JP2022023773A - Egrシステム - Google Patents

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海翔 曹
Haixiang Cao
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伸二 河井
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Abstract

【課題】EGRシステムにおいて、排気通路からEGR通路へ流れる温度の高いEGRガスを適度な温度に低下させて樹脂製の下流側EGR通路へ流し、その下流側EGR通路の溶損とその下流側EGR通路での凝縮水の発生を抑制すること。【解決手段】EGRシステムは、EGR通路12にてEGRガス流量を調節するEGR弁14、EGR通路12を流れるEGRガスを冷却するためにEGRガスとエンジン冷却水との間で熱交換を行う熱交換器32を含むEGRクーラ13、EGRクーラ13の熱交換器32へ流れるEGRガスを迂回させるバイパス通路16、バイパス通路16を開閉するバイパス弁17、EGRクーラ13及びバイパス通路16より下流に設けられる樹脂製のEGRガス分配器15を備える。バイパス弁17は、弁体21と、EGRガスの温度又は冷却水の温度が第1所定値以上となるときに弁体21を開いた状態から閉じるように構成されたアクチュエータ22を含む。【選択図】 図1

Description

この明細書に開示される技術は、エンジンから排気通路へ排出される排気の一部をEGRガスとしてEGR通路を介して吸気通路へ流してエンジンへ還流させるように構成したEGRシステムに関する。
従来、この種の技術として、例えば、下記の特許文献1に記載の技術(排気熱回収装置)が知られている。この排気熱回収装置は、内燃機関(エンジン)などの排気系で、排気ガスと媒体(冷却水)との間で熱交換を行う熱交換器と、排気ガスが熱交換器を迂回するバイパス経路(バイパス通路)と、バイパス通路を開閉する弁体(バイパス弁)とを備える。バイパス弁は、排気ガスの流量が所定値以上になると、付勢体(スプリング)の付勢力に抗してバイパス通路を閉状態から開動作する弁体と、冷却水の温度が所定値以上になると弁体を開動作する温度作動(温度感応式の)アクチュエータを含み、排気ガスの流量及び媒体の温度の少なくとも一方が所定値以上になった際に弁体が開動作するようになっている。
国際公開第2006/090725号公報
ところが、特許文献1に記載の排気熱回収装置では、排気ガスが大流量のとき、又は冷却水が高温のときにバイパス弁が開いて排気ガスが熱交換器を迂回するので、排気熱回収装置よりも下流に樹脂製の排気部品が設けられている場合に、その排気部品で高熱による溶損のおそれがある。
ここで、上記した排気熱回収装置と同等の構成を、エンジンから排気通路へ排出される排気の一部をEGRガスとしてEGR通路を介して吸気通路へ流してエンジンへ還流させるEGRシステムに具体化することができる。このEGRシステムは、EGR通路に設けられ、エンジンの冷却水を媒体とした熱交換器を有するEGRクーラと、EGRクーラを迂回するバイパス通路と、バイパス通路を開閉するバイパス弁と、EGRクーラ及びバイパス通路より下流の下流側EGR通路を構成する樹脂製のEGR通路又は樹脂製のEGRガス分配器とを備える。このEGRシステムでは、EGRガスが高温のとき、又は冷却水が高温のときに、バイパス弁が開いて高温のEGRガスがEGRクーラ(熱交換器)を迂回してバイパス通路を流れ、下流側EGR通路を構成する樹脂製のEGR通路又は樹脂製のEGRガス分配器へ流れてそれらEGR通路又はEGRガス分配器が高熱により溶損するおそれがある。また、その下流側EGR通路では、未暖機のときにEGRガスが流れると、内部で凝縮水が発生するおそれがある。
この開示技術は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、上記したEGRシステムにおいて、排気通路からEGR通路へ流れる温度の高いEGRガスを適度な温度に低下させて樹脂製の下流側EGR通路へ流し、その下流側EGR通路の溶損とその下流側EGR通路での凝縮水の発生を抑制することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の技術は、エンジンから排気通路へ排出される排気の一部をEGRガスとしてEGR通路を介し吸気通路へ流してエンジンへ還流させるように構成したEGRシステムにおいて、EGR通路においてEGRガスの流量を調節するためのEGR弁と、EGR通路を流れるEGRガスを冷却するために、EGRガスとエンジンの冷却水との間で熱交換を行う熱交換器を含むEGRクーラと、EGR通路においてEGRクーラの熱交換器へ流れるEGRガスの一部を迂回させるためのバイパス通路と、バイパス通路を開閉するためのバイパス弁と、EGRクーラ及びバイパス通路より下流の下流側EGR通路が樹脂材により構成されることとを備え、バイパス弁は、弁体と、EGRガスの温度、下流側EGR通路の温度又は冷却水の温度が第1所定値以上となるときに弁体を開いた状態から閉じるように構成されたアクチュエータを含むことを趣旨とする。
上記技術の構成によれば、EGRガスの温度、下流側EGR通路の温度又は冷却水の温度が第1所定値未満となるEGRの実行時には、バイパス弁の弁体がアクチュエータにより開いた状態となる。このとき、排気通路からEGR通路へ流れるEGRガスの一部がバイパス通路へ流れると共に、残りが熱交換器へ流れる。そして、それら二つの流れが下流側EGR通路で合流し、同下流側EGR通路を流れる。従って、排気通路からEGR通路へ温度の高いEGRガスが流れても、そのEGRガスのうちバイパス通路を流れるEGRガスが、熱交換器で熱交換されて温度が低下したEGRガスとの合流によって温度が低下し、適度な温度に低下したEGRガスが下流側EGR通路へ流れる。一方、エンジンの暖機後にEGRガスの温度、下流側EGR通路の温度又は冷却水の温度が第1所定値以上になると、バイパス弁の弁体がアクチュエータにより開いた状態から閉じる。従って、排気通路からEGR通路へ流れるEGRガスのほぼ全部がEGRクーラの熱交換器へ流れ、熱交換器で熱交換されて適度な温度に低下し、適度な温度のEGRガスが下流側EGR通路へ流れる。
上記目的を達成するために、請求項2に記載の技術は、請求項1に記載の技術において、アクチュエータは、温度の変化に感応して動作することを趣旨とする。
上記技術の構成によれば、請求項1に記載の技術の作用に加え、バイパス弁のアクチュエータが温度の変化に感応して動作するので、バイパス弁を電気的に制御する必要がなく、バイパス弁に関する構成が簡略化する。
上記目的を達成するために、請求項3に記載の技術は、請求項1に記載の技術において、アクチュエータは、EGR弁を全閉にする条件において弁体を開くように構成されることを趣旨とする。
上記技術の構成によれば、請求項1に記載の技術の作用に加え、バイパス弁のアクチュエータは、EGR弁を全閉にする条件において弁体を開く。従って、EGR弁を全閉にする条件においてバイパス弁の弁体が開いたときは、その弁体が閉じているときにバイパス弁より下流に溜まった凝縮水のバイパス弁より上流への流れが許容される。
上記目的を達成するために、請求項4に記載の技術は、請求項1乃至3のいずれかに記載の技術において、熱交換器は、EGRガスが流れ出る出口を含み、バイパス通路は、熱交換器の出口に隣接して配置されEGRガスが流れ出る出口を含み、バイパス弁は、弁体が板状をなすことと、弁体を回動する回転軸とを更に含み、弁体と回転軸がバイパス通路の出口に対応して配置され、回転軸が回動することにより弁体がバイパス通路の出口を開閉するように構成され、回転軸には、EGRガスの外部への漏れを防止するためのシール部材が設けられ、バイパス弁は、弁体がバイパス通路の出口を閉じる閉弁時には、弁体が熱交換器の軸方向と平行又は熱交換器の側に下流へ向けて傾いた位置に配置され、弁体がバイパス通路の出口を開く開弁時には、弁体が熱交換器の出口の流路面積の一部を遮り流路面積を狭くする位置に配置されることを趣旨とする。
上記技術の構成によれば、請求項1乃至3のいずれかに記載の技術の作用に加え、バイパス弁の閉弁時には、排気通路からEGR通路へ流れるEGRガスのほぼ全てが熱交換器へ流れて冷やされ、その出口から流れ出てバイパス弁の弁体に沿って下流側EGR通路へ向けて流れる。一方、バイパス弁の開弁時には、弁体が熱交換器の出口の流路面積の一部を遮り流路面積が狭くなる。従って、熱交換器の出口の流路面積が狭くなる分だけ、熱交換器から流れ出る冷やされたEGRガスの流量が減少し、その流量に対する、バイパス通路から流れ出る冷やされないEGRガスの流量の割合が多くなり、下流側EGR通路へ流れるEGRガスの温度が高くなる。
上記目的を達成するために、請求項5に記載の技術は、請求項4に記載の技術において、熱交換器の出口とバイパス通路の出口との境部位と、弁体又は回転軸との間に隙間が設けられ、隙間は、弁体の閉弁時よりも開弁時の方が大きくなるように構成されることを趣旨とする。
上記技術の構成によれば、請求項4に記載の技術の作用に加え、境部位と弁体又は回転軸との間の隙間は、バイパス弁の弁体の閉弁時に開弁時よりも小さくなるので、バイパス通路の中のEGRガスが、隙間を介して熱交換器の出口の側へ漏れ難くなる。一方、その隙間は、その弁体の開弁時に閉弁時よりも大きくなるので、熱交換器の出口から放出される凝縮水が隙間へ流れ易くなる。また、熱交換器の出口の流路面積の一部が弁体により遮られるので、その出口から放出される凝縮水の飛散が抑えられる。
上記目的を達成するために、請求項6に記載の技術は、請求項1又は3乃至5のいずれかに記載の技術において、バイパス弁は、弁体を閉弁方向へ付勢する閉弁スプリングを更に含み、アクチュエータは、コイルを含むステータと、ステータの中心にて回転可能に配置されたロータと、ロータに対しねじ機構を介して軸方向へ往復動可能に連結された駆動軸と、駆動軸をその軸方向へ付勢する軸スプリングとを備え、バイパス弁の回転軸を回動させるために回転軸とアクチュエータの駆動軸とがリンクを介して連結され、軸スプリングは、駆動軸をリンク及び回転軸を介して弁体を閉弁方向へ付勢するように構成されることを趣旨とする。
上記技術の構成によれば、請求項1又は3乃至5のいずれかに記載の技術の作用に加え、バイパス弁は、弁体を閉弁方向へ付勢する閉弁スプリングを含み、アクチュエータは、駆動軸をリンク及び回転軸を介して弁体を閉弁方向へ付勢する軸スプリングを含む。従って、バイパス弁の弁体には、常に閉弁スプリングの付勢力と軸スプリングの付勢力とが閉弁方向に作用することになり、弁体の閉弁がアシストされる。
上記目的を達成するために、請求項7に記載の技術は、請求項6に記載の技術において、コイルの断線を検出するための断線検出手段と、EGRガスの還流を制御するためのEGR制御手段とを更に備え、EGR制御手段は、断線検出手段の検出結果に応じてEGRガスの還流を制御するために、EGR弁の開弁開始の条件及び最大開度の少なくとも一方を変更することを趣旨とする。
上記技術の構成によれば、請求項6に記載の技術の作用に加え、アクチュエータのコイルの断線が検出された場合は、EGRガスの還流を制御するために、EGR弁の開弁開始の条件及び最大開度の少なくとも一方が変更される。従って、コイルの断線によりアクチュエータが正常動作しない場合は、EGR弁の開弁開始の条件が変更されることで、暖機前のEGRクーラへEGRガスが流れなくなり、EGR弁の最大開度が変更されることで、高温のEGRガスが大量に下流側EGR通路へ流れなくなる。
上記目的を達成するために、請求項8に記載の技術は、請求項1乃至3のいずれかに記載の技術において、EGRクーラは、ハウジングを含み、バイパス通路の少なくとも一部は、EGRクーラのハウジングと一体に設けられ、バイパス弁は、EGRクーラのハウジングと一体に設けられるバイパス通路に設けられ、バイパス弁の周囲には冷却水が流れる冷却水通路が設けられることを趣旨とする。
上記技術の構成によれば、請求項1乃至3のいずれかに記載の技術の作用に加え、バイパス弁がEGRクーラのハウジングと一体に設けられるバイパス通路に設けられ、バイパス弁の周囲には冷却水が流れる冷却水通路が設けられる。従って、バイパス弁のアクチュエータが温度の変化に感応して動作する場合は、冷却水通路を流れる冷却水の温度の変化に感応してアクチュエータが動作することになり、バイパス弁の弁体が冷却水の温度変化に応じて開閉動作することになる。
上記目的を達成するために、請求項9に記載の技術は、請求項1乃至3のいずれか又は8に記載の技術において、EGR弁は、アルミ材より形成されるハウジングを含み、バイパス弁は、EGR弁のハウジングと一体に設けられることを趣旨とする。
上記技術の構成によれば、請求項1乃至3のいずれか又は8に記載の技術の作用に加え、EGR弁のハウジングがアルミ材より形成されるので、熱伝導性がよい。また、バイパス弁がEGR弁のハウジングと一体に設けられる。従って、バイパス弁のアクチュエータが温度の変化に感応して動作する場合は、バイパス弁の弁体がEGR弁のハウジングの温度変化に応じて開閉動作することになる。
上記目的を達成するために、請求項10に記載の技術は、請求項1乃至9のいずれかに記載のEGRシステムにおいて、EGRクーラが車両に搭載された状態において、バイパス通路は、EGRクーラに対し鉛直方向下側に配置され、その上流側が排気通路へ向かって鉛直方向下方へ傾斜することを趣旨とする。
上記技術の構成によれば、請求項1乃至9のいずれかに記載の技術の作用に加え、EGRクーラが車両に搭載された状態において、バイパス通路が、EGRクーラに対し鉛直方向下側に配置されるので、EGRクーラで発生した凝縮水は、その自重によりバイパス通路への流下が可能となる。また、バイパス通路の上流側が排気通路へ向かって鉛直方向下方へ傾斜するので、バイパス通路へ流下した凝縮水は、その自重により排気通路への流下が可能となる。
上記目的を達成するために、請求項11に記載の技術は、請求項1乃至10のいずれかに記載の技術において、EGRクーラとバイパス通路は、仕切壁を介して隣接することを趣旨とする。
上記技術の構成によれば、請求項1乃至10のいずれかに記載の技術の作用に加え、EGRクーラとバイパス通路が仕切壁を介して隣接するので、EGRクーラとバイパス通路との間で仕切壁を介して熱交換が可能となる。
上記目的を達成するために、請求項12に記載の技術は、請求項11に記載の技術において、仕切壁は、熱交換器に接する主壁部と、熱交換器より下流へ延びる下流壁部とを含み、下流壁部には、EGRクーラからバイパス通路に連通する少なくとも一つの連通孔が設けられることを趣旨とする。
上記技術の構成によれば、請求項11に記載の技術の作用に加え、EGRクーラにて熱交換器から流れ出た凝縮水は、仕切壁の下流壁部にて連通孔からバイパス通路へ自重により流下し易くなる。
上記目的を達成するために、請求項13に記載の技術は、請求項12に記載の技術において、連通孔は、バイパス弁の弁体と対向する位置に配置され、バイパス弁の閉弁時に弁体と下流壁部との干渉を避ける逃がし孔として機能することを趣旨とする。
上記技術の構成によれば、請求項12に記載の技術の作用に加え、連通孔が、バイパス弁の閉弁時に弁体と下流壁部との干渉を避ける逃がし孔として機能するので、閉弁時に弁体が過剰に作動しても下流壁部に接触することがない。
上記目的を達成するために、請求項14に記載の技術は、請求項11乃至13のいずれかに記載の技術において、EGRクーラには、仕切壁に隣接し、EGRガスの流れ方向に平行な複数のフィンが設けられることを趣旨とする。
上記技術の構成によれば、請求項11乃至13のいずれかに記載の技術の作用に加え、EGRクーラにて、EGRガスの流れ方向に平行な複数のフィンが仕切壁に隣接して設けられる。従って、バイパス通路を流れるEGRガスの熱が仕切壁を介してフィンへ伝わり、フィンが暖められ、フィンに付着した凝縮水が暖められる。
上記目的を達成するために、請求項15に記載の技術は、請求項11乃至14のいずれかに記載の技術において、バイパス通路には、仕切壁に接し、EGRガスの流れ方向に平行な複数のフィンが設けられることを趣旨とする。
上記技術の構成によれば、請求項11乃至14のいずれかに記載の技術の作用に加え、バイパス通路にて、EGRガスの流れ方向に平行な複数のフィンが仕切壁に隣接して設けられる。従って、バイパス通路を流れるEGRガスの熱がフィンを介して仕切壁へ伝わり、EGRクーラが暖められる。
上記目的を達成するために、請求項16に記載の技術は、請求項1乃至15のいずれかに記載の技術において、バイパス通路においてバイパス弁へ流れるEGRガスを迂回させるためのサブバイパス通路を更に備え、サブバイパス通路には、外気温度が第2所定値未満となるときに開弁するサブバイパス弁が設けられることを趣旨とする。
上記技術の構成によれば、請求項1乃至15のいずれかに記載の技術の作用に加え、バイパス通路にて、バイパス弁へ流れるEGRガスを迂回させるサブバイパス通路が設けられ、サブバイパス通路に設けられるサブバイパス弁が、外気温度が第2所定値未満となるときに開弁する。従って、バイパス弁が閉弁しているときでも、外気温度が第2所定値未満となるときは、サブバイパス弁が開弁し、バイパス通路及びサブバイパス通路を通じてその下流側へEGRガスが流れ、EGRクーラで冷却されたEGRガスと合流し、下流側EGR通路へ流れるEGRガスの温度が増す。
上記目的を達成するために、請求項17に記載の技術は、請求項1乃至16のいずれかに記載の技術において、下流側EGR通路の温度又は下流側EGR通路を流れるEGRガスの温度を検出するための温度検出手段と、温度検出手段の検出値に基づきEGR弁を制御するための第1制御手段とを更に備え、第1制御手段は、温度検出手段により検出される温度が下流側EGR通路の加熱許容温度を超えた場合に、EGR弁を強制的に全閉又は中間開度に制御することを趣旨とする。
上記技術の構成によれば、請求項1乃至16のいずれかに記載の技術の作用に加え、温度検出手段により検出される下流側EGR通路の温度又は下流側EGR通路を流れるEGRガスの温度が、下流側EGR通路の加熱許容温度を超えた場合には、第1制御手段がEGR弁を強制的に全閉又は中間開度に制御する。従って、EGR通路におけるEGRガスの流れが直ちに遮断又は減量され、下流側EGR通路の加熱許容温度を超える過剰な加熱が直ちに停止する。
上記目的を達成するために、請求項18に記載の技術は、請求項1乃至17のいずれかに記載の技術において、下流側EGR通路の温度又は下流側EGR通路を流れるEGRガスの温度を検出するための温度検出手段と、温度検出手段の検出値に基づきEGR弁を制御するための第2制御手段とを更に備え、第2制御手段は、温度検出手段により検出される温度が第3所定値以上で下流側EGR通路の耐熱温度未満となる場合に、EGR弁を通常の開度に制御することを趣旨とする。
上記技術の構成によれば、請求項1乃至17のいずれかに記載の技術の作用に加え、温度検出手段により検出される下流側EGR通路の温度又は下流側EGR通路を流れるEGRガスの温度が第3所定値以上で下流側EGR通路の耐熱温度未満となる場合には、第2制御手段がEGR弁を通常の開度に制御する。従って、EGR通路を流れるEGRガスの流量が適度に調整され、下流側EGR通路へ流れるEGRガスが耐熱温度を超えない流量に抑制される。
上記目的を達成するために、請求項19に記載の技術は、請求項3に記載の技術において、アクチュエータは、電気的に動作し、下流側EGR通路の温度又は下流側EGR通路を流れるEGRガスの温度を検出するための温度検出手段と、温度検出手段の検出値に基づきバイパス弁を制御するための第3制御手段とを更に備え、第3制御手段は、温度検出手段により検出される温度が下流側EGR通路の加熱許容温度を超えた場合に、バイパス弁を閉弁させるようにアクチュエータを制御することを趣旨とする。
上記技術の構成によれば、請求項3に記載の技術の作用に加え、温度検出手段により検出される下流側EGR通路の温度又は下流側EGR通路を流れるEGRガスの温度が下流側EGR通路の加熱許容温度を超えた場合には、第3制御手段がバイパス弁を閉弁させるようにアクチュエータを制御する。従って、EGR通路を流れる大部分のEGRガスがバイパス通路へ流れることなくEGRクーラで冷却されてから下流側EGR通路へ流れる。
上記目的を達成するために、請求項20に記載の技術は、請求項19に記載の技術において、バイパス弁は、アクチュエータをオフして動作させないとき閉弁となるように構成されることを趣旨とする。
上記技術の構成によれば、請求項19に記載の技術の作用に加え、バイパス弁は、アクチュエータをオフして動作させないとき閉弁となるので、アクチュエータが故障して動作しなくてもバイパス弁が閉弁状態に保たれる。
請求項1に記載の技術によれば、EGRシステムにおいて、排気通路からEGR通路へ流れる温度の高いEGRガスを適度な温度に低下させて樹脂材より構成される下流側EGR通路へ流すことができ、その下流側EGR通路の溶損とその下流側EGR通路での凝縮水の発生を抑制することができる。
請求項2に記載の技術によれば、請求項1に記載の技術の効果に加え、EGRシステムとしての製品コストを抑えることができる。
請求項3に記載の技術によれば、請求項1に記載の技術の効果に加え、バイパス弁が閉弁しているときに、バイパス弁より下流に溜まった凝縮水を、EGR弁を全閉にする条件においてバイパス弁より上流へ自重により流すことができる。
請求項4に記載の技術によれば、請求項1又は3に記載の技術の効果に加え、バイパス弁の閉弁時には、バイパス弁の弁体を冷やされたEGRガスで冷やすことができ、その弁体を介して回転軸を冷やすことができ、回転軸に設けられたシール部材をEGRガスの熱害から保護することができる。また、バイパス弁の開弁時には、バイパス流量比が増えた分だけ下流側EGR通路の暖機を促進することができる。
請求項5に記載の技術によれば、請求項4に記載の技術の効果に加え、バイパス弁の弁体の閉弁時には、隙間を狭くすることで、バイパス通路から熱交換器側へのEGRガスの漏れを抑えることができ、熱交換器によるEGRガスの冷却効率の低下を抑えることができる。また、その弁体の開弁時には、隙間を広くすることで、熱交換器の出口から放出される凝縮水を隙間を介して多量にバイパス通路へ排出することができる。
請求項6に記載の技術によれば、請求項1又は3乃至5のいずれかに記載の技術の効果に加え、万が一、アクチュエータが故障しても、バイパス弁の弁体を閉弁することができ、バイパス通路でのEGRガスの流れを遮断し、冷却されない高温のEGRガスが下流側EGR通路へ流れないようにすることができ、下流側EGR通路の熱害を抑制することができる。
請求項7に記載の技術によれば、請求項6に記載の技術の効果に加え、バイパス弁のアクチュエータのコイルが断線してアクチュエータが正常に動作せず、バイパス弁を好適に制御できない場合には、それに対応して下流側EGR通路へのEGRガスの流れを制御することで、EGRクーラでの凝縮水の発生を抑制したり、下流側EGR通路での熱害の発生を抑制したりすることができる。
請求項8に記載の技術によれば、請求項1乃至3のいずれかに記載の技術の効果に加え、バイパス弁を熱伝達率の悪いEGRクーラのハウジングに取り付けた場合でも、バイパス弁のアクチュエータが冷却水の温度の変化に感応して動作するので、バイパス弁を電気的に制御する必要がなく、バイパス弁に関する構成を簡略化することができる。
請求項9に記載の技術によれば、請求項1乃至3のいずれか又は8に記載の技術の効果に加え、EGR弁のハウジングにエンジンの冷却水を流す冷却水通路が設けられる場合は、バイパス弁を、冷却水の温度変化に応じて開閉動作させることができる。
