JP2022025052A - ボロメータ及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】製造コストの低コスト化が可能なボロメータを提供する。【解決手段】本発明は、基板と、ボロメータ膜を備える赤外線検知部を備え、前記赤外線検知部は、支持脚によって、間隙を介して基板上に保持され、前記ボロメータ膜は、半導体型カーボンナノチューブをカーボンナノチューブの総量の67質量%以上含むカーボンナノチューブ膜であり、前記カーボンナノチューブ膜の厚みは10nm~1μmの範囲であり、前記カーボンナノチューブ膜の密度は0.3g/cm3以上である、ボロメータに関する。【選択図】図2

Description

本発明は、カーボンナノチューブを使用したボロメータ及びその製造方法に関する。
赤外線センサーは、セキュリティ用の監視カメラだけでなく、人体のサーモグラフィー、車載用カメラ、及び構造物、食品等の検査など非常に広い範囲の応用性があることから、近年、産業応用が活発になっている。特に、IoT(Internet of Thing)との連携による生体情報の取得が可能な、安価で、且つ、高性能な赤外線センサーの開発が期待されている。
非冷却型赤外線検出器の一つであるボロメータは、安価な赤外線センサーとして様々な応用がある。ボロメータのセル構造の一例を図5に示す。このボロメータでは、シリコン基板201上に、支持脚206をささえとしてシリコン基板201から間隙202を隔てて隔離させた赤外線検知部210を有している。赤外線214が照射されると、赤外線検知部210のボロメータ膜204が熱せられ、温度変化による抵抗変化を検知する。このようなボロメータでは、赤外線検知部のボロメータ膜204として酸化バナジウムが用いられ、赤外線検知部210の基部及びボロメータ膜204の被覆材として窒化シリコン(SiN)208が用いられる。しかし、ボロメータとして検出能が最適化されたSiNと酸化バナジウムの厚さでは、赤外光の吸収が十分ではないため、赤外線反射板209を設けて、ボロメータ膜204に吸収されきれずに透過した赤外光215を反射させ、再度ボロメータ膜に入射させる構造をとる(特許文献1)。さらにそれだけでは赤外光吸収が十分ではなく、ボロメータ膜の直上に赤外線吸収膜207を別途用意する場合や、図6に示すように、画素に入射する赤外線を効率良く吸収させるために、ヒサシと呼ばれる赤外線吸収構造207をさらに設ける場合もある。
このような構造の作製には通常シリコンMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)プロセスが用いられる。MEMSプロセスでは、まず、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)トランジスタ等で構成された読出回路を作成した半導体基板201上に、層間絶縁膜をCVD法で形成し、その上層に金属の赤外線反射膜209、層間絶縁膜、犠牲層を形成する。その後、窒化シリコン膜の保護絶縁膜をCVD法により形成し、その上に金属電極203を形成する。次いで、金属電極203と接続されたボロメータ膜204、第二の窒化シリコン膜208、赤外線吸収膜207を形成する。最後に、犠牲層をエッチングにより除去して間隙202を形成する。このように、図5および6のようなボロメータの製造には複雑な製造方法が必要であるという課題がある。
特に、前述の赤外線反射膜209とボロメータ膜204との距離dは、吸収しようとする電磁波の波長を考慮して設定する必要がある。しかし、赤外線反射膜209とボロメータ膜204との距離との距離を大きくするには、前述の犠牲層の厚さを厚くする必要があるため、製造がより難しくなるという課題もある。
また、ボロメータ膜に主に用いられている酸化バナジウムは、その抵抗温度係数(Temperature Coefficient of Resistance:TCR)の低さにより、その性能が律速されているという課題がある。性能向上のためよりTCRの高い材料をボロメータ薄膜部に用いることが求められ、TCRの高い材料である半導体カーボンナノチューブ(CNT)のランダムネットワークをボロメータ膜としての利用することが期待されている(特許文献2)。
しかし、カーボンナノチューブをボロメータ膜に用いた場合、通常の半導体プロセスだけでは素子構造を作製することができないため、製造プロセスがさらに複雑になり、特に、画像取得のために画素を集積してアレイセンサ化する必要がある場合に高コスト化の要因となるという課題がある。また、カーボンナノチューブをボロメータ膜に用いた場合も、赤外線吸収率の点では未だ改善の余地があった。
特開2007-263769号公報 国際公開第2012/049801号
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、製造プロセスの低コスト化が可能なボロメータ及びその製造方法を提供することを課題とする。
本発明の一態様は、
