JP2022037741A - 剥がれ検出システム - Google Patents

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Abstract

【課題】ギアの歪みに基づいて計測値を取得する歪み検出センサを備えたシステムにおいて、同じ歪みがかかる箇所に複数の歪み検出センサを配置することなく、歪み検出センサの剥がれを検出できる技術を提供する。【解決手段】剥がれ検出システムは、ギアを有する動力伝達装置と、ギアに搭載され、ギアの歪みを検出する歪み検出センサと、剥がれ検出部と、を備える。歪み検出センサは、ギアに固着された基板と、基板に搭載された抵抗線パターンと、抵抗線パターンを有するブリッジ回路と、を備える。剥がれ検出部は、基板のギアからの剥がれが無い時に、ブリッジ回路から取得した正常時信号をあらかじめ参照信号として記憶しており、参照信号の記憶時よりも後の時間に、ブリッジ回路から第1出力値を取得し、第1出力値と参照信号との関係が、所定の正常範囲内であるか否かに基づいて、基板のギアからの剥がれを検出する。【選択図】図12

Description

本発明は、剥がれ検出システムに関する。
近年、ロボットの関節などに搭載される減速機の需要が急速に高まっている。減速機のギアに歪み検出センサを搭載することにより、ギアの歪みを検出できる。それにより、ギアにかかるトルク等を検出することができる。従来の歪み検出センサについては、例えば、特開2018-132313号公報に記載されている。この公報では、被計測体に連結される第1構造体と、第2構造体と、第1構造体と第2構造体との間に伝達される力を検出する複数の歪センサを含む第1ブリッジ回路と、第1構造体と第2構造体との間に伝達される力を検出する複数の歪センサを含む第2ブリッジ回路と、第1ブリッジ回路の第1出力電圧と第2 ブリッジ回路の第2出力電圧との差が第1閾値電圧を超えた場合、異常検出信号を出力するコントローラと、を具備することを特徴とするトルクセンサが開示されている。これにより、トルクセンサ自体の異常を検出することができる。
特開2018-132313号公報
しかしながら、同じ歪みがかかる箇所に複数の歪み検出センサを配置して、歪み検出センサの異常を検出する場合、複数の歪み検出センサの特性を揃える必要がある。また、構造的に歪み検出センサを複数配置すること自体が難しい場合がある。
本発明の目的は、ギアの歪みに基づいて計測値を取得する歪み検出センサを備えたシステムにおいて、同じ歪みがかかる箇所に複数の歪み検出センサを配置することなく、歪み検出センサの剥がれを検出できる技術を提供することである。
本開示の例示的な第1発明は、ギアを有する動力伝達装置と、前記ギアに搭載され、前記ギアの歪みを検出する歪み検出センサと、剥がれ検出部と、を備えた剥がれ検出システムであって、前記歪み検出センサは、前記ギアに固着された基板と、前記基板に搭載された抵抗線パターンと、前記抵抗線パターンを有するブリッジ回路と、を備え、前記剥がれ検出部は、前記基板の前記ギアからの剥がれが無い時に、前記ブリッジ回路から取得した正常時信号をあらかじめ参照信号として記憶しており、前記参照信号の記憶時よりも後の時間に、前記ブリッジ回路から第1出力値を取得し、前記第1出力値と前記参照信号との関係が、所定の正常範囲内であるか否かに基づいて、前記基板の前記ギアからの剥がれを検出する、剥がれ検出システムである。
本願発明によれば、ブリッジ回路を有する歪み検出センサについて、同じ歪みがかかる箇所に複数の歪み検出センサを配置することなく、歪み検出センサの剥がれを検出できる。
図1は、動力伝達装置の縦断面図である。 図2は、動力伝達装置の横断面図である。 図3は、ダイヤフラム部およびセンサ基板の部分断面図である。 図4は、センサ基板裏面を示した図である。 図5は、センサ基板表面を示した図である。 図6は、第1ブリッジ回路の回路図である。 図7は、第2ブリッジ回路の回路図である。 図8は、第1電圧計の計測値および第2電圧計の計測値を示したグラフである。 図9は、第3ブリッジ回路の回路図である。 図10は、第2計測値の補正処理を概念的に示した図である。 図11は、温度センサの検出回路の回路図である。 図12は、剥がれ検出処理の流れを示したフローチャートである。 図13は、第1電圧計または第2電圧計の計測値と、剥がれとの関係の例を示したグラフである。 図14は、第3電圧計の計測値と、剥がれとの関係の例を示したグラフである。
以下、本願の例示的な実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本願では、動力伝達装置の中心軸と平行な方向を「軸方向」、動力伝達装置の中心軸に直交する方向を「半径方向」、動力伝達装置の中心軸を中心とする円弧に沿う方向を「周方向」、とそれぞれ称する。ただし、上記の「平行な方向」は、略平行な方向も含む。また、上記の「直交する方向」は、略直交する方向も含む。
<1.動力伝達装置の構成>
図1は、第1実施形態に係る動力伝達装置1の縦断面図である。図2は、図1のA-A位置から見た動力伝達装置1の横断面図である。この動力伝達装置1は、モータから得られる第1回転数の回転運動を、第1回転数よりも低い第2回転数に減速させつつ後段へ伝達する装置である。動力伝達装置1は、例えば、ロボットの関節に、モータとともに組み込まれて使用される。ただし、本発明の動力伝達装置は、アシストスーツ、無人搬送台車などの他の装置に用いられるものであってもよい。
図1および図2に示すように、本実施形態の動力伝達装置1は、インタナルギア10、フレックスギア20、波動発生器30、センサ基板40、および剥がれ検出部60を備えた波動歯車減速機である。
