JP2022040647A - 吸収性物品 - Google Patents

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Abstract

【課題】身体へのフィット性を向上させ、体液の漏れを防止する。【解決手段】表面シート3の肌当接面側の両側部に、長手方向に延びる左右対の圧搾溝10を形成する。吸収体4の少なくとも両側部に、吸収体4の側縁から幅方向に延びるとともに長手方向に間隔を空けて複数の低坪量部11を形成する。低坪量部11が、圧搾溝10より吸収体4の幅方向中央側まで延びるとともに、吸収体4の側縁と圧搾溝10と低坪量部11とで囲まれた領域の吸収体4が、圧搾溝10より幅方向中央側の吸収体4と比較して剛性が高い高剛性領域13を形成している。【選択図】図1

Description

本発明は、生理用ナプキン、パンティライナー、失禁パッド等の吸収性物品に係り、詳細には肌当接面の両側部に長手方向に延びる左右対の圧搾溝が形成されるとともに、吸収体に折れ曲がり誘導用の低坪量部又は切れ込み部が形成された吸収性物品に関する。
例えば下記特許文献1、2に開示されるように、吸収体が臀部の形状に沿って折れ曲がりやすいように、吸収体に折れ曲がり誘導用の低坪量部を設けた吸収性物品が知られている。
また、例えば下記特許文献3に開示されるように、肌当接面の両側部に長手方向に沿って延びる左右対の圧搾溝を形成することによって、着用時に股間部における幅方向外方側から内方側に向けた圧力が作用したとき、幅方向中央部を着用者の肌側に向けて膨出しやすくしたものが開示されている。
特開2016-119987号公報 特開2020-96749号公報 特開2017-221331号公報
しかしながら、上述の低坪量部と圧搾溝が同時に設けられた吸収性物品では、装着時に幅方向外方側から内方側に向けて作用する圧力が、前記低坪量部によって分散してしまうため、前記圧搾溝に作用する圧力によって幅方向中央部が着用者の肌側に向けて膨出するという効果が得られにくく、身体へのフィット性が低下し、体液の漏れを生じるおそれがあった。
そこで本発明の主たる課題は、身体へのフィット性を向上させ、体液の漏れを防止した吸収性物品を提供することにある。
上記課題を解決するために第1の態様として、吸収体と前記吸収体の肌当接面側に配置された表面シートとを具備し、
前記表面シートの肌当接面側の両側部に、長手方向に延びる左右対の圧搾溝が形成され、
前記吸収体の少なくとも両側部に、前記吸収体の側縁から幅方向に延びるとともに長手方向に間隔を空けて複数の低坪量部又は切れ込み部が形成されており、
前記低坪量部又は切れ込み部が、前記圧搾溝より前記吸収体の幅方向中央側まで延びるとともに、前記吸収体の側縁と前記圧搾溝と前記低坪量部又は切れ込み部とで囲まれた領域の前記吸収体が、前記圧搾溝より幅方向中央側の前記吸収体と比較して剛性が高い高剛性領域を形成していることを特徴とする吸収性物品が提供される。
上記第1の態様では、吸収体が長手方向に折れ曲がる折れ曲がり基端となる低坪量部又は切れ込み部が、前記吸収体の少なくとも両側部に形成され、かつ装着時に幅方向外方側から内方側に向けた圧力(脚圧)を受けることにより幅方向中央部分を肌側に膨出変形しやすくする圧搾溝が、表面シートの肌当接面側の両側部に形成された吸収性物品において、前記低坪量部又は切れ込み部が、前記圧搾溝より前記吸収体の幅方向中央側まで延びるとともに、前記吸収体の側縁と前記圧搾溝と前記低坪量部又は切れ込み部とで囲まれた領域の前記吸収体が、前記圧搾溝より幅方向中央側の前記吸収体と比較して剛性が高い高剛性領域を形成しているため、装着時に前記脚圧を受けた際、この圧力が前記低坪量部又は切れ込み部によって分散されることなく圧搾溝に確実に作用し、左右の圧搾溝間が肌側に膨出変形しやすくなり、この膨出した部分が身体にフィットしやすくなる。更に、前記吸収体には前記低坪量部又は切れ込み部が形成されているため、この低坪量部又は切れ込み部が吸収体を長手方向に折れ曲がりやすくする折れ曲がり誘導部となって、吸収体が身体の前後の丸みに沿って湾曲変形し、身体にフィットしやすくなる。したがって、股間部全体へのフィット性が向上し、体液の漏れを確実に防止することができるようになる。
