JP2022023605A - モータの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】加熱を必要とすることなくモールド材による固定を行うことができるモータの製造方法を提供すること。【解決手段】モータの製造方法は、ベース部材とベース部材に固定される被固定部材との間にモールド材が充填されるモータの製造方法であって、ベース部材に被固定部材を支持する強度部材と、強度部材を接着する接着剤と、昇華性を有する昇華性物質と、を混合して接着材料31を得るステップと、ベース部材と被固定部材との隙間に接着材料31を配置するステップと、配置された接着材料31に含まれる昇華性物質を昇華させた多孔質固定層32をベース部材と被固定部材との隙間に形成するステップと、を有する。【選択図】図4
Description
本発明は、モータの製造方法に関する。
モータとして、ステータコイルが巻回されたステータと、磁石が設けられたロータと、を備える構成が知られている。このようなモータでは、樹脂等のモールド材を介して、ステータのステータコイルやロータの磁石を所要の位置に固定する方法が知られている。
特許文献1には、電磁鋼板の積層により形成され、内部に磁石挿入孔が設けられ、磁石が挿入されている回転電機のロータにおいて、磁石の周囲には、磁石を磁石挿入孔に固定している多孔質固定層が設けられ、多孔質固定層の少なくとも一部は、冷却通路とともに冷却流体が流れる冷却通路を構成している回転電機のロータが開示されている。
特許文献1に記載の回転電機のロータにおいて、多孔質固定層は所謂モールド材として機能する。しかしながら、特許文献1に記載の回転電機のロータを製造する際に、多孔質固定層を形成するためにはロータ全体の加熱を要する。このように、モータを構成する複数の部材同士をモールド材で固定するにあたって、固定部分の加熱を行う場合には、熱容量が大きいステータやロータを加熱する必要がある。この加熱には大がかりな加熱設備と加熱を行うために大きなエネルギーとを要し、加熱に時間がかかるため、ステータやロータを加熱する製造方法は、高コストであり、生産性が低下するという問題があった。
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、加熱を必要とすることなくモールド材による固定を行うことができるモータの製造方法を提供する。
一実施の形態にかかるモータの製造方法は、ベース部材とベース部材に固定される被固定部材との間にモールド材が充填されるモータの製造方法であって、ベース部材に被固定部材を支持する強度部材と、強度部材を接着する接着剤と、昇華性を有する昇華性物質と、を混合して接着材料を得るステップと、ベース部材と被固定部材との隙間に接着材料を配置するステップと、配置された接着材料に含まれる昇華性物質を昇華させた多孔質固定層をベース部材と被固定部材との隙間に形成するステップと、を有する。
本発明により、加熱を必要とすることなくモールド材による固定を行うことができるモータの製造方法を提供することができる。
実施の形態1
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。ただし、本発明が以下の実施の形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。ただし、本発明が以下の実施の形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。
例えば、ハイブリッド自動車や電気自動車を駆動するモータとして、ステータとロータとを備える回転電機が用いられる。回転電機は、ハウジングの内面に固定したステータと、ステータの径方向内側に対向配置したロータと、ロータを固定したシャフトと、を有する。シャフトは、ハウジングに回転自在に支持され、シャフトはロータとともに回転可能である。ステータのコイルには、交流の駆動電流が供給され、この駆動電流によってコイルに発生した電磁力を用いて、ステータに対してロータが回転する。