インタナルギア10は、内周面に複数の内歯11を有する円環状のギアである。インタナルギア10は、動力伝達装置1が搭載される装置の枠体に、例えばねじ止めで固定される。インタナルギア10は、中心軸9と同軸に配置される。また、インタナルギア10は、フレックスギア20の後述する筒状部21の半径方向外側に位置する。インタナルギア10の剛性は、フレックスギア20の筒状部21の剛性よりも、はるかに高い。このため、インタナルギア10は、実質的に剛体とみなすことができる。インタナルギア10は、円筒状の内周面を有する。複数の内歯11は、当該内周面において、周方向に一定のピッチで配列されている。各内歯11は、半径方向内側へ向けて突出する。
フレックスギア20は、可撓性を有する円環状のギアである。フレックスギア20は、中心軸9を中心として回転可能に支持される。フレックスギア20は、本発明における「ギア」の一例である。
本実施形態のフレックスギア20は、筒状部21と平板部22とを有する。筒状部21は、中心軸9の周囲において、軸方向に筒状に延びる。筒状部21の軸方向の先端は、波動発生器30の半径方向外側、かつ、インタナルギア10の半径方向内側に位置する。筒状部21は、可撓性を有するため、半径方向に変形可能である。特に、インタナルギア10の半径方向内側に位置する筒状部21の先端部は、自由端であるため、他の部分よりも大きく半径方向に変位可能である。
フレックスギア20は、複数の外歯23を有する。複数の外歯23は、筒状部21の軸方向の先端部付近の外周面において、周方向に一定のピッチで配列されている。各外歯23は、半径方向外側へ向けて突出する。上述したインタナルギア10が有する内歯11の数と、フレックスギア20が有する外歯23の数とは、僅かに相違する。
平板部22は、ダイヤフラム部221と肉厚部222とを有する。ダイヤフラム部221は、筒状部21の軸方向の基端部から、半径方向外側へ向けて平板状に広がり、かつ、中心軸9を中心として円環状に広がる。ダイヤフラム部221は、軸方向に僅かに撓み変形可能である。肉厚部222は、ダイヤフラム部221の半径方向外側に位置する、円環状の部分である。肉厚部222の軸方向の厚みは、ダイヤフラム部221の軸方向の厚みよりも厚い。肉厚部222は、動力伝達装置1が搭載される装置の、駆動対象となる部品に、例えばねじ止めで固定される。
波動発生器30は、フレックスギア20の筒状部21に、周期的な撓み変形を発生させる機構である。波動発生器30は、カム31と可撓性軸受32とを有する。カム31は、中心軸9を中心として回転可能に支持される。カム31は、軸方向に視たときに楕円形の外周面を有する。可撓性軸受32は、カム31の外周面と、フレックスギア20の筒状部21の内周面との間に介在する。したがって、カム31と筒状部21とは、異なる回転数で回転できる。
可撓性軸受32の内輪は、カム31の外周面に接触する。可撓性軸受32の外輪は、フレックスギア20の内周面に接触する。このため、フレックスギア20の筒状部21は、カム31の外周面に沿った楕円形状に変形する。その結果、当該楕円の長軸の両端に相当する2箇所において、フレックスギア20の外歯23と、インタナルギア10の内歯11とが噛み合う。周方向の他の位置においては、外歯23と内歯11とが噛み合わない。
カム31は、直接または他の動力伝達機構を介して、モータに接続される。モータを駆動させると、カム31は、中心軸9を中心として第1回転数で回転する。これにより、フレックスギア20の上述した楕円の長軸も、第1回転数で回転する。そうすると、外歯23と内歯11との噛み合い位置も、周方向に第1回転数で変化する。また、上述の通り、インタナルギア10の内歯11の数と、フレックスギア20の外歯23の数とは、僅かに相違する。この歯数の差によって、カム31の1回転ごとに、外歯23と内歯11との噛み合い位置が、周方向に僅かに変化する。その結果、インタナルギア10に対してフレックスギア20が、中心軸9を中心として、第1回転数よりも低い第2回転数で回転する。したがって、フレックスギア20から、減速された第2回転数の回転運動を取り出すことができる。
<2.センサ基板について>
<2-1.センサ基板の構成>
センサ基板40は、フレックスギア20にかかるトルクを検出するためのセンサが搭載された基板である。図1に示すように、本実施形態では、円環状のダイヤフラム部221の円形の表面に、センサ基板40が固定されている。
図3は、ダイヤフラム部221およびセンサ基板40の部分断面図である。 図4は、センサ基板40の表裏面のうち、ダイヤフラム部221に対向する裏面を示した図である。図5は、センサ基板40の表裏面のうち、ダイヤフラム部221に対向しない表面を示した図である。
本実施形態のセンサ基板40は、柔軟に変形可能なフレキシブルプリント基板(FPC)である。図4および図5に示すように、センサ基板40は、中心軸9を中心とする円環状の本体部41と、本体部41から半径方向外側へ向けて突出したフラップ部42とを有する。また、図3に示すように、センサ基板40は、絶縁層43と、導体層44とを有する。絶縁層43は、絶縁体である樹脂からなる。導体層44は、導体である金属からなる。導体層44の材料には、例えば、銅または銅を含む合金が用いられる。本実施形態のセンサ基板40は、絶縁層43の表面と裏面との両方に、導体層44を有する。また、本実施形態のセンサ基板40は、表面の導体層44と、裏面の導体層44との軸方向の間に、図示しない中間導体層を有する。
また、図3に示すように、センサ基板40は、両面接着テープ45により、フレックスギア20のダイヤフラム部221に固定される。具体的には、ダイヤフラム部221の表面と、センサ基板40の裏面とが、両面接着テープ45を介して固定される。両面接着テープ45は、接着力を有する材料がテープ状に成形されて、形状を維持できる程度に硬化されたものである。このような両面接着テープ45を用いれば、流動性を有する接着剤を用いる場合よりも、ダイヤフラム部221に対するセンサ基板40の固定作業が容易となる。また、作業者による固定作業のばらつきを低減できる。
