JP2022024990A - 空気浄化用生地および空気浄化システム - Google Patents

空気浄化用生地および空気浄化システム Download PDF

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裕香 浜口
Yuka Hamaguchi
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Nodoka Yoneda
亜紀 北本
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Abstract

【課題】室内空気の循環を行いながら、同時に空気浄化を簡易的に行える空気浄化用生地、およびそれを用いた空気浄化システムを提供する。【解決手段】空気浄化用生地は、空気循環装置を有する室内に設置される生地であって、前記生地の繊維表面に有害物質不活化剤が付着しており、かつ以下の要件(A)(B)(C)を全て満足することを特徴とする。(A)社団法人繊維評価技術協議会のSEKマーク繊維製品認証基準(JEC301)に規定される消臭性試験法(検知管法)におけるアンモニア減少率が75%以上であること。(B)JIS L1902(2015)に規定される菌液吸収法にて測定した黄色ブドウ球菌の抗菌活性値が増殖値以上である制菌性を有すること。(C)JIS L1922(2016)に規定されるプラーク測定法にて測定したA型インフルエンザウイルスの抗ウイルス活性値が2.0以上である抗ウイルス性を有すること。【選択図】なし

Description

本発明は、空気浄化用生地および空気浄化システムに関する。
一般に使用される扇風機やファンヒーター、エアコンなどの空調設備は、そのほとんどが外気取り込みではなく内気循環を行うシステムである。そのため、ダニや花粉などのハウスダスト、真菌や細菌、ウイルスなどの病原体、または、トイレやペット、タバコなどを発生源とする生活臭などの有害物質を除去して室内環境を改善するために、定期的に窓を開放して換気を行うことが必要とされる。
しかしながら、窓を開放すると、屋外から室内に、虫、および粉塵、病原体、臭気などの有害物質が流入したり、室内の温湿度調節をやり直したりすることになる。このため、窓を開放して換気を行いたくない場合がある。一方、窓を開放して換気を行いたくても、窓を開放することが難しい場合もある。例えば、病院や劇場、カラオケボックスなどでは、窓を開放して換気を行うことが困難または不可能である。そこで、空調設備による室内空気の循環と、空調設備に内蔵された空気浄化機能または空調設備とは独立した空気清浄機などとを併用している。これにより、窓を開放しなくても、室内空気の浄化を行うことができる。
従来、空気清浄機の機構として、フィルターや活性炭によるろ過、プラズマ放電などで発生した電離気体やオゾンなどの化学活性種による不活化、または、電気集塵などが利用されている。
しかし、ろ過方式では、圧力損失によってエネルギー効率が低下したり、ろ過材の清掃や交換といった手間がかかったりする欠点がある。また、化学活性種による不活化では、生体にとって有害な化学活性種を装置内に封じ込めたり無毒化処理を行ったりする設備が必要になり、化学活性種を安全に取り扱うことは意外に大変であるという欠点がある。また、電気集塵方式では、エネルギーの投入や装置の大型化が避けられないという欠点がある。このようなことから、維持管理が容易で、かつ簡便な空気浄化システムが求められている。
そこで、従来、種々の空気浄化技術が提案されている。例えば、特許文献1には、酸化チタン光触媒と脱臭剤とによる消臭機能を有するブラインド・ルーバ・カーテンという内装材により消臭する技術が提案されている。また、特許文献2には、保存安定性に優れるとともに二酸化塩素ガスを安定的に発生させる純粋二酸化塩素液剤を得て、これを用いて有害物質を不活化させる技術が提案されている。
特開平9-206200号公報 国際公開第2008/111357号
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、当然ながら、空気中に漂う臭気などの有害物質が内装材に接触してはじめて有害物質の不活化作用が発揮される。このため、このような受動的に有害物質との接触を待つ空気浄化システムでは、効率や即効性に劣るという課題がある。また、特許文献2に開示された技術では、二酸化塩素発生装置単独で用いた場合には、広い空間に二酸化塩素を拡散させることができないという課題があり、また、別の送気装置などと組み合わせた場合でも、消毒臭、粘膜への刺激、吸引毒性、電子機器などの腐食といった課題が残る。
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、室内空気の循環を行いながら、同時に空気浄化を簡易的に行える空気浄化用生地、およびそれを用いた空気浄化システムを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、以下の本発明の一態様を完成するに至った。
(1)本発明にかかる空気浄化用生地は、空気循環装置を有する室内に設置される生地であって、前記生地の繊維表面に有害物質不活化剤が付着しており、かつ以下の要件(A)(B)(C)を全て満足することを特徴とする。
(A)社団法人繊維評価技術協議会のSEKマーク繊維製品認証基準(JEC301)に規定される消臭性試験法(検知管法)におけるアンモニア減少率が75%以上であること。
