JP2022037269A - 水分侵入検知方法及び検知装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】電気設備において水分侵入を検知でき、結露及び水分付着による絶縁劣化を未然に防止できる水分侵入検知方法及び検知装置を提供する。【解決手段】水分侵入検知方法は、Nを2以上の整数として、電気設備に配置された、1対1に対応するN組の温度センサ及び湿度センサから、同じタイミングで測定された温度データ及び相対湿度データを取得するステップ302と、温度データと、当該温度データに対応する相対湿度データとを用いて容量絶対湿度を算出するステップ306と、算出されたN個の容量絶対湿度の平均値を算出するステップ308と、乖離量及びその移動平均値を算出するステップ310及び312と、乖離量又は移動平均値としきい値とを比較するステップ314とを含む。これにより、電気設備(例えば列盤)において、特定の電気機器(配電盤等)への水分侵入を検知できる。【選択図】図1

Description

本発明は、配電盤等の電気設備における水分侵入を検知し、結露及び水分付着による絶縁劣化を未然に防止できる水分侵入検知方法及び検知装置に関する。
配電盤等の電気設備は、風雨にさらされる屋外に配置され、高温及び多湿等、劣悪な環境に設置されることがあり、設置されてから同じ環境で長期間使用される。配電盤等の電気設備に絶縁劣化等の異常が発生すると、電力供給先の全ての機器に影響が生じることになる。また、異常の発生は、火災等の重大事故にもつながる可能性がある。したがって、電気設備における絶縁劣化の原因となる結露及び水分付着への対策として、相対湿度をセンサにより測定し、しきい値(例えば、60%RH)を超えるとスペースヒータに通電して相対湿度を下げる、という湿度制御方法が行われている。
例えば、下記特許文献1には、電気機器が収納された筐体内部における結露発生を予測する結露検出ユニットが開示されている。この結露検出ユニットは、電気設備に配置されたヒータ又はファン等の温度制御機器を制御する精度を高めるために、電気設備の筐体の表面温度と、電気設備内部の温度及び湿度とを測定し、測定結果に基づき温度制御機器を制御する。
下記特許文献2には、連結され並べて設置された複数の配電盤(列盤)の設置場所における環境変化等、外部環境による影響を受けることなく電気設備の異常を検知できる異常検知方法が開示されている。この異常検知方法は、複数の配電盤の各々に配置した温度センサの測定データを相対評価することにより、温度異常を検知する。具体的には、各温度センサの測定データから代表値(平均値)を求め、測定データと代表値との差分を算出し、差分の時系列データの移動平均値及び移動標準偏差値を算出して、それらの算出結果に基づき温度異常を検知する。
特開2017-32281号公報 特開2020-9184号公報
列盤として構成される電気設備(配電盤)においては、ピット等からの水分侵入及び雨水侵入(通風口、又は、パッキン及び筐体の劣化により生じる隙間からの侵入)により、特定の盤に結露又は水分付着による絶縁劣化が生じ、不具合が発生することがある。特許文献1及び2のいずれによっても、このような列盤における特定の盤への水分侵入のリスクを検知できない。飽和水蒸気量の温度依存性が非線形(指数関数状の曲線)であることを考慮すると、特許文献1のように、測定データと代表値との差分を用いる方法を相対湿度の測定データに適用しても、水分侵入を精度よく検知することはできない。
また、複数の配電盤により構成される列盤に限らず、複数の機器が同じ環境で使用される電気設備において、特定の機器に結露又は水分付着が発生することを検知できれば好ましい。なお、水分侵入とは、液体か気体かを問わず、電気設備内に水が侵入することを意味する。即ち、液体の水が侵入する場合に限らず、例えば、湿度の高い空気が電気設備内に侵入して結露する場合も、水分侵入に含まれる。
したがって、本発明は、電気設備において水分侵入を検知でき、結露及び水分付着による絶縁劣化を未然に防止できる水分侵入検知方法及び検知装置を提供することを目的とする。
本発明の第1の局面に係る水分侵入検知方法は、Nを2以上の整数として、電気設備に配置された、1対1に対応するN組の温度センサ及び湿度センサから、同じタイミングで測定された温度データ及び相対湿度データを取得するデータ取得ステップと、温度データと、当該温度データに対応する相対湿度データとを用いて容量絶対湿度を算出する容量絶対湿度算出ステップと、算出されたN個の容量絶対湿度の平均値を算出する平均値算出ステップと、N個の容量絶対湿度の各々と平均値とを比較して、電気設備における水分侵入の有無を判定する判定ステップとを含む。これにより、電気設備(例えば列盤)において、特定の電気機器(配電盤等)への水分侵入を検知できる。したがって、結露及び水分付着による絶縁劣化を未然に防止できる。
好ましくは、N個の容量絶対湿度をVij(i=1~N)とし、平均値をVAVとし、βを所定の定数として、乖離量Xijを、Xij=Vij/VAV-βにより算出する乖離量算出ステップをさらに含み、判定ステップにおいて、N個の容量絶対湿度の各々と平均値との比較は、(1-β)を基準値として、乖離量Xijと基準値との差の絶対値が所定のしきい値以上であるか否かを判定することにより成される。これにより、電気設備への水分侵入を容易に検知できる。乖離量が、容量絶対湿度の平均値に対する倍率を含むことにより、温度の影響を排除でき、水分侵入の有無を精度よく判定できる。
