閾値との比較結果に基づいて異常画素を判定することと、前記画像読取部で読み取られる画像における各画素の濃度値についての度数分布に基づいて、前記判定閾値を決定することと、を有する。
本発明の他の局面に係るプログラムは、搬送路を通して搬送されるシートの画像を画像読取部で読み取ることと、前記画像読取部で読み取られる画像についての、画素ごとの濃度値と判定閾値との比較結果に基づいて異常画素を判定することと、前記画像読取部で読み取られる画像における各画素の濃度値についての度数分布に基づいて、前記判定閾値を決定することと、を1以上のプロセッサーに実行させるためのプログラムである。
本発明によれば、異常画素の判定精度が低下しにくい画像読取装置、画像形成装置、画像処理方法及びプログラムを提供することができる。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する趣旨ではない。
(実施形態1)
[1]画像形成装置の概略構成
まず、本実施形態に係る画像形成装置1の概略構成について、図1~図4を参照して説明する。
[1]画像形成装置の概略構成
まず、本実施形態に係る画像形成装置1の概略構成について、図1~図4を参照して説明する。
本実施形態では一例として、画像形成装置1は、画像を読み取るスキャン機能、画像データに基づいて画像を形成するプリント機能、ファクシミリ機能、及びコピー機能等の複数の機能を有する複合機である。画像形成装置1は、画像読取装置10と、画像形成部3と、を備える。つまり、本実施形態に係る画像読取装置10は、画像形成部3と共に画像形成装置1を構成する。
画像読取装置10は、シートSh1(図2参照)から画像を読み取る機能を有し、一例として、画像形成部3の上方に設置されている。画像形成部3は、画像読取装置10によって読み取られたシートSh1の画像を、別シートSh2(図1参照)に形成する機能を有する。画像読取装置10は、搬送路R1(図3参照)を通して搬送されるシートSh1の画像を読み取る画像読取部2(図2参照)を備えている。本実施形態では一例として、画像形成部3は、複数の給紙トレイ31、転写装置32及び定着装置33等を備え、画像読取装置10から出力される画像(画像データ)に基づいて、電子写真方式で別シートSh2に画像を形成する。画像形成部3は、画像読取装置10によって読み取られた画像に限らず、画像形成装置1の外部の情報処理装置等から入力される画像(画像データ)をシート(別シートSh2)に形成してもよい。また、画像形成部3は、例えば、インクジェット方式等、電子写真方式以外の画像形成方式により、シート(別シートSh2)に画像を形成する構成であってもよい。
画像読取装置10は、図2に示すように、装置本体4と、原稿カバー5と、を有する。原稿カバー5は、装置本体4の上方に配置されており、かつ、装置本体4に対して開閉(回転)可能に設けられている。原稿カバー5が「開」状態にあれば装置本体4の上面が露出し、原稿カバー5が「閉」状態にあれば装置本体4の上面が原稿カバー5で覆われる。そのため、原稿カバー5が開閉操作されることにより、装置本体4の上面が露出するか否かが切り替わる。原稿カバー5の開閉のための支持部(ヒンジ部)には、リミットスイッチ等のカバー開検出センサーが設けられている。そのため、例えば、ユーザーが原稿の画像を読み取らせようとして原稿カバー5が開かれると、カバー開検出センサーが作動して、その検出信号(カバー開検出信号)が後述する処理部6に出力される。
画像読取装置10の装置本体4は、第1コンタクトガラス41、第2コンタクトガラス42、画像読取部2及び処理部6等を有している。第1コンタクトガラス41及び第2コンタクトガラス42は、装置本体4の上面の一部を構成する。これにより、第1コンタクトガラス41及び第2コンタクトガラス42を通して、装置本体4の上面側(上方)からの光を装置本体4内に取り込むことが可能である。第1コンタクトガラス41には、読み取り対象の原稿(シートSh1)が載置される。第2コンタクトガラス42については後述する。画像読取部2は、第1コンタクトガラス41又は第2コンタクトガラス42越しに、シートSh1の画像を読み取る。処理部6は、画像読取部2と電気的に接続されており、画像読取部2にて読み取った画像のデータ(画像データ)を画像読取部2から入力する。つまり、画像読取装置10は、シートSh1の画像を読み取る画像読取部2、及び画像のデータを受け取る処理部6と、を装置本体4に備えている。
画像読取部2は、読取ユニット20、ミラー21,22、光学レンズ23及び光学センサー24を有している。本実施形態では一例として、画像読取部2は、光学センサー24としてCCD(Charge Coupled Device)を用いたCCD方式である。ただし、画像読取部2は、CCD方式に限らず、CIS(Contact Image Sensor)方式であってもよい。
読取ユニット20は、光源201及びミラー202を含んでおり、例えば、ステッピングモーター等の駆動モーターを用いた駆動機構により副走査方向D2(図2参照)へ移動可能である。光源201は、主走査方向D1(図2の紙面に直交する方向)に並ぶ複数の発光素子、一例として、複数のLED(Light Emitting Diode)を含んでいる。光源201は、主走査方向D1に延びる直線状の光(ライン光)を、装置本体4の上面に設けられた第1コンタクトガラス41へ向けて照射する。そのため、駆動モーターにより読取ユニット20が副走査方向D2へ移動されると、光源201から第1コンタクトガラス41へ照射される直線状の光が、副走査方向D2へ走査される。主走査方向D1及び副走査方向D2は、いずれも装置本体4の上面に沿う方向であって、かつ互いに直交する方向である。
ミラー202は、光源201から光が照射されたときに、シートSh1又は原稿カバー5の裏面(下面)で反射した反射光を、ミラー21へ向けて反射する。ミラー202で反射された光は、ミラー21及びミラー22により光学レンズ23に導かれる。光学レンズ23は、入射した光を集光して光学センサー24に入射させる。
光学センサー24は、受光した光をその光量(輝度の強度)に応じた電気信号(電圧又は電流)に変換する光電変換素子である。光学センサー24が受光した光量に応じた光量データについては、処理部6、又は処理部6の前段の前置回路にて、適宜の前置処理が施される。前置処理は、光量データに対する、γ補正処理、RGBカラーバランスの調整である色補正処理、又はRGBデータからCMYKデータへの色変換処理等を含む。前置処理後の光量データは、画像読取部2で読み取られた画像(読取画像)として、後述する記憶部25(図4参照)に記憶される。処理部6は、記憶部25に記憶された読取画像に対して後述する筋低減処理を行う。記憶部25は、処理部6に含まれていてもよい。
原稿カバー5は、原稿搬送装置7を有している。原稿搬送装置7は、ADF(Auto Document Feeder)であるので、図4では「ADF」と表記し、かつ以下の説明でも「ADF7」と称する。ADF7は、原稿カバー5の原稿セット部71にセットされた1枚又は複数枚のシートSh1を複数の搬送ローラー対72により順次搬送する。ここで、ADF7は、第2コンタクトガラス42上に定められた後述の読取位置P1(図3参照)を、副走査方向D2の右向きへ通過するようにシートSh1を移動させる。言い換えれば、ADF7は、第2コンタクトガラス42上の読取位置P1を含む搬送路R1を通して、シートSh1を搬送する。画像読取部2は、図2に示すように、読取位置P1の下方に読取ユニット20が位置する状態において、ADF7により搬送路R1を搬送されているシートSh1の画像を、読取位置P1で読み取ることが可能である。つまり、画像読取装置10は、搬送路R1を通してシートSh1を搬送するADF7を、原稿カバー5に備えている。
また、画像読取装置10の原稿カバー5は、色基準部材51を有する。色基準部材51は、原稿カバー5が「閉」状態にある場合に、第2コンタクトガラス42に対向する。読取位置P1は、副走査方向D2において、色基準部材51の第2コンタクトガラス42との対向面(下面)の中心に相当する位置である。図3に示すように、色基準部材51と第2コンタクトガラス42との間には、搬送路R1の一部を構成する隙間が確保される。よって、原稿セット部71にセットされたシートSh1は、色基準部材51と第2コンタクトガラス42との隙間を通過することで、読取位置P1を副走査方向D2の右向きへ通過するように、ADF7にて搬送される。色基準部材51は、色基準部材51と第2コンタクトガラス42との隙間をシートSh1が通過するときにシートSh1の進路をガイドする搬送ガイドとして機能する。
すなわち、画像読取装置10は、画像読取部2とは搬送路R1を挟んで対向するように配置される色基準部材51を備えている。ここで、色基準部材51の配置は、画像読取部2にて、搬送路R1を挟んだ反対側から色基準部材51の画像を読み取り可能となる配置、言い換えれば、搬送路R1越しに色基準部材51の画像を読み取り可能となる配置であればよい。そのため、画像読取部2のうちの少なくとも読み込む画像に相当する光が入射する部位に対して、搬送路R1を挟んで対向するように色基準部材51が配置される。つまり、色基準部材51は、本実施形態では画像読取部2のうちの少なくとも読取ユニット20と、搬送路R1を挟んで対向するように配置される。色基準部材51は、搬送ガイドに限らず、例えば、シェーディング板、搬送ガイドローラー又はシェーディングローラー等であってもよい。
ADF7は、色基準部材51よりシートSh1の搬送方向の上流側(図3では左側)の所定位置に配置される第1搬送ローラー対73を有している。第1搬送ローラー対73は、第1駆動ローラー731と第1従動ローラー732とを含む。第1駆動ローラー731と第1従動ローラー732とは互いに所定の圧力で接している。第1搬送ローラー対73は、第1駆動ローラー731と第1従動ローラー732との間にシートSh1を挟み、シートSh1を読取位置P1に向けて搬送する。
さらに、ADF7は、色基準部材51よりシートSh1の搬送方向の下流側(図3では右側)の所定位置に配置される第2搬送ローラー対74を有している。第2搬送ローラー対74は、第2駆動ローラー741と第2従動ローラー742とを含む。第2駆動ローラー741と第2従動ローラー742とは互いに所定の圧力で接している。第2搬送ローラー対74は、第2駆動ローラー741と第2従動ローラー742との間にシートSh1を挟み、読取位置P1を通過したシートSh1を原稿カバー5上の排出部75(図2参照)側にある搬送ローラー対72に向けて搬送する。
ADF7は、第1従動コロ76及び第2従動コロ77を有している。シートSh1の搬送路R1に沿って、色基準部材51と第1搬送ローラー対73との間には第1従動コロ76が配置され、色基準部材51と第2搬送ローラー対74との間には第2従動コロ77が配置される。さらに、装置本体4の上面における第2コンタクトガラス42よりシートSh1の搬送方向の下流側には、ガイド部材43が設けられている。ガイド部材43は、色基準部材51と第2コンタクトガラス42との隙間に搬送されたシートSh1をすくい上げつつガイドする。
第1従動コロ76は、第2コンタクトガラス42と一定の間隔を空けて対向しており、第2コンタクトガラス42と共にシートSh1の搬送路R1を形成する。第1従動コロ76は、シートSh1を下方に押し付けつつ搬送する。第2従動コロ77は、ガイド部材43と一定の間隔を空けて対向しており、ガイド部材43と共にシートSh1の搬送路R1を形成する。第2従動コロ77は、シートSh1を下方に押し付けつつ搬送する。
また、ADF7は、第1搬送ローラー対73よりシートSh1の搬送方向の上流側の所定位置に配置される原稿センサー78を有している。原稿センサー78は、例えば、一対の投受光器を備え、非接触でシートSh1の有無を検知する。本実施形態では、原稿センサー78は反射型センサーであるが、透過型センサーでもよい。
上記構成のADF7によれば、原稿セット部71にセットされたシートSh1は、第1搬送ローラー対73によって搬送される。さらに、シートSh1は、第1従動コロ76により案内されつつ搬送され、色基準部材51と第2コンタクトガラス42との隙間(読取位置P1)を通過する。その後、シートSh1は、第2従動コロ77、第2搬送ローラー対74及び搬送ローラー対72により搬送され、原稿カバー5の上面側に設けられた排出部75に排出される。
処理部6は、画像形成装置1を統括的に制御する。処理部6は、1以上のプロセッサー及び1以上のメモリーを有するコンピューターシステムを主構成とする。画像形成装置1では、1以上のプロセッサーがプログラムを実行することにより、処理部6の機能が実現される。プログラムはメモリー(又は記憶部25)に予め記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよく、光学ディスク等のコンピューターシステムで読み取り可能な非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。1以上のプロセッサーは、半導体集積回路を含む1以上の電子回路で構成される。さらに、ここでいうコンピューターシステムは、1以上のプロセッサー及び1以上のメモリーを有するマイクロコントローラーを含む。処理部6は、処理部6が実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業区域)として使用されるメモリーを含んでいる。処理部6は、画像形成装置1を統括的に制御するメイン制御部とは別に設けられた制御部であってもよい。
記憶部25は、1以上の不揮発性のメモリーを含んでおり、処理部6に各種の処理を実行させるための制御プログラム等の情報が予め記憶されている。
このような画像読取装置10は、第1の読み取り方式及び第2の読み取り方式の2種類の読み取り方式による画像の読み取りが可能である。第1の読み取り方式は、原稿固定読み取り方式とも称される。第2の読み取り方式は、シートスルー読み取り方式とも称される。第1及び第2のいずれの読み取り方式で、読取動作を行うかは、例えば、ユーザーの操作によって任意に選択(切り替え)可能である。
第1の読み取り方式は、第1コンタクトガラス41の下方で副走査方向D2に沿って読取ユニット20を移動させつつ、第1コンタクトガラス41上に載置された原稿の画像を画像読取部2で読み取る方式である。具体的には、原稿が第1コンタクトガラス41上に載置され、装置本体4の上面が原稿カバー5によって塞がれた後、画像読取指示が入力される。すると、画像読取装置10は、第2コンタクトガラス42側のホームポジションから第2コンタクトガラス42とは反対側(図2の右側)へ読取ユニット20を移動させつつ、光源201から連続して順次1ライン分の光を照射する。そして、原稿(又は原稿カバー5の下面)からの反射光がミラー202,21,22及び光学レンズ23を介して光学センサー24に導かれる。このように、画像読取装置10は、原稿固定読み取り方式の読取動作においては、第1コンタクトガラス41上に載置される原稿の画像を、第1コンタクトガラス41越しに画像読取部2で読取可能である。
