JP2022037502A - 位相差層付偏光板および画像表示装置 - Google Patents

位相差層付偏光板および画像表示装置 Download PDF

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周作 後藤
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Abstract

Figure 2022037502000001
【課題】薄型で、優れた折り曲げ性を有する位相差層付偏光板を提供する。
【解決手段】位相差層付偏光板100は、偏光子11と偏光子の少なくとも視認側に保護層12とを含む偏光板10と;偏光板の視認側と反対側に設けられた、円偏光機能または楕円偏光機能を有する位相差層21,22と;位相差層の偏光板と反対側に設けられた粘着剤層40と、を有する。視認側保護層から位相差層までの厚みTWPは0.06mm以下であり、下記式で表される屈曲インデックスは150以上である:屈曲インデックス=視認側保護層の突き刺し強度(kgf/mm)/TWP(mm)。
【選択図】図1

Description

本発明は、位相差層付偏光板および画像表示装置に関する。
近年、液晶表示装置およびエレクトロルミネセンス(EL)表示装置(例えば、有機EL表示装置、無機EL表示装置)に代表される画像表示装置が急速に普及している。画像表示装置には、代表的には偏光板および位相差板が用いられている。実用的には、偏光板と位相差板と粘着剤層とを一体化した位相差層付偏光板が広く用いられているところ(例えば、特許文献1)、最近、画像表示装置の薄型化への要望が強くなるに伴って、位相差層付偏光板についても薄型化の要望が強まっている。また、近年、湾曲した画像表示装置および/または屈曲もしくは折り畳み可能な画像表示装置に対する要望が高まっている。したがって、このような画像表示装置に適用可能な薄型かつ折り曲げ性に優れた位相差層付偏光板が強く要望されている。
特許第3325560号公報
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、薄型で、優れた折り曲げ性を有する位相差層付偏光板を提供することにある。
本発明の位相差層付偏光板は、偏光子と該偏光子の少なくとも視認側に保護層とを含む偏光板と;該偏光板の視認側と反対側に設けられた、円偏光機能または楕円偏光機能を有する位相差層と;該位相差層の該偏光板と反対側に設けられた粘着剤層と、を有する。該視認側保護層から該位相差層までの厚みTWPは0.06mm以下であり、下記式で表される屈曲インデックスは150以上である:
屈曲インデックス=視認側保護層の突き刺し強度(kgf/mm)/TWP(mm)。
1つの実施形態においては、上記偏光子の厚みは8μm以下である。
1つの実施形態においては、上記位相差層は、第1の位相差層と第2の位相差層とを有し;該第1の位相差層のRe(550)は200nm~300nmであり、その遅相軸と上記偏光子の吸収軸とのなす角度が10°~20°であり;該第2の位相差層のRe(550)は100nm~190nmであり、その遅相軸と該偏光子の吸収軸とのなす角度は70°~80°である。1つの実施形態においては、上記第1の位相差層および上記第2の位相差層はそれぞれ、液晶化合物の配向固化層である。1つの実施形態においては、上記第1の位相差層および上記第2の位相差層の厚みはそれぞれ2.5μm以下である。
1つの実施形態においては、上記位相差層は単一層であり、該位相差層のRe(550)は100nm~190nmであり、Re(450)/Re(550)は0.8~0.95であり、その遅相軸と該偏光子の吸収軸とのなす角度は40°~50°である。
1つの実施形態においては、上記視認側保護層は、トリアセチルセルロースフィルムまたは(メタ)アクリル系樹脂フィルムで構成されている。
本発明の別の局面によれば、画像表示装置が提供される。この画像表示装置は、上記位相差層付偏光板を備える。
1つの実施形態においては、上記画像表示装置は、有機エレクトロルミネセンス表示装置である。
本発明の実施形態によれば、位相差層付偏光板において、粘着剤層を除く厚みと視認側保護層の突き刺し強度とを調整して屈曲インデックスを最適化することにより、薄型で、優れた折り曲げ性を有する位相差層付偏光板を実現することができる。
本発明の1つの実施形態による位相差層付偏光板の概略断面図である。
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
(用語および記号の定義)
本明細書における用語および記号の定義は下記の通りである。
(1)屈折率(nx、ny、nz)
「nx」は面内の屈折率が最大になる方向(すなわち、遅相軸方向)の屈折率であり、「ny」は面内で遅相軸と直交する方向(すなわち、進相軸方向)の屈折率であり、「nz」は厚み方向の屈折率である。
(2)面内位相差(Re)
「Re(λ)」は、23℃における波長λnmの光で測定した面内位相差である。例えば、「Re(550)」は、23℃における波長550nmの光で測定した面内位相差である。Re(λ)は、層(フィルム)の厚みをd(nm)としたとき、式:Re(λ)=(nx-ny)×dによって求められる。
(3)厚み方向の位相差(Rth)
「Rth(λ)」は、23℃における波長λnmの光で測定した厚み方向の位相差である。例えば、「Rth(550)」は、23℃における波長550nmの光で測定した厚み方向の位相差である。Rth(λ)は、層(フィルム)の厚みをd(nm)としたとき、式:Rth(λ)=(nx-nz)×dによって求められる。
(4)Nz係数
Nz係数は、Nz=Rth/Reによって求められる。
(5)角度
本明細書において角度に言及するときは、当該角度は基準方向に対して時計回りおよび反時計回りの両方を包含する。したがって、例えば「45°」は±45°を意味する。
A.位相差層付偏光板の全体構成
図1は、本発明の1つの実施形態による位相差層付偏光板の概略断面図である。図示例の位相差層付偏光板100は、偏光板10と位相差層とを代表的には視認側からこの順に有する。図示例においては、位相差層は、第1の位相差層21と第2の位相差層22とを有する。偏光板10は、偏光子11と偏光子11の視認側に保護層12とを含む。目的に応じて、偏光子11の視認側と反対側に別の保護層13が設けられてもよい(なお、本発明の実施形態においては、別の保護層13は好ましくは省略され得る)。第1の位相差層21は、偏光板10の視認側と反対側に第1の接着剤層31を介して貼り合わせられている。第2の位相差層22は、第1の位相差層21の視認側と反対側に第2の接着剤層32を介して貼り合わせられている。位相差層の偏光板10と反対側(図示例においては第2の位相差層22の第1の位相差層21と反対側)に視認側と反対側の最外層として粘着剤層40が設けられ、位相差層付偏光板は画像表示セルに貼り付け可能とされている。実用的には、粘着剤層40の表面にはセパレーター(図示せず)が剥離可能に仮着されている。セパレーターを仮着することにより、粘着剤層を保護するとともに、位相差層付偏光板のロール形成が可能となる。
第1の位相差層21および第2の位相差層22はそれぞれ、代表的には、液晶化合物の配向固化層である。液晶化合物を用いることにより、得られる位相差層のnxとnyとの差を非液晶材料に比べて格段に大きくすることができるので、所望の面内位相差を得るための位相差層の厚みを格段に小さくすることができる。その結果、位相差層付偏光板の顕著な薄型化を実現することができる。本明細書において「配向固化層」とは、液晶化合物が層内で所定の方向に配向し、その配向状態が固定されている層をいう。なお、「配向固化層」は、後述のように液晶モノマーを硬化させて得られる配向硬化層を包含する概念である。第1の位相差層21および第2の位相差層22においては、代表的には、棒状の液晶化合物が第1の位相差層または第2の位相差層の遅相軸方向に並んだ状態で配向している(ホモジニアス配向)。代表的には、第1の位相差層21または第2の位相差層22のいずれか一方はλ/2板として機能し得、他方はλ/4板として機能し得る。例えば、第1の位相差層21がλ/2板として機能し得、第2の位相差層22がλ/4板として機能し得る場合には、第1の位相差層21のRe(550)は好ましくは200nm~300nmであり、その遅相軸と偏光子10の吸収軸とのなす角度は好ましくは10°~20°であり;第2の位相差層22のRe(550)は好ましくは100nm~190nmであり、その遅相軸と偏光子10の吸収軸とのなす角度は好ましくは70°~80°である。
