JP2022038875A - ポリオレフィン系樹脂発泡粒子の製造方法 - Google Patents

ポリオレフィン系樹脂発泡粒子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子を2段発泡する工程において、密度バラツキが小さく、型内発泡成形の際の金型への充填性が良好なポリオレフィン系樹脂2段発泡粒子の製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】無機ガスを含浸したポリオレフィン系樹脂1段発泡粒子を、発泡機内で一定時間T秒のあいだ水蒸気により加熱するなかで、蒸気昇圧速度vが0.03MPa/秒以上、0.07MPa/秒以下となる高速加熱時間t秒(T>t>0)を含み、かつ、前記所定の水蒸気圧力Pが0.020MPa(ゲージ圧)以上、0.150MPa(ゲージ圧)以下であり、かつ、ポリオレフィン系樹脂2段発泡粒子の発泡倍率が10倍以上、50倍以下であることを特徴とする、ポリオレフィン系樹脂2段発泡粒子の製造方法である。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子の製造方法に関する。
ポリオレフィン系樹脂型内発泡成形体は高い緩衝性能を有することから、高倍率化して包装材や緩衝材に使用されている。発泡成形体の原料であるポリオレフィン系樹脂発泡粒子をより高倍化する方法に、発泡粒子に無機ガスを含侵させて発泡力を付与した状態で水蒸気と接触させて、更に高倍率に発泡させる、いわゆる2段発泡と呼ばれる方法がある。(2段発泡に使用される原料の発泡粒子を、ポリオレフィン系樹脂1段発泡粒子、1段発泡粒子と呼ぶ場合がある)。2段発泡で諸条件を調整すると、得られる発泡粒子(以後、ポリオレフィン系樹脂2段発泡粒子、2段発泡粒子と呼ぶ場合がある)や、発泡成形体の性質が変わることが知られている。例えば、先行文献1~3には2段発泡粒子の結晶状態や収縮状態をコントロールすることで成形体のシワや融着を改善する方法が開示されている。また、先行文献4には添加剤の効果により成型時の金型充填性に優れた発泡粒子を得る方法が開示されている。
特開2011-219688号公報 WO2011/086937号公報 WO2011/086938号公報 特開2010-90232号公報
しかしながら、一般的に2段発泡粒子は1段発泡粒子と比較して密度バラツキが増大する傾向があり、2段発泡粒子を用いて型内発泡成形すると成形体重量の変動が大きくなるという問題が生じる。しかし、2段発泡で密度バラツキを抑制する方法は明らかになっていない。
また、包装材や緩衝材は一般に複雑な形状があったり、薄肉部分が存在しており、成形時の金型のこのような部位に2段発泡粒子を供給することが困難な場合があり、発泡粒子の充填性については改善に余地を残すものであった。
本発明は、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子を2段発泡する方法において、密度バラツキが小さく、型内発泡成形の際の金型への充填性が良好な、ポリオレフィン系樹脂2段発泡粒子の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、ポリオレフィン系樹脂1段発泡粒子を2段発泡する際に、発泡機を適切な速度、温度で加熱することにより、上記課題が解決できることを見出し、本発明の完成に至った。
すなわち、本発明は、以下の構成よりなる。
[1] ポリオレフィン系樹脂粒子、分散媒、分散剤、発泡剤を密閉容器内で加熱、加圧処理したのち、密閉容器内よりも低い圧力下に放出してポリオレフィン系樹脂1段発泡粒子を得る第一工程、
ポリオレフィン系樹脂1段発泡粒子に無機ガスを密閉容器内で含浸させ、ポリオレフィン系樹脂1段発泡粒子の内部の圧力を大気圧よりも大きくする第二工程、
無機ガスを含浸したポリオレフィン系樹脂1段発泡粒子を発泡機内(密閉容器)で水蒸気により一定時間T秒、所定の水蒸気圧力Pまで加熱し、発泡機内の水蒸気圧よりも低い圧力下に放出することでポリオレフィン系樹脂1段発泡粒子の発泡倍率よりも大きな発泡倍率を有するポリオレフィン系樹脂2段発泡粒子を得る製造方法であって、
無機ガスを含浸したポリオレフィン系樹脂1段発泡粒子を、発泡機内で一定時間T秒のあいだ水蒸気により加熱するなかで、蒸気昇圧速度vが0.03MPa/秒以上、0.07MPa/秒以下となる高速加熱時間t秒(T>t>0)を含み、かつ、前記所定の水蒸気圧力Pが0.020MPa(ゲージ圧)以上、0.150MPa(ゲージ圧)以下であり、かつ、ポリオレフィン系樹脂2段発泡粒子の発泡倍率が10倍以上、50倍以下であることを特徴とする、ポリオレフィン系樹脂2段発泡粒子の製造方法。
[2] 前記第二工程における無機ガスを含浸したポリオレフィン系樹脂1段発泡粒子の内部の圧力が、0.25MPa(絶対圧)以上、0.35MPa(絶対圧)以下であることを特徴とする、[1]に記載の製造方法。
