JP2022030614A - 燃料電池システム - Google Patents

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Abstract

【課題】触媒層のマイクロクラックの状況を検知し、膜裂けが起こる前に電解質膜の劣化状況を把握し、加湿制御等により燃料電池の電解質膜の断裂(膜裂け)を抑制する。【解決手段】燃料電池システムは、両面に電極が配置された電解質膜を有し、一方の面は水素ガスが供給されるアノードでありアノード触媒層を備え、他方の面は酸化剤ガスが供給されるカソードでありカソード触媒層を備え、水素ガスと酸化剤ガスの電気化学反応により発電する燃料電池を備える。制御装置の記憶部に記憶された燃料電池の初期の水素濃度と電流値との関係と、電流センサにより測定された燃料電池に流れる電流値と、水素センサにより測定されたカソード側のオフガス中の水素濃度とに基づいて、アノード触媒層および/またはカソード触媒層中のクラックを推定する。【選択図】図5

Description

本発明は、燃料電池システムに関する。
燃料電池(FC)システムは、燃料電池、例えば、複数の単セルを積層した燃料電池スタックにおいて、アノードに水素等の燃料ガスを供給するとともに、カソードに空気等の酸化剤ガスを供給し、これら燃料ガスと酸化剤ガスとの電気化学反応によって電気エネルギーを取り出す発電装置である。
このような燃料電池システムにおいて、アノードおよびカソードを構成する触媒層の劣化および電解質膜の断裂(「膜裂け」ともいう)によるクロスリークは電圧低下の要因をもたらす問題の一つとなる。
クロスリーク量による電解質膜の劣化の検知に関して、例えば、特許文献1には、燃料電池スタックから排出された空気中の水素濃度に基づいてクロスリークの発生を検出し、燃料電池スタックの性能の低下および高濃度の水素ガスの放出を防止する制御装置が開示されている。特許文献2には、低湿潤状態の放電特性を測定することで単セル中の触媒層と電解質膜の剥離を推定し、電解質膜からの触媒層の剥離を回復させ、燃料電池の発電性能の低下を抑制する手法が開示されている。特許文献3には、一方の電極側から他方の電極側へ向けて、分子状態で電解質膜中を透過した水素量を推定する透過水素量推定手段を用いて、クロスリークした水素量および電解質膜の劣化状況を判断する手法が開示されている。
特開2006-120375号公報 特開2009-230887号公報 特開2007-294233号公報
燃料電池システムでは、酸化剤ガスの乾湿サイクルを繰り返すことで触媒層にマイクロクラックが入ることが知られている。図6は、触媒層のマイクロクラックから膜裂けが発生するメカニズムについて説明する図である。図6(a)に示すように、触媒層にマイクロクラックが発生すると、乾湿サイクルにおいて、乾燥時にマイクロクラック直下の電解質膜が著しく収縮し、触媒層がある正常部が収縮した際にはマイクロクラック部に変位が集中する。また、図6(b)に示すように、触媒層がある正常部ではマイクロクラック部と比べて、乾燥時の電解質膜の収縮が少なく、引張応力が小さい。つまり、触媒層にマイクロクラックが発生すると、マイクロクラック部に応力が発生し、疲労劣化が始まり、それが起点となり「膜裂け」が発生し、さらにクロスリークに至ると考えられる。クロスリークが生じた際にはすでに電解質膜の劣化が進行している状態であり、クロスリーク量から電解質膜の劣化を検知する手法では、膜裂けによるクロスリークに至る前段階であるマイクロクラック(「クラック」ともいう)の検知および電解質膜の断裂の抑制は難しい。
本開示は、触媒層のマイクロクラックの状況を検知し、膜裂けが起こる前に電解質膜の劣化状況を把握し、加湿制御等により燃料電池の電解質膜の断裂(膜裂け)を抑制する燃料電池システムを提供することを主目的とする。
