JP2022038218A - 積層体並びに該積層体に用いられる部材及び樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐衝撃性及び耐熱性に優れる積層体並びに該積層体に用いられる部材及び樹脂組成物を提供する。【解決手段】樹脂成分(a-1)と強化繊維(a-2)とを含む繊維強化樹脂層(A)と、伸縮性硬化性樹脂(b-1)を含む硬化性樹脂層(B)とを有する、積層体。樹脂成分(a-1)と強化繊維(a-2)とを含む繊維強化樹脂複合体との積層体に用いられる部材であって、樹脂成分として伸縮性硬化性樹脂(b-1)を含む、部材。樹脂成分(a-1)と強化繊維(a-2)とを含む繊維強化樹脂複合体との積層体に用いられる樹脂組成物であって、剛直成分と柔軟成分とのブロック構造を有するエポキシ樹脂を含む、樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、積層体並びに該積層体に用いられる部材及び樹脂組成物に関する。
従来、硬化性樹脂に、炭素繊維、ガラス繊維等の強化繊維を複合して強度を向上させた硬化性樹脂複合材料は、軽量であり強度に優れることから、電気及び電子機器分野、自動車、航空機等の産業分野、建設分野等の部材として用いられている。
例えば、特許文献1には、強化繊維と熱硬化性樹脂とからなるプリプレグ層と、エチレン-不飽和カルボン酸-不飽和エステル共重合体又はそのアイオノマーとからなる層とを、交互に積層し、加熱、硬化してなる複合材料が開示されており、層間の接着性に優れるとともに、制振性、貫通衝撃強度等が優れた複合材料を得ることができると記載されている。
また、特許文献2には、高強度補強繊維と熱硬化性樹脂とからなるハードコンポジットに、高強度かつ高弾性率繊維からなる布帛に熱可塑性樹脂を含浸または接着したソフトコンポジットを、接着または非接着状態で積層一体化してなることを特徴とする高機能コンポジットが開示されており、ハードコンポジットで吸収しきれなかった衝撃を、ソフトコンポジットの布帛によって吸収することができるので、コンポジット構成材料が衝撃で飛散することがないと記載されている。
特開平11-34230号公報 特開2007-283758号公報
しかしながら、特許文献1に記載された複合材料及び特許文献2に記載された高機能コンポジットは、プリプレグ層間の層又はソフトコンポジットが熱可塑性樹脂を含むものであるため、耐熱性に劣るという課題があった。
本発明は、上記課題の存在に鑑みてなされたものであり、耐衝撃性及び耐熱性に優れる積層体並びに該積層体に用いられる部材及び樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、以下の構成を採用することにより、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の[1]~[27]に関する。
[1] 樹脂成分(a-1)と強化繊維(a-2)とを含む繊維強化樹脂層(A)と、伸縮性硬化性樹脂(b-1)を含む硬化性樹脂層(B)とを有する、積層体。
[2] 前記硬化性樹脂層(B)の引張伸びが50%以上である、上記[1]に記載の積層体。
[3] 前記硬化性樹脂層(B)を構成する伸縮性硬化性樹脂(b-1)原材料の引張伸びが50%以上である、上記[1]又は[2]に記載の積層体。
[4] 前記硬化性樹脂層(B)の100℃及び200℃の引張貯蔵弾性率が1×10~6×10Paである、上記[1]~[3]のいずれか1つに記載の積層体。
[5] 前記硬化性樹脂層(B)を構成する伸縮性硬化性樹脂(b-1)原材料の100℃及び200℃の引張貯蔵弾性率が1×10~6×10Paである、上記[1]~[4]のいずれか1つに記載の積層体。
[6] 前記伸縮性硬化性樹脂(b-1)がエポキシ樹脂である、上記[1]~[5]のいずれか1つに記載の積層体。
[7] 前記硬化性樹脂層(B)の厚さが10μm以上1mm以下である、上記[1]~[6]のいずれか1つに記載の積層体。
[8] 前記積層体中の前記硬化性樹脂層(B)の厚さの割合が5%以上70%以下である、上記[1]~[7]のいずれか1つに記載の積層体。
[9] 積層体の表面から、積層体の厚さの40%以内の領域に、前記硬化性樹脂層(B)が少なくとも存在する、上記[1]~[8]のいずれか1つに記載の積層体。
[10] 積層体の表面から1mm以内の領域に存在する硬化性樹脂層(B)の厚さが10μm以上800μm以下である、上記[1]~[9]のいずれか1つに記載の積層体。
[11] 前記硬化性樹脂層(B)がエポキシ樹脂とポリエーテルアミン及び/又は脂環式構造を有する硬化剤とを含むエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物である、上記[1]~[10]のいずれか1つに記載の積層体。
[12] 前記硬化性樹脂層(B)がエポキシ樹脂と脂環式ポリアミンとを含むエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物である、上記[1]~[11]のいずれか1つに記載の積層体。
[13] 前記エポキシ樹脂が剛直成分と柔軟成分とのブロック構造を有する、上記[6]~[12]のいずれか1つに記載の積層体。
[14] 前記樹脂成分(a-1)がエポキシ樹脂である、上記[1]~[13]のいずれか1つに記載の積層体。
[15] 前記繊維強化樹脂層(A)がプリプレグ又はセミプレグを硬化してなる硬化物である、上記[1]~[14]のいずれか1つに記載の積層体。
[16] 上記[1]~[15]のいずれか1つに記載の積層体を用いてなる、航空機、自動車、船舶及び鉄道車両である移動体、スポーツ用品、家電製品並びに建築資材。
[17] 樹脂成分(a-1)と強化繊維(a-2)とを含む繊維強化樹脂複合体との積層体に用いられる部材であって、樹脂成分として伸縮性硬化性樹脂(b-1)を含む、部材。
[18] シートである、上記[17]に記載の部材。
[19] 引張伸びが50%以上である、上記[17]又は[18]に記載の部材。
[20] 100℃及び200℃の引張貯蔵弾性率が1×10~6×10Paである、上記[17]~[19]のいずれか1つに記載の部材。
[21] 前記繊維強化樹脂複合体がプリプレグ及び/又はセミプレグである、上記[17]~[20]のいずれか1つに記載の部材。
[22] 樹脂成分(a-1)と強化繊維(a-2)とを含む繊維強化樹脂複合体との積層体に用いられる樹脂組成物であって、剛直成分と柔軟成分とのブロック構造を有するエポキシ樹脂を含む、樹脂組成物。
[23] 前記繊維強化樹脂複合体がプリプレグ及び/又はセミプレグである、上記[22]に記載の樹脂組成物。
[24] プリプレグ及び/又はセミプレグと上記[17]~[21]のいずれか1つに記載の部材とを積層する工程と、該プリプレグ及び/又はセミプレグを硬化する工程とを含む、積層体の製造方法。
[25] 繊維強化樹脂複合体と上記[22]又は[23]に記載の樹脂組成物とを積層する工程と、該樹脂組成物を少なくとも硬化する工程とを含む、積層体の製造方法。
[26] プリプレグ及び/又はセミプレグと上記[22]又は[23]に記載の樹脂組成物とを積層する工程と、該プリプレグ及び/又はセミプレグと該樹脂組成物とを硬化する工程とを含む、積層体の製造方法。
[27] プリプレグ及び/又はセミプレグを硬化する工程と、該プリプレグ及び/又はセミプレグの硬化物と上記[22]又は[23]に記載の樹脂組成物とを積層する工程と、該樹脂組成物を硬化する工程とを含む、積層体の製造方法。
本発明によれば、耐衝撃性及び耐熱性に優れる積層体並びに該積層体に用いられる部材及び樹脂組成物を提供することができる。
[積層体]
本発明の積層体(以下、単に「積層体」ともいう)は、樹脂成分(a-1)と強化繊維(a-2)とを含む繊維強化樹脂層(A)と、伸縮性硬化性樹脂(b-1)を含む硬化性樹脂層(B)とを有する。
<繊維強化樹脂層(A)>
繊維強化樹脂層(A)は、樹脂成分(a-1)と強化繊維(a-2)とを含む。
(樹脂成分(a-1))
樹脂成分(a-1)は特に限定はなく、硬化性樹脂であってもよいし熱可塑性樹脂であってもよいが、耐熱性の観点から硬化性樹脂であることが好ましく、成形加工のプロセスに適用しやすい観点から熱硬化性樹脂であることがより好ましい。熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和イミド樹脂、シアネート樹脂、イソシアネート樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、オキセタン樹脂、アミノ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アリル樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、シリコーン樹脂、トリアジン樹脂及びメラミン樹脂等が挙げられる。これらの中でも、樹脂成分(a-1)は、耐熱性、硬化性樹脂層(B)との密着性、電気絶縁性、耐薬品性、耐腐食性等の観点から、好ましくはエポキシ樹脂である。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
(強化繊維(a-2))
