JP2022040613A - シール構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】オイルシールの摺動によるメカニカルロスを低減できる、シール構造を提供する。【解決手段】トランスファ6の第1スプロケット112には、CVT5のアウトプット軸43の周囲を取り囲む円環状のスプロケット部121に対して前側および後側に、それぞれスプロケット部121から延出する前側延出部122および後側延出部123が形成されている。そして、トランスファ6を収容する第1トランスファケース14と前側延出部122との間に、前側オイルシール126,127が前側延出部122に当接した状態に設けられ、第2トランスファケース15と後側延出部123との間に、後側オイルシール128,129が後側延出部123に当接した状態に設けられている。【選択図】図2

Description

本発明は、変速機のオイルとトランスファのオイルとを分離するためのシール構造に関する。
走行用の駆動源としてエンジンを搭載した車両では、そのエンジンの動力が変速機を介して駆動輪に伝達される。エンジンの搭載方式には、クランクシャフトが車体の前後方向に対して縦向きになる縦置きと横向きになる横置きとがある。
エンジンが縦置きで搭載されて、FR(Front-engine Rear-wheel-drive:フロントエンジン・リヤドライブ)方式が採用された車両では、変速機のアウトプット軸にトランスファを結合して、アウトプット軸の動力を左右の前輪に伝達することにより、FR仕様から4WD(four-wheel drive:4輪駆動)仕様に変更することができる。また、アウトプット軸からトランスファへの動力の伝達/遮断を切り替えるクラッチを設ければ、左右の後輪による2輪駆動状態と左右の前輪および後輪による4輪駆動状態とに切替可能な4WD仕様とすることができる。
変速機のアウトプット軸にトランスファを結合した構成では、変速機のオイルとトランスファのオイルとを分離する必要がある。たとえば、変速機とトランスファとの間において、変速機およびトランスファの外殻をなすケースとアウトプット軸との間にオイルシールを介装することにより、変速機のオイルとトランスファのオイルとを分離することができる。
実開平2-44154号公報
ところが、アウトプット軸は、2輪駆動状態および4輪駆動状態のいずれの状態でも常に回転するため、アウトプット軸上にオイルシールを設けた構成では、オイルシールの摺動によるメカニカルロスが常に発生し、車両の燃費が悪化する。
本発明の目的は、オイルシールの摺動によるメカニカルロスを低減できる、シール構造を提供することである。
前記の目的を達成するため、本発明に係るシール構造は、変速機のアウトプット軸の動力が主駆動輪に伝達され、アウトプット軸にトランスファがクラッチを介して結合され、クラッチの係合状態で、アウトプット軸の動力がトランスファのスプロケットに伝達されて、その動力がトランスファから副駆動輪に伝達され、クラッチの解放状態で、アウトプット軸からスプロケットへの動力の伝達が遮断されるとともに、トランスファと副駆動輪との間での動力の伝達が遮断される構成において、変速機のオイルとトランスファのオイルとを分離するためのシール構造であって、スプロケットには、アウトプット軸の周囲を取り囲む円環状をなし、複数の歯を外周面に有するスプロケット部と、スプロケット部からアウトプット軸の軸線方向の一方側に延出する第1延出部と、スプロケット部から軸線方向の一方側と反対の他方側に延出する第2延出部とが形成され、トランスファを収容するケースと第1延出部との間に、第1オイルシールが第1延出部に当接した状態に設けられ、ケースと第2延出部との間に、第2オイルシールが第2延出部に当接した状態に設けられている。
この構成によれば、変速機のアウトプット軸の動力は、主駆動輪に伝達される。また、アウトプット軸の動力をトランスファのスプロケットに伝達/遮断するクラッチが設けられている。クラッチの係合により、アウトプット軸の動力がトランスファを介して副駆動輪に伝達され、主駆動輪および副駆動輪が駆動される状態となる。クラッチの解放により、アウトプット軸の動力がトランスファのスプロケットに伝達されないので、その動力が副駆動輪に伝達されず、主駆動輪のみが駆動される状態となる。
スプロケットには、アウトプット軸の周囲を取り囲む円環状のスプロケット部に対してアウトプット軸の軸線方向の一方側および他方側に、それぞれスプロケット部から延出する第1延出部および第2延出部が形成されている。そして、トランスファを収容するケースと第1延出部との間に、第1オイルシールが第1延出部に当接した状態に設けられ、ケースと第2延出部との間に、第2オイルシールが第2延出部に当接した状態に設けられている。
アウトプット軸の動力がトランスファのスプロケットに伝達されない状態では、スプロケットが回転しないので、スプロケットに第1オイルシールおよび第2オイルシールが当接している構成では、スプロケットに対する第1オイルシールおよび第2オイルシールの摺動によるメカニカルロスを低減できる。その結果、このシール構造が適用される車両の燃費を改善することができる。
また、第1延出部の内径を大きく設定し、第1延出部とアウトプット軸との間にクラッチのクラッチハブ(またはクラッチハブと一体に設けられる部材)を進入させて、クラッチハブと第1延出部とをスプライン結合させることができる。こうすることにより、変速機およびトランスファを含むユニットの全長(軸線方向の長さ)の短縮を図ることができる。
第1オイルシールおよび第2オイルシールは、軸線方向に対称な形状をなしていることが好ましい。
これにより、第1オイルシールおよび第2オイルシールからスプロケットに与えられる緊迫力を等しくすることができる。第1オイルシールおよび第2オイルシールの緊迫力が等しければ、スプロケットが軸線方向の一方側または他方側に倒れることが抑制されるので、第1延出部および第2延出部とケースとの間隔が変動することを抑制できる。そのため、第1オイルシールおよび第2オイルシールの緊迫力の低減を図っても、シール性を確保することができる。第1オイルシールおよび第2オイルシールの緊迫力の低減により、主駆動輪および副駆動輪の駆動時にもメカニカルロスを低減できる。その結果、車両の燃費をさらに向上させることができる。
