JP2022039186A - 前立腺がんの検査方法 - Google Patents

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Hidewaki Nakagawa
征志 藤田
Masashi Fujita
秀輔 赤松
Shusuke Akamatsu
亮 ▲高▼田
Akira Takada
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Abstract

【課題】前立腺がんの発症リスクを高精度で検査することのできる方法を提供すること。【解決手段】下記から選択される1以上の一塩基多型を解析する工程を含む、前立腺がんの検査方法であり、好ましくはこれらの1以上の一塩基多型を利用してリスクスコアを算出し、それをもとに前立腺がんの検査を行う方法である。rs7542260、rs11125927、rs73862213、rs75777376、rs16901814、rs4554825、rs77911174、rs11055034、rs8023793、rs6117562、rs138708及びrs4826594【選択図】なし

Description

特許法第30条第2項適用申請有り Nature Communications volume 10,Article number: 4422(2019) 発行日 令和1年9月27日 American Society of Human Genetics 2019年総会講演要旨集 発行日 令和1年9月10日 American Society of Human Genetics 2019年総会 開催日 令和1年10月15~19日 理化学研究所プレスリリース掲載アドレス https://www.riken.jp/press/2019/20190927_1/index.html ウェブサイトの掲載日 令和1年9月27日
本発明は遺伝子配列解析を利用した前立腺がんの検査方法に関する。
前立腺がんは、世界的に発症頻度の高いがんの一つであり、これまで欧米人に多くアジア人には少ないと考えられてきた。しかし、日本でも、食生活などの生活習慣の欧米化や人口の超高齢化に伴い、その罹患者数は急激に増えてきており、2018年の罹患者は約78,000人以上に上っている。また、前立腺がんは典型的な高齢者のがんであり、罹患者の約43%は75歳以上の後期高齢者である。前立腺がんは、他のがんに比べて治癒の可能性が高いがんとして知られているが、高齢者については、発症後の生存期間や治療の副作用を考慮して、積極的な治療をしない場合が増えてきている。
一方で、非高齢者の前立腺がん患者の治療については、手術支援ロボットを使った手術療法、男性ホルモンを抑制するホルモン療法、放射線療法などさまざまな治療法がある。また、若年者(60歳未満)では積極的に早期診断をして根治治療を行うことが重要で、早期発見のためのスクリーニングとして、PSA健診が利用されている。
前立腺がん発症の一般的な危険因子としては、人種、欧米型の食生活、体内のホルモン環境、加齢などが挙げられるが、特定の危険因子は分かっていなかったが、遺伝性前立腺がんの存在や、前立腺がんの発症に関連する多数の遺伝子や一塩基多型(SNP)が発見され
たことから、発症には遺伝的要因が深く関わっていることが明らかになってきている。
2010年と2012年に理化学研究所の研究チームは、オーダーメイド医療実現化プロジェクト/バイオバンクジャパン(BBJ)で収集した約5,000人の日本人サンプルを対象にゲノムワ
イドSNP関連解析(GWAS)を実施し、9個のSNPが日本人における前立腺がん発症と強い関
連があることを発見した(非特許文献1、2)。また、特許文献1では前立腺がんと関連するSNPが報告されている。
特開2012-157283
Nat Genet. 2010 Sep;42(9):751-4 Nat Genet. 2012 Feb 26;44(4):426-9
本発明は、前立腺がんの発症リスクを高精度で検査することのできる方法を提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を行った。具体的には、約9,900人の日
本人前立腺がん罹患者と約84,000人の男性対照群に対して、ゲノム全体にある50万個以上のSNPの頻度情報をもとにゲノムワイド関連解析を行った。その結果、前立腺がんに関連
する新規の12個のSNPを見出し、これらが存在すると前立腺がん発症リスクがSNP1個につ
き1.12~1.31倍高まることを見出した。また、これら新規SNPと、これまでに日本人の前
立腺がん発症と関連が証明されているSNPを含む合計82個のSNP情報を組み合わせて、前立腺がん発症リスクを予測するゲノムリスクスコア(PRS)を算出し、前立腺がんとの関連
解析を行ったところ、PRSの値が若年発症(60歳未満)および前立腺がん家族歴と有意に
相関することを見出した。このような知見に基づき、本発明を完成させた。
本発明の要旨は以下の通りである。
[1]前立腺がんの検査方法であって、
下記から選択される1以上の一塩基多型を解析する工程を含む、方法。
rs7542260、rs11125927、rs73862213、rs75777376、rs16901814、rs4554825、rs77911174、rs11055034、rs8023793、rs6117562、rs138708及びrs4826594
(なお、rs番号はNational Center for Biotechnology InformationのdbSNPデータベースの登録番号を示す。)