請求項10に記載の技術によれば、請求項1乃至9のいずれかに記載の技術の効果に加え、EGR通路やEGRクーラで発生した凝縮水を、自重によりバイパス通路を通じて排気通路へ排出することができる。
請求項11に記載の技術によれば、請求項1乃至10のいずれかに記載の技術の効果に加え、バイパス通路を流れるEGRガスの熱をEGRクーラへ逃がすことができ、その分だけ下流側EGR通路へ流れるEGRガスの温度を低下させることができ、下流側EGR通路の溶損をより確かに抑制することができる。
請求項12に記載の技術によれば、請求項11に記載の技術の効果に加え、EGR通路やEGRクーラ等で発生した凝縮水を、自重により効率良くバイパス通路へ流すことができ、排気通路へ排出することができる。
請求項13に記載の技術によれば、請求項12に記載の技術の効果に加え、バイパス弁において弁体が過剰に作動しても、弁体又は下流壁部がダメージを受けることを防止することができる。
請求項14に記載の技術によれば、請求項11乃至13のいずれかに記載の技術の効果に加え、EGRクーラで発生した凝縮水を効率良く蒸発させることができる。
請求項15に記載の技術によれば、請求項11乃至14のいずれかに記載の技術の効果に加え、バイパス通路の放熱を促進することができ、加えてEGRクーラの昇温を促進することができる。
請求項16に記載の技術によれば、請求項1乃至15のいずれかに記載の技術の効果に加え、外気温度が氷点下となるような低温環境下で、バイパス弁が閉弁していても、下流側EGR通路へ流れるEGRガスにより下流側EGR通路を暖めることができ、下流側EGR通路の溶損と下流側EGR通路での凝縮水の発生を抑制することができる。
請求項17に記載の技術によれば、請求項1乃至16のいずれかに記載の技術の効果に加え、下流側EGR通路へ流れるEGRガスの温度が必要以上に高くなっても、EGRガスの流れを止める又は減量することで下流側EGR通路の溶損を確実に防止することができる。
請求項18に記載の技術によれば、請求項1乃至17のいずれかに記載の技術の効果に加え、EGRガスを下流側EGR通路を介してエンジンへ還流させながら下流側EGR通路の溶損と下流側EGR通路での凝縮水の発生を抑制することができる。
請求項19に記載の技術によれば、請求項3に記載の技術の効果に加え、下流側EGR通路へ流れるEGRガスの温度が下流側EGR通路の加熱許容温度を超えると、EGRガスの温度を低下させるようにバイパス弁を制御し、下流側EGR通路の溶損と下流側EGR通路での凝縮水の発生を抑制することができる。
請求項20に記載の技術によれば、請求項19に記載の技術の効果に加え、バイパス弁のアクチュエータが故障してもバイパス通路のEGRガスの流れを遮断することができ、下流側EGR通路の溶損を抑制することができる。
第1実施形態に係り、エンジンシステムを示す概略構成図。 第1実施形態に係り、EGRクーラ、バイパス通路及びバイパス弁(開弁状態)とEGR弁の一部をその長手方向に沿って切断して示す断面図。 第1実施形態に係り、EGRクーラ、バイパス通路及びバイパス弁(閉弁状態)とEGR弁の一部をその長手方向に沿って切断して示す断面図。 第1実施形態に係り、図2、図3におけるEGRクーラとバイパス通路の一部を示す断面図。 第1実施形態に係り、バイパス弁の具体例であって開弁状態を示す断面図。 第1実施形態に係り、バイパス弁の具体例であって閉弁状態を示す断面図。 第1実施形態に係り、バイパス弁の開閉特性を示すグラフ。 第1実施形態に係り、第1のEGR制御の内容を示すフローチャート。 第2実施形態に係り、第2のEGR制御の内容を示すフローチャート。 第2実施形態に係り、冷却水温度に応じたEGR許容開度を求めるために参照されるEGR許容開度マップ。 第3実施形態に係り、第3のEGR制御の内容を示すフローチャート。 第3実施形態に係り、EGR開始後のEGR弁の開度の変化を示すグラフ。 第3実施形態に係り、EGR開始後の壁温度の変化を示すグラフ。 第4実施形態に係り、バイパス弁の具体例であって開弁状態を示す図5に準ずる断面図。 第4実施形態に係り、バイパス弁の具体例であって閉弁状態を示す図6に準ずる断面図。 第5実施形態に係り、EGRクーラ、バイパス通路及びバイパス弁(開弁状態)とEGR弁の一部を示す図2に準ずる断面図。 第5実施形態に係り、EGRクーラ、バイパス通路及びバイパス弁(閉弁状態)とEGR弁の一部を示す図3に準ずる断面図。 第6実施形態に係り、EGRクーラ、バイパス通路及びバイパス弁(閉弁状態)とEGR弁の一部を示す図3に準ずる断面図。 第6実施形態に係り、EGRクーラ、バイパス通路及びバイパス弁(閉弁状態)とEGR弁の一部を示す図3に準ずる断面図。 第7実施形態に係り、EGRクーラ、バイパス通路及びバイパス弁(開弁状態)とEGR弁の一部をその長手方向に沿って切断して示す断面図。 第7実施形態に係り、EGRクーラ、バイパス通路及びバイパス弁(閉弁状態)とEGR弁の一部をその長手方向に沿って切断して示す断面図。 第8実施形態に係り、EGRクーラ、バイパス通路及びバイパス弁(開弁状態)とEGR弁の一部をその長手方向に沿って切断して示す断面図。 第8実施形態に係り、EGRクーラ、バイパス通路及びバイパス弁(閉弁状態)とEGR弁の一部をその長手方向に沿って切断して示す断面図。 第9実施形態に係り、EGRクーラ、バイパス通路及びバイパス弁(開弁状態)とEGR弁の一部をその長手方向に沿って切断して示す断面図。 第10実施形態に係り、EGRクーラ、バイパス通路及びバイパス弁(開弁状態)とEGR弁の一部をその長手方向に沿って切断して示す断面図。 第11実施形態に係り、EGRクーラ、バイパス通路及びバイパス弁(開弁状態)を示す図24に準ずる断面図。 第11実施形態に係り、放熱フィンを示す図26のB-B線断面図。 第12実施形態に係り、EGRクーラ、バイパス通路及びバイパス弁(開弁状態)を示す図24に準ずる断面図。 第13実施形態に係り、エンジンシステムを示す概略構成図。 第13実施形態に係り、EGRクーラ、バイパス通路及びバイパス弁(閉弁状態)を示す図28に準ずる断面図。 第13実施形態に係り、第4のEGR制御の内容を示すフローチャート。 第14実施形態に係り、バイパス弁切換制御の内容を示すフローチャート。 第15実施形態に係り、バイパス通路とバイパス弁を一体に設けたEGRクーラを示す正面図。 第15実施形態に係り、EGRクーラを示す背面図。 第15実施形態に係り、バイパス弁の弁体が全閉となるときであって、EGRクーラをその長手方向に沿って切断して示す断面図。 第15実施形態に係り、EGRクーラであって、図35に1点鎖線四角で囲った部分を示す拡大断面図。 第15実施形態に係り、バイパス弁の弁体が半開となるときであって、EGRクーラを示す図35に準ずる断面図。 第15実施形態に係り、EGRクーラであって、図37に1点鎖線四角で囲った部分を示す拡大断面図。 第15実施形態に係り、バイパス弁の弁体が全開となるときであって、EGRクーラを示す図35に準ずる断面図。 第15実施形態に係り、EGRクーラであって、図39に1点鎖線四角で囲った部分を示す拡大断面図。 第15実施形態に係り、バイパス通路の出口に対応して設けられる弁アッセンブリの構成を示す断面図。 第15実施形態に係り、バイパス弁の開閉制御の内容を示すフローチャート。 第15実施形態に係り、各種パラメータに応じた目標バイパス開度を求めるために参照される目標バイパス開度マップ。 第15実施形態に係り、吸気温度に応じたEGR開始許可水温度を求めるために参照されるEGR開始許可水温度マップ。 第15実施形態に係り、バイパス弁の半開時と全開時における、クーラ流量比とバイパス流量比の違いを示すグラフ。 第16実施形態に係り、EGRクーラの一部であって、熱交換器の出口に隣接したバイパス通路の出口の部分と、バイパス弁の弁体(全閉状態)及び回転軸との関係を示す断面図。 第16実施形態に係り、EGRクーラの一部であって、熱交換器の出口に隣接したバイパス通路の出口の部分と、バイパス弁の弁体(開弁状態)及び回転軸との関係を示す断面図。 第17実施形態に係り、EGRクーラの一部であって、バイパス弁の弁体が全閉となる状態を示す図46に準ずる断面図。 第17実施形態に係り、EGRクーラの一部であって、弁体が開弁した状態を示す図47に準ずる断面図。 第18実施形態に係り、EGRクーラの一部であって、バイパス弁の弁体が全閉した状態を示す図48に準ずる断面図。 第18実施形態に係り、EGRクーラの一部であって、バイパス弁の弁体が開弁した状態を示す図49に準ずる断面図。 第19実施形態に係り、バイパス弁の弁アッセンブリの構成を示す図41に準ずる断面図。 第20実施形態に係り、バイパス弁の弁アッセンブリの構成を示す図52に準ずる断面図。 第21実施形態に係り、アクチュエータ及びリンクを含むEGRクーラを背面側から視て示す斜視図。 第21実施形態に係り、EGRクーラであって、バイパス弁を開弁(全開)に動作させたときのアクチュエータ及びリンクの状態を示す図34に準ずる背面図。 第21実施形態に係り、EGRクーラであって、バイパス弁を閉弁(全閉)に動作させたときのアクチュエータ及びリンクの状態を示す図34に準ずる背面図。 第21実施形態に係り、バイパス弁を全開に動作させたときのアクチュエータを、その軸方向に沿って切断して示す断面図。 第21実施形態に係り、バイパス弁を全閉に動作させたときのアクチュエータを、その軸方向に沿って切断して示す断面図。 第21実施形態に係り、バイパス弁の弁体が全開となるときであって、EGRクーラの一部を示す図40に準ずる断面図。 第21実施形態に係り、バイパス弁の弁体が全閉となるときであって、EGRクーラの一部を示す図36に準ずる断面図。 第21実施形態に係り、弁体を全開にした状態における雄ねじと雌ねじとの螺合状態の一部を示す拡大断面図。 第21実施形態に係り、「突き当て全閉状態」における雄ねじと雌ねじとの螺合状態の一部を示す拡大断面図。 第21実施形態に係り、アクチュエータの上層コイルと下層コイルが正常な場合の各コイルに対する通電パターンを示すタイムチャート。 第21実施形態に係り、アクチュエータの上層コイルと下層コイルが正常な場合の各コイルに対する通電パターンを示すタイムチャート。 第21実施形態に係り、アクチュエータの下層コイルが断線した場合の各コイルに対する通電パターンを示すタイムチャート。 第21実施形態に係り、アクチュエータの下層コイルが断線した場合の各コイルに対する通電パターンを示すタイムチャート。 第21実施形態に係り、コイル断線対応制御の内容を示すフローチャート。 第22実施形態に係り、コイル断線対応制御の内容を示すフローチャート。 第22実施形態に係り、最終実バイパス開度に応じたEGR開始許可水温度(実線)とEGR最大開度(破線)を求めるために参照される水温・開度マップ。 第23実施形態に係り、アクチュエータ及びリンクを含むEGRクーラを背面側から視て示す斜視図。 第23実施形態に係り、EGRクーラであって、バイパス弁を閉弁(全閉)に動作させたときのアクチュエータ及びリンクの状態を示す図56に準ずる背面図。 第23実施形態に係り、EGRクーラであって、バイパス弁を開弁(全開)に動作させたときのアクチュエータ及びリンクの状態を示す図55に準ずる背面図。 第24実施形態に係り、アクチュエータ及びリンクを含むEGRクーラを示す正面図。 第24実施形態に係り、図73のEGRクーラを、矢印の方向から視て示す底面図。 第24実施形態に係り、EGRクーラを示す図74のC-C線断面図。 第24実施形態に係り、EGRクーラの一部を示す図73のD-D線断面図。 第24実施形態に係り、アクチュエータのバイメタルが冷えて収縮した状態を示す正面図。 第24実施形態に係り、アクチュエータのバイメタルが加熱により伸張し、その開放端が周方向へ回動した状態を示す正面図。 第24実施形態に係り、バイパス弁につき、EGR流量及び冷却水温度に対する開閉特性を示す表。 第24実施形態に係り、バイパス弁につき、冷却水温度に対する開閉特性を示す表。 第25実施形態に係り、アクチュエータ及びリンクを含むEGRクーラを示す正面図。 第25実施形態に係り、バイパス弁の弁体が全閉となる状態であって、EGRクーラを示す図81のE-E線断面図。 第25実施形態に係り、バイパス弁の弁体が開弁した状態であって、EGRクーラ13を示す図82に準ずる断面図。 第25実施形態に係り、EGRの再開時及び再開後、エンコパ温度及び冷却水温度の条件に対応したバイパス弁の全開又は全閉の制御内容の一例を示す表。 第25実施形態に係り、EGRの再開時及び再開後、エンコパ温度及び冷却水温度の条件に対応したバイオメタルへの通電(オン)又は非通電(オフ)の制御内容の一例を示す表。 別の実施形態に係り、EGRクーラ、バイパス通路及びバイパス弁(閉弁状態)とEGR弁の一部をその長手方向に沿って切断して示す断面図。 別の実施形態に係り、EGRクーラの一部を示す図36に準ずる拡大断面図。 別の実施形態に係り、バイパス弁の弁アッセンブリの構成を示す図52に準ずる断面図。 別の実施形態に係り、バイパス弁の弁アッセンブリの構成を示す図41に準ずる断面図。
以下、EGRシステムをガソリンエンジンシステムに具体化したいくつかの実施形態について説明する。
<第1実施形態>
先ず、第1実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
[エンジンシステムについて]
図1に、この実施形態のガソリンエンジンシステム(以下、単に「エンジンシステム」と言う。)を概略構成図により示す。自動車に搭載されたエンジンシステムは、複数の気筒を有するエンジン1を備える。このエンジン1は、4気筒、4サイクルのレシプロエンジンであり、ピストン及びクランクシャフト等の周知の構成を含む。エンジン1には、各気筒へ吸気を導入するための吸気通路2と、エンジン1の各気筒から排気を導出するための排気通路3が設けられる。吸気通路2には、その上流側からエアクリーナ9、スロットル装置4及び吸気マニホールド5が設けられる。また、排気通路3には、その上流側から順に排気マニホールド6及び触媒7が設けられる。加えて、このエンジンシステムは、高圧ループタイプの排気還流装置(EGR装置)11を備える。
スロットル装置4は、吸気マニホールド5より上流の吸気通路2に配置され、運転者のアクセル操作に応じてバタフライ式のスロットル弁4aを開度可変に開閉駆動させることで、吸気通路2を流れる吸気量を調節するようになっている。吸気マニホールド5は、主として樹脂材より構成され、エンジン1の直上流にて吸気通路2に配置され、吸気が導入される一つのサージタンク5aと、サージタンク5aに導入された吸気をエンジン1の各気筒へ分配するためにサージタンク5aから分岐した複数(4つ)の分岐管5bとを含む。触媒7には、排気を浄化するために、例えば、三元触媒が内蔵される。
エンジン1には、各気筒に対応して燃料を噴射するための燃料噴射装置(図示略)が設けられる。燃料噴射装置は、燃料供給装置(図示略)から供給される燃料をエンジン1の各気筒へ噴射するように構成される。各気筒では、燃料噴射装置から噴射される燃料と吸気マニホールド5から導入される吸気とにより可燃混合気が形成される。
エンジン1には、各気筒に対応して点火装置(図示略)が設けられる。点火装置は、各気筒で可燃混合気に点火するように構成される。各気筒内の可燃混合気は、点火装置の点火動作により爆発・燃焼し、燃焼後の排気は、各気筒から排気マニホールド6及び触媒7を経て外部へ排出される。このとき、各気筒でピストン(図示略)が上下運動し、クランクシャフト(図示略)が回転することにより、エンジン1に動力が得られる。
[EGRシステムについて]
この実施形態のEGRシステムは、上記したEGR装置11を備える。EGR装置11は、エンジン1の各気筒から排気通路3へ排出される排気の一部を排気還流ガス(EGRガス)として吸気通路2へ流してエンジン1の各気筒へ還流させるように構成される。EGR装置11は、排気通路3から吸気通路2へEGRガスを流すための排気還流通路(EGR通路)12と、EGR通路12を流れるEGRガスを冷却するための排気還流クーラ(EGRクーラ)13と、EGR通路12を流れるEGRガスの流量を調節するためにEGRクーラ13より下流に設けられた排気還流弁(EGR弁)14と、EGR通路12を流れるEGRガスをエンジン1の各気筒へ分配するために、吸気マニホールド5の各分岐管5bへEGRガスを分配する排気還流ガス分配器(EGRガス分配器)15とを備える。EGRガス分配器15は、EGRクーラ13、バイパス通路16及びEGR弁14より下流のEGR通路12に設けられる。EGR通路12は、入口12aと出口12bを含む。EGR通路12の入口12aは、触媒7より上流の排気通路3に接続され、同通路12の出口12bは、EGRガス分配器15に接続される。この実施形態で、EGRガス分配器15は、樹脂材により構成され、EGRクーラ13及びバイパス通路16より下流に位置するこの開示技術における下流側EGR通路の終段(一部)を構成している。EGR通路12において、EGR弁14は、EGRクーラ13より下流にてEGRクーラ13に隣接して設けられる。EGRクーラ13は、EGR通路12を流れるEGRガスを冷却するために、EGRガスとエンジンの冷却水との間で熱交換を行うように構成される。
このEGR装置11では、EGR弁14が開弁することにより、排気通路3を流れる排気の一部がEGRガスとしてEGR通路12を流れ、EGRクーラ13、EGR弁14及びEGRガス分配器15を介して吸気マニホールド5の各分岐管5bへ分配され、更にエンジン1の各気筒へ分配されて還流される。
この実施形態において、EGR弁14とEGRクーラ13との間には、バイパス通路16が設けられる。バイパス通路16は、EGR通路12において、EGRクーラ13へ流れるEGRガスの一部を迂回させるための通路である。バイパス通路16には、同通路16を開閉するためのバイパス弁17が設けられる。
EGRガス分配器15は、主として樹脂材により構成され、全体として横長な形状を有し、その長手方向(図1の左右方向)において、図1に示すように、吸気マニホールド5の複数の分岐管5bを横切るように配置される。この実施形態で、EGRガス分配器15は、EGR通路12の出口12bから導入されるEGRガスが集まる一つのガスチャンバ15aと、ガスチャンバ15aから分岐され、ガスチャンバ15aから各分岐管5bへEGRガスを分配する複数(4つ)のガス分配通路15bとを含む。
図2、図3にEGRクーラ13、バイパス通路16及びバイパス弁17とEGR弁14の一部をその長手方向に沿って切断した断面図により示す。図2は、バイパス弁17が開弁した状態を示し、図3は、バイパス弁17が閉弁した状態を示す。図2、図3に示すように、EGRクーラ13の出口フランジ31dには、EGR弁14の入口フランジ18aが接続される。EGRクーラ13が車両に搭載された状態において、バイパス通路16は、EGRクーラ13からEGR弁14のハウジング18にわたって、EGRクーラ13及びEGR弁14に対し鉛直方向上側に配置される。図2、図3において、矢印A1は、冷却水の流れを示し、矢印A2は高温のEGRガスの流れを示し、矢印A3は冷却されたEGRガスの流れを示す(以下において同様。)。
図4に、図2、図3におけるEGRクーラ13とバイパス通路16の一部を断面図により示す。図4に示すように、EGRクーラ13は、ハウジング31と、ハウジング31の中に設けられる熱交換器32と、ハウジング31にEGRガスを導入するための導入口33と、ハウジング31からEGRガスを導出するための導出口34とを含む。この実施形態では、EGRクーラ13は、EGRガスが斜め上方へ流れるようにEGR通路12において斜めに配置される。この斜めの配置状態において、導出口34は導入口33よりも鉛直方向において高い位置に配置される。
ハウジング31は、熱交換器32が設けられる本体部31aと、本体部31aから導入口33までの間の導入部31bと、本体部31aから導出口34までの間の導出部31cと、出口フランジ31dとを含む。導入部31bは、その内部に導入空間35を有する。導出部31cは、その内部に導出空間36を有する。熱交換器32は、冷却水が流れる水通路41と、水通路41の中に配置され、EGRガスが流れるガス通路42とを含む。ガス通路42は、扁平形状をなす複数の小ガス通路42Aにより構成される。各小ガス通路42Aには、その内壁に接するように複数の内部フィン44が設けられる。水通路41は、本体部31aの内部空間により構成され、その内部空間の軸方向両端は隔壁43A,43Bにより封鎖される。本体部31aには、水通路41に冷却水を取り入れるための取入口38と、水通路41から冷却水を取り出すための取出口39が形成される。複数の小ガス通路42Aは、互いに水通路41を構成する隙間を介して平行に配置される。各小ガス通路42Aの両端開口部は、両隔壁43A,43Bを貫通して配置され、それぞれ導入空間35及び導出空間36に連通する。EGRクーラ13には、バイパス通路16の一部が一体に形成される。EGRクーラ13とバイパス通路16は、仕切壁46を介して隣接する。図2~図4に示すように、仕切壁46は、熱交換器32に接する主壁部46aと、熱交換器32より下流へ延びる下流壁部46bとを含む。下流壁部46bは、EGRクーラ13のハウジング31と一体に形成される壁部46baと、EGR弁14のハウジング18と一体に形成される壁部46bbとを含む。
[バイパス弁について]
この実施形態において、図2、図3に示すように、バイパス弁17は、EGR弁14のハウジング18と一体に取り付けられ、同ハウジング18に設けられるバイパス通路16を開閉するようになっている。この実施形態で、EGR弁14のハウジング18はアルミ材より形成される。バイパス弁17は、弁体21と、エンジン1の冷却水の温度が第1所定値以上となるときに弁体21を開いた状態から閉じるように構成されたアクチュエータ22を含む。この実施形態では、第1所定値が「40℃以上65℃未満」の範囲の温度に設定される。この実施形態で、バイパス弁17は、サーモワックス弁により構成される。図5、図6に、そのバイパス弁17の具体例を断面図により示す。図5は、開弁状態のバイパス弁17を示し、図6は、閉弁状態のバイパス弁17を示す。図5、図6に示すように、バイパス弁17は、弁体21の他に、ケーシング23と、ケーシング23に内蔵されるサーモワックス24と、サーモワックス24を封止すると共にサーモワックス24の膨張及び収縮に応じて変形可能なダイアフラム25とを備える。弁体21は軸状をなし、一端がダイアフラム25に固定され、他端部がケーシング23に対し往復動可能に設けられる。この実施形態で、アクチュエータ22はサーモワックス24とダイアフラム25により構成され、温度の変化に感応して動作するように構成される。バイパス弁17は、低温時には、図5に示すようにサーモワックス24が収縮することで、ダイアフラム25を介して弁体21がケーシング23に引き込まれて開弁する。すなわち、バイパス通路16を開く。一方、バイパス弁17は、高温時には、図6に示すようにサーモワックス24が膨張することで、ダイアフラム25を介して弁体21がケーシング23から突出して閉弁する。すなわち、バイパス通路16を閉じる。