第2の読み取り方式は、ADF7によってシートSh1(原稿)を搬送し、読取位置P1を通過するシートSh1の画像を、読取位置P1で画像読取部2により読み取る方式である。具体的には、装置本体4の上面が原稿カバー5によって塞がれた状態で原稿セット部71に原稿がセットされ、画像読取指示が入力される。すると、画像読取装置10は、第2コンタクトガラス42の下方であって読取位置P1に対応する予め定められた位置(シートスルーポジション)に読取ユニット20を移動させる。この状態で、画像読取装置10は、副走査方向D2に沿って読取位置P1を通過するようにシートSh1をADF7にて移動させつつ、光源201から連続して順次1ライン分の光を照射する。この画像読取部2による読取動作は、原稿センサー78によりシートSh1が検知されてから予め定められた時間経過後に開始される。そして、シートSh1からの反射光がミラー202,21,22及び光学レンズ23を介して光学センサー24に導かれる。このように、画像読取装置10は、シートスルー読み取り方式の読取動作においては、ADF7により第2コンタクトガラス42上を搬送されるシートSh1の画像を、第2コンタクトガラス42越しに画像読取部2で読取可能である。
また、第2の読み取り方式において、読取位置P1にシートSh1が存在しない状態では、読取位置P1の下方のシートスルーポジションに位置する読取ユニット20で読み取り可能な読取可能領域には、色基準部材51が含まれる。色基準部材51の表面は、一様に単一の色を有しており、本実施形態では一例として、一様に白色を有している。したがって、色基準部材51と第2コンタクトガラス42との間にシートSh1が存在しない状態で、画像読取部2により読取位置P1での読取動作が行われた場合、色基準部材51の白色の表面が読み取られる。画像読取装置10は、この読取動作で得られる画像により、白色の基準データを取得可能である。
画像読取装置10で読み取られる画像は、複数の画素からなり、複数の画素の各々が濃度に対応する濃度値を有している。本実施形態では一例として、各画素の濃度は、「0」から「255」までの256段階(8ビット)の濃度値で表現され、かつ、濃度が薄いほど濃度値が大きくなるように濃度と濃度値との関係が規定されることとする。そのため、上述した読取動作で得られる色基準部材51の表面の画像においては、基本的には、各画素の濃度値は、白色に相当する比較的大きな値、具体的には「255」近傍の値となる。
図4に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、画像読取装置10及び画像形成部3の他、操作表示部11及び通信部12等を備える。
操作表示部11は、画像形成装置1におけるユーザーインターフェイスである。操作表示部11は、処理部6からの制御指示に応じて各種の情報を表示する液晶ディスプレー等の表示部、及びユーザーの操作に応じて処理部6に各種の情報を入力するスイッチ又はタッチパネル等の操作部を有する。また、画像形成装置1は、ユーザーインターフェイスとして、操作表示部11に加えて又は代えて、例えば、音声出力部及び音声入力部等を備えていてもよい。通信部12は、画像形成装置1と、例えば、インターネット又はLAN(Local Area Network)等の通信ネットワークを介して接続される外部装置との間で、データ通信を実行するインターフェイスである。
[2]異常画素の判定のための構成
ところで、シートスルー読み取り方式(第2の読み取り方式)の読取動作に際して、第2コンタクトガラス42に、例えば、ゴミ、塵埃又はシートSh1の紙粉等の異物が付着していたり、傷又は汚れがついていたりする場合がある。このような場合、画像読取装置10で読み取られる読取画像には、副走査方向D2へ延びる、比較的濃度の濃い筋状の筋画像L1(図11参照)が現れることがある。この筋画像L1は、視覚的に目立ち、画像の品質低下を招く場合がある。
ところで、シートスルー読み取り方式(第2の読み取り方式)の読取動作に際して、第2コンタクトガラス42に、例えば、ゴミ、塵埃又はシートSh1の紙粉等の異物が付着していたり、傷又は汚れがついていたりする場合がある。このような場合、画像読取装置10で読み取られる読取画像には、副走査方向D2へ延びる、比較的濃度の濃い筋状の筋画像L1(図11参照)が現れることがある。この筋画像L1は、視覚的に目立ち、画像の品質低下を招く場合がある。
そこで、このような筋画像L1を除去又は低減すべく、次のような構成の関連技術が知られている。すなわち、関連技術に係る画像読取装置は、搬送されるシートの画像を読取可能な画像読取部と、(第1)濃度算出部と、(第1)閾値決定部と、(第1)判定部と、画像処理部と、を備える。濃度算出部は、画像読取部でシートより読み取られた(第1)読取画像のうち、シートの余白領域に対応する画像について濃度値ごとの画素数を示すヒストグラムを作成し、ヒストグラムに基づいて画素数が最も多い第1濃度値を算出する。閾値決定部は、上記第1濃度値、つまり読取画像の背景濃度を示す第1濃度値より、予め定められた値分だけ濃度が濃い濃度値を、判定閾値に決定する。判定部は、余白領域の各画素の濃度値と判定閾値との比較結果に基づき、余白領域における各画素のうち判定閾値より濃度が濃い濃度値の画素を、異常を示す(第1)異常画素と判定する。画像処理部は、読取画像のうち、主走査方向D1の位置が異常画素と一致する画素の濃度値を補正する。
しかしながら、上記関連技術では、画素数が最も多い(読取画像の背景濃度を示す)濃度値より「予め定められた値」分だけ濃度が濃い濃度値が判定閾値となるので、「予め定められた値」の設定如何では、異常画素の判定精度が低下する場合がある。以下では、画素数が最も多い濃度値から判定閾値までの濃度値のシフト分である「予め定められた値」を「固定シフト値」ともいう。
すなわち、関連技術では、例えば、更紙、再生紙又は新聞紙等の、下地濃度(読取画像の背景濃度)のばらつきが比較的大きなシートの画像の読み取りにも対応できるように、固定シフト値が比較的大きく設定される。一例として、新聞紙のように、下地濃度のばらつきが比較的小さなシートであれば、その余白領域に対応する画像については、図5の上段に例示するような、濃度値のばらつきが比較的大きいヒストグラムが作成される。図5の上段に示すヒストグラムでは、画素数が最も多い濃度値(基準濃度値)C0が「200」であって、下地濃度のばらつきによって、濃度値が「189」の画素も存在する。この例では、正常な濃度(下地濃度)が異常画素と誤って判定されないために、固定シフト値ΔC0を比較的大きな値である「12」に設定し、「200」より「12」だけ濃度が濃い濃度値「188」を判定閾値Th0にする必要がある。
ところが、専用用紙のように、下地濃度のばらつきが比較的小さなシートについては、比較的大きな固定シフト値ΔC0を用いて決定される判定閾値Th0では、第2コンタクトガラス42の異物、傷又は汚れ等に起因した本来の異常画素を、見落としやすくなる。要するに、固定シフト値ΔC0が比較的大きい場合、異常画素を判定するための判定閾値Th0が緩め(小さめ)の値となるので、本来の異常画素の検知漏れが生じて異常画素の判定精度が低下する可能性がある。一方で、固定シフト値ΔC0が比較的小さく設定されていると、更紙、再生紙又は新聞紙等の、下地濃度(読取画像の背景濃度)のばらつきが比較的大きなシートについては、正常な濃度(下地濃度)についても異常画素と誤って判定されやすくなる。要するに、固定シフト値ΔC0が比較的小さい場合、異常画素を判定するための判定閾値Th0が厳しめ(小さめ)の値となるので、シートの種類によっては、正常な画素までも過剰に異常画素と判定されて異常画素の判定精度が低下する可能性がある。
そこで、本実施形態では、以下の構成を採用することにより、異常画素の判定精度が低下しにくい画像読取装置10を提供する。
すなわち、図4に示すように、本実施形態に係る画像読取装置10は、搬送路R1を通して搬送されるシートSh1の画像を読み取る画像読取部2に加えて、判定部61と、閾値決定部62と、補正処理部63と、を更に備える。本実施形態では、判定部61、閾値決定部62及び補正処理部63は、処理部6にて具現化される。また、本実施形態では、処理部6は、読取制御部64の機能を更に備えている。つまり、本実施形態に係る画像読取装置10は、判定部61、閾値決定部62、補正処理部63及び読取制御部64を、処理部6の一機能として備えている。
読取制御部64は、シートスルー読み取り方式の読取動作が行われる場合に、異常画素の判定用の画像を読み取るための読取動作を画像読取部2に行わせる。本実施形態では、異常画素の判定用の画像として、第1画像と、第2画像と、の2種類の画像を用いる。第1画像は、画像読取部2で読み取られる色基準部材51の画像である。第2画像は、画像読取部2で読み取られるシートSh1の余白領域Rm1(図7参照)の画像である。そこで、読取制御部64は、第1画像を読み取るための読取動作を画像読取部2に行わせる第1読取制御部641と、第2画像を読み取るための読取動作を画像読取部2に行わせる第2読取制御部642と、を有する。つまり、第1読取制御部641は、シートスルー読み取り方式の読み取り時において、シートSh1が読取位置P1に存在しない期間に、読取動作を画像読取部2に行わせる。第2読取制御部642は、シートスルー読み取り方式の読み取り時において、シートSh1の余白領域Rm1が読取位置P1を通過する期間に、読取動作を画像読取部2に行わせる。
判定部61は、画像読取部2で読み取られる画像についての、画素ごとの濃度値と判定閾値との比較結果に基づいて異常画素を判定する。本実施形態では、判定部61は、第1画像から第1異常画素を抽出する第1判定部611と、第2画像から第2異常画素を抽出する第2判定部612と、を有する。第1判定部611は、第1画像について、画素ごとに濃度値を第1判定閾値と比較することにより第1異常画素を抽出する。第2判定部612は、第2画像について、画素ごとに濃度値を第2判定閾値と比較することにより第2異常画素を抽出する。判定部61は、最終的に、第1異常画素と第2異常画素との一致度に応じて、異常画素を判定する。具体的には、判定部61は、第1異常画素のうち、第2異常画素と主走査方向D1の位置が一致する画素を、異常画素と判定する。
閾値決定部62は、画像読取部2で読み取られる画像における各画素の濃度値についての度数分布に基づいて、判定閾値を決定する。ここでいう「度数分布」は、収集したデータをいくつかの階級(区間)に分けたときの、それぞれの階級に所属するデータの分布状況を意味し、度数分布をグラフ化したヒストグラムを含む。つまり、閾値決定部62は、一例として、濃度値についてのヒストグラムに基づいて、判定閾値を決定する。本実施形態では、閾値決定部62は、第1画像から第1判定閾値を決定する第1閾値決定部621と、第2画像から第2判定閾値を決定する第2閾値決定部622と、を有する。第1閾値決定部621は、第1画像における各画素の濃度値についての度数分布(図8の上段に示す第1ヒストグラムG1)に基づいて第1判定閾値を決定する。第2閾値決定部622は、第2画像における各画素の濃度値についての度数分布(図8の下段に示す第2ヒストグラムG2)に基づいて第2判定閾値を決定する。
補正処理部63は、画像読取部2で読み取られる画像のうち、主走査方向D1の位置が異常画素と一致する画素の濃度値を補正する。これにより、第2コンタクトガラス42への異物、傷又は汚れ等の付着があったとしても、画像読取装置10では、画像読取部2で読み取られる画像から、副走査方向D2へ延びる筋画像L1を除去又は低減することができる。ただし、補正処理部63による画像の濃度値の補正は、画像読取装置10に必須の構成ではなく、補正処理部63は適宜省略されてもよい。例えば、画像読取装置10は、第2コンタクトガラス42の異物、傷又は汚れ等に起因する異常画素がある場合、その旨を表示及び/又は音声にてユーザーに提示することで、第2コンタクトガラス42の清掃等をユーザーに促してもよい。
上記構成によれば、閾値決定部62は、例えば、シートSh1の下地濃度のばらつきに応じて適切な判定閾値を決定することができ、画像読取装置10としては、異常画素の判定精度が低下しにくい、という利点がある。
[3]画像処理方法
次に、図6~図12を参照しつつ、画像読取装置10で実行される画像処理方法の手順の一例について説明する。ここで、図6に示すフローチャートにおけるステップS1、S2・・・は、処理部6により実行される処理手順(ステップ)の番号を表している。以下に説明する処理は、原稿セット部71に原稿がセットされ、かつユーザー操作により画像読取指示が入力された場合に行われる。また、図7では、左右方向を主走査方向D1とし、上下方向を時間軸として、画像読取部2にて画像を読み取るタイミング(サンプリングタイミング)を概念的に示す。また、図8では、横軸を濃度値、縦軸を画素数として、第1画像についての度数分布を表すヒストグラムG1、及び第2画像についての度数分布を表すヒストグラムG2を、上下に並べて示す。
次に、図6~図12を参照しつつ、画像読取装置10で実行される画像処理方法の手順の一例について説明する。ここで、図6に示すフローチャートにおけるステップS1、S2・・・は、処理部6により実行される処理手順(ステップ)の番号を表している。以下に説明する処理は、原稿セット部71に原稿がセットされ、かつユーザー操作により画像読取指示が入力された場合に行われる。また、図7では、左右方向を主走査方向D1とし、上下方向を時間軸として、画像読取部2にて画像を読み取るタイミング(サンプリングタイミング)を概念的に示す。また、図8では、横軸を濃度値、縦軸を画素数として、第1画像についての度数分布を表すヒストグラムG1、及び第2画像についての度数分布を表すヒストグラムG2を、上下に並べて示す。
<ステップS1>
ステップS1において、処理部6は、ユーザー操作により画像読取指示が入力されたか否かを判定する。処理部6は、画像読取指示が入力されていないと判定すると(S1:No)、待機する。処理部6は、画像読取指示が入力されたと判定すると(S1:Yes)、ステップS2に進む。
ステップS1において、処理部6は、ユーザー操作により画像読取指示が入力されたか否かを判定する。処理部6は、画像読取指示が入力されていないと判定すると(S1:No)、待機する。処理部6は、画像読取指示が入力されたと判定すると(S1:Yes)、ステップS2に進む。
<ステップS2>
ステップS2において、第1読取制御部641は、シートSh1が読取位置P1に到達する前に、画像読取部2に読取動作を行わせる。具体的には、第1読取制御部641は、原稿センサー78によりシートSh1が検知される前に、副走査方向D2のうち図2の右方向に数ライン分の距離だけ読取ユニット20を移動させつつ、画像読取部2に数ライン分の読取動作を行わせる。このとき、画像読取部2は、図7においてサンプリングタイミングSt1で示すタイミングで、色基準部材51の画像を読み取る読取動作を実施する。