上記課題を解決するために、本発明者が鋭意検討した結果、電解質膜の触媒層において、マイクロクラック部には触媒層がないため発電時に水素が消費されないのに対して、正常部は触媒層によって水素が消費される、という電解質膜の触媒層のマイクロクラック部と正常部との水素濃度の違いを利用することで、膜裂けに至る前に触媒層のマイクロクラックの多少を定量的に判断できることを見出し、本開示の燃料電池システムを完成させた。
本開示は上記課題を解決するための一つの手段として、両面に電極が配置された電解質膜を有し、一方の面は水素ガスが供給されるアノードでありアノード触媒層を備え、他方の面は酸化剤ガスが供給されるカソードでありカソード触媒層を備え、水素ガスと酸化剤ガスの電気化学反応により発電する燃料電池において、水素ガスおよび酸化剤ガスを供給するガス供給装置と、ガスの供給量を制御する制御装置と、燃料電池に流れる電流値を測定する電流センサと、カソード側のオフガス中の水素濃度を測定する水素センサと、を備え、制御装置はさらに燃料電池の初期の水素濃度と電流値との関係を記憶した記憶部を備え、電流センサで測定した電流値に対する水素センサで測定した水素濃度が、記憶部に記憶された水素濃度に対して大きくなったときに、アノード触媒層および/またはカソード触媒層中のクラックが増大したと判断することを特徴とする燃料電池システムを開示する。
本開示のシステムによれば、触媒層のマイクロクラックの状況を検知し、膜裂けが起こる前に電解質膜の劣化状況を把握し、加湿制御等により燃料電池の電解質膜の断裂を抑制することができる。
図1は、本発明の燃料電池システムの一例を示すブロック図である。 図2は、正常部とマイクロクラック部との一例を示す図である。 図3は、マイクロクラックの有無および電流値の大小により、検知される水素濃度が変化することを説明する概略図である。 図4は、カソードオフガス中の水素濃度の電流密度依存性を説明する概略図である。 図5は、電解質膜断裂の抑制制御方法を説明するフローチャートの一例である。 図6は、触媒層のマイクロクラックから膜裂けが発生するメカニズムについて説明する図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態にかかる燃料電池システム100について、燃料電池システムの全体構成、マイクロクラックの検知方法、電解質膜断裂の抑制制御方法について順に説明する。ただし、本発明は実施形態に限定されない。
[燃料電池システムの全体構成]
図1に燃料電池システム100の一例を示すブロック図を示す。燃料電池システム100は車両に好適であり、図1の通り燃料電池10と、酸化剤ガス給排部20、燃料ガス給排部30、制御部40を備えている。また、燃料電池システム100はその他に一般的に燃料電池システムに備えられる部材を備えていても良い。
<燃料電池10>
燃料電池10は酸化剤ガス及び燃料ガスの供給を受けて発電する機能を有する。燃料電池10としては電解質膜とその両面にそれぞれアノード触媒層とカソード触媒層とを有するものであれば特に限定されず、水素ガスおよび酸化剤ガスから発電可能な公知の燃料電池を用いることができ、例えば、固体高分子系燃料電池を挙げることができる。燃料電池10は複数の単セルが積層されたスタック構造を有してもよい。
この燃料電池の単セルは、例えば、膜電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)と、必要に応じて当該膜電極接合体の両面を挟持する2枚のセパレータにより構成される。詳細には、膜電極接合体は、プロトン(H)伝導性を有する固体高分子型電解質膜(単に「電解質膜E」ともいう)の両面に、それぞれ、触媒層及びガスが流れる流路であるガス拡散層が順に配置された構造を有し、シーリングを備えていてもよい。例えば、触媒層の電極は触媒担持炭素と電解質とが混合されマトリクス状になり、触媒として、白金が用いられ、触媒担持炭素上の触媒と電解質との界面において電極反応が行われる。
