JP2022035723A - 水性組成物及びその硬化物、止水剤原料セット、止水剤、並びに漏水部からの漏水を止水する方法 - Google Patents

水性組成物及びその硬化物、止水剤原料セット、止水剤、並びに漏水部からの漏水を止水する方法 Download PDF

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Abstract

【課題】硬化物が低硬度である止水剤を得るための水性組成物を提供する。【解決手段】下記式(1)で表される2官能アリルエーテルと、ジ(メタ)アクリル酸塩と、を含有する水性組成物であって、水性組成物中の重合成分全量を基準として、2官能アリルエーテルの含有量が40質量%以下であり、ジ(メタ)アクリル酸塩の含有量が45質量%以上であることを特徴とする水性組成物。【化1】TIFF2022035723000030.tif16130[式中、R1はアルキレン基を表し、wは2以上の整数を表す]【選択図】なし

Description

本発明は、水性組成物及び硬化物、止水剤原料セット、止水剤、並びに漏水部からの漏水を止水する方法に関する。
コンクリート構造物に発生するひび割れからの漏水、又はケーブルを収納したパイプの管路口からの漏水による浸水を止水する方法として、様々な高分子系止水剤を漏水部に注入して、これを硬化させる方法が知られている。
一般に、コンクリート構造物からの漏水又は湧水を止水するためには、液状やスラリー状のセメント系止水剤を注入する。漏水部のクラック(ひび割れ)幅が大きく、漏水量が多い場合は、ケイ酸ソーダ(水ガラス)又はケイ酸ソーダとセメントとの混合物を漏水部に注入して止水する方法が行われている。また、クラック幅の小さな漏水部、又は漏水量が微量である箇所には、微粒子のセメントを注入する方法が一般的である。しかしながら、ケイ酸ソーダ又はケイ酸ソーダとセメントとの混合物を注入する方法では、ケイ酸ソーダのゲル化物が脆く、且つ収縮率が大きいため、止水後に再び漏水が生じやすい。一方、微粒子セメントを注入する方法では、短時間での固結が困難であること、微小なクラックに深く浸透しないこと、自己収縮によるクラック生成が頻繁に起こること、といった問題があり、解決が望まれていた。
上記のセメント系止水剤の他には、ポリウレタン系等の止水剤も使用される。ポリウレタン系の止水剤は、硬化後の止水剤のコンクリート、木材、金属等からなる漏水部の材料への接着力が強い。しかし、漏水部の材料温度や振動等の外的環境条件の変化に追随しきれず、接着部から新たなクラックが生じることがある。
一方、上記の止水剤に代えて、(メタ)アクリル酸エステル系の止水剤が開発され、使用されている。(メタ)アクリル酸エステル系の止水剤は、下記すべての特許文献は、止水剤の親水性を維持しつつ、高分子化するために、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートを主に含有する止水剤が開示されている。
特許第3970604号公報 特許第4916695号公報 特許第2722389号公報 特開昭58-206680号公報 特開2004-115646号公報 特開2015-205981号公報
(メタ)アクリル酸エステル系の止水剤は、漏水部に充填されることにより、漏水を抑制し、止水効果が発揮される。漏水現場で(メタ)アクリル酸エステル系止水剤を用いて止水工事する場合、(メタ)アクリル酸エステル系止水剤を漏水部に注入するため、漏水部近傍を掘削機で掘削後、注入ノズルを装着し、エア駆動高圧注入機を注入ノズルと接続後、注入ノズルを通して、(メタ)アクリル酸エステル系止水剤を、漏水箇所に、高圧注入する。
本発明者らの検討によれば、止水剤に求められる硬度は50以下が好ましく、止水剤の硬度が高すぎる場合、止水工事中、注入ノズル先端部で(メタ)アクリル酸エステル系止水剤の硬化物が詰まるため、工事を一時中断し、注入ノズルを変えなくてはいけないことが多い。特許文献1~6に記載の(メタ)アクリル酸エステル系止水剤は、止水材の硬度が60以上であるため、工事現場での作業性に問題があり、未だ改善の余地がある。
本発明は、(メタ)アクリル酸エステル系止水剤の硬化物の硬度が50以下である低硬度なアクリルエステル系止水剤を得るための水性組成物を提供することを目的とする。
本発明は以下の態様を包含する。
[1]2官能アリルエーテルと、ジ(メタ)アクリル酸塩と、を含有する水性組成物であって、
前記2官能アリルエーテルが下記式(1)で表されることを特徴とする水性組成物。
Figure 2022035723000001
[式中、Rはアルキレン基を表し、wは2以上の整数を表す。]
[2]水性組成物中の重合成分全量を基準として、2官能アリルエーテルの含有量が40質量%以下であることを特徴とする[1]記載の水性組成物。
[3]水性組成物中の重合成分全量を基準として、2官能アリルエーテルの含有量が40質量%以下であり、且つ、ジ(メタ)アクリル酸塩の含有量が45質量%以上であることを特徴とする[1]及び[2]記載の水性組成物。
[4]単官能モノマーを更に含有する、[1]~[3]記載の水性組成物。
[5]単官能モノマーの含有量が、水性組成物中の重合成分全量を基準として50質量%以下である、[4]記載の水性組成物。
[6][1]~[5]のいずれかに記載の水性組成物である第1の原料と、アスコルビン酸又はその誘導体を含む組成物である第2の原料と、を備える止水剤原料セット。
[7]過硫酸塩を含む組成物である第3の原料を更に備える、[6]記載の止水剤原料セット。
[8]前記第1の原料とは別個に、[1]~[5]のいずれかに記載の水性組成物である第4の原料を更に備える、[6]及び[7]記載の止水剤原料セット。
[9][1]~[5]のいずれかに記載の水性組成物と、アスコルビン酸又はその誘導体と、過硫酸塩と、を含有する混合物の硬化物。
[10]漏水部からの漏水を止水する方法であって、
[1]~[5]のいずれかに記載の水性組成物と、アスコルビン酸又はその誘導体を含む組成物と、過硫酸塩を含む組成物と、を含有する混合物を得る混合工程と、
前記混合物を漏水部に注入する注入工程と、を備える、方法。
[11]前記注入工程の前に、前記漏水部に多孔質体を配置する工程を更に備え、
前記注入工程において、前記多孔質体に前記混合物を注入する、[10]記載の方法。
