JP2022023600A - 像加熱装置、及びこれを備える画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】複数のベルトユニットを定着ローラに当接させた像加熱装置において、各ベルトユニット内の潤滑剤オイル分のベルトユニット外への漏れ出しを抑制し、長期に亘り像加熱装置のトルク上昇を抑制することで、これに伴うしわや異音の発生を抑制する。【解決手段】回転可能な定着ローラ51と、該定着ローラと接触回転しニップを形成する筒状の第1のベルトと、該第1のベルトを該定着ローラに押圧する第1の押圧部材と、該定着ローラと接触回転しニップを形成する筒状の第2のベルトと、該第2のベルトを該定着ローラに押圧する第2の押圧部材とを有し、該第1のベルトの内面と該第1の押圧部材との間には、第1の潤滑剤が存在し、該第2のベルトの内面と該第2の押圧部材との間には、第2の潤滑剤が存在し、該第1の潤滑剤は第1のオイルを含み、該第2の潤滑剤は第2のオイルを含み、該第1のオイルと該第2のオイルは、その化学組成が異なる。【選択図】図2

Description

本開示は、電子写真式のプリンタや複写機等の画像形成装置に搭載される像加熱装置に関する。
電子写真プリンタや電子写真複写機などに搭載される像加熱装置として外部加熱方式の定着装置が知られている。
外部加熱方式の定着装置は、加熱ユニットと、定着ローラと、加圧ユニットとを有する。加熱ユニットは、定着ローラと加熱ニップを形成し定着ローラを加熱する。加圧ユニットは、定着ローラと定着ニップを形成する。定着ニップにおいて、定着ローラの熱を記録材および記録材上のトナー画像に伝え、記録剤上にトナー画像を定着させる。
このような外部加熱方式の定着装置の例として特許文献1にある定着装置の構成が知られている。かかる定着装置は、加熱ユニットとしては筒状のフィルムをヒータにより定着ローラに押し付けて加熱ニップを形成し、また加圧ユニットとしては筒状のフィルムをニップ形成部材により定着ローラに押し付けて定着ニップを形成する。このようにどちらのユニットも筒状のフィルムを用いることで、定着装置の低熱容量化ができ、定着装置のクイックスタート(FPOTの短縮)や省エネを実現している。「FPOT」は「ファーストプリントアウトタイム:1枚目のメディアが出力される時間」を意味する。
特開2014-38311号公報
特許文献1に開示の定着装置では、各フィルムユニットである加熱ユニットおよび加圧ユニットそれぞれのフィルム内面にニップ形成部材との摺動性を向上させるため、潤滑グリースが塗布されている。しかしながら本発明者らの検討によれば、特許文献1に係る定着装置は、通紙枚数が増加するにつれて潤滑グリースが徐々に枯渇していき、ニップ形成部材とフィルムとの摺動性が低下し、異音が発生する場合があった。
本開示の一態様は、長期の使用によってもニップ形成部材とフィルムとの間の摺動性が良好に維持され得る像加熱装置の提供に向けたものである。また、本開示の他の態様は、高品位な電子写真画像を安定して形成することができる画像形成装置の提供に向けたものである。
上記課題を解決するために、本開示の一態様によれば、
回転可能な定着ローラと、第1のベルトユニットと、第2のベルトユニットと、を有する像加熱装置であって、
該第1のベルトユニットは、該定着ローラと接触回転しニップを形成する筒状の第1のベルトと、該第1のベルトを該定着ローラに押圧する第1の押圧部材と、を有し、
該第2のベルトユニットは、該定着ローラと接触回転しニップを形成する筒状の第2のベルトと、該第2のベルトを該定着ローラに押圧する第2の押圧部材と、を有し、
該第1のベルトの内面と該第1の押圧部材との間には、第1の潤滑剤が存在し、
該第2のベルトの内面と該第2の押圧部材との間には、第2の潤滑剤が存在し、
該第1の潤滑剤は第1のオイルを含み、
該第2の潤滑剤は第2のオイルを含み、
該第1のオイルと該第2のオイルは、その化学組成が異なる像加熱装置が提供される。
また、本開示の他の態様によれば、記録材にトナー画像を形成する画像形成部と、前記像加熱装置とを有する画像形成装置が提供される。
本開示の一態様によれば、通紙枚数が増加しても、第1のベルトと第1の押圧部材との間に生じる摩擦力の上昇及び第2のベルトと第2の押圧部材との間に生じる摩擦力の上昇を抑制でき、これらベルトと押圧部材との間の良好な摺動性を長期に亘り確保できる。これにより像加熱装置の定着ローラの駆動トルクの増大、およびこれに伴う異音の発生を、長期に亘り抑制することができる。
実施例を説明するために用いるカラー画像形成装置の構成を示す図 実施例における像加熱装置としての定着装置50の構成を示す断面図 定着装置50においてオイルの染み出しやすい部分(フィルムとローラの端部)を示す図 a)比較例1~3の定着装置50において端部のオイル液滴の様子を模式的に示す図(停止直前の状態)、b)比較例1~3の定着装置50において端部のオイル液滴の様子を模式的に示す図(停止後に基油の染み出しが助長された状態) a)実施例1~5の定着装置50において端部のオイル液滴の様子を模式的に示す図(停止直前の状態)、b)実施例1~5の定着装置50において端部のオイル液滴の様子を模式的に示す図(停止後の状態) 同種の基油の液滴が合体することを模式的に示す図 異種の基油の液滴が合体しにくいことを模式的に示す図
以下に図面を参照して、本開示を実施するための形態を例示的に詳しく説明する。ただし、本開示の技術的範囲を以下の実施の形態に限定するものではない。
なお、図2に示す定着装置50において、加熱ユニット52は定着ローラ51を加熱し、加圧ユニット53は定着ローラ51との間に定着ニップNを形成する。定着ニップNにトナー画像が形成された記録材Pが搬送され、熱と圧による定着処理が行われる。
本発明者らは、特許文献1に係る定着装置において潤滑グリースが経時的に枯渇する原因を以下のように推定している。
