JP2022039066A - 皮膚の凹凸をカバーする方法 - Google Patents

皮膚の凹凸をカバーする方法 Download PDF

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Nobuyuki Asami
志洋 宮崎
Yukihiro Miyazaki
聡史 小澤
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夏子 沖山
Natsuko Okiyama
亮太 中嶋
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Abstract

【課題】粉体含有化粧料の適用と、静電スプレーにより皮膚上に被膜を形成する手段との併用により、皮膚の凹凸を確実にカバーする良好な方法の提供。【解決手段】A)成分(a)及び成分(b)を含有する組成物Xを静電スプレーして出来た被膜を皮膚上に適用する工程と、(a)水、アルコール及びケトンから選ばれる1種又は2種以上の揮発性物質、(b)被膜形成能を有するポリマーB)少なくとも体質顔料3質量%以上95質量%以下を含有する、組成物X以外の粉体含有組成物Yを皮膚に適用する工程とを、この順で又は逆の順で有する、皮膚の凹凸をカバーする方法。【選択図】なし

Description

本発明は、皮膚の凹凸をカバーする方法に関する。
静電スプレーによって皮膚上に被膜を形成する方法が報告されている。例えば、特許文献1には、皮膚に組成物を静電スプレーすることを含む皮膚を処理する方法が記載されている。この方法で用いられる組成物は、液体絶縁性物質と、導電性物質と、粒子状粉末物質と、増粘剤とを含んでいる。この組成物としては、典型的には顔料を含む化粧品やスキンケア組成物が用いられている。具体的には、組成物として化粧用ファンデーションが用いられている。すなわち、特許文献1に記載の発明は、美容の目的で化粧用ファンデーションを静電スプレーして、皮膚を化粧することを主として想定している。
また、特許文献2には、粉体を含む化粧料が施された皮膚の表面に、揮発性物質と被膜形成能を有するポリマーを含有する組成物を皮膚に直接静電スプレーして、該皮膚上に被膜を形成する、被膜の製造方法が記載されている。
しかしながら、特許文献1に記載の方法に従い静電スプレーを行い皮膚に被膜を形成した場合、皮膚と静電スプレーによって形成された被膜との密着性が十分でなく、摩擦等の外力に起因して被膜が損傷したり剥離したりすることがあることが判明した。一方、特許文献2記載の被膜の製造方法によれば、形成された被膜の皮膚への密着性が良好であり、粉体を含む化粧料の衣類等への色移りや衣類等への付着を抑制できることが記載されている。
特開2006-104211号公報 特開2017-78063号公報
しかしながら、特許文献2の手段により形成された被膜は粉体含有化粧料の衣類等への色移りなどが抑制されるが、化粧効果をさらに向上させる必要がある。
従って、本発明は、粉体含有化粧料の適用と、静電スプレーにより皮膚上に被膜を形成する手段との併用により、皮膚の凹凸を確実にカバーする良好な方法に関する。
そこで本発明者は、皮膚上への静電スプレーの前又は後に塗布する化粧料の組成について種々検討したところ、少なくとも体質顔料3質量%以上95質量%以下を含有する組成物の皮膚への適用と、静電スプレーにより皮膚上に被膜を適用する手段とを併用すれば、単独でこの化粧料を皮膚に適用した場合に比べて、格別顕著に皮膚の凹凸がカバーできることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、A)成分(a)及び成分(b)を含有する組成物Xを静電スプレーして出来た被膜を皮膚上に適用する工程と、
(a)水、アルコール及びケトンから選ばれる1種又は2種以上の揮発性物質、
(b)被膜形成能を有するポリマー
B)少なくとも体質顔料3質量%以上95質量%以下を含有する、組成物X以外の粉体含有組成物Yを皮膚に適用する工程とを、この順で又は逆の順で有する、皮膚の凹凸をカバーする方法に関するものである。
また、本発明は、A)成分(a)及び成分(b)を含有する組成物Xを直接皮膚に静電スプレーして皮膚表面に被膜を形成する工程と、
(a)水、アルコール及びケトンから選ばれる1種又は2種以上の揮発性物質、
(b)被膜形成能を有するポリマー
B)少なくとも体質顔料3質量%以上95質量%以下を含有する、組成物X以外の粉体含有組成物Yを皮膚に適用する工程とを、この順で又は逆の順で有する、皮膚の凹凸をカバーする方法に関するものである。
本発明方法によれば、単独で化粧料を皮膚に適用する場合に比べて、格別顕著に皮膚の凹凸がカバーできる。ここで皮膚の凹凸とは、皮膚表面の不均一な形状のことであり、具体的には皮膚の毛穴、しわ、シミ、ニキビ・吹き出物、肌理、皮膚の落屑等の皮膚表面の凹凸形状のことである。皮膚の凹凸が存在する部分に本発明方法を適用することによって、皮膚の凸部に静電スプレーで出来た被膜が亘ることで、皮膚上の凹部への粉体化粧料中の体質顔料の落ち込みが防止され、また粉体化粧料中の体質顔料の皮膚表面上での凝集を防いで、皮膚表面上に均一に体質顔料が分布して、皮膚の凹凸が顕著にカバーされる。
本発明で好適に用いられる静電スプレー装置の構成を示す概略図である。 静電スプレー装置を用いて静電スプレー法を行う様子を示す模式図である。
本発明方法は、A)前記成分(a)及び成分(b)を含有する組成物Xを静電スプレーして出来た被膜を皮膚上に適用する工程(工程A)と、
B)少なくとも体質顔料3質量%以上95質量%以下を含有する、組成物X以外の粉体含有組成物Yを皮膚に適用する工程(工程B)とを、
この順で又は逆の順で有する、皮膚の凹凸をカバーする方法である。
組成物Xは、静電スプレーにより被膜を形成するための組成物(噴霧用組成物)であるが、その静電スプレーにより形成される被膜は繊維で形成された被膜であるのが好ましく、繊維の堆積物である被膜が好ましい。なお、本発明において繊維で形成された被膜とは、成分(b)による繊維を含む被膜を意味し、繊維以外の例えば繊維周囲に液状物が存在するものであってもよい。また、静電スプレーは、好ましくはエレクトロスピニングである。
成分(a)の揮発性物質は、液体の状態において揮発性を有する物質である。組成物Xにおいて成分(a)は、電界内に置かれた該組成物Xを十分に帯電させた後、ノズル先端から基剤又は皮膚に向かって吐出され、成分(a)が蒸発していくと、組成物Xの電荷密度が過剰となり、クーロン反発によって微細化しながら成分(a)がさらに蒸発していき、最終的に乾いた被膜を形成させる目的で配合される。この目的のために、揮発性物質はその蒸気圧が20℃において0.01kPa以上、106.66kPa以下であることが好ましく、0.13kPa以上、66.66kPa以下であることがより好ましく、0.67kPa以上、40.00kPa以下であることがさらに好ましく、1.33kPa以上、40.00kPa以下であることがよりさらに好ましく、2.40kPa以上、40.00kPa以下であることが一層好ましい。
成分(a)の揮発性物質のうち、アルコールとしては例えば一価の鎖式脂肪族アルコール、一価の環式脂肪族アルコール、一価の芳香族アルコールが好適に用いられる。一価の鎖式脂肪族アルコールとしては炭素数が1~6の直鎖または分岐鎖のアルコール、一価の環式脂肪族アルコールとしては炭素数が4~6の環式脂肪族アルコール、一価の芳香族アルコールとしてはベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール等がそれぞれ挙げられる。それらの具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n-プロピルアルコール、n-ブチルアルコール、2-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、2-メチル-2-プロピルアルコール、n-ペンタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、2-メチル-1-ブチルアルコール、2-メチル-2-ブチルアルコール、3-メチル-1-ブチルアルコール、3-メチル-2-ブチルアルコール、ネオペンチルアルコール、n-ヘキサノール、2-ヘキサノール、3-ヘキサノール、2-メチル-1-ペンタノール、3-メチル-1-ペンタノール、4-メチル-1-ペンタノール、2-メチル-2-ペンタノール、3-メチル-2-ペンタノール、4-メチル-2-ペンタノール、2-メチル-3-ペンタノール、3-メチル-3-ペンタノール、2,2-ジメチル-1-ブタノール、2,3-ジメチル-1-ブタノール、3,3-ジメチル-1-ブタノール、2,3-ジメチル-2-ブタノール、3,3-ジメチル-2-ブタノール、2-エチル-1-ブタノール、シクロブタノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコールなどが挙げられる。これらのアルコールは、これらから選ばれる1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
成分(a)の揮発性物質のうち、ケトンとしては炭素数が1~4のアルキル基を2つ有するケトン、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。これらのケトンは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
成分(a)の揮発性物質は、前記アルコールと前記ケトンから選ばれる1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、さらに水を含むものであっても良い。
成分(a)の揮発性物質は、より好ましくはエタノール、イソプロピルアルコール及びn-ブチルアルコールから選ばれる1種又は2種以上であり、さらに好ましくはエタノール及びイソプロピルアルコールから選ばれる1種又は2種以上であり、よりさらに好ましくはエタノールである。また、さらに水を成分(a)中に0.4質量%以上10%質量%以下含むものであっても良い。
組成物Xにおける成分(a)の含有量は、繊維形成性の観点から、45質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、55質量%以上であることがさらに好ましく、60質量%以上であることがよりさらに好ましい。また95質量%以下であることが好ましく、93質量%以下であることがより好ましく、90質量%以下であることがさらに好ましく、88質量%以下であることがよりさらに好ましい。同様の観点から、組成物Xにおける成分(a)の含有量は、45質量%以上95質量%以下であることが好ましく、50質量%以上93質量%以下であることがより好ましく、55質量%以上90質量%以下であることがさらに好ましく、60質量%以上88質量%以下であることがよりさらに好ましい。この割合で組成物X中に成分(a)を含有させることで、目的とする被膜を効率的に形成することができ、かつ繊維で形成された被膜を安定して形成させることができる。また、この割合で組成物X中に成分(a)を含有させることで、静電スプレー法を行うときに組成物X中から成分(a)を効率的に、かつ十分に揮発させることができる。
成分(b)である被膜形成能を有するポリマーは、一般に、成分(a)の揮発性物質に溶解することが可能な物質である。ここで、溶解するとは成分(a)と成分(b)を混合した際に、成分(a)中に成分(b)が20℃において分散状態にあり、その分散状態が目視で均一な状態、好ましくは目視で透明又は半透明な状態であることをいう。本発明における被膜形成能は、好ましくは繊維形成能である。
被膜形成能を有するポリマーとしては、成分(a)の揮発性物質の性質に応じて適切なものが用いられる。具体的には、被膜形成能を有するポリマーは水溶性ポリマーと水不溶性ポリマーとに大別される。本明細書において「水溶性ポリマー」とは、1気圧・23℃の環境下において、ポリマー1gを秤量したのちに、10gのイオン交換水に浸漬し、24時間経過後、浸漬したポリマーの0.5g以上が水に溶解する性質を有するものをいう。一方、本明細書において「水不溶性ポリマー」とは、1気圧・23℃の環境下において、ポリマー1gを秤量したのちに、10gのイオン交換水に浸漬し、24時間経過後、浸漬したポリマーの0.5g未満しか水に溶解しない性質を有するものをいう。
水溶性である被膜形成能を有するポリマーとしては、例えばプルラン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ポリ-γ-グルタミン酸、変性コーンスターチ、β-グルカン、グルコオリゴ糖、ヘパリン、ケラト硫酸等のムコ多糖、セルロース、ペクチン、キシラン、リグニン、グルコマンナン、ガラクツロン酸、サイリウムシードガム、タマリンド種子ガム、アラビアガム、トラガントガム、大豆水溶性多糖、アルギン酸、カラギーナン、ラミナラン、寒天(アガロース)、フコイダン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の天然高分子、部分鹸化ポリビニルアルコール(架橋剤と併用しない場合)、低鹸化ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸ナトリウム等の合成高分子などが挙げられる。これらの水溶性ポリマーは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの水溶性ポリマーのうち、被膜の製造が容易である観点から、プルラン、部分鹸化ポリビニルアルコール、低鹸化ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン及びポリエチレンオキサイド等の合成高分子を用いることが好ましい。水溶性ポリマーとしてポリエチレンオキサイドを用いる場合、その数平均分子量は、5万以上300万以下であることが好ましく、10万以上250万以下であることがより好ましい。