(B)JIS L1902(2015)に規定される菌液吸収法にて測定した黄色ブドウ球菌の抗菌活性値が増殖値以上である制菌性を有すること。
(C)JIS L1922(2016)に規定されるプラーク測定法にて測定したA型インフルエンザウイルスの抗ウイルス活性値が2.0以上である抗ウイルス性を有すること。
(2)また、本発明にかかる空気浄化用生地において、前記空気浄化用生地は、さらに、以下の要件(D)を満足するとよい。
(D)JIS L1922(2016)に規定されるプラーク測定法に準拠して測定したヒトコロナウイルス229Eの抗ウイルス活性値が2.0以上である抗ウイルス性を有すること。
(3)また、本発明にかかる空気浄化用生地において、前記空気浄化用生地は、さらに、以下の要件(E)を満足するとよい。
(E)JIS L1922(2016)に規定されるプラーク測定法に準拠して測定したSARSコロナウイルス2の抗ウイルス活性値が2.0以上である抗ウイルス性を有すること。
(4)また、本発明にかかる空気浄化用生地において、前記生地は、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、アクリル繊維、ポリエステル繊維からなる群より選ばれる1つ以上の繊維からなり、かつ、前記空気浄化用生地は、JIS L1094(2014)に規定されるB法(摩擦帯電圧測定法)にて測定した摩擦帯電圧が2500V以上であるとよい。
(5)また、本発明にかかる空気浄化用生地において、前記空気浄化用生地は、目付が30~140g/mであり、かつJIS L1096(2010)に規定されるA法(フラジール形法)にて測定した通気性が15~45cm/cm・sであるとよい。
(6)また、本発明にかかる空気浄化用生地において、前記生地の繊維表面に付着している有害物質不活化剤が、少なくとも銀と、光触媒とを含むとよい。
(7)また、本発明にかかる空気浄化用生地において、前記空気浄化用生地は、ストリップ状に複数枚に分離、または暖簾のように一端が櫛状に複数枚に分割されている形状であるとよい。
(8)また、本発明にかかる空気浄化システムは、上記のいずれかの空気浄化用生地が吊り下げられた室内において、空気循環装置を用いて前記室内の空気循環が行われることを特徴とする。
(9)また、本発明にかかる空気浄化システムは、上記のいずれかの空気浄化用生地が、前記空気循環装置の吸気部および/または送気部に装着されていることを特徴とする。
本発明によれば、室内空気の循環を行いながら、同時に空気浄化を簡易的に行える。
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態における構成要素のうち独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、本発明は、以下の態様のみに限定されるものではなく、本発明の精神と実施の範囲において多くの変形が可能である。
<空気浄化用生地>
本実施の形態にかかる空気浄化用生地は、空気循環装置を有する室内に設置される生地であって、前記生地の繊維表面に有害物質不活化剤が付着しており、かつ以下の要件(A)(B)(C)を全て満足することを特徴とする。
(A)社団法人繊維評価技術協議会のSEKマーク繊維製品認証基準(JEC301)に規定される消臭性試験法(検知管法)におけるアンモニア減少率が75%以上であること。
(B)JIS L1902(2015)に規定される菌液吸収法にて測定した黄色ブドウ球菌の抗菌活性値が増殖値以上であること。
(C)JIS L1922(2016)に規定されるプラーク測定法にて測定したA型インフルエンザウイルスの抗ウイルス活性値が2.0以上である抗ウイルス性を有すること。
空気浄化用生地に用いられる生地を構成する繊維の素材としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエステル、ナイロン、アクリル、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン、または、アセテートやキュプラ、ビスコースなどのレーヨンなどを用いることができる。また、これらの他に、空気浄化用生地に用いられ生地を構成する繊維の素材としては、ポリ乳酸、芳香族ポリアミド、ポリイミドまたはポリフェニレンサルファイドなどの化学繊維、綿、麻、絹または羊毛などの天然繊維、あるいは、これらの素材の混繊、混紡、交織または交編品などを用いることができる。
後述するが、空気浄化用生地に用いられる生地が、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、アクリル繊維、ポリエステル繊維からなる群より選ばれる1つ以上の繊維を用いることで、正に帯電しやすい空気中の微粒子に対し、負に帯電しやすい繊維が静電気引力で吸着する効果を発揮しやすいため、好ましい。
空気浄化用生地に用いられる生地を構成する繊維は、長繊維、短繊維のいずれであってもよい。また、この繊維を用いた糸は、生糸、撚糸、および加工糸のいずれであってもよい。加工糸としては、特に限定されるものではないが、例えば仮撚加工糸(例えばウーリー加工糸、DTY、改良仮撚加工糸等)、押込加工糸、賦型加工糸、擦過加工糸、タスラン加工糸、糸長差引きそろえ加工糸、複合加工糸、毛羽加工糸、交絡集束糸、交絡混繊糸
などを用いることができる。
空気浄化用生地に用いられる生地を構成する繊維の断面形状は、特に限定されるものではないが、例えば、丸型、三角、星形、扁平、C型、中空、井形、ドックボーンなどが挙げられる。