[2]さらに、表1に記載のいずれか1以上の一塩基多型を解析する、[1]に記載の方法。
[3]合計10種類以上の一塩基多型を解析する、[1]または[2]に記載の方法。
[4]複数の一塩基多型の解析結果からリスクスコアを算出し、当該リスクスコアに基づいて、前立腺がんを検査する、[1]~[3]のいずれかに記載の方法。
[5]前立腺がんが若年性前立腺がんである、[1]~[4]のいずれかに記載の方法。[6]下記から選択される1以上の一塩基多型を解析するための試薬を含む、前立腺がんの検査用試薬。
rs7542260、rs11125927、rs73862213、rs75777376、rs16901814、rs4554825、rs77911174、rs11055034、rs8023793、rs6117562、rs138708及びrs4826594
本発明において新規に同定された前立腺がん関連SNPの1つ以上を解析することにより、前立腺がんの発症リスクを効率よく検査することができる。また、これら前立腺がん関連SNPの複数、またはそれらと公知の前立腺がん関連SNPを組み合わせてリスクスコアを算出し、得られたリスクスコアを指標とすることで、より精度の良い前立腺がんの検査が可能となり、若年発症の前立腺がんの高精度の予測も可能となる。
日本人集団における前立腺がんのゲノムリスクスコア(PRS)分布。(a)前立腺がん症例(n=4893)および男性対照(n=10,682)のPRS分布。ガウス核を使用して密度を推定した。5%以上および5%以下のパーセンタイルを点線で示す。(b)前立腺がん症例(n=4762)における前立腺がん診断時の年齢によるPRS分布。ガウス核を使用して密度を推定した。60歳より若い(n=129);65歳より若い(n=781);65歳以上(n=3852)の3群に分けて解析した。(c)前立腺がん症例(n=4893)における前立腺がん家族歴の有無によるPRS分布。ガウス核を使用して密度を推定した。家族歴あり(Yes)(n=272);家族歴なし(No)(n=4621)の2群に分けて解析した。(d)慈恵医大検証コホート(n=2218)における前立腺がん診断時の年齢によるPRS分布。ガウス核を使用して密度を推定した。55歳より若い(n=94);60歳より若い(n=310);65歳≧(n=802);65歳以上(n=802)の4群に分けて解析した。 バイオバンクジャパン(BBJ)または慈恵医大検証コホートにおける、PRS上位5%群の年齢別割合を示すグラフ。
本発明の前立腺がん検査方法は、下記から選択される1以上のSNPを解析する工程を含む。rs7542260、rs11125927、rs73862213、rs75777376、rs16901814、rs4554825、rs77911174、rs11055034、rs8023793、rs6117562、rs138708及びrs4826594
これらのSNPのうち、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上解析することが好ましい。
なお、rs番号はNational Center for Biotechnology InformationのdbSNPデータベース(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/snp/)の登録番号を示す。
前立腺がんは前立腺に発生する悪性腫瘍であれば特に制限されないが、59歳以下の対象者に発生する若年性前立腺がんであってもよい。
rs7542260は第1染色体上のMIR4417遺伝子近傍に位置するSNPであり、GenBank Accession
No. NC_000001.10の5743196番目の塩基におけるチミン(T)/シトシン(C)のSNPを意味し、この塩基がTである場合は前立腺がんの可能性または発症リスクが高い。また、遺伝子型を考慮して解析した場合は、TT>TC>CCの順で前立腺がんの可能性または発症リスクが高い。よって、この塩基がTである被験者には、前立腺がんの予防または治療のための処置を行うことが考えられる。
なお、rs7542260について、SNP塩基及びその前後25bpの領域を含む合計51bpの長さの配列を、配列番号1に示した。配列番号1における26番目の塩基がSNPを有し、この塩基がT(リスクアレル)である場合は前立腺がんの可能性または発症リスクが高いと判定される。
GCAGTGACGCTTCTGGTCTTAAGCC(C/T)GCCCTTCTTGCCCCTTCCTCCCCTT(配列番号1)
rs11125927は第2染色体上のRPL21P37遺伝子近傍に位置するSNPであり、GenBank Accession No. NC_000002.11の62752975番目の塩基におけるグアニン(G)/アデニン(A)の
SNPを意味し、この塩基がGである場合は前立腺がんの可能性または発症リスクが高い。また、遺伝子型を考慮して解析した場合は、GG>AG>AAの順で前立腺がんの可能性または発症リスクが高い。よって、この塩基がGである被験者には、前立腺がんの予防または治療のための処置を行うことが考えられる。
なお、rs11125927について、SNP塩基及びその前後25bpの領域を含む合計51bpの
長さの配列を、配列番号2に示した。配列番号2における26番目の塩基がSNPを有し、この塩基がG(リスクアレル)である場合は前立腺がんの可能性または発症リスクが高いと判定される。