一方、水不溶性である被膜形成能を有するポリマーとしては、例えば被膜形成後に不溶化処理できる完全鹸化ポリビニルアルコール、架橋剤と併用することで被膜形成後に架橋処理できる部分鹸化ポリビニルアルコール、ポリ(N-プロパノイルエチレンイミン)グラフト-ジメチルシロキサン/γ-アミノプロピルメチルシロキサン共重合体等のオキサゾリン変性シリコーン、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ツエイン(とうもろこし蛋白質の主要成分)、ポリ乳酸(PLA)等のポリエステル樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリメタクリル酸樹脂等のアクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂などが挙げられる。これらの水不溶性ポリマーは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの水不溶性ポリマーのうち、被膜形成後に不溶化処理できる完全鹸化ポリビニルアルコール、架橋剤と併用することで被膜形成後に架橋処理できる部分鹸化ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ(N-プロパノイルエチレンイミン)グラフト-ジメチルシロキサン/γ-アミノプロピルメチルシロキサン共重合体等のオキサゾリン変性シリコーン、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ツエイン等を用いることが好ましい。
成分(b)としては、水不溶性の被膜形成能を有するポリマーが好ましく、部分鹸化ポリビニルアルコール、低鹸化ポリビニルアルコール、完全鹸化ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリメタクリル酸樹脂、オキサゾリン変性シリコーン、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、及びポリ乳酸から選ばれる1種又は2種以上がより好ましい。
本発明の組成物Xにおける成分(b)の含有量は、4質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、6質量%以上であることがさらに好ましく、8質量%以上であることがよりさらに好ましい。また35質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、25質量%以下であることがさらに好ましく、20質量%以下であることがよりさらに好ましい。組成物Xにおける成分(b)の含有量は、4質量%以上35質量%以下であることが好ましく、4質量%以上30質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上30質量%以下であることがさらに好ましく、6質量%以上25質量%以下であることがさらに好ましく、8質量%以上20質量%以下であることがよりさらに好ましい。この割合で組成物X中に成分(b)を含有させることで、目的とする被膜を効率的に形成することができ、かつ繊維で形成された被膜を安定して形成させることができる。
組成物X中の成分(a)と成分(b)の含有量の比率((a)/(b))は、静電スプレー法を行うときに成分(a)を十分に揮発させることができる観点から、0.5以上40以下が好ましく、1以上30以下がより好ましく、3以上11以下がさらに好ましい。
また、組成物X中のエタノールと成分(b)の含有量の比率((a)/(b))は、静電スプレー法を行うときに成分(a)を十分に揮発させることができる観点から、0.5以上40以下が好ましく、1以上30以下がより好ましく、2以上25以下がさらに好ましい。
更に、組成物X中にグリコールを含有することができる。グリコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。静電スプレー法を行うときに成分(a)を十分に揮発させることができる観点から、組成物X中に10質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましく、1質量%以下が好ましく、実質含まないことが好ましい。
組成物X中には、上述した成分(a)及び成分(b)のみが含まれていてもよく、あるいは成分(a)及び成分(b)に加えて他の成分が含まれていてもよい。他の成分としては、例えば、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)等の油剤、界面活性剤、UV防御剤、香料、忌避剤、酸化防止剤、安定剤、防腐剤、制汗剤、各種ビタミン等が挙げられる。なお、これらの各剤は、各剤としての用途に限られず、目的に応じて他の用途、例えば制汗剤を香料として使用することができる。あるいは、他の用途との併用として、例えば制汗剤と香料としての効果を奏するものとして使用することができる。組成物X中に他の成分が含まれる場合、当該他の成分の含有割合は、30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることが更に好ましく、また0.1質量%以上含有してもよく、0.5質量%以上含有してもよい。
本発明方法においては、組成物Xを静電スプレーして出来た被膜を皮膚上に適用する。ここで、組成物Xを静電スプレーしてできた被膜を皮膚上に適用する手段には、組成物Xを予め基剤上に静電スプレーして形成された被膜を皮膚上に適用する手段、及び組成物Xを皮膚に直接静電スプレーして皮膚表面に被膜を形成する手段の両者が含まれる。
前者の場合には、組成物Xを静電スプレーして繊維からなるシートを作製し、そのシートを皮膚に適用する。ここで基剤としては、樹脂や金属の板状基剤、化粧用のパフ、手などが挙げられる。
被膜形成用組成物の粘度は、皮膚上に繊維で形成された被膜を安定して形成する観点、静電スプレー時の紡糸性、繊維の乾燥、繊維の細径化等の観点から、25℃で2mPa・s以上であることが好ましく、5mPa・s以上であることがより好ましく、10mPa・s以上であることがさらに好ましく、30mPa・s以上であることがよりさらに好ましく、50mPa・s以上であることが一層好ましく、80mPa・s以上であることがより一層好ましい。また2000mPa・s以下であることが好ましく、1500mPa・s以下であることがより好ましく、1200mPa・s以下であることがさらに好ましく、1000mPa・s以下であることがよりさらに好ましく、800mPa・s以下であることが一層好ましく、500mPa・s以下であることがより一層好ましい。被膜形成用組成物の粘度の範囲は2mPa・s以上2000mPa・s以下であることが好ましく、5mPa・s以上1500mPa・s以下であることがより好ましく、10mPa・s以上1200mPa・s以下であることがさらに好ましく、30mPa・s以上1000mPa・s以下であることがよりさらに好ましく、50mPa・s以上800mPa・s以下であることが一層好ましく、80mPa・s以上500mPa・s以下であることがより一層好ましい。被膜形成用組成物の粘度は、B型粘度計を用いて25℃で測定される。B型粘度計としては例えば東機産業株式会社製のB型粘度計(TVB-10M)を用いることができる。その場合の測定条件は、測定温度を25℃とする。このとき測定温度とは、被膜形成用組成物の温度である。ロータの種類とロータの回転数は被膜形成用組成物の粘度に応じて、使用する測定機器の仕様に従って選択する。例えば、前記東機産業株式会社製のB型粘度計(TVB-10M)を使用する場合、被膜形成用組成物の粘度が2500mPa・s以上はM2ロータを用いて6rpmで、1000mPa・s以上2500mPa・s未満はM2ロータを用いて12rpmで、500mPa・s以上1000mPa・s未満はM2ロータを用いて30rpmで、100mPa・s以上500mPa・s未満はM2ロータを用いて60rpmで、100mPa・s未満はM1ロータを用いて60rpmで測定することができる。また、前記東機産業株式会社製のB型粘度計(TVB-10M)の仕様説明書には上記測定条件以外の測定条件も記載されており、被膜形成用組成物の粘度に応じて他の測定条件で粘度を測定することもできる。
組成物Xは静電スプレー法によって、基剤上又はヒトの皮膚に直接噴霧される。静電スプレー法は、静電スプレー工程において、静電スプレー装置を用いて、基剤上又は皮膚に組成物Xを静電スプレーして、被膜を形成する工程を含む。該静電スプレー装置は、組成物Xを収容する容器と、組成物Xを吐出するノズルと、容器中に収容されている組成物Xをノズルに供給する供給装置と、ノズルに電圧を印加する電源とを備える。図1には、本発明で好適に用いられる静電スプレー装置の構成を表す概略図が示されている。図1に示す静電スプレー装置10は、低電圧電源11を備えている。低電圧電源11は、数Vから十数Vの電圧を発生させ得るものである。静電スプレー装置10の可搬性を高める目的で、低電圧電源11は1個又は2個以上の電池からなることが好ましい。また、低電圧電源11として電池を用いることで、必要に応じ取り替えを容易に行えるという利点もある。電池に代えて、ACアダプタ等を低電圧電源11として用いることもできる。
静電スプレー装置10は、高電圧電源12も備えている。高電圧電源12は、低電圧電源11と接続されており、低電圧電源11で発生した電圧を高電圧に昇圧する電子回路(図示せず)を備えている。昇圧電子回路は一般にトランス、キャパシタ及び半導体素子等から構成されている。
静電スプレー装置10は、補助的電気回路13を更に備えている。補助的電気回路13は、上述した低電圧電源11と高電圧電源12との間に介在し、低電圧電源11の電圧を調整して高電圧電源12を安定的に動作させる機能を有する。更に補助的電気回路13は、後述するマイクロギヤポンプ14に備えられているモータの回転数を制御する機能を有する。モータの回転数を制御することで、後述する組成物Xの容器15からマイクロギヤポンプ14への組成物Xの供給量が制御される。補助的電気回路13と低電圧電源11との間にはスイッチSWが取り付けられており、スイッチSWの入り切りによって、静電スプレー装置10を運転/停止できるようになっている。
静電スプレー装置10は、ノズル16を更に備えている。ノズル16は、金属を初めとする各種の導電体や、プラスチック、ゴム、セラミックなどの非導電体からなり、その先端から組成物Xの吐出が可能な形状をしている。ノズル16内には組成物Xが流通する微小空間が、該ノズル16の長手方向に沿って形成されている。この微小空間の横断面の大きさは、直径で表して100μm以上1000μm以下であることが好ましい。ノズル16は、管路17を介してマイクロギヤポンプ14と連通している。管路17は導電体でもよく、あるいは非導電体でもよい。また、ノズル16は、高電圧電源12と電気的に接続されている。これによって、ノズル16に高電圧を印加することが可能になっている。この場合、ノズル16に人体が直接触れた場合に過大な電流が流れることを防止するために、ノズル16と高電圧電源12とは、電流制限抵抗19を介して電気的に接続されている。
管路17を介してノズル16と連通しているマイクロギヤポンプ14は、容器15中に収容されている組成物Xをノズル16に供給する供給装置として機能する。マイクロギヤポンプ14は、低電圧電源11から電源の供給を受けて動作する。また、マイクロギヤポンプ14は、補助的電気回路13による制御を受けて所定量の組成物Xをノズル16に供給するように構成されている。
マイクロギヤポンプ14には、フレキシブル管路18を介して容器15が接続されている。容器15中には組成物Xが収容されている。容器15は、カートリッジ式の交換可能な形態をしていることが好ましい。
以上の構成を有する静電スプレー装置10は、例えば図2に示すように使用することができる。図2には、片手で把持できる寸法を有するハンディタイプの静電スプレー装置10が示されている。同図に示す静電スプレー装置10は、図1に示す構成図の部材のすべてが円筒形の筐体20内に収容されている。筐体20の長手方向の一端10aには、ノズル(図示せず)が配置されている。ノズルは、その組成物の吹き出し方向を、筐体20の縦方向と一致させて、被膜形成対象物である肌側に向かい凸状になるように該筐体20に配置されている。ノズル先端が筐体20の縦方向においてに被膜形成対象物に向かい凸状になるように配置されていることによって、筐体に組成物Xが付着しにくくなり、安定的に被膜を形成することができる。