別の実施形態においては、位相差層は単一層であってもよい(図示せず)。この場合、位相差層は、代表的には、逆分散波長特性を示し、かつ、λ/4板として機能し得る。具体的には、位相差層のRe(550)は、好ましくは100nm~190nmであり、Re(450)/Re(550)は好ましくは0.8~0.95であり、位相差層の遅相軸と偏光子の吸収軸とのなす角度は、好ましくは40°~50°である。さらに、この場合、好ましくは、位相差層の偏光子と反対側に屈折率特性がnz>nx=nyの関係を示す別の位相差層(いわゆるポジティブCプレート)が設けられ得る。
本発明の実施形態においては、視認側保護層から位相差層(図示例では第2の位相差層)までの厚みTWPは0.06mm(60μm)以下であり、好ましくは0.05mm(50μm)以下であり、より好ましくは0.045mm(45μm)以下であり、さらに好ましくは0.04mm(40μm)以下である。厚みTWPの下限は、例えば0.03mm(30μm)であり得る。厚みTWPがこのような範囲であれば、位相差層付偏光板の曲げ剛性(位相差層付偏光板を曲げるために必要な力)を小さくすることができ、したがって、位相差層付偏光板の各構成要素にかかる曲げ応力を小さくすることができる。その結果、厚みTWPと後述する視認側保護層の突き刺し強度とを組み合わせて調整して屈曲インデックスを最適化することにより、優れた折り曲げ性(屈曲性)を実現することができる。具体的には、過酷な折り曲げ試験においても粘着剤層の気泡、偏光子のクラック等の外観不良が発生しない位相差層付偏光板を実現することができる。このような位相差層付偏光板は、屈曲または折り畳み可能な画像表示装置(例えば、有機EL表示装置)に適用した場合に、粘着剤層の気泡、偏光子のクラック等の外観不良を抑制することができる。すなわち、折り曲げ耐久性に優れた画像表示装置を実現することができる。
本発明の実施形態においては、下記式で表される屈曲インデックスは150以上である:
屈曲インデックス=視認側保護層の突き刺し強度(kgf/mm)/TWP(mm)。
屈曲インデックスは、好ましくは160以上であり、より好ましくは165以上である。屈曲インデックスの上限は、例えば200であり得る。屈曲インデックスがこのような範囲であれば、優れた折り曲げ性を実現することができる。具体的には、過酷な折り曲げ試験においても粘着剤層の気泡、偏光子のクラック等の外観不良が発生しない位相差層付偏光板を実現することができる。このような位相差層付偏光板は、屈曲または折り畳み可能な画像表示装置(例えば、有機EL表示装置)に適用した場合に、粘着剤層の気泡、偏光子のクラック等の外観不良を抑制することができる。すなわち、折り曲げ耐久性に優れた画像表示装置を実現することができる。上記式から明らかなとおり、屈曲インデックスは、上記厚みTWPと視認側保護層の突き刺し強度とを調整することにより最適化され得る。視認側保護層の突き刺し強度を上記所望の屈曲インデックスが得られるように調整する技術的意味は以下のとおりである。フィルムの突き刺し強度は、折り曲げ時の外部応力に対するフィルムの反発力(強度)に対応し得る。したがって、折り曲げ時に作用点となる最表層(位相差層付偏光板においては視認側保護層)の突き刺し強度を代表的には所定値以上とすることにより、視認側保護層の外部応力に対する反発力を大きくすることができる。その結果、折り曲げ部分の曲率が緩やかとなり、圧縮応力を分散させることができる。圧縮応力を分散させることにより(したがって、圧縮応力を実質的に小さくすることにより)、折り曲げ時の内側となる粘着剤層および偏光子への悪影響を小さくすることができ、粘着剤層の気泡、偏光子のクラック等の外観不良を抑制することができる。このように、上記の厚みTWPと視認側保護層の突き刺し強度とを組み合わせて調整して屈曲インデックスを最適化することにより、位相差層付偏光板の折り曲げ時(屈曲時)の曲げ応力および圧縮応力を相乗的に小さくすることができ、その結果、優れた折り曲げ性(屈曲性)を実現することができる。なお、視認側保護層の弾性率(ヤング率)を調整しても、優れた折り曲げ性を実現し得る包括的な指標(構成)を得ることは実質的に困難である。弾性率は、多くの場合、引張に関連する特性を示すので、折り曲げ性を制御する要件としては適切とは言い難いからである。
視認側保護層の突き刺し強度は、厚みTWPが上記所定の範囲をとる場合に上記所定の屈曲インデックスを実現し得る任意の適切な値であり得る。視認側保護層の突き刺し強度は、好ましくは4.5kgf/mm~12kgf/mmであり、より好ましくは5kgf/mm~10kgf/mmであり、さらに好ましくは5.5kgf/mm~8kgf/mmである。突き刺し強度は、所定の強さでフィルム(ここでは、視認側保護層を構成するフィルム)を突き刺した時の割れ耐性を示す。突き刺し強度は、例えば、圧縮試験機に所定のニードルを装着し、当該ニードルを所定速度で当該フィルムに突き刺したときに当該フィルムが割れる強度として表され得る。突き刺し強度は、当該フィルムの構成材料、当該フィルムに対する表面処理等を適切に組み合わせることにより調整され得る。
位相差層付偏光板の総厚み(視認側保護層から粘着剤層までの厚み)は、好ましくは80μm以下であり、より好ましくは70μm以下であり、さらに好ましくは65μm以下であり、特に好ましくは60μm以下である。総厚みの下限は、例えば42μmであり得る。このような総厚みを有する位相差層付偏光板は、上記の屈曲インデックスを最適化する効果との相乗的な効果により、きわめて優れた可撓性および折り曲げ性を有し得る。その結果、位相差層付偏光板は、湾曲した画像表示装置および/または屈曲もしくは折り曲げ可能な画像表示装置に特に好適に適用され得る。
位相差層付偏光板は、その他の光学機能層をさらに含んでいてもよい。位相差層付偏光板に設けられ得る光学機能層の種類、特性、数、組み合わせ、配置位置等は、目的に応じて適切に設定され得る。例えば、位相差層付偏光板は、導電層または導電層付等方性基材をさらに有していてもよい(いずれも図示せず)。導電層または導電層付等方性基材は、代表的には、第2の位相差層22の外側(偏光板10と反対側)に設けられる。導電層または導電層付等方性基材は、代表的には、必要に応じて設けられる任意の層であり、省略されてもよい。なお、導電層または導電層付等方性基材が設けられる場合、位相差層付偏光板は、画像表示セル(例えば、有機ELセル)と偏光板との間にタッチセンサが組み込まれた、いわゆるインナータッチパネル型入力表示装置に適用され得る。また例えば、位相差層付偏光板は、その他の位相差層をさらに含んでいてもよい。その他の位相差層の光学的特性(例えば、屈折率特性、面内位相差、Nz係数、光弾性係数)、厚み、配置位置等は、目的に応じて適切に設定され得る。
上記の実施形態は適宜組み合わせてもよく、上記の実施形態における構成要素に当業界で自明の改変を加えてもよく、上記の実施形態における構成を光学的に等価な構成に置き換えてもよい。
位相差層付偏光板は、枚葉状であってもよく長尺状であってもよい。本明細書において「長尺状」とは、幅に対して長さが十分に長い細長形状を意味し、例えば、幅に対して長さが10倍以上、好ましくは20倍以上の細長形状を含む。長尺状の位相差層付偏光板は、ロール状に巻回可能である。
以下、位相差層付偏光板の構成要素について、より詳細に説明する。
B.偏光板
B-1.偏光子
偏光子11としては、任意の適切な偏光子が採用され得る。例えば、偏光子を形成する樹脂フィルムは、単層の樹脂フィルムであってもよく、二層以上の積層体であってもよい。
単層の樹脂フィルムから構成される偏光子の具体例としては、ポリビニルアルコール(PVA)系フィルム、部分ホルマール化PVA系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質による染色処理および延伸処理が施されたもの、PVAの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等が挙げられる。好ましくは、光学特性に優れることから、PVA系フィルムをヨウ素で染色し一軸延伸して得られた偏光子が用いられる。