基板と、
ボロメータ膜を備える赤外線検知部
を備え、
前記赤外線検知部は、支持脚によって、間隙を介して基板上に保持され、
前記ボロメータ膜は、半導体型カーボンナノチューブをカーボンナノチューブの総量の67質量%以上含むカーボンナノチューブ膜であり、
前記カーボンナノチューブ膜の厚みは10nm~1μmの範囲であり、前記カーボンナノチューブ膜の密度は0.3g/cm以上である、ボロメータ
に関する。
本発明の別の一態様は、
基板上に、赤外線検知部を支持脚を介して形成する工程と、
前記基板と、前記赤外線検知部との間に、間隙を形成する工程と、
前記赤外線検知部上にボロメータ膜を形成する工程と、
を含み、
前記ボロメータ膜は、半導体型カーボンナノチューブをカーボンナノチューブの総量の67質量%以上含むカーボンナノチューブ膜であり、
前記カーボンナノチューブ膜の厚みは10nm~1μmの範囲であり、前記カーボンナノチューブ膜の密度は0.3g/cm以上である、ボロメータの製造方法
に関する。
本発明によれば、製造プロセスの低コスト化が可能なボロメータ及びその製造方法を提供することができる。
ボロメータアレイの斜視図である。 本発明の一実施形態のボロメータのセル構造を示す縦断正面図である。 本発明の一実施形態のボロメータのセル構造を示す縦断正面図である。 本発明の一実施形態のボロメータアレイの構造を示す平面図である。 一従来例のボロメータのセル構造を示す縦断正面図である。 一従来例のボロメータのセル構造を示す縦断正面図である。
[1]ボロメータの構造
本発明の実施形態を図面を参照して説明する。ただし、前述した一従来例と同一の部分は、同一の名称を使用して詳細な説明を省略する場合がある。また、以下の実施形態では、赤外光を検知するボロメータ(赤外線検出器)を例に説明するが、本実施形態のボロメータは、後述するとおり、赤外光以外、例えばテラヘルツ波の検知にも用いることができる。したがって、本明細書において、用語「赤外線」及び「赤外光」は、検知しようとする所望の電磁波に適宜読み替えることができる。
本発明の一実施形態に係るボロメータの構造を図を参照して説明する。図1はボロメータアレイの斜視図、図2は、単素子のセル構造の縦断正面図である。本実施形態のボロメータは、基板101と、ボロメータ膜104を備える赤外線検知部110とを備え、赤外線検知部110は、支持脚106によって、間隙102を介して基板101上に保持されている。ここで、「間隙」は、赤外線検知部と基板との間に空間が存在することを意味する。カーボンナノチューブ膜104に接触して設けられた電極103は、配線105を介して読出回路部113に接続されている。本実施形態のボロメータでは、ボロメータの上方から入射光114がボロメータ膜104に入射した場合、ボロメータ膜104の温度上昇による抵抗変化を電極103から読み出すことによって赤外線の強度を検知する。
本実施形態のボロメータは、ボロメータ膜104として、後述するとおり、赤外線吸収率の高い所定のカーボンナノチューブ膜を用いることを特徴とする。
図5に示した構造では、上方から入射した赤外線の大部分は、酸化バナジウムのボロメータ膜204に吸収されずに透過するため、ボロメータ膜204と基板201の間に反射板209を設ける必要がある。しかし、図2に示した本実施形態のボロメータでは、ボロメータ膜104として、所定の厚み及び密度を有する所定のカーボンナノチューブ膜を用いることにより、赤外光の吸収率を高めることができる。このため、赤外線反射層(光反射層)や赤外線吸収層(光吸収層)を必ずしも設ける必要がなく、素子構造をより簡素化することができ、それにより製造プロセスを低コスト化することが可能となる。
さらに、図5に示した構造では、反射板209とボロメータ膜204との距離d、すなわち間隙202の高さは、吸収しようとする赤外線の波長λを考慮してd=λ/4とする必要がある。一方、図2に示した本実施形態の構造では、反射板を備える必要がないため、間隙102の高さdを、吸収しようとする赤外線の波長λを考慮せずに、所望の値に設定することができるという利点もある。このため、本実施形態のボロメータは、従来のボロメータに比べて広い範囲の波長帯の電磁波の検知に用いることができる。カーボンナノチューブ膜をボロメータ膜として用いた本実施形態のボロメータは、0.7μm~1mmの波長を有する電磁波の検知に特に好適に用いることができる。当該波長範囲に含まれる電磁波としては、赤外線の他、テラヘルツ波が挙げられる。
本実施形態のボロメータは、好ましくは赤外線検出器である。
[2]ボロメータの構成要素
以下に、本実施形態のボロメータの構成要素の各々について詳述する。
[2-1]カーボンナノチューブ膜
カーボンナノチューブ膜104は、電極間を電気的に接続する導電パスを形成する複数のカーボンナノチューブから構成される、好ましくはネットワーク状の構造を有する膜である。本実施形態のボロメータでは、下記に詳述する所定のカーボンナノチューブ膜を用いることにより、赤外線吸収率を改善し、ボロメータ構造の簡素化および製造プロセスの低コスト化を達成することができる。
