JP2022027215A - ハードマスク及びハードマスクの製造方法 - Google Patents

ハードマスク及びハードマスクの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ドライエッチング耐性を発揮する密度を持つと共に処理対象物との密着性が良いという機能を損なうことなく、後工程にて加工形状の悪化を招くことなく開口部をパターニング形成できるようにしたタングステン含有膜を有するハードマスク及びハードマスクの製造方法を提供する。【解決手段】処理対象物Swに対して所定の処理を施す際に、処理対象物の表面に形成されてその処理範囲を制限する本発明のハードマスクHMは、下地層Ly1とこの下地層に積層されるタングステン含有膜Ly2とを有し、下地層は、その表面粗さRaが4以下のものである。【選択図】図1

Description

本発明は、処理対象物に対して所定の処理を施す際に、処理対象物の表面に形成されてその処理範囲を制限するハードマスク及びハードマスクの製造方法に関する。
例えば、半導体デバイスの製造工程において、基板や基板表面に成膜された所定の薄膜(例えばSiO膜)に対してドライエッチング処理を施す工程があり、このとき、処理対象物の表面に例えばハードマスクを設けてドライエッチングの処理範囲が制限される。この種のハードマスクとして、TiN膜等の第1金属膜とW膜(タングステン含有膜)等の第2金属膜との積層膜を用いることが一般に知られている(例えば特許文献1参照)。このものでは、スパッタリング法により処理対象物の表面にTiN膜とタングステン含有膜とを順次成膜し、その後に、例えばリソグラフィ技術等により所定の開口部がパターニング形成される。
このようなハードマスクには、ドライエッチング耐性を発揮する密度を持つだけでなく、処理対象物との密着性(言い換えると、ハードマスクを構成する各膜のストレスが小さい)が良く、しかも、後工程にて高精度で開口部をパターニング形成できることが要求される。然し、上記従来例のように、タングステン含有膜が、タングステン含有金属をターゲットとし、このターゲットをスパッタリングして成膜されていると、後工程で開口部をパターニング形成する際に、開口部の加工形状の悪化を招く場合があることが判明した。そこで、本願発明者らは、鋭意研究を重ね、加工形状の悪化がスパッタリング法により成膜されたタングステン含有膜の結晶粒が大きい(例えば平均粒径が50nm以上)ことに起因することを知見するのに至った。
特開2014-78579号公報
本発明は、上記知見に基づきなされたものであり、ドライエッチング耐性を発揮する密度を持つと共に処理対象物との密着性が良いという機能を損なうことなく、後工程にて加工形状の悪化を招くことなく開口部をパターニング形成できるようにしたタングステン含有膜を有するハードマスク及びハードマスクの製造方法を提供することをその課題とするものである。
上記課題を解決するために、処理対象物に対して所定の処理を施す際に、処理対象物の表面に形成されてその処理範囲を制限する本発明のハードマスクは、下地層とこの下地層に積層されるタングステン含有膜とを有し、下地層は、その表面粗さRaが0.35nm以下のものであることを特徴とする。
本発明において、前記下地層は、Ti膜、TiN膜、WN膜及びTiWN膜の中から選択される少なくとも1種で構成されることが好ましい。
また、上記課題を解決するために、上記ハードマスクを製造する本発明のハードマスクの製造方法は、処理対象物の表面に下地層としてのTiN膜を成膜する第1工程と、下地層の表面にタングステン含有膜を成膜する第2工程とを含み、第1工程は、チタン製のターゲットと処理対象物とを配置した真空雰囲気の処理室内に、希ガスと窒素含有ガスとを導入し、ターゲットに電力投入して反応性スパッタリングによりTiN膜が成膜され、希ガスに対する窒素含有ガスの流量比を3.9以下に設定することを特徴とする。この場合、タングステン製のターゲットと処理対象物とを配置した真空雰囲気の処理室内に希ガスを導入し、ターゲットに電力投入してスパッタリングによりタングステン含有膜が成膜され、ターゲットに対する投入電力が4kW~8kWの範囲内に設定されることが好ましい。
