JP2022037490A - 吸収性物品 - Google Patents

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Abstract

【課題】スキンケア効果を長時間持続させることが可能な吸収性物品の提供に関する。【解決手段】本発明の吸収性物品は、吸収体を備え、前記吸収体が、高吸水性ポリマーを含む吸収性コアと、前記吸収性コアを覆うコアラップシートと、を含む。前記吸収性物品は、前記吸収体の肌側に配置され、前記コアラップシートよりも液透過性が高い、1又は複数の液透過性シートを有している。前記液透過性シートの少なくとも1つは、スキンケア剤を含んでいる。前記吸収体は、少なくとも股下領域の肌対向面に形成され厚み方向に深さを有する溝部を含む。【選択図】図2

Description

本発明は、使い捨ておむつ等の吸収性物品に関する。
排泄された液等による皮膚のトラブルを低減する観点から、スキンケア剤を含む吸収性物品が提案されている。
例えば、特許文献1には、高さの異なる凸部を有する表面シートにスキンケア剤が配置された吸収性物品が記載されている。
特許文献2には、表面シートにおける防漏カフで挟まれた領域内に親水性のスキンケア剤が配置された吸収性物品が記載されている。
特開2017-202254号公報 特開2018-102836号公報
例えば表面シートに配置されたスキンケア剤は、排泄された液が表面シートを透過するに伴い、当該液に取り込まれやすい。このため、吸収性物品を使用している間に表面シート上のスキンケア剤が減少し、特に長時間の使用ではスキンケア効果が低下してしまう懸念があった。
本発明の課題は、スキンケア効果を長時間持続させることが可能な吸収性物品の提供に関する。
本発明の一形態に係る吸収性物品は、吸収体を備え、着用者の腹側から股間部を通って背側に延びる縦方向と、前記縦方向に直交する横方向と、を有し、かつ、前記縦方向に沿って、腹側領域と、股下領域と、背側領域と、に区分された吸収性物品である。
前記吸収体が、高吸水性ポリマーを含む吸収性コアと、前記吸収性コアを覆うコアラップシートと、を含む。
前記吸収性物品は、前記吸収体の肌側に配置され、前記コアラップシートよりも液透過性が高い、1又は複数の液透過性シートを有している。
前記液透過性シートの少なくとも1つは、スキンケア剤を含んでいる。
前記吸収体は、少なくとも前記股下領域の肌対向面に形成され厚み方向に深さを有する溝部を含む。
本発明の吸収性物品によれば、スキンケア効果を長時間持続させることが可能である。
本発明の吸収性物品の一実施形態としての使い捨ておむつの一例を示す図であり、各部の弾性部材を伸張させて平面状に広げた状態を示す肌対向面側(表面シート側)の模式的な平面図である。 図1のII-II線で切断した模式的な断面図である。 上記使い捨ておむつの吸収体の他の構成例を示す模式的な断面図である。 上記使い捨ておむつにおけるスキンケア効果の発現機序を説明するための図であり、液排泄後であって着用者から加圧される前の上記使い捨ておむつの液透過性シート及び吸収体を模式的に示す断面図である。 上記使い捨ておむつにおけるスキンケア効果の発現機序を説明するための図であり、液排泄後であって着用者から加圧された状態の上記使い捨ておむつの液透過性シート及び吸収体を模式的に示す断面図である。 上記使い捨ておむつにおけるスキンケア効果の発現機序を説明するための図であり、液排泄後であって着用者からの加圧が解除された状態の上記液透過性シート及び吸収体を模式的に示す断面図である。 上記液透過性シートとしての表面シートの一部を拡大して示す模式的な斜視図である。 上記液透過性シートとしての表面シートの他の構成例を示す図であり、表面シートの一部を拡大して示す模式的な斜視図である。 液排泄後の上記液透過性シートと上記吸収体の一部(溝部近傍)を拡大して示す模式的な断面図であって、Aは着用者から加圧されていない状態、Bは着用者から加圧された状態を示す。 上記吸収体の上記肌対向面における溝形成領域の形状を示す模式的な平面図である。 上記吸収体の上記肌対向面における溝形成領域の他の構成例を示す模式的な平面図である。 上記吸収体の上記肌対向面における溝形成領域の他の構成例を示す模式的な平面図である。
以下、本発明の吸収性物品について、一実施形態である使い捨ておむつを例にあげ、図面を参照しながら説明する。
[使い捨ておむつの全体構成]
本実施形態の使い捨ておむつ1は、図1に示すように、いわゆる展開型の使い捨ておむつである。使い捨ておむつ1は、以下、おむつ1と称する。
使い捨ておむつ1は、着用者の前後方向に対応する縦方向Xと、着用者の左右方向に対応し縦方向Xに直交する横方向Yとを有する。さらに、使い捨ておむつ1は、縦方向X及び横方向Yの双方に直交する厚み方向Zを有する。これらの縦方向X、横方向Y及び厚み方向Zは、各部の弾性部材を伸張させて平面状に広げた状態において相互に直交するものとする。
本明細書において、各構成を厚み方向Zの方向からみる場合、平面視という。
本明細書では、厚み方向Zに関しては、着用時に着用者の肌に近い側を上又は肌側、着衣に近い側を下又は非肌側という事がある。
「着用時」は、通常想定される適正な着用位置が維持された状態をいう。
おむつ1は、おむつ着用時に、着用者の腹側に位置する腹側領域Aと、背側に位置する背側領域Bと、股下に位置する股下領域Cと、を備えており、腹側領域Aは縦方向X前方に、背側領域Bは縦方向X後方に、股下領域Cは腹側領域Aと背側領域Bとの間に位置する。
背側領域Bは、股下領域Cから左右の横方向Y外方に突出した側部を含む。当該側部の横方向Yにおける側縁部には、ファスニングテープ6が設けられている。
同様に、腹側領域Aは、股下領域Cから左右の横方向Y外方に突出した側部を含む。腹側領域Aの非肌対向面には、ファスニングテープ6を接着させるためのランディングテープ(図示せず)が設けられている。背側領域B及び腹側領域Aは、着用時に、ファスニングテープ6によって相互に接着され、一体となって着用者の腰周り及びウエスト周りに配置される。
股下領域Cは、腹側領域A及び背側領域Bよりも幅狭となるように、横方向Y内方に括れた脚繰りが形成される。股下領域Cは、典型的には、おむつ1の着用時に着用者の排泄部(例えば排尿部)に対向して配置される排泄部対向部を有している。
図1及び2に示すように、おむつ1は、表面シート2と、裏面シート3と、吸収体4と、サイドシート5と、一対のファスニングテープ6と、中間シート7と、防漏シート8と、を有する。おむつ1は、裏面シート3、防漏シート8、吸収体4、中間シート7及び表面シート2が厚み方向Zに積層された構成を有する。これらの構成は、例えば、ホットメルト接着剤等の公知の接合手段により互いに接合されている。
吸収体4は、縦方向Xに沿って延び、表面シート2と裏面シート3との間に配置される。吸収体4は、着用者の尿等の液状排泄物(以下、単に「液」ということがある。)を表面シート2側の肌対向面4aから吸収し、内部で拡散させて当該液を保持する。
吸収体4は、吸収性コア40と、コアラップシート41と、を有する。
吸収性コア40は、液を保持することが可能な高吸水性ポリマーを含む。具体的に、吸収性コア40は、高吸水性ポリマーのみからなる構成、親水性繊維の積繊体に高吸水性ポリマーを担持させた構成等を含む。
コアラップシート41は、吸収性コア40を被覆し、例えば吸収性コア40の形状を保持する機能等を有する。コアラップシート41は、例えばティッシュペーパー状の薄く柔らかい紙や液透過性の不織布等で形成される。コアラップシート41の好適な材料については、後述する。
表面シート2は、吸収体4の肌側(厚み方向Z上方)に配置され、例えば、おむつ1の肌対向面の横方向Y中央部を構成する。表面シート2は、液透過性のシート材として構成され、合成繊維又は天然繊維からなる織布や不織布、多孔性シート等で形成される。表面シート2の詳細については後述する。
中間シート7は、例えば不織布からなり、表面シート2とコアラップシート41との間に配置される。中間シート7は、表面シート2から吸収体4への液の透過性の向上等の観点から配置される。