また、空気浄化用生地に用いられる生地は、平織、綾織、朱子織などの組織の織物、経編、緯編(横編または丸編)などの組織の編物、または、不織布など、いかなる形態であってもよい。
また、空気浄化用生地に用いられる生地は、予め着色されていてもよいし、着色されていなくてもよい。繊維生地を予め着色する場合には、分散染料、カチオン染料、酸性染料、直接染料、反応染料、建染染料、硫化染料等の染料、蛍光増白剤、または顔料などを用いることで生地を着色することができる。生地を着色するために用いられる材料としては、上述したものに限定されず、各生地の素材に合わせて適切なものを選択すればよい。
本実施の形態にかかる空気浄化用生地において、生地の繊維表面には、有害物質不活化剤が付着している。有害物質不活化剤としては、例えば、消臭剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、抗アレル物質加工剤などが挙げられる。より具体的には、有害物質不活化剤は、メソポーラスシリカやゼオライトなどの多孔質体、硫酸アルミニウムや酸化亜鉛などの両性物質、銀や銅などの貴金属およびそれらを多孔質体などに担持した粒子、第4級アンモニウム塩などの陽イオン性界面活性剤、ベタインなどの両性界面活性剤、ジンクピリチオン、タンニン酸、酸化チタンや酸化タングステンなどの光触媒などである。生地の繊維表面に付着させる有害物質不活化剤は、単独で用いてもよく、複数組み合わせて用いてもよく、また、付着量の向上や付着した有害物質不活化剤の脱離を防ぐためのバインダーと組み合わせてもよい。
なかでも、有害物質不活化剤は、銀と、光触媒とを少なくとも含むとよい。銀と光触媒とを併用すると、それぞれ単独で用いた場合または他の抗ウイルス剤を用いた場合と比較して、ヒトコロナウイルス229EやSARSコロナウイルス2などのプラス鎖RNAウイルスに対して特異的に高い抗ウイルス性が発現される。なお、銀は、安定的に生地の繊維表面に付着させるため、多孔質体に担持した形態で用いることが好ましい。この場合、多孔質体は、臭気成分を物理吸着し、消臭剤としての効果も発揮する。
生地の繊維表面に有害物質不活化剤を付着させる方法は、有害物質不活化剤と必要に応じてバインダーなどの助剤とを水に溶解または分散させた処理液を作製し、浸漬、噴霧または塗付などで用意した生地に処理液を付与し、脱水や乾燥させる方法が挙げられる。この方法により、有害物質不活化剤を生地の繊維表面に付着させることができる。なお、バインダーを併用する場合は、熱処理や活性エネルギー線照射による架橋促進、および/または、湿熱処理によるグラフト重合などを行ってもよい。複数種の有害物質不活化剤を生地の繊維表面に付着させる場合には、処理液中に複数種の有害物質不活化剤を添加しておいて複数種の有害物質不活化剤を一括して生地に付着させる加工を行ってもよいし、複数種の有害物質不活化剤が別々に添加された複数の処理液を準備しておいて複数種の有害物質不活化剤を段階的に生地に付着させる加工を行ってもよい。
なお、空気浄化用生地に用いられる生地には、さらに、所期の目的を逸脱しない限りにおいて、防炎加工、撥水加工、紫外線遮蔽加工、または、赤外線吸収加工などの機能性付与加工を行ってもよいし、柄の印刷加工、エンボス加工、または、プリーツ加工などの意匠性を向上させる加工を行ってもよい。特に、エンボス加工やプリーツ加工などの生地の表面積を高めることができる加工は、意匠性を向上させる効果だけでなく、有害物質が吸着する表面積を増大させる効果も発揮するため、好ましい。
本実施の形態における空気浄化用生地は、社団法人繊維評価技術協議会のSEKマーク繊維製品認証基準(JEC301)に規定される消臭性試験法(検知管法)におけるアンモニア減少率が75%以上である。アンモニアは、汗臭、加齢臭、排泄臭、タバコ臭、生ごみ臭、ペット臭など様々な生活臭に含まれる原因物質であり、前記消臭性試験法によるアンモニア減少率が75%以上であれば、空気中の悪臭成分を迅速に消臭することができる。また、前記試験によるアンモニア減少率は、80%以上が好ましく、85%以上がより好ましい。
さらに、本実施の形態における空気浄化用生地は、制菌性の指標として、JIS L1902(2015)に規定される菌液吸収法にて測定した黄色ブドウ球菌の抗菌活性値が増殖値以上である。前記菌液吸収法にて測定した抗菌活性値が増殖値以上であることは、病原体の増殖速度以上に生地表面での病原体不活化速度が速いことを意味するので、前記菌液吸収法にて測定した抗菌活性値が増殖値以上であることで、空気中の病原体数を時間とともに減らすことができる。特に、前記菌液吸収法で測定した抗菌活性値が2.2以上であれば、菌を原因とする悪臭を抑制する効果も発揮されるので、好ましい。さらに好ましくは、前記菌液吸収法で測定した抗菌活性値は3.0以上である。
さらに、本実施の形態における空気浄化用生地は、抗ウイルス性の指標として、JIS L1922(2016)に規定されるプラーク測定法にて測定したA型インフルエンザウイルスの抗ウイルス活性値が2.0以上である。前記プラーク測定法にて測定したA型インフルエンザウイルスの抗ウイルス活性値が2.0以上であれば、比較的短時間で空気中のウイルスの感染能力を抑制することができる。特に、前記プラーク測定法にて測定したA型インフルエンザウイルスの抗ウイルス活性値は、2.5以上であることが好ましい。