TATTTTATTGGTTAATATTTGAACA(A/G)TTGTTGGGCAGAGAGTCTGTGTAAT(配列番号2)
rs73862213は第3染色体上のLOC100506995遺伝子近傍に位置するSNPであり、GenBank Accession No. NC_000003.11の128217499番目の塩基におけるグアニン(G)/アデニン(A)のSNPを意味し、この塩基がGである場合は前立腺がんの可能性または発症リスクが高い。また、遺伝子型を考慮して解析した場合は、GG>AG>AAの順で前立腺がんの可能性または発症リスクが高い。よって、この塩基がGである被験者には、前立腺がんの予防または治療のための処置を行うことが考えられる。
なお、rs73862213について、SNP塩基及びその前後25bpの領域を含む合計51bpの
長さの配列を、配列番号3に示した。配列番号3における26番目の塩基がSNPを有し、この塩基がG(リスクアレル)である場合は前立腺がんの可能性または発症リスクが高いと判定される。
ATACCAGGATCCTTGGAGGTGAGGG(A/G)GTTCCTGTTTTGCTTGTGGCTACAG(配列番号3)
rs75777376は第8染色体上のFAM84B遺伝子近傍に位置するSNPであり、GenBank Accession
No. NC_000008.10の127796183番目の塩基におけるシトシン(C)/チミン(T)のSNPを意味し、この塩基がCである場合は前立腺がんの可能性または発症リスクが高い。ま
た、遺伝子型を考慮して解析した場合は、CC>TC>TTの順で前立腺がんの可能性または発症リスクが高い。よって、この塩基がCである被験者には、前立腺がんの予防または治療のための処置を行うことが考えられる。
なお、rs75777376について、SNP塩基及びその前後25bpの領域を含む合計51bpの
長さの配列を、配列番号4に示した。配列番号4における26番目の塩基がSNPを有し、この塩基がC(リスクアレル)である場合は前立腺がんの可能性または発症リスクが高いと判定される。
AAAATTCATATCACAAGTAAAATTA(T/C)TAAGTAATGTAGCATCATTCAGCTA(配列番号4)
rs16901814は第8染色体上のSRRM1P1遺伝子近傍に位置するSNPであり、GenBank Accession No. NC_000008.10の127881952番目の塩基におけるグアニン(G)/アデニン(A)の
SNPを意味し、この塩基がGである場合は前立腺がんの可能性または発症リスクが高い。また、遺伝子型を考慮して解析した場合は、GG>AG>AAの順で前立腺がんの可能性または発症リスクが高い。よって、この塩基がGである被験者には、前立腺がんの予防または治療のための処置を行うことが考えられる。
なお、rs16901814について、SNP塩基及びその前後25bpの領域を含む合計51bpの
長さの配列を、配列番号5に示した。配列番号5における26番目の塩基がSNPを有し、この塩基がG(リスクアレル)である場合は前立腺がんの可能性または発症リスクが高いと判定される。
TCCCATTAGAGACTCTGCAGATCAC(G/A)CAAGTCATTCATTCCTTATTAATCA(配列番号5)
rs4554825は第10染色体上のLOC100130698遺伝子近傍に位置するSNPであり、GenBank Accession No. NC_000010.10の80244623番目の塩基におけるシトシン(C)/チミン(T)のSNPを意味し、この塩基がCである場合は前立腺がんの可能性または発症リスクが高い。また、遺伝子型を考慮して解析した場合は、CC>CT>TTの順で前立腺がんの可能性または発症リスクが高い。よって、この塩基がCである被験者には、前立腺がんの予防または治療のための処置を行うことが考えられる。
なお、rs4554825について、SNP塩基及びその前後25bpの領域を含む合計51bpの長さの配列を、配列番号6に示した。配列番号6における26番目の塩基がSNPを有し、この塩基がC(リスクアレル)である場合は前立腺がんの可能性または発症リスクが高いと判定される。
GCATTATTAAGTGTAGCTGTTGAGG(C/T)GTTTTCCATCATGGGGGAAACATGC(配列番号6)
rs77911174は第10染色体上のLOC283050遺伝子近傍に位置するSNPであり、GenBank Accession No. NC_000010.10の80826833番目の塩基におけるグアニン(G)/アデニン(A)のSNPを意味し、この塩基がGである場合は前立腺がんの可能性または発症リスクが高い。また、遺伝子型を考慮して解析した場合は、GG>AG>AAの順で前立腺がんの可能性または発症リスクが高い。よって、この塩基がGである被験者には、前立腺がんの予防または治療のための処置を行うことが考えられる。
なお、rs77911174について、SNP塩基及びその前後25bpの領域を含む合計51bpの
長さの配列を、配列番号7に示した。配列番号7における26番目の塩基がSNPを有し、この塩基がG(リスクアレル)である場合は前立腺がんの可能性または発症リスクが高いと判定される。
CCCAAGAGGCCCAGGAGACCCGCAA(A/G)TCTGTGCTGCACGTCCGCACTCCCA(配列番号7)
rs11055034は第12染色体上のAPOLD1遺伝子近傍に位置するSNPであり、GenBank Accessi
on No. NC_000012.11の12890626番目の塩基におけるシトシン(C)/アデニン(A)の