ステータは、略円環形状のステータコアと、ステータコアに巻回されたステータコイルと、により構成される。ステータコアは、所定形状に成形された電磁鋼板をステータの中心軸の延在方向に複数積層することにより構成される。ステータコアには、ステータコアの中心軸を中心として円周状に延在する周方向に複数のスロットが形成される。スロットは、ステータコアの中心軸の中心から放射状に延在する径方向に延びて、ステータコアの内周面側に開口し、略矩形状を有する。ステータコイルは、スロットに挿通された複数のセグメントコイルが互いに接合されることにより形成される。そして、モータの駆動に伴う振動・騒音の抑制及び各部材の絶縁のために、ステータコアとステータコイルとの隙間、及び、ステータコイルを構成するコイル間には、モールド材が設けられて各部材が固定されている。
一方、ロータとして、ロータコアと、その内部に埋設された複数の磁石と、を備えた磁石埋込型(IPM型)のロータが知られている。このようなロータを構成するロータコアは、所定形状に成形された電磁鋼板を複数積層することにより構成される。ロータコアには、磁石を挿入するための磁石挿入孔等が形成され、磁石挿入孔内には磁石が挿入される。そして、磁石の飛散防止及び絶縁のために、磁石は、モールド材を介して磁石挿入孔の内周面に固定される。
本実施形態では、IPM型ロータの製造方法を例として、実施の形態1にかかるモータの製造方法について詳細を説明する。実施の形態1にかかるモータの製造方法により製造されるロータは、ロータコアに形成される磁石挿入孔と、磁石挿入孔内に配置される磁石と、の隙間にモールド材である多孔質固定層が設けられる。そして、当該多孔質固定層により磁石挿入孔の内周面に磁石が固定される構造を有する。すなわち、「磁石挿入孔の内周面」は特許請求の範囲の「ベース部材」に相当し、「磁石」は特許請求の範囲の「被固定部材」に相当する。
なお、ロータの製造方法に関する以下の説明では、ロータコアの中心軸の延在方向を軸方向とし、ロータコアの中心軸の中心から放射状に延在する方向を径方向とし、ロータコアの中心軸を中心として円周状に延在する方向を周方向とする。
図1~図3を参照して、実施の形態1にかかるモータの製造方法について説明する。まず、図1を参照して、実施の形態1にかかるモータの製造方法に用いるワークWについて説明する。図1は、実施の形態1にかかるモータの製造方法においてワークの磁石挿入孔内に磁石を配置する工程を示す図である。図1には、ロータコア1の軸方向に対して直交する方向で切ったワークWの水平断面図及び破線で囲われた領域の拡大図を示す。
ワークWは、ロータコア1と、シャフト20と、を有する。なお、ワークWは図1に示す磁石10を含まない。ロータコア1は、所定の形状に打ち抜いて成形された電磁鋼板を軸方向に複数積層し、カシメ等により固定することにより形成される。ロータコア1は、略円環形状を有する。また、ロータコア1の中央に形成されるシャフト孔11には、略円環形状を有するシャフト20が挿入されている。ロータコア1は、シャフト20の一対のキー溝21にそれぞれ嵌合する一対の突起2を有する。シャフト20は、キー溝21に突起2が嵌合することにより、シャフト20とロータコア1との相対回転が規制される。
ロータコア1には、複数の磁石挿入孔4a、4b及び複数の孔3a、3bがロータコア1を軸方向に貫通するように形成される。磁石挿入孔4a、4bは、その内部に磁石10を配置するために形成される。図1に示すロータコア1において、1つの磁石挿入孔4aは、ロータコア1の外周縁部において周方向に延設される。また、一対の磁石挿入孔4bが外径側に開くV字形状に略径方向に延設される。互いに離隔して配置されたこれら3つの磁石挿入孔4a、4bを1組として、この1組の磁石挿入孔4a、4bがロータコア1の周方向に等間隔で複数配置される。
孔3a、3bは、磁石挿入孔に挿入された磁石10からの磁束漏れを抑制するために設けられる。孔3aは、磁石挿入孔4aの両端に隣接して形成される。孔3bは、ロータコア1の周方向に等間隔で形成される。また、孔3bは、一対の磁石挿入孔4bの間に挟まれるように設けられる。孔3a及び磁石挿入孔4a、並びに、孔3b及び磁石挿入孔4bは、それぞれ離間して形成される。
さらに、シャフト20及びロータコア1には、ロータを冷却する冷媒が流れる複数の冷却通路(不図示)が設けられる。冷却通路は、シャフト20に供給される冷媒を、シャフト20からロータコア1を通ってロータコア1の外部に導くように、シャフト20及びロータコア1に適宜形成される。例えば、冷却通路は、シャフト20の内部に設けられた冷却通路と、ロータコア1の内部に設けられた冷却通路と、により構成される。