また、本実施の形態における空気浄化用生地は、さらに、抗ウイルス性の別の指標として、JIS L1922(2016)に規定されるプラーク測定法に準拠して測定したヒトコロナウイルス229Eの抗ウイルス活性値が2.0以上である抗ウイルス性を有するとよく、加えて、JIS L1922(2016)に規定されるプラーク測定法に準拠して測定したSARSコロナウイルス2の抗ウイルス活性値が2.0以上である抗ウイルス性を有するとよい。前記プラーク測定法に準拠して測定したヒトコロナウイルス229E、加えてSARSコロナウイルス2の抗ウイルス活性値が2.0以上であれば、インフルエンザなどのマイナス鎖RNAウイルスの感染能力を短時間で抑制できるだけではなく、ヒトコロナウイルス229EやSARSコロナウイルス2などのプラス鎖RNAウイルスの感染能力も短時間で抑制することができる。特に、前記プラーク測定法に準拠して測定したヒトコロナウイルス229E、およびSARSコロナウイルス2の抗ウイルス活性値は、2.5以上であることが好ましい。このように、本実施の形態における空気浄化用生地は、インフルエンザなどのマイナス鎖RNAウイルスだけではなく、ヒトコロナウイルス229EやSARSコロナウイルス2などのプラス鎖RNAウイルスに対しても感染能力を抑制できる幅広い抗微生物スペクトルを有する。
また、本実施の形態における空気浄化用生地を構成する生地の素材は、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、アクリル繊維、ポリエステル繊維からなる群より選ばれる1つ以上の繊維からなり、かつ、空気浄化用生地は、JIS L1094(2014)に規定されるB法(摩擦帯電圧測定法)にて測定した摩擦帯電圧が2500V以上であるとよい。これにより、正に帯電しやすい空気中の微粒子に対し、負に帯電しやすい繊維が静電気引力で吸着する効果が発揮され、有害物質を不活化する能力が促進される。前記摩擦帯電圧測定法にて測定した摩擦帯電圧は、より好ましくは、3000V以上である。
また、本実施の形態において、空気浄化用生地の目付が30~140g/mであり、かつJIS L1096(2010)に規定されるA法(フラジール形法)にて測定した空気浄化用生地の通気性が15~45cm/cm・sであるとよい。
後述するが、室内に空気浄化用生地を吊り下げて設置した際、目付および通気性がともに前記の範囲内であると、空気循環装置を用いて室内の空気循環を行う際に、空気循環装置から発生する風の風速が1m/s足らずであっても空気浄化用生地が緩やかにはためくので、インテリアとして優美であると同時に、空気浄化用生地を貫通する空気に対するろ過機能と、空気浄化用生地の周辺を流れる空気に対する接触機会および摩擦帯電の増大による吸着機能との双方の機能が発揮しやすくなる。
また、空気循環装置の吸気部および/または送気部を覆うように空気浄化用生地を装着したとしても、空気浄化用生地による圧力損失が小さいために吸気能力および送気能力がほぼ維持され、かつ空気浄化用生地のろ過性能も発現し、さらに空気循環装置の運転の強弱に対して吸い付いたり膨らんだりしにくく、美観を損ねにくい。
また、空気循環装置の送気部にストリップ状の空気浄化用生地を装着した際、空気浄化用生地が適度にはためき、インテリアとして優美であると同時に、空気浄化用生地を貫通する空気に対するろ過機能と、空気浄化用生地周辺を流れる空気に対する接触機会および摩擦帯電の増大による吸着機能との双方の機能が発揮しやすくなる。特に部屋の隅々にまで送風できるよう設計されている空気循環装置を用いた場合、送気部直下の3m/s程度の送風に対し、送気流をかき乱さないはためき方になりやすいため、空気循環装置の本来の性能を発揮でき、より効果的である。
なお、空気浄化用生地の目付は、好ましくは50~120g/mである。また、空気浄化用生地の通気性は、好ましくは20~40cm/cm・sである。
<空気循環装置>
本実施の形態にかかる空気循環装置は、空調の対象となる室内の空気を循環させる空気循環機能を有していれば、特に限定されるものではない。具体的には、空気循環装置は、吸気部から吸入した室内空気を送気部から送気を行う室内用の空調設備であればよい。また、空気循環装置は、空気循環機能以外に、吸気部から吸入した室内空気を必要に応じて温湿度を調節する機能および/または空気浄化機能などを有するものであってもよい。具体的には、空気循環装置は、空気循環機能のみを有する扇風機やサーキュレーターであってもよいし、ファンヒーター、エアコン、加湿機、除湿機、または、これらと独立した空気清浄機などの空気循環機能以外の機能を有するものであってもよい。さらに、このような空気循環装置とは別に、空気調節装置や空気清浄機を併用してもかまわない。
なお、扇風機やサーキュレーター等において、吸気部および送気部は、空気を吸気および送気するためのファンを格納する筐体部(放射状や菱形格子状等に骨が張られたガード部等)として一体になっている。この場合、例えば、吸気部は、筐体部の背面側半分の部分であり、送気部は、筐体部の前面側半分の部分である。また、扇風機やサーキュレーターにおいて、筐体部は、左右方向および/または上下方向等に向きを変える首振り機能を有していてもよい。
また、本実施の形態における空気循環装置は、部屋の天井や壁面に作りつけられたビルトインタイプのものであってもよいし、自家用車やバス、電車などの内気循環装置であってもよいし、室内に後から据え付けられたり搬入されたりして室内に設置された独立タイプであってもよい。
上記のような空気循環装置を用いることにより、室内空気の循環を行いながら、同時に空気浄化用生地への有害物質の接触機会を増大させて空気浄化能力を向上させることができる。
<空気浄化システム>