特許文献1に係る定着装置は、図3に示すように、加熱ユニット52の加熱フィルム64は、加熱フィルム64に対して外嵌されたフランジ外周面(不図示)を加熱フィルム64が回転するような構造となっている。また、加熱フィルム64は、その両端が、それぞれ加熱フィルムフランジ71のつば部71aにより長手方向の動きが規制されている。
同様に、加圧ユニット53の加圧フィルム66は、加圧フィルム66に対して外嵌されたフランジ外周面(不図示)を加圧フィルム66が回転するような構造となっている。また、加圧フィルム66は、その両端が、それぞれ加圧フィルムフランジ72のつば部72aにより長手方向の動きが規制されている。
このため、プリント枚数が増加して定着装置が高温になりグリース(基油)の粘性が下がると、グリース、特には、基油がフィルム両端のフィルムとフランジつば部の隙間から僅かながら漏れ出て来る様になる。特に定着装置50の様に加熱フィルム64がルーズにフランジに外嵌された構造である場合、加熱フィルム64の定着ローラ51に圧接されていない部分(ニップを形成していない部分)が図3に示すようにダレ部76が生じやすい。このダレ部76ではグリースが流れ出す間口が広いため、グリースが漏れやすくなる。
なお加圧フィルム66においても加熱フィルム64と同様の理由で、加圧フィルム66の定着ローラ51に圧接されていない部分(ニップを形成していない部分)でダレ部77ができやすく、ダレ部77から同様にグリースが漏れやすくなる。また定着装置50が高温の状態で駆動停止すると、グリースのオイル分は拡がりやすくなるため、加熱フィルム64および加圧フィルム66の両端部からグリースが漏れやすい。
特許文献1に係る定着装置において、潤滑グリースの漏れ出しが起きやすいのは、主にこの高温停止時の漏れ出し量が多いためである。このときの状態を、加熱ユニット52を例として図4に基づいて説明する。図4a)は停止直前の状態を示し、図4b)は停止後の状態を示す。
定着装置50が高温の状態で停止するとグリースのオイル分である基油は加熱ニップNk(加熱フィルム64と定着ローラ51とがなす加熱ニップ)の淵に沿って少しずつ漏れ出す。図4a)に示すようにニップの淵にあらかじめ同種の基油の油滴が多く存在していると、図4b)に示すようにそれら同種の基油の油滴が呼び水(誘因因子)になりさらに漏れが多くなる。すなわち、図6に示すように同種の油滴81は合体して混ざりやすい。このため、ニップの淵近傍に同種の基油の油滴81が多い(図4a)と停止後に一体化した油滴82となり、毛管現象によりニップの淵に沿って拡がりやすく、加熱フィルム64端部からの基油のさらなる漏れ出しを助長する(図4b)。
漏れ出た基油は、ニップ内の通紙域まで達すると多くがその後のプリントの通紙により定着装置50の外に記録材とともに排出される。しかし、非通紙域の基油の油滴は残りやすく、定着装置50の次の停止時に加熱フィルム64の内面に存在するグリースからの基油漏れ出しを助長する。
この様な基油の漏れ出しは加圧ユニット53においても同様に起きているため、定着ローラ51両端部の表面には加熱ユニット52と加圧ユニット53のそれぞれから漏れ出したオイルが存在している。そのため加熱ユニット52のグリース基油と加圧ユニット53の基油とが同種のものである場合には、一方のユニットから漏れ出た基油が自身のユニットのみならず、もう一方のユニットからの基油の漏れ出しを助長し得るものと考えられる。
このような考察のもと、本発明者らは更なる検討を重ねた結果、以下の構成を有する像加熱装置が、長期の使用によっても潤滑グリースの枯渇が生じにくく、高品位な電子写真画像の安定的な形成に資することを見出した。
すなわち、本開示の一態様に係る像加熱装置は、回転可能な定着ローラと、第1のベルトユニットと、第2のベルトユニットと、を有し、
該第1のベルトユニットは、該定着ローラと接触回転しニップを形成する筒状の第1のベルトと、該第1のベルトを該定着ローラに押圧する第1の押圧部材と、を有し、
該第2のベルトユニットは、該定着ローラと接触回転しニップを形成する筒状の第2のベルトと、該第2のベルトを該定着ローラに押圧する第2の押圧部材と、を有し、
該第1のベルトの内面と該第1の押圧部材との間には、第1の潤滑剤が存在し、
該第2のベルトの内面と該第2の押圧部材との間には、第2の潤滑剤が存在し、
該第1の潤滑剤は第1のオイルを含み、
該第2の潤滑剤は第2のオイルを含み、
該第1のオイルと該第2のオイルは、その化学組成が異なる。
本開示の一態様に係る像加熱装置における基油の漏れ出しの状況を図5に基づいて説明する。
図5a)は停止直前の状態を示し、図5b)は停止後の状態を示す。
当該像加熱装置における加熱ユニット52のグリース基油と加圧ユニット53のグリース基油とは異種のものである。そのため、定着ローラ51の表面には加熱ユニット52から漏れ出した基油の油滴83と加圧ユニット53から漏れ出した基油の油滴84とが存在している(図5a)。異種の基油の油滴はその表面エネルギーが異なるため、同種の基油の油滴と比較して相対的に一体化しにくい(図7)。そのため一方のユニットから漏れ出た基油は、もう一方のユニットからの基油の漏れ出しを助長する呼び水とはなりにくい(図5b)。よって当該像加熱装置における加熱ユニット52のグリース基油と加圧ユニット53のグリース基油とが異種の油分により構成されていると、同種の油分で構成されている場合よりも呼び水となるオイルの量が、例えば約約半分にまで減少する。このため、染み出すオイルの量を相対的に抑制できる(図5)。
このようにして当該像加熱装置においては、加熱ユニット52および加圧ユニット53それぞれのユニットのフィルム両端部から漏れ出すオイルの量が抑制できるため、フィルムは長期にわたりスムーズに回転できるようになる。その結果、長期使用によってもトルクが上昇しにくく、また、異音の発生を有効に抑制し得る。