強化繊維(a-2)としては、特に限定されないが、炭素繊維、ガラス繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維等の無機繊維、液晶ポリマー繊維、ポリエチレン繊維、アラミド繊維、ポリパラフェニレンベンズオキサゾール繊維等の有機繊維、アルミニウム繊維、マグネシウム繊維、チタン繊維、SUS繊維、銅繊維、金属を被覆した炭素繊維等の金属繊維等が挙げられる。これらの中でも、強化繊維(a-2)は、剛性の観点から好ましくは炭素繊維及びガラス繊維からなる群より選ばれる1種以上であり、軽量性及び剛性の観点からより好ましくは炭素繊維である。
前記炭素繊維としては、例えば、ポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維、石油系、石炭系等のピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維、リグニン系炭素繊維等が挙げられ、いずれの炭素繊維も使用することができる。特に、PANを原料としたPAN系炭素繊維で、12000~48000フィラメントのストランド又はトウが、工業的規模における生産性及び機械的特性に優れており好ましい。
強化繊維は連続繊維であってもよいし、非連続繊維であってもよいが、連続繊維であることが好ましい。強化繊維の形状が後述するようなチョップドストランド、不織布等の非連続繊維の場合、繊維の数平均繊維長は通常0.5mm以上であり、1mm以上であることが好ましく、3mm以上であることがより好ましく、5mm以上であることがさらに好ましく、10mm以上であることが特に好ましく、30mm以上であることが殊に好ましく、50mm以上であることが最も好ましい。数平均繊維長を前記下限値以上とすることで、得られる積層体の機械特性を十分なものとしやすい傾向となる。数平均繊維長の上限は特に限定されないが、500mmであることが好ましく、300mmであることがより好ましく、150mmであることがさらに好ましい。数平均繊維長を前記上限値以下とすることにより、積層体を用いて最終製品、特に複雑形状の最終製品を成形する際の複雑形状部への強化繊維の充填性を十分なものとし、当該部位の強度低下の発生を抑制しやすい傾向となる。
強化繊維の形状は、特に限定されず、チョップドストランド、ロービング等の繊維束、平織、綾織等の織物、編物、不織布、繊維ペーパー、UD材(一方向性(uni directional)材)等の強化繊維シートのうちから、必要に応じて適宜選択することができる。
これらの中でも、引張弾性率、引張強度等の機械的特性の観点から、織物、編物、UD材などの連続繊維であることが好ましい。
樹脂成分(a-1)と強化繊維(a-2)とを複合化して繊維強化樹脂層(A)を形成する方法は、特に限定されず、従来公知の方法を採用することができる。
例えば、樹脂成分(a-1)が硬化性樹脂の場合は、強化繊維(a-2)に樹脂成分(a-1)を含浸させたプリプレグ、又は強化繊維(a-2)に樹脂成分(a-1)を部分的に含浸(半含浸)させ空隙量を制御した所謂セミプレグを用いて熱等により硬化して、繊維強化樹脂層(A)を形成する方法が好ましい。すなわち、繊維強化樹脂層(A)は、プリプレグ又はセミプレグを硬化してなるものであることが好ましい。
樹脂成分(a-1)が熱可塑性樹脂の場合は、樹脂成分(a-1)と強化繊維(a-2)とを複合化し、押出成形、射出成形、真空成形、圧空成形、プレス成形等を採用することにより、繊維強化フィルム、繊維強化シート、繊維強化板等に成形し、繊維強化樹脂層(A)とすることができる。また、強化繊維(a-2)と熱可塑性樹脂繊維とからなる所謂混抄マットを用い、該熱可塑性樹脂繊維の流動開始温度以上においてプレス成形等することによっても、繊維強化樹脂層(A)を形成することができる。
繊維強化樹脂層(A)中の強化繊維(a-2)の割合は、弾性率、強度の観点から、好ましくは20体積%以上、より好ましくは30体積%以上であり、さらに好ましくは40体積%以上であり、そして、好ましくは90体積%以下、より好ましくは80体積%以下である。
繊維強化樹脂層(A)に用いるプリプレグとしては、市販品を用いることもでき、例えば、三菱ケミカル株式会社製「TR3110 381GMX」、「TR3523 381GMX」、「TR6110H 331GMP」、「TR350C 175S」、「HSX350C110S」等のプリプレグ等を用いることができる。
<硬化性樹脂層(B)>
硬化性樹脂層(B)は、伸縮性硬化性樹脂(b-1)を含む。本発明の積層体は、硬化性樹脂層(B)が伸縮性硬化性樹脂(b-1)を含むことにより、耐衝撃性及び耐熱性に優れ、さらに制振性にも優れる。
(伸縮性硬化性樹脂(b-1))
伸縮性硬化性樹脂(b-1)としては、硬化性樹脂層(B)の引張伸びが好ましくは50%以上となり、伸縮性を有する硬化性樹脂層(B)となるものであれば特に限定されない。ここで、「伸縮性硬化性樹脂」とは、例えば、伸縮性硬化性樹脂のシート又はフィルムを手で引っ張った際に、目視で伸び縮みが確認できるものをいう。
伸縮性硬化性樹脂(b-1)は、好ましくはエポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂であり、耐熱性及び繊維強化性樹脂層(A)との接着性の観点からより好ましくはエポキシ樹脂である。また、伸縮性硬化性樹脂(b-1)は、成形加工のプロセスに適用しやすい観点から熱硬化性樹脂であることが好ましい。
硬化性樹脂層(B)は、伸縮性硬化性樹脂(b-1)以外の樹脂を含んでいてもよいが、その場合の硬化性樹脂層(B)中の伸縮性硬化性樹脂(b-1)の割合は、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは60質量%以上であり、さらに好ましくは70質量%以上であり、よりさらに好ましくは80質量%以上であり、特に好ましくは90質量%以上であり、最も好ましくは95質量%以上である。
伸縮性硬化性樹脂(b-1)は、例えば、伸縮性を有する化学構造を含む伸縮性硬化性樹脂組成物を熱硬化することによって得ることができる。より具体的には、例えば、硬化後に伸縮性を有する伸縮性硬化性樹脂となる化学構造を有する樹脂を含む主剤と硬化剤とを含有する伸縮性硬化性樹脂組成物を熱硬化することによって得ることができる。また、別の手法として、硬化後に伸縮性硬化性樹脂となる樹脂原料を、γ線、電子線、X線等の放射線により硬化させて得ることもできる。
以下、伸縮性硬化性樹脂(b-1)として好ましく用いられるエポキシ樹脂について説明する。
なお、本発明において「エポキシ樹脂」という用語は、硬化前の原料樹脂と、硬化後の樹脂(硬化物)の双方に対して用いる。なお、硬化反応によってエポキシ基は消費されるため、硬化後の樹脂はエポキシ基(エポキシ構造)を有していない場合がある。
≪エポキシ樹脂≫
前記伸縮性硬化性樹脂(b-1)の好ましい樹脂であるエポキシ樹脂は、剛直成分と柔軟成分とのブロック構造を有するエポキシ樹脂であることがより好ましい。このような構造を有することにより、伸縮性に優れるものとなりやすい。
エポキシ樹脂は、例えば、少なくとも主剤と硬化剤とを含むエポキシ樹脂組成物を硬化することによって得ることができる。以下、硬化前のエポキシ樹脂組成物に説明する。
<エポキシ樹脂組成物>
前記エポキシ樹脂組成物は、主剤としてエポキシ樹脂を含むことが好ましく、剛直成分と柔軟成分とのブロック構造を有するエポキシ樹脂(以下、「エポキシ樹脂(α)」という)を含むことが好ましい。
(エポキシ樹脂(α))
前記エポキシ樹脂の剛直成分は、芳香族性を有する環構造、例えばベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環などの縮合芳香環構造や、ビフェノール環、カルド構造、フルオレン環などの芳香環構造を多数含む構造や、ピロール環、チオフェン環などのヘテロ環式構造を含むことが好ましい。
柔軟成分は、脂肪族炭化水素、例えば炭素数1~8のアルキレン基、エチレングリコール基、プロピレングリコール基、ブチレングリコール基を含むことが好ましい。
エポキシ樹脂組成物がこのようなエポキシ樹脂(α)を含むことで、硬化後の硬化性樹脂層(B)に柔軟性を付与しやすい傾向となる。
エポキシ樹脂(α)は、必ずしも剛直成分と柔軟成分の双方にエポキシ基又はエポキシ基由来の構造を有していなくともよい。すなわち、エポキシ樹脂(α)は、少なくとも剛直成分及び柔軟成分のうちのいずれかにエポキシ基あるいはエポキシ基由来の構造を有していればよい。耐熱性、機械的強度等に優れるエポキシ樹脂本来の特性を有しつつ、柔軟性を付与するという観点からは、剛直成分と柔軟成分のうちのいずれか一方のみにエポキシ基あるいはエポキシ基由来の構造を有していることが好ましい。