[3] ポリオレフィンが、ポリエチレンであることを特徴とする、[1]または[2]に記載の製造方法。
本発明のポリオレフィン系樹脂2段発泡粒子の製造方法によれば、密度バラツキが小さく、型内発泡成形の際の金型への充填性が良好な、ポリオレフィン系樹脂2段発泡粒子を簡便に得ることができる。
発泡機の概略構成を示す図である 発泡機内の水蒸気圧力と時間の関係を示すグラフである。 発泡機内の水蒸気圧力と時間の関係を示すグラフである。 発泡機内の水蒸気圧力と時間の関係を示すグラフである。 発泡機内の水蒸気圧力と時間の関係を示すグラフである。 発泡機内の水蒸気圧力と時間の関係を示すグラフである。
<第一工程>
本発明の第一工程は、ポリオレフィン系樹脂粒子、分散媒、分散剤、発泡剤を密閉容器内で加熱、加圧処理したのち、密閉容器内よりも低い圧力下に放出してポリオレフィン系樹脂1段発泡粒子を得る公知の工程であり、公知のポリオレフィン系樹脂粒子、樹脂への添加剤、分散媒、分散剤、発泡剤、密閉容器、製造法を使用することができる。例えば特開2010-90232、WO2011/086937、WO2011/086938、WO2015/076306に記載の製造方法を引用できる。
本発明で使用されるポリオレフィン系樹脂としては、従来から用いられているポリオレフィン系樹脂でよく、例えばポリプロピレン系樹脂やポリエチレン系樹脂等が挙げられる。
ポリエチレン系樹脂としては、高密度ポリエチレン系樹脂、中密度ポリエチレン系樹脂、低密度ポリエチレン系樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂等が挙げられる。これらの中でも、高発泡のポリエチレン系樹脂型内発泡成形体が得られる点から、直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂を用いることが好ましい。また、密度の異なる直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂を複数ブレンドして用いることも可能である。更には、直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂に、高密度ポリエチレン系樹脂、中密度ポリエチレン系樹脂、低密度ポリエチレン系樹脂の少なくとも1種をブレンドして用いることもできる。
前記直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂としては、例えば、融点115℃以上、130℃以下、密度0.915g/cm以上、0.940g/cm以下、メルトインデックス0.1g/10分以上、20g/10分以下のものを用いることができる。なお、ポリエチレン系樹脂の融点とは、示差走査熱量計を用いて、ポリエチレン系樹脂粒子4~6mgを10℃/分の速度にて10℃から190℃まで昇温することによりポリエチレン系樹脂粒子を融解し、その後、10℃/分の速度にて190℃から10℃まで降温することにより結晶化させた後に、さらに10℃/分の速度にて10℃から190℃まで昇温したときに得られる、2回目の昇温時のDSC曲線における融解ピーク温度である。ポリエチレン系樹脂のメルトインデックスとはJIS K7210に準拠し、温度190℃、荷重2.16kgで測定した値である。
また、前記直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂は、エチレン以外の共重合するコモノマーを含んでいてもよい。エチレンと共重合するコモノマーとしては、炭素数4以上18以下のα-オレフィンを用いることができ、例えば、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、3,3-ジメチル-1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、1-オクテンなどが挙げられ、これらは単独で用いても良く、2種以上併用しても良い。共重合体の密度が前記範囲となるためには、コモノマーは概ね3重量%以上12重量%以下共重合することが好ましい。