裏面シート3は、吸収体4の非肌側(厚み方向Z下方)に配置され、例えば、おむつ1の非肌対向面のほぼ全体を構成し、着用時のおむつ1の外装を構成する。裏面シート3は、防漏性を有していることが好ましく、例えば、液難透過性、水蒸気透過性及び撥水性等の機能を有するシート材で形成される。
一対のサイドシート5は、表面シート2の横方向Y側部に配置され、例えば、おむつ1の肌対向面の横方向Y側部を構成する。サイドシート5は、例えば、液難透過性、水蒸気透過性及び撥水性等の機能を有するシート材で形成される。一対のサイドシート5では、横方向Y中央部側が表面シート2に重なって配置され、横方向Y側部が表面シート2の外側まで延出し、裏面シート3と接合される。
サイドシート5は、立体ギャザーを形成し得る。サイドシート5の横方向Y中央部側の側端部は、表面シート2等に接合されない自由端部となっており、弾性部材51が配されている。弾性部材51は、股下領域Cにおいて縦方向Xに延び、例えば腹側領域A及び背側領域Bの一部まで延びていてもよい。弾性部材51を設けることにより、立体ギャザーが構成される。
サイドシート5の横方向Y外方側の側端部近傍には、例えば縦方向Xに伸縮する弾性部材52が配置されることで、着用時に着用者の脚周りにフィットするレッグギャザーが構成される。
弾性部材51及び52は、縦方向Xに伸縮可能な糸状又は帯状の弾性部材である。
一対のファスニングテープ6は、おむつ1の背側領域Bの縦方向Xに沿う両側縁部に設けられる。ファスニングテープ6は、機械的面ファスナーの雄部材からなる止着部61を有する。また、おむつ1の腹側領域Aの非肌対向面には、機械的面ファスナーの雌部材からなる被止着領域(図示せず)が形成されている。当該被止着領域には、ファスニングテープ6の止着部61が着脱自在に止着可能である。
防漏シート8は、液不透過性又は液難透過性の樹脂フィルムからなり、裏面シート3の肌対向面を被覆する。
[液透過性シートの構成]
図2に示すように、吸収体4の肌側、つまりコアラップシート41上には、表面シート2及び中間シート7が配置されている。本実施形態において、表面シート2及び中間シート7は、排泄された液を透過する液透過性シート9を構成する。
液透過性シート9は、吸収体4の肌側に配置される1又は複数のシートである。
おむつ1が表面シート2を有し、中間シート7を有さない場合は、表面シート2のみが液透過性シート9を構成する。また、表面シート2及び中間シート7の他に、吸収体4の肌側に配置される液透過性のシートがある場合には、それらの3枚以上のシートが液透過性シート9を構成する。
液透過性シート9は、コアラップシート41よりも液透過性が高いことを特徴とする。これにより、排泄された液は、液透過性シート9を透過するとともに、コアラップシート41上で拡散しやすくなる。
本実施形態のように、おむつ1が複数のシートを含む液透過性シート9を有する場合には、当該複数のシートの複合体としての液透過性シート9が、コアラップシート41よりも液透過性が高いことが好ましい。なお、液透過性シート9の各シート(例えば表面シート2及び中間シート7)は、ホットメルト接着剤等によって接着され得るが、接着領域は間欠的に配置されているため、接着剤による液透過性への影響は少ないものと考えられる。
液透過性は、所定量の試験液がシートを通過するのに要する時間である液透過時間(ストライクスルー時間)によって評価される。つまり、液透過時間が長いと液透過性が低く、液透過時間が短いと液透過性が高いと判断できる。液透過時間の具体的な測定方法については、後述する。
液透過性シート9の液透過時間は、好ましくは1秒以上、より好ましくは1.5秒以上であり、好ましくは6秒以下、より好ましくは4秒以下である。なお、本実施形態のように、おむつ1が複数のシートを含む液透過性シート9を有する場合には、当該複数のシートの複合体としての液透過性シート9が、上記範囲の液透過時間となることが好ましい。
コアラップシート41の液透過時間は、好ましくは2秒以上、より好ましくは3秒以上であり、好ましくは10秒以下、より好ましくは7秒以下である。
コアラップシート41に対する表面シート2又は中間シート7の液透過時間の比率は、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.3以上であり、好ましくは0.9以下、より好ましくは0.7以下である。
表面シート2と中間シート7とを含む液透過性シート9は、上記の関係を満たす液透過性を実現する観点から、エアスルー不織布を含むことが好ましい。
一方、コアラップシート41は、上記の関係を満たす液透過性を実現する観点から、拡散紙又はスパンボンド不織布を含むことが好ましい。
より詳細に、液透過性シート9は、コアラップシート41との関係で以下のような物性を満たすことが好ましい。
液透過性シート9は、液透過性を高める観点から、コアラップシート41よりも大きい繊維間距離を有することが好ましい。
コアラップシート41の繊維間距離に対する液透過性シート9の繊維間距離の比率は、好ましくは1.2以上、より好ましくは2以上であり、好ましくは50以下、より好ましくは25以下である。
液透過性シート9は、液透過性を高める観点から、コアラップシート41よりも小さい繊維密度を有することが好ましい。
コアラップシート41の繊維密度に対する液透過性シート9の繊維密度の比率は、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.1以上であり、好ましくは0.8以下、より好ましくは0.6以下である。
液透過性シート9は、表面で液を拡散させずに液を透過させやすくする観点から、コアラップシート41よりも小さい親水度を有することが好ましく、表面シート2、中間シート7及びコアラップシート41の順に、親水度が高くなることがより好ましい。
親水度の指標としては、接触角を用いることができる。接触角が小さいほど親水性が高く(疎水性が低く)、接触角が大きいほど親水性が低い(疎水性が高い)と判断できる。一般に、親水性に分類される繊維の接触角θは90°以下(好ましくは88°以下であり、小さいほど親水性は高い。)、疎水性に分類される繊維の接触角θは90°超(好ましくは90°超~140°)である。
液透過性シート9の接触角は、好ましくは40°以上、より好ましくは45°以上であり、好ましくは88°以下、より好ましくは85°以下である。
表面シート2の接触角は、好ましくは60°以上、より好ましくは65°以上であり、好ましくは88°以下、より好ましくは85°以下である。
中間シート7の接触角は、好ましくは40°以上、より好ましくは45°以上であり、好ましくは80°以下、より好ましくは75°以下である。
コアラップシート41の接触角は、好ましくは30°以上、より好ましくは32°以上であり、好ましくは60°以下、より好ましくは45°以下である。
繊維間距離、繊維密度及び接触角の測定方法の詳細については、後述する。
[スキンケア剤]
液透過性シート9の少なくとも1つは、着用者の肌トラブルを抑制する観点から、スキンケア剤を含んでいる。スキンケア剤は、スキンケア効果を発現するものである。「スキンケア効果」とは、皮膚のかぶれ防止、消炎、傷つき防止、抗菌等の皮膚の状態を正常にする効能全般を意味する。
本実施形態のように、液透過性シート9が表面シート2及び中間シート7を含む場合には、表面シート2がスキンケア剤を含んでいてもよいし、中間シート7がスキンケア剤を含んでいてもよい。あるいは、表面シート2及び中間シート7の双方がスキンケア剤を含んでいてもよい。
スキンケア剤は、各シートの形成後に塗工されてもよいし、スキンケア剤が塗工された繊維を用いて各シートが形成されてもよい。スキンケア剤の塗工方法は限定されず、ダイスコーター方式、スロットスプレー方式、カーテンスプレー方式、メルトブローン方式、スパイラルスプレー方式、グラビア方式及びビード方式から選ばれる1種又は2種以上の方法を適宜選択できる。スキンケア剤の詳細な塗工形態については、後述する。
本実施形態のスキンケア剤は、液透過性の低いコアラップシート41上に蓄積されやすく、後述する機序によってスキンケア効果を長時間持続できる観点から、例えば、疎水性のスキンケア剤を含んでいる。