具体的なエポキシ樹脂(α)として、例えば、ビスフェノールFと1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルとの共重合体、1,6-ヘキサンジオールとビスフェノールFジグリシジルエーテルとの共重合体、ビスフェノールFと1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテルとの共重合体、1,4-ブタンジオールとビスフェノールFジグリシジルエーテルとの共重合体、ビスフェノールAと1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルとの共重合体、1,6-ヘキサンジオールとビスフェノールAジグリシジルエーテルとの共重合体、ビスフェノールAと1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテルとの共重合体、1,4-ブタンジオールとビスフェノールAジグリシジルエーテルとの共重合体、テトラメチルビフェノールと1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルとの共重合体、1,6-ヘキサンジオールとテトラメチルビフェノールジグリシジルエーテルとの共重合体、テトラメチルビフェノールと1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテルとの共重合体、1,4-ブタンジオールとテトラメチルビフェノールジグリシジルエーテルとの共重合体、ビフェノールと1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルとの共重合体、1,6-ヘキサンジオールとビフェノールジグリシジルエーテルとの共重合体、ビフェノールと1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテルとの共重合体、1,4-ブタンジオールとビフェノールジグリシジルエーテルとの共重合体、1,4-ナフタレンジオールと1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルとの共重合体、1,6-ヘキサンジオールと1,4-ナフタレンジオールジグリシジルエーテルとの共重合体、1,4-ナフタレンジオールと1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテルとの共重合体、1,4-ブタンジオールと1,4-ナフタレンジオールジグリシジルエーテルとの共重合体、1,6-ナフタレンジオールと1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルとの共重合体、1,6-ヘキサンジオールと1,6-ナフタレンジオールジグリシジルエーテルとの共重合体、1,6-ナフタレンジオールと1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテルとの共重合体、1,4-ブタンジオールと1,6-ナフタレンジオールジグリシジルエーテルとの共重合体等が挙げられる。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。これらの中でも、柔軟性付与の観点から、エポキシ樹脂(α)は、ビスフェノールFと1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルとの共重合体を含むことが好ましい。
エポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂として、上記エポキシ樹脂(α)以外のエポキシ樹脂(以下、「エポキシ樹脂(β)」という)を含有してもよい。
(エポキシ樹脂(β))
エポキシ樹脂(β)としては、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂等の各種エポキシ樹脂が挙げられる。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。
エポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂として、エポキシ樹脂(α)のみを含むもの、エポキシ樹脂(α)とエポキシ樹脂(β)とを含有するもの、エポキシ樹脂(β)のみを含むもののいずれであってもよい。
エポキシ樹脂組成物が、エポキシ樹脂(α)とエポキシ樹脂(β)とを含有する場合、エポキシ樹脂組成物中の固形分としての全エポキシ成分中のエポキシ樹脂(β)の割合は、好ましくは5質量%以上であり、より好ましくは10質量%以上である。上限値については、好ましくは95質量%であり、より好ましくは90質量%である。
エポキシ樹脂(β)の割合が上記下限値以上であることにより、エポキシ樹脂(β)を配合することによる物性向上効果を十分に得ることができる。一方、エポキシ樹脂(β)の割合が上記上限値以下であることにより、エポキシ樹脂(α)による柔軟性付与及び可撓性向上の効果を十分に得ることができる。
本発明において、「固形分」とは溶媒を除いた成分を意味し、固体のエポキシ樹脂又はエポキシ化合物のみならず、半固形や粘稠な液状物をも含むものとする。
また、「全エポキシ成分」とは、エポキシ樹脂(α)と前述のエポキシ樹脂(β)との合計を意味する。
(硬化剤)
硬化剤は、上記のエポキシ樹脂のエポキシ基と、エポキシ基と反応性を有する基との架橋反応に寄与するものをいう。硬化剤としては特に制限はなく、一般的にエポキシ樹脂硬化剤として知られているものはすべて使用できる。
例えばフェノール系硬化剤、脂肪族アミン、ポリエーテルアミン、脂環式アミン、芳香族アミンなどのアミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、アミド系硬化剤、第3級アミン、イミダゾールおよびその誘導体、有機ホスフィン類、ホスホニウム塩、テトラフェニルボロン塩、有機酸ジヒドラジド、ハロゲン化ホウ素アミン錯体、ポリメルカプタン系硬化剤、イソシアネート系硬化剤、ブロックイソシアネート系硬化剤等が挙げられる。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。これらの中でも、高透明性及び着色が少ない観点から、硬化剤としては、脂環式構造を有する硬化剤が好ましい。
脂環式構造を有する硬化剤としては、脂環式構造を有し、エポキシ樹脂のエポキシ基間の架橋反応及び/又は鎖長延長反応に寄与する物質であればよい。
具体的には、例えば脂環式ポリアミン、脂環式酸無水物等が挙げられる。
より具体的には、脂環式ポリアミンとしては、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン、N,N’-ジメチルピペラジン、N-アミノエチルピペラジン、メンセンジアミン、イソホロンジアミン、ヘキサメチレンテトラミン、メチレンビス(シクロヘキサナミン)、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ノルボルネンジアミン、1,2-ジアミノシクロヘキサン、及びこれらの脂環式ポリアミンをエポキシ変性又はエチレンオキシド変性、ダイマー酸変性、マンニッヒ変性、マイケル付加、チオ尿素縮合、ケチミン化した変性脂環式ポリアミンが挙げられる。脂環式酸無水物としては、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルヘキサヒドロフタル酸等が挙げられる。
これらの中でも脂環式ポリアミンが好ましく、その中でもイソホロンジアミン、ヘキサメチレンテトラミン、メチレンビス(シクロヘキサナミン)、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ノルボルネンジアミン、1,2-ジアミノシクロヘキサン、及びこれらの変性物が特に好ましい。
脂環式構造を有する硬化剤は市販品を用いることもでき、例えば、三菱ケミカル株式会社製「jERキュア113」、「jERキュアST-14」、新日本理化株式会社製「リカシッドMH-700」等を用いることができる。
エポキシ樹脂組成物における硬化剤の含有量(脂環式構造を有する硬化剤以外のその他の硬化剤を用いる場合は、脂環式構造を有する硬化剤とその他の硬化剤との合計の含有量)は、エポキシ樹脂(全エポキシ成分の合計の含有量)100質量部に対して好ましくは0.1~100質量部であり、より好ましくは80質量部以下であり、さらに好ましくは60質量部以下、よりさらに好ましくは40質量部以下であり、より好ましくは1質量部以上であり、さらに好ましくは3質量部以上であり、特に好ましくは5質量部以上である。
(溶剤)
硬化性樹脂層(B)を形成する際の取り扱い時に粘度を適度に調整するために、エポキシ樹脂組成物に溶剤を配合し、希釈してもよい。溶剤は、硬化性樹脂層(B)の成形における取り扱い性、作業性を確保するために用いられ、その使用量には特に制限がない。
なお、本発明においては「溶剤」という語と「溶媒」という語をその使用形態により区別して用いるが、それぞれ独立して同種のものを用いても異なるものを用いてもよい。
溶剤としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、トルエン、キシレン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、メタノール、エタノール等が挙げられ、これらの溶剤は適宜に2種又はそれ以上の混合溶剤として使用することも可能である。
(その他の成分)
エポキシ樹脂組成物は、以上に挙げた成分の他にその他の成分を含有することができる。その他の成分は、エポキシ樹脂組成物の所望の物性により適宜組み合わせて用いることができる。