センサ基板40には、回転角度検出センサS1、トルク検出センサS2、および温度センサS3と、信号処理回路46とが搭載されている。回転角度検出センサS1は、本体部41の表裏面のうち、ダイヤフラム部221に対向する裏面に形成された抵抗線パターンを有する。すなわち、裏面側の導体層44が、回転角度検出センサS1の抵抗線パターンを含む。トルク検出センサS2は、本体部41の表裏面のうち、ダイヤフラム部221に対向しない表面、および中間導体層に形成された抵抗線パターンを有する。すなわち、表面側の導体層44および中間導体層が、トルク検出センサS2の抵抗線パターンを含む。温度センサS3は、本体部41の表裏面のうち、ダイヤフラム部221に対向しない表面に形成された抵抗線パターンを有する。すなわち、表面側の導体層44が、温度センサS3の抵抗線パターンを含む。なお、温度センサS3は、表面に形成された抵抗線パターンに加え、中間導体層に形成された抵抗線パターンを有していてもよい。
信号処理回路46は、フラップ部42に配置されている。
<2-2.回転角度検出センサについて>
回転角度検出センサS1は、ダイヤフラム部221の歪みに基づいて、フレックスギア20に入力される回転運動の回転角度を検出するセンサである。図4に示すように、回転角度検出センサS1は、4つの第1抵抗線パターンR1と、4つの第2抵抗線パターンR2とを含む。
4つの第1抵抗線パターンR1は、中心軸9の周囲において、周方向に等間隔に配列されている。第1抵抗線パターンR1は、それぞれ、1本の導体がジグザグに曲折しながら周方向に延びる、全体として円弧状のパターンである。本実施形態では、中心軸9の周囲の約45°の角度範囲に、1つの第1抵抗線パターンR1が広がっている。また、第1抵抗線パターンR1は、複数の第1抵抗線r1を含む。複数の第1抵抗線r1は、周方向に微小な間隔をあけて配列される。各第1抵抗線r1は、フレックスギア20の半径方向に沿って、直線状に延びる。周方向に隣り合う第1抵抗線r1の端部同士は、半径方向の内側または外側で交互に接続される。これにより、複数の第1抵抗線r1が、全体として直列に接続される。
4つの第2抵抗線パターンR2は、中心軸9の周囲において、周方向に等間隔に配列されている。第2抵抗線パターンR2は、それぞれ、1本の導体がジグザグに曲折しながら周方向に延びる、全体として円弧状のパターンである。本実施形態では、中心軸9の周囲の約45°の角度範囲に、1つの第2抵抗線パターンR2が広がっている。また、第2抵抗線パターンR2は、複数の第2抵抗線r2を含む。複数の第2抵抗線r2は、周方向に微小な間隔をあけて配列される。各第2抵抗線r2は、フレックスギア20の半径方向に沿って、直線状に延びる。周方向に隣り合う第2抵抗線r2の端部同士は、半径方向の内側または外側で交互に接続される。これにより、複数の第2抵抗線r2が、全体として直列に接続される。
4つの第2抵抗線パターンR2は、4つの第1抵抗線パターンR1と同心円状に、かつ、周方向において第1抵抗線パターンR1が配置されない領域に、配置される。本実施形態では、第1抵抗線パターンR1と、第2抵抗線パターンR2とが、周方向に交互に配列される。そして、4つの第1抵抗線パターンR1と、4つの第2抵抗線パターンR2とが、全体として、中心軸9を中心とする円環状に広がっている。
図6は、4つの第1抵抗線パターンR1を含む第1ブリッジ回路C1の回路図である。図6の例では、4つの第1抵抗線パターンR1を、Ra,Rb,Rc,Rdとして区別して示している。第1抵抗線パターンRa,Rb,Rc,Rdは、図4においてRaを1つ目として反時計回りにこの順に配列されている。
図6に示すように、4つの第1抵抗線パターンRa,Rb,Rc,Rdは、第1ブリッジ回路C1に組み込まれている。第1抵抗線パターンRaと第1抵抗線パターンRbとは、この順に直列に接続される。第1抵抗線パターンRdと第1抵抗線パターンRcとは、この順に直列に接続される。そして、電源電圧の+極と-極との間において、2つの第1抵抗線パターンRa,Rbの列と、2つの第1抵抗線パターンRd,Rcの列とが、並列に接続される。また、第1抵抗線パターンRaおよび第1抵抗線パターンRbの中間点M11と、第1抵抗線パターンRdおよび第1抵抗線パターンRcの中間点M12とが、第1電圧計V1に接続される。
図7は、4つの第2抵抗線パターンR2を含む第2ブリッジ回路C2の回路図である。図7の例では、4つの第2抵抗線パターンR2を、Re,Rf,Rg,Rhとして区別して示している。第2抵抗線パターンReは、図4において、第1抵抗線パターンRaと第1抵抗線パターンRdとの間に位置する。また、第2抵抗線パターンRe,Rf,Rg,Rhは、図4においてReを1つ目として時計回りにこの順に配列されている。
図7に示すように、4つの第2抵抗線パターンRe、Rf、Rg、Rhは、第2ブリッジ回路C2に組み込まれている。第2抵抗線パターンReと第2抵抗線パターンRfとは、この順に直列に接続される。第2抵抗線パターンRhと第2抵抗線パターンRgとは、この順に直列に接続される。そして、電源電圧の+極と-極との間において、2つの第2抵抗線パターンRe,Rfの列と、2つの第2抵抗線パターンRh,Rgの列とが、並列に接続される。また、第2抵抗線パターンReおよび第2抵抗線パターンRfの中間点M21と、第2抵抗線パターンRhおよび第2抵抗線パターンRgの中間点M22とが、第2電圧計V2に接続される。
動力伝達装置1の駆動時には、ダイヤフラム部221に、半径方向に伸長する部分(以下「伸長部」と称する)と、半径方向に収縮する部分(以下「収縮部」と称する)とが、発生する。具体的には、2つの伸長部と2つの収縮部とが、周方向に交互に発生する。すなわち、伸長部と収縮部とは、周方向に90°間隔で交互に発生する。そして、これらの伸長部および収縮部の発生する箇所が、上述した第1回転数で回転する。
センサ基板40の裏面に設けられた第1抵抗線パターンRa,Rb,Rc,Rdおよび第2抵抗線パターンRe、Rf、Rg、Rhの各抵抗値は、ダイヤフラム部221の半径方向の歪みに応じて変化する。例えば、上述した伸長部が、ある抵抗線パターンと重なるときには、その抵抗線パターンの抵抗値が増加する。また、上述した収縮部が、ある抵抗線パターンと重なるときには、その抵抗線パターンの抵抗値が低下する。
