以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
[実施形態]
図1は、本実施形態に係るシステム(印刷処理システム)を示すブロック図である。
システムは発注者システム109、印刷業者システム100、そして印刷業者の親会社システム111に大別され、それらはインターネット108によって相互に接続されている。発注者システム109には少なくとも1以上の情報処理装置110が含まれる。同様に親会社システム111にも少なくとも1以上の情報処理装置112が含まれる。
以下、印刷業者システム100の内部構成について詳細に説明する。図1に示す通り複数の装置がネットワーク101によって相互に接続されている。これら装置としては情報処理装置102、画像形成装置103、画像形成装置104、ラミネータ105、無線綴じ機106、測色機107が接続されている。画像形成装置103は連帳シート用であり、画像形成装置104はカットシート用の画像形成装置である。これら印刷機構の異なる装置を用いて印刷業者は発注者から依頼された成果物を最適な態様で生産することを可能としている。
各装置は情報処理装置102上で動作するワークフローソフトウェアの配下のもと制御され、発注者システム109より入稿されたジョブデータを処理し、成果物を生産する。また、発注者システム109から入稿されるジョブデータは、画像データ、ジョブチケット、そして品質要求データである。ジョブチケットは例えばJDF形式のフォーマットであり、品質要求データは例えばPRX形式のフォーマットである。さらに、印刷業者システム100内の情報処理装置102は、上述した各装置の処理結果の通知を受信するとともに品質報告データに変換し発注者システム109に送信する機能も有する。品質報告データの形式は例えばPQX形式のフォーマットである。
尚、本実施形態では、印刷成果物(印刷物)の印刷品質要求にはPRXを用い、印刷成果物の品質報告にはPQXを用いる例を示す。しかし、PRX、PQXに限らず、印刷成果物の品質要求に関するデータ、印刷成果物の品質報告に関するデータを送受信するようにすればよい。
図2は、画像形成装置104のハードウェア構成について説明する図である。画像形成装置104は、シート上の画像を読み取る読取機能、シートに画像を印刷する印刷機能を有する。また、画像形成装置104は、画像が印刷された複数のシートを綴じたり、複数のシートを揃えたり、複数のシートの排出先を複数のトレイに分けたりする後処理機能を有する。なお、シートには、普通紙や厚紙などの用紙、フィルムシートなどが含まれる。
同図に示す画像形成装置104は、複数の異なる役割を持つ装置が相互に連結され、複雑なシート処理が可能なよう構成されている。
画像形成装置104は、展開されたイメージ画像データを給紙部212に格納されたメディアを搬送し、該メディア上にトナーを用いて画像形成するための装置である。
画像形成装置104には、スキャナ部201、および操作部204が備え付けられている。操作部204は画像形成装置104の各種設定や操作などをオペレータが行う場合の各種インタフェースを提供する。
本実施形態における画像形成装置104は、各種付随装置が装着可能なよう構成されている。付随装置の一例としてシート処理装置210を本実施例においては示している。
シート処理装置210は、プリンタ部203によって画像形成された後のメディアに対して各種加工を施した成果物を得るための装置である。
出力トレイ213は、シート処理装置210によって処理された出力物を排出し、積載するためのトレイ部を形成する。
検査部214は、プリンタ部203によってシート上に形成された画像情報を検査するために設けられたモジュールである。検査する対象としては、CMYK各版の印字位置ずれの量(レジずれ量)、CMYKの版を合成して画像形成された色と印刷データで規定された色との差(色差)、形成された画像中に含まれるバーコード部の読み取り精度である。そして画像上のこすれや傷等といった汎用的な画像欠陥等である。これら画像の品質状態や欠陥を画像形成後のシートの画像を光学的に読み取り、検査結果データに変換する機能を同モジュールは有する。
ハードディスク209(以下、HDDとも呼ぶ)は、不揮発性メモリであって、複数の処理対象となるジョブのデータや、各種管理情報などを記憶する。スキャナ部201から受付けたジョブデータを、該HDD209を介してプリンタ部203で印刷する。外部装置から通信部の一例に該当する外部I/F部202ユニットを介して受付けたジョブデータを、該HDD209を介してプリンタ部203で印刷する。外部I/F部202は、ファクシミリ、ネットワーク接続機器、外部専用装置と画像データなどを送受する。操作部204は、ユーザインタフェース部に相当し、ここでは表示部を有する。
コントローラ部205(制御部、或いは、CPUとも呼ぶ)は、画像形成装置104が具備する各種ユニットの処理や動作等を統括的に制御する。ROM207には、後述するフローチャートの各種処理等を実行する為のプログラムを含む本形態にて要する各種の制御プログラムが記憶されている。
また、ROM207には、ユーザインタフェース画面(以下、UI画面と呼ぶ)を含む、操作部204の表示部に各種のUI画面を表示させる為の表示制御プログラムも記憶されている。
コントローラ部205は、ROM207のプログラムを読出し実行することで、本形態にて説明する各種の動作を本画像形成装置104により実行させる。外部I/F202を介して外部装置から受信したPDFなどの印刷データを形成するコードデータを解釈し、ラスターイメージデータに展開する動作を実行する為のプログラムもROM207に記憶されている。外部I/F202を介して外部装置から受信した印刷ジョブを解釈し処理するためのプログラム等もROMに記憶されている。これらは、主にソフトウェアによって処理される。
ROM207に格納される各種プログラムの詳細については後述する。
また、HDD209(ハードディスク)は、圧縮展開部206によって圧縮された画像データを記憶する大容量の記憶装置である。当該HDD209に、処理対象となるジョブのプリントデータ等複数のデータを保持可能に構成されている。コントローラ部205は、スキャナ部201や外部I/F部202等の各種入力ユニットを介して入力された処理対象となるジョブのデータを、該HDD209を介して、プリンタ部203でプリント可能に制御する。また外部I/F202を介して外部装置へ送信できるようにも制御する。このようにHDDに格納した処理対象ジョブのデータの各種出力処理を実行可能にコントローラ部205により制御する。さらにHDD209内に構築されたファイルシステムを外部の装置に対してファイル共有や送受信等の機能を、コントローラ部205がROM207のプログラムを読出し、実行することによって実現可能な様、構成されている。
圧縮展開部206は、JBIGやJPEG等といった各種圧縮方式によってRAM208、HDD209に記憶されている画像データ等を圧縮・伸張動作を行う。以上のような構成のもと、本印刷システムが具備する制御部の一例としてのコントローラ部205が、各シート処理装置210の動作も制御する。メディア管理部211は、メディア種に関する情報を管理するためのモジュールである。
検査部214は、同図に示す画像形成装置104を構成する各モジュールをコントローラ部205の制御のもと、シート上に形成された画像情報を検査するために設けられたモジュールである。同モジュールで検査結果データに変換された検査結果情報は外部I/F202を介して情報処理装置102に送信される。
図3は、情報処理装置102、110、112の構成を示すブロック図である。
同図において、CPU301は、ROM303のプログラム用ROMに記憶された、或いはHDD311からRAM302にロードされたOSや一般アプリケーションのプログラムを実行する。ROM303はまたフォントROMやデータROMを有している。RAM302は、CPU301の主メモリ、ワークエリア等として機能する。キーボードコントローラ(KBC)305は、キーボードやポインティングデバイス(不図示)からの入力を制御する。表示コントローラCRTC306は、表示部CRT310への表示を制御する。ディスクコントローラ(DKC)307は、ブートプログラム、種々のアプリケーション、フォントデータ等を記憶するHDD311等とのアクセスを制御する。ネットワークコントローラ(NIC)312は、ネットワークに接続されて、そのネットワークに接続された他の機器との通信制御処理を実行する。バス304は、CPU301とRAM302、ROM303及び各種コントローラ等を接続して、データ信号や制御信号を搬送している。