ポリプロピレン系樹脂としては、モノマーとしてプロピレンが50mol%以上含まれる樹脂が挙げられる。プロピレン以外に使用し得るモノマー成分としては、エチレン、1-ブテン、イソブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、3,4-ジメチル-1-ブテン、1-ヘプテン、3-メチル-1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセンなどの炭素数2または4~12のα-オレフィン、シクロペンテン、ノルボルネン、テトラシクロ[6,2,11,8,13,6]-4-ドデセンなどの環状オレフィン、5-メチレン-2-ノルボルネン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、1,4-ヘキサジエン、メチル-1,4-ヘキサジエン、7-メチル-1,6-オクタジエンなどのジエン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、無水マレイン酸、スチレン、メチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼンなどのビニル単量体などが挙げられ、それらの組み合わせも可能である。これらのうち、エチレン、若しくは1-ブテンと2元共重合体を使用することが耐寒脆性向上、安価という点で好ましい。また、比較的強度が高いことから耐変形性の意味でエチレン、1-ブテンの3元共重合体が好ましい。
前記ポリプロピレン系樹脂としては、例えば、融点が125℃以上、155℃以下、メルトインデックス2g/10分以上、30g/10分以下のものを用いることができる。ここで言う融点は、示差走査熱量計(DSC)を用いて、ポリプロピレン系樹脂粒子5~6mgを10℃/minの昇温速度で40℃から220℃まで昇温する事により樹脂粒子を融解し、その後10℃/minで220℃から40℃まで降温することにより結晶化させた後に、さらに10℃/minで40℃から220℃まで昇温したときに、2回目の昇温時に得られるDSC曲線における融解ピーク温度である。
融点が155℃より大きい場合、型内発泡成形においてポリプロピレン系樹脂発泡粒子間の融着を確保するために加熱成形圧を高める必要が生じ、生産コストが高まる。125℃より小さい場合、耐熱性が良好でない。
ポリプロピレン系樹脂のメルトインデックスとはJIS K7210に準拠し、温度230℃、荷重2.16kgで測定した値である。メルトインデックスが2g/10分未満では、高発泡倍率の発泡粒子が得られにくくなるとともに、気泡も不均一になる傾向がある。また、メルトインデックスが30g/10分を超えた場合、高発泡倍率の発泡粒子は得やすくなるが、発泡粒子内の気泡が破泡し易く、発泡粒子の連泡率が高くなる傾向にあるとともに、気泡も不均一になる傾向がある。
本発明において、発泡の時に気泡核の形成を促す発泡核剤を含有させることができる。発泡核剤としては、タルク、炭酸カルシウム、シリカ、カオリン、硫酸バリウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、ゼオライト等の無機物質、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウムなどの脂肪酸金属塩などが挙げられる。これらの発泡核剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用しても良い。これらの中でも、タルク、炭酸カルシウム、ステアリン酸カルシウムが好ましい。更に粒径分布がシャープであることが望ましく、粒径の標準偏差σとした場合に粒径分布の半値幅は2.5σ以下であることが好ましい。
発泡核剤の添加量は、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、0.005重量部以上2重量部以下であることが好ましく、0.01重量部以上1重量部以下であることがより好ましい。また、発泡核剤としてタルクを使用する場合、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、0.005重量部以上1重量部以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.01重量部以上0.5重量部以下、より好ましくは0.02重量部以上0.2重量部以下である。
発泡核剤の添加量が0.005重量部以上2重量部以下の場合は、適度な発泡性により発泡粒子の密度ばらつきが小さくなりやすい。
本発明で用いられる発泡剤としては、プロパン、ブタン、ペンタン等の飽和炭化水素類、ジメチルエーテル等のエーテル類、メタノール、エタノール等のアルコール類、空気、窒素、二酸化炭素、水等の無機ガスが挙げられる。中でも特に密度バラツキを小さくでき、且つ環境負荷が小さく、燃焼危険性も無いことから、二酸化炭素や水を用いることが好ましい。
上述の公知の第一工程によって得たポリオレフィン系樹脂1段発泡粒子を用いて、本発明のポリオレフィン系樹脂2段発泡粒子を製造することができる。
<第二工程>
本発明の第二工程は、密閉容器内に、ポリオレフィン系樹脂1段発泡粒子を投入し、無機ガス、例えば空気や窒素、二酸化炭素等で密閉容器を加圧させることでポリオレフィン系樹脂1段発泡粒子に無機ガスを含浸させてポリオレフィン系樹脂1段発泡粒子の内部の圧力(内圧ともいう)を大気圧よりも大きくする工程である。