ステップS2において、第1読取制御部641は、シートSh1が読取位置P1に到達する前に、画像読取部2に読取動作を行わせる。具体的には、第1読取制御部641は、原稿センサー78によりシートSh1が検知される前に、副走査方向D2のうち図2の右方向に数ライン分の距離だけ読取ユニット20を移動させつつ、画像読取部2に数ライン分の読取動作を行わせる。このとき、画像読取部2は、図7においてサンプリングタイミングSt1で示すタイミングで、色基準部材51の画像を読み取る読取動作を実施する。
<ステップS3>
上記の読取動作により、色基準部材51の表面の画像が読み取られて、画像読取部2は、第1画像を取得する(S3)。ここで、第2コンタクトガラス42に異物、傷又は汚れ等が付着していなければ、第1画像における画素の濃度値は、主走査方向D1に略同様な値となる。また、この場合において、色基準部材51に色褪せ等の変色が生じていない場合、第1画像の画素の濃度値は、いずれも色基準部材51の表面色である白色に対応する濃度値に近い値となる。一方で、色基準部材51に色褪せ等の変色が生じている場合、第1画像の画素の濃度値は、全体的に小さい(濃い)濃度値となる。これは、色基準部材51で反射されて光学センサー24に入射する光源201からの光の一部が、変色した色基準部材51によって吸収され、光学センサー24に入射する光量が小さくなるからである。また、第2コンタクトガラス42に異物、傷又は汚れ等が付着している場合には、第1画像における主走査方向D1の一部における画素の濃度値が、他の画素の濃度値に比べて小さな(濃い)値となる。これは、色基準部材51で反射されて光学センサー24に入射する光源201からの光の一部が、第2コンタクトガラス42に付着している異物等により拡散又は吸収され、光学センサー24に入射する光量が小さくなるからである。
上記の読取動作により、色基準部材51の表面の画像が読み取られて、画像読取部2は、第1画像を取得する(S3)。ここで、第2コンタクトガラス42に異物、傷又は汚れ等が付着していなければ、第1画像における画素の濃度値は、主走査方向D1に略同様な値となる。また、この場合において、色基準部材51に色褪せ等の変色が生じていない場合、第1画像の画素の濃度値は、いずれも色基準部材51の表面色である白色に対応する濃度値に近い値となる。一方で、色基準部材51に色褪せ等の変色が生じている場合、第1画像の画素の濃度値は、全体的に小さい(濃い)濃度値となる。これは、色基準部材51で反射されて光学センサー24に入射する光源201からの光の一部が、変色した色基準部材51によって吸収され、光学センサー24に入射する光量が小さくなるからである。また、第2コンタクトガラス42に異物、傷又は汚れ等が付着している場合には、第1画像における主走査方向D1の一部における画素の濃度値が、他の画素の濃度値に比べて小さな(濃い)値となる。これは、色基準部材51で反射されて光学センサー24に入射する光源201からの光の一部が、第2コンタクトガラス42に付着している異物等により拡散又は吸収され、光学センサー24に入射する光量が小さくなるからである。
<ステップS4>
次に、ステップS4において、第1閾値決定部621は、ステップS3で得られた第1画像について、図8の上段に示すように、濃度値ごとの画素数を示す第1ヒストグラムG1を作成する。第1ヒストグラムG1は、色基準部材51の画像である第1画像の全画素について、濃度値を256階調に分けたときの、それぞれの階調に所属するデータ(画素)の分布状況を示している。つまり、第1画像において該当する濃度値が多い画素ほど、第1ヒストグラムG1中の度数(画素数)は大きくなる。
次に、ステップS4において、第1閾値決定部621は、ステップS3で得られた第1画像について、図8の上段に示すように、濃度値ごとの画素数を示す第1ヒストグラムG1を作成する。第1ヒストグラムG1は、色基準部材51の画像である第1画像の全画素について、濃度値を256階調に分けたときの、それぞれの階調に所属するデータ(画素)の分布状況を示している。つまり、第1画像において該当する濃度値が多い画素ほど、第1ヒストグラムG1中の度数(画素数)は大きくなる。
<ステップS5>
次に、ステップS5において、第1閾値決定部621は、第1画像において基準となる濃度値である第1基準濃度値C1を決定する。本実施形態では一例として、第1基準濃度値C1は、第1画像において画素数の最も多い濃度値、つまり第1ヒストグラムG1中で度数が最大の濃度値である。図8の例では、第1ヒストグラムG1より、濃度値「236」が第1基準濃度値C1となる。ただし、第1基準濃度値C1は、第1画像において基準となる濃度値であればよく、画素数の最も多い濃度値に限らず、例えば、第1画像における濃度値の平均値、中央値、又は予め決められた値(固定値)等であってもよい。
次に、ステップS5において、第1閾値決定部621は、第1画像において基準となる濃度値である第1基準濃度値C1を決定する。本実施形態では一例として、第1基準濃度値C1は、第1画像において画素数の最も多い濃度値、つまり第1ヒストグラムG1中で度数が最大の濃度値である。図8の例では、第1ヒストグラムG1より、濃度値「236」が第1基準濃度値C1となる。ただし、第1基準濃度値C1は、第1画像において基準となる濃度値であればよく、画素数の最も多い濃度値に限らず、例えば、第1画像における濃度値の平均値、中央値、又は予め決められた値(固定値)等であってもよい。
<ステップS6>
次に、ステップS6において、第1閾値決定部621は、第1基準濃度値C1を基準として、第1判定閾値Th1を決定する。このとき、本実施形態では、第1閾値決定部621は、第1画像における各画素の濃度値についての度数分布(第1ヒストグラムG1)に基づいて、第1判定閾値Th1を決定する。ここでは一例として、第1閾値決定部621は、画像読取部2で読み取られる画像(第1画像)における各画素の濃度値についての度数分布(第1ヒストグラムG1)から求まる全画素数に占める画素数割合を用いて、第1判定閾値Th1を決定する。具体的には、第1閾値決定部621は、第1ヒストグラムG1において、第1基準濃度値C1を中心として、全画素数に占める画素数割合が99.8%の濃度値の範囲を求め、この濃度値の範囲の下限値(最小値)を第1判定閾値Th1とする。言い換えれば、第1基準濃度値C1に対して、標準偏差σを用いて±3σとなる値を求め、第1閾値決定部621は、「C1-3σ」となる濃度値を第1判定閾値Th1とする。このように、第1閾値決定部621は、画像読取部2で読み取られる画像(第1画像)における各画素の濃度値についての度数分布(第1ヒストグラムG1)から求まる標準偏差σを用いて、第1判定閾値Th1を決定する。これにより、第1判定閾値Th1を決定するための演算が比較的簡単になる。
次に、ステップS6において、第1閾値決定部621は、第1基準濃度値C1を基準として、第1判定閾値Th1を決定する。このとき、本実施形態では、第1閾値決定部621は、第1画像における各画素の濃度値についての度数分布(第1ヒストグラムG1)に基づいて、第1判定閾値Th1を決定する。ここでは一例として、第1閾値決定部621は、画像読取部2で読み取られる画像(第1画像)における各画素の濃度値についての度数分布(第1ヒストグラムG1)から求まる全画素数に占める画素数割合を用いて、第1判定閾値Th1を決定する。具体的には、第1閾値決定部621は、第1ヒストグラムG1において、第1基準濃度値C1を中心として、全画素数に占める画素数割合が99.8%の濃度値の範囲を求め、この濃度値の範囲の下限値(最小値)を第1判定閾値Th1とする。言い換えれば、第1基準濃度値C1に対して、標準偏差σを用いて±3σとなる値を求め、第1閾値決定部621は、「C1-3σ」となる濃度値を第1判定閾値Th1とする。このように、第1閾値決定部621は、画像読取部2で読み取られる画像(第1画像)における各画素の濃度値についての度数分布(第1ヒストグラムG1)から求まる標準偏差σを用いて、第1判定閾値Th1を決定する。これにより、第1判定閾値Th1を決定するための演算が比較的簡単になる。
図8の例では、第1閾値決定部621は、第1ヒストグラムG1より、上記画素数割合にて定まる変動シフト値ΔC1を「3」に決定する。したがって、第1閾値決定部621は、第1基準濃度値C1(236)から「3」を引いた濃度値「233」を、第1判定閾値Th1に決定する。このように、本実施形態では、第1判定閾値Th1は、第1基準濃度値C1を基準としつつも、度数分布(第1ヒストグラムG1)によって変動する変動シフト値ΔC1に応じた値に設定される。ただし、第1閾値決定部621は、第1画像における各画素の濃度値についての度数分布に基づいて、第1判定閾値Th1を決定すればよく、ここで挙げる値は一例に過ぎない。他の例として、第1閾値決定部621は、第1基準濃度値C1を中心として、全画素数に示す画素数割合が任意の値(一例として95.0%)となる画素が含まれる濃度値の範囲を求め、この濃度値の範囲の下限値(最小値)を第1判定閾値Th1としてもよい。図8の例では、標準偏差σは「1」であるので、第1基準濃度値C1から3σ(=3)を減算した濃度値を第1判定閾値Th1としてもよい。
<ステップS7>
ステップS7において、第1判定部611は、第1画像における各画素が第1異常画素であるか否かを判定する。具体的には、第1判定部611は、第1画像における画素の濃度値と第1判定閾値Th1とを画素ごとに比較する。第1判定部611は、濃度値が第1判定閾値Th1以下である(濃い)画素を、第1異常画素であると判定する。第1判定部611は、第1異常画素と判定した場合には、第1異常画素ごとに主走査方向D1の座標位置を記憶することで、第1異常画素の主走査方向D1の位置を特定する。
ステップS7において、第1判定部611は、第1画像における各画素が第1異常画素であるか否かを判定する。具体的には、第1判定部611は、第1画像における画素の濃度値と第1判定閾値Th1とを画素ごとに比較する。第1判定部611は、濃度値が第1判定閾値Th1以下である(濃い)画素を、第1異常画素であると判定する。第1判定部611は、第1異常画素と判定した場合には、第1異常画素ごとに主走査方向D1の座標位置を記憶することで、第1異常画素の主走査方向D1の位置を特定する。
本実施形態では、第1異常画素を判定するためのステップS7の処理は、第1判定閾値Th1を決定するためのステップS4~S6とは別の第1画像を用いて行われる。つまり、処理部6は、ステップS7を実行するに当たり、再度、ステップS2,S3と同様の処理を行って、第1画像を取得する。具体的には、画像読取部2は、図7においてサンプリングタイミングSt2で示すタイミングで、色基準部材51の画像を読み取る読取動作を実施し、新たに第1画像を取得する。新たに取得した第1画像について、第1判定部611は、第1異常画素であるか否かを判定する。ただし、この例に限らず、第1異常画素を判定するためのステップS7の処理には、第1判定閾値Th1を決定するためのステップS4~S6と同一の第1画像が用いられてもよい。
<ステップS8>
そして、ステップS8において、第2読取制御部642は、原稿センサー78の出力信号に基づき原稿センサー78によりシートSh1が検知されたか否かを判定する。第2読取制御部642は、原稿センサー78によりシートSh1が検知されていないと判定すると(S8:No)、待機する。第2読取制御部642は、原稿センサー78によりシートSh1が検知されたと判定すると(S8:Yes)、ステップS9に進む。
そして、ステップS8において、第2読取制御部642は、原稿センサー78の出力信号に基づき原稿センサー78によりシートSh1が検知されたか否かを判定する。第2読取制御部642は、原稿センサー78によりシートSh1が検知されていないと判定すると(S8:No)、待機する。第2読取制御部642は、原稿センサー78によりシートSh1が検知されたと判定すると(S8:Yes)、ステップS9に進む。
<ステップS9>
ステップS9において、第2読取制御部642は、原稿センサー78によりシートSh1が検知されてから所定時間経過後に、画像読取部2に読取動作を行わせる。具体的には、第2読取制御部642は、例えば、読取位置P1を通過するシートSh1の搬送方向の先頭側のヘッダー領域等の余白領域Rm1の画像を、画像読取部2に数ライン分にわたって読み取らせる。このとき、画像読取部2は、図7においてサンプリングタイミングSt3で示すタイミングで、シートSh1の余白領域Rm1の画像を読み取る読取動作を実施する。
ステップS9において、第2読取制御部642は、原稿センサー78によりシートSh1が検知されてから所定時間経過後に、画像読取部2に読取動作を行わせる。具体的には、第2読取制御部642は、例えば、読取位置P1を通過するシートSh1の搬送方向の先頭側のヘッダー領域等の余白領域Rm1の画像を、画像読取部2に数ライン分にわたって読み取らせる。このとき、画像読取部2は、図7においてサンプリングタイミングSt3で示すタイミングで、シートSh1の余白領域Rm1の画像を読み取る読取動作を実施する。
<ステップS10>
上記の読取動作により、シートSh1の余白領域Rm1の画像が読み取られて、画像読取部2は、第2画像を取得する(S10)。ここで、第2コンタクトガラス42に異物、傷又は汚れ等が付着していなければ、第2画像における画素の濃度値は、主走査方向D1に略同様な値となる。また、この場合において、第2画像の画素の濃度値は、いずれもシートSh1の下地濃度に相当する濃度値に近い値となる。また、第2コンタクトガラス42に異物、傷又は汚れ等が付着している場合には、第2画像における主走査方向D1の一部における画素の濃度値が、他の画素の濃度値に比べて小さな(濃い)値となる。これは、シートSh1で反射されて光学センサー24に入射する光源201からの光の一部が、第2コンタクトガラス42に付着している異物等により拡散又は吸収され、光学センサー24に入射する光量が小さくなるからである。
上記の読取動作により、シートSh1の余白領域Rm1の画像が読み取られて、画像読取部2は、第2画像を取得する(S10)。ここで、第2コンタクトガラス42に異物、傷又は汚れ等が付着していなければ、第2画像における画素の濃度値は、主走査方向D1に略同様な値となる。また、この場合において、第2画像の画素の濃度値は、いずれもシートSh1の下地濃度に相当する濃度値に近い値となる。また、第2コンタクトガラス42に異物、傷又は汚れ等が付着している場合には、第2画像における主走査方向D1の一部における画素の濃度値が、他の画素の濃度値に比べて小さな(濃い)値となる。これは、シートSh1で反射されて光学センサー24に入射する光源201からの光の一部が、第2コンタクトガラス42に付着している異物等により拡散又は吸収され、光学センサー24に入射する光量が小さくなるからである。
<ステップS11>
次に、ステップS11において、第2閾値決定部622は、ステップS10で得られた第2画像について、図8の下段に示すように、濃度値ごとの画素数を示す第2ヒストグラムG2を作成する。第2ヒストグラムG2は、シートSh1の余白領域Rm1の画像である第2画像の全画素について、濃度値を256階調に分けたときの、それぞれの階調に所属するデータ(画素)の分布状況を示している。つまり、第2画像において該当する濃度値が多い画素ほど、第2ヒストグラムG2中の度数(画素数)は大きくなる。ここでは、シートSh1は、下地濃度のばらつきが比較的小さな専用用紙であると仮定する。