上記ヨウ素による染色は、例えば、PVA系フィルムをヨウ素水溶液に浸漬することにより行われる。上記一軸延伸の延伸倍率は、好ましくは3~7倍である。延伸は、染色処理後に行ってもよいし、染色しながら行ってもよい。また、延伸してから染色してもよい。必要に応じて、PVA系フィルムに、膨潤処理、架橋処理、洗浄処理、乾燥処理等が施される。例えば、染色の前にPVA系フィルムを水に浸漬して水洗することで、PVA系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるだけでなく、PVA系フィルムを膨潤させて染色ムラなどを防止することができる。
積層体を用いて得られる偏光子の具体例としては、樹脂基材と当該樹脂基材に積層されたPVA系樹脂層(PVA系樹脂フィルム)との積層体、あるいは、樹脂基材と当該樹脂基材に塗布形成されたPVA系樹脂層との積層体を用いて得られる偏光子が挙げられる。樹脂基材と当該樹脂基材に塗布形成されたPVA系樹脂層との積層体を用いて得られる偏光子は、例えば、PVA系樹脂溶液を樹脂基材に塗布し、乾燥させて樹脂基材上にPVA系樹脂層を形成して、樹脂基材とPVA系樹脂層との積層体を得ること;当該積層体を延伸および染色してPVA系樹脂層を偏光子とすること;により作製され得る。本実施形態においては、延伸は、代表的には積層体をホウ酸水溶液中に浸漬させて延伸することを含む。さらに、延伸は、必要に応じて、ホウ酸水溶液中での延伸の前に積層体を高温(例えば、95℃以上)で空中延伸することをさらに含み得る。得られた樹脂基材/偏光子の積層体はそのまま用いてもよく(すなわち、樹脂基材を偏光子の保護層としてもよく)、樹脂基材/偏光子の積層体から樹脂基材を剥離し、当該剥離面に目的に応じた任意の適切な保護層を積層して用いてもよい。このような偏光子の製造方法の詳細は、例えば特開2012-73580号公報、特許第6470455号に記載されている。これらの公報は、その全体の記載が本明細書に参考として援用される。
偏光子の厚みは、好ましくは15μm以下であり、より好ましくは1μm~12μmであり、さらに好ましくは3μm~12μmであり、特に好ましくは3μm~8μmである。偏光子の厚みがこのような範囲であれば、上記所望のTPSA/TPWRおよびTPSA/TOLの実現が容易であり得る。さらに、加熱時のカールを良好に抑制することができ、および、良好な加熱時の外観耐久性が得られる。
偏光子は、好ましくは、波長380nm~780nmのいずれかの波長で吸収二色性を示す。偏光子の単体透過率は、好ましくは41.5%~46.0%であり、より好ましくは43.0%~46.0%であり、さらに好ましくは44.5%~46.0%である。偏光子の偏光度は、好ましくは97.0%以上であり、より好ましくは99.0%以上であり、さらに好ましくは99.9%以上である。
B-2.保護層
視認側保護層12は、上記のとおり、突き刺し強度が好ましくは4.5kgf/mm~12kgf/mmであり、より好ましくは5kgf/mm~10kgf/mmであり、さらに好ましくは5.5kgf/mm~8kgf/mmである。
視認側保護層12は、上記の突き刺し強度を満足し得る限りにおいて任意の適切なフィルムで構成され得る。フィルムの構成材料の代表例としては、トリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂が挙げられる。本明細書において「(メタ)アクリル」は、アクリルおよび/またはメタクリルを意味する。
位相差層付偏光板は、後述するように代表的には画像表示装置の視認側に配置され、保護層12は、その視認側に配置される。したがって、保護層12には、必要に応じて、ハードコート処理、反射防止処理、スティッキング防止処理、アンチグレア処理等の表面処理が施されていてもよい。さらに/あるいは、保護層12には、必要に応じて、偏光サングラスを介して視認する場合の視認性を改善する処理(代表的には、(楕)円偏光機能を付与すること、超高位相差を付与すること)が施されていてもよい。このような処理を施すことにより、偏光サングラス等の偏光レンズを介して表示画面を視認した場合でも、優れた視認性を実現することができる。したがって、位相差層付偏光板は、屋外で用いられ得る画像表示装置にも好適に適用され得る。
視認側保護層12の厚みは、好ましくは10μm~40μm、より好ましくは10μm~30μmである。なお、表面処理が施されている場合、視認側保護層12の厚みは、表面処理層の厚みを含めた厚みである。
別の保護層13は、偏光子の保護層として使用できる任意の適切なフィルムで形成される。当該フィルムの主成分となる材料の具体例としては、トリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース系樹脂や、ポリエステル系、ポリビニルアルコール系、ポリカーボネート系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリエーテルスルホン系、ポリスルホン系、ポリスチレン系、ポリノルボルネン系、ポリオレフィン系、(メタ)アクリル系、アセテート系等の透明樹脂等が挙げられる。また、(メタ)アクリル系、ウレタン系、(メタ)アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化型樹脂または紫外線硬化型樹脂等も挙げられる。この他にも、例えば、シロキサン系ポリマー等のガラス質系ポリマーも挙げられる。また、特開2001-343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマーフィルムも使用できる。このフィルムの材料としては、例えば、側鎖に置換または非置換のイミド基を有する熱可塑性樹脂と、側鎖に置換または非置換のフェニル基ならびにニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物が使用でき、例えば、イソブテンとN-メチルマレイミドからなる交互共重合体と、アクリロニトリル・スチレン共重合体とを有する樹脂組成物が挙げられる。当該ポリマーフィルムは、例えば、上記樹脂組成物の押出成形物であり得る。
別の保護層13は、1つの実施形態においては、光学的に等方性であることが好ましい。本明細書において「光学的に等方性である」とは、面内位相差Re(550)が0nm~10nmであり、厚み方向の位相差Rth(550)が-10nm~+10nmであることをいう。別の保護層の厚みは、好ましくは5μm~80μm、より好ましくは10μm~40μm、さらに好ましくは10μm~30μmである。上記のとおり、本発明の実施形態においては、別の保護層13は好ましくは省略され得る。
C.第1の位相差層および第2の位相差層
上記のとおり、第1の位相差層21および第2の位相差層22はそれぞれ、液晶化合物の配向固化層(以下、液晶配向固化層)である。液晶化合物としては、例えば、液晶相がネマチック相である液晶化合物(ネマチック液晶)が挙げられる。このような液晶化合物として、例えば、液晶ポリマーや液晶モノマーが使用可能である。液晶化合物の液晶性の発現機構は、リオトロピックでもサーモトロピックでもどちらでもよい。液晶ポリマーおよび液晶モノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、組み合わせてもよい。
液晶化合物が液晶モノマーである場合、当該液晶モノマーは、重合性モノマーおよび架橋性モノマーであることが好ましい。液晶モノマーを重合または架橋(すなわち、硬化)させることにより、液晶モノマーの配向状態を固定できるからである。液晶モノマーを配向させた後に、例えば、液晶モノマー同士を重合または架橋させれば、それによって上記配向状態を固定することができる。ここで、重合によりポリマーが形成され、架橋により3次元網目構造が形成されることとなるが、これらは非液晶性である。したがって、形成された位相差層は、例えば、液晶性化合物に特有の温度変化による液晶相、ガラス相、結晶相への転移が起きることはない。その結果、位相差層は、温度変化に影響されない、極めて安定性に優れた位相差層となる。
液晶モノマーが液晶性を示す温度範囲は、その種類に応じて異なる。具体的には、当該温度範囲は、好ましくは40℃~120℃であり、さらに好ましくは50℃~100℃であり、最も好ましくは60℃~90℃である。