具体的には、密閉容器にポリオレフィン系樹脂粒子を投入後、必要に応じて、密閉容器や密閉容器内を30℃以上90℃以下となるよう加温した後、密閉容器内の圧力が0.1MPa(ゲージ圧)以上1.0MPa以下(ゲージ圧)になるまで無機ガスを導入し、無機ガスを含浸したポリオレフィン系樹脂1段発泡粒子を得る。
第二工程における無機ガスを含浸したポリオレフィン系樹脂1段発泡粒子の内圧は、2段発泡粒子の発泡倍率および、2段発泡工程の水蒸気圧力を考慮して適宜変化させることが望ましいが、0.20MPa(絶対圧)以上0.60MPa(絶対圧)以下であることが好ましい。より好ましくは0.25MPa(絶対圧)以上0.35MPa(絶対圧)以下である。0.2MPa(絶対圧)未満であれば発泡倍率を高めるために高い圧力の水蒸気が必要となり、2段発泡粒子のセルが破泡する傾向にある。0.6MPa(絶対圧)を超えると、所望の発泡倍率を得るための水蒸気圧力が低くなり、得られた2段発泡粒子を成形すると、表面伸びの悪い型内発泡成形体が得られる傾向がある。0.25MPa(絶対圧)以上0.35MPa(絶対圧)以下の場合、適度な水蒸気圧力となり、密度ばらつきが小さくなる傾向がある。
密閉容器は第三工程で使用する密閉容器(発泡機)と別体・兼用の何れでも構わない。密閉容器が別体の場合は、第二工程の密閉容器から第三工程の密閉容器(発泡機)に、無機ガスを含侵した1段発泡粒子を移す(投入する)必要があり、例えば、密閉容器(別体)から無機ガスを含侵した1段発泡粒子を取り出し、直ちに、図1に示す発泡機の1段発泡粒子投入ラインに投入し、第三工程がスタートする。密閉容器と発泡機が兼用の場合は、無機ガスを含侵した1段発泡粒子が得られたのち、直ちに第三工程がスタートする。
<第三工程>
本発明のポリオレフィン系樹脂2段発泡粒子の製造方法は、第二工程で無機ガスを含侵した大気圧以上の内圧を有する(内圧を付与した、含浸した、という場合もある)ポリオレフィン系樹脂1段発泡粒子を、発泡機内(密閉容器)で水蒸気により一定時間T秒、所定の水蒸気圧力Pまで加熱し、発泡機内の水蒸気圧よりも低い圧力下に放出することでポリオレフィン系樹脂1段発泡粒子の発泡倍率よりも大きな発泡倍率を有するポリオレフィン系樹脂2段発泡粒子を得る製造方法であり、無機ガスを含浸したポリオレフィン系樹脂1段発泡粒子を、発泡機内で一定時間T秒のあいだ水蒸気により加熱するなかで、蒸気昇圧速度vが0.03MPa/秒以上、0.07MPa/秒以下となる高速加熱時間t秒(T>t>0)を含み、かつ、前記所定の水蒸気圧力Pが0.020MPa以上、0.150MPa以下であり、かつ、ポリオレフィン系樹脂2段発泡粒子の発泡倍率が10倍以上、50倍以下である、ポリオレフィン系樹脂2段発泡粒子の製造方法である。
発泡機は、例えば、図1に示すように、内部に1段発泡粒子投入ライン、2段発泡粒子排出ライン、撹拌装置、水蒸気供給ライン、エアー供給ライン、排気ライン、排水ライン、を備えた密閉容器であり、水蒸気の供給や排出を任意に調整でき、内部を所定の蒸気圧力で保持することができる。
一定時間Tとは二段発泡1バッチの中で初めに発泡機内へ水蒸気を供給し始めた時点から最後に供給を終了した時点までの時間であり、高速加熱時間tを含む一定時間である。一定時間Tの間に一旦蒸気を停止させても良い。
Tは任意であるが、好ましくは10秒以上、70秒以下である。この範囲にある場合二段発泡での発泡性が高く、水蒸気使用量も抑えられるため好ましい。
高速加熱時間tとは蒸気弁やドレン弁の開度で調整できる、蒸気昇圧速度vが0.03MPa/秒以上、0.07MPa/秒以下となる時間である。
高速加熱時間tは、図2に示すように発泡機内への水蒸気供給開始、Tの開始と同時に存在したり、図3に示すように水蒸気加熱の途中、Tの途中に存在したり、一定時間Tの間であればどこに存在しても良く、T>t>0である。下限値は0秒より大きければよいが、好ましくは0.1秒である。0.1秒以下では一般的な装置では制御しずらい場合がある。図4や図5のように高速加熱時間tは一定時間Tの中に複数存在(t1、t2)してもよい。
蒸気昇圧速度vは、図6に示す発泡機内の水蒸気圧力と時間の関係を示すグラフの上の高速加熱時間t部分の傾きのことである。点A、点Bの間の蒸気昇圧速度vは水蒸気圧力P1とP2の2点間の時間、高速加熱時間tを用いて 、蒸気昇圧速度v=(P1-P2)/tで与えられる。
第三工程において、1段発泡粒子の発泡力に影響を与える因子は、加熱時の1段発泡粒子の温度と1段発泡粒子の内圧であり、1段発泡粒子の温度が高いほど、内圧が高いほど、発泡力は高まる傾向にある。また、加熱時の1段発泡粒子の温度は水蒸気圧力Pで凡そ決まる。