SNPを意味し、この塩基がCである場合は前立腺がんの可能性または発症リスクが高い。また、遺伝子型を考慮して解析した場合は、CC>CA>AAの順で前立腺がんの可能性または発症リスクが高い。よって、この塩基がCである被験者には、前立腺がんの予防または治療のための処置を行うことが考えられる。
なお、rs11055034について、SNP塩基及びその前後25bpの領域を含む合計51bpの
長さの配列を、配列番号8に示した。配列番号8における26番目の塩基がSNPを有し、この塩基がC(リスクアレル)である場合は前立腺がんの可能性または発症リスクが高いと判定される。
AGAAAGTGAGAAGGAGGGAGCTGGG(C/A)GCTTATCTTTGGCATATCCTCAGCT(配列番号8)
rs8023793は第15染色体上のSMAD6遺伝子近傍に位置するSNPであり、GenBank Accession
No. NC_000015.9の66942093番目の塩基におけるアデニン(A)/シトシン(C)のSNPを意味し、この塩基がAである場合は前立腺がんの可能性または発症リスクが高い。また、遺伝子型を考慮して解析した場合は、AA>AC>CCの順で前立腺がんの可能性または発症リスクが高い。よって、この塩基がAである被験者には、前立腺がんの予防または治療のための処置を行うことが考えられる。
なお、rs8023793について、SNP塩基及びその前後25bpの領域を含む合計51bpの長さの配列を、配列番号9に示した。配列番号9における26番目の塩基がSNPを有し、この塩基がA(リスクアレル)である場合は前立腺がんの可能性または発症リスクが高いと判定される。
CATGTTTATTAGATAACTAACCAAT(A/C)AAATAAAACAAACACACCAACAATT(配列番号9)
rs6117562は第20染色体上のC20orf54遺伝子近傍に位置するSNPであり、GenBank Accession No. NC_000020.10の753310番目の塩基におけるアデニン(A)/グアニン(G)のSNPを意味し、この塩基がAである場合は前立腺がんの可能性または発症リスクが高い。また、遺伝子型を考慮して解析した場合は、AA>AG>GGの順で前立腺がんの可能性または発症リスクが高い。よって、この塩基がAである被験者には、前立腺がんの予防または治療のための処置を行うことが考えられる。
なお、rs6117562について、SNP塩基及びその前後25bpの領域を含む合計51bpの長さの配列を、配列番号10に示した。配列番号10における26番目の塩基がSNPを有し、この塩基がA(リスクアレル)である場合は前立腺がんの可能性または発症リスクが高いと判定される。
AGTTCTTATTTATTCATTTTAACCA(A/G)TATTTCTTGGGCACCAACTGTGTGC(配列番号10)
rs138708は第22染色体上のSUN2遺伝子近傍に位置するSNPであり、GenBank Accession No. NC_000022.10の39138332番目の塩基におけるグアニン(G)/アデニン(A)のSN
Pを意味し、この塩基がGである場合は前立腺がんの可能性または発症リスクが高い。また、遺伝子型を考慮して解析した場合は、GG>AG>AAの順で前立腺がんの可能性または発症リスクが高い。よって、この塩基がGである被験者には、前立腺がんの予防または治療のための処置を行うことが考えられる。
なお、rs138708について、SNP塩基及びその前後25bpの領域を含む合計51bpの長
さの配列を、配列番号11に示した。配列番号11における26番目の塩基がSNPを有し、この塩基がG(リスクアレル)である場合は前立腺がんの可能性または発症リスクが高いと判定される。
TGGATGCGAGCAGCAGTTTCCCTGC(G/A)GAAATCCTCCTTCAGGGCAGCTTCA(配列番号11)
rs4826594は第X染色体上のTSR2遺伝子近傍に位置するSNPであり、GenBank Accession No. NC_000023.10の54454406番目の塩基におけるアデニン(A)/グアニン(G)のSNPを意味し、この塩基がAである場合は前立腺がんの可能性または発症リスクが高い。よって、この塩基がAである被験者には、前立腺がんの予防または治療のための処置を行うことが考えられる。
なお、rs4826594について、SNP塩基及びその前後25bpの領域を含む合計51bpの長さの配列を、配列番号12に示した。配列番号12における26番目の塩基がSNPを有し、この塩基がA(リスクアレル)である場合は前立腺がんの可能性または発症リスクが高いと判定される。
ACATCCTTACTATTCTAGCCCTTGT(A/G)GCCAACAGATGCTAAAGTGACCTCC(配列番号12)
なお、上記では解析対象のSNPの位置について説明したが、本発明の方法においては、これらSNP塩基に相当する塩基を解析すればよい。ここで、上記SNP塩基に相当する塩基とは、ヒト染色体上の上記領域における該当塩基を意味する。すなわち、「上記塩基に相当する塩基を解析する」ことには、仮に人種の違いなどによって上記配列がSNP以外
の位置で若干変化したとしても、上記SNPを含む領域における該当塩基を解析することが含まれる。