本発明によれば、(メタ)アクリル酸エステル系止水剤の硬化物の硬度が低いため、漏水現場で止水材を注入時、注入ノズルが詰まることが無く、作業性の改善を提供できる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本明細書における2官能アリルエーテルとは、分子中にアリル基を2個有する化合物を意味し、単官能アリルエーテルとは、分子中にアリル基を1個有する化合物を意味する。多官能(メタ)アクリレートとは、分子中に(メタ)アクリロイル基を2個以上有する化合物を意味し、単官能(メタ)アクリレートとは、分子中に(メタ)アクリロイル基を1個有する化合物を意味する。「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びそれに対応するメタクリレートを、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及びそれに対応するメタクリル酸を意味する。本明細書における水性組成物とは、水を含有する組成物を意味する。重合成分とは、止水剤であるアクリル樹脂を形成するために必要なアクリルモノマー成分を意味する。重合関与成分とは、アクリル樹脂を形成する際、必要な触媒成分を意味する。
本発明の一実施形態における止水剤は、第1の原料と、第2の原料と、第3の原料と、第4の原料と、をそれぞれ別個に備える止水剤原料セットから調製され、これらの原料を含有する混合物の硬化物である。
第1の原料は、一実施形態において、下記式(1)で表される2官能アリルエーテルと、ジ(メタ)アクリル酸塩と、を含有する水性組成物である。
Figure 2022035723000002
式(1)において、Rで表されるアルキレン基は直鎖状であっても分岐状であってもよい。アルキレン基の炭素数は、2~30、2~20、又は2~10であってよい。Rで表されるアルキレン基は、メチレン基又はプロピレン基であってもよい。
式(1)におけるWは、2以上であり、好ましくは3以上、より好ましくは4以上の整数であり、また、好ましくは、50以下、40以下、30以下、20以下、又は10以下の整数である。
2官能アリルエーテルは、市販品を用いてもよい。ポリアルキレングリコールジアリルエーテルの市販品としては、ユニセーフPKA-5018、ユニオックスAA-480R、ユニオックスAA-800(以上、日油株式会社製)等が挙げられる。
2官能アリルエーテルの含有量は、硬化物硬度を調整する観点から、水性組成物中の重合成分全量を基準として、好ましくは、40質量%以下、38質量%以下、又は36質量%以下である。2官能アリルエーテルの含有量は、硬化物硬度を調整する観点から、水性組成物中の重合成分全量を基準として、好ましくは、2質量%以上、4質量%以上、又は6質量%以上である。
第1の原料である水性組成物は、上記に加え、更に、多官能(メタ)アクリレートを含有してもよい。多官能(メタ)アクリレートは、例えば、ジ(メタ)アクリレート(2官能(メタ)アクリレート)、又はトリ(メタ)アクリレート(3官能(メタ)アクリレート)であってよい。多官能(メタ)アクリレートは、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いられてよい。
上記のジ(メタ)アクリレートとは、好ましくは、下記式(2)で表されるジ(メタ)アクリレートである。
Figure 2022035723000003
式中、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、Rは2価の有機基を表す。
で表される2価の有機基としては、下記式(3)及び(4)で表される基が挙げられる。
Figure 2022035723000004
式中、pは2~30の整数を表し、qは2~50の整数を表す。
Figure 2022035723000005
式(3)におけるpは、2以上の整数であり、また、好ましくは、30以下、25以下、20以下、10以下、5以下、又は3以下の整数である。pは、特に好ましくは2である。
式(3)におけるqは、2以上であり、好ましくは3以上、より好ましくは4以上の整数であり、また、好ましくは、50以下、40以下、30以下、20以下、又は10以下の整数である。
式(2)で表される2官能(メタ)アクリレートは、好ましくは、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(式(2)におけるRが式(3)で表される基であり、式(3)におけるpが2である化合物)である。
トリ(メタ)アクリレートは、例えば、下記式(5)で表されるトリ(メタ)アクリレート(アルコキシ化グリセリントリ(メタ)アクリレート)であってよい。
Figure 2022035723000006
式中、R、R、及びRは、それぞれ独立にアルキレン基を表し、x、y、及びzは、それぞれ独立に正の整数を表す。
式(5)において、R、R、及びRで表されるアルキレン基は直鎖状であっても分岐状であってもよい。アルキレン基の炭素数は、2~30、2~20、又は2~10であってよい。R、R、及びRで表されるアルキレン基は、メチレン基又はプロピレン基であってもよい。
式(5)において、x、y、及びzの合計は、好ましくは3~30であり、より好ましくは5~28であり、更に好ましくは8~25である。
上述した2官能(メタ)アクリレートは、市販品を用いることもできる。ジ(メタ)アクリレートの市販品としては、ブレンマーPDE-100、ブレンマーPDE-150、ブレンマーPDE-200、ブレンマーPDE-400、ブレンマーPDE-600、ブレンマーPDP-400N、ブレンマーPDT-650、ブレンマーADE-200、ブレンマーADE-300、ブレンマーADE-400A、ブレンマーADP-400、ブレンマーADT-250、ブレンマーGMR-R、ブレンマーGMR-M、ブレンマーGAM、ブレンマーGAM-R、ブレンマーPDBE-200A、ブレンマーPDBE-250、ブレンマーPDBE-450A、ブレンマーPDBE-1300(以上、日油(株)製)、NKエステル4G、NKエステル9G、NKエステル14G、NKエステル23G、NKエステルA-200、NKエステルA-400、NKエステルA-600、NKエステルA-BPE-30NKエステルBPE-1300N(以上、新中村化学(株)製)等が挙げられる。
トリ(メタ)アクリレートの市販品としては、NKエステルA-GLY-9E、NKエステルA-GLY-20E(以上、新中村化学(株)製)等が挙げられる。