上記液晶モノマーとしては、任意の適切な液晶モノマーが採用され得る。例えば、特表2002-533742(WO00/37585)、EP358208(US5211877)、EP66137(US4388453)、WO93/22397、EP0261712、DE19504224、DE4408171、およびGB2280445等に記載の重合性メソゲン化合物等が使用できる。このような重合性メソゲン化合物の具体例としては、例えば、BASF社の商品名LC242、Merck社の商品名E7、Wacker-Chem社の商品名LC-Sillicon-CC3767が挙げられる。液晶モノマーとしては、例えばネマチック性液晶モノマーが好ましい。
液晶配向固化層は、所定の基材の表面に配向処理を施し、当該表面に液晶化合物を含む塗工液を塗工して当該液晶化合物を上記配向処理に対応する方向に配向させ、当該配向状態を固定することにより形成され得る。1つの実施形態においては、基材は任意の適切な樹脂フィルムであり、当該基材上に形成された液晶配向固化層(第1の位相差層21)は、第1の接着剤層31を介して偏光板10の表面に転写され得る。同様に、基材上に形成された液晶配向固化層(第2の位相差層22)は、第2の接着剤層32を介して第1の位相差層21の表面に転写され得る。
上記配向処理としては、任意の適切な配向処理が採用され得る。具体的には、機械的な配向処理、物理的な配向処理、化学的な配向処理が挙げられる。機械的な配向処理の具体例としては、ラビング処理、延伸処理が挙げられる。物理的な配向処理の具体例としては、磁場配向処理、電場配向処理が挙げられる。化学的な配向処理の具体例としては、斜方蒸着法、光配向処理が挙げられる。各種配向処理の処理条件は、目的に応じて任意の適切な条件が採用され得る。
液晶化合物の配向は、液晶化合物の種類に応じて液晶相を示す温度で処理することにより行われる。このような温度処理を行うことにより、液晶化合物が液晶状態をとり、基材表面の配向処理方向に応じて当該液晶化合物が配向する。
配向状態の固定は、1つの実施形態においては、上記のように配向した液晶化合物を冷却することにより行われる。液晶化合物が重合性モノマーまたは架橋性モノマーである場合には、配向状態の固定は、上記のように配向した液晶化合物に重合処理または架橋処理を施すことにより行われる。
液晶化合物の具体例および配向固化層の形成方法の詳細は、特開2006-163343号公報に記載されている。当該公報の記載は本明細書に参考として援用される。
第1の位相差層および第2の位相差層はそれぞれ、代表的には、屈折率特性がnx>ny=nzの関係を示す。なお、「ny=nz」はnyとnzが完全に等しい場合だけではなく、実質的に等しい場合を包含する。したがって、本発明の効果を損なわない範囲で、ny>nzまたはny<nzとなる場合があり得る。
上記のとおり、第1の位相差層21または第2の位相差層22のいずれか一方はλ/2板として機能し得、他方はλ/4板として機能し得る。ここでは、第1の位相差層21がλ/2板として機能し得、第2の位相差層22がλ/4板として機能し得る場合を説明するが、これらは逆であってもよい。第1の位相差層21の厚みは、λ/2板の所望の面内位相差が得られるよう調整され得、例えば1.5μm~2.5μmであり得る。第2の位相差層22の厚みは、λ/4板の所望の面内位相差が得られるよう調整され得、例えば0.5μm~1.5μmであり得る。第1の位相差層の面内位相差Re(550)は、上記のとおり好ましくは200nm~300nmであり、より好ましくは230nm~290nmであり、さらに好ましくは250nm~280nmである。第2の位相差層の面内位相差Re(550)は、上記のとおり好ましくは100nm~190nmであり、より好ましくは110nm~170nmであり、さらに好ましくは130nm~160nmである。第1の位相差層21の遅相軸と偏光子10の吸収軸とのなす角度は、上記のとおり好ましくは10°~20°であり、より好ましくは12°~18°であり、さらに好ましくは約15°である。第2の位相差層22の遅相軸と偏光子10の吸収軸とのなす角度は、上記のとおり好ましくは70°~80°であり、より好ましくは72°~78°であり、さらに好ましくは約75°である。このような構成であれば、理想的な逆波長分散特性に近い特性を得ることが可能であり、結果として、非常に優れた反射防止特性を実現することができる。
第1の位相差層および第2の位相差層はそれぞれ、Nz係数が好ましくは0.9~1.5であり、より好ましくは0.9~1.3である。このような関係を満たすことにより、得られる位相差層付偏光板を画像表示装置に用いた場合に、非常に優れた反射色相を達成し得る。
第1の位相差層および第2の位相差層はそれぞれ、位相差値が測定光の波長に応じて大きくなる逆分散波長特性を示してもよく、位相差値が測定光の波長に応じて小さくなる正の波長分散特性を示してもよく、位相差値が測定光の波長によってもほとんど変化しないフラットな波長分散特性を示してもよい。
上記のとおり、第1の位相差層よび第2の位相差層を、逆分散波長特性を示し、かつ、λ/4板として機能する単一位相差層で置き換えてもよい。この場合、位相差層の面内位相差Re(550)は、好ましくは100nm~190nmであり、より好ましくは110nm~170nmであり、さらに好ましくは130nm~160nmであり;Re(450)/Re(550)は好ましくは0.8~0.95である。さらに、位相差層の遅相軸と偏光子の吸収軸とのなす角度は、好ましくは40°~50°であり、より好ましくは42°~48°であり、さらに好ましくは約45°である。さらに、この場合、好ましくは、位相差層の偏光子と反対側に屈折率特性がnz>nx=nyの関係を示す別の位相差層(いわゆるポジティブCプレート)が設けられ得る。
D.接着剤層
第1の接着剤層31および第2の接着剤層32をまとめて接着剤層として説明する。なお、第1の接着剤層および第2の接着剤層は、同一の構成を有していてもよく、互いに異なる構成を有していてもよい。接着剤層を構成する接着剤としては、任意の適切な接着剤が採用され得る。接着剤としては、代表的には活性エネルギー線硬化型接着剤が挙げられる。活性エネルギー線硬化型接着剤としては、例えば、紫外線硬化型接着剤、電子線硬化型接着剤が挙げられる。また、硬化メカニズムの観点からは、活性エネルギー線硬化型接着剤としては、例えば、ラジカル硬化型、カチオン硬化型、アニオン硬化型、ラジカル硬化型とカチオン硬化型とのハイブリッドが挙げられる。代表的には、ラジカル硬化型の紫外線硬化型接着剤が用いられ得る。汎用性に優れ、および、特性(構成)の調整が容易だからである。
接着剤は、代表的には、硬化成分と光重合開始剤とを含有する。硬化成分としては、代表的には、(メタ)アクリレート基、(メタ)アクリルアミド基などの官能基を有するモノマーおよび/またはオリゴマーが挙げられる。硬化成分の具体例としては、トリプロピレングリコールジアクリレート、1,9-ノナンジオールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、環状トリメチロールプロパンフォルマルアクリレート、ジオキサングリコールジアクリレート、EO変性ジグリセリンテトラアクリレート、γ-ブチロラクトンアクリレート、アクリロイルモルホリン、不飽和脂肪酸ヒドロキシアルキルエステル修飾ε-カプロラクトン、N-メチルピロリドン、ヒドロキシエチルアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N-メトキシメチルアクリルアミド、N-エトキシメチルアクリルアミドが挙げられる。これらの硬化成分は、単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
好ましくは、接着剤は、複素環を有する硬化成分を含む。複素環を有する硬化成分としては、例えば、アクリロイルモルホリン、γ-ブチロラクトンアクリレート、不飽和脂肪酸ヒドロキシアルキルエステル修飾ε-カプロラクトン、N-メチルピロリドンが挙げられる。より好ましい硬化成分は、不飽和脂肪酸ヒドロキシアルキルエステル修飾ε-カプロラクトンおよびアクリロイルモルホリンであり、特に好ましい硬化成分は、アクリロイルモルホリンである。複素環を有する硬化成分は、硬化成分(後述のオリゴマー成分が存在する場合には硬化成分とオリゴマー成分との合計)100重量部に対して、好ましくは50重量部以上、より好ましくは60重量部以上、さらに好ましくは70重量部~95重量部の割合で接着剤に含有され得る。アクリロイルモルホリンは、硬化成分(オリゴマー成分が存在する場合には硬化成分とオリゴマー成分との合計)100重量部に対して、好ましくは5重量部~60重量部、より好ましくは10重量部~50重量部の割合で接着剤に含有され得る。
