以下、本発明の好適な実施の形態について、添付の図面を参照しつつ、詳細に説明する。ただし、以下の説明において特に断らない限り、方向や向きに関する記述は、当該説明の便宜上、図面に対応するものであり、例えば実施品、製品または権利範囲等を限定するものではない。
また、特に断らない限り、以下の説明では、X軸、Y軸およびZ軸は、互いに垂直な軸を示す。また、Z軸は、鉛直方向に略平行な軸であり、上向きを正とする。
<1. 第1の実施の形態>
図1は、第1の実施の形態におけるキャンピングシステム100の概略の外観図である。キャンピングシステム100は、車載用ハウス200、側方固定具1、および、後方固定具2を備えている。
図1には、キャンピングシステム100とともに、車両7を図示している。車両7は、例えば、市場において一般的に流通している軽トラックやトラックである。車両7は、ロードレスト70、荷台側端部材71および荷台後端部材72を備えており、荷台に車載用ハウス200を搭載して移動することができる。
ロードレスト70は、車両7において、長尺物を荷台に載せるときに立てかけたりするために用いられる。また、ロードレスト70は、フレーム部材(鋼管)などによって構成される比較的強靱な構造物である。ただし、ロードレスト70の詳細については、後述する。
図2は、第1の実施の形態における荷台側端部材71を示す図である。
図2には、車両7から取り外されていたたために、図1において図示されていなかったアオリ75を仮想線(二点鎖線)で示している。また、図2は、車両7の左右の荷台側端部材71に対して準備されるアオリ75を示している。また、図2に示すアオリ75には、4つの蝶番750が溶接によって固設されている。より詳細には、蝶番750は、一般的な平蝶番であり、アオリ75側の羽根部材がアオリ75に溶接により固設されている。
アオリ75は、図2において図示しないが、車両7の左右の荷台側端部材71に対して準備されるとともに、車両7の後方の荷台後端部材72に対しても準備される。詳細は省略するが、通常、車両7の左右の荷台側端部材71に対して準備されるアオリ75は、車両7の後方の荷台後端部材72に対して準備されるアオリ75よりも、長手方向のサイズが大きいものとなっている。
アオリ75には、図示しない固定具が設けられており、当該固定具によってアオリ75は、図2に示す位置に固定される。この状態では、車両7の荷台の三方には、アオリ75によって壁が形成されるため、荷台は蓋のない箱状の構造物となる。これにより、荷台から荷物が落下することを防止することができる。一方で、アオリ75の固定具を外すと、アオリ75は、蝶番750によって回動して、荷台側端部材71(後方の場合は荷台後端部材72)側に移動する。この状態では、荷台は平坦状になるため、荷台に対して荷物の積み下ろしが楽になる。
このようなアオリ75は、市場に流通している軽トラックやトラックにおいて普通に見られる装備品であり、特殊な構造物ではない。ただし、アオリ75は、一般的には、車両7に対する専用品として製造される部品であって、車種や車両メーカーごとに形状、色、サイズ、様式等が異なるものである。すなわち、アオリ75は、車種や車両メーカーを超えて共通化されている製品ではなく、市場には様々な種類のアオリ75が存在する。
荷台側端部材71において、アオリ75に固設されている各蝶番750に対応する位置には、アオリ取付部73,74が設けられている。言い換えれば、荷台側端部材71の一部分がアオリ取付部73,74を構成している。そして、1つの蝶番750に対して、一対のアオリ取付部73,74が設けられている。
各アオリ取付部73には、貫通孔73aが形成されている。また、各アオリ取付部74には、貫通孔74aが形成されている。逆に言えば、荷台側端部材71の部分のうち、貫通孔73aが形成される部分がアオリ取付部73である。また、荷台側端部材71の部分のうち、貫通孔74aが形成される部分がアオリ取付部74である。
このような構造により、蝶番750に形成されたボルト穴(図示せず)と、貫通孔73a,74aとを連通するように配置して、当該連通孔にボルト(図示せず)を挿入し、ナット(図示せず)によって締結すれば、荷台側端部材71にアオリ75を容易に取り付けることができる。また、当該ボルトおよびナットによる締結を外せば、アオリ75は、容易に荷台側端部材71から取り外すことができる。
車両7において、アオリ75を取り外した状態であっても、貫通孔73a,74aが埋め戻されるわけではない。したがって、車両7は、例え、アオリ75を取り外した状態であっても、アオリ75を脱着するためのアオリ取付部73,74を備えている。
なお、以下の説明では、特に断らない限り、車両7は、図1に示すように、アオリ75を取り外した状態のものを示すものとする。また、第1の実施の形態における貫通孔73a,74aの開口の直径は、10mmとする。また、貫通孔73aと貫通孔74aとの中心距離は、50mmとする。ただし、寸法は、あくまでも例示である。
すでに説明したように、一般に、アオリ75は、車両7に対する専用品として製造される部品である。言い換えれば、車両7の専用品として製造されるアオリ75は、当該車両7と共通の設計思想に基づいて製造される。したがって、例え、市場に様々な種類のアオリ75が存在するとしても、車両7のアオリ取付部73,74は、すべてのアオリ75に対応する必要はない。すなわち、車両7(荷台側端部材71および荷台後端部材72)に、当該車両7の専用品としてのアオリ75に対応した(適合した)アオリ取付部73,74を装備させることは、格別の困難性を有しない。したがって、アオリ75に対応して設けられるアオリ取付部73,74についても、市場には様々な種類が存在している。
図1に戻って、車載用ハウス200は、外壁201、扉202および窓203を備えている。
外壁201は、それぞれが、車載用ハウス200の内部と外部とを隔てる壁部材として機能する板状の部材である。すなわち、図1において図示を省略しているが、車載用ハウス200は、複数の外壁201が適宜配置されることによって、内部が空洞の略箱状の構造物となっている。各外壁201は、一般的には、板状あるいはシート状の様々な材料を積層することよって製造される部材である。ただし、各外壁201の材質や構造は、配置される位置や用途に応じて、互いに異なっていてもよい。
図1に示すように、車載用ハウス200の外壁201には、扉202および窓203が取り付けられている。したがって、キャンピングシステム100の利用者は、扉202を開放することにより、車載用ハウス200の内部に立ち入ることが可能となっている。また、利用者は、窓203によって、内部から外の景色を楽しんだり、内部の空気を換気することができる。また、ここでは図示を省略しているが、車載用ハウス200の内部には、家具類(例えば、椅子、机、ベッド、収納箱)や、電化製品(例えば、音響設備、ランプ、空調設備、冷蔵設備、ポンプ)などが必要に応じて備え付けられている。このように、車載用ハウス200の内部空間は人の居住空間を形成しており、車載用ハウス200は、いわゆるキャンピングハウスを構成している。