ケースと第1延出部との間に第1ベアリングが介装され、ケースと第2延出部との間に第2ベアリングが介装されて、スプロケットが第1ベアリングおよび第2ベアリングを介してケースに回転可能に保持され、第1オイルシールは、第1ベアリングに隣接して設けられ、第2オイルシールは、第2ベアリングに隣接して設けられていることが好ましい。
第1オイルシールおよび第2オイルシールがそれぞれスプロケットを支持する第1ベアリングおよび第2ベアリングに隣接しているので、第1オイルシールおよび第2オイルシールが配置されている部分で、第1延出部および第2延出部とケースとの間隔が変動することを抑制できる。そのため、第1オイルシールおよび第2オイルシールの緊迫力のさらなる低減を図ることができ、メカニカルロスをさらに低減できる。その結果、車両の燃費を一層向上させることができる。
本発明によれば、オイルシールの摺動によるメカニカルロスを低減することができる。
本発明の一実施形態に係る変速ユニットの構成を示す断面図である。 変速ユニットの後端部(トランスファを含む部分)を図1よりも拡大して示す断面図である。 CVTおよびトランスファの構成を図解的に示すスケルトン図である。
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
<変速ユニット>
図1は、本発明の一実施形態に係るシール構造が適用された変速ユニット1の構成を示す断面図である。なお、図1以降の断面図では、断面を表すハッチングの付与が省略されている。
変速ユニット1は、車両に搭載されて、走行用の駆動源としてのエンジン2(E/G)2が発生する動力を変速するユニットである。車両は、FR(フロントエンジン・リヤドライブ)ベースのパートタイム4WD(four-wheel-drive:4輪駆動)車である。
エンジン2は、たとえば、3気筒4ストロークエンジンであり、クランクシャフトが車体の前後方向に対して縦向きになる縦置きで搭載される。エンジン2の気筒数は、3気筒に限らず、4気筒以上であってもよいし、2気筒以下であってもよい。また、エンジン2のストローク数は、4ストロークに限らず、2ストロークであってもよい。
変速ユニット1は、外殻をなすユニットケース3内に、トルクコンバータ4、CVT(Continuously Variable Transmission:無段変速機)5およびトランスファ6を備えている。
<ユニットケース>
ユニットケース3は、トルクコンバータ4およびCVT5を収容するトランスミッションケースと、トランスファ6を収容するトランスファケースとを含む。トランスミッションケースは、第1トランスミッションケース11、第2トランスミッションケース12および第3トランスミッションケース13の3分割で構成されている。トランスファケースは、第1トランスファケース14および第2トランスファケース15の2分割で構成されている。第1トランスミッションケース11、第2トランスミッションケース12、第3トランスミッションケース13、第1トランスファケース14および第2トランスファケース15は、たとえば、アルミ合金製であり、ダイカスト法によって鋳造される。
第1トランスミッションケース11、第2トランスミッションケース12および第3トランスミッションケース13は、前側(エンジン2側)からこの順に並べられている。第1トランスミッションケース11と第2トランスミッションケース12とがボルト16で締結され、第2トランスミッションケース12と第3トランスミッションケース13とがボルト17で締結されることにより、第1トランスミッションケース11、第2トランスミッションケース12および第3トランスミッションケース13は、一体化されている。
第1トランスファケース14および第2トランスファケース15は、前側からこの順に並べられている。第1トランスファケース14と第2トランスファケース15とは、ボルト18で締結されることにより一体化されている。そして、第1トランスファケース14がボルト(図示せず)で第3トランスミッションケース13に締結されることにより、トランスミッションケースおよびトランスファケースは、一体化されている。
<トルクコンバータ>
トルクコンバータ4は、第1トランスミッションケース11内に収容されている。トルクコンバータ4は、フロントカバー21、ポンプインペラ22、タービンハブ23、タービンランナ24、ロックアップ機構25およびステータ26を備えている。
フロントカバー21は、車両(車体)の前後方向に延びる回転軸線を中心に略円板状に延び、その外周端部がエンジン2側と反対側(後述する無段変速機構42側)である後側に屈曲した形状をなしている。フロントカバー21の中心部は、前側に膨出している。この膨出した部分には、エンジン2のクランクシャフトが相対回転不能に結合される。
ポンプインペラ22は、フロントカバー21の後側に配置されている。ポンプインペラ22の外周端部は、フロントカバー21の外周端部に接続され、回転軸線を中心にフロントカバー21と一体回転可能に設けられている。ポンプインペラ22の内面には、複数のブレード27が放射状に並べて配置されている。
タービンハブ23は、フロントカバー21とポンプインペラ22との間に配置されている。
タービンランナ24は、タービンハブ23に固定されている。タービンランナ24のポンプインペラ22との対向面には、複数のブレード28が放射状に並べて配置されている。
ロックアップ機構25は、ロックアップピストン31およびダンパ機構32を備えている。
ロックアップピストン31は、略円環板状をなし、その内周端部がタービンハブ23に外嵌されて、フロントカバー21とタービンランナ24との間に位置している。ロックアップピストン31に対してタービンランナ24側の係合側油室33の油圧がフロントカバー21側の解放側油室34の油圧よりも高いと、その差圧により、ロックアップピストン31がフロントカバー21側に移動する。そして、ロックアップピストン31がフロントカバー21に押し付けられると、ポンプインペラ22とタービンランナ24とが直結(ロックアップオン)される。逆に、解放側油室34の油圧が係合側油室33の油圧よりも高いと、その差圧により、ロックアップピストン31がタービンランナ24側に移動する。ロックアップピストン31がフロントカバー21から離間した状態では、ポンプインペラ22とタービンランナ24との直結が解除(ロックアップオフ)される。