なお、携帯端末の場合にはキーボードコントローラ(KBC)305の代わりにタッチパネルコントローラ等を構成に含む場合がある。また、HDD311の代わりとなる大容量記憶装置を備える場合もある。さらに、ネットワークコントローラ(NIC)312は、備える装置が有線LAN、無線LAN其々の場合、あるいは双方を備える場合とで、内部構成が異なる。ただし、これらの内部構成による差異は、ネットワークコントローラ(NIC)312内部に隠蔽され、同図に示す他のモジュールには等価なものとしてシステムを制御可能な様、構成される。
図4は、画像形成装置104のプログラムを説明する図である。これらプログラムはROM207に格納され、画像形成装置104のコントローラ部205により読み出されて実行される。
ブートローダ401は、画像形成装置104の電源投入直後に実行されるプログラムである。このプログラムには、システムの起動に必要となる各種起動シーケンスを実行するためのプログラムが含まれる。
オペレーティングシステム402は、画像形成装置104の機能を実現する各種プログラムの実行環境を提供することを目的としたプログラムである。これは、主に画像形成装置104のメモリ、即ちROM207やRAM208,HDD209等の資源管理、及び図2に示すその他各部の基本的な入出力制御等の機能を提供する。
ネットワーク制御プログラム403は、ネットワークを介して接続される機器に対してデータを送受信する際に実行されるプログラムである。このプログラムは、印刷するファイルの受信処理や、外部装置からのデータ送信、コマンドの送受信、検査部214によって検査された結果生成されるデジタルデータの送信等の各種処理実行時に利用される。ネットワーク制御プログラムには外部I/F202を制御するためのドライバプログラムも含まれる。
第一の受信プログラム404は、情報処理装置102からの各種指示や情報を受け付けるためのプログラムである。当該プログラムが受信対象とする情報や指示のうちに、検査部214において検査される対象となる画像情報の指定が含まれる。
第一の送信プログラム405は、情報処理装置102へ情報を送信するためのプログラムである。当該プログラムが送信対象とする情報のうちに、検査部214において検査された結果生成される検査結果データが含まれる。
JDF機能プログラム406は、JDFジョブデータが外部I/F202経由で画像形成装置104に受信された場合に、外部I/F202の指示でコントローラ部205によって実行されるJDFプリント機能を実行するプログラムである。このJDFプリント機能では、このプログラムに記述された処理順序、処理条件に基づいてコントローラ部205が適切な順序で図2記載の各デバイスの動作を順次指示する。その結果として最終的にJDFプリント処理が実行されるように制御される。各デバイスには、シート処理装置210、プリンタ部203、HDD209、圧縮伸張部206、RAM208等が含まれる。また、外部I/F202経由で受信されたJDFジョブデータの解析処理及び、解析処理の結果、JDFに正しくない設定が含まれるか否かの判別処理、及び正しくない設定を解消するための設定変更等を行うプログラム処理も含まれる。
PDF機能プログラム407は、PDFデータ(印刷対象画像データ)が外部I/F202経由で画像形成装置104によって受信された場合に、コントローラ部205によって実行されるPDFデータの展開処理、並びに印刷機能を実行する。コントローラ部205によって行われるPDF機能では、このプログラムに記述された処理順序、処理条件に基づいてコントローラ部205によって適切な順序で図2記載の各デバイスの動作を順次指示する。その結果として最終的にPDLプリント処理が実行されるように制御される。これら各デバイスには、シート処理装置210、プリンタ部203、HDD209、圧縮伸張部206、RAM208等が含まれる。また、印刷処理実行時の各種指定としてJDF機能プログラム406と共に動作するよう本実施形態におけるPDF機能プログラムは構成される。
メディア管理プログラム408は、画像形成装置104が利用可能なシートに関連する管理機能を実行するためのプログラムである。このプログラムによって管理されるシート関連情報は、HDD209に格納される。
シートカウントプログラム409は画像形成装置104が備える給紙部212に格納されるシートをプリンタ部203によって画像形成した際の、印刷に使用したシート枚数をシートのサイズ情報と紐づけて積算し管理格納するためのプログラムである。
検査プログラム410は、検査部214を制御し、出力結果の画像を検査し検査結果データを生成するためのプログラムである。同プログラムで生成された検査結果データが第一の送信プログラム406により情報処理装置102に送信される。
図5は、印刷業者システム100における情報処理装置102が有するプログラムの構成を例示した図である。
ブートローダ501は、情報処理装置102の電源投入直後に実行されるプログラムである。これらプログラムには、システムの起動に必要となる各種起動シーケンスを実行するためのプログラムが含まれる。
オペレーティングシステム502は、情報処理装置102の機能を実現する各種プログラムの実行環境を提供することを目的としたプログラムである。これは、情報処理装置のメモリ、即ちROM303やRAM302,HDD311等の資源管理等の機能を提供する。
ネットワーク制御プログラム503は、ネットワークを介して接続される機器に対してデータを送受信する際に実行されるプログラムである。すなわち、印刷ジョブデータを画像形成装置(103、104)に送信し、印刷処理を指示する際に用いられる。また印刷後の成果物に加飾処理を施すためラミネータ105に指示する際にも用いられる。さらに、成果物を後加工するために無線綴じ機106に対し指示する際にも用いられる。また画像形成装置(103,104)に対し第一の受信プログラムに対し検査部214に対する検査指示をする際にも用いられる。また、検査部214から第一の送信プログラム405を経由し、品質報告データを受信する際にも用いられる。
ウェブサーバ504は、ネットワーク経由で接続された外部機器に対しウェブサービスを利用させるためのサーバプログラムである。ウェブサーバ504が提供するサービスは様々なものが考えられる。しかしながら本実施形態においては発注者システム109から印刷業者システム100に対し注文対象であるデータを入稿する際の手段として供する場合の例を示すものである。また、入稿時に発注者が印刷業者に対して設定した品質要求を達成しているか否かを確認するための品質レポートであるPQX情報を取得する手段としても供する場合の例を示している。
ワークフロー制御プログラム505は印刷業者システム100内部のネットワーク101を介して接続された機器間の処理や制御、ジョブ実行等を集中的に管理するためのプログラムであり、印刷業者システム100の中核をなすものである。複数工程、すなわち複数の装置を用いて成果物を製造する際に、その実行順序やジョブの実行制御等を行う。また、使用する装置の選択、切り替え、リカバリ生産等の制御もワークフロー制御プログラム505が実行する。また、印刷業者システム100内部で働くオペレータに対し各種の指示を出す処理もワークフロー制御プログラム505が実行する。さらに画像形成装置104の検査部214から印刷画像の品質に関する測定データを受信しPQX形式のフォーマットに変換するPQX作成手段も本実施形態のワークフロー制御プログラム505は提供する形態の例を示している。
入稿システムプログラム506は主に発注者システム109から生産の依頼を受けたデータを印刷業者システム100内で保持および管理するための役割を担うソフトウェアである。またウェブサーバ504と協調し受発注関連業務に必要な各種機能、例えばデータの送信、請求書の発行等の一連の処理を発注者システム109、印刷業者システム100間で電子的に実行するために用いられるシステムである。発注者システム109、印刷業者システム100間の通信仕様は任意であるが、標準技術としてPrintTalkをサポートしたシステムが広く知られている。
第二の受信プログラム507は発注者システム109から入稿されたデータのうち、品質要求データであるPRXを受信するプログラムである。同プログラムがPRXを受信したらその内容を解析する。発注者が要求した品質の成果物を作成するための指示・条件等を、ワークフロー制御プログラム506を経由し印刷業者システム100内の装置に対し適宜必要な設定を行い、もしくはオペレータに必要な情報の提示を行う。