次に、ステップS11において、第2閾値決定部622は、ステップS10で得られた第2画像について、図8の下段に示すように、濃度値ごとの画素数を示す第2ヒストグラムG2を作成する。第2ヒストグラムG2は、シートSh1の余白領域Rm1の画像である第2画像の全画素について、濃度値を256階調に分けたときの、それぞれの階調に所属するデータ(画素)の分布状況を示している。つまり、第2画像において該当する濃度値が多い画素ほど、第2ヒストグラムG2中の度数(画素数)は大きくなる。ここでは、シートSh1は、下地濃度のばらつきが比較的小さな専用用紙であると仮定する。
<ステップS12>
次に、ステップS12において、第2閾値決定部622は、第2画像において基準となる濃度値である第2基準濃度値C2を決定する。本実施形態では一例として、第2基準濃度値C2は、第2画像において画素数の最も多い濃度値、つまり第2ヒストグラムG2中で度数が最大の濃度値である。図8の例では、第2ヒストグラムG2より、濃度値「241」が第2基準濃度値C2となる。ただし、第2基準濃度値C2は、第2画像において基準となる濃度値であればよく、画素数の最も多い濃度値に限らず、例えば、第2画像における濃度値の平均値、中央値、又は予め決められた値(固定値)等であってもよい。
次に、ステップS12において、第2閾値決定部622は、第2画像において基準となる濃度値である第2基準濃度値C2を決定する。本実施形態では一例として、第2基準濃度値C2は、第2画像において画素数の最も多い濃度値、つまり第2ヒストグラムG2中で度数が最大の濃度値である。図8の例では、第2ヒストグラムG2より、濃度値「241」が第2基準濃度値C2となる。ただし、第2基準濃度値C2は、第2画像において基準となる濃度値であればよく、画素数の最も多い濃度値に限らず、例えば、第2画像における濃度値の平均値、中央値、又は予め決められた値(固定値)等であってもよい。
<ステップS13>
次に、ステップS13において、第2閾値決定部622は、第2基準濃度値C2を基準として、第2判定閾値Th2を決定する。このとき、本実施形態では、第2閾値決定部622は、第2画像における各画素の濃度値についての度数分布(第2ヒストグラムG2)に基づいて、第2判定閾値Th2を決定する。ここでは一例として、第2閾値決定部622は、画像読取部2で読み取られる画像(第2画像)における各画素の濃度値についての度数分布(第2ヒストグラムG2)から求まる全画素数に占める画素数割合を用いて、第2判定閾値Th2を決定する。具体的には、第2閾値決定部622は、第2ヒストグラムG2において、第2基準濃度値C2を中心として、全画素数に占める画素数割合が99.8%の濃度値の範囲を求め、この濃度値の範囲の下限値(最小値)を第2判定閾値Th2とする。言い換えれば、第2基準濃度値C2に対して、標準偏差σを用いて±3σとなる値を求め、第2閾値決定部622は、「C2-3σ」となる濃度値を第2判定閾値Th2とする。このように、第2閾値決定部622は、画像読取部2で読み取られる画像(第2画像)における各画素の濃度値についての度数分布(第2ヒストグラムG2)から求まる標準偏差σを用いて、第2判定閾値Th2を決定する。これにより、第2判定閾値Th2を決定するための演算が比較的簡単になる。
次に、ステップS13において、第2閾値決定部622は、第2基準濃度値C2を基準として、第2判定閾値Th2を決定する。このとき、本実施形態では、第2閾値決定部622は、第2画像における各画素の濃度値についての度数分布(第2ヒストグラムG2)に基づいて、第2判定閾値Th2を決定する。ここでは一例として、第2閾値決定部622は、画像読取部2で読み取られる画像(第2画像)における各画素の濃度値についての度数分布(第2ヒストグラムG2)から求まる全画素数に占める画素数割合を用いて、第2判定閾値Th2を決定する。具体的には、第2閾値決定部622は、第2ヒストグラムG2において、第2基準濃度値C2を中心として、全画素数に占める画素数割合が99.8%の濃度値の範囲を求め、この濃度値の範囲の下限値(最小値)を第2判定閾値Th2とする。言い換えれば、第2基準濃度値C2に対して、標準偏差σを用いて±3σとなる値を求め、第2閾値決定部622は、「C2-3σ」となる濃度値を第2判定閾値Th2とする。このように、第2閾値決定部622は、画像読取部2で読み取られる画像(第2画像)における各画素の濃度値についての度数分布(第2ヒストグラムG2)から求まる標準偏差σを用いて、第2判定閾値Th2を決定する。これにより、第2判定閾値Th2を決定するための演算が比較的簡単になる。
図8の例では、第2閾値決定部622は、第2ヒストグラムG2より、上記画素数割合にて定まる変動シフト値ΔC2を「4」に決定する。したがって、第2閾値決定部622は、第2基準濃度値C2(241)から「4」を引いた濃度値「237」を、第2判定閾値Th2に決定する。このように、本実施形態では、第2判定閾値Th2は、第2基準濃度値C2を基準としつつも、度数分布(第2ヒストグラムG2)によって変動する変動シフト値ΔC2に応じた値に設定される。ただし、第2閾値決定部622は、第2画像における各画素の濃度値についての度数分布に基づいて、第2判定閾値Th2を決定すればよく、ここで挙げる値は一例に過ぎない。他の例として、第2閾値決定部622は、第2基準濃度値C2を中心として、全画素数に示す画素数割合が任意の値(一例として95.0%)となる画素が含まれる濃度値の範囲を求め、この濃度値の範囲の下限値(最小値)を第2判定閾値Th2としてもよい。
<ステップS14>
ステップS14において、第2判定部612は、第2画像における各画素が第2異常画素であるか否かを判定する。具体的には、第2判定部612は、第2画像における画素の濃度値と第2判定閾値Th2とを画素ごとに比較する。第2判定部612は、濃度値が第2判定閾値Th2以下である(濃い)画素を、第2異常画素であると判定する。第2判定部612は、第2異常画素と判定した場合には、第2異常画素ごとに主走査方向D1の座標位置を記憶することで、第2異常画素の主走査方向D1の位置を特定する。
ステップS14において、第2判定部612は、第2画像における各画素が第2異常画素であるか否かを判定する。具体的には、第2判定部612は、第2画像における画素の濃度値と第2判定閾値Th2とを画素ごとに比較する。第2判定部612は、濃度値が第2判定閾値Th2以下である(濃い)画素を、第2異常画素であると判定する。第2判定部612は、第2異常画素と判定した場合には、第2異常画素ごとに主走査方向D1の座標位置を記憶することで、第2異常画素の主走査方向D1の位置を特定する。
本実施形態では、第2異常画素を判定するためのステップS14の処理は、第2判定閾値Th2を決定するためのステップS11~S13とは別の第1画像を用いて行われる。つまり、処理部6は、ステップS14を実行するに当たり、再度、ステップS9,S10と同様の処理を行って、第2画像を取得する。具体的には、画像読取部2は、図7においてサンプリングタイミングSt4で示すタイミングで、シートSh1の余白領域Rm1の画像を読み取る読取動作を実施し、新たに第2画像を取得する。新たに取得した第2画像について、第2判定部612は、第2異常画素であるか否かを判定する。ただし、この例に限らず、第2異常画素を判定するためのステップS14の処理には、第2判定閾値Th2を決定するためのステップS11~S13と同一の第2画像が用いられてもよい。
<ステップS15,S16>
ステップS15において、判定部61は、第1異常画素と第2異常画素との一致度に応じて、異常画素を判定する。具体的には、判定部61は、第2異常画素のうち、主走査方向D1の位置(座標)が第1異常画素と一致する画素を異常画素であると判定する。言い換えれば、主走査方向D1の同一位置の画素が、色基準部材51の画像(第1画像)より第1異常画素と判定され、かつシートSh1の余白領域Rm1の画像(第2画像)より第2異常画素と判定された場合に、当該画素が異常画素と判定される。そのため、主走査方向D1のある位置の画素が、第1異常画素と判定されたものの第2異常画素と判定されなかった場合、又は第2異常画素と判定されたものの第1異常画素と判定されなかった場合には、当該画素は異常画素でないと判定される。つまり、色基準部材51の画像(第1画像)と、シートSh1の余白領域Rm1の画像(第2画像)とのいずれでも、異常と判定された画素のみが、第2コンタクトガラス42の異物、傷又は汚れ等に起因した異常画素であると判定される。
ステップS15において、判定部61は、第1異常画素と第2異常画素との一致度に応じて、異常画素を判定する。具体的には、判定部61は、第2異常画素のうち、主走査方向D1の位置(座標)が第1異常画素と一致する画素を異常画素であると判定する。言い換えれば、主走査方向D1の同一位置の画素が、色基準部材51の画像(第1画像)より第1異常画素と判定され、かつシートSh1の余白領域Rm1の画像(第2画像)より第2異常画素と判定された場合に、当該画素が異常画素と判定される。そのため、主走査方向D1のある位置の画素が、第1異常画素と判定されたものの第2異常画素と判定されなかった場合、又は第2異常画素と判定されたものの第1異常画素と判定されなかった場合には、当該画素は異常画素でないと判定される。つまり、色基準部材51の画像(第1画像)と、シートSh1の余白領域Rm1の画像(第2画像)とのいずれでも、異常と判定された画素のみが、第2コンタクトガラス42の異物、傷又は汚れ等に起因した異常画素であると判定される。
より詳細には、判定部61は、主走査方向D1の一方向(例えば図7の右方向)へ画素位置を走査する際に、第2異常画素と第1異常画素とで開始位置(開始点)が略一致していれば(S15:Yes)、当該第2異常画素を異常画素であると判定する(S16)。ここで、開始位置の「略一致」は、一例として、所定の画素数(例えば3画素)以内であることとする。一方、判定部61は、主走査方向D1の一方向へ画素位置を走査する際に、第2異常画素と第1異常画素とで開始位置(開始点)が略一致していなければ(S15:No)、ステップS16をスキップしてステップS17に進む。つまり、第2異常画素の開始位置から所定の画素数以内に第1異常画素の開始位置があれば、第2異常画素と第1異常画素とで開始位置は略一致する。このように、判定部61は、第1異常画素と第2異常画素との一致度に応じて異常画素を判定すればよく、第1異常画素と第2異常画素とが完全には一致しない場合にも異常画素と判定してもよい。他の例として、判定部61は、第2異常画素と第1異常画素とで、終了位置(終了点)が略一致しているか、又は開始位置から終了位置までの間に重複領域があるかによって、異常画素を判定してもよい。
<ステップS17>
ステップS17において、補正処理部63は、画像読取部2で読み取られる画像のうち、主走査方向D1の位置が異常画素と一致する画素の濃度値を補正する。つまり、ステップS16で異常画素と判定された画素と主走査方向D1の位置が一致する画素は、このとき読み取ったシートSh1の画像において筋画像L1の原因となり得るので、ステップS17において、筋画像L1を構成する画素の濃度値の補正が行われる。このとき、補正処理部63は、1枚のシートSh1の画像の全体を対象に、異常画素と主走査方向D1の位置が一致する画素(筋画像L1を構成する画素)について濃度値を補間することで、濃度値の補正を行う。
ステップS17において、補正処理部63は、画像読取部2で読み取られる画像のうち、主走査方向D1の位置が異常画素と一致する画素の濃度値を補正する。つまり、ステップS16で異常画素と判定された画素と主走査方向D1の位置が一致する画素は、このとき読み取ったシートSh1の画像において筋画像L1の原因となり得るので、ステップS17において、筋画像L1を構成する画素の濃度値の補正が行われる。このとき、補正処理部63は、1枚のシートSh1の画像の全体を対象に、異常画素と主走査方向D1の位置が一致する画素(筋画像L1を構成する画素)について濃度値を補間することで、濃度値の補正を行う。
具体的には、補正処理部63は、図9に示すように、濃度値が第2判定閾値Th2以下である(濃い)画素の濃度値を、その画素に主走査方向D1において最も近い位置の正常画素の濃度値に置換する。つまり、第2コンタクトガラス42に異物、傷又は汚れ等が付着している場合には、以降に画像読取部2にて読み取られる画像についても、異常画素と判定された画素と主走査方向D1の位置が一致する画素の濃度値は、第2判定閾値Th2以下となる。一例として、図10の上段に示すように、画像中の主走査方向D1に延びる画素列の画素に対し、主走査方向D1に連続する画素番号「1」~「15」が付されている場合に、画素番号「5」~「11」の画素が異常画素である場合を想定する。この場合、補正処理部63は、主走査方向D1の位置が異常画素と一致する画素、つまり画素番号が「5」~「11」の画素を、筋画像L1を構成する画素として補正対象とする。そのため、補正処理部63は、図10の下段に示すように、画素番号「5」~「11」の画素の濃度値を、これらの画素に主走査方向D1において最も近い位置の画素、つまり画素番号が「4」又は「12」の正常画素の濃度値に置換する。
これにより、図9の下段に示すように、主走査方向D1において、異常画素と同一の範囲Ra1にある画素の濃度値と、その周辺の画素の濃度値との差が小さくなる。言い換えれば、範囲Ra1内の画素の濃度値について、第2基準濃度値C2との差が小さくなり、第2コンタクトガラス42の異物、傷又は汚れ等に起因した局所的な濃度値の低下が抑制される。その結果、図11に示すように、画像読取部2で読み取られるシートSh1全体の画像Im101に筋画像L1が含まれていても、補正後の画像Im102においては、その周辺の画素との濃度値の差が小さくなる。よって、補正後のシートSh1全体の画像Im102では、筋画像L1が除去又は低減される。ただし、補正処理部63による濃度値の補正方法は、これに限らない。
<ステップS18>
ステップS18において、処理部6は、記憶部25に処理対象の読取画像が存在するか否かを判定する。つまり、ステップS17の補正処理部63による補正処理は、シートSh1全体の画像を対象にして、シートSh1ごとに行われる。そのため、画像読取部2が複数のシートSh1の画像を読み取った場合には、1枚のシートSh1の画像についての補正処理の完了後にも、記憶部25には、処理対象の読取画像として別のシートSh1の画像が存在する。処理部6は、記憶部25に処理対象の画像が存在すると判定した場合(S18:Yes)、ステップS9に戻る。処理部6は、記憶部25に処理対象の画像が存在しないと判定した場合(S18:No)、ステップS19に進む。