ダンパ機構32は、ポンプインペラ22とタービンランナ24との直結時にエンジン2からの振動を減衰するための機構である。
ステータ26は、ポンプインペラ22とタービンランナ24との間に配置されている。
ロックアップオフの状態において、エンジントルクによりポンプインペラ22が回転すると、ポンプインペラ22からタービンランナ24に向かうオイルの流れが生じる。このオイルの流れがタービンランナ24のブレード28で受けられて、タービンランナ24が回転する。このとき、トルクコンバータ4の増幅作用が生じ、タービンランナ24には、エンジントルクよりも大きなトルクが発生する。
<CVT>
CVT5は、第2トランスミッションケース12および第3トランスミッションケース13内に収容されている。CVT5は、インプット軸41、無段変速機構42、アウトプット軸43およびリバース伝達機構44を備えている。変速ユニット1は、エンジン2の後側に、CVT5のインプット軸41が車両の前後方向に延びる縦向きとなる縦置きで配置されている。
インプット軸41は、中空軸に形成されて、トルクコンバータ4の回転軸線上を延びている。インプット軸41の前端部は、トルクコンバータ4内に挿入されて、タービンハブ23とスプライン嵌合している。
なお、以下の説明において、インプット軸41の軸線が延びる方向を「軸線方向」という。また、軸線方向と直交する方向、つまりインプット軸41の径方向を「軸径方向」という。
インプット軸41の後端部は、第2トランスミッションケース12内に配置された機械式のオイルポンプ45に回転可能に支持されている。具体的には、オイルポンプ45は、ポンプケース46と、ポンプケース46に後側から接合されるポンプカバー47と、ポンプケース46内のスペースに配置されるポンプギヤ48と、ポンプギヤ48に相対回転不能に結合されるポンプ軸49とを備えている。ポンプカバー47は、第2トランスミッションケース12に固定され、ポンプケース46内のスペースを後側から閉鎖している。ポンプケース46の前端部には、後側に略円柱状に凹んだ凹部51が形成されている。インプット軸41の後端部は、凹部51内に挿入されて、インプット軸41の周面と凹部51の内周面との間に介在されるラジアルベアリング52を介してポンプケース46に回転可能に支持されている。
また、インプット軸41の後側の端面と凹部51の底面との間には、スラストベアリング53が介在されている。これにより、インプット軸41の回転時におけるメカニカルロスが低減される。
ポンプ軸49は、ポンプケース46およびポンプカバー47を貫通して設けられている。ポンプ軸49は、ポンプケース46から前側に延び、インプット軸41にその内周面との間に隙間を空けて挿通されている。ポンプ軸49の前端部は、トルクコンバータ4のフロントカバー21に達し、そのフロントカバー21の中心部に相対回転不能に接続されている。これにより、エンジン2の動力によりフロントカバー21が回転すると、フロントカバー21と一体にポンプ軸49およびポンプギヤ48が回転し、オイルポンプ45から油圧が発生する。
無段変速機構42は、プライマリ軸54、セカンダリ軸55、プライマリプーリ56、セカンダリプーリ57およびベルト58を備えている。
プライマリ軸54は、第1トランスミッションケース11と第2トランスミッションケース12との間において、インプット軸41に対して車両の後側から見て右下方に離間した位置で、インプット軸41と平行に延び、その軸心まわりに回転可能に設けられている。
セカンダリ軸55は、第1トランスミッションケース11と第2トランスミッションケース12との間において、インプット軸41の軸心に対して車両の後側から見て左上方に離間した位置でインプット軸41と平行に延び、その軸心まわりに回転可能に設けられている。
プライマリプーリ56は、プライマリ軸54に固定されたプライマリ固定シーブ61と、プライマリ固定シーブ61にベルト58を挟んで対向配置され、プライマリ軸54に軸線方向に移動可能かつ相対回転不能に支持されたプライマリ可動シーブ62とを備えている。プライマリ可動シーブ62は、プライマリ固定シーブ61に対して前側に配置されている。プライマリ可動シーブ62に対してプライマリ固定シーブ61側と反対側、つまり前側には、シリンダ63が設けられ、プライマリ可動シーブ62とシリンダ63との間には、油室(ピストン室)64が形成されている。
セカンダリプーリ57は、セカンダリ軸55に固定されたセカンダリ固定シーブ65と、セカンダリ固定シーブ65にベルト58を挟んで対向配置され、セカンダリ軸55に軸線方向に移動可能かつ相対回転不能に支持されたセカンダリ可動シーブ66とを備えている。セカンダリ可動シーブ66は、セカンダリ固定シーブ65に対して後側に配置されている。セカンダリ可動シーブ66に対してセカンダリ固定シーブ65と反対側、つまり後側には、ピストン67が設けられ、セカンダリ可動シーブ66とピストン67との間には、油室68が形成されている。
ベルト58は、無端状に形成され、プライマリ固定シーブ61とプライマリ可動シーブ62との間に挟まれた状態でプライマリプーリ56に巻き掛けられるとともに、セカンダリ固定シーブ65とセカンダリ可動シーブ66との間に挟まれた状態でセカンダリプーリ57に巻き掛けられている。
無段変速機構42では、プライマリプーリ56およびセカンダリプーリ57の各油室64,68に供給される油圧が制御されて、プライマリプーリ56およびセカンダリプーリ57の各溝幅が変更されることにより、ベルト変速比(プライマリプーリ56とセカンダリプーリ57とのプーリ比)が一定の変速比範囲内で連続的に無段階で変更される。
具体的には、ベルト変速比が小さくされるときには、プライマリプーリ56の油室64に供給される油圧が上げられる。これにより、プライマリプーリ56のプライマリ可動シーブ62がプライマリ固定シーブ61側に移動し、プライマリ固定シーブ61とプライマリ可動シーブ62との間隔(溝幅)が小さくなる。これに伴い、プライマリプーリ56に対するベルト58の巻き掛け径が大きくなり、セカンダリプーリ57のセカンダリ固定シーブ65とセカンダリ可動シーブ66との間隔(溝幅)が大きくなる。その結果、ベルト変速比が小さくなる。