ここで、ハードマスクが、例えば、ターゲットをTi、反応ガスを窒素とした反応性スパッタリングにより成膜した下地層としてのTiN膜と、ターゲットをWとしたスパッタリングにより成膜したW膜との積層膜で構成される場合、後工程にて加工形状の悪化を招くことなく、開口部をパターニング形成できるようにするには、上記知見からすると、W膜を微結晶化(よりこのましくは、非結晶化)する必要性がある。これには、TiN膜の表面粗さRaを所定範囲内に調整して、W膜の成膜初期に、Wターゲットから飛散してTiN膜表面に付着するスパッタ粒子の移動を可及的に抑制し、スパッタ粒子が凝集して生成される核の数が多くなるようにすれば、これに積層されるW膜を微結晶化することができると考えられる。
そこで、本発明では、第1工程で希ガスに対する窒素含有ガスの流量比を3.9以下に設定することで、処理対象物の表面に表面粗さRaが0.35nm以下であるTiN膜を成膜することができる。そして、これにW膜を積層すると、そのW膜は、従来例のものと比較して微結晶化されることが確認された。結果として、ハードマスクの膜構成を変更するものではないため、ドライエッチング耐性を発揮する密度を持つと共に処理対象物との密着性が良いという機能は上記従来例のものと同等であり、W膜が微結晶化されていることで、後工程にて加工形状の悪化を招くことなく開口部をパターニング形成することができる。
本発明の実施形態のハードマスクを示す模式的断面図。 本実施形態のハードマスクの製造方法を実施する、クラスターツールで構成されるスパッタリング装置を模式的に説明する図。 図2に示す成膜室を模式的に説明する図。 (a)は、本発明の効果を確認する発明実験1の結果を示すFIB-SIM像であり、(b)は、比較実験1の結果を示すFIB-SIM像。 (a)及び(b)は、本発明の効果を確認する発明実験2の結果を夫々示すAFM像であり、(c)は、比較実験2の結果を示すAFM像。 (a)及び(b)は、本発明の効果を確認する発明実験2の結果を夫々示す図であり、(c)は、比較実験2の結果を示す図。 (a)及び(b)は、本発明の効果を確認する発明実験3の結果を夫々示すAFM像であり、(c)は、比較実験3の結果を示すAFM像。 (a)及び(b)は、本発明の効果を確認する発明実験3の結果を夫々示すSEM像であり、(c)は、比較実験3の結果を示すSEM像。 本発明の効果を確認する実験結果を示すグラフ。 本発明の効果を確認する実験結果を示すグラフ。
以下、図面を参照して、処理対象物Swに対してドライエッチング処理を施す際に、処理対象物Swの表面に形成されてそのエッチング処理範囲を制限するハードマスクHM及びその製造方法の実施形態について説明する。
図1を参照して、ハードマスクHMは、処理対象物Swの表面に成膜される下地層Ly1と、この下地層Ly1に積層されるタングステン含有膜Ly2とを有する。処理対象物Swとしては、シリコンウエハ等の基板や、基板表面に所定の薄膜(例えば、SiO膜(TEOS膜)等の絶縁膜やAl膜等の金属膜)が成膜されたものを用いることができる。下地層Ly1としては、処理対象物Swに対して高い密着性を有するものが用いられ、例えば、Ti膜、TiN膜、WN膜及びTiWN膜の中から選択される1種を用いることができ、好ましくはTiN膜を用いることができる。また、タングステン含有膜Ly2としては、ドライエッチング耐性を発揮する密度(例えば19g/cm以上)を持つと共に、SiO膜(TEOS)に対して高い選択比(例えば200以上)を持つものが用いられ、例えば、W膜及びWN膜から選択される1種を用いることができ、好ましくはW膜を用いることができる。下地層Ly1の膜厚は、例えば、1~30nmの範囲内に、また、タングステン含有膜Ly2の膜厚は、例えば、100~300nmの範囲内に設定することができる。
ハードマスクHMには所定の輪郭を持つ開口部Opが公知のリソグラフィ技術によりパターニング形成され、この開口部Opの底部に露出する処理対象物Swの部分がドライエッチングされて、所望のエッチング形状に加工される。