第1の原料は、一実施形態において、ジアクリル酸塩及びジメタクリル酸塩は必要である。ジアクリル酸塩及びジメタクリル酸塩は、水性組成物の硬化物に弾力性及び保湿性を与える。ジアクリル酸塩は、反応速度を速めたい時に多く使用し、ジメタクリル酸塩は、反応速度を遅くしたい時に多く使用する。ジアクリル酸塩及びジメタクリル酸塩としては、例えば、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属塩、亜鉛、アルミニウム等の金属塩などが挙げられる。ジアクリル酸塩及びジメタクリル酸塩は、硬化物に弾力性及び保湿性を高める観点から、好ましくは、マグネシウム塩、カルシウム塩及び亜鉛塩である。
ジ(メタ)アクリル酸塩の含有量は、硬化物の弾力性及び保湿性を高める観点から、水性組成物中の重合成分全量を基準として、45質量%以上である。ジ(メタ)アクリル酸塩の含有量は、水性組成物中の重合成分全量を基準として、好ましくは、45質量%以上、47質量%以上、又は49質量%以上である。ジ(メタ)アクリル酸塩の含有量は、水性組成物中の重合成分全量を基準として、好ましくは、99質量%以下、98質量%以下、又は97質量%以下である。
ジ(メタ)アクリル酸塩の含有量は、水性組成物全量を基準として、60質量%以上、62質量%以上、又は64質量%以上であってよい。ジ(メタ)アクリル酸塩の含有量は、水性組成物全量を基準として、99質量%以下、98質量%以下、又は97質量%以下であってよい。
第1の原料は、更に、下記式(6)で表される単官能(メタ)アクリレート、及び下記式(7)で表される単官能アリルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種の単官性モノマーを含んでいてもよい。(以下、これらをまとめて「単官能モノマーX」ともいう。)
Figure 2022035723000007
式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは、オキシアルキレン基を有する1価の基、グリセリル基、又はグリシジル基を表す。
Figure 2022035723000008
式中、R10は、オキシアルキレン基を有する1価の基、グリセリル基、又はグリシジル基を表す。
及びR10で表されるオキシアルキレン基を有する1価の基は、好ましくは、下記式(8)で表される基である。
Figure 2022035723000009
式中、R11は水素原子又はアルキル基を表し、mは2~30の整数を表し、nは1~50の整数を表す。
11がアルキル基である場合、R11で表されるアルキル基は、直鎖状であっても分岐状であってもよい。R11で表されるアルキル基の炭素数は、好ましくは1以上であり、また、好ましくは、50以下、30以下、25以下、20以下、10以下、5以下、又は3以下の整数である。R11で表されるアルキル基は、メチル基、又はエチル基であってもよい。
mは、好ましくは2以上の整数であり、また、好ましくは、30以下、25以下、20以下、10以下、5以下、又は3以下の整数である。mは、特に好ましくは2である。同一分子内に含まれる複数の-(C2m-O)-においては、それぞれのmが異なる数であってもよい。
nの数は、式(6)で表される単官能(メタ)アクリレート又は式(7)で表されるアリルエーテルにおける、オキシアルキレン部分の重合度を意味し、1~50の整数を表す。nは、好ましくは2以上、より好ましくは3以上、更に好ましくは4以上の整数であり、また、好ましくは、50以下、40以下、30以下、20以下、又は10以下の整数である。nが1以上の整数である場合、水性組成物の水溶性が更に向上し、止水剤を調製することが容易になり、更には、得られる硬化物の架橋密度を高めることにより硬化物の強度を向上させることができる。一方、nが50以下の整数であることにより、硬化物を調製した際に重合性二重結合間の距離が長くなりすぎないため、硬化物の強度低下を抑制することができる。
及びR10は、グリセリル基、すなわち、下記式(9)で表される基であってもよい。
Figure 2022035723000010
単官能モノマーXが式(6)で表される単官能(メタ)アクリレートである場合、単官能(メタ)アクリレートは、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート(式(6)において、Rが式(8)で表される基であり、式(8)において、R11が水素原子であり、nが2以上である化合物)、アルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート(式(6)において、Rが式(8)で表される基であり、式(8)において、R11がアルキル基であり、nが2以上である化合物)、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(式(6)において、Rが式(8)で表される基であり、式(8)において、R11が水素原子であり、nが1である化合物)、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート(式(6)において、Rが式(8)で表される基であり、式(8)において、R11がアルキル基であり、nが1である化合物)、グリシジル(メタ)アクリレート(式(6)において、Rがグリシジル基である化合物)、グリセリン(メタ)アクリレート(式(6)において、Rがグリセリル基である化合物)であってよい。
ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートとしては、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート(式(8)において、mが2である化合物)、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート(式(8)において、mが3である化合物)、ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート(式(8)において、mが2の基、及びmが3の基を有する化合物)、ポリエチレングリコール-ポリテトラメチレングリコール(メタ)アクリレート(式(8)において、mが2の基、及びmが4の基を有する化合物)、プロピレングリコール-ポリブチレングリコール(メタ)アクリレート(式(8)において、mが3の基、及びmが4の基を有する化合物)等が挙げられる。
アルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートとしては、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート(式(8)において、R11がメチル基であり、mが2である化合物)、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート(式(8)において、R11がメチル基であり、mが3である化合物)等が挙げられる。
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。アルコキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
単官能(メタ)アクリレートは、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、及びアルコキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる少なくとも1種であってよい。ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート又はアルコキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートにおいては、重合させて得られる硬化物のエステル部分が加水分解されにくく、例えば、アルカリ性の条件下でもエステル部分が崩壊しにくい。そのため、得られる硬化物が十分な強度を保持することができる。
アルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートは、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、及びメトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる少なくとも1種であってもよい。アルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートは、好ましくは、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートである。
上述した単官能(メタ)アクリレートは、市販品を用いることができる。ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートの市販品としては、ブレンマー(登録商標、以下同様)PE-90、ブレンマーPE-200、ブレンマーPE-350、ブレンマーPE-350G、ブレンマーPP-1000、ブレンマーPP-500、ブレンマーPP-800、ブレンマー50PEP-300、ブレンマー70PEP-350B、ブレンマー55PET-800、ブレンマー10PPB-500B、ブレンマーAE-90U、ブレンマーAE-200、ブレンマーAE-400、ブレンマーAP-200、ブレンマーAP-400、ブレンマーAP-550、ブレンマーAP-800(以上、日油(株)製)等が挙げられる。
アルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートの市販品としては、NKエステルM-20G、NKエステルM-40G、NKエステルM-90G、NKエステルM-130G、NKエステルM-230G、NKエステルAM-30G、NKエステルAM-90G、NKエステルAM-130G、NKエステルAM-230G(以上、新中村化学(株)製)等が挙げられる。
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの市販品としては、アクリックス(登録商標、以下同様)HEA(東亞合成(株)製)等が挙げられる。アルコキシアルキル(メタ)アクリレートの市販品としては、アクリックスC-1(東亞合成(株)製)が挙げられる。グリシジル(メタ)アクリレートの市販品としては、ブレンマーG、ブレンマーGH、ブレンマーGS(以上、日油(株)製)等が挙げられる。グリセリン(メタ)アクリレートの市販品としては、ブレンマーGLM、ブレンマーGLM-R(以上、日油(株)製)等が挙げられる。
単官能モノマーXが式(7)で表されるアリルエーテル(モノアリルエーテル)である場合、アリルエーテルは、例えば、ポリアルキレングリコールアリルエーテル(式(7)において、R10が式(8)で表される基であり、式(8)において、R11が水素原子である化合物)、アルコキシポリアルキレングリコールアリルエーテル(式(7)において、R10が式(8)で表される基であり、式(8)において、R11がアルキル基である化合物)、アリルグリシジルエーテル(式(7)において、R10がグリシジル基である化合物)、グリセリンモノアリルエーテル(式(7)において、R10がグリセリル基である化合物)であってよい。
ポリアルキレングリコールアリルエーテルとしては、ポリエチレングリコールアリルエーテル(式(8)において、mが2である化合物)、ポリプロピレングリコールアリルエーテル(式(8)において、mが3である化合物)、ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコールアリルエーテル(式(8)において、mが2の基、及びmが3の基を有する化合物)等が挙げられる。
アルコキシポリアルキレングリコールアリルエーテルとしては、メトキシポリエチレングリコールアリルエーテル(式(8)において、R11がメチル基であり、mが2である化合物)、ブトキシ-ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-アリルエーテル(式(8)において、R11がブチル基であり、mが2の基及びmが3の基を有する化合物)等が挙げられる。
上述したアリルエーテルは、市販品を用いることができる。ポリアルキレングリコールアリルエーテルの市販品としては、ユニオックス(登録商標、以下同様)PKA-5001、ユニオックスPKA-5002、ユニオックスPKA-5003、ユニオックスPKA-5004、ユニオックスPKA-5005、ユニセーフPKA-5011、ユニセーフPKA-5012、ユニルーブ(登録商標)PKA-5013、ユニセーフPKA-5014TF(以上、日油(株)製)等が挙げられる。
アルコキシポリアルキレングリコールアリルエーテルの市販品としては、ユニオックスPKA-5006、ユニオックスPKA-5007、ユニオックスPKA-5008、ユニオックスPKA-5009、ユニオックスPKA-5010、ユニセーフPKA-5015、ユニセーフPKA-5016、ユニセーフPKA-5017(以上、日油(株)製)等が挙げられる。