加熱時、1段発泡粒子からは無機ガスが流出して内圧が低下するが、高速加熱時間tを設けることで1段発泡粒子が膨張し始める温度に到達する時間が短縮され、内圧低下を抑制できるため、同じ発泡倍率の2段発泡粒子を得るための内圧や水蒸気圧力Pが低下する傾向にある。このため、高速加熱時間tは一定時間Tの前半にあることが望ましい。
本発明の蒸気昇圧速度vは0.03MPa/秒以上0.07MPa/秒以下である。蒸気昇圧速度vが0.03MPa/秒未満となる場合、2段発泡粒子のバッチ内の密度ばらつきが大きくなる。また、蒸気昇圧速度vが0.07MPa/秒を超える場合、2段発泡粒子のバッチ間の密度ばらつきが大きくなる。
蒸気昇圧速度vは発泡機内の水蒸気の需給バランスで決まるが、例えば以下の方法によって速めることができる。
[1]使用する蒸気元圧・二次圧を高める、蒸気配管口径を大きくする、など蒸気供給量を増加させる
[2]予備加熱工程を長く行うなど昇圧開始時の発泡機内温度を高める、発泡機内壁を断熱施工する、など蒸気消費量を削減させる
本発明の第三工程における水蒸気圧力Pは、2段発泡粒子の成形性に大きな影響を及ぼしており、2段発泡粒子の発泡倍率を考慮した上で、0.020MPa(ゲージ圧)以上0.150MPa(ゲージ圧)以下で調整し、好ましくは0.025MPa以上、0.100Mpa以下である。0.02MPa(ゲージ圧)未満では型内発泡成形体の表面伸びが悪い可能性があり、0.15MPa(ゲージ圧)を越えると、得られる2段発泡粒子のセルが破泡してしまい、その後の型内発泡成形で良品が得られなくなる傾向がある。
本発明のポリオレフィン系樹脂2段発泡粒子の発泡倍率は、10倍以上50倍以下である。好ましくは12倍以上45倍以下である。10倍未満では、密度ばらつきが大きくなり、期待した効果を得ることが困難である。また、50倍を超えると型内発泡成形したポリオレフィン系樹脂型内発泡成形体の圧縮強度などの機械特性が低下する傾向にある。
なお、本発明において、ポリオレフィン系樹脂2段発泡粒子の発泡倍率とは、ポリオレフィン系樹脂2段発泡粒子の重量w(g)を測定後、エタノールの入ったメスシリンダー中に沈め、メスシリンダーの界面上昇分(水没法)にて体積v(cm 3)を測定し、ポリオレフィン系樹脂2段発泡粒子の真比重ρ b=w/vを求め、発泡前のポリオレフィン系樹脂粒子の密度ρ rとの比(ρ r/ρ b)である。
上述のように、第三工程において加熱時の発泡機内の蒸気昇圧速度vの調整に着目してポリオレフィン系樹脂発泡粒子の密度バラツキや充填性を改善した先行技術は知られておらず、新規な発明である。
以上のように、第一工程、第二工程、第三工程を経て得られたポリオレフィン系樹脂2段発泡粒子は、従来から知られている型内発泡成形により、型内発泡成形体にすることができる。例えば、イ)ポリオレフィン系樹脂2段発泡粒子を無機ガス、例えば空気や窒素、二酸化炭素等で加圧処理してポリオレフィン系樹脂発泡粒子内に無機ガスを含浸させて所定のポリオレフィン系樹脂発泡粒子内圧を付与した後、金型に充填し、水蒸気で加熱融着させる方法、ロ)ポリオレフィン系樹脂2段発泡粒子をガス圧力で圧縮して金型に充填し、ポリオレフィン系樹脂2段発泡粒子の回復力を利用して、水蒸気で加熱融着させる方法、ハ)特に前処理することなくポリオレフィン系樹脂2段発泡粒子を金型に充填し、水蒸気で加熱融着させる方法、などの方法が利用し得る。
以下、実施例および比較例をあげて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
実施例、比較例で用いたポリオレフィン系樹脂、添加剤を、以下1)~4)に示し、得られた1段発泡粒子、2段発泡粒子、型内発泡成形体の評価結果を表1、2に示した。
1)ポリエチレン系樹脂
直鎖状低密度ポリエチレン[融点123℃、密度0.93g/cm、4-メチル-1-ペンテン含量8.2wt%、MI1.8g/10分]
2)ポリプロピレン系樹脂
ブテン-エチレン-プロピレン系ランダム共重合体[融点149℃、1-ブテン含量3.8wt%およびエチレン含量0.5wt%、MI=10g/10分]
3)無機物
・タルク[林化成株式会社製、タルカンパウダー(登録商標)PK-S]
4)親水性化合物
・グリセリン[ライオン株式会社製、精製グリセリンD]
各種項目の測定および評価は以下の様に実施した。
<発泡倍率(1段発泡粒子、2段発泡粒子)>
ポリオレフィン系樹脂発泡粒子の重量Giを0.001gまで正確に秤量し(小数点以下4桁目を四捨五入)、次いで秤量された重量既知のポリオレフィン系樹脂発泡粒子をメスシリンダー内に収容された23℃、100mlの水に浸漬させたときに上昇した目盛りから、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子の体積yi(cm)を読み取り、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子の重量Gi(g)をポリオレフィン系樹脂発泡粒子の体積yi(cm)で除し、これをg/L単位に換算することにより各篩いのポリオレフィン系樹脂発泡粒子の見かけ密度di求めた。最後に基材樹脂の密度ds(=900g/L)との比から発泡倍率Ki=ds/diを求めた。