例えば、硬化後の硬化性樹脂層(B)の硬化収縮率を下げる効果、熱膨張率を低下させる効果等の各種特性を向上させることを目的に、無機充填材をさらに添加することができる。また、エポキシ樹脂組成物には、靱性を付与するためにゴム粒子、アクリル粒子等の有機充填材も添加してもよい。
無機充填材としては、例えば、粉末状の補強剤や充填材、例えば酸化アルミニウム、酸化マグネシウム等の金属酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の金属炭酸塩、ケイ藻土粉、塩基性ケイ酸マグネシウム、焼成クレイ、微粉末シリカ、溶融シリカ、ゼオライト等のケイ素化合物、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物、カオリン、マイカ、石英粉末、グラファイト、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、二硫化モリブデン、窒化ホウ素、窒化アルミニウム等が挙げられる。
エポキシ樹脂組成物には、繊維質の補強剤や充填材を添加することも可能である。例えば、ガラス繊維、セラミック繊維、カーボンファイバー、アルミナ繊維、炭化ケイ素繊維、ボロン繊維、アラミド繊維、セルロースナノファイバー、セルロースナノクリスタル等が挙げられる。また、有機繊維、無機繊維のクロスあるいは不織布を用いることもできる。
これらの充填材、繊維、クロス、不織布は、それらの表面をシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤あるいはプライマーで処理する等の表面処理を行ったものも使用できる。
無機充填材や繊維質の補強剤、充填材を添加する場合、これらの添加量の合計は、エポキシ樹脂と硬化剤との和の100質量部に対して、900質量部以下が好ましく、700質量部以下がより好ましく、500質量部以下がさらに好ましい。下限値については特に限定されないが、1質量部が好ましく、5質量部がより好ましく、10質量部がさらに好ましい。
エポキシ樹脂組成物には、必要に応じて、カップリング剤、可塑剤、希釈剤、可撓性付与剤、分散剤、湿潤剤、着色剤、顔料、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤等の光安定剤、酸化防止剤、脱泡剤、離型剤、流れ調整剤等を配合してもよい。
これらの配合量は、エポキシ樹脂と硬化剤との和の100質量部に対して、20質量部以下が好ましく、15質量部以下がより好ましく、10質量部以下がさらに好ましい。下限値については特に限定されないが、0.1質量部が好ましく、0.5質量部がより好ましく、1質量部がさらに好ましい。
エポキシ樹脂組成物には、硬化性樹脂層(B)における樹脂の性質を改善する目的で、必要に応じて種々の硬化性モノマー、オリゴマー及び合成樹脂を配合してもよい。
例えば、シアネートエステル樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂等の1種又は2種以上の組み合わせを挙げることができる。
これら樹脂類の配合割合は、エポキシ樹脂の本来の性質を損なわない範囲の量、すなわち、エポキシ樹脂と硬化剤の和の100質量部に対して、50質量部以下が好ましく、40質量部以下がより好ましく、30質量部以下がさらに好ましい。下限値については特に限定されないが、1質量部が好ましく、5質量部がより好ましく、10質量部がさらに好ましい。
具体的には、硬化性樹脂層(B)は、エポキシ樹脂とポリエーテルアミン及び/又は脂環式構造を有する硬化剤とを含むエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物であることが好ましく、エポキシ樹脂と脂環式ポリアミンとを含むエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物であることがより好ましい。
<硬化性樹脂層(B)の製造方法>
硬化性樹脂層(B)を形成する方法は特に限定されず、例えば、好ましい態様として上述した主剤と硬化剤等とを含有する伸縮性硬化性樹脂組成物を硬化させる方法が挙げられる。ここでいう「硬化」とは、熱、光、電子線等により、伸縮性硬化性樹脂組成物を硬化させることを意味する。なお、例えば、硬化前の伸縮性硬化性樹脂組成物を長期に保管することによって、熱や光による経時的な影響で徐々に硬化するような場合も包含する。硬化の程度も特に限定されるものではなく、完全又は完全に近い程度の硬化物であってもよいし半硬化物であってもよい。目的、用途等に応じて適宜硬化の程度を調整すればよい。
硬化性樹脂層(B)は、伸縮性硬化性樹脂組成物を所定の厚さのシートやフィルム(以下、「シート等」という。)状に調整した状態で硬化させることにより製造することができる。また、伸縮性硬化性樹脂組成物より得られた半硬化物を所定の厚さのシート等状に成形するとともに、さらに硬化させることにより製造することもできる。
シート等状に調整する方法は特に限定されないが、例えば、キャリアシート上に伸縮性硬化性樹脂組成物を塗布し、該樹脂組成物を硬化して伸縮性硬化性樹脂シート等を形成した後、該キャリアシートを剥離して伸縮性硬化性樹脂のシート等にする方法、第一キャリアシート上に伸縮性硬化性樹脂組成物を塗布し、該樹脂組成物の該第一キャリアシートが設けられた面と反対の面に対して第二キャリアシートを張り合わせた後、該樹脂組成物を硬化して伸縮性硬化性樹脂シート等を形成し、両方のキャリアシートを剥離する方法等が挙げられる。
なお、一般的に「シート」とは、JISにおける定義上、薄く、その厚みが長さと幅のわりには小さく平らな製品をいい、一般的に「フィルム」とは、長さ及び幅に比べて厚みが極めて小さく、最大厚みが任意に限定されている薄い平らな製品で、通常、ロールの形で供給されるものをいう(JIS K 6900:1994)。しかし、「シート」と「フィルム」の境界は定かでなく、本発明において文言上両者を区別する必要がないため、本発明においては、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
伸縮性硬化性樹脂組成物の硬化方法は、伸縮性硬化性樹脂組成物中の配合成分、配合量、又は配合物の形状(例えばシートやフィルムの厚さ)によって異なるが、通常、23~200℃で5分間~24時間加熱する方法が挙げられる。この加熱は、23~160℃で5分間~24時間の一次加熱を行う一段処理と、一段処理に加えて、一次加熱温度よりも40~177℃高い80~200℃で5分間~24時間の二次加熱を行う二段処理、又は、二段処理に加えて、二次加熱温度よりも高い100~200℃で5分間~24時間の三次加熱を行う三段処理で行うことが、硬化不良を少なくする点で好ましい。
硬化性樹脂層(B)を半硬化物として製造する際には、加熱等により形状が保てる程度に伸縮性硬化性樹脂組成物の硬化反応を進行させればよい。伸縮性硬化性樹脂組成物が溶剤を含んでいる場合には、加熱、減圧、風乾等の手法で大部分の溶剤を除去するが、半硬化物中に5質量%以下の溶剤を残留させてもよい。
なお、本明細書中、硬化性樹脂層(B)として用いられる伸縮性硬化性樹脂(b-1)のシートやフィルム等の部材を伸縮性硬化性樹脂(b-1)原材料という。
<硬化性樹脂層(B)又は硬化性樹脂層(B)を構成する伸縮性硬化性樹脂(b-1)原材料の物性>
(引張伸び)
硬化性樹脂層(B)の引張伸びは、伸縮性に優れる硬化性樹脂層(B)を用いて、積層体の耐衝撃性を向上させる観点から、好ましくは50%以上であり、より好ましくは100%以上であり、さらに好ましくは150%以上であり、よりさらに好ましくは200%以上であり、よりさらに好ましくは300%以上であり、そして、その上限は、好ましくは500%である。
硬化性樹脂層(B)の引張伸び(引張破断伸び)は、積層体から硬化性樹脂層(B)以外の層を削り取り、JIS K 7127:1999に準じて、23℃、50%RHの環境下、試験速度200mm/分で引張試験を行い、引張破断した際の伸びを測定することで求めることができる。
硬化性樹脂層(B)を構成する伸縮性硬化性樹脂(b-1)原材料は、JIS K 7127:1999に準じて、23℃、50%RHの環境下、試験速度200mm/分で測定される引張伸び(引張破断伸び)が、上記と同様の観点から、好ましくは50%以上であり、より好ましくは100%以上であり、さらに好ましくは150%以上であり、よりさらに好ましくは200%以上であり、よりさらに好ましくは300%以上であり、そして、その上限は、好ましくは500%である。
硬化性樹脂層(B)を構成する伸縮性硬化性樹脂層(b-1)原材料の引張伸びは、具体的には実施例に記載される方法で測定することができる。
(引張貯蔵弾性率)
硬化性樹脂層(B)の100℃及び200℃の引張貯蔵弾性率は、柔軟性の観点から、好ましくは1×10~6×10Paであり、より好ましくは6×10~1×10Paであり、さらに好ましくは4×10~9×10Paである。特に好ましいのは、100~200℃の引張弾性率が1×10~6×10Paである。なお、「100~200℃の引張貯蔵弾性率が1×10~6×10Pa」とは、100~200℃の全温度範囲において、引張貯蔵弾性率が1×10Pa以上、かつ、6×10Pa以下の値を維持することを意味する。他の数値範囲の場合についても同様に取り扱うものとする。