ベルト変速比が大きくされるときには、プライマリプーリ56の油室64に供給される油圧が下げられる。これにより、ベルト58に対するセカンダリプーリ57の推力がベルト58に対するプライマリプーリ56の推力よりも大きくなり、セカンダリプーリ57のセカンダリ固定シーブ65とセカンダリ可動シーブ66との間隔が小さくなるとともに、プライマリ固定シーブ61とプライマリ可動シーブ62との間隔が大きくなる。その結果、ベルト変速比が大きくなる。
セカンダリプーリ57の油室68には、バイアススプリング69が設けられている。バイアススプリング69は、一端がセカンダリ可動シーブ66に弾性的に当接し、他端がピストン67に弾性的に当接している。バイアススプリング69の弾性力により、セカンダリ可動シーブ66およびピストン67が互いに離間する方向に付勢されている。セカンダリ可動シーブ66には、油室68内の油圧およびバイアススプリング69による付勢力が付与され、ベルト58には、それに応じた挟圧が付与される。
また、インプット軸41には、軸線方向の中央部に、入力軸ギヤ81が一体に形成されている。これに対応して、プライマリ軸54には、入力軸ギヤ81と噛合するプライマリ入力ギヤ82が相対回転可能に支持されている。これらの互いに噛合する入力軸ギヤ81およびプライマリ入力ギヤ82とオイルポンプ45との間のスペースを利用して、プライマリ軸54に対するプライマリ入力ギヤ82の回転を許容/禁止する前進クラッチ83が設けられている。前進クラッチ83の一部は、オイルポンプ45と軸径方向に重なっている(軸線方向に見て重なっている)。
前進クラッチ83は、クラッチドラム84、クラッチハブ85およびクラッチピストン86を備えている。クラッチドラム84は、内周端がプライマリ軸54に固定され、プライマリ軸54から軸径方向に延び、外周端部がプライマリ入力ギヤ82側、つまり前側に屈曲して延びている。クラッチハブ85は、プライマリ入力ギヤ82と一体に形成され、プライマリ入力ギヤ82から後側に延出する円筒状をなし、クラッチドラム84の外周端部に対して軸径方向の内側から間隔を空けて対向している。クラッチピストン86は、クラッチドラム84とクラッチハブ85との間に、軸線方向に移動可能に設けられている。クラッチピストン86は、クラッチドラム84に液密的に当接しており、クラッチドラム84とクラッチピストン86との間には、クラッチピストン86に作用する油圧が供給される油室87が形成されている。また、クラッチピストン86は、リターンスプリング88により、後側に弾性的に付勢されている。
クラッチドラム84の外周端部とクラッチハブ85とに軸径方向に挟まれる空間において、クラッチドラム84に保持されるクラッチプレートとクラッチハブ85に保持されるクラッチディスクとが軸線方向に交互に並んでいる。油室87に供給される油圧により、クラッチピストン86が前側に移動してクラッチプレートを後側から押圧すると、クラッチプレートとクラッチディスクとが圧接し、前進クラッチ83が係合する。前進クラッチ83の係合により、プライマリ軸54に対するプライマリ入力ギヤ82の回転が禁止され、プライマリ入力ギヤ82が回転すると、プライマリ軸54がプライマリ入力ギヤ82と一体に回転する。前進クラッチ83の係合状態から油圧が開放されると、リターンスプリング88の付勢力により、クラッチピストン86が後側に移動し、クラッチディスクとクラッチプレートとの圧接が解除されて、前進クラッチ83が解放される。前進クラッチ83の解放により、プライマリ軸54に対するプライマリ入力ギヤ82の回転が許容され、プライマリ入力ギヤ82が回転しても、その回転がプライマリ軸54に伝達されない。
セカンダリ軸55には、セカンダリ入力ギヤ91が相対回転可能に支持されている。セカンダリ入力ギヤ91は、軸線方向において、入力軸ギヤ81とオイルポンプ45との間に配置されている。また、セカンダリ入力ギヤ91とオイルポンプ45との間のスペースを利用して、セカンダリ軸55に対するセカンダリ入力ギヤ91の回転を許容/禁止する後進クラッチ92が設けられている。後進クラッチ92の一部は、オイルポンプ45と軸径方向に重なっている(軸線方向に見て重なっている)。
後進クラッチ92は、クラッチドラム93、クラッチハブ94およびクラッチピストン95を備えている。クラッチドラム93は、内周端がセカンダリ軸55に固定され、セカンダリ軸55から軸径方向に延び、外周端部がセカンダリ入力ギヤ91側、つまり前側に屈曲して延びている。クラッチハブ94は、セカンダリ入力ギヤ91と一体に形成され、セカンダリ入力ギヤ91から後側に延出する円筒状をなし、クラッチドラム93の外周端部に対して軸径方向内側から間隔を空けて対向している。クラッチピストン95は、クラッチドラム93とクラッチハブ94との間に、軸線方向に移動可能に設けられている。クラッチピストン95は、クラッチドラム93に液密的に当接しており、クラッチドラム93とクラッチピストン95との間には、クラッチピストン95に作用する油圧が供給される油室96が形成されている。また、クラッチピストン95は、リターンスプリング97により、後側に弾性的に付勢されている。
クラッチドラム93の外周端部とクラッチハブ94とに軸径方向に挟まれる空間において、クラッチドラム93に保持されるクラッチプレートとクラッチハブ94に保持されるクラッチディスクとが軸線方向に交互に並んでいる。油室96に供給される油圧により、クラッチピストン95が前側に移動してクラッチプレートを後側から押圧すると、クラッチプレートとクラッチディスクとが圧接し、後進クラッチ92が係合する。後進クラッチ92の係合により、セカンダリ軸55に対するセカンダリ入力ギヤ91の回転が禁止され、セカンダリ入力ギヤ91が回転すると、セカンダリ軸55がセカンダリ入力ギヤ91と一体に回転する。後進クラッチ92の係合状態から油圧が開放されると、リターンスプリング97の付勢力により、クラッチピストン95が後側に移動し、クラッチディスクとクラッチプレートとの圧接が解除されて、後進クラッチ92が解放される。後進クラッチ92の解放により、セカンダリ軸55に対するセカンダリ入力ギヤ91の回転が許容され、セカンダリ入力ギヤ91が回転しても、その回転がセカンダリ軸55に伝達されない。