ステップS18において、処理部6は、記憶部25に処理対象の読取画像が存在するか否かを判定する。つまり、ステップS17の補正処理部63による補正処理は、シートSh1全体の画像を対象にして、シートSh1ごとに行われる。そのため、画像読取部2が複数のシートSh1の画像を読み取った場合には、1枚のシートSh1の画像についての補正処理の完了後にも、記憶部25には、処理対象の読取画像として別のシートSh1の画像が存在する。処理部6は、記憶部25に処理対象の画像が存在すると判定した場合(S18:Yes)、ステップS9に戻る。処理部6は、記憶部25に処理対象の画像が存在しないと判定した場合(S18:No)、ステップS19に進む。
<ステップS19>
ステップS19において、処理部6は、原稿セット部71の所定位置に設けられた原稿センサーの出力信号に基づき、原稿セット部71に、まだ画像の読み取りが行われていないシートSh1が存在するか否かを判定する。処理部6は、原稿セット部71にシートSh1が存在すると判定した場合(S19:No)、ステップS9に戻る。処理部6は、原稿セット部71にシートSh1が存在しないと判定した場合(S19:Yes)、一連の処理を終了する。以上説明した画像処理方法の手順は一例に過ぎず、図6のフローチャートに示す処理の順番が適宜入れ替わってもよい。
ステップS19において、処理部6は、原稿セット部71の所定位置に設けられた原稿センサーの出力信号に基づき、原稿セット部71に、まだ画像の読み取りが行われていないシートSh1が存在するか否かを判定する。処理部6は、原稿セット部71にシートSh1が存在すると判定した場合(S19:No)、ステップS9に戻る。処理部6は、原稿セット部71にシートSh1が存在しないと判定した場合(S19:Yes)、一連の処理を終了する。以上説明した画像処理方法の手順は一例に過ぎず、図6のフローチャートに示す処理の順番が適宜入れ替わってもよい。
以上説明したように、本実施形態では、異常画素の判定に用いられる判定閾値は、閾値決定部62にて、画像読取部2で読み取られる画像における各画素の濃度値についての度数分布に基づいて、決定される。すなわち、上記関連技術のように、画素数が最も多い基準濃度値より「予め定められた値」分だけ濃度が濃い濃度値が判定閾値Th0となる場合に比べて、本実施形態に係る画像読取装置10では、判定閾値を適切に決定しやすくなる。つまり、判定閾値は、固定シフト値ΔC0のように「予め定められた値」を用いて固定的に決定されるのではなく、画像読取部2で読み取られる画像における各画素の濃度値についての度数分布に基づいて、動的に決定される。よって、閾値決定部62は、例えば、シートSh1の下地濃度のばらつきに応じて適切な判定閾値を決定することができ、画像読取装置10としては、異常画素の判定精度が低下しにくい、という利点がある。
例えば、上記関連技術のように、固定シフト値ΔC0を比較的大きな値である「12」に設定されていると仮定すれば、専用用紙のように、下地濃度のばらつきが比較的小さなシートSh1については、第2判定閾値Th2は緩め(小さめ)の値となる。つまり、図8の下段に例示するような第2ヒストグラムG2が得られる場合、第2判定閾値Th2は、第2基準濃度値C2(241)から固定シフト値ΔC0である「12」を引いた濃度値「229」となる。そのため、第2判定閾値Th2が小さめの値となり、図12の左側に示すように、異常画素と判定される画素の範囲Ra1が比較的狭くなり、かつ範囲Ra1内の画素の濃度値と第2基準濃度値C2との差も比較的大きくなる。その結果、第2コンタクトガラス42の異物、傷又は汚れ等に起因した局所的な濃度値の低下が抑制されにくく、補正後の画像に筋画像L1が残りやすくなる。
これに対して、本実施形態では、度数分布に基づいて変動する変動シフト値ΔC2を用いて第2判定閾値Th2が決定されるため、専用用紙のように、下地濃度のばらつきが比較的小さなシートSh1についても、第2判定閾値Th2は適切な値となる。つまり、図8の下段に例示するような第2ヒストグラムG2が得られる場合、第2判定閾値Th2は、第2基準濃度値C2(241)から変動シフト値ΔC2である「4」を引いた濃度値「237」となる。そのため、第2判定閾値Th2が適切な値となり、図12の右側に示すように、異常画素と判定される画素の範囲Ra1も適切となり、かつ範囲Ra1内の画素の濃度値と第2基準濃度値C2との差も比較的小さくなる。その結果、第2コンタクトガラス42の異物、傷又は汚れ等に起因した局所的な濃度値の低下が抑制されやすく、補正後の画像に筋画像L1が残りにくくなる。
一方で、本実施形態では、度数分布に基づいて変動する変動シフト値ΔC2を用いて第2判定閾値Th2が決定されるため、更紙、再生紙又は新聞紙等の、下地濃度のばらつきが比較的大きなシートSh1についても、第2判定閾値Th2は適切な値となる。つまり、図5の下段に例示するような第2ヒストグラムG2が得られる場合、第2閾値決定部622は、上記画素数割合にて定まる変動シフト値ΔC2を「12」に決定する。したがって、第2閾値決定部622は、第2基準濃度値C2(200)から「12」を引いた濃度値「188」を、第2判定閾値Th2に決定する。そのため、シートSh1の種類が変わっても、第2判定閾値Th2は適切な値となって、第2コンタクトガラス42の異物、傷又は汚れ等に起因した局所的な濃度値の低下が抑制されやすく、補正後の画像に筋画像L1が残りにくくなる。
また、本実施形態では、閾値決定部62は、第1画像の度数分布に基づいて第1判定閾値Th1を決定する処理と、第2画像の度数分布に基づいて第2判定閾値Th2を決定する処理と、の少なくとも一方を行う。そして、判定部61では、第1判定閾値Th1を用いて判定される第1異常画素と第2判定閾値Th2を用いて判定される第2異常画素との一致度に応じて、異常画素を判定する。そのため、判定部61では、第2コンタクトガラス42に付着した異物、傷又は汚れ等に起因した異常画素と、シートSh1に形成されている例えば罫線等の筋状の画像とを区別して、異常画素を判定することができる。しかも、色基準部材51の画像である第1画像の度数分布に基づいて第1判定閾値Th1を決定すれば、例えば、色基準部材51に色褪せ等の変色が生じても、第1判定閾値Th1を、第1画像の度数分布に応じた適切な値とすることができる。
さらに、本実施形態では、閾値決定部62は、第1判定閾値Th1と第2判定閾値Th2との両方を決定する。したがって、色基準部材51の色褪せ等の変色に応じて適切な第1判定閾値Th1を設定しつつ、シートSh1の下地濃度のばらつきに応じて適切な第2判定閾値Th2を設定でき、第1異常画素及び第2異常画素のいずれについても、判定精度が低下しにくい。
[4]変形例
画像形成装置1に含まれる複数の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。例えば、判定部61、閾値決定部62、補正処理部63及び読取制御部64の少なくとも1つは、処理部6の一機能として実現される構成に限らず、処理部6とは別の筐体に設けられていてもよい。
画像形成装置1に含まれる複数の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。例えば、判定部61、閾値決定部62、補正処理部63及び読取制御部64の少なくとも1つは、処理部6の一機能として実現される構成に限らず、処理部6とは別の筐体に設けられていてもよい。
また、画像読取装置10は、画像(画像データ)を読み取る機能を有していればよく、画像形成部3と共に画像形成装置1を構成することは必須ではない。すなわち、画像読取装置10は、画像を形成する機能を有する画像形成装置1の一部としての態様に限らず、種々の態様で具現化される。例えば、画像読取装置10は、画像を形成する機能(画像形成部3)を持たず、読み取った画像(画像データ)を外部に出力するスキャナー又はファクシミリ装置等であってもよい。
また、画像読取装置10において、第1の読み取り方式(原稿固定読み取り方式)及び第2の読み取り方式(シートスルー読み取り方式)の2種類の読み取り方式による画像の読み取りが可能であることは、必須ではない。すなわち、画像読取装置10は、シートスルー読み取り方式による画像の読み取りが可能であればよく、原稿固定読み取り方式による画像の読み取りの機能を有さなくてもよい。
また、実施形態1では、判定部61が、第1異常画素と第2異常画素との一致度に応じて異常画素を判定するが、この構成は必須ではなく、判定部61は、例えば、第1異常画素と第2異常画素との一方のみを判定してもよい。この場合、処理部6は、判定した第1異常画素又は第2異常画素を異常画素として、補正処理部63にて濃度値の補正等を行う。
また、実施形態1では、閾値決定部62が、第1判定閾値Th1と第2判定閾値Th2との両方を、それぞれ第1画像及び第2画像の度数分布に基づいて決定するが、この構成は必須ではない。つまり、閾値決定部62は、第1画像の度数分布に基づいて第1判定閾値Th1を決定する処理と、第2画像の度数分布に基づいて第2判定閾値Th2を決定する処理と、の一方のみを行ってもよい。この場合、第1判定閾値Th1と第2判定閾値Th2とのうち、閾値決定部62で決定されない方の判定閾値は、固定値として予め設定されていてもよい。
また、実施形態1では、シートSh1の先頭側のヘッダー領域の画像が第1画像として読み取られるが、これに限らず、例えば、シートSh1のフッター領域の画像が第1画像として読み取られてもよい。
また、実施形態1では、濃度が薄いほど濃度値が大きくなるように濃度と濃度値との関係が規定されているが、これに限らず、例えば、濃度が濃いほど濃度値が大きくなるように濃度と濃度値との関係が規定されてもよい。
(実施形態2)
本実施形態に係る画像読取装置10A(図13参照)は、判定部61が、色基準部材51Aの異物、傷又は汚れ等と、第2コンタクトガラス42の異物、傷又は汚れ等とを区別して、異常画素を判定する点で、実施形態1に係る画像読取装置10と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。
本実施形態に係る画像読取装置10A(図13参照)は、判定部61が、色基準部材51Aの異物、傷又は汚れ等と、第2コンタクトガラス42の異物、傷又は汚れ等とを区別して、異常画素を判定する点で、実施形態1に係る画像読取装置10と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。
本実施形態では、判定部61が、色基準部材51Aの異物、傷又は汚れ等と、第2コンタクトガラス42の異物、傷又は汚れ等とを区別するので、基本的には、第1判定部611及び第1閾値決定部621の機能が実施形態1と相違する。そのため、第2判定部612及び第2閾値決定部622の機能については、基本的に実施形態1と共通である。
本実施形態では、画像読取装置10Aは、色基準部材51Aの画像読取部2との対向部位が異なる複数のタイミングにおいて、色基準部材51Aの画像を画像読取部2で読み取ることで、色基準部材51Aの複数の画像を取得する。その上で、判定部61は、これら複数の画像についての、画素ごとの濃度値と判定閾値との比較結果に基づいて異常画素を判定する。ここで、色基準部材51Aの複数の画像は、複数の第1画像であって、これら複数の画像(第1画像)について、第1判定部611が、画素ごとの濃度値と第1判定閾値Th1との比較結果に基づいて第1異常画素を抽出する。
本開示でいう「色基準部材51Aの画像読取部2との対向部位」は、色基準部材51Aのうち画像読取部2にて画像を読み取り可能な部位である。そのため、色基準部材51Aの表面において、画像読取部2のうちの少なくとも読み込む画像に相当する光が入射する部位に対して第2コンタクトガラス42を介して対向する部位が、色基準部材51Aの画像読取部2との対向部位となる。つまり、本実施形態では、色基準部材51Aの表面において、画像読取部2のうちの少なくとも読取ユニット20と対向する部位、言い換えれば、第2コンタクトガラス42と対向する部位が、「色基準部材51Aの画像読取部2との対向部位」となる。画像読取装置10Aは、このような色基準部材51Aの画像読取部2との対向部位が異なる複数のタイミングにおいて、色基準部材51Aの画像を画像読取部2で読み取ることで、複数の第1画像を取得する。
また、本実施形態では、色基準部材51Aは回転可能なローラーであって、ローラーの回転に伴って色基準部材51Aの画像読取部2との対向部位が変化する。本実施形態では一例として、図13に示すように、色基準部材51Aは、色基準部材51Aと第2コンタクトガラス42との隙間をシートSh1が通過するときにシートSh1の進路をガイドする、搬送ガイドローラーである。搬送ガイドローラーとしての色基準部材51Aは、モーター等の動力源によって駆動され、図13に矢印A1で示す方向(反時計回り)に回転する。これにより、色基準部材51Aである搬送ガイドローラーは、シートSh1を下方(第2コンタクトガラス42側)に押し付けつつ搬送する。このような色基準部材51Aにおいては、その回転(自転)により、画像読取部2との対向部位、つまり第2コンタクトガラス42と対向する部位が変化する。
また、本実施形態では、色基準部材51Aの画像読取部2との対向部位が異なる複数のタイミングで取得される色基準部材51Aの複数の画像はM個(Mは2以上の整数)の画像である。そして、判定部61は、M個の画像のうちのN個の画像について、主走査方向D1の同じ位置で濃度値と判定閾値との比較結果から異常と判定される画素を、異常画素と判定する。ここで、「N」は「M」以下の整数である。本実施形態では一例として、NはMと同値であることとする。言い換えれば、判定部61は、色基準部材51AのM個の画像の全てにおいて、主走査方向D1の同じ位置で濃度値と判定閾値との比較結果から異常と判定される画素を、異常画素と判定する。
より詳細には、第1判定部611は、主走査方向D1の一方向へ画素位置を走査する際に、N個の第1画像において、異常と判定される画素の開始位置(開始点)が略一致していれば、当該画素を第1異常画素であると判定する。ここで、開始位置の「略一致」は、一例として、所定の画素数(例えば3画素)以内であることとする。このように、判定部61は、N個の(第1)画像において、異常と判定される画素が略同じ位置で異常と判定されていれば、画素の位置が完全には一致しない場合にも、(第1)異常画素と判定してもよい。他の例として、判定部61は、N個の(第1)画像において、異常と判定される画素の終了位置(終了点)が略一致しているか、又は開始位置から終了位置までの間に重複領域があるかによって、(第1)異常画素を判定してもよい。
また、本実施形態では、閾値決定部62は、色基準部材51Aの画像読取部2との対向部位が異なる2以上のタイミングにおいて画像読取部2で読み取られる色基準部材51Aの2以上の画像を用いて、判定閾値を決定する。つまり、第1閾値決定部621は、上述したような複数の第1画像のうちの2以上の第1画像を用いて、第1判定閾値Th1を決定する。閾値決定部62は、2以上の画像における各画素の濃度値についての度数分布に基づいて、判定閾値を決定する。つまり、第1閾値決定部621は、2以上の第1画像における各画素の濃度値についての度数分布(ヒストグラム)に基づいて、第1判定閾値Th1を決定する。