燃料電池10の酸化剤ガス給排部20が接続されている側のカソード触媒層Cがカソードとして、燃料ガス給排部30が接続されている側のアノード触媒層Aがアノードとして機能する。燃料電池10に供給された酸化剤ガスはカソードにて燃料電池反応により消費されるとともに、当該反応によって生じる水分によって湿潤な状態になって燃料電池10から排出される。湿潤状態となって燃料電池10から排出される酸化剤ガスを酸化剤オフガス(「カソードオフガス」ともいう。)という。同様に、燃料電池10に供給された燃料ガスはアノードにて燃料電池反応により消費されるとともに、当該反応によって生じる水分によって湿潤な状態になって燃料電池10から排出される。湿潤状態となって燃料電池10から排出される燃料ガスを燃料オフガスという。ここで、燃料ガスとは水素ガスであり、酸化剤ガスとは例えば空気である。
<酸化剤ガス給排部20>
酸化剤ガス給排部20は、燃料電池10に酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給機能と、燃料電池10から排出される酸化剤ガスを外部に排出する酸化剤ガス排出機能と、酸化剤ガスを燃料電池10を介することなく外部に排出するバイパス機能と、備える。
酸化剤ガス給排部20は、カソードへ供給される酸化剤ガスを流すための配管である酸化剤ガス供給流路21と、カソードから排出された酸化剤ガスを系外へ排出ための配管である酸化剤ガス排出流路22と、酸化剤ガス供給流路21と酸化剤ガス排出流路22とを接続する配管であるバイパス流路23とを備えている。酸化剤ガス給排部20は、その他に一般的に酸化剤ガス給排部に備えられる部材を備えていても良い。
酸化剤ガス供給流路21はカソードへ供給される酸化剤ガスを流すための配管であり、コンプレッサ21aと、入口弁21bとを備える。コンプレッサ21aは、吸入側から酸化剤ガスを吸い込んで、圧縮した酸化剤ガスを燃料電池10側に供給するものである。入口弁21bは、酸化剤ガス供給流路21の流路抵抗を調整するための電動弁であり、制御部40により制御可能であり、コンプレッサ21aよりも下流側に配置されている。コンプレッサ21aと入口弁21bとの間には、コンプレッサ21aによって燃料電池10に圧送される酸化剤ガスを加湿する加湿器25が設けられている。加湿器25は、バイパス流路23に直列に配置され、酸化剤ガス供給流路21を流れる低湿潤状態の酸化剤ガスと、酸化剤ガス排出流路22を流れる高湿潤状態の酸化剤オフガスとの間で水分交換を行い、燃料電池10に供給される酸化剤ガスを適度に加湿する。
酸化剤ガス排出流路22は、燃料電池10のカソードから酸化剤オフガスを排出するための配管であり、バイパス流路23が接続されている部分よりも上流側に調圧弁22aを備えている。調圧弁22aは電動弁であり、制御部40からの指令に応じて弁開度を変更できる。調圧弁22aの弁開度が変更されることで、酸化剤ガス排出流路22の流路抵抗が変更され、燃料電池10のカソード側の流路の背圧が調整される。
バイパス流路23は、一端が酸化剤ガス供給流路21のコンプレッサ21aと入口弁21bとの間に接続され、他端が酸化剤ガス排出流路22の調圧弁22aの下流側に接続されている配管である。バイパス流路23は、コンプレッサ21aから吐出された酸化剤ガスを、燃料電池10を経由することなく外部に排出するための流路である。バイパス流路23は分流弁23aを備えている。分流弁23aは電動弁であり、制御部40からの指令に応じて弁開度を変更できる。分流弁23aの弁開度が変更されることで、バイパス流路23の流路抵抗が変更され、酸化剤ガス供給流路21からバイパス流路23に流入する空気の流量が調整される。
<燃料ガス給排部30>