アウトプット軸43は、インプット軸41に対して後側に間隔を空けて、インプット軸41と同一軸線上に配置されている。言い換えれば、インプット軸41とアウトプット軸43とは、軸線方向に間隔を空けてそれぞれ前後に、車両の前後方向に沿った縦向きに延びる共通の軸線を有するように配置されている。アウトプット軸43には、出力軸ギヤ101が一体に形成されている。これに対応して、セカンダリ軸55には、出力軸ギヤ101と噛合するセカンダリ出力ギヤ102が相対回転不能に支持されている。
リバース伝達機構44は、インプット軸41の動力(回転)をセカンダリ入力ギヤ91に伝達する機構である。リバース伝達機構44には、リバースアイドラ軸103、第1リバースギヤ104および第2リバースギヤ105が含まれる。リバースアイドラ軸103は、軸線方向に延び、第1トランスミッションケース11と第2トランスミッションケース12とに跨がって、第1トランスミッションケース11および第2トランスミッションケース12に回転可能に支持されている。第1リバースギヤ104は、リバースアイドラ軸103と一体に形成されて、入力軸ギヤ81と噛合している。第2リバースギヤ105は、第1リバースギヤ104の後側において、リバースアイドラ軸103と一体に形成され、セカンダリ入力ギヤ91と噛合している。
<トランスファ>
図2は、変速ユニット1の後端部、つまりトランスファ6を含む部分を図1よりも拡大して示す断面図である。以下、図1に加えて、図2を適宜に参照しつつ、トランスファ6の構成について説明する。
トランスファ6は、アウトプット軸43の動力(回転)を車両の前輪に伝達する機構である。トランスファ6には、伝達軸111、第1スプロケット112、第2スプロケット113、チェーン114および4WDクラッチ115が含まれる。
伝達軸111は、アウトプット軸43に対して軸径方向に間隔を空けた位置で、アウトプット軸43と平行をなして、第1トランスファケース14と第2トランスファケース15とに跨がって延びている。伝達軸111の後端部には、ボールベアリング116の内輪が圧入により固定されている。また、伝達軸111には、ボールベアリング116から前側に間隔を空けた位置に、ボールベアリング117の内輪が圧入により固定されている。そして、ボールベアリング116の外輪が第2トランスファケース15に固定的に保持され、ボールベアリング117の外輪が第1トランスファケース14に固定的に保持されることにより、伝達軸111は、第1トランスファケース14および第2トランスファケース15に回転可能に支持されている。
第1スプロケット112は、第1トランスファケース14および第2トランスファケース15に回転可能に支持されて、アウトプット軸43に相対回転可能に外嵌されている。具体的には、第1スプロケット112は、アウトプット軸43の周囲を取り囲む略円環板状のスプロケット部121と、スプロケット部121の内周部から前側に延出する前側延出部122と、スプロケット部121の内周部から後側に延出する後側延出部123とを一体に有している。スプロケット部121の外周部には、複数の歯が周方向に等間隔で形成されている。前側延出部122には、ボールベアリング124の内輪が圧入により外嵌されている。また、後側延出部123には、ボールベアリング125の内輪が圧入により外嵌されている。そして、ボールベアリング124の外輪が第1トランスファケース14に固定的に保持され、ボールベアリング125の外輪が第2トランスファケース15に固定的に保持されている。これにより、第1スプロケット112は、アウトプット軸43に相対回転可能に外嵌された状態で、ボールベアリング124,125を介して、第1トランスファケース14および第2トランスファケース15に回転可能に支持されている。
また、ボールベアリング124の前側に隣接して、2個の前側オイルシール126,127が前後に並べて配置されている。前側オイルシール126,127は、外周面が第1トランスファケース14に固定され、内周端が第1スプロケット112の前側延出部122に適度な緊迫力で液密的に当接している。
前側オイルシール126,127と前後方向に対称をなすように、ボールベアリング125の後側に隣接して、2個の後側オイルシール128,129が配置されている。後側オイルシール128は、前側オイルシール126と前後方向に対称な形状をなし、後側オイルシール129は、前側オイルシール127と前後方向に対称な形状をなしている。後側オイルシール128,129は、外周面が第2トランスファケース15に固定され、内周端が第1スプロケット112の後側延出部123に適度な緊迫力で液密的に当接している。
第2スプロケット113は、ボールベアリング116,117の間において、伝達軸111と一体に、伝達軸111から軸径方向に張り出す略円環板状に形成されている。第2スプロケット113の外周部には、複数の歯が周方向に等間隔で形成されている。
チェーン114は、無端状に形成され、第1スプロケット112のスプロケット部121および第2スプロケット113に巻き掛けられている。
4WDクラッチ115は、第1スプロケット112の前側に設けられている。4WDクラッチ115は、クラッチドラム131、クラッチハブ132、クラッチピストン133およびキャンセラ134を備えている。
アウトプット軸43には、出力軸ギヤ101と第1スプロケット112との間に、略円筒状の筒状部材135が外嵌されて固定されている。筒状部材135と第1スプロケット112との間には、間隔が空けられている。筒状部材135の軸線方向の中央部であって、セカンダリ軸55の後端部と軸径方向に対向する位置には、軸径方向に張り出す鍔状の接続部136が筒状部材135と一体に形成されている。
クラッチドラム131は、アウトプット軸43の軸線を中心に回転対称に形成され、軸線方向に見て、筒状部材135の接続部136の全周を取り囲む略円環形状をなしている。クラッチドラム131の内周端は、接続部136に固定されている。クラッチドラム131は、内周端から軸線方向と交差する方向に延び、セカンダリ軸55を後側に越え、セカンダリ軸55に対して軸線方向に後側から対向する位置で後側に屈曲して、その位置から軸線方向に延びている。言い換えれば、クラッチドラム131は、接続部136から後側に向けて拡径する拡径部137と、拡径部137の後端(外周端)から軸線方向の後側に延びる略円筒状の円筒状部138とを一体に有しており、拡径部137の前端部は、セカンダリ軸55の後端部に対して軸径方向に対向し、円筒状部138は、セカンダリ軸55に対して軸線方向に後側から対向している。また、クラッチドラム131の軸線方向に延びる部分、つまり円筒状部138は、第1スプロケット112の前側延出部122と軸径方向に対向している。円筒状部138の内周面には、複数のクラッチプレート139が軸線方向に間隔を空けて並べて保持されている。