この実施形態において、EGR弁14のハウジング18には、エンジン1の冷却水が流れる冷却水通路(図示略)が形成されており、その冷却水によってハウジング18が加熱又は冷却されるようになっている。そして、この実施形態では、バイパス弁17がEGR弁14のハウジング18に取り付けられることから、冷却水の温度が低い場合には、ハウジング18とバイパス弁17が暖められず、図5に示すようにバイパス弁17が開弁する。バイパス弁17が開弁する場合は、図2に示すように、EGRクーラ13の導入口33から導入されるEGRガスの大部分がバイパス通路16を流れ、残りのEGRガスがEGRクーラ13(熱交換器32)を流れて、それぞれEGR弁14にて合流する。合流したEGRガスは、更にEGRガス分配器15へ流れ、吸気マニホールド5を介してエンジン1の各気筒へ分配される。これに対し、冷却水の温度が高い場合には、ハウジング18とバイパス弁17が暖められ、図6に示すようにバイパス弁17が閉弁する。バイパス弁17が閉弁する場合は、図3に示すように、EGRクーラ13の導入口33から導入されるEGRガスの全部がEGRクーラ13(熱交換器32)へ流れて冷却され、更にEGR弁14及びEGRガス分配器15へ流れ、吸気マニホールド5を介してエンジン1の各気筒へ分配され還流される。
図7に、バイパス弁17の開閉特性をグラフにより示す。このグラフは、横軸に冷却水温度THWを、縦軸にバイパス弁17の開度を示す。このグラフからわかるように、バイパス弁17は、サーモワックス24の特性から、冷却水温度THWが「40℃」未満となる場合に全開となり、冷却水温度THWが「65℃」以上となる場合に全閉となり、「40℃」以上「65℃」未満の範囲で全開と全閉との間の開度となる。
[エンジンシステムの電気的構成について]
次に、エンジンシステムの電気的構成の一例について説明する。図1において、このエンジンシステムに設けられる各種センサ等81~88は、エンジン1の運転状態を検出するための運転状態検出手段を構成する。エンジン1に設けられる水温センサ81は、エンジン1の内部を流れる冷却水の温度(冷却水温度)THWを検出し、その検出値に応じた電気信号を出力する。エンジン1に設けられる回転数センサ82は、エンジン1のクランクシャフトの回転角(クランク角度)を検出すると共に、そのクランク角度の変化(クランク角速度)をエンジン1の回転数(エンジン回転数)NEとして検出し、その検出値に応じた電気信号を出力する。エアクリーナ9の近傍に設けられるエアフローメータ83は、エアクリーナ9を流れる吸気量Gaを検出し、その検出値に応じた電気信号を出力する。サージタンク5aに設けられる吸気圧センサ84は、スロットル装置4より下流の吸気通路2(サージタンク5a)における吸気圧力PMを検出し、その検出値に応じた電気信号を出力する。スロットル装置4に設けられるスロットルセンサ85は、スロットル弁4aの開度(スロットル開度)TAを検出し、その検出値に応じた電気信号を出力する。EGR通路12の入口12aと触媒7との間の排気通路3に設けられる酸素センサ86は、排気中の酸素濃度Oxを検出し、その検出値に応じた電気信号を出力する。エアクリーナ9の入口に設けられる吸気温センサ87は、エアクリーナ9に吸入される外気の温度(吸気温度)THAを検出し、その検出値に応じた電気信号を出力する。EGRガス分配器15に設けられる壁温センサ88は、EGRガス分配器15の壁の温度(壁温度)THDWを検出し、その検出値に応じた電気信号を出力する。壁温センサ88は、この開示技術における温度検出手段の一例に相当する。
このエンジンシステムは、同システムの制御を司る電子制御装置(ECU)90を更に備える。ECU90には、各種センサ等81~88がそれぞれ接続される。また、ECU90には、EGR弁14の他、インジェクタ(図示略)及びイグニションコイル(図示略)が接続される。ECU90は、この開示技術における第1制御手段の一例に相当する。周知のようにECU90は、中央処理装置(CPU)、各種メモリ、外部入力回路及び外部出力回路等を備える。メモリには、各種制御に関する所定の制御プログラムが格納される。CPUは、入力回路を介して入力される各種センサ等81~88の検出信号に基づき、所定の制御プログラムに基づいて燃料噴射制御、点火時期制御及びEGR制御等を実行するようになっている。
この実施形態で、ECU90は、EGR制御において、エンジン1の運転状態に応じてEGR弁14を制御するようになっている。具体的には、ECU90は、エンジン1の停止時、アイドル運転時及び減速運転時には、EGR弁14を全閉に制御し、それ以外の運転時には、その運転状態に応じて目標EGR開度を求め、EGR弁14をその目標EGR開度に制御するようになっている。このときEGR弁14が開弁されることにより、エンジン1から排気通路3へ排出され、その排気の一部が、EGRガスとしてEGR通路12、EGRクーラ13、EGR弁14及びEGRガス分配器15等を介して吸気通路2(吸気マニホールド5)へ流れ、エンジン1の各気筒へ分配され還流される。
[第1のEGR制御について]
この実施形態で、バイパス弁17によるバイパス通路16の開閉は、EGR弁14のハウジング18を流れる冷却水の温度に依存して切り替えられるが、EGRガスの温度によっては切り替えられないことがある。すなわち、バイパス弁17が開弁状態から閉弁しないことがあり、温度の高いEGRガスがEGR弁14及びEGRガス分配器15へ流れ続けるおそれがある。そのため、冷却水の温度が低い低水温時にEGRを開始し、エンジン1が高回転高負荷となる条件下で運転されると、温度の高いEGRガスが樹脂製のEGRガス分配器15に流入し、同分配器15が熱で溶損するおそれがある。そこで、この実施形態では、EGRガスの温度が必要以上に高くなった場合にEGRガス分配器15の溶損を防止するために、ECU90は、次のような第1のEGR制御を実行するようになっている。
図8に、第1のEGR制御の内容をフローチャートにより示す。処理がこのルーチンへ移行すると、ステップ100で、ECU90は、壁温センサ88の検出値に基づきEGRガス分配器15の壁温度THDWを取り込む。
次に、ステップ110で、ECU90は、壁温度THDWがEGRガス分配器15の加熱許容温度である「120℃」以上か否かを判断する。ECU90は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ120へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ140へ移行する。
ステップ120では、ECU90は、壁温度THDWが「120℃」以上であることから、EGRガス分配器15に溶損のおそれがあるものとして、強制EGRカットを実行する。すなわち、ECU90は、EGR弁14を全閉に制御する。
次に、ステップ130で、ECU90は、強制EGRカットフラグXEGRCを「1」に設定し、処理をステップ100へ戻す。
一方、ステップ110から移行してステップ140では、ECU90は、強制EGRカットフラグXEGRCが「1」か否か、すなわち既に強制EGRカットを実行したか否かを判断する。ECU90は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ150へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ180へ移行する。
ステップ150では、ECU90は、壁温度THDWが「100℃」以上か否かを判断する。ECU90は、この判断結果が肯定となる場合は、壁温度THDWが「100℃」以上であり、依然としてEGRガス分配器15に溶損のおそれがあるものとして、処理をステップ120へ移行する。この判断結果が否定となる場合は、EGRガス分配器15に溶損のおそれがないもとして、処理をステップ160へ移行する。
ステップ160では、ECU90は、強制EGRカットを解除する。すなわち、ECU90は、EGR弁14の全閉制御を解除する。
次に、ステップ170で、ECU90は、強制EGRカットフラグXEGRCを「0」に設定し、処理をステップ100へ戻す。
一方、ステップ140から移行してステップ180では、ECU90は、通常のEGR制御を実行し、処理をステップ100へ戻す。通常のEGR制御は、エンジン1の運転状態に応じて算出される目標EGR開度に基づきEGR弁14を制御することである。
上記した第1のEGR制御によれば、ECU90は、壁温センサ88(温度検出手段)により検出される壁温度THDW(温度)がEGRガス分配器15の加熱許容温度を超えた場合に、EGR弁14を強制的に全閉に制御するようになっている。具体的には、ECU90は、第1のEGR制御において、EGRガス分配器15の壁温度THDWが「120℃」以上の高温となる場合は、樹脂製のEGRガス分配器15の溶損を回避するために強制EGRカットを実行するようになっている。この第1のEGR制御によれば、サーモワックス弁よりなるバイパス弁17が開いたまま動かなくなった(開故障)場合にも、壁温度THDWが「120℃」以上の高温となることがあることから、強制EGRカットが実行されることになる。よって、この第1のEGR制御は、バイパス弁17が開故障した場合には、フェイルセーフとして機能することになる。
[EGRシステムの作用及び効果について]
以上説明したように、この実施形態におけるEGRシステムの構成によれば、冷却水の温度が第1所定値(40℃)未満となるEGRの実行時には、バイパス弁17の弁体21がサーモワックス24より構成されるアクチュエータ22により開いた状態となる。このとき、排気通路3からEGR通路12へ流れるEGRガスの一部がバイパス通路16へ流れると共に、残りが熱交換器32へ流れる。そして、それら二つの流れが下流のEGR弁14にて合流し、更に下流のEGR通路12を経てEGRガス分配器15へ流れる。従って、排気通路3からEGR通路12へ温度の高いEGRガスが流れても、そのEGRガスのうちバイパス通路16を流れるEGRガスが、熱交換器32で熱交換されて温度が低下したEGRガスとの合流によって温度が低下し、適度な温度に低下したEGRガスがEGRガス分配器15へ流れる。一方、エンジン1の暖機後に冷却水の温度が第1所定値(65℃)以上になると、バイパス弁17の弁体21がサーモワックス24より構成されるアクチュエータ22により開いた状態から閉じる。従って、排気通路3からEGR通路12へ流れるEGRガスのほぼ全部がEGRクーラ13の熱交換器32へ流れ、熱交換器32で熱交換されて適度な温度に低下し、適度な温度のEGRガスがEGR弁14とEGR通路12を経てからEGRガス分配器15へ流れる。このため、EGRシステムにおいて、排気通路3からEGR通路12へ流れる温度の高いEGRガスを適度な温度に低下させて樹脂製のEGRガス分配器15(下流側EGR通路)へ流すことができ、EGRガス分配器15の溶損とEGRガス分配器15での凝縮水の発生を抑制することができる。
この実施形態の構成によれば、バイパス弁17のアクチュエータ22がサーモワックス24とダイアフラム25により構成され、温度の変化に感応して動作するので、バイパス弁17を電気的に制御する必要がなく、バイパス弁17に関する構成が簡略化する。このため、EGRシステムとしての製品コストを抑えることができる。
この実施形態の構成によれば、EGR弁14のハウジング18がアルミ材より形成されるので、その熱伝導性がよい。また、バイパス弁17がEGR弁14のハウジング18と一体に設けられ、そのアクチュエータ22がサーモワックス24とダイアフラム25により構成され、温度の変化に感応して動作する。従って、バイパス弁17の弁体21がEGR弁14のハウジング18の温度変化に応じて開閉動作することになる。このため、EGR弁14のハウジング18にエンジン1の冷却水を流す冷却水通路が設けられる場合は、バイパス弁17を、冷却水の温度変化に応じて開閉動作させることができる。
この実施形態の構成によれば、EGRクーラ13とバイパス通路16が仕切壁46を介して隣接するので、EGRクーラ13とバイパス通路16との間で仕切壁46を介して熱交換が可能となる。このため、バイパス通路16を流れるEGRガスの熱をEGRクーラ13へ逃がすことができ、その分だけEGRガス分配器15へ流れるEGRガスの温度を低下させることができ、EGRガス分配器15の溶損をより確かに抑制することができる。
この実施形態の構成によれば、第1のEGR制御において、壁温センサ88により検出されるEGRガス分配器15の壁温度THDWが、EGRガス分配器15の加熱許容温度(120℃)を超えた場合には、ECU90がEGR弁14を強制的に全閉に制御する、すなわち、強制EGRカットを実行する。従って、EGR通路12におけるEGRガスの流れが直ちに遮断され、EGRガス分配器15の加熱許容温度を超える過剰な加熱が直ちに停止する。このため、EGRガス分配器15へ流れるEGRガスの温度が必要以上に高くなっても、EGRガスの流れを止めることでEGRガス分配器15の溶損を確実に防止することができる。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明において、第1実施形態と同等の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略し、異なった点を中心に説明する。
この実施形態では、ECU90が実行する「第2のEGR制御」の内容の点で、第1実施形態の「第1のEGR制御」と異なる。この実施形態において、ECU90は、この開示技術における第2制御手段の一例に相当する。
[第2のEGR制御]
図9に、第2のEGR制御の内容をフローチャートにより示す。処理がこのルーチンへ移行すると、ステップ200で、ECU90は水温センサ81、回転数センサ82、スロットルセンサ85、吸気温センサ87及び壁温センサ88の検出値に基づき、冷却水温度THW、エンジン回転数NE、吸気温度THA、エンジン負荷KL及び壁温度THDWをそれぞれ取り込む。ECU90は、エンジン負荷KLを、スロットル開度TA又は吸気圧力PMに基づいて求めることができる。
次に、ステップ210で、ECU90は、EGR開始許可条件が成立したか否かを判断する。ECU90は、取り込まれた上記各種パラメータTHW,THAに基づき、EGR開始許可条件の成立を判断することができる。ECU90は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ220へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ290へ移行する。
ステップ220では、ECU90は、吸気温度THA、冷却水温度THW、エンジン回転数NE及びエンジン負荷KLに応じた目標EGR開度TEGRを求める。ECU90は、例えば、所定の目標EGR開度マップ(図示略)を参照することにより目標EGR開度TEGRを求めることができる。
次に、ステップ230で、ECU90は、EGRガス分配器15の壁温度THDWが「140℃」未満か否かを判断する。「140℃」は、一例である。ECU90は、この判断結果が肯定となる場合は処理を240へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ340へ移行する。
ステップ240では、ECU90は、強制EGRカットフラグXEGRCが「0」か否かを判断する。後述するように、このフラグXEGRCは、強制EGRカットが実行されるときに「1」に設定されるようになっている。ECU90は、この判断結果が肯定となる場合は処理を250へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ310へ移行する。
ステップ250で、ECU90は、壁温度THDWがEGRガス分配器15の加熱許容温度である「120℃」以上か否かを判断する。「120℃」は、一例である。ECU90は、この判断結果が肯定となる場合は処理を260へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ280へ移行する。
ステップ260で、ECU90は、冷却水温度THWに応じたEGR許容開度TEGRMXを求める。ECU90は、例えば、図10に示すようなEGR許容開度マップを参照することにより、冷却水温度THWに応じたEGR許容開度TEGRMXを求めることができる。このマップでは、冷却水温度THWが「40℃」未満となる場合に、EGR許容開度TEGRMXが「40(%)」の開度となり、冷却水温度THWが「65℃」以上となる場合に、EGR許容開度TEGRMXが「100(%)」の全開となり、冷却水温度THWが「40℃」以上「65℃」未満となる範囲では、EGR許容開度TEGRMXが「40(%)」の開度から「100%」の全開の間の開度となる。
次に、ステップ270で、ECU90は、目標EGR開度TEGRが、EGR許容開度TEGRMXより小さいか否かを判断する。ECU90は、この判断結果が肯定となる場合は処理を280へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ300へ移行する。
ステップ280では、ECU90は、EGR弁14を目標EGR開度TEGRに制御し、処理をステップ200へ戻す。
ステップ270からステップ300へ移行した場合は、ECU90は、EGR許容開度TEGRMXを目標EGR開度TEGRに設定し、処理をステップ280へ移行する。
一方、ステップ230から移行してステップ340では、ECU90は、強制EGRカットのために目標EGR開度TEGRを「0」に設定する。
次に、ステップ350で、ECU90は、強制EGRカットフラグXEGRCを「1」に設定し、処理をステップ280へ移行する。
また、ステップ240から移行してステップ310では、ECU90は、EGRガス分配器15の壁温度THDWが「130℃」未満か否かを判断する。「130℃」は、一例である。ECU90は、この判断結果が肯定となる場合は処理を320へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ340へ移行する。
ステップ320では、ECU90は、既に実行されている強制EGRカットを解除する。すなわち、ECU90は、EGR弁14を強制的に全閉とする制御を終了する。
次に、ステップ330で、ECU90は、強制EGRカットフラグXEGRCを「0」に設定し、処理をステップ280へ移行する。
一方、ステップ210から移行してステップ290では、ECU90は、目標EGR開度TEGRを「0」に設定し、処理をステップ280へ移行する。
上記した第2のEGR制御によれば、ECU90は、壁温センサ88(温度検出手段)により検出される壁温度THDWがEGRガス分配器15の耐熱温度(140℃)を超えた場合に、EGR弁14を強制的に全閉に制御(強制EGRカット)するようになっている。また、ECU90は、壁温センサ88(温度検出手段)により検出される壁温度THDWが第3所定値(EGRガス分配器15の加熱許容温度(120℃)以上130℃未満)以上でEGRガス分配器15の耐熱温度(140℃)未満となる場合に、EGR弁14を通常の開度に制御するようになっている。
[EGRシステムの作用及び効果について]
以上説明したこの実施形態のEGRシステムの構成によれば、第1実施形態の第1のEGR制御と異なり、第2のEGR制御により次のような作用及び効果が得られる。すなわち、壁温センサ88により検出されるEGRガス分配器15の壁温度THDWが、EGRガス分配器15の耐熱温度(140℃)を超えた場合には、ECU90がEGR弁14を強制的に全閉に制御する、すなわち、強制EGRカットを実行する。従って、EGR通路12におけるEGRガスの流れが直ちに遮断され、EGRガス分配器15の耐熱温度(140℃)を超える過剰な加熱が直ちに停止する。このため、EGRガス分配器15へ流れるEGRガスの温度が必要以上に高くなっても、EGRガスの流れを止めることでEGRガス分配器15の溶損を確実に防止することができる。また、壁温センサ88により検出される壁温度THDWが第3所定値(120℃以上130℃未満)以上でEGRガス分配器15の耐熱温度(140℃)未満となる場合には、ECU90がEGR弁14を通常の開度に制御する。従って、EGR通路12を流れるEGRガスの流量が適度に調整され、EGRガス分配器15へ流れるEGRガスが耐熱温度(140℃)を超えない流量に抑制される。このため、EGRガスをEGRガス分配器15を介してエンジン1へ還流させながらEGRガス分配器15の溶損とEGRガス分配器15での凝縮水の発生を抑制することができる。この場合は、第1のEGR制御と異なり、強制EGRカットが実行されないことから、エンジン1にてEGRによる効果(例えば、燃費低減効果)を得ることもできる。
<第3実施形態>
次に、第3実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
この実施形態では、ECU90が実行する「第3のEGR制御」の内容の点で、前記各実施形態の「第1のEGR制御」及び「第2のEGR制御」と異なる。
[第3のEGR制御]
図11に、第3のEGR制御の内容をフローチャートにより示す。図11に示す第3のEGR制御は、ステップ250の処理を省略した点で図9に示す第2のEGR制御と内容が異なる。
処理がこのルーチンへ移行すると、ECU90は、ステップ200~ステップ240の処理を実行し、ステップ240の判断結果が肯定となる場合は、処理をステップ260へ移行し、ステップ240の判断結果が否定となる場合は、処理をステップ310へ移行する。すなわち、図11のフローチャートでは、図9に示すステップ250の処理、すなわち、壁温度THDWが「120℃」以上か否かの判断を省略し、ステップ240からステップ260へ移行する。その他の処理内容については、図9に示す第2のEGR制御と同じである。
上記した第3のEGR制御によれば、ECU90は、EGRガス分配器15の壁温度THDWが「140℃」未満となる場合には、壁温度THDWが「120℃」以上であるか否かにかかわらず、EGR弁14を冷却水温度THWに応じたEGR許容開度TEGRMXに制御することにより、壁温度THDWが加熱許容温度である「120℃」を超えないEGRガス流量に抑制するようになっている。
[EGRシステムの作用及び効果について]
以上説明したこの実施形態のEGRシステムの構成によれば、前記第2実施形態における第2のEGR制御とは異なり、ECU90は、壁温度THDWが「120℃」以上であるか否かにかかわらず、EGR弁14を冷却水温度THWに応じたEGR許容開度TEGRMXに制御することにより、壁温度THDWが「120℃」を超えないEGRガス流量に抑制するようになっている。図12には、EGR開始後のEGR弁14の開度の変化をグラフにより示す。図13には、同じくEGR開始後の壁温度THDWの変化をグラフにより示す。図12、図13において、太線は第2実施形態の第2のEGR制御の場合を示し、破線は本実施形態の第3のEGR制御の場合を示す。図12、図13に示すように、この第3実施形態では、EGR開始後からEGR弁14の開度が、目標EGR開度TEGRより低いEGR許容開度TEGRMXに制御されるので、EGRガス分配器15へ流れるEGRガスの流量が抑制され、EGRガス分配器15の壁温度THDWが「120℃」未満に抑えられる。これに対し、第2実施形態では、EGR開始後からEGR弁14の開度が、目標EGR開度TEGRに制御され、壁温度THDWが「120℃」以上となることで、目標EGR開度TEGRより低いEGR許容開度TEGRMXに制御されるので、EGRガス分配器15へ流れるEGRガスの流量が、目標EGR開度TEGRに制御した分だけ増加し、その分だけEGRガス分配器15の壁温度THDWが「120℃」を一旦超えることになる。このため、この実施形態では、上記のようにEGRガスの流量が減った分だけ、エンジン1でのEGRガスによる効果(例えば、燃費低減効果)が減少するものの、壁温度THDWを「120℃」未満に抑えることができるので、EGRガス分配器15の溶損を確実に防止することができる。
<第4実施形態>
次に、第4実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