燃料ガス給排部30は、燃料電池10に燃料ガスを供給する燃料ガス供給機能と、燃料電池10のアノードから排出される燃料ガスを外部に排出する燃料ガス排出機能と、燃料ガスを燃料電池システム100内において循環させる燃料ガス循環機能とを有する。
燃料ガス給排部30は、燃料ガス供給源31と、アノードへ供給される燃料ガスを流すための配管である燃料ガス供給流路32と、アノードから排出された燃料ガスを流すための配管である燃料オフガス排出流路33と、燃料ガス供給流路32と燃料オフガス排出流路33とを接続する配管である循環流路34とを備える。また、燃料ガス給排部30はその他に一般的に燃料ガス給排部に備えられる部材を備えていても良い。
燃料ガス供給源31は、例えば、高圧水素タンクや水素吸蔵合金などで構成されている。開閉弁32aを開くと、燃料ガス供給源31から燃料ガス供給流路32に水素ガスが流出する。また、燃料ガス供給源31は、炭化水素系の燃料から水素リッチな改質ガスを生成する改質器と、この改質器で生成した改質ガスを高圧状態にして蓄圧する高圧ガスタンクと、から構成してもよい。
燃料ガス供給流路32は、一端が燃料ガス供給源31に接続され、他端が燃料電池10に接続された配管であり、アノードへ供給される燃料ガスを流すための流路である。燃料ガス供給流路32は開閉弁32aと、減圧弁32bと、インジェクタ32cとを備える。開閉弁32aは燃料ガス供給源31の出側に設けられ、制御部40の指令に応じて燃料ガス供給流路32を開閉し、燃料ガス供給源31から燃料ガス供給流路32に燃料ガスを流すものである。減圧弁32bは開閉弁32aよりも下流側に設けられ、制御部40からの指令に応じて開度が制御されることで、燃料ガス供給流路32の燃料ガスの圧力を調整するものである。インジェクタ32cは減圧弁32bよりも下流側に設けられる電磁駆動式開閉弁であり、制御部40からの指令に応じて開度が制御されることで燃料ガスを燃料電池10に供給するものである。
燃料オフガス排出流路33は、一端が燃料電池10に接続され、他端が酸化剤ガス排出流路22に接続された配管であり、アノードから排出された燃料オフガスを流すための流路である。燃料オフガスは酸化剤ガス排出流路22を介して系外に排出される。燃料オフガス排出流路33は気液分離器33aと排気排水弁33bを備えている。気液分離器33aは燃料電池10から排出された燃料オフガス中の気体成分と液水成分とを分離するものである。上述した通り燃料オフガスは水分を含む湿潤状態の燃料ガスであるので、気液分離器33aによって分離される気体成分は主に燃料ガスであり、液水成分は主に水である。排気排水弁33bは気液分離器33aの下流側に配置されており、気液分離器33aにより分離された液水成分の排出を制御するためのものである。排気排水弁33bの開閉は制御部40によって制御されている。排気排出弁33bから排出された液水は、気体成分とともに酸化剤ガス排出流路22に送られ系外に排出される。
循環流路34は燃料ガス供給流路32と燃料オフガス排出流路33とを接続する配管であり、気液分離器33aで分離された燃料ガスを、再び燃料ガス供給流路32に戻すための流路である。循環流路34の一端は燃料ガス供給流路32のインジェクタ32cの下流側に接続されており、他端は気液分離器33aに接続されている。循環流路34は循環ポンプ34aを備え、循環ポンプ34aは、制御部40の指令に応じて動作が制御される。循環ポンプ34aの動作によって、燃料ガス循環流路34中の燃料ガスが燃料ガス供給流路32に送り込まれる。
<各種センサ>