ところで、タングステン含有膜Ly2の成膜方法としては、一般に、W製のターゲットを用いたスパッタリング法が利用されるが、タングステン含有膜Ly2をスパッタリング法により成膜すると、開口部Opの加工形状が悪化する場合がある。本発明者らの鋭意研究によれば、これは、スパッタリング法により成膜されたタングステン含有膜Ly2の結晶粒が大きいことに起因することを知見するのに至った。この知見からすると、タングステン含有膜Ly2を微結晶化(より好ましくは、非結晶化)する必要性がある。
そこで、本実施形態では、処理対象物Swの表面に成膜される下地層Ly1をその表面粗さRaが0.35nm以下のものとすることで、この下地層Ly1の表面にタングステン含有膜Ly2をスパッタリング法により成膜すると、そのタングステン含有膜Ly2は、従来例のものと比較して微結晶化されることが確認された。結果として、ハードマスクHMの膜構成を変更するものではないため、ドライエッチング耐性を発揮する密度を持つと共に処理対象物Swとの密着性が良いという機能は上記従来例のものと同等であり、タングステン含有膜Ly2が微結晶化されていることで、後工程にて加工形状の悪化を招くことなく開口部Opをパターニング形成することができる。以下、上記ハードマスクHMの製造方法の実施形態について、下地層Ly1をTiN膜とし、タングステン含有膜Ly2をW膜とする場合を例に説明する。尚、開口部Opの形成方法としては公知のリソグラフィ技術等を用いることができるため、ここでは詳細な説明を省略する。
図2を参照して、SMは、本実施形態のハードマスクHMの製造方法を実施する、クラスターツールで構成されるスパッタリング装置である。スパッタリング装置SMは、搬送ロボットRが配置される搬送室Tcと、この搬送室Tcを囲うように配置される成膜室Pc1,Pc2及びロードロック室Lcとを備える。これら搬送室Tc、ロードロック室Lc、成膜室Pc1,Pc2には、真空ポンプユニット(図示省略する場合もある)に通じる排気管が夫々接続され、各室を真空排気できるようになっている。また、ロードロック室Lcには、図示省略するベントガスラインが更に接続され、ロードロック室Lcを大気圧までベントできるようになっている。搬送ロボットRとしては、例えば、ロボットアーム10aと、ロボットアーム10aの先端に設けられて基板Swを保持するロボットハンド10bとを有する、所謂フロッグレッグ式の公知のものを用いることができ、この搬送ロボットRにより基板Swを各室の所定位置に搬送できるようになっている。また、搬送室Tcとロードロック室Lc、成膜室Pc1,Pc2とは、仕切バルブIvを介してそれぞれ連結され、各室が相互に隔絶できるようになっている。TiN膜Ly1を成膜する成膜室Pc1と、W膜Ly2を成膜する成膜室Pc2とは、ターゲット3の材料以外は同等の構造を有するため、以下、成膜室Pc1を代表して説明する。
図3も参照して、成膜室Pc1は、真空チャンバ1によって画成される。真空チャンバ1の底壁には、ターボ分子ポンプやロータリーポンプなどからなる真空ポンプユニットPuに通じる排気管11が接続され、成膜室Pc1を真空排気できるようにしている。真空チャンバ1の側壁には、マスフローコントローラ12が介設されたガス管13が接続され、真空雰囲気中の成膜室Pc1に希ガス(例えばアルゴンガス)と窒素ガスとを夫々所定流量で導入できるようになっている。以下においては、「上」「下」といった方向を示す用語は、図3に示す設置姿勢を基準として説明する。
真空チャンバ1の底部には、絶縁体Iを介してステージ2が配置され、基板Swをその成膜面側を上にして位置決め保持できるようにしている。ステージ2は、加熱手段たるヒータ21を内蔵し、図示省略の電源からヒータ21に通電することで、成膜中に基板Swを所定温度に加熱できるようになっている。
真空チャンバ1の天井部にはカソードユニットCが取付けられている。カソードユニットCは、基板Swに対向して配置されるTi製のターゲット3と、このターゲット3の上方に配置された磁石ユニット4とを有する。ターゲット3は、基板Swの輪郭に応じた形状(平面視円形)を有し、絶縁体Iを介して真空チャンバ1に取り付けられたバッキングプレート31の下面に装着されている。ターゲット3には、その材料に応じてDC電源や所定周波数(例えば150KHz~13.56MHz)の高周波電源等のスパッタ電源Eからの出力が接続され、成膜時、ターゲット2に所定電力を投入できるようになっている。磁石ユニット4としては、ターゲット3のスパッタ面3aの下方空間に磁場を発生させ、スパッタリング時にスパッタ面3aの下方で電離した電子等を捕捉してターゲット3から飛散したスパッタ粒子を効率よくイオン化する公知の構造を有するものを利用できるため、ここでは詳細な説明を省略する。