第2の態様として、前記高剛性領域は、他の領域より吸収体の密度が高い請求項1記載の吸収性物品が提供される。
上記第2の態様では、前記高剛性領域の吸収体を圧搾することにより、他の領域より吸収体の密度を高くしている。なお、この高剛性領域の吸収体は、他の領域より高目付にしてもよいし、他の領域と同じ目付でもよい。
第3の態様として、前記圧搾溝は、少なくとも前記低坪量部又は切れ込み部が形成された長手方向の範囲内において、幅方向中央側に向けて突出した円弧状の平面形状で形成されている請求項1、2いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
上記第3の態様では、装着時の脚圧によって、左右の圧搾溝間の幅方向中央部が肌側に隆起しやすいように、前記圧搾溝の平面形状を幅方向中央側に向けて突出した円弧状に形成している。
第4の態様として、前記低坪量部又は切れ込み部は、前記吸収体の両側部それぞれに設けられ、前記吸収体の中央部には設けられていない請求項1~3いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
上記第4の態様では、前記低坪量部又は切れ込み部を、吸収体の両側部にのみ設け、吸収体の中央部には設けないようにしている。このため、吸収体は幅方向中央部で長手方向に連続してほぼ均等の目付で形成されるため、吸収体に吸収された体液が長手方向に拡散しやすくなり、吸収体の広い範囲を有効に利用して体液を吸収することができる。
第5の態様として、前記低坪量部又は切れ込み部は、前記吸収体の全幅に亘って形成されている請求項1~3いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
上記第5の態様では、前記低坪量部又は切れ込み部を、吸収体の全幅に亘って設けているため、より一層吸収体が長手方向に折れ曲がりやすくなり、身体の前後の丸みに沿って更に柔軟に変形できるようになる。
第6の態様として、前記低坪量部又は切れ込み部は、吸収性物品の幅方向に平行して延びるか、前記吸収体の幅方向中央側の点を中心として、幅方向外側に向けて放射状に延びている請求項1~5いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
上記第6の態様では、前記低坪量部又は切れ込み部を、吸収性物品の幅方向に平行して延びるように形成した場合には、この低坪量部又は切れ込み部を折れ曲がり誘導部として吸収体が長手方向に折れ曲がりやすくなる。一方、前記低坪量部又は切れ込み部を、圧搾溝より幅方向中央側の点を中心として、幅方向外側に向けて放射状に延びるように形成した場合には、装着時に作用する幅方向外方側からの脚圧が、前記低坪量部又は切れ込み部によって放射状の中心部に集約され、圧搾溝の所定部分に集中的に脚圧が作用することによって、左右の圧搾溝間が肌側に向けて隆起しやすくなる。
第7の態様として、前記低坪量部又は切れ込み部と重なる位置に、前記吸収性物品を個別包装する際に長手方向に折り畳む幅方向折り線が設けられている請求項1~6いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
上記第7の態様では、吸収性物品を個別包装する際の幅方向折り線が、前記低坪量部又は切り込み線と重なる位置に設けられているため、この折り線における折り癖が柔らかくなり、装着時に吸収性物品が身体に沿って変形しやすくなる。
以上詳説のとおり本発明によれば、身体へのフィット性が向上でき、体液の漏れが確実に防止できる吸収性物品が提供できるようになる。
