以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。なお、各図中、同一または相当する部分には、同一符号を付して、その説明を適宜省略または簡略化する。また、各図に記載の構成について、その形状、大きさ、及び配置等は、本発明の範囲内で適宜変更することができる。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1における母船であって、船尾部分の内部構造の一例を示した説明図である。本実施の形態1では、舟艇設置体100の一例として母船を例に説明する。母船100には、図1に示すように、船体の船尾に設けられた後部格納庫Sの内部に、舟艇200の投入揚収装置101が設けられている。舟艇とは、一例として11m級の小型船である。投入揚収装置101は、母船100の船尾に設けられた後部扉100aを開けて、後部格納庫Sの内部から水上へ舟艇200を投入し、又は水上から後部格納庫Sの内部へ舟艇200を揚収する装置である。
投入揚収装置101は、図1に示すように、舟艇200を載置させて母船100の後部格納庫Sを移動するクレードル102と、クレードル102の移動をガイドするレール部材103と、舟艇200を牽引する牽引装置104と、を有している。
クレードル102は、舟艇200を載置させる台部102aと、台部102aの上面に設けられた複数の駆動ユニット102bと、を有している。台部102aの側面には、レール部材103を走行する車輪が設けられている。クレードル102は、車輪がレール部材103を走行することで、母船100の後部格納庫Sを前後方向に移動する。
駆動ユニット102bは、牽引装置104によって引き揚げられた舟艇200を、台部102aの上面で移動させる駆動力となるものである。駆動ユニット102bは、前後に2つずつホイールが設けられ、そのホイールにゴムタイヤが取り付けられた構成である。駆動ユニット102bは、舟艇200の移動方向にゴムタイヤが回転するように配置されている。駆動ユニット102bは、例えば、舟艇200の移動方向に沿って5つ並べた組が、間隔をあけて2列で配置されている。
レール部材103は、後部格納庫Sの内奥から船尾の後端まで、母船100の前後方向に沿って設けられている。レール部材103は、クレードル102の両側にそれぞれ配置されている。レール部材103は、後部格納庫Sの内奥から中間位置までが略水平とされ、中間位置から船尾の後端までが水上に向かって下方に傾斜させた構成とされている。
牽引装置104は、後部格納庫Sの内奥に設けられたウインチ104aと、舟艇200に接続されウインチ104aによって巻き上げられるワイヤ104bと、を有している。牽引装置104は、ウインチ104aを駆動させてワイヤ104bを巻き上げることで、該ワイヤ104bに接続された舟艇200を水上からクレードル102の載置位置まで引き揚げることができる。なお、牽引装置104の動力源は、例えば外部給電、バッテリー又は発動発電機等である。
なお、投入揚収装置101は、図示した構成に限定されない。投入揚収装置101は、後部格納庫Sの内部から水上へ舟艇200を投入し、又は水上から後部格納庫Sへ舟艇200を揚収することができれば、他の形態でもよい。
次に、図2~図9を参照して、本実施の形態1に係る水中航走体201の投入装置1を有する舟艇200について説明する。
図2は、実施の形態1における舟艇の内部構造を示した側面図である。図3は、実施の形態1における舟艇の内部構造を示した平面図である。図4は、実施の形態1に係る水中航走体の投入装置の前方側を示した拡大図である。図5は、実施の形態1に係る水中航走体の投入装置を後方側から示した斜視図である。図6の(A)~(C)は、実施の形態1に係る水中航走体の投入装置の構成要素をそれぞれ示した説明図である。図6(A)は、架台2である。図6(B)は、スライドレール3である。図6(C)は、カムレール5である。
また、図7は、実施の形態1に係る水中航走体の投入装置を後方側から示した拡大図である。図8は、実施の形態1に係る水中航走体の投入装置のスライドレールの要部を示した拡大図である。図9は、実施の形態1に係る水中航走体の投入装置の駆動装置を模式的に示した説明図である。
舟艇200は、図2~図7に示すように、水中航走体201を水中400へ投入させる投入装置1を有している。投入装置1は、水中航走体201を載置させる架台2と、架台2をスライド自在に支持するスライドレール3と、架台2とスライドレール3との間に介在するスライドガイド4(図4及び図7を参照)と、架台2の移動を誘導するカムレール5と、スライドレール3に対して架台2を水中400に向かってスライドさせる駆動機構6と、を有している。水中航走体201は、架台2がスライドレール3上をスライドして目標の位置まで到達した段階で水中400に投入される。