カーボンナノチューブ膜104には、大きなバンドギャップとキャリア移動度を持つ半導体型カーボンナノチューブを用いることが好ましい。カーボンナノチューブ膜を構成するカーボンナノチューブ中、半導体型カーボンナノチューブの比率が、一般に67質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上であり、特に90質量%以上、より好ましくは95質量%以上であり、99質量%以上(100質量%を含む)がさらに好ましい。
カーボンナノチューブは、単層、二層、及び多層のカーボンナノチューブを用いることができるが、半導体型カーボンナノチューブを分離する観点では、単層又は数層(例えば、2層又は3層)、特に単層のカーボンナノチューブが好ましい。カーボンナノチューブ膜を構成するカーボンナノチューブ中、単層カーボンナノチューブが80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上(100質量%を含む)であることがより好ましい。
カーボンナノチューブの直径は、バンドギャップを大きくしてTCRを向上する観点で、0.6~1.5nmの間が好ましく、0.6nm~1.2nmがより好ましく、0.7~1.1nmがさらに好ましく、場合により1nm以下が好ましい。0.6nm以上であれば、カーボンナノチューブの製造がより容易である。1.5nm以下であれば、バンドギャップを適切な範囲に維持し易く、高いTCRを得ることができる。
本明細書において、カーボンナノチューブの直径は、カーボンナノチューブ膜を原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope(AFM))を用いて観察して50箇所程度の直径を計測し、その60%以上、好ましくは70%以上、場合により好ましくは80%以上、より好ましくは100%が0.6~1.5nmの範囲内にあることを意味する。好ましくは、その60%以上、好ましくは70%以上、場合により好ましくは80%以上、より好ましくは100%が0.6~1.2nmの範囲内、さらに好ましくは0.7~1.1nmの範囲内、場合により1nm以下の範囲内にある。
また、カーボンナノチューブの長さは、100nm~5μmの間が、分散しやすく、塗布性も優れているためより好ましい。またカーボンナノチューブの導電性の観点でも、長さが100nm以上であることが好ましい。また、5μm以下であれば成膜時の凝集を抑制し易い。カーボンナノチューブの長さは、より好ましくは500nm~3μm、さらに好ましくは700nm~1.5μmである。
本明細書において、カーボンナノチューブの長さは、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope(AFM))を用いて少なくとも50本を観察し、数え上げることでカーボンナノチューブの長さの分布を測定し、その60%以上、好ましくは70%以上、場合により好ましくは80%以上、より好ましくは100%が100nm~5μmの範囲内にあることを意味する。好ましくは、その60%以上、好ましくは70%以上、場合により好ましくは80%以上、より好ましくは100%が500nm~3μmの範囲内、より好ましくは、その60%以上、好ましくは70%以上、場合により好ましくは80%以上、より好ましくは100%が700nm~1.5μmの範囲内にある。
カーボンナノチューブの直径及び長さが上記範囲内であると、半導体性の影響が大きくなり、且つ、大きな電流値を得られるため、ボロメータに用いた場合に高いTCR値が得られやすい。
カーボンナノチューブ膜の厚みは、例えば10nm~1μm、好ましくは20nm~500nm、より好ましくは50nm~200nmの範囲である。
カーボンナノチューブ膜の厚みが10nm以上、好ましくは50nm以上であると、赤外線反射層や赤外線吸収層を設けなくても十分な赤外線吸収率が得られるため、素子構造を簡略にすることができる。
また、カーボンナノチューブ膜の厚みが1μm以下、好ましくは500nm以下であると、製造方法の簡便化の観点で好ましい。また、カーボンナノチューブ膜が厚過ぎると、上から蒸着されたコンタクト電極が、カーボンナノチューブ膜の下の方のカーボンナノチューブと十分にコンタクトせず、実効的な抵抗値が高くなる場合があるが、上記範囲内であれば、抵抗値の上昇を抑制することができる。
なお、赤外線吸収層を設ける場合は、カーボンナノチューブ膜の厚みを上記範囲よりも薄くして、製造プロセスのさらなる簡便化及び抵抗値の改善を図ってもよい。
また、カーボンナノチューブ膜の厚みが上記のとおり10nm~1μmの範囲内であると、カーボンナノチューブ膜の製造方法として、印刷技術を好適に適用することができるという点でも好ましい。
カーボンナノチューブ膜の厚みは、カーボンナノチューブ膜の任意の10点で測定した厚みの平均値として求めることができる。