第1の潤滑剤及び前記第2の潤滑剤には、フッ素系オイルを主成分とする潤滑剤、シリコーン系オイルを主成分とする潤滑剤が挙げられる。
潤滑剤に主成分として含まれるフッ素系オイルとしては、下記式(1-1)や(1-2)に示すパーフロロポリエーテル(Perfluoropolyether;以降PFPEと略記する)オイルなどが挙げられる。
Figure 2022023600000002
式(1-1)中、nは30~150であり、また常温でのハンドリング(塗布)のし易さと高温下での性能の両立の観点からより望ましくは、nは60~100である。
また式(1-2)中、nは1~150であり、mは1~300であり、n/mは0.5~2である。また常温でのハンドリング(塗布)のし易さと高温下での性能の両立の観点からより望ましくは、nは50~100であり、mは50~100であり、n/mは0.9~1.1である。
またその他の例としては、分子鎖中のフッ素を官能基に置き換えた変性PFPEを用いることもできる。
潤滑剤に主成分として含まれるシリコーン系オイルとしては、主に下記式(2)に示すジメチルシリコーンオイルや、一部のメチル基を官能基に置き換えた変性シリコーンオイルとして下記式(3)に示すメチルフェニルシリコーンオイルなどが挙げられる。
Figure 2022023600000003
上記式(2)中、nは50~350である。
上記式(3)中、nは1~50であり、mは50~350であり、n/mは0.02~0.5であることが好ましい。
上記式(2)に示すジメチルシリコーンオイルは、ポリシロキサンの側鎖、末端がすべてメチル基である。
上記式(3)に示すメチルフェニルシリコーンオイルは、ポリシロキサンの側鎖の一部がフェニル基である。
またその他にも、アミノ変性、カルボキシ変性、メチルスチレン変性、フルオロ変性、カルボキシル変性、フッ化アルキル変性、シラノール変性、スルホン酸変性、アクリロイル変性、メタクリロイル変性、などの変性シリコーンオイルを用いることもできる。
さらに、メチル基以外のアルキル基によるアルキル変性シリコーンオイルや、ポリシロキサンの側鎖の一部が水素であるメチルハイドロジェンシリコーンオイルを用いることもできる。
(1)画像形成装置
図1は実施例に係る画像形成装置の横断面の模式図である。実施例1の画像形成装置はインライン方式のフルカラーのレーザープリンタである。
本実施例に示す画像形成装置は、記録材P上に未定着のトナー画像を形成する画像形成部10と、記録材P上に形成されたトナー画像を定着する像加熱装置としての定着装置50とを有する。
画像形成部10において、中間転写体としての中間転写ベルト30の回転方向に沿って上流側から下流側にかけて4つの画像形成ステーションSY,SM,SC,SKが配設されている。各画像形成ステーションSY,SM,SC,SKは、その順に、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー画像を形成する。
各画像形成ステーションSY,SM,SC,SKにおいて、22Y,22M,22C,22Kは、像担持体としての感光ドラムである。各感光ドラムは、駆動モータ(不図示)の駆動力が伝達され矢印方向(反時計回り方向)に回転する。
感光体ドラム22Y,22M,22C,22Kの周囲には、それぞれ、感光体ドラムの回転方向に沿って帯電部23Y,23M,23C,23Kと、露光部24Y,24M,24C,24Kが、配設されている。さらに、感光体ドラム22Y,22M,22C,22Kの周囲には、それぞれ、現像部26Y,26M,26C,26Kと、一次転写部31Y,31M,31C,31Kと、クリーニング部27Y,27M,27C,27Kなどが、配設されている。
さらに、現像部26Y,26M,26C,26Kの上方には、現像部にトナーを供給するためのトナーカートリッジ25Y,25M,25C,25Kが配設してある。
中間転写ベルト30は、樹脂製の無端状ベルトで構成されている。この中間転写ベルト30は、駆動ローラ34aと、二次転写対向ローラ34bと、テンションローラ34cの3つの回転可能な支持部材に張架されている。この中間転写ベルト30の外周面を感光ドラム22Y,22M,22C,22Kの外周面に接触させることにより、中間転写ベルト30の表面と感光ドラム22Y,22M,22C,22Kの表面とで一次転写ニップ部Tn1を形成している。この中間転写ベルト30には上記駆動モータの駆動力が伝達され矢印方向(時計回り方向)に回転する。
二次転写ローラ32は、中間転写ベルト30を介して二次転写対向ローラ34bと対向するように配設されている。この二次転写ローラ32の外周面(表面)を中間転写ベルト30の表面に接触させることにより、二次転写ニップ部Tn2を形成している。
制御部40は、CPUとRAMやROMなどのメモリとを有する。メモリには画像形成のための制御シーケンスなどが記憶されている。そしてこの制御部40は、ホストコンピュータなどの外部装置(不図示)から出力されるプリント指令に応じて画像形成のための制御シーケンスを実行し画像形成部10と定着装置50などを制御する。
本実施例の画像形成装置は、画像形成制御シーケンスが実行されると、画像形成ステーションSYでは感光ドラム22Yが矢印方向(反時計回り方向)へ回転される。
まず感光ドラム22Y表面は帯電装置23Yにより所定の極性・電位に一様に帯電される(帯電工程)。そして、露光装置24Yがこの感光ドラム22Yの帯電面に外部装置から入力した画像データに応じたレーザ光を照射することによって、感光ドラム22Yに静電潜像が形成される(露光工程)。現像装置26Yは、トナーを用いてこの静電潜像を顕像化してトナー画像にする(現像工程)。これにより感光ドラム22Yの表面にトナー画像が形成される。
画像形成ステーションSM,SC,SKにおいても画像形成ステーションSYと同様の帯電工程、露光工程、現像工程の画像形成プロセスが行われ、各感光ドラム22M,22C,22Kの表面にもトナー画像が形成される。