なお、本実施形態においては、発注者システム109から印刷業者システム100が品質要求データを受信する際にはウェブサーバ504を介して受信し、該受信したデータを第二の受信プログラムが受信する場合の例を示している。しかし、別の形態として第二の受信プログラム自体が直接発注者システム109から品質要求データを受信してもかまわない。もしくは、第二の受信プログラム507がウェブコンテンツとしてウェブサーバ504上で動作する形態をとってもかまわない。
第二の送信プログラム508は発注者システム109に対し品質要求データであるPRXによって指定した品質条件を、印刷業者が生産時に実施しているか否かを判別するために品質報告データであるPQXを送信もしくは取得するためのプログラムである。画像形成装置103,104もしくはその他印刷業者内の装置から検査結果データを受信および蓄積し、適宜のタイミングにおいてPQX形式のデータに変換し、通信手段を介して発注者システム109がPQXを受信可能なよう構成される。
本実施形態においては、発注者システム109が印刷業者システム100から品質報告データを受信する際にはウェブサーバ504を介してリクエストを受信する。そして、該受信したリクエストのレスポンスとして品質報告データを第二の送信プログラムを経由して送信する。しかし、別の形態として第二の送信プログラム自体が直接発注者システム109に品質報告データを送信してもよい。もしくは、第二の送信プログラム507がウェブコンテンツとしてウェブサーバ504上で動作する形態をとってもよい。
図6は、発注者システム109における情報処理装置110が有するプログラムの構成を例示した図である。
ブートローダ601は、情報処理装置110の電源投入直後に実行されるプログラムである。これらプログラムには、システムの起動に必要となる各種起動シーケンスを実行するためのプログラムが含まれる。
オペレーティングシステム602は、情報処理装置110の機能を実現する各種プログラムの実行環境を提供することを目的としたプログラムである。これは、情報処理装置のメモリ、即ちROM303やRAM302,HDD311等の資源管理等の機能を提供する。
ネットワーク制御プログラム603は、ネットワークを介して接続される装置に対してデータを送受信する際に実行されるプログラムである。すなわちインターネット108を介して印刷業者システム100との間のデータの送受信の実行等を実行する際に用いられる。後述するウェブブラウザを使用した描画表示処理、データ送受信処理時にも用いられる。
ウェブブラウザ604は、ネットワーク経由で接続された外部システムが提供するウェブサービスを利用する為のクライアントプログラムプログラムである。ウェブブラウザ604が利用するサービスは様々なものが考えられる。本実施形態においては印刷業者システム100に対し発注対象であるデータ入稿依頼する際の手段として用いる。また、入稿時に発注者が印刷業者に対して設定した品質要求を達成しているか否かを確認するための品質レポートであるPQX情報を取得する手段としても用いる。
PDF作成プログラム605は、発注者システム109から印刷業者システム100に生産を依頼する対象である、画像データをPDF形式にて作成するプログラムである。なお、本実施形態においては画像データのフォーマットとしてPDF形式を用いた例を示しているが他のフォーマットの形態を用いてもよい。なお、PDFデータの作成にはすでに存在するPDF形式の画像データに対し、画像の追加等の処理も含まれる。
PRX作成プログラム606は、発注者システム109から印刷業者システム100に生産を依頼する際に、生成される成果物の品質要求事項をPRX形式のフォーマットによって伝達するための情報を作成するためのプログラムである。同プログラムによって指定する品質要求の具体的な内容、その設定方法、作成されたデータフォーマットについては後述する。
JDF作成プログラム607は、発注者システム109から印刷業者システム100に生産を依頼する際に、生産される成果物の形態や生産時のジョブ実行条件、ジョブ設定等をJDFフォーマットによって伝達するための情報を作成するためのプログラムである。同プログラムによって指定する設定情報等の具体的な内容、その設定方法、作成されたデータフォーマットについては後述する。
第三の送信プログラム608は、発注者システム109からPRX作成プログラム606によって作成されたPRX形式のフォーマットによる品質要求データを印刷業者システム100に送信するために用いられるプログラムである。
第三の受信プログラム608は、発注者システム109が印刷業者システム100における第二の送信プログラム508によって作成されたPQX形式のフォーマットによる品質報告データを受信するために用いられるプログラムである。
図7は、発注者システム109ならびに印刷業者システム100、およびこれら操作者である発注者すなわちユーザが、システムが提供する機能を利用する際のシステムフロー図である。ユーザ701とは発注者システム109における情報処理装置110の利用者を示している。
以下、ユーザ701、情報処理装置110、102、画像形成装置104の各々のシステム内で、システムが提供する機能をユーザ201に提供する際に実行する操作702の過程で、これらシステム間で送受信される制御のフローを示す。ただし、各システム内において複数のサブシステムが相互に作用しながら処理する必要がある場合には、それらのサブシステムのレベルでフローを説明する。ユーザ701のサブシステムはユーザ操作702である。
発注者システム109の情報処理装置110は2つのサブシステムに分解される。すなわちすなわち、操作部703とウェブブラウザ部704に示す2つのサブシステムである。
操作部703は、PDF作成プログラム605、PRX作成プログラム606、JDF作成プログラム607をCPU301が実行することで実現される。ウェブブラウザ部704はウェブブラウザ604をCPU301が実行することで実現される。
印刷業者システム110の情報処理装置102は3つのサブシステムに分解される。すなわちすなわち、ウェブサーバ部705と入稿システム部706、ワークフロー制御部707に示す3つのサブシステムである。
ウェブサーバ部705は、ウェブサーバ504をCPU301が実行することで実現される。入稿システム部706は、入稿システムプログラム506をCPU301が実行することで実現される。ワークフロー制御部707はワークフロー制御プログラム505をCPU301が実行することで実現される。
ユーザはS709において、印刷業者100に対して発注する対象となるデータの作成を指示する。具体的にはPDF作成プログラム605が同ステップの指示による操作を受け、所望のPDF画像データを作成するための各種処理が実行される。
S710において所望のPDF画像データの作成が完了した後に、ユーザはさらにS711によって印刷業者100に対して発注する成果物に対する品質要求データの作成を指示する。具体的にはPRX作成プログラム606が同ステップの指示による操作を受け、所望のPRXデータを作成するための各種処理が実行される。
S712において所望のPRXデータ作成作業が完了した後に、ユーザはさらにS713によって印刷業者100に対して発注する成果物に対するジョブチケットの作成を指示する。具体的にはJDF作成プログラム607が同ステップの指示による操作を受け、所望のJDFデータを作成するための各種処理が実行される。
S714において所望のJDFデータの作成が完了した段階で、印刷業者に入稿する全てのデータの作成が完了するため、次ステップ以降は印刷業者に対するデータの入稿処理に移行する。
S715において、ユーザはウェブブラウザ部704を操作し、印刷業者に対してデータを入稿するための操作画面の表示に必要な操作を行う。すなわちウェブブラウザ部704がS715において入力されたURL情報をもとに印刷業者側の情報処理装置102にて稼働するウェブサーバ部705に対し描画処理に必要なhttpリクエストをS716において出力する。ウェブサーバ部705はリクエストを受けてページ情報をレスポンスとしてS717にて返信する。
ユーザはS718にて表示された入稿用画面を操作しウェブブラウザ部704上で発注処理の実行を指示する。
S718の処理を受けてウェブブラウザ部704はウェブサーバ部705に対してPDF、PRX、JDFの各データ、すなわち入稿データをS719において送信する。ウェブサーバ部705が入稿データを受信したら入稿システム部706に入稿データの各々をS720において格納する処理を実行する。