また、カーボンナノチューブ膜の密度は、例えば0.3g/cm以上、好ましくは0.8g/cm以上、より好ましくは1.1g/cm以上である。上限は特に限定されないが、用いたカーボンナノチューブの真密度の上限値(例えば約1.4g/cm)とすることができる。
カーボンナノチューブ膜の密度が0.5g/cm以上であると、赤外線反射層(光反射層)や赤外線吸収層(光吸収層)を設けなくても十分な赤外線吸収率が得られ、素子構造を簡略にすることができると言う点で好ましい。
なお、赤外線吸収層を設ける場合は、カーボンナノチューブ膜の密度として、上記より低い密度を適宜選択してもよい。
カーボンナノチューブ膜の密度は、カーボンナノチューブ膜の重量、面積、および上で求めた厚みから算出することができる。
[2-2]間隙
上記カーボンナノチューブ膜104を備える赤外線検知部(光検知部)110と基板101との間には間隙102が設けられている。赤外線反射層を備えるボロメータでは、吸収しようとする赤外線の波長を考慮して間隙の高さdを決定する必要があるが、本実施形態のボロメータは赤外線反射層を要しないため、間隙の高さdを、吸収しようとする赤外線の波長を考慮することなく、所望の値に設定することができるという利点がある。作製の容易さの観点では、間隙の高さdを0.5μm以上とすることが好ましい。なお、間隙の高さdは、基板101の上面(基板上に絶縁保護膜等が存在する場合は、その上面)から赤外線検知部110の下面までの距離を表す。
なお、赤外線素子全体を真空パッケージングして当該間隙102を真空に保つことで、赤外線検知部と基板との間の断熱性を高めることもできる。
[2-3]その他の構成要素
本実施形態のボロメータにおいて、上記のカーボンナノチューブ膜104及び間隙102以外の構成要素は、ボロメータに通常用いられるものを特に制限なく用いることができるが、その一例を以下に説明する。
(基板)
基板101は、フレキシブル基板及びリジッド基板のいずれであっても良く、少なくとも素子形成表面が絶縁性又は半導体性のものが使用できるが、特に素子形成表面が絶縁性のものが好ましい。基板としては、例えば、Si、SiOを被膜したSi、SiO、SiN、パリレン、プラスチック等の基板が挙げられるが、これらに限定されない。
(電極)
電極103としては、限定されるものではないが、例えば金、白金、チタン等を用いることができる。電極の厚みは、適宜調整できるが、10nm~1mmが好ましく、50nm~1μmがより好ましい。電極間の距離は、1μm~500μmが好ましく、小型化のためには5~200μmがより好ましい。5μm以上であると、金属型カーボンナノチューブを僅かに含む場合でも、TCRの特性の低下を抑制することができる。また、500μm以下であると、2次元アレイ化による画像センサーの適用に有利である。なお、電極103は、図2および3のようにボロメータ膜104の上側に形成してもよいし、ボロメータ膜104の下側に形成しても構わない(図示せず)。
(赤外線吸収構造)
また、本実施形態のボロメータでは、ボロメータ膜として光吸収率の高い所定のカーボンナノチューブ膜を用いているため、赤外線吸収層(光吸収層)等の赤外線吸収構造は必ずしも必要ではない。このため、本発明の一実施形態に係るボロメータは、図2に示すように、赤外線吸収構造を有しないが、所望により、赤外線吸収構造を設けてもよい。
例えば、入射する赤外線を効率良く吸収させるために、ヒサシ状の赤外線吸収構造を設けて、フィルファクターのさらなる向上を図ってもよい。このような構造としては、例えばSiNからなるものが挙げられるが、これに限定されず、当該技術分野で用いられるものを特に制限なく適用できる。
また、例えば、図3に示したように、カーボンナノチューブ膜104より上層、すなわち、赤外線が入射する側に、赤外線吸収層107を設けてもよい。赤外線吸収層は、カーボンナノチューブ膜104上に直接設けてもよいし、後述する保護層の上に設けてもよい。
赤外線吸収層の厚みは、材料によって適宜設定できるが、例えば50nm~1μmとすることができる。
カーボンナノチューブ膜104上に直接赤外線吸収層107を設ける場合は、限定されるものではないが、例えばポリイミドの塗布膜等が挙げられる。保護層の上に設ける赤外線吸収層107としては、限定されるものではないが、例えば窒化チタン薄膜等が挙げられる。
(保護層)
図2に示すように、カーボンナノチューブ膜104上及び配線105の上下には、通常、保護層108が存在する。保護層は、絶縁保護層として機能することができ、また、カーボンナノチューブ膜の上側に存在する保護層は、酸素等の吸着によるカーボンナノチューブへのドーピングの抑制、あるいはカーボンナノチューブ膜だけでなく保護層も赤外線を吸収することによる赤外線吸収率の増加等の効果を有し得る。保護層108としては、ボロメータにおいて保護層として用いられる材料を制限なく用いることができ、例えば窒化シリコン、酸化シリコン(SiO)、樹脂、例えばパリレン、PMMA、PMMAアニソール等のアクリル樹脂、エポキシ樹脂、テフロン(登録商標)の膜等が挙げられる。