単官能モノマーXの含有量は、硬化物の水中での膨張性を調整する観点から、水性組成物中の重合成分全量を基準として、50質量%以下である。単官能モノマーXの含有量は、水性組成物中の重合成分全量を基準として、好ましくは、50質量%以下、48質量%以下、又は46質量%以下である。単官能モノマーXの含有量は、水性組成物中の重合成分全量を基準として、好ましくは、0.1質量%以上、0.2質量%以上、又は0.3質量%以上である。
単官能モノマーXの含有量は、水性組成物全量を基準として、20質量%以下、19質量%以下、又は18質量%以下であってよい。単官能モノマーXの含有量は、水性組成物全量を基準として、0.1質量%以上、0.2質量%以上、又は0.3質量%以上であってよい。
第1の原料である水性組成物は、必要に応じて、その他の添加剤を更に含有することができる。その他の添加剤としては、グリコール、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコールが挙げられる。また、pHを調整するために、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。その他の添加剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられてよい。
水性組成物における重合成分の含有量は、水性組成物全量を基準として、好ましくは15質量%以上であり、より好ましくは16質量%以上であり、更に好ましくは17質量%以上であり、また、好ましくは50質量%以下であり、より好ましくは49質量%以下であり、更に好ましくは48質量%以下である。
水性組成物のpHは、硬化物を得るための重合反応を早める観点から、好ましくは7.0以下であり、7.0になるべく近い値である。水性組成物のpHは、好ましくは、5.0以上であり、より好ましくは5.1以上であり、更に好ましくは5.2以上であり、また、好ましくは7.0以下であり、より好ましくは6.9以下であり、更に好ましくは6.8以下である。
第2の原料は、一実施形態において、アスコルビン酸又はその誘導体を含む組成物である。アスコルビン酸の誘導体としては、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カリウム、アスコルビン酸カルシウム等の塩、アスコルビン酸リン酸エステル等のアスコルビン酸の無機酸エステル、アスコルビン酸-2-グルコシド等のアスコルビン酸の配糖体等がある。更に、エリソルビン酸、エリソルビン酸ナトリウム、エリソルビン酸カリウム、エリソルビン酸カルシウム等の塩、エリソルビン酸リン酸エステル等のエリソルビン酸の無機酸エステル、エリソルビン酸-2-グルコシド等のエリソルビン酸の配糖体、が挙げられる。
第2の原料は、粉末等の固形状で原料セットに備えられてよく、水溶液として原料セットに備えられてもよい。第2の原料が粉末等の固形状の原料セットの場合、第1の原料に粉末を溶解させてもよく、使用前に水溶液にした後に第1の原料と混合してもよい。第2の原料が水溶液である場合、アスコルビン酸又はその誘導体の含有量は、水溶液全量を基準として、好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは0.2質量%以上であり、更に好ましくは0.3質量%以上であり、また、好ましくは25質量%以下であり、より好ましくは24質量%以下であり、更に好ましくは23質量%以下である。
第2の原料は、必要に応じて、その他の添加剤を更に含有することができる。その他の添加剤としては、チオ硫酸ナトリウム、ロンガリット、亜硫酸カリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、ピロ亜硫酸塩、硫酸第一鉄等が挙げられる。その他の添加剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられてよい。
止水剤原料セットは、第3の原料として、第1の原料及び第2の原料とは別個に、過硫酸塩を含む組成物を更に備えてもよい。過硫酸塩における塩は、アンモニウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩等であってよく、好ましくはナトリウム塩及びカリウム塩である。
第3の原料は、粉末等の固形状で原料セットに備えられてよく、水溶液として原料セットに備えられてもよい。第3の原料を水に溶解して使用する場合、又は水溶液として原料セットにする場合、過硫酸塩の含有量は、水溶液全量を基準として、好ましくは0.2質量%以上であり、より好ましくは0.3質量%以上であり、更に好ましくは0.4質量%以上であり、また、好ましくは40質量%以下であり、より好ましくは39質量%以下であり、更に好ましくは38質量%以下である。
第3の原料は、必要に応じて、その他の添加剤を更に含有することができる。その他の添加剤としては、過塩素酸ナトリウム、過酸化水素等が挙げられる。その他の添加剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられてよい。
止水剤原料セットは、第4の原料として、第1の原料、第2の原料及び第3の原料とは別個に、上述した2官能アリルエーテルと、上述したジ(メタ)アクリル酸塩と、を含有する水性組成物を更に備えてもよい。
第4の原料は、上述した2官能アリルエーテル以外の他の多官能(メタ)アクリレートを更に含有してよく、必要に応じて、その他の添加剤を更に含有してもよい。その他の添加剤は、上述した第1の原料に用いられるものと同様であってよい。第4の原料は、第1の原料と同一の組成であっても異なる組成であってもよい。
本実施形態に係る止水剤原料セットは、第1の原料及び第2の原料、更には、第3の原料及び第4の原料をそれぞれ別々に保管することができるため、長期間の保存を可能とすることができる。
止水剤原料セットは、上述した原料の他に、その他の原料として、腐食抑制剤、カチオン性電解質モノマー、セメント類、焼却灰等を更に備えてもよい。これらの原料は、第1の原料~第4の原料とは別個の原料として止水剤原料セットに備えられてもよく、第1の原料~第4の原料のいずれかに含有された状態であってもよい。
腐食抑制剤は、カルボン酸及びその塩、リン酸及びその塩、リン酸エステル、亜硝酸及びその塩、アミン及びその塩からなる群より選ばれた1種類以上であってよい。腐食抑制剤を添加することにより、止水剤が、金属、特に汎用される鉄系材料である鉄鋼等に対して、強い腐食抑制効果を示す。