ところで、関連技術として、実施形態1でも説明したように、1つの第1画像から第1異常画素を抽出する技術が知られている。すなわち、関連技術に係る画像読取装置は、搬送されるシートの画像を読取可能な画像読取部と、濃度算出部と、閾値決定部と、判定部と、画像処理部と、を備える。濃度算出部は、シートの読み取り前に、画像読取部で色基準部材より読み取られた第1画像(第2読取画像)について濃度値ごとの画素数を示すヒストグラムを作成し、ヒストグラムに基づいて第1判定閾値(第2閾値)を決定する。判定部は、第1画像の各画素のうち第1判定閾値より濃度が濃い濃度値の画素を、異常を示す第1異常画素(第2異常画素)と判定する。
さらに、関連技術では、濃度算出部は、画像読取部でシートより読み取られた第2画像(第1読取画像)のうち、シートの余白領域に対応する画像について濃度値ごとの画素数を示すヒストグラムを作成し、ヒストグラムに基づいて第2判定閾値(第1閾値)を決定する。判定部は、第2画像の各画素のうち第2判定閾値より濃度が濃い濃度値の画素であって、第1異常画素と主走査方向の位置が一致する画素を、異常を示す異常画素と判定する。そして、画像処理部は、第2画像のうち、主走査方向D1の位置が異常画素と一致する画素の濃度値を補正する。
しかし、上記関連技術では、色基準部材の異物、傷又は汚れ等を、コンタクトガラスの異物、傷又は汚れ等と誤検知することで、異常画素の判定精度が低下する場合がある。つまり、関連技術では、色基準部材の異物、傷又は汚れ等と、コンタクトガラスの異物、傷又は汚れ等と区別できないため、色基準部材の異物、傷又は汚れ等であっても第1異常画素と判定してしまう場合がある。そもそも、色基準部材の異物、傷又は汚れ等であれば、シートの画像の読み取り時には、色基準部材の手前にシートが位置するために、読取画像への影響はない。この場合に、例えば、シートの余白領域であって主走査方向D1の位置が第1異常画素と同じ位置に罫線等がある場合、当該位置の画素が異常画素と判定され、濃度値の補正対象とされることがある。これにより、シートの画像として不正確な画像(原稿情報)が読み取られるおそれがある。
これに対して、本実施形態では、以下の構成を採用することにより、異常画素の判定精度が低下しにくい画像読取装置10Aを提供する。以下に、図14及び図15を参照しつつ、画像読取装置10Aで実行される画像処理方法の手順の一例について説明する。ここで、図14に示すフローチャートにおけるステップS101、S102・・・は、処理部6により実行される処理手順(ステップ)の番号を表している。以下に説明する処理(ステップS101~S109)は、画像読取指示が入力されてから、第1異常画素が判定されるまでの処理であって、図6のフローチャートのステップS2~S7に代えて採用される。また、図15では、左右方向を主走査方向D1とし、上下方向を時間軸として、画像読取部2にて画像を読み取るタイミング(サンプリングタイミング)を概念的に示す。
<ステップS101>
ステップS101において、処理部6は、変数Mを「1」に設定する。本実施形態では一例として、色基準部材51Aが3分の1ずつ回転した各状態で、色基準部材51Aの画像(第1画像)の読み取りを行う。そのため、変数Mの上限は、本実施形態では「3」と仮定する。
ステップS101において、処理部6は、変数Mを「1」に設定する。本実施形態では一例として、色基準部材51Aが3分の1ずつ回転した各状態で、色基準部材51Aの画像(第1画像)の読み取りを行う。そのため、変数Mの上限は、本実施形態では「3」と仮定する。
<ステップS102,S103>
次に、ステップS102において、第1読取制御部641は、シートSh1が読取位置P1に到達する前に、画像読取部2に読取動作を行わせる。具体的には、第1読取制御部641は、原稿センサー78によりシートSh1が検知される前に、副走査方向D2のうち図2の右方向に数ライン分の距離だけ読取ユニット20を移動させつつ、画像読取部2に数ライン分の読取動作を行わせる。このとき、画像読取部2は、図15においてサンプリングタイミングSt11で示すタイミングで、色基準部材51Aの画像を読み取る読取動作を実施する。上記の読取動作により、色基準部材51Aの表面の画像が読み取られて、画像読取部2は、第1画像を取得する(S103)。
次に、ステップS102において、第1読取制御部641は、シートSh1が読取位置P1に到達する前に、画像読取部2に読取動作を行わせる。具体的には、第1読取制御部641は、原稿センサー78によりシートSh1が検知される前に、副走査方向D2のうち図2の右方向に数ライン分の距離だけ読取ユニット20を移動させつつ、画像読取部2に数ライン分の読取動作を行わせる。このとき、画像読取部2は、図15においてサンプリングタイミングSt11で示すタイミングで、色基準部材51Aの画像を読み取る読取動作を実施する。上記の読取動作により、色基準部材51Aの表面の画像が読み取られて、画像読取部2は、第1画像を取得する(S103)。
<ステップS104>
次に、ステップS104において、第1閾値決定部621は、ステップS103で得られた第1画像について、濃度値ごとの画素数を示す第1ヒストグラムG1を作成する。さらに、第1閾値決定部621は、第1画像において基準となる濃度値である第1基準濃度値C1を決定し、第1基準濃度値C1を基準としつつ、第1ヒストグラムG1に基づいて、第1判定閾値Th1を決定する。一例として、実施形態1と同様に、第1閾値決定部621は、第1基準濃度値C1(236)から「3」を引いた濃度値「233」を、第1判定閾値Th1に決定する。
次に、ステップS104において、第1閾値決定部621は、ステップS103で得られた第1画像について、濃度値ごとの画素数を示す第1ヒストグラムG1を作成する。さらに、第1閾値決定部621は、第1画像において基準となる濃度値である第1基準濃度値C1を決定し、第1基準濃度値C1を基準としつつ、第1ヒストグラムG1に基づいて、第1判定閾値Th1を決定する。一例として、実施形態1と同様に、第1閾値決定部621は、第1基準濃度値C1(236)から「3」を引いた濃度値「233」を、第1判定閾値Th1に決定する。
<ステップS105>
ステップS105において、第1判定部611は、第1画像における各画素が第1異常画素の候補としての異常候補画素であるか否かを判定する。具体的には、第1判定部611は、第1画像における画素の濃度値と第1判定閾値Th1とを画素ごとに比較する。第1判定部611は、濃度値が第1判定閾値Th1以下である(濃い)画素を、異常候補画素であると判定する。第1判定部611は、異常候補画素と判定した場合には、異常候補画素ごとに主走査方向D1の座標位置を記憶することで、異常候補画素の主走査方向D1の位置を特定する。
ステップS105において、第1判定部611は、第1画像における各画素が第1異常画素の候補としての異常候補画素であるか否かを判定する。具体的には、第1判定部611は、第1画像における画素の濃度値と第1判定閾値Th1とを画素ごとに比較する。第1判定部611は、濃度値が第1判定閾値Th1以下である(濃い)画素を、異常候補画素であると判定する。第1判定部611は、異常候補画素と判定した場合には、異常候補画素ごとに主走査方向D1の座標位置を記憶することで、異常候補画素の主走査方向D1の位置を特定する。
本実施形態では、異常候補画素を判定するためのステップS105の処理は、第1判定閾値Th1を決定するためのステップS104とは別の第1画像を用いて行われる。つまり、処理部6は、ステップS105を実行するに当たり、再度、ステップS102,S103と同様の処理を行って、第1画像を取得する。具体的には、画像読取部2は、図15においてサンプリングタイミングSt12で示すタイミングで、色基準部材51Aの画像を読み取る読取動作を実施し、新たに第1画像を取得する。新たに取得した第1画像について、第1判定部611は、異常候補画素であるか否かを判定する。ただし、この例に限らず、異常候補画素を判定するためのステップS105の処理には、第1判定閾値Th1を決定するためのステップS104と同一の第1画像が用いられてもよい。
<ステップS106>
次に、ステップS106において、処理部6は、変数Mが「3」以上か否かを判定する。処理部6は、変数Mが3以上でないと判定すると(S106:No)、ステップS107に進む。処理部6は、変数Mが3以上であると判定すると(S106:Yes)、ステップS109に進む。
次に、ステップS106において、処理部6は、変数Mが「3」以上か否かを判定する。処理部6は、変数Mが3以上でないと判定すると(S106:No)、ステップS107に進む。処理部6は、変数Mが3以上であると判定すると(S106:Yes)、ステップS109に進む。
<ステップS107,S108>
ステップS107において、処理部6は、変数Mをインクリメントする。次に、ステップS108において、第1読取制御部641は、色基準部材51Aを3分の1回転させる。これにより、色基準部材51Aの表面のうち、周方向に円周の3分の1だけずれた部位が、第2コンタクトガラス42と対向することになり、色基準部材51Aの画像読取部2との対向部位が変化する。
ステップS107において、処理部6は、変数Mをインクリメントする。次に、ステップS108において、第1読取制御部641は、色基準部材51Aを3分の1回転させる。これにより、色基準部材51Aの表面のうち、周方向に円周の3分の1だけずれた部位が、第2コンタクトガラス42と対向することになり、色基準部材51Aの画像読取部2との対向部位が変化する。
それから、処理部6は、ステップS102に戻り、ステップS102~S105を繰り返し実行する。2回目のステップS102では、画像読取部2は、図15においてサンプリングタイミングSt13で示すタイミングで、色基準部材51Aの画像を読み取る読取動作を実施する。そして、2回目のステップS105では、画像読取部2は、図15においてサンプリングタイミングSt14で示すタイミングで、色基準部材51Aの画像を読み取る読取動作を実施する。そして、2回目のステップS105でも、第1判定部611は、異常候補画素と判定した場合には、異常候補画素ごとに主走査方向D1の座標位置を記憶することで、異常候補画素の主走査方向D1の位置を特定する。
その後、処理部6は、ステップS107において、変数Mをインクリメントし、ステップS108において、第1読取制御部641にて、色基準部材51Aを更に3分の1回転させる。これにより、色基準部材51Aの表面のうち、周方向に円周の3分の1だけずれた部位が、第2コンタクトガラス42と対向することになり、色基準部材51Aの画像読取部2との対向部位が更に変化する。そして、処理部6は、ステップS102に戻り、ステップS102~S105を再度繰り返す。3回目のステップS102では、画像読取部2は、図15においてサンプリングタイミングSt15で示すタイミングで、色基準部材51Aの画像を読み取る読取動作を実施する。そして、3回目のステップS105では、画像読取部2は、図15においてサンプリングタイミングSt16で示すタイミングで、色基準部材51Aの画像を読み取る読取動作を実施する。そして、3回目のステップS105でも、第1判定部611は、異常候補画素と判定した場合には、異常候補画素ごとに主走査方向D1の座標位置を記憶することで、異常候補画素の主走査方向D1の位置を特定する。
<ステップS109>
ステップS109において、第1判定部611は、色基準部材51AのM個の画像のうちのN個(本実施形態ではN=M)において、主走査方向D1の同じ位置で濃度値と判定閾値との比較結果から異常と判定される画素を、異常画素と判定する。つまり、ここでは変数Mの上限値は「3」であるので、第1判定部611は、3個の第1画像において、主走査方向D1の同じ位置で異常と判定される画素(異常候補画素)があれば、当該異常候補画素を第1異常画素であると判定する。第1判定部611は、第1異常画素と判定した場合には、第1異常画素ごとに主走査方向D1の座標位置を記憶することで、第1異常画素の主走査方向D1の位置を特定する。
ステップS109において、第1判定部611は、色基準部材51AのM個の画像のうちのN個(本実施形態ではN=M)において、主走査方向D1の同じ位置で濃度値と判定閾値との比較結果から異常と判定される画素を、異常画素と判定する。つまり、ここでは変数Mの上限値は「3」であるので、第1判定部611は、3個の第1画像において、主走査方向D1の同じ位置で異常と判定される画素(異常候補画素)があれば、当該異常候補画素を第1異常画素であると判定する。第1判定部611は、第1異常画素と判定した場合には、第1異常画素ごとに主走査方向D1の座標位置を記憶することで、第1異常画素の主走査方向D1の位置を特定する。
以上説明した画像処理方法の手順は一例に過ぎず、図14のフローチャートに示す処理の順番が適宜入れ替わってもよい。
以上説明したように、本実施形態では、色基準部材51Aの画像読取部2との対向部位が異なる複数のタイミング(サンプリングタイミングSt12,St14,St16)で取得した、色基準部材51Aの画像から、異常画素を判定する。すなわち、本実施形態では、色基準部材51Aの複数箇所の画像から、異常画素(第1異常画素)を判定する。そのため、色基準部材51Aの異物、傷又は汚れ等であれば、これら複数の第1画像に同じように異常が表れないことを利用すれば、色基準部材51Aの異物、傷又は汚れ等と、第2コンタクトガラス42の異物、傷又は汚れ等とを区別できる。したがって、判定部61は、色基準部材51Aの異物、傷又は汚れ等については異常画素(第1異常画素)から除外することで、第2コンタクトガラス42の異物、傷又は汚れ等に起因した本来の異常画素を、異常画素として判定しやすくなる。結果的に、画像読取装置10Aとしては、異常画素の判定精度が低下しにくい、という利点がある。
また、本実施形態では、色基準部材51Aとしてのローラーの回転に伴って色基準部材51Aの画像読取部2との対向部位を変化させるので、色基準部材51Aの複数箇所の画像を容易に取得できる。
また、本実施形態では、判定部61は、M個の画像のうちのN個の画像について、主走査方向D1の同じ位置で濃度値と判定閾値との比較結果から異常(異常候補画素)と判定される画素を、異常画素(第1異常画素)と判定する。そのため、「M」に対する「N」の値を調整すれば、異常画素の判定精度を容易に調整できる。ここで、NはMと同値に限らず、例えば、Mが「3」、Nが「2」であってもよい。
また、本実施形態では、異常画素(第1異常画素)の判定のみならず、異常画素の判定に用いる判定閾値(第1判定閾値Th1)の決定に際しても、色基準部材51Aの複数箇所(2か所以上)の画像を用いている。そのため、色基準部材51Aの局所的な変色等を加味した第1判定閾値Th1を設定でき、異常画素(第1異常画素)の判定精度の向上につながる。特に、本実施形態では、判定閾値(第1判定閾値Th1)の決定に第1画像の度数分布が用いられるので、色基準部材51Aの局所的な変色等があっても、判定閾値(第1判定閾値Th1)を適切な値としやすい。