また、本発明において解析するSNPは上記のものに限定されず、上記のSNPと連鎖不平衡にあるSNPを分析してもよい。ここで「上記のSNPと連鎖不平衡にあるSNP」とは、上記のSNPと好ましくはr2>0.8、さらに好ましくはr2>0.9の関係を満たすSNPをいう。r2は連鎖不平衡係数である。連鎖不平衡にあるSNPは、例えば、HapMapデータベース(http://www.hapmap.org/index.html.ja)等を用いて同定することができる。
上記SNPは単独で解析されてもよいし、上記SNPの少なくとも1つを含む複数のSNPをまとめて解析してもよい。例えば、上記SNPの複数をまとめて解析してもよいし、上記12個のSNPの少なくとも1つと、前立腺がんと関連する既知のSNPや当該既知のSNPと連鎖不平衡にあるSNPとを組み合わせて解析してもよい。以下の表1に、上記12個のSNP以外で、今回、GWASおよびReplication studyに
使用された前立腺がんと関連する既知のSNPを記載した。表1において、OR(オッズ比)とDOSE(Dosage)は非リスクアレルを対照とした。
Figure 2022039186000001

Figure 2022039186000002

Figure 2022039186000003

前立腺がんと関連する複数のSNP、例えば、合計10以上のSNP、好ましくは合計20以上のSNP、より好ましくは合計30以上のSNP、さらに好ましくは合計40以上のSNPをまとめて解析することにより、前立腺がんの検査の精度をより向上させることができる。複数のSNPを解析し、それぞれがリスクアレルであるかを確認し、リスクアレルの総数により、前立腺がんリスクの指標(例えば、リスクアレルを1個以上、2個以上、または3個以上有する場合に前立腺がんリスクが高いと判定する)としてもよいが、複数のSNPの解析結果からリスクスコアを算出し、得られたリスクスコアを前立腺がんリスクの指標とすることがより好ましい。例えば、リスクスコアが一定の基準値を超えた場合に、前立腺がんリスクが高いと判定することができる。
リスクスコア(PRS)としては、例えば、以下の式が例示される。
PRS=β+β+...β+β
ここで、βは、SNPについてのリスクアレルの前立腺がんに対するlogオッズ比(OR)であり、xはSNPについてのリスクアレルの保持数(0、1または2)であり、nは解析SNPの総数である。
上記のようにして1または複数のSNPの塩基の種類を調べ、得られた結果またはそれに基
づくリスクスコアなどの指標をもちいて前立腺がんとの関連付けを行うことにより、前立腺がんを検査することができる。すなわち、本発明の方法は、前立腺がん診断のためのデータを提供することができる。
本発明の方法により判定された結果は、必要に応じて医師等に提供される。結果を提供された医師等は、血液検査、X線検査、CT検査等の必要な検査を行った上で、発症リスクや
進行リスクを診断することができる。医師等が前立腺がんの発症リスクや進行リスクが高いと診断した場合には、手術や抗がん剤治療等の治療を施すことができる。また、リスクが低いと診断した場合には、患者に取って負担が大きいこれらの治療を回避することができる。
本発明において、解析の対象はヒトであり、例えば、前立腺がんのリスクが疑われるヒトである。人種は特に制限されないが、例えば、日本人を含むアジア人である。
SNPの解析に用いる試料は、対象由来の染色体DNAを含む試料であれば特に制限されない。SNPの解析に用いる試料としては、例えば、血液、尿、髄液等の体液、子宮頸部や口腔粘
膜などの細胞、毛髪等の体毛などが挙げられる。SNPの解析にはこれらの試料を直接使用
することもできるが、これらの試料から染色体DNAを常法により単離し、これを用いて解
析することが好ましい。
なお、SNPの解析は、通常の遺伝子多型解析方法によって行うことができる。例えば、シ
ークエンス解析、PCR、ハイブリダイゼーション、インベーダー法などが挙げられるが、
これらに限定されない。なお、いずれのSNPも、二本鎖DNAのどちらの鎖を解析してもよい。例えば、各配列はセンス鎖を解析してもよいし、アンチセンス鎖を解析してもよい。
シークエンス解析は通常の方法により行うことができる。具体的には、多型を示す塩基の5’側 数十塩基の位置に設定したプライマーを使用してシークエンス反応を行い、その
解析結果から、該当する位置がどの種類の塩基であるかを決定することができる。なお、シークエンス反応の前に、あらかじめSNP部位を含む断片をPCRなどによって増幅しておくことが好ましい。
また、SNPの解析は、PCRによる増幅の有無を調べることによって行うことができる。例えば、多型を示す塩基を含む領域に対応する配列を有し、かつ、3’末端が各多型に対応するプライマーをそれぞれ用意する。それぞれのプライマーを使用してPCRを行い、増幅産
物の有無によってどのタイプの多型であるかを決定することができる。また、LAMP法(特許第3313358号明細書)、NASBA法(Nucleic Acid Sequence-Based Amplification;特許2843586号明細書)、ICAN法(特開2002-233379号公報)、SmartAmp法(特許第3897805号明細書)などによって増幅の有無を調べることもできる。その他、単鎖増幅法を用いてもよい。
また、SNP部位を含むDNA断片を増幅し、増幅産物の電気泳動における移動度の違いによってどのタイプの多型であるかを決定することもできる。このような方法としては、例えば、PCR-SSCP(single-strand conformation polymorphism)法(Genomics. 1992 Jan 1;12(1): 139-146.)が挙げられる。具体的には、まず、目的のSNPを含むDNAを増幅し、増幅したDNAを一本鎖DNAに解離させる。次いで、解離させた一本鎖DNAを非変性ゲル上で分
