JP2022022024A - 慣性センサー、慣性計測装置、及び慣性センサーの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】過度な衝撃に対するセンサー素子の破損を低減した慣性センサー、慣性計測装置、及び慣性センサーの製造方法を提供する。【解決手段】慣性センサー1は、基板2と、基板2上に配置され、第1方向に沿う回転軸Jの周りに揺動可能な可動体30と、回転軸Jとして可動体30を支持する支持梁33と、可動体30又は可動体30に対向する面7に設けられ、平面視で、可動体30と重なり、面7又は可動体30に向かって突出する突起23と、を備え、突起23の接触面9に丸み部29が設けられている。【選択図】図2
Description
本発明は、慣性センサー、慣性計測装置、及び慣性センサーの製造方法に関する。
近年、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を用いて製造された慣性センサーが開発されている。このような慣性センサーとして、例えば特許文献1には、支持基板と、支持基板上に配置され、第1、第2質量部を有し、回転軸の周りにシーソー揺動する可動体と、支持基板上に設けられ、第1、第2質量部と対向する第1、第2固定電極と、を有し、可動体の互いに回転軸の周りの回転モーメントが異なる第1、第2質量部と、夫々に対向する位置に配置された第1、第2固定電極と、の間の静電容量の変化に基づいて鉛直方向の加速度を検出することができる物理量センサーが記載されている。
また、この物理量センサーは、可動体が過度にシーソー揺動した際に、可動体が第1、第2固定電極と接触することを防ぐために、第1、第2質量部に向かって突出する突起が支持基板に設けられている。
また、この物理量センサーは、可動体が過度にシーソー揺動した際に、可動体が第1、第2固定電極と接触することを防ぐために、第1、第2質量部に向かって突出する突起が支持基板に設けられている。
しかしながら、特許文献1に記載された物理量センサーは、可動体と突起との接触面積が大きいので、過度のシーソー揺動によって可動体と突起との接触回数が増えると、「スティッキング」と呼ばれる可動体と突起とが張り付いてしまい動作不良を起こす虞があった。
慣性センサーは、基板と、前記基板上に配置され、第1方向に沿う回転軸の周りに揺動可能な可動体と、前記回転軸として前記可動体を支持する支持梁と、前記可動体又は前記可動体に対向する面に設けられ、平面視で、前記可動体と重なり、前記面又は前記可動体に向かって突出する突起と、を備え、前記突起の接触面に丸み部が設けられている。
慣性計測装置は、上記に記載の慣性センサーと、前記慣性センサーから出力された検出信号に基づいて制御を行う制御部と、を備えている。
慣性センサーの製造方法は、基板と、前記基板上に配置され、第1方向に沿う回転軸の周りに揺動可能な可動体と、前記回転軸として前記可動体を支持する支持梁と、前記可動体又は前記可動体に対向する面に設けられ、平面視で、前記可動体と重なり、前記面又は前記可動体に向かって突出する突起と、を備え、前記突起の接触面に丸み部が設けられている、慣性センサーの製造方法であって、前記突起を形成する工程と、前記突起の前記接触面に前記丸み部を形成する工程と、を含む。
1.第1実施形態
先ず、第1実施形態に係る慣性センサー1について、鉛直方向の加速度を検出する加速度センサーを一例として挙げ、図1、図2、及び図3を参照して説明する。
尚、図1において、慣性センサー1の内部の構成を説明する便宜上、蓋5を取り外した状態を図示している。また、図1、図2、及び図3において、基板2に設けられた電極や配線と、外部端子と、を電気的に接続する配線は、省略している。
先ず、第1実施形態に係る慣性センサー1について、鉛直方向の加速度を検出する加速度センサーを一例として挙げ、図1、図2、及び図3を参照して説明する。
尚、図1において、慣性センサー1の内部の構成を説明する便宜上、蓋5を取り外した状態を図示している。また、図1、図2、及び図3において、基板2に設けられた電極や配線と、外部端子と、を電気的に接続する配線は、省略している。
また、説明の便宜上、以降の各図には、互いに直交する3つの軸として、X軸、Y軸、及びZ軸を図示している。また、X軸に沿った方向を「X方向」、Y軸に沿った方向を「Y方向」、Z軸に沿った方向を「Z方向」と言う。また、各軸方向の矢印先端側を「プラス側」、基端側を「マイナス側」、Z方向プラス側を「上」、Z方向マイナス側を「下」とも言う。また、Z方向は、鉛直方向に沿い、XY平面は、水平面に沿っている。また、本実施形態における第1方向とは、Y方向である。
図1及び図2に示す慣性センサー1は、センサー素子3の鉛直方向であるZ方向の加速度を検出することができる。このような慣性センサー1は、基板2と、基板2上に配置されたセンサー素子3と、基板2に接合され、センサー素子3を覆う蓋5と、を有する。