S721以降は入稿されたデータを印刷業者システム100において実行される生産処理のステップとなる。すなわちワークフロー制御部707に入稿データに基づきジョブデータを登録し、印刷業者システム100にて印刷ジョブを生成する。また、本実施形態におけるシステムにおいては、指定されたPRXに相応する品質報告であるPQXを作成および送信する必要がある。そのためにS722でジョブの登録処理が終了した後にPQX作成指示を入稿システム部706がワークフロー制御部707に対してS723によって指示する。
上記ステップが終了した段階で生産開始の準備が全て整ったことになる(S724)。従ってS725によって入稿システム706はワークフロー制御部707に対して生産開始、すなわちジョブの実行処理を指示する。ワークフロー制御部707は画像形成装置104の構成要素を為すプリント制御部708に対して印刷ジョブを生成する(S726)。
S726の指示を受け、プリント制御部708は印刷処理を開始する。そして生産された成果物をS727において、画像形成装置104が有する検査部214によって検査を実行する。その検査結果をS728においてワークフロー制御部に返却し、ワークフロー制御部707は返却された検査結果をPQX形式に変換しウェブサーバ部705に格納する(S729)。
以上が印刷業者システム100によって発注者システム109から入稿されたデータの生産並びに要求された品質報告情報であるPQXの作成処理に関する一連の動作フローである。
S730において、ユーザは入稿したデータの生産時における品質状況を確認するために、PQXデータの取得処理を実行する。すなわち、ウェブブラウザ部704にアクセスし、PQXの情報を取得するために必要なURL等の情報を入力する。S731においてhttpリクエストがウェブブラウザ部704からウェブサーバ部705に送信され、S732にて、対応するレスポンス情報をS732において返却する。S732で返却されるウェブ画面をユーザはS733において操作し、品質報告情報すなわちPQXを取得するためにウェブブラウザ部704に指示する。それを受けて、httpリクエストがウェブサーバ部705に対し送信され(S734)、ステップのレスポンスとしてPQX情報がユーザに送信される(S375)。
図8は、システムを構成する発注者システム109および印刷業者システム100ならびにその操作者であるユーザから構成する、機能モジュールの担当処理並びに機能間の関連を図示した、システム構成図である。以下、各部の詳細を説明する。
UI部816は、画像情報の表示ならびにデータの入出力指示、操作指示を受け付ける手段を提供するために設けられた機能部である。UI部816からはデータ作成アプリ部703およびブラウザアプリ部704に対して指示を行う。
データ作成アプリ部703はJDF、PDF、PRXの各データを作成する機能をユーザに提供するためのものである。
ブラウザアプリ部704は、UI部816上に表示される、ウィンドウ画面にウェブコンテンツを表示することによって画面情報を提示する処理を司る機能部である。ブラウザアプリ部704は、後述するウェブサーバ部705と情報の送受信処理をすることで、各種画面情報の提示並びに印刷対象データ転送含む、各種データ処理を実行する。発注者システム109と印刷業者システム100との間の入稿並びに品質要求・報告の一連の機能をユーザに提供する。
ウェブサーバ部705は印刷業者システム100における情報処理装置102が有する、ウェブサービスを外部装置に対して提供する機能部である。ウェブサーバ部705は、外部装置からの各種要求、すなわちリクエストを受信かつその内容に応じた処理を実行した結果をページ情報という形で外部に返却する一連の処理を実行する。ページ生成部801がページ情報をリクエストの内容に応じて生成する役割を担う。また、入稿システム部706の制御部807に対し入稿処理の実行指示を出すことも可能としている。
PDF転送部802、印刷設定転送部803、PRX転送部804はブラウザアプリ部から送信されてきた入稿データであるPDF,JDF、PRXをそれぞれ入稿システム部706が備える格納手段(808、809、810)に転送する処理を実行する。また、PRX受信部805は後述する品質レポート作成部508によって作成されたPRXデータ(811)を受信する処理を実行する。
入稿システム部706は、印刷業者システム100における情報処理装置102が有する、入稿処理に関するサービスを外部装置に対して提供する機能部である。制御部807は入稿された各データ(PDF808、JDF809、PRX810)をワークフロー制御部707が有するジョブ登録依頼部806に依頼し、画像形成装置104に対して印刷ジョブの実行を指示する。
ワークフロー制御部707は、印刷業者システム100における情報処理装置102が有する、ワークフロー機能を提供するための機能部である。ワークフロー制御部707の配下には図1において示した各種装置がネットワーク101を介して接続され、ワークフロー制御部707の配下のもと、各装置の動作やジョブの実行指示等が行われ、印刷業者システム100が総体として稼働する。印刷業者システム内の各装置で動作したジョブの実行結果のうち、生産した成果物の品質に関する情報から、品質レポート情報であるPQXデータを生成する品質レポート作成部508からなる。
画像形成装置104は、プリント制御部708、シート管理部409、印刷部815、検査部214に大別される。
プリント制御部708はさらにジョブ実行部812およびPDFインタプリンタ部407を備える。ジョブ実行部は画像生成部813、印刷設定部814からなる。印刷設定部はジョブ登録依頼部806から送信されるジョブデータ、すなわちJDF809、PDF808、PRXを受信し、画像生成部813に対し画像生成処理を指示する。それと同時に、PDFインタプリタ407に対し、受信したPDF809の解析処理を指示する。また、印刷設定部814は検査部214に対し、生成される成果物に対して要求されたPRX810の品質要求項目に対する検査を実施するよう、指示する。PDFインタプリタ407は解析後生成される中間データ(不図示)を画像生成部813に送信し以後の画像形成処理を実行する。すなわち、シート管理部409にて印刷処理に用いるシートのサイズ、種別のカウントを指示し、印刷部815に対し解析後に生成される中間データ(不図示)の画像をシート上に画像形成する処理を実施する。さらに検査部214において印刷部815が生成したシート上の画像の検査処理を実施し、その結果を品質レポート作成部508に対して登録する。
図9は、画像形成装置104の構成のうち、検査装置の構成、検査装置によってなされる検査の方法、仕組みについて説明をするための図である。
図9(A)は、画像形成装置104を為す各モジュールの配置並びにその接続状態、およびシートの搬送経路の順序関係を説明するための構成図である。画像形成部902に隣接する形態で給紙部901が装着される。また、給紙部901と反対の側に隣接する形で中間処理部903が接続される。中間処理部903は、例えば挿入紙を生産中の成果物の特定箇所に挿入するために用いるインサータや、画像形成部にて定着処理が行われた際に発生したシート上の熱を冷却するための冷却装置等が相当する。中間処理部903の後段に検査部904が装着される。検査部904の構成の詳細については後述する。
検査部904の後端にはさらに後加工部905が装着される。後加工部905において、ステープルなどの綴じ処理やパンチ等の穿孔処理等、印刷後のシートに対する加工処理が行われる。
なお、同図に示す画像形成装置104を為す各構成装置の種類、数ならびに接続順序は一例を示したものであり、同図に示した例に限定されるわけではない。
図9(B)は検査部904の内部構成を示すための構成図である。検査部904の前段に相当する装置から印刷済のシートが搬送路906に対して搬送される。搬送されたシート上に形成された画像情報を検査するための第一の検査部907および第二の検査部908がそれぞれシートの上方および下方に配置される。これはシートの表面、および裏面の形成画像を同時に検査するための構成である。本実施形態における第一の検査部907および第二の検査部908は、搬送路906に搬送されるシートに対し、主走査方向に対して並行に配置されるコンタクトイメージセンサによって構成される。コンタクトイメージセンサによる第一の検査部907、第二の検査部908が搬送路906に搬送されるシート上の画像をシートの搬送速度に合わせて主走査方向に連続的に読み取る。そして、シート状に形成された平面の画像情報を高精度に取得することが可能である。すなわち、シート上に形成された画像情報の、画像の位置ずれやシミ等の画像の欠陥の検出、バーコードの読み取り制度等の画像の検査を第一の検査部907、第二の検査部908は可能としている。