被膜形成対象皮膚が使用者の自身の皮膚である場合、静電スプレー装置10を動作させるときには、使用者、すなわち静電スプレーによって自己の皮膚に被膜を形成する者が該装置10を手で把持し、ノズル(図示せず)が配置されている該装置10の一端10aを、静電スプレーを行う対象部位に向ける。図2では、使用者の前腕部内側に静電スプレー装置10の一端10aを向けている状態が示されている。この状態下に、装置10のスイッチをオンにして静電スプレー法を行う。装置10に電源が入ることで、ノズルと皮膚との間には電界が生じる。図2に示す実施形態では、ノズルに正の高電圧が印加され、皮膚が負極となる。ノズルと皮膚との間に電界が生じると、ノズル先端部の組成物Xは、静電誘導によって分極してその先端部分がコーン状になり、コーン先端から帯電した組成物Xの液滴が電界に沿って、皮膚に向かって空中に吐出される。空間に吐出され且つ帯電した組成物Xから溶媒である成分(a)が蒸発していくと、組成物X表面の電荷密度が過剰となり、クーロン反発力によって微細化を繰り返しながら空間に広がり、皮膚に到達する。この場合、組成物Xの粘度を適切に調整することで、噴霧された該組成物Xを液滴の状態で皮膚に到達させることができる。あるいは、空間に吐出されている間に、溶媒である揮発性物質の成分(a)を該組成物Xから揮発させ、溶質である被膜形成能を有するポリマーを固化させつつ、電位差によって伸長変形させながら繊維を形成し、その繊維を皮膚の表面に堆積させることもできる。例えば、組成物Xの粘度を高めると、該組成物を繊維の形態で皮膚の表面に堆積させやすい。これによって、繊維の堆積物からなる被膜が皮膚の表面に形成される。繊維の堆積物からなる被膜は、ノズルと皮膚との間の距離や、ノズルに印加する電圧を調整することでも形成することが可能である。
静電スプレー法を行っている間は、被膜形成対象物である皮膚とノズルとの間に高い電位差が生じている。しかし、インピーダンスが非常に大きいので、人体を流れる電流は極めて微小である。例えば通常の生活下において生じる静電気によって人体に流れる電流よりも、静電スプレー法を行っている間に人体に流れる電流の方が数桁小さいことは確認されている。
静電スプレー法によって繊維の堆積物を形成する場合、該繊維の太さは、円相当直径で表した場合、10nm以上であることが好ましく、50nm以上であることが更に好ましい。また3000nm以下であることが好ましく、1000nm以下であることが更に好ましい。繊維の太さは、例えば走査型電子顕微鏡(SEM)観察によって、繊維を10000倍に拡大して観察し、その二次元画像から欠陥(繊維の塊、繊維の交差部分、液滴)を除き、繊維を任意に10本選び出し、繊維の長手方向に直交する線を引き、繊維径を直接読み取ることで測定することができる。
前記の繊維は、製造の原理上は無限長の連続繊維となるが、少なくとも繊維の太さの100倍以上の長さを有することが好ましい。本明細書においては、繊維の太さの100倍以上の長さを有する繊維のことを「連続繊維」と定義する。そして、静電スプレー法によって製造される被膜は、連続繊維の堆積物からなる多孔性の不連続被膜であることが好ましい。このような形態の被膜は、集合体として1枚のシートとして扱えるだけでなく、非常に柔らかい特徴を持っており、それに剪断力が加わってもばらばらになりにくく、身体の動きへの追従性に優れるという利点がある。また、皮膚から生じた汗の放散性に優れるという利点もある。更に、被膜の剥離が容易であるという利点もある。これに対して、細孔を有さない連続被膜は剥離が容易でなく、また汗の放散性が非常に低いので、皮膚に蒸れが生じやすい。
繊維状となった組成物Xは、帯電した状態で皮膚に到達する。先に述べたとおり皮膚も帯電しているので、繊維は静電力によって皮膚に密着する。皮膚の表面には肌理等の微細な凹凸が形成されているので、その凹凸によるアンカー効果と相まって繊維は皮膚の表面に一層密着する。このようにして静電スプレーが完了したら、静電スプレー装置10の電源を切る。これによってノズルと皮膚との間の電界が消失し、皮膚の表面は電荷が固定化される。その結果、被膜の密着性が一層発現する。
以上の説明は、被膜として繊維の堆積物からなる多孔性被膜についてのものであったが、被膜の形態はこれに限られず、細孔を有さない連続被膜を形成してもよく、繊維の堆積物以外の形態を有する多孔性被膜、例えば連続被膜に不規則に又は規則的に複数の貫通孔が形成されてなる多孔性被膜、すなわち不連続被膜を形成してもよい。上述のとおり、組成物Xの粘度、ノズルと皮膚との間の距離、及びノズルに印加する電圧などを制御することで任意の形状の被膜を形成することができる。
ノズルと皮膚との間の距離は、ノズルに印加する電圧にも依存するが、50mm以上、150mm以下であることが、被膜を首尾よく形成する上で好ましい。ノズルと皮膚との間の距離は、一般的に用いられる非接触式センサ等で測定することができる。
静電スプレー法によって形成された被膜が多孔性のものであるか否かを問わず、被膜の坪量は、0.1g/m2以上であることが好ましく、0.2g/m2以上であることがより好ましく、0.5g/m2以上であることが更に好ましい。また30g/m2以下であることが好ましく、20g/m2以下であることがより好ましく、10g/m2以下であることが更に好ましい。例えば被膜の坪量は、0.1g/m2以上30g/m2以下であることが好ましく、0.2g/m2以上1g/m2以上20g/m2以下であることがより好ましく、0.5g/m2以上10g/m2以下であることが更に好ましい。被膜の坪量をこのように設定することで、被膜の密着性を向上させることができる。なお、ここで説明した皮膚に組成物を直接に静電スプレーして被膜を形成する静電スプレー工程とは、皮膚に静電スプレーして、被膜を形成する工程を意味する。
組成物Xを予め基剤上に静電スプレーして形成された被膜を皮膚上に適用する場合には、基剤上に組成物Xを静電スプレーして繊維からなるシートを作製し、そのシートを皮膚に適用する。ここで基剤としては、樹脂や金属の板状基剤、化粧用のパフ、手などが挙げられる。静電スプレー法は、前記と同様である。得られた繊維からなるシートを、適用する皮膚の形状、例えば眼の下の部分、目の横の部分などの形状に切断して貼付するのが好ましい。
次に、工程Bについて説明する。
工程Bは、少なくとも体質顔料3質量%以上95質量%以下を含有する、組成物X(噴霧用組成物)以外の粉体含有組成物Yを皮膚に適用する工程である。この工程Bは、静電スプレー工程Aの前又は後に行なわれる。
この工程Bは、組成物Yを静電スプレー以外の手段により皮膚に適用する工程である。組成物Yを皮膚に適用する手段は、静電スプレー以外の手段であればいずれの手段でもよい。手指等で皮膚に塗布する手段、化粧用のスポンジ、不織布、織物、樹脂や金属の板状基剤を用いて皮膚に適用する手段等が挙げられる。
ここで、工程Aと工程Bは、この順又は逆の順で行われる。すなわち、工程A次いで工程B、又は工程B次いで工程Aの順で行われる。本発明においては、工程Aと工程Bをこの順で行っても、逆の順で行っても、組成物Xで形成された繊維の堆積物である被膜と粉体含有組成物Yとが、一体化するので、優れた皮膚の凹凸のカバー効果が得られる。ここで、工程Aと工程Bは、基本的には、皮膚の同じ部位に適用される。
工程Bに用いられる粉体含有組成物Yは、本発明の工程Aと工程Bの併用により優れた皮膚の凹凸カバー性能を得る観点から、少なくとも体質顔料を3質量%以上95質量%以下含有する。
用いられる体質顔料としては、無機の体質顔料と有機の体質顔料が挙げられる。無機の体質顔料としては、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、カオリン、セリサイト、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、ヒドロキシアパタイト、バーミキュライト、クレー、ベントナイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、スメクタイト、ゼオライト、セラミックスパウダー、第二リン酸カルシウム、アルミナ、シリカ、水酸化アルミニウム、窒化ホウ素、合成マイカ、合成セリサイト、金属石鹸、硫酸バリウム処理マイカ等が挙げられる。これらを1種又は2種以上用いることができる。
有機の体質顔料としては、シリコーンゴム粉体、シリコーン樹脂被覆シリコーンゴム粉体、ポリメチルシルセスキオキサン、ポリアミドパウダー、ナイロンパウダー、ポリエステルパウダー、ポリプロピレンパウダー、ポリスチレンパウダー、ポリウレタンパウダー、ビニル樹脂パウダー、尿素樹脂パウダー、フェノール樹脂パウダー、フッ素樹脂パウダー、ケイ素樹脂パウダー、アクリル樹脂パウダー、メラミン樹脂パウダー、ポリカーボネート樹脂、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体、シルクパウダー、ウールパウダー、セルロースパウダー、長鎖アルキルリン酸金属塩、N-モノ長鎖アルキルアシル塩基性アミノ酸、これらの複合体等が挙げられる。これらを1種又は2種以上用いることができる。
これらの体質顔料のうち、皮膚の凹凸をカバーする観点、皮膚のカバー力を向上させる観点から、無機の体質顔料が好ましく、屈折率が1.3~1.8の無機粉体を含むものがより好ましく、屈折率が1.4~1.7の無機粉体を含むものが更に好ましく、屈折率が1.4~1.6の無機粉体を含むものがよりさらに好ましい。
このような無機粉体としては、ゼオライト(屈折率1.47~1.49)、シリカ(屈折率1.54)、タルク(屈折率1.54~1.59)、セリサイト(屈折率1.58)、マイカ(屈折率1.58)、炭酸バリウム(屈折率1.6)、硫酸バリウム(屈折率1.64)、ハイドロキシアパタイト(屈折率1.65)、炭酸カルシウム(屈折率1.66)、アルミナ(屈折率1.77)から選ばれる1種又は2種以上が挙げられ、ゼオライト、シリカ、タルク、セリサイト、マイカ、炭酸バリウム、硫酸バリウム、ハイドロキシアパタイト、炭酸カルシウムから選ばれる1種又は2種以上を含むのが好ましく、シリカ、タルク、セリサイト、マイカ、硫酸バリウムから選ばれる1種又は2種以上を含むのがより好ましい。少なくともタルクとマイカを1種又は2種以上含むのがより更に好ましい。
これらの体質顔料は、皮膚の凹凸をカバーする観点、塗膜と素肌の境目の目立ちを抑制する観点から、疎水化処理したものを用いることが好ましい。
疎水化処理としては、通常の化粧料用粉体に施されている処理であれば制限されず、シリコーン処理、アルコキシシラン処理、脂肪酸処理、ラウロイルリジン処理、レシチン処理、N-アシルアミノ酸処理、金属石鹸処理、フッ素化合物処理等が挙げられる。これらのうち、シリコーン処理が好ましい。これらの処理は、通常の方法により行うことができる。
粉体含有組成物Y中には、本発明の工程Aと工程Bの併用により優れた皮膚の凹凸カバー性能を得る観点から、前記の体質顔料を3質量%以上95質量%以下含有する。当該体質顔料の含有量は、皮膚の凹凸カバー性能の観点から、4質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、6質量%以上がさらに好ましく、また、95質量%以下が好ましく、75質量%以下がより好ましく、50質量%以下がさらに好ましい。
粉体含有組成物Y中には、前記体質顔料以外に、着色顔料、パール顔料等が含まれていてもよい。着色顔料としては、無機着色顔料、有機着色顔料、有機色素が挙げられ、これらを1種又は2種以上用いることができる。
無機着色顔料としては、具体的には、ベンガラ、水酸化鉄、チタン酸鉄、黄酸化鉄、黒酸化鉄、カーボンブラック、紺青、群青、紺青酸化チタン、黒色酸化チタン、チタン・酸化チタン焼結物、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット、酸化クロム、水酸化クロム、酸化コバルト、チタン酸コバルト等の無機有色顔料;酸化チタン、酸化亜鉛、カラミン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化セリウム、酸化アルミニウム、これらの複合体等の無機白色顔料が挙げられる。これらを1種又は2種以上用いることができる。
これらのうち、少なくとも、酸化鉄、酸化チタン及び酸化亜鉛から選ばれる1種又は2種以上が好ましく、酸化チタン、酸化亜鉛、ベンガラ、黄酸化鉄及び黒酸化鉄から選ばれる1種又は2種以上がより好ましい。
有機着色顔料・有機色素としては、赤色3号、赤色102号、赤色104号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、赤色401号、赤色405号、赤色505号、橙色203号、橙色204号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色401号、青色1号、青色404号等の有機タール系顔料;β-カロチン、カラメル、パプリカ色素等の有機色素が挙げられる。また、セルロース、ポリメタクリル酸エステル等の高分子で被覆したもの等が挙げられる。これらのうち、少なくとも赤色102号が含まれることが好ましい。
パール顔料(光輝性粉体)としては、魚鱗箔、酸化チタン被覆雲母(雲母チタン)、オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆タルク、酸化チタン被覆着色雲母、酸化チタン酸化鉄被覆雲母、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、有機顔料処理雲母チタン、低次酸化チタン被覆雲母、酸化チタン被覆合成雲母、酸化チタン被覆板状シリカ、中空板状酸化チタン、酸化鉄被覆雲母、板状酸化鉄(MIO)、アルミニウムフレーク、ステンレスフレーク、酸化チタン被覆板状アルミナ、ガラスフレーク、酸化チタン被覆ガラスフレーク、真珠殻、金箔、金蒸着樹脂フィルム、金属蒸着樹脂フィルム等が挙げられる。これらを1種又は2種以上用いることができる。
本発明で用いる体質顔料以外の粉体は、いずれも、そのまま使用することができ、これらの1種又は2種以上が疎水化処理されたものを用いることもできる。疎水化処理としては、通常の化粧料用粉体に施されている処理であれば制限されず、フッ素化合物、シリコーン系化合物、金属石鹸、アミノ酸系化合物、レシチン、アルキルシラン、油剤、有機チタネート等の表面処理剤を用い、乾式処理、湿式処理等を行えばよい。