次に、本実施の形態の空気浄化システムについて説明を行う。なお、先に説明を行った事項と重複する事項については一部説明を省略または簡略化する。
本実施の形態にかかる第1の空気浄化システムは、上記の空気浄化用生地が吊り下げられた室内において、上記の空気循環装置を用いて室内の空気循環が行われるシステムまたは設備である。
空気浄化用生地を室内に吊り下げる際、例えば、空気浄化用生地の上端部の少なくとも一部を、面ファスナー、両面テープ、紐、クリップ、フック、カーテンブランケットなどを用いて天井や壁、梁などから吊り下げることで室内に設置することができる。また、突っ張り棒や物干し竿などの棒状の支持体に、空気浄化用生地の中ほどを掛け渡したり、空気浄化用生地の上端部に設けられた穴、袋縫い、乳などの輪に棒状の支持体を通したりした設置形態であってもよい。さらに、空気浄化用生地を既設のカーテンやパーテションなどに取り付ける設置形態であってもよい。また、室内の天井などに空気浄化用生地の4隅を固定して、空気浄化用生地の中央部が下向きに膨らんだ天井飾りとした設置形態であってもよい。また、カーテンランナーを用いた一般的なカーテンや、ブラインドやロールカーテンのように、空気浄化用生地に対して左右または上下方向に開閉手段を与えてもよい。このように空気浄化用生地を吊り下げて設置することにより、空気浄化用生地は、当該空気浄化用生地の法線方向から空気循環装置からの送風を受けやすくなり、かつ空気浄化用生地の下端が自由端となるので空気循環装置からの送風によるはためきが発生する。このように空気浄化用生地がはためくことで、空気浄化用生地の周辺を流れる空気が空気浄化用生地に接触する機会が増大したり、その空気と空気浄化用生地との摩擦による帯電が増大したりして、空気浄化用生地の吸着機能が発揮しやすくなる。さらに、空気浄化用生地が多孔質体として存在するので、同一設置面積で空気浄化用生地と壁紙やフィルムとを比較すると、空気浄化用生地は、壁紙やフィルムに対して約10倍の表面積を得ることができ、有害物質捕集能力を高めることができる。
このように、本実施の形態にかかる第1の空気浄化システムは、有害物質不活化能力を有する壁紙やカーペットなどと比較して、高い空気浄化能力を有するシステムである。
なお、本実施の形態において、好ましい空気浄化用生地の面積は、広さ12畳(団地間)×高さ2.1mの部屋(容積:約36m)に対して6200cm以上であり、より好ましくは9000cm以上である。
また、空気浄化用生地は、1枚のカーテンのような大面積であってもよいが、ストリップ状に複数枚に分離、または暖簾のように一端が櫛状に複数枚に分割されている形状のものであってもよい。これにより、空気浄化用生地がはためくことによる吸着機能の向上効果が強調される。なお、ストリップ状に分離された空気浄化用生地は、例えば、短冊状やリボン状等の細長い生地である。
次に、本実施の形態にかかる第2の空気浄化システムについて説明する。本実施の形態にかかる第2の空気浄化システムは、上記の空気浄化用生地が、上記の空気循環装置の吸気部および/または送気部に装着されているシステムまたは設備である。
空気浄化用生地を空気循環装置の吸気部および/または送気部に装着する際、空気浄化用生地を、面ファスナー、両面テープ、紐、クリップ、フックなどの係合手段を用いて吸気部や送気部に係合したり、ゴムや弾性糸、編物などで伸縮性を与えた空気浄化用生地をカバーの形状に仕立ててこのカバーによって吸気部や送気部を覆ったりするなどの方法によって、空気循環装置の吸気部および/または送気部に空気浄化用生地を装着すればよい。空気循環装置の吸気部および送気部は、室内において最も流量が大きい箇所となるため、空気浄化用生地を空気循環装置の吸気部および/または送気部に装着することで、有害物質不活化能力を有する壁紙やカーペットなどと比較し、高い空気浄化能力を有する空気浄化システムを実現できる。
また、空気浄化用生地はプレフィルターの役割も担うため、空気循環装置の吸気部に空気浄化用生地を装着することで、空気循環装置の内部に取り込まれる汚れの量を減らすことができる。これにより、ファンや内部フィルター、熱交換器、ドレンパンなどを清潔に維持できる効果も得られる。
なお、扇風機やサーキュレーターのファンを格納する筐体部などのように、首振り機能を有する空気循環装置の吸気部および/または送気部に空気浄化用生地を装着する場合には、空気浄化用生地を装着したことで首振り機能を制限したり首振りの際に空気浄化用生地が巻き込まれたりしないようにするために空気浄化用生地にマチやスリットを設けるなどして、空気浄化用生地の形状および形態を適宜変更して空気循環装置に装着してもよい。さらに、吸気部および/または送気部に操作ボタンや情報窓が設けられている空気循環装置に空気浄化用生地を装着する場合には、操作ボタンや情報窓を露出させるために空気浄化用生地に開口部を設けてもよい。
また特に、空気循環装置として、冷気を天井と平行な向きに、暖気を下向きに送気するエアコンや、ファンヒーター、コアンダ効果を利用した扇風機やサーキュレーターまたは空気清浄機などの、部屋の隅々にまで送風できるよう設計されているものを用いる場合には、空気循環装置の送気部にストリップ状の空気浄化用生地を装着することが好ましい。ストリップ状の空気浄化用生地を送気部に装着しても、送気流のレイノルズ数をさほど増加させないため、空気浄化用生地は、送気流をかき乱さないはためき方になりやすく、空気循環装置の本来の性能を発揮させることができ、より効果的である。