また、搬送路906には、さらに第一の検査部907、第二の検査部908の後段に第三の検査部912、第四の検査部913が配置される。本実施形態において示した第三の検査部912および第四の検査部913は分光測色装置である。第一の検査部907および第二の検査部908と同様、シートの表面、裏面を同時に検査可能とするよう、搬送路906の上下にそれぞれ配置されている。第三の検査部912および第四の検査部913は搬送路906に搬送されたシート状の特定箇所の画像の色情報を正確に検査することを目的としている。
第一から第四の検査部(907、908、912、913)を通過したシートはフラッパ909の配置状態によって次に示す二通りの方向にさらに搬送される。すなわち搬送路910を経由し、検査部904のさらに後端に相当する後加工部905にシートが搬送される。もしくは、搬送されたシートが成果物の一部ではなく、色味や画像状態を確認することを目的とした付随的なテスト印刷のシートである場合には成果物に混在させることは得策ではない。故にフラッパ909の配置状態をシートが搬送路911に搬送し、排出トレイ914に導くよう制御することも検査部904は可能としている。
図9(C)は、検査部906が備える第一から第四の検査(907、908、912、913)によって行われる検査に用いられるシート上の画像情報の一例を説明するためのものであえる。シート914上に構成される各画像要素の用途並びに目的について以下、説明する。
レジマーク917は、シート上の指定された位置に画像が正しく形成されているかを検査するためのマーカである。第一の検査部907および第二の検査部908によってこの画像情報は読み取られる。レジマーク917はPRXによって画像形成装置104が入稿されたPDFデータの画像情報915として含まれていない場合であっても、画像形成装置104がPDFデータに重畳して画像形成を行うことが可能である。もしくは第二のレジマーク918のように、入稿されたPDFデータにあらかじめ画像情報として含まれる場合もあり、その場合にはPDFデータに含まれるレジマーク918を第一の検査部907、第二の検査部908が読み取ることも可能である。
カラーパッチ916は、シート上の指定された位置の画像に対して、その箇所の色情報を第三の検査部912、第三の検査部913によって高精度に読み取るためのパッチ画像部である。レジマーク907同様、PRXによって画像形成装置104が入稿されたPDFデータの画像情報915としてカラーパッチ916が含まれていない場合であっても、画像形成装置104がPDFデータに重畳して画像形成を行うことが可能である。もしくは第二のカラーパッチ919のように、入稿されたPDFデータにあらかじめ画像情報として含まれる場合もあり、その場合にはPDFデータに含まれるカラーパッチ919を第三の検査部912、第四の検査部913が読み取ることも可能である。
バーコード920は成果物の画像の一部を為すバーコード画像が印刷された領域を示す。図示の通り、シートの原点座標921から指定された相対的な座標(X2(925)、Y2(926))、および画像のサイズ927によってバーコードの位置が指定される。そのため、第一の検査部907もしくは第二の検査部908がバーコード920の画像情報をコンタクトイメージセンサによって読み取り検査することが可能である。
画像欠陥922は、入稿されたPDFデータの画像情報915には含まれておらず、画像形成装置104もしくはシートの欠陥によって生成される欠陥画像部を示す。画像欠陥922も、第一の検査部907、第二の検査部908によって検出可能であり、検出された欠陥の位置を原点921からの相対的な座標(X1(923)、Y1(924))として取得可能である。
図10A~図10Cは、発注者システム109における情報処理装置110で、発注者が使用する入稿データを作成するための画面の構成を説明するための図である。
図10Aは、発注者システム109における情報処理装置110において入稿対象の画像データであるPDFを作成もしくは編集するためのアプリケーション画面の一例を示す。なお、本実施形態のアプリケーションは同一のアプリケーションが複数の目的のアプリケーションの機能を並列に提供し機能タブによって選択的に使用する形態のアプリケーションの一例を示している。従って、汎用機能設定部1001、PDF編集部1002、PRX設定部1003、JDF設定部1004、ヘルプ機能提供部1005を切り替えて利用する。これら各手段は対応するタブを選択することによって操作可能なよう構成される。
図10AはPDF編集設定部1002が選択された状態の画面の一例を示したものである。
サムネイル表示領域1008は、印刷対象画像データを同図に示すアプリケーションのユーザが視覚的に確認しながら各種設定を実施するための参照用画像表示領域である。図9(C)において示したレジマーク917、カラーパッチ916、バーコード920等、後述するPRXで要求する品質条件を印刷業者システム100において検査し、その結果としてPQXを生成するために必要となる付加的画像情報に相当する。
レジマーク917はレジマーク設定部1013によって設定する。レジマーク設定部1013でレジマークを画像に負荷する旨指示した場合にレジマーク917がPDFファイルの設定対象ページに対して付加される。カラーパッチ設定部1012によってカラーパッチ916をPDFファイルの設定対象ページに対して付加することが可能である。
レジマーク詳細設定部1015、カラーパッチ詳細設定部1014は、カラーパッチ916やレジマーク917を画像に付加する際の位置等の詳細情報を設定する設定部である。例えば、これらレジマーク917カラーパッチ916はPDFの画像情報915の領域に重畳されると本来の画像が得られることが無いため不都合が生じる。従ってカラーパッチ916やレジマーク917の位置がPDFの画像情報915の領域と重ならないよう、その画像位置の座標をこれら手段によって調整可能なよう、本実施形態におけるアプリケーションは可能としている。
バーコード情報指定部1016はPDF画像情報915に含まれる、バーコード画像相当部の位置を指定する指定部である。すなわちバーコードが配置される原点921からの位置を示すX座標入力部1017、Y座標入力部1018、並びにバーコード画像部のサイズ情報入力部1019から構成される。
出力インテント設定部1009はPDF編集機能によって実現する、出力インテント情報の設定部である。生産時に適用する画像形成部が使用する画像形成プロセス情報設定部1010、ならびに生産する画像に対し適用するカラーインテント設定部1011から構成される。
図10B及び図10Cは、発注者システム109における情報処理装置110において入稿対象の品質要求データであるPRXを作成もしくは編集するためのアプリケーション画面の一例を示したものである。PRX設定部1003を選択することによって同図に示す画面の表示制御が行われる。
マスタ情報設定部1020はPRXを作成する際に必要となる各種マスタ情報を入力する設定部である。マスタ情報とは、PRXの仕様が要求する日付、会社情報、PRXが規定する要求仕様に対し付与される名称等の各種情報が相応する。これら情報はマスタ情報編集部1021を押下することによって編集可能である。
総合品質目標設定部1022は、PRXによって指定する少なくとも1以上の異なる種類の品質要求事項を統合し、総合的な品質レベルを定義するための設定部である。総合品質とは次に示すような規定により決定される。品質レベルに対し付与される可読的情報であるラベル1023、ラベル1023に対応する定量的な数値情報であるランク1024、ランク1024を決定するためのパラメータ並びに数式を規定するバリュー1025、これらの組合せで定義される。
具体的に、最上位品質1030を例に用い以下、詳細を説明する。最上位品質1030のラベルは”Excellent”と規定される。これらラベル1023に適用する文字列は発注者システム109における、情報処理装置110上で稼働する同図に示すアプリケーションを使用するユーザ、すなわち発注者が任意に設定可能である。換言すれば、定義する品質レベルの意味を操作者が容易に判別可能とするために設けられた情報であり、制御等に用いられる情報とは異なる性質を有する。