表面処理剤の具体例としては、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルアルコキシシラン、フッ素変性シリコーン等のフッ素系化合物;ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、環状シリコーン、片末端又は両末端トリアルコキシ基変性オルガノポリシロキサン、架橋型シリコーン、シリコーン樹脂、フッ素変性シリコーン樹脂、アクリル変性シリコーン等のシリコーン系化合物;ステアリン酸アルミニウム、ミリスチン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等の金属石鹸;プロリン、ヒドロキシプロリン、アラニン、グリシン、サルコシン、グルタミン酸、アスパラギン酸、リジン及びそれらの誘導体等のアミノ酸系化合物;レシチン、水添レシチン;メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン等のアルキルシラン;ポリイソブチレン、ワックス、油脂等の油剤;トリイソステアリン酸イソプロピルチタン等の有機チタネートなどが挙げられる。
また、本発明で用いる体質顔料以外の粉体は、更に、これらの1種又は2種以上が親水化処理されたものを用いることもできる。親水化処理としては、通常の化粧料用粉体に施されている処理であれば制限されない。
例えば、アラビアゴム、トラガカント、アラビノガラクタン、ローカストビーンガム(キャロブガム)、グアーガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、寒天、クインスシード(マルメロ)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、アルゲコロイド、トラントガム、ローカストビーンガム等の植物系高分子;キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、プルラン等の微生物系高分子;コラーゲン、カゼイン、アルブミン、デオキシリボ核酸(DNA)及びその塩等の動物系高分子;カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等のデンプン系高分子;メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ニトロセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、セルロース末のセルロース系高分子;アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子;ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー等のビニル系高分子;ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールシラン等のポリオキシエチレン系高分子;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体系高分子;ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリル酸アミド等のアクリル系高分子など、更に、シリカなど無機ケイ酸系化合物などが挙げられる。
前記体質顔料を含む粉体としては、化粧料に通常用いられる粉体であれば、球状、板状、針状、不定形状等の形状、煙霧状、微粒子状、顔料級等の粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等のものを用いることができる。
これらの粉体の平均粒子径は、優れた皮膚の凹凸をカバーする性能を得る観点から、平均粒子径0.001μm以上200μm以下が好ましく、0.01μm以上50μm以下がより好ましく、0.02μm以上20μm以下が更に好ましく、0.05μm以上10μm以下が更に好ましい。
本発明において、粉体の平均粒子径は、電子顕微鏡観察、レーザー回折/散乱法による粒度分布測定機によって、測定される。具体的には、レーザー回折/散乱法の場合、エタノールを分散媒として、レーザー回折散乱式粒度分布測定器(例えば、セイシン企業社製、LMS-350)で測定する。なお、粉体を疎水化処理又は親水化処理した場合、それらの粉体の平均粒子径、含有量は、疎水化処理又は親水化処理した剤を含めての平均粒子径、質量を意味する。
体質顔料以外の粉体は、1種又は2種以上を用いることができ、粉体含有組成物Y中の含有量は、優れた皮膚の凹凸をカバーする性能を得る観点から、1質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、5質量%以上が更に好ましく、96質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましく、60質量%以下が更に好ましい。また、粉体の含有量は、化粧料中に1質量%以上96質量%以下が好ましく、3質量%以上90質量%以下がより好ましく、5質量%以上60質量%以下が更に好ましい。
粉体含有組成物Y中の全粉体中の体質顔料の含有量[体質顔料/全粉体×100]は、優れた皮膚の凹凸をカバーする性能を得る観点から、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、また100質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましく、50質量%以下がさらに好ましい。
粉体含有組成物Y中の体質顔料と組成物X中の成分(b)との質量比(組成物Yの体質顔料/組成物Xの成分(b)が、0.1以上が好ましく、0.2以上がより好ましく、0.3以上が更に好ましく、6以下が好ましく、4以下がより好ましく、3以下が更に好ましい。
粉体含有組成物Yには、前記粉体以外の成分、例えば、油剤(液体油及び固形油を含む)、乳化剤、水溶性高分子、香料、忌避剤、酸化防止剤、安定剤、防腐剤、増粘剤、pH調整剤、血行促進剤、各種ビタミン、冷感剤、制汗剤、殺菌剤、皮膚賦活剤、保湿剤等が含まれていてもよい。
粉体含有組成物Yの種類は、粉体含組成物であれば特に限定されず、通常、化粧下地、ファンデーション、コンシーラー等のメイクアップ化粧料;日焼け止め乳液、日焼け止めクリーム等の紫外線防御化粧料などとして適用することができる。なかでも、化粧下地、ファンデーション、コンシーラー、日焼け止め乳液、日焼け止めクリームがより好ましく、化粧下地、ファンデーションがさらに好ましい。
また、当該粉体含有組成物Yの形態も特に限定されず、粉末化粧料、固形粉末化粧料、リキッド化粧料、油性化粧料、乳化化粧料、油性固形化粧料のいずれでもよい。
粉体含有組成物Yの皮膚への適用は、静電スプレー以外の手段であって、化粧料の種類に応じた通常の塗布手段で行えばよく、例えば指や手のひらを用いてのび広げたり、おさえたりして塗布、スポンジ等の専用の道具を用いてのび広げたり、おさえたりして塗布する等が挙げられる。
本発明方法においては、工程Aと工程Bの間に、当該皮膚に化粧液を塗布する工程(工程C)を含んでいてもよい。当該工程Cを行うことにより、工程Aにより得られる被膜と工程Bにより得られる塗膜とがより一体化し、皮膚の凹凸カバー効果が向上する。なお、化粧液は組成物Yとは異なる組成である。
工程Cに用いられる化粧液としては、(c1)ポリオール及び液状油(20℃で液状)から選ばれる1種以上を含有する化粧液が好ましい。
ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール等のアルキレングリコール類;ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、分子量1000以下のポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン等のグリセリン類等が挙げられる。これらのうち、塗布時の滑らかさなどの使用感、皮膚の凹凸のカバー力向上効果の観点から、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、ジプロピレングリコール、分子量1000以下のポリエチレングリコール、グリセリン、ジグリセリンが好ましく、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、グリセリンがより好ましく、少なくともグリセリンを含むことが更に好ましい。
本発明における液状油は、20℃において液体の油であり、流動性のある半固形のものも含む。液状油としては、炭化水素油、エステル油、高級アルコール、シリコ-ン油、脂肪酸等が挙げられる。これらのうち、塗布時の滑らかさ、長時間経過後の密着性、耐摩擦性の点から、炭化水素油、エステル油、シリコーン油が好ましい。また、これらの液状油から選ばれる1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記液状の炭化水素油としては、流動パラフィン、スクワラン、スクワレン、n-オクタン、n-ヘプタン、シクロヘキサン、軽質イソパラフィン、流動イソパラフィン、水添ポリイソブテン、ポリブテン、ポリイソブテン等が挙げられ、使用感の観点から流動パラフィン、軽質イソパラフィン、流動イソパラフィン、スクワラン、スクワレン、n-オクタン、n-ヘプタン、シクロヘキサンが好ましく、流動パラフィン、スクワランがより好ましい。また、静電スプレーされた被膜の密着性、皮膚の凹凸のカバー力向上の観点から、炭化水素油の30℃における粘度は、好ましくは1mPa・s以上であり、より好ましくは3mPa・s以上である。また、被膜の密着性、皮膚の凹凸のカバー力向上の観点から、イソドデカン、イソヘキサデカン、水添ポリイソブテンの化粧液中の合計の含有量は、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは5質量%以下であり、更に好ましくは1質量%以下であり、より更に好ましくは0.5質量%以下であり、含有しなくてもよい。
同様に、静電スプレーされた被膜の密着性、皮膚の凹凸のカバー力向上の観点から、エステル油及びシリコーン油の30℃における粘度は、好ましくは1mPa・s以上であり、より好ましくは3mPa・s以上である。
ここでの粘度は、30℃においてB型粘度計(東機産業株式会社社製、測定条件:ローターNo.1、60rpm、1分間)により測定される。なお、同様の観点から、セチル-1,3-ジメチルブチルエーテル、ジカプリルエーテル、ジラウリルエーテル、ジイソステアリルエーテル等のエーテル油の化粧液中の合計の含有量は、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは5質量%以下であり、更に好ましくは1質量%以下である。
前記エステル油としては、直鎖又は分岐鎖の脂肪酸と、直鎖又は分岐鎖のアルコール又は多価アルコールからなるエステルが挙げられる。具体的には、ミリスチン酸イソプロピル、イソオクタン酸セチル、オクタン酸イソセチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸デシル、オレイン酸オクチルドデシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、イソノナン酸エチルヘキシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、イソステアリン酸イソステアリル、12-ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジ2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジイソステアリン酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ2-ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリット、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2-エチルヘキサノエート、2-エチルヘキシルパルミテート、ナフタレンジカルボン酸ジエチルヘキシル、安息香酸(炭素数12~15)アルキル、セテアリルイソノナノエート、トリ(カプリル酸・カプリン酸)グリセリン、(ジカプリル酸/カプリン酸)ブチレングリコール、ジ(カプリル酸/カプリン酸)プロピレングリコール、トリイソステアリン酸グリセリル、トリ2-ヘプチルウンデカン酸グリセリル、トリヤシ油脂肪酸グリセリル、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オレイル、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ2-ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバシン酸ジ2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸ジ2-エチルヘキシル、クエン酸トリエチル、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、ジピバリン酸トリプロピレングリコール等が挙げられる。
これらの中では、静電スプレーされた被膜を皮膚に密着させる観点及び皮膚の凹凸のカバー力向上の観点から、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ステアリン酸イソセチル、イソノナン酸イソノニル、イソステアリン酸イソセチル、セテアリルイソノナノエート、アジピン酸ジイソブチル、セバシン酸ジ2-エチルヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、トリ(カプリル酸・カプリン酸)グリセリンから選ばれる1種が好ましく、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、安息香酸(炭素数12~15)アルキル、トリ(カプリル酸・カプリン酸)グリセリンから選ばれる少なくとも1種がより好ましく、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、トリ(カプリル酸・カプリン酸)グリセリンから選ばれる少なくとも1種が更に好ましい。