接着剤は、上記の硬化成分に加えてオリゴマー成分をさらに含有してもよい。オリゴマー成分を用いることにより、硬化前の接着剤の粘度を低減し、操作性を高めることができる。オリゴマー成分の代表例としては、(メタ)アクリル系オリゴマーが挙げられる。(メタ)アクリル系オリゴマーを構成する(メタ)アクリルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸(炭素数1~20)アルキルエステル類、シクロアルキル(メタ)アクリレート(例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレートなど)、アラルキル(メタ)アクリレート(例えば、ベンジル(メタ)アクリレートなど)、多環式(メタ)アクリレート(例えば、2-イソボルニル(メタ)アクリレート、2-ノルボルニルメチル(メタ)アクリレート、5-ノルボルネン-2-イル-メチル(メタ)アクリレート、3-メチル-2-ノルボルニルメチル(メタ)アクリレートなど)、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル類(例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3-ジヒドロキシプロピルメチル-ブチル(メタ)メタクリレートなど)、アルコキシ基またはフェノキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル類(2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、2-メトキシメトキシエチル(メタ)アクリレート、3-メトキシブチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートなど)、エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル類(例えば、グリシジル(メタ)アクリレートなど)、ハロゲン含有(メタ)アクリル酸エステル類(例えば、2,2,2-トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,2-トリフルオロエチルエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレートなど)、アルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート(例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートなど)が挙げられる。(メタ)アクリル酸(炭素数1~20)アルキルエステル類の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、2-メチル-2-ニトロプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、s-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、n-ペンチル(メタ)アクリレート、t-ペンチル(メタ)アクリレート、3-ペンチル(メタ)アクリレート、2,2-ジメチルブチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、4-メチル-2-プロピルペンチル(メタ)アクリレート、n-オクタデシル(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの(メタ)アクリレートは、単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
光重合開始剤は、業界で周知の光重合開始剤が業界に周知の配合量で用いられ得るので、詳細な説明は省略する。
接着剤層(接着剤硬化後)の厚みは、好ましくは0.1μm~3.0μmである。接着剤層がこのような厚みであれば、上記所望の厚みTWPおよび屈曲インデックスの実現が容易であり得る。
接着剤の詳細は、例えば、特開2018-017996号公報に記載されている。当該公報の記載は本明細書に参考として援用される。
E.粘着剤層
粘着剤層は、25℃における貯蔵弾性率が、好ましくは1.0×10Pa~1.0×10Paであり、より好ましくは1.0×10Pa~1.0×10Paである。粘着剤層の貯蔵弾性率がこのような範囲であれば、上記の厚みTWPおよび屈曲インデックスを最適化することによる効果との相乗的な効果により、位相差層付偏光板の折り曲げ性を向上させることができる。
粘着剤層は、70℃におけるクリープ量ΔCrが、例えば65μm以下であり、50μm以下、45μm以下、40μm以下、35μm以下、30μm以下、25μm以下、20μm以下、さらには15μm以下であってもよい。クリープ量ΔCrの下限は、例えば0.5μmである。クリープ量がこのような範囲であれば、貯蔵弾性率の場合と同様に、位相差層付偏光板の折り曲げ性を向上させることができる。なお、クリープ値は、例えば以下の手順で測定され得る:縦20mm×横20mmの接合面にてステンレス製試験板に貼り付けた粘着剤層に対して、試験板を固定した状態で500gfの荷重を鉛直下方に加える。荷重を加え始めてから100秒後及び3600秒後の各時点における試験板に対する粘着剤層のクリープ量(ずれ量)を測定し、それぞれCr100及びCr3600とする。測定したCr100及びCr3600から、式ΔCr=Cr3600-Cr100によりクリープ量ΔCrが求められ得る。
粘着剤層を構成する粘着剤としては、任意の適切な構成が採用され得る。粘着剤層を構成する粘着剤の具体例としては、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、エポキシ系粘着剤、およびポリエーテル系粘着剤が挙げられる。粘着剤のベース樹脂を形成するモノマーの種類、数、組み合わせおよび配合比、ならびに、架橋剤の配合量、反応温度、反応時間等を調整することにより、目的に応じた所望の特性を有する粘着剤を調製することができる。粘着剤のベース樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。透明性、加工性および耐久性などの観点から、アクリル系粘着剤(アクリル系粘着剤組成物)が好ましい。アクリル系粘着剤組成物は、代表的には、(メタ)アクリル系ポリマーを主成分として含む。(メタ)アクリル系ポリマーは、粘着剤組成物の固形分中、例えば50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上の割合で粘着剤組成物に含有され得る。(メタ)アクリル系ポリマーは、モノマー単位としてアルキル(メタ)アクリレートを主成分として含有する。なお、(メタ)アクリレートはアクリレートおよび/またはメタクリレートをいう。アルキル(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリル系ポリマーを形成するモノマー成分中、好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上の割合で含有され得る。アルキル(メタ)アクリレートのアルキル基としては、例えば、1個~18個の炭素原子を有する直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。当該アルキル基の平均炭素数は、好ましくは3個~9個であり、より好ましくは3個~6個である。好ましいアルキル(メタ)アクリレートは、ブチルアクリレートである。(メタ)アクリル系ポリマーを構成するモノマー(共重合モノマー)としては、アルキル(メタ)アクリレート以外に、カルボキシル基含有モノマー、ヒドロキシル基含有モノマー、アミド基含有モノマー、芳香環含有(メタ)アクリレート、複素環含有ビニル系モノマー等が挙げられる。共重合モノマーの代表例としては、アクリル酸、4-ヒドロキシブチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、N-ビニル-2-ピロリドンが挙げられる。アクリル系粘着剤組成物は、好ましくは、シランカップリング剤および/または架橋剤を含有し得る。シランカップリング剤としては、例えばエポキシ基含有シランカップリング剤が挙げられる。架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、過酸化物系架橋剤が挙げられる。さらに、アクリル系粘着剤組成物は、酸化防止剤および/または導電剤を含有してもよい。粘着剤層またはアクリル系粘着剤組成物の詳細は、例えば、特開2006-183022号公報、特開2015-199942号公報、特開2018-053114号公報、特開2016-190996号公報、国際公開第2018/008712号に記載されており、これらの公報の記載は本明細書に参考として援用される。