水中航走体201は、例えば自律型無人潜水機又は遠隔操作無人探査機などであって、海底測量又は海底の地形調査等を行う水中400で活動する装置である。なお、水中航走体201は、前記の構成に限定されず、他の目的で使用するものでもよい。
架台2は、図4~図7に示すように、平板状の台座部20と、台座部20の左右縁辺に沿って設けられた1対の枠部21と、を有している。架台2は、台座部20と1対の枠部21とで、下向きに開口する凹形状とされている。
台座部20は、上面に水中航走体201が載置され、下面がスライドレール3にスライド自在に支持されている。図4及び図5に示した台座部20はトラス状に形成されているが、トラス状に限定されず、他の形態でもよい。台座部20の上面には、水中航走体201を固定させるためのアタッチメント22が設けられている。アタッチメント22は、水中航走体201の大きさ及び形状に応じた構成のものが使用される。また、台座部20の先端には、カムレール5に沿って移動するカムローラ23が設けられている。架台2は、カムローラ23がカムレール5に沿って移動することで、スライドレール3上を前後方向にスライドすると共に、高さ方向の傾きが変化する構成である。
枠部21は、台座部20の下面から下方へ向かって突き出しており、スライドレール3の外側に配置されている。図示した枠部21はトラス状に形成されているが、トラス状に限定されず、他の形態でもよい。
スライドレール3は、架台2の荷重を上面で支えて、該架台2をスライド自在に支持するものである。スライドレール3は、舟艇200の内部に固定されており、舟艇200の内部から船尾に向かって延伸させて設けられている。スライドレール3は、図6(B)に示すように、前端部から後端側に近い中間部までが水平面30とされ、当該中間部から後端部までが下方に向かって傾斜した傾斜面31とされている。スライドレール3は、水平面30において架台2を略水平に支持し、傾斜面31において架台2を下方に傾斜させて支持する構成である。また、スライドレール3は、図7に示すように、2列で設けられている。図7及び図8に示すように、スライドレール3の上面には、架台2をスライドさせるための複数のスライドローラ3aが間隔をあけて設けられている。また、スライドレール3は、隣り合うスライドレール3の対向する側面にも、複数のスライドローラ3bが間隔をあけて設けられている。なお、スライドレール3は、図示した2列に限定されず、1列でもよいし、3列以上としてもよい。
スライドガイド4は、図7に示すように、スライドレール3の上面に設けられたスライドローラ3aをスライドする水平部40と、スライドレール3の側面に設けられたスライドローラ3bをスライドする垂直部41と、を有しており、移動方向から見た形状が略T字状とされている。スライドガイド4は、水平部40が架台2とスライドレール3との間に挟まれて配置され、垂直部41が隣り合うスライドレール3の対向する側面の間に配置されている。架台2は、スライドローラ3a及び3bによってスライドレール3を摺動するスライドガイド4によって、スライドレール3上をスライドする構成である。但し、スライドガイド4は、必ずしも設ける必要はなく、スライドレール3に架台2を直接載置させてもよい。
カムレール5は、台座部20の先端部に設けたカムローラ23を案内するものである。カムレール5は、図4に示すように、内向きに開口を有する凹形状とされ、凹内部をカムローラ23が移動する構成とされている。カムレール5は、舟艇200の内部から船尾に向かって延伸させて設けられている。カムレール5は、舟艇200の内部に固定されている。カムレール5は、図6(C)に示すように、水平な前端部から上方に向かって傾斜する第1傾斜レール50と、第1傾斜レール50の後端から下方に向かって傾斜する第2傾斜レール51と、を有している。