より好ましくは、N個の容量絶対湿度をVij(i=1~N)とし、平均値をVAVとし、βを所定の定数として、乖離量Xijを、Xij=Vij/VAV-βにより算出する乖離量算出ステップと、データ取得ステップ、容量絶対湿度算出ステップ、平均値算出ステップ及び乖離量算出ステップを繰返すことにより得られる乖離量の時系列データに関して移動平均値を算出する移動平均値算出ステップとをさらに含み、判定ステップにおいて、N個の容量絶対湿度の各々と平均値との比較は、(1-β)を基準値として、移動平均値と基準値との差の絶対値が所定のしきい値以上であるか否かを判定することにより成される。このように、移動平均値を用いることにより、測定データの短期的な時間変化又は周期的な時間変化をキャンセル又は軽減でき、電気設備への水分侵入の有無をより精度よく判定できる。
さらに好ましくは、しきい値は、乖離量の所定期間における変動の最大の絶対値に、所定の定数αを加算して得られる。これにより、電気設備への水分侵入の有無を精度よく判定できる。
好ましくは、定数αは0.05以上0.2以下の値である。
より好ましくは、しきい値は、温度センサ及び湿度センサの組毎に設定される。
さらに好ましくは、Nは5以上であり、βは1であり、しきい値は0.1以上0.3以下の値である。
本発明の第2の局面に係る水分侵入検知装置は、Nを2以上の整数として、電気設備に配置された、1対1に対応するN組の温度センサ及び湿度センサと、N組の温度センサ及び湿度センサから、同じタイミングで測定された温度データ及び相対湿度データを取得するデータ取得部と、温度データと、当該温度データに対応する相対湿度データとを用いて容量絶対湿度を算出する容量絶対湿度算出部と、算出されたN個の容量絶対湿度の平均値を算出する平均値算出部と、N個の容量絶対湿度の各々と平均値とを比較して、電気設備における水分侵入の有無を判定する判定部とを含む。これにより、電気設備(例えば列盤)において、特定の電気機器(配電盤等)への水分侵入を検知できる。したがって、結露及び水分付着による絶縁劣化を未然に防止できる。
本発明によれば、列盤等の電気設備において、特定の電気機器(配電盤等)への水分侵入を検知でき、結露及び水分付着による絶縁劣化を未然に防止できる。
図1は、本発明の実施の形態に係る水分侵入検知装置の概略構成を示す斜視図である。 図2は、図1に示したセンサユニットの内部構成を示すブロック図である。 図3は、図1に示した解析装置の内部構成を示すブロック図である。 図4は、図3に示した解析装置が実行する処理を示すフローチャートである。 図5は、飽和水蒸気量と温度との関係を示すグラフである。 図6は、温度及び相対湿度の測定結果を示すグラフである。 図7は、図6に示した測定結果から算出した容量絶対湿度の変化を示すグラフである。 図8は、図7に示した容量絶対湿度から算出した乖離量及びその移動平均値の変化を示すグラフである。 図9は、図6に示した測定結果のうち、所定期間における第1センサユニットの測定値(相対湿度)を変更して生成したテストデータと、それを用いて算出した容量絶対湿度とを示すグラフである。 図10は、図9に示した容量絶対湿度から算出した乖離量及びその移動平均値の変化を示すグラフである。
以下の実施の形態では、同一の部品には同一の参照番号を付してある。それらの名称及び機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
(水分侵入検知装置の構成)
図1を参照して、本発明の実施の形態に係る水分侵入検知装置100は、第1センサユニットS1~第5センサユニットS5と、解析装置110とを含む。第1センサユニットS1~第5センサユニットS5はそれぞれ第1配電盤120~第5配電盤128の内部に配置され、解析装置110は第5配電盤128の外部に配置されている。第1配電盤120~第5配電盤128は、同種の配電盤又は類似する配電盤であり、連結され並べて設置され列盤を構成する。第1センサユニットS1~第5センサユニットS5は、それぞれ第1配電盤120~第5配電盤128の内部において、ほぼ同じ位置(例えば同じ高さ)に配置されている。
図2を参照して、第1センサユニットS1は、制御部140、記憶部142、通信部144、バス148、A/D変換部150、温度センサ152及び湿度センサ154を含む。制御部140は、第1センサユニットS1を構成する各部を制御し、例えばCPU(Central Processing Unit)、マイクロコンピュータ(以下、マイコンという)等である。記憶部142は、データを記憶し、例えば、書換可能な不揮発性半導体メモリである。通信部144は、解析装置110と通信するための有線通信モジュールであり、例えば、IC、GPIB、RS-232C、RS-422、RS-485、LAN等により通信を行う。第1センサユニットS1~第5センサユニットS5の各々と解析装置110との間の通信線を破線の矢印で示す。