離し、分離した一本鎖DNAのゲル上での移動度の違いによってどのタイプの多型であるか
を決定することができる。
さらに、多型を示す塩基が制限酵素認識配列に含まれる場合は、制限酵素による切断の有無によって解析することもできる(RFLP法)。この場合、まず、DNA試料を制限酵素によ
り切断する。次いで、DNA断片を分離し、検出されたDNA断片の大きさによってどのタイプの多型であるかを決定することができる。
また、ハイブリダイゼーションの有無を調べることによって多型の種類を解析することも可能である。すなわち、各塩基に対応するプローブを用意し、いずれのプローブにハイブリダイズするかを調べることによってSNPがいずれの塩基であるかを調べることもできる
<2>本発明の前立腺がん検査用試薬
本発明はまた、前立腺がんを検査するためのプライマーやプローブなどの検査試薬を提供する。このようなプローブとしては、上記SNP部位を含み、ハイブリダイズの有無によっ
てSNP部位の塩基の種類を判定できるプローブが挙げられる。具体的には、配列番号1~
12のいずれかに示す塩基配列の26番目の塩基を含む配列、又はその相補配列を有する15塩基以上の長さのプローブや、当該塩基と連鎖不平衡の関係にある塩基を含む配列、又はその相補配列を有する15塩基以上の長さのプローブが挙げられる。プローブの長さは好ましくは、15~35塩基であり、より好ましくは20~35塩基である。
また、プライマーとしては、上記SNP部位を増幅するためのPCRに用いることのできるプライマー、又は上記SNP部位を配列解析(シークエンシング)するために用いることのでき
るプライマーが挙げられる。具体的には、配列番号1~12のいずれかに示す塩基配列の26番目の塩基を含む領域を増幅したりシークエンシングしたりすることのできるプライマーや、当該塩基と連鎖不平衡の関係にある塩基を含む領域を増幅したりシークエンシングしたりすることのできるプライマーが挙げられる。このようなプライマーの長さは15~50塩基が好ましく、15~35塩基がより好ましく、20~35塩基がさらに好まし
い。
上記SNP部位をシークエンシングするためのプライマーとしては、上記塩基の5’側領域
、好ましくは30~100塩基上流の配列を有するプライマーや、上記塩基の3’側領域、好ましくは30~100塩基下流の領域に相補的な配列を有するプライマーが例示される。PCRによる増幅の有無で多型を判定するために用いるプライマーとしては、上記塩基を含む配列を有し、上記塩基を3’側に含むプライマーや、上記塩基を含む配列の相補配列を有し、上記塩基の相補塩基を3’側に含むプライマーなどが例示される。
なお、本発明の検査用試薬はこれらのプライマーやプローブに加えて、PCR用のポリメラ
ーゼやバッファー、ハイブリダイゼーション用試薬などを含むものであってもよい。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の態様には限定されない。
<方法>
研究サンプル
GWASサンプルは、東京大学医科学研究所において設立されたバイオバンク・ジャパン(BBJ)からの5088症例サンプルを用いた。5088症例の中で、272(5.3%)の対象は、前立腺がんの家族歴を有し、1219(23.9%)の対象はPSA≧10を示し、1989(39.1%)の対象は7以上のグリーソンスコアを有するがんであると診断された。BBJから、病理学的に証明された前立腺がん症例を選択した。非がん対照は、前立腺がんと診断されたことがない4つの大規模コホート研究(日本多施設共同コホート(J-MICC)研究、多目的コホート(JPHC)研究、いわて東北メディカル・メガバンク機構(IMM)、および東北メディカル・メガバンク機構(ToMMo))から10,682名の日本人男性のサンプルを使用した。
ゲノムDNAサンプルを、標準的方法を使用して末梢血白血球および正常組織から抽出した。
全ての研究は、登録前にその機関の倫理委員会により承認された次のプロトコールにより全参加者からインフォームドコンセントを得た。
遺伝子型同定および品質管理
Illumina OmniExpress ExomeまたはOmniExpress+ HumanExome BeadChip(Illumina Inc.,米国カリフォルニア州サンディエゴ)を使用してGWASを行った。遺伝子型同定された947,830のSNPのうち、195,588は単一アレルであり、さらなる分析から除外した。最小P値を示す上位100のSNPのクラスタープロットを目視によりチェックし、604,992のSNPは症例および対照サンプルの両方においてコール率(call rate)
≧0.99の判断基準を満足した。最終的に、ハーディー・ワインベルク平衡検定においてP≧1.00×10-6のSNPを選択した。合計523,051のSNPについて相関解析を行った。
遺伝子型同定されていないSNPのインピュテーションを、MaCH(Science 316, 1341-1345 (2007))ならびにminimac(Nat. Genet. 44, 955-959(2012))によって行った。
追試のためのサンプルおよび遺伝子型同定
独立した4818の前立腺がん症例サンプルおよび73,261の対照サンプルを使用して追試を行った。バイオバンク・ジャパン(2236症例)から症例サンプルを得て、慈恵会医科大学からJIKEIサンプル(2582サンプル)を得た。全症例は地域の病理