シャフト20に設けられた冷却通路は、一端がシャフト20の内周面において、シャフト20の外部に連通して形成される。また、シャフト20に設けられた冷却通路と、ロータコア1に設けられた冷却通路とは、それぞれの内部において連通して形成される。ロータコア1に設けられた冷却通路は、磁石挿入孔4bを経由し、ロータコア1の外周面において、ロータコア1の外部に連通して形成される。さらに、ロータコア1に設けられた冷却通路は、近接する磁石挿入孔4bと磁石挿入孔4aとを連通するように形成される。そして、ロータコア1に設けられた冷却通路は、磁石挿入孔4aから、ロータコア1の外周面において、ロータコア1の外部に連通して形成される。
なお、ワークWの構成は上記に限定されず、ロータコア1及びシャフト20の形状、並びに、磁石挿入孔4a、4b、孔3a、3b、及び冷却通路の配設位置や数量等は適宜設計されるものである。本実施形態では、上記のワークWからロータを製造する方法を説明する。以下の説明では、便宜上、磁石挿入孔4a、4bをまとめて磁石挿入孔4として説明する。
実施の形態1にかかるモータの製造方法は、ベース部材とベース部材に固定される被固定部材との間にモールド材が充填されるモータの製造方法であって、以下のステップS1~S3の3つの工程を有する。ステップS1の接着材料を得る工程では、ベース部材に被固定部材を支持する強度部材と、強度部材を接着する接着剤と、昇華性を有する昇華性物質と、を混合して接着材料を得る。ステップS2の配置工程では、ベース部材と被固定部材との隙間に接着材料を配置する。ステップS3の昇華工程では、配置された接着材料に含まれる昇華性物質を昇華させた多孔質固定層をベース部材と被固定部材との隙間に形成する。
上述の工程について、詳細に説明する。初めに、ステップS1では、接着材料31を用意する。接着材料31を構成する強度部材は、磁石挿入孔の内周面4s(ベース部材)に磁石10(被固定部材)を支持する機能を有する。また、回転電機のロータコア1は、ロータが回転する際に、ロータコア1に対して作用する遠心力に耐え得る強度が必要である。そのため、強度部材として、例えば、ガラス繊維等の強化繊維が好適に用いられる。強度部材に対して熱伝導率を優先する場合は、炭素繊維や、SUS繊維及び銅繊維等の金属材料を強度部材として用いることもできる。強度部材は、これに限らず、機械的強度が高く、耐熱性及び絶縁性を有する公知の強度部材を用いることができる。
接着材料31を構成する接着剤は、強度部材を介して磁石挿入孔の内周面4sと磁石10とを接着するとともに、強度部材同士を接着するものである。接着剤は、耐熱性及び絶縁性を有する公知の接着剤を用いることができるが、常温で硬化するものが好ましい。接着剤として、例えば、ポリエーテルイミド等の熱可塑性樹脂、セメント等の無機系接着剤が好適に用いられる。接着剤は、溶融した状態又は溶媒を加えてペースト状にした状態で用いる。
昇華性物質は、常温で昇華する昇華性固体であることが好ましい。昇華性物質は、固体から気体に昇華する際に体積膨張するものである。昇華性物質として、例えば、メントール、ドライアイス、パラジクロロベンゼン、ナフタレン等が好適に用いられる。昇華性物質はこれに限らず、作業性、使用環境、及びコスト等を考慮して様々な物質を選択することができる。このような種類や具体例の中から、強度部材、接着剤、及び昇華性物質について、各1種又は各2種以上を選択し、これらを混合することにより接着材料31を得る。
ステップS2の配置工程では、図1に示すように、複数の磁石挿入孔4のそれぞれに磁石10を挿入し、磁石挿入孔4内に磁石10を配置する。なお、磁石10の挿入方法は、公知の方法を適用することができる。磁石10は、一方向に長い直方体状を有する。磁石10の外径は磁石挿入孔の内周面4sの形状より小さく、長手方向の長さは磁石挿入孔4の軸方向の長さと略同一の長さに構成される。したがって、磁石挿入孔4内に配置された磁石10と磁石挿入孔の内周面4sとの間には、隙間が形成される。また、各磁石10は、所定方向に着磁されている。