また、上述のとおり、本実施形態のボロメータでは、ボロメータ膜を透過した赤外線を反射するための光反射層は必ずしも必要ではないため、本発明の一実施形態に係るボロメータは、図2に示すように、光反射層を有しないが、所望により、カーボンナノチューブ膜104と基板101の間、例えば基板101上に光反射層を設けてもよい。ただし、上述のとおり、素子構造の簡素化の観点では、光反射層を設けないことが好ましい。
さらに、上記形態では一セル(単素子)のボロメータを示したが、複数の素子をアレイ状に並べて、ボロメータアレイとすることもできる。図4は図2のセンサセルがアレイ状に並べられているボロメータアレイを示す平面図である。各素子の電極103を列毎に複数の列配線112とコンタクト105で接続するとともに、行毎に複数の行配線111とコンタクト105で接続することにより、二次元のイメージセンサを構成することができる。このような構造では、各セルに対応する行配線111と列配線112に電気信号を与えて、セルの抵抗変化を読み出す。全てのセルの抵抗変化を順次読み出すことにより、赤外線イメージセンサを構成することができる。
[3]ボロメータの製造方法
本実施形態に係るボロメータの製造方法は特に限定されず、ボロメータの製造に用いられる方法を適宜採用することができる。
[3-1]カーボンナノチューブ膜
カーボンナノチューブ膜の形成方法は特に限定されないが、印刷技術を用いて作製することが好ましく、特に、後述するように、カーボンナノチューブ分散液を用いた印刷法が好ましい。印刷法としては、塗布(ディスペンサー、インクジェット)や転写(マイクロコンタクトプリント、グラビア印刷)が挙げられる。例えば、所望のカーボンナノチューブ分散液を、上述の赤外線検知部110の基部上に塗布して成膜する方法が挙げられる。あるいは、カーボンナノチューブ分散液を所望の基材上で成膜し、赤外線検知部110の基部に積層又は転写してもよい。
カーボンナノチューブ膜の製造に用いるカーボンナノチューブ分散液の製造方法、及び該分散液を用いたカーボンナノチューブ膜の形成方法の一例を説明する。ただし、カーボンナノチューブ膜の製造方法は以下に限定されるものではない。
カーボンナノチューブ分散液に用いるカーボンナノチューブは、不活性雰囲気下、又は真空中において熱処理を行うことで、表面官能基やアモルファスカーボン等の不純物、触媒等を除去してもよい。熱処理温度は、適宜選択できるが、800~2000℃が好ましく、800~1200℃がより好ましい。
カーボンナノチューブ分散液は、非イオン性界面活性剤を含むことが好ましい。
非イオン性界面活性剤は、適宜選択できるが、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系に代表されるポリエチレングリコール構造を有する非イオン性界面活性剤や、アルキルグルコシド系非イオン性界面活性剤など、イオン化しない親水性部位とアルキル鎖など疎水性部位で構成されている非イオン性界面活性剤を1種類もしくは複数組み合わせて用いることが好ましい。このような非イオン性界面活性剤としては、式(1)で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテルが好適に用いられる。また、アルキル部が1又は複数の不飽和結合を含んでもよい。
2n+1(OCHCHOH (1)
(式中、n=好ましくは12~18、m=10~100、好ましくは20~100である)
特に、ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(20)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(10)オレイルエーテル、ポリオキシエチレン(10)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(10)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(20)オレイルエーテル、ポリオキシエチレン(100)ステアリルエーテルなどポリオキシエチレン(n)アルキルエーテル(nが20以上100以下、アルキル鎖長がC12以上C18以下)で規定される非イオン性界面活性剤がより好ましい。また、N,N-ビス[3-(D-グルコンアミド)プロピル]デオキシコールアミド、n-ドデシルβ-D-マルトシド、オクチルβ-D-グルコピラノシド、ジギトニンも使用することができる。