学者によって組織学的に診断され、臨床データは地域の泌尿器科医によって収集された。追試における対照サンプルは、前立腺がん以外の疾病についてGWASに付されたBBJからの73,261の男性サンプルであった。
マルチインデックスPCRベース標的シーケンシング法を使用して症例サンプルの標的領域を配列決定した(Hum. Mol. Genet. 25, 5027-5034 (2016))。二段階PCR法を使用
してDNAライブラリーを構築した。202プライマー対および2X PlatinumマスタープレックスPCRマスターミックス(Thermo Fisher Scientific社)を使用して第一PCR(25サイクル)を行い、標的領域を増幅した後、第二PCR(4サイクル)を行って、第一PCRおよびKAPA HiFi HotStart DNAポリメラーゼ(KAPA)中に導入された共有5’オーバーハングを標的とするプライマーを使用して、8-bpバーコードおよびアダプター配列を付加した。プールされたライブラリーの精製および定量後、HiSeq2500(Illumina社)装置で2150bpのペアエンドリードによってこれらを配列決定した。各個体に割り当てられた配列リードを、Burrows-Wheeler Aligner(バージョン0.7.12)を使用してヒト参照配列(hg19)にアライメントし、Genome
Analysis Toolkit(GATK、バージョン3.4-46)を使用して処理した。品質管理のため、標的領域の98%超が20以上の配列リードでカバーされる個体を選択した。GATKのUnifiedGenotyperおよびHaplotypeCaller、ならびにVCMM(バージョン1.0.2)を別々に使用して各個体のバリアントを調査した。全個体の遺伝子型を、参照および代替アレルの配列リード比に基づいて各バリアントについて一緒に決定した。代替アレル頻度が0~0.15、0.25~0.75、および0.85~1である場合、それぞれ、参照アレルのホモ接合体、ヘテロ接合体、および代替アレルのホモ接合体とした。マルチインデックスシーケンシングによって解析することができないSNPを、マルチプレックスPCRベースインベーダーアッセイ(J. Hum. Genet. 46, 471-7 (2001))によって遺伝子型同定した。
統計解析
全ステージにおいて、各SNPの相関性を加法モデル下で評価した。GWASでは、遺伝子インフレ因子(genetic inflation factor)λGCを全被験SNPに関するコクラン・アーミテージ傾向検定によって得られたP値から誘導された。分位数-分位数プロットを、Rプログラムを使用して描いた。λGC 1000を、次式54を使用して算出した:
λGC 1000=1+(1-λGC obs)×(1/ncases+1/ncontrols)/(1/1000caces+1/1000controls
GWASおよび追試を合わせた分析結果を、マンテル・ヘンツェル法によって検証した。2つのステージにわたる不均一性を、Pリンク(IARC Sci. Publ. 82, 1-406 (1987))を使用して検査した。マルチプレックス検定に対するボンフェローニ補正後、有意性閾値をP=5×10-8(GWASおよびメタ分析)とした。
多遺伝子性リスクスコア
リスクアレル数の加重和として多遺伝子性スコアをコンピュータ計算した。本研究のGWAS部分においてコンピュータ計算したオッズ比の対数を加重として使用した。組み込まれたSNP数は、GWASおよび検証コホートにおいて、それぞれ、82および63であった。GWASにおいて帰属されたアレルについて、リスクアレル数として遺伝子量を使用した。多遺伝子性スコアおよび臨床情報間の統計的関連性を、統計ソフトウェアR(A language and environment for statistical computing. R
Foundation for Statistical Computing, Vienna, Austria. https://www.R-project.org/.)を使用して解析した。
<結果>
前立腺がん感受性SNPsの同定
まず、上記の5088症例および10682対照のサンプルを使用してGWASを行い、P<1×10-5で前立腺がんと相関する2997SNPを同定した。次に、BBJおよびJIKEIコホートから4818症例、ならびにBBJコホートから73,261対照を使用して独立した追試を行った。前記2997SNPのうち、低インピュテーション品質(R乗値<0.3)を示したSNPおよび前立腺がんと関連していると以前に報告されたSNPsを除いた。
同じ連鎖不平衡(LD)ブロックにおいて、前立腺がんと最も強い相関性を示した各遺伝子領域に対する代表的SNPを選択した。また、同LDブロックの他のSNPと比較して、前立腺がんに対して特別顕著な相関性を示した20SNPを選択した。そして、合計で101の追試用SNPを選択した。追試では、マルチインデックスシーケンシングおよびマルチプレックスインベーダー法を使用して、遺伝子型同定を行った。候補SNPの中で、5SNPはいずれの方法によっても遺伝子型を同定することができず、除外した。
1回目と追試のGWASの結果、P<5×10-8で前立腺がんと有意に相関する新規の12SNPを同定した(表2)。なお、表2において、RSQRはGWASにおけるimputation accuracyを示し、ORは非リスクアレルを対照としたオッズ比である。