この実施形態では、サーモワックス弁よりなるバイパス弁17の構造の点で前記各実施形態と異なる。
[バイパス弁について]
図14、図15に、この実施形態のバイパス弁17の具体例を図5、図6に準ずる断面図により示す。図14は、開弁状態のバイパス弁17を示し、図15は、閉弁状態のバイパス弁17を示す。サーモワックス弁よりなるバイパス弁17は、サーモワックス24が過剰膨張したとき、その弁体21が過剰に突出し、先端が壁部46bbに突き当たり、弁体21又は壁部46bbがダメージを受けるおそれがある。そこで、この実施形態では、弁体21が過剰に突出しようとしても、弁体21又は壁部46bbのダメージを緩和するようになっている。
すなわち、この実施形態では、図14、図15に示すように、バイパス弁17の弁体21の先端部に、弁体21に対しスライド可能なキャップ26が脱落しないように取り付けられる。キャップ26の中には、弁体21との間に緩衝用のスプリング27が設けられる。
[EGRシステムの作用及び効果について]
以上説明したこの実施形態のEGRシステムの構成によれば、バイパス弁17の構成の違いの点で前記各実施形態と作用及び効果が異なる。すなわち、この実施形態では、図14に示すように、バイパス弁17が開弁した状態では、キャップ26はケーシング23の先端に張り付き、キャップ26の中では、スプリング27が伸びている。一方、図15に示すように、バイパス弁17が閉弁した状態では、その弁体21の伸長に伴いキャップ26が壁部46bbに突き当たるが、キャップ26の中のスプリング27が縮むので、その縮んだ分だけキャップ26の壁部46bbに対する突き当りの衝撃が緩和される。このため、バイパス弁17において、サーモワックス24が過剰膨張して弁体21が過剰に突出しようとしても、弁体21と壁部46bbとの間で突き当たりによるダメージを緩和することができる。
<第5実施形態>
次に、第5実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
この実施形態では、サーモワックス弁よりなるバイパス弁17に関連する構造の点で前記第1実施形態と異なる。
[バイパス弁について]
図16、図17に、EGRクーラ13、バイパス通路16及びバイパス弁17とEGR弁14の一部を、図2,図3に準ずる断面図により示す。図16は、バイパス弁17が開弁した状態を示し、図17は、バイパス弁17が閉弁した状態を示す。この実施形態でも、サーモワックス24が過剰膨張して弁体21が過剰に突出しても、弁体21又は壁部46bbがダメージを受けないようになっている。
すなわち、この実施形態では、図16、図17に示すように、バイパス弁17の弁体21の先端が突き当たる仕切壁46の壁部46bbに、弁体21との干渉を避けるための逃がし孔47が形成される。
[EGRシステムの作用及び効果について]
以上説明したこの実施形態のEGRシステムの構成によれば、バイパス弁17に関連した構成の違いの点で前記各実施形態と作用及び効果が異なる。すなわち、この実施形態では、図17に示すように、バイパス弁17が閉弁した状態では、その弁体21の先端部が逃がし孔47を貫通するので、閉弁時に弁体21が過剰に突出しても弁体21の先端部が下流壁部46bの壁部46bbに突き当たることがない。このため、バイパス弁17において、サーモワックス24が過剰膨張して弁体21が過剰に突出しても、弁体21又は壁部46bbがダメージを受けることを防止することができる。
<第6実施形態>
次に、第6実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
この実施形態では、サーモワックス弁よりなるバイパス弁17に関連した構成の点で前記各実施形態と異なる。
[バイパス弁について]
図18、図19に、EGRクーラ13、バイパス通路16及びバイパス弁17とEGR弁14の一部を、図3に準ずる断面図により示す。図18及び図19は、冷却水温度THWが「65℃」以上となるときにバイパス弁17が閉弁した状態を示す。図18、図19に示すように、この実施形態で、バイパス通路16には、バイパス弁17へ流れるEGRガスを迂回させるためのサブバイパス通路48が設けられる。このサブバイパス通路48は、外気に曝される位置に配置される。サブバイパス通路48には、外気温度が第2所定値未満となるときに開弁するサーモワックス弁よりなるサブバイパス弁49が設けられる。この実施形態で、第2所定値は「-10℃以上5℃未満」の範囲の温度に設定される。サブバイパス弁49の基本構成は、図5、図6に示すバイパス弁17のそれと同じである。サブバイパス弁49には、EGR弁14のハウジング18に伝わる熱をサーモワックスに伝えないようにするために、断熱層50を介してサブバイパス通路48に取り付けられる。図18は、サブバイパス弁49が開弁した状態を示し、図19は、サブバイパス弁49が閉弁した状態を示す。このサブバイパス弁49は、外気温度の変化に感応して動作する。すなわち、サブバイパス弁49は、外気温度が「-10℃」未満となるときに、図18に示すように開弁し、外気温度が「5℃」以上となるときに、図19に示すように閉弁するようになっている。
[EGRシステムの作用及び効果について]
以上説明したこの実施形態のEGRシステムの構成によれば、バイパス弁17に関連した構成の違いの点で前記各実施形態と作用及び効果が異なる。すなわち、この実施形態では、バイパス通路16にて、バイパス弁17へ流れるEGRガスを迂回させるサブバイパス通路48が設けられる。また、サブバイパス通路48に設けられるサブバイパス弁49が、外気温度が第2所定値(-10℃)未満となるときに開弁する。従って、バイパス弁17が閉弁しているときでも、外気温度が第2所定値未満となるときは、サブバイパス弁49が開弁し、バイパス通路16及びサブバイパス通路48を通じてその下流側へEGRガスが流れ、EGRクーラ13の熱交換器32で冷却されたEGRガスと合流し、EGRガス分配器15(下流側EGR通路)へ流れるEGRガスの温度が増す。このため、外気温度が氷点下となるような低温環境下で、バイパス弁17が閉弁していても、EGRガス分配器15(下流側EGR通路)へ流れるEGRガスによりEGRガス分配器15を暖めることができ、同分配器15での凝縮水の発生を抑制することができる。
<第7実施形態>
次に、第7実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
この実施形態では、バイパス通路16におけるバイパス弁17の配置と構造の点で前記各実施形態と異なる。
[バイパス弁について]
図20、図21にEGRクーラ13、バイパス通路16及びバイパス弁17とEGR弁14の一部をその長手方向に沿って切断した断面図により示す。図20は、バイパス弁17が開弁した状態を示し、図21は、バイパス弁17が閉弁した状態を示す。この実施形態では、バイパス弁17は、EGR弁14のハウジング18ではなく、EGRクーラ13において、バイパス通路16に直接取り付けられる。この場合、EGRクーラ13のハウジング31とバイパス通路16は、それぞれ薄いSUS板で形成されており、熱伝達率が悪く、熱交換器32へ流れるエンジン1の冷却水の熱が伝わり難いことから、バイパス弁17を冷却水の温度に応じて動作させることができない。そこで、この実施形態では、バイパス弁17の周囲にエンジン1の冷却水を流すために、バイパス弁17には冷却水が流れる冷却水通路51aを含むアダプタ51が設けられる。アダプタ51は、熱伝達率のよい金属より形成される。その他の構成は、前記各実施形態の構成と同じである。
[EGRシステムの作用及び効果について]
以上説明したこの実施形態のEGRシステムの構成によれば、バイパス弁17の配置と構造の違いの点で前記各実施形態と作用及び効果が異なる。すなわち、この実施形態では、バイパス弁17がEGRクーラ13のハウジング31と一体に設けられるバイパス通路16に設けられ、バイパス弁17の周囲には、冷却水が流れる冷却水通路51aを含むアダプタ51が設けられる。従って、バイパス弁17のアクチュエータ22が温度の変化に感応して動作する場合は、冷却水通路51aを流れる冷却水の温度の変化に感応してアクチュエータ22が動作することになり、バイパス弁17の弁体21が冷却水の温度変化に応じて開閉動作することになる。このため、バイパス弁17を熱伝達率の悪いEGRクーラ13のハウジング31に取り付けた場合でも、バイパス弁17のアクチュエータ22が冷却水の温度の変化に感応して動作するので、バイパス弁17を電気的に制御する必要がなく、バイパス弁17に関する構成を簡略化することができる。
<第8実施形態>
次に、第8実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
[バイパス通路の配置について]
この実施形態では、EGRクーラ13に対するバイパス通路16の配置の点で前記各実施形態と異なる。すなわち、図22、図23に、EGRクーラ13、バイパス通路16及びバイパス弁17とEGR弁14の一部をその長手方向に沿って切断した断面図により示す。図22は、バイパス弁17が開弁した状態を示し、図23は、バイパス弁17が閉弁した状態を示す。図22、図23に示すように、この実施形態で、EGR弁14とEGRクーラ13が車両に搭載された状態において、バイパス通路16は、EGR弁14とEGRクーラ13に対し鉛直方向下側に配置され、そのバイパス通路16の上流側がエンジン1の排気通路3へ向かって鉛直方向下方へ傾斜するように設けられる。この点、バイパス通路16が、EGR弁14とEGRクーラ13の鉛直方向上側に設けられる前記各実施形態と異なる。この実施形態で、サーモワックス弁よりなるバイパス弁17は、前記第1~第6の実施形態と同様、EGR弁14のハウジング18にて、バイパス通路16に対応して取り付けられる。図22、図23において、矢印A4は凝縮水の流れを示す。
[EGRシステムの作用及び効果について]
以上説明したこの実施形態のEGRシステムの構成によれば、EGRクーラ13に対するバイパス通路16の配置の違いの点で前記各実施形態と作用及び効果が異なる。すなわち、この実施形態では、EGRクーラ13が車両に搭載された状態において、バイパス通路16が、EGRクーラ13に対し鉛直方向下側に配置されるので、EGRクーラ13で発生した凝縮水は、その自重によりバイパス通路16への流下が可能となる。また、バイパス通路16の上流側が排気通路3へ向かって鉛直方向下方へ傾斜するので、バイパス通路16へ流下した凝縮水は、その自重により排気通路3への流下が可能となる。このため、EGR通路12やEGRクーラ13等で発生した凝縮水を、自重によりバイパス通路16通じて排気通路3へ排出することができる。
<第9実施形態>
次に、第9実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
[バイパス弁の配置について]
この実施形態では、EGRクーラ13の構成とサーモワックス弁よりなるバイパス弁17の配置の点で前記第8実施形態と異なる。すなわち、図24に、EGRクーラ13、バイパス通路16及びバイパス弁17を、その長手方向に沿って切断した断面図により示す。図24は、バイパス弁17が開弁した状態を示す。この実施形態で、バイパス通路16は、その入口側から出口側まで、EGRクーラ13のSUSよりなるハウジング31と一体に形成される。この実施形態でも、EGRクーラ13とバイパス通路16は、仕切壁46を介して隣接する。仕切壁46は、熱交換器32に接する主壁部46aと、熱交換器32より下流へ延びる下流壁部46bとを含む。バイパス弁17は、バイパス通路16の出口側にて傾斜が急な立ち上がり部分にて、EGRクーラ13のハウジング31に取り付けられる。また、この実施形態では、仕切壁46の下流壁部46bには、EGRクーラ13の出口側を流れる凝縮水を抜くために、EGRクーラ13の出口側からバイパス通路16に連通する複数の連通孔53が設けられる。更に、この実施形態では、バイパス弁17の周囲にエンジン1の冷却水を流すために、バイパス弁17には冷却水が流れる冷却水通路51aを含むアダプタ51が設けられる。アダプタ51は、熱伝達率のよい金属より形成される。
[EGRシステムの作用及び効果について]
以上説明したこの実施形態のEGRシステムの構成によれば、EGRクーラ13の構成とバイパス弁17の配置の違いの点で前記第8実施形態と作用及び効果が異なる。すなわち、この実施形態では、EGRクーラ13の出口側にて熱交換器32から流れ出た凝縮水は、仕切壁46の下流壁部46bにて連通孔53からバイパス通路16へ自重により流下し易くなる。このため、EGR通路12やEGRクーラ13等で発生した凝縮水を、自重により効率良くバイパス通路16へ流すことができ、排気通路3へ排出することができる。
<第10実施形態>
次に、第10実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
[バイパス弁の配置について]
この実施形態では、サーモワックス弁よりなるバイパス弁17の配置の点で前記第9実施形態と異なる。すなわち、図25に、EGRクーラ13、バイパス通路16及びバイパス弁17を、その長手方向に沿って切断した断面図により示す。図25は、バイパス弁17が開弁した状態を示す。この実施形態で、バイパス弁17は、熱交換器32の出口近くに対応してEGRクーラ13のハウジング31に取り付けられる。この実施形態では、熱交換器32の出口近くの仕切壁46(下流壁部46b)に連通孔53が形成される。この連通孔53は、バイパス弁17の弁体21の先端と対向する位置に配置され、バイパス弁17の閉弁時に伸びる弁体21の先端と下流壁部46bとの干渉を避ける逃がし孔として機能するようになっている。
[EGRシステムの作用及び効果について]
以上説明したこの実施形態のEGRシステムの構成によれば、前記第9実施形態の作用及び効果に加え次のような作用及び効果を有する。すなわち、この実施形態では、連通孔53が、バイパス弁17の閉弁時に弁体21の先端と下流壁部46bとの干渉を避ける逃がし孔として機能するので、閉弁時に弁体21が過剰に突出しても、弁体21の先端部が下流壁部46bに突き当たる(接触する)ことがない。このため、バイパス弁17において、サーモワックス24が過剰膨張して弁体21が過剰に突出(作動)しても、弁体21又は下流壁部46bがダメージを受けることを防止することができる。
<第11実施形態>
次に、第11実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
[放熱フィンについて]
この実施形態では、EGRクーラ13の出口側の構成の点で前記第9実施形態と異なる。すなわち、図26に、EGRクーラ13、バイパス通路16及びバイパス弁17を図24に準ずる断面図により示す。図27に、放熱フィン55を、図26のB-B線断面図により示す。図26、図27に示すように、EGRクーラ13の出口側の導出空間36には、仕切壁46(下流壁部46b)に隣接し、EGRガスの流れ方向に平行な複数の放熱フィン55が設けられる。これら放熱フィン55の下側は、下流壁部46bに接続され、放熱フィン55の上側は、EGRクーラ13のハウジング31に接続されておらず離れている。
その他の構成は、第9実施形態のそれと同じである。
[EGRシステムの作用及び効果について]
以上説明したこの実施形態のEGRシステムの構成によれば、前記第9実施形態の作用及び効果に加え次のような作用及び効果を有する。すなわち、この実施形態では、EGRクーラ13にて、EGRガスの流れ方向に平行な複数の放熱フィン55が仕切壁46の下流壁部46bに隣接して設けられる。従って、バイパス通路16を流れるEGRガスの熱が下流壁部46bを介して放熱フィン55へ伝わり、放熱フィン55が暖められ、放熱フィン55に付着した凝縮水が暖められる。このため、EGRクーラ13で発生した凝縮水を効率良く蒸発させることができる。
<第12実施形態>
次に、第12実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
[放熱フィンについて]
この実施形態では、放熱フィン56の配置の点で前記第11実施形態と異なる。すなわち、図28に、EGRクーラ13、バイパス通路16及びバイパス弁17を図24に準ずる断面図により示す。図28に示すように、バイパス通路16の中間部であって熱交換器32の直下には、仕切壁46(主壁部46a)に接し、EGRガスの流れ方向に平行な複数の放熱フィン56が設けられる。これら放熱フィン56の上側は、主壁部46aに接続され、放熱フィン56の下側はEGRクーラ13のハウジング31に接続される。この実施形態では、仕切壁46の下流壁部46bに連通孔は設けられていない。
[EGRシステムの作用及び効果について]
以上説明したこの実施形態のEGRシステムの構成によれば、次のような点で前記第11実施形態と作用及び効果が異なる。すなわち、この実施形態では、バイパス通路16にて、EGRガスの流れ方向に平行な複数の放熱フィン56が仕切壁46(主壁部46a)に隣接して設けられる。従って、バイパス通路16を流れるEGRガスの熱が放熱フィン56を介して主壁部46aへ伝わり、EGRクーラ13が暖められる。このため、バイパス通路16の放熱を促進することができ、加えてEGRクーラ13の昇温を促進することができる。
<第13実施形態>
次に、第13実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
この実施形態では、バイパス弁17の構成とEGR制御の内容の点で前記各実施形態と異なる。
[エンジンシステムについて]
図29に、この実施形態のエンジンシステムを概略構成図により示す。図30に、EGRクーラ13、バイパス通路16及びバイパス弁19を図28に準ずる断面図により示す。この実施形態におけるEGRクーラ13、バイパス通路16及びバイパス弁19(閉弁状態)の配置は、放熱フィンが無いことを除き、第12実施形態のそれと同じである。この実施形態で、バイパス弁19は、電磁弁により構成され、ECU90により制御されるようになっている。バイパス弁19のアクチュエータ22は、電気的に動作するソレノイド29により構成される。他の実施形態において、サーモワックス弁よりなるバイパス弁17を、ソレノイドをアクチュエータとするバイパス弁19に置き替えることで、この実施形態を実施することもできる。この実施形態で、バイパス弁19は、アクチュエータ22(ソレノイド29)をオフして動作させないとき閉弁となるよう(ノーマル閉弁)に構成される。
[第4のEGR制御]
図31に、第4のEGR制御の内容をフローチャートにより示す。図31に示すように、第4のEGR制御は、ステップ260、270及び300の処理を省略し、その代わりにステップ250とステップ280との間にステップ400と410の処理を加えた点で図9に示す第2のEGR制御と内容が異なる。
処理がこのルーチンへ移行すると、ECU90は、ステップ200~ステップ250の処理を実行し、ステップ250の判断結果が肯定となる場合は、処理をステップ400へ移行し、ステップ250の判断結果が否定となる場合は、処理をステップ410へ移行する。
そして、ステップ400では、ECU90は、バイパス弁19を閉弁し、その後、処理をステップ280へ移行する。
一方、ステップ410では、ECU90は、バイパス弁19を開弁し、その後、処理をステップ280へ移行する。
上記した第4のEGR制御によれば、ECU90は、壁温センサ88により検出される壁温度THDWがEGRガス分配器15の耐熱温度(140℃)を超えた場合に、強制EGRカットを実行するために、EGR弁14を全閉に制御するようになっている。一方、ECU90は、強制EGRカットを実行していないとき、検出される壁温度THDWがEGRガス分配器15の加熱許容温度である「120℃」を超えた場合に、バイパス弁19を閉弁させるようにアクチュエータ22(ソレノイド29)制御すると共に、通常のEGR制御を実行するようになっている。この実施形態では、ECU90は、本開示技術の第3制御手段の一例に相当する。
[EGRシステムの作用及び効果について]
以上説明したこの実施形態のEGRシステムの構成によれば、壁温センサ88により検出されるEGRガス分配器15の壁温度THDWがEGRガス分配器15の加熱許容温度(120℃)を超えた場合には、ECU90はバイパス弁19を閉弁させるようにアクチュエータ22(ソレノイド29)を制御する。従って、EGR通路12を流れる大部分のEGRガスがバイパス通路16へ流れることなくEGRクーラ13で冷却されてからEGRガス分配器15へ流れる。このため、EGR通路12をEGRガス分配器15へ流れるEGRガスの温度がEGRガス分配器15の加熱許容温度を超えると、EGRガスの温度を低下させるようにバイパス弁19を制御し、EGRガス分配器15の溶損とEGRガス分配器15での凝縮水の発生を抑制することができる。
この実施形態の構成によれば、バイパス弁19は、アクチュエータ22(ソレノイド29)をオフして動作させないとき閉弁となるので、ソレノイド29が故障して動作しなくてもバイパス弁19が閉弁状態に保たれる。このため、バイパス弁19のアクチュエータ22(ソレノイド29)が故障しても、バイパス通路16のEGRガスの流れを遮断することができ、EGRガス分配器15(下流側EGR通路)の溶損を抑制することができる。
<第14実施形態>
次に、第14実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
この実施形態では、第13実施形態における第4のEGR制御に加え、バイパス弁19の開閉を切り換えるバイパス切換制御を実行する点で第13実施形態と異なる。
エンジン1の冷間時(未暖機時)には、EGR通路12からEGRクーラ13へ流れるEGRガスの一部をバイパス通路16へ流して迂回させるために、バイパス弁19が開弁される。その後、エンジン1の暖機が完了すると、EGRクーラ13へEGRガスのほぼ全部を流すために、バイパス弁19が閉弁される。ところが、暖機が一旦完了しても、低温時には、図30に示すように、バイパス通路16の出口付近等に凝縮水CWが滞留することがある。そこで、この実施形態では、バイパス弁19が閉弁した後にバイパス通路16の出口付近等に滞留した凝縮水CWを排出するために、次のようなバイパス弁切換制御を実行するようになっている。
[バイパス弁切換制御について]
図32に、この実施形態におけるバイパス弁切換制御の内容をフローチャートにより示す。処理がこのルーチンへ移行すると、ステップ500で、ECU90は、水温センサ81、回転数センサ82、スロットルセンサ85、吸気温センサ87及び壁温センサ88の検出値に基づき、冷却水温度THW、エンジン回転数NE、吸気温度THA、エンジン負荷KL及び壁温度THDWをそれぞれ取り込む。
次に、ステップ510で、ECU90は、バイパス弁19への開弁要求が有るか否かを判断する。ECU90は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ520へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ530へ移行する。
ステップ520では、ECU90は、バイパス弁19を開弁し、その後に処理をステップ500へ戻す。
一方、ステップ530では、ECU90は、冷却水温度THWが「80℃」未満か否かを判断する。「80℃」は一例である。ECU90は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ540へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ550へ移行する。