硬化性樹脂層(B)の100~200℃の引張貯蔵弾性率は、積層体から硬化性樹脂層(B)以外の層を削り取り、幅10mm×長さ50mmに切り出して試験片とし、JIS K 7244-4:1999に記載される動的粘弾性測定法により、動的粘弾性測定装置(例えば、アイティー計測制御株式会社製「DVA-200」)を用いて、周波数1Hz、昇温速度3℃/分、両持ち引張モードの測定条件で試験片の測定を行うことにより求めることができる。
硬化性樹脂層(B)を構成する伸縮性硬化性樹脂(b-1)原材料の100℃及び200℃の引張貯蔵弾性率は、上記と同様の観点から、好ましくは1×10~6×10Paであり、より好ましくは6×10~1×10Paであり、さらに好ましくは4×10~9×10Paである。特に好ましいのは、100~200℃の引張弾性率が1×10~6×10Paである。なお、「100~200℃の引張貯蔵弾性率が1×10~6×10Pa」とは、100~200℃の全温度範囲において、引張貯蔵弾性率が1×10Pa以上、かつ、6×10Pa以下の値を維持することを意味する。
硬化性樹脂層(B)を構成する伸縮性硬化性樹脂(b-1)原材料の引張貯蔵弾性率は、実施例に記載される方法で測定することができる。
(ガラス転移温度)
硬化性樹脂層(B)のJIS K 7244-4:1999に準拠し動的粘弾性測定法により測定されるガラス転移温度は、伸縮性に優れる硬化性樹脂層(B)を得る観点から、好ましくは100℃以下であり、より好ましくは80℃以下であり、さらに好ましくは60℃以下であり、よりさらに好ましくは40℃以下であり、そして、その下限値は、特に限定されないが、好ましくは-100℃であり、より好ましくは-80℃であり、さらに好ましくは-60℃である。
ガラス転移温度は、動的粘弾性測定の損失弾性率E’’及び貯蔵弾性率E’から算出される引張損失係数(tanδ)のピークトップ温度をいうが、ピークが2つ以上存在する場合は、ピーク面積の大きい方のピークトップ温度をガラス転移温度とし、以下同様である。
また、硬化性樹脂層(B)のJIS K 7121:2012に準じて、示差走査熱量計で測定されるガラス転移温度は、伸縮性に優れる硬化性樹脂層(B)を得る観点から、好ましくは90℃以下であり、より好ましくは70℃以下であり、さらに好ましくは50℃以下であり、よりさらに好ましくは30℃以下であり、そして、その下限値は、特に限定されないが、好ましくは-110℃であり、より好ましくは-90℃であり、さらに好ましくは-70℃である。
硬化性樹脂層(B)の動的粘弾性測定及び示差走査熱量測定によるガラス転移温度は、積層体から硬化性樹脂層(B)以外の層を削り取ったものをサンプルとして、上述した条件で測定することができる。
硬化性樹脂層(B)を構成する伸縮性硬化性樹脂(b-1)原材料のJIS K 7244-4:1999に準拠し動的粘弾性測定法により測定されるガラス転移温度は、上記と同様の観点から、好ましくは100℃以下であり、より好ましくは80℃以下であり、さらに好ましくは60℃以下であり、よりさらに好ましくは40℃以下であり、そして、その下限値は、特に限定されないが、好ましくは-100℃であり、より好ましくは-80℃であり、さらに好ましくは-60℃である。
また、硬化性樹脂層(B)を構成する伸縮性硬化性樹脂(b-1)原材料のJIS K 7121:2012に準じて、示差走査熱量計で測定されるガラス転移温度は、伸縮性に優れる硬化性樹脂層(B)を得る観点から、好ましくは90℃以下であり、より好ましくは70℃以下であり、さらに好ましくは50℃以下であり、よりさらに好ましくは30℃以下であり、そして、その下限値は、特に限定されないが、好ましくは-110℃であり、より好ましくは-90℃であり、さらに好ましくは-70℃である。
硬化性樹脂層(B)を構成する伸縮性硬化性樹脂(b-1)原材料の動的粘弾性測定及び示差走査熱量測定によるガラス転移温度は、実施例に記載される方法で測定することができる。
(引張損失係数(tanδ)の最大値)
硬化性樹脂層(B)のJIS K 7244-4:1999に準拠し動的粘弾性測定法により測定される引張損失係数(tanδ)の最大値は、衝撃吸収に優れる硬化性樹脂層(B)を得る観点から、好ましくは0.3以上であり、より好ましくは0.5以上であり、さらに好ましくは1以上であり、よりさらに好ましくは1.5以上であり、その数値が大きいほど衝撃吸収に優れ、その上限値は、特に限定されないが、好ましくは5である。
硬化性樹脂層(B)の引張損失係数(tanδ)の最大値は、積層体から硬化性樹脂層(B)以外の層を削り取り、幅10mm×長さ50mmに切り出して試験片とし、JIS K 7244-4:1999に記載される動的粘弾性測定法により、動的粘弾性測定装置(例えば、アイティー計測制御株式会社製「DVA-200」)を用いて、周波数1Hz、昇温速度3℃/分、両持ち引張モードの測定条件で試験片の測定を行うことにより求めることができる。
硬化性樹脂層(B)を構成する伸縮性硬化性樹脂(b-1)原材料のJIS K 7244-4:1999に準拠し動的粘弾性測定法により測定される引張損失係数(tanδ)の最大値は、衝撃吸収に優れる硬化性樹脂層(B)を得る観点から、好ましくは0.3以上であり、より好ましくは0.5以上であり、さらに好ましくは1以上であり、よりさらに好ましくは1.5以上であり、その数値が大きいほど衝撃吸収に優れ、その上限値は、特に限定されないが、好ましくは5である。
硬化性樹脂層(B)を構成する伸縮性硬化性樹脂(b-1)原材料の引張損失係数(tanδ)の最大値は、実施例に記載される方法で測定することができる。
(厚さ)
硬化性樹脂層(B)の厚さは、積層体の使用用途により適宜変更されるが、耐衝撃性の観点から、好ましくは10μm以上であり、より好ましくは20μm以上であり、さらに好ましくは30μm以上であり、よりさらに好ましくは50μm以上であり、そして、好ましくは1mm以下であり、より好ましくは800μm以下であり、さらに好ましくは700μm以下であり、よりさらに好ましくは650μm以下であり、特に好ましくは600μm以下であり、最も好ましくは550μm以下である。
積層体中の硬化性樹脂層(B)の厚さの割合は、耐衝撃性の観点から、好ましくは5%以上であり、より好ましくは8%以上であり、さらに好ましくは10%以上であり、そして、好ましくは70%以下であり、より好ましくは65%以下であり、さらに好ましくは60%以下である。なお、硬化性樹脂層(B)が複数ある場合は、積層体の厚さに対するこれらの合計厚みを積層体中の硬化性樹脂層(B)の厚さの割合とする。
硬化性樹脂層(B)及び積層体の厚さ(平均厚さ)は、積層体断面を顕微鏡等で観察することにより測定され、それらの算術平均により求められる。
[積層体の層構成]
積層体中の硬化性樹脂層(B)は、積層体の使用用途により適宜変更されるが、耐衝撃性の観点から、積層体の表面から、積層体の厚さの40%以内の領域に少なくとも存在することが好ましく、表面から37%以内の領域に少なくとも存在することがより好ましく、表面から積層体の厚さの35%以内の領域に少なくとも存在することがさらに好ましく、表面から積層体の厚さの32%以内の領域に少なくとも存在することがよりさらに好ましく、表面から積層体の厚さの30%以内の領域に少なくとも存在することが特に好ましい。なお、本発明において「積層体の表面」とは、積層体の2つの最外層において、別の層と積層されている面とは反対側の面を意味し、積層体は2つの表面を有する。
なお、積層体の最外層は、耐衝撃性の観点から、繊維強化樹脂層(A)であることが好ましいが、積層体の使用用途によっては、硬化性樹脂層(B)であってもよい。
積層体の表面から、積層体の厚さの40%以内の領域に存在する硬化性樹脂層(B)の厚さは、耐衝撃性の観点から、好ましくは10μm以上であり、より好ましくは20μm以上であり、さらに好ましくは30μm以上であり、よりさらに好ましくは50μm以上であり、そして、好ましくは1mm以下であり、より好ましくは800μm以下であり、さらに好ましくは700μm以下であり、よりさらに好ましくは650μm以下であり、特に好ましくは600μm以下であり、最も好ましくは550μm以下である。なお、積層体の表面から、積層体の厚さの40%以内の領域に硬化性樹脂層(B)が複数存在する場合は、これらの合計厚みを、積層体の表面から積層体の厚さの40%以内領域に存在する硬化性樹脂層(B)の厚さとする。
また、硬化性樹脂層(B)は、積層体の表面から、1mm以内の領域に少なくとも存在していることが好ましく、800μm以内の領域に少なくとも存在していることがより好ましく、750μm以内の領域に少なくとも存在していることがさらに好ましく、700μm以内の領域に少なくとも存在していることがよりさらに好ましく、650μm以内の領域に少なくとも存在していることが特に好ましく、600μm以内の領域に少なくとも存在していることが最も好ましい。