図4の例では、収縮部が第1抵抗線パターンRa,Rcと重なるときには、伸長部が第1抵抗線パターンRb,Rdと重なる。また、伸長部が第1抵抗線パターンRa,Rcと重なるときには、収縮部が第1抵抗線パターンRb,Rdと重なる。したがって、第1ブリッジ回路C1では、第1抵抗線パターンRa,Rcと、第1抵抗線パターンRb,Rdとが、逆向きの抵抗値変化を示す。
また、図4の例では、収縮部が第2抵抗線パターンRe,Rgと重なるときには、伸長部が第2抵抗線パターンRf,Rhと重なる。また、伸長部が第2抵抗線パターンRe,Rgと重なるときには、収縮部が第2抵抗線パターンRf,Rhと重なる。したがって、第2ブリッジ回路C2では、第2抵抗線パターンRe,Rgと、第2抵抗線パターンRf,Rhとが、逆向きの抵抗値変化を示す。
図8は、第1ブリッジ回路C1の第1電圧計V1の計測値v1と、第2ブリッジ回路C2の第2電圧計V2の計測値v2とを、示したグラフである。図8のように、第1電圧計V1および第2電圧計V2からは、それぞれ、周期的に変化する正弦波状の計測値v1,v2が出力される。この計測値の周期Tは、上述した第1回転数の周期の1/2倍に相当する。また、第1電圧計V1の計測値の位相に対して、第2電圧計V2の計測値の位相が、第1回転数の1/8周期分(計測値v1,v2の1/4周期分)進んでいるか、それとも第1回転数の1/8周期分(計測値v1,v2の1/4周期分)遅れているかにより、入力される回転運動の向きを判断できる。
したがって、これらの2つの電圧計V1,V2の計測値v1,v2に基づいて、フレックスギア20に入力される回転運動の回転角度の計測値(第1計測値)が得られる。具体的には、例えば、第1電圧計V1および第2電圧計V2の各計測値v1,v2の組み合わせと、第1計測値とを対応づけた関数テーブルを予め用意し、その関数テーブルに計測値v1,v2を入力することにより、第1計測値を出力すればよい。
<2-3.トルク検出センサについて>
トルク検出センサS2は、ダイヤフラム部221の歪みに基づいて、フレックスギア20にかかるトルクを検出するセンサである。図5に示すように、トルク検出センサS2は、第3抵抗線パターンR3、第4抵抗線パターンR4とを含む。また、トルク検出センサS2は、図示しない中間導体層に、第5抵抗線パターンR5、および第6抵抗線パターンR6とを含む。
第3抵抗線パターンR3は、1本の導体がジグザグに曲折しながら周方向に延びる、全体として円弧状または円環状のパターンである。本実施形態では、中心軸9の周囲の約360°の範囲に、第3抵抗線パターンR3が設けられている。また、第3抵抗線パターンR3は、複数の第3抵抗線r3を含む。複数の第3抵抗線r3は、互いに略平行な姿勢で、周方向に配列される。各第3抵抗線r3は、フレックスギア20の半径方向に対して、周方向一方側に傾斜している。半径方向に対する第3抵抗線r3の傾斜角度は、例えば45°とされる。周方向に隣り合う第3抵抗線r3の端部同士は、半径方向の内側または外側で交互に接続される。これにより、複数の第3抵抗線r3が、全体として直列に接続される。
第4抵抗線パターンR4は、1本の導体がジグザグに曲折しながら周方向に延びる、全体として円弧状または円環状のパターンである。第4抵抗線パターンR4は、第3抵抗線パターンR3よりも、半径方向内側に位置する。本実施形態では、中心軸9の周囲の約360°の範囲に、第4抵抗線パターンR4が設けられている。また、第4抵抗線パターンR4は、複数の第4抵抗線r4を含む。複数の第4抵抗線r4は、互いに略平行な姿勢で、周方向に配列される。各第4抵抗線r4は、フレックスギア20の半径方向に対して、周方向他方側に傾斜している。半径方向に対する第4抵抗線r4の傾斜角度は、例えば-45°とされる。周方向に隣り合う第4抵抗線r4の端部同士は、半径方向の内側または外側で交互に接続される。これにより、複数の第4抵抗線r4が、全体として直列に接続される。
第5抵抗線パターンR5は、1本の導体がジグザグに曲折しながら周方向に延びる、全体として円弧状または円環状のパターンである。本実施形態では、中心軸9の周囲の約360°の範囲に、第5抵抗線パターンR5が設けられている。また、第5抵抗線パターンR5は、複数の第5抵抗線r5を含む。複数の第5抵抗線r5は、互いに略平行な姿勢で、周方向に配列される。各第5抵抗線r5は、フレックスギア20の半径方向に対して、周方向他方側に傾斜している。半径方向に対する第5抵抗線r5の傾斜角度は、例えば-45°とされる。周方向に隣り合う第5抵抗線r5の端部同士は、半径方向の内側または外側で交互に接続される。これにより、複数の第5抵抗線r5が、全体として直列に接続される。
第6抵抗線パターンR6は、1本の導体がジグザグに曲折しながら周方向に延びる、全体として円弧状または円環状のパターンである。第6抵抗線パターンR6は、第5抵抗線パターンR5よりも、半径方向内側に位置する。本実施形態では、中心軸9の周囲の約360°の範囲に、第6抵抗線パターンR6が設けられている。また、第6抵抗線パターンR6は、複数の第6抵抗線r6を含む。複数の第6抵抗線r6は、互いに略平行な姿勢で、周方向に配列される。各第6抵抗線r6は、フレックスギア20の半径方向に対して、周方向一方側に傾斜している。半径方向に対する第6抵抗線r6の傾斜角度は、例えば45°とされる。周方向に隣り合う第6抵抗線r6の端部同士は、半径方向の内側または外側で交互に接続される。これにより、複数の第6抵抗線r6が、全体として直列に接続される。