本発明に係る生理用ナプキン1を示す一部破断展開図である。 図1のII-II線矢視図である。 図1のIII-III線矢視図である。 人体の股間部の断面図である。 吸収体4の平面図である。 切れ込み部12を示す吸収体4の要部拡大平面図である。 変形例に係る吸収体4の要部拡大平面図である。 変形例に係る吸収体4の要部拡大平面図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
〔生理用ナプキン1の基本構造〕
本発明に係る生理用ナプキン1は、図1~図3に示されるように、ポリエチレンシートなどからなる不透液性の裏面シート2と、経血やおりものなど(以下、まとめて体液ともいう。)を速やかに透過させる透液性の表面シート3と、これら両シート2,3間に介装された綿状パルプまたは合成パルプなどからなる吸収体4と、肌当接面側の両側部に長手方向に沿ってほぼ全長に亘って設けられたサイド不織布7とを備え、かつ前記吸収体4の周囲においては、その前後端縁部では前記裏面シート2と表面シート3との外縁部がホットメルトなどの接着剤やヒートシール、超音波シール等の接合手段によって接合され、またその両側縁部では吸収体4よりも側方に延出している前記裏面シート2と前記サイド不織布7とがホットメルトなどの接着剤やヒートシール、超音波シール等の接合手段によって接合されることにより、吸収体が介在しないフラップ部が形成されたものである。なお、図示例では、前記吸収体4の形状保持および拡散性向上のために、前記吸収体4をクレープ紙又は不織布などからなる被包シート5で囲繞しているが、この被包シート5は設けなくてもよい。また、図示しないが、前記表面シート3の非肌側に隣接して、前記表面シート3とほぼ同形状の親水性の不織布などからなるセカンドシートを配設してもよい。
以下、さらに前記生理用ナプキン1の構造について詳述すると、
前記裏面シート2は、ポリエチレン等の少なくとも遮水性を有するシート材が用いられるが、蒸れ防止の観点から透湿性を有するものを用いるのが望ましい。この遮水・透湿性シート材としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を溶融混練してシートを成形した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートが好適に用いられる。前記裏面シート2の非肌側面(外面)にはナプキン長手方向に沿って1または複数条の粘着剤層(図示せず)が形成され、身体への装着時に生理用ナプキン1を下着に固定するようになっている。前記裏面シート2としては、プラスチックフィルムと不織布とを積層させたポリラミ不織布を用いてもよい。
次いで、前記表面シート3は、有孔または無孔の不織布や多孔性プラスチックシートなどが好適に用いられる。不織布を構成する素材繊維としては、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工法によって得られた不織布を用いることができる。これらの加工法の内、スパンレース法は柔軟性、ドレープ性に富む点で優れ、サーマルボンド法は嵩高で圧縮復元性が高い点で優れている。前記表面シート3に多数の透孔を形成した場合には、体液が速やかに吸収されるようになり、ドライタッチ性に優れたものとなる。不織布の繊維は、長繊維または短繊維のいずれでもよいが、好ましくはタオル地の風合いを出すため短繊維を使用するのがよい。また、エンボス処理を容易とするために、比較的低融点のポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系繊維のものを用いるのがよい。また、融点の高い繊維を芯とし融点の低い繊維を鞘とした芯鞘型繊維やサイド-バイ-サイド型繊維、分割型繊維の複合繊維を好適に用いることもできる。
前記裏面シート2と表面シート3との間に介在される吸収体4は、たとえば綿状パルプと吸水性ポリマーとにより構成されている。前記吸水性ポリマーは吸収体を構成するパルプ中に、例えば粒状粉として混入されている。前記パルプとしては、木材から得られる化学パルプ、溶解パルプ等のセルロース繊維や、レーヨン、アセテート等の人工セルロース繊維からなるものが挙げられ、広葉樹パルプよりは繊維長の長い針葉樹パルプの方が機能および価格の面で好適に使用される。前記吸収体4の目付は、100~480g/mとするのが好ましい。