駆動機構6は、スライドレール3上の架台2を前後方向にスライドさせることができれば、どのような機構でもよい。一例として図9では、ラックピニオン機構から成る駆動機構を模式的に示している。このラックピニオン機構は、モータ6aと、モータ6aの駆動力によって回転運動するピニオン6bと、ピニオンモータの回転運動を直線運動に変換するラック6cと、ピニオン6bとラック6cとの間に介在するピニオンギア6dと、を有している。ピニオンギア6dは、架台2とカムローラ23とを連結する回転軸24に設けられている。ラックピニオン機構は、ピニオンモータでピニオンギア6dを回転させて、ピニオンギア6dがラック6cを移動することで、ピニオンギア6dに連結された回転軸24が回転し、架台2をスライドさせることができる。因みに、駆動機構6の動力源としては、例えば外部給電、バッテリー又は発動発電機等である。なお、図示することは省略したが、駆動機構6は、架台2に連結されたワイヤと、ワイヤを駆動させるモータと、を有した構成でもよい。また、駆動機構6は、油圧シリンダ又は電動シリンダを用いてもよい。また、駆動機構6は、舟艇200の外部から遠隔操作によって駆動させてもよいし、舟艇200の内部で操作を行って駆動させてもよい。
次に、図10を参照して投入装置1の動作を説明する。図10は、実施の形態1に係る水中航走体の投入装置の動作を示した説明図である。図10の(a)点では、カムローラ23がカムレール5の前端部に位置した初期状態を示している。この初期状態では、架台2はスライドレール3の水平面30に支持され、架台2の台座部20に水中航走体201が水平に保持されている。そして、駆動機構6を駆動させて架台2を後方側に向かって移動させると、図10の(b)点に示すように、カムローラ23がカムレール5の第1傾斜レール50に追従することで、架台2の前方側が上方に持ち上げられ、架台2の下部は、重力によってスライドレール3に押し付けられる。このとき、架台2は、後部がスライドレール3における水平面30と傾斜面31との境目に線接触することとなり、カムローラ23を通るスライドレール3の接線となる。図10の(c)点に示すように、カムローラ23が更に上昇すると、架台2の前方側が更に上方に持ち上げられ、カムローラ23を通るスライドレール3の接線が、スライドレール3の傾斜面31と平行となる状態に近づく。そして、図10の(d)点に示すように、カムローラ23がカムレール5の第2傾斜レール51に到達することで、架台2はスライドレール3の傾斜面31に支持される。このとき、カムローラ23を通るスライドレール3の接線が、スライドレール3の傾斜面31と平行となり、架台2がスライドレール3の傾斜面31と面接触となって水中に向かって下方に傾斜する。
なお、図11の(A)及び(B)は、実施の形態1に係る水中航走体の投入装置を舟艇の内部に複数設置した構成を示した説明図である。図11(A)は、水中航走体201の投入装置1を舟艇200の内部に2台並列させて設置した構成を示している。図11(B)は、水中航走体201の投入装置1を舟艇200の内部に3台並列させて設置した構成を示している。図11(A)及び(B)に示すように、実施の形態1に係る水中航走体201の投入装置1は、舟艇200の内部に複数台設置してもよい。このように投入装置1を複数台設置することで、例えば異なる性能を有する水中航走体201を母船100で運搬し、水中400に投入することができる。なお、水中航走体201の投入装置1は、舟艇200の形状及び大きさ等に応じて、4台以上設置することもできる。
次に、図12を参照して、水中航走体201を舟艇200の内部に装填させる工程の一例を簡潔に説明する。図12の(A)及び(B)は、舟艇の内部に水中航走体を装填させる工程の一例を示した説明図である。先ず、図12(A)に示すように、水中航走体201を運搬台車300の台座300aに載せて、舟艇架台301に支持された舟艇200まで運搬する。運搬台車300は、台座300aを昇降させる昇降装置300bを備えている。次に、運搬台車300の昇降装置300bを操作して、台座300aが舟艇200内の架台2の台座部20と同じ高さとなるように調整する。そして、図12(B)に示すように、水中航走体201を架台2に向かって移動させて台座部20の上面に載置させる。なお、水中航走体201を舟艇200の内部に装填させる手段は、図12に示した構成に限定されない。水中航走体201を舟艇200の内部に装填することができれば、どのような手段を用いてもよい。
次に、図13及び図14を参照して、水上から母船100の後部格納庫Sへ舟艇200を揚収する工程について説明する。図13の(A)及び(B)は、水上から母船の後部格納庫へ舟艇を揚収する工程の一例を示した説明図である。図14は、母船の後部格納庫に舟艇を搭載した状態を示した説明図である。