解析装置110が配置された第5配電盤128の筐体の一部が非導電性部材で形成されており、配電盤内部と外部との間で無線通信が可能であれば、通信部144は、Wi-Fi、Bluetooth(登録商標)又は920MHz帯無線通信等による無線通信モジュールであってもよい。なお、第5配電盤128の筐体が金属であっても、第1センサユニットS1~第5センサユニットS5の各々と解析装置110との間で無線通信可能である場合がある。例えば、第5配電盤128が、解析装置110が配置される部分に開口部を有し、解析装置110の背面が第5配電盤128の内部に露出しており、第1配電盤120~第5配電盤128の隣接部分が導電性部材の壁面を有していなければ(例えば、フレームのみで構成されていれば)、通信部144は、開口部を介して無線通信により第1センサユニットS1~第5センサユニットS5と通信可能になる。無線通信により、通信用の配線が不要になり、各センサユニットの設置が容易になる。
温度センサ152は、温度を測定するための素子であり、検出した温度に応じたアナログ信号を出力する。温度センサ152は、例えば測温抵抗体、熱電対等である。湿度センサ154は、相対湿度(%RH)を測定するための素子であり、検出した相対湿度に応じたアナログ信号を出力する。湿度センサ154は、例えば、抵抗式又は容量式の湿度センサである。後述するように、絶対湿度を精度よく算出するためには、温度センサ152及び湿度センサ154は、近接して配置されていることが好ましい。例えば、センシリオン(SENSIRION)社製のSHT31等の1チップタイプのデジタル温湿度センサを使用できる。
A/D変換部150は、所定のタイミングで、温度センサ152及び湿度センサ154から出力されるアナログ信号をデジタルデータに変換して出力する。A/D変換部150から出力されるデジタルデータ(温度及び相対湿度の測定データ)は、記憶部142に記憶される。なお、温度センサ152及び湿度センサ154が、測定値をデジタルデータとして出力可能であれば、A/D変換部150はなくてもよい。各部間でのデータ交換は、バス148を介して行われる。各部への電力供給は、電池を内蔵することにより、又は、各配電盤に設けられているサービスコンセントによりなされる。
第2センサユニットS2~第5センサユニットS5も第1センサユニットS1と同様に構成されている。なお、第1センサユニットS1~第5センサユニットS5の通信部は、それぞれを一意に区別するための情報(アドレス等)を持っている。
図3を参照して、解析装置110の構成を示す。解析装置110は、制御部160、記憶部162、通信部164、タイマ166及びバス168を含む。制御部160は、解析装置110を構成する各部を制御し、例えばCPU、マイコン等である。記憶部162は、データを記憶し、例えば、書換可能な不揮発性半導体メモリである。通信部164は、第1センサユニットS1~第5センサユニットS5及び外部装置(コンピュータ等)と通信するための通信モジュールである。通信部164は、第1センサユニットS1~第5センサユニットS5と通信するために有線による通信機能を有する。解析装置110は、外部装置(図示せず)と通信するために無線通信機能を有する。なお、解析装置110は、上記したように、第1センサユニットS1~第5センサユニットS5と無線通信可能な状況にあれば、無線通信機能(Wi-Fi、Bluetooth(登録商標)又は920MHz帯無線通信等)を有する。
タイマ166は、制御部160からの要求を受けて、制御部160に現在時刻を表す情報(以下、単に現在時刻という)を伝送する。解析装置110を構成する各部間でのデータ交換は、バス168を介して行われる。
解析装置110は、表示部、操作部を備えていてもよい。表示部は、視覚情報(テキスト、画像等)を表示する。例えば、液晶ディスプレイパネル等の表示パネルと、表示パネルの各画素を駆動する駆動回路とを備えている。操作部は、解析装置110に対する指示を入力するための装置であり、例えば、タッチパネル、操作ボタン等である。解析装置110は、例えばコンピュータであってもよい。
(水分侵入検知装置の動作)
以下では、複数のセンサユニットの代表として第1センサユニットS1に関して説明する。第2センサユニットS2~第5センサユニットS5の各々も第1センサユニットS1と同様に動作する。
(センサユニットの動作)
第1センサユニットS1は、一定の時間間隔で解析装置110からの要求を受けて、温度センサ152及び湿度センサ154により測定した温度データ及び相対湿度データ(以下、両者を測定データともいう)を、解析装置110に送信する。第1センサユニットS1のこの機能は、制御部140が、記憶部142に記憶された所定のプログラムを読出して実行することにより実現される。具体的には、制御部140は、解析装置110から、測定データの送信要求を受信したか否かを繰返し判定し、受信したと判定すれば、A/D変換部150を制御して、A/D変換部150に入力されているアナログ信号(温度センサ152及び湿度センサ154の測定信号)をデジタルデータに変換して、記憶部142に記憶する。続いて、制御部140は、記憶部142から測定データを読出し、通信部144を介して解析装置110に送信する。なお、第1センサユニットS1は、常に温度センサ152及び湿度センサ154による測定を繰返し、測定データを記憶部142に記憶してもよい。その場合、第1センサユニットS1は、解析装置110から送信要求を受信すると、記憶部142に記憶されている最新の測定データを送信すればよい。