感光ドラム22Y上に形成されたトナー画像は一次転写ニップ部Tn1で一次転写部31Yに印加される所定の電圧によって中間転写ベルト30の表面に転写される(一次転写工程)。同様に、感光ドラム22M,22C,22Kの各色のトナー画像はそれぞれの一次転写ニップ部Tn1で中間転写ベルト30の表面に重ねて転写される。これにより中間転写ベルト30の表面には4色のフルカラーの未定着トナー画像が形成される。
一次転写後に感光ドラム22Y,22M,22C,22Kの表面に残った転写残トナーはクリーニング部27Y,27M,27C,27Kによって除去され、感光ドラム22Y,22M,22C,22Kは次の画像形成に供される。
一方、中間転写ベルト30の下方に配設された給紙カセット20に積載収納されている記録材Pは、給紙ローラ21とリタードローラ28とによって給紙カセット20から1枚ずつ分離して給紙されレジストローラ29に給送される。その後、記録材Pは、搬送経路80に沿って搬送される。レジストローラ29は給送された記録材Pを二次転写ニップ部Tn2に送り出す。この記録材Pは二次転写ニップ部Tn2で挟持搬送される。そしてその搬送過程において二次転写ローラ32に所定の電圧が印加され、これにより中間転写ベルト30の表面の未定着トナー画像は記録材Pに転写される(二次転写工程)。
未定着トナー画像が形成された記録材Pは定着装置50に導入される。そして定着装置50を通過する際に熱と圧力とを受けることによって未定着トナー画像は記録材上に定着される。定着装置50を出た記録材Pは排紙ローラ54、55により搬送されて排出トレー56に排出される。
二次転写後に中間転写ベルト30の表面に残った転写残トナーは、ローラ形状の帯電部材である帯電ローラ33によって画像形成時の極性と逆極性に帯電される。その後、転写残トナーは、一次転写部31によって感光ドラム22Y,22M,22C,22Kの表面上に静電気力によって回収されクリーニング部27Y,27M,27C,27Kによって回収される。
(2)定着装置50
図2は本実施例に係る像加熱装置としての定着装置50の横断面の模式図である。この定着装置50は外部加熱方式の定着装置である。
以下の説明において、像加熱装置としての定着装置及び定着装置を構成する部材に関し、長手方向とは記録材の面において記録材搬送方向(矢印69の方向)と直交する方向をいう。短手方向とは記録材の面において記録材搬送方向(矢印69の方向)と平行な方向をいう。長手幅とは長手方向の寸法をいう。短手幅とは短手方向の寸法をいう。
本実施例に示す定着装置50は、記録材上の画像と接触して加熱する回転体としての定着ローラ51と、加熱ユニット52と、加圧ユニット53を有している。
定着ローラ51は、鉄、SUS、アルミニウム等の金属材料からなる丸軸状の芯金60を有している。この芯金60の外周面上にシリコーンゴムなどを主成分とする弾性層61が形成され、この弾性層61の外周面上にPTFE、PFAまたはFEPなどを主成分とする離型層(最表層)62が形成されている。
ここで、PTFEはポリテトラフルオロエチレンであり、PFAはテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体であり、FEPはテトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体である。
この定着ローラ51は、長手方向に長い部材であり、芯金60の長手方向の両端部が定着装置50の装置フレーム(図3中の58)に回転可能に支持されている。
<加熱ユニット>
加熱ユニット52は、セラミックヒータ(以下、ヒータと記す)63と、無端ベルトとしての回転可能な筒状の加熱フィルム(加熱ベルト)64と、支持部材としての加熱フィルムガイド65と、加熱ユニットフランジ(不図示)とを有する。加熱ユニットフランジ(不図示)は、加熱ユニット両端部に配置され、加熱フィルムの長手方向位置を規制する。ヒータ63と、加熱フィルム64と、加熱フィルムガイド65とは、何れも長手方向に長い部材である。
耐熱性を有する樹脂材料を用いて横断面が略樋型形状になるように成形された加熱フィルムガイド65は、長手方向に沿って形成された凹部65aでヒータ63を支持している。そして、加熱フィルムガイド65の外周に加熱フィルム64がルーズに外嵌されている。加熱フィルム64は、ポリイミド樹脂で形成された基層と、基層の外周面にPFA等のフッ素樹脂で形成された離型層とを有する。
加熱ユニット52の長手方向の両端部には加熱フィルム64の長手方向の位置を規制するための加熱ユニットフランジ(不図示)が加熱フィルム64に対してルーズに内嵌されている。加熱フィルムガイド65が加熱ユニットフランジを介して装置フレーム(図3中の58)に支持されることで加熱ユニット52も装置フレームに支持されている。さらに加熱ユニットフランジ部を介して加圧ばね(不図示)が加熱ユニット52を定着ローラ51の母線方向と直交する方向に加圧している。これによりヒータ63を加熱フィルム64を介して定着ローラ51に押圧して、弾性層61をヒータ63の長手方向に沿って弾性変形させることにより、定着ローラ51の表面と加熱フィルム64の表面とで所定の幅の加熱ニップ部Nkを形成している。
ヒータ63は断面が長方形で長手方向に細長いセラミック製の基板63aを有している。基板63aの加熱ニップ部Nk側の表面には、基板63aの長手方向に沿ってAg/Pd(銀パラジウム)などの発熱抵抗体63bがスクリーン印刷で形成されている。また、基板63aの表面には、保護層63cが発熱抵抗体63bを覆うように形成してある。発熱抵抗体63bは通電されて発熱する。
<加圧ユニット>
加圧ユニット53は、ニップ形成部材68と、無端ベルトとして回転可能な筒状の加圧フィルム(加圧ベルト)66と、加圧フィルムガイド(支持部材)67と、加圧ユニットフランジ(不図示)とを有する。加圧ユニットフランジ(不図示)は、加圧ユニット両端部に配置され、加圧フィルムの長手方向位置を規制する。ニップ形成部材68と、加圧フィルム66と、加圧フィルムガイド67は何れも長手方向に長い部材である。