続いて、ステップS1で得た接着材料31をロータコア1の外部から注入する。なお、接着材料31の注入方法は公知の方法を適用することができる。図2は、実施の形態1にかかるモータの製造方法においてワークの磁石挿入孔内に接着材料を配置する工程を示す図である。図2の垂直断面図は、ロータコア1の軸方向に沿って切ったワークWの断面の一部を示す図であって、磁石挿入孔4を含む垂直断面を示す。図2の水平断面図は、図1の拡大図に対応する図であって、磁石挿入孔4を含む水平断面を示す。
図2に示すように、接着材料31は、磁石挿入孔4に臨んで設けられたノズル30から、磁石挿入孔の内周面4sと磁石10との隙間に注入される。この時、磁石の外周面10s或いは磁石挿入孔の内周面4sにおいて、少なくともその一部に接着材料31が付着するように、接着材料31を配置する。また、磁石挿入孔4内に接着材料31が配置された状態で、磁石10と磁石挿入孔の内周面4sとの間に隙間ができるように、接着材料31の注入量を調整する。図2では、接着材料31が磁石の外周面10sに付着するように配置されている。
ステップS2の配置工程における磁石10及び接着材料31の配置方法は、これに限定されるものではない。例えば、予め磁石の外周面10sの少なくとも一部に接着材料31を塗布しておき、接着材料31が塗布された磁石10を磁石挿入孔4内に挿入してもよい。
ステップS3の昇華工程では、ステップS2で配置された接着材料31から昇華性物質が昇華するとともに、接着剤が硬化する。図3は、実施の形態1にかかるモータの製造方法において多孔質固定層を形成する工程を示す図である。図3の垂直断面図は、図2の垂直断面図に対応する図であり、図3の水平断面図は、図2の水平断面図に対応する図である。
図3に示すように、ステップS2で配置された接着材料31は、接着材料31に含まれる強度部材及び接着剤が昇華性物質の体積膨張により、磁石挿入孔の内周面4sに向かって押し広げられながら硬化する。これにより、接着材料31は、磁石挿入孔の内周面4sと磁石10との間においてモールド成形される。その結果、磁石挿入孔の内周面4sと磁石10との隙間には、内部に多数の空隙(孔)が形成された多孔質固定層32が形成される。接着材料31は、常温で昇華する昇華性物質と常温で硬化する接着剤とにより構成すると、ステップS3の工程を常温下で行うことが可能である。なお、接着剤の硬化及び昇華性物質の昇華を促進するために、例えば、50~70℃程度の低温加温や減圧を行ってもよい。このように、磁石挿入孔の内周面4sと磁石10との隙間に、モールド材である多孔質固定層32を充填することにより、ワークWからロータを製造する。
図5には、実施の形態1にかかるモータの製造方法により製造されたロータの一部を示す写真を示す。図5は、ロータコア1の軸方向に対して直交する方向で切ったロータの水平断面を示す写真であって、磁石10固定部分を拡大して示している。図5に示す写真では、磁石挿入孔の内周面4sと磁石10との隙間に、多孔質固定層32が全体的に充填されている様子がわかる。
図6には、多孔質固定層を例示するサンプルの断面写真を示す。図6に示すサンプルSは、適当な型の中に接着材料31を配置し、型内において接着材料31から昇華性物質を昇華させるとともに、接着剤を硬化させた後、型から離型する実験により得られたものである。なお、図6では、サンプルSを切断したその断面を示している。図6に示すように、サンプルSは、昇華性物質の昇華に伴って膨張することにより形成された多数の空隙(孔)を有し、三次元的な網目構造の多孔質体として形成される。多孔質固定層32における気孔率は、昇華性物質の種類及び配合量を適宜設定することにより調節できる。
このような構成によれば、ロータの磁石挿入孔の内周面4sと磁石10との間には、多孔質固定層32が介在する。回転するロータにおいては、渦電流等に起因して磁石10が大きく発熱する。磁石は高温になると減磁等により性能が劣化するため、ロータの内部に冷却通路等を設け、冷却通路に冷媒を流して磁石10周辺を冷却することが好ましい。本実施形態にかかるモータの製造方法により製造されるロータの多孔質固定層32には、その内部に連通した多数の空隙が形成されている。したがって、ロータに供給された冷媒は、冷却通路から磁石挿入孔4に流れ、多孔質固定層32の空隙を通過し、ロータの外部へ排出される。これにより、冷媒は、磁石10に接触する、或いは、磁石10の近傍を流れ、発熱する磁石10を効果的に冷却することができる。また、ロータの製造中における磁石10の熱減磁も抑制することができる。