先ず、図13(A)に示すように、母船100の後部扉100aを開き、クレードル102を船尾方向に向かって移動させる。次に、曳航されてきた舟艇200の先端にワイヤ104bを接続し、ウインチ104aを駆動させてワイヤ104bを巻き上げる。図13(B)に示すように、舟艇200は、牽引装置104の駆動力及び駆動ユニット102bの駆動力と、クレードル102自体の移動によって、水上からクレードル102の載置位置まで引き揚げられる。そして、図14に示すように、舟艇200からワイヤ104bを外し、レール部材103に沿ってクレードル102を後部格納庫Sの内奥まで移動させる。最後に、ワイヤーロープ等の固縛部材105で舟艇200をクレードル102に縛って固定させて、舟艇200の搭載が完了する。
次に、図15~図17を参照して、舟艇200から水中航走体201を水中400に投入する方法について説明する。舟艇200から水中航走体201を水中400に投入する方法には、A方式とB方式とがある。先ず、図15及び図16を参照してA方式について説明する。図15の(A)及び(B)は、後部格納庫に収容した舟艇を母船の船尾後端に移動させる工程を示した説明図である。図16の(A)及び(B)は、母船内部の舟艇から水中航走体を水中に投入する工程を示した説明図である。
図15(A)に示すように、先ず、水中航走体201を水中400の投入させる位置に母船100を配置する。なお、舟艇200は、固縛部材105でクレードル102に固定されている。そして、母船100の後部扉100aを開くと共に、舟艇200の後部扉200aも開く。次に、図15(B)に示すように、クレードル102の後部が海面に到達するまで、クレードル102をレール部材103に沿って後方へ移動させる。
次に、図16(A)に示すように、架台2の台座部20に水中航走体201を固定したまま、架台2を水中400に向かって後方に段階的にスライドさせる。架台2を水中400に向かって後方に段階的にスライドさせる工程については、図10に示す通りである。架台2は、スライドレール3とカムレール5によって姿勢を変化させながら、ゆっくりと海面に下ろされる。そして、図16(B)に示すように、架台2は、スライドレール3の後端に設けられたストッパに突き当たり、ほぼ全体が水中400に投入される。このとき、架台2は、カムレール5の後端で支持されたカムローラ23を支点としてピッチフリーとなる。最後に、アタッチメント22のロックを解除して、架台2から水中航走体201が水中400に投入される。
A方式の投入方法では、架台2のほぼ全体が水中400に投入されているので、水中航走体201が海面に近くなり、水中航走体201の投入時のピッチ角も小さくなる。よって、水中航走体201を水中400に投入する際に、水中航走体201の負担が小さくなる。
次に、図17を参照してB方式について説明する。図17の(A)及び(B)は、母船内部の舟艇から水中航走体を水中に投入する工程を示した説明図である。後部格納庫Sに収容した舟艇を母船の船尾後端に移動させる工程については、図15に示す通りである。図17(A)に示すように、架台2の台座部20に水中航走体201を固定したまま、架台2を水中400に向かって後方に段階的にスライドさせる。架台2を水中400に向かって後方に段階的にスライドさせる工程については、図10に示す通りである。架台2は、スライドレール3とカムレール5によって姿勢を変化させながら、ゆっくりと海面に下ろされる。そして、図17(B)に示すように、架台2は、スライドレール3の中間部で移動が停止され、後部のみが水中400に投入された状態となる。最後に、アタッチメント22のロックを解除して、架台2から水中航走体201が水中400に投入される。
B方式の投入方法では、架台2がスライドレール3に固定された状態で、架台2から水中航走体201を水中400に投入するので、水中航走体201が波浪の影響を受け難くなる。
以上のように、本実施の形態1に係る水中航走体201の投入装置1は、舟艇200の投入揚収装置101を備えた母船100から、水中航走体201を水中400に投入させるものである。水中航走体201の投入装置1は、舟艇200の内部に、水中航走体201を載置させる架台2と、架台2をスライド自在に支持するスライドレール3と、スライドレール3に対して架台2を水中400に向かってスライドさせる駆動機構6と、を有している。
よって、本実施の形態1に係る水中航走体201の投入装置1は、水中航走体201を水中400に投入させる投入装置1が舟艇200の内部に設けられているので、舟艇200のみを投入及び揚収できる投入揚収装置101を備えた母船100であっても、クレーン等の専用設備を別途必要とすることなく、水中航走体201を母船100に搭載することができ、母船100から水中航走体201を水中400に投入することができる。
実施の形態2.