実施形態2の変形例として、色基準部材51Aは、例えば、実施形態1で説明したような搬送ガイド等、回転可能なローラー以外の部材であってもよい。この場合に、色基準部材51Aは移動可能であって、色基準部材51Aの移動に伴って色基準部材51Aの画像読取部2との対向部位が変化することが好ましい。つまり、色基準部材51Aが、例えば、主走査方向D1又は副走査方向D2に移動すれば、色基準部材51Aの画像読取部2との対向部位が変化する。このような移動によれば、色基準部材51Aの異物、傷又は汚れ等と、第2コンタクトガラス42の異物、傷又は汚れ等とをより区別しやすくなる。さらに、色基準部材51Aがローラーであっても、回転以外の移動、例えば、スラスト方向への移動が可能であれば、当該移動によっても、色基準部材51Aの画像読取部2との対向部位は変化する。
あるいは、色基準部材51Aは固定であって、画像読取部2(読取ユニット20)が移動してもよい。この場合でも、色基準部材51Aと読取ユニット20との相対的な位置関係が変わることで、ローラーの回転に伴って色基準部材51Aの画像読取部2との対向部位が変化する。もちろん、色基準部材51Aと画像読取部2(読取ユニット20)との両方が移動可能であってもよい。
また、実施形態2の変形例として、閾値決定部62は、第1判定閾値Th1と第2判定閾値Th2との少なくとも一方を、度数分布(ヒストグラム)に基づいて決定しなくてもよい。この場合、第1判定閾値Th1と第2判定閾値Th2とのうち、閾値決定部62で決定されない方の判定閾値は、固定値として予め設定されていてもよい。
(実施形態3)
本実施形態に係る画像読取装置10B(図16参照)は、判定部61が、色基準部材51Bの異物、傷又は汚れ等と、第2コンタクトガラス42の異物、傷又は汚れ等とを区別して、異常画素を判定する点で、実施形態1に係る画像読取装置10と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。
本実施形態に係る画像読取装置10B(図16参照)は、判定部61が、色基準部材51Bの異物、傷又は汚れ等と、第2コンタクトガラス42の異物、傷又は汚れ等とを区別して、異常画素を判定する点で、実施形態1に係る画像読取装置10と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。
本実施形態では、判定部61が、色基準部材51Bの異物、傷又は汚れ等と、第2コンタクトガラス42の異物、傷又は汚れ等とを区別するので、基本的には、第1判定部611及び第1閾値決定部621の機能が実施形態1と相違する。そのため、第2判定部612及び第2閾値決定部622の機能については、基本的に実施形態1と共通である。
本実施形態では、画像読取装置10Bは、色基準部材51Bの画像読取部2との距離が異なる複数のタイミングにおいて、色基準部材51Bの画像を画像読取部2で読み取ることで、色基準部材51Bの複数の画像を取得する。その上で、判定部61は、これら複数の画像についての、画素ごとの濃度値と判定閾値との比較結果に基づいて異常画素を判定する。ここで、色基準部材51Bの複数の画像は、複数の第1画像であって、これら複数の画像(第1画像)について、第1判定部611が、画素ごとの濃度値と第1判定閾値Th1との比較結果に基づいて第1異常画素を抽出する。
本開示でいう「色基準部材51Bの画像読取部2との距離」は、色基準部材51Bのうち画像読取部2にて画像を読み取り可能な部位と画像読取部2との空間距離である。そのため、色基準部材51Bの表面における、画像読取部2の読み取り可能領域から、光学センサー24までの光軸上の距離が、色基準部材51Bの画像読取部2との距離になる。つまり、本実施形態では、色基準部材51Bと第2コンタクトガラス42との距離が変われば、当該距離の変化に応じて「色基準部材51Bの画像読取部2との距離」も変化する。画像読取装置10Bは、このような色基準部材51Bの画像読取部2との距離が異なる複数のタイミングにおいて、色基準部材51Bの画像を画像読取部2で読み取ることで、複数の第1画像を取得する。
また、本実施形態では、色基準部材51Bは移動可能であって、色基準部材51Bの移動に伴って色基準部材51Bと画像読取部2との距離が変化する。本実施形態では一例として、図16に示すように、色基準部材51Bは、色基準部材51Bと第2コンタクトガラス42との隙間をシートSh1が通過するときにシートSh1の進路をガイドする搬送ガイドとして機能する。搬送ガイドとしての色基準部材51Bは、モーター等の動力源によって駆動され、図16に矢印B1で示す方向(上下方向)に往復移動する。これにより、色基準部材51Bである搬送ガイドは、第2コンタクトガラス42との距離が可変となる。色基準部材51Bが可動範囲の下端(下死点)に位置するときに、色基準部材51Bと第2コンタクトガラス42との距離は最小となり、「色基準部材51Bの画像読取部2との距離」も最小となる。色基準部材51Bが可動範囲の上端(上死点)に位置するときに、色基準部材51Bと第2コンタクトガラス42との距離は最大となり、「色基準部材51Bの画像読取部2との距離」も最大となる。
また、本実施形態では、色基準部材51Bの画像読取部2との距離が異なる複数のタイミングで取得される色基準部材51Bの複数の画像はM個(Mは2以上の整数)の画像である。そして、判定部61は、M個の画像のうちのN個の画像について、主走査方向D1の同じ位置で濃度値と判定閾値との比較結果から異常と判定される画素を、異常画素と判定する。ここで、「N」は「M」以下の整数である。本実施形態では一例として、NはMと同値であることとする。言い換えれば、判定部61は、色基準部材51BのM個の画像の全てにおいて、主走査方向D1の同じ位置で濃度値と判定閾値との比較結果から異常と判定される画素を、異常画素と判定する。
より詳細には、第1判定部611は、主走査方向D1の一方向へ画素位置を走査する際に、N個の第1画像において、異常と判定される画素の開始位置(開始点)が略一致していれば、当該画素を第1異常画素であると判定する。ここで、開始位置の「略一致」は、一例として、所定の画素数(例えば3画素)以内であることとする。このように、判定部61は、N個の(第1)画像において、異常と判定される画素が略同じ位置で異常と判定されていれば、画素の位置が完全には一致しない場合にも、(第1)異常画素と判定してもよい。他の例として、判定部61は、N個の(第1)画像において、異常と判定される画素の終了位置(終了点)が略一致しているか、又は開始位置から終了位置までの間に重複領域があるかによって、(第1)異常画素を判定してもよい。
また、本実施形態では、閾値決定部62は、色基準部材51Bの画像読取部2との距離が異なる2以上のタイミングにおいて画像読取部2で読み取られる色基準部材51Bの2以上の画像を用いて、判定閾値を決定する。つまり、第1閾値決定部621は、上述したような複数の第1画像のうちの2以上の第1画像を用いて、第1判定閾値Th1を決定する。閾値決定部62は、2以上の画像における各画素の濃度値についての度数分布に基づいて、判定閾値を決定する。つまり、第1閾値決定部621は、2以上の第1画像における各画素の濃度値についての度数分布(ヒストグラム)に基づいて、第1判定閾値Th1を決定する。
ところで、関連技術として、実施形態2でも説明したように、1つの第1画像から第1異常画素を抽出する技術が知られている。しかし、上記関連技術では、色基準部材の異物、傷又は汚れ等を、コンタクトガラスの異物、傷又は汚れ等と誤検知することで、異常画素の判定精度が低下する場合がある。つまり、関連技術では、色基準部材の異物、傷又は汚れ等と、コンタクトガラスの異物、傷又は汚れ等と区別できないため、色基準部材の異物、傷又は汚れ等であっても第1異常画素と判定してしまう場合がある。そもそも、色基準部材の異物、傷又は汚れ等であれば、シートの画像の読み取り時には、色基準部材の手前にシートが位置するために、読取画像への影響はない。この場合に、例えば、シートの余白領域であって主走査方向D1の位置が第1異常画素と同じ位置に罫線等がある場合、当該位置の画素が異常画素と判定され、濃度値の補正対象とされることがある。これにより、シートの画像として不正確な画像(原稿情報)が読み取られるおそれがある。
これに対して、本実施形態では、以下の構成を採用することにより、異常画素の判定精度が低下しにくい画像読取装置10Bを提供する。以下に、図17~図21を参照しつつ、画像読取装置10Bで実行される画像処理方法の手順の一例について説明する。ここで、図17に示すフローチャートにおけるステップS201、S202・・・は、処理部6により実行される処理手順(ステップ)の番号を表している。以下に説明する処理(ステップS201~S208)は、画像読取指示が入力されてから、第1異常画素が判定されるまでの処理であって、図6のフローチャートのステップS2~S7に代えて採用される。また、図18では、左右方向を主走査方向D1とし、上下方向を時間軸として、画像読取部2にて画像を読み取るタイミング(サンプリングタイミング)を概念的に示す。また、図19では、横軸を濃度値、縦軸を画素数として、色基準部材51Bが上死点にあるときの第1画像のヒストグラムG11、及び色基準部材51Bが下死点にあるときの第1画像のヒストグラムG12を、上下に並べて示す。
<ステップS201>
ステップS201において、処理部6は、第1読取制御部641にて、色基準部材51Bを可動範囲の上死点(上端)に移動させる。このとき、「色基準部材51Bの画像読取部2との距離」が最大となる。本実施形態では一例として、色基準部材51Bが可動範囲の上死点にある状態と、色基準部材51Bが可動範囲の下死点にある状態と、の2つの状態で、色基準部材51Bの画像(第1画像)の読み取りを行う。
ステップS201において、処理部6は、第1読取制御部641にて、色基準部材51Bを可動範囲の上死点(上端)に移動させる。このとき、「色基準部材51Bの画像読取部2との距離」が最大となる。本実施形態では一例として、色基準部材51Bが可動範囲の上死点にある状態と、色基準部材51Bが可動範囲の下死点にある状態と、の2つの状態で、色基準部材51Bの画像(第1画像)の読み取りを行う。
<ステップS202,S203>
次に、ステップS202において、第1読取制御部641は、シートSh1が読取位置P1に到達する前に、画像読取部2に読取動作を行わせる。具体的には、第1読取制御部641は、原稿センサー78によりシートSh1が検知される前に、副走査方向D2のうち図2の右方向に数ライン分の距離だけ読取ユニット20を移動させつつ、画像読取部2に数ライン分の読取動作を行わせる。このとき、画像読取部2は、図18においてサンプリングタイミングSt11で示すタイミングで、色基準部材51Bの画像を読み取る読取動作を実施する。上記の読取動作により、色基準部材51Bの表面の画像が読み取られて、画像読取部2は、第1画像を取得する(S203)。
次に、ステップS202において、第1読取制御部641は、シートSh1が読取位置P1に到達する前に、画像読取部2に読取動作を行わせる。具体的には、第1読取制御部641は、原稿センサー78によりシートSh1が検知される前に、副走査方向D2のうち図2の右方向に数ライン分の距離だけ読取ユニット20を移動させつつ、画像読取部2に数ライン分の読取動作を行わせる。このとき、画像読取部2は、図18においてサンプリングタイミングSt11で示すタイミングで、色基準部材51Bの画像を読み取る読取動作を実施する。上記の読取動作により、色基準部材51Bの表面の画像が読み取られて、画像読取部2は、第1画像を取得する(S203)。
<ステップS204>
次に、ステップS204において、第1閾値決定部621は、ステップS203で得られた第1画像について、濃度値ごとの画素数を示す第1ヒストグラムG1を作成する。さらに、第1閾値決定部621は、第1画像において基準となる濃度値である第1基準濃度値C1を決定し、第1基準濃度値C1を基準としつつ、第1ヒストグラムG1に基づいて、第1判定閾値Th1を決定する。一例として、図19の上段に示す第1ヒストグラムG11に基づいて、第1閾値決定部621は、第1基準濃度値C1(213)から「3」を引いた濃度値「210」を、第1判定閾値Th1に決定する。
次に、ステップS204において、第1閾値決定部621は、ステップS203で得られた第1画像について、濃度値ごとの画素数を示す第1ヒストグラムG1を作成する。さらに、第1閾値決定部621は、第1画像において基準となる濃度値である第1基準濃度値C1を決定し、第1基準濃度値C1を基準としつつ、第1ヒストグラムG1に基づいて、第1判定閾値Th1を決定する。一例として、図19の上段に示す第1ヒストグラムG11に基づいて、第1閾値決定部621は、第1基準濃度値C1(213)から「3」を引いた濃度値「210」を、第1判定閾値Th1に決定する。
<ステップS205>
ステップS205において、第1判定部611は、第1画像における各画素が第1異常画素の候補としての異常候補画素であるか否かを判定する。具体的には、第1判定部611は、第1画像における画素の濃度値と第1判定閾値Th1とを画素ごとに比較する。第1判定部611は、濃度値が第1判定閾値Th1以下である(濃い)画素を、異常候補画素であると判定する。第1判定部611は、異常候補画素と判定した場合には、異常候補画素ごとに主走査方向D1の座標位置を記憶することで、異常候補画素の主走査方向D1の位置を特定する。
ステップS205において、第1判定部611は、第1画像における各画素が第1異常画素の候補としての異常候補画素であるか否かを判定する。具体的には、第1判定部611は、第1画像における画素の濃度値と第1判定閾値Th1とを画素ごとに比較する。第1判定部611は、濃度値が第1判定閾値Th1以下である(濃い)画素を、異常候補画素であると判定する。第1判定部611は、異常候補画素と判定した場合には、異常候補画素ごとに主走査方向D1の座標位置を記憶することで、異常候補画素の主走査方向D1の位置を特定する。
本実施形態では、異常候補画素を判定するためのステップS205の処理は、第1判定閾値Th1を決定するためのステップS204とは別の第1画像を用いて行われる。つまり、処理部6は、ステップS205を実行するに当たり、再度、ステップS202,S203と同様の処理を行って、第1画像を取得する。具体的には、画像読取部2は、図18においてサンプリングタイミングSt12で示すタイミングで、色基準部材51Bの画像を読み取る読取動作を実施し、新たに第1画像を取得する。新たに取得した第1画像について、第1判定部611は、異常候補画素であるか否かを判定する。ただし、この例に限らず、異常候補画素を判定するためのステップS205の処理には、第1判定閾値Th1を決定するためのステップS204と同一の第1画像が用いられてもよい。
<ステップS206>
次に、ステップS206において、処理部6は、色基準部材51Bが下死点にあるか否かを判定する。処理部6は、色基準部材51Bが下死点にないと判定すると(S206:No)、ステップS207に進む。処理部6は、色基準部材51Bが下死点にないと判定すると(S206:Yes)、ステップS208に進む。
次に、ステップS206において、処理部6は、色基準部材51Bが下死点にあるか否かを判定する。処理部6は、色基準部材51Bが下死点にないと判定すると(S206:No)、ステップS207に進む。処理部6は、色基準部材51Bが下死点にないと判定すると(S206:Yes)、ステップS208に進む。