基板2は、図1に示すように、X方向及びY方向に広がりを有し、Z方向を厚さとする。また、基板2は、図2に示すように、下面側に窪む凹部21が形成されている。この凹部21は、Z方向からの平面視で、センサー素子3を内側に内包し、センサー素子3よりも大きく形成されている。凹部21は、センサー素子3と基板2との接触を抑制する逃げ部として機能する。また、基板2は、凹部21の底面である面7からセンサー素子3側に突出している固定部22と突起23とを有し、凹部21の面7に第1検出電極24、第2検出電極25、ダミー電極26、配線27、配線28、及び図示しない配線が配置されている。そして、固定部22の上面にセンサー素子3が接合されている。尚、突起23は、Z方向からの平面視で、センサー素子3の可動体30と重なる位置に配置され、可動体30に過度なシーソー揺動が生じた際に可動体30と接触することにより、可動体30のそれ以上のシーソー揺動を規制するストッパーとして機能する。
基板2としては、例えば、Na+等の可動イオンであるアルカリ金属イオンを含むガラス材料、例えば、パイレックス(登録商標)ガラス、テンパックス(登録商標)ガラスのような硼珪酸ガラスで構成されたガラス基板を用いることができる。ただし、基板2としては、特に限定されず、例えば、シリコン基板や石英基板を用いてもよい。
蓋5は、図2に示すように、上面側に窪む凹部51が形成されている。蓋5は、凹部51内にセンサー素子3を収納して基板2の上面に接合されている。そして、蓋5及び基板によって、その内側に、センサー素子3を収納する収納空間Sが形成されている。収納空間Sは、気密空間であり、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスが封入され、使用温度が-40℃~125℃程度で、ほぼ大気圧となっていることが好ましい。ただし、収納空間Sの雰囲気は、特に限定されず、例えば、減圧状態であってもよいし、加圧状態であってもよい。
蓋5としては、例えば、シリコン基板を用いることができる。ただし、これに特に限定されず、例えば、ガラス基板や石英基板を用いてもよい。また、基板2と蓋5との接合方法としては、特に限定されず、基板2や蓋5の材料によって適宜選択すればよく、例えば、陽極接合、プラズマ照射によって活性化させた接合面同士を接合させる活性化接合、ガラスフリット等の接合材による接合、基板2の上面及び蓋5の下面に成膜した金属膜同士を接合する金属共晶接合等を用いることができる。尚、基板2と蓋5との間にセンサー素子3と同層のシリコン基板やシリコン以外の材料の基板等が介在し、接合されていても構わない。
センサー素子3は、例えば、リン(P)、ボロン(B)、砒素(As)等の不純物がドープされた導電性のシリコン基板をエッチング、特に、深溝エッチング技術であるボッシュ・プロセスによって垂直加工することにより形成される。
センサー素子3は、図1に示すように、固定部22の上面に接合されている支持部32と、第1方向であるY方向に沿う回転軸Jの周りに揺動可能な可動体30と、回転軸Jとして可動体30を支持する一対の支持梁33と、を有する。固定部22と支持部32とは、例えば、陽極接合されており、支持梁33は、支持部32を介して、可動体30と固定部22とを接続していることとなる。
可動体30は、Z方向からの平面視で、X方向を長手方向とする長方形形状となっている。また、可動体30は、Z方向からの平面視で、Y方向に沿う回転軸Jを間に挟んで配置された第1質量部36及び第2質量部37と、第2質量部37のY方向の両端で第2連結部42によって連結されている第3質量部38と、を有する。また、第2質量部37と第3質量部38との間には、第1質量部36の面積と第2質量部37の面積とを等しくするために開口部44が設けられている。第1質量部36は、回転軸Jに対してX方向マイナス側に位置し、第2質量部37及び第3質量部38は、回転軸Jに対してX方向プラス側に位置する。また、第2質量部37及び第3質量部38は、第1質量部36よりもX方向に長く、Z方向の加速度Azが加わったときの回転軸J周りの回転モーメントが第1質量部36よりも大きい。
この回転モーメントの差によって、加速度Azが加わった際に可動体30が回転軸Jの周りにシーソー揺動する。尚、シーソー揺動とは、第1質量部36がZ方向プラス側に変位すると、第2質量部37がZ方向マイナス側に変位し、反対に、第1質量部36がZ方向マイナス側に変位すると、第2質量部37がZ方向プラス側に変位することを意味する。
また、可動体30は、第1質量部36と第2質量部37とが第1連結部41によって連結され、第1質量部36と第2質量部37との間に開口部43を有する。そして、開口部43内に支持部32及び支持梁33が配置されている。このように、可動体30の内側に支持部32及び支持梁33を配置することにより、センサー素子3の小型化を図ることができる。