測定データの送信要求は、解析装置110から第1~第5センサユニットS1~S5に対してポーリングにより送信される。第1~第5センサユニットS1~S5に対する一連のポーリングは、例えば1時間毎に実行される。なお、測定周期(一連のポーリングが繰返される周期)は1時間に限らず、10分間~3時間の範囲内であればよい。
後述するように、解析装置110は、第1センサユニットS1~第5センサユニットS5の各々から受信した測定データを、その種類(温度及び相対湿度)及びセンサユニットの組毎に、時系列に記憶する。したがって、無線通信の場合、第1センサユニットS1は、自己を特定する情報(送信アドレス、ID等)を付加して、測定データを送信する。解析装置110が、測定データを送信したセンサユニットを物理的に特定できる場合(例えば、センサユニットに1対1に対応させて有線の通信ラインが設けられている場合)、第1センサユニットS1は、自己を特定する情報を付加しなくてもよい。
(解析装置の動作)
解析装置110は、第1センサユニットS1~第5センサユニットS5から測定データを受信し、受信した測定データを、第1センサユニットS1~第5センサユニットS5の各々について時系列に記憶部162に記憶する(過去に受信し、記憶している測定データに追加する)。解析装置110は、第1センサユニットS1~第5センサユニットS5の各々に関して、後述する解析処理を実行できるだけの数の測定データが記憶部162に記憶されると、解析処理を実行する。解析装置110は、解析結果に基づいて、第1センサユニットS1~第5センサユニットS5のいずれかにおいて、異常(水分侵入等)が発生しているか否か、又は異常が発生する予兆があるか否かを判定する。
解析装置110は、図4に示す処理を実行する。図4に示した処理は、制御部160が、所定のプログラムを記憶部162から読出して実行することにより実現される。なお、周期的に測定データを取得するために、記憶部162には、測定タイミングの情報として、測定開始時刻と測定間隔(例えば1時間)とが予め記憶されている。
ステップ300において、制御部160は、第1センサユニットS1~第5センサユニットS5から測定データを取得するか否を判定する。具体的には、制御部160は、記憶部162から測定タイミングの情報を読出し、タイマ166により現在時刻を取得して、測定データを取得するタイミングになったか否かを判定する。ステップ300は繰返し実行されるので、最初に測定データを取得する前にステップ300が実行されるときには、制御部160は、現在時刻が測定開始時刻を経過しているか否かを判定する。測定データを取得した後にステップ300が実行されるときには、制御部160は、現在時刻が前回の測定時刻(前回第1センサユニットS1~第5センサユニットS5から測定データを取得した時刻)から測定間隔以上経過しているか否かを判定する。取得すると判定された場合、制御はステップ302に移行する。そうでなければ、制御はステップ318に移行する。
ステップ302において、制御部160は、ポーリングにより各センサユニットに測定データの送信要求を送信し、各センサユニットから要求に対する応答として測定データを受信し、受信した測定データを記憶部162に記憶する。ステップ300及び302は繰返し実行される。ここでは、第1センサユニットS1~第5センサユニットS5の各々に関して、所定期間Tの間に、等時間間隔にn個の測定データが収集されるとする。所定期間Tに測定されたn個の測定データを、後述する移動平均値等の算出対象とする。測定間隔(例えば1時間)は、全てのセンサユニットから測定データを受信するために要する通信時間よりも十分に長い。したがって、第1センサユニットS1~第5センサユニットS5による測定データは、同じタイミングで測定されたデータとして扱うことができる。「同じタイミング」とは、完全に同一タイミングであることを意味するだけでなく、所定の許容範囲内で一致している場合をも含む意味である。
測定データは、第1センサユニットS1~第5センサユニットS5のいずれから送信されたかが分かるように送信される。したがって、制御部160は、第1センサユニットS1~第5センサユニットS5の各々に関して時系列に、温度データ及び相対湿度データの各々を記憶部162に記憶する。時系列に記憶するために、制御部160は、受信した順に記憶しても、タイマ166から現在時刻を取得して、受信したデータと対応させて記憶してもよい。時刻情報により、測定データの順序を特定できる。制御部160は、測定データを記憶した後、再度実行されるステップ300の判定において前回の測定時刻として使用するために、現在時刻を記憶部162に記憶する。その後、制御はステップ304に移行する。