ステップ540では、ECU90は、EGRカットか否かを判断する。ECU90は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ520へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ550へ移行する。
そして、ステップ530又はステップ540から移行してステップ550では、ECU90は、バイパス弁19を閉弁し、処理をステップ500へ戻す。
上記したバイパス弁切換制御によれば、ECU90は、バイパス弁19を閉弁しているときに、EGRカットの実行を条件にバイパス弁19を強制的に開弁するようになっている。すなわち、この実施形態では、バイパス弁19のアクチュエータ22(ソレノイド29)は、EGR弁14を全閉にする条件において、弁体21を開くように構成される。
[EGRシステムの作用及び効果について]
以上説明したこの実施形態のEGRシステムの構成によれば、第13実施形態の作用及び効果に加え、次のような作用及び効果を得ることができる。すなわち、バイパス弁19のアクチュエータ22(ソレノイド29)は、EGRカットを実行する(EGR弁14を全閉にする)条件において、バイパス弁19の弁体21を開く。従って、EGR弁14を全閉にする条件においてバイパス弁19の弁体21が開いたときは、その弁体21が閉じているときにバイパス弁19より下流(バイパス通路16の出口側)に溜まった凝縮水CWのバイパス弁19より上流への流れが許容される。このため、バイパス弁19が閉弁しているときに、バイパス弁19より下流のバイパス通路16に溜まった凝縮水CWを、EGRカットの実行時に、バイパス弁19より上流のバイパス通路16へ自重により流すことができ、排気通路3へ排出することができる。
<第15実施形態>
次に、第15実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
この実施形態では、EGRクーラ13に対するバイパス通路16の配置と、バイパス弁60の構成と、バイパス弁60の開閉制御の点で前記第8~第14の実施形態と構成が異なる。図33に、バイパス通路16とバイパス弁60を一体に設けたEGRクーラ13を正面図により示す。図34に、同じくEGRクーラ13を背面図により示す。図35に、バイパス弁60の弁体61が全閉となるときであって、EGRクーラ13をその長手方向に沿って切断した断面図により示す。図36に、EGRクーラ13であって、図35の1点鎖線四角X1で囲った部分を拡大断面図により示す。図37に、バイパス弁60の弁体61が半開となるときであって、EGRクーラ13を図35に準ずる断面図により示す。図38に、EGRクーラ13であって、図37に1点鎖線四角X2で囲った部分を拡大断面図により示す。図39に、バイパス弁60の弁体61が全開となるときであって、EGRクーラ13を図35に準ずる断面図により示す。図40に、EGRクーラ13であって、図39に1点鎖線四角X3で囲った部分を拡大断面図により示す。
[EGRクーラの構成について]
図33~図40に示すように、この実施形態のEGRクーラ13は、第8~第14の実施形態のEGRクーラ13と同様、車両に搭載された状態において、バイパス通路16が、EGRクーラ13に対し鉛直方向下側に配置され、EGRクーラ13とバイパス通路16の上流側がエンジン1の排気通路3へ向かって鉛直方向下方へ傾斜するように設けられる。また、熱交換器32は、EGRガスが流れ入る入口32aと、EGRガスが流れ出る出口32bを含む。バイパス通路16も、EGRガスが流れ入る入口16aと、EGRガスが流れ出る出口16bを含む。バイパス通路16の出口16bは、熱交換器32の出口32bに隣接して配置される。この実施形態で、バイパス弁60の弁体61と回転軸62は、EGRクーラ13のハウジング31において、バイパス通路16の出口16bに対応して配置される。なお、図33~図40では、便宜上、冷却水の取入口や取出口の図示を省略すると共に、熱交換器32やバイパス弁60の図示を簡略化した。
[バイパス弁の構成について]
図35~図40に示すように、この実施形態のバイパス弁60は、略四角板状をなす弁体61と、その弁体61を回動する回転軸62とを含み、弁体61の一辺側が回転軸62に固定され、上記一辺に対向する弁体61の他辺側が回転軸62を中心に揺動するスイングタイプとして構成される。また、図34に示すように、このバイパス弁60は、回転軸62を回動するために電気的に動作するアクチュエータ63を含む。このアクチュエータ63は、軸方向へ往復動可能な駆動軸63aを備え、その駆動軸63aの先端部が、回転軸62に対しリンク64を介して駆動連結される。そして、アクチュエータ63の駆動軸63aが軸方向へ往復動することで、回転軸62がリンク64を介して一方向又はその反対方向へ回動し、その回転軸62の回動により弁体61がバイパス通路16の出口16bを開閉するように構成される。
この実施形態では、図35、図36に示すように、バイパス弁60の弁体61がバイパス通路16の出口16bを閉じる閉弁時(全閉時)には、その弁体61が熱交換器32の軸線L1の方向(軸方向)とほぼ平行になるように配置され、その弁体61が熱交換器32の出口32bの直下流の流路を全開放する位置に配置される。また、図37、図38に示すように、その弁体61がバイパス通路16の出口16bを半開とする半開時(開弁時)には、その弁体61が熱交換器32の出口32bの直下流の流路の一部を遮り流路面積を狭くする位置に配置される。更に、図39、図40に示すように、その弁体61がバイパス通路16の出口16bを全開する全開時(開弁時)には、その弁体61が熱交換器32の出口32bの一部を更に遮りその出口32bの流路面積を更に狭くする位置に配置される。
[バイパス弁を構成する弁アッセンブリとその組み付け手順について]
ここで、EGRクーラ13のハウジング31は、一部にスポット溶接を実施した後、全体の締結をロウ付けで仕上げることが考えられる。この手順を採用する理由は、ロウ付け後に溶接加工を施すと、ロウ付け部分が溶けてしまい締結不良が発生するからである。また、バイパス弁60を構成する回転軸62には、ガス漏れを防止するために、一般にゴム製のリップシールを設けている。この場合、リップシールを回転軸62に組み付けた状態でロウ付けすることはできず、EGRクーラ13のハウジング31を仕上げた後にリップシールを組み付けた回転軸62をハウジング31に後付けすることが必要になる。ここで、回転軸62をハウジング31に組み付けた後、弁体61を回転軸62に締結するには、締結用の窓をハウジング31に設けなければならない。また、弁体61を回転軸62に締結した後、その締結用の窓を蓋等で封鎖する必要が生じる。この場合、蓋を溶接することは難しく、ガスケットによるシールが必要になり、製造コストアップにつながる。そこで、この実施形態では、バイパス弁60を構成する弁アッセンブリとその組み付け手順につき、以下のような構成を提案する。
図41に、バイパス通路16の出口16bに対応して設けられる弁アッセンブリ65の構成を断面図により示す。図41に示すように、バイパス通路16を構成するEGRクーラ13のハウジング31には、ベアリングケース66が設けられる。ベアリングケース66は、筒部66aと、筒部66aの底部66bと、底部66bの外周に設けられるフランジ部66cとを含む。ベアリングケース66は、そのフランジ部66cがボルト67を介してハウジング31に固定される。ベアリングケース66のフランジ部66cがハウジング31に当接する部分には、ガス漏れを防止するガスケット68が設けられる。ベアリングケース66の筒部66aの内側には、ボールベアリング69が設けられる。ボールベアリング69には、回転軸62が回転可能に支持される。回転軸62の基端部62aは、ベアリングケース66の底部66bを貫通してバイパス通路16の出口16bの近傍に配置される。この基端部62aには、弁体61がねじ70を介して固定される。ボールベアリング69と底部66bとの間にて、回転軸62上には、ガス漏れを防止するためのリップシール71が設けられる。リップシール71は、ゴム等の可撓性材により形成される。リップシール71は、この開示技術におけるシール部材の一例に相当する。また、回転軸62の先端には、回転軸62を回動させるためのレバー72が固定される。このレバー72は、回転軸62及び弁体61と一体に回動可能となっている。また、筒部66aの外周には、弁体61を閉弁方向へ付勢するための閉弁スプリング73が設けられる。この閉弁スプリング73は、ベアリングケース66とレバー72との間に介在され、回転軸62を介して弁体61を閉弁方向へ回動付勢するようになっている。
上記した弁アッセンブリ65は、次のような手順で組み付けることができる。すなわち、(1)初めに、回転軸62の外周にボールベアリング69の内側を圧入する。(2)ベアリングケース66の筒部66aの内周にリップシール71を圧入する。(3)筒部66aの内周にボールベアリング69の外周を圧入すると共に、回転軸62の基端部62aを、リップシール71とベアリングケース66の底部66bに貫通させる。(4)回転軸62の基端部62aに弁体61をねじ70により固定した後、ねじ70の頭部を点溶接する。(5)ベアリングケース66の筒部66aの外周に閉弁スプリング73を取り付け、回転軸62の先端にレバー72を取り付けて固定することで、サブ弁アッセンブリとする。ここで、回転軸62へのレバー72の固定は、ナットの締め付け、溶接又はカシメにより行うことができる。(6)サブ弁アッセンブリのベアリングケース66を、ガスケット68を介してハウジング31にボルト67で固定することにより、弁アッセンブリ65の組み付けを完了する。
[バイパス弁の開閉制御について]
次に、上記のように構成したバイパス弁60の開閉制御について説明する。図42に、その制御内容をフローチャートにより示す。なお、この実施形態のエンジンシステムは、図29に示すエンジンシステムを採用するものとし、図29におけるバイパス弁19を本実施形態のバイパス弁60に置き換え、バイパス弁60を制御するためにアクチュエータ63を制御するものとする。
処理が図42に示すルーチンへ移行すると、ステップ600で、ECU90は、水温センサ81、回転数センサ82、スロットルセンサ85及び吸気温センサ87の検出値に基づき、エンジン回転数NE、エンジン負荷KL、冷却水温度THW及び吸気温度THAをそれぞれ取り込む。
次に、ステップ610で、ECU90は、エンジン回転数NE、エンジン負荷KL、冷却水温度THW及び吸気温度THAに応じた目標バイパス開度TECBVを求める。ECU90は、例えば、図43に示す目標バイパス開度マップを参照することにより、各種パラメータNE,KL,THW,THAに応じた目標バイパス開度TECBVを求めることができる。図43に示すように、この目標バイパス開度マップは、吸気温度THA(外気温度でもある。)が「-10℃以下」、「0℃」及び「25℃以上」の3つの吸気温度範囲に規定され、それら各吸気温度範囲につき、冷却水温度THWが「40℃未満」、「40℃」、「60℃」及び「80℃以上」の4つの冷却水温度範囲に規定される。そして、各吸気温度範囲と各冷却水温度範囲とで組み合わされる12の組み合わせ領域毎に、エンジン負荷KLとエンジン回転数NEに応じた目標バイパス開度TECBVが設定される。このマップでは、エンジン1が低回転かつ軽負荷となるほど、目標バイパス開度TECBVが大きくなるように設定される。また、このマップでは、吸気温度THAが低くなるほど、目標バイパス開度TECBVが大きくなるように設定され、吸気温度THAが低くなる場合は、エンジン1の完全暖機後も低回転かつ軽負荷ほど、目標バイパス開度TECBVが大きくなるように設定される。更に、このマップでは、冷却水温度THWが低くなるほど、目標バイパス開度TECBVが大きくなるように設定されるが、冷却水温度THWがEGR開始水温度である「40℃未満」となる場合は、目標バイパス開度TECBVが「0」となるように設定される。
次に、ステップ620で、ECU90は、吸気温度THAに応じたEGR開始許可水温度SEGRTHWを求める。ECU90は、例えば、図44に示すEGR開始許可水温度マップを参照することにより、吸気温度THAに応じたEGR開始許可水温度SEGRTHWを求めることができる。このマップは、吸気温度THAが「30℃」から「-20℃」まで低くなるほど、EGR開始許可水温度SEGRTHWが「40℃」から「85℃」まで高くなるように設定され、吸気温度THAが「30℃」以上になるとEGR開始許可水温度SEGRTHWが「40℃」に設定されるようになっている。
次に、ステップ630で、ECU90は、EGR開始許可水温度SEGRTHWが冷却水温度THWより低いか否かを判断する。ECU90は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ640へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ660へ移行する。
ステップ640では、ECU90は、冷却水温度THWが「100℃」より低いか否かを判断する。ECU90は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ650へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ660へ移行する。
ステップ650では、ECU90は、目標バイパス開度TECBVを、最終目標バイパス開度FTECBVとして設定する。
一方、ステップ630又はステップ640から移行してステップ660では、ECU90は、「0%」を、最終目標バイパス開度FTECBVとして設定する。
そして、ステップ650又はステップ660から移行してステップ670では、ECU90は、バイパス弁60を最終目標バイパス開度FTECBVに制御する。
上記したバイパス弁60の開閉制御によれば、ECU90は、冷却水温度THWが、EGR開始許可水温度SEGRTHW以下の条件では、バイパス弁60を全閉に制御し、冷却水温度THWが、EGR開始許可水温度SEGRTHWより高く、かつ、100℃以上の高温度となる条件では、吸気温度THA(外気温度)が低くてもバイパス弁60を全閉に制御し、冷却水温度THWが、EGR開始許可水温度SEGRTHWより高く、かつ、100℃より低くなる条件では、バイパス弁60を目標バイパス開度TECBVに制御するようになっている。
[EGRシステムの作用及び効果について]
以上説明したこの実施形態のEGRシステムの構成によれば、第8~第14の実施形態の作用及び効果と同等の作用及び効果を得ることができる。加えて、この実施形態のEGRクーラ13の構成によれば、バイパス通路16の出口16bが熱交換器32の出口32bに隣接して配置され、バイパス弁60の弁体61と回転軸62がバイパス通路16の出口16bに対応して配置される。また、バイパス弁60は、弁体61がバイパス通路16の出口16bを閉じる全閉時(閉弁時)には、弁体61が熱交換器32の軸方向とほぼ平行に配置される。従って、バイパス弁60の全閉時には、排気通路3からEGR通路12へ流れるEGRガスのほぼ全てが熱交換器32へ流れて冷やされ、その出口32bから流れ出てバイパス弁60の弁体61に沿ってEGR弁14及びEGRガス分配器15(下流側EGR通路)へ向けて流れる。このため、バイパス弁の全閉時には、バイパス弁60の弁体61を冷やされたEGRガスで冷やすことができ、その弁体61を介して回転軸62を冷やすことができる。この結果、回転軸62に設けられたリップシール71をEGRガスの熱害から保護することができる。一方、バイパス弁60の半開時又は全開時(開弁時)には、弁体61が熱交換器32の出口32bの流路面積の一部を遮り流路面積が狭くなる。従って、熱交換器32の出口32bの流路面積が狭くなる分だけ、熱交換器32の出口32bから流れ出る冷やされたEGRガスの流量が減少し、その流量に対する、バイパス通路16の出口16bから流れ出る冷やされないEGRガスの流量の割合(バイパス流量比)が多くなり、EGR弁14及びEGRガス分配器15(下流側EGR通路)へ流れるEGRガスの温度が高くなる。このため、バイパス弁60の半開時又は全開時には、バイパス流量比が増える分だけEGR弁14及びEGRガス分配器15(下流側EGR通路)の暖機を促進することができる。
図45には、バイパス弁60の半開時と全開時における、下流側EGR通路へ流れるEGRガスの全流量に対する熱交換器32を流れたEGRガスの流量の割合(クーラ流量比)とバイパス流量比の違いをグラフにより示す。図45に示すように、半開時には、クーラ流量比は「75%」となり、バイパス流量比は「25%」となる。一方、全開時には、クーラ流量比は「60%」となり、バイパス流量比は「40%」となる。このように、半開時に比べ全開時には、バイパス流量比が約15%アップすることがわかる。
ここで、この実施形態におけるバイパス弁60の開閉制御によれば、ECU90は、冷却水温度THWが、EGR開始許可水温度SEGRTHW以下の条件では、EGR弁14が閉弁し、EGRクーラ13にEGRガスが流れず、バイパス弁60を全閉に制御する。また、ECU90は、冷却水温度THWが、EGR開始許可水温度SEGRTHWより高く、かつ、100℃以上の高温度となる条件では、吸気温度THA(外気温度)が低くてもバイパス弁60を全閉に制御する。このため、EGR弁14が開弁し、EGRクーラ13へ流れるEGRガスの全てを熱交換器32で冷却することができ、EGRガス分配器15(下流側EGR通路)へ温度低下させたEGRガスを流すことができる。更に、ECU90は、冷却水温度THWが、EGR開始許可水温度SEGRTHWより高く、かつ、100℃より低くなる条件では、バイパス弁60を目標バイパス開度TECBVに制御する。このため、EGRガス分配器15(下流側EGR通路)へ流れるEGRガスにおけるバイパス流量比を増加させることができ、そのEGRガスを昇温させることができ、EGRガス分配器15を適度に暖機することができる。
更に、この実施形態のEGRクーラ13の構成によれば、上記した組み付け手順を採用することで弁アッセンブリ65を設けた。すなわち、各種部品61,62,66,69,70~73を組み付けてなるサブ弁アッセンブリのベアリングケース66を、最後に、ガスケット68を介してハウジング31にボルト67で固定することで、弁アッセンブリ65の組み付けを完了するようにした。このため、ベアリングケース66をハウジング31に固定するためにガスケット68とボルト67が必要になるものの、組付け窓を設けることなく、かつ、溶接を施すことなく、ハウジング31に対し弁アッセンブリ65を設けることができ、EGRクーラ13の製造コストを抑えることができる。
<第16実施形態>
次に、第16実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
この実施形態では、スイングタイプのバイパス弁60の構成の点で第15実施形態と異なる。第16実施形態では、バイパス通路16の出口16bを、熱交換器32の出口32bに隣接して配置すると共に、バイパス弁60の弁アッセンブリ65をバイパス通路16の出口16bに対応して配置した。すなわち、熱交換器32の出口32bとバイパス通路16の出口16bとの近傍に弁アッセンブリ65を配置した。このため、弁アッセンブリ65の回転軸62が、熱交換器32とバイパス通路16との間の仕切壁46の一端縁46cに沿って配置されることになった。ここで、仕切壁46の一端縁46cと回転軸62との間に多少の隙間ができることがある。この隙間が大きくなると、弁体61の全閉時に、バイパス通路16で遮断されたEGRガスが、その隙間を介して熱交換器32の出口32bの側へ漏れるおそれがある。その結果、漏れたEGRガスにより、熱交換器32で冷却されたEGRガスの冷却効率が低下するおそれがある。一方、上記隙間が大きくなれば、熱交換器32から流れ出る凝縮水を、その隙間を介してバイパス通路16へ排出することができる。そこで、この実施形態では、バイパス弁60を次のように構成した。
[バイパス弁の構成について]
図46、図47に、EGRクーラ13の一部であって、熱交換器32の出口32bに隣接したバイパス通路16の出口16bの部分と、バイパス弁60の弁体61及び回転軸62との関係を断面図により示す。図46は、バイパス弁60の弁体61が全閉となる状態を示し、図47は、弁体61が開弁した状態を示す。この実施形態で、熱交換器32の出口32bとバイパス通路16の出口16bとの境部位58と、回転軸62との間に隙間59が設けられる。その隙間59は、弁体61の閉弁時(全閉時)よりも開弁時の方が大きくなるように構成される。ここで、境部位58は、仕切壁46の一端縁46cにより構成される。
すなわち、この実施形態では、図46、図47に示すように、仕切壁46の一端縁46cが平坦をなし、その一端縁46cに隣接して回転軸62が配置される。この回転軸62の一部には、断面円弧状をなす切り欠き62bが形成され、この切り欠き62bが、回転軸62の回動に伴い境部位58(一端縁46c)に対し変位するようになっている。詳しくは、図46に示すように、弁体61の全閉時には、回転軸62と境部位58(一端縁46c)との間の隙間59が最小となるように切り欠き62bが変位する。一方、図47に示すように、弁体61の開弁時には、回転軸62と境部位58(一端縁46c)との間の隙間59が最大となるように切り欠き62bが変位する。弁体61は、その基部が回転軸62の中に収まった状態で固定される。また、弁体61は、その先部側が回転軸62から半径方向へ張り出し、バイパス通路16の出口16bを開閉するようになっている。ここで、弁体61の先端は、ハウジング31の傾斜に合わせて傾斜する。
[EGRシステムの作用及び効果について]
以上説明したこの実施形態のEGRシステムの構成によれば、第15実施形態の作用及び効果に加え、次のような作用及び効果を得ることができる。すなわち、この実施形態では、熱交換器32の出口32bとバイパス通路16の出口16bとの境部位58(一端縁46c)と、回転軸62との間の隙間59が、バイパス弁60の弁体61の閉弁時よりも開弁時の方が大きくなるように構成される。従って、図46に示すように、この隙間59は、弁体61の閉弁時に開弁時よりも小さくなるので、バイパス通路16の中のEGRガスが、隙間59を介して熱交換器32の出口32bの側へ漏れ難くなる。このため、弁体61の閉弁時には、隙間59を狭くすることで、バイパス通路16から熱交換器32の側への隙間59によるEGRガスの漏れを抑えることができ、熱交換器32によるEGRガスの冷却効率の低下を抑えることができる。一方、図47に示すように、この隙間59は、弁体61の開弁時に閉弁時よりも大きくなるので、熱交換器32の出口32bから放出される凝縮水(図47に白丸で示す。)が隙間59へ流れ易くなる。また、熱交換器32の出口32bの流路面積の一部が弁体61により遮られるので、その出口32bから放出される凝縮水の飛散が抑えられる。このため、弁体61の開弁時には、隙間59を広くすることで、熱交換器32の出口32bから放出される凝縮水を隙間59を介して多量にバイパス通路16へ排出することができる。ここで、弁体61の開弁時には、バイパス通路16から流れ出るEGRガスが、熱交換器32で冷却されたEGRガスに合流するので、EGRガスの冷却効率が問題になることはない。
<第17実施形態>
次に、第17実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
[バイパス弁の構成について]