疎水性スキンケア剤とは、水溶性及び水分散性を有さないか、また極めて溶解性が低いものであって、且つ着用者の肌に対して保護、治癒等の効能を有する組成物又は化合物のことである。例えば、スキンケア剤10gを、100mLイオン交換水(液温25℃)に浸漬し、24時間放置した後に、上記スキンケア剤が10質量%未満の溶解度及び分散度のものを言い、好ましくは、1質量%以下の溶解度及び分散度のものであり、特に好ましくは完全に溶解せず、且つ分散しないものである。
疎水性スキンケア剤としては、炭素鎖長12~28の脂肪酸又は該脂肪酸とグリセリンのエステル化合物や、ワックス、ワセリン等が挙げられ、特に、炭素鎖長12~28の不飽和脂肪酸又は該不飽和脂肪酸のグリセリンエステル化合物を含むことが好ましい。当該グリセリンエステルは、グリセリンと前述の不飽和脂肪酸のモノエステル、ジエステル又はトリエステルであるが、特に、トリエステルであることが好ましい。脂肪酸又は脂肪酸化合物を含む剤としては、アルガンオイル、シアバター等の天然物抽出成分が好ましく使用できる。特に、不飽和脂肪酸を含む疎水性の植物油であるアルガンオイルは、肌の水分と油分のバランスを保ち乾燥を防ぎ、スキンケア剤として機能する。また、アルガンオイルは、オレイン酸、リノール酸といった不飽和脂肪酸を多く含み、活性酸素除去力が強く、例えば日焼けによる肌のダメージを軽減させることができる。
また、本実施形態のスキンケア剤は、親水性のスキンケア剤を含んでいてもよい。
親水性スキンケア剤とは、水溶性又は水分散性を有するスキンケア成分のことであり、かぶれや炎症の発生を抑制し、かぶれや炎症が生じた場合には、当該かぶれや炎症の進行を抑制するか、又は当該かぶれや炎症を緩和させることができるものであることが好ましい。例えば、スキンケア剤10gを、100mLのイオン水(液温25℃)に浸漬し、24時間放置した後に、10質量%以上溶解又は分散する場合、スキンケア剤は水溶性又は水分散性を有する、とする。なお、上述した「溶解又は分散」する量は、好ましくは25質量%以上、より好ましくは50質量%以上である。
親水性スキンケア剤としては、桃の葉エキス、ハマメリスエキス等の天然物抽出成分や炭素鎖数が2~4の多価アルコール、ポリエチレングリコール、スキンケア等の機能を有する親水性化合物等を用いることができる。
これらの中でも、植物抽出エキスである桃の葉エキス(親水性エキス)は、抗菌作用、抗炎症作用を有することから好ましい。表面シート2に供給された液に親水性成分である桃の葉エキスがとけ、肌に移行することによりスキンケア効果が生じる。
上記各種のスキンケア剤は、一種を単独で使用してもよいし、複数組み合わせて使用してもよい。例えば親疎水度合いの異なる少なくとも2種類のスキンケア剤成分が用いられてもよい。
スキンケア剤には、天然物抽出成分を用いることが好ましい。例えば、おむつ1を着用する乳幼児の肌は、成人と比較して薄く、バリア機能も劣るため、天然物抽出成分を用いることによりアレルギー反応等の発生が抑制される。また、天然物抽出成分を用いることにより、おむつ内の肌が赤みを生じるといった肌トラブルが発生しにくくなる。
[吸収体の構成]
図2に示すように、吸収体4は、肌対向面4aと非肌対向面4bとを有する。吸収体4は、少なくとも股下領域Cの肌対向面4aに形成された溝部10を含む。溝部10は、排泄された液に取り込まれたスキンケア剤を留まりやすくする作用を有する。この観点から、溝部10はおむつ1を縦方向Xに3等分した場合の中央部に位置することが好ましい。
図2に示すように、吸収体4は、さらに、非肌対向面4bに形成された溝部(非肌側溝部11)を含んでいてもよい。本実施形態の非肌側溝部11は、典型的には、平面視において溝部10と重なる位置に形成され、溝部10とほぼ同様の構成を有している。図2に示す例では、吸収体4は、股下領域Cにおいて、2つの溝部10と2つの非肌側溝部11を含む。
以下では、スキンケア効果の発現に関与する肌対向面4a側の溝部10の構成について詳細に説明する。本明細書において、単に「溝部10」と言うときは、肌対向面4aに形成された溝部10を指すものとする。
溝部10は、吸収体4の肌対向面4aに開口し、厚み方向Zに深さを有する。溝部10の表面(つまり、底面及び壁面)は、コアラップシート41によって形成されている。溝部10の底面及び壁面は、平坦面でも曲面でもよい。また、溝部10は、典型的には平面視において一方向に延び、好ましくは縦方向Xに延びているが、少なくとも一部が湾曲していてもよく、蛇行していてもよい。溝部10が「縦方向Xに延びる」とは、全体として縦方向Xに延びていればよく、縦方向Xと平行なベクトル成分を含む向きに延びていればよい。また、溝部10は、一方向に延びる形状に限定されず、円形状、楕円形状、多角形状、滴状、これらに類似する形状、その他の形状から選ばれる1種又は2種以上の平面形状を有していてもよい。
図2に示す例においては、吸収性コア40の肌対向面及び非肌対向面に溝が形成されており、その溝の形状に沿ってコアラップシート41が配置されていることで、溝部10が形成されている。このような構成の吸収体4は、例えば、以下の2通りの方法で形成され得る。
例えば、吸収性コア40が、周囲の領域よりも低い坪量の溝を有しており、コアラップシート41が、この溝に沿ってホットメルト接着剤等の接着剤によって接着されていてもよい。この場合、吸収性コア40の溝の坪量は、周囲の領域の坪量の20%以上80%以下とすることが好ましい。これにより、吸収性コア40とコアラップシート41によって溝部10が確実に形成され得る。
あるいは、吸収性コア40とコアラップシート41とを厚み方向Zに圧搾加工して溝部10が形成されてもよい。これにより、溝部10のコアラップシート41が圧密化されるため、スキンケア剤を含む液が溝部10のコアラップシート41を透過しにくくなり、当該スキンケア剤が溝部10内により留まりやすくなる。
(吸収体のその他の構成例)
図3A,Bに示すように、吸収性コア40が、溝部10において、材料をほとんど含まないスリット状であってもよい。この場合、溝部10における吸収性コア40の坪量は、例えば、他の領域の坪量の0%以上20%未満である。
例えば、図3Aに示すように、肌対向面4a側(上側)と非肌対向面4b側(下側)のコアラップシート41は、溝部10において相互に接合されていなくてもよい。この場合は、例えば、吸収性コア40のスリット状部分を覆う上側と下側のコアラップシート41を、接着剤等によって接着しない状態で、これらを厚み方向Zに圧搾する。圧搾条件は、上側と下側のコアラップシート41を接合しない程度に調整される。これにより、吸収性コア40のスリット状部分を覆うコアラップシート41が内側に凹み、溝部10を形成することができる。この構成では、溝部10の下側に吸収性コア40の材料がほとんど存在しないことから、スキンケア剤が吸収性コア40に吸収されずに溝部10内に留まりやすくなる。
例えば、図3Bに示すように、吸収性コア40のスリット状部分を覆う上側と下側のコアラップシート41が相互に接合されていてもよい。例えば、スリット状部分を覆う上側と下側のコアラップシート41に接着剤を塗工して、これらを圧搾し、接着してもよい。あるいは、スリット状部分を覆う上側と下側のコアラップシート41を、熱圧搾、超音波圧搾等によって圧搾し接合してもよい。この構成では、溝部10の下側に吸収性コア40の材料がほとんど存在しないことに加え、コアラップシート41が圧密化されていることから、スキンケア剤が溝部10内に、より留まりやすくなり、好ましい。
[スキンケア効果の発現機序]
吸収性物品(おむつ1)の使用中に着用者から排泄された液は、スキンケア剤を取り込みながら液透過性シート9を透過する。ここで、液透過性シート9は、コアラップシート41よりも液透過性が高いため、液透過性シート9を透過した液は、コアラップシート41上に留まりやすくなる。さらに、吸収体4が肌対向面4aに溝部10を含むため、液透過性シート9を透過した液は、特に溝部10内に留まりやすくなり、溝部10を伝って拡散しやすくなる。
着用者から吸収性物品(おむつ1)に対して厚み方向Zの荷重が付加された場合、液透過性シート9が溝部10を含む吸収体4の肌対向面4aに向かって加圧される。このとき、液透過性シート9は、加圧によって溝部10内に入り込み、溝部10に留まっていたスキンケア剤を含む液と接触する。これにより、液透過性シート9に、溝部10に留まっていたスキンケア剤が移行し得る。