カチオン性電解質モノマーは、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートとその塩及び第四級化物、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートとその塩及び第四級化物、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドとその塩及び第四級化物等であってよい。これらの塩としては、塩酸、硫酸等の無機塩との塩、ジ(メタ)アクリル酸との塩が用いられる。第四級化物としては、メチルクロライド、ジメチル硫酸等による第四級化物、あるいはそれらの複合塩が用いられる。カチオン性電解質モノマーは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられてよい。
セメント類は、各種ポルトラントセメント類、高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント、ジェットセメント、アルミナセメント、スラグセメント等であってよい。焼却灰は、フライアッシュ、シリカヒューム、高炉スラグ、石膏、下水処理汚泥等であってよい。セメント類及び焼却灰は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられてよい。
次に、一実施形態に係る止水剤について説明する。一実施形態に係る止水剤は、上述した2官能アリルエーテルと、ジ(メタ)アクリル酸塩とを含有する水性組成物と、アスコルビン酸又はその誘導体と、過硫酸塩と、を含有する混合物の硬化物からなる。硬化物は、2官能アリルエーテルに由来する構造単位と、ジ(メタ)アクリル酸塩に由来する構造単位と、アスコルビン酸又はその誘導体に由来する構造単位とを含む。また、多官能(メタ)クリレートに由来する構造単位と、単官能(メタ)クリレートと、単官能アリルエーテルに由来する構造単位を更に含んでも良い。過硫酸塩は、2官能アリルエーテル及びジ(メタ)アクリル酸塩の重合反応を開始させる重合開始剤としての役割をもっており、アスコルビン酸又はその誘導体は、2官能アリルエーテル及びジ(メタ)アクリル酸塩の重合反応を促進させる重合促進剤としての役割をもっている。この硬化物は、上述した原料セットの各原料を混合することにより得られる。
硬化物の原料となる水性組成物、アスコルビン酸又はその誘導体、及び過硫酸塩は、上述した第1の原料及び第4の原料、第2の原料、及び第3の原料として使用できるものと同様であってよい。
硬化物において、2官能アリルエーテルに由来する構造単位の含有量は、硬化物中の重合関与成分全量を基準として、40質量%以下、39質量%以下、又は38質量%以下である。重合性モノマーXに由来する構造単位の含有量は、硬化物中の重合関与成分全量を基準として、好ましくは、0.5質量%以上、0.6質量%以上、又は0.7質量%以上である。
硬化物において、ジ(メタ)アクリル酸塩に由来する構造単位の含有量は、硬化物中の重合関与成分全量を基準として、40質量%以上、42質量%以上、又は44質量%以上である。ジ(メタ)アクリル酸塩に由来する構造単位の含有量は、硬化物中の重合関与成分全量を基準として、99質量%以下、98質量%以下、又は97質量%以下である。
硬化物において、アスコルビン酸又はその誘導体に由来する構造単位の含有量は、硬化物中の重合関与成分全量を基準として、好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.02質量%以上であり、更に好ましくは0.03質量%以上であり、また、好ましくは20質量%以下であり、より好ましくは19質量%以下であり、更に好ましくは18質量%以下である。
硬化物が上述した単官能(メタ)アクリレート及び単官能アリルエーテルを更に含有する場合、単官能(メタ)アクリレートに由来する構造単位の含有量は、硬化物の重合関与成分全量を基準として、好ましくは、0.1質量%以上、0.2質量%以上、又は0.3質量%以上である。単官能アリルエーテルの含有量は、硬化物の重合関与成分全量を基準として、好ましくは、50質量%以下、49質量%以下、又は48質量%以下である。
硬化物は、水分を含有するゲル状の硬化物である。硬化物における重合関与成分の含有量は、硬化物の強度を高める観点から、硬化物全量を基準として、好ましくは10質量%以上であり、より好ましくは11質量%以上であり、更に好ましくは12質量%以上である。硬化物における重合関与成分の含有量は、硬化物の原料を溶解しやすくし、硬化物を容易に調製する観点から、硬化物全量を基準として、好ましくは90質量%以下であり、より好ましくは89質量%以下であり、更に好ましくは88質量%以下である。
硬化物中における水分の含有量は、硬化物全量を基準として、40質量%以上、41質量%以上、又は42質量%以上であってよく、95質量%以下、94質量%以下、又は93質量%以下であってよい。
本実施形態に係る止水剤によれば、止水時に水中の残留塩素濃度を低減させにくいため、例えば、漏水現場が下水施設だけではなく、上水施設でも使用が可能である。止水剤は、日本水道協会で制定された規格である、水道用資機材の浸出試験の試験項目において、コンディショニング処理をしない条件においても、浸出後の水中における残留塩素の減量を0.7mg/L未満に調整することが出来る。
本実施形態に係る止水剤によれば、止水時に水中へ浸出するアミン量を、上水施設への止水材として使用が可能な濃度まで低減出来るため、優れた安全性が得られる。例えば、止水剤は、日本水道協会で制定された規格である、水道用資機材の浸出試験中の試験項目において、コンディショニング処理(硬化物からの浸出物を安定させるための操作)をしなくても、高速液体クロマトグラフ法(検出下限値0.002ppm)により測定される、浸出後の水中に含まれるアミン類の濃度を0.01mg/L未満に低減できる。
次に、上述した硬化物からなる止水剤を用いた、漏水部からの漏水を止水する方法(以下、単に「止水方法」と呼ぶことがある。)について説明する。一実施形態に係る止水方法は、上述した水性組成物と、アスコルビン酸又はその誘導体を含む組成物と、過硫酸塩を含む組成物と、を含有する混合物を得る混合工程と、混合物を漏水部に注入する注入工程と、を備える。