<収縮率(1段発泡粒子、2段発泡粒子)>
発泡粒子のBDおよびVBDを、以下のように求めた。
BDを測定する発泡粒子の重量をW 1とし、23℃において大気圧(標準大気圧0.1MPa)下で、メスシリンダーを用いて体積V 1を求めた。式(1)に従って、23℃、0.1MPa(標準大気圧下)におけるポリオレフィン系樹脂発泡粒子の嵩密度である、BDを求めた。
BD(g/L)=W 1÷V 1 ・・・(1)
VBDを測定する発泡粒子の重量をW 2とし、目盛りのある耐圧容器に入れて、真空ホンプなどにより耐圧容器内を減圧した。0.002MPa以下の減圧状態下になったことを圧力計にて確認した後、バイブレーターを用いて耐圧容器を振動させ、発泡粒子上部の目盛りの変化がなくなるまで振動させた後、耐圧容器内の発泡粒子上部の目盛りを読み、それを体積V 2 とした。なお、減圧時は、発泡粒子同士が押し合って体積変化が阻害される場合があるため、耐圧容器を横に倒すなどして発泡粒子に体積変化が阻害されないようにし、徐々に減圧した。式(2)に従って、23℃、0.002MPa以下におけるポリオレフィン系樹脂発泡粒子の嵩密度VBDを求めた。
VBD(g/L)=W 2÷V 2 ・・・(2)
式(3)に従って、23℃におけるポリオレフィン系樹脂発泡粒子の収縮率を求めた。
収縮率=(BD-VBD)/VBD×100・・・(3)
<粒径(2段発泡粒子)>
発泡粒子は楕円柱形状となっており、高さ方向の寸法L、L方向と垂直な断面における最大径Dmax、最小径Dminを測定し、式(4)より粒径を算出した。
粒径=(L+Dmax+Dmin)/3・・・式(4)
<倍率バラツキ[バッチ内] (2段発泡粒子)>
ポリオレフィン系樹脂発泡粒子1kgを、JIS Z8801(1994)付表2記載の標準篩(呼び寸法1、1.18、1.4、1.7、2、2.36、2.8、3.35、4、4.75、5.6の11種の篩)で篩い分けした。各篩に残るポリオレフィン系樹脂発泡粒子の重量分率Wi、発泡倍率Kiを測定し、下記の式(5)から平均発泡倍率Kavを算出した。次に重量分率Wi、発泡倍率Kiと平均発泡倍率Kavを用いて式(6)から発泡倍率の標準偏差σmをを計算し、式(7)から倍率バラツキ[バッチ内](%)を求めた。
Kav=Σ(Ki×Wi)・・・式(5)
(i=各篩を表す)
σm=[Σ{Wi×(Kav-Ki)}]1/2・・・式(6)
倍率バラツキ[バッチ内](%)=(σm/Kav)×100・・・式(7)
倍率バラツキ[バッチ内]の数値から以下のように評価した。
◎◎:倍率バラツキ[バッチ内]≦3%
◎:3%<倍率バラツキ[バッチ内]≦5%
〇:5%<倍率バラツキ[バッチ内]≦10%
×:倍率バラツキ[バッチ内]>10%
<倍率バラツキ[バッチ間] (2段発泡粒子)>
倍率バラツキ[バッチ内]に示した方法で平均発泡倍率Kavを10バッチ分測定し、その平均値Kavavを式(8)で計算した。次にKavとKavavを用いて式(9)から発泡倍率の標準偏差σnを計算し、式(10)から倍率バラツキ[バッチ間](%)を求めた。
Kavav=1/10Σ(Kavi)・・・式(8)
(i=各バッチを表す)
σn=1/10Σ(Kavav-Kavi)2]1/2・・・式(9)
倍率バラツキ[バッチ間](%)=(σn/Kavav)×100・・・式(10)
倍率バラツキR間の数値から以下のように評価した。
◎:倍率バラツキ[バッチ間]≦3%
〇:3%<倍率バラツキ[バッチ間]≦5%
×:倍率バラツキ[バッチ間]>5%
<表面伸び>
表面伸び評価用金型として、板状成形体用金型を用いて、得られたポリオレフィン系樹脂発泡粒子を型内発泡成形した。板状成形体は長手方向400×短手方向300×厚み方向50mmである。なお、以上の寸法は金型における寸法である。得られた成形体の端部を観察し、以下の基準にて評価した。
〇:隣り合う発泡粒子同士がいずれの部分においてもきれいに融着しており、発泡粒子間に隙間が無い
△:隣り合う発泡粒子間に隙間がある個所が少し見られる
×:隣り合う発泡粒子間に隙間がある個所が多数見られる
<充填性>
金型充填性評価用金型として、成形体中央部に仕切板を有する物品収納用緩衝箱用金型を用いて、得られた発泡粒子を型内発泡成形した。緩衝箱寸法は、長手方向350mm×短手方向320mm×深さ方向180mmで、箱内部の短手方向に平行な仕切板を有している。仕切板は底部の厚さが8mmで上部の厚さが5mmである。得られた成形体の仕切板上部の粒子間隙を目視で観察し、以下の基準にて充填性を評価した。なお、上記の緩衝箱寸法は金型における寸法である。
◎◎:仕切板上部に発泡粒子半粒分程度の大きさの粒子間隙が0個
