JP2022021924A - 脂肪分化抑制剤 - Google Patents

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【課題】新たな脂肪分化抑制剤を提供する。【解決手段】脂肪分化を抑制する活性を有するオリゴヌクレオチドを含む脂肪分化抑制剤であって、該オリゴヌクレオチドはコア塩基配列TXGGGTG(式中、Xは存在しないか又はAを示す)を含み、かつ7~18塩基長である、脂肪分化抑制剤。【選択図】図2

Description

本開示は、脂肪分化を抑制する機能を有するオリゴオリゴヌクレオチドに関する。
肥満は、糖尿病、高血圧、動脈硬化、心臓病などの危険因子であり、健康寿命を阻害する要因である。肥満は、脂肪前駆細胞から分化した脂肪細胞が、過剰な脂質を貯留し肥大することで生じる。脂肪細胞が分泌するアディポカインは、生活習慣病の発症リスクに影響する。したがって、脂肪分化の制御は、肥満を抑制し、メタボリックシンドロームへの進展を防ぐために重要である。
例えば、特許文献1にはMXD3遺伝子に対するアンチセンス・オリゴヌクレオチド(MXD3をコードするmRNAと相補的な配列を有する核酸分子)を有効成分として含有する肥満抑制剤が開示されている。また、特許文献1には、具体的なオリゴヌクレオチドとして5’GATGTTGCACGTATTTACCTCCATT3’(配列番号12)が記載されている。
しかし、肥満が前述した種々の疾患の危険因子であることから、脂肪分化を抑制する新たな方法の開発が熱望されている。
特開2011-55755 WO2018/151225
本発明が解決すべき課題は、新たな脂肪分化抑制剤を提供することである。
かかる状況の下、本発明者らは鋭意研究した結果、コア塩基配列TXGGGTGを有する一定の長さのオリゴヌクレオチドが脂肪分化抑制能を有することを見出した。本発明はかかる新たな知見に基づくものである。従って、本発明は以下の項を提供する:
項1.脂肪分化を抑制する活性を有するオリゴヌクレオチドを含む脂肪分化抑制剤であって、該オリゴヌクレオチドはコア塩基配列TXGGGTG(式中、Xは存在しないか又はAを示す)を含み、かつ7~18塩基長である、脂肪分化抑制剤。
項2.前記オリゴヌクレオチドが、コア塩基配列TGGGTGを含む、項1に記載の脂肪分化抑制剤。
項3.前記オリゴヌクレオチドが、コア塩基配列TGGGTGGGGを含む、項1又は2に記載の脂肪分化抑制剤。
項4.前記オリゴヌクレオチドが
(i-1)配列番号1で表される塩基配列:
配列番号1:AGATTAGGGTGAGGGTGA
からなるか、又は
(i-2)配列番号1で表される塩基配列において1個又は数個の塩基を置換、付加又は欠失させた塩基配列からなる、
項1~3のいずれか一項に記載の脂肪分化抑制剤。
項5.前記オリゴヌクレオチドが
(i-1)配列番号2で表される塩基配列:
配列番号2:TTGGGTGGGGAA
からなるか、又は
(i-2)配列番号2で表される塩基配列において1個又は数個の塩基を置換、付加又は欠失させた塩基配列からなる、
項1~4のいずれか一項に記載の脂肪分化抑制剤。
項6.哺乳類又は鳥類の細胞又は個体に対して適用するための項1~5のいずれか一項に記載の脂肪分化抑制剤。
本発明によれば、新たな脂肪分化抑制剤を提供することができる。本発明者らは、塩基配列5’AGATTAGGGTGAGGGTGA3’(配列番号1)からなるオリゴDNA(ODN)であるiSN04に筋分化促進効果を有することを見出している(特許文献2)。また、脂肪分化の制御因子と筋分化の制御因子の中には拮抗的に作用すると考えられているものも存在する。具体的には、筋分化のマスター制御因子であるMyoDと脂肪分化のマスター制御因子であるPPARγとは拮抗的に作用することにより、筋分化と脂肪分化が互いに排他的に進行するとの報告がある(非特許文献1)。しかし、細胞の筋分化及び脂肪分化の機構は、多種多様な因子が関与している上、まだその機構の多くはいまだ解明されていない。さらに、筋分化及び脂肪分化の両方を促進する因子が存在することも知られている。具体的には、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤であるトリコスタチンA(TSA)が筋分化を促進することが知られている(非特許文献2)。一方で、ヒストンのアセチル化が脂肪分化に寄与することも知られており、TSAは脂肪分化も促進することが報告されている(非特許文献3)。上記のように、ヒストンのアセチル化により筋分化及び脂肪分化の両方が促進されることが知られている。従って、本発明の有効成分であるオリゴヌクレオチドを用いることによる脂肪分化抑制効果は、従来技術から予想し得ない効果である。