一方で、最上位品質1030のランク1024の値は10と規定されている。これら発注者が印刷業者に依頼した成果物の品質を定量敵に判別並びに管理するために発注者が規定する数値であり、制御等に用いられることを目的とした情報である。ただし、ランク1024の数値自体は発注者が自らの成果物の品質の定量的数値として任意に規定することが可能である。
最上位品質1030のランク1024を規定するためのバリュー1025は”GT 10.0”である例を同図は示している。すなわち、後述する数式設定部1039によって計算される定量的品質指標の数値が10.0以上であれば、最上位品質1030のランク値1024は10であると計算され、かつ該成果物の品質が最上位品質であると判別される。
その他の品質レベル(1031~1038)についても、同様の数値並びに数式で計算されるバリュー1025によって、ランク1024およびラベル1023が一意に決まるように規定されている。なお、各品質レベルは品質レベル編集部1026によって規定された情報の編集が可能な構成を本実施形態においては採用している。
品質レベルの数は任意に設定可能である。すなわち、必要に応じて細かいレベルを指定する際にはレベル追加部1028を押下し、新規の品質レベルを総合品質目標設定部1022に追加することが可能である。またレベル削除部1027によって、チェックマーク1046のついたレベルを削除することも可能な構成となっている。
発注者が印刷業者に対して品質要求をする際に、生産された成果物の品質について品質レベルで規定されるランク1024の数値によって、受け入れ条件を規定する。総合品質目標設定部1022に規定される品質レベルは、成果物単体に求められる品質要求である。許容範囲設定部1029は、成果物の品質の定量的指標であり計算の結果求められるバリュー1025の許容範囲を設定するために設けられたものである。すなわち、生産する成果物の品質のばらつきを防止するため発注者が印刷業者に対して品質のばらつき加減、すなわち成果物の品質に関する統一性・均一性として確保すべく指定する許容範囲に関する設定項目である。尚、総合品質目標設定部1022に規定される品質レベルは、成果物単体に求められる品質要求であるが、許容範囲設定部1029では、複数の成果物の品質の許容するばらつきに相当する。
最低品質要求指定部1081は、成果物の最低品質要求を指定する。最低品質要求指定部1081で指定されている最低基準の数値(図10Cの例では5.0)を満たす成果物の品質要求を指定する。具体的には、最低基準の数値が5.0である場合は、バリューの値が4.0である成果物は要望している品質を満たさず、バリューの値が5.2である成果物は要望している品質を満たす。
要望品質要求指定部1082は、成果物の要望品質要求を指定する。例えば、要望品質要求指定部1082は、受注者が、好ましいと要望している品質要求を指定する。
尚、許容範囲設定部1029と、あるいは、最低品質要求指定部1081が指定された場合は、これら指定された値を満たすことが求められる。しかしながら、要望品質要求指定部1082は、受注者が、好ましいと要望している品質要求であるので、検査する側によって、どこまでが、好ましいと要望している品質かどうかを定義される。
図10Bにおいては、許容範囲設定部1029が指定されている例となり、図10Cにおいては、許容範囲設定部1029と最低品質要求指定部1081が指定されている例である。
色品質設定部1040は、PRXを作成する際に、成果物の色に関する品質要求情報を入力する設定部である。総合品質目標設定部1022と同様、ラベル1023、ランク1024を設定する手段によって色に関する品質要求のレベルを指定可能なよう構成される。
色品質バリュー1041は要求する色に対する成果物の測色結果である色値の色差(ΔE、デルタEとも呼称)を基準に規定する。すなわち色品質における最上位品質1047は色差が1.0以下である例を示している。すなわち、最上位品質1047の場合のラベル1023は”Excellent”、ランクが10である場合の例を同図は示している。同様、に色品質における”良品”1048、”受け入れ可能”1049、”不合格品質”1050についても同様に定義された例を同図は示している。ランクの追加並びに削除機能については総合品質目標設定部1022と同様の仕組みによって実現されているため説明は割愛する。
色品質設定部1040においても、発注者が印刷業者に対して色に関する品質要求をする際に、生産された成果物の色品質について品質レベルで規定されるランク1024の数値によって、受け入れ条件を規定する。色品質に関する最低受け入れ色品質設定部1042、要望色品質設定部1043で、受け入れ条件が規定される。
最低受け入れ色品質設定部1042は、発注者が印刷業者に対し、成果物の納品に際し、受け入れ可能な色品質、すなわちランク1024の最低値を規定するためのものである。換言すれば最低受け入れ色品質設定部1042に規定された数値、同図の例においては8を下回るランク1024の数値の成果物は受け入れ色品質を満たしていない旨、色品質要求事項として印刷業者に伝達することができる。
要望色品質設定部1043によって、発注者が印刷業者に対し成果物の納品に際し、要望する色品質条件、すなわちランク1024の最低値を規定するためのものである。換言すれば要望色品質設定部1043に規定された数値、同図の例においてはランク1024の値として10の数値である成果物を、色品質要求事項を印刷業者に伝達することができる。
色品質変数設定部1044は上述した色品質に関するランク1024の値を総合品質目標設定部1022におけるバリュー1025を計算するための数式設定部1039から引用するための変数を規定するために設けられた手段である。数式設定手段については後述する。本実施形態においては、色品質変数設定部1044によって、色品質に関するランク1024の値を変数”cs”により参照可能とする一例を示している。
画像位置ずれ品質設定部1051は、PRXを作成する際に、成果物の画像位置ずれに関する品質要求情報を入力する設定部である。総合品質目標設定部1022と同様、ラベル1023、ランク1024を設定する手段によって画像位置ずれに関する品質要求のレベルを指定可能なよう構成される。
画像位置ずれ品質バリュー1052は要求する画像位置ずれに対する成果物の測定結果である基準位置からのずれ量(長さもしくは参照画像と成果物の画像の距離)を基準に規定する。すなわち画像位置ずれ品質における最上位品質1057はずれ量0.002mm以下である例を示している。すなわち、最上位品質1057の場合のラベル1023は”Excellent”、ランクが10である場合の例を同図は示している。同様、画像位置ずれ品質における”良品”1058、”、”不合格品質”1059についても同様に定義された例を同図は示している。ランクの追加並びに削除機能については総合品質目標設定部1022と同様の仕組みによって実現されているため説明は割愛する。
画像位置ずれ品質設定部1051においても、発注者が印刷業者に対して画像位置ずれに関する品質要求をする際に、成果物の画像位置ずれ品質について品質レベルで規定されるランク1024の数値によって、受け入れ条件を規定する。画像位置ずれ品質に関する最低受け入れ画像位置ずれ品質設定部1054、要望画像位置ずれ品質設定部1055で、受け入れ条件が規定される。
最低受け入れ画像位置ずれ品質設定部1054は、発注者が印刷業者に対し、成果物の納品に際し、受け入れ可能な画像位置ずれ品質、すなわちランク1024の最低値を規定する設定部である。最低受け入れ画像位置ずれ品質設定部1055に規定された数値、同図の例においては5を下回るランク1024の数値の成果物は受け入れ画像位置ずれ品質を満たしていない旨、画像位置ずれ品質要求事項を印刷業者に伝達することができる。
要望画像位置ずれ品質設定部1055によって、発注者が印刷業者に対し成果物の納品に際し、要望する画像位置ずれ品質条件、すなわちランク1024の最低値を規定する設定部である。要望画像位置ずれ品質設定部1055に規定された数値、同図の例においては10を上回るランク1024の数値の成果物を画像位置ずれ品質要求事項を印刷業者に伝達することができる。
画像位置ずれ品質変数設定部1056は画像位置ずれ品質に関するランク1024の値を総合品質目標設定部1022におけるバリュー1025を計算するための数式設定部1039から引用するための変数を規定するために設けられた設定部である。数式設定部1039については後述する。本実施形態においては、画像位置ずれ品質変数設定部1056によって、画像位置ずれ品質に関するランク1024の値を変数”rg”により参照可能とする一例を示している。