第1スプロケット112と筒状部材135との間には、支持部材141が設けられている。支持部材141は、アウトプット軸43を取り囲む略円筒状の外嵌部142と、外嵌部142の前端部から軸径方向に延出する鍔状(円環板状)の鍔状部143とを一体的に有している。外嵌部142は、第1スプロケット112の前側延出部122とアウトプット軸43との間に進入し、外嵌部142の外周面は、第1スプロケット112の前側延出部122の内周面とスプライン結合により相対回転不能に結合されている。外嵌部142の内周面は、アウトプット軸43の周面と密着しておらず、アウトプット軸43の外周面と外嵌部142の内周面との間には、微小な隙間が生じている。これにより、支持部材141は、第1スプロケット112との間で相対的な回転が不能であり、かつ、アウトプット軸43との間で相対的な回転が可能である。筒状部材135と支持部材141との間には、それらの相対回転時のメカニカルロスを低減するため、スラストベアリング144が介在されている。
クラッチハブ132は、アウトプット軸43の軸線を中心に回転対称に形成され、軸線方向に見て、支持部材141の鍔状部143の全周を取り囲む略円環形状をなしている。クラッチハブ132の内周端は、鍔状部143に固定されている。クラッチハブ132は、鍔状部143から軸径方向の外側に延び、クラッチドラム131の円筒状部138に対して軸径方向の内側に間隔を空けた位置で後側に屈曲して、その位置から軸線方向に延びている。言い換えれば、クラッチハブ132は、鍔状部143から周囲に延出する略円環板状の円環板状部151と、円環板状部151の外周端から軸線方向の後側に延びる略円筒状の円筒状部152とを一体に有しており、円筒状部152は、クラッチドラム131の円筒状部138に対して軸径方向の内側に配置されて、その円筒状部138とともに二重円筒状をなしている。円筒状部152の外周面には、複数のクラッチディスク153が軸線方向に間隔を空けて並べて保持されている。クラッチプレート139とクラッチディスク153とは、軸線方向に交互に並べられている。
クラッチピストン133は、クラッチドラム131とクラッチハブ132との間に、軸線方向に移動可能に設けられている。クラッチピストン133は、筒状部材135から屈曲を繰り返しつつクラッチプレート139に向けて延びている。クラッチピストン133の途中部分には、シール部材154が設けられており、クラッチピストン133の位置にかかわらず、シール部材154がクラッチドラム131に液密的に当接する。これにより、クラッチドラム131とクラッチピストン133との間には、クラッチピストン133に作用する油圧が供給される油室155が形成されている。
キャンセラ134は、クラッチハブ132とクラッチピストン133との間に設けられている。キャンセラ134は、略円環板状に形成されている。キャンセラ134の内周端は、筒状部材135に固定されている。キャンセラ134の外周端には、シール部材156が設けられており、このシール部材156は、クラッチピストン133の位置にかかわらず、クラッチピストン133に当接する。クラッチピストン133とキャンセラ134との間には、リターンスプリング157が介在されている。このリターンスプリング157の付勢力(弾性力)により、クラッチピストン133とキャンセラ134とは、互いに離間する方向に弾性的に付勢されている。
クラッチピストン133は、油室155に供給される油圧により、クラッチプレート139側に移動し、クラッチプレート139を押圧する。この押圧により、クラッチプレート139とクラッチディスク153とが圧接し、4WDクラッチ115が係合する。4WDクラッチ115の係合により、クラッチドラム131とクラッチハブ132との相対回転が阻止されて、支持部材141がアウトプット軸43および筒状部材135と一体に回転し、支持部材141と一体に第1スプロケット112が回転する。第1スプロケット112の回転(動力)は、チェーン114を介して第2スプロケット113に伝達され、第2スプロケット113を第1スプロケット112と同方向に回転させる。そして、第2スプロケット113と一体に、伝達軸111が回転する。
4WDクラッチ115の係合状態から油室155の油圧が解放されると、リターンスプリング157の付勢力により、クラッチピストン133がキャンセラ134から離間する方向に移動し、クラッチピストン133によるクラッチプレート139の押圧が解除される。その結果、クラッチプレート139とクラッチディスク153との圧接が解除されて、4WDクラッチ115が解放される。4WDクラッチ115の解放により、クラッチドラム131とクラッチハブ132との相対回転が許容される。そのため、アウトプット軸43および筒状部材135が回転しても、その回転は、支持部材141および第1スプロケット112に伝達されず、それゆえ、第1スプロケット112からチェーン114および第2スプロケット113を介して伝達軸111にも伝達されない。
アウトプット軸43と第1スプロケット112との間には、ニードルベアリング161が介在されている。具体的には、ニードルベアリング161は、アウトプット軸43と第1スプロケット112のスプロケット部121の内周との間に介在されて、軸線方向において、第1スプロケット112の前側延出部122に外嵌されたボールベアリング124と後側延出部123に外嵌されたボールベアリング125との間に配置されている。これにより、アウトプット軸43は、ニードルベアリング161を介して、第1スプロケット112に相対回転可能に保持され、第1スプロケット112およびボールベアリング124,125を介して、第1トランスファケース14および第2トランスファケース15に回転可能に支持されている。
<油供給構造>