ステップ304において、制御部160は、解析を実行するか否かを判定する。これは、最初に解析を実行するタイミングを判定するためのものである。ステップ304は、新しい測定データを受信する度に繰返し実行され、1度解析処理を実行すると判定された場合、その後にステップ304が実行されると、解析を実行すると判定される。判定の基準は任意に設定することができる。例えば、各温度センサ及び湿度センサの測定データの各々が所定数以上、記憶部162に記憶されていれば、解析を実行すると判定する。また、測定データを最初に受信してから所定の時間が経過していれば、解析を実行すると判定してもよい。なお、所定のフラグを記憶部162の所定領域に確保し、一度解析を実行すると判定された場合、そのフラグをオンさせて(例えば、フラグに初期値とは別の値をセットする)、その後は、フラグの値(オン)に基づき解析を実行すると判定してもよい。
ステップ306において、制御部160は、第1センサユニットS1~第5センサユニットS5の各々の測定データに関して、同じタイミングで測定された1組の測定データ(温度データ及び相対湿度データ)を記憶部162から読出し、それを用いて、容量絶対湿度を算出する。例えば、制御部160は、温度データTij(℃)と相対湿度データHij(%RH)とを用いて、下記の式1により、容量絶対湿度Vij(g/m)を算出する。iはセンサユニットを特定するためのものであり、i=1~5はそれぞれ第1センサユニットS1~第5センサユニットS5に対応する。jは測定時刻を特定するためのものであり、測定間隔が一定であれば、測定順序を表す整数値であればよい。
ij=217×(6.1078×10)/(Tij+273.15)×Hij/100 ・・・(式1)
ここでK=7.5×Tij/(Tij+237.3)である。算出された容量絶対湿度Vijは、センサユニットSi毎に、時系列(jの順)に記憶部162に記憶される。
ステップ308において、制御部160は、ステップ306により算出された容量絶対湿度Vijの平均値を算出する。具体的には、制御部160は、記憶部162から容量絶対湿度Vijを読出し、jが同じである容量絶対湿度Vij(同じ測定タイミングで測定された温度及び相対湿度から算出された容量絶対湿度)の平均値VAV(VAV=Σij/5)を算出する。Σは、i=1~5に関するVijの合計を意味する。算出された容量絶対湿度VAVは、記憶部162に記憶される。
ステップ310において、制御部160は、ステップ306及び308により算出された容量絶対湿度とその平均値とを用いて、乖離量Xij(i=1~5)を算出する。具体的には、制御部160は、式2により乖離量Xijを算出する。
ij=Vij/VAV-1 ・・・(式2)
i番目のセンサユニットSi(i=1~5)の乖離量Xijは、jに対応する測定タイミングの測定データから算出された容量絶対湿度Vijの、平均値VAVからのずれ(差)の程度を表す。制御部160は、算出した乖離量Xijを、センサユニットSi毎に、時系列(jの順)に記憶部162に記憶する。
空気の単位体積当たりに存在可能な水蒸気量(飽和水蒸気量(g/m))の温度に対する変化は、図5に示すように指数関数状の曲線である。したがって、相対湿度の変化が同じであっても、水蒸気量の変化は温度によって大きく異なる。即ち、相対湿度が所定量変動した場合、高温状態における水蒸気量の変動は、低温状態よりも大きくなる。このことから、湿度の評価において、単に相対湿度の差分を用いて評価すると、低温状態においては、相対湿度の変動に対して感度が鈍くなり、高温状態においては、逆に感度が高くなり、湿度の変動に対して一様な評価ができない。そのために、上記したように、平均値に対する倍率(Vij/VAV)を含む乖離量を用いる。なお、1を減算しているのは、評価値をゼロ付近の値にシフトさせるためのものである。電気設備の容量絶対湿度(1m当たりの水蒸気量(g))は、他に水分が供給されない限りは外気に含まれる水蒸気量により決定されるので、どの盤もほぼ一定であり、異常がなければ、乖離量はゼロ付近の値となる。
ステップ312において、制御部160は、ステップ310により算出された乖離量Xijを記憶部162から読出し、所定期間T内の乖離量Xijの移動平均値を算出する。制御部160は、算出結果(移動平均値)を記憶部162に記憶する。具体的には、所定時間T内の測定回数をnとして、i番目のセンサユニットSiに関して、連続するn個の乖離量Xijの平均値を算出し、移動平均値Xavikとする(kは、例えば算出の順序を表す整数)。即ち、Xavik=Σij/nである。Σは、jについてn個のXijを合計することを意味する。ステップ312は、ステップ310により新たに乖離量Xijが算出される度に、対象データを変更しつつ実行される。移動平均値を算出する処理は、平均値を算出する対象データを、時系列データの中から選択するウィンドウ(所定期間T)をスライドさせながら、平均値を算出する処理である。現在の対象データに新たな乖離量が1つ追加されると、最も古い乖離量が対象データから除外される。ウィンドウは、例えば1日である。測定の周期が1時間であり、ウィンドウが1日であれば、連続する24個の乖離量から移動平均値が算出される。
ステップ314において、制御部160は、ステップ310によりセンサユニット毎に算出された乖離量Xij、又は、ステップ312によりセンサユニット毎に算出された移動平均値Xavikが、しきい値以上であるか否かを判定する。しきい値以上であると判定された場合、制御はステップ316に移行する。そうでなければ、制御はステップ318に移行する。なお、しきい値は、乖離量及び移動平均値の各々に関して異なる値が設定されても、同じ値が設定されてもよい。