本実施形態にかかるモータの製造方法は、ステータの製造に適用することもできる。なお、ステータの製造方法に関する以下の説明では、ステータコアの中心軸の延在方向をステータコアの軸方向とし、ステータコアの中心軸の中心から放射状に延在する方向をステータコアの径方向とし、ステータコアの中心軸を中心として円周状に延在する方向をステータコアの周方向とする。
ステータは、ステータコアと、ステータコアに巻回されるステータコイルと、を有する。ステータコアは、略円環状のヨークと、ヨークの内周面からステータコアの径方向内側に突出する複数のティースと、により構成される。ステータコアの周方向に隣接するティース間には、ステータコイルの一部が収容される空間であるスロットが形成されている。ステータコアは、所定の形状に打ち抜いて成形された電磁鋼板をステータコアの軸方向に複数積層して形成される。
ステータコイルは、巻線をティースに巻回してなる。なお、ステータコイルの結線態様および巻回態様は、回転電機の仕様に応じて、適宜、選択されればよい。ステータコイルは、複数のセグメントコイルを連結して構成される。セグメントコイルは、ステータコイルを、取り扱いやすい長さで切断したものである。また、セグメントコイルは、絶縁被膜で被覆された平角導線であって、U字形状に成形されたコイルである。1つのスロット対して複数のセグメントコイルが挿入された後、ステータコアの軸方向端面から突出した複数のセグメントコイルの先端部をステータコアの周方向に捻り曲げて各セグメントコイルの対応する先端部同士が電気的に接合される。これにより、ステータコイル用の巻線が形成される。
このように、形成された巻線は、1つのスロットに複数の巻線が配置されている。ステータを構成する巻線においては、隣接する巻線同士、並びに、巻線とステータコアとの短絡を防止するために、巻線をモールド材により固定することが好ましい。その固定方法として、本実施形態にかかるモータの製造方法を適用することができる。
この場合、スロット内で隣接する一方の巻線と他方の巻線と(隣接する巻線同士)の隙間、並びに、スロットの内壁と巻線との隙間に接着材料31を配置する。接着材料31は、公知の方法を用いてステータコアの外部から注入すればよい。この時、各巻線及びスロットの内壁において、少なくともその一部に接着材料31が付着するように、接着材料31を配置する。接着材料31の配置方法はこれに限らず、ステータコアに対するセグメントコイルの組み付け前に、予めスロットの内壁の少なくとも一部、及び、各セグメントコイルの少なくとも一部に塗布して用いてもよい。
いずれにしても、配置された接着材料31は、接着材料31に含まれる強度部材及び接着剤が昇華性物質の体積膨張により、隣接する巻線同士の隙間、並びに、巻線とスロットの内壁との隙間において、押し広げられながら硬化し、モールド成形される。その結果、スロット内で隣接する一方の巻線と他方の巻線との隙間、並びに、スロットの内壁と巻線との隙間には、多孔質固定層32が形成される。
なお、隣接する巻線をモールドする場合においては、「隣接する一方のコイル」は特許請求の範囲の「ベース部材」に相当し、「他方のコイル」は特許請求の範囲の「被固定部材」に相当する。ステータコアと巻線とをモールドする場合においては、「スロットの内壁」は特許請求の範囲の「ベース部材」に相当し、「巻線」は特許請求の範囲の「被固定部材」に相当する。
このように、隣接する巻線同士、並びに、スロットの内周面と巻線とを多孔質固定層32で固定することにより、モータの駆動に伴う振動や騒音を抑制することができる。また、熱に弱い巻線の絶縁被膜が損傷して短絡することを抑制する。
さらに、回転電機におけるステータは、ステータコイルの発熱により高温になる。そのため、ステータコイルをより効果的に冷却することが好ましい。ステータコイルを冷却する方法の1つとして、ステータコアの軸方向端面から突出するステータコイルのコイルエンドに冷媒を噴射することにより、ステータコイルを冷却する技術がある。本実施形態にかかるモータの製造方法により製造されたステータに供給された冷媒は、スロット内へ流れ、多孔質固定層32の空隙を通過し、ステータの外部へ排出される。これにより、冷媒は、ステータコイルのスロット内に収容されるに部分に接触する、或いは、当該部分の近傍を流れ、発熱するステータコイルを効果的に冷却することができる。