また、エステル油としては、上記エステル油を含む植物油、動物油を用いることが可能であり、例えばオリーブ油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、メドフォーム油、ヒマシ油、紅花油、ヒマワリ油、アボカド油、キャノーラ油、キョウニン油、米胚芽油、米糠油などが挙げられる。
高級アルコールとしては、炭素数12~20の液状の高級アルコールが挙げられ、分岐脂肪酸を構成要素とする高級アルコールが好ましく、具体的にはイソステアリルアルコール、オレイルアルコール等が挙げられる。
液状のシリコーン油としては、直鎖シリコーン、環状リシコーン、変性シリコーンが挙げられ、例えば、ジメチルポリシロキサン、ジメチルシクロポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、フェニル変性シリコーン、高級アルコール変性オルガノポリシロキサン等が挙げられる。
被膜の密着性の観点から、シリコーン油の成分(d)中の含有量は、好ましくは35質量%以下であり、皮膚の凹凸のカバー力向上の観点から、より好ましくは10質量%以下であり、更に好ましくは1質量%以下であり、より更に好ましくは0.1質量%以下である。
25℃におけるシリコーン油の動粘度は、静電スプレーされた被膜の密着性、耐摩擦性の観点から、3mm2/s以上が好ましく、4mm2/s以上がより好ましく、5mm2/s以上が更に好ましく、30mm2/s以下が好ましく、20mm2/s以下がより好ましく、10mm2/s以下が一層好ましい。
これらの中では、静電スプレーされた被膜の密着性、皮膚の凹凸のカバー力向上の観点から、シリコーン油はメチルポリシロキサンを含むことが好ましい。
また、20℃で固形の油剤(固形油)も用いることができる。20℃で固形の油剤は20℃で固体の性状を示し、融点が40℃以上のものが好ましい。20℃で固形の油剤としては、炭化水素ワックス、エステルワックス、パラオキシ安息香酸エステル、高級アルコール、炭素数14以上の直鎖脂肪酸エステル、炭素数12以上直鎖脂肪酸3つを構成要素とするトリグリセライド、シリコーンワックス等が挙げられ、これらから選ばれる1種又は2以上を含有させることができる。かかるワックスとしては、通常の化粧料に用いられるものであれば制限されず、例えば、オゾケライト、セレシン等の鉱物系ワックス;パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム等の石油系ワックス;フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス等の合成炭化水素ワックス;カルナウバロウ、キャンデリラロウ、ライスワックス、木ロウ、サンフラワーワックス、水添ホホバ油等の植物系ワックス;ミツロウ、鯨ロウ等の動物性ワックス;シリコーンワックス、フッ素系ワックス、合成ミツロウ等の合成ワックス;脂肪酸、高級アルコール及びこれらの誘導体が挙げられる。また、パラオキシ安息香酸エステルとしては、パラオキシ安息香酸メチル、パラアミノ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ベンジル等が挙げられ、炭素数12以上直鎖脂肪酸3つを構成要素とするトリグリセライドとしては、トリラウリン酸グリセリル、トリミリスチン酸グリセリル、トリパルミチン酸グリセリル、トリベヘン酸グリセリル等が挙げられる。炭素数14以上の直鎖脂肪酸を構成要素とする脂肪酸エステル油としては、ミリスチン酸ミリスチル等が挙げられる。
化粧液中のポリオール及び液状油から選ばれる1種以上の含有量は、被膜の密着性向上、感触、皮膚の凹凸のカバー力向上の観点から1質量%以上40質量%以下が好ましく、2質量%以上25質量%以下がより好ましく、4質量%以上20質量%以下が更に好ましく、10質量%以上20質量%以下がより好ましい。
組成物Yには、ポリオールと液状油の両者が含まれることが皮膚の凹凸のカバー力向上の観点から好ましく、液状油(20℃で液状)に対するポリオールの質量割合(ポリオール/液状油(20℃で液状))は、0.4以上40以下が好ましく、1以上20以下がより好ましく、2以上10以下が更に好ましい。
また、工程Cに用いる化粧液には、さらに(c2)接着性ポリマーを含有するのが好ましい。
(c2)接着性ポリマーは、静電スプレーにより皮膚上に形成された被膜の長時間経過後の密着性の向上、皮膚の凹凸のカバー力向上に寄与する。接着性ポリマーとしては、一般に接着剤又は粘着剤として使用されるものを用いることができる。例えば、ゴム系接着性ポリマー、シリコーン系接着性ポリマー、アクリル系接着性ポリマー、ウレタン系接着性ポリマーが挙げられ、これらから選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。また(c2)接着性ポリマーとしては、非イオン性ポリマー、アニオン性ポリマー、カチオン性ポリマー及び両性ポリマーから選択される少なくとも1種を使用することができる。(c2)接着性ポリマーは、成分(b)のポリマー以外のポリマーが好ましい。
ゴム系接着性ポリマーとしては、例えば、天然ゴム;ポリイソプレンゴム、スチレン・ブタジエン(SB)ゴム、スチレン・イソプレン(SI)ゴム、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SIS)ゴム、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SBS)ゴム、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレンブロック共重合体(SEBS)ゴム、スチレン・エチレン・プロピレン・スチレンブロック共重合体(SEPS)ゴム、スチレン・エチレン・プロピレンブロック共重合体(SEP)ゴム、再生ゴム、ブチルゴム、ポリイソブチレン、これらの変性体等の合成ゴム等をベースポリマーとするゴム系接着性ポリマーが挙げられる。
これらのゴム系接着性ポリマーのうち、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体、スチレンブタジエンゴム、ポリイソブチレン、イソプレンゴム及びシリコーンゴムから選ばれる少なくとも1種がより好ましい。ゴム系接着性ポリマーの市販品としては、ヨドゾールGH41F(アクゾノーベル社製)が挙げられる。
アクリル系接着性ポリマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの1種又は2種以上を単量体成分として用いたアクリル系ポリマー(ホモポリマー又はコポリマー)をベースポリマーとするアクリル系接着性ポリマー等が挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルの具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシル等の(メタ)アクリル酸C1-20アルキルエステルが挙げられる。
これらのベースポリマーとともに用いられる副モノマーとしては、N-ビニルピロリドン、メチルビニルピロリドン、(メタ)アクリル酸、酢酸ビニル等が挙げられる。アクリル系ポリマーの市販品としては、Amphomer28―4910(アクゾノーベル社)、ヨドゾールGH256F(粒子径20~40nm;アクゾノーベル社製)、ヨドゾールGH800F(アクゾノーベル社製)、ヨドゾールGH810F(アクゾノーベル社製)、ダイトゾール5000AD(大東化成工業社製)、ダイトゾール5000SJ(大東化成工業社製)等が挙げられる。
シリコーン系接着性ポリマーとして、例えば、オルガノポリシロキサンを含むシリコーンゴム又はシリコーンレジン等をベースポリマーとするシリコーン系接着性ポリマーが好ましく用いられる。シリコーン系接着性ポリマーを構成するベースポリマーとして、上記シリコーンゴム又はシリコーンレジンを、架橋して得られたベースポリマーを用いてもよい。シリコーンゴムとしては、例えば、ジメチルシロキサンを構成単位として含むオルガノポリシロキサン等が挙げられる。オルガノポリシロキサンには、必要に応じて、官能基(例えば、ビニル基)が導入されていてもよい。シリコーンレジンとしては、例えば、R3SiO1/2構成単位、SiO2構成単位、RSiO3/2構成単位及びR2SiO構成単位から選ばれる少なくとも1種の構成単位を含むオルガノポリシロキサンが挙げられる。シリコーン系接着性ポリマーは架橋剤を含んでいてもよい。架橋剤としては、例えば、シロキサン系架橋剤、過酸化物系架橋剤等が挙げられる。過酸化物系架橋剤としては、任意の適切な架橋剤が用いられ得る。過酸化物系架橋剤としては、例えば、過酸化ベンゾイル、t-ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイト等が挙げられる。シロキサン系架橋剤としては、例えば、ポリオルガノハイドロジェンシロキサン等が挙げられる。
オルガノポリシロキサンとしては、以下に示すポリ(N-アシルアルキレンイミン)変性オルガノポリシロキサン(以下、単に「変性オルガノポリシロキサン」とも称する)を用いることができる。
変性オルガノポリシロキサンは、主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントのケイ素原子の少なくとも2つに、ヘテロ原子を含むアルキレン基を介して、下記一般式(1);
Figure 2022039066000001
〔式中、R1は水素原子、炭素数1~22のアルキル基、アラルキル基又はアリール基を示し、nは2又は3を示す。〕
で表される繰り返し単位からなるポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントが結合してなる変性オルガノポリシロキサンであって、主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメント(α)と、ポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメント(β)との質量比(α/β)が40/60以上98/2以下であり、主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントの重量平均分子量が30,000以上100,000以下である、変性オルガノポリシロキサンである。
変性オルガノポリシロキサンのオルガノポリシロキサンセグメント(α)と、ポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメント(β)との質量比(α/β)は、皮膚の凹凸のカバー力向上の観点から、40/60以上が好ましく、55/45以上がより好ましく、65/35以上が更に好ましい。また、被膜を繊維状に形成させる観点から、98/2以下が好ましく、90/10以下がより好ましく、82/18以下が更に好ましい。
変性オルガノポリシロキサンにおいて、ポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントは、オルガノポリシロキサンセグメントを構成する任意のケイ素原子に、ヘテロ原子を含むアルキレン基を介して少なくとも2つ結合することが可能であるが、両末端を除く1以上のケイ素原子に上記アルキレン基を介して結合していることが好ましく、両末端を除く2以上のケイ素原子に上記アルキレン基を介して結合していることがより好ましい。
オルガノポリシロキサンセグメントとポリ(N-アシルアルキレンイミン)との結合において介在するヘテロ原子を含むアルキレン基としては、窒素原子、酸素原子及び/又はイオウ原子を1~3個含む炭素数2~20のアルキレン基が挙げられる。その具体例としては、以下のものが挙げられる。
Figure 2022039066000002
ポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントを構成するN-アシルアルキレンイミン単位は前記一般式(1)で表されるものであるが、一般式(1)において、R1の炭素数1~22のアルキル基としては、例えば、炭素数1~22の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基が例示され、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロへキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、ドコシル基等が例示される。
アラルキル基としては、例えば、炭素数7~15のアラルキル基が例示され、具体的には、ベンジル基、フェネチル基、トリチル基、ナフチルメチル基、アントラセニルメチル基等が例示される。
アリール基としては、例えば、炭素数6~14のアリール基が例示され、具体的には、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントリル基、フェナントリル基等が例示される。