◎:仕切板上部に発泡粒子半粒分以上の大きさの粒子間隙が1個
〇:仕切板上部に発泡粒子半粒分以上の大きさの粒子間隙が2個以上、3個以下
△:仕切板上部に発泡粒子半粒分以上の大きさの粒子間隙が4個以上、5個以下
×:仕切板上部に発泡粒子半粒分以上の大きさの粒子間隙が6個以上
(実施例1)
<ポリエチレン系樹脂粒子の作製>
直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂20kgに、無機物300ppmおよび、親水性化合物2000ppmをブレンドした。得られたブレンド物を二軸押出機[東芝機械(株)製、TEM26-SX]に投入し、樹脂温度210℃で溶融混練し、押出機の先端に取り付けられた円形ダイを通してストランド状に押出し、水冷後、カッターで切断し、円柱状の発泡用ポリエチレン系樹脂粒子(1.3mg/粒)を得た。
<ポリエチレン系樹脂1段発泡粒子の作製>
得られた発泡用ポリエチレン系樹脂粒子100重量部を、純水200重量部、難水溶性無機化合物として第3リン酸カルシウム0.5重量部、界面活性剤としてアルキルスルホン酸ナトリウム0.03重量部とともに耐圧密閉容器に投入した後、攪拌しながら二酸化炭素7.0重量部を耐圧密閉容器内に導入し、123℃に加熱した。その後二酸化炭素を追加圧入し耐圧密閉容器内を3.0MPa(ゲージ圧)の発泡圧力まで昇圧し、前記発泡温度、発泡圧力で30分間保持した後、密閉容器下部のバルブを開いて、水分散物(樹脂粒子および水系分散媒)を、オリフィスを通じて、大気圧下の発泡筒に放出してポリエチレン系樹脂1段発泡粒子を得た。この際、放出中は耐圧密閉容器内の圧力が低下しないように、二酸化炭素を追加圧入して圧力を保持した。また、前記発泡筒には、蒸気を吹き込んで加温した状態とし、放出されてくる発泡粒子と蒸気が接触するようにした。
<ポリエチレン系樹脂2段発泡粒子の作製>
得られたポリエチレン系樹脂1段発泡粒子を60℃にて6時間乾燥させた後、耐圧密閉容器内にて、加圧空気を含浸させて、0.33MP(絶対圧)のポリエチレン系樹脂1段発泡粒子内圧(絶対圧)を付与した。空気を含侵したポリエチレン系樹脂1段発泡粒子約20Lを発泡機内へ投入し、一定時間T=30秒、高速加熱時間t=0.8秒、蒸気昇圧速度v=0.05MPa/秒、および水蒸気圧力P=0.045MPaで加熱することで2段発泡させ、ポリエチレン系樹脂2段発泡粒子を得た。同様の二段発泡操作を10バッチ実施した。
<ポリエチレン系樹脂型内発泡成形体の作製>
得られたポリエチレン系樹脂2段発泡粒子をダイセン株式会社製ポリオレフィン型内発泡成形機を用いて、板状成形体用金型と金型充填性評価用金型に充填して0.12MPa(ゲージ圧)の水蒸気で加熱成形させることにより、ポリエチレン系樹脂型内発泡成形体を得た。得られた型内発泡成形体は室温で1時間放置した後、75℃の恒温室内で12時間養生乾燥を行い、再び室温で1時間放置した後に各種評価、観察を実施した。
(実施例2~実施例9)
ポリエチレン系樹脂1段発泡粒子内圧、発泡機内の水蒸気圧力、高速加熱時間t、第三工程での蒸気昇圧速度vを表1のように変更した以外は、実施例1と同様の方法にてポリエチレン系樹脂1段発泡粒子、ポリエチレン系樹脂2段発泡粒、ポリエチレン系樹脂型内発泡成形体を得た。
(実施例10)
<ポリプロピレン系樹脂粒子の作製>
ポリプロピレン系樹脂20kgに、無機物500ppmおよび、親水性化合物2000ppmをドライブレンドした。得られたブレンド物を二軸押出機[東芝機械(株)製、TEM26-SX]に投入し、樹脂温度220℃で溶融混練し、押出機の先端に取り付けられた円形ダイを通してストランド状に押出し、水冷後、カッターで切断し、円柱状の発泡用ポリプロピレン系樹脂粒子(1.2mg/粒)を得た。
<ポリプロピレン系樹脂1段発泡粒子の作製>
得られた発泡用ポリプロピレン系樹脂粒子100重量部を、純水200重量部、難水溶性無機化合物としてカオリン(エンゲルハード社製ASP-170)0.2重量部、界面活性剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.06重量部とともに耐圧密閉容器に投入した後、攪拌しながら二酸化炭素6.0重量部を耐圧密閉容器内に導入し、151℃に加熱した。その後二酸化炭素を追加圧入し耐圧密閉容器内を3.1MPa(ゲージ圧)の発泡圧力まで昇圧し、前記発泡温度、発泡圧力で30分間保持した後、密閉容器下部のバルブを開いて、水分散物(樹脂粒子および水系分散媒)を、オリフィスを通じて、大気圧下の発泡筒に放出して発泡粒子(1段発泡粒子)を得た。この際、放出中は耐圧密閉容器内の圧力が低下しないように、二酸化炭素を追加圧入して圧力を保持した。
<ポリプロピレン系樹脂2段発泡粒子の作製>