図9は、第3抵抗線パターンR3、第4抵抗線パターンR4、第5抵抗線パターンR5および第6抵抗線パターンR6を含む第3ブリッジ回路C3の回路図である。第3抵抗線パターンR3と第4抵抗線パターンR4とは、直列に接続される。第5抵抗線パターンR5と第6抵抗線パターンR6とは、直列に接続される。そして、電源電圧の+極と-極との間において、2つの抵抗線パターンR3,R4の列と、2つの抵抗線パターンR5,R6の列とが、並列に接続される。また、第3抵抗線パターンR3および第4抵抗線パターンR4の中間点M31と、第5抵抗線パターンR5および第6抵抗線パターンR6の中間点M32とが、第3電圧計V3に接続される。
抵抗線パターンR3,R4,R5,およびR6の各抵抗値は、フレックスギア20にかかるトルクに応じて変化する。例えば、フレックスギア20に、中心軸9を中心として、周方向の一方側へ向かうトルクがかかると、抵抗線パターンR3およびR6の抵抗値が低下し、抵抗線パターンR4およびR5の抵抗値が増加する。一方、フレックスギア20に、中心軸9を中心として、周方向の他方側へ向かうトルクがかかると、抵抗線パターンR3およびR6の抵抗値が増加し、抵抗線パターンR4およびR5の抵抗値が低下する。このように、抵抗線パターンR3およびR6と、抵抗線パターンR4およびR5とは、トルクに対して互いに逆向きの抵抗値変化を示す。
そして、抵抗線パターンR3,R4,R5,およびR6の各抵抗値が変化すると、抵抗線パターンR3およびR4の中間点M31と、抵抗線パターンR5およびR6の中間点M32との間の電位差が変化するので、第3電圧計V3の計測値v3が変化する。したがって、この第3電圧計V3の計測値v3に基づいて、フレックスギア20にかかるトルクの向きおよび大きさを検出することができる。すなわち、フレックスギア20にかかるトルクの計測値(第2計測値)を得ることができる。
<2-4.リップル補正について>
動力伝達装置1の駆動時には、フレックスギア20に、周期的な撓み変形が生じる。したがって、上述したトルク検出センサS2の計測値には、本来計測したいトルクを反映した成分と、フレックスギア20の周期的な撓み変形に起因する誤差成分(リップル)とが含まれる。当該誤差成分は、フレックスギア20に入力される回転運動の回転角度に応じて変化する。
そこで、信号処理回路46は、トルク検出センサS2の計測値から、上記の誤差成分をキャンセルするための補正処理を行う。図10は、信号処理回路46の当該補正処理を、概念的に示した図である。
信号処理回路46は、回転角度検出センサS1から、フレックスギア20に入力される回転運動の回転角度の計測値(第1計測値)を取得するとともに、トルク検出センサS2から、フレックスギア20にかかるトルクの計測値(第2計測値)を取得する。信号処理回路46は、取得した第1計測値に応じて、上述した誤差成分を推定する。そして、推定された誤差成分を用いて、第2計測値を補正する。具体的には、第2計測値を、誤差成分をキャンセルする方向に増加または減少させる。これにより、フレックスギア20にかかるトルクをより精度よく反映した第2計測値を出力することができる。
トルク検出センサS2の計測値の誤差成分について詳しく記す。フレックスギア20に入力される回転運動の回転角度に応じて、トルク検出センサS2の計測値の誤差成分は変化する。動力伝達装置1につき、組み立て誤差や抵抗線パターンの異方性等が無い状態であれば、ダイヤフラム部221の伸長部および収縮部の発生する箇所の回転角度によらず、抵抗線パターンの抵抗値の合計値は一定となる。そのため、計測値v3の振幅は0となって正弦波状にはならない。しかし、実際には組み立て誤差や抵抗線パターンの異方性等により、回転角度によって、抵抗線パターンの抵抗値の合計値が変わる。動力伝達装置1の駆動時には、ダイヤフラム部221の伸長部および収縮部の発生する箇所は第1回転数で回転する。こうして、剥がれが無いときであっても、フレックスギア20の周期的な撓み変形に起因する誤差成分(リップル)が計測値v3に含まれる。
そのため、誤差成分の推定にあたっては、動力伝達装置1を駆動させながらトルクと回転角度を測定すること等により、回転角度に応じた誤差成分のデータを事前に取得しておけばよい。第2計測値の補正にあたっては、回転角度検出センサS1により求めた回転角度(第1計測値)に対応した、誤差成分(リップル)をキャンセルする方向に第2計測値を増加または減少させればよい。また、第3電圧計V3の計測値v3について、同様の方法により、第1計測値に対応した誤差成分をキャンセルする方向にv3の電圧を増加または減少させてから、補正後のv3に基づいて、第2計測値を取得してもよい。
なお、信号処理回路46は、上述した回転角度を演算することなく、第1計測値に所定の係数をかけて、第2計測値に合成してもよい。このようにすれば、回転角度の演算にかかる処理負担が削減されるため、信号処理回路46の演算速度を向上させることができる。
<2-5.温度補正について>
上述の通り、導体層44の材料に、銅または銅を含む合金を用いると、センサ基板40の材料費を抑えることができる。ただし、他の高価な材料と比べて、銅の抵抗値は、環境温度により変化しやすい。そこで、本実施形態のセンサ基板40は、温度の影響を補正するために、温度センサS3を備えている。図5に示すように、温度センサS3は、フレックスギア20の周方向に沿って、円弧状または円環状に延びる第7抵抗線パターンR7を有する。
図11は、第7抵抗線パターンR7を含む検出回路C4の回路図である。図11に示すように、第7抵抗線パターンR7の一端は、定電流源47の+極に接続されている。また、第7抵抗線パターンR7の他端は、定電流源47の-極に接続されている。また、温度センサS3は、第4電圧計V4を有する。図11に示すように、第4電圧計V4は、第7抵抗線パターンR7に対して並列に接続されている。したがって、第4電圧計V4は、第7抵抗線パターンR7の抵抗値に応じた電圧値を計測する。具体的には、定電流源47から供給される電流値をIoとすると、第4電圧計V4の計測値v4は、v4=Io×R7となる。