rs138708を除くこの研究で同定された全新規SNPは、非エキソン領域に存在した。12の新規座位のうち、5座位(chr.1においてrs7542260、chr.8においてrs75777376、chr.8においてrs16901814、chr.10においてrs4554825、およびchr.15においてrs8023793)は、そのLDブロックまたはその近傍(100kb以内)にタンパク質コード遺伝子を含んでいなかった。一方、chr.2におけるrs11125927は、TMEM17遺伝子のイントロンにあった。chr.3におけるrs73862213は、GATA2の近くにあった。chr.10におけるrs77911174領域は、ZMIZ1遺伝子を含んでいた。chr.12におけるrs11055034は、APOLD1のイントロンにあり、この領域はCDKN1Bの3’末端を含んでいた。chr.20におけるrs6117562は、SLC52A3を含む領域にあった。chr.22におけるrs138708は多くの遺伝子を含む非常に大きなLDブロックを形成していたが、rs138708はSUN2遺伝子のエキソン中の非同義SNPである。chr.Xにおけるrs4826594をスパンする領域は、3つの遺伝子、FGD1、GNL3L、およびTSR2を含んでいた。
Figure 2022039186000004
日本人集団における多遺伝子性リスクスコア。
今回の研究で新たに発見された12個のSNPおよび以前に報告されたSNPから日本人の前立腺がんリスクと相関性を示す68個のSNPを選択し、さらに、以前報告された2つの座位(rs58235267およびrs5799921)を代表するrs114780236およびrs4842687も含めた。
68個のSNPとrs114780236およびrs4842687を上記表1に示した。
GWASサンプルの各個体におけるリスクアレル数およびその影響を集計することにより多遺伝子性リスクスコア(PRS)を算出した。前立腺がん症例(n=4893)および男性対照(n=10,682)におけるPRS分布を図1aに示す。遺伝子性高リスク群として上位5%の症例(n=245)および低リスク群として下位5%(n=245)を画定し、これらの遺伝子的リスク層別化群の臨床的特徴を検査した。特に、高リスク群の平均診断年齢は非高リスク群より2.7歳若い(t検定により平均年齢68.7歳 対 71.4歳、P=6.54×10-8)ことを見出し、一方、低リスク群と非低リスク群との間の平均診断年齢にほとんど差がない(72.3 対 71.1、P=0.020)ことを見出した。また、早期発症前立腺がん症例において高PRSが多い(t検定により年齢<60歳の症例についてはP=0.00221、および年齢<65歳の症例についてはP=4.30×10-9、図1b)ことを見出した。この傾向は慈恵医大検証コホートでも同様であった(図1d)。また、高リスク群は、前立腺がんの陽性家族歴を有する患者が多かった(フィッシャー検定によりP=0.00339、図1c)。
このように、前立腺がん症例群のPRS上位5%群(発症リスク2.5倍以上)を前立腺がんの
発症高リスク群とすると、若年発症者や前立腺がんの家族歴のある症例が有意に多かった。
また、BBJの前立腺がん症例(左、n=4633)、慈恵医大の前立腺がん症例(右、
n=2218)において、PRSの高リスク群(上位5%)に分類された割合は、60歳未満でそれぞれ12%、8%であった。このように、発症年齢が若い群ほど、PRSでの高リスク群の割合が高くなった(図2)。

Claims (6)

  1. 前立腺がんの検査方法であって、
    rs7542260、rs11125927、rs73862213、rs75777376、rs16901814、rs4554825、rs77911174、rs11055034、rs8023793、rs6117562、rs138708及びrs4826594
    (なお、rs番号はNational Center for Biotechnology InformationのdbSNPデータベースの登録番号を示す。)
    から選択される1以上の一塩基多型を解析する工程を含む、方法。
  2. さらに、以下の表1に記載のいずれか1以上の一塩基多型を解析する、請求項1に記載の
    方法。
    Figure 2022039186000005

    Figure 2022039186000006

    Figure 2022039186000007

    に記載のいずれか1以上の一塩基多型をさらに解析する、方法。
  3. 合計10種類以上の一塩基多型を解析する、請求項1または2に記載の方法。
  4. 複数の一塩基多型の解析結果からリスクスコアを算出し、当該リスクスコアに基づいて、前立腺がんを検査する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前立腺がんが若年性前立腺がんである、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
  6. rs7542260、rs11125927、rs73862213、rs75777376、rs16901814、rs4554825、rs77911174、rs11055034、rs8023793、rs6117562、rs138708及びrs4826594から選択される1以上の
    一塩基多型を解析するための試薬を含む、前立腺がんの検査用試薬。
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