また、可動体30は、その全域に均一に形成されている複数の貫通孔を有する。これにより、粘性によるダンピングを最適にすることができる。即ち、通常の動作に於いて加速度が印加された時に、ダンピング効果により容易にシーソー揺動を収束させることができる。尚、貫通孔は省略してもよいし、その配置や大きさが均一でなくてもよい。
また、可動体30は、Y方向に並んだ第1連結部41と支持部32とが、Y方向に延在する支持梁33によって接続されている。そのため、支持梁33を回転軸Jとして、可動体30を回転軸Jの周りにシーソー揺動で変位させることができる。
突起23は、基板2の凹部21の面7から可動体30に向かって突出し、可動体30と重なる位置に配置されている。本実施形態では、4つの突起23が配置され、第1質量部36に対向する位置に2つ、第2質量部37に対向する位置に2つ、それぞれ配置されている。第1質量部36に対向する突起23と第2質量部37に対向する突起23とは、回転軸Jを対称軸として線対称に配置されている。また、第1質量部36に対向する2つの突起23及び第2質量部37に対向する2つの突起23は、それぞれ、可動体30をY方向に2等分し、X方向に沿う線を中心線と定義すると、中心線を対称軸として線対称に配置されている。
突起23の第1質量部36と対向する接触面9上には、配線27の一部となる電極が設けられており、突起23の第2質量部37と対向する接触面9上には、ダミー電極26の一部となる電極が設けられている。また、それぞれの突起23の接触面9に設けられた電極上に可動体30側に丸みを有する丸み部29が設けられている。尚、丸み部29の構成材料としては、各電極24,25,26や配線27,28と材質が同じ、例えば、白金(Pt)、金(Au)、アルミニウム(Al)等の金属である。
丸み部29は、接触面9の回転軸Jから離れた側の端部に配置されている。つまり、第1質量部36と対向する突起23に設けられた丸み部29は、接触面9のX方向マイナス側の端部に、第2質量部37と対向する突起23に設けられた丸み部29は、接触面9のX方向プラス側の端部に配置されている。そのため、過度なシーソー揺動が生じた際に、可動体30と丸み部29との間隔を最短とすることができ、最初に可動体30と接触させることができる。また、丸み部29は、接触面9の端部において、可動体30側に丸みを有しているので、可動体30との接触面積を小さくすることができ、可動体30と丸み部29との接触回数が増えても、スティッキングの発生を低減することができる。更に、可動体30の面と丸み部29の丸み面との接触となるため、可動体30や突起23の破損を低減することができる。
また、センサー素子3に駆動信号を印加するための固定部22の上面の電極は、Z方向からの平面視で、支持梁33と重なる位置に設けられた配線28及び可動体30と電気的に接続している。そのため、ダミー電極26、配線27、及び配線28を同電位とすることで、可動体30と突起23の電極上に設けられた丸み部29とが同電位となり、過度なシーソー揺動が生じた際に、可動体30と丸み部29とが接触して生じるスティッキングの発生をより低減することができる。
次に、凹部21の面7に配置された第1検出電極24、第2検出電極25、及びダミー電極26について説明する。
図1及び図3に示すように、Z方向からの平面視で、第1検出電極24は、第1質量部36と重なって配置され、第2検出電極25は、第2質量部37と重なって配置されている。これら第1検出電極24及び第2検出電極25は、加速度Azが加わっていない自然状態で後述する静電容量Ca,Cbが等しくなるように、Z方向からの平面視で、回転軸Jに対して略対称に設けられている。
図1及び図3に示すように、Z方向からの平面視で、第1検出電極24は、第1質量部36と重なって配置され、第2検出電極25は、第2質量部37と重なって配置されている。これら第1検出電極24及び第2検出電極25は、加速度Azが加わっていない自然状態で後述する静電容量Ca,Cbが等しくなるように、Z方向からの平面視で、回転軸Jに対して略対称に設けられている。
また、ダミー電極26は、第2検出電極25よりもX方向プラス側に位置し、第3質量部38と重なって設けられている。このように、凹部21の面7をダミー電極26で覆うことにより、基板2中のアルカリ金属イオンの移動に伴う凹部21の面7の帯電を抑制することができる。そのため、凹部21の面7と第2質量部37との間に可動体30の誤作動に繋がるような意図しない静電引力が生じることを効果的に抑制することができる。そのため、加速度Azをより精度よく検出することのできる慣性センサー1となる。