車載用ハウス200は、図1に示すように車両7(トラックや貨車など)に搭載することが可能である。そして、車両7に搭載された状態で、当該車両7を移動させることにより、車載用ハウス200は容易に運搬可能である。このように、キャンピングシステム100の利用者は、車両7を簡単にキャンピングカーとして構成し、利用することが可能である。
通常、車載用ハウス200の製造者と、車両7の製造者とは、異なっており、特に製造上の協力関係にあるわけではない。すなわち、車載用ハウス200は、車両7と共通の設計思想に基づいて製造される製品ではない。車載用ハウス200は、コスト抑制のために、市場に流通している多様な車両7に搭載することができるように設計される。すなわち、アオリ75と異なり、車載用ハウス200は、車種や車両メーカーを超えて共通化されている製品(少なくとも共通化を目的としている製品)である。
図3は、第1の実施の形態における側方固定具1を示す図である。なお、図3において、側方固定具1の各部における寸法が記載されている。しかし、図3に示す寸法は、あくまでも第1の実施の形態における例示であって、図3に示す数値に限定されるものではない。以下の図において示す寸法についても同様である。
側方固定具1は、第1の実施の形態では、板状のステンレス製の部材である。なお、図3において図示していないが、第1の実施の形態における側方固定具1の厚さは、例えば3mmである。
側方固定具1の長手方向の端部は第1取付部10となっており、長手方向の他の端部は第2取付部11となっている。すなわち、側方固定具1において、第1取付部10および第2取付部11は、1つの部材を構成しており、着脱不可の状態で一体化されている。このような構造により、側方固定具1では、第1取付部10と第2取付部11とが互いに固定されている。したがって、側方固定具1は、第1取付部10に取り付けられた部材と、第2取付部11に取り付けられた部材とを固定する(取り付ける)機能を有している。
第1取付部10には、2つの貫通孔10a,10bが形成されている。貫通孔10a,10bは、いずれも円形の開口を形成している。第1の実施の形態において、貫通孔10a,10bの円形の開口直径は、10mmであり、貫通孔10a,10bの開口の中心距離は、50mmである。
すなわち、第1取付部10の貫通孔10a,10bの開口直径は、アオリ取付部73,74の貫通孔73a,74aの開口直径(10mm)に対応している。また、貫通孔10a,10bの開口の中心距離は、アオリ取付部73,74の貫通孔73a,74aの開口の中心距離(50mm)に対応している。したがって、第1取付部10を適宜配置することによって、貫通孔10aを貫通孔73aに連通させるとともに、貫通孔10bを貫通孔74aに連通させることができる。
このような構造により、側方固定具1(第1取付部10)は、蝶番750と同様に、ボルトおよびナットを用いることによって、アオリ取付部73,74に、着脱可能に取り付けることが可能である。すなわち、第1取付部10の貫通孔10a,10bは、いずれもボルト穴としての機能を有している。なお、第1取付部10は、荷台側端部材71のアオリ取付部73,74に取り付けられる部材(部品)であって、荷台後端部材72のアオリ取付部73,74に取り付けられる部材ではない。
このように、第1取付部10は、アオリ取付部73,74に対応し、アオリ取付部73,74に取り付けられる。すなわち、キャンピングシステムは、アオリ75を取り付けるために設けられているアオリ取付部73,74を、側方固定具1を取り付けるための構成として利用することができる。言い換えれば、車両7は、側方固定具1を取り付けるための構成を、アオリ取付部73,74とは別に備える必要がない。具体的に言えば、車両7の荷台側端部材71に、貫通孔73a,74aに相当するボルト穴を形成する必要がない。
車両7は2つの荷台側端部材71を備えており、1つの荷台側端部材71は4組のアオリ取付部73,74を備えている。したがって、車両7には、8個の側方固定具1を取り付けることができる。
図3に示すように、第2取付部11には、1つの貫通孔11aが形成されている。貫通孔11aは、円形の開口を形成している。第1の実施の形態における貫通孔11aの開口の直径は、12mmであるが、第2取付部11の詳細については後述する。
図4は、第1の実施の形態における外壁201のハウス側取付部204を示す部分図である。ハウス側取付部204は、外壁201の一部分であって、貫通孔204aが形成される部分である。逆に言えば、外壁201において、貫通孔204aが形成される部分がハウス側取付部204となる。
貫通孔204aの開口直径は、図4に例示するように、12mmであり、貫通孔11aの開口直径に応じて決定されている。また、詳細は後述するが、外壁201(ハウス側取付部204)において貫通孔204aが形成される位置は、アオリ取付部73,74に取り付けられた側方固定具1の第2取付部11に形成される貫通孔11aの位置に応じて決定される。
このような構造により、側方固定具1(第2取付部11)は、ボルトおよびナットを用いることによって、ハウス側取付部204に、着脱可能に取り付けることが可能である。すなわち、第2取付部11の貫通孔11aは、ボルト穴としての機能を有している。
このように、第2取付部11は、ハウス側取付部204と対応し、ハウス側取付部204に取り付けられる。
したがって、側方固定具1は、第1取付部10に取り付けられた荷台側端部材71と、第2取付部11に取り付けられた外壁201とを固定する(取り付ける)機能を有している。すなわち、側方固定具1は、車両7に、車載用ハウス200を固定する機能を有している。
図5は、第1の実施の形態における後方固定具2を示す図である。なお、図5において、後方固定具2の各部における寸法が記載されている。しかし、図5に示す寸法は、あくまでも例示であって、図5に示す数値に限定されるものではない。
後方固定具2は、第1の実施の形態では、板状のステンレス製の部材を折り曲げた形状の部材である。なお、図5において図示していないが、第1の実施の形態における後方固定具2の厚さは、3mmである。
後方固定具2は、第1取付部20および第2取付部21を備えている。後方固定具2において、第1取付部20および第2取付部21は、1つの部材を構成しており、着脱不可の状態で一体化されている。このような構造により、後方固定具2では、第1取付部20と第2取付部21とが互いに固定されている。したがって、後方固定具2は、第1取付部20に取り付けられた部材と、第2取付部21に取り付けられた部材とを固定する(取り付ける)機能を有している。
第1取付部20には、2つの貫通孔20a,20bが形成されている。貫通孔20a,20bは、いずれも円形の開口を形成している。第1の実施の形態において、貫通孔20a,20bの円形の開口直径は、10mmであり、貫通孔20a,20bの開口の中心距離は、50mmである。
また、図5に示すように、第2取付部21には、1つの貫通孔21aが形成されている。貫通孔21aは、円形の開口を形成している。第1の実施の形態における貫通孔21aの開口の直径は、12mmであるが、第2取付部21の詳細については後述する。