粘着剤層の厚みは、好ましくは5μm~30μmであり、より好ましくは10μm~20μmである。
F.画像表示装置
上記A項からE項に記載の位相差層付偏光板は、画像表示装置に適用され得る。したがって、位相差層付偏光板を含む画像表示装置もまた、本発明の実施形態に包含される。画像表示装置は、代表的には、画像表示セルと、画像表示セルに粘着剤層を介して貼り合わせられた位相差層付偏光板と、を含む。画像表示装置の代表例としては、液晶表示装置、エレクトロルミネセンス(EL)表示装置(例えば、有機EL表示装置、無機EL表示装置)が挙げられる。1つの実施形態においては、画像表示装置は、有機EL表示装置である。1つの実施形態においては、画像表示装置は、湾曲した形状(実質的には、湾曲した表示画面)を有し、および/または、屈曲もしくは折り曲げ可能である。このような画像表示装置においては、本発明の実施形態による位相差層付偏光板の効果が顕著となる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。各特性の測定方法は以下の通りである。なお、特に明記しない限り、実施例および比較例における「部」および「%」は重量基準である。
(1)厚み
10μm以下の厚みは、干渉膜厚計(大塚電子社製、製品名「MCPD-3000」)を用いて測定した。10μmを超える厚みは、デジタルマイクロメーター(アンリツ社製、製品名「KC-351C」)を用いて測定した。
(2)突き刺し強度
実施例および比較例に用いた視認側保護層を構成するフィルムを、ニードルを装着した圧縮試験機(カトーテック社製、製品名「NDG5」、ニードル貫通力測定仕様)に載置し、室温(23℃±3℃)環境下、突き刺し速度0.1cm/秒でフィルムが割れるまで突き刺し、割れ発生時の最大荷重を凹み深さ(mm)で割った値を突き刺し強度とした。評価値は試料片3個の突き刺し強度を測定し、その平均値を用いた。なお、ニードルは、先端径1mmφ、0.5Rのものを用いた。
(3)折り曲げ試験
実施例および比較例で得られた位相差層付偏光板を100mm×20mmのサイズに切り出し、測定試料とした。ここで、偏光子の吸収軸方向が長辺方向に対して反時計回りに135°となるようにして切り出した。この測定試料について、屈曲試験機(ユアサシステム機器(株)社製、製品名「CL09 Type D01」)を用いて連続折り曲げ試験を行った。折り曲げ速度は60rpm、折り曲げの振幅は20mm、折り曲げの曲率半径は0.5mmであった。折り曲げは、室温で、視認側保護層が外面となるようにして行った。折り曲げ回数50000回ごとに外観不良(粘着剤層の気泡、偏光子のクラック)を観察し、外観不良が観察された時点で折り曲げを中止した。折り曲げ回数は300000回を上限とした。
[実施例1]
1.偏光板の作製
熱可塑性樹脂基材として、長尺状で、Tg約75℃である、非晶質のイソフタル共重合ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み:100μm)を用い、樹脂基材の片面に、コロナ処理を施した。
ポリビニルアルコール(重合度4200、ケン化度99.2モル%)およびアセトアセチル変性PVA(日本合成化学工業社製、商品名「ゴーセファイマー」)を9:1で混合したPVA系樹脂100重量部に、ヨウ化カリウム13重量部を添加したものを水に溶かし、PVA水溶液(塗布液)を調製した。
樹脂基材のコロナ処理面に、上記PVA水溶液を塗布して60℃で乾燥することにより、厚み13μmのPVA系樹脂層を形成し、積層体を作製した。
得られた積層体を、130℃のオーブン内で縦方向(長手方向)に2.4倍に一軸延伸した(空中補助延伸処理)。
次いで、積層体を、液温40℃の不溶化浴(水100重量部に対して、ホウ酸を4重量部配合して得られたホウ酸水溶液)に30秒間浸漬させた(不溶化処理)。
次いで、液温30℃の染色浴(水100重量部に対して、ヨウ素とヨウ化カリウムを1:7の重量比で配合して得られたヨウ素水溶液)に、最終的に得られる偏光子の単体透過率(Ts)が所望の値となるように濃度を調整しながら60秒間浸漬させた(染色処理)。
次いで、液温40℃の架橋浴(水100重量部に対して、ヨウ化カリウムを3重量部配合し、ホウ酸を5重量部配合して得られたホウ酸水溶液)に30秒間浸漬させた(架橋処理)。
その後、積層体を、液温70℃のホウ酸水溶液(ホウ酸濃度4重量%、ヨウ化カリウム濃度5重量%)に浸漬させながら、周速の異なるロール間で縦方向(長手方向)に総延伸倍率が5.5倍となるように一軸延伸を行った(水中延伸処理)。
その後、積層体を液温20℃の洗浄浴(水100重量部に対して、ヨウ化カリウムを4重量部配合して得られた水溶液)に浸漬させた(洗浄処理)。
その後、約90℃に保たれたオーブン中で乾燥しながら、表面温度が約75℃に保たれたSUS製の加熱ロールに接触させた(乾燥収縮処理)。
このようにして、樹脂基材上に厚み約5μmの偏光子を形成し、樹脂基材/偏光子の構成を有する偏光板を得た。
さらに、得られた偏光子の表面(樹脂基材とは反対側の面)に、保護基材(保護層)としてTACフィルム(コニカミノルタ(株)社製「KC2UA」、厚み25μm)を、紫外線硬化型接着剤を介して貼り合せた。具体的には、硬化型接着剤の総厚みが約1.0μmになるように塗工し、ロール機を使用して貼り合わせた。その後、UV光線をTACフィルム側から照射して接着剤を硬化させた。次いで、樹脂基材を剥離してTACフィルム(保護層)/偏光子の構成を有する偏光板を得た。TACフィルムの突き刺し強度は6.17kgf/mmであった。
2.第1の位相差層および第2の位相差層の作製
ネマチック液晶相を示す重合性液晶(BASF社製:商品名「Paliocolor LC242」、下記式で表される)10gと、当該重合性液晶化合物に対する光重合開始剤(BASF社製:商品名「イルガキュア907」)3gとを、トルエン40gに溶解して、液晶組成物(塗工液)を調製した。
Figure 2022037502000002
ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚み38μm)表面を、ラビング布を用いてラビングし、配向処理を施した。配向処理の方向は、偏光板に貼り合わせる際に偏光子の吸収軸の方向に対して視認側から見て15°方向となるようにした。この配向処理表面に、上記液晶塗工液をバーコーターにより塗工し、90℃で2分間加熱乾燥することによって液晶化合物を配向させた。このようにして形成された液晶層に、メタルハライドランプを用いて1mJ/cmの光を照射し、当該液晶層を硬化させることによって、PETフィルム上に液晶配向固化層Aを形成した。液晶配向固化層Aの厚みは2μm、面内位相差Re(550)は270nmであった。さらに、液晶配向固化層Aは、nx>ny=nzの屈折率分布を有していた。液晶配向固化層Aを第1の位相差層として用いた。
塗工厚みを変更したこと、および、配向処理方向を偏光子の吸収軸の方向に対して視認側から見て75°方向となるようにしたこと以外は上記と同様にして、PETフィルム上に液晶配向固化層Bを形成した。液晶配向固化層Bの厚みは1μm、面内位相差Re(550)は140nmであった。さらに、液晶配向固化層Bは、nx>ny=nzの屈折率分布を有していた。液晶配向固化層Bを第2の位相差層として用いた。
3.位相差層付偏光板の作製