ニップ形成部材68は断面が長方形になるように形成してあり、その表面は所定の表面粗さになるように調整している。加圧フィルムガイド67は、耐熱性の樹脂材料で断面が略逆樋型形状になるように成形され、長手方向に沿って形成された凹部67aでニップ形成部材68を支持している。そして加圧フィルムガイド67の外周に加圧フィルム66がルーズに外嵌されている。加圧フィルム66は、ポリイミド樹脂やPEEK、PEIなどの耐熱樹脂ないしSUSニッケルなどの金属を主成分として形成された基層と、基層の外周面上にPFA、PTFE、FEPなどのフッ素樹脂を主成分として形成された離型層とを有する。加圧フィルム66の内表面は所定の表面粗さになるように調整している。PEEKはポリエーテルエーテルケトンであり、PEIはポリエーテルイミドである。
加圧フィルムガイド67の長手方向の両端部は、加圧フィルム66の長手方向の位置を規制するための加圧ユニットフランジ(不図示)が加圧フィルム66に対してルーズに内嵌されている。加圧フィルムガイド67が加圧ユニットフランジを介して装置フレーム(図3中の58)に支持されることで加圧ユニット53も装置フレームに支持されている
さらに加圧ユニットフランジを介して加圧ばね(不図示)が加圧ユニット53を定着ローラ51の母線方向と直交する方向(矢印70の方向)に押圧されている。これによりニップ形成部材68が加圧フィルム66を介して定着ローラ51に押圧されて、弾性層61がニップ形成部材68の長手方向に沿って弾性変形することにより、定着ニップ部Nが形成される。
加熱フィルム64の内面と加圧フィルム66の内面とには、回転トルクを低減するためにそれぞれ潤滑剤が塗布されている。
本実施例の定着装置50は、プリント指令に応じてモータ(不図示)が回転駆動され、駆動モータの出力軸の回転が所定のギア機構(不図示)を介して定着ローラ51の芯金60に伝達される。これにより定着ローラ51は矢印73の方向に回転される。
定着ローラ51の回転は、加熱ニップ部Nkにおいて定着ローラ51の表面と加熱フィルム64の表面との間に生じる摩擦力によって加熱フィルム64に伝達される。これにより加熱フィルム64は定着ローラ51の回転に従動してヒータ63の保護層63cと接触しながら矢印74の方向へ回転する。
また、定着ローラ51の回転は、定着ニップ部Nにおいて定着ローラ51の表面と加圧フィルム66の表面との間に生じる摩擦力によって加圧フィルム66に伝達される。これにより加圧フィルム66は定着ローラ51の回転に追従してニップ形成部材68と接触しながら矢印75の方向へ回転する。
さらに、プリント指令に応じて双方向サイリスタとしてのトライアック(不図示)がヒータ63への給電を開始する。ヒータ63は発熱抵抗体63bに通電されることにより急速に発熱して加熱フィルム64の内面を加熱し、その加熱フィルム64が定着ローラ51の表面を加熱する。
ヒータ63の温度は基板63aの加熱ニップ部Nkと反対側の裏面に設けられた温度検知素子としてのサーミスタSにより検知される。制御部40は、サーミスタSからの検知信号(出力信号)を取り込む。そしてその検知信号に基づき、トライアックが発熱抵抗体63bに印加する電圧のデューティー比や波数等を決定し制御してヒータ63の検知温度を定着温度(目標温度)に保つ。
定着ローラ51を回転駆動し、かつヒータ63を定着温度に維持した状態において、未定着トナー画像tが形成された記録材Pがトナー形成面を定着ローラ51側にして定着ニップ部Nに導入される。この記録材Pは定着ニップ部Nで挟持搬送され、未定着トナー画像tがヒータ63の熱と圧力を受けて記録材上に定着される。未定着トナー画像tが定着された記録材Pは定着ニップ部Nから排出される。
次に本発明にかかる実施例の像加熱装置としての定着装置の具体的な構成について以下に説明する。本実施例は、定着装置50の加熱フィルム64の内面と加圧フィルム66の内面に潤滑剤としてそれぞれ異種の基油を用いた潤滑グリースを塗布した例である。
以下その具体的な構成と作用について説明する。
(1) 具体的構成
下記の各実施例では、定着装置50の加熱フィルム64の内面に塗布する潤滑グリースと、加圧フィルム66の内面に塗布する潤滑グリースとにおいて、オイル分としての基油の化学組成が異なる。
具体的には、一方の潤滑グリースの基油としてはフッ素系のオイルを用い、他方の潤滑グリースの基油としてはシリコーン系のオイルを用いた。
別の具体例としてシリコーン系オイルの側鎖の官能基だけを変えたものも用いた。
このようにすることで、加熱ユニット52及び加圧ユニット53の潤滑グリースの基油の定着ローラ51表面への漏れを抑制でき、長期に亘り加熱フィルム64及び加圧フィルム66の良好な摺動性を確保することができる。
以下、本実施例の各具体的な構成について説明する。
[実施例1]
加熱ユニット52のグリースとして、下記の基油(70質量部)に対して、下記の増ちょう剤(30質量部)を混ぜたフッ素グリース1(密度約1.98g/cm)を用いた。
・基油:PFPE(モリコート製 HF-30)
・増ちょう剤:フッ素樹脂であるポリテトラフロロエチレン(Polytetrafluoroethylene;以降PTFEと略記する)のファインパウダー (ダイキン工業(株)製 L2)
上記グリースをヒータ63上に塗布面積4.5mm×215mm、塗布量200mgで塗布した。
加圧ユニット53のグリースとして、下記の基油(70質量部)に対して、下記の増ちょう剤(30質量部)を混ぜたハイブリットグリース1(密度約1.32g/cm)を用いた。
・基油:ジメチルシリコーンオイル(信越シリコーン製;KF-96)
・増ちょう剤:PTFEファインパウダー(ダイキン工業(株)製 L2)
上記グリースをニップ形成部材68上に塗布面積4.5mm×215mm、塗布量133mgで塗布した。