次に、図18を参照して、本実施の形態2に係る水中航走体201の投入装置1を説明する。図18の(A)~(C)は、実施の形態2に係る水中航走体の投入装置を示した説明図である。なお、実施の形態1で説明した水中航走体201の投入装置1と同一の構成要素については、同一の符号を付して、その説明を適宜省略する。
実施の形態2に係る水中航走体201の投入装置1は、舟艇200の内部に設けられている。実施の形態2に係る水中航走体201の投入装置1は、図18(A)~(C)に示すように、水中航走体201を載置させる架台2と、架台2をスライド自在に支持するスライドレール3と、スライドレール3に対して架台2を水中400に向かってスライドさせる駆動機構6Aと、を有している。
駆動機構6Aは、スライドレール3を水中400に向かって下方に傾斜させ、傾斜させたスライドレール3に対して、架台2を水中400に向かってスライドさせる構成とされている。具体的には、駆動機構6Aは、支持部60と、駆動部材61と、伝達部材62と、第1ガイド部材63及び第2ガイド部材64と、傾斜ストッパ65と、水平ストッパ66と、を備えている。
支持部60は、スライドレール3の後方側が自重で下方に傾斜するように、スライドレール3をシーソー状態で支持するものである。支持部60は、スライドレール3の下部であって、スライドレール3及び架台2の重心が後方側となるように、スライドレール3の中央位置よりも前方側に設けられている。
駆動部材61は、スプロケットモータである。伝達部材62は、ローラチェーンである。スプロケットモータ61は、スライドレール3を傾斜させると共に、架台2をスライドレール3に対してスライドさせるための駆動力となるものである。スプロケットモータ61は、軸の回転をスプロケットに噛み合うローラチェーン62に伝達する。ローラチェーン62は、スプロケットモータ61のスプロケットに噛み合い、スプロケットモータ61の駆動力をスライドレール3及び架台2に伝達するものである。
第1ガイド部材63及び第2ガイド部材64は、ガイドスプロケットである。第1ガイド部材63は、スライドレール3の前端部に設けられている。ローラチェーン62は、第1ガイド部材63を介して架台2に接続されている。第2ガイド部材64は、スプロケットモータ61に接続されるローラチェーン62を補助するために設けられている。
傾斜ストッパ65は、スプロケットモータ61の駆動によって傾斜したスライドレール3の傾斜状態を支持するものである。傾斜ストッパ65は、スライドレール3の後方側に配置されている。傾斜ストッパ65は、スライドレール3の傾斜状態を支持することができれば、どのような構造でもよい。
水平ストッパ66は、スライドレール3を水平状態で支持するものである。水平ストッパ66は、例えばスライドレール3の前方側に配置されている。水平ストッパ66は、スライドレール3を水平状態で支持することができれば、どのような構造でもよい。なお、水平とは、略水平を含む概念であり、厳密に水平である必要はない。
実施の形態2に係る水中航走体201の投入装置1は、スプロケットモータ61の駆動力を、ローラチェーン62を介してスライドレール3に伝達し、図18(A)に示すように、スライドレール3が水平ストッパ66に支持された状態から、図18(B)に示すように、傾斜ストッパ65に突き当たって支持されるまで、スライドレール3の後方側を自重で下方に傾斜させる。そして、図18(C)に示すように、スライドレール3が傾斜ストッパ65に支持された状態で、スプロケットモータ61の駆動力を、ローラチェーン62を介して架台2に伝達することで、架台2を自重によりスライドレール3に対してスライドさせる。
なお、駆動機構6Aは、上記の構成に限定されない。駆動部材61は、例えばウインチでもよい。この場合、伝達部材62はワイヤで構成され、ガイド部材63はガイドローラで構成される。なお、ウインチは、モータを内蔵させてもよい。当該構成においても、ウインチの駆動力を、ワイヤを介してスライドレール3に伝達し、スライドレール3が水平ストッパ66に支持された状態から、傾斜ストッパ65に突き当たって支持されるまで、スライドレール3の後方側を自重で下方に傾斜させる。そして、スライドレール3が傾斜ストッパ65に支持された状態で、ウインチの駆動力を、ワイヤを介して架台2に伝達することで、架台2を自重によりスライドレール3に対してスライドさせる。
本実施の形態2に係る水中航走体201の投入装置1も、水中航走体201を水中400に投入させる投入装置1が舟艇200の内部に設けられているので、舟艇200のみを投入及び揚収できる投入揚収装置101を備えた母船100であっても、クレーン等の専用設備を別途必要とすることなく、水中航走体201を母船100に搭載することができ、母船100から水中航走体201を水中400に投入することができる。
実施の形態3.