また、前記吸収体4には合成繊維を混合しても良い。前記合成繊維は、例えばポリエチレン又はポリプロピレン等のポリオレフィン系、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系、ナイロンなどのポリアミド系、及びこれらの共重合体などを使用することができるし、これら2種を混合したものであってもよい。また、融点の高い繊維を芯とし融点の低い繊維を鞘とした芯鞘型繊維やサイド-バイ-サイド型繊維、分割型繊維などの複合繊維も用いることができる。前記合成繊維は、体液に対する親和性を有するように、疎水性繊維の場合には親水化剤によって表面処理したものを用いるのが望ましい。
前記表面シート3の幅寸法は、図示例では、図2及び図3の横断面図に示されるように、吸収体4の幅よりも若干長めとされ、吸収体4を覆うだけに止まり、それより外方側は前記表面シート3とは別のサイド不織布7、具体的には経血やおりもの等が浸透するのを防止する、あるいは肌触り感を高めるなどの目的に応じて、適宜の撥水処理または親水処理を施した不織布素材を用いて構成されたサイド不織布7が配設されている。かかるサイド不織布7としては、天然繊維、合成繊維または再生繊維などを素材として、適宜の加工法によって形成されたものを使用することができるが、好ましくはゴワ付き感を無くすとともに、ムレを防止するために、坪量を抑えて通気性を持たせた不織布を用いるのがよい。具体的には、坪量を13~23g/mとして作製された不織布を用いるのが望ましく、かつ体液の透過を確実に防止するためにシリコン系、パラフィン系、アルキルクロミッククロリド系撥水剤などをコーティングした撥水処理不織布が好適に使用される。
前記サイド不織布7は、図2及び図3に示されるように、幅方向中間部より外側部分を所定の内側位置から裏面シート2の外縁までの範囲に亘ってホットメルトなどの接着剤によって接着し、これら前記サイド不織布7と裏面シート2との積層シート部分により吸収体4の両側部に吸収体4が介在しないフラップ部が形成されている。このフラップ部は、ほぼ着用者の体液排出部Hに相当する吸収体側部位置に左右一対のウイング状フラップW、Wを形成するとともに、これより臀部側(後部側)位置にヒップホールド用フラップW、Wを形成する。これらウイング状フラップW、Wおよびヒップホールド用フラップW、Wの外面側にはそれぞれ粘着剤層(図示せず)が備えられ、ショーツに対する装着時に、前記ウイング状フラップW、Wを基端部の折返し線RL(図1参照。)位置にて反対側(裏面シート2側)に折り返し、ショーツのクロッチ部分に巻き付けて止着するとともに、前記ヒップホールド用フラップWをショーツの内面に止着するようになっている。
一方、前記サイド不織布7の内方側部分はほぼ二重に折り返されるとともに、この二重シート内部の長手方向中間部に、両端または長手方向の適宜の位置が固定された1又は複数本の、図示例では3本の糸状弾性伸縮部材9、9…が伸長状態で配設されている。この二重シート部分は前後端部では図3に示されるように、外側に1回折り返して積層された状態で吸収体4側に接着された非起立部分を形成している。これによって、図2に示されるように、長手方向中間部の前記糸状弾性伸縮部材9…の配置範囲が、前記糸状弾性伸縮部材9…の収縮力により肌側に起立する立体ギャザーBS、BSが左右対で形成される。
〔圧搾溝〕
本生理用ナプキン1では、前記表面シート3の肌当接面側の両側部に、長手方向に延びる左右対の圧搾溝10が形成されている。前記圧搾溝10は、表面シート3の肌当接面側からの圧搾により、表面シート3及び吸収体4を一体的に裏面シート2側に窪ませた凹溝である。