図示しないが、慣性センサー1の駆動時には、図示しない配線を介してセンサー素子3に駆動電圧が印加され、第1検出電極24とQVアンプとが、第2検出電極25と別のQVアンプとが、それぞれ図示しない配線により接続される。これにより、第1質量部36と第1検出電極24との間に静電容量Caが形成され、第2質量部37と第2検出電極25との間に静電容量Cbが形成される。加速度Azが加わっていない自然状態では、静電容量Ca,Cbが互いにほぼ等しい。
慣性センサー1に加速度Azが加わると、可動体30が回転軸Jを中心にしてシーソー揺動する。この可動体30のシーソー揺動により、第1質量部36と第1検出電極24とのギャップと、第2質量部37と第2検出電極25とのギャップと、が逆相で変化し、これに応じて2つの静電容量Ca,Cbが互いに逆相で変化する。そのため、慣性センサー1は、2つの静電容量Ca,Cbの変化に基づいて加速度Azを検出することができる。
本実施形態の慣性センサー1は、突起23の接触面9に丸み部29が設けられているので、過度なシーソー揺動が生じた際に、可動体30と丸み部29との接触面積を小さくすることができ、可動体30と丸み部29との接触回数が増えても、スティッキングの発生を低減することができる。
また、丸み部29が金属であるため、突起23の接触面9上の電極と電気的に接続され、丸み部29と可動体30とを同電位とすることができ、過度なシーソー揺動が生じた際に、可動体30と丸み部29とが接触して生じるスティッキングの発生をより低減することができる。
次に、本実施形態の慣性センサー1の製造方法について、図4~図8を参照し説明する。
尚、図5~図8では、図2における第2質量部37に対向する突起23の断面図を一例として挙げ説明する。
尚、図5~図8では、図2における第2質量部37に対向する突起23の断面図を一例として挙げ説明する。
慣性センサー1の製造方法は、図4に示すように、準備工程と、固定部形成工程と、突起形成工程と、電極形成工程と、丸み部形成工程と、センサー素子形成工程と、蓋接合工程と、を含んでいる。
1.1 準備工程
先ず、ステップS1において、基板2となるガラス基板と、センサー素子3となるシリコン基板と、蓋5と、を準備する。尚、蓋5は、シリコン基板に凹部51をフォトリソグラフィー技法で形成して作成する。
先ず、ステップS1において、基板2となるガラス基板と、センサー素子3となるシリコン基板と、蓋5と、を準備する。尚、蓋5は、シリコン基板に凹部51をフォトリソグラフィー技法で形成して作成する。
1.2 固定部形成工程
次に、ステップS2において、ラッピングやポリッシュ加工等を施し、所望の厚さとしたガラス基板にフォトリソグラフィー技法で凹部21を形成することで、保護膜で覆われた固定部22がエッチングされず、凹部21内に形成することができる。
次に、ステップS2において、ラッピングやポリッシュ加工等を施し、所望の厚さとしたガラス基板にフォトリソグラフィー技法で凹部21を形成することで、保護膜で覆われた固定部22がエッチングされず、凹部21内に形成することができる。
1.3 突起形成工程
次に、ステップS3において、凹部21の面7にフォトリソグラフィー技法で突起23の保護膜を形成し、凹部21の底面をエッチングすることで、凹部21内に突起23を形成することができる。
次に、ステップS3において、凹部21の面7にフォトリソグラフィー技法で突起23の保護膜を形成し、凹部21の底面をエッチングすることで、凹部21内に突起23を形成することができる。
1.4 電極形成工程
次に、ステップS4において、フォトリソグラフィー技法で凹部21の底面となる面7、突起23の接触面9、及び固定部22の上面に、図2及び図3に示すように、第1検出電極24、第2検出電極25、ダミー電極26、配線27、配線28、及び図示しない配線を形成する。尚、突起23の接触面9上の電極と、配線27やダミー電極26と、は突起23の側面に形成された電極により電気的に接続されている。また、固定部22の上面上の電極と、配線28と、は固定部22の側面に形成された電極により電気的に接続されている。
次に、ステップS4において、フォトリソグラフィー技法で凹部21の底面となる面7、突起23の接触面9、及び固定部22の上面に、図2及び図3に示すように、第1検出電極24、第2検出電極25、ダミー電極26、配線27、配線28、及び図示しない配線を形成する。尚、突起23の接触面9上の電極と、配線27やダミー電極26と、は突起23の側面に形成された電極により電気的に接続されている。また、固定部22の上面上の電極と、配線28と、は固定部22の側面に形成された電極により電気的に接続されている。
1.5 丸み部形成工程
次に、ステップS5において、突起23の接触面9上にフォトリソグラフィー技法で丸み部29を形成する。詳細には、図5~図8を参照し説明する。