次に、図19を参照して、本実施の形態3に係る水中航走体201の投入装置1を説明する。図19の(A)~(C)は、実施の形態3に係る水中航走体の投入装置を示した説明図である。なお、実施の形態1及び2で説明した構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付して、その説明を適宜省略する。
実施の形態3に係る水中航走体201の投入装置1は、舟艇200の内部に設けられている。実施の形態3に係る水中航走体201の投入装置1は、図19(A)~(C)に示すように、水中航走体201を載置させる架台2と、架台2をスライド自在に支持するスライドレール3と、スライドレール3に対して架台2を水中400に向かってスライドさせる駆動機構6Bと、を有している。
駆動機構6Bは、スライドレール3を水中400に向かって下方に傾斜させ、傾斜させたスライドレール3に対して、架台2を水中400に向かってスライドさせる構成とされている。具体的には、駆動機構6Bは、スライドレール3を傾斜させる第1シリンダ機構7と、傾斜させたスライドレール3に対して、架台2を水中400に向かってスライドさせる第1ラックピニオン機構8と、を有している。また、駆動機構6Bは、支持部60と、傾斜ストッパ65と、水平ストッパ66と、を備えている。支持部60、傾斜ストッパ65及び水平ストッパ66については、上記実施の形態2と同じ構成である。
第1シリンダ機構7は、電動シリンダである。第1シリンダ機構7は、筒体7aの内部にシリンダロッド7bが伸縮自在に挿入された構成である。第1シリンダ機構7は、スライドレール3の下方に配置されている。筒体7aは、スライドレール3の前方側に向かって上下方向に延伸させて配置されている。シリンダロッド7bは、先端部がスライドレール3の前方側に接続されている。第1シリンダ機構7は、図19(A)に示すように、スライドレール3が水平ストッパ66に支持された状態から、図19(B)に示すように、シリンダロッド7bを伸張させる。スライドレール3は、シリンダロッド7bの伸張によって、前方側が上方に持ち上げられ、後方側が傾斜ストッパ65に突き当たるまで下がることで、水中400に向かって下方に傾斜される。なお、第1シリンダ機構7は、電動シリンダに限定されず、油圧シリンダ等の他のシリンダ構造でもよい。
第1ラックピニオン機構8は、モータの駆動力によって回転運動するピニオンモータ8aと、ピニオンモータ8aの回転運動を直線運動に変換するスライドラック8bと、ピニオンモータ8aとスライドラック8bとの間に介在するピニオンギア8cと、を有している。ピニオンモータ8a及びピニオンギア8cは、例えばスライドレール3の略中央に設けられている。スライドラック8bは、例えば架台2に沿って設けられている。第1ラックピニオン機構8は、図19(C)に示すように、第1シリンダ機構7で傾斜させたスライドレール3に対して、ピニオンモータ8aでピニオンギア8cを回転させてスライドラック8bを架台2のスライド方向に移動させることで架台2を水中400に向かってスライドさせる。
本実施の形態3に係る水中航走体201の投入装置1も、水中航走体201を水中400に投入させる投入装置1が舟艇200の内部に設けられているので、舟艇200のみを投入及び揚収できる投入揚収装置101を備えた母船100であっても、クレーン等の専用設備を別途必要とすることなく、水中航走体201を母船100に搭載することができ、母船100から水中航走体201を水中400に投入することができる。
実施の形態4.
次に、図20を参照して、本実施の形態4に係る水中航走体201の投入装置1を説明する。図20の(A)~(C)は、実施の形態4に係る水中航走体の投入装置を示した説明図である。なお、実施の形態1及び2で説明した構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付して、その説明を適宜省略する。
実施の形態4に係る水中航走体201の投入装置1は、舟艇200の内部に設けられている。実施の形態4に係る水中航走体201の投入装置1は、図20(A)~(C)に示すように、水中航走体201を載置させる架台2と、架台2をスライド自在に支持するスライドレール3と、スライドレール3に対して架台2を水中400に向かってスライドさせる駆動機構6Cと、を有している。
駆動機構6Cは、スライドレール3を水中400に向かって下方に傾斜させ、傾斜させたスライドレール3に対して、架台2を水中400に向かってスライドさせる構成とされている。具体的には、駆動機構6Cは、スライドレール3を傾斜させる第1シリンダ機構7と、傾斜させたスライドレール3に対して、架台2を水中400に向かってスライドさせる第2シリンダ機構9と、を有している。また、駆動機構6Cは、支持部60と、傾斜ストッパ65と、水平ストッパ66と、を備えている。支持部60、傾斜ストッパ65及び水平ストッパ66については、上記実施の形態2と同じ構成である。