なお、第1の空気浄化システムおよび第2の空気浄化システムに共通することであるが、有害物質不活化剤として光触媒を用いる場合には、空気浄化用生地を照射する光源と組み合わせて用いてもよい。この場合、光源としては、用いた光触媒の励起波長成分を多く含む分光分布を有する光源であるとよい。具体的には、紫外域で強く励起される酸化チタン系光触媒などを用いる場合には光源としてUVランプを用いるとよく、また、可視光域(特に青色~緑色の波長帯域)で強く励起される酸化タングステン系光触媒や可視光応答型酸化チタン系光触媒などを用いる場合には、光源として、UVランプ、蛍光灯、青色発光ダイオードまたは白色発光ダイオードを有するものを用いるとよい。
また、第1の空気浄化システムおよび第2の空気浄化システムに共通することであるが、空気浄化用生地は容易に交換したり洗濯したりすることができるため、常に空気浄化用生地を清潔に保ち、空気浄化システムの空気浄化能力を高く維持する効果も有する。
以下、本実施の形態に空気浄化用生地について、実施例および比較例を挙げて詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。なお、本発明の目的を逸脱しない範囲で変更を施すことは、全て本発明の技術的範囲に含まれる。なお、以下の実施例および比較例における「%」は、「質量%」を意味する。また、以下の例における各種物性等の測定、試験および評価は次の方法で行った。
<空気浄化用生地のアンモニア減少率の測定>
社団法人繊維評価技術協議会のSEKマーク繊維製品認証基準(JEC301)に規定される消臭性試験法(検知管法)に準じて、空気浄化用生地のアンモニア減少率を測定した。なお、有害物質不活化剤として光触媒を用いた空気浄化用生地については、白色蛍光灯(ネオルミスーパー FL20SW、三菱電機株式会社製)を用い、400lxの環境下で測定を行った。
<空気浄化用生地の制菌性の測定>
JIS L1902(2015)に規定される菌液吸収法に準じて、空気浄化用生地の黄色ブドウ球菌に対する抗菌活性値を測定した。また、標準布を用いて増殖値も併せて測定し、抗菌活性値が標準布以上であるものを合格とした。
<空気浄化用生地の抗インフルエンザウイルス性の測定>
JIS L1922(2016)に規定されるプラーク測定法に準じ、A型インフルエンザウイルス(H3N2 ATCC VR-1679)をウイルス株として、MDCK細胞(ATCC CCL-34)を宿主細胞として用い、空気浄化用生地のA型インフルエンザウイルスの抗ウイルス活性値を測定した。作用時間は2時間とし、有害物質不活化剤として光触媒を用いた空気浄化用生地については、白色蛍光灯(FHF32EX-N-H、パナソニック株式会社製)を用い、1000lxの環境下で6時間作用させ、測定を行った。
<空気浄化用生地の抗ヒトコロナウイルス性の測定>
JIS L1922(2016)に規定されるプラーク測定法に準じ、ヒトコロナウイルス229E(ATCC VR-740)をウイルス株として、MRC-5細胞(ATCC CCL-171)を宿主細胞として用い、空気浄化用生地のヒトコロナウイルス229Eの抗ウイルス活性値を測定した。作用時間は2時間とし、有害物質不活化剤として光触媒を用いた空気浄化用生地については、白色蛍光灯(FHF32EX-N-H、パナソニック株式会社製)を用い、200lxの環境下で2時間作用させ、測定を行った。
<空気浄化用生地の抗SARSコロナウイルス2性の測定>
JIS L1922(2016)に規定されるプラーク測定法に準じ、SARSコロナウイルス2(NIID分離株;JPN/TY/WK-521)をウイルス株として、VeroE6/TMPRSS2細胞(JCRB1819)を宿主細胞として用い、空気浄化用生地のSARSコロナウイルス2の抗ウイルス活性値を測定した。この場合、作用時間は6時間とし、有害物質不活化剤として光触媒を用いた空気浄化用生地については、白色蛍光灯(FHF32EX-N-H、パナソニック株式会社製)を用い、1000lxの光環境下で6時間作用させ、測定を行った。
<空気浄化用生地の摩擦帯電圧の測定>
JIS L1094(2014)に規定されるB法(摩擦帯電圧測定法)に準じて、空気浄化用生地の摩擦帯電圧を測定した。
<空気浄化用生地の通気性の測定>
JIS L1096(2010)に規定されるA法(フラジール形法)に準じて、空気浄化用生地の通気性を測定した。
<空気浄化システムの消臭性試験>
縦340cm×横340cm×高さ220cm(8畳間)の閉め切った試験室内にルームエアコン(霧ヶ峰 MSZ-GV2520、三菱電機株式会社製)を設置した。白色蛍光灯(ネオルミスーパー FL20SW、三菱電機株式会社製)を用い、試験室内の床面照度が400lxの光環境とした。灰皿上の手巻タバコ用の葉0.5gを燃焼させ、消火が確認されてから灰皿を撤去し、ルームエアコンを送風モード、「中」の風量で作動させながら3時間放置した後、5人の被験者に臭気を嗅いでもらい、臭気がしないと判定した人数を記録した。
<空気浄化システムの制菌性試験>
縦250cm×横250cm×高さ210cmのクリーンブース内にルームエアコン(霧ヶ峰 MSZ-GV2520、三菱電機株式会社製)を設置した。白色蛍光灯(ネオルミスーパー FL20SW、三菱電機株式会社製)を用い、1000lxの光環境とした。枯草菌萌芽(Bacillus atrophaeus ATCC9372、中心粒子径0.7μm)をネブライザーを用いて暴露濃度240個/Lで散布し、直ちにルームエアコンを送風モード、「中」の風量で作動させ、3時間後、空中浮遊菌サンプラー(BIOSAMP MBS-1000N、90mmシャーレ、ミドリ安全株式会社製)で100Lの空気をサンプリングし、コロニー数を計数した。