上記1.で得られた偏光板の偏光子表面に、上記2.で得られた液晶配向固化層A(第1の位相差層)および液晶配向固化層B(第2の位相差層)をこの順に転写した。このとき、偏光子の吸収軸と配向固化層Aの遅相軸とのなす角度が15°、偏光子の吸収軸と配向固化層Bの遅相軸とのなす角度が75°になるようにして転写(貼り合わせ)を行った。なお、それぞれの転写(貼り合わせ)は、紫外線硬化型接着剤(厚み1.0μm)を介して行った。最後に、配向固化層B(第2の位相差層)の表面にアクリル系粘着剤層(厚み:15μm)を配置した。このようにして、保護層/接着剤/偏光子/第1の接着剤層/第1の位相差層/第2の接着剤層/第2の位相差層/粘着剤層の構成を有する位相差層付偏光板を得た。得られた位相差層付偏光板の厚みは51μmであり、TWPは36μm(0.036mm)であった。得られた位相差層付偏光板を上記(3)の評価に供した。結果を表1に示す。
[実施例2]
以下のようにして位相差層(逆分散波長依存性を示しλ/4板として機能し得る単一位相差層)および別の位相差層(ポジティブCプレート)を作製した。
式(II)で表される化合物55部、式(III)で表される化合物25部、式(IV)で表される化合物20部をシクロペンタノン(CPN)400部に加えた後、60℃に加温、撹拌して溶解させ、溶解が確認された後、室温に戻し、イルガキュア907(BASFジャパン株式会社製)3部、メガファックF-554(DIC株式会社製)0.2部、p-メトキシフェノール(MEHQ)0.1部を加えて、さらに撹拌を行い、溶液を得た。溶液は、透明で均一であった。得られた溶液を0.20μmのメンブランフィルターでろ過し、重合性組成物を得た。一方、配向膜用ポリイミド溶液を厚さ0.7mmのガラス基材にスピンコート法を用いて塗布し、100℃で10分乾燥した後、200℃で60分焼成することにより塗膜を得た。得られた塗膜をラビング処理し、配向膜を形成した。ラビング処理は、市販のラビング装置を用いて行った。基材(実質的には、配向膜)に、上記で得られた重合性組成物をスピンコート法で塗布し、100℃で2分乾燥した。得られた塗布膜を室温まで冷却した後、高圧水銀ランプを用いて、30mW/cmの強度で30秒間紫外線を照射して液晶配向固化層を得た。液晶配向固化層の厚みは2.8μmであり、面内位相差Re(550)は130nmであった。また、液晶配向固化層のRe(450)/Re(550)は0.851であり、逆分散波長特性を示した。この液晶配向固化層を位相差層とした。
Figure 2022037502000003
Figure 2022037502000004
下記化学式(I)(式中の数字65および35はモノマーユニットのモル%を示し、便宜的にブロックポリマー体で表している:重量平均分子量5000)で示される側鎖型液晶ポリマー20重量部、ネマチック液晶相を示す重合性液晶(BASF社製:商品名PaliocolorLC242)80重量部および光重合開始剤(チバスペシャリティーケミカルズ社製:商品名イルガキュア907)5重量部をシクロペンタノン200重量部に溶解して液晶塗工液を調製した。そして、基材フィルム(ノルボルネン系樹脂フィルム:日本ゼオン(株)製、商品名「ゼオネックス」)に当該塗工液をバーコーターにより塗工した後、80℃で4分間加熱乾燥することによって液晶を配向させた。この液晶層に紫外線を照射し、液晶層を硬化させることにより、基材上に別の位相差層となる液晶配向固化層(ポジティブCプレート、厚み3μm)を形成した。この層のRe(590)は0nm、Rth(590)は-100nmであり、nz>nx=nyの屈折率特性を示した。
Figure 2022037502000005
上記で得られた液晶配向固化層を用いたこと以外は実施例1と同様にして、保護層/接着剤/偏光子/第1の接着剤層/位相差層/第2の接着剤層/ポジティブCプレート/粘着剤層の構成を有する位相差層付偏光板を得た。得られた位相差層付偏光板の厚みは52μmであり、TWPは37μm(0.037mm)であった。得られた位相差層付偏光板を実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
[比較例1]
視認側保護層としてTACフィルムの代わりにシクロオレフィン系樹脂(COP)フィルム(日本ゼオン(株)社製「ゼオノアフィルム」、厚み25μm)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、保護層/接着剤/偏光子/第1の接着剤層/第1の位相差層/第2の接着剤層/第2の位相差層/粘着剤層の構成を有する位相差層付偏光板を得た。COPフィルムの突き刺し強度は1.19kgf/mmであった。得られた位相差層付偏光板の厚みは53μmであり、TWPは38μm(0.038mm)であった。得られた位相差層付偏光板を実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
[比較例2]
以下のようにして位相差層(逆分散波長依存性を示しλ/4板として機能し得る単一位相差層)を作製した。
撹拌翼、及び還流冷却器を具備した竪型撹拌反応器2器からなるバッチ重合装置を用いて重合を行った。特開2015-25111号公報に記載の方法で合成したビス[9-(2-フェノキシカルボニルエチル)フルオレン-9-イル]メタン(BPFM)を30.31質量部(0.047mol)、イソソルビド(ISB、ロケットフルーレ社製)を39.94質量部(0.273mol)、スピログリコール(SPG、三菱ガス化学(株)製)を30.20質量部(0.099mol)、ジフェニルカーボネート(DPC、三菱ケミカル(株)製)を69.67質量部(0.325mol)、および触媒として酢酸カルシウム1水和物7.88×10-4質量部(4.47×10-6mol)を仕込んだ。反応器内を減圧窒素置換した後、熱媒で加温を行い、内温が100℃になった時点で撹拌を開始した。昇温開始40分後に内温を220℃に到達させ、この温度を保持するように制御すると同時に減圧を開始し、220℃に到達してから90分で13.3kPaにした。重合反応とともに副生するフェノール蒸気を110℃の還流冷却器に導き、フェノール蒸気中に若干量含まれるモノマー成分を反応器に戻し、凝縮しないフェノール蒸気は45℃の凝縮器に導いて回収した。第1反応器に窒素を導入して一旦大気圧まで復圧させた後、第1反応器内のオリゴマー化された反応液を第2反応器に移した。次いで、第2反応器内の昇温および減圧を開始して、40分で内温240℃、圧力20kPaにした。その後、さらに圧力を下げながら、所定の攪拌動力となるまで重合を進行させた。所定動力に到達した時点で反応器に窒素を導入して復圧し、生成したポリエステルカーボネートを水中に押し出し、ストランドをカッティングしてペレットを得た。この樹脂の各モノマーに由来する構造単位の比率は、BPFM/ISB/SPG/DPC=21.5/39.4/30.0/9.1質量%であった。得られたペレットを、100℃で6時間以上、真空乾燥をした後、単軸押出機(いすず化工機社製、スクリュー径25mm、シリンダー設定温度:250℃)、Tダイ(幅300mm、設定温度:220℃)、チルロール(設定温度:120~130℃)および巻取機を備えたフィルム製膜装置を用いて、長さ3m、幅200mm、厚み100μmの長尺未延伸フィルムを作製した。この長尺未延伸フィルムを、延伸温度をTg(139℃)として延伸し、厚み37μmの位相差フィルムを得た。得られた位相差フィルムは、nx>ny=nzの屈折率特性を示し、Re(550)は145nm、Re(450)/Re(550)は0.85であった。
上記で得られた位相差フィルムを位相差層として用いたこと、および、接着剤層の代わりに粘着剤層(厚み5μm)を介して位相差フィルムを偏光子に貼り合わせたこと以外は実施例2と同様にして、保護層/接着剤/偏光子/粘着剤層/位相差層(位相差フィルム)/接着剤層/ポジティブCプレート/粘着剤層の構成を有する位相差層付偏光板を得た。得られた位相差層付偏光板の厚みは92μmであり、TWPは77μm(0.077mm)であった。得られた位相差層付偏光板を実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
[比較例3]
以下のようにして位相差層(逆分散波長依存性を示しλ/4板として機能し得る単一位相差層)を作製した。