また、吸収性コア40に吸収されたスキンケア剤を含む液であっても、高吸水性ポリマーに保持されていないものは、加圧によって吸収性コア40から肌対向面4aの溝部10等に少量戻ることがある。加圧時には、液透過性シート9がこのような液とも接触し、スキンケア剤が液透過性シート9に効果的に移行し得る。
これらにより、液の排泄後に、肌側の液透過性シート9が再びスキンケア剤を含むこととなり、スキンケア剤が着用者の肌と接触する時間が長くなる。したがって、スキンケア効果が長時間持続する吸収性物品(おむつ1)を得ることができる。
図4~6を用いて、より具体的に説明する。図4~6では、説明のため、おむつ1の全体構造を省略し、液透過性シート9及び吸収体4を模式的に示している。
図4に示すように、例えば尿などの液は、スキンケア剤を取り込みながら液透過性シート9を透過する。これにより、相対的に液透過性の低いコアラップシート41上に、スキンケア剤Sが拡散しやすくなる。特に、窪んだ溝部10内には、スキンケア剤Sが多く留まりやすくなる。
図5に示すように、着用者Hによって液透過性シート9及び吸収体4が厚み方向Zに加圧された場合、液透過性シート9の一部が溝部10に入り込むように変形する。これにより、液透過性シート9が溝部10に留まっていたスキンケア剤Sと接触する。したがって、スキンケア剤Sの一部が液透過性シート9に移行する。
図6に示すように、加圧が解除された後、変形していた液透過性シート9は肌側に戻る。この液透過性シート9にはスキンケア剤Sが移行しているため、着用者Hの肌とスキンケア剤Sが再度接触可能となり、スキンケア効果が長時間にわたって持続することができる。
[スキンケア剤の存在密度]
図2に示す液透過性シート9において、溝部10と平面視で重なる溝重複領域9aは、液透過性シート9において、肌対向面4aの溝部10の周囲の領域と平面視で重なる非溝重複領域9bよりも、スキンケア剤の存在密度が大きいことが好ましい。これにより、溝重複領域9aからより多くのスキンケア剤が取り込まれた液が透過し、溝部10内にスキンケア剤が留まりやすくなる。
溝重複領域9aと非溝重複領域9bとの単位面積当たりのスキンケア剤の含有量は、液透過性シート9から、溝重複領域9aを略中央に含む、縦方向Xに150mm、75mmのシート状の領域を切り出し、その中から溝重複領域9a及び非溝重複領域9bに分けて切り出して測定する。また、本実施形態のように、液透過性シート9が複数のシート(表面シート2及び中間シート7等)で構成されている場合には、複数のシートが重なった状態でサンプルを切り出し測定する。単位面積当たりのスキンケア剤の含有量の測定方法の詳細については、後述する。
非溝重複領域9bの単位面積当たりのスキンケア剤の含有量に対する、溝重複領域9aの単位面積当たりのスキンケア剤の含有量の比率は、好ましくは1.2以上、より好ましくは2.0以上である。
溝重複領域9aの単位面積当たりのスキンケア剤の含有量は、例えば、0.1μg/m以上1000μg/m以下、好ましくは10μg/m以上500μg/m以下である。
上記構成を実現する観点から、スキンケア剤は、液透過性シート9を構成する不織布の形成後に、当該不織布の表面の溝重複領域9a上に塗工されてもよい。スキンケア剤は、溝重複領域9a上に塗工部が配置されるように間欠的に塗工されてもよい。あるいは、溝部10が横方向Y中央部のみに配置されている場合には、スキンケア剤は、横方向Y中央部のみに塗工されてもよい。
[液透過性シートの詳細な構成]
図2及び図7に示すように、液透過性シート9構成する少なくとも一つのシートは、着用者の肌側に向かって突出した複数の凸部23と、凸部23間に位置する凹部24と、を有していてもよい。
例えば、表面シート2が凹凸構造を有していてもよいし、中間シート7が凹凸構造を有していてもよい。あるいは、表面シート2及び中間シート7の双方が凹凸構造を有していてもよい。
図2では、表面シート2が凹凸構造を有する例を示している。
図7に示すように、凸部23及び凹部24は、交互に且つ一方向(図7中、縦方向X)に列をなすように配置されており、そのような列が、上記一方向に直交する方向(図7中、横方向Y)に、多列に形成されている。
凸部23は、着用者の肌側に向かって厚み方向Zに突出している部分を意味する。凹部24は、凸部23の周囲に形成される部分を意味する。凸部23及び凹部24の詳細な識別方法については、後述する。
図2及び図7に示す例では、表面シート2は、上層21と、下層22との2枚の不織布を有し、上層21と下層22とが部分的に熱融着された構成を有する。熱融着された部分は凹部24を形成し、上層21が厚み方向Zに突出して凸部23を形成する。このような構成では、例えば、凸部23の内部は実質的に中空となり得る。なお、上層21と下層22とに用いられる不織布としては、上述のエアスルー不織布の他、スパンボンド不織布、スパンレース不織布、メルトブローン不織布、レジンボンド不織布、ニードルパンチ不織布などが挙げられる。これらの不織布を2種以上組み合わせた積層体や、これらの不織布とフィルム等とを組み合わせた積層体を用いることもできる。
このような凹凸構造を有するシートは、例えば、下層22を構成するウェブと上層21を構成するウェブとを積層させた後、凸部23に対応する突起を有する支持体上に積層されたウェブを配置して温風を吹き付けることによって、凸部23及び凹部24が賦形されてもよい(例えば特開2013-177715号公報参照)。あるいは、ギアロール間に不織布を挟み込んで、延伸させることによって、凸部23及び凹部24が賦形されてもよい(例えば特開2004-174234号公報参照)。
液透過性シート9に用いられる凹凸構造を有するシートは、図2及び図7に示す構成に限定されない。例えば1枚の不織布を部分的に延伸加工することにより凹凸構造が賦形されてもよい。あるいは、熱による収縮性の異なる2枚の積層された不織布を用いて、熱を加えることにより、一方の不織布が他方に不織布に対して収縮し、相対的に伸長した不織布によって凸部が形成されてもよい。
このように形成された液透過性シート9の凹部24は、凸部23と比較して繊維密度が高くなりやすく、繊維間距離が小さくなりやすい。つまり、凹部24は、毛管作用によって吸収体4側へ液を引き込みやすい構成となり得る。このため、凹部24は、平面視において、溝部10と重なるように配置されることが好ましい。これにより、スキンケア剤を取り込んだ液が凹部24から溝部10内に引き込まれ易くなり、溝部10にスキンケア剤が蓄積され易くなる。したがって、上述のように、着用者からの加圧によって溝部10内のスキンケア剤が液透過性シート9に移行しやすくなり、スキンケア効果を長時間にわたって持続させることができる。
なお、「凹部24が平面視において溝部10と重なる」とは、凹部24の少なくとも一部が、平面視において溝部10と重なるように配置されていることを意味する。
凹部24を平面視において溝部10と重なりやすくする観点から、横方向Yに隣り合う凸部23間の横方向Yにおける距離は、溝部10の横方向Yにおける幅よりも小さいことが好ましい。
凸部23間の横方向Yにおける距離は、凸部23において最も厚み方向Z上方に位置する頂部間の横方向Yにおける距離を意味する。
溝部10の横方向Yにおける幅は、液透過性シート9が凹凸構造を有する領域と平面視において重なる領域に位置する溝部10の横方向Yにおける寸法を意味する。溝部10の幅が当該領域内で一定でない場合の、溝部10の横方向Yにおける幅は、当該領域において最も狭い幅とする。
具体的に、凸部23間の横方向Yにおける距離は、好ましくは1mm以上、より好ましくは3mm以上であり、好ましくは15mm以下、より好ましくは10mm以下である。
溝部10の横方向Yにおける寸法は、好ましくは2mm以上、より好ましくは5mm以上であり、好ましくは30mm以下、より好ましくは15mm以下である。
さらに、図8に示すように、凹部24は、開孔(貫通孔)25を有していてもよい。これにより、スキンケア剤を含む液が、開孔25を介して液透過性シート9を透過しやすくなり、溝部10にスキンケア剤がより一層蓄積され易くなる。