図6は、第1の実施の形態における底材205、荷台側端部材71および荷台後端部材72を示す部分図である。なお、図6において、各部における寸法が記載されている。しかし、図6に示す寸法は、あくまでも例示であって、図6に示す数値に限定されるものではない。
荷台後端部材72は、図1に示すように、車両7の荷台の後端部に配置される部材である。荷台後端部材72は、荷台側端部材71と同様に、アオリ取付部73,74を備えている。ただし、荷台後端部材72におけるアオリ取付部73,74の数は、いずれも2つである。荷台後端部材72におけるアオリ取付部73,74においても、貫通孔73a,74aの開口直径は10mmであり、貫通孔73a,74aの開口の中心距離は50mmである。
したがって、第1取付部20の貫通孔20a,20bの開口直径は、荷台後端部材72のアオリ取付部73,74の貫通孔73a,74aの開口直径(10mm)に対応している。また、貫通孔20a,20bの開口の中心距離は、アオリ取付部73,74の貫通孔73a,74aの開口の中心距離(50mm)に対応している。したがって、第1取付部20を適宜配置することによって、貫通孔20aを貫通孔73aに連通させるとともに、貫通孔20bを貫通孔74aに連通させることができる。
このような構造により、後方固定具2(第1取付部20)は、蝶番750と同様に、ボルトおよびナットを用いることによって、荷台後端部材72のアオリ取付部73,74に、着脱可能に取り付けることが可能である。すなわち、第1取付部20の貫通孔20a,20bは、いずれもボルト穴としての機能を有している。
このように、第1取付部10は、アオリ取付部73,74に対応し、アオリ取付部73,74に取り付けられる。すなわち、キャンピングシステム100は、アオリ75を取り付けるために設けられているアオリ取付部73,74を、後方固定具2を取り付けるための構成として利用することができる。言い換えれば、車両7は、後方固定具2を取り付けるための構成を、アオリ取付部73,74とは別に備える必要がない。具体的に言えば、車両7の荷台後端部材72に、貫通孔73a,74aに相当するボルト穴を形成する必要がない。
車両7は1つの荷台後端部材72を備えており、荷台後端部材72は2組のアオリ取付部73,74を備えている。したがって、車両7には、図1に示すように、2個の後方固定具2を取り付けることができる。
図6に示す底材205は、車載用ハウス200の底を形成する板状の部材である。ハウス側取付部206は、底材205の一部分であって、貫通孔206aが形成される部分である。逆に言えば、底材205において、貫通孔206aが形成される部分がハウス側取付部206となる。
貫通孔206aの開口直径は、図6に例示するように、12mmであり、第2取付部20(後方固定具2)の貫通孔21aの開口直径に応じて決定されている。また、詳細は後述するが、底材205(ハウス側取付部206)において貫通孔206aが形成される位置は、アオリ取付部73,74に取り付けられた後方固定具2の第2取付部21に形成される貫通孔21aの位置に応じて決定される。
このような構造により、後方固定具2(第2取付部21)は、ボルトおよびナットを用いることによって、ハウス側取付部206に、着脱可能に取り付けることが可能である。すなわち、第2取付部21の貫通孔21aは、ボルト穴としての機能を有している。
このように、第2取付部21は、ハウス側取付部206と対応し、ハウス側取付部206に取り付けられる。
したがって、後方固定具2は、第1取付部20に取り付けられた荷台後端部材72と、第2取付部21に取り付けられた底材205とを固定する(取り付ける)機能を有している。すなわち、後方固定具2は、車両7に、車載用ハウス200を固定する機能を有している。
図7は、第1の実施の形態における前方固定具3を示す図である。なお、図7は、前方固定具3が車両7に取り付けられるときの配置方向も示すものとする。すなわち、図7において、X軸は、車両7の左右方向に略平行な軸であり、左から右に向かう向きを正とする。また、図7において、Y軸は、車両7の前後方向に略平行な軸であり、後方から前方に向かう向きを正とする。
前方固定具3は、3本の円柱部材30,31,32を備えている。なお、第1の実施の形態における円柱部材30,31,32の断面直径(外径)は、いずれも12mmである。円柱部材30,31,32は、図7に示すように、互いに溶接によって固設されている。より具体的には、円柱部材30はY軸方向を長手方向とするように配置され、円柱部材30の(+Y)側の端部には、Z軸方向を長手方向とするように配置された円柱部材31の(+Z)側の端部が固設される。また、円柱部材31の(-Z)側の端部には、Y軸方向を長手方向とするように配置された円柱部材32の(+Y)側の端部が固設される。
円柱部材30の(+Y)側は、端部30aを形成している。したがって、円柱部材30,31,32が、先述のように、固設されることによって、端部30aおよび円柱部材31,32によって、第3取付部33が形成されている。
このように、前方固定具3は、第3取付部33を備えている。第3取付部33は、図7に示すように、略コの字状の部材を構成しており、嵌合空間34を形成している。
円柱部材30の(-Y)側の端部は、第2取付部30bを構成している。第2取付部30bの表面には、図7に示すようにネジ山が形成されている。したがって、円柱部材30は、ボルト部材を構成している。
図8は、ロードレスト70および外壁201を示す図である。図8に示す外壁201は、車載用ハウス200が備える複数の外壁201のうち、ロードレスト70のすぐ後方に配置される外壁201である。
ハウス側取付部204は、図8に示す外壁201の一部分であって、貫通孔204aが形成される部分である。逆に言えば、当該外壁201において、貫通孔204aが形成される部分がハウス側取付部204となる。
貫通孔204aの開口直径は、図8に例示するように、12mmであり、前方固定具3の第2取付部30bの外径に応じて決定されている。また、詳細は後述するが、外壁201(ハウス側取付部204)において貫通孔204aが形成される位置は、ロードレスト70に取り付けられた前方固定具3の第2取付部30bの位置に応じて決定される。
ロードレスト70は、鉛直方向に略平行に配置される2本の柱部材と、当該2本の柱部材に掛け渡される梁部材とを備えている。すなわち、ロードレスト70は、車両7において架橋構造を構成している。
図9は、前方固定具3がロードレスト70と外壁201とを固定する様子を示す図である。図9において、ロードレスト70および外壁201については、断面を示す。
図9に示すハウス側取付部204の内外面には、それぞれ補強プレート37が取り付けられている。補強プレート37は、スチール製の板状部材である。補強プレート37は、複数のネジ(図示せず)によってハウス側取付部204に取り付けられている。
補強プレート37の中央部には、貫通孔204aと連通される貫通孔(図示せず)が形成されている。したがって、補強プレート37がハウス側取付部204に取り付けられても、貫通孔204aは補強プレート37によって塞がれることはない。