しきい値は、例えば0.1以上0.3以下の値である。しきい値は、異常の発生していないときのデータのばらつきをも考慮して決定することが好ましい。例えば、異常の発生していないときの乖離量及び移動平均値の各々の変化の最大値(絶対値)よりも大きい値を、それぞれ乖離量及び移動平均値のしきい値とすることができる。
ステップ316において、制御部160は、乖離量又は移動平均値がしきい値以上であったセンサユニットに異常(水分侵入)があることを表すメッセージを提示する。例えば、制御部160は、異常があるセンサユニットを特定する情報(センサユニット毎に付した番号i)を付して所定の指示を、通信部164を介して外部装置(コンピュータ、携帯端末(スマートフォン、携帯電話)等)に送信する。外部装置は、指示を受信すると、表示装置に所定のメッセージを含む画像を表示する。メッセージは、例えば、第i配電盤に水分侵入が発生している(又はその可能性がある)旨のメッセージである。また、設備管理者の電子メールアドレスを記憶部162に予め記憶しておき、制御部160が、そのアドレス宛に所定のメッセージを含む電子メールを送信してもよい。
ステップ318において、制御部160は、終了の指示を受けたか否かを判定する。終了の指示は、例えば解析装置110の電源がオフされることにより成される。終了の指示を受けたと判定された場合、本プログラムは終了する。そうでなければ、制御はステップ300に戻り、制御部160は、上記の処理を繰返す。
以上により、水分侵入検知装置100は、列盤における水分侵入を検知できる。即ち、複数の配電盤内部の温度及び相対湿度の時系列データから算出した容量絶対湿度の、平均値からの乖離量を用いることにより、特定の盤における水分侵入を検知できる。乖離量を用いることにより、水分侵入を容易に検知できる。また、乖離量の移動平均値を用いることにより、温度センサ及び湿度センサの誤差(測定誤差等)をキャンセル又は軽減でき、水分侵入の有無をより容易に判定できる。
測定データ(温度及び相対湿度)及び容量絶対湿度をグラフ化し、その変動を目視により判定し、水分侵入を検知することも不可能ではないが、実施例として後述するように、容易ではない。それに対して、乖離量及びその移動平均値を用いることにより、容易且つ精度よく水分侵入を検知できる。
乖離量Xijは、βを定数(任意の実数)として、Xij=Vij/VAV-βにより算出してもよい。その場合、図4に示したステップ314において、(1-β)を基準値として、乖離量と基準値との差の絶対値|Xij-(1-β)|、又は、移動平均値と基準値との差の絶対値|Xavik-(1-β)|が、しきい値以上であるか否かを判定すればよい。
水分侵入の有無を判定するためのしきい値は、固定値(例えば、0.1~0.3)としてもよいが、一定の学習期間(異常が発生していない期間)より得られた乖離量の変動の最大値Δ(絶対値)に定数α(例えば、α=0.05~0.2)を加算した値Δ+αをしきい値としてもよい。これにより、水分侵入の有無を精度よく判定できる。最大値Δは盤毎に異なるので、盤毎に異なるしきい値が決定される。このようにしきい値を設定すれば、通常状態における誤差、及び、容量絶対湿度のばらつきを考慮したしきい値となるので、より好ましい。
また、異常のレベルに応じて複数のしきい値を用いてもよい。例えば、各センサユニットの最大値に対して、注意レベルに対応する第1しきい値をΔ+0.05とし、警告レベルに対応する第2しきい値をΔ+0.15としてもよい。このようにすれば、より細かく異常(水分侵入)の程度を診断でき、状況に応じて適切なメッセージを提示できる。
上記では、移動平均値を算出する対象データを選択するためのウィンドウが1日である場合を説明したが、これに限定されない。ウィンドウを小さくすれば、異常検出のレスポンスは高くなるが、正常時の変動の影響を受け易くなる。このことを考慮すると、ウィンドウは5時間~3日間であればよい。
上記では、乖離量を用いる場合を説明したが、これに限定されない。各センサユニットSi(i=1~5)に関して、容量絶対湿度Vijとその平均値VAVとの比較により、各センサユニットが設定された配電盤の異常(水分侵入)の有無を判定すればよい。
上記では、解析装置110を列盤に配置する場合を説明したが、これに限定されない。例えば、各センサユニットによる測定データを無線により、外部装置(コンピュータ等)に送信し、外部装置において解析(容量絶対湿度、乖離量及びその移動平均値の算出)してもよい。
上記では、5台の配電盤の各々に1つのセンサユニットを設置する場合を説明したがこれに限定されない。6台以上又は4台以下の配電盤により構成された列盤であってもよい。その場合にも、配電盤の各々に1つのセンサユニットを設置すれば、異常な盤を特定できる。また、複数の配電盤の一部にセンサユニットを配置してもよい。例えば、5台の配電盤により構成される列盤において、3台の配電盤の各々にセンサユニットを配置してもよい。その場合にも上記したように、3つのセンタユニットにより測定された温度及び相対湿度から、容量絶対湿度、乖離量及びその移動平均値を算出し、乖離量又はその移動平均値がしきい値以上であるか否かを判定すればよい。