前記圧搾溝10は、図1に示されるように、少なくとも体液排出部対応領域及びその後方の会陰部対応領域に設けられるのが好ましい。図示例では、体液排出部対応領域及び会陰部対応領域の両側部にそれぞれ、ナプキン長手方向に連続して延びる左右一対の股下部対応圧搾溝10A、10Aが設けられるとともに、その後方に離隔して、着用者の臀部溝に対応する後方領域の両側部にそれぞれ、ナプキン長手方向に延びる左右一対の臀部溝対応圧搾溝10Bが設けられている。更に、図示例の生理用ナプキン1では、前記体液排出部対応領域より前方の前方領域の幅方向中央部に、前記股下部対応圧搾溝10Aの前方に離隔して、前方に向けて膨出する略三日月形の平面形状からなる前方圧搾部10Cが設けられるとともに、前記後方領域の幅方向中央部に、前記臀部溝対応圧搾溝10Bの後方に離隔して、後方に向けて膨出する略U字形又は略半円弧形の平面形状からなる後方圧搾溝10Dが設けられている。
図1及び図4に示されるように、前記体液排出部対応領域は、概ね着用者の体液排出部Hの長さ、すなわち女性の陰裂に相当する長さで形成されており、両側にウイング状フラップW、Wが配置された長手範囲、すなわちウイング状フラップWの基端部のナプキン長手方向の長さとほぼ一致する長手範囲を有する領域である。また、その後方に位置する前記会陰部対応領域は、着用者の体液排出部Hと肛門より後側に延びる臀部溝との中間、すなわち着用者の会陰部が当接する領域である。前記後方領域は、着用者の会陰部より後方部分、すなわち肛門より後側に延びる臀部溝が当接する領域である。前記前方領域は、着用者の体液排出部Hより前方部分が当接する領域である。
前記股下部対応圧搾溝10Aは、生理用ナプキン1の装着時に幅方向外方側から内方側に向けた脚の付け根の内側部分からの脚圧が作用したとき、この脚圧を左右の股下部対応圧搾溝10A、10Aで受け止めて、左右の股下部対応圧搾溝10A、10A間の幅方向中央部を肌側に隆起させ、着用者の体液排出部や会陰部に密着できるようにするものである。前記臀部溝対応圧搾溝10Bについても同様に、生理用ナプキン1の装着時に幅方向外方側から内方側に向けた臀部の圧力が作用したとき、この圧力を左右の臀部溝対応圧搾溝10B、10Bで受け止めて、左右の臀部溝対応圧搾溝10B、10B間の幅方向中央部を肌側に隆起させ、着用者の臀裂部に密着できるようにするものである。一方、前記前方圧搾部10C及び後方圧搾溝10Dは、生理用ナプキン1の表面をナプキン長手方向端部に向けて流れる体液を塞き止めて、長手方向端部からの漏れを防止するためのものである。
前記股下部対応圧搾溝10Aは、前記体液排出部対応領域及び会陰部対応領域のそれぞれにおいて、幅方向中央側に向けて突出した円弧状の平面形状で形成するのが好ましい。これにより、生理用ナプキン1の装着時に、幅方向外方側から内方側に向けた脚圧が作用したとき、この圧力を圧搾溝10Aで受け止めて、各領域の左右の圧搾溝間を肌側に向けて膨出させる効果が生じやすくなる。各領域において幅方向中央側に向けた突出量が最大となる位置、すなわち円弧の頂部位置は、各領域のナプキン長手方向に対して中央位置とするのが好ましい。また、円弧状に形成された各圧搾溝の円弧の曲率半径は、体液排出部対応領域では相対的に大きく、会陰部対応領域では相対的に小さくするのが好ましい。これにより、装着時に幅方向外方側から脚圧が作用したとき、会陰部対応領域の幅方向中央部がより肌側に隆起しやすくなり、生理用ナプキン1の表面が肌面に密着しやすくなる。更に、左右の股下部対応圧搾溝10A、10Aのナプキン幅方向の離隔距離は、体液排出部対応領域では相対的に大きく、会陰部対応領域では相対的に小さくするのが好ましい。
前記圧搾溝10は、各領域にそれぞれ離隔して設けられるようにしてもよいし、隣接する2つ以上の領域間で連続して設けられるようにしてもよい。図1に示される形態例では、前記股下部対応圧搾溝10Aが体液排出部対応領域及び会陰部対応領域に連続して設けられているが、体液排出部対応領域と会陰部対応領域とにそれぞれ離隔して設けられるようにしてもよい。また、股下部対応圧搾溝10Aと臀部溝対応圧搾溝10Bとが会陰部対応領域と後方領域との間で離隔して設けられているが、これらの領域間で離隔せず連続して設けられるようにしてもよい。また、圧搾溝10を全体として、周方向に閉合する細長い環状に形成してもよい。