凹部24に開孔25を形成する方法としては、例えば、上層21と下層22とを熱融着する際に、付加する熱又は圧力を調整して繊維を溶融させ開孔させる方法、熱融着時に超音波振動を印加して凹部24の一部の繊維を溶融させる方法、熱融着部(凹部)に凸状ピンを穿刺して開孔25を形成する方法、等が挙げられる。具体的な方法としては、特開2019-93598号公報、特開2011-110122号公報、特開2017-93731号公報等を参照することができる。
[液透過性シートの厚みと溝部の深さとの関係]
液透過性シート9を変形させて溝部10内のスキンケア剤と接触させやすくする観点から、液透過性シート9の厚み及び溝部10の深さは、所定の関係を有していることが好ましい。以下、図9の模式的な拡大断面図を用いて説明する。
なお、以下の説明における「加圧された状態」又は「加圧時」とは、厚み方向Zに平行な肌側から非肌側に向かう方向に加圧された状態を意味し、具体的には、厚み方向Zから6.8kPa(700gf/cm)程度の荷重が付加された状態を意味する。
「加圧されていない状態」とは、着用時に、荷重がほとんど付加されていないと想定される状態を意味し、具体的には、49Pa(0.5gf/cm)程度の荷重が付加された状態を意味する。
図9Aに示すように、着用者によって厚み方向Zに加圧されていない状態では、上述のように、溝部10内にスキンケア剤Sが蓄積されやすい状態にある。
加圧されていない状態における液透過性シート9の厚みを、t1とする。厚みt1は、液透過性シート9が凹凸構造を有する場合は、凸部23の頂部が存在する部分の厚み方向Zの寸法とする。また、液透過性シート9が表面シート2及び中間シート7を含む場合は、加圧されていない状態における表面シート2と中間シート7の合計の厚みとする。
加圧されていない状態における溝部10の厚み方向Zにおける深さを、d1とする。溝部10の深さd1は、肌対向面4aにおける溝部10の周囲の領域から、溝部10の底面の最も深い位置までの厚み方向Zにおける寸法とする。
加圧されていない状態の液透過性シート9の厚みt1が、溝部10の深さd1よりも大きいことで、加圧時において液透過性シート9が変形して溝部10の底面に接触しやすくなる。これにより、以下に説明する、加圧時における液透過性シート9の厚みと溝部10の深さの関係を満たしやすくなる。
なお、t1>d1を満たしやすい表面シート2及び中間シート7は、例えば、嵩高不織布によって形成されたシート、上述のような凹凸構造を有するシート等が挙げられる。
「嵩高不織布」とは、その内部に、不織布の構成繊維によって画成される空間部(繊維等の不織布構成材料が存在していない部分)を多数有しており、不織布の全体積に占める空間部の割合(空間占有率)が大きい不織布を意味する。
加圧されていない状態における液透過性シート9の厚みt1は、好ましくは1.5mm以上、より好ましくは3mm以上であり、好ましくは10mm以下、より好ましくは8mm以下である。
加圧されていない状態における溝部10の深さd1は、好ましくは1mm以上、より好ましくは2mm以上であり、好ましくは8mm以下、より好ましくは6mm以下である。
厚みt1及び深さd1の詳細な測定方法については、後述する。
図9Bに示すように、加圧された状態では、吸収体4の溝部10の周囲に対向する液透過性シート9は、吸収体4から厚み方向Z上方の大きな抗力を受け、大きく圧縮される。このため、加圧された状態では、吸収体4の溝部10の周囲に対向する液透過性シート9の厚みt2は、加圧前の厚みt1よりもt3だけ薄くなる。このt3(=t1-t2)を、加圧時における液透過性シート9の変形量とする。
また、加圧に伴い、吸収体4の溝部10の周囲の領域も、厚み方向Zに圧縮され、厚みが薄くなる。これにより、溝部10の厚み方向Zにおける深さd2は、加圧前の深さd1よりも小さくなる。
一方、液透過性シート9における吸収体4の溝部10と対向する領域は、加圧に伴って液透過性シート9が溝部10内に入り込む。溝部10内に入り込んだ液透過性シート9が溝部10の底面に接触する場合、この領域の液透過性シート9の厚みは、厚みt2と深さd2の和となり、この厚みが加圧前の液透過性シート9の厚みt1よりも小さくなることから、以下の式(1)及び式(2)が成り立つ。
t2+d2<t1 (1)
d2<t1-t2 (2)
(t1-t2)は、加圧時における液透過性シート9の変形量t3に等しいことから、さらに、以下の式(3)が成り立つ。
d2<t3 (3)
つまり、加圧時における液透過性シート9の厚み方向Zの変形量t3が、加圧時における溝部10の深さd2よりも大きければ、加圧時に液透過性シート9が溝部10の底面に接触し、溝部10内のスキンケア剤と確実に接触することができる。これにより、加圧に伴ってスキンケア剤が液透過性シート9に確実に移行し、スキンケア効果を長時間持続させることができる。
液透過性シート9が表面シート2及び中間シート7を含む場合は、加圧時における表面シート2と中間シート7の合計の変形量t3が加圧時における溝部10の深さd2よりも大きけばよい。
加圧時における液透過性シート9の変形量t3は、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは1mm以上であり、好ましくは5mm以下、より好ましくは4mm以下である。
加圧時における溝部10の深さd2は、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.5mm以上であり、好ましくは4mm以下、より好ましくは3mm以下である。
変形量t3及び深さd2の測定方法の詳細については、後述する。
特に、液透過性シート9が中間シート7を含む場合、加圧時に、吸収体4により近い中間シート7が溝部10に入り込みやすいと、上記式(3)をより満たしやすくなる。このため、加圧時の中間シート7の厚み方向Zの変形量が、加圧時の表面シート2の厚み方向Zの変形量よりも大きいことが好ましい。つまり、柔軟で変形しやすい中間シート7を用いることで、中間シート7が溝部10内に容易に入り込み、溝部10の底面に接触しやすくなる。
このような中間シート7としては、例えば、表面シート2よりも嵩高の不織布が挙げられる。表面シート2よりも嵩高の不織布とは、表面シート2よりも空間部の割合(空間占有率)が大きく、見かけ密度が小さな不織布を意味する。具体的な中間シート7の例としては、表面シート2の繊維径よりも大きい繊維径を有する中間シート7、凹凸構造を有する中間シート7等が挙げられる。
[液透過性シートとコアラップシートとの関係]
加圧時にスキンケア剤が移行した液透過性シート9は、加圧された状態から加圧されていない状態に戻った際に、着用者の肌に確実に触れることが好ましい。
このような観点から、液透過性シート9のコアラップシート41に対向する面は、溝部10に接合されていないことが好ましい。これにより、加圧された状態から加圧されていない状態に戻った際に、液透過性シート9が溝部10から離間し、着用者の肌側に戻りやすくなる。したがって、液透過性シート9に再度移行したスキンケア剤が着用者の肌に接触しやすくなり、スキンケア効果が長時間にわたって持続しやすくなる。
液透過性シート9のコアラップシート41に対向する面は、液透過性シート9が表面シート2及び中間シート7を含む場合は中間シート7の非肌側の面、液透過性シート9が表面シート2のみからなる場合は表面シート2の非肌側の面とすることができる。
上記構成を実現する観点から、吸収体4の溝部10は、液透過性シート9と一体に圧搾加工されていないことが好ましい。また、液透過性シート9と吸収体4とを接着するためのホットメルト接着剤等の接着剤は、溝部10内ではなく、溝部10の周囲のコアラップシート41上に塗工されることが好ましい。