第2取付部30bは、ナット35およびワッシャー36を通した状態で、ハウス側取付部204の貫通孔204aに(+Y)側から挿入される。これにより、ハウス側取付部204の外面側((+Y)側)に、ナット35およびワッシャー36が配置される。
貫通孔204aに挿入された第2取付部30bは、ハウス側取付部204(外壁201)を貫通して、(-Y)側に突出する。(-Y)側に突出した第2取付部30bには、ワッシャー36およびナット35が通される。
この状態で、(-Y)側のナット35を締めると、前方固定具3は、(-Y)側に移動する。また、(-Y)側のナット35を締めた状態で、(+Y)側のナット35を締めると、2個のナット35の距離が縮まり、2枚の補強プレート37によってハウス側取付部204が強く挟み込まれる。これによって、第2取付部30bは、ハウス側取付部204と対応し、ハウス側取付部204に取り付けられる。
なお、第2取付部30bの(-Y)側の端部がナット35に螺入できる状態であれば、第2取付部30bは、ハウス側取付部204に取り付けることが可能である。そして、図9から明らかなように、第2取付部30b(およそネジ山が形成されている部分)のY軸方向のサイズは、外壁201のY軸方向のサイズよりも充分に長いサイズとされている。したがって、第2取付部30bは、ハウス側取付部204(外壁201)のY軸方向の位置に対して汎用性を有している。言い換えれば、ロードレスト70に対して、外壁201が多少Y軸方向にズレたとしても、第2取付部30bを、ハウス側取付部204に取り付けることができる。
一方、(-Y)側のナット35を緩めて取り除くと、第2取付部30bを貫通孔204aから引き抜くことができる。すなわち、第2取付部30bをハウス側取付部204から取り外すことができる。
このように、第2取付部30bは、ハウス側取付部204に、取り付けることが可能であるとともに、取り外すことも可能である。すなわち、第2取付部30bは、ハウス側取付部204に対して着脱可能に取り付けられる。
第3取付部33によって形成された嵌合空間34には、ロードレスト70の梁部材が嵌め込まれる。言い換えれば、第3取付部33は、X軸方向に延びるロードレスト70に対して引っ掛けるフックのように機能する。すなわち、第3取付部33は、車両7が備えるロードレスト70に対応し、当該ロードレスト70に取り付けられる。
図7においてすでに説明したように、前方固定具3における円柱部材30,31,32は互いに固設されているため、第2取付部30bと第3取付部33とは一体化されている。すなわち、前方固定具3において、第2取付部30bと第3取付部33とは、互いに固定されている。
したがって、前方固定具3は、第2取付部30bに取り付けられたハウス側取付部204と、第3取付部33に取り付けられたロードレスト70とを固定する(取り付ける)機能を有している。すなわち、前方固定具3は、車両7に、車載用ハウス200を固定する機能を有している。
前方固定具3は、主に、外壁201(車載用ハウス200)の(-Y)方向への移動を規制するための部材である。そして、外壁201のY軸方向の位置は、一対のナット35によって調節され、固定される。
したがって、ロードレスト70の梁部材が、第3取付部33の嵌合空間34に嵌め込むことができるものであれば、第3取付部33はロードレスト70に取り付けることができる。例えば、ロードレスト70の梁部材の断面形状が円形であってもよい。あるいは、嵌合空間34内であれば、ロードレスト70の梁部材のZ軸方向の位置がズレてもよい。さらに、ロードレスト70の梁部材の断面が、図8に示すものよりも小さいものであってもよい。すなわち、第3取付部33は、フックとして機能する構造を採用することによって、ロードレスト70の専用品ではあるが、一定の汎用性も有している。したがって、例えば、市場に存在するいくつかのロードレスト70に対して共通化することもできる。
また、ロードレスト70の梁部材は、一般に、X軸方向において一様な部材である。したがって、第3取付部33のX軸方向の取り付け位置は、ロードレスト70の梁部材のX軸方向のサイズ内であれば、比較的自由に選択することができる。言い換えれば、第2取付部30bを挿入するためのハウス側取付部204の貫通孔204aのX軸方向の位置は、比較的自由に選択可能である。
以上が、第1の実施の形態におけるキャンピングシステム100の構成および機能の説明である。
次に、ハウス側取付部204およびハウス側取付部206を形成する手法について説明する。
すでに説明したように、第1取付部10または第1取付部20が取り付けられるアオリ取付部73,74は、車両7における専用品(専用構造)であって、市場には、多種多様なアオリ取付部73,74が存在する。また、第3取付部33が取り付けられるロードレスト70も、車両7における専用品(専用構造)であって、市場には、多種多様なロードレスト70が存在する。したがって、側方固定具1、後方固定具2および前方固定具3は、車両7における専用品である。
したがって、側方固定具1、後方固定具2および前方固定具3を取り付けるために、車載用ハウス200にハウス側取付部204およびハウス側取付部206を形成すると、当該車載用ハウス200は車両7の専用品となる。しかし、すでに説明したように、市場には、様々な車両7が存在しており、車載用ハウス200は、これらに共通化された製品であることが望ましい。
一方で、キャンピングシステム100において、一旦、車載用ハウス200に対して車両7が選択されると、その後は、選択された車両7が容易には他の車両7に変更されないという事情がある。したがって、車載用ハウス200については、ハウス側取付部204およびハウス側取付部206を形成しない状態で販売することにより、車両7が選択されるまでは、車両7の専用品ではない状態で販売する。これにより、車載用ハウス200の製造コストを抑制することができる。
そして、購入者が決定し、車両7が選択されると、選択された車両7の専用品としての側方固定具1、後方固定具2および前方固定具3を選択するとともに、これらの部材に対応したハウス側取付部204およびハウス側取付部206を形成する加工処理を車載用ハウス200に対して施す。すなわち、車載用ハウス200に、ハウス側取付部204およびハウス側取付部206を形成するタイミングは、車両7が選択された後であることが好ましい。
すでに説明したように、ハウス側取付部204とは、外壁201の所定の位置に貫通孔204a(本実施の形態では、内径12mmの貫通孔)を形成したものである。また、ハウス側取付部206とは、底材205の所定の位置に貫通孔206a(本実施の形態では、内径12mmの貫通孔)を形成したものである。したがって、第2取付部11,21,30bが取り付けられるハウス側取付部204およびハウス側取付部206は、いずれも所定の貫通孔(本実施の形態では、内径12mmの貫通孔)が形成された板状部材である。