ここで、燃料電池システム100は各種センサを備えている。燃料電池に流れる電流値を測定する、電流センサ51や、燃料電池のカソード側のオフガス中の水素濃度を測定する、水素センサ50を備えている。電流センサ51は、燃料電池の電流値を測定できる公知の電流センサを制限なく用いることができ、電流線に直列に配置し、直流抵抗を測定できればよい。水素センサ50は、酸化剤ガス排出流路22に配置され、後述の運転中の水素濃度をリアルタイムに測定できる公知の水素センサを制限なく用いることができ、例えば、熱伝導式水素漏れ検知センサ等が挙げられる。その他に、温度センサ、圧力センサ等備えていてもよい。
<制御部40>
制御部40は、燃料電池システム100全体を各種センサからの情報に基づいて制御するものであり、例えばCPU、ROM、RAM等を備えたコンピュータでとして構成される。CPUは、制御プログラムに従って所望の演算を実行して、種々の処理や制御を行う。ROMは、CPUで処理する制御プログラムや制御データを記憶する。RAMは、主として制御処理のための各種作業領域として使用される。
また、制御部40は、燃料電池の水素濃度の情報を取得可能な水素濃度情報取得部41と、燃料電池の電流値の情報を取得可能な電流値報取得部42と、初期の水素濃度と電流値との関係を記憶した記憶部43と燃料電池10の電解質膜Eの断裂の抑制を制御する断裂抑制制御部44を備えている。初期とは製造時を意味する。
制御部40は、燃料電池10に流れる電流値を測定する、電流センサや、燃料電池のカソード側のオフガス中の水素濃度を測定する、水素センサ等の各種センサからの検出信号を入力し、燃料電池システム100の各構成要素に制御信号を出力する。具体的には、電流センサで測定した電流値に対する水素センサで測定した水素濃度が、記憶部43に記憶された初期の水素濃度に対して大きくなったときに、アノード触媒層Aまたはカソード触媒層C中のクラックが増大したと判断し、電解質膜Eの乾湿ストレスを減らす処理を施す。
[マイクロクラックの検知]
図2(a)は、アノード触媒層上面視のマイクロスコープ像であり、Nは正常部、Mはマイクロクラック部を示す。図2(b)は、マイクロクラック部Mおよび正常部Nを有するアノード触媒層A、電解質膜E、カソード触媒層Cの断面の概略図である。マイクロクラックMの検知について、図3により、説明する。図3(a)~図3(d)は、マイクロクラック部Mの有無および印加電流の大小で検知される水素濃度が変化することを説明するための概略図であり、それぞれ、マイクロクラック部Mの有無および印加電流の大小の条件は、図3(a)は有、小、図3(b)は有、大、図3(c)は無、小、図3(d)は無、大である。図3(a)~図3(d)において実線で示される水素濃度の変化からわかるように、アノード触媒層がないマイクロクラック部Mでは水素が消費されないのに対して、正常部Nではアノード触媒層Aにおいて水素が消費される。そのため、マイクロクラック部Mが発生している場合に比べ、正常部Nのカソード側では、カソードオフガス中を通過する水素濃度が低くなる。また、アノード触媒層Aでの水素消費量は電流値に比例し、燃料電池に流れる電流が大きいほど正常部Nにおいて消費される水素が多くなり、カソードオフガス中の水素濃度は小さくなるのに対して、マイクロクラック部Mでは、アノード触媒層Aで水素が消費されないため、燃料電池に流れる電流を大きく変化させてもカソードオフガス中の水素濃度はあまり変化しない。よって、カソードオフガス中の水素濃度および燃料電池の電流値をモニターし、マイクロクラックの増大を定量的に判断することが可能である。
図4は、カソードオフガス中の水素濃度の電流密度依存性を説明する概略図である。正常部では、触媒層での水素消費量が電流密度に比例し、電流密度が大きくなるとカソードオフガス中の水素濃度が低くなる。図4に示されるように、マイクロクラックの面積が大きくなるにつれて、電流密度に対するカソードオフガス中の水素濃度をプロットしたときの傾き値は小さくなる。これは、マイクロクラックの面積が大きくなると触媒層で水素が消費されないため、電流密度を大きく変化させてもカソードオフガス中の水素濃度はあまり変化しないことを表している。よって、カソードオフガス中の水素濃度をモニターし、その電流密度依存性からマイクロクラックの増大を定量的に判断することが可能である。