バーコード読み取り品質設定部1060は、PRXを作成する際に、印刷対象画像中に含まれるバーコード画像の読み取り精度に関する品質要求情報を入力する設定部である。ここでは、総合品質目標設定部1022とは異なる情報を設定する。バーコードの読み取り品質については、色品質や画像位置ずれ品質とは異なり、品質を表現する指標となる情報が物理量ではなく、バーコード情報の読み取り可能、もしくは不可能であるかに由来する。ランク1024による指定ではなく、バーコード品質読み取り指示設定部1061により、バーコード品質の検査の実行可否を制御する。バーコード位置情報設定部1063は、検査対象となるバーコードの、画像中の位置を座標により指定する設定部である。
バーコード読み取り品質設変数定部1062はバーコード読み取り品質に関する評価値を総合品質目標設定部1022におけるバリュー1025を計算するための数式設定部1039から引用するための変数を規定する設定部である。バーコード読み取り品質設定部1060によって、バーコード読み取り品質に関する評価値を変数”bc”により参照可能とする。ここでは、バーコード読み取り品質の評価値はバーコードの読み取りが可能な場合は1、読み取りができなかった場合の評価値を0として計算する。
数式設定部1039は、以上述べた色品質設定部1040は、画像位置ずれ品質設定部1051、バーコード読み取り品質設定部1060の検査結果を統合し、総合品質目標設定部1022を導くための数式を規定する設定部である。具体的には、色品質変数設定部1044、画像位置ずれ品質変数設定部1056、バーコード読み取り品質設変数定部1062、これらの変数に格納された値から、総合品質目標設定部1022のバリュー1025の数値を導くための数式を格納する。
数式を表現する方法としては様々な手段が適用される。ここではラムダ式によって計算式を表現する。別の形態としては無名関数を任意のプログラミング言語もしくはスクリプト言語のフォーマットによって表現する。もしくは関数に限定する必要性もなく、プログラミング言語もしくはスクリプト言語を直接記載し、当該アプリケーションプログラムが該プログラミング言語もしくはスクリプト言語を実行した結果の値を得る形態をとってもよい。更に、数式は別手段によって規定し、数式に名称を与え該名称を数式設定部1035に設定する方法もある。
以下、数式設定部1039によって総合品質目標設定部1022におけるバリュー1025を導く場合の処理内容について、具体的な例を用いて説明する。
例えば、色品質設定部1040、画像位置ずれ品質設定部1051、バーコード読み取り品質設定部1060の検査結果によってPRXに設定した基準に基づき、作成されたPQXに含まれる品質データが以下であったとする。ただしPQXの作成処理については後述する。
例
色品質測定値(デルタE):1.5(cs=9)
画像位置ずれ品質測定値(mm):0.002(rg=10)
バーコード読み取り品質測定値(読み取り成功・失敗):成功(bc==1)
上記を本発明における本実施形態に示す数式設定部1035に設定された数式に適用すると評価値は以下のように算出される。
bc*(cs+rg*4)/5
=1*(9+10*4)/5
=9.8
すなわち、総合品質目標設定部1022におけるバリュー1025は9.8となり、ランク1024は9、すなわちラベルが”Good1”であるランク1031が導出される。
図12は、発注者が入力した結果、生成される各種入稿対象データの例を示すためのものである。以下、データ種別ごとに詳細を説明する。
図12Aは、発注者システム109における情報処理装置110において入稿対象の印刷設定情報であるジョブチケットであるJDFデータを作成もしくは編集する手段によって生成されたJDF形式のジョブチケットの一例である。
ジョブチケットには以下に示すような情報が含まれる。すなわち、部に含まれるページ数(1201)、ジョブ全体印刷パラメータ1202、およびジョブ部分印刷パラメータ(1206、1208)である。
ジョブ全体印刷パラメータ1202には、トータル印刷部数1203や、ロット1287に関する情報、ジョブ全体で使用するメディア設定1204が含まれる。ロット1287は印刷業者が発注者に対して生産した成果物を納品する商品量の単位である。同図に示した例においては、13ページからなる成果物を1000部単位で印刷業者が発注者に送付し納品する指示をした状態を示している。ジョブ部分印刷パラメータ(1206、1208)には、部分として指定するページ範囲情報(1205、1209)や、部分で使用するメディア設定(1207、1210)が含まれる。
ジョブ全体で使用するメディア設定1204や、ジョブの部分で使用するメディア設定(1207、1210)の実際の設定内容はメディアタグ(1211、1214、1217)内で規定される。メディアタグ(1211、1214、1217)は、メディアの種別(1213、1216、1219)やメディアサイズ(1212、1215、1218)等の設定情報をさらに含む。
図12Bは、図10B、すなわち発注者システム109における情報処理装置110において入稿対象の品質要求データであるPRXを作成もしくは編集する手段によって生成されたPRXデータの一例である。PRXデータには以下に示すような情報が含まれる。すなわちマスタ情報1220、総合品質目標設定情報1221である。
総合品質目標設定情報1221はさらに品質レベル毎の規定部(1222、1223、1224、1225、1226、1227、1228、1229、1230)、数式規定部1232、許容範囲情報設定部1231等を含む。許容範囲情報設定部1231は、複数の成果物の品質の許容するばらつきに相当する。
これらと等価な情報の意味に関しては図10Bの説明においてなされているため割愛する。
色品質情報規定部1233は、成果物の色品質に関する各種設定情報を格納する情報から成る。すなわち、色品質である色差を規定するための単位情報規定部1235、リファレンスとなる色情報である参照色情報規定部1234、そして色品質レベル毎の規定部(1236、1237、1238、1239)等を含む。また、最低受け入れ色品質設定情報1240、要望色品質設定情報1241、色品質変数設定情報1242、色品質測定座標情報1243等も含まれる。これらと等価な情報の意味に関しては図10Bの説明においてなされているため割愛する。
画像位置ずれ品質情報規定部1244は、成果物の画像位置ずれ品質に関する各種設定情報を格納する情報から成る。すなわち、画像位置ずれ品質であるずれ許容量を規定するための単位情報規定部1245、画像位置ずれ品質レベル毎の規定部(1246、1247、1248)等を含む。また、最低受け入れ色画像位置ずれ設定情報1249、要望画像位置ずれ品質設定情報1250、画像位置ずれ品質変数設定情報1251、画像位置ずれ品質測定座標情報1252等も含まれる。これらと等価な情報の意味に関しては図10Bの説明においてなされているため割愛する。
バーコード読み取り品質規定部1253は、成果物に含まれるバーコード画像の読み取り制度に関する品質要求情報格納するために設けられたものである。バーコード読み取り品質情報規定部(1254、1255)、バーコード読み取り品質設変数規定部1258、バーコード読み取り最低品質規定部1256、バーコード読み取り要望品質規定部1257、バーコード読み取り対象座標規定部1259が含まれる。これらと等価な情報の意味に関しては図10Bの説明においてなされているため割愛する。
参照色詳細情報規定部1260は、色品質として要望する参照データ(正解値、リファレンス値)を規定するために設けられたものである。本実施形態における具体例として、CXF情報規定部1261、ならびにそれが含む色情報の表現手段の一つである分光スペクトル情報格納部1262を含む。
図12Cは、画像形成装置104が備える検査部214によって、成果物であるシート上に形成される画像情報の検査を実施した際の、検査結果データの一例を説明するためのものである。同図に示す情報は画像形成装置104が備える検査プログラム410をコントローラ部205が実行することで作成され、情報処理装置102上で動作するワークフロー制御プログラム505に送信される。以下、検査結果データに含まれる情報について説明する。
検査実施シート情報1263は画像形成装置104の検査部214が検査を実施した際のジョブの先頭からのシートの位置に関する情報を格納することを目的に設けられたものである。