(実施例1)
実施例1では、生地として、ポリエステル繊維の平織生地(繊維太さ:経糸83dtex、緯糸83dtex)を分散染料で水色に染色した織物を用いた。
そして、この織物を、可視光応答型酸化チタン系光触媒0.5%、銀ゼオライト0.4%、およびシリコーン系バインダー0.05%の水分散液中に浸漬させ、その後、脱水および乾燥することで、生地の繊維表面に光触媒と、銀が担持されたゼオライト粒子とが付着した空気浄化用生地を得た。
得られた空気浄化用生地の性能を表1に示す。
また、このようにして得られた空気浄化用生地を、丈100cm×幅180cmのサイズに切り出し、さらに幅方向に30cmの間隔をおきながら80cmの切れ込みを丈方向と平行に入れ、櫛状とした。切れ込みを入れなかった辺を上端部とし、カーテンブランケットを用いてルームエアコンと対面する壁面から吊るすことで、空気浄化用生地を各試験室内に設置した。
以上の条件での空気浄化システムによる試験結果を表2に示す。また、吊るされた空気浄化用生地は、ルームエアコンからの平均0.5m/sの風を受けて緩やかにはためき、インテリアとして優美であった。
(実施例2)
実施例2では、生地として、ポリエステル繊維のトリコット編地(繊維太さ:78dtex)を分散染料を用いてベージュ色に染色した編物を用いた。
そして、この編物を、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン3.0%、銀ゼオライト0.8%、およびポリウレタン系バインダー0.05%の水分散液中に浸漬させ、その後、脱水および乾燥することで、生地の繊維表面に両性界面活性剤と、銀が担持されたゼオライト粒子とが付着した空気浄化用生地を得た。
得られた空気浄化用生地の性能を表1に示す。
また、このようにして得られた空気浄化用生地をカバーの形状に仕立て、ルームエアコン上部の吸気部全面をこのカバーで覆うことで、空気浄化用生地を各試験室内に設置した。
以上の条件での空気浄化システムによる試験結果を表2に示す。また、ルームエアコンの吸気部全面を覆っているカバー状の空気浄化用生地は、ルームエアコンの吸気部に貼り付くことなく形状を保っていた。
(実施例3)
実施例3では、生地として、アクリル繊維の平織生地(繊維太さ:経糸110dtex、緯糸110dtex)をカチオン染料でピンク色に染色した織物を用いた。
そして、この織物を、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン3.0%、銀ゼオライト0.8%、およびポリウレタン系バインダー0.05%の水分散液中に浸漬させ、その後、脱水および乾燥することで、生地の繊維表面に両性界面活性剤と、銀が担持されたゼオライト粒子とが付着した空気浄化用生地を得た。
得られた空気浄化用生地の性能を表1に示す。
また、このようにして得られた空気浄化用生地を、幅2.5cm×長さ20cmの短冊状に切り出し、ルームエアコンの送気部に8枚、紐を用いて固定することで、空気浄化用生地を各試験室内に設置した。
以上の条件での空気浄化システムによる試験結果を表2に示す。また、短冊状の空気浄化用生地は、ルームエアコン送気部直下の平均3.2m/sの風を受けて適度にはためき、インテリアとして優美であった。さらに、8畳間のルームエアコンと対面する壁面においても、平均0.4m/sの風量を観測できた。
(実施例4)
実施例4では、生地として、ポリエステル繊維のトリコット編地(繊維太さ:78dtex)を分散染料を用いてベージュ色に染色した編物を用いた。
そして、この編物を、可視光応答型酸化チタン系光触媒0.5%、銀ゼオライト0.4%、およびシリコーン系バインダー0.05%の水分散液中に浸漬させ、その後、脱水および乾燥することで、生地の繊維表面に光触媒と、銀が担持されたゼオライト粒子とが付着した空気浄化用生地を得た。
得られた空気浄化用生地の性能を表1に示す。
また、このようにして得られた空気浄化用生地を、サーキュレーター(PCF-SC15T、アイリスオーヤマ株式会社製)の吸気部全面を覆った。この場合、サーキュレーターの首振りに影響を与えないようにする目的でマチを形成するとともに中央下端部に上下方向に延在するスリットを形成し、さらに吸気部上方に設けられているリモコン載置部を露出させるための孔(開口部)を形成して、空気浄化用生地をカバーに仕立てて、サーキュレーターの吸気部全面を覆った。このように吸気部が空気浄化用生地で覆われたサーキュレーターを各試験室内床面に置き、天井へ向けて送風されるよう、サーキュレーターの首の仰角が最大となるよう設置した。
各試験室内のルームエアコンを停止し、替わりにサーキュレーターの風量を「中」とした条件での空気浄化システムによる試験結果を表2に示す。また、サーキュレーターの吸気部全面を覆っているカバー状の空気浄化用生地は、サーキュレーターの吸気部に貼り付くことなく形状を保っていた。
(比較例1)
比較例1では、生地の繊維表面に有害物質不活化剤を付着させる加工を行わなかった以外は、実施例1と同様にして比較試験用生地を得た。
得られた比較試験用生地の性能を表1に示す。
このようにして得られた比較試験用生地を、実施例1と同様にして各試験室内に設置した。
以上の条件での空気浄化システムによる試験結果を表2に示す。また、吊るされた比較試験用生地は、送風設定のルームエアコンからの平均0.5m/sの風を受けてはためき、インテリアとして優美であった。