図5に示すように、ステップS4で、突起23の接触面9上にダミー電極26の一部となる電極が形成されており、尚、第1質量部36と対向する突起23の場合は、突起23の接触面9上に配線27の一部となる電極が形成されている。電極が形成された突起23に、レジスト61を塗布し、フォトリソグラフィー技法で丸み部パターンのレジスト61を除去し、図6に示すように、丸み部パターンを形成する。次に、白金(Pt)等の金属層62をスパッタ法や蒸着法により、図7に示すように、突起23を覆うように形成する。その後、レジスト61とレジスト61上の金属層62を除去するリフトオフ法によって、図8に示すように、突起23の接触面9の電極上に金属層62の丸み部29を形成することができる。
次に、ステップS5において、突起23の接触面9上にフォトリソグラフィー技法で丸み部29を形成する。詳細には、図5~図8を参照し説明する。
図5に示すように、ステップS4で、突起23の接触面9上にダミー電極26の一部となる電極が形成されており、尚、第1質量部36と対向する突起23の場合は、突起23の接触面9上に配線27の一部となる電極が形成されている。電極が形成された突起23に、レジスト61を塗布し、フォトリソグラフィー技法で丸み部パターンのレジスト61を除去し、図6に示すように、丸み部パターンを形成する。次に、白金(Pt)等の金属層62をスパッタ法や蒸着法により、図7に示すように、突起23を覆うように形成する。その後、レジスト61とレジスト61上の金属層62を除去するリフトオフ法によって、図8に示すように、突起23の接触面9の電極上に金属層62の丸み部29を形成することができる。
1.6 センサー素子形成工程
次に、ステップS6において、ステップS1で準備したシリコン基板を基板2の固定部22上に、陽極接合等で接合する。その後、シリコン基板を深溝エッチング技術であるボッシュ・プロセスによって垂直加工することによりセンサー素子3を形成する。
次に、ステップS6において、ステップS1で準備したシリコン基板を基板2の固定部22上に、陽極接合等で接合する。その後、シリコン基板を深溝エッチング技術であるボッシュ・プロセスによって垂直加工することによりセンサー素子3を形成する。
1.7 蓋接合工程
次に、ステップS7において、ステップS1で準備した蓋5の凹部51を基板2に対向させ、蓋5の下面と基板2の上面とを陽極接合やガラスフリット接合によって接合する。
以上によって、突起23に丸み部29を有する慣性センサー1が得られる。
次に、ステップS7において、ステップS1で準備した蓋5の凹部51を基板2に対向させ、蓋5の下面と基板2の上面とを陽極接合やガラスフリット接合によって接合する。
以上によって、突起23に丸み部29を有する慣性センサー1が得られる。
本実施形態の慣性センサー1の製造方法は、突起23を形成する突起形成工程と、突起23の接触面9に丸み部29を形成する丸み部形成工程と、を含んでいるため、突起23の接触面9に丸み部29を容易に形成することができる。また、丸み部29をリフトオフ法で形成するので、丸み部29を形成する際に、基板2の面7に設けられた電極24,25,26や配線27,28を保護することができ、信頼性に優れた慣性センサー1を製造することができる。
2.第2実施形態
次に、第2実施形態に係る慣性センサー1aについて、図9~図11を参照して説明する。尚、図9は、説明する便宜上、蓋5を取り外した状態を図示している。
次に、第2実施形態に係る慣性センサー1aについて、図9~図11を参照して説明する。尚、図9は、説明する便宜上、蓋5を取り外した状態を図示している。
本実施形態の慣性センサー1aは、第1実施形態の慣性センサー1に比べ、丸み部29aの構成材料と丸み部29aを形成する工程とが異なること以外は、第1実施形態の慣性センサー1及び製造方法と同様である。尚、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
慣性センサー1aの基板2aは、図9~図11に示すように、突起23の可動体30と対向する接触面9上に設けられた電極に、酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(Si3N4)等の絶縁膜で形成された丸み部29aが設けられている。また、接触面9上に設けられた電極と、丸み部29aとの間に、後述する図16に示すように、電極と丸み部29aと密着性を高めるために密着層63が形成されている。
密着層63の構成材料としては、例えば、白金(Pt)と酸化シリコン(SiO2)との密着性を高めることができるチタンタングステン(TiW)等である。
密着層63の構成材料としては、例えば、白金(Pt)と酸化シリコン(SiO2)との密着性を高めることができるチタンタングステン(TiW)等である。