具体的に、「液透過性シート9のコアラップシート41に対向する面が溝部10に接合されていない」とは、以下のように定義される。まず、おむつ1の股下領域Cにおける溝重複領域9a内(例えば縦方向Xに50mm、横方向Yに10mm程度)を、鋭利な刃で切断し、液透過性シート9のコアラップシート41に当接するシートと、溝部10を含む吸収体4とを含む測定片を得る。その測定片に存在する、液透過性シート9のコアラップシート41に当接するシートと、溝部10を構成する吸収体4とを、引張試験機(例えば株式会社島津製作所製、製品名:オートグラフAG-X)に取り付ける。100mm/min程度の速度で引っ張り、上記シートと、吸収体4とが剥離された際の力(引張荷重)を測定する。5個の測定片についての平均値を算出し、当該平均値が2.0N以下であった場合、「液透過性シート9のコアラップシート41に対向する面が溝部10に接合されていない」と定義する。
[溝形成領域の配置]
上述のように、スキンケア剤は、液が排泄される股下領域Cの溝部10内に蓄積されやすく、溝部10に沿って拡散されやすい。一方で、特に乳幼児などは、肛門付近の肌にも、かぶれや赤みなどのトラブルが生じやすい。このことから、溝部10は、排泄部対向部を有する股下領域Cのみならず、肌がトラブルを起こしやすい肛門付近に対向する背側領域Bにも形成されることが好ましい。
つまり、図10~12に示すように、吸収体4の肌対向面4aにおいて溝部10が形成された溝形成領域Gは、股下領域Cから背側領域Bにわたって配置されていることが好ましい。図10~12では、おむつ1の概形を破線で示している。
溝形成領域Gは、肌対向面4aにおいて平面視で溝部10が形成されている領域を意味する。溝形成領域Gの平面形状は、後述する「溝部の平面形状の確認方法」によって確認される。
上述のように、着用者の排泄部から排泄された液は、スキンケア剤を取り込んで液透過性シート9を透過し、主に股下領域Cの肌対向面4a上に到達する。特に、排泄された液の量が多い場合は、液が液透過性シート9又はコアラップシート41などで拡散して、スキンケア剤を取り込みながら背側領域Bまで到達し得る。上記構成では、背側領域Bにも溝部10が形成されていることから、スキンケア剤を含む液が背側領域Bの溝部10に到達し、この溝部10を伝ってさらに背側領域Bの広い範囲に拡散しやすくなる。これにより、例えば着用者の臀部等によって背側領域Bの液透過性シート9及び吸収体4が加圧された場合に、背側領域Bの液透過性シート9が溝部10内のスキンケア剤と接触し、スキンケア剤が液透過性シート9に移行しやすくなる。したがって、特に肌のトラブルが生じやすい肛門付近にも、スキンケア剤を含む液透過性シート9が長時間接触しやすくなり、スキンケア効果を長時間にわたって発揮させることができる。
図10には、2本(左右一対)の溝形成領域Gが腹側領域Aから股下領域Cを通って背側領域Bまで延びている例を示す。このように、溝形成領域Gは、股下領域Cから背側領域Bまで連続して延びていてもよい。これにより、股下領域Cの溝部10に蓄積されたスキンケア剤が、溝部10を伝って背側領域Bまでより到達しやすくなる。
図11には、1本の溝形成領域Gが股下領域Cの横方向Y中央部において縦方向Xに延び、2本(左右一対)の溝形成領域Gが、股下領域Cの後方部から背側領域Bまで延びている例を示す。
図12には、2本(左右一対)の溝形成領域Gが腹側領域Aから股下領域Cまで縦方向Xに延びており、背側領域Bには複数の略楕円形状のパターンを有する溝形成領域Gが配置されている例を示す。
図11及び図12に示すように、溝形成領域Gが不連続に形成される場合にも、上述のようにスキンケア剤が股下領域Cから背側領域Bまで拡散し得るため、上記作用効果が十分に発現し得る。
さらに、肛門付近に対向する背側領域Bにおけるスキンケア効果を効果的に発揮させる観点から、溝形成領域Gの背側領域Bにおける横方向Yに沿った全幅は、溝形成領域Gの股下領域Cにおける横方向Yに沿った全幅よりも大きいことが好ましい。
股下領域C又は背側領域Bの溝形成領域Gが1本であった場合、溝形成領域Gの「全幅」とは、当該1本の溝形成領域Gにおける横方向Yに沿った溝幅のうち、最も大きい寸法を意味する。股下領域C又は背側領域Bの溝形成領域Gが複数本であった場合、溝形成領域Gの「全幅」とは、最も横方向Y左側に位置する溝形成領域Gの左端から、最も横方向Y右側に位置する溝形成領域Gの右端までの横方向Yに沿った寸法のうち、最も大きい寸法を意味する。
これにより、背側領域Bにおいて、スキンケア剤が蓄積されやすい溝形成領域Gの面積を広く確保することができ、肛門付近の肌に対するスキンケア効果を一層効果的に発現させることができる。
具体的に、溝形成領域Gの股下領域Cにおける横方向Yに沿った全幅に対する、溝形成領域Gの背側領域Bにおける横方向Yに沿った全幅の比率は、好ましくは1.2以上、より好ましくは1.5以上であり、好ましくは10以下、より好ましくは5以下である。
[補足説明]
(液透過性の測定方法)
Lenzing Technik社製のストライクスルー時間測定装置Listerを使用し、EDANA(ヨーロッパ不織布工業会)の「153.0-02 REPEATED Liquid Strike-Through Time」法に準じて測定する。通液時間(ストライクスルー時間)は、測定対象シートの一面から他面に向けて、所定量の試験液が通過するのに要する時間(秒)を示すものであり、通液時間が短いほど、液透過性に優れると評価できる。具体的には、試験機の台座の上に「キムタオル ホワイト 4つ折り」(日本製紙クレシア製)1枚を4つ折り状態から更に2つ折りにした状態で置き、その上に測定対象シートを載せる。次いで、電極を有するストライクスループレートを測定対象シート上に載置して、ストライクスループレートに接続された液投入口から試験液(生理食塩水)を10ml入れ、その後試験機の電源を入れる。試験機は、試験液が電極に触れた状態から、測定対象シートを試験液が通過して水位が下がり、電極と非接触となるまでの時間(秒)を計測する。測定は3回行い、その平均値を、測定対象シートの液透過時間とする。
(繊維間距離の測定方法)
不織布、紙等の繊維集合体の繊維間距離は、Wrotnowskiの仮定に基づく下記式(4)により求められる。下記式(4)は一般に、繊維集合体の繊維間距離を求める際に用いられる。Wrotnowskiの仮定の下では、繊維は円柱状であり、それぞれの繊維は交わることなく規則正しく並んでいる。
測定対象のシート(液透過性シート9及びコアラップシート41)が単層構造の場合、その単層構造のシートの繊維間距離は下記式(4)で求められる。
測定対象のシート(液透過性シート9及びコアラップシート41)が多層構造の場合、その多層構造のシートの繊維間距離は以下の手順に従って求められる。
まず、下記式(4)により、多層構造を構成する各繊維層の繊維間距離を算出する。その際、下記式(4)で用いる厚みt、坪量W、繊維の樹脂密度ρ及び繊維径Dは、それぞれ、測定対象の層についてのものを用いる。厚みt、坪量W及び繊維径Dは、それぞれ、複数の測定点における測定値の平均値である。
厚みt(mm)は以下の方法にて測定する。まず、測定対象のシートを縦方向50mm×横方向50mmに切断し該シートの切断片を作製する。ただし、小さな吸収性物品からシートを採取する場合など、測定対象のシートとしてこの大きさの切断片を作製できない場合は、可能な限り大きな切断片を作製する。次に、この切断片を平板上に載せ、その上に平板上のガラス板を載せ、ガラス板を含めた荷重が49Paになるようにガラス板上に重りを均等に載せた上で、該切断片の厚みを測定する。測定環境は温度20±2℃、相対湿度65±5%、測定機器にはマイクロスコープ(株式会社キーエンス製、VHX-1000)を用いる。切断片の厚みの測定は、まず、該切断片の切断面の拡大写真を得る。この拡大写真には、既知の寸法のものを同時に写しこむ。次に、前記切断片の切断面の拡大写真にスケールを合わせ、該切断片の厚みすなわち測定対象のシートの厚みを測定する。以上の操作を3回行い、3回の平均値を、測定対象のシートの厚みtとする。なお、測定対象のシートが積層品の場合は、繊維径及び/又は繊維密度の違いからからその境界を判別し、厚みを算出する。
坪量W(g/m)は、測定対象のシートを所定の大きさ(例えば12cm×6cmなど)にカットし、質量測定後に、その質量測定値を、該所定の大きさから求まる面積で除することで求められる(「坪量W(g/m)=質量÷所定の大きさから求められる面積」)。4回測定し、その平均値を坪量とする。