得られたポリプロピレン系樹脂1段発泡粒子を60℃にて6時間乾燥させた後、耐圧密閉容器内にて、加圧空気を含浸させて、0.33MP(絶対圧)のポリプロピレン系樹脂1段発泡粒子内圧(絶対圧)を付与した。空気を含侵したポリプロピレン系樹脂1段発泡粒子約20Lを発泡機内へ投入し、一定時間T=30秒、高速加熱時間t=1.4秒、蒸気昇圧速度v=0.05MPa/秒、および水蒸気圧力P=0.08MPaで加熱することで2段発泡させ、ポリプロピレン系樹脂2段発泡粒子を得た。同様の二段発泡操作を10バッチ実施した。
<ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体の作製>
得られたポリプロピレン系樹脂2段発泡粒子をダイセン株式会社製ポリオレフィン型内発泡成形機を用いて、板状成形体用金型と金型充填性評価用金型に充填して0.30MPa(ゲージ圧)の水蒸気で加熱成形させることにより、ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体を得た。得られた型内発泡成形体は室温で1時間放置した後、75℃の恒温室内で8時間養生乾燥を行い、再び室温で1時間放置した後に各種評価、観察を実施した。
(比較例1~比較例5)
ポリエチレン系樹脂1段発泡粒子内圧、発泡機内の水蒸気圧力、高速加熱時間t、第三工程での蒸気昇圧速度vを表2のように変更した以外は、実施例1と同様の方法にてポリエチレン系樹脂1段発泡粒子、ポリエチレン系樹脂2段発泡粒、ポリエチレン系樹脂型内発泡成形体を得た。
(比較例6)
ポリプロピレン系樹脂1段発泡粒子内圧、発泡機内の水蒸気圧力、高速加熱時間t、第三工程での蒸気昇圧速度vを表2のように変更した以外は、実施例10と同様の方法にてポリプロピレン系樹脂1段発泡粒子、ポリプロピレン系樹脂2段発泡粒、ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体を得た。
実施例と比較例との対比から、第三工程にて蒸気昇圧速度vが0.03MPa/秒以上0.07MPa/秒以下であるポリオレフィン系樹脂2段発泡粒子は倍率バラツキが小さく、型内発泡成形する際の金型充填性が向上することが判る。
実施例4と比較例5の対比から、第三工程での蒸気昇圧速度vが適正範囲であっても発泡倍率が高すぎる場合、倍率バラツキが大きくなることが判る。
Figure 2022038875000001
Figure 2022038875000002

1:密閉容器
2:撹拌装置
3:1段発泡粒子投入ライン
4:水蒸気供給ライン
5:エアー供給ライン
6:排水ライン
7:排気ライン
8:2段発泡粒子排出ライン
10:発泡機
本発明の一実施形態は、バラツキの少ないポリプロピレン系樹脂粒子を提供できる。本発明の一実施形態に係るポリプロピレン系樹脂粒子から得られる発泡粒子を用いて型内発泡成形によって得られる成形体は、緩衝包装材、物流資材、断熱材、土木建築部材、自動車部材など様々な用途に好適に用いることが可能である。

Claims (3)

  1. ポリオレフィン系樹脂粒子、分散媒、分散剤、発泡剤を密閉容器内で加熱、加圧処理したのち、密閉容器内よりも低い圧力下に放出してポリオレフィン系樹脂1段発泡粒子を得る第一工程、
    ポリオレフィン系樹脂1段発泡粒子に無機ガスを密閉容器内で含浸させ、ポリオレフィン系樹脂1段発泡粒子の内部の圧力(内圧)を大気圧よりも大きくする第二工程、
    無機ガスを含浸したポリオレフィン系樹脂1段発泡粒子を発泡機内で水蒸気により一定時間T秒、所定の水蒸気圧力Pまで加熱し、発泡機内の水蒸気圧よりも低い圧力下に放出することでポリオレフィン系樹脂1段発泡粒子の発泡倍率よりも大きな発泡倍率を有するポリオレフィン系樹脂2段発泡粒子を得る第三工程、からなるポリオレフィン系樹脂2段発泡粒子の製造方法であって、
    無機ガスを含浸したポリオレフィン系樹脂1段発泡粒子を、発泡機内で一定時間T秒のあいだ水蒸気により加熱するなかで、蒸気昇圧速度vが0.03MPa/秒以上、0.07MPa/秒以下となる高速加熱時間t秒(T>t>0)を含み、
    かつ、前記所定の水蒸気圧力Pが0.020MPa(ゲージ圧)以上、0.150MPa(ゲージ圧)以下であり、
    かつ、ポリオレフィン系樹脂2段発泡粒子の発泡倍率が10倍以上、50倍以下であることを特徴とする、ポリオレフィン系樹脂2段発泡粒子の製造方法。
  2. 前記第二工程における無機ガスを含浸したポリオレフィン系樹脂1段発泡粒子の内部の圧力(内圧)が、0.25MPa(絶対圧)以上0.35MPa(絶対圧)以下であることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
  3. ポリオレフィンが、ポリエチレンであることを特徴とする、請求項1または2に記載の製造方法。
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