積層体の表面から1mm以内の領域に存在する硬化性樹脂層(B)の厚さは、耐衝撃性の観点から、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上、さらに好ましくは30μm以上、よりさらに好ましくは50μm以上であり、そして、好ましくは800μm以下、より好ましくは750μm以下、さらに好ましくは700μm以下、よりさらに好ましくは650μm以下、特に好ましくは600μm以下、最も好ましくは550μm以下である。なお、積層体の表面から1mm以内の領域に硬化性樹脂層(B)が複数存在する場合は、これらの合計厚みを積層体の表面から1mm以内の領域に存在する硬化性樹脂層(B)の厚さとする。
積層体は、少なくとも1層の硬化性樹脂層(B)と少なくとも2層の繊維強化樹脂層(A)を有することが好ましく、硬化性樹脂層(B)が繊維強化樹脂層(A)間に配置されることが好ましい。
積層体は、繊維強化樹脂層(A)と硬化性樹脂層(B)とが交互に積層されてなるものであってもよいし、繊維強化樹脂層(A)と硬化性樹脂層(B)とが交互に積層されてなるものでなくてもよい。
積層体は、耐衝撃性の観点から、その両表面に、好ましくは400μm以下の厚さを有する少なくとも2層の繊維強化樹脂層(A)を有し、好ましくは積層体の表面から積層体の厚さの40%以内の領域又は積層体表面から1mm以内の領域に、上記の好適な厚さを有する硬化性樹脂層(B)を有し、残りの層が、繊維強化樹脂層(A)を複数層積層してなるものであってもよい。また、積層体は、断面視において、積層体の中央から両表面に向かって、繊維強化樹脂層(A)及び硬化性樹脂層(B)の層構成が対称であってもよいし、非対称であってもよい。
積層体の具体的な層構成の例としては、繊維強化樹脂層(A)を「A」とし、硬化性樹脂層(B)を「B」とすると、A/B/A、A/B/A/B/A、A/B/A・・・A/B/A、A/A/B/A・・・A/B/A、A/A/B/A・・・A/B/A/A等が挙げられる。また、目的の用途、性能等に応じて繊維強化樹脂層(A)及び硬化性樹脂層(B)以外のその他の層(C)を適宜含んでいてもよい。
本発明の積層体の製造方法は特に限定されず、公知の方法を採用することができる。例えば、以下の(i)~(iii)の方法が好ましく挙げられる。
(i)繊維強化樹脂層(A)に用いるプリプレグ、セミプレグ等の材料(繊維強化樹脂複合体)と、硬化性樹脂層(B)に用いる伸縮性硬化性樹脂(b-1)のシート、フィルム等の材料とを積層し、熱等により樹脂成分を硬化及び接着させて一体化する方法、
(ii)繊維強化樹脂層(A)に用いるプリプレグ、セミプレグ等の材料(繊維強化樹脂複合体)に、硬化性樹脂層(B)に用いる伸縮性硬化性樹脂組成物(未硬化物)を塗布等の方法により積層し、熱等により樹脂成分を硬化及び接着させて一体化する方法、
(iii)プリプレグ、セミプレグ等の材料(繊維強化樹脂複合体)を予め硬化して繊維強化樹脂層(A)を得た後、該繊維強化樹脂層(A)に伸縮性硬化性樹脂組成物(未硬化物)を塗布等により積層し、熱等により硬化及び接着させて一体化する方法
特に、前記(i)の方法は、硬化性樹脂層(B)として硬化の程度を適宜調整したシート等の材料を用いるため、プリプレグ等に積層する際の張り替えが容易であったり、加熱した状態でも溶融しにくいので厚みを制御しやすかったり、用いるシート等の材料が伸縮性を有するため局面等への追従性に優れやすいといった利点がある。加えて、加熱により接着させる場合は特に、繊維強化樹脂層(A)と硬化性樹脂層(B)との界面の接着力がより高くなるといった利点もある。
さらに、繊維強化樹脂層(A)に用いるプリプレグ等の材料が半硬化状態であるため、プレス成形等の賦形成形で実際の製品に賦形する際に、賦形と同時にプリプレグ等と伸縮性硬化性樹脂シートとを接着及び一体化させることも可能となり、工程が簡略化されるという利点もある。
本発明の積層体は、例えば、前記のような製造方法を採用することで、積層体の使用用途に応じて、繊維強化樹脂層(A)及び硬化性樹脂層(B)の層構成をより容易に変更することができるとともに、厚さも容易に調整できる。また、積層体の断面視において、積層体の中央から両表面に向かって、繊維強化樹脂層(A)及び硬化性樹脂層(B)の層構成が非対称のものも容易に製造できる。
本発明の積層体は、繊維強化樹脂層(A)及び/又は熱硬化性樹脂層(B)の樹脂成分を加熱等により硬化させると同時に、金型等により賦形等することによって、所望の形状に成形することが好ましい。例えば、オートクレーブ成形、ハイブリッド成形、ヒートアンドクールプレス成形、スタンピング成形、フィラメントワインディング成形、シートワインディング成形、ロボットによる自動積層成形等の公知の工程に供することにより、航空機、自動車、船舶及び鉄道車両等の移動体や、スポーツ用品、家電製品、建築資材等の部品や製品を得ることができる。
[繊維強化樹脂複合体積層用部材(X)]
本発明は、別の態様として、樹脂成分(a-1)と強化繊維(a-2)とを含む繊維強化樹脂複合体との積層体に用いられる部材(X)を提供する。該部材(X)は樹脂成分として伸縮性硬化性樹脂(b-1)を含むものである。
樹脂成分(a-1)、強化繊維(a-2)、伸縮性硬化性樹脂(b-1)の詳細及び好ましい態様は、前記した繊維強化樹脂層(A)と硬化性樹脂層(B)とを有する積層体と同様であり、その説明は省略する。
部材(X)は、伸縮性硬化性樹脂(b-1)以外の樹脂を含んでいてもよいが、その場合部材(X)中の伸縮性硬化性樹脂(b-1)の割合は、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは60質量%以上であり、さらに好ましくは70質量%以上であり、よりさらに好ましくは80質量%以上であり、特に好ましくは90質量%以上であり、最も好ましくは95質量%以上である。
部材(X)の形状は特に限定されるものではないが、取扱性、賦形性、二次加工性等の観点からシート又はフィルムであることが好ましい。シート又はフィルムの厚さは、使用用途により適宜変更されるが、耐衝撃性の観点から、好ましくは10μm以上であり、より好ましくは20μm以上であり、さらに好ましくは30μm以上であり、よりさらに好ましくは50μm以上であり、そして、好ましくは1mm以下であり、より好ましくは800μm以下であり、さらに好ましくは700μm以下であり、よりさらに好ましくは650μm以下であり、特に好ましくは600μm以下であり、最も好ましくは550μm以下である。
部材(X)の引張伸びは、JIS K 7127:1999に準じて、23℃、50%RHの環境下、試験速度200mm/分で測定される引張伸び(引張破断伸び)が、好ましくは50%以上であり、より好ましくは100%以上であり、さらに好ましくは150%以上であり、よりさらに好ましくは200%以上であり、よりさらに好ましくは300%以上であり、そして、その上限は、好ましくは500%である。部材(X)の引張伸びが上記範囲であると、部材(X)と繊維強化樹脂複合体との積層体は、耐衝撃性に優れる傾向となる。
部材(X)の100℃及び200℃の引張貯蔵弾性率は、柔軟性の観点から、好ましくは1×10~6×10Paであり、より好ましくは6×10~1×10Paであり、さらに好ましくは4×10~9×10Paである。特に好ましいのは、100~200℃の引張弾性率が1×10~6×10Paである。なお、「100~200℃の引張貯蔵弾性率が1×10~6×10Pa」とは、100~200℃の全温度範囲において、引張貯蔵弾性率が1×10Pa以上、かつ、6×10Pa以下の値を維持することを意味する。
部材(X)のJIS K 7244-4:1999に準拠し動的粘弾性測定法により測定されるガラス転移温度は、伸縮性に優れる部材を得る観点から、好ましくは100℃以下であり、より好ましくは80℃以下であり、さらに好ましくは60℃以下であり、よりさらに好ましくは40℃以下であり、そして、その下限値は、特に限定されないが、好ましくは-100℃であり、より好ましくは-80℃であり、さらに好ましくは-60℃である。
部材(X)のJIS K 7121:2012に準じて、示差走査熱量計で測定されるガラス転移温度は、伸縮性に優れる部材を得る観点から、好ましくは90℃以下であり、より好ましくは70℃以下であり、さらに好ましくは50℃以下であり、よりさらに好ましくは30℃以下であり、そして、その下限値は、特に限定されないが、好ましくは-110℃であり、より好ましくは-90℃であり、さらに好ましくは-70℃である。
なお、部材(X)の引張伸び、引張貯蔵弾性率、並びに動的粘弾性測定及び示差走査熱量測定によるガラス転移温度は、実施例に記載される方法で測定することができる。
上述したように、本発明の部材(X)は、樹脂成分(a-1)と強化繊維(a-2)とを含む繊維強化樹脂複合体、好ましくはプリプレグ及び/又はセミプレグとの積層体に用いられる。本発明の部材(X)を用いる積層体の製造方法は、プリプレグ及び/又はセミプレグと部材(X)とを積層する工程と、該プリプレグ及び/又はセミプレグを硬化する工程とを含むものである。
[繊維強化樹脂複合体積層用樹脂組成物(Y)]
本発明は、さらに別の態様として、樹脂成分(a-1)と強化繊維(a-2)とを含む繊維強化樹脂複合体との積層体に用いられる樹脂組成物(Y)を提供する。該繊維強化樹脂複合体は、樹脂成分(a-1)と強化繊維(a-2)とを含むものであれば特に限定はなく、例えば、プリプレグ、セミプレグ、混抄マット、繊維強化フィルム、繊維強化シート、繊維強化板等が挙げられるが、プリプレグ及び/又はセミプレグであることが好ましい。