非イオン性界面活性剤として、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアラート(分子式:C6412626、商品名:Tween 60、シグマアルドリッチ社製等)、ポリオキシエチレンソルビタントリオレアート(分子式:C2444、商品名:Tween 85、シグマアルドリッチ社製等)、オクチルフェノールエトキシレート(分子式:C1422O(CO)、n=1~10、商品名:Triton X-100、シグマアルドリッチ社製等)、ポリオキシエチレン(40)イソオクチルフェニルエーテル(分子式:C1740(CHCH2040H、商品名:Triton X-405、シグマアルドリッチ社製等)、ポロキサマー(分子式:C10、商品名:Pluronic、シグマアルドリッチ社製等)、ポリビニルピロリドン(分子式:(CNO)、n=5~100、シグマアルドリッチ社製等)等を用いることもできる。
非イオン性界面活性剤の分子長は5~100nmが好ましく、10~100nmがより好ましく、10~50nmがさらに好ましい。5nm以上、特に10nm以上であると、分散液を電極上(電極1と電極2の間を含む領域)に塗布した後、カーボンナノチューブ同士の距離を適切に保つことができ凝集を抑制し易い。また、100nm以下であると、ネットワーク構造の構築の観点で好ましい。
このような非イオン性界面活性剤は、カーボンナノチューブとの相互作用が弱く、分散液を塗布後除去することが容易であるため、安定したカーボンナノチューブ導電ネットワークを形成でき、優れたTCR値を得ることができる。また、このような非イオン性界面活性剤は、分子長が長いため、分散液の塗布時にカーボンナノチューブ間の距離が大きくなり、再凝集しにくい。このため、適度な間隔を保ったまま、孤立分散状態のカーボンナノチューブネットワークを形成し、温度変化に対して大きな抵抗変化を実現することができる。
分散溶液を得る方法は特に制限されず、従来公知の方法を適用できる。例えば、カーボンナノチューブ混合物、分散媒、及び非イオン性界面活性剤を混合してカーボンナノチューブを含む溶液を調製し、この溶液を超音波処理することでカーボンナノチューブを分散させ、カーボンナノチューブ分散液(ミセル分散溶液)を調製する。分散媒としては、分離工程の間、カーボンナノチューブを分散浮遊できる溶媒であれば特に限定されず、例えば水、重水、有機溶媒、イオン液体、又はこれらの混合物等を用いることができるが、水及び重水が好ましい。前記超音波処理に加えて、又は代えて、機械的な剪断力によるカーボンナノチューブ分散手法を用いてもよい。機械的な剪断は気相中で行ってもよい。カーボンナノチューブと非イオン性界面活性剤によるミセル分散水溶液においてカーボンナノチューブは孤立した状態であることが好ましい。そのため、必要に応じて、超遠心分離処理を用いてバンドル、アモルファスカーボン、不純物触媒等の除去を行ってもよい。分散処理の際、カーボンナノチューブを切断することができ、カーボンナノチューブの粉砕条件、超音波出力、超音波処理時間等を変えることで、長さを制御することができる。例えば、未処理のカーボンナノチューブをピンセット、ボールミル等で粉砕し、凝集体サイズを制御できる。これらの処理後、超音波ホモジナイザーにより、出力40~600W、場合により100~550W、20~100KHz、処理時間1~5時間、好ましくは~3時間にすることで、長さを100nm~5μmに制御することできる。1時間より短いと、条件によってはほとんど分散せず、ほとんど元の長さのままである場合がある。また、分散処理時間の短縮及びコスト減の観点では3時間以下が好ましい。本実施形態は、非イオン性界面活性剤を用いたことにより切断の調整が容易であるという利点も有し得る。また、非イオン性界面活性剤を用いた方法により調製したカーボンナノチューブを用いて製造した本実施形態に係る赤外線センサーは、除去が困難なイオン性界面活性剤を含有しないという利点もある。
カーボンナノチューブの分散及び切断により、表面官能基がカーボンナノチューブの表面あるいは端に生成される。生成される官能基は、カルボキシル基、カルボニル基、水酸基等が生成される。液相での処理であれば、カルボキシル基、水酸基が生成され、気相であれば、カルボニル基が生成される。
また、前記重水又は水、及び非イオン性界面活性剤を含む液体における界面活性剤の濃度は、臨界ミセル濃度~10質量%が好ましく、臨界ミセル濃度~3質量%がより好ましい。臨界ミセル濃度未満であると分散できないため好ましくない。また、10質量%以下であれば、分離後、界面活性剤の量を低減しながら十分な密度のカーボンナノチューブを塗布することができる。本明細書において、臨界ミセル濃度(critical micelle concentration(CMC))とは、例えば一定温度下、Wilhelmy式表面張力計等の表面張力計を用い、界面活性剤水溶液の濃度を変えて表面張力を測定し、その変極点となる濃度のことを言う。本明細書において「臨界ミセル濃度」は、大気圧下、25℃での値とする。
上記切断及び分散工程におけるカーボンナノチューブの濃度(カーボンナノチューブの重量/(カーボンナノチューブと分散媒と界面活性剤との合計重量)×100)は、特に限定されないが、例えば0.0003~10質量%、好ましくは0.001~3質量%、より好ましくは0.003~0.3質量%とすることができる。