混合工程は、一実施形態において、以下の方法により行われる。まず、上述した水性組成物(第1の原料)と、アスコルビン酸又はその誘導体を含む組成物(第2の原料)と、が混合された混合物(A液)と、過硫酸塩を含む組成物(第3の原料)と、第1の原料とは別個の、上述した水性組成物(第4の原料)が混合された混合物(B液)と、をそれぞれ得る。そして、A液とB液とを混合して、上記の原料が混合された混合物を得る。A液とB液とを混合する方法としては、例えば、A液とB液をY字管や二重管等に送液し、Y字管の合流部及び二重管の先端で混合すればよい。A液とB液は、好ましくはA液:B液=1:1(体積比)で混合される。
注入工程においては、混合工程によって得られたA液及びB液の混合液を、漏水部に設置された注入ノズルを通して、漏水部及び漏水近傍部に高圧注入する。注入時の詳細としては、漏水状況にもよるが、混合液を数十秒高圧注入した後、高圧注入を一時止め、漏水部内部で高圧注入した混合液が固形硬化物になる反応時間まで待ち、反応時間を十分経過後、更に混合液を高圧注入し、先に硬化した硬化物を、後に高圧注入した混合液で漏水部内空隙部に押し込む、硬化物充填作業を行う。この押し込み作業は、注入ノズル一本につき、1~20回程度、実施し、漏水部空隙を、可能な限り、硬化物で樹分に充填する。
混合液を高圧注入間隔は、硬化物の反応時間、漏水状況、止水状況及び作業者にもよるが、0.5~10分の間隔で繰り返される。その際、混合液を高圧注入していない状態においても、Y字管の合流部及び二重管の先端及び注入ノズル内には、漏水部空隙と同様に、混合液中で重合反応が進行し、硬化物が形成される。A液及びB液が混合された混合液は、混合物の反応時間が経過すると、硬化物の重合反応が後期に差し掛かるため、硬化物硬度も上昇し、FP硬度計で測定した硬化物硬度と同じ硬度に近づいていく。5分以上経過した場合、硬化物の重合反応はほぼ終了し、硬化物硬度はFP硬度計で測定した硬化物硬度とほぼ同じ硬度になる。その際、硬化物硬度が高い場合、混合液を再度高圧注入しても、硬化物がY字管の合流部及び二重管の先端及び注入ノズル内に詰まり、漏水部に混合液を高圧注入出来ない場合が多く、Y字管の合流部及び二重管の先端及び注入ノズルを交換しなくてはならないため、止水工事が一時中断される。
アクリルエステル系止水剤の硬化物硬度は、一般的に、FP硬度計で測定した硬度が60~90の場合、高圧注入後3分以内であれば、混合液で硬化物を押し出すことが出来るため、止水工事を継続することが出来る。しかしながら高圧注入後3分以上、そのままの状態であれば、Y字管の合流部及び二重管の先端及び注入ノズル内の硬化物は、反応が完結し、硬化物硬度がFP硬度計で測定した硬度と同じ60~90であるため、混合液を高圧注入しても、硬化物を押し出すことが出来ないため、一旦、注入作業を中断し、注入ノズルを交換し、再度、高圧注入作業を再開する必要がある。硬化物硬度が80以上の場合、注入後1分経過時点でも、混合液を高圧注入しても、注入ノズルから硬化物が押し出されることはないため、止水工事を都度中断しなくてはならないため、現場で使用することは出来ない。
アクリルエステル系止水剤の硬化物硬度は、FP型硬度計(高分子計器式会社製)で測定した場合、一般的に、60~90である。例えば、バンデフレキシン(保土谷建材株式会社製)の硬化物硬度は60~70であり、フレキシン極(保土谷建材株式会社製)の硬化物硬度は70~80、フレクイック(三菱化学株式会社製)及び(茶谷産業株式会社製)の硬化物硬度は、80~90である。
本実施形態に係る止水剤によれば、本発明の水性組成物を用いた硬化物は、FP硬度計で測定した硬度が50以下であるため、止水工事中、注入ノズル内に硬化物が詰まり、注入ノズルを交換することが無いため、作業性を大幅に改善できる。
注入された混合物が硬化することにより、漏水部における漏水が止水される。混合物の注入の際、例えば、コンクリート壁面に漏水部が存在する場合には、高圧で注入する必要があるため、エアーピストン方式のプランジャーポンプ等が用いられる。一方、混合物の注入は、例えば、ケーブル管路口に漏水部が存在する場合には、低圧で注入することができるため、低圧に調圧したエアーコンプレッサー又は圧縮ガスボンベ等を用いて、容器に入れた液を圧送することにより行われる。
止水方法は、他の実施形態において、注入工程の前に、漏水部に多孔質体を配置する工程を更に備えてもよい。この場合、注入工程においては、多孔質体に混合物を注入し、含浸させる。本実施形態に係る止水方法は、ケーブル管路口における漏水部に適している。混合物が含浸された多孔質体は、止水板等の止水用シール材としても用いられる。
多孔質体は、好ましくは、機械的強度、伸縮性、耐候性に優れ、また、止水剤(混合物)の浸透性にも優れるものであり、連続気泡構造の発泡体、又は、繊維が絡み合って出来た繊維塊等であってよい。多孔質体は、好ましくはウレタン発泡体である。多孔質体の形状は特に制限されないが、ケーブル管路口における漏水部に配置する場合は、好ましくは円柱状であり、コンクリート構造物と構造物との間の目地部における漏水部に配置する場合は、好ましくはシート状である。
本実施形態において、多孔質体は2個以上用いられてもよい。例えば、ケーブル管路口における漏水部において、ケーブルが単一ケーブルである場合は、止水方法は、ケーブル形状に合わせた穴あけ加工等を行った円柱状の多孔質体を漏水部に配置し、この多孔質体に混合物を注入する方法であってよい。ケーブルが多条ケーブルである場合は、止水方法は、多孔質体を2個以上使用し、それらの隙間に混合物を注入する方法であってよく、これにより、方法が簡便で止水効果がより優れるようになる。
これらの実施形態に係る止水方法は、コンクリート構造物における漏水、ケーブル管路口の漏水等を容易に止水することを可能とする。これらの実施形態の方法によって止水した箇所は、耐薬品性、耐水圧性、耐凍結融解性、耐乾燥収縮性等に優れる。
以下に実施例、比較例を用いて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<第1の原料の調製>
[実施例1~26、比較例1~9]
実施例及び比較例においては、表1~6に示す組成に基づき、以下のものを用いて水性組成物を調製した。なお、表1~6において、A-1の含有量は、A-1a及びA-1bの合計の含有量を意味し、A-2の含有量は、A-2a、A-2b、及びA-2cの合計の含有量を意味し、A-3の含有量は、A-3a、A-3b、A-3c、A-3d、A-3e、及びA-3fの合計の含有量を意味する。