該樹脂組成物(Y)は、剛直成分と柔軟成分とのブロック構造を有するエポキシ樹脂を含むものである。
樹脂成分(a-1)、強化繊維(a-2)、エポキシ樹脂組成物の詳細及び好ましい態様は、前記した繊維強化樹脂層(A)と硬化性樹脂層(B)とを有する積層体と同様であり、その説明は省略する。
本発明の樹脂組成物(Y)は、繊維強化樹脂複合体、好ましくはプリプレグ及び/又はセミプレグとの積層体に用いられる。
本発明の樹脂組成物(Y)を用いる積層体の製造方法は、繊維強化樹脂複合体と樹脂組成物(Y)とを積層する工程と、該樹脂組成物(Y)を少なくとも硬化する工程とを含むものである。繊維強化樹脂複合体がプリプレグ及び/又はセミプレグである場合は、プリプレグ及び/又はセミプレグと樹脂組成物(Y)とを積層する工程と、該プリプレグ及び/又はセミプレグと該樹脂組成物(Y)とを硬化する工程とを含むものである。
また、本発明は、樹脂組成物(Y)を用いる積層体の製造方法の別の態様として、プリプレグ及び/又はセミプレグを硬化する工程と、該プリプレグ及び/又はセミプレグの硬化物と前記樹脂組成物(Y)とを積層する工程と、該樹脂組成物(Y)を硬化する工程とを含むものである。
なお、前記製造方法の工程における積層方法、硬化方法等は、前記した繊維強化樹脂層(A)と硬化性樹脂層(B)とを有する積層体と同様であり、その説明は省略する。
以下、本発明を実施例に基づいてより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における上限又は下限の好ましい値としての意味をもつものであり、好ましい範囲は前記した上限又は下限の値と、下記実施例の値又は実施例同士の値との組み合わせで規定される範囲であってもよい。以下において、「部」は全て「質量部」を示す。
[各種分析、評価及び測定方法]
以下における各種物性ないし特性の分析、評価及び測定方法は次のとおりである。
(1)引張伸び
下記記載の方法で得られた硬化性樹脂層(B)に用いる硬化性樹脂シートから幅15mm×長さ150mmに切り出して試験片とした。JIS K 7127:1999に準じて、23℃、50%RHの環境下、試験速度200mm/分で試験片の引張試験を行い、引張破断した際の伸びを測定した。
(2)引張貯蔵弾性率
下記記載の方法で得られた硬化性樹脂層(B)に用いる硬化性樹脂シートから幅10mm×長さ50mmに切り出して試験片とした。JIS K 7244-4:1999に記載される動的粘弾性測定法により、動的粘弾性測定装置(アイティー計測制御株式会社製「DVA-200」)を用いて、周波数1Hz、昇温速度3℃/分、両持ち引張モードの測定条件で試験片の測定を行い、50℃、100℃、150℃、200℃における貯蔵弾性率E’を求めた。なお、表1中「測定不可」とは、測定中に試験片が破断し引張貯蔵弾性率を測定できなかったことを意味する。
(3-1)ガラス転移温度(動的粘弾性測定)
前記(2)の測定において、損失弾性率E’’及び貯蔵弾性率E’から算出される引張損失係数(tanδ)のピークトップ温度を、ガラス転移温度(Tg)とした。
(3-2)ガラス転移温度(示差走査熱量測定)
下記記載の方法で得られた硬化性樹脂層(B)に用いる硬化性樹脂シートについて、JIS K 7121:2012に準じて、示差走査熱量計Pyris1 DSC(パーキンエルマー社製)を用いて、温度範囲-50~100℃、昇温速度10℃/分の条件で測定した。
(4)引張損失係数(tanδ)の最大値
前記(2)の測定において、損失弾性率E’’及び貯蔵弾性率E’から算出される引張損失係数(tanδ)のピークトップの高さの最大値を、引張損失係数(tanδ)の最大値とした。
(5)厚さ
硬化性樹脂層(B)、積層体、及び積層体表面から所定の厚さの領域に存在する硬化性樹脂層(B)の厚さは、積層体断面を電子顕微鏡で観察することによって測定し、それらの算術平均(任意の10点)により求めた。
(6)耐衝撃性
積層体を幅50mm×長さ50mmに切り出して試験片とし、JIS K 5600-5-3:1999を参考に、デュポン衝撃試験装置(株式会社東洋精機製作所製)の撃ち型(半径6.5mm、先端1/4インチ型)と受け台(1/4インチ型用)の間にセットし、落下錘を落下させ試験を行った。硬化性樹脂層(B)による耐衝撃性の向上効果を明確にする目的で、各実施例、比較例は下記条件において試験を行い、試験後の試験片の損傷具合については、以下の基準で評価した。
(実施例1、2及び比較例1、2)
[1]
試験条件:おもり1kg、おもりの高さ30cm
評価基準:材料の飛散はないが強化繊維の破断があるものを「A」
厚み方向におもりが貫通し材料が飛散しているものを「C」
[2]
試験条件:おもり300g、おもりの高さ20cm
評価基準:受け面に強化繊維の破断があるものを「A」
受け面及び裏面の両方に強化繊維の破断があるものを「C」
(実施例3、4及び比較例3、4)
[1]
試験条件:おもり1kg、おもりの高さ30cm
評価基準:受け面に打痕のみあるものを「A」
受け面に強化繊維の破断はないが、樹脂層に亀裂があるものを「B」
厚み方向におもりが貫通し材料が飛散しているものを「C」
[2]
試験条件:おもり300g、おもりの高さ20cm
評価基準:受け面に打痕のみあり、受け面及び裏面ともに強化繊維の破断がないものを「A」
受け面は打痕のみあるが、裏面の樹脂層に亀裂があるものを「B」
受け面及び裏面の両方で、樹脂層に亀裂があるものを「C」
(7)制振性
積層体を20cm角に切り出して試験片とし、自由支持(四隅の1ヶ所に径5mmの穴をあけシリコーンの紐で吊るした状態)で治具に固定した。試験片の片面中心に、ペトロワックスを用いてPCB Piezotronics社製の加速センサー「PCB PIEZOTRONICS Model:352A26」をつけ、もう一方の面からPCB Piezotronics社製のインパルスハンマ「PCB PIEZOTRONICS Model:086C03」で加振し、インパルスハンマで試験片に加えられた力を検出すると同時に、試験片にかかった加速度を加速センサーで検出し、イナータンス(加速度/力)を計算してイナータンス-時間のグラフを作成した。イナータンスが5(m/s)/N以下になるまでの時間(ms)を求め、下記の基準で制振性を評価した。
A:時間が350ms未満(制振効果あり)
B:時間が350ms以上(制振効果なし)
(8)層間密着性
基材を備える積層体から幅15mm×長さ150mmに切り出して試験片とし、万能材料試験機(株式会社島津製作所製「AGS-X」)を用いて、試験速度50mm/分で、繊維強化樹脂層(A)と硬化性樹脂層(B)との界面について180°剥離試験を行い、剥離モードを観察し、以下の基準で評価した。
A:繊維強化樹脂層(A)と硬化性樹脂層(B)が剥離せず、持ち手側の基材が破断した
B:層(B)に凝集破壊が発生した
C:繊維強化樹脂層(A)と層(B)との界面が破壊された
実施例及び比較例の硬化性樹脂層(B)に用いる硬化性樹脂シート及び積層体は、以下のとおり作製し、上述した分析、評価、及び測定を行った。その結果を表1及び表2に示す。なお、繊維強化樹脂層(A)に用いるプリプレグとしては、三菱ケミカル株式会社製「TR3110 381GMX」(厚さ:210~220μm、母材:エポキシ樹脂)を使用した。
<実施例1>
(硬化性樹脂シートの主剤エポキシ樹脂(α)の作製)
撹拌機、滴下ロート及び温度計を備えた1L容ガラス製フラスコに予め45℃に加熱した1,6-ヘキサンジオール141.8質量部、三弗化ホウ素エチルエーテル0.51質量部を仕込み、80℃まで加熱した。85℃以上にならないように時間をかけてエピクロロヒドリン244.3質量部を滴下した。80~85℃に保ちながら1時間熟成を行った後、45℃まで冷却した。ここへ22質量%水酸化ナトリウム水溶液528.0質量部を加え、45℃で4時間激しく撹拌した。室温まで冷却して水相を分離除去し、減圧下加熱して未反応のエピクロロヒドリン、水を除去し、粗1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル283.6質量部を得た。
この粗1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルは、オールダショウ蒸留塔(15段)にて蒸留精製し、圧力1300Pa、170~190℃の留分を主留分とすることで、ガスクロマトグラフィ法によるジグリシジル体純度が97質量%、全塩素量が0.15質量%、エポキシ当量が116g/eqである1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルを127.6質量部得た。
上記1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル100質量部、ビスフェノールF(フェノール性水酸基当量:100g/eq)69.3質量部、エチルトリフェニルホスホニウムアイオダイド(30質量%メチルセロソルブ溶液)0.13質量部を耐圧反応容器に入れ、窒素ガス雰囲気下、165~170℃で5時間、重合反応を行うことで、エポキシ当量が1,000g/eq、数平均分子量が3,000であるビスフェノールFと1,6-ヘキサンジオールグリシジルエーテルとの共重合体を得た。