なお、アノード触媒層にマイクロクラックが発生した場合について上述したが、カソード触媒層にマイクロクラックが発生した場合も同様に、マイクロクラックが大きい場合、透過してきた水素がカソード触媒層で消費されることなくカソード側オフガスに出ていくため、カソードオフガス中の水素濃度が高くなる。また、アノード触媒層とカソード触媒層との両極にマイクロクラックが発生した場合は、上述したそれぞれの水素濃度の変化の足し算になると考えられる。
[電解質膜断裂の抑制制御方法]
燃料電池システム100は、燃料電池10の各単セルの電解質膜Eの触媒層におけるマイクロクラックMの増大を検知し、自律的に電解質膜断裂を抑制する(抑制制御)。
図5は、燃料電池システム100の電解質膜断裂の抑制制御方法を説明するためのフローチャートの一例である。図5の通り、電解質膜断裂の抑制制御方法は工程S1~S6を備えており、以下各工程について詳述する。
工程S1では、水素センサにより、燃料電池システム100のカソードオフガス中の水素濃度を測定する。カソードオフガス中の水素濃度は、燃料電池スタックのカソード側の下流に備えられた水素センサにより測定される。運転中に水素濃度を任意のタイミングでリアルタイムに測定できる。例えば、車両起動時のアイドル時、出力が一定の時に測定され、その頻度は、耐久劣化を検知するために、一カ月に一回程度以上あればよい。
工程S2では、工程S1におけるカソードオフガス中の水素濃度の測定結果を用いて、制御部40が、燃料電池10の電流がゼロの時の水素濃度が増大したか否かを判定する。図4(a)に示されるように、電流がゼロの時の水素濃度が上昇した場合(工程S2:YES)は既に電解質膜Eにクロスリークが生じていると判定されるため、電解質膜断裂の抑制制御を終了する。
電流がゼロの時の水素濃度が上昇していない場合(工程S2:NO)、電解質膜Eにクロスリークが生じているおそれはないと判定され、工程S3に進む。
工程S3では、水素センサおよび電流センサにより、運転中のカソードオフガス中の水素濃度および燃料電池の電流値を測定し、カソードオフガス中の水素濃度の電流密度依存性を取得する。任意のタイミングでカソードオフガス中の水素濃度を計測し、電流密度依存性の時間変化を確認する。電流密度依存性を考慮することによりノイズ等を除去し、マイクロクラックMに由来するカソードオフガス中の水素濃度の増加を判断できる。
工程S4では、工程S3で得られた電流値に対するカソードオフガス中の水素濃度が、制御部40内の記憶部43に記憶された初期の電流値に対するカソードオフガス中の水素濃度と比べて増大したか否かを判定する。より具体的には、カソードオフガス中の水素濃度の電流密度依存性と初期の電流密度依存性とを比較して、その傾きが小さくなっていた場合(工程S4:YES)に水素濃度の電流密度依存性が初期に比べて増大したと判断され、工程S5に進む。
水素濃度の電流密度依存性が初期に比べて増大していないと判断された場合(工程S4:NO)は、電解質膜断裂の抑制制御を終了する。
工程S5は、水素濃度の電流密度依存性が初期に比べて増大したと判断された場合に、図4(b)に示すように、検査電流において、カソードオフガス中の水素濃度がクライテリアを上回っていた場合(工程S5:YES)に触媒層のマイクロクラックMが増大したと判断され、工程S6に進む。ここで、「検査電流」とは、例えば1A/cm等の一定電流を印加した状態をいう。クライテリアは、例えば、初期の水素濃度に対して、10%の上昇が見られれば、有意に触媒層にクラックが進展していると判断できる。また、クライテリアはモデル試験により寿命を満足できる値に設定しておいてもよい。