第1シリンダ機構7は、電動シリンダである。第1シリンダ機構7は、筒体7aの内部にシリンダロッド7bが伸縮自在に挿入された構成である。第1シリンダ機構7は、スライドレール3の下方に配置されている。筒体7aは、スライドレール3の前方側に向かって上下方向に延伸させて配置されている。シリンダロッド7bは、先端部がスライドレール3の前方側に接続されている。第1シリンダ機構7は、図20(A)に示すように、スライドレール3が水平ストッパ66に支持された状態から、図20(B)に示すように、シリンダロッド7bを伸張させる。スライドレール3は、シリンダロッド7bの伸張によって、前方側が上方に持ち上げられ、後方側が傾斜ストッパ65に突き当たるまで下がることで、水中400に向かって下方に傾斜される。なお、第1シリンダ機構7は、電動シリンダに限定されず、油圧シリンダ等の他のシリンダ構造でもよい。
第2シリンダ機構9は、電動シリンダである。第2シリンダ機構9は、筒体9aの内部にシリンダロッド9bが伸縮自在に挿入された構成である。第2シリンダ機構9は、筒体9aの基端がスライドレール3の略中央に固定され、スライドレール3の後方側に向かって延伸させて配置されている。シリンダロッド9bは、先端部が架台2の後端に接続されている。第1シリンダ機構7は、図20(C)に示すように、第1シリンダ機構7で傾斜させたスライドレール3に対して、シリンダロッド9bが伸張することで、架台2を水中400に向かってスライドさせる。なお、第2シリンダ機構9は、電動シリンダに限定されず、油圧シリンダ等の他のシリンダ構造でもよい。
本実施の形態4に係る水中航走体201の投入装置1も、水中航走体201を水中400に投入させる投入装置1が舟艇200の内部に設けられているので、舟艇200のみを投入及び揚収できる投入揚収装置101を備えた母船100であっても、クレーン等の専用設備を別途必要とすることなく、水中航走体201を母船100に搭載することができ、母船100から水中航走体201を水中400に投入することができる。
実施の形態5.
次に、図21を参照して、本実施の形態5に係る水中航走体201の投入装置1を説明する。図21の(A)~(C)は、実施の形態5に係る水中航走体の投入装置を示した説明図である。なお、実施の形態1及び2で説明した構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付して、その説明を適宜省略する。
実施の形態5に係る水中航走体201の投入装置1は、舟艇200の内部に設けられている。実施の形態5に係る水中航走体201の投入装置1は、図21(A)~(C)に示すように、水中航走体201を載置させる架台2と、架台2をスライド自在に支持するスライドレール3と、スライドレール3に対して架台2を水中400に向かってスライドさせる駆動機構6Dと、を有している。
駆動機構6Dは、スライドレール3を水中400に向かって下方に傾斜させ、傾斜させたスライドレール3に対して、架台2を水中400に向かってスライドさせる構成とされている。具体的には、駆動機構6Dは、スライドレール3を傾斜させる第2ラックピニオン機構10と、傾斜させたスライドレール3に対して、架台2を水中400に向かってスライドさせる第2シリンダ機構9と、を有している。また、駆動機構6Bは、支持部60と、傾斜ストッパ65と、水平ストッパ66と、を備えている。支持部60、傾斜ストッパ65及び水平ストッパ66については、上記実施の形態2と同じ構成である。
第2ラックピニオン機構10は、モータの駆動力により回転運動するピニオンモータ10aと、ピニオンモータ10aの回転運動を直線運動に変換するジャッキアップラック10bと、を有している。ピニオンモータ10aは、例えばスライドレール3の下方に設けられている。ジャッキアップラック10bは、例えば上方に向かって湾曲した形状とされており、支持部60からスライドレール3の前方側に向かって延伸する連結部10cに下端部が接続され、スライドレール3の前方側に上端部が接続されている。第2ラックピニオン機構10は、図21(A)に示すように、スライドレール3が水平ストッパ66に支持された状態から、図21(B)に示すように、ピニオンモータ10aを回転させてジャッキアップラック10bを上方移動させる。スライドレール3は、ジャッキアップラック10bの上方移動によって、前方側が上方に持ち上げられ、後方側が傾斜ストッパ65に突き当たるまで下がることで、水中400に向かって下方に傾斜される。
第2シリンダ機構9は、電動シリンダである。第2シリンダ機構9は、筒体9aの内部にシリンダロッド9bが伸縮自在に挿入された構成である。第2シリンダ機構9は、筒体9aの基端がスライドレール3の略中央に固定され、スライドレール3の後方側に向かって延伸させて配置されている。シリンダロッド9bは、先端部が架台2の後端に接続されている。第1シリンダ機構7は、図21(C)に示すように、第1シリンダ機構7で傾斜させたスライドレール3に対して、シリンダロッド9bが伸張することで、架台2を水中400に向かってスライドさせる。なお、第2シリンダ機構9は、電動シリンダに限定されず、油圧シリンダ等の他のシリンダ構造でもよい。
本実施の形態1に係る水中航走体201の投入装置1も、水中航走体201を水中400に投入させる投入装置1が舟艇200の内部に設けられているので、舟艇200のみを投入及び揚収できる投入揚収装置101を備えた母船100であっても、クレーン等の専用設備を別途必要とすることなく、水中航走体201を母船100に搭載することができ、母船100から水中航走体201を水中400に投入することができる。
実施の形態6.