(硬化性樹脂シートの作製)
上記エポキシ樹脂(α)100質量部に、硬化剤(三菱ケミカル株式会社製「jERキュアST-14」)8.5質量部を配合し、硬化性樹脂組成物を調製した。該組成物をセパレータフィルム(三菱ケミカル株式会社製「ダイアホイルMRF-75」、片面シリコーンコートしたポリエチレンテレフタレートフィルム、厚み75μm)の間に挟み、所望の厚みに調整して、40℃で16時間一次加熱処理をして、さらに80℃で6時間二次加熱処理を行い、厚さ200μmの硬化性樹脂シートを得た。
(積層体の作製)
繊維強化樹脂層(A)に用いる材料として、三菱ケミカル株式会社製「TR3110 381GMX」のプリプレグのセパレータフィルムを剥がし、硬化性樹脂シートの両面に積層した。ついで、熱プレス機で0.8MPaの圧力をかけ、130℃で90分間熱プレスし、厚さ630μmの積層体を得た。
<実施例2>
硬化性樹脂シートの厚さを500μmとした以外は、実施例1と同様にして、厚さ910μmの積層体を作製した。
<実施例3>
実施例1と同様にして、厚さ125μmの硬化性樹脂シートを2枚作製した。ついで、実施例1と同様に、2枚の硬化性樹脂シートそれぞれの両面にセパレータフィルムを剥がしたプリプレグを積層した。両面にプリプレグが積層された硬化性樹脂シート2枚の間に、さらにセパレータフィルムを剥がしたプリプレグを4層積層した。ついで、熱プレス機で0.8MPaの圧力をかけ、130℃で90分間熱プレスし、厚さ1910μmの積層体を得た。
<実施例4>
実施例1と同様にして、厚さ125μmの硬化性樹脂シートを2枚作製した。ついで、2枚の硬化性樹脂シートそれぞれの両面に、セパレータフィルムを剥がしたプリプレグ(三菱ケミカル株式会社製「TR3110 381GMX」)を2層積層した。その後、両面にプリプレグが2層ずつ積層された2枚の硬化性樹脂シートを積層した。ついで、熱プレス機で0.8MPaの圧力をかけ、130℃で90分間熱プレスし、厚さ1910μmの積層体を得た。
<実施例5>
実施例1と同様にして、厚さ125μmの硬化性樹脂シートを作製した。硬化性樹脂シートの片面にセパレータフィルムを剥がしたプリプレグ(三菱ケミカル株式会社製「TR3110 381GMX」)を3層積層し、硬化性樹脂シートのもう一方の面に基材(ポリエチレンテレフタレートフィルム、三菱ケミカル株式会社製「ダイアホイル T100」)を積層し、熱プレス機で0.8MPaの圧力をかけ、130℃で90分間熱プレスし、層間密着性試験用の積層体を得た。
<比較例1>
2つの三菱ケミカル株式会社製「TR3110 381GMX」のプリプレグのセパレータフィルムを剥がして2層積層し、熱プレス機で0.8MPaの圧力をかけ、130℃で90分間熱プレスし、厚さ440μmの積層体を得た。
<比較例2>
以下のとおり作製した硬化性樹脂シートを用いた以外は、実施例1と同様にして、厚さ630μmの積層体を得た。
エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製「jER828」)100質量部に、硬化剤(三菱ケミカル株式会社製「jERキュアST14」)50質量部を配合して樹脂組成物を調製した。該組成物をセパレータフィルムの間に挟み、所望の厚みに調整して、40℃で16時間一次加熱処理をして、さらに80℃で6時間二次加熱処理を行い、厚さ200μmの硬化性樹脂シートを得た。
<比較例3>
8つの三菱ケミカル株式会社製「TR3110 381GMX」のプリプレグのセパレータフィルムを剥がして8層積層した以外は、比較例1と同様にして、厚さ1650μmの積層体を得た。
<比較例4>
2枚の硬化性樹脂シートを、無機フィラー含有ポリエステルシート(光洋産業株式会社製「ネオフェード4140」、厚さ125μm)とした以外は、実施例3と同様にして、厚さ1900μmの積層体を得た。
<比較例5>
硬化性樹脂シートを、無機フィラー含有ポリエステルシート(光洋産業株式会社製「ネオフェード4140」、厚さ125μm)とした以外は、実施例5と同様にして、層間密着性試験用の積層体を得た。
Figure 2022038218000001
Figure 2022038218000002
実施例1~4の積層体は、耐衝撃性及び耐熱性に優れ、さらに制振性にも優れることがわかる。また、実施例5の積層体の層間密着性の評価結果から、本発明の積層体は層間密着性にも優れることがわかる。
本発明の積層体は、耐衝撃性及び耐熱性に優れ、さらに制振性及び層間密着性にも優れるため、航空機、自動車、船舶及び鉄道車両である移動体、スポーツ用品、家電製品、並びに建築資材に好適に用いられる。

Claims (27)

  1. 樹脂成分(a-1)と強化繊維(a-2)とを含む繊維強化樹脂層(A)と、伸縮性硬化性樹脂(b-1)を含む硬化性樹脂層(B)とを有する、積層体。
  2. 前記硬化性樹脂層(B)の引張伸びが50%以上である、請求項1に記載の積層体。
  3. 前記硬化性樹脂層(B)を構成する伸縮性硬化性樹脂(b-1)原材料の引張伸びが50%以上である、請求項1又は2に記載の積層体。
  4. 前記硬化性樹脂層(B)の100℃及び200℃の引張貯蔵弾性率が1×10~6×10Paである、請求項1~3のいずれか1項に記載の積層体。
  5. 前記硬化性樹脂層(B)を構成する伸縮性硬化性樹脂(b-1)原材料の100℃及び200℃の引張貯蔵弾性率が1×10~6×10Paである、請求項1~4のいずれか1項に記載の積層体。
  6. 前記伸縮性硬化性樹脂(b-1)がエポキシ樹脂である、請求項1~5のいずれか1項に記載の積層体。
  7. 前記硬化性樹脂層(B)の厚さが10μm以上1mm以下である、請求項1~6のいずれか1項に記載の積層体。
  8. 前記積層体中の前記硬化性樹脂層(B)の厚さの割合が5%以上70%以下である、請求項1~7のいずれか1項に記載の積層体。
  9. 積層体の表面から、積層体の厚さの40%以内の領域に、前記硬化性樹脂層(B)が少なくとも存在する、請求項1~8のいずれか1項に記載の積層体。
  10. 積層体の表面から1mm以内の領域に存在する硬化性樹脂層(B)の厚さが10μm以上800μm以下である、請求項1~9のいずれか1項に記載の積層体。
  11. 前記硬化性樹脂層(B)がエポキシ樹脂とポリエーテルアミン及び/又は脂環式構造を有する硬化剤とを含むエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物である、請求項1~10のいずれか1項の記載の積層体。
  12. 前記硬化性樹脂層(B)がエポキシ樹脂と脂環式ポリアミンとを含むエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物である、請求項1~11のいずれか1項に記載の積層体。
  13. 前記エポキシ樹脂が剛直成分と柔軟成分とのブロック構造を有する、請求項6~12のいずれか1項に記載の積層体。
  14. 前記樹脂成分(a-1)がエポキシ樹脂である、請求項1~13のいずれか1項に記載の積層体。
  15. 前記繊維強化樹脂層(A)がプリプレグ又はセミプレグを硬化してなる硬化物である、請求項1~14のいずれか1項に記載の積層体。
  16. 請求項1~15のいずれか1項に記載の積層体を用いてなる、航空機、自動車、船舶及び鉄道車両である移動体、スポーツ用品、家電製品並びに建築資材。
  17. 樹脂成分(a-1)と強化繊維(a-2)とを含む繊維強化樹脂複合体との積層体に用いられる部材であって、樹脂成分として伸縮性硬化性樹脂(b-1)を含む、部材。
  18. シートである、請求項17に記載の部材。
  19. 引張伸びが50%以上である、請求項17又は18に記載の部材。
  20. 100℃及び200℃の引張貯蔵弾性率が1×10~6×10Paである、請求項17~19のいずれか1項に記載の部材。
  21. 前記繊維強化樹脂複合体がプリプレグ及び/又はセミプレグである、請求項17~20のいずれか1項に記載の部材。
  22. 樹脂成分(a-1)と強化繊維(a-2)とを含む繊維強化樹脂複合体との積層体に用いられる樹脂組成物であって、剛直成分と柔軟成分とのブロック構造を有するエポキシ樹脂を含む、樹脂組成物。
  23. 前記繊維強化樹脂複合体がプリプレグ及び/又はセミプレグである、請求項22に記載の樹脂組成物。
  24. プリプレグ及び/又はセミプレグと請求項17~21のいずれか1項に記載の部材とを積層する工程と、該プリプレグ及び/又はセミプレグを硬化する工程とを含む、積層体の製造方法。
  25. 繊維強化樹脂複合体と請求項22又は23に記載の樹脂組成物とを積層する工程と、該樹脂組成物を少なくとも硬化する工程とを含む、積層体の製造方法。
  26. プリプレグ及び/又はセミプレグと請求項22又は23に記載の樹脂組成物とを積層する工程と、該プリプレグ及び/又はセミプレグと該樹脂組成物とを硬化する工程とを含む、積層体の製造方法。
  27. プリプレグ及び/又はセミプレグを硬化する工程と、該プリプレグ及び/又はセミプレグの硬化物と請求項22又は23に記載の樹脂組成物とを積層する工程と、該樹脂組成物を硬化する工程とを含む、積層体の製造方法。
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