〔低坪量部又は切れ込み部〕
本生理用ナプキン1では、図5に示されるように、前記吸収体4の少なくとも両側部に、吸収体4の側縁から幅方向に延びるとともに、長手方向に間隔を空けて複数の低坪量部11、11…が形成されている。前記低坪量部11は、周囲より吸収体4の構成材料の目付が低い部分であり、目付が0の吸収体4の厚み方向に貫通したスリット状であってもよい。また、前記低坪量部11は、該低坪量部11が延びる方向と直交する方向に所定幅を有しているが、図6に示されるように、実質的に幅を有さない切れ込み部12としてもかまわない。以下、前記低坪量部11を設けた場合について説明するが、この低坪量部11に代えて前記切れ込み部12を設けた場合も同様の効果が奏される。
前記低坪量部11を設けることにより、この低坪量部11を折れ曲がり誘導部として、吸収体4が長手方向に折れ曲がりやすくなり、生理用ナプキン1が身体の形状に沿って変形しやすくなる。これによって、生理用ナプキン1の表面が着用者の肌面に密着し、肌面を伝って体液が外部に漏れるのが防止できる。
前記低坪量部11は、吸収体4の長手方向に、所定の間隔を設けて間欠的に形成されている。吸収体4に形成する低坪量部11の本数や間隔は、生理用ナプキン1の大きさや吸収体4の大きさ等に応じて適宜決定することができる。
図5に示されるように、吸収体4の長手方向において隣り合う低坪量部11、11間の間隔Lは、10~50mmであるのが好ましい。10mmより小さいと、装着時に幅方向外方側から内方側に向けた脚圧が圧搾溝10に伝わりにくくなり、圧搾溝10が効果的に作用しなくなるおそれがある。また、50mmより大きいと、吸収体4の折れ曲がりの間隔が大きすぎて、吸収体4が着用者の身体の形状に沿って変形しにくくなる。
また、吸収体4の長手方向片側に設けられる低坪量部11の本数は、2~20本、好ましくは2~10本がよい。
前記低坪量部11の線幅Bは、0(前記切れ込み部12の場合)~10mmとするのがよい。10mmより大きくすると、表面に凹凸が生じ、装着感が悪くなる。
前記低坪量部11は、着用者の会陰部に対するフィット性を向上するため、図5に示される実施形態例のように、会陰部対応領域にのみ設けるのが好ましいが、その他の領域(体液排出部対応領域、前方領域、後方領域)に設けてもよい。ここで、隣り合う低坪量部11、11の間隔は均等である必要はなく、例えば、体液排出部対応領域では会陰部対応領域より間隔を広くし、後方領域では更に広くするなどのように、着用者の身体の形状に合わせて配置間隔を調整してもよい。配置間隔を狭くすれば、細かな身体の凹凸に沿ってフィットしやすくなり、配置間隔を広くすれば、臀裂溝など大きな身体の丸みに沿って良好にフィットするようになる。
前記低坪量部11は、吸収体4の両側部に長手方向に沿って延びる前記圧搾溝10より前記吸収体4の幅方向中央側まで延びている。すなわち、吸収体4の側縁から幅方向中央に向けて延びる低坪量部11の先端が、前記股下部対応圧搾溝10Aより吸収体4の幅方向中央側に位置している。これによって、前記股下部対応圧搾溝10Aは、それぞれナプキン幅方向に延びるとともにナプキン長手方向に間隔を空けて配置された複数の低坪量部11、11をナプキン長手方向に横断するように配置される。
吸収体4の幅方向一方側においてナプキン長手方向に離隔する2本の低坪量部11、11は、股下部対応圧搾溝10Aのうち、会陰部対応領域において幅方向中央側に突出した円弧状部分の頂部aを通るナプキン幅方向線に対して、線対称の位置に配置するのが好ましい。
更に、本生理用ナプキン1では、ナプキン幅方向が、前記吸収体4の側縁と前記圧搾溝10(股下部対応圧搾溝10A)とで囲まれるとともに、ナプキン長手方向が、前記低坪量部11、11で囲まれた領域(図5中、斜線を施した領域)の吸収体4は、前記圧搾溝10より幅方向中央側の吸収体4と比較して剛性が高い高剛性領域13を形成している。