[実施例2]
加熱ユニット52のグリースとして、前記ハイブリットグリース1をヒータ63上に塗布した。塗布面積は4.5mm×215mmとし、塗布量は実施例1の加熱ユニットグリースと同じ133mgとした。
加圧ユニット53のグリースとして、前記フッ素グリース1をニップ形成部材68上に塗布した。塗布面積は4.5mm×215mmとし、塗布量は実施例1の加圧ユニットグリースと同じ200mgとした。
なお実施例2の定着装置構成は、グリース種および塗布量以外は実施例1と同じ構成とした。
[実施例3]
加圧ユニット53のグリースとして、下記の基油(70質量部)に対して、下記の増ちょう剤(30質量部)を混ぜたハイブリットグリース2(密度約1.36g/cm)を用いた。
・基油:メチルフェニルシリコーンオイル(信越シリコーン製;KF-54)
・増ちょう剤:PTFEファインパウダー(ダイキン工業(株)製 L2)
上記グリースをニップ形成部材68上に塗布した。塗布面積は4.5mm×215mmとし、塗布量は実施例1の加圧ユニットグリースと同じ136mgとした。
なお実施例3の加圧ユニット以外の定着装置構成は、実施例1と同じ構成にした。
[実施例4]
加熱ユニット52のグリースとして、前記ハイブリットグリース2を用い、塗布量は実施例1の加熱ユニットグリースと同じ136mgとした。
加圧ユニット53のグリースとして、前記フッ素グリース1を用い、塗布量は実施例1の加圧ユニットグリースと同じ200mgとした。
なお実施例4の定着装置構成は、加熱ユニットおよび加圧ユニットのグリース種と塗布量以外は実施例1と同様とした。
[実施例5]
加熱ユニット52のグリースとして、前記ハイブリットグリース2を用い、塗布量は実施例1の加熱ユニットグリースと同じ136mgとした。
なお実施例5の加熱ユニット以外の定着装置構成は、実施例1と同じ構成にした。
なお各グリースの基油であるPFPEオイル、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイルは、各実施例の加熱定着装置の通紙中において同一トルクとなる様に、温調温度である140℃~160℃付近の粘度が同一のものを選んだ。具体的にはジメチルシリコーンオイルおよびメチルフェニルオイルの分子量違いグレードの中から、140℃~160℃付近において、PFPEオイルの粘度と近くなるグレードのものを選んだ。
また各実施例の効果を検証するために、比較例として以下の3つの構成の定着装置を準備した。
[比較例1]
定着装置50において加熱ユニット52及び加圧ユニット53のどちらも潤滑グリースとして前記フッ素グリース1を用い、それぞれヒータ63上およびニップ形成部材68上に塗布した。ヒータ63及びニップ形成部材68のどちらも塗布面積は4.5mm×215mmとし、塗布量は200mgとした。
[比較例2]
定着装置50において加熱ユニット52及び加圧ユニット53のどちらも潤滑グリースとして前記ハイブリットグリース1を用い、それぞれヒータ63上およびニップ形成部材68上に塗布した。ヒータ63及びニップ形成部材68のどちらも塗布面積は4.5mm×215mmとし、塗布量は133mgとした。
[比較例3]
定着装置50において加熱ユニット52及び加圧ユニット53のどちらも潤滑グリースとして前記ハイブリットグリース2を用い、それぞれヒータ63上およびニップ形成部材68上に塗布した。ヒータ63及びニップ形成部材68のどちらも塗布面積は4.5mm×215mmとし、塗布量は136mgとした。
なお上記実施例1~5及び比較例1~3は、用いているグリース構成以外は同じ構成である。すなわち加熱フィルムはポリイミド基層の表面にPFAコートを施したものを用いた。また加圧フィルムとしては、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)樹脂に、PEI(ポリエーテルイミド)樹脂を約10%(重量)混ぜた基層に対して、その表面にPFAチューブを被覆させたものを用いた。
またニップ形成部材68としては、アルミニウム製のものを用いた。
またグリースの塗布面積としては、加熱ユニットと加圧ユニットともに4.5mm×215mmの面積として、それぞれヒータ上およびニップ形成部材上に塗布した。
以上の各実施例および各比較例構成のグリース構成を以下表にまとめておく。
Figure 2022023600000004
(2)テスト方法および結果
各実施例又は各比較例に係る定着装置を前記画像形成装置に組み込み、下記の耐久通紙試験を行い、定着装置50のトルクの推移とトルクの上昇に伴う異音の発生とを測定し、加熱フィルム64および加圧フィルム66の摺動性を比較した。
耐久通紙試験:記録材として坪量75g/mのLTRサイズ紙(Xerox Vitality)を用いて3枚連続プリントを画像形成装置の停止後10秒間の間隔をあけて繰り返し行う間欠耐久を150,000枚まで行った。
トルクの測定方法:
組み立て直後の定着装置50を環境温度(23℃)になじむまで冷却させた後、トルコン付きの空回転器と温調器に装着し、下記の測定条件下で空回転させたときのトルク(平均値)を測定した。
・測定条件
定着ローラ51の周速:画像形成装置のプロセススピードである150mm/秒になるようにした。
温度検知素子であるサーミスタSの温度:通紙中の温調温度である160℃となるように温調器により温調した。
各実施例・比較例の初期トルクはいずれも2.5kg・mであった。
次に定着装置50を画像形成装置に組み付けて、前記間欠プリントの通紙耐久試験を所定枚数行った。その後、定着装置50を画像形成装置からはずし、初期トルクを測定したときと同じ方法でトルクを測定し、下記式を用いて各所定枚数における初期トルクからのトルク上昇率を確認した。
トルク上昇率=(各所定枚数におけるトルク)/(初期トルク)
異音の発生有無の確認方法:
通紙枚数が所定枚数に到達した後に定着装置50を画像形成装置に組んだ状態で環境温度(23℃)に馴染むまで冷却を行い、定着装置50のコールド状態から、連続プリントを30枚行い、定着装置50からの異音の発生の有無を確認した。なおこのときのプリントには記録材としては、紙搬送を意図的に不安定化させてトルク上昇に伴う異音を発生しやすくするために、下記の紙を用いた。
・高温多湿環境(温度30℃/相対湿度80%)下に48時間以上静置させて吸湿させた紙(Xerox Vitality 75g/m LTR)
トルク上昇率および異音発生有無を耐久枚数毎に調べた各テスト結果をそれぞれ表2および表3に示す。
Figure 2022023600000005
Figure 2022023600000006
(発明の作用)
表2に示すように、実施例1~5のいずれもが、加熱ユニット52の基油の化学組成と加圧ユニット53の基油の化学組成とが異なり、比較例1~3のいずれもが、加熱ユニット52の基油の化学組成と加圧ユニット53の基油の化学組成とが同じである。そして、実施例のいずれもが、比較例のいずれと比較しても、トルク上昇を抑制する効果があることが判る。
またいずれの比較例においても150k(150,000)枚通紙後には異音が発生していた一方で、いずれの実施例においても異音は発生していなかった。なお表3中の異音発生とは画像形成装置から1.5m離れた位置で定着装置からの異音が聞こえた状態、異音が弱く発生とは画像形成装置から1.5m離れた位置では定着装置からの異音が聞こえず0.3mm離れた位置では聞こえた状態を表している。
本発明者は鋭意検討の結果、本実施例の具体例構成が比較例よりもトルク上昇が良好である原因は、加熱フィルム64および加圧フィルム66の両端部からのオイル染み出し方の違いにあることをみいだした。
すなわち図3に示すように、加熱ユニット52の加熱フィルム64は両端が、それぞれ加熱フィルムフランジ71のつば部71aにより長手方向の動きが規制され、フィルムに対して外嵌されたフランジ外周面(不図示)をフィルムが回転する構造にある。同様に、加圧ユニット53の加圧フィルム66も両端が、それぞれ加圧フィルムフランジ72のつば部72aにより長手方向の動きが規制され、フィルムに対して外嵌されたフランジ外周面(不図示)をフィルムが回転する構造にある。このため、プリント枚数が増加して定着装置が高温になりグリース(基油)の粘性が下がると、グリース(特に基油)がフィルム両端のフィルムとフランジつば部の隙間から僅かながら漏れ出て来る様になる。特に定着装置50の様に加熱フィルム64がルーズにフランジに外嵌された構造だと、加熱フィルム64の定着ローラ51に圧接されていない部分(ニップを形成していない部分)が図3に示すようにダレたダレ部76ができやすい。このダレ部76ではグリースが流れ出す間口が広いため、グリース(特に基油)が漏れやすくなる。
なお加圧フィルム66においても加熱フィルム64と同様の理由で、加圧フィルム66の定着ローラ51に圧接されていない部分(ニップを形成していない部分)でダレ部77ができやすく、ダレ部77から同様にグリース(特に基油)が漏れやすくなる。
また定着装置50が高温の状態で駆動停止すると、グリースのオイル分は拡がりやすくなるため、加熱フィルム64および加圧フィルム66の両端部からグリース(基油)が漏れやすい。
比較例においてグリース(基油)の漏れ出しが起きやすいのは、主にこの高温停止時の漏れ出し量が、実施例より多いためであり、このときの様子を、加熱ユニット52を例として図4に基づいて説明する。
図4a)は停止直前の状態を示し、図4b)は停止後の状態を示す。
すなわち定着装置50が高温の状態で停止するとグリースのオイル分である基油は加熱ニップNk(加熱フィルム64と定着ローラ51とがなす加熱ニップ)の淵に沿って少しずつ漏れ出す。図4a)に示すようにニップの淵にあらかじめ同種の油分の油滴が多く存在していると、図4b)に示すようにそれら同種の油分の油滴が呼び水(誘因因子)になりさらに漏れが多くなってしまう。
なぜなら図6に示すように同種の油滴81は合体して混ざりやすい。このため、ニップの淵近傍に同種の油滴81が多い(図4a)と停止後に一体化した油滴82となり、毛管現象によりニップの淵に沿って拡がりやすく、加熱フィルム64端部からのグリース基油のさらなる漏れ出しを助長してしまう(図4b)。漏れ出た基油は、ニップ内の通紙域まで達すると多くがその後のプリントの通紙により定着装置50の外に記録材とともに排出される。しかし、非通紙域の基油の油滴は残りやすく、定着装置50の次の停止時に加熱フィルム64の内面に存在するグリースからの基油漏れ出しを助長する呼び水となってしまう。
この様なグリースの基油の漏れ出しは加圧ユニット53においても同様に起きているため、定着ローラ51両端部の表面には加熱ユニット52と加圧ユニット53のそれぞれから漏れ出したオイルが存在している。そのため加熱ユニット52のグリース基油と加圧ユニット53のグリース基油とが同種の油分で構成されている比較例の場合には、一方のユニットから漏れ出た基油が自身のユニットのみならず、もう一方のユニットからの基油の漏れ出しを助長する呼び水となる。このため、定着ローラ51上には相対的に多くの基油が漏れ出てしまう(図4)。
一方で実施例におけるグリース基油の漏れ出す様子を、図5に基づいて説明する。
図5a)は停止直前の状態を示し、図5b)は停止後の状態を示す。
実施例では加熱ユニット52のグリース基油と加圧ユニット53のグリース基油とは異種のものであるため、定着ローラ51の表面には加熱ユニット52から漏れ出した基油の油滴83と加圧ユニット53から漏れ出した基油の油滴84とが存在している(図5a)。異種の基油の油滴はその表面エネルギーが異なるため、同種の基油の油滴と比較して相対的に一体化しにくい(図7)。そのため一方のユニットから漏れ出た基油は、もう一方のユニットからの基油の漏れ出しを助長する呼び水とはなりにくい(図5b)。よって本実施例の様に加熱ユニット52のグリース基油と加圧ユニット53のグリース基油とが異種の油分により構成されていると、同種の油分で構成されている場合よりも呼び水となるオイルの量が減る(約半分になる)。このため、染み出すオイルの量を相対的に抑制できる(図5)。