<式(1)で表される2官能アリルエーテル>
(A-1a)(A-1b):下記式(1)で表される2官能アリルエーテル(R=C、W≒10、製品名:ユニオックスAA-480R、日油株式会社製)(R=C、W≒16、製品名:ユニオックスAA-800、日油株式会社製)
Figure 2022035723000011
(A-2a):ジアクリル酸マグネシウム塩(製品名:MA-35、浅田化学工業株式会社製)の35質量%水溶液
(A-2b):ジアクリル酸カルシウム塩(製品名:CA-25、浅田化学工業株式会社製)の25質量%水溶液
(A-2c):ジアクリル酸亜鉛塩(製品名:ZA-30、浅田化学工業株式会社製)の30質量%水溶液
<式(6)または式(7)で表される重合性モノマー>
(A-3a):下記式(3A)で表されるメトキシポリエチレングリコールメタクリレート(n≒13、製品名:NKエステルM-130G、新中村化学工業株式会社製)
Figure 2022035723000012
(A-3b):下記式(3B)で表されるメトキシポリエチレングリコールアクリレート(n≒13、製品名:NKエステルAM-130G、新中村化学工業株式会社製)
Figure 2022035723000013

(A-3c):下記式(3C)で表されるヒドロキシポリエチレングリコールメタクリレート(n≒8、製品名:ブレンマーPE-350、日油株式会社製)
Figure 2022035723000014
(A-3d)(A-3e)(A-3f):下記式(3D)で表されるヒドロキシポリアルキレングリコールアリルエーテル(n≒4、製品名:ユニオックスPKA-5001、日油株式会社製)(n≒9、製品名:ユニオックスPKA-5003、日油株式会社製)(n≒30、製品名:ユニオックスPKA-5005、日油株式会社製)
Figure 2022035723000015
<多官能(メタ)アクリレート>(A-4):下記式(4)で表されるポリエチレングリコールジアクリレート(q≒13、製品名:NKエステルA-600、新中村化学工業株式会社製)
Figure 2022035723000016
(A-5):水酸化ナトリウム(和光純薬株式会社製)の4質量%水溶液
(A-6):水道水
<硬化物(止水剤)の調製>
以下の第1の原料106gと、第2の原料として、第2の原料全量基準で表7~表12に記載の水溶液質量%にした水溶液10gとを混合したA液と、水10gを用いて、表7~表12に記載の水溶液質量%に調整した水溶液である第3の原料と、第4の原料106gとを混合したB液と、を調製した。A液とB液との混合物を直ちにプラスチック容器内に流し込み、撹拌混合することによって硬化物を得た。
[第2の原料]
(2-1):L-アスコルビン酸水溶液
(2-2):L-アスコルビン酸ナトリウム水溶液
(2-3):エリソルビン酸水溶液
(2-4):エリソルビン酸ナトリウム水溶液
[第3の原料]
(3-1):過硫酸アンモニウム水溶液
(3-2):過硫酸ナトリウム水溶液
(3-3):過硫酸カリウム水溶液
実施例及び比較例における、第1の原料~第4の原料の組み合わせを表7~表12に示す。第1の原料、及び第4の原料については、上述した表1~表6における配合番号によりその種類を表す。第2の原料及び第3の原料については、原料の種類を上段に、その水溶液質量%を括弧書きで表7~表12に示す。
<評価>
実施例及び比較例の硬化物は、その硬度を測定し、その結果を表1に示す。
[硬度測定]
硬度は、表1に記載した処方を用いた硬化物(体積77cm)を作製し、その硬化物の硬度を、FP型硬度計(高分子計器株式会社製)を用いて測定した。
Figure 2022035723000017
Figure 2022035723000018
Figure 2022035723000019
Figure 2022035723000020
Figure 2022035723000021
Figure 2022035723000022
Figure 2022035723000023
Figure 2022035723000024
Figure 2022035723000025
Figure 2022035723000026
Figure 2022035723000027
Figure 2022035723000028

Claims (11)

  1. 2官能アリルエーテルと、ジ(メタ)アクリル酸塩と、を含有する水性組成物であって、
    前記2官能アリルエーテルが下記式(1)で表されることを特徴とする水性組成物。
    Figure 2022035723000029
    [式中、Rはアルキレン基を表し、wは2以上の整数を表す。]
  2. 水性組成物中の重合成分全量を基準として、2官能アリルエーテルの含有量が40質量%以下であることを特徴とする請求項1記載の水性組成物。
  3. 水性組成物中の重合成分全量を基準として、2官能アリルエーテルの含有量が40質量%以下であり、且つ、ジ(メタ)アクリル酸塩の含有量が45質量%以上であることを特徴とする請求項1及び2記載の水性組成物。
  4. 単官能モノマーを更に含有する、請求項1~3記載の水性組成物。
  5. 単官能モノマーの含有量が、水性組成物中の重合成分全量を基準として50質量%以下である、請求項4記載の水性組成物。
  6. 請求項1~5のいずれか一項記載の水性組成物である第1の原料と、アスコルビン酸又はその誘導体を含む組成物である第2の原料と、を備える止水剤原料セット。
  7. 過硫酸塩を含む組成物である第3の原料を更に備える、請求項6記載の止水剤原料セット。
  8. 前記第1の原料とは別個に、請求項1~5のいずれか一項記載の水性組成物である第4の原料を更に備える、請求項6及び7記載の止水剤原料セット。
  9. 請求項1~5のいずれか一項記載の水性組成物と、アスコルビン酸又はその誘導体と、過硫酸塩と、を含有する混合物の硬化物。
  10. 漏水部からの漏水を止水する方法であって、
    請求項1~5のいずれか一項記載の水性組成物と、アスコルビン酸又はその誘導体を含む組成物と、過硫酸塩を含む組成物と、を含有する混合物を得る混合工程と、
    前記混合物を漏水部に注入する注入工程と、を備える、方法。
  11. 前記注入工程の前に、前記漏水部に多孔質体を配置する工程を更に備え、
    前記注入工程において、前記多孔質体に前記混合物を注入する、請求項10記載の方法。
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