前記高剛性領域13は、他の領域より吸収体4の密度が高くなるように形成するのが好ましい。すなわち、高剛性領域13を形成する部分の全体をほぼ均等に圧搾することにより、部分的に吸収体の密度を高くし、剛性を高めている。なお、前記高剛性領域13の吸収体4は、他の領域より高目付にしてもよいし、他の領域と同じ目付でもよい。
なお、本発明の高剛性領域13とその他の領域とは、相対的に剛性に差があれば良いものである。また、本発明の剛性とは、曲げ剛性(剛度)のことを意味し、JIS K 7171(プラスチック-曲げ特性の求め方)に準拠し、次の方法で測定する。測定にはテンシロン試験機(圧子先端部の曲率半径R1=5.0±0.1mm、支持プレート先端部の曲率半径R2=5.0±0.2mm)を用い、吸収体4のナプキン幅方向の曲げ剛性を測定する。試験片は、吸収体4をナプキン長手方向80mm、ナプキン幅方向50mmの長方形に切り取ることにより作製する。曲げ剛性値の単位中の50mmは試験片の短辺の長さであり、試験時の圧子でたわませた試験片の幅である。それぞれ断面円弧状の先端部を有し、両先端部の先端(上端)間の間隔を位置を揃えて配置された一対の支持プレート上に、上記の試験片を、その長手方向を各プレートに直交する方向に向けて、掛け渡すように載置し、その試験片に僅かに接するように圧子先端部を配置する。ロードセル5kg(レンジ196cN)、速度30mm/minの条件で圧子を降下させ、荷重-たわみ曲線を得る。得られた曲げ応力の最大値を曲げ剛性値(cN/50mm)とする。なお、測定対象となる部位が上記サンプリング寸法より小さい場合は、小スケールの試験片で測定を行い、寸法比に基づいて比例計算にて換算する。
このように、ナプキン長手方向に離隔する低坪量部11、11間の圧搾溝10より幅方向外側部分の吸収体が高剛性領域13を形成しているため、装着時に幅方向外方側から内方側に向けた脚圧が作用したとき、前記低坪量部11、11間の吸収体が座屈などによって圧力が分散されることなく、股下部対応圧搾溝10Aにしっかりと圧力が伝達されるため、左右の股下部対応圧搾溝10A、10A間の幅方向中央部が肌側に隆起して、着用者の会陰部に確実に密着し、会陰部より後側に体液が流れて後漏れが生じるのが防止できるようになる。
図5に示される実施形態例では、前記低坪量部11が吸収体4の中央部で離隔して吸収体4の両側部それぞれに設けられ、吸収体4の中央部には設けられないようになっている。この形態例では、吸収体4が幅方向中央部で長手方向の全長に亘ってほぼ一定の目付で配置されるため、長手方向に対して体液が拡散しやすくなり、吸収体4の広い領域で体液が吸収でき、前記低坪量部11を設けることにより吸収性能が低下するのが抑えられる。
この変形例として、図7に示されるように、前記低坪量部11は、吸収体4の両側縁間を結ぶように、吸収体4の全幅に亘って形成してもよい。この形態例では、装着時に吸収体4の折れ曲がり誘導部となる低坪量部11が、吸収体4の全幅に亘って形成されるため、吸収体4が低坪量部11を基点として確実に折れ曲がりやすくなる。
また、図5に示される実施形態例では、前記低坪量部11が生理用ナプキン1の幅方向にほぼ平行して延びている。この形態例では、吸収体4が低坪量部11を折れ曲がり基点として、ナプキン長手方向に折れ曲がりやすくなる。
この変形例として、図8に示されるように、前記低坪量部11は、吸収体4の幅方向中央側の点Pを中心として、幅方向外側に向けて放射状に延びるように形成してもよい。つまり、低坪量部11が吸収体4の幅方向に対して角度を有するように形成してもよい。吸収体4の幅方向に対する低坪量部11の角度は、例えば±45°以内、好ましくは±30°以内とすることができる。前記低坪量部11を放射状に配置することにより、装着時に幅方向外方側から内方側に向けた脚圧が、圧搾溝10(股下部対応圧搾溝10A)の所定部位に集約されて集中的に作用するため、圧搾溝10、10間が肌側に隆起しやすくなる。放射基点となる前記点Pは、股下部対応圧搾溝10Aの会陰部対応領域における円弧状に形成された部分の円弧の頂部aを通るナプキン幅方向の仮想線S上に配置するのが好ましい。