このように、第1の実施の形態におけるキャンピングシステム100は、側方固定具1、後方固定具2および前方固定具3を用いることによって、ハウス側取付部204およびハウス側取付部206を、所定の貫通孔が、所定の位置に形成された板状部材に共通化しているといえる。したがって、ハウス側取付部204およびハウス側取付部206を形成する手法は、車載用ハウス200において、所定の貫通孔を形成する位置を決定することによって実現できることがわかる。
車両7が選択されると、選択された車両7の専用品としての側方固定具1、後方固定具2および前方固定具3を決定することができる。そして、車両7、側方固定具1、後方固定具2および前方固定具3が決定されれば、厳密には、ハウス側取付部204およびハウス側取付部206を形成するための所定の貫通孔を形成する位置を決定することも可能である。しかし、単純に、車両7、側方固定具1、後方固定具2および前方固定具3の設計寸法だけで貫通孔を形成する位置を決定し、当該貫通孔を形成すると、問題を生じる場合がある。
例えば、第2取付部11が取り付けられるハウス側取付部204では、貫通孔204aの位置が1mmでもズレると、貫通孔11aおよび貫通孔204aにボルトを挿入することが困難になり、取り付けられない事態も発生しうる。すなわち、貫通孔を形成するときに高精度な位置決めが要求されるという問題がある。
すでに説明したように、前方固定具3のX軸方向の位置は、ロードレスト70の梁部材のX軸方向における位置であれば許容される。また、前方固定具3のZ軸方向の位置は、ロードレスト70の梁部材と嵌合空間34とが嵌合可能であれば、その範囲で許容される。
具体的には、貫通孔204aの内面下端((-Z)方向の端面)の高さ位置が、ロードレスト70の梁部材の(+Z)側端面より上方であれば、第3取付部33とロードレスト70の梁部材の(+Z)側とが干渉することはない。また、貫通孔204aの内面下端((-Z)方向の端面)の高さ位置と、ロードレスト70の梁部材の(-Z)側端面の高さ位置との距離が、ロードレスト70の梁部材のZ軸方向のサイズより大きければ、第3取付部33とロードレスト70の梁部材の(-Z)側とが干渉することはない。
したがって、前方固定具3の第2取付部30bが挿入される貫通孔204aについては、設計寸法に基づいて予め形成したとしても、問題を生じるおそれは低いと言える。そこで、まず、車載用ハウス200において、高度な位置決め精度を要求されない貫通孔204aを形成する。そして、当該貫通孔204aを形成すると、形成した貫通孔204aの位置に応じて、2枚の補強プレート37をネジでそれぞれ取り付ける。
次に、側方固定具1の第1取付部10、および、後方固定具2の第1取付部20を、アオリ取付部73,74に取り付ける。側方固定具1および後方固定具2は、いずれも車両7の専用品として選択されている部材である。したがって、側方固定具1および後方固定具2は、問題なく、アオリ取付部73,74に取り付けることができる。
側方固定具1および後方固定具2を車両7に取り付けると、車載用ハウス200を当該車両7に搭載する。そして、ロードレスト70の梁部材に第3取付部33を引っ掛けた状態で、貫通孔204a(すでに形成されている)に、第2取付部30bを挿入して、ナット35によって締結する。このようにして、前方固定具3によって、車両7と車載用ハウス200とが固定される。
次に、車両7に取り付けてある側方固定具1において、第2取付部11の貫通孔11aの位置に基づいて、外壁201に、貫通孔204aを形成する。同様に、車両7に取り付けてある後方固定具2において、第2取付部21の貫通孔21aの位置に基づいて、底材205に、貫通孔206aを形成する。
このように、すでに所定の位置に配置されている貫通孔11aおよび貫通孔21aの位置を基準にして、貫通孔204aおよび貫通孔206aを形成することにより、高精度に貫通孔204aおよび貫通孔206aの位置を決定することができる。
貫通孔204aおよび貫通孔206aを形成することにより、ハウス側取付部204およびハウス側取付部206を形成すると、第2取付部11,21を、ボルトおよびナットを用いて、ハウス側取付部204およびハウス側取付部206に取り付ける。このようにして、側方固定具1および後方固定具2によって、車両7と車載用ハウス200とが固定される。
したがって、キャンピングシステム100は、専用品(側方固定具1、後方固定具2および前方固定具3)を採用しつつも、車載用ハウス200を汎用品とすることができるため、コストの上昇を最低限度に抑制することができる。
以上のように、キャンピングシステム100は、ハウス側取付部204,206が形成された車載用ハウス200と、アオリ75を脱着するためのアオリ取付部73,74を備えた車両7と車載用ハウス200とを固定する側方固定具1および後方固定具2とを備える。また、側方固定具1および後方固定具2は、アオリ取付部73,74に対応し、アオリ取付部73,74に取り付けられる第1取付部10,20と、ハウス側取付部204,206と対応し、ハウス側取付部204,206に取り付けられる第2取付部11,21とを備え、第1取付部10,20と第2取付部11,21とが互いに固定される。このように、車両7が備えるアオリ取付部73,74に対応することにより、車両7を改造する必要がない。
また、キャンピングシステム100は、ロードレスト70を備えた車両7と車載用ハウス200とを固定する前方固定具3を備える。また、前方固定具3は、ハウス側取付部204と対応し、ハウス側取付部204に取り付けられる第2取付部30bと、ロードレスト70に対応し、ロードレスト70に取り付けられる第3取付部33とを備え、第2取付部30bと第3取付部33とが互いに固定される。このように、車両7が備えるロードレスト70に対応することにより、車両を改造する必要がない。
また、アオリ取付部73,74に挿入されるボルト用の挿入孔(貫通孔10a,20a)が第1取付部10,20に形成されることにより、簡易な構造で第1取付部10,20を実現することができる。
また、第1取付部10,20および第2取付部11,21は、着脱不可の状態で一体化されていることにより、第1取付部10,20と第2取付部11,21とを、別途、取り付ける必要がない。したがって、作業負担が軽減される。
また、前方固定具3の向きは、図9に示す向きに限定されるものではない。例えば、ロードレスト70の上方に張り出した外壁201にハウス側取付部204を形成し、上方からつり下げるような向きに前方固定具3を配置してもよい。このように配置することにより、前方固定具3は、車載用ハウス200の前後方向の動きを規制することができる。
<2. 第2の実施の形態>
第1の実施の形態における荷台側端部材71および荷台後端部材72は、蝶番750の羽根部材を固定するボルトを外すことによって、アオリ75を取り外す形式であった。しかし、アオリを取り外す形式はこれに限定されるものではない。
図10は、第2の実施の形態におけるキャンピングシステム110の概略の外観図である。キャンピングシステム110は、車両7の代わりに車両8に搭載される点が、第1の実施の形態におけるキャンピングシステム100と異なっている。また、キャンピングシステム110は、側方固定具1および後方固定具2の代わりに、荷台用固定具40,41を備える点がキャンピングシステム100と異なっている。以下の説明では、キャンピングシステム110において、キャンピングシステム100と同様の構成については、適宜、同符号を付し、説明を省略する場合がある。