第7抵抗線パターンR7は、円弧状または円環状であるため、第7抵抗線パターンR7の抵抗値は、フレックスギア20にかかるトルクの影響を受けにくく、温度による変化が支配的となる。したがって、第4電圧計V4の計測値v4は、動力伝達装置1の温度に応じて変動する。すなわち、第4電圧計V4の計測値v4に基づいて、動力伝達装置1の温度を示す計測値(第3計測値)を得ることができる。
図10に示すように、信号処理回路46は、トルク検出センサS2から得られるトルクの計測値(第2計測値)を、回転角度検出センサS1の計測値(第1計測値)だけではなく、温度センサS3の計測値(第3計測値)も考慮して、補正する。具体的には、第2計測値を、温度による変化をキャンセルする方向に増加または減少させる。このようにすれば、安価な銅または銅合金を使用しつつ、温度変化の影響を抑制して、フレックスギア20にかかるトルクを、より精度よく検出できる。
<3.剥がれ検出部について>
続いて、上述した回転角度検出センサS1またはトルク検出センサS2に関し、センサ基板40のフレックスギア20からの剥がれが発生したときに、その剥がれを検出する、剥がれ検出システムの機能について、説明する。図1、図4、および図5に示すように、本実施形態の動力伝達装置1は、剥がれ検出部60を有する。センサ基板40の信号処理回路46は、剥がれ検出部60と電気的に接続されている。剥がれ検出部60は、CPU等のプロセッサや各種のメモリを備えたコンピュータ、または電気回路基板により構成される。
図12は、剥がれ検出処理の流れを示したフローチャートである。剥がれ検出部60は、センサ基板40のフレックスギア20からの剥がれが無い時に、ブリッジ回路から正常時信号を取得し、参照信号として記憶する。そして、参照信号の記憶時よりも後の時間に、ブリッジ回路から第1出力値を取得する。
例えば、回転角度検出センサS1を通じて剥がれ検出処理を行う場合に、動力伝達装置1の駆動中に、第1ブリッジ回路C1の第1電圧計V1の計測値v1、または第2ブリッジ回路C2の第2電圧計V2の計測値v2の計測値を、参照信号として取得して記憶する。そして、参照信号の記憶時よりも後の時間で、動力伝達装置1の駆動中に、計測値v1、または計測値v2を、第1出力値として取得する。参照信号として計測値v1を取得して記憶した場合は、計測値v1を第1出力値として取得する。参照信号として計測値v2を取得して記憶した場合は、計測値v2を第1出力値として取得する。トルク検出センサS2を通じて剥がれ検出処理を行う場合も、同様の方法で第1出力値および参照信号を取得する。
その後、剥がれ検出部60は、参照信号と、第1出力値とを比較し、第1出力値と参照信号の関係が、所定の正常範囲内かを判定する。所定の正常範囲内である場合には、剥がれは発生していないと判定する。一方、第1出力値と参照信号の関係が、所定の正常範囲から外れた場合には、剥がれが発生したと判定する。
なお、上述した判定処理に用いられる「第1出力値と参照信号の関係」は、例えば、第1出力値と参照信号の差分、または、第1出力値と参照信号の比率とすればよい。すなわち、剥がれ検出部60は、これらの差分または比率が、所定の正常範囲から外れた場合に、剥がれが発生したと判定すればよい。比較を行う数値は、例えば電圧の大きさや、電圧波形の位相とすればよい。波形の振幅または位相の比較による検出の場合は、波形の経時的変化を元に剥がれ検出処理をしやすくなる。動力伝達装置1の駆動中に剥がれが発生しても、すぐに剥がれを検出することができる。
その後、剥がれ検出部60は、剥がれの有無に関する検出結果を出力する。具体的には、剥がれ検出部60から外部のコントローラへ、検出結果を示す信号を出力する。検出結果は、剥がれ検出部60またはコントローラが有する表示部に表示されてもよい。
図13は、第1電圧計V1または第2電圧計の計測値と、剥がれとの関係の例を示したグラフである。第1電圧計V1の計測値v1、または第2電圧計V2の計測値v2について、図13では、P1は剥がれが無い時の正常時信号、P2はブリッジ回路を構成する抵抗線パターンの周方向中央と軸方向と重なる、センサ基板40の部分が剥がれた時の信号、P3はブリッジ回路を構成する抵抗線パターンの周方向端と軸方向と重なる、センサ基板40の部分が剥がれた時の信号として示されている。図13に関連していう「抵抗線パターン」とは、抵抗線パターンRa、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Rg、Rhのいずれかである。「抵抗線パターンの周方向中央」とは、例えば抵抗線パターンRaの周方向中央をいう。「抵抗線パターンの周方向端」とは、例えば抵抗線パターンRaの周方向端をいう。
ブリッジ回路C1またはC2は、それぞれ4つの抵抗線パターンを含む。ダイヤフラム部221の伸長部および収縮部の発生する箇所の回転に伴った、4つの抵抗線パターンの抵抗値変化が、全て計測値v1、または計測値v2の電圧の振幅を高めるように、4つの抵抗線パターンは配置されている。これにより、計測値v1、または計測値v2の電圧波形を得やすくしている。
センサ基板40の剥がれが発生している場合、センサ基板40の剥がれが発生している部分と軸方向に重なる部分では、ダイヤフラム部221の伸長や収縮が抵抗線パターンに伝達しなくなる。そのため、ダイヤフラム部221の伸長や収縮に伴う抵抗値の変化が無くなる。
例えば4つの抵抗線パターンのうちの1つについて、抵抗線パターンの周方向中央と軸方向と重なる、センサ基板40の部分が剥がれたとすると、その抵抗線パターンの多くの部分で抵抗値の変化が無くなる。そのため、P2のように、P1と比較して電圧の振幅が小さくなる。