また、第1質量部36と対向する突起23の接触面9上に設けられた電極は、第1検出電極24aの一部であり、第2質量部37と対向する突起23の接触面9上に設けられた電極は、第2検出電極25aの一部である。そのため、接触面9上に設けられた電極と可動体30とは、異なる電位であるが、可動体30と接触する丸み部29aが絶縁膜で形成されているため、可動体30と丸み部29aとのスティッキングの発生を低減することができ、第1実施形態の慣性センサー1と同様の効果を得ることができる。
尚、本実施形態では、接触面9上に設けられた電極と可動体30とが異なる電位であるが、これに限定される必要はなく、可動体30と接触する丸み部29aが絶縁膜で形成されているため、接触面9上に設けられた電極と可動体30とが同電位であっても構わない。
次に、本実施形態の慣性センサー1aの製造方法について、図12~図16を参照し説明する。尚、図12~図16では、図10における第2質量部37に対向する突起23の断面図を一例として挙げ説明する。
本実施形態の慣性センサー1aの製造方法は、第1実施形態の慣性センサー1の製造方法に比べ、ステップS5の丸み部形成工程が異なること以外は、第1実施形態の慣性センサー1の製造方法と同様である。尚、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
慣性センサー1aの丸み部29aを形成する前は、図12に示すように、ステップS4の電極形成工程で、突起23の接触面9上に第2検出電極25aが形成されており、尚、第1質量部36と対向する突起23の場合は、突起23の接触面9上に第1検出電極24aが形成されている。
慣性センサー1aの丸み部形成工程は、第2検出電極25aが形成された突起23の接触面9上で丸み部29aが配置される位置に、図13に示すように、リフトオフ法により、チタンタングステン(TiW)等の密着層63を形成する。次に、レジスト61を塗布し、フォトリソグラフィー技法で丸み部パターンのレジスト61を除去し、図14に示すように、丸み部パターンを形成する。その後、酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(Si3N4)等の絶縁層64をスパッタ法により、図15に示すように、突起23を覆うように形成する。次に、レジスト61とレジスト61上の絶縁層64を除去するリフトオフ法によって、図16に示すように、突起23の接触面9の第2検出電極25a上に密着層63を介して絶縁層64の丸み部29aを形成する。
本工程において、突起23の接触面9に密着層63を形成する工程により、突起23上に絶縁層64からなる絶縁膜の丸み部29aを形成することができる。
慣性センサー1aの丸み部形成工程は、第2検出電極25aが形成された突起23の接触面9上で丸み部29aが配置される位置に、図13に示すように、リフトオフ法により、チタンタングステン(TiW)等の密着層63を形成する。次に、レジスト61を塗布し、フォトリソグラフィー技法で丸み部パターンのレジスト61を除去し、図14に示すように、丸み部パターンを形成する。その後、酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(Si3N4)等の絶縁層64をスパッタ法により、図15に示すように、突起23を覆うように形成する。次に、レジスト61とレジスト61上の絶縁層64を除去するリフトオフ法によって、図16に示すように、突起23の接触面9の第2検出電極25a上に密着層63を介して絶縁層64の丸み部29aを形成する。
本工程において、突起23の接触面9に密着層63を形成する工程により、突起23上に絶縁層64からなる絶縁膜の丸み部29aを形成することができる。
本実施形態の慣性センサー1aの製造方法は、突起23の接触面9に密着層63を形成する工程を含むので、突起23の接触面9上に設けられた第1検出電極24a及び第2検出電極25aに剥離し難い絶縁膜の丸み部29aを形成することができる。
3.第3実施形態
次に、第3実施形態に係る慣性センサー1bについて、図17を参照して説明する。尚、図17は、図1中のA-A線における断面図に相当する。
次に、第3実施形態に係る慣性センサー1bについて、図17を参照して説明する。尚、図17は、図1中のA-A線における断面図に相当する。
本実施形態の慣性センサー1bは、第1実施形態の慣性センサー1に比べ、基板2bと蓋5bとの構造が異なること以外は、第1実施形態の慣性センサー1と同様である。尚、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
慣性センサー1bの蓋5bは、図17に示すように、蓋5bの凹部51の底面となる面8に可動体30に向かって突出する突起23bが設けられている。また、突起23bの接触面9b上に金属又は絶縁膜の丸み部29bが設けられている。そのため、可動体30に過度なシーソー揺動が生じた際に、蓋5bに設けられた突起23bと、可動体30と、が接触することで、第1実施形態の慣性センサー1と同様の効果を得ることができる。