キャンピングシステム110が搭載される車両8は、荷台側端部材71の代わりに荷台側端部材81を備える点と、荷台後端部材72の代わりに荷台後端部材82を備える点が車両7と異なっている。また、車両8は、アオリ取付部73,74の代わりに、アオリ取付部83を備える点も、車両7と異なっている。
図11は、第2の実施の形態における荷台側端部材81を示す図である。なお、図11には、車両8から取り外されていたたために、図10において図示されていなかったアオリ85を仮想線(二点鎖線)で示している。
アオリ85は、車両8の左右の荷台側端部材81に対して準備されるとともに、車両8の後方の荷台後端部材82に対しても準備される。詳細は省略するが、通常、車両8の左右の荷台側端部材81に対して準備されるアオリ85は、車両8の後方の荷台後端部材82に対して準備されるアオリ85よりも、長手方向のサイズが大きいものとなっている。すなわち、車両8に対しては、3つのアオリ85が準備されるが、図11は、車両8の左の荷台側端部材81に対して準備されるアオリ85を示している。
荷台側端部材81において、アオリ85に固設されている各羽根部材850に対応する位置には、アオリ取付部83が着脱不可の状態(第1の実施の形態では溶接された状態)で設けられている。すなわち、荷台側端部材81には、4つのアオリ取付部83が設けられている。なお、図10に示すように、荷台後端部材82には、2つのアオリ取付部83が設けられている。
荷台側端部材81が備えるアオリ取付部83は、抜差蝶番の羽根部材を構成している。したがって、アオリ取付部83は、管部830を備えている。なお、アオリ取付部83の管部830は、心棒を備えておらず、貫通孔を形成している。以下、アオリ取付部83の管部830の内径は、φ[mm]とする。
また、図11に示すアオリ85には、4つの羽根部材850が溶接によって固設されている。
羽根部材を構成するアオリ取付部83と、アオリ85が備える羽根部材850とは、いわゆる抜差蝶番を構成している。抜差蝶番とは、2つの羽根部材と、1本の心棒から構成される蝶番である。2つの羽根部材にはそれぞれ管部(例えば、管部830)が形成されており、通常は、一方の羽根部材の管部に心棒が挿入されて固定されている。当該心棒の一部は挿入された管部から突出しており、他方の羽根部材の管部に挿入される。抜差蝶番の構造および機能は、従来の技術を適宜採用可能であるため、詳細な説明を省略する。ただし、羽根部材850側に心棒が固設されているものとする。
アオリ取付部83と羽根部材850とによって構成される抜差蝶番は、第1の実施の形態における蝶番750と同様に、部材を回動させる機能を提供する。したがって、アオリ85は、アオリ75と同様に回動することが可能であり、アオリ75と同様の機能を発揮する。
第1の実施の形態におけるアオリ75は、蝶番750を取り付けているボルトを取り外すことにより、車両7から外れる構造であった。しかし、アオリ85は、平蝶番である蝶番750の代わりに、抜差蝶番で取り付けられている。したがって、ストッパー(図示せず)を外した後に、アオリ85を車両8の後方に向けてスライドさせると、アオリ85は、車両8から外れる構造である。逆に、4つの羽根部材850を、それぞれに対応するアオリ取付部83の位置に合わせて、アオリ85を車両8の前方に向けてスライドさせると、アオリ85を車両8に取り付けることができる(取り付けた後に、先述のストッパーで固定する。)。すなわち、車両8においても、アオリ85は、アオリ75と同様に着脱自在であり、アオリ取付部83はアオリ85を脱着するための部材である。
アオリ取付部83は、溶接によって固定されているため、車両8からアオリ85を取り外した状態であっても、当該車両8はアオリ取付部83を備えている。なお、以下の説明では、特に断らない限り、車両8は、図10に示すように、アオリ85を取り外した状態のものを示すものとする。
図12は、第2の実施の形態における荷台用固定具40を示す図である。荷台用固定具40は、第1取付部400および第2取付部401を備えている。荷台用固定具40において、第1取付部400および第2取付部401は一体的な構造物を構成しており、互いに固定されている。
第1取付部400は、管状の本体部分と、凸部402とを備えている。第2の実施の形態における第1取付部400において、凸部402は、本体部分に挿入されて固定された丸棒部材の一部分であって、本体部分に挿入されずに突出した部分である。
凸部402の外径は、φ[mm]とされており、アオリ取付部83の管部830の内径(φ[mm])と対応している。したがって、凸部402は、図12に示すように、アオリ取付部83の管部830に挿入可能である。すなわち、第1取付部401は、アオリ取付部83に挿入される凸部402を備えている。このように、第1取付部400は、凸部402を管部830に挿入することによって、アオリ取付部83に取り付けられる。
第2取付部401は、板状の部材であって、貫通孔401a,401bが形成されている。第2の実施の形態における第2取付部401において、貫通孔401a,401bの内径は、S[mm]であり、互いの中心距離はL[mm]である。
図13は、第2の実施の形態におけるハウス側取付部207を示す図である。ハウス側取付部207は、外壁201の一部分であって、貫通孔207a,207bが形成される部分である。逆に言えば、外壁201のうち、貫通孔207a,207bが形成された部分がハウス側取付部207となる。なお、詳細は省略するが、第2の実施の形態における底材205も、ハウス側取付部207を2つ備えている。
第2の実施の形態におけるハウス側取付部207において、貫通孔207a,207bの内径は、S[mm]であり、互いの中心距離はL[mm]である。すなわち、第2取付部401の貫通孔401a,401bは、ハウス側取付部207の貫通孔207a,207bと対応している。
図14は、第2の実施の形態におけるハウス側取付部207に荷台用固定具40を取り付ける様子を示した図である。図14において、外壁201の左側が車載用ハウス200の外部であり、右側が内部である。また、ハウス側取付部207には、補強プレート44が内部からネジによって取り付けられている。補強プレート44は、第1の実施の形態における補強プレート37に相当する部材であるが、貫通孔207a,207bと連通する2つの貫通孔が形成されている点が異なる。
ハウス側取付部207に荷台用固定具40を取り付けるときには、ボルト45にワッシャー46を通した上で、第2取付部401の貫通孔401bおよびハウス側取付部207の貫通孔207bを貫通するように挿入する。車載用ハウス200の内部側に突出したボルト45の端部にワッシャー46とナット47とを取り付けて締結する(ナット47を締める。)。そして、貫通孔401a側についても同様に行う。
このようにして、第2取付部401は、貫通孔401a,401bに挿入されるボルト45によって外壁201(ハウス側取付部207)に取り付けられる。