実施例1におけるオイルレッドO染色試験(光学顕微鏡写真)を示す 実施例2における各種オリゴDNAを各種タイミングで投与した際の脂肪分化抑制の測定結果を示す 実施例3におけるPPARγの発現量の測定結果を示す 実施例3におけるCEBPαの発現量の測定結果を示す 実施例3におけるFABP4の発現量の測定結果を示す 実施例3におけるPerilipinの発現量の測定結果を示す
本明細書中において、「オリゴヌクレオチド」は、DNA、RNA、DNA-RNAハイブリッドのいずれであってもよい。また、これらは2本鎖であっても1本鎖であってもよく、ある配列を有するオリゴヌクレオチドといった場合、特に言及しない限り、これに相補的な配列を有するオリゴヌクレオチドも包括的に意味するものとする。また、これらの核酸分子は環状でも直鎖状であってもよく、また合成及び生物由来のいずれであってもよい。
本発明の一態様に係る脂肪分化抑制剤は、細胞又は個体に対して適用することにより脂肪分化を抑制する活性を有するオリゴヌクレオチドを含む。本発明において、「脂肪分化を抑制する活性を有する」とは、本発明の属する分野における技術常識を参酌して適宜解釈し得る。脂肪分化抑制を有するか否かは、例えば、後述の実施例2(図2)に示す試験において、3T3-L1細胞に対し、分化誘導0日目から10日目まで当該オリゴヌクレオチドを添加し、オイルレッドOの濃度を測定し、コントロールに対して有意に細胞内の脂質の貯留を抑制するか否かで測定、評価することができる。
本発明のある実施形態において、脂肪分化を抑制する活性を有するオリゴヌクレオチドは、コア塩基配列TXGGGTG(式中、Xは存在しないか又はAを示す)を有することを特徴とする。上記コア塩基配列としては、TGGGTGが好ましい。また、本発明の好ましい実施形態において脂肪分化を抑制する活性を有するオリゴヌクレオチドとしては、コア塩基配列TGGGTGGGGを含むものが挙げられる。
また、本発明の典型的な実施形態において、脂肪分化抑制剤の有効成分であるオリゴヌクレオチドの長さは7~18塩基長であり、好ましくは12~18塩基長である。オリゴヌクレオチドの構造的な強さ及び安定性の観点、臓器・細胞への吸収効率の観点、ならびに化学的に人工合成する場合のコストを抑制できる点で上記範囲の塩基長のオリゴヌクレオチドを用いることは有用である。
本発明の好ましい実施形態において、脂肪分化抑制剤の有効成分であるオリゴヌクレオチドとしては、特に限定されないが、例えば、
(i-1)配列番号1で表される塩基配列:
配列番号1:AGATTAGGGTGAGGGTGA
からなるか、又は
(i-2)配列番号1で表される塩基配列において1個又は数個(例えば、1~3個、1~2個、1個)の塩基を置換、付加及び/又は欠失させた塩基配列からなるオリゴヌクレオチド等が挙げられる。
より具体的には、例えば、
AGATTAGGGTGAGGGTGA 配列番号1
AGATTAGGGTGAGGGTGT 配列番号3
AGATAGGGTGAGGGTGA 配列番号4
AGGATTAGGGTGAGGGTG 配列番号5
AGATAGGGTGAGGGTG 配列番号6
ATTAGGGTGAGGGTGT 配列番号7
等が挙げられる。
また本発明の別のより好ましい実施形態において、脂肪分化抑制剤の有効成分であるオリゴヌクレオチドとしては、例えば、
(i-1)配列番号2で表される塩基配列:
配列番号2:TTGGGTGGGGAA
からなるか、又は
(i-2)配列番号2で表される塩基配列において1個又は数個の塩基を置換、付加及び/又は欠失させた塩基配列からなるオリゴヌクレオチド等が挙げられる。
より具体的には、例えば、
TTGGGTGGGGAA 配列番号2
AAGGGTGGGGTT 配列番号8
TGGGTGGGGAAA 配列番号9