繊維の樹脂密度ρ(g/cm)は、密度勾配管を使用して、JIS L1015 化学繊維ステープル試験方法に記載の密度勾配管法の測定方法に準じて測定する(URLはhttp://kikakurui.com/l/L1015-2010-01.html、書籍ならJISハンドブック繊維-2000、(日本規格協会)のP.764~765に記載)。
繊維径D(μm)は、日立製作所株式会社製S-4000型電界放射型走査電子顕微鏡を用いて、カットした繊維の繊維断面を10本測定し、その平均値を繊維径とする。繊維径Dの測定方法は後述する「繊維径の測定方法」に従う。
次に、各層の繊維間距離に、多層構造全体の厚みに占める該層の厚みの割合を乗じ、さらに、そうして得られた各層の数値を合計することで、目的とする多層構造のシートの構成繊維の繊維間距離が求められる。
Figure 2022037490000002
(繊維径の測定方法)
測定対象(液透過性シート9及びコアラップシート41)を剃刀(例えばフェザー安全剃刃株式会社製片刃)で切断し、平面視四角形形状(8mm×4mm)の測定片を得る。この測定対象の切断の際には、その切断によって形成される測定片の切断面の構造が、切断時の圧力などによって破壊されないように注意する。好ましい測定対象の切断方法として、測定対象の切断に先立って、測定対象を液体窒素中に入れて十分に凍結させ、しかる後切断する方法が挙げられる。紙両面テープ(ニチバン株式会社製ナイスタックNW-15)を用いて、測定片を試料台に貼り付ける。次いで測定片を白金コーティングする。コーティングには日立那珂精器株式会社製イオンスパッタ装置E-1030型(商品名)を用い、スパッタ時間は30秒とする。測定片の切断面を、日立製作所株式会社製S-4000型電界放射型走査電子顕微鏡を用いて倍率1000倍で観察する。例えば測定対象が積層不織布の場合、電子顕微鏡像より、繊維径及び/又は繊維密度の違いから積層不織布各層の境界を判別し、各層に存する繊維それぞれについて、繊維の長手方向に対する幅方向の長さを10本測定し、その平均値を繊維径とする。
(繊維密度の測定方法)
液透過性シート9及びコアラップシート41のそれぞれの切断面を、走査型電子顕微鏡(例えば日本電子(株)社製のJCM-5100(商品名))を用いて拡大観察(例えば150~500倍)し、液透過性シート9及びコアラップシート41それぞれにおける一定面積当たり(0.5mm程度)の上記切断面によって切断されている繊維の断面数を数える。次に、1mm当たりの繊維の断面数に換算し、これを繊維密度とする。測定は3箇所行い、平均してそのサンプルの繊維密度とする。
(接触角の測定方法)
測定装置として、協和界面科学株式会社製の自動接触角計MCA-Jを用いる。接触角測定には蒸留水を用いる。インクジェット方式水滴吐出部(クラスターテクノロジー社製、吐出部孔径が25μmのパルスインジェクターCTC-25)から吐出される液量を20ピコリットルに設定して、水滴を、繊維の真上に滴下する。滴下の様子を水平に設置されたカメラに接続された高速度録画装置に録画する。録画装置は後に画像解析をする観点から、高速度キャプチャー装置が組み込まれたパーソナルコンピュータが望ましい。本測定では、17msec毎に、画像が録画される。録画された映像において、繊維に水滴が着滴した最初の画像を、付属ソフトFAMAS(ソフトのバージョンは2.62、解析手法は液滴法、解析方法はθ/2法、画像処理アルゴリズムは無反射、画像処理イメージモードはフレーム、スレッシュホールドレベルは200、曲率補正はしない、とする)にて画像解析を行い、水滴の空気に触れる面と繊維とのなす角を算出し、接触角とする。なお、測定用サンプル(液透過性シート9及びコアラップシート41から取り出して得られる繊維)は、液透過性シート9及びコアラップシート41の測定対象部位に位置する繊維を、最表層から繊維長1mmで裁断し、該繊維を接触角計のサンプル台に載せて、水平に維持し、該繊維1本につき異なる2箇所の位置で接触角を測定する。当該測定対象部位において、N=5本の接触角を小数点以下1桁まで計測し、合計10か所の測定値を平均した値(小数点以下第2桁で四捨五入)を、該測定対象部位での接触角と定義する。
(スキンケア剤の形態)
スキンケア剤は、親水性油剤とスキンケア剤を含む混合物からなる表面処理剤として塗工されてもよい。あるいは、親水性油剤が塗工された繊維を用いて不織布を形成した後、当該不織布に、スキンケア剤を含む表面処理剤を塗工してもよい。
親水性油剤は、衛生品用途に使用される一般的な親水化剤であれば特に限定されない。親水性油剤は、一般に、液体である表面処理剤を繊維に安定的に付着させる作用を有する。
また、上記表面処理剤は、スキンケア剤の他、後述する多価アルコールや、スキンケア効果以外の機能を有するもの(例えば抗菌剤、消臭剤等)等を含んでいてもよい。
スキンケア剤を含む表面処理剤は、炭素鎖数が2~4の多価アルコールを含んでいてもよい。このような多価アルコールは、特に親水性成分(親水性油剤、親水性のスキンケア剤等)の溶剤として機能し、これらを均一に分散させることができる。上記多価アルコールは、例えば、1,3-ブチレングリコールである。1,3-ブチレングリコールは、溶剤としての機能のみならず、保湿効果と潤滑性の向上効果を有する。潤滑性が向上することにより、肌と不織布との摩擦を低減することができ、肌へのダメージが抑制される。1,3-ブチレングリコールは、保湿性のある液状の水溶性基剤成分で、さらっとした使用感でべたつきが少なく、肌の潤いを保つ。
(単位面積当たりのスキンケア剤の含有量の測定方法)
スキンケア剤を含む液透過性シート9から溝重複領域9aと非溝重複領域9bを切り分け、それぞれをサンプルとして収集する(好ましくは2g)。それぞれのサンプルの面積を計測し、各領域のサンプルごとの面積の合計値を算出する。各領域のサンプルが2gに満たない場合は、複数枚の液透過性シートから収集してもよい。
上記サンプルとして収集した繊維2gを、下部に小さな開孔がある所定の容器にいれる。その後、蓋で繊維を抑え、繊維を容器の下部に押し込み、蓋を取り除く。そこへ10ccのエタノール/メタノール(1:1)混合の溶液を投入し、10分間静置する。その後、再び蓋をのせて、溶液を含む繊維を強く押し付けることで、繊維に含まれている液(エタノール/メタノール成分)を絞り、絞りとった液を秤量皿にいれる。そして、秤量皿を熱することで溶媒を除去した後、この秤量皿の重量を測定し、液をいれる前の元の秤量皿の重量との差から、スキンケア剤の量を測定する。上述の算出した各領域のサンプルの面積の合計値とスキンケア剤の付着量とから、単位面積当たりのスキンケア剤の含有量を算出する。
なお、各領域の単位面積当たりのスキンケア剤の含有量は、上述の測定を3回行い、その平均値とする。
(凸部及び凹部の識別方法)
凹凸構造を有する液透過性シート9(本実施形態では表面シート2)のシート片(測定片)の非肌対向面を、平らなアクリル板に貼り付ける。ゴム印などをスタンプする際に使用する一般的なスタンプ台(例えば、三菱鉛筆(株)社製のユニスタンプ(商品名)、赤色)の上に、アクリル板を貼り付けた測定片を、肌対向面側を下にして置く。次に、測定片を、アクリル板の上から、1.2kPaで加圧し、該測定片の肌対向面にインクをつける。次に、白紙の上に、インクが付いた測定片の肌対向面(インク面)を下にして測定片を置き、アクリル板の上から1.2kPaで加圧し、インクを白紙に転写する。この白紙にインクが転写された部分(接触部)を凸部とし、インクが転写されていない部分(非接触部)を凹部とする。
(凸部の形状例)
各凸部23の断面形状としては、全体として稜線が滑らかに丸みを帯びた、ドーム状の形状、扁平な直方体、或いは略台形状等であることが好ましい。例えば、図2及び図7に示す表面シート2においては、丸みを帯びたドーム状の形状となっている。
(溝部の平面形状の確認方法)
以下のようにして溝部10の平面形状を確認する。
吸収性物品の股下領域Cの溝部10を含む部分を、鋭利な剃刀で、横方向Yに切断し、この切断されたサンプルの断面をマイクロスコープ(KEYENCE社製VHX-1000)を用いて20~100倍の倍率で観察する。吸収体4の肌対向面4aの肌面側に接するように引いた接線とコアラップシート41が離れる箇所を溝部とする。横方向Yに最も広い部分を溝幅とする。