なお、本明細書において、質量比(α/β)は、オルガノポリシロキサンを重クロロホルム中に5質量%溶解させ、核磁気共鳴(1H-NMR)分析により、オルガノポリシロキサンセグメント中のアルキル基又はフェニル基と、ポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメント中のメチレン基の積分比より求めた値をいう。
また、変性オルガノポリシロキサンにおいて、隣接するポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメント間におけるオルガノポリシロキサンセグメントの重量平均分子量(MWg)は、好ましくは1,300以上、より好ましくは1,500以上、更に好ましくは1,800以上であり、好ましくは32,000以下、より好ましくは10,000以下、更に好ましくは5,000以下である。
本明細書において、「隣接するポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメント間におけるオルガノポリシロキサンセグメント」とは、下記式(2)に示すように、ポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントのオルガノポリシロキサンセグメントに対する結合点(結合点A)から、これに隣接するポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントの結合点(結合点B)までの2点間において破線で囲まれた部分であって、1つのR2SiO単位と、1つのR6と、y+1個のR2 2SiO単位とから構成されるセグメントをいう。また、「ポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメント」とは、上記R6に結合する-Z-R7をいう。
Figure 2022039066000003
上記一般式(2)中、R2はそれぞれ独立に炭素数1~22のアルキル基又はフェニル基を示し、R6はヘテロ原子を含むアルキレン基を示し、R7は重合開始剤の残基を示し、-Z-R7はポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントを示し、yは正の数を示す。
MWgは、上記一般式(2)において破線で囲まれた部分の分子量であるが、ポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメント1モル当たりのオルガノポリシロキサンセグメントの質量(g/mol)と解することができ、原料化合物であるオルガノポリシロキサンの官能基がポリ(N-アシルアルキレンイミン)で100%置換されると、変性オルガノポリシロキサンの官能基当量(g/mol)と一致する。
また、原料化合物であるオルガノポリシロキサンの官能基当量(g/mol)が分かっている場合には、MWgは、その官能基がポリ(N-アシルアルキレンイミン)で100%置換されなかった場合であっても、以下の式で算出することができる。
MWg=[オルガノポリシロキサンの官能基当量(g/mol)]÷[置換率(%)/100(%)]
また、オルガノポリシロキサンの官能基当量が分からない場合、MWgは、主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントの含有率(Csi)とポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントの分子量(MWox)を用いて、下記式により求めることができる。
Figure 2022039066000004
ポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントの分子量(MWox)は、N-アシルアルキレンイミン単位の分子量と重合度とから算出する方法又は後述するゲルパーミエションクロマトグラフィ(GPC)測定法により測定することが可能であるが、本発明においてはGPC測定法により測定される数平均分子量をいうものとする。変性オルガノポリシロキサンのMWoxは、皮膚の凹凸のカバー力向上の観点から、好ましくは500以上、より好ましくは600以上、更に好ましくは700以上であり、また好ましくは5,500以下、より好ましくは3,500以下、更に好ましくは3,000以下である。
主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントの重量平均分子量(MWsi)は、皮膚の凹凸のカバー力向上の観点から、7,000以上であって、好ましくは10,000以上、より好ましくは20,000以上であり、また、120,000以下であって、好ましくは80,000以下、より好ましくは60,000以下である。主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントは、原料化合物であるオルガノポリシロキサンと共通の骨格を有するため、MWsiは、原料化合物であるオルガノポリシロキサンの重量平均分子量と略同一である。なお、原料化合物であるオルガノポリシロキサンの重量平均分子量は、下記測定条件によるGPCで測定し、ポリスチレン換算したものである。
カラム :Super HZ4000+Super HZ2000(東ソー株式会社製)
溶離液 :1mMトリエチルアミン/THF
流量 :0.35mL/min
カラム温度:40℃
検出器 :UV
サンプル :50μL
変性オルガノポリシロキサンの重量平均分子量(MWt)は、好ましくは10,000以上、更に好ましくは12,000以上、更に好ましくは24,000以上であり、また、好ましくは2000,000以下、より好ましくは150,000以下、更に好ましくは120,000以下、更に好ましくは92,000以下、更に好ましくは80,000以下である。これにより、皮膚の凹凸のカバー力が向上した被膜となる。本明細書において、MWtは、原料化合物である変性オルガノポリシロキサンの重量平均分子量と、前述の質量比(α/β)とから求めることができる。
変性オルガノポリシロキサンは、例えば特開2009-024114号公報や国際公開第2011/062210号パンフレットで開示されている方法のような公知の製造方法により、製造することができる。
ウレタン系接着性ポリマーとしては、ポリオールとポリイソシアネート化合物を反応させて得られるウレタン樹脂からなるものが挙げられる。ポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオールなどが挙げられる。ポリイソシアネート化合物としては、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどが挙げられる。ウレタン系接着性ポリマーの市販品としては、Baycusan C2000(COVESTRO社)が挙げられる。
非イオン性ポリマーとしては特に限定されず、化粧料の分野に通常用いられる、非イオン性ポリマーであればいずれも使用することができる。前記液剤は、1種又は2種以上の非イオン性ポリマーを含むことができ、この非イオン性ポリマーと組み合わせて、1種以上のアニオン性、カチオン性及び/又は両性ポリマーを更に含むことができる。
非イオン性ポリマーの例としては、(メタ)アクリル系水溶性ノニオン重合体、(メタ)アクリル系非水溶性ノニオン重合体、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、低鹸化ポリビニルアルコール(けん化度60mol%以下)、中性多糖及びその誘導体(そのエーテルやエステル等)が挙げられる。中性糖類及びその誘導体としては、中性ガム類(グアーガム、ヒドロキシプロピルグアー等)、セルロースエーテル(ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、メチルヒドロキシエチルセルロース(MHEC)、エチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)、メチルエチルヒドロキシエチルセルロース(MEHEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、その疎水化誘導体(HM-EHEC等))、デンプン及びその誘導体(デキストリン等)などが挙げられる。
以下に、前記(メタ)アクリル系水溶性ノニオン重合体、(メタ)アクリル系非水溶性ノニオン重合体、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、低鹸化ポリビニルアルコール(けん化度60mol%以下)等の非イオン性ポリマーを構成可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物例を挙げるが、本発明は以下の具体例によってなんら制限されるものではない。
ノニオン性の単量体の例として、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸-n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸-n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸-t-ブチル、(メタ)アクリル酸-n-ペンチル、(メタ)アクリル酸-n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸-n-ヘプチル、(メタ)アクリル酸-n-オクチル、(メタ)アクリル酸-2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸-2-メトキシエチル、(メタ)アクリル酸-3-メトキシブチル、(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2-アミノエチル、γ-((メタ)アクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、γ-((メタ)アクリロイルオキシプロピル)ジメトキシメチルシラン、(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2-トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸-2-パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2-パーフルオロエチル-2-パーフルオロブチルエチル、(メタ)アクリル酸2-パーフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロメチル、(メタ)アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸-2-パーフルオロメチル-2-パーフルオロエチルメチル、(メタ)アクリル酸-2-パーフルオロヘキシルエチル、(メタ)アクリル酸2-パーフルオロデシルエチル、(メタ)アクリル酸-2-パーフルオロヘキサデシルエチルなどの(メタ)アクリル酸エステル;スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-メトキシスチレンなどの芳香族アルケニル化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物;ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエン系化合物;塩化ビニル、塩化ビニリデン、パーフルオロエチレン、パーフルオロプロピレン、フッ化ビニリデンなどのハロゲン含有不飽和化合物;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどのケイ素含有不飽和化合物;無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸無水物;マレイン酸ジアルキルエステル、フマル酸ジアルキルエステルなどの不飽和ジカルボン酸ジエステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニルなどのビニルエステル化合物;マレイミド、N-メチルマレイミド、N-エチルマレイミド、N-プロピルマレイミド、N-ブチルマレイミド、N-ヘキシルマレイミド、N-オクチルマレイミド、N-ドデシルマレイミド、N-ステアリルマレイミド、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミドなどのマレイミド系化合物;ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリ(エチレングリコール/プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、N-ポリアルキレンオキシ(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリルアミドと炭素数2~4のアルキレンオキシドとから誘導されるモノマー;N-ビニルピロリドン、N-(メタ)アクリロイルモルフォリン、アクリルアミド等の親水性ノニオン性モノマー;などが挙げられる。
これらのうち、(メタ)アクリル系非水溶性ノニオン重合体、ポリビニルピロリドン、低鹸化ポリビニルアルコール(けん化度60mol%以下)から選ばれる1種又は2種以上が好ましい。市販品としては、例えば、MAS683(コスメディ製薬社製)、ポリビニルピロリドンK-90(BASF社製)やJMR-150L(日本酢ビポバール社製)を挙げることができる。
なお、本明細書において「(メタ)アクリル」の表記は「アクリル又はメタクリル」を意味する。
アニオン性ポリマーとしては特に限定されず、化粧料の分野に通常用いられるアニオン性ポリマーであればいずれも使用することができる。前記液剤は、1種又は2種以上のアニオン性ポリマーを含むことができ、このアニオン性ポリマーと組み合わせて、1種以上の非イオン性、カチオン性及び/又は両性ポリマーを更に含むことができる。