上記では、メッセージを表示する場合を説明したが、これに限定されない。音響(音声を含む)又はLEDの点灯等により提示してもよい。
上記では、特定の配電盤に異常が発生したと判定されると、所定のメッセージを提示する場合を説明したが、これに限定されない。所定のメッセージを提示すると共に、水分侵入の異常を緩和するように制御してもよい。例えば、各配電盤がスペースヒータを備えていれば、特定の配電盤に水分侵入が発生したと判定されると、制御部160は、その配電盤のスペースヒータを作動させて過熱してもよい。これにより、相対湿度を低下させて、絶縁劣化の発生を抑制できる。なお、スペースヒータを制御する場合には、第1センサユニットS1~第5センサユニットS5を各盤の下部に配置することが好ましい。
また、第1センサユニットS1~第5センサユニットS5の測定データ(温度及び相対湿度)から水分侵入の有無を判定することに加えて、第1センサユニットS1~第5センサユニットS5の温度センサの測定データ(温度)を用いて、温度異常の有無を判定してもよい。温度異常の有無を判定するには、例えば、各温度センサの測定データから代表値(平均値)を求め、測定データと代表値との差分を算出し、差分の時系列データの移動平均値及び移動標準偏差値を算出して、それらの算出結果のうち少なくとも1つをしきい値と比較すればよい(特許文献2参照)。なお、水分侵入の有無に加えて、温度異常の有無をも判定する場合には、第1センサユニットS1~第5センサユニットS5を各盤の上部に配置することが好ましい。
上記では、対象の電気設備が列盤である場合を説明したが、これに限定されない。例えば、複数の電気機器が並置されて構成される電気設備に、水分侵入検知装置100を配置すれば、特定の機器の内部における結露又は水分付着を検知できる。
上記では、解析装置110から第1センサユニットS1~第5センサユニットS5の各々に測定データの送信要求を送信し、それに対する応答として各センサユニットが測定データを解析装置110に送信する場合を説明したが、これに限定されない。第1センサユニットS1~第5センサユニットS5の各々が、時刻がそろったタイマを備え、一定時間(例えば1時間)毎に温度及び相対湿度を測定し、測定データを解析装置110に送信してもよい。その場合、第1センサユニットS1~第5センサユニットS5の各々の記憶部に、測定タイミングの情報として、測定の開始時刻と測定間隔(例えば1時間)とを記憶しておけばよい。
以下に、実験結果を示し、本発明の有効性を示す。図1に示したように、5台の配電盤で構成された列盤において、各配電盤の内部にセンサユニットを配置し、温度及び相対湿度を測定した。第1センサユニットS1~第5センサユニットS5に関する測定結果を図6に示す。図6の(a)は、測定された温度(℃)の変化(以下、トレンドという)を示し、図6の(b)は、測定された相対湿度(%RH)のトレンドを示す。グラフの横軸は時間を表し、測定開始からの日数を表す。測定の周期は1時間である。
図6に示した測定データから、上記の式1を用いて算出した容量絶対湿度を図7に示す。図7に示した容量絶対湿度から、上記の式2を用いて算出した乖離量及びその移動平均値を、それぞれ図8の(d)及び(e)に示す。移動平均値を算出するためのウィンドウは1日である。即ち、移動平均値は連続する24個の乖離量の平均値である。
図6の(b)に示した相対湿度の測定データを一部変更し、乖離量及びその移動平均値への影響を調べた。具体的には、図9を参照して、第1センサユニットS1の相対湿度の測定データのうち、測定期間の最後の5日間(符号Dを付した期間)の各測定データに5(%RH)を加算して、新たなデータを生成した。例えば、測定データが60(%RH)であれば、その値に5(%RH)を加算して得られる65(%RH)を新たなデータとする。図9の(f)において、第1センサユニットS1のデータのうち、期間D以外のデータ、及び、第2センサユニットS2~第5センサユニットS5のデータは、図6の(b)に示した測定データと同じである。
図9の(f)に示した相対湿度、及び、図6の(a)に示した温度を用いて、上記の式1を用いて算出した容量絶対湿度を図9の(g)に示す。図9の(g)において、第1センサユニットS1のデータのうち、期間D以外のデータ、及び、第2センサユニットS2~第5センサユニットS5のデータは、図7に示したデータと同じである。
図9の(g)に示した容量絶対湿度から、上記の式2を用いて算出した乖離量及びその移動平均値を、それぞれ図10の(h)及び(i)に示す。図10に示した各グラフにおいて、測定データに5(%RH)を加算した期間Dを示す。図10の(h)に示した第1センサユニットS1の乖離量と、図8の(d)に示した第1センサユニットS1の乖離量とを比較すると、期間Dにおいて大きく異なることが分かる。したがって、乖離量を用いることにより、水分侵入の異常を容易に検知できる。
また、図10の(i)に示した第1センサユニットS1の移動平均値と、図8の(e)に示した第1センサユニットS1の移動平均値とを比較すると、期間Dにおいて大きく異なることが分かる。したがって、乖離量の1日の移動平均値(ウィンドウが1日)を用いることにより、水分侵入の異常をより容易に検知できる。