この実施形態では、スイングタイプのバイパス弁60の構成の点で第16実施形態と異なる。図48に、EGRクーラ13の一部であって、バイパス弁60の弁体61が全閉となる状態を、図46に準ずる断面図により示す。図49に、EGRクーラ13の一部であって、弁体61が開弁した状態を、図47に準ずる断面図により示す。この実施形態でも、バイパス弁60は、熱交換器32の出口32bとバイパス通路16の出口16bとの境部位58と、回転軸62との間に隙間59が設けられる。その隙間59は、弁体61の全閉時よりも開弁時の方が大きくなるように構成される。
すなわち、図48、図49に示すように、この実施形態でも、仕切壁46の一端縁46cが平坦をなし、その一端縁46cにより境部位58が構成される。そして、その境部位58に隣接して回転軸62が配置される。この実施形態では、回転軸62の一部に切り欠きは形成されておらず、スイングタイプのバイパス弁60を構成する回転軸62は、境部位58(一端縁46c)に対し所定の隙間59を介して配置される。弁体61は、その基部側が回転軸62に固定され、その基端61aが回転軸62の半径方向へわずかに突出する。また、弁体61は、その先部側が回転軸62から半径方向へ張り出し、バイパス通路16の出口16bを開閉するようになっている。ここで、弁体61の先端は、ハウジング31の傾斜に合わせて鋭角に傾斜し、弁体61の基端61aも鋭角に傾斜する。そして、図48に示すように、弁体61の全閉時には、回転軸62と境部位58との間の隙間59は、弁体61の基端61aにより封鎖される。一方、図49に示すように、弁体61の開弁時には、回転軸62と共に弁体61が回動することで、弁体61の基端61aが回動し、境部位58(一端縁46c)との間の隙間59が開放されるようになっている。
[EGRシステムの作用及び効果について]
以上説明したこの実施形態のEGRシステムの構成によれば、第16実施形態の構成と多少の違いはあるものの、第16実施形態と同等の作用及び効果を得ることができる。
<第18実施形態>
次に、第18実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
[バイパス弁の構成について]
この実施形態では、バイパス弁60がバタフライタイプの構成を有する点でスイングタイプの構成を有する第16及び第17の実施形態のそれと異なる。図50に、EGRクーラ13の一部であって、バイパス弁60の弁体61が全閉した状態を、図48に準ずる断面図により示す。図51に、EGRクーラ13の一部であって、バイパス弁60の弁体61が開弁した状態を、図49に準ずる断面図により示す。この実施形態でも、バイパス弁60は、熱交換器32の出口32bとバイパス通路16の出口16bとの境部位58と、弁体61との間に隙間59が設けられるようになっている。その隙間59は、弁体61の閉弁時(全閉時)よりも開弁時の方が大きくなるように構成される。
すなわち、図50、図51に示すように、この実施形態では、境部位58(仕切壁46の一端縁46c)に隣接して回転軸62が配置される。この実施形態のバイパス弁60は、バタフライタイプの構成を有することから、回転軸62は、境部位58(一端縁46c)に対し所定の間隔を介して配置される。弁体61は、その中間部が回転軸62に固定され、その一端側61bと他端側61cが、それぞれ回転軸62の半径方向へ張り出している。また、弁体61は、その一端側61bが仕切壁46の一端縁46cに対し接触可能となり、その他端側61cがハウジング31の傾斜する内壁に対し接触可能となっている。ここで、弁体61の一端側61bは、仕切壁46の傾斜する一端縁46cに合わせて鋭角に傾斜し、弁体61の他端側61cは、ハウジング31の傾斜に合わせて鋭角に傾斜する。そして、図50に示すように、弁体61の全閉時には、弁体61の一端側61bが境部位58(一端縁46c)に接触し、回転軸62と境部位58(一端縁46c)との間に隙間59はできない。一方、図51に示すように、弁体61の開弁時には、回転軸62と共に弁体61が回動することで、弁体61の一端側61bと境部位58(一端縁46c)との間に隙間59ができるようになっている。
[EGRシステムの作用及び効果について]
以上説明したこの実施形態のEGRシステムの構成によれば、第16及び第17の実施形態とバイパス弁60のタイプは異なるものの、第16及び第17の実施形態と同等の作用及び効果を得ることができる。
<第19実施形態>
次に、第19実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
[バイパス弁の弁アッセンブリの構成と弁アッセンブリの組み付け手順について]
この実施形態では、バタフライタイプのバイパス弁60に係る弁アッセンブリ65の構成と弁アッセンブリ65の組み付け手順の点で、第15実施形態のスイングタイプのバイパス弁60と異なる。図52に、バイパス弁60の弁アッセンブリ65の構成を図41に準ずる断面図により示す。図52に示す弁アッセンブリ65おいて、図41に示す構成要素と同等の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略し、異なった点を中心に説明する(以下の説明において同様。)。
図52に示すように、EGRクーラ13のハウジング31は、外側へ突出する外筒部31eを含む。外筒部31eの外周には、平坦面をなす圧入受け面31eaが、周方向に複数(4つ)等角度間隔に配置される。これら圧入受け面31eaは、外筒部31eの外周を切削するかたちで形成されるので、図52では、その部分が凹状をなして見える。この圧入受け面31eaは、後述するように、回転軸62及び弁体61等を含むサブ弁アッセンブリを外筒部31eの内側に圧入するときに、ハウジング31の側を位置決め治具で位置決めするために使用される。ベアリングケース66は、筒部66aと底部66bを含み、フランジ部は含まない。ベアリングケース66は、ハウジング31の外筒部31eの内側に圧入されて固定される。ベアリングケース66の筒部66aには、回転軸62がボールベアリング69を介して回転可能に支持され、回転軸62の外周がリップシール71を介してシールされる。ハウジング31の内部にて、回転軸62の基端部62aには、弁体61がねじ70を介して固定される。回転軸62の先端部には、レバー72が固定される。ハウジング31の外筒部31eの外周には、筒状をなすスプリングガイド74が設けられる。スプリングガイド74の外周にて、スプリングガイド74とレバー72との間には、弁体61を閉弁方向へ付勢するための閉弁スプリング73が設けられる。
上記した弁アッセンブリ65の組み付け手順は以下の通りである。すなわち、(1)回転軸62の外周にボールベアリング69の内側を圧入する。(2)ベアリングケース66の筒部66aの内側にリップシール71を圧入する。(3)筒部66aの内側に、回転軸62を圧入したボールベアリング69の外側を圧入する。(4)回転軸62をリップシール71とベアリングケース66の底部66bに貫通させ、その回転軸62の基端部62aに弁体61をねじ70で固定した後、ねじ70の頭部を点溶接する。このようにバイパス弁60のサブ弁アッセンブリの組み付けを完了する。(5)サブ弁アッセンブリを構成するベアリングケース66を、ハウジング31の外筒部31eに圧入して固定する。このとき、ハウジング31の外筒部31eの外周に形成される圧入受け面31eaの凹みを利用することで、ベアリングケース66を外筒部31eに容易に圧入できる。(6)ハウジング31の外筒部31eの外周に、筒状のスプリングガイド74を取り付けると共に、スプリングガイド74の外周に閉弁スプリング73を取り付ける。(7)回転軸62の先端にレバー72を固定することにより、弁アッセンブリ65の組み付けを完了する。回転軸62へのレバー72の固定は、ナットの締め付け、溶接又はカシメにより行うことができる。
[EGRシステムの作用及び効果について]
以上説明したこの実施形態のEGRシステムの構成によれば、バイパス弁60の弁アッセンブリ65の構成が第15実施形態のそれと多少異なるものの、第15実施形態と同等の作用及び効果を得ることができる。また、この実施形態の構成によれば、上記した組み付け手順を採用することで弁アッセンブリ65を設けた。すなわち、各種部品61,62,66,69,71を組み付けてなるサブ弁アッセンブリのベアリングケース66を、ハウジング31の外筒部31eに圧入して固定した後、残りの各種部品72~74を組み付けることで、弁アッセンブリ65の組み付けを完了する。このため、ベアリングケース66をハウジング31に固定するために、組付け窓を設けることなく、かつ、溶接を施すことなく、ハウジング31に対し弁アッセンブリ65を設けることができ、EGRクーラ13の製造コストを抑えることができる。
<第20実施形態>
次に、第20実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
[バイパス弁の弁アッセンブリの構成と弁アッセンブリの組み付け手順について]
この実施形態では、バイパス弁60に係る弁アッセンブリ65の構成と弁アッセンブリの組み付け手順の点で第19実施形態と異なる。図53に、弁アッセンブリ65を図52に準ずる断面図により示す。図53に示すように、EGRクーラ13のハウジング31は、ハウジング31の外側へ突出する外筒部31eと、ハウジング31の中に嵌入する内筒部31fとを有する長筒部31gを含む。内筒部31fには、バイパス通路16の出口16bに対応して、EGRガスが流れる開口31faが形成される。ベアリングケース66は、筒部66aと底部66bを含む。ベアリングケース66は、ハウジング31の外筒部31eの内側に圧入されて固定される。ベアリングケース66の筒部66aには、回転軸62がボールベアリング69を介して回転可能に支持され、回転軸62の外周がリップシール71を介してシールされる。ハウジング31の内筒部31fの中にて、回転軸62の基端部62aには、弁体61がねじ70を介して固定される。回転軸62の先端には、レバー72が固定される。ハウジング31の外筒部31eの外周には、レバー72との間に、閉弁スプリング73が設けられる。
上記した弁アッセンブリ65の組み付け手順は以下の通りである。すなわち、(1)回転軸62の外周にボールベアリング69の内側を圧入する。(2)ベアリングケース66の筒部66aの内側にリップシール71を圧入する。(3)筒部66aの内側に回転軸62を組み付けたボールベアリング69の外側を圧入する。(4)ベアリングケース66の底部66bに回転軸62を貫通させ、その回転軸62の基端部62aに、弁体61をねじ70で固定し、ねじ70の頭部を点溶接する。これによりサブ弁アッセンブリを形成する。(5)サブ弁アッセンブリのベアリングケース66を、ハウジング31の外筒部31eに圧入する。(6)ハウジング31の外筒部31eの外側に、閉弁スプリング73を装着する。(7)回転軸62の先端に、レバー72を取り付けて固定すると共に、レバー72に閉弁スプリング73を係合させる。これにより、バイパス弁60の弁アッセンブリ65の組み付けを完了する。
[EGRシステムの作用及び効果について]
以上説明したこの実施形態のEGRシステムの構成によれば、第19実施形態と多少の構成の違いはあるものの、第19実施形態と同等の作用及び効果を得ることができる。
<第21実施形態>
次に、第21実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
この実施形態では、バイパス弁60の構成とコイル断線対応制御等の点で前記第15実施形態と構成が異なる。図54に、アクチュエータ63及びリンク64を含むEGRクーラ13を背面側から視た斜視図により示す。図55、図56に、そのEGRクーラ13を図34に準ずる背面図により示す。図55は、バイパス弁60を開弁(全開)に動作させたときのアクチュエータ63及びリンク64の状態を示し、図56は、バイパス弁60を閉弁(全閉)に動作させたときのアクチュエータ63及びリンク64の状態を示す。なお、この実施形態では、図35~図41に示すバイパス弁60と同等の構成を有し、アクチュエータ63及びリンク64の構成が異なる。以下に、この実施形態のアクチュエータ63及びリンク64について説明する。
[アクチュエータ及びリンクの構成について]
この実施形態のアクチュエータ63は、回転軸62を回動するために電気的に動作するように構成される。図54~図56に示すように、アクチュエータ63は、軸方向へ往復動可能な駆動軸63aを備え、その駆動軸63aの先端が回転軸62に対しリンク64を介して駆動連結される。この実施形態では、回転軸62の先端にレバー72が一体回転可能に固定される。レバー72は、その基端部が回転軸62に固定され、その先端部に長孔72aが形成される。この長孔72aに駆動軸63aの先端が移動可能に連結されることでリンク64が構成される。このバイパス弁60では、アクチュエータ63の駆動軸63aが、その軸方向へ往復動することにより、回転軸62が一方向及び逆方向へ回動し、弁体61がバイパス通路16の出口16bを開閉するようになっている。
図57に、バイパス弁60を全開に動作させたときのアクチュエータ63を、その軸方向に沿って切断した断面図により示す。図58に、バイパス弁60を全閉に動作させたときのアクチュエータ63を、その軸方向に沿って切断した断面図により示す。図59は、バイパス弁60の弁体61が全開となるときであって、EGRクーラ13の一部を示す図40に準ずる断面図である。図60は、バイパス弁60の弁体61が全閉となるときであって、EGRクーラ13の一部を示す図36に準ずる断面図である。
図57、図58に示すように、アクチュエータ63は、ハウジング941と、ハウジング941に設けられ、下端部(一端部)と上端部(他端部)を含む内軸部942と、内軸部942の下端部にて同軸をなすように一体に設けられる駆動軸63aと、内軸部942の基端側に対応してハウジング941に設けられ、内軸部942及び駆動軸63aを軸線方向へ往復動させるためのステップモータ944と、内軸部942及び駆動軸63aをステップモータ944から遠ざかる方向へ付勢するための軸スプリング945とを含む。内軸部942は、ハウジング941の中心を貫通して配置され、上端部に雄ねじ946が設けられる。
ハウジング941は、アクチュエータ63の外側を覆う外ハウジング961と、外ハウジング961の内側に配置される内ハウジング962と、内ハウジング962の下部内側に配置される軸受ハウジング963とを含む。内ハウジング962の上部は、ステップモータ944のステータ971を構成し、その外周には一対をなす上層コイル972A及び下層コイル972Bが設けられる。軸受ハウジング963は、その中心部に内軸部942をスラスト方向へ往復動可能に支持するスラスト軸受部963aを含み、スラスト軸受部963aの周囲は中空となっている。ステータ971の内側には、ステップモータ944を構成するロータ973が配置される。外ハウジング961には、上方へ突出するコネクタ961aが形成される。コネクタ961aには、各コイル972A,972Bに接続される端子974が設けられる。外ハウジング961の下部には、フランジ961bが形成される。図54~図56に示すように、EGRクーラ13のハウジング31の外側には、ブラケット75が設けられる。アクチュエータ63は、そのフランジ961bを介してボルト等(図示略)によりブラケット75に固定される。
ロータ973は、ロータ本体973aと、ロータ本体973aの外周に設けられるマグネット973bとを含む。ロータ本体973aの下端には、下方へ伸びるスリーブ975が設けられ、スリーブ975の外周と内ハウジング962との間には、ラジアル軸受976が設けられる。ロータ973は、ラジアル軸受976によりステータ971の内側にて回転可能に支持される。ロータ本体973aの中心には、内軸部942の雄ねじ946に螺合される雌ねじ947が設けられる。雄ねじ946と雌ねじ947との間には、内軸部942の軸線方向において所定のバックラッシ949(図61、図62参照)が設けられる。
図57、図58に示すように、この実施形態において、駆動軸63aの基部63abには、軸受ハウジング963の内側にて、駆動軸63a及び内軸部942が往復動するときに、内部への異物や水分の侵入を防止するために軸受ハウジング963との間をシールするためのリップシール951が設けられる。この実施形態で、内軸部942の周囲には、リップシール951に接触可能な外周部952cを含み、駆動軸63aの基部63abから内軸部942に沿って伸びる円筒状の外軸952が設けられる。この実施形態で、外軸952の外周部952cの外径は、駆動軸63aの最大外径と同じに設定される。
このアクチュエータ63には、外軸952と軸受ハウジング963との間をリップシール951によりシールすることでハウジング941の内側に区分される内側空間953が設けられる。外軸952の上端部952a(一端部)は、この内側空間953に面して配置される。そして、この内側空間953を大気に連通させるために、ハウジング941(外ハウジング961、内ハウジング962及び軸受ハウジング963)には、大気通路954(二点鎖線で概形を示す。)が設けられる。なお、この実施形態のアクチュエータ63には、従来のアクチュエータと異なり、内軸部942の基準となる初期位置を規定するためのストッパや当接部は設けられていない。
すなわち、上記したアクチュエータ63を構成するステップモータ944は、上層コイル972A及び下層コイル972Bを含むステータ971と、ステータ971の中心にて回転可能に配置されたロータ973と、ロータ973に対し、ねじ機構(雄ねじ946及び雌ねじ947)を介して軸方向へ往復動可能に連結された駆動軸63aと、駆動軸63aをその軸方向へ付勢する軸スプリング945とを備える。そして、バイパス弁60の回転軸62を回動させるために回転軸62とアクチュエータ63の駆動軸63aとがリンク64を介して連結される。軸スプリング945は、駆動軸63aを軸方向へ付勢することで、リンク64及び回転軸62を介して弁体61を閉弁方向へ付勢するように構成される。
上記のように構成したアクチュエータ63は、ステップモータ944を駆動させてロータ973を回転させることにより、その回転運動を雄ねじ946と雌ねじ947を介して内軸部942及び駆動軸63aのストローク運動に変換し、レバー72を介して回転軸62を回動させるようになっている。すなわち、アクチュエータ63は、図56、図58に示すように、駆動軸63aをハウジング941から突出させてレバー72を押し下げた状態から、ロータ973を一方向へ回転させる。これにより、雄ねじ946と雌ねじ947の螺合関係により、軸スプリング945の付勢力に抗して、内軸部942及び駆動軸63aがスラスト方向である図58の上方向へストローク運動する。これにより、図54、図55及び図57に示すように、内軸部942がハウジング941の中に没入し、駆動軸63aによりレバー72が引き上げられて、図59に示すように弁体61が全開状態となる。
一方、アクチュエータ63は、図54、図55及び図57に示すように、駆動軸63aをハウジング941に没入させてレバー72を引き上げた状態から、ロータ973を反対方向へ回転させる。これにより、雄ねじ946と雌ねじ947の螺合関係により、軸スプリング945の付勢力との協働により、内軸部942及び駆動軸63aがスラスト方向である図57の下方向へストローク運動する。これにより、図56、図58に示すように、駆動軸63aがハウジング941から突出し、駆動軸63aによりレバー72が押し下げられて、図60に示すように弁体61が全閉状態となる。
図61に、バイパス弁60の弁体61を全開にした状態における雄ねじ946と雌ねじ947との螺合状態の一部を拡大断面図により示す。図62に、後述する「突き当て全閉状態」における雄ねじ946と雌ねじ947との螺合状態の一部を拡大断面図により示す。図61、図62に示すように、雄ねじ946は、内軸部942の軸線方向において螺旋状に連なる雄ねじ山946aを有する。この雄ねじ山946aは、ステップモータ944から遠ざかる方(下方)へ向いた第1雄ねじ山面946aaと、その第1雄ねじ山面946aaの反対側(上側)に位置する第2雄ねじ山面946abを含む。また、雌ねじ947は、内軸部942の軸線方向において螺旋状に連なる雌ねじ山947aを有する。この雌ねじ山947aは、ステップモータ944から遠ざかる方(下方)へ向いた第1雌ねじ山面947aaと、その第1雌ねじ山面947aaの反対側(上側)に位置する第2雌ねじ山面947abを含む。そして、図61、図62に示すように、この雄ねじ946と雌ねじ947との間には、内軸部942の軸線方向において所定のバックラッシ949(あそび)がある。
この実施形態のバイパス弁60は、その弁体61が開弁する状態又は閉弁する状態では、弁体61が閉弁スプリング73の付勢力により閉弁方向へ付勢される。また、アクチュエータ63の駆動軸63aは、軸スプリング945の付勢力により駆動軸63aがハウジング941から突出する方向、すなわち弁体61を閉弁させる方向へ付勢される。そのため、図61に示すように、内軸部942に設けられた雄ねじ946の第1雄ねじ山面946aaが、ロータ本体973aに設けられた雌ねじ947の第2雌ねじ山面947abに当接した状態となる。一方、弁体61が全閉した状態から、ロータ本体973aによる締め込みにより駆動軸63aをレバー72に突き当てる「突き当て制御」を実行する。これにより、図62に示すように、雌ねじ山947aの第1雌ねじ山面947aaと雄ねじ山946aの第2雄ねじ山面946abとが係合し、かつ、軸スプリング945により内軸部942及び駆動軸63aがステップモータ944から遠ざかる方向(閉弁方向)へ最大限に付勢された状態(完全係合付勢状態)となる。この完全係合付勢状態では、内軸部942及び駆動軸63aに上記付勢方向と反対方向の力が作用しても完全係合付勢状態が維持されることになる。これにより、バイパス弁60の弁体61が全閉状態に維持されることになる。ただし、完全係合付勢状態からアクチュエータ63のロータ本体973aを更に締め込むと、ステップモータ944に「脱調」が発生し、最大「2step」だけ開弁側へ脱調することになる。この場合も、内軸部942及び駆動軸63aは、軸スプリング945の付勢力により完全係合付勢状態が保たれ、バイパス弁60の弁体61は全閉状態に保たれる。
上記したバイパス弁60によれば、その弁体61が、閉弁スプリング73により閉弁方向へ付勢され、アクチュエータ63の駆動軸63aが、軸スプリング945により突出方向(レバー72及び回転軸62を介して弁体61を閉弁させる方向)へ付勢される。ここで、閉弁スプリング73の付勢力は、アクチュエータ63の軸スプリング945の付勢力よりも強く設定される。また、弁体61の全閉時には、ECU90がアクチュエータ63を「突き当て制御」することにより、雄ねじ946の雄ねじ山946aと雌ねじ947の雌ねじ山947aとが係合し、駆動軸63a(内軸部942)の移動がロックされる。ここで、バイパス弁60の閉弁スプリング73の付勢力が、アクチュエータ63の駆動軸63aに作用しない構成では、アクチュエータ63の脱調時に、雄ねじ946と雌ねじ947との間に微少(最大で0.084mm程度)な隙間ができる。そのため、雄ねじ946と雌ねじ947との間で、振動により摩耗が発生するおそれがある。これに対し、この実施形態のアクチュエータ63の構成によれば、脱調時に、雄ねじ946と雌ねじ947とが係合して駆動軸63a(内軸部942)の移動がロックされるので、雄ねじ946と雌ねじ947との間に微少な隙間ができることがなく、雄ねじ946と雌ねじ947との間で、振動により摩耗が発生するおそれがない。
[アクチュエータのコイルの断線について]
この実施形態のアクチュエータ63では、上層コイル972Aと下層コイル972Bのうち、一方が断線したときは他方により駆動軸63aを動作させて回転軸62を回動させ、弁体61を閉弁方向へ駆動し、全閉にすることができる。このとき、アクチュエータ63の制御性は低下するものの、閉弁スプリング73が弁体61の動きを閉弁方向へアシストするので、上層コイル972A又は下層コイル972Bのみによってバイパス弁60を全閉に制御することができる。