したがって、荷台用固定具40は、車両8に、車載用ハウス200を固定する。なお、ボルト45を抜き取って第2取付部401を開放してから、第1取付部400の凸部402をアオリ取付部83の管部830から抜き取ることにより、荷台用固定具40を取り外すことができる。
図15は、第2の実施の形態における荷台用固定具41を示す図である。荷台用固定具41は、第1取付部410および第2取付部411を備えている。荷台用固定具41において、第1取付部410および第2取付部411は一体的な構造物を構成しており、互いに固定されている。
第1取付部410は、管状の本体部分と、凸部412とを備えている。
荷台用固定具40において、第1取付部400は、第2取付部401の右側に配置されており、丸棒部材の左側が凸部402を構成していた。しかし、荷台用固定具41において、第1取付部410は、第2取付部411の左側に配置されており、丸棒部材の右側が凸部412を構成している。それ以外の点については、第1取付部410は、第1取付部400と同じであるため説明を省略する。
すなわち、第1取付部410は、凸部412を管部830に挿入することによって、アオリ取付部83に取り付けられる。
第2取付部411は、板状の部材であって、貫通孔411a,411bが形成されている。荷台用固定具40の第2取付部401では、右方に第1取付部400が配置されていたが、荷台用固定具41の第2取付部411では、左方に第1取付部410が配置されている。それ以外の点については、第2取付部411は、第2取付部401と同じであるため説明を省略する。
このような構造によって、荷台用固定具41は、荷台用固定具40と同様に、車両8に、車載用ハウス200を着脱自在に固定する。
荷台用固定具41が図10に示すように、車両8の左側に設けられた場合、当該荷台用固定具41は、車載用ハウス200が後方に移動することを規制する機能を発揮する。一方、荷台用固定具40が図10に示すように、車両8の左側に設けられた場合、当該荷台用固定具40は、車載用ハウス200が前方に移動することを規制する機能を発揮する。このように、車両8の左側において、荷台用固定具40と、荷台用固定具41とがそれぞれ2個ずつ設けられる。したがって、車両8の左側において、車載用ハウス200は、前後方向についてバランスよく固定される。
また、荷台用固定具40が、車両8の後側に設けられた場合、当該荷台用固定具40は、車載用ハウス200が左方に移動することを規制する機能を発揮する。一方、荷台用固定具41が、車両8の後側に設けられた場合、当該荷台用固定具41は、車載用ハウス200が右方に移動することを規制する機能を発揮する。車両8の後側に配置される荷台後端部材82については、図10に示すように、2個のアオリ取付部83が設けられている。例えば、左側のアオリ取付部83に荷台用固定具40を取り付け、右側のアオリ取付部83に荷台用固定具41を取り付けると、車両8の後方において、車載用ハウス200は、左右方向についてバランスよく固定される。
なお、第1の実施の形態では、外壁201に取り付ける場合と、底材205に取り付ける場合とでは、異なる固定具(側方固定具1および後方固定具2)を用いていた。しかし、荷台用固定具40および荷台用固定具41は、アオリ取付部83とともに抜差蝶番を形成するため、回動させて配置させることが可能である。したがって、固定対象である荷台後端部材82および底材205が垂直方向に配置されていても、荷台用固定具40および荷台用固定具41は、アオリ取付部83に取り付けることができる。
図16は、車両8において、右側面に設けられているアオリ取付部83に、荷台用固定具40を取り付ける様子を示す図である。また、図17は、車両8において、右側面に設けられているアオリ取付部83に、荷台用固定具41を取り付ける様子を示す図である。
車両8において、右側面に設けられる荷台側端部材81は、左側面に設けられる荷台側端部材81(図11に示す荷台側端部材81)と同様に、車両8の後方にスライドさせることによって取り外すように構成されている。このように構成する場合、右側面に設けられる荷台側端部材81のアオリ取付部83は、図16および図17に示すように、管部830が右方に配置される。図12および図15に示すアオリ取付部83は、管部830が左方に配置されており、管部830の配置位置が逆になることがわかる。
このように、管部830の配置位置が逆になった場合であっても、図16および図17に示すように、荷台用固定具40および荷台用固定具41は、アオリ取付部83に取り付けることが可能である。
そして、荷台用固定具40が車両8の右側に設けられた場合、当該荷台用固定具40は、車載用ハウス200が後方に移動することを規制する機能を発揮する。一方、荷台用固定具41が車両8の右側に設けられた場合、当該荷台用固定具41は、車載用ハウス200が前方に移動することを規制する機能を発揮する。したがって、車両8の右側においても、荷台用固定具40と、荷台用固定具41とをそれぞれ2個ずつ設けることにより、車載用ハウス200は、前後方向についてバランスよく固定される。
なお、図10に示すように、車両8はロードレスト70を備えている。したがって、第2の実施の形態におけるキャンピングシステム110においても、前方固定具3によって車両8と、車載用ハウス200とを固定することができる。
以上のように、第2の実施の形態におけるキャンピングシステム110は、アオリ85を脱着するためのアオリ取付部83を備えた車両8に、ハウス側取付部207が形成された車載用ハウス200を固定する荷台用固定具40,41を備えている。そして、荷台用固定具40,41は、アオリ取付部83に対応し、アオリ取付部83に取り付けられる第1取付部400,410と、ハウス側取付部207と対応し、ハウス側取付部207に取り付けられる第2取付部401,411とを備え、第1取付部400,410と第2取付部401,411とが互いに固定される。これによって、車両8が備えるアオリ取付部83に対応することにより、車両8を改造することなく、車載用ハウス200を固定することができる。
また、第1取付部400,410は、アオリ取付部83に挿入される凸部402,412を備える。これにより、別途、第1取付部400,410を取り付けるためのボルトやピンといった嵌合部材を用意する必要がない。また、抜差蝶番によって取り付けられているアオリ85を備える車両8にも対応できる。
第1取付部400,410および第2取付部401,411は、着脱不可の状態で一体化されているため、第1取付部400,410と第2取付部401,411とを、別途、取り付ける必要がない。したがって、作業負担が軽減される。
<3. 第3の実施の形態>
上記実施の形態では、例えば、第1取付部および第2取付部が、着脱不可の状態で一体化されている例について説明した。しかし、本発明は、このような例に限定されるものではない。