次に、図22を参照して、本実施の形態6に係る水中航走体201の投入装置1を説明する。図22の(A)~(C)は、実施の形態6に係る水中航走体の投入装置を示した説明図である。なお、実施の形態1及び2で説明した構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付して、その説明を適宜省略する。
実施の形態6に係る水中航走体201の投入装置1は、舟艇200の内部に設けられている。実施の形態6に係る水中航走体201の投入装置1は、図22(A)~(C)に示すように、水中航走体201を載置させる架台2と、架台2をスライド自在に支持するスライドレール3と、スライドレール3に対して架台2を水中400に向かってスライドさせる駆動機構6Eと、を有している。
駆動機構6Eは、スライドレール3を水中400に向かって下方に傾斜させ、傾斜させたスライドレール3に対して、架台2を水中400に向かってスライドさせる構成とされている。具体的には、駆動機構6Eは、スライドレール3を傾斜させる第2ラックピニオン機構10と、傾斜させたスライドレール3に対して、架台2を水中400に向かってスライドさせる第1ラックピニオン機構8と、を有している。また、駆動機構6Eは、支持部60と、傾斜ストッパ65と、水平ストッパ66と、を備えている。支持部60、傾斜ストッパ65及び水平ストッパ66については、上記実施の形態2と同じ構成である。
第2ラックピニオン機構10は、モータの駆動力により回転運動するピニオンモータ10aと、ピニオンモータ10aの回転運動を直線運動に変換するジャッキアップラック10bと、を有している。ピニオンモータ10aは、例えばスライドレール3の下方に設けられている。ジャッキアップラック10bは、例えば上方に向かって湾曲した形状とされており、支持部60からスライドレール3の前方側に向かって延伸する連結部10cに下端部が接続され、スライドレール3の前方側に上端部が接続されている。第2ラックピニオン機構10は、図22(A)に示すように、スライドレール3が水平ストッパ66に支持された状態から、図22(B)に示すように、ピニオンモータ10aを回転させてジャッキアップラック10bを上方移動させる。スライドレール3は、ジャッキアップラック10bの上方移動によって、前方側が上方に持ち上げられ、後方側が傾斜ストッパ65に突き当たるまで下がることで、水中400に向かって下方に傾斜される。
第1ラックピニオン機構8は、モータの駆動力によって回転運動するピニオンモータ8aと、ピニオンモータ8aの回転運動を直線運動に変換するスライドラック8bと、ピニオンモータ8aとスライドラック8bとの間に介在するピニオンギア8cと、を有している。ピニオンモータ8a及びピニオンギア8cは、例えばスライドレール3の略中央に設けられている。スライドラック8bは、例えば架台2に沿って設けられている。第1ラックピニオン機構8は、図22(C)に示すように、第1シリンダ機構7で傾斜させたスライドレール3に対して、ピニオンモータ8aでピニオンギア8cを回転させてスライドラック8bを架台2のスライド方向に移動させることで架台2を水中400に向かってスライドさせる。
本実施の形態6に係る水中航走体201の投入装置1も、水中航走体201を水中400に投入させる投入装置1が舟艇200の内部に設けられているので、舟艇200のみを投入及び揚収できる投入揚収装置101を備えた母船100であっても、クレーン等の専用設備を別途必要とすることなく、水中航走体201を母船100に搭載することができ、母船100から水中航走体201を水中400に投入することができる。
以上に本発明を実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上述した実施の形態の構成に限定されるものではない。舟艇設置体100は、母船を例に説明したが、例えば海上に面した岸壁又はスロープ等の設備等でもよい。また、本実施の形態に係る水中航走体201の投入装置1の上記構成は一例であって、他の構成要素を含んでもよい。要するに、本発明は、その技術的思想を逸脱しない範囲において、当業者が通常に行う設計変更及び応用のバリエーションの範囲を含むものである。