TTGGGTGGGGAAA 配列番号10
等が挙げられる。
本発明の実施形態において、脂肪分化抑制剤の有効成分である上記オリゴヌクレオチドは、脂肪分化抑制作用だけでなく、筋分化促進効果も奏する。従って、本発明の好ましい実施形態において、上記オリゴヌクレオチドは、脂肪分化抑制及び筋分化促進を同時に行う用途に用いることもできるため有用である。
本発明の脂肪分化抑制剤の有効成分である上記オリゴヌクレオチドは、核酸分解酵素に対して耐性を高めるためにホスホジエステル結合を有するオリゴヌクレオチドのリン酸基の酸素原子を硫黄原子で置換したもの(例えばホスホロチオエート結合)であってもよいが、これらに限定されない。また、前記オリゴヌクレオチドは乳酸菌、大腸菌などの生物から抽出し断片化したもの、あるいは、化学合成、遺伝子組替え技術によって作成したものであってもよいが、これらに限定されない。
本発明においては、本発明の有効成分である上記オリゴヌクレオチドそのものを脂肪分化抑制剤として用いても、薬学的に許容される各種担体(例えば、等張化剤、安定化剤、pH調節剤、抗酸化剤、溶解補助剤、粘稠化剤、防腐剤等)と組み合わせた医薬組成物として用いてもよい。
等張化剤としては、例えば、グルコース、トレハロース、ラクトース、フルクトース、マンニトール、キシリトール、ソルビトール等の糖類、グリセリン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール等の多価アルコール類、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム等の無機塩類等が挙げられる。
pH調節剤としては、例えば、塩酸、炭酸、酢酸、クエン酸等の酸が挙げられ、さらに水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩又は炭酸水素塩、酢酸ナトリウム等のアルカリ金属酢酸塩、クエン酸ナトリウム等のアルカリ金属クエン酸塩、トロメタモール等の塩基等が挙げられる。
抗酸化剤としては、例えば、亜硫酸水素ナトリウム、乾燥亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム等が挙げられる。
溶解補助剤としては、例えば、安息香酸ナトリウム、グリセリン、D-ソルビトール、ブドウ糖、プロピレングリコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、マクロゴール、D-マンニトール等が挙げられる。
粘稠化剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、メチルセルロース、エチルセルロース、カルメロースナトリウム、キサンタンガム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
防腐剤としては、例えば、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル等のパラオキシ安息香酸エステル、グルコン酸クロルヘキシジン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム等の第4級アンモニウム塩、アルキルポリアミノエチルグリシン、クロロブタノール、ポリクォード、ポリヘキサメチレンビグアニド、クロルヘキシジン等が挙げられる。
また、上記医薬組成物は、前記オリゴヌクレオチド以外に、脂肪分化抑制作用を有することが知られている化合物をさらに含んでいてもよい。脂肪分化抑制作用を有することが知られている化合物としては、例えば、ウルソール酸、クルクミン、ベルベリン等が挙げられる。脂肪分化抑制作用を有することが知られている化合物を用いる場合、オリゴヌクレオチドと脂肪分化抑制作用を有することが知られている化合物との使用割合は特に限定されないが、例えば、前者1モルに対し、0.01~100モルが好ましく、0.1~10モルがより好ましい。
医薬組成物の実施形態において、組成物中の前記オリゴヌクレオチドの含有量は特に限定されず、例えば、90質量%以上、70質量%以上、50質量%以上、30質量%以上、10質量%以上、5質量%以上、1質量%以上等の条件から適宜設定できる。