マイクロクラックMが増大していないと判断された場合(工程S5:NO)は、電解質膜断裂の抑制制御を終了する。
工程S6では、工程S5にて触媒層のマイクロクラックが増大したと判定された場合に、制御部40により断裂抑制動作を行う。断裂抑制動作とは、電解質膜Eの乾湿ストレスを減らし、電解質膜Eの断裂を抑制する動作である。電解質膜Eの乾湿ストレス(MEGA内の乾湿差)を減らす制御としては、例えば、高加湿運転により湿度上昇させる制御、高出力運転時運転温度の低下による電解質膜Eの乾燥抑制、終了掃気時の乾燥時間短縮による乾燥抑制等の制御が挙げられる。具体的には、「高加湿運転」とは、制御部40が、加湿器25を制御して、燃料電池10に供給される酸化剤ガスを通常運転時よりも高湿潤状態とし、燃料電池10を通常状態より高い湿度で発電させる運転であるため、湿度が上昇する。加湿量は、カソードオフガス中の水素濃度がクライテリアからどれだけ乖離しているかを考慮して算出してもよい。「高出力運転時運転温度の低下」とは、高出力運転時に、酸素を過剰に供給すると、電圧を高く保つことができ、必要電流が減って発熱を減らすことができる。その結果、膜の温度上昇が抑制でき、膜への乾燥ストレスが低減される。「終了掃気時の乾燥時間短縮」とは、例えば、車両停止時に乾燥バージ時間を短くすることであり、その結果、膜が湿潤した状態で車両を保持することができるため、膜への乾燥ストレスが低減される。
本開示の燃料電池システムによれば、発電中にカソードオフガス中の水素濃度の電流密度依存性を測定することで、電解質膜の触媒層のマイクロクラックの状況を検知し、電解質膜の膜裂けが起こる前に電解質膜の劣化状況を把握でき、その後の加湿制御等により燃料電池にとって致命的な劣化現象の一つである電解質膜の断裂(膜裂け)を抑制することができる。ゆえに、燃料電池の発電性能の低下を抑制し、耐久性を向上させることができ、燃料電池車両の分野においてきわめて優良な技術である。
10 燃料電池
20 酸化剤ガス給排部
21 酸化剤ガス供給流路
21a コンプレッサ
21b 入口弁
22 酸化剤ガス排出流路
22a 調圧弁
23 バイパス流路
23a 分流弁
25 加湿器
30 燃料ガス給排部
31 燃料ガス供給源
32 燃料ガス供給流路
32a 開閉弁
32b 減圧弁
32c インジェクタ
33 燃料オフガス排出流路
33a 気液分離器
33b 排気排水弁
34 循環流路
34a 循環ポンプ
40 制御部
41 水素濃度情報取得部
42 電流値報取得部
43 記憶部
44 断裂抑制制御部
50 水素センサ
51 電流センサ
52 モーター
A アノード触媒層
C カソード触媒層
E 電解質膜
M マイクロクラック部
N 正常部

Claims (1)

  1. 両面に電極が配置された電解質膜を有し、
    一方の面は水素ガスが供給されるアノードでありアノード触媒層を備え、他方の面は酸化剤ガスが供給されるカソードでありカソード触媒層を備え、水素ガスと酸化剤ガスの電気化学反応により発電する燃料電池において、
    前記水素ガスおよび前記酸化剤ガスを供給するガス供給装置と、
    ガスの供給量を制御する制御装置と、
    燃料電池に流れる電流値を測定する電流センサと、
    前記カソード側のオフガス中の水素濃度を測定する水素センサと、を備え、
    前記制御装置はさらに前記燃料電池の初期の前記水素濃度と前記電流値との関係を記憶した記憶部を備え、
    前記電流センサで測定した電流値に対する前記水素センサで測定した水素濃度が、前記記憶部に記憶された水素濃度に対して大きくなったときに、前記アノード触媒層および/またはカソード触媒層中のクラックが増大したと判断することを特徴とする燃料電池システム。
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