第2トランスミッションケース12の底部には、バルブボディ171が設けられている。バルブボディ171には、変速ユニット1の各部へのオイルの供給を制御するための各種のバルブを含む油圧回路が形成されている。また、第2トランスミッションケース12の底部には、ストレーナ172が設けられている。ストレーナ172は、バルブボディ171と横並びで配置される本体部173と、本体部173から延出し、その先端部がバルブボディ171の下側に配置される管部174とを備えている。また、第2トランスミッションケース12には、オイルパン175が下側から複数のボルト176で固定されている。ストレーナ172の管部174の先端部は、オイルパン175の中央部に位置しており、その先端部の下面は、オイルパン175内に貯留されるオイルを吸い込むためのオイル吸込口177として開口している。
オイルポンプ45のポンプギヤ48の回転により吸引力が発生し、その吸引力により、オイルパン175に貯留されているオイルがオイル吸込口177から管部174内に吸い込まれる。管部174内に吸い込まれたオイルは、管部174内を本体部173に向けて流れ、本体部173内に設けられた濾過材を通過する。オイルが濾過材を通過することにより、オイル中に含まれる異物が濾過材に捕獲されて、オイル中から異物が除去される。濾過材を通過したオイルは、バルブボディ171に供給される。そして、バルブボディ171から無段変速機構42などのオイルの供給を必要とする各部に作動油または潤滑油としてオイルが供給される。
<動力伝達経路>
図3は、CVT5およびトランスファ6の構成を図解的に示すスケルトン図である。
車両の前進時には、前進クラッチ83が係合されて、後進クラッチ92が解放される。エンジン2からトルクコンバータ4を介してインプット軸41に入力される動力は、前進クラッチ83の係合により、入力軸ギヤ81からプライマリ入力ギヤ82を介してプライマリ軸54に伝達される。一方、インプット軸41に入力される動力が入力軸ギヤ81からセカンダリ入力ギヤ91に伝達されて、セカンダリ入力ギヤ91が回転しても、後進クラッチ92の解放により、セカンダリ入力ギヤ91がセカンダリ軸55(セカンダリ軸55)に対して空転し、セカンダリ軸55に動力が伝達されない。
プライマリ軸54に伝達される動力は、プライマリプーリ56とセカンダリプーリ57とのプーリ比に応じたベルト変速比で変速されて、セカンダリ軸55に伝達される。そして、セカンダリ軸55に伝達される動力は、セカンダリ出力ギヤ102から出力軸ギヤ101を介してアウトプット軸43に伝達される。
車両の後進時には、前進クラッチ83が解放されて、後進クラッチ92が係合される。エンジン2からトルクコンバータ4を介してインプット軸41に入力される動力は、後進クラッチ92の係合により、入力軸ギヤ81からリバース伝達機構44およびセカンダリ入力ギヤ91を介してセカンダリ軸55に伝達される。このとき、セカンダリ軸55は、車両の前進時と逆方向に回転する。一方、インプット軸41に入力される動力が入力軸ギヤ81からプライマリ入力ギヤ82に伝達されて、プライマリ入力ギヤ82が回転しても、前進クラッチ83の解放により、プライマリ入力ギヤ82がプライマリ軸54(プライマリ軸54)に対して空転し、プライマリ軸54に動力が伝達されない。
セカンダリ軸55に伝達される動力は、セカンダリ出力ギヤ102から出力軸ギヤ101を介してアウトプット軸43に伝達される。
変速ユニット1が搭載された車両では、左右の後輪による2輪駆動状態と、左右の前輪および後輪による4輪駆動状態とに切り替えることができる。
4WDクラッチ115が解放された状態では、前述したように、アウトプット軸43の動力(回転)は、第1スプロケット112に伝達されず、伝達軸111に伝達されない。また、フリーホイール機構(図示せず)により、伝達軸111と左右の前輪との間での動力の伝達が遮断される。一方、アウトプット軸43の動力は、プロペラシャフトに伝達されて、プロペラシャフトからリヤデファレンシャルギヤおよびドライブシャフトを介して左右の後輪に伝達される。これにより、左右の後輪が駆動輪となって、車両が2輪駆動状態で走行する。
一方、4WDクラッチ115が係合された状態では、前述したように、アウトプット軸43の動力が第1スプロケット112に伝達されて、第1スプロケット112が回転する。第1スプロケット112の回転(動力)は、チェーン114を介して第2スプロケット113に伝達される。これにより、第2スプロケット113が第1スプロケット112と同方向に回転し、第2スプロケット113と一体に伝達軸111が回転する。伝達軸111の回転は、フロントデファレンシャルギヤおよびドライブシャフトを介して左右の前輪に伝達される。その一方で、アウトプット軸43の動力は、プロペラシャフトに伝達されて、プロペラシャフトからリヤデファレンシャルギヤおよびドライブシャフトを介して左右の後輪に伝達される。これにより、左右の前輪および後輪の全輪が駆動輪となって、車両が4輪駆動状態で走行する。
<作用効果>
以上のように、CVT5のアウトプット軸43の動力は、左右の後輪に伝達される。また、アウトプット軸43の動力をトランスファ6の第1スプロケット112に伝達/遮断する4WDクラッチ115が設けられている。4WDクラッチ115の係合により、アウトプット軸43の動力がトランスファ6を介して左右の前輪に伝達され、後輪および前輪が駆動される状態となる。4WDクラッチ115の解放により、アウトプット軸43の動力がトランスファ6の第1スプロケット112に伝達されないので、その動力が前輪に伝達されず、後輪のみが駆動される状態となる。
第1スプロケット112には、アウトプット軸43の周囲を取り囲む円環状のスプロケット部121に対して前側および後側に、それぞれスプロケット部121から延出する前側延出部122および後側延出部123が形成されている。そして、トランスファ6を収容する第1トランスファケース14と前側延出部122との間に、前側オイルシール126,127が前側延出部122に当接した状態に設けられ、第2トランスファケース15と後側延出部123との間に、後側オイルシール128,129が後側延出部123に当接した状態に設けられている。
アウトプット軸43の動力がトランスファ6の第1スプロケット112に伝達されない状態では、第1スプロケット112が回転しないので、第1スプロケット112に前側オイルシール126,127および後側オイルシール128,129が当接している構成では、第1スプロケット112に対する前側オイルシール126,127および後側オイルシール128,129の摺動によるメカニカルロスを低減できる。その結果、車両の燃費を改善することができる。