4.第4実施形態
次に、第4実施形態に係る慣性センサー1cについて、図18を参照して説明する。尚、図18は、図1中のA-A線における断面図に相当する。
次に、第4実施形態に係る慣性センサー1cについて、図18を参照して説明する。尚、図18は、図1中のA-A線における断面図に相当する。
本実施形態の慣性センサー1cは、第1実施形態の慣性センサー1に比べ、基板2cとセンサー素子3cとの構造が異なること以外は、第1実施形態の慣性センサー1と同様である。尚、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
慣性センサー1cのセンサー素子3cは、図18に示すように、可動体30cに基板2cの凹部21の面7に向かって突出する突起23cが設けられている。また、突起23cの接触面9c上に金属の丸み部29cが設けられている。そのため、可動体30cに過度なシーソー揺動が生じた際に、可動体30cの突起23cに設けられた丸み部29cと、基板2cの面7と、が接触することで、第1実施形態の慣性センサー1と同様の効果を得ることができる。
尚、本実施形態では、突起23cが基板2cの面7に向かって突出しているが、これに限定されることはなく、突起23cが蓋5の面8に向かって突出していても構わない。
また、可動体30cに過度なシーソー揺動が生じた際に、金属の丸み部29cと接触する基板2cの面7に設けられたダミー電極26や配線27の一部となる電極が可動体30cと同電位であるが、これに限定されることはなく、丸み部29cを絶縁膜で形成することで、可動体30cに過度なシーソー揺動が生じた際に、丸み部29cと接触する電極を可動体30cと異なる電位としても構わない。
また、可動体30cに過度なシーソー揺動が生じた際に、金属の丸み部29cと接触する基板2cの面7に設けられたダミー電極26や配線27の一部となる電極が可動体30cと同電位であるが、これに限定されることはなく、丸み部29cを絶縁膜で形成することで、可動体30cに過度なシーソー揺動が生じた際に、丸み部29cと接触する電極を可動体30cと異なる電位としても構わない。
5.第5実施形態
次に、第5実施形態に係る慣性センサー1~1cを備えている慣性計測装置2000について、図19及び図20を参照して説明する。尚、以下の説明では、慣性センサー1を適用した構成を例示して説明する。
次に、第5実施形態に係る慣性センサー1~1cを備えている慣性計測装置2000について、図19及び図20を参照して説明する。尚、以下の説明では、慣性センサー1を適用した構成を例示して説明する。
図19に示す慣性計測装置2000(IMU:Inertial Measurement Unit)は、自動車や、ロボットなどの運動体の姿勢や、挙動などの慣性運動量を検出する装置である。慣性計測装置2000は、3軸に沿った方向の加速度Ax,Ay,Azを検出する加速度センサーと、3軸周りの角速度ωx,ωy,ωzを検出する角速度センサーと、を備えた、いわゆる6軸モーションセンサーとして機能する。
慣性計測装置2000は、平面形状が略正方形の直方体である。また、正方形の対角線方向に位置する2ヶ所の頂点近傍に、固定部としてのネジ穴2110が形成されている。この2ヶ所のネジ穴2110に2本のネジを通して、自動車などの被装着体の被装着面に慣性計測装置2000を固定することができる。尚、部品の選定や設計変更により、例えば、スマートフォンやデジタルカメラに搭載可能なサイズに小型化することも可能である。
慣性計測装置2000は、アウターケース2100と、接合部材2200と、センサーモジュール2300と、を有し、アウターケース2100の内部に、接合部材2200を介在させて、センサーモジュール2300を挿入した構成となっている。また、センサーモジュール2300は、インナーケース2310と、基板2320と、を有している。
アウターケース2100の外形は、慣性計測装置2000の全体形状と同様に、平面形状が略正方形の直方体であり、正方形の対角線方向に位置する2ヶ所の頂点近傍に、それぞれネジ穴2110が形成されている。また、アウターケース2100は、箱状であり、その内部にセンサーモジュール2300が収納されている。
インナーケース2310は、基板2320を支持する部材であり、アウターケース2100の内部に収まる形状となっている。また、インナーケース2310には、基板2320との接触を防止するための凹部2311や後述するコネクター2330を露出させるための開口2312が形成されている。このようなインナーケース2310は、接合部材2200を介してアウターケース2100に接合されている。また、インナーケース2310の下面には接着剤を介して基板2320が接合されている。