上記スパッタリング装置SMは、特に図示しないが、マイクロコンピュータやシーケンサ等を備えた公知の制御手段Ctを有し、制御手段Ctによりスパッタ電源Eの稼働、マスフローコントローラ12の稼働や真空ポンプユニットPuの稼働、磁石ユニット4の稼働等を統括制御するようにしている。
上記スパッタリング装置SMのロードロック室Lcに成膜前の基板Swを投入し、ロードロック室Lcを所定の真空度まで真空排気すると、搬送ロボットRにより基板Swをロードロック室Lcから搬送室Tcを介して真空雰囲気の成膜室Pc1に搬送し、基板Swをステージ2に受け渡す。成膜室Pc1内にスパッタガスとしてアルゴンガスと窒素ガスを15~50sccm、20~200sccmの流量で夫々導入し(このとき、成膜室Pc1の圧力は0.1~30Paとなる)反応性スパッタリングにおける所謂遷移領域(金属モードから化合物モードに遷移する領域)に保持する。これと併せて、スパッタ電源Eからターゲット3に例えばDC電力を5kW~50kW投入する。スパッタリング中、ヒータ21により基板Swが所定温度(100~300℃)に加熱される。これにより、真空チャンバ1内にプラズマ雰囲気が形成され、チタン製のターゲット3が反応性スパッタリングされる。このとき、希ガスに対する窒素含有ガスの流量比を3.9以下に設定することで、基板Sw表面に成膜されるTiN膜Ly1の表面粗さRaを0.35nm以下にすることができる。
TiN膜Ly1の成膜終了後、基板Swを成膜室Pc2に搬送し、ステージ2に受け渡す。成膜室Pc2にアルゴンガスを100~200sccmの流量で導入する(このとき、成膜室Pc2の圧力は0.1~30Paとなる)。これと併せて、スパッタ電源Eからターゲット3に負の電位を持つDC電力を4kW~8kW投入する。これにより、真空チャンバ1内にプラズマ雰囲気が形成され、タングステン製のターゲット3がスパッタリングされる。スパッタリング中、ヒータ21により基板Swは所定温度(室温(20℃)~350℃)に加熱される。スパッタリングによりターゲット3から飛散したスパッタ粒子がTiN膜Ly1の表面に付着、堆積することで、TiN膜Ly1にW膜Ly2が成膜(積層)される。そのW膜Ly2は、上記従来例のものと比較して微結晶化(または非晶質化)されたものとなることが確認された。
W膜Ly2の成膜終了後、基板Swをロードロック室Lcに搬送し、ロードロック室Lcを大気圧までベントした後、基板Swを回収する。その後、後工程にて、公知のリソグラフィ技術等を用いて、W膜Ly2及びTiN膜Ly1に開口部Opがパターニング形成される。
以上説明したようにTiN膜Ly1の成膜時に導入される希ガスに対する窒素含有ガスの流量比を3.9以下に設定することで、表面粗さRaが0.35nm以下であるTiN膜Ly1を成膜することができる。この成膜されたTiN膜Ly1の表面の潤滑性は小さいため、当該TiN膜Ly1表面にW膜Ly2をスパッタリング法により成膜すると、当該TiN膜Ly1表面におけるスパッタ粒子の移動は抑制される。その結果として、W膜Ly2の成膜当初にスパッタ粒子が凝集することで生成される核の数が多くなり、W膜Ly2は上記従来例のものと比較して微結晶化されたものとなる。このため、後工程で開口部Opをパターニング形成しても、開口部Opの加工形状の悪化を招かない。