イソソルビド(ISB)26.2質量部、9,9-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン(BHEPF)100.5質量部、1,4-シクロヘキサンジメタノール(1,4-CHDM)10.7質量部、ジフェニルカーボネート(DPC)105.1質量部、および、触媒として炭酸セシウム(0.2質量%水溶液)0.591質量部をそれぞれ反応容器に投入し、窒素雰囲気下にて、反応の第1段階目の工程として、反応容器の熱媒温度を150℃にし、必要に応じて攪拌しながら、原料を溶解させた(約15分)。次いで、反応容器内の圧力を常圧から13.3kPaにし、反応容器の熱媒温度を190℃まで1時間で上昇させながら、発生するフェノールを反応容器外へ抜き出した。反応容器内温度を190℃で15分保持した後、第2段階目の工程として、反応容器内の圧力を6.67kPaとし、反応容器の熱媒温度を230℃まで、15分で上昇させ、発生するフェノールを反応容器外へ抜き出した。攪拌機の攪拌トルクが上昇してくるので、8分で250℃まで昇温し、さらに発生するフェノールを取り除くため、反応容器内の圧力を0.200kPa以下に減圧した。所定の攪拌トルクに到達後、反応を終了し、生成した反応物を水中に押し出した後に、ペレット化を行い、BHEPF/ISB/1,4-CHDM=47.4モル%/37.1モル%/15.5モル%のポリカーボネート樹脂を得た。得られたポリカーボネート樹脂を80℃で5時間真空乾燥をした後、単軸押出機(いすず化工機社製、スクリュー径25mm、シリンダー設定温度:220℃)、Tダイ(幅200mm、設定温度:220℃)、チルロール(設定温度:120~130℃)および巻取機を備えたフィルム製膜装置を用いて、厚み120μmのポリカーボネート樹脂フィルムを作製した。この樹脂フィルムを、延伸温度をTg(139℃)として延伸し、厚み47μmの位相差フィルムを得た。得られた位相差フィルムは、nx>ny=nzの屈折率特性を示し、Re(550)は145nm、Re(450)/Re(550)は0.85であった。
上記で得られた位相差フィルムを位相差層として用いたこと、および、接着剤層の代わりに粘着剤層(厚み5μm)を介して位相差フィルムを偏光子に貼り合わせたこと以外は比較例1と同様にして、保護層/接着剤/偏光子/粘着剤層/位相差層(位相差フィルム)/接着剤層/ポジティブCプレート/粘着剤層の構成を有する位相差層付偏光板を得た。得られた位相差層付偏光板の厚みは102μmであり、TWPは87μm(0.087mm)であった。得られた位相差層付偏光板を実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
[比較例4]
以下のようにして偏光板を作製した。
平均重合度が2,400、ケン化度が99.9モル%、厚みが30μmであるポリビニルアルコール系樹脂フィルムを用意した。ポリビニルアルコールフィルムを、周速比の異なるロール間で、20℃の膨潤浴(水浴)中に30秒間浸漬して膨潤しながら搬送方向に2.4倍に延伸し(膨潤工程)、続いて、30℃の染色浴(ヨウ素濃度が0.03重量%、ヨウ化カリウム濃度が0.3重量%である水溶液)中で最終延伸後の単体透過率が所望の値となるように浸漬して染色しながら元のポリビニルアルコールフィルム(搬送方向に全く延伸していないポリビニルアルコールフィルム)を基準にして搬送方向に3.7倍に延伸した(染色工程)。この時の浸漬時間は約60秒であった。次いで、染色したポリビニルアルコールフィルムを、40℃の架橋浴(ホウ酸濃度が3.0重量%、ヨウ化カリウム濃度が3.0重量%である水溶液)中で浸漬しながら元のポリビニルアルコールフィルムを基準にして搬送方向に4.2倍まで延伸した(架橋工程)。さらに、得られたポリビニルアルコールフィルムを、64℃の延伸浴(ホウ酸濃度が4.0重量%、ヨウ化カリウム濃度が5.0重量%である水溶液)中で50秒間浸漬して元のポリビニルアルコールフィルムを基準にして搬送方向に6.0倍まで延伸した(延伸工程)後、20℃の洗浄浴(ヨウ化カリウム濃度が3.0重量%である水溶液)中で5秒間浸漬した(洗浄工程)。洗浄したポリビニルアルコールフィルムを、30℃で2分間乾燥して偏光子(厚み12μm)を作製した。接着剤として、アセトアセチル基を含有するポリビニルアルコール樹脂(平均重合度が1,200、ケン化度が98.5モル%、アセトアセチル化度が5モル%)とメチロールメラミンとを重量比3:1で含有する水溶液を用いた。この接着剤を用いて、上記で得られた偏光子の両面に厚みが25μmのTACフィルムを貼り合わせて偏光板を得た。
上記で得られた偏光板を用いたこと、および、粘着剤層の厚みを30μmに変更したこと以外は実施例1と同様にして、保護層/接着剤/偏光子/接着剤/保護層/第1の接着剤層/第1の位相差層/第2の接着剤層/第2の位相差層/粘着剤層の構成を有する位相差層付偏光板を得た。得られた位相差層付偏光板の厚みは98μmであり、TWPは68μm(0.068mm)であった。得られた位相差層付偏光板を実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
[比較例5]
比較例4の偏光板を用いたこと以外は比較例3と同様にして、保護層/接着剤/偏光子/接着剤/保護層/粘着剤層/位相差層(位相差フィルム)/接着剤層/ポジティブCプレート/粘着剤層の構成を有する位相差層付偏光板を得た。得られた位相差層付偏光板の厚みは140μmであり、TWPは125μm(0.125mm)であった。得られた位相差層付偏光板を実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
表1において、例えば「50k」とは、折り曲げ回数が50000回では外観不良は認められなかったが100000回で外観不良が認められたことを意味する。また例えば「50k未満」とは、折り曲げ回数が50000回で外観不良が認められたことを意味する。
Figure 2022037502000006
[評価]
表1から明らかなように、本発明の実施例によれば、屈曲インデックスを最適化することにより、過酷な折り曲げ試験においても外観不良が抑制された、優れた折り曲げ性を有する位相差層付偏光板が得られることがわかる。
本発明の位相差層付偏光板は、液晶表示装置、有機EL表示装置および無機EL表示装置用の円偏光板として好適に用いられる。
10 偏光板
11 偏光子
12 保護層
21 第1の位相差層
22 第2の位相差層
31 第1の接着剤層
32 第2の接着剤層
40 粘着剤層
100 位相差層付偏光板

Claims (9)

  1. 偏光子と該偏光子の少なくとも視認側に保護層とを含む偏光板と、
    該偏光板の視認側と反対側に設けられた、円偏光機能または楕円偏光機能を有する位相差層と、
    該位相差層の該偏光板と反対側に設けられた粘着剤層と、を有し、
    該視認側保護層から該位相差層までの厚みTWPが0.06mm以下であり、
    下記式で表される屈曲インデックスが150以上である、位相差層付偏光板:
    屈曲インデックス=視認側保護層の突き刺し強度(kgf/mm)/TWP(mm)。
  2. 前記偏光子の厚みが8μm以下である、請求項1に記載の位相差層付偏光板。
  3. 前記位相差層が、第1の位相差層と第2の位相差層とを有し、
    該第1の位相差層のRe(550)が200nm~300nmであり、その遅相軸と前記偏光子の吸収軸とのなす角度が10°~20°であり、
    該第2の位相差層のRe(550)が100nm~190nmであり、その遅相軸と該偏光子の吸収軸とのなす角度が70°~80°である、
    請求項1または2に記載の位相差層付偏光板。
  4. 前記第1の位相差層および前記第2の位相差層がそれぞれ、液晶化合物の配向固化層である、請求項3に記載の位相差層付偏光板。
  5. 前記第1の位相差層および前記第2の位相差層の厚みがそれぞれ2.5μm以下である、請求項4に記載の位相差層付偏光板。
  6. 前記位相差層が単一層であり、
    該位相差層のRe(550)が100nm~190nmであり、Re(450)/Re(550)が0.8~0.95であり、その遅相軸と該偏光子の吸収軸とのなす角度が40°~50°である、
    請求項1または2に記載の位相差層付偏光板。
  7. 前記視認側保護層が、トリアセチルセルロースフィルムまたは(メタ)アクリル系樹脂フィルムで構成されている、請求項1から6のいずれかに記載の位相差層付偏光板。
  8. 請求項1から7のいずれかに記載の位相差層付偏光板を備える、画像表示装置。
  9. 有機エレクトロルミネセンス表示装置である、請求項8に記載の画像表示装置。
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