以上説明したように、本実施形態にかかるモータの製造方法は、内部に多数の空隙を有する多孔質固定層32により、各部材を所要の位置に固定する。本実施形態で用いる接着材料31は、昇華性物質を含み、昇華性物質が固体から気体に昇華する際の体積膨張を利用して、多孔質固定層32に多数の空隙を形成する。また、接着材料31は、強度部材及び接着剤を含み、これらは昇華性物質の膨張により接着材料が配置された空間内を押し広げられながら硬化する。これにより、ベース部材と被固定部材とをモールドすることができる。
そして、多孔質固定層32を形成する工程は常温で行うことが可能であるため、熱容量の大きいステータやロータの加熱を行うことなく、複数の部材同士を固定することができる。このような製造方法によれば、ステータやロータを加熱するための加熱設備を必要とせず、加熱を行うためのエネルギーも必要ない。さらに、加熱に要する時間を削減できるため、コストを低減でき、生産性を向上することができる。
そして、多孔質固定層32が有する多数の空隙の形成には、昇華性物質が固体から気体に昇華する際の体積膨張を利用する。この方法は、反応等による水の生成を伴わない。そのため、金属材料により構成されるモータの製造に好適である。
なお、上記の実施形態では、ステータとロータとを備える回転電機が、車両の駆動力源として用いられる回転電機である構成について説明した。しかし、本実施形態にかかるモータの製造方法は、そのような構成に限定されることなく、例えば、産業機器やロボット等のあらゆる用途のモータに適用することができる。さらに、モータに限らず、金属部材同士、或いは金属部材と金属以外の部材をモールド成形する他の構成にも適用可能である。
1 ロータコア
2 突起
3a、3b 孔
4、4a、4b 磁石挿入孔
4s 磁石挿入孔の内周面
10 磁石
10s 磁石の外周面
11 シャフト孔
20 シャフト
21 キー溝
30 ノズル
31 接着材料
32 多孔質固定層
S サンプル
W ワーク
2 突起
3a、3b 孔
4、4a、4b 磁石挿入孔
4s 磁石挿入孔の内周面
10 磁石
10s 磁石の外周面
11 シャフト孔
20 シャフト
21 キー溝
30 ノズル
31 接着材料
32 多孔質固定層
S サンプル
W ワーク
Claims (1)
- ベース部材と前記ベース部材に固定される被固定部材との間にモールド材が充填されるモータの製造方法であって、
前記ベース部材に前記被固定部材を支持する強度部材と、前記強度部材を接着する接着剤と、昇華性を有する昇華性物質と、を混合して接着材料を得るステップと、
前記ベース部材と前記被固定部材との隙間に前記接着材料を配置するステップと、
配置された前記接着材料に含まれる前記昇華性物質を昇華させた多孔質固定層を前記ベース部材と前記被固定部材との隙間に形成するステップと、
を有するモータの製造方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2020126655A JP2022023605A (ja) | 2020-07-27 | 2020-07-27 | モータの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020126655A JP2022023605A (ja) | 2020-07-27 | 2020-07-27 | モータの製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2020126655A Pending JP2022023605A (ja) | 2020-07-27 | 2020-07-27 | モータの製造方法 |
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Country | Link |
---|---|
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-
2020
- 2020-07-27 JP JP2020126655A patent/JP2022023605A/ja active Pending
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