次に、上記効果を確認するために、上記スパッタリング装置SMを用いて、以下の実験を行った。先ず、発明実験1では、処理対象物をΦ300mmのシリコンウエハの表面にSiO(TEOS)膜が100nm成膜されたもの(以下「基板Sw」という)とし、成膜室Pc1のステージ2で基板Swを保持し(ステージ温度は300℃)、成膜室Pc1にアルゴンガスと窒素ガスとを夫々流量15sccm、58sccmで導入し(このときアルゴンガスに対する窒素ガスの流量比は3.9)、Ti製のターゲット3にDC電力を14kW投入してTiN膜Ly1を10nm成膜した。TiN膜Ly1が成膜された基板Swを成膜室Pc2のステージ2で保持し(ステージ温度は100℃)、成膜室Pc2にアルゴンガスを流量100sccmで導入し、W製のターゲット3にDC電力を4kW投入してW膜Ly2を100nm成膜した。W膜Ly2の表面を集束イオンビーム-走査イオン顕微鏡(FIB-SIM:Focused Ion Beam-Scanning Ion Microscope)により観察した結果を図4(a)に示す。これによれば、後述の比較実験1のもの(図4(b)参照)と比較してW膜Ly2が微結晶化されていることが確認された。これは、W膜Ly2の比抵抗値が、後述の比較実験1での比抵抗値(9.8μΩcm)よりも1桁高い20.2μΩcmであることからも明らかである。
上記発明実験1に対する比較実験1では、基板Swの表面にTiN膜Ly1を成膜せずにW膜Ly2を直接成膜した。成膜したW膜Ly2の表面をFIB-SIMを用いて観察した結果を図4(b)に示す。これによれば、上記発明実験1よりもW膜Ly2の結晶粒が大きいことが確認された。このW膜Ly2の比抵抗値を測定したところ、9.8μΩcmであった。
発明実験2では、基板Swを成膜室Pc1のステージ2で保持し、成膜室Pc1内にアルゴンガスを45sccmの流量で導入し、チタン製のターゲット3にDC電力を4kW投入して下地層としてTi膜Ly1を30nm成膜した。このTi膜Ly1の表面を原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscopy)により観察した結果(AFM像(凹凸像))を図5(a)に示す。このTi膜Ly1の表面粗さRaは0.31nmであった。このTi膜Ly1の表面に上記発明実験1と同様にW膜Ly2を100nm成膜し、このW膜Ly2の平均粒径をレーザ回折式粒度分布測定装置により測定した結果を図6(a)に示す。W膜Ly2の平均粒径は31nmであった。また、W膜Ly2の比抵抗値を測定したところ、上記発明実験1と同等(20~23μΩcm)であった。これらの測定結果から、W膜Ly2が微結晶化されていることが判った。
また、TiN膜Ly1の膜厚を30nmとする点を除き、上記発明実験1と同様にTiN膜Ly1を成膜し、その表面をAFMにより観察した結果(AFM像)を図5(b)に示す。このTiN膜Ly1の表面粗さRaは0.35nmであった。このTiN膜Ly1の表面に上記発明実験1と同様にW膜Ly2を100nm成膜し、このW膜Ly2の平均粒径を測定した結果を図6(b)に示す。W膜Ly2の平均粒径は32nmであった。また、W膜Ly2の比抵抗値を測定したところ、上記発明実験1と同等(20~23μΩcm)であった。これらの測定結果から、W膜Ly2が微結晶化されていることが判った。
上記発明実験2に対する比較実験2として、下地層Ly1を、WSi膜5nmとTiN膜30nmとの積層膜とした。WSi膜の成膜条件は、ターゲット3をWSi製とし、アルゴン流量を100sccm、圧力を0.7Pa、投入DC電力を4kW、基板温度を300℃とした。その積層膜Ly1の表面をAFMにより観察した結果(AFM像)を図5(c)に示す。この積層膜Ly1の表面粗さRaは0.43nmであった。上記発明実験1と同様にW膜Ly2を100nm成膜し、このW膜Ly2の平均粒径を測定した結果を図6(c)に示す。平均粒径は59nmであった。また、W膜Ly2の比抵抗値を測定したところ、上記比較実験1と同等の11μΩcmであった。これらの測定結果から、下地層Ly1の表面粗さRaが0.35nmより大きいと、W膜Ly2が微結晶化されないことが判った。