(比較例2)
比較例2では、生地の繊維表面に有害物質不活化剤を付着させる加工を行わなかった以外は、実施例2と同様にして比較試験用生地を得た。
得られた比較試験用生地の性能を表1に示す。
このようにして得られた比較試験用生地を、実施例2と同様にして各試験室内に設置した。
以上の条件での空気浄化システムによる試験結果を表2に示す。
(比較例3)
比較例3では、生地の繊維表面に有害物質不活化剤を付着させる加工を行わなかった以外は、実施例3と同様にして比較試験用生地を得た。
得られた比較試験用生地の性能を表1に示す。
このようにして得られた比較試験用生地を、実施例3と同様にして各試験室内に設置した。
以上の条件での空気浄化システムによる試験結果を表2に示す。また、短冊状の比較試験用生地は、送風設定のルームエアコン送気部直下の平均3.2m/sの風を受けて適度にはためき、インテリアとして優美であった。さらに、8畳間のルームエアコンと対面する壁面においても、平均0.4m/sの風量を観測できた。
(比較例4)
比較例4では、実施例1で得られた空気浄化用生地を、縦100cm×横180cmのサイズに切り出し、床面に敷くことで、空気浄化用生地を各試験室内に設置した。
以上の条件での空気浄化システムによる試験結果を表2に示す。
(比較例5)
比較例5では、ルームエアコンを停止させたこと以外は、実施例1と同様にして空気浄化システムの試験を行った。
以上の条件での空気浄化システムによる試験結果を表2に示す。
Figure 2022024990000001
Figure 2022024990000002
表1および表2に示すように、実施例1~3と比較例1~3とを比較すると、本実施の形態にかかる空気浄化用生地を用いることにより、高い空気浄化能力を有する空気浄化システムを実現できていることが分かる。また、表2から明らかなように、実施例1では、空気浄化用生地を床に敷いた比較例4や空気循環装置を作動させない比較例5と比較して、空気浄化用生地の能力が高く発現され、高い空気浄化能力を有する空気浄化システムを実現できていることが分かる。

Claims (9)

  1. 空気循環装置を有する室内に設置される生地であって、
    前記生地の繊維表面に有害物質不活化剤が付着しており、かつ以下の要件(A)(B)(C)を全て満足することを特徴とする、空気浄化用生地。
    (A)社団法人繊維評価技術協議会のSEKマーク繊維製品認証基準(JEC301)に規定される消臭性試験法(検知管法)におけるアンモニア減少率が75%以上であること。
    (B)JIS L1902(2015)に規定される菌液吸収法にて測定した黄色ブドウ球菌の抗菌活性値が増殖値以上である制菌性を有すること。
    (C)JIS L1922(2016)に規定されるプラーク測定法にて測定したA型インフルエンザウイルスの抗ウイルス活性値が2.0以上である抗ウイルス性を有すること。
  2. 前記空気浄化用生地は、さらに、以下の要件(D)を満足することを特徴とする、請求項1に記載の空気浄化用生地。
    (D)JIS L1922(2016)に規定されるプラーク測定法に準拠して測定したヒトコロナウイルス229Eの抗ウイルス活性値が2.0以上である抗ウイルス性を有すること。
  3. 前記空気浄化用生地は、さらに、以下の要件(E)を満足することを特徴とする、請求項1または2に記載の空気浄化用生地。
    (E)JIS L1922(2016)に規定されるプラーク測定法に準拠して測定したSARSコロナウイルス2の抗ウイルス活性値が2.0以上である抗ウイルス性を有すること。
  4. 前記生地は、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、アクリル繊維、ポリエステル繊維からなる群より選ばれる1つ以上の繊維からなり、かつ、前記空気浄化用生地は、前記JIS L1094(2014)に規定されるB法(摩擦帯電圧測定法)にて測定した摩擦帯電圧が2500V以上であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の空気浄化用生地。
  5. 前記空気浄化用生地は、目付が30~140g/mであり、かつJIS L1096(2010)に規定されるA法(フラジール形法)にて測定した通気性が15~45cm/cm・sであることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の空気浄化用生地。
  6. 前記生地の繊維表面に付着している有害物質不活化剤が、少なくとも銀と、光触媒とを含むことを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の空気浄化用生地。
  7. 前記空気浄化用生地は、ストリップ状に複数枚に分離、または暖簾のように一端が櫛状に複数枚に分割されている形状であることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の空気浄化用生地。
  8. 請求項1~7のいずれか1項に記載の空気浄化用生地が吊り下げられた室内において、空気循環装置を用いて前記室内の空気循環が行われることを特徴とする、空気浄化システム。
  9. 請求項1~7のいずれか1項に記載の空気浄化用生地が、前記空気循環装置の吸気部および/または送気部に装着されていることを特徴とする、空気浄化システム。
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