また、前側延出部122とアウトプット軸43との間に4WDクラッチ115のクラッチハブ132を支持する支持部材141が進入し、支持部材141と前側延出部122とがスプライン結合されている。これにより、変速ユニット1の全長(軸線方向の長さ)の短縮を図ることができる。
前側オイルシール126と後側オイルシール128とは、軸線方向に対称な形状をなし、前側オイルシール127と後側オイルシール129とは、軸線方向に対称な形状をなしている。これにより、前側オイルシール126,127から第1スプロケット112の前側延出部122に与えられる緊迫力と、後側オイルシール128,129から第1スプロケット112の後側延出部123に与えられる緊迫力とを等しくすることができる。第1スプロケット112のスプロケット部121の前後両側で緊迫力が等しければ、第1スプロケット112が軸線方向の一方側または他方側に倒れることが抑制されるので、前側延出部122と第1トランスファケース14との間隔および後側延出部123と第2トランスファケース15との間隔が変動することを抑制できる。そのため、前側オイルシール126,127および後側オイルシール128,129の緊迫力の低減を図っても、シール性を確保することができる。前側オイルシール126,127および後側オイルシール128,129の緊迫力の低減により、後輪および前輪の駆動時にもメカニカルロスを低減できる。その結果、車両の燃費をさらに向上させることができる。
第1トランスファケース14と前側延出部122との間にボールベアリング124が介装され、第2トランスファケース15と後側延出部123との間にボールベアリング125が介装されて、第1スプロケット112がボールベアリング124およびボールベアリング125を介して第1トランスファケース14および第2トランスファケース15に回転可能に保持されている。そして、前側オイルシール126,127は、ボールベアリング124に隣接して設けられ、後側オイルシール128,129は、ボールベアリング125に隣接して設けられている。
前側オイルシール126,127および後側オイルシール128,129がそれぞれ第1スプロケット112を支持するボールベアリング124およびボールベアリング125に隣接しているので、前側オイルシール126,127および後側オイルシール128,129が配置されている部分で、前側延出部122と第1トランスファケース14との間隔および後側延出部123と第2トランスファケース15との間隔が変動することを抑制できる。そのため、前側オイルシール126,127および後側オイルシール128,129の緊迫力のさらなる低減を図ることができ、メカニカルロスをさらに低減できる。その結果、車両の燃費を一層向上させることができる。
<変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
たとえば、前述の実施形態では、本発明に係る動力伝達装置の一例として、FRベースの4WD車に搭載される変速ユニット1を取り上げたが、本発明は、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)ベースのパートタイム4WD車に適用することもできる。また、本発明は、RR(リヤエンジン・リヤドライブ)ベースのパートタイム4WD車に適用されてもよい。
その他、前述の構成には、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
5:CVT(変速機)
6:トランスファ
14:第1トランスファケース(ケース)
15:第2トランスファケース(ケース)
43:アウトプット軸
112:第1スプロケット(スプロケット)
115:4WDクラッチ(クラッチ)
121:スプロケット部
122:前側延出部(第1延出部)
123:後側延出部(第2延出部)
124:ボールベアリング(第1ベアリング)
125:ボールベアリング(第2ベアリング)
126,127:前側オイルシール(第1オイルシール)
128,129:後側オイルシール(第2オイルシール)

Claims (3)

  1. 変速機のアウトプット軸の動力が主駆動輪に伝達され、前記アウトプット軸にトランスファがクラッチを介して結合され、前記クラッチの係合状態で、前記アウトプット軸の動力が前記トランスファのスプロケットに伝達されて、その動力が前記トランスファから副駆動輪に伝達され、前記クラッチの解放状態で、前記アウトプット軸から前記スプロケットへの動力の伝達が遮断されるとともに、前記トランスファと前記副駆動輪との間での動力の伝達が遮断される構成において、前記変速機のオイルと前記トランスファのオイルとを分離するためのシール構造であって、
    前記スプロケットには、前記アウトプット軸の周囲を取り囲む円環状をなし、複数の歯を外周面に有するスプロケット部と、前記スプロケット部から前記アウトプット軸の軸線方向の一方側に延出する第1延出部と、前記スプロケット部から前記軸線方向の前記一方側と反対の他方側に延出する第2延出部とが形成され、
    前記トランスファを収容するケースと前記第1延出部との間に、第1オイルシールが前記第1延出部に当接した状態に設けられ、
    前記ケースと前記第2延出部との間に、第2オイルシールが前記第2延出部に当接した状態に設けられている、シール構造。
  2. 前記第1オイルシールおよび前記第2オイルシールは、前記軸線方向に対称な形状をなしている、請求項1に記載のシール構造。
  3. 前記ケースと前記第1延出部との間に第1ベアリングが介装され、前記ケースと前記第2延出部との間に第2ベアリングが介装されて、前記スプロケットが前記第1ベアリングおよび前記第2ベアリングを介して前記ケースに回転可能に保持され、
    前記第1オイルシールは、前記第1ベアリングに隣接して設けられ、
    前記第2オイルシールは、前記第2ベアリングに隣接して設けられている、請求項1または2に記載のシール構造。
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