上述の切断・分散工程を経て得られた分散液を、後述する分離工程にそのまま用いてもよいし、分離工程の前に、濃縮、希釈等の工程を行ってもよい。また、分離工程前のカーボンナノチューブ分散液のバンドル、アモルファスカーボン、金属不純物等を除去するため遠心分離処理を行ってもよい。遠心加速度は適宜調整できるが、10000×g~500000×gが好ましく、50000×g~300000×gがより好ましく、場合により100000×g~300000×gであってもよい。遠心分離時間は0.5時間~12時間が好ましく、1~3時間がより好ましい。遠心分離温度は、適宜調整できるが、4℃~室温が好ましく、10℃~室温がより好ましい。
半導体型カーボンナノチューブと金属型カーボンナノチューブの分離は、例えば、電界誘起層形成法(ELF法:例えば、K.Ihara et al. J.Phys.Chem.C.2011,115,22827~22832、日本特許第5717233号明細書を参照、これらの文献は参照により本明細書に組み込まれる)により行うことができる。ELF法を用いた分離方法の一例を説明する。カーボンナノチューブ、好ましくは単層カーボンナノチューブを非イオン性界面活性剤により分散し、その分散液を縦型の分離装置に入れ、上下に配置された電極に電圧を印加することで、無担体電気泳動により分離する。分離のメカニズムは以下のように推定することができる。カーボンナノチューブを非イオン性界面活性剤により分散した場合、半導体型カーボンナノチューブのミセルは負のゼータ電位を有し、一方金属型カーボンナノチューブのミセルは逆符号(正)のゼータ電位(近年では、僅かに負のゼータ電位を有するかほとんど帯電していないとも考えられている)を持つ。そのため、カーボンナノチューブ分散液に電界を印加すると、ゼータ電位の差などの作用により、半導体型カーボンナノチューブミセルは陽極(+)方向へ、金属型カーボンナノチューブミセルは陰極(-)方向へ電気泳動する。最終的には陽極付近に半導体型カーボンナノチューブが濃縮された層が、陰極付近に金属型カーボンナノチューブが濃縮された層が分離槽内に形成される。分離の電圧は、分散媒の組成及びカーボンナノチューブの電荷量等を考慮して適宜設定できるが、1V以上200V以下が好ましく、10V以上200V以下がより好ましい。分離工程の時間短縮の観点では100V以上が好ましい。また、分離中の泡の発生を抑制して分離効率を維持する観点では200V以下が好ましい。分離は、繰り返すことで純度が向上する。分離後の分散液を初期濃度に再設定して同様の分離操作を行ってもよい。それにより、さらに高純度化することができる。
上述のカーボンナノチューブの分散・切断工程及び分離工程により、所望の直径・長さを有する半導体型カーボンナノチューブが濃縮された分散液を得ることができる。なお、本明細書において、半導体型カーボンナノチューブが所望の比率まで濃縮されているカーボンナノチューブ分散液を「半導体型カーボンナノチューブ分散液」と呼ぶ場合がある。金属型及び半導体型のカーボンナノチューブの分離傾向については、顕微Ramanスペクトル分析法と紫外可視近赤外吸光光度分析法により分析することができる。
半導体型カーボンナノチューブ分散液のゼータ電位は、+5mV~-40mVであることが好ましく、+3mV~-30mVであることがより好ましく、+0mV~-20mVであることがさらに好ましい。+5mV以下であると、金属型カーボンナノチューブの含有量が少ないことを意味するため好ましい。-40mVより小さい場合はそもそも分離が困難である。ここで、半導体型カーボンナノチューブ分散液のゼータ電位とは、例えば上記のELF法による分離工程によって得られた、非イオン性界面活性剤と半導体型カーボンナノチューブミセルとを含む半導体型カーボンナノチューブ分散液のゼータ電位である。本明細書において、カーボンナノチューブ分散液のゼータ電位は、分散液を、ELSZ装置(大塚電子株式会社)を用いて測定した値である。
上述の工程により得られた半導体型カーボンナノチューブ分散液を上述の赤外線検知部の基部上に塗布して乾燥させ、カーボンナノチューブ膜を形成することができる。また、カーボンナノチューブ分散液を所望の基材上で塗布して成膜したカーボンナノチューブ膜を上述の赤外線検知部の基部上に積層してもよい。
塗布に用いる分離後のカーボンナノチューブ分散液の界面活性剤の濃度は適宜制御することができる。基板に塗布する際のカーボンナノチューブ分散液の界面活性剤の濃度は、臨界ミセル濃度~5質量%程度が好ましく、より好ましくは、0.001質量%~3質量%、塗布後の再凝集等を抑えるために、0.01~1質量%が特に好ましい。
カーボンナノチューブ分散液を塗布する方法としては、特に限定されず、滴下法、スピンコート、印刷(塗布(ディスペンサー、インクジェット)や転写(マイクロコンタクトプリント、グラビア印刷))、スプレー塗布、ディップコート等が挙げられる。製造コストの低減の観点では、印刷法が好ましい。