図9の(f)及び図6の(b)における第1センサユニットS1のグラフ(相対湿度)を比較しても、5%RH程度の相対湿度の変化を目視で判別することは難しい。また、図9の(g)及び図7における第1センサユニットS1のグラフ(容量絶対湿度)を比較しても、5%RH程度の相対湿度の変化の容量絶対湿度への影響を目視で判別することは難しい。しかし、上記したように、乖離量又はその移動平均値を用いることにより、異常(水分侵入)を容易に検知できる。
なお、図10の(h)に示した第2センサユニットS2~第5センサユニットS5の乖離量と、図8の(d)に示した第2センサユニットS2~第5センサユニットS5の乖離量とを比較すると、第2センサユニットS2~第5センサユニットS5の乖離量も期間Dにおいて変化しているが、その変化は僅かである。これは、S1のデータが変更された(5%RH加算された)ことにより、容量絶対湿度の平均値VAVが変化(増大)したために、Vij/VAVが減少したことが原因である。したがって、特定の配電盤における異常は、他の配電盤の乖離省及びその移動平均値には殆ど影響せず、他の配電盤が異常であると間違って判定される可能性は低い。
以上、実施の形態を説明することにより本発明を説明したが、上記した実施の形態は例示であって、本発明は上記した実施の形態のみに制限されるわけではない。本発明の範囲は、発明の詳細な説明の記載を参酌した上で、特許請求の範囲の各請求項によって示され、そこに記載された文言と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含む。
100 水分侵入検知装置
S1 第1センサユニット
S2 第2センサユニット
S3 第3センサユニット
S4 第4センサユニット
S5 第5センサユニット
110 解析装置
120 第1配電盤
122 第2配電盤
124 第3配電盤
126 第4配電盤
128 第5配電盤
140、160 制御部
142、162 記憶部
144、164 通信部
166 タイマ
148、168 バス
150 A/D変換部
152 温度センサ
154 湿度センサ

Claims (5)

  1. Nを2以上の整数として、電気設備に配置された、1対1に対応するN組の温度センサ及び湿度センサから、同じタイミングで測定された温度データ及び相対湿度データを取得するデータ取得ステップと、
    前記温度データと、当該温度データに対応する前記相対湿度データとを用いて容量絶対湿度を算出する容量絶対湿度算出ステップと、
    算出されたN個の前記容量絶対湿度の平均値を算出する平均値算出ステップと、
    N個の前記容量絶対湿度の各々と前記平均値とを比較して、前記電気設備における水分侵入の有無を判定する判定ステップとを含むことを特徴とする、水分侵入検知方法。
  2. N個の前記容量絶対湿度をVij(i=1~N)とし、前記平均値をVAVとし、βを所定の定数として、乖離量Xijを、Xij=Vij/VAV-βにより算出する乖離量算出ステップをさらに含み、
    前記判定ステップにおいて、N個の前記容量絶対湿度の各々と前記平均値との比較は、(1-β)を基準値として、前記乖離量と前記基準値との差の絶対値が所定のしきい値以上であるか否かを判定することにより成されることを特徴とする、請求項1に記載の水分侵入検知方法。
  3. N個の前記容量絶対湿度をVij(i=1~N)とし、前記平均値をVAVとし、βを所定の定数として、乖離量Xijを、Xij=Vij/VAV-βにより算出する乖離量算出ステップと、
    前記データ取得ステップ、前記容量絶対湿度算出ステップ、前記平均値算出ステップ及び前記乖離量算出ステップを繰返すことにより得られる乖離量の時系列データに関して移動平均値を算出する移動平均値算出ステップとをさらに含み、
    前記判定ステップにおいて、N個の前記容量絶対湿度の各々と前記平均値との比較は、(1-β)を基準値として、前記移動平均値と前記基準値との差の絶対値が所定のしきい値以上であるか否かを判定することにより成されることを特徴とする、請求項1に記載の水分侵入検知方法。
  4. 前記しきい値は、前記乖離量の所定期間における変動の最大の絶対値に、所定の定数を加算して得られることを特徴とする、請求項2又は請求項3に記載の水分侵入検知方法。
  5. Nを2以上の整数として、電気設備に配置された、1対1に対応するN組の温度センサ及び湿度センサと、
    N組の温度センサ及び湿度センサから、同じタイミングで測定された温度データ及び相対湿度データを取得するデータ取得手段と、
    前記温度データと、当該温度データに対応する前記相対湿度データとを用いて容量絶対湿度を算出する容量絶対湿度算出手段と、
    算出されたN個の前記容量絶対湿度の平均値を算出する平均値算出手段と、
    N個の前記容量絶対湿度の各々と前記平均値とを比較して、前記電気設備における水分侵入の有無を判定する判定手段とを含むことを特徴とする、水分侵入検知装置。
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