図63、図64に、アクチュエータ63の上層コイル972Aと下層コイル972Bが正常な場合の各コイル972A,972Bに対する通電パターンをタイムチャートにより示す。図63は、上層コイル972Aの極S1へ通電した場合を示し、図64は、下層コイル972Bの極S2へ通電した場合を示す。図64において、ロータ973の各極Nと下層コイル972Bの極S2との間の太線矢印は磁力が強くなる場合を、破線矢印は磁力が弱くなる場合をそれぞれ示す。図63、図64において、(a)はロータ973における複数の極Nを示し、(b)は極S1,S3となる上層コイル972Aのオン・オフを示し、(c)は極S2,S4となる下層コイル972Bのオン・オフを示す。
各コイル972A,972Bが正常な場合は、各コイル972A,972Bへの通電パターンである「極S1→極S2→極S3→極S4」を繰り返すことで、ステップモータ944のロータ973の回転方向を弁体61の閉弁に対応する方向に制御することができる。図63、図64に示すように、各コイル972A,972Bへの通電を上層コイル972Aの極S1から下層コイル972Bの極S2へ切り換えた場合、ロータ973の各極Nに対する極S2の磁力は「強」から「弱」へ繰り返し変化する。そのため、その磁力の引き合い差により、ロータ973が弁体61の閉弁に対応する方向へ回転することになる。
図65、図66に、アクチュエータ63の下層コイル972Bが断線した場合の各コイル972A,972Bに対する通電パターンをタイムチャートにより示す。図65、図66は、上層コイル972Aの極S1へ通電した場合をそれぞれ示す。図66において、ロータ973の各極Nと上層コイル972Aの極S3との間の実線矢印は磁力が中程度となる場合を示す。図65、図66における(a)~(c)の名目は、図63、図64におけるそれと同じである。
下層コイル972Bが断線した場合は、上層コイル972Aへの通電パターンである「極S1→極S3→」を繰り返すことで、ステップモータ944のロータ973の回転方向を弁体61の閉弁に対応する方向に制御することができる。図65、図66に示すように、上層コイル972Aへの通電を極S1から極S3へ切り換えた場合、ロータ973の各極Nに対する極S3の磁力は常に「中程度」で均等となるので、磁力の引き合い差が生じない。しかし、アクチュエータ63の軸スプリング945の付勢力と、弁アッセンブリ65の閉弁スプリング73の付勢力との協働により、ロータ973を弁体61の閉弁に対応する方向へ回転させることができる。
[コイル断線対応制御について]
次に、アクチュエータ63の各コイル972A,972Bの断線に対処するためのコイル断線対応制御について説明する。図67に、この制御内容をフローチャートにより示す。なお、この実施形態では、第15実施形態と同じエンジンシステムを採用するものとし、図29に示すバイパス弁19の代わりに、この実施形態のバイパス弁60(アクチュエータ63)を制御するものとする。
処理がこのルーチンへ移行すると、ステップ700で、ECU90は、アクチュエータ63の上層コイル972Aが断線したか否かを判断する。この実施形態で、ECU90は、アクチュエータ63を制御するとき、各コイル972A,972Bへの正常な通電の有無を監視することで、上層コイル972A及び下層コイル972Bの断線を検出することができるようになっている。この実施形態で、ECU90は、この開示技術の断線検出手段の一例に相当する。ECU90は、このステップ700の判断結果が肯定となる場合は処理をステップ710へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ760へ移行する。
ステップ710では、ECU90は、アクチュエータ63の下層コイル972Bが断線したか否かを判断する。ECU90は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ720へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ740へ移行する。
ステップ720では、ECU90は、EGR制御に関するEGR開始許可水温度SEGRTHWを「40℃」から「65℃」に変更する。すなわち、ECU90は、EGR弁14の開弁開始の時期的条件を遅らせる方向へ変更する。ECU90は、別途設けられたEGR制御のためのプログラムにおいて、冷却水温度THWがEGR開始許可水温度SEGRTHWになったときにEGRを開始するようになっている(以下において同様。)。
次に、ステップ730で、ECU90は、EGR弁14の開度を所定の上限開度以下でガードする。すなわち、ECU90は、別途設けられたEGR制御のプログラムにおいて、EGR弁14の開度を所定の上限開度以下に制限するようになっている。つまり、ECU90は、EGR弁14の最大開度を小さくする方向へ変更する。
一方、ステップ710から移行したステップ740では、ECU90は、アクチュエータ63の下層コイル972Bを通電することでバイパス弁60の弁体61を全閉に制御する。
次に、ステップ750で、ECU90は、ステップ720と同様、EGR制御に関するEGR開始許可水温度SEGRTHWを「40℃」から「65℃」に変更した後、処理をステップ700へ戻す。
一方、ステップ700から移行してステップ760では、ECU90は、アクチュエータ63の下層コイル972Bが断線したか否かを判断する。ECU90は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ770へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ790へ移行する。
ステップ770では、ECU90は、アクチュエータ63の上層コイル972Aを通電することでバイパス弁60の弁体61を全閉に制御する。
次に、ステップ780で、ECU90は、ステップ720と同様、EGR制御に関するEGR開始許可水温度SEGRTHWを「40℃」から「65℃」に変更した後、処理をステップ700へ戻す。
また、ステップ760から移行してステップ790では、バイパス弁60の通常の開閉制御を実行すると共に、通常のEGR制御を実行した後、処理をステップ700へ戻す。
上記したコイル断線対応制御において、ECU90は、アクチュエータ63のステップモータ944を構成する上層コイル972Aと下層コイル972Bにおける断線の有無を監視する。そして、上層コイル972A又は下層コイル972Bの断線を検出した場合は、ECU90は、正常な方の下層コイル972B又は上層コイル972Aのみによりステップモータ944(アクチュエータ63)を駆動させ、バイパス弁60の弁体61を全閉に制御すると共に、EGR制御におけるEGR開始許可水温度SEGRTHWを「40℃」から「65℃」へ変更するようになっている。また。上層コイル972Aと下層コイル972Bの両方の断線を検出した場合は、ECU90は、ステップモータ944(アクチュエータ63)を駆動させることが困難なため、次のようにEGR制御を実行する。すなわち、バイパス弁60の弁体61が全閉付近で上層コイル972A及び下層コイル972Bが断線した場合は、ECU90は、EGR制御におけるEGR開始許可水温度SEGRTHWを「40℃」から「65℃」へ変更する。これに対し、バイパス弁60の弁体61が全開付近で両コイル972A,972Bが断線した場合は、ECU90は、EGR弁14を所定の上限開度以下にガードする。すなわち、ECU90は、各コイル972A,972Bの断線検出結果に応じてEGRガスの還流を制御するために、EGR弁14の開弁開始及び最大開度の少なくとも一方を変更するようになっている。ここで、ECU90は、この開示技術のEGR制御手段の一例に相当する。
[EGRシステムの作用及び効果について]
以上説明したこの実施形態のEGRシステムの構成によれば、第20実施形態と異なり次のような作用及び効果を得ることができる。すなわち、この実施形態の構成によれば、バイパス弁60は、弁体61を閉弁方向へ付勢する閉弁スプリング73を含み、アクチュエータ63は、駆動軸63aをリンク64及び回転軸62を介して弁体61を閉弁方向へ付勢する軸スプリング945を含む。従って、バイパス弁60の弁体61には、常に閉弁スプリング73の付勢力と軸スプリング945の付勢力とが閉弁方向に作用することになり、弁体61の閉弁がアシストされる。このため、万が一、アクチュエータ63が故障しても、バイパス弁60の弁体61を閉弁することができ、バイパス通路16でのEGRガスの流れを遮断し、冷却されない高温のEGRガスがEGRガス分配器15(下流側EGR通路)へ流れないようにすることができ、EGRガス分配器15の熱害を抑制することができる。
この実施形態の構成によれば、アクチュエータ63の各コイル972A,972Bの断線がECU90により検出された場合は、EGRガスの還流を制御するために、EGR開始許可水温度SEGRTHW(EGR弁14の開弁開始の条件)及び上限開度(最大開度)の少なくとも一方が変更される。従って、各コイル972A,972Bの断線によりアクチュエータ63が正常動作しない場合は、EGR開始許可水温度SEGRTHWが変更されることで、暖機前のEGRクーラ13へEGRガスが流れなくなり、EGR弁14の上限開度が変更されることで、高温のEGRガスが大量にEGRガス分配器15(下流側EGR通路)へ流れなくなる。
すなわち、この実施形態では、上層コイル972Aのみが断線した場合は、下層コイル972Bを通電することでアクチュエータ63を動作させてバイパス弁60の弁体61を全閉に制御すると共に、EGR開始許可水温度SEGRTHWを「40℃」から「65℃」へ変更する。つまり、EGR弁14の開弁開始の時期的条件を遅れさせる方向へ変更することで、暖機前のEGRクーラ13へEGRガスを流さないようにする。また、下層コイル972Bのみが断線した場合は、上層コイル972Aを通電することでアクチュエータ63を動作させてバイパス弁60の弁体61を全閉に制御すると共に、上記と同様、EGR開始許可水温度SEGRTHWを「40℃」から「65℃」へ変更する。更に、上層コイル972Aと下層コイル972Bの両方が断線した場合は、アクチュエータ63を動作させることなく、EGR開始許可水温度SEGRTHWを「40℃」から「65℃」へ変更すると共に、EGR弁14の開度を所定の上限開度以下にガードする。つまり、EGR弁14の最大開度を全開にならないように制限することで、高温のEGRガスを大量にEGRガス分配器15へ流さないようにする。このため、バイパス弁60のアクチュエータ63の各コイル972A,972Bが断線してアクチュエータ63が正常に動作せず、バイパス弁60を好適に制御できない場合には、それに対応してEGRガス分配器15(下流側EGR通路)へのEGRガスの流れを制御することで、EGRクーラ13での凝縮水の発生を抑制したり、EGRガス分配器15での熱害の発生を抑制したりすることができる。
この実施形態の構成によれば、弁体61が全閉した状態から、アクチュエータ63のロータ本体973aによる締め込みにより駆動軸63aをレバー72に突き当てる「突き当て制御」をECU90が実行したとする。この場合、アクチュエータ63の雌ねじ山947aの第1雌ねじ山面947aaと雄ねじ山946aの第2雄ねじ山面946abとが係合し、かつ、軸スプリング945により内軸部942(駆動軸63a)がステップモータ944から遠ざかる方向(閉弁方向)へ最大限に付勢された状態(完全係合付勢状態)となる。この完全係合付勢状態では、内軸部942(駆動軸63a)に上記付勢方向と反対方向の力が作用しても完全契合付勢状態が維持されることになる。このため、バイパス弁60の弁体61を全閉状態にロックすることができ、その弁体61に、弁体61を開弁させようとする高圧力が作用しても、弁体61を全閉に維持することができ、弁体61の下流側へのEGRガスの漏れを抑制することができる。
<第22実施形態>
次に、第22実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
[コイル断線対応制御について]
この実施形態では、アクチュエータ63に関するコイル断線対応制御の内容の点で第21実施形態と構成が異なる。図68に、この実施形態のコイル断線対応制御の内容をフローチャートにより示す。図68のフローチャートでは、ステップ700より前にステップ800の処理が設けられ、ステップ720の変わりにステップ810の処理が、ステップ730の変わりにステップ820の処理が設けられる点で図67のフローチャートと構成が異なる。以下には、図67のフローチャートと異なる処理を中心に説明する。
処理がこのルーチンへ移行すると、ステップ800で、ECU90は、最終目標バイパス開度FTECBVと実際のバイパス開度(実バイパス開度)ECBVstepを取り込む。最終目標バイパス開度FTECBVは、上記した図42に示すバイパス弁60の開閉制御により求めることができる。実バイパス開度ECBVstepは、アクチュエータ63(ステップモータ944)に対するECU90の指令値から求めることができる。
次に、ECU90は、ステップ700及びステップ710の判断を実行し、ステップ700の判断結果が否定となる場合は、処理をステップ760へ移行し、ステップ760~ステップ790の処理を実行する。また、ECU90は、ステップ710の判断結果が否定となる場合は、処理をステップ740へ移行し、ステップ740及びステップ750の処理を実行する。
一方、ステップ710の判断結果が肯定となる場合、ECU90は、ステップ810で、実バイパス開度ECBVstepを最終実バイパス開度FECBVstepとして記憶する。
次に、ステップ820で、ECU90は、最終実バイパス開度FECBVstepに応じたEGR開始許可水温度SEGRTHWと、EGR弁14に関するEGR最大開度EGRMAXstepを算出する。ECU90は、例えば、図69に示す水温・開度マップを参照することにより、最終実バイパス開度FECBVstepに応じたEGR開始許可水温度SEGRTHW(実線)とEGR最大開度EGRMAXstep(破線)を求めることができる。図69において、横軸は最終実バイパス開度FECBVstepを示し、縦軸はEGR開始許可水温度SEGRTHWとEGR最大開度EGRMAXstepを示す。この水温・開度マップでは、最終実バイパス開度FECBVstepが全閉から全開になるほど、EGR開始許可水温度SEGRTHWが「65℃」から「40℃」へ向けて低くなる。また、この水温・開度マップでは、最終実バイパス開度FECBVstepが全閉から全開になるほど、EGR最大開度EGRMAXstepが所定値R1へ向けて低くなる。その後、ECU90は、処理をステップ800へ戻す。
上記したコイル断線対応制御によれば、上層コイル972Aと下層コイル972Bの両方の断線を検出した場合は、第21実施形態と異なり、ECU90は、断線直前の実バイパス開度ECBVstepを最終実バイパス開度FECBVstepとし、同開度FECBVstepに応じてEGR制御におけるEGR開始許可水温度SEGRTHWを算出すると共に、EGR弁14のEGR最大開度EGRMAXstepを算出する。すなわち、ECU90は、上層コイル972Aと下層コイル972Bの両方が断線した場合は、コイル断線直前の実バイパス開度ECBVstepに応じてEGR開始許可水温度SEGRTHWとEGR最大開度EGRMAXstepを変更するようになっている。
[EGRシステムの作用及び効果について]
以上説明したこの実施形態のEGRシステムの構成によれば、第21実施形態と異なり次のような作用及び効果を得ることができる。すなわち、ECU90は、上層コイル972Aと下層コイル972Bの両方が断線した場合は、実バイパス開度ECBVstepに応じてEGR開始許可水温度SEGRTHWとEGR最大開度EGRMAXstepを変更する。このため、コイル断線直前の実バイパス開度ECBVstepに(実際のバイパス弁60の弁体61の開度)応じて好適なEGR開始許可水温度SEGRTHWとEGR最大開度EGRMAXstepを求めることができ、EGRガス分配器15(下流側EGR通路)へ流れるEGRガスの過熱を精密に抑制することができ、EGRクーラ13での凝縮水の発生を精密に抑制したり、EGRガス分配器15での熱害の発生を精密に抑制したりすることができる。
<第23実施形態>
次に、第23実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
この実施形態では、バイパス弁60のアクチュエータ63及びリンク64の構成の点で第21実施形態と構成が異なる。図70に、アクチュエータ63及びリンク64を含むEGRクーラ13を背面側から視た斜視図により示す。図71に、EGRクーラ13であって、バイパス弁60を閉弁(全閉)に動作させたときのアクチュエータ63及びリンク64の状態を図56に準ずる背面図により示す。図72に、EGRクーラ13であって、バイパス弁60を開弁(全開)に動作させたときのアクチュエータ63及びリンク64の状態を図55に準ずる背面図により示す。この実施形態では、アクチュエータ63及びリンク64の構成が第21及び第22の実施形態と異なる。以下に、この実施形態のアクチュエータ63及びリンク64について説明する。
[アクチュエータ及びリンクの構成について]
この実施形態のアクチュエータ63は、回転軸62を回動するために電気的に動作するように構成される。図70~図72に示すように、このアクチュエータ63は、軸方向へ往復動可能な駆動軸63bを備え、その駆動軸63bの先端が回転軸62に対しリンク64を介して駆動連結される。この実施形態では、駆動軸63bの先端がレバー76を回動させるために、レバー76に対し常に当接するようになっている。レバー76は、その基端部が回転軸62に固定され、その先端側に回転軸62の軸方向と平行をなす受け板76aが形成される。この受け板76aを駆動軸63bの先端が常に押圧することでリンク64が構成される。このバイパス弁60では、アクチュエータ63の駆動軸63bが、その軸方向へ往復動することにより、回転軸62が一方向及び逆方向へ回動し、弁体61がバイパス通路16の出口16bを開閉するようになっている。なお、第21実施形態におけるアクチュエータ63とバイパス弁60の弁アッセンブリ65では、弁体61を閉弁方向へ付勢する閉弁スプリング73がレバー76に組み付けられると共に、アクチュエータ63の駆動軸63aをハウジング941から突出する方向(弁体61を閉弁させる方向)へ付勢する軸スプリング945が設けられていた。これに対し、この実施形態では、レバー76の受け板76aを駆動軸63bの先端に常に当接させるために、弁体61を閉弁方向へ付勢する閉弁スプリング73がレバー76に組み付けられると共に、アクチュエータ63の駆動軸63aをハウジング941から突出する方向(弁体61を開弁させる方向)へ付勢する軸スプリング945が設けられる。また、閉弁スプリングの付勢力は、アクチュエータ63の軸スプリング945の付勢力よりも大きく設定される。
[EGRシステムの作用及び効果について]
以上説明したこの実施形態のEGRシステムの構成によれば、開弁スプリングが弁体61を開弁方向へ付勢するので、閉弁スプリング73が弁体61を閉弁方向へ付勢する第21実施形態と違いはあるものの、第21実施形態とほぼ同等の作用及び効果を得ることができる。
<第24実施形態>
次に、第24実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
この実施形態では、バイパス弁60のアクチュエータ77及びリンク64の構成の点で第21~第23の実施形態と構成が異なる。図73に、アクチュエータ77及びリンク64を含むEGRクーラ13を正面図により示す。図74に、図73のEGRクーラ13を、矢印Y1の方向から視た上面図により示す。図75に、EGRクーラ13を図74のC-C線断面図により示す。図76に、EGRクーラ13の一部を、図73のD-D線断面図により示す。この実施形態では、バイパス弁60のアクチュエータ77及びリンク64の構成の点で第21~第23の実施形態と構成が異なる。以下に、この実施形態のアクチュエータ77及びリンク64について説明する。
[アクチュエータ及びリンクの構成について]
図73、図74に示すように、バイパス弁60の弁アッセンブリ65、アクチュエータ77及びリンク64は、EGRクーラ13の正面側にてハウジング31に設けられる。また、アクチュエータ77は、EGRクーラ13のハウジング31であって、熱交換器32とバイパス通路16の両方に対応する位置に設けられる。
この実施形態のアクチュエータ77は、渦巻き状のバイメタル78を内蔵し、EGRクーラ13から伝わる熱によりバイメタル78が収縮及び伸張し、その開放端が周方向へ変位(回動)し、バイパス弁60のレバー79を回動するように構成される。図77に、アクチュエータ77のバイメタル78が冷えて収縮した状態を正面図により示す。図78に、アクチュエータ77のバイメタル78が加熱により伸張し、その開放端78aが周方向へ回動した状態を正面図により示す。この実施形態では、バイメタル78の収縮及び伸張により開放端78aが、その周方向に往復動することにより、回転軸62が一方向及び逆方向へ回動し、弁体61がバイパス通路16の出口16bを開閉するようになっている。図77に示すように、バイメタル78が収縮した状態では、レバー79が、図73に2点鎖線で示す状態となり、弁体61が図75に2点鎖線で示す開弁状態となる。バイメタル78が更に冷えて収縮することにより、弁体61は全開位置まで回動する。一方、図78に示すように、バイメタル78が加熱により伸張した状態では、レバー79が、図73に実線で示す状態へ回動し、弁体61が図75に実線で示す全閉状態となる。
図76に示すように、この実施形態のアクチュエータ77は、渦巻き状のバイメタル78の開放端78aが、弁アッセンブリ65の回転軸62に対しリンク64を介して駆動連結される。バイメタル78の開放端78aは、レバー79を回動するために、レバー79に接続される。レバー79は、その基端部が回転軸62に固定され、その先端に断面略L形をなすアーム79aが設けられる。この実施形態では、バイメタル78の開放端78aがアーム79aの先端を常に押圧するようになっており、その開放端78aとレバー79とによりリンク64が構成される。この実施形態の弁アッセンブリ65は、図52に示す第19実施形態の弁アッセンブリ65の構成に準ずる。この実施形態で、バイパス弁60の弁アッセンブリ65には、閉弁スプリング73ではなく、弁体61を開弁方向へ付勢する開弁スプリング80が設けられる。そして、この実施形態でも、バイメタル78が高温となるときに開放端78aからレバー79に作用する回動力、すなわち弁体61を閉弁させようとする力が、開弁スプリング80の付勢力よりも十分に大きく設定される。
この実施形態では、アクチュエータ77が、EGRクーラ13のハウジング31であって、熱交換器32とバイパス通路16の両方に対応する位置に設けられるので、バイパス弁60の開閉特性は、EGRクーラ13を流れるEGR流量と、EGRクーラ13を循環する冷却水温度に応じて変化することになる。図79に、この実施形態のバイパス弁60につき、EGR流量及び冷却水温度に対する開閉特性を表に示す。この表において、例えば、冷却水温度THWが「40℃」で、EGR流量が「低」となる場合は、バイパス弁60の弁体61は「全開」となる。冷却水温度THWが「40℃」で、EGR流量が「中」となる場合は、弁体61は「全開」となる。冷却水温度THWが「40℃」で、EGR流量が「高」となる場合は、弁体61は「全開」となる。冷却水温度THWが「60℃」又は「80℃」となる場合は、同表に示す通りである。