成膜したカーボンナノチューブを熱処理して、界面活性剤や溶媒を除去してもよい。熱処理の温度は界面活性剤の分解温度以上で適宜設定できるが、150~400℃が好ましく、200~400℃がより好ましい。200℃以上であれば界面活性剤の分解物の残留を抑制し易いためより好ましい。また、400℃以下であれば、基板の変質を抑制することができるため好ましい。また、カーボンナノチューブの分解やサイズ変化、官能基の離脱等を抑制することができる。
[3-3]ボロメータ及びボロメータアレイの構造及び製造方法
本実施形態に係るボロメータ及びボロメータアレイの製造方法としては、所定のカーボンナノチューブ膜を用いる他は、ボロメータの製造に通常用いられる製造プロセスを制限なく用いることができる。ボロメータアレイの素子構造及びその製造方法の一例を説明する。
CMOSトランジスタ等で構成された読出回路を作成した半導体基板101上に、層間絶縁膜をCVD法で形成し、その上層に犠牲層を形成する。その上層に、窒化シリコン膜等からなるダイアフラム膜(支持脚106上及び赤外線検知部110の基部を被覆する膜)をCVD法により形成し、その上層に所定のカーボンナノチューブ膜104を形成する。次いで、該カーボンナノチューブ膜104に接続された電極103及び支持脚106上の配線105を形成し、その上に第二の窒化シリコン膜(保護層108)を形成する。最後に、犠牲層をエッチングにより除去してダイアフラム構造のセルを得る。ここでカーボンナノチューブ膜104は、前述のとおり、印刷法で形成することができ、その厚さと密度は、例えば、厚みが100nm、密度が1.1g/cmである。
上記の構成要素に加えて、赤外線吸収層107を設ける場合は、上記のカーボンナノチューブ膜104又は窒化シリコン膜の上に、印刷法等により成膜してもよいし、予め成膜した赤外線吸収層を積層してもよい。
また、本実施形態のボロメータアレイには、トランジスタアレイを適用することも好ましい。トランジスタアレイを適用することにより、高速にスキャンすることが可能となる等の利点がある。トランジスタアレイの形態は特に限定されず、例えばトランジスタアレイを受光部の下に作りこむ等、当技術分野で用いられる形態を特に制限なく適用することができる。
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
この出願は、2020年7月28日に出願された日本出願特願2020-127792を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
101、201 基板
102、202 間隙
103、203 電極
104、204 ボロメータ膜
105、205 配線
106、206 支持脚
107、207 赤外線吸収層(吸収膜)/赤外線吸収構造
108、208 保護層(絶縁保護層)
209 赤外線反射板
110、210 赤外線検知部
111 行配線
112 列配線
113、213 読出回路
114、214 入射光
215 ボロメータ膜を透過した光

Claims (7)

  1. 基板と、
    ボロメータ膜を備える赤外線検知部
    を備え、
    前記赤外線検知部は、支持脚によって、間隙を介して基板上に保持され、
    前記ボロメータ膜は、半導体型カーボンナノチューブをカーボンナノチューブの総量の67質量%以上含むカーボンナノチューブ膜であり、
    前記カーボンナノチューブ膜の厚みは10nm~1μmの範囲であり、前記カーボンナノチューブ膜の密度は0.3g/cm以上である、ボロメータ。
  2. 光反射層を有していない、請求項1に記載のボロメータ。
  3. 前記カーボンナノチューブ膜に含まれるカーボンナノチューブの60%以上が、0.6~1.5nmの範囲の直径、及び100nm~5μmの範囲の長さを有する、請求項1又は2に記載のボロメータ。
  4. 前記カーボンナノチューブ膜が、半導体型カーボンナノチューブをカーボンナノチューブの総量の90質量%以上含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のボロメータ。
  5. 光吸収層を有しない、請求項1~4のいずれか1項に記載のボロメータ。
  6. 基板上に、カーボンナノチューブ膜を備える素子が複数形成されたボロメータアレイである、請求項1~5のいずれか1項に記載のボロメータ。
  7. 基板上に、赤外線検知部を支持脚を介して形成する工程と、
    前記基板と、前記赤外線検知部との間に、間隙を形成する工程と、
    前記赤外線検知部上にボロメータ膜を形成する工程と、
    を含み、
    前記ボロメータ膜は、半導体型カーボンナノチューブをカーボンナノチューブの総量の67質量%以上含むカーボンナノチューブ膜であり、
    前記カーボンナノチューブ膜の厚みは10nm~1μmの範囲であり、前記カーボンナノチューブ膜の密度は0.3g/cm以上である、ボロメータの製造方法。
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