前記生理用ナプキン1を個別包装するに際しては、前記本体部分の裏面シート2の外面に設けられた粘着剤層及びウイング状フラップW、ヒップホールド用フラップWの外面側に設けられた粘着剤層をそれぞれ、紙またはフィルムからなる剥離シートによって被覆するとともに、生理用ナプキン1の外面側に包装シートを配置し、生理用ナプキン1、剥離シート及び包装シートを共に長手方向に三つ折り又は四つ折りとし、側縁部分をヒートシールするとともに、開封端部をテープ等により止着する。
前記生理用ナプキン1を長手方向に折り畳む際には、図1に示されるように、ウイング状フラップWの後側基端部の後方に幅方向に沿って延びる後側折り線L1位置にて、生理用ナプキン1の後方部(会陰部対応領域及び後方領域)を、体液排出部対応領域の肌当接面側に長手方向に折り畳んだならば、ウイング状フラップWの前側基端部の前方に幅方向に沿って延びる前側折り線L2位置にて、生理用ナプキン1の前方領域を、体液排出部対応領域の肌当接面側に折り畳まれた前記後方部の上層に重ねて長手方向に折り畳む。図示例のように後方部のナプキン長手方向の長さが体液排出部対応領域のナプキン長手方向の長さより長い場合には、後方部の中間部に幅方向に沿って延びる折り線L3位置にて後方部を2つに折り畳んだ上で、この2つに折り畳まれた後方部を前記後側折り線L1位置にて長手方向に折り畳むようにする。
前記後側折り線L1は、前記低坪量部11と重なる位置に設けるのが好ましい。これにより、後側折り線L1における折り癖が柔らかくなり、装着時に生理用ナプキン1が身体に沿って変形しやすくなる。
吸収体4に前記低坪量部11を設けるには、吸収体の積繊時における吸収体積繊用凹部に、前記低坪量部11に対応する凸部が設けられたものを用いるか、カッター装置を用いて前記低坪量部11に対応する部分をカットする方法を用いることができる。
1…生理用ナプキン、2…裏面シート、3…表面シート、4…吸収体、5…被包シート、7…サイド不織布、9…糸状弾性伸縮部材、10…圧搾溝、11…低坪量部、12…切れ込み部、13…高剛性領域

Claims (7)

  1. 吸収体と前記吸収体の肌当接面側に配置された表面シートとを具備し、
    前記表面シートの肌当接面側の両側部に、長手方向に延びる左右対の圧搾溝が形成され、
    前記吸収体の少なくとも両側部に、前記吸収体の側縁から幅方向に延びるとともに長手方向に間隔を空けて複数の低坪量部又は切れ込み部が形成されており、
    前記低坪量部又は切れ込み部が、前記圧搾溝より前記吸収体の幅方向中央側まで延びるとともに、前記吸収体の側縁と前記圧搾溝と前記低坪量部又は切れ込み部とで囲まれた領域の前記吸収体が、前記圧搾溝より幅方向中央側の前記吸収体と比較して剛性が高い高剛性領域を形成していることを特徴とする吸収性物品。
  2. 前記高剛性領域は、他の領域より吸収体の密度が高い請求項1記載の吸収性物品。
  3. 前記圧搾溝は、少なくとも前記低坪量部又は切れ込み部が形成された長手方向の範囲内において、幅方向中央側に向けて突出した円弧状の平面形状で形成されている請求項1、2いずれかに記載の吸収性物品。
  4. 前記低坪量部又は切れ込み部は、前記吸収体の両側部それぞれに設けられ、前記吸収体の中央部には設けられていない請求項1~3いずれかに記載の吸収性物品。
  5. 前記低坪量部又は切れ込み部は、前記吸収体の全幅に亘って形成されている請求項1~3いずれかに記載の吸収性物品。
  6. 前記低坪量部又は切れ込み部は、吸収性物品の幅方向に平行して延びるか、前記吸収体の幅方向中央側の点を中心として、幅方向外側に向けて放射状に延びている請求項1~5いずれかに記載の吸収性物品。
  7. 前記低坪量部又は切れ込み部と重なる位置に、前記吸収性物品を個別包装する際に長手方向に折り畳む幅方向折り線が設けられている請求項1~6いずれかに記載の吸収性物品。
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