また、4つの抵抗線パターンのうちの1つについて、抵抗線パターンの周方向端と軸方向と重なる、センサ基板40の部分が剥がれたとすると、剥がれた部分の分だけ抵抗値の変化が無くなり、電圧の振幅が小さくなる。加えて、抵抗線パターンは周方向に延びており、剥がれが無いときは抵抗線パターンの周方向の全長で伸長部および収縮部の発生する箇所の回転に伴った抵抗値変化が起きる。しかし、周方向端が、基板の剥がれた部分と軸方向に重なる抵抗線パターンが有る場合は、その抵抗線パターンが伸長部および収縮部の発生する箇所の回転による影響を、受け始める部分または受け終わる部分の周方向位置が変化する。また、その抵抗線パターンが伸長部および収縮部の発生する箇所の回転による影響を、受けることができる周方向の長さが短くなる。よって、剥がれが無い場合に比べて、位相のずれが発生する。よって、P3のように、P1と比較して電圧の振幅が小さくなる他、位相のずれも発生する。
以上のように、P1と、P2およびP3とは、電圧の振幅または位相に差が有る。剥がれ検出部60は、ブリッジ回路C1またはC2から、P1を参照信号として取得して記憶し、P2またはP3を第1出力値として取得し、第1出力値と参照信号との電圧の大きさや、電圧波形の位相を比較して、所定の正常範囲から外れた時に、剥がれが有ると判定することができる。こうして、回転角度検出センサを通じて、センサ基板40の剥がれを検出することが出来る。
図14は、第3電圧計の計測値と、剥がれとの関係の例を示したグラフである。第3電圧計V3の計測値v3について、図14では、P4は剥がれが無い時の正常時信号、P5は剥がれが発生した時の信号、P6は剥がれによる成分である。図14に関連していう「抵抗線パターン」とは、抵抗線パターンR3、R4、R5、R6のいずれかである。
まず、P4について説明する。動力伝達装置1につき、上述した通り、フレックスギア20の周期的な撓み変形に起因する誤差成分(リップル)が計測値v3に含まれる。そのため、剥がれが無いときであっても、フレックスギア20の周期的な撓み変形に起因する誤差成分(リップル)が計測値v3に含まれ、剥がれが無い時の正常時信号であるP4は、周期的に変化する正弦波状となる。
続いて、P5、P6について説明する。抵抗線パターンR3、R4、R5、R6のいずれかと、軸方向と重なる部分でセンサ基板40の剥がれがある場合は、ダイヤフラム部221の伸長部および収縮部の発生する箇所の回転角度によって、剥がれのある箇所と剥がれの無い箇所とで、抵抗線パターンの抵抗値の差が生じる。そのことにより、計測値v3には、剥がれによる成分P6が発生する。P6は、剥がれが発生している部分に対して伸長部または収縮部が同じ角度に位置するときを波形の山もしくは谷とする周期的な成分(抵抗値変化が無い部分の周期的な成分)である。剥がれが発生した時の信号P5は、P4にP6が合成されたように出力されるため、P5はP4から振幅または位相がずれる。P6は、P4とP5との差分から求められる。
以上のように、P4とP5とは、電圧の振幅または位相に差が有る。剥がれ検出部60は、第3ブリッジ回路C3から、P4を参照信号として取得して記憶し、P5を第1出力値として取得し、第1出力値と参照信号との電圧の大きさや、電圧波形の位相を比較して、所定の正常範囲から外れた時に、剥がれが有ると判定することができる。例えば、P4とP5との差分から、剥がれによる成分P6を取得し、P6の電圧の振幅または位相が、所定の正常範囲から外れた時に、剥がれが有ると判定することができる。こうして、トルク検出センサの剥がれを検出することが出来る。
なお、第1出力値および参照信号は、正弦波状の波形でなくてもよい。トルク検出センサS2を通じた剥がれ検出処理に関し、カム31とモータとの接続について、モータをサーボモータとし、カム31に接続される軸をサーボモータでロックさせ、カムの位置を固定させた状態で、外部から一定のトルクをフレックスギアにかけたときの、一定値である参照信号を取得して記憶することが考えられる。そして、動力伝達装置1の駆動中に第1出力値を取得し、第1出力値と参照信号との電圧を比較し、剥がれを検出できる。こうすることで、動力伝達装置1を駆動させることなく参照信号を取得できる。
回転角度検出センサS1は、カム位置(伸長部および収縮部の発生する位置)と抵抗線パターンの位置によって出力が決まるので、別系統の回転角度検出センサで制御したカムの基準回転角度のときの電圧計の出力を参照信号として、基準回転角度のときの回転角度検出センサS1の電圧計の出力を参照信号と比較することで一定値による検出が可能である。一定値の比較による検出の場合は、剥がれ検出部60の処理負担が削減されるため、処理速度を向上させることができる。正弦波状の波形の比較による検出の場合は、波形の経時的変化を元に剥がれ検出処理をしやすくなる。動力伝達装置1の駆動中に剥がれが発生しても、すぐに剥がれを検出することができる。
第1出力値と参照信号との比較をするタイミングと、動力伝達装置の駆動状態との関係について、回転角度検出センサS1を通じた剥がれ検出処理に関しては、駆動の立ち上がりや立ち下がりの影響を受けにくい。しかし、トルク検出センサS2を通じた剥がれ検出処理に関しては、駆動の立ち上がりや立ち下がりの影響を、回転角度検出センサS1を通じた剥がれ検出処理に比べて受けやすい。よって、トルク検出センサS2を通じた剥がれ検出処理に関しては、動力伝達装置の駆動状態につき、所望の第1回転数のまま一定を保っている定常状態のときに、比較を行うことが望ましい。これにより、正確な比較をすることができる。
第1出力値と参照信号との比較を行う周期について、例えば参照信号の波形の1周期ごとに比較を行えばよい。これにより、波形の位相同士の比較をしやすくなる。
第1出力値と参照信号との比較について、第1出力値と参照信号とのずれ方から、剥がれが発生した位置を特定してもよい。例えば、剥がれが発生した位置と、第1出力値と参照信号との振幅や位相との差分の値とを対応付けたテーブルを事前に作成しておいて剥がれ検出部60が記憶し、振幅や位相が特定の差分の値になったときにその値と対応づけられた剥がれ位置を剥がれ検出部60が特定し、その結果を示す信号を出力してもよい。
第1出力値および参照信号を取得する際、トルクの大きさや回転速度といった、駆動条件のデータを取得し、駆動条件を同じにした状態で第1出力値および参照信号を比較しても良い。これにより、正確な比較をすることができる。