製剤中の本発明のオリゴヌクレオチドの含有量は、投与経路、患者の年齢、体重、症状等によって異なり一概に規定できないが、オリゴヌクレオチドの1日投与量が通常10~5000mg程度、より好ましくは100~1000mg程度になる量とすればよい。1日1回投与する場合は、1製剤中にこの量が含まれていればよく、1日3回投与する場合は、1製剤中にこの3分の1量が含まれていればよい。
本発明にかかる脂肪分化抑制剤は、通常使用されている各種の担体、賦形剤の成分を配合し、公知の方法に従って、注射薬、塗布薬、錠剤、カプセル剤、シロップ、座薬等に製剤化できるが、これらに限定されない。また、前記脂肪分化抑制剤は、経口、静脈内、筋肉内、関節内、動脈内、髄内、髄腔内、心室内、経皮、皮下、腹腔内、経腸、局所、舌下又は直腸手段によって投与することができるが、これらに限定されない。
本発明にかかる脂肪分化抑制剤は、個体を構成する細胞に対しても培地上で培養された細胞に対しても適用可能である。また、前記脂肪分化抑制剤はマウス、ヒトを含む哺乳類又はニワトリを含む鳥類を対象とすることができるが、これらに限定されない。
以下、実施例、比較例、参考例を用いて本発明の具体的な実施形態について説明するが、本発明は、かかる具体的な実施形態に限定されない。
以下の実験に用いたオリゴDNAのサンプルは、核酸分解酵素に対して耐性を高めるために、ヌクレオチド間のホスホジエステル結合をホスホロチオエート結合に置換して合成した後、HPLC精製したものである。
また以下の実施例で用いたオリゴDNAの塩基配列は以下の通りである:
Figure 2022021924000002
(実施例1)
脂肪前駆細胞のモデルであるマウス胎児線維芽細胞株3T3-L1(国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 JCRB細胞バンク No.: JCRB9014)を用いた。まず、6-wellプレートに3T3-L1細胞を播種し、コンフルエントに達した48時間後に、最終濃度30 μMのiSN04を添加して脂肪分化を誘導した。分化誘導期間中、2日ごとに培養液を交換し、そのたびに同濃度のiSN04を添加した。分化誘導10日目に細胞内の脂肪滴をオイルレッドOで染色して脂肪分化を評価した。結果(光学顕微鏡写真)を図1に示す。Control(iSN04と等量の純水を添加したサンプル)と比べて、明らかにiSN04を添加した方の脂肪分化は抑制されていることが確認された。
(実施例2)
(ODN投与期間とタイミング)
24-wellプレートに3T3-L1細胞を播種し、コンフルエントに達した48時間後に、最終濃度30 μMのiSN04、iMyo01、またはiMyo03の3種のODNを添加して脂肪分化を誘導した。分化誘導期間中、2日ごとに培養液を交換し、そのたびに同濃度のODNを添加した。分化誘導10日目に細胞内の脂肪滴をオイルレッドOで染色した後、300 μLのイソプロパノールで細胞内のオイルレッドOを抽出した。分光光度計で抽出液のオイルレッドOの濃度を計測し、細胞内に蓄積された脂質を定量した。結果を図2に示す。
図2において、右側のdm-nという標記はODNの投入開始日(分化誘導開始日はd0)と投入終了日を表す。例えばd0-4は、分化誘導0日目から4日目までODNを添加した条件で分化誘導し、10日目にオイルレッドOを測定したサンプルを示す。
iMyo01、iMyo03、またはiSN04を10日間投与した群では(d0-10)、control(10日間純水を投与した群)と比べて、3T3-L1細胞内に蓄積された脂質が40%以下に抑えられていることが確認された。これらのODNは塩基配列TxGGGTG(x=A or -)を含む。
iMyo01, iMyo03においては、controlと比べて脂質の蓄積が10%程度に抑制されていることが確認された。これらのODNは塩基配列TGGGTGGGGを含む。
さらに、iSN04の投与開始のタイミングと投与日数について確認する実験を行った。分化誘導初日から4、6、または8日間のみiSN04を投与した群でも(d0-4、d0-6、d0-8)、10日間iSN04を投与し続けた群(d0-10)と同程度に脂質の蓄積が抑制された。しかし、d0-2群の抑制効果は、d0-4、d0-6、d0-8、d-10群と比べて低かった。また、その他の期間にiSN04を投与した群では脂質の蓄積抑制効果を認めなかった。