アニオン性ポリマーの例としては、例えば、アニオン性多糖及びその誘導体(アルギン酸塩、ペクチン、ヒアルロン酸塩等)、アニオン性ガム(キサンタンガム、デヒドロキサンタンガム、ヒドロキシプロピルキサンタンガム、アラビアガム、カラヤガム、トラガカントガム等)、アニオン性セルロース誘導体(カルボキシメチルセルロース(CMC)等)、(メタ)アクリル系水溶性アニオン重合体、アクリルアミド系水溶性アニオン重合体などが挙げられる。
以下に、前記(メタ)アクリル系水溶性アニオン重合体等のアニオン性ポリマーを構成可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物例を挙げるが、本発明は以下の具体例によってなんら制限されるものではない。アニオン性の単量体の例として、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、クロトン酸等の不飽和カルボン酸化合物;不飽和多塩基酸無水物(例えば無水コハク酸、無水フタル酸等)と、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート(例えばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等)との部分エステル化合物;スチレンスルホン酸、スルホエチル(メタ)アクリレート等のスルホン酸基を有する化合物;アシッドホスホオキシエチル(メタ)アクリレート等のリン酸基を有する化合物;等が挙げられる。これらのアニオン性不飽和単量体は、酸のままもしくは部分中和又は完全中和して使用することができ、又は酸のまま共重合に供してから部分中和又は完全中和することもできる。中和に使用する塩基性化合物としては例えば水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物、アンモニア水、モノ-、ジ-、トリ-エタノールアミン、トリメチルアミン等のアミン化合物がある。
これらのうち、アクリル系非水溶性アニオン重合体が特に好ましい。市販品としては、例えば、MASCOS10(コスメディ製薬社製)、HiPAS10(コスメディ製薬社製)を挙げることができる。
また、これら非イオン性ポリマーやアニオン性ポリマーを含む乳化増粘剤を用いることもできる。例えば、ポリアクリルアミド/(C13,C14)イソパラフィン/ラウレス-7(Seppic社製、Sepigel305)等が挙げられる。
カチオン性ポリマーとしては特に限定されず、化粧料の分野に通常用いられるカチオン性増粘性ポリマーであればいずれも使用することができる。前記液剤は1種又は2種以上のカチオン性ポリマーを含むことができ、このカチオン性ポリマーと組み合わせて、一種以上の非イオン性、アニオン性及び/又は両性ポリマーを更に含むことができる。
カチオン性ポリマーは、第四級アンモニウム基等のカチオン性基、又はカチオン性基にイオン化することができる第一級、第二級又は第三級アミノ基等の基を有するポリマーである。カチオン性ポリマーは、典型的には、アミン基若しくはアンモニウム基を高分子鎖の側鎖に含むポリマー又は構成単位としてジアリル四級アンモニウム塩を含むポリマーである。
好ましいカチオン性ポリマーとしては、例えば、カチオン化セルロース、カチオン性スターチ、カチオン性グアーガム、第四級アンモニウム側鎖を有するビニル系又は(メタ)アクリル系ポリマー又はコポリマー、四級化ポリビニルピロリドン、(メタ)アクリレート/アミノアクリレートコポリマー、アミン置換ポリ(メタ)アクリレートクロスポリマー、(メタ)アクリル系水溶性カチオン重合体、アクリルアミド系水溶性カチオン重合体などが挙げられる。
以下に、前記(メタ)アクリル系水溶性カチオン重合体等のカチオン性ポリマーを構成可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物例を挙げるが、本発明は以下の具体例によってなんら制限されるものではない。カチオン性単量体の例として、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、p-ジメチルアミノメチルスチレン、p-ジメチルアミノエチルスチレン、p-ジエチルアミノメチルスチレン、p-ジエチルアミノエチルスチレン等を、カチオン化剤(例えば、塩化メチル、臭化メチル、ヨウ化メチル等のハロゲン化アルキル類、ジメチル硫酸等のジアルキル硫酸類、N-(3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル)-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド等の第3級アミン鉱酸塩のエピクロルヒドリン付加物、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸等の無機塩、ギ酸、酢酸、プロピオン酸等のカルボン酸等)でカチオン化したカチオン性単量体が挙げられる。
カチオン化セルロースの具体例としては、グリシジルトリメチルアンモニウムクロリドをヒドロキシエチルセルロースに付加することにより得られる第四級アンモニウム塩のポリマー(ポリクオタニウム-10)、ヒドロキシエチルセルロース/ジメチルジアリルアンモニウムクロリドコポリマー(ポリクオタニウム-4)、並びにヒドロキシエチルセルロースをトリメチルアンモニウム置換エポキシド及びラウリルジメチルアンモニウム置換エポキシドと反応させることにより得られる第四級アンモニウム塩のポリマー(ポリクオタニウム-67)が挙げられる。
第四級アンモニウム側鎖を有するビニル系又は(メタ)アクリル系ポリマー又はコポリマーの例としては、ポリ(2-メタクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド)(ポリクオタニウム-37)を挙げることができる。
四級化ポリビニルピロリドンの具体例としては、ビニルピロリドン(VP)及びメタクリル酸ジメチルアミノエチルのコポリマーと硫酸ジエチルとから合成される第四級アンモニウム塩(ポリクオタニウム-11)が挙げられる。
(メタ)アクリレート/アミノアクリレートコポリマーの例としては、(アクリレーツ/アミノアクリレーツ/C10-30アルキルPEG-20イタコン酸)コポリマーを挙げることができる。
アミン置換ポリ(メタ)アクリレートクロスポリマーの例としては、ポリアクリレート-1 クロスポリマー、ポリクオタニウム-52を挙げることができる。
これらの中で、アクリルアミド系水溶性カチオン重合体が特に好ましい。市販品としては、例えば、t-ブチルアクリルアミド/エチルアクリレート/ジメチルアミノプロピルアクリルアミド/メタクリル酸メトキシポリエチレングリコール共重合体(RP77S、花王製)を挙げることができる。
両性ポリマーは、カチオン性基及びアニオン性基の両方を含むポリマーである。構造的な観点からいえば、両性ポリマーは、上述のカチオン性ポリマーのいずれかにアニオン性基又はコモノマーを更に導入することによって誘導することができる。
両性ポリマーとしては、化粧料の分野に通常用いられる両性ポリマーであればいずれも使用することができる。前記液剤は1種又は2種以上の両性ポリマーを含むことができ、この両性ポリマーと組み合わせて非イオン性、アニオン性及び/又はカチオン性ポリマーを更に含むことができる。
両性ポリマーの例としては、カルボキシル変性又はスルホン酸変性カチオン性多糖(カルボキシメチルキトサン等)、ホスホベタイン基やスルホベタイン基を側鎖に有する(メタ)アクリレート系ポリマーや、(メタ)アクリル系両イオン性重合体などがあげられる。
以下に、前記(メタ)アクリル系両イオン性重合体等の両性ポリマーを構成可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物例を挙げるが、本発明は以下の具体例によってなんら制限されるものではない。両イオン性単量体の具体例としては、前述のカチオン性単量体前駆体の具体例に、ハロ酢酸ナトリウムもしくはカリウム等の変性化剤を作用させることによって得られる化合物が挙げられる。また、分極性単量体の具体例としては、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピオン酸ビニル、p-ジメチルアミノメチルスチレン、p-ジメチルアミノエチルスチレン、p-ジエチルアミノメチルスチレン、p-ジエチルアミノエチルスチレン等のアミンオキサイド化物;等が挙げられる。
他の例としては、カチオン性ビニル系又は(メタ)アクリル系モノマーと(メタ)アクリル酸とのコポリマー(ジメチルジアリルアンモニウムクロリド/アクリル酸コポリマー(ポリクオタニウム-22)等)が挙げられる。
(c2)接着性ポリマーは、皮膚の凹凸のカバー力向上の観点、被膜の長時間経過後の耐久性を向上させる観点から、接着性の良好なものが選択される。接着性ポリマーとしては、JISK6850を参照して測定された最大引張せん断荷重が1N以上のポリマーが好ましく、3N以上のポリマーがより好ましく、5N以上のポリマーが更に好ましい。また、JISK6850を参照して測定された最大引張せん断荷重は、90N以下のポリマーが好ましく、60N以下がより好ましく、30N以下が更に好ましい。
具体的には、ゴム系接着性ポリマー、シリコーン系接着性ポリマー、アクリル系接着性ポリマー、ウレタン系接着性ポリマーから選ばれる1種又は2種以上を用いることが好ましく、また、非イオン性ポリマー、アニオン性ポリマー、カチオン性ポリマー及び両性ポリマーから選択される少なくとも1種を使用することが好ましい。
ポリマーの接着性(最大引張せん断荷重)は、次のようにして測定できる。20mgのポリマー溶液(10%エタノール溶液)を1枚のポリカーボネート基板の端の1.25cm×2.5cmの範囲に塗布し、もう1枚のポリカーボネート(スタンダードテストピース社製、カーボングラスポリッシュクリア、10cm×2.5cm×2.0mm)基板と張り合わせて、12時間以上乾燥する。Orientec社製テンシロンUTC-100Wを用いて引張速度5mm/minでポリカーボネート基板の両端を引張り、最大引張せん断荷重を測定する。
化粧液中の(c2)接着性ポリマーの含有量は、被膜の感触、及び長時間経過後の破れ、皮膚の凹凸のカバー力向上の観点から、0.5質量%以上20質量%以下が好ましい。より好ましくは0.6質量%以上であり、更に好ましくは0.8質量%以上である。また、より好ましくは15質量%以下であり、更に好ましくは10質量%以下であり、より更に好ましくは8質量%以下である。具体的には、0.6質量%以上15質量%以下が好ましく、0.8質量%以上10質量%以下がより好ましく、0.8質量%以上8質量%以下が更に好ましい。
化粧液には、前記成分の他、界面活性剤、水溶性高分子、酸化防止剤、香料、色素、防腐剤、pH調整剤、血行促進剤、冷感剤、制汗剤、殺菌剤、皮膚賦活剤、保湿剤、清涼剤等が含まれていてもよい。界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。組成物Yの形態としては、水中油型乳化組成物であっても、油中水型乳化組成物であってもよい。
本発明の工程A及び工程B、必要に応じてさらに工程Cを皮膚に対して行えば、これらの工程を行った皮膚の凹凸が顕著にカバーされる。ここで皮膚の凹凸とは、皮膚表面の不均一な形状のことであり、具体的には、皮膚の毛穴、しわ、シミ、ニキビ・吹き出物、肌理、皮膚の落屑等の皮膚表面の凹凸形状のことである。毛穴としては、通常の毛穴やたるみ毛穴などが含まれ、しわとしては、額や目の下、目尻、頬、額、首、法令線等が含まれ、シミとしては、老人性色素班、そばかす、肝斑、炎症性色素沈着等が含まれ、肌理には粗い肌理、不揃いな肌理が含まれる。なかでも、皮膚の毛穴、しわ、シミに効果的である。
これらの皮膚の凹凸が存在する部分に本発明方法を適用することによって、肌理のような皮膚上の凹部への粉体化粧料中の体質顔料の落ち込みが防止され、また粉体化粧料中の体質顔料の皮膚表面上での凝集を防いで、皮膚表面上に均一に体質顔料が分布して、皮膚の凹凸が顕著にカバーできる。皮膚の凹凸が存在する範囲の仮想領域の全体に適用することが好ましく、凹凸が存在する範囲から10mm以上外側までの領域に適用することが好ましい。
上述した実施形態に関し、本発明は更に以下の皮膚の凹凸をカバーする方法及び組成物を開示する。
<1>A)成分(a)及び成分(b)を含有する組成物Xを静電スプレーして出来た被膜を皮膚上に適用する工程と、
(a)水、アルコール及びケトンから選ばれる1種又は2種以上の揮発性物質、
(b)被膜形成能を有するポリマー
B)少なくとも体質顔料3質量%以上95質量%以下を含有する、組成物X以外の粉体含有組成物Yを皮膚に適用する工程とを、この順で又は逆の順で有する、皮膚の凹凸をカバーする方法。
<2> A)成分(a)及び成分(b)を含有する組成物Xを直接皮膚に静電スプレーして皮膚表面に被膜を形成する工程と、
(a)水、アルコール及びケトンから選ばれる1種又は2種以上の揮発性物質、
(b)被膜形成能を有するポリマー
B)少なくとも体質顔料3質量%以上95質量%以下を含有する、組成物X以外の粉体含有組成物Yを皮膚に適用する工程とを、この順で又は逆の順で有する、皮膚の凹凸をカバーする方法。
<3>成分(a)の含有量が45質量%以上95質量%以下、成分(b)の含有量が4質量%以上35質量%以下である<1>又は<2>記載の皮膚の凹凸をカバーする方法。
<4>成分(a)の含有量が50質量%以上93質量%以下、成分(b)の含有量が4質量%以上30質量%以下である<1>~<3>のいずれかに記載の皮膚の凹凸をカバーする方法。