第1出力値と参照信号との関係が、「所定の正常範囲内」であるか否かの検出方法について、例えば1出力値と参照信号との差分から得られる波形の、振幅または位相がしきい値以上になると、剥がれ検出信号を出力するようにしてもよい。これにより、波形の経時的変化を監視し続け、剥がれが発生したときの信号変化を検出することが出来る。
以上のように、この動力伝達装置1では、剥がれ検出部60が、第1出力値および参照信号を取得する。そして、値の関係が、所定の正常範囲内であるか否かに基づいて、歪み検出センサが備えるセンサ基板40のフレックスギア20からの剥がれを検出する。
このようにすれば、センサ基板40のフレックスギア20からの剥がれ検出のために、同一のフレックスギア20に対して2つ以上の歪み検出センサを設ける必要がない。
<4.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態には限定されない。
上記の実施形態では、信号処理回路46が、センサ基板40に搭載されていた。しかしながら、信号処理回路46は、センサ基板40の外部に設けられていてもよい。例えば、剥がれ検出部60を構成するコンピュータまたは電気回路基板に、信号処理回路46が組み込まれていてもよい。
また、上記の実施形態では、各抵抗線パターンの材料に、銅または銅を含む合金が使用されていた。しかしながら、抵抗線パターンの材料に、SUS、アルミニウム等の他の金属を用いてもよい。また、抵抗線パターンの材料に、セラミックスや樹脂などの非金属材を用いてもよい。また、抵抗線パターンの材料に、導電性インクを用いてもよい。導電性インクを用いる場合には、センサ基板40の表面に、導電性インクで各抵抗線パターンをプリントすればよい。
また、上記の実施形態のフレックスギア20では、ダイヤフラム部221が、筒状部21の基端部から半径方向外側へ向けて広がっていた。しかしながら、ダイヤフラム部221は、筒状部21の基端部から半径方向内側へ向けて広がるものであってもよい。
また、上記の実施形態では、センサ基板40が、動力伝達装置1のフレックスギア20に固定されていた。しかしながら、センサ基板40は、フレックスギア20以外のギアに固定されるものであってもよい。
また、上記の実施形態では、動力伝達装置1が、剥がれ検出部60を備えていた。すなわち、動力伝達装置1自体が、剥がれ検出システムとしての機能を有していた。しかしながら、剥がれ検出部60は、動力伝達装置1とは別に設けられていてもよい。そして、動力伝達装置1と剥がれ検出部60とで、剥がれ検出システムが構成されていてもよい。
その他、剥がれ検出システムの細部の構成については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜に変更してもよい。また、上記の各実施形態および各変形例に登場した要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。
本願は、剥がれ検出システムに利用できる。
1 動力伝達装置(剥がれ検出システム)
9 中心軸
10 インタナルギア
11 内歯
20 フレックスギア
21 筒状部
22 平板部
23 外歯
30 波動発生器
31 カム
32 可撓性軸受
40 センサ基板
41 本体部
42 フラップ部
43 絶縁層
44 導体層
45 両面接着テープ
46 信号処理回路
47 定電流源
60 剥がれ検出部
221 ダイヤフラム部
C1 第1ブリッジ回路
C2 第2ブリッジ回路
C3 第3ブリッジ回路
C4 検出回路
R1,Ra~Rd 第1抵抗線パターン
R2,Re~Rh 第2抵抗線パターン
R3~R7 第3抵抗線パターン~第7抵抗線パターン
S1 回転角度検出センサ
S2 トルク検出センサ
S3 温度センサ
V1 第1電圧計
V2 第2電圧計
V3 第3電圧計
V4 第4電圧計

Claims (4)

  1. ギアを有する動力伝達装置と、
    前記ギアに搭載され、前記ギアの歪みを検出する歪み検出センサと、
    剥がれ検出部と、
    を備えた剥がれ検出システムであって、
    前記歪み検出センサは、
    前記ギアに固着された基板と、
    前記基板に搭載された抵抗線パターンと、
    前記抵抗線パターンを有するブリッジ回路と、
    を備え、
    前記剥がれ検出部は、
    前記基板の前記ギアからの剥がれが無い時に、前記ブリッジ回路から取得した正常時信号をあらかじめ参照信号として記憶しており、
    前記参照信号の記憶時よりも後の時間に、前記ブリッジ回路から第1出力値を取得し、
    前記第1出力値と前記参照信号との関係が、所定の正常範囲内であるか否かに基づいて、前記基板の前記ギアからの剥がれを検出する、剥がれ検出システム。
  2. 請求項1に記載の剥がれ検出システムであって、
    前記歪み検出センサは、
    前記ギアの歪みに基づいて、前記ギアにかかるトルクを検出するトルク検出センサと、
    前記ギアの歪みに基づいて、前記ギアに入力される回転運動の回転角度を検出する回転角度検出センサと、
    の少なくともいずれか1つを含み、
    前記第1出力値および前記参照信号は、前記歪み検出センサに含まれる、前記回転角度検出センサおよび前記トルク検出センサの少なくともいずれか1つの出力である、剥がれ検出システム。
  3. 請求項1または請求項2に記載の剥がれ検出システムであって、
    前記第1出力値と前記参照信号との差分から得られる波形の、振幅または位相がしきい値以上になると、剥がれ検出信号を出力する、剥がれ検出システム。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の剥がれ検出システムであって、
    前記ギアは、
    波動歯車減速機のフレックスギアである、剥がれ検出システム。
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