このように確認された溝部10の平面形状を用いて、溝部10の溝幅及び溝形成領域Gの全幅を測定する。
(加圧されていない状態の液透過性シートの厚みの測定方法)
吸収性物品の股下領域Cからコアラップシート41よりも肌側に存在する液透過性シート9を採取する。液透過性シート9が複数のシートを含む場合は、複数のシートが重なった状態でコアラップシート41から剥す。採取する測定片は、5cm×15cmとする。採取する際コールドスプレーを用いてもよい。採取した測定片の厚みを、カトー・テック社製のKES-G5ハンディー圧縮試験機を用いて測定する。
具体的には、測定片を試験台に取り付け、面積2cmの円形平面を持つ鋼板間で圧縮する。圧縮速度は20μm/sec、圧縮最大荷重は7.8kPa(800gf/cm2)とする。49Pa(0.5gf/cm)荷重時の厚みを測定する。1つの測定片に対し3か所測定し、吸収性物品3枚に対して同様の測定を行い、合計9点の平均値を算出し、加圧されていない状態の液透過性シート9の厚みt1とする。
(加圧時における液透過性シートの変形量の測定方法)
厚みt1の測定と同様に採取した測定片の厚みを、カトー・テック社製のKES-G5ハンディー圧縮試験機を用いて測定する。
具体的には、上述のように、測定片を試験台に取り付け、面積2cmの円形平面を持つ鋼板間で圧縮した場合の、49Pa(0.5gf/cm)荷重時の厚みから6.8kPa(700gf/cm)荷重時の厚みの差を求める。1つの測定片に対し3か所測定し、吸収性物品3枚に対して同様の測定を行い、合計9点の平均値を算出し、変形量t3とする。
(加圧されていない状態における溝部の深さの測定方法)
吸収性物品の股下領域Cの溝部10を含むように鋭利な刃で横方向Yに切断する。肌面側から49Paになるよう調節した錘(50g、接触面の面積100cm×100cm)を乗せた状態で、切断面をマイクロスコープ(KEYECE社製VHX-100)用いて20~100倍の倍率で観察する。溝部10の周囲のコアラップシート41の表面から溝部10の底面のコアラップシート41の表面までの距離を測定する。切断面に複数本の溝が存在する場合はそれぞれについて測定し、吸収性物品3枚について同様の測定を行い、すべての測定値の平均値を算出し、溝部10の深さd1とする。
(加圧時における溝部の深さの測定方法)
錘を、6.8kPaになるよう調節したもの(7kg、接触面の面積100cm×100cm)に変更する以外は、「加圧されていない状態における溝部の深さの測定方法」と同様に溝部10の深さd2を測定する。切断面に複数本の溝が存在する場合はそれぞれについて測定し、吸収性物品3枚について同様の測定を行い、すべての測定値の平均値を算出し、溝部10の深さd2とする。
(表面シートの坪量)
表面シート2の坪量は、好ましくは10g/m以上、より好ましくは15g/m以上であり、好ましくは60g/m以下、より好ましくは40g/m以下である。
表面シート2が上層21及び下層22の2層の不織布で構成されている場合、各層の不織布の坪量は、好ましくは10g/m以上、より好ましくは15g/m以上であり、好ましくは40g/m以下、より好ましくは35g/m以下である。
(中間シートの坪量)
中間シート7の坪量は、好ましくは15g/m以上、より好ましくは20g/m以上、そして好ましくは80g/m以下、より好ましくは60g/m以下である。
(各部の坪量の測定方法)
測定対象領域を、フェザー社製片刃剃刀を用いて切断し、あらかじめ定めた面積となるように測定片を得る。それらの測定片の重量を電子天秤(A&D社製電子天秤GR-300、精度:小数点以下4桁)を用いて測定する。求めた重量を各部の測定片の面積で除して測定片の坪量を算出する。各部のそれぞれについて、測定片5個の坪量の平均を坪量とする。
(表面シート及び中間シートの見かけ密度)
表面シート2の見かけ密度は、好ましくは0.02g/cm以上、より好ましくは0.03g/cm以上であり、好ましくは0.1g/cm以下、より好ましくは0.07g/cm以下である。
中間シート7の見かけ密度は、好ましくは0.008g/cm以上、より好ましくは0.02g/cm以上であり、好ましくは0.05g/cm以下、より好ましくは0.04g/cm以下である。
(見かけ密度の測定方法)
測定対象となるシートの股下領域Cから、4cmの範囲の部分を切断し、測定片を得る。測定片の切断面を、無荷重の状態でマイクロスコープ(KEYECE社製VHX-100)を用いて20~100倍の倍率で観察し、各シートの見かけ厚みを測定する。次いで、測定片の坪量を上述のように測定し、当該坪量を測定した見かけ厚みで除して、見かけ密度を測定する。各シートについて5個の測定片の見かけ密度の平均値を算出し、各シートの見かけ密度とする。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
例えば、以上の実施形態では、吸収性物品として展開型使い捨ておむつの例を示したが、これに限定されない。本発明の吸収性物品は、例えば、パンツ型使い捨ておむつ、尿取りパットやおりものシート、生理用ナプキン等であってもよい。
1…使い捨ておむつ(おむつ、吸収性物品)
2…表面シート
3…裏面シート
4…吸収体
40…吸収性コア
41…コアラップシート
9…液透過性シート
10…溝部
A…腹側領域
B…背側領域
C…股下領域

Claims (8)

  1. 吸収体を備え、着用者の腹側から股間部を通って背側に延びる縦方向と、前記縦方向に直交する横方向と、を有し、かつ、前記縦方向に沿って、腹側領域と、股下領域と、背側領域と、に区分された吸収性物品であって、
    前記吸収体が、高吸水性ポリマーを含む吸収性コアと、前記吸収性コアを覆うコアラップシートと、を含み、
    前記吸収性物品は、前記吸収体の肌側に配置され、前記コアラップシートよりも液透過性が高い、1又は複数の液透過性シートを有しており、
    前記液透過性シートの少なくとも1つは、スキンケア剤を含んでおり、
    前記吸収体は、少なくとも前記股下領域の肌対向面に形成され厚み方向に深さを有する溝部を含む
    吸収性物品。
  2. 前記液透過性シートにおける、前記溝部と平面視で重なる溝重複領域は、前記液透過性シートにおける、前記肌対向面の前記溝部の周囲の領域と平面視で重なる非溝重複領域よりも、単位面積当たりのスキンケア剤が多く含まれる
    請求項1に記載の吸収性物品。
  3. 前記液透過性シートの少なくとも1つは、着用者の肌側に向かって突出した複数の凸部と、前記複数の凸部間に位置する凹部と、を有し、
    前記凹部は、平面視において前記溝部と重なるように配置される
    請求項1又は2に記載の吸収性物品。
  4. 前記凹部が、開孔を含む
    請求項3に記載の吸収性物品。
  5. 前記厚み方向に加圧された状態の前記液透過性シートの前記厚み方向の変形量は、前記厚み方向に加圧された状態の前記溝部の深さよりも大きい
    請求項1から4のいずれか一項に記載の吸収性物品。
  6. 前記液透過性シートは、表面シートと、前記表面シートと前記コアラップシートとの間に位置する中間シートと、を有し、
    前記厚み方向に加圧された状態の前記中間シートの前記厚み方向の変形量は、前記厚み方向に加圧された状態の前記表面シートの前記厚み方向の変形量よりも大きい
    請求項5に記載の吸収性物品。
  7. 前記液透過性シートの前記コアラップシートに対向する面は、前記溝部に接合されていない
    請求項1から6のいずれか一項に記載の吸収性物品。
  8. 前記吸収体の前記肌対向面において前記溝部が形成された溝形成領域は、少なくとも前記股下領域及び前記背側領域に配置されており、
    前記溝形成領域の前記背側領域における前記横方向に沿った全幅は、前記溝形成領域の前記股下領域における前記横方向に沿った全幅よりも大きい
    請求項1から7のいずれか一項に記載の吸収性物品。
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