<5>組成物Yの全粉体中の体質顔料の含有量が10質量%以上100質量%以下であり、10質量%以上90質量%以下が好ましく、20質量%以上50質量%以下がより好ましい<1>~<4>のいずれかに記載の皮膚の凹凸をカバーする方法。
<6>組成物Y中の体質顔料と組成物X中の成分(b)との質量比が、0.1以上6以下であり、0.2以上4以下が好ましく、0.3以上3以下がより好ましい<1>~<5>のいずれかに記載の皮膚の凹凸をカバーする方法。
<7>組成物Y中の体質顔料が、無機の体質顔料が好ましい<1>~<6>のいずれかに記載の皮膚の凹凸をカバーする方法。
<8>成分(b)に対する成分(a)の含有質量比((a)/(b))が、0.5以上40以下である<1>~<7>のいずれかに記載の皮膚の凹凸をカバーする方法。
<9>(a)被膜形成能を有するポリマーが、部分鹸化ポリビニルアルコール、低鹸化ポリビニルアルコール、完全鹸化ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリメタクリル酸樹脂、オキサゾリン変性シリコーン、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、及びポリ乳酸からなる群より選択された少なくとも1種である<1>~<8>のいずれかに記載の皮膚の凹凸をカバーする方法。
<10>工程Aと工程Bの間に、当該皮膚に化粧液を塗布する工程を含む<1>~<9>のいずれかに記載の皮膚の凹凸をカバーする方法。
<11>組成物Xを静電スプレーして形成される被膜が、繊維を含む堆積物からなる被膜である<1>~<10>のいずれかに記載の皮膚の凹凸をカバーする方法。
<12>体質顔料が、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、カオリン、セリサイト、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、ヒドロキシアパタイト、バーミキュライト、クレー、ベントナイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、スメクタイト、ゼオライト、セラミックスパウダー、第二リン酸カルシウム、アルミナ、シリカ、水酸化アルミニウム、窒化ホウ素、合成マイカ、合成セリサイト、金属石鹸、及び硫酸バリウム処理マイカから選ばれる1種又は2種以上である<1>~<11>のいずれかに記載の皮膚の凹凸をカバーする方法。
<13>体質顔料が、折率が1.3~1.8の無機粉体を含むものが好ましく、屈折率が1.4~1.7の無機粉体を含むものがより好ましく、屈折率が1.4~1.6の無機粉体を含むものがさらに好ましい<1>~<11>のいずれかに記載の皮膚の凹凸をカバーする方法。
<14>粉体含有組成物Y中の体質顔料の含有量が、4質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、6質量%以上がさらに好ましく、また95質量%以下が好ましく、75質量%以下がより好ましく、50質量%以下がさらに好ましい<1>~<13>のいずれかに記載の皮膚の凹凸をカバーする方法。
<15>化粧液が、(c1)ポリオール及び液状油(20℃で液状)から選ばれる1種以上を含有する化粧液である<10>~<14>のいずれかに記載の皮膚の凹凸をカバーする方法。
<16>化粧液が、さらに(c2)接着性ポリマーを含有する<10>~<15>のいずれかに記載の皮膚の凹凸をカバーする方法。
<17>直接皮膚に静電スプレーして皮膚表面に被膜を形成する前又はその後に、静電スプレー以外の手段で皮膚に適用して皮膚の凹凸をカバーするために用いる組成物Yであって、少なくとも体質顔料3質量%以上95質量%以下を含有する組成物Y。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。特に断らない限り、「%」は「質量%」を意味する。
合成例1(ポリ(N-プロピオニルエチレンイミン)変性シリコーンの製造)
硫酸ジエチル19.0g(0.12モル)と2-エチル-2-オキサゾリン81.0g(0.82モル)を脱水した酢酸エチル203.0gに溶解し、窒素雰囲気下8時間加熱還流し、末端反応性ポリ(N-プロピオニルエチレンイミン)を合成した。数平均分子量をGPCにより測定したところ、1100であった。ここに、側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(重量平均分子量32000、アミン当量2000)300gの33%酢酸エチル溶液を一括して加え、10時間加熱還流した。反応混合物を減圧濃縮し、N-プロピオニルエチレンイミン-ジメチルシロキサン共重合体を、淡黄色ゴム状固体(390g、収率97%)として得た。最終生成物のオルガノポリシロキサンセグメントの含有率は質量75%であり、重量平均分子量は40000であった。溶媒としてメタノールを使用した塩酸による中和滴定の結果、約20モル%のアミノ基が残存していることがわかった。この接着性ポリマーは、JISK6850を参照して測定された最大引張せん断荷重8.6Nであった。
[試験1(表面粗さの測定)]
〔実施例1~7、比較例1〕
(1)噴霧用組成物(組成物X)の調製
噴霧用組成物(組成物X)として、表1の組成物X1を用いた。
(2)組成物Y、化粧液Zの調製
表2記載の粉体含有組成物Y1(ファンデーション)及び表3記載の化粧液Z1を用いた。
(3)評価ステップ
ア.皮膚模型として、ビューラックス社製、毛穴3D肌模型、品番:NO.351-001を用いた。皮膚模型の5cm×5cmの範囲に粉体含有組成物Y1(ファンデーション)のみ、又は組成物X1の静電スプレー、化粧液Z1の塗布、粉体含有組成物Y1の塗布を行った。
直接皮膚模型に静電スプレーするのではなく、化粧用のスポンジに静電スプレーして得られた被膜を転写する場合は、5cm×2cmの範囲に吹き付けて転写した。
イ.静電スプレー(工程A)条件は、次のとおりとした。
図1に示す構成を有し、図2に示す外観を有する静電スプレー装置10を用い、皮膚模型または化粧用のスポンジに向けて静電スプレー法を行い、目的の坪量になるようにした。静電スプレー法の条件は以下に示すとおりとした。
・印加電圧:14.5kV
・ノズルと皮膚との距離:100mm
・噴霧用組成物の吐出量:5mL/h
・環境:25℃、30%RH
ウ.表面粗さの測定工程
測定機器:キーエンス社製VK-X250
対物レンズ:10倍
およそ4mm×3mmの範囲の高さ像を取得した。各サンプルで同一部分の測定を行った。
エ.解析工程
同一部分の表面粗さ(Sa)の算出を行った。
表面粗さは、ISO 25178表面性状に従って評価した。
[試験2(Gray Valueの測定)]
〔実施例1~7、比較例1〕
(1)噴霧用組成物(組成物X)の調製
噴霧用組成物(組成物X)として、表1の組成物を用いた。
(2)組成物Yおよび化粧液Zの調製
表2記載の粉体含有組成物Y1(ファンデーション)及び表3記載の化粧液Z1を用いた。
(3)評価ステップ
ア.黒い人工皮革(イデアテックス社製、サプラーレ、PBZ13001BK)の5cm×5cmの範囲に粉体含有組成物Y1(ファンデーション)のみ、又は組成物X1の静電スプレー、化粧液Z1塗布、粉体含有組成物Y1塗布を行った。静電スプレー及び化粧料の塗布は、試験例1と同様に行った。
イ.測定機器:エプソン社製 A4フラットベッドスキャナー GT-X830
ウ.カバー力の測定工程
厚さ5mmの黒いアクリル製の板に5cm×5cmの穴をあけ、5cm×5cmの穴に、粉体含有組成物Yや組成物X、組成物Z1の塗布部分が一致するように、両面テープでサプラーレをアクリル板に貼り付けた。
アクリル板をスペーサーとして、スキャナーに直接人工皮革が触れないようにしてスキャナーに設置した。
スキャナーの測定は、EPSON Scanのソフトを用いて行った。
プロフェッショナルモードで撮影し、24bitカラー、600dpiの条件で取得した。モアレ除去・アンシャープマスク・退色復元・迷光補正・埃除去・Digital ICE Technologyのチェックは外して撮影を行った。
エ.解析工程
得られた画像をImageJで取り込み、Gray Value(輝度値)の算出を行った。
Gray Valueは(R+G+B)/3で定義される。
なお、R,G,Bは赤・緑・青のそれぞれの輝度値であり、0~255の256段階で表示される。
黒いサプラーレの輝度値が低いため、カバー力が高いほど、輝度値が高いと考え、カバー力の指標として輝度値を用いた。
吹き付けの実験については、800ピクセル×800ピクセルの範囲のGray Valueの平均値を算出した。
アプリケーター(転写)の実験については、300ピクセル×300ピクセルの範囲のGray Valueの平均値を算出した。
[試験3(顔での評価)]
(1)噴霧用組成物(組成物X)の調製
噴霧用組成物(組成物X)として、表1の組成物を用いた。
(2)組成物Y、化粧液Zの調製
表2記載の粉体含有組成物Y1(ファンデーション)及び表3記載の化粧液Z1を用いた。
(3)評価ステップ
ア.片頬50cmの範囲に粉体含有組成物Y1(ファンデーション)のみ、又は組成物X1の静電スプレー+化粧液Z1塗布+粉体含有組成物Y1塗布を行った。静電スプレー及び化粧料の塗布は、試験例1と同様に行った。
イ.評価工程
皮膚上に形成された被膜を以下の基準で官能評価した。3名の専門パネラーが、凹凸カバー力、カバー力を評価した。結果を3名の積算値で示す。
〔評価〕
(1)塗布直後の凹凸カバー力の評価
1:凹凸が目立つ
2:凹凸がやや目立つ
3:凹凸がかすかに目立つ
4:凹凸がほとんど目立たない
5:凹凸が目立たない
(2)塗布直後のカバー力の評価
1:しみ・そばかすが目立つ
2:しみ・そばかすがやや目立つ
3:しみ・そばかすがかすかに目立つ
4:しみ・そばかすがほとんど目立たない
5:しみ・そばかすが目立たない
測定結果を表4~表7に示す。
Figure 2022039066000005
Figure 2022039066000006
Figure 2022039066000007
Figure 2022039066000008
Figure 2022039066000009
Figure 2022039066000010
Figure 2022039066000011
10 静電スプレー装置
11 低電圧電源
12 高電圧電源
13 補助的電気回路
14 ポンプ機構
15 容器
16 ノズル
17 管路
18 フレキシブル管路
19 電流制限抵抗
20 筐体

Claims (11)

  1. A)成分(a)及び成分(b)を含有する組成物Xを静電スプレーして出来た被膜を皮膚上に適用する工程と、
    (a)水、アルコール及びケトンから選ばれる1種又は2種以上の揮発性物質、
    (b)被膜形成能を有するポリマー
    B)少なくとも体質顔料3質量%以上95質量%以下を含有する、組成物X以外の粉体含有組成物Yを皮膚に適用する工程とを、この順で又は逆の順で有する、皮膚の凹凸をカバーする方法。
  2. A)成分(a)及び成分(b)を含有する組成物Xを直接皮膚に静電スプレーして皮膚表面に被膜を形成する工程と、
    (a)水、アルコール及びケトンから選ばれる1種又は2種以上の揮発性物質、
    (b)被膜形成能を有するポリマー
    B)少なくとも体質顔料3質量%以上95質量%以下を含有する、組成物X以外の粉体含有組成物Yを皮膚に適用する工程とを、この順で又は逆の順で有する、皮膚の凹凸をカバーする方法。
  3. 成分(a)の含有量が45質量%以上95質量%以下、成分(b)の含有量が4質量%以上35質量%以下である請求項1又は2記載の皮膚の凹凸をカバーする方法。
  4. 成分(a)の含有量が50質量%以上93質量%以下、成分(b)の含有量が4質量%以上30質量%以下である請求項1~3のいずれか1項記載の皮膚の凹凸をカバーする方法。
  5. 組成物Yの全粉体中の体質顔料の含有量が10質量%以上100質量%以下である請求項1~4のいずれか1項記載の皮膚の凹凸をカバーする方法。
  6. 組成物Y中の体質顔料と組成物X中の成分(b)との質量比(組成物Yの体質顔料/組成物Xの成分(b)が、0.1以上6以下である請求項1~6のいずれか1項記載の皮膚の凹凸をカバーする方法。
  7. 成分(b)に対する成分(a)の含有質量比((a)/(b))が、0.5以上40以下である請求項1~6のいずれか1項記載の皮膚の凹凸をカバーする方法。
  8. (a)被膜形成能を有するポリマーが、部分鹸化ポリビニルアルコール、低鹸化ポリビニルアルコール、完全鹸化ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリメタクリル酸樹脂、オキサゾリン変性シリコーン、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、及びポリ乳酸からなる群より選択された少なくとも1種である請求項1~7のいずれか1項記載の皮膚の凹凸をカバーする方法。
  9. 工程A)と工程B)の間に、当該皮膚に化粧液を塗布する工程を含む請求項1~8のいずれか1項記載の皮膚の凹凸をカバーする方法。
  10. 組成物Xを静電スプレーして形成される被膜が、繊維を含む堆積物からなる被膜である請求項1~9のいずれか1項記載の皮膚の凹凸をカバーする方法。
  11. 直接皮膚に静電スプレーして皮膚表面に被膜を形成する前又はその後に、静電スプレー以外の手段で皮膚に適用して皮膚の凹凸をカバーするために用いる組成物Yであって、少なくとも体質顔料3質量%以上95質量%以下を含有する組成物Y。
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