図20に示すように、基板2320の上面には、コネクター2330、Z軸周りの角速度を検出す角速度センサー2340z、X軸、Y軸およびZ軸の各軸方向の加速度を検出する加速度センサーユニット2350などが実装されている。また、基板2320の側面には、X軸周りの角速度を検出する角速度センサー2340x及びY軸周りの角速度を検出する角速度センサー2340yが実装されている。
加速度センサーユニット2350は、前述したZ方向の加速度を測定するための慣性センサー1を少なくとも含み、必要に応じて、一軸方向の加速度を検出したり、二軸方向や三軸方向の加速度を検出したりすることができる。尚、角速度センサー2340x、2340y、2340zとしては、特に限定されず、例えば、コリオリの力を利用した振動ジャイロセンサーを用いることができる。
また、基板2320の下面には、制御IC2360が実装されている。慣性センサー1から出力された検出信号に基づいて制御を行う制御部としての制御IC2360は、MCU(Micro Controller Unit)であり、不揮発性メモリーを含む記憶部や、A/Dコンバーターなどを内蔵しており、慣性計測装置2000の各部を制御する。記憶部には、加速度、および角速度を検出するための順序と内容を規定したプログラムや、検出データをデジタル化してパケットデータに組込むプログラム、付随するデータなどが記憶されている。尚、基板2320には、その他にも複数の電子部品が実装されている。
このような慣性計測装置2000は、慣性センサー1を含む加速度センサーユニット2350を用いているため、耐衝撃性に優れ、信頼性の高い慣性計測装置2000が得られる。
1,1a,1b,1c…慣性センサー、2…基板、3…センサー素子、5…蓋、7,8…面、9…接触面、21…凹部、22…固定部、23…突起、24…第1検出電極、25…第2検出電極、26…ダミー電極、27,28…配線、29…丸み部、30…可動体、32…支持部、33…支持梁、36…第1質量部、37…第2質量部、38…第3質量部、41…第1連結部、42…第2連結部、43,44…開口部、51…凹部、61…レジスト、62…金属層、63…密着層、64…絶縁層、2000…慣性計測装置、Ca,Cb…静電容量、J…回転軸、S…収納空間。
Claims (11)
- 基板と、
前記基板上に配置され、第1方向に沿う回転軸の周りに揺動可能な可動体と、
前記回転軸として前記可動体を支持する支持梁と、
前記可動体又は前記可動体に対向する面に設けられ、平面視で、前記可動体と重なり、前記面又は前記可動体に向かって突出する突起と、を備え、
前記突起の接触面に丸み部が設けられている、
慣性センサー。 - 前記丸み部は、金属である、
請求項1に記載の慣性センサー。 - 前記丸み部は、前記可動体と同電位である、
請求項1又は請求項2に記載の慣性センサー。 - 前記丸み部は、絶縁膜で形成されている、
請求項1に記載の慣性センサー。 - 前記突起の前記接触面には、電極が設けられており、
前記電極は、前記可動体と異なる電位である、
請求項4に記載の慣性センサー。 - 前記突起の前記接触面には、電極が設けられており、
前記電極は、前記可動体と同電位である、
請求項4に記載の慣性センサー。 - 前記電極と前記丸み部との間に密着層が形成されている、
請求項5又は請求項6に記載の慣性センサー。 - 請求項1乃至請求項7の何れか一項に記載の慣性センサーと、
前記慣性センサーから出力された検出信号に基づいて制御を行う制御部と、
を備えている、
慣性計測装置。 - 基板と、
前記基板上に配置され、第1方向に沿う回転軸の周りに揺動可能な可動体と、
前記回転軸として前記可動体を支持する支持梁と、
前記可動体又は前記可動体に対向する面に設けられ、平面視で、前記可動体と重なり、前記面又は前記可動体に向かって突出する突起と、を備え、
前記突起の接触面に丸み部が設けられている、慣性センサーの製造方法であって、
前記突起を形成する工程と、
前記突起の前記接触面に前記丸み部を形成する工程と、を含む、
慣性センサーの製造方法。 - 前記丸み部をリフトオフ法で形成する、
請求項9に記載の慣性センサーの製造方法。 - 前記突起の前記接触面に密着層を形成する工程、を含む、
請求項9又は請求項10に記載の慣性センサーの製造方法。
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JP2020125981A JP2022022024A (ja) | 2020-07-24 | 2020-07-24 | 慣性センサー、慣性計測装置、及び慣性センサーの製造方法 |
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