これらの結果から、iSN04を分化初期の4日間(d0-4)投与するだけで十分に脂質の蓄積が抑制されることがわかった。この分化誘導系において、3T3-L1細胞はまず脂肪細胞に分化し、分化した脂肪細胞が脂質を蓄積して脂肪滴を形成するという段階を経る。脂肪滴は分化誘導6日目頃から観察されるが、この時期以降にiSN04を投与しても脂質の蓄積は抑制されない。以上のことから、iSN04は脂質の蓄積を直接阻害しているのではなく、3T3-L1細胞から脂肪細胞への分化を抑制していると考えられる。分化初期の4日間iSN04を投与した群(d0-4、d0-6、d0-8、d0-10)では脂質を貯留できる脂肪細胞への分化が抑制された(脂肪細胞の数そのものが減少した)ため、それがオイルレッドOの値として反映されたと考えられる。
(実施例3)
(特異的な遺伝子の発現の抑制)
iSN04を投与して脂肪分化を誘導した3T3-L1細胞における脂肪分化マーカー遺伝子の発現変化を調べた。3 cmディッシュに3T3-L1細胞を播種し、コンフルエントに達した48時間後に、最終濃度30 μMのiSN04を投与して脂肪分化を誘導した。分化誘導期間中、2日ごとに培養液を交換し、そのたびに同濃度のiSN04を添加した。分化誘導0、2、4、6、10日後に3T3-L1細胞の全RNAを回収し、定量PCRに供した。脂肪分化のマスター転写因子であるPPARγ(遺伝子名Pparg)、PPARγと相互作用する転写因子CEBPα(遺伝子名Cebpa)、脂肪酸結合タンパク質FABP4(遺伝子名Fabp4)、脂肪滴表面タンパク質Perilipin(遺伝子名Plin1)の発現量を、内部標準であるYwhaz遺伝子の発現量で除して補正した結果を図3~図6に示す。実験は3回実施し、有意差(*p < 0.05, **p < 0.01)が確認できる結果が得られた。
Control(iSN04と等量の純水を投与したサンプル)と比較して、iSN04投与群では、PPARγ、CEBPα、FABP4、Perilipinの遺伝子発現が*印の時点で有意に低下していることが確認された。
以上の結果は、iSN04は脂肪特異的な遺伝子の発現抑制を介して脂肪分化を抑制し、最終的には脂肪滴を有する脂肪細胞への成熟を阻害することを示唆している。
本発明の有効成分であるオリゴヌクレオチドは、3T3-L1細胞の脂肪分化を抑制した。したがって、本発明の有効成分であるオリゴヌクレオチドは、抗肥満作用を示す核酸素材として有望であり、サプリメントなどへの応用が期待される。

Claims (6)

  1. 脂肪分化を抑制する活性を有するオリゴヌクレオチドを含む脂肪分化抑制剤であって、該オリゴヌクレオチドはコア塩基配列TXGGGTG(式中、Xは存在しないか又はAを示す)を含み、かつ7~18塩基長である、脂肪分化抑制剤。
  2. 前記オリゴヌクレオチドが、コア塩基配列TGGGTGを含む、請求項1に記載の脂肪分化抑制剤。
  3. 前記オリゴヌクレオチドが、コア塩基配列TGGGTGGGGを含む、請求項1又は2に記載の脂肪分化抑制剤。
  4. 前記オリゴヌクレオチドが
    (i-1)配列番号1で表される塩基配列:
    配列番号1:AGATTAGGGTGAGGGTGA
    からなるか、又は
    (i-2)配列番号1で表される塩基配列において1個又は数個の塩基を置換、付加及び/又は欠失させた塩基配列からなる、
    請求項1~3のいずれか一項に記載の脂肪分化抑制剤。
  5. 前記オリゴヌクレオチドが
    (i-1)配列番号2で表される塩基配列:
    配列番号2:TTGGGTGGGGAA
    からなるか、又は
    (i-2)配列番号2で表される塩基配列において1個又は数個の塩基を置換、付加及び/又は欠失させた塩基配列からなる、
    請求項1~4のいずれか一項に記載の脂肪分化抑制剤。
  6. 哺乳類又は鳥類の細胞又は個体に対して適用するための請求項1~5のいずれか一項に記載の脂肪分化抑制剤。
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