ここで、対比例として、アクチュエータ77が、EGRクーラ13のハウジング31であって、熱交換器32のみに対応する位置に設けられた場合を想定する。この場合、バイパス弁60の開閉特性は、冷却水温度のみに応じて変化することになる。図80に、この実施形態のバイパス弁60につき、冷却水温度に対する開閉特性を表に示す。この表において、冷却水温度THWが「40℃」の場合は、バイパス弁60の弁体61は「全開」となり、「60℃」の場合は、弁体61は「閉じ始め」となり、「80℃」の場合は、弁体61は「全閉」となる。
[EGRシステムの作用及び効果について]
以上説明したこの実施形態のEGRシステムの構成によれば、第15実施形態と異なり次のような作用及び効果を得ることができる。すなわち、アクチュエータ77をバイメタル78で構成し、バイパス弁60の開閉特性を、EGRクーラ13におけるEGR流量及び冷却水温度に応じて変化させるように構成した。このため、電動式のアクチュエータ63を備えたバイパス弁60と異なり、アクチュエータ77への電気的配線とアクチュエータ77を電気的に制御することが不要となり、バイパス弁60の構成の簡略化を図ることができる。
<第25実施形態>
次に、第25実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
この実施形態では、バイパス弁60のアクチュエータ91及びリンク64の構成の点で第24実施形態と異なる。以下には、第24実施形態と異なる点を中心に説明する。第24実施形態では、アクチュエータ77をバイメタル78で構成したことから、バイメタル78に熱が伝わり、その開放端78aが回動するまでに時間がかかり、アクチュエータ77としての動作応答性がよくなかった。また、バイメタル78を通電により加熱することができなかった。また、バイメタル78の下面全体をヒータに接触させて直接加熱することも考えられるが、ヒータとの間で摺動摩耗が発生するので、バイメタル78の全体を直接加熱することも困難であった。
そこで、この実施形態では、アクチュエータの動作応答性を高めるために、アクチュエータ91を、バイメタル78ではなく、直接に通電加熱することで動作させることができる「バイオメタル」により構成する。バイオメタルは、それ自体で緊張収縮-弛緩伸長する繊維状アクチュエータであり、柔軟で静かな動きが特徴である。バイオメタルは、通常は柔らかくしなやかであるが、通電により温度を高める(例えば、60~70℃)ことで硬くなって強い力で収縮する。通電を止めると、再び柔らかくなって元の長さまで伸長する。また、バイオメタルは、雰囲気温度の変化によっても動作し、雰囲気温度が約70℃以上になると収縮し、約70℃未満になると伸長する。バイオメタルの内部組織は、安定的な構造を有し、優れた耐久性と安定した動作特性を有する。
[アクチュエータ及びリンクの構成について]
図81に、この実施形態のアクチュエータ91及びリンク64を含むEGRクーラ13を正面図により示す。図82に、バイパス弁60の弁体61が全閉となる状態のEGRクーラ13であって、図81のE-E線断面図により示す。図83に、バイパス弁60の弁体61が開弁した状態であって、EGRクーラ13を図82に準ずる断面図により示す。
図81~図83に示すように、この実施形態では、バイパス弁60の弁アッセンブリ65、アクチュエータ91及びリンク64は、EGRクーラ13の正面側にてハウジング31に設けられる。この実施形態のアクチュエータ91は、棒状のバイオメタル92を含み、バイオメタル92の一端(基端)にはプラス電極93が設けられる。プラス電極93は、絶縁材94を介してブラケット95に支持される。ブラケット95は、ハウジング31に固定される。バイオメタル92の他端(先端)は、弁アッセンブリ65を構成するレバー96の先端部に固定される。バイオメタル92の先端は、レバー96及び回転軸62等を介してハウジング31に導通し、電気的にアースされる。そして、プラス電極93を介してバイオメタル92が通電加熱されることで、バイオメタル92が伸張状態から収縮し、弁アッセンブリ65のレバー96が回動するようになっている。
図82は、アクチュエータ91のバイオメタル92が通電加熱により収縮した状態を示す。図83は、アクチュエータ91のバイオメタル92が非通電により伸張した状態を示す。この実施形態のバイパス弁60では、バイオメタル92が収縮及び伸張することにより、レバー96が一方向及び逆方向へ回動し、回転軸62を介して弁体61がバイパス通路16の出口16bを開閉するようになっている。図82に示すように、バイオメタル92が収縮した状態では、レバー96が、図81に実線で示す状態となり、弁体61が全閉状態となる。一方、図83に示すように、バイオメタル92が非通電により伸張した状態では、レバー96が、図81に2点鎖線で示す状態へ回動し、弁体61が開弁状態となる。
図81~図83に示すように、このアクチュエータ91は、棒状のバイオメタル92の先端92aが、弁アッセンブリ65の回転軸62に対しリンク64を介して駆動連結される。この実施形態では、レバー96を回動するために、バイオメタル92の先端92aがレバー96に接続される。レバー96は、その基端部が回転軸62に固定され、その先端部にアーム96aが設けられる。この実施形態では、バイオメタル92の先端92aがアーム96aに固定されることで、バイオメタル92の先端92aとレバー96とによりリンク64が構成される。この実施形態の弁アッセンブリ65は、レバー96の形状は異なるものの、第24実施形態の弁アッセンブリ65と同じ構成を有するものとする。そして、この弁アッセンブリ65は、低温時にバイオメタル92が非通電により伸張するときは、レバー96及び回転軸62を介して弁体61が開弁されると共に、弁体61が開弁スプリング80により開弁方向へ付勢される。一方、この弁アッセンブリ65は、高温時又はバイオメタル92が通電加熱により収縮するときは、開弁スプリング80の付勢力に抗してレバー96及び回転軸62を介して弁体61が閉弁される。
この実施形態のEGRシステムにおいて、外気が極低温度の場合、EGR弁14が全閉とするEGRカットが長くなると、エンコパにおいてEGR通路12やEGRガス分配器15が冷えてしまう。ここで、第24実施形態におけるバイメタル78を使用したアクチュエータ77では、EGRカットからのEGR再開時に、全閉状態のバイパス弁60を応答性よく再開弁することは困難であった。これに対し、本実施形態のバイオメタル92を使用したアクチュエータ91では、エンコパの雰囲気温度が極低温度の場合には、バイオメタル92が伸長状態となり、弁体61が開弁する。このため、EGR再開時に、バイパス通路16を通じてEGR弁14やEGRガス分配器15へ高温のEGRガスを流すことができる。一方、本実施形態のバイオメタル92を使用したアクチュエータ91では、外気が常温度でエンジン1が完全暖機状態にある場合には、バイオメタル92が収縮状態となり、弁体61を閉弁する。このため、EGR再開時に、バイパス通路16でのEGRガスの流れを遮断し、熱交換器32で冷却されたEGRガスのみをEGR弁14やEGRガス分配器15へ流すことができる。
図84には、EGRの再開時及び再開後、エンコパ温度及び冷却水温度の条件に対応したバイパス弁60の全開又は全閉の制御内容の一例を表に示す。図85には、図84に示す制御内容を実施するために行われ、EGRの再開時及び再開後、エンコパ温度及び冷却水温度の条件に対応したバイオメタル92への通電(オン)又は非通電(オフ)の制御内容の一例を表に示す。図85において、エンコパ温度と冷却水温度が共に「70℃」以上となる場合は、バイオメタル92へ非通電でもバイパス弁60を全閉にすることができる。
[EGRシステムの作用及び効果について]
以上説明したこの実施形態のEGRシステムの構成によれば、第24実施形態と異なり次のような作用及び効果を得ることができる。すなわち、この実施形態では、アクチュエータ77をバイオメタル92により構成したので、バイオメタル92を通電により応答性良く収縮させ、バイパス弁60の弁体61を開弁状態から応答性よく閉弁することができる。このため、熱交換器32から流れ出るEGRガスへの、バイパス通路16からのEGRガスの流れ込み(合流)を応答性良く停止することができる。その結果、EGRクーラ13からEGRガス分配器15(下流側EGR通路)へ流れるEGRガスの温度を速やかに低下させることができる。また、バイオメタル92は、通電しなくても雰囲気温度の上昇に伴い収縮し、バイパス弁60の弁体61を開弁状態から閉弁することができる。このため、バイオメタル92への通電が故障により困難になった場合にも、バイパス弁60の弁体61を閉弁することができ、通電故障時にフェイルセーフ機能を発揮させることができる。
なお、この開示技術は前記各実施形態に限定されるものではなく、開示技術の趣旨を逸脱することのない範囲で構成の一部を適宜変更して実施することもできる。
(1)前記各実施形態では、バイパス弁17,19を冷却水の温度に応じて開弁又は閉弁させるように構成したが、EGRガスの温度に応じてバイパス弁を開弁又は閉弁させるように構成することもできる。
(2)前記第1~第12の実施形態では、バイパス弁17につき、温度の変化に感応して動作するアクチュエータ22として、サーモワックス24を使用したが、サーモワックス24の代わりにバイメタルや形状記憶合金を使用することもできる。
(3)前記第14実施形態では、電磁弁よりなるバイパス弁19をバイパス通路16の出口側に設け、バイパス弁19の下流側に滞留した凝縮水を排水するために、バイパス弁19をEGRカットの実行を条件に開弁するように構成した。これに対し、図86に示すように、ダイアフラム式弁よりなるバイパス弁20をバイパス通路16の入口側に設け、バイパス弁20の下流側に滞留した凝縮水CWを排水するために、EGRカットの実行を条件に開弁するように構成することもできる。図86は、EGRクーラ13、バイパス通路16及びバイパス弁20(閉弁状態)をその長手方向に沿って切断して示す断面図である。
(4)前記第1及び第2の実施形態では、壁温センサ88(温度検出手段)により検出される壁温度THDW(温度)がEGRガス分配器15の加熱許容温度を超えた場合に、EGR弁14を強制的に全閉に制御するように構成したが、全閉に制御するのではなく中間開度(全閉から全開の間の開度)に制御するように構成することもできる。この場合は、EGR通路におけるEGRガスの流れが減量され、下流側EGR通路の加熱許容温度を超える過剰な加熱が直ちに停止する。このため、下流側EGR通路の溶損を確実に防止することができる。
(5)前記各実施形態では、下流側EGR通路を構成するEGRガス分配器15を介して吸気マニホールド5の各分岐管5bにEGRガスを分配するように構成した。これに対し、EGRガス分配器を設けることなく下流側EGR通路から吸気マニホールドのサージタンクへEGRガスを導入するように構成することもできる。この場合、樹脂材より構成された下流側EGR通路に壁温センサを設けることができる。
(6)前記第15実施形態では、図35、図36に示すように、バイパス弁60の閉弁時に、その弁体61が熱交換器32の軸方向と平行に配置されるように構成した。これに対し、図87に示すように、バイパス弁60の閉弁時に、その弁体61が熱交換器32の側に下流へ向けて傾いた位置に配置されるように構成することもできる。この場合、図87に示すように、弁体61の板面積が、第15実施形態の弁体61のそれより大きくなる。そのため、弁体61の開弁時に弁体61が熱交換器32の出口32bの流路面積を遮る面積が大きくなり、出口32bから流れ出るEGRガスの流量を更に減少させることができる。また、閉弁時と開弁時との間の弁体61の揺動角度が、第15実施形態のそれよりも小さくなるので、アクチュエータ63の駆動軸63aの移動量(ストローク量)を小さくすることができる。加えて、バイパス弁60の閉弁時には、熱交換器32を経て冷やされたEGRガスが弁体61に当たりやすくなるので、弁体61を介してリップシール(シール部材)が冷やされやすくなる。図87は、EGRクーラ13の一部を示す図36に準ずる拡大断面図である。
(7)前記第18実施形態では、図52に示すように、外筒部31eの外周に平坦面をなす複数の圧入受け面31eaを設けた。これら圧入受け面31eaは、外筒部31eの外周を平坦に切削することで形成され、その部分が凹状をなす。これに対し、図88に示すように、スプリングガイド74の内周に爪74aを設け、外筒部31eの凹状をなす圧入受け面31eaの部分にその爪74aを係合させるように構成することもできる。この場合、スプリングガイド74の外れ防止を図ることができる。図88は、バイパス弁60の弁アッセンブリ65の構成を示す図52に準ずる断面図である。
(8)前記第15実施形態では、図41に示すように、バイパス弁60をスイングタイプの弁体61を有する弁アッセンブリ65に具体化した。これに対し、図89に示すように、図41と同等の構成を有する弁アッセンブリ65につき、バタフライタイプの弁体61を有するバイパス弁60に具体化することもできる。図89は、バイパス弁60の弁アッセンブリ65の構成を示す図41に準ずる断面図である。
この開示技術は、車両に搭載されるガソリンエンジンやディーゼルエンジンに適用することができる。
1 エンジン
2 吸気通路
3 排気通路
5 吸気マニホールド(吸気通路)
12 EGR通路
13 EGRクーラ
14 EGR弁
15 EGRガス分配器(下流側EGR通路)
16 バイパス通路
16b 出口
17 バイパス弁
18 ハウジング
19 バイパス弁
20 バイパス弁
21 弁体
22 アクチュエータ
31 ハウジング
32 熱交換器
32b 出口
46 仕切壁
46a 主壁部
46b 下流壁部
48 サブバイパス通路
49 サブバイパス弁
51a 冷却水通路
53 連通孔
55 放熱フィン
56 放熱フィン
58 境部位
59 隙間
60 バイパス弁
61 弁体
63 アクチュエータ
63a 駆動軸
63b 駆動軸
64 リンク
71 リップシール(シール部材)
73 閉弁スプリング
77 アクチュエータ
88 壁温センサ(温度検出手段)
90 ECU(第1制御手段、第2制御手段、第3制御手段、EGR制御手段,断線検出手段)
91 アクチュエータ
945 軸スプリング
946 雄ねじ
947 雌ねじ
971 ステータ
972A 上層コイル
972B 下層コイル
973 ロータ

Claims (20)

  1. エンジンから排気通路へ排出される排気の一部をEGRガスとしてEGR通路を介し吸気通路へ流して前記エンジンへ還流させるように構成したEGRシステムにおいて、
    前記EGR通路において前記EGRガスの流量を調節するためのEGR弁と、
    前記EGR通路を流れる前記EGRガスを冷却するために、前記EGRガスと前記エンジンの冷却水との間で熱交換を行う熱交換器を含むEGRクーラと、
    前記EGR通路において前記EGRクーラの前記熱交換器へ流れる前記EGRガスの一部を迂回させるためのバイパス通路と、
    前記バイパス通路を開閉するためのバイパス弁と、
    前記EGRクーラ及び前記バイパス通路より下流の下流側EGR通路が樹脂材により構成されることと
    を備え、
    前記バイパス弁は、弁体と、前記EGRガスの温度、前記下流側EGR通路の温度又は前記冷却水の温度が第1所定値以上となるときに前記弁体を開いた状態から閉じるように構成されたアクチュエータを含む
    ことを特徴とするEGRシステム。
  2. 請求項1に記載のEGRシステムにおいて、
    前記アクチュエータは、温度の変化に感応して動作する
    ことを特徴とするEGRシステム。
  3. 請求項1に記載のEGRシステムにおいて、
    前記アクチュエータは、前記EGR弁を全閉にする条件において前記弁体を開くように構成される
    ことを特徴とするEGRシステム。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載のEGRシステムにおいて、
    前記熱交換器は、前記EGRガスが流れ出る出口を含み、前記バイパス通路は、前記熱交換器の前記出口に隣接して配置され前記EGRガスが流れ出る出口を含み、
    前記バイパス弁は、前記弁体が板状をなすことと、前記弁体を回動する回転軸とを更に含み、前記弁体と前記回転軸が前記バイパス通路の前記出口に対応して配置され、前記回転軸が回動することにより前記弁体が前記バイパス通路の前記出口を開閉するように構成され、
    前記回転軸には、前記EGRガスの外部への漏れを防止するためのシール部材が設けられ、
    前記バイパス弁は、前記弁体が前記バイパス通路の前記出口を閉じる閉弁時には、前記弁体が前記熱交換器の軸方向と平行又は前記熱交換器の側に下流へ向けて傾いた位置に配置され、前記弁体が前記バイパス通路の前記出口を開く開弁時には、前記弁体が前記熱交換器の前記出口の流路面積の一部を遮り前記流路面積を狭くする位置に配置される
    ことを特徴とするEGRシステム。
  5. 請求項4に記載のEGRシステムにおいて、
    前記熱交換器の前記出口と前記バイパス通路の前記出口との境部位と、前記弁体又は前記回転軸との間に隙間が設けられ、前記隙間は、前記弁体の前記閉弁時よりも前記開弁時の方が大きくなるように構成される
    ことを特徴とするEGRシステム。
  6. 請求項1又は3乃至5のいずれかに記載のEGRシステムにおいて、
    前記バイパス弁は、前記弁体を閉弁方向へ付勢する閉弁スプリングを更に含み、
    前記アクチュエータは、コイルを含むステータと、前記ステータの中心にて回転可能に配置されたロータと、前記ロータに対しねじ機構を介して軸方向へ往復動可能に連結された駆動軸と、前記駆動軸をその軸方向へ付勢する軸スプリングとを備え、
    前記バイパス弁の前記回転軸を回動させるために前記回転軸と前記アクチュエータの前記駆動軸とがリンクを介して連結され、
    前記軸スプリングは、前記駆動軸を前記リンク及び前記回転軸を介して前記弁体を閉弁方向へ付勢するように構成される
    ことを特徴とするEGRシステム。
  7. 請求項6に記載のEGRシステムにおいて、
    前記コイルの断線を検出するための断線検出手段と、
    前記EGRガスの還流を制御するためのEGR制御手段と
    を更に備え、
    前記EGR制御手段は、前記断線検出手段の検出結果に応じて前記EGRガスの還流を制御するために、前記EGR弁の開弁開始の条件及び最大開度の少なくとも一方を変更する
    ことを特徴とするEGRシステム。
  8. 請求項1乃至3のいずれかに記載のEGRシステムにおいて、
    前記EGRクーラは、ハウジングを含み、
    前記バイパス通路の少なくとも一部は、前記EGRクーラの前記ハウジングと一体に設けられ、
    前記バイパス弁は、前記EGRクーラの前記ハウジングと一体に設けられる前記バイパス通路に設けられ、
    前記バイパス弁の周囲には前記冷却水が流れる冷却水通路が設けられる
    ことを特徴とするEGRシステム。
  9. 請求項1乃至3のいずれか又は8に記載のEGRシステムにおいて、
    前記EGR弁は、アルミ材より形成されるハウジングを含み、
    前記バイパス弁は、前記EGR弁の前記ハウジングと一体に設けられる
    ことを特徴とするEGRシステム。
  10. 請求項1乃至9のいずれかに記載のEGRシステムにおいて、
    前記EGRクーラが車両に搭載された状態において、前記バイパス通路は、前記EGRクーラに対し鉛直方向下側に配置され、その上流側が前記排気通路へ向かって鉛直方向下方へ傾斜する
    ことを特徴とするEGRシステム。
  11. 請求項1乃至10のいずれかに記載のEGRシステムにおいて、
    前記EGRクーラと前記バイパス通路は、仕切壁を介して隣接する
    ことを特徴とするEGRシステム。
  12. 請求項11に記載のEGRシステムにおいて、
    前記仕切壁は、前記熱交換器に接する主壁部と、前記熱交換器より下流へ延びる下流壁部とを含み、前記下流壁部には、前記EGRクーラから前記バイパス通路に連通する少なくとも一つの連通孔が設けられる
    ことを特徴とするEGRシステム。
  13. 請求項12に記載のEGRシステムにおいて、
    前記連通孔は、前記バイパス弁の前記弁体と対向する位置に配置され、前記バイパス弁の閉弁時に前記弁体と前記下流壁部との干渉を避ける逃がし孔として機能する
    ことを特徴とするEGRシステム。
  14. 請求項11乃至13のいずれかに記載のEGRシステムにおいて、
    前記EGRクーラには、前記仕切壁に隣接し、前記EGRガスの流れ方向に平行な複数のフィンが設けられる
    ことを特徴とするEGRシステム。
  15. 請求項11乃至14のいずれかに記載のEGRシステムにおいて、
    前記バイパス通路には、前記仕切壁に接し、前記EGRガスの流れ方向に平行な複数のフィンが設けられる
    ことを特徴とするEGRシステム。
  16. 請求項1乃至15のいずれかに記載のEGRシステムにおいて、
    前記バイパス通路において前記バイパス弁へ流れる前記EGRガスを迂回させるためのサブバイパス通路を更に備え、
    前記サブバイパス通路には、外気温度が第2所定値未満となるときに開弁するサブバイパス弁が設けられる
    ことを特徴とするEGRシステム。
  17. 請求項1乃至16のいずれかに記載のEGRシステムにおいて、
    前記下流側EGR通路の温度又は前記下流側EGR通路を流れる前記EGRガスの温度を検出するための温度検出手段と、
    前記温度検出手段の検出値に基づき前記EGR弁を制御するための第1制御手段と
    を更に備え、
    前記第1制御手段は、前記温度検出手段により検出される温度が前記下流側EGR通路の加熱許容温度を超えた場合に、前記EGR弁を強制的に全閉又は中間開度に制御する
    ことを特徴とするEGRシステム。
  18. 請求項1乃至17のいずれかに記載のEGRシステムにおいて、
    前記下流側EGR通路の温度又は前記下流側EGR通路を流れる前記EGRガスの温度を検出するための温度検出手段と、
    前記温度検出手段の検出値に基づき前記EGR弁を制御するための第2制御手段と
    を更に備え、
    前記第2制御手段は、前記温度検出手段により検出される温度が第3所定値以上で前記下流側EGR通路の耐熱温度未満となる場合に、前記EGR弁を通常の開度に制御する
    ことを特徴とするEGRシステム。
  19. 請求項3に記載のEGRシステムにおいて、
    前記アクチュエータは、電気的に動作し、
    前記下流側EGR通路の温度又は前記下流側EGR通路を流れる前記EGRガスの温度を検出するための温度検出手段と、
    前記温度検出手段の検出値に基づき前記バイパス弁を制御するための第3制御手段と
    を更に備え、
    前記第3制御手段は、前記温度検出手段により検出される温度が前記下流側EGR通路の加熱許容温度を超えた場合に、前記バイパス弁を閉弁させるように前記アクチュエータを制御する
    ことを特徴とするEGRシステム。
  20. 請求項19に記載のEGRシステムにおいて、
    前記バイパス弁は、前記アクチュエータをオフして動作させないとき閉弁となるように構成される
    ことを特徴とするEGRシステム。
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