<ステップS207>
ステップS207において、処理部6は、第1読取制御部641にて、色基準部材51Bを下降させる。これにより、色基準部材51Bは、可動範囲の上死点から下死点に移動し、「色基準部材51Bの画像読取部2との距離」が変化して最小となる。
ステップS207において、処理部6は、第1読取制御部641にて、色基準部材51Bを下降させる。これにより、色基準部材51Bは、可動範囲の上死点から下死点に移動し、「色基準部材51Bの画像読取部2との距離」が変化して最小となる。
それから、処理部6は、ステップS202に戻り、ステップS202~S205を繰り返し実行する。2回目のステップS202では、画像読取部2は、図18においてサンプリングタイミングSt13で示すタイミングで、色基準部材51Bの画像を読み取る読取動作を実施する。2回目のステップS204では、一例として、図19の下段に示す第1ヒストグラムG12に基づいて、第1閾値決定部621は、第1基準濃度値C1(236)から「3」を引いた濃度値「233」を、第1判定閾値Th1に決定する。そして、2回目のステップS205では、画像読取部2は、図18においてサンプリングタイミングSt14で示すタイミングで、色基準部材51Bの画像を読み取る読取動作を実施する。そして、2回目のステップS205でも、第1判定部611は、異常候補画素と判定した場合には、異常候補画素ごとに主走査方向D1の座標位置を記憶することで、異常候補画素の主走査方向D1の位置を特定する。
ここで、ステップS204において、色基準部材51Bが上死点に位置する1回目と、下死点に位置する2回目とで、第1判定閾値Th1が異なるのは、以下の理由による。すなわち、色基準部材51Bが上死点に位置する1回目においては、色基準部材51Bが第2コンタクトガラス42から離れており、読取ユニット20の光源201からも離れている。一方、色基準部材51Bが下死点に位置する2回目においては、色基準部材51Bが第2コンタクトガラス42に近づくため、読取ユニット20の光源201にも近くなる。したがって、色基準部材51Bが上死点に位置する1回目においては、色基準部材51Bが下死点に位置する2回目に比較して、光源201から色基準部材51Bに照射する光量が低く、第1基準濃度値C1が小さな値(213)となる。その結果、第1判定閾値Th1が1回目と2回目とで異なる。
<ステップS208>
ステップS208において、第1判定部611は、色基準部材51BのM個の画像のうちのN個(本実施形態ではN=M)において、主走査方向D1の同じ位置で濃度値と判定閾値との比較結果から異常と判定される画素を、異常画素と判定する。ここでは、色基準部材51Bが上死点にある状態と下死点にある状態との2つの状態で、色基準部材51Bの画像(第1画像)の読み取りを行っている。そのため、第1判定部611は、2個の第1画像において、主走査方向D1の同じ位置で異常と判定される画素(異常候補画素)があれば、当該異常候補画素を第1異常画素であると判定する。第1判定部611は、第1異常画素と判定した場合には、第1異常画素ごとに主走査方向D1の座標位置を記憶することで、第1異常画素の主走査方向D1の位置を特定する。
ステップS208において、第1判定部611は、色基準部材51BのM個の画像のうちのN個(本実施形態ではN=M)において、主走査方向D1の同じ位置で濃度値と判定閾値との比較結果から異常と判定される画素を、異常画素と判定する。ここでは、色基準部材51Bが上死点にある状態と下死点にある状態との2つの状態で、色基準部材51Bの画像(第1画像)の読み取りを行っている。そのため、第1判定部611は、2個の第1画像において、主走査方向D1の同じ位置で異常と判定される画素(異常候補画素)があれば、当該異常候補画素を第1異常画素であると判定する。第1判定部611は、第1異常画素と判定した場合には、第1異常画素ごとに主走査方向D1の座標位置を記憶することで、第1異常画素の主走査方向D1の位置を特定する。
より詳細には、本実施形態では、判定部61は、N個の画像において濃度値に所定の相関が無い画素については異常画素から除外する。ここでいう「所定の相関」は、例えば、濃度値の値が近似すること、又は開始位置(開始点)から終了位置(終了点)までの画素数が近似すること等を含む。つまり、第1判定部611は、N個(ここでは2個)の第1画像において、例えば、異常と判定される画素の濃度値が近似していなければ、所定の相関が無いと判断して、当該画素を(第1)異常画素から除外する。
ここで、図20及び図21は、第2コンタクトガラス42に異物、傷又は汚れ等が付着している場合と、色基準部材51Bに異物、傷又は汚れ等が付着している場合とのそれぞれについて、第1画像から抽出される異常候補画素を例示する。図20及び図21はいずれも、上段に色基準部材51Bが上死点にあるときのデータ、下段に色基準部材51Bが下死点にあるときのデータを示す。図20及び図21では、画素番号「1」,「2」,「3」・・・で表す画素位置を横軸とし、各画素の濃度値を縦軸とする。つまり、図20及び図21に示す各グラフにおいて、濃度値が第1判定閾値Th1以下の画素が、異常候補画素である。
すなわち、第2コンタクトガラス42に異物、傷又は汚れ等が付着している場合には、2個の画像において濃度値には所定の相関が現れる。つまり、色基準部材51Bが上死点から下死点に移動しても、第2コンタクトガラス42の異物、傷又は汚れ等は移動しないため、図20に示すように、第2コンタクトガラス42の異物、傷又は汚れ等に起因した異常候補画素はほとんど変化しない。そのため、図20のケースでは、2個の画像において濃度値に所定の相関が有る。ただ、色基準部材51Bが上死点に位置するときの方が、色基準部材51Bが下死点に位置する場合に比較して、光源201から色基準部材51Bに照射する光量が低くなるため、濃度値は全体的に低くなる。そのため、図20に示すように、色基準部材51Bが上死点に位置するときの方が、異常候補画素の範囲は狭くなり、かつ異常候補画素の開始位置の画素番号が大きく(43から46)なり、終了位置の画素番号は小さく(56から53)なる。
一方、色基準部材51Bに異物、傷又は汚れ等が付着している場合には、2個の画像において濃度値には所定の相関が現れない。つまり、色基準部材51Bが上死点から下死点に移動すると、色基準部材51Bの異物、傷又は汚れ等が移動するため、図21に示すように、色基準部材51Bの異物、傷又は汚れ等に起因した異常候補画素が大きく変化する。要するに、色基準部材51Bの異物、傷又は汚れ等は、色基準部材51Bと共に第2コンタクトガラス42との距離が変化し、色基準部材51Bと第2コンタクトガラス42との距離が大きくなれば、ピントがぼけ(合わず)、かつコントラストも低下する。そのため、色基準部材51Bの異物、傷又は汚れ等に対応する画素については、色基準部材51Bと第2コンタクトガラス42との距離が大きくなれば、濃度値が小さい側(淡い側)にシフトし、かつ範囲も広がることになる。したがって、図21に示すように、色基準部材51Bが上死点に位置するときの方が、異常候補画素の範囲は広くなり、かつ異常候補画素の開始位置の画素番号が小さく(43から36)なり、終了位置の画素番号が大きく(56から64)なる。そのため、図21のケースでは、2個の画像において濃度値に所定の相関が無い。
本実施形態では一例として、このような所定の相関を見出すべく、第1判定部611は、色基準部材51Bが下死点にあるときと、色基準部材51Bが上死点にあるときとで、異常候補画素の開始位置及び終了位置を比較する。具体的には、第1判定部611は、色基準部材51Bが上死点にあるときの方が、開始位置の画素番号が等しい又は大きい場合、及び終了位置の画素番号が等しい又は小さい場合に、所定の相関が有ると判断する。一方、第1判定部611は、色基準部材51Bが上死点にあるときの方が、開始位置の画素番号が小さい場合、及び終了位置の画素番号が大きい場合には、所定の相関が無いと判断し、当該異常候補画素を異常画素から除外する。
以上説明した画像処理方法の手順は一例に過ぎず、図17のフローチャートに示す処理の順番が適宜入れ替わってもよい。
以上説明したように、本実施形態では、色基準部材51Bの画像読取部2との距離が異なる複数のタイミング(サンプリングタイミングSt12,St14)で取得した、色基準部材51Bの画像から、異常画素を判定する。すなわち、本実施形態では、色基準部材51Bの画像読取部2との距離を変えた複数の画像から、異常画素(第1異常画素)を判定する。そのため、色基準部材51Bの異物、傷又は汚れ等であれば、これら複数の第1画像に同じように異常が表れないことを利用すれば、色基準部材51Bの異物、傷又は汚れ等と、第2コンタクトガラス42の異物、傷又は汚れ等とを区別できる。したがって、判定部61は、色基準部材51Bの異物、傷又は汚れ等については異常画素(第1異常画素)から除外することで、第2コンタクトガラス42の異物、傷又は汚れ等に起因した本来の異常画素を、異常画素として判定しやすくなる。結果的に、画像読取装置10Bとしては、異常画素の判定精度が低下しにくい、という利点がある。
また、本実施形態では、色基準部材51Bの移動に伴って色基準部材51Bの画像読取部2との距離を変化させるので、色基準部材51Bの複数の画像を容易に取得できる。
また、本実施形態では、判定部61は、M個の画像のうちのN個の画像について、主走査方向D1の同じ位置で濃度値と判定閾値との比較結果から異常(異常候補画素)と判定される画素を、異常画素(第1異常画素)と判定する。そのため、「M」に対する「N」の値を調整すれば、異常画素の判定精度を容易に調整できる。ここで、NはMと同値に限らず、例えば、Mが「3」、Nが「2」であってもよい。
また、本実施形態では、異常画素(第1異常画素)の判定のみならず、異常画素の判定に用いる判定閾値(第1判定閾値Th1)の決定に際しても、色基準部材51Bの複数(2つ以上)の画像を用いている。そのため、色基準部材51Bの画像読取部2との距離に応じた第1判定閾値Th1を設定でき、異常画素(第1異常画素)の判定精度の向上につながる。特に、本実施形態では、判定閾値(第1判定閾値Th1)の決定に第1画像の度数分布が用いられるので、色基準部材51Bの画像読取部2との距離が変わっても、判定閾値(第1判定閾値Th1)を適切な値としやすい。
実施形態3の変形例として、色基準部材51Bは、搬送ガイドに限らず、例えば、シェーディング板、搬送ガイドローラー又はシェーディングローラー等であってもよい。
また、実施形態3の変形例として、閾値決定部62は、第1判定閾値Th1と第2判定閾値Th2との少なくとも一方を、度数分布(ヒストグラム)に基づいて決定しなくてもよい。この場合、第1判定閾値Th1と第2判定閾値Th2とのうち、閾値決定部62で決定されない方の判定閾値は、固定値として予め設定されていてもよい。
また、実施形態3の変形例として、色基準部材51Bと画像読取部2との距離が異なる複数のタイミングにおいて画像読取部2で読み取られる色基準部材51Bの画像は、3個以上あってもよい。例えば、色基準部材51Bを上死点及び下死点に加えて、可動範囲に中間位置に移動させることで、色基準部材51Bと画像読取部2との距離が異なる3個の画像を取得することが可能である。
1 画像形成装置
2 画像読取部
3 画像形成部
10,10A,10B 画像読取装置
51,51A,51B 色基準部材
61 判定部
62 閾値決定部
63 補正処理部
R1 搬送路
Rm1 余白領域
Sh1 シート
Th1 第1判定閾値
Th2 第2判定閾値
2 画像読取部
3 画像形成部
10,10A,10B 画像読取装置
51,51A,51B 色基準部材
61 判定部
62 閾値決定部
63 補正処理部
R1 搬送路
Rm1 余白領域
Sh1 シート
Th1 第1判定閾値
Th2 第2判定閾値
Claims (9)
- 搬送路を通して搬送されるシートの画像を読み取る画像読取部と、
前記画像読取部で読み取られる画像についての、画素ごとの濃度値と判定閾値との比較結果に基づいて異常画素を判定する判定部と、
前記画像読取部で読み取られる画像における各画素の濃度値についての度数分布に基づいて、前記判定閾値を決定する閾値決定部と、を備える、
画像読取装置。 - 前記画像読取部とは前記搬送路を挟んで対向するように配置される色基準部材を更に備え、
前記判定部は、
前記画像読取部で読み取られる前記色基準部材の画像である第1画像について、画素ごとに濃度値を第1判定閾値と比較することにより第1異常画素を抽出し、
前記画像読取部で読み取られる前記シートの余白領域の画像である第2画像について、画素ごとに濃度値を第2判定閾値と比較することにより第2異常画素を抽出し、
前記第1異常画素と前記第2異常画素との一致度に応じて、前記異常画素を判定し、
前記閾値決定部は、
前記第1画像における各画素の濃度値についての度数分布に基づいて前記判定閾値としての前記第1判定閾値を決定する処理と、
前記第2画像における各画素の濃度値についての度数分布に基づいて前記判定閾値としての前記第2判定閾値を決定する処理と、の少なくとも一方を行う、
請求項1に記載の画像読取装置。 - 前記閾値決定部は、前記第1判定閾値と前記第2判定閾値との両方を決定する、
請求項2に記載の画像読取装置。 - 前記閾値決定部は、前記画像読取部で読み取られる画像における各画素の濃度値についての度数分布から求まる標準偏差を用いて、前記判定閾値を決定する、
請求項1~3のいずれか1項に記載の画像読取装置。 - 前記閾値決定部は、前記画像読取部で読み取られる画像における各画素の濃度値についての度数分布から求まる全画素数に占める画素数割合を用いて、前記判定閾値を決定する、
請求項1~3のいずれか1項に記載の画像読取装置。 - 前記画像読取部で読み取られる画像のうち、主走査方向の位置が前記異常画素と一致する画素の濃度値を補正する補正処理部を更に備える、
請求項1~5のいずれか1項に記載の画像読取装置。 - 請求項1~6のいずれか1項に記載の画像読取装置と、
前記画像読取装置によって読み取られた前記シートの画像を別シートに形成する画像形成部と、を備える、
画像形成装置。 - 搬送路を通して搬送されるシートの画像を画像読取部で読み取ることと、
前記画像読取部で読み取られる画像についての、画素ごとの濃度値と判定閾値との比較結果に基づいて異常画素を判定することと、
前記画像読取部で読み取られる画像における各画素の濃度値についての度数分布に基づいて、前記判定閾値を決定することと、を有する、
画像処理方法。 - 搬送路を通して搬送されるシートの画像を画像読取部で読み取ることと、
前記画像読取部で読み取られる画像についての、画素ごとの濃度値と判定閾値との比較結果に基づいて異常画素を判定することと、
前記画像読取部で読み取られる画像における各画素の濃度値についての度数分布に基づいて、前記判定閾値を決定することと、
を1以上のプロセッサーに実行させるためのプログラム。
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