発明実験3では、アルゴンガスと窒素ガスの流量を夫々15sccm、58sccmとし(このときアルゴンガスに対する窒素ガスの流量比は3.9)とする点を除き、上記発明実験1と同様の方法でTiN膜Ly1を40nm成膜し、その表面をAFMにより観察した結果(AFM像)を図7(a)に示す。このTiN膜Ly1の表面粗さRaは0.35nmであった。TiN膜Ly1を成膜したもののSEM像を図8(a)に示す。このように成膜されたTiN膜Ly1の表面に、上記発明実験1と同様の方法でW膜Ly2を100nm成膜し、その表面をAFMにより観察した結果(AFM像)を図7(b)に示す。その表面粗さRaは0.81nmであった。W膜Ly2を成膜したもののSEM像を図8(b)に示す。また、時のアルゴンガスの流量は15sccmに固定し、窒素ガスの流量のみを48sccm、150sccmと変化させてTiN膜Ly1を成膜し(このときアルゴンガスに対する窒素ガスの流量比は3.2,10)、夫々の表面粗さRaを測定したところ、図9に示すように、0.33nm,0.47nmであった。本発明実験3によれば、アルゴンガスに対する窒素ガスの流量比を3.9以下に設定することで、TiN膜Ly1の表面粗さRaを0.35nm以下にすることができることが判った。
尚、上記比較実験1の如く基板Sw表面に直接W膜Ly2を100nm成膜したもののAFM像を図7(c)に、SEM像を図8(c)に夫々示す。これによれば、上記比較実験1と同様、W膜Ly2の結晶粒が大きいことが判った。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の技術思想の範囲を逸脱しない限り、種々の変形が可能である。上記実施形態及び実験では、従来例のものと比較して微結晶化されたW膜Ly2が成膜される場合を例に説明したが、非晶質化されたW膜が成膜される場合にも本発明を適用することができる。
上記実施形態及び実験では、下地層Ly1たるTiN膜の成膜時に導入される希ガスに対する窒素含有ガスの流量比を3.9以下に設定することで、下地層Ly1の表面粗さRaを0.35nm以下にしているが、流量比以外の成膜条件を適宜設定することで、下地層Ly1の表面粗さRaを0.35nm以下にしてもよい。
上記実施形態では、W膜Ly2の成膜時に投入されるDC電力を4kW~8kWの範囲内で設定しているが、W膜Ly2を高い成膜レートで成膜するために、投入電力を6kW以上、より好ましくは7kW以上に設定することが考えられる。このように高い投入電力に設定すると、図10に示すように、W膜が圧縮方向(compressive)のストレスを有することが判明した。この場合、下地層Ly1として、引張方向(tensile)のストレスを有するTi膜、TiN膜やWN膜を用いることで、下地層Ly1がW膜Ly2のストレスを緩和する緩衝膜としての役割をも果たすことがき、有利である。
HM…ハードマスク、Ly1…TiN膜(下地層)、Ly2…W膜(タングステン含有膜)、Sw…基板(処理対象物)。

Claims (4)

  1. 処理対象物に対して所定の処理を施す際に、処理対象物の表面に形成されてその処理範囲を制限するハードマスクであって、下地層とこの下地層に積層されるタングステン含有膜とを有するものにおいて、
    下地層は、その表面粗さRaが0.35nm以下のものであることを特徴とするハードマスク。
  2. 前記下地層は、Ti膜、TiN膜、WN膜及びTiWN膜の中から選択される少なくとも1種で構成されることを特徴とする請求項1記載のハードマスク。
  3. 請求項2記載のハードマスクを製造するハードマスクの製造方法であって、処理対象物の表面に下地層としてのTiN膜を成膜する第1工程と、下地層の表面にタングステン含有膜を成膜する第2工程とを含むものにおいて、
    第1工程は、チタン製のターゲットと処理対象物とを配置した真空雰囲気の処理室内に、希ガスと窒素含有ガスとを導入し、ターゲットに電力投入して反応性スパッタリングによりTiN膜が成膜され、希ガスに対する窒素含有ガスの流量比を3.9以下に設定することを特徴とするハードマスクの製造方法。
  4. 前記第2工程は、タングステン製のターゲットと処理対象物とを配置した真空雰囲気の処理室内に希ガスを導入し、ターゲットに電力投入してスパッタリングによりタングステン含有膜が成膜され、ターゲットに対する投入電力が4kW~8kWの範囲内に設定されることを特徴とする請求項3記載のハードマスクの製造方法。
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