図18は、第3の実施の形態におけるキャンピングシステム120の概略の外観図である。キャンピングシステム120は、側方固定具1の代わりに側方固定具5を備えている点が、第1の実施の形態におけるキャンピングシステム100と異なっている。以下の説明では、キャンピングシステム120において、キャンピングシステム100と同様の構成については、適宜、同符号を付し、説明を省略する場合がある。
図19は、第3の実施の形態における側方固定具5を示す図である。側方固定具5は、ターンバックル50、第1取付部51および第2取付部52を備えている。
ターンバックル50は、本体部500、リング501,502、ボルト部材503,504を備えており、一般的なターンバックルを構成している。
本体部500は、前面および後面のない略箱状の部材である。本体部500の底面には貫通孔500aが形成されるとともに、本体部500の上面には貫通孔500bが形成される。貫通孔500aおよび貫通孔500bの内面にはネジ溝が形成されており、ボルト部材503,504が螺入される。
リング501,502は、円環状の金属製の部材であって、ボルト部材503,504に一部が挿入される。
ボルト部材503,504は、ボルトの頭に相当する円管部材と、ボルトの軸に相当する軸部材とを備えている。円管部材にはリング501,502が挿入される。軸部材にはネジ山が形成されており、本体部500の貫通孔500a,500bに螺入される。
このような構造により、ターンバックル50では、本体部500を所定の軸(図19においては上下方向の軸)を中心に回転させると、ボルト部材503,504が本体部500に進入あるいは退出し、ターンバックル50の長手方向のサイズが伸びたり縮んだりする。ターンバックル50は、従来の技術を適宜適用可能であるため、これ以上の説明は省略する。
第1取付部51は、基台510と、フック511とを備える。基台510には、貫通孔510a,510bが形成されている。貫通孔510a,510bの内径は10mmであり、アオリ取付部73,74の貫通孔73a,74aの内径と対応している。また、貫通孔510a,510bの中心距離は50mmであり、アオリ取付部73,74の貫通孔73a,74aの中心距離と対応している。したがって、第1取付部51は、第1の実施の形態における第1取付部10と同様に、アオリ取付部73,74に着脱自在に取り付けることができる。
フック511は、基台510に立設され固定されている。フック511には、リング501が嵌め込まれる。すなわち、リング501は、フック511に引っ掛けることが可能とされている。
第2取付部52は、基台520と、フック521とを備える。基台520には、貫通孔520a,520bが形成されている。また、基台520には、フック521が立設され固定されている。フック521には、リング502が嵌め込まれる。
第3の実施の形態においては、第1取付部51と第2取付部52とは、上下方向の向きが異なるだけで、同一の部品である。すなわち、第1取付部51と第2取付部52との部品が共通化されている。
図20は、第3の実施の形態におけるハウス側取付部208を示す図である。
ハウス側取付部208は、外壁201の一部分であって、貫通孔208a,208bが形成される部分である。逆に言えば、外壁201のうち、貫通孔208a,208bが形成された部分がハウス側取付部208となる。
第3の実施の形態におけるハウス側取付部208において、貫通孔208a,208bの内径は、10mmであり、互いの中心距離は50mmである。すなわち、第2取付部52の貫通孔520a,520bは、ハウス側取付部208の貫通孔208a,208bと対応している。
なお、第2取付部52をハウス側取付部208に着脱する手順は、例えば、第2の実施の形態における手順(図14)に準じて実行できるため、詳細な説明は省略する。
第3の実施の形態における側方固定具5によって、車両7と車載用ハウス200とを固定する手順を説明する。
車両7の荷台側端部材81に存在するアオリ取付部73,74に、第1取付部51を取り付ける。
次に、設計寸法に従って、車載用ハウス200の外壁201の所定の位置に、貫通孔208a,208bを形成することにより、ハウス側取付部208を形成する。
ハウス側取付部208が形成されると、ボルト、ワッシャー、補強プレートなどを用いて、ハウス側取付部208に第2取付部52を取り付ける。
第1取付部51および第2取付部52をそれぞれ取り付けたら、ジャッキやクレーンなどを使用して、車載用ハウス200を車両7に積載する。
ターンバックル50の本体部500を操作して、ターンバックル50を伸ばし、リング501を第1取付部51のフック511に引っ掛けるとともに、リング502を第2取付部52のフック521に引っ掛ける。この状態で、本体部500を操作して、きつく締結されるまでターンバックル50を縮める。
このように、ターンバックル50は、両端部の位置を調整しつつ固定することができる。したがって、ハウス側取付部208の位置が、アオリ取付部73,74の位置に対して多少ズレたとしても、車両7と車載用ハウス200とを固定することができる。
以上のように、第3の実施の形態におけるキャンピングシステム120は、車両7に、車載用ハウス200を固定する側方固定具5を備えている。そして、側方固定具5は、アオリ取付部73,74に対応し、アオリ取付部73,74に取り付けられる第1取付部51と、ハウス側取付部208と対応し、ハウス側取付部208に取り付けられる第2取付部52とを備え、第1取付部51と第2取付部52とが互いに固定される。このように、車両7が備えるアオリ取付部73,74に対応することにより、車両7を改造する必要がない。
また、第1取付部51および第2取付部52は、互いに着脱可能に取り付けられる。これにより、第1取付部51と第2取付部52との間にアソビを設けることができる。したがって、車載用ハウス200と車両7とを固定する際に要求される位置決め精度を緩和することができる。したがって、頻繁に車載用ハウス200の積み下ろしを行う場合には、車載用ハウス200の位置決め作業が容易になる。
なお、後方固定具2についても、側方固定具5と同様の構成としてもよい。その場合には、高精度の位置決めが必要な貫通孔が不要になるため、車載用ハウス200を車両7に積載してから、貫通孔を作成しなくてもよい。車両7の設計寸法のみでハウス側取付部204,206を形成してもよくなる。
また、ターンバックル50の構造は、ここに示した構造に限定されるものではない。
<4. 変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。
例えば、アオリ取付部が挿入される挿入孔が第1取付部に形成されてもよい。例えば、荷台用固定具40に相当する部材がアオリ取付部を構成し、アオリ取付部83に相当する部材が第1取付部を構成していてもよい。この場合も、別途、ボルトやピンといった嵌合部材を用意する必要がない。
また、第2の実施の形態では、凸部402,412を、抜差蝶番の羽根部材を構成するアオリ取付部83に挿入する構造であった。しかし、例えば、第1の実施の形態における側方固定具1の第1取付部10において、貫通孔10a,10bの代わりに、ボルトの軸部材を2本固設して、当該軸部材をアオリ取付部73,74(貫通孔73a,74a)に挿入される凸部としてもよい。