このようにして実施例では加熱ユニット52および加圧ユニット53それぞれのユニットのフィルム両端部から漏れ出すオイルの量を抑制できることで、フィルムは長期にわたりスムーズに回転できるようになる。その結果、耐久によるトルクの上昇が抑制され、異音の発生が抑制できる。
また実施例1と実施例2の比較、および実施例3と実施例4の比較からわかる様に、下記の第1の構成の方が、下記の第2の構成よりも耐久によるトルク上昇を抑制できた。
・第1の構成:
加熱ユニット:フッ素系のPFPEオイル
加圧ユニット:シリコーン系のオイル
・第2の構成:
加熱ユニット:シリコーン系のオイル
加圧ユニット:フッ素系のPFPEオイル
これは発熱体を内包する加熱ユニット52の方が加圧ユニット53よりも高温になるため、相対的に耐熱性に優れるオイルであるフッ素系のPFPFオイルを加熱ユニット52側に用いたことにより、加熱ユニット52内のオイルの熱劣化を抑制できたためである。なお本テスト時の通紙中の加熱ユニット52の加熱フィルム64の温度は約160であったのに対して、加圧ユニット53の加圧フィルム66の通紙中の温度は約140℃であった。
また実施例1と実施例3の比較、および実施例2と実施例4の比較から以下のことがわかる。同じシリコーンオイルでもジメチルシリコーンオイル(ハイブリットグリース1)よりもメチルフェニルシリコーンオイル(ハイブリットグリース2)を用いた方が、耐久によるトルクの上昇を抑制できた。これはジメチルシリコーンよりもメチルフェニルシリコーンの方が相対的に耐熱性に優れ、オイルの熱劣化を抑制できたためである。
本実施例では、外部加熱方式の定着装置50として加熱ユニットと加圧ユニットを各一つずつ(合計2つ)を有する構成であった。しかし、例えば加熱ユニットを2つに加圧ユニットは一つにするなどユニットの数は3つ以上であってもよく、異種の基油を有する潤滑剤を少なくとも一つ以上のユニットで用いれば効果があることは言うまでもない。
また本実施例では潤滑剤として、潤滑グリースを用いたが、増ちょう剤を用いない潤滑オイルだけを用いた構成においても、異種のオイルを用いることで効果があることも言うまでもない。
51:定着ローラ、52:加熱ユニット、53:加圧ユニット
60:芯金、61:弾性層、62:離型層(最表層)
63:セラミックヒータ、63a:基板、63b:発熱抵抗体、63c:保護層、
64:加熱フィルム(加熱ベルト)、65:加熱フィルムガイド
66:加圧フィルム(加圧ベルト)、67:加圧フィルムガイド(支持部材)、68:ニップ形成部材

Claims (8)

  1. 回転可能な定着ローラと、第1のベルトユニットと、第2のベルトユニットと、を有する像加熱装置であって、
    該第1のベルトユニットは、該定着ローラと接触回転しニップを形成する筒状の第1のベルトと、該第1のベルトを該定着ローラに押圧する第1の押圧部材と、を有し、
    該第2のベルトユニットは、該定着ローラと接触回転しニップを形成する筒状の第2のベルトと、該第2のベルトを該定着ローラに押圧する第2の押圧部材と、を有し、
    該第1のベルトの内面と該第1の押圧部材との間には、第1の潤滑剤が存在し、
    該第2のベルトの内面と該第2の押圧部材との間には、第2の潤滑剤が存在し、
    該第1の潤滑剤は第1のオイルを含み、
    該第2の潤滑剤は第2のオイルを含み、
    該第1のオイルと該第2のオイルは、その化学組成が異なることを特徴とする像加熱装置。
  2. 前記第1のベルトユニット及び前記第2のベルトユニットの、
    一方は前記定着ローラを加熱する加熱ユニットであり、
    他方は前記定着ローラとの間にトナー画像が形成された記録材が搬送されるとともに熱と圧による定着処理が行われるニップを形成する加圧ユニットである請求項1に記載の像加熱装置。
  3. 前記オイル分の化学組成の違いは、側鎖の官能基が異なることである請求項1または2に記載の像加熱装置。
  4. 前記第1のオイルと前記第2のオイルの一方が、フッ素系オイルであり、他方がシリコーン系オイルである請求項1~3のいずれか一項に記載の像加熱装置。
  5. 前記フッ素系オイルが、下記式(1-1)で示される構造を有するパーフロロポリエーテル及び下記式(1-2)で示される構造を有するパーフロロポリエーテルからなる群から選ばれるパーフロロポリエーテルである請求項1~4のいずれか一項に記載の像加熱装置。
    Figure 2022023600000007
    式(1-1)中、nは30~150である。
    また式(1-2)中、nは1~150であり、mは1~300であり、n/mは0.5~2である。
  6. 前記シリコーン系オイルが、下記式(2)で示される構造を有するジメチルシリコーンオイル及び下記式(3)で示される構造を有するメチルフェニルシリコーンオイルからなる群から選ばれるシリコーン系オイルである請求項1~5のいずれか一項に記載の像加熱装置。
    Figure 2022023600000008
    (式(2)中、nは50~350である。
    式(3)中、nは1~50であり、mは50~350であり、n/mは0.02~0.5である。)
  7. 前記第1の潤滑剤は、さらに増ちょう剤を含み、前記第2の潤滑剤は、さらに増ちょう剤を含む請求項1~6のいずれか一項に記載の像加熱装置。
  8. 記録材にトナー画像を形成する画像形成部と、請求項1~7のいずれか一項に記載の像加熱装置とを有する画像形成装置。

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