分光スペクトルデータ1264は検査部214における、図9にて示した第三の検査部912、および第四の検査部913によってシート上の画像の色情報である分光スペクトルの数値データである。後述するPQXデータに格納され、色品質に関する検査結果を発注者に提供するために用いられる。
色差測定データ1265は、分光スペクトルデータ1264とターゲットとなる色との式差をデルタE形式で格納したものである。同図の例では測定した式差が+1.9であることを示している。
画像位置ずれ検査結果データ1266は、検査部214における、図9において示した第一の検査部907および第二の検査部908によってシート上の画像の位置ずれに関するずれ量の数値データである。後述するPQXデータに格納され、画像位置ずれ品質に関する検査結果を発注者に提供するために用いられる。
バーコード読み取り検査結果データ1267は、検査部214における、図9において示した第一の検査部907および第二の検査部908によってシート上のバーコード画像の読み取り検査の結果に関するデータである。後述するPQXデータに格納され、バーコードの読み取り品質に関する検査結果を発注者に提供するために用いられる。
図12Dは、画像形成装置104が備える検査部214によって作成された図12Cに示した検査情報を、ワークフロー制御プログラム505が受信し、作成する印刷品質報告データ、すなわちPQXデータの一例を示したものである。以下、PQXに含まれる情報のうち、主要なものについて説明する。
PQXヘッダ情報1269はPQXデータが保持すべき主となる情報の格納領域である。
作業報告格納部1270は、画像形成装置104が処理を実行した際になされる品質検査結果および品質検査結果に対応付ける汎用的な情報を格納するために用いられるものである。
検査結果格納領域1271は、検査部214によって実施された成果物作成品質に関する各種検査結果を検査の種別毎に識別し、格納することを目的に供される格納部である。以下、同領域に格納される品質検査結果の内容について説明する。
検査部位特定情報1272には、画像形成装置104が備える検査部214により実施された、品質検査結果の位置情報が格納される。シート上の検査位置情報部1273を含んでいる。
色品質報告格納部1274は、PQXに含めて発注者に印刷業者が行う品質報告情報のうち、色情報に関する報告情報を格納するための領域である。図12Cにて示した、分光スペクトルデータ1264に基づき当該領域の情報は作成される。すなわち、分光スペクトルデータ1264の参照リンク1275、参照リンク1275が参照する実施の分光スペクトルデータ格納部1285、および分光スペクトルデータ1286、測定位置指定部1276、色差格納部1277がこれに相当する。
第三の受信プログラム609が受信したPQXから分光スペクトルデータ格納部1285に格納されたデータ、および第三の送信プログラム608でPRXとして送信した色品質情報規定部1233を比較し、色差(デルタE)を計算するか、もしくは画像形成装置104側で測定したデルタE情報を色差格納部1277に格納する。そのうえで、図10Bにおける色品質設定手段1040で規定したバリュー1041からランク1024を導く処理を実施し、色品質に関する判別情報を導出するために用いられる。
測定位置指定部1276は、色品質検査が実施されたシート上の位置を示すための情報である。測定位置指定部1276に格納された位置情報は主副座標方向に画像形成され、第三の検査部912および第四の検査部913で読み取り検査を実施したカラーパッチ(916、919)の原点からの相対座標位置を示している。
画像位置ずれ品質報告格納部1278は、PQXに含めて発注者に印刷業者が行う品質報告情報のうち、画像位置ずれ情報に関する報告情報を格納するための領域である。図12Cにて示した、画像位置ずれ検査結果データ1266に基づき当該領域の情報は作成される。
第三の受信プログラム609が受信したPQXから画像位置ずれ品質報告格納部1278に格納されたデータ、および第三の送信プログラム608でPRXとして送信した画像位置ずれ品質情報規定部1244を比較し、ずれ量を計算する。そのうえで、図10Bにおける画像位置ずれ品質設定手段1051で規定したバリュー1052からランク1024を導く処理を実施し、画像位置ずれ品質に関する判別情報を導出するために用いられる。
測定位置指定部1281は、画像位置ずれ検査が実施されたシート上の位置を示すための情報である。定位置指定部1281に格納された主副座標方向に画像形成され、第一の検査部907および第二の検査部908で読み取り検査を実施したレジマーク(917、918)の原点からの相対座標位置を示している。
バーコード読み取り品質格納部1282は、PQXに含めて発注者に印刷業者が行う品質報告情報のうち、バーコード読み取り品質情報に関する報告情報を格納するための領域である。図12Cにて示した、バーコード読み取り検査結果データ1267に基づき当該領域の情報は作成される。
第三の受信プログラム609が受信したPQXからバーコード読み取り品質格納部1282に格納されたデータ、および第三の送信プログラム608でPRXとして送信したバーコード読み取り品質規定部1253を比較し、検査結果を計算する。そのうえで、図10Bにおけるバーコード読み取り品質設定手段1060で規定したバーコード読み取り品質に関する検査結果の判別情報を導出するために用いられる。
測定位置指定部1284は、バーコード読み取り検査が実施されたシート上の位置を示すための情報である。測定位置指定部1284に格納された主副座標方向に画像形成され、第一の検査部907および第二の検査部908で読み取り検査を実施したバーコード920の原点からの相対座標位置を示している。
成果物品質許容度情報格納部1287は、品質許容範囲に関する報告情報を格納するために設けられた情報である。具体的には、図12Bにおいて示した、許容範囲情報設定部1231に基づき成果物を生産した結果、成果物が指定された品質許容範囲に収まっているか否かに関する情報である。以下、成果物品質許容度情報格納部1287に格納される情報について詳細を述べる。
平均値1288は、生産した特定数成果物の総合品質目標設定部1022において求められたバリュー1025の平均値を格納するためのものである。後述する成果物毎のバリュー1025同士のばらつき、すなわち偏差を計算によって求めるために導かれた数字が格納される。
成果物カウント格納部1289は、生産した成果物における最初の成果物からの積算数であり、現在報告対象となっている成果物が生産開始後何番目の成果物であるかを示すインデックスである。
成果物毎バリュー1290は、成果物カウント格納部1289において示した成果物について総合品質目標設定部1022を計算によって求めたバリュー1022の数値を格納するためのものである。
成果物偏差格納部1291は、成果物カウント格納部1289によって指定される成果物の総合品質目標設定部1022を計算によって求めたバリュー1025の、平均値1288に対する偏差値を格納するためのものである。なお、平均値1288、成果物偏差格納部1291に格納する偏差値の求め方については後述する。
成果物許容範囲判定情報格納部1292は、許容範囲に収まっているか否かの判定結果を格納するためのものである。具体的には、成果物カウント格納部1289によって示される成果物の総合品質目標設定部1022を計算によって求めたバリュー1025が、許容範囲情報設定部1231によって示された許容範囲に収まっているか否かの判定結果を格納する。
すなわち、成果物のばらつきを抑制することによって均一性・統一性を得るために、品質の一指標として許容範囲を指定可能とし、該許容範囲内に収まっているか否かを品質指標として判別する。成果物許容範囲判定情報格納部1292に格納される情報を判別することによって、均一性が確保された成果物群に属するばらつきの無い良品群に属するか否かを容易に判定できる。
同図に示した例においては、指定した許容範囲に収まっていると判別された場合、すなわち当該成果物は指定したばらつきの範囲内に収まる成果物であり、均一性の担保された成果物であると判定された場合の例を示している。
図13は、実施形態における成果物のバリューの例である。
ここでは、図10Bに示す画面においける許容範囲設定部1029においてバリュー1025のばらつき幅として1.0を指定された場合の例を説明する。
図13(A)は、成果物1301を連続して生産した場合における、個々の成果物の総合目標設定部1022におけるバリュー1025とランク1024の値のばらつき状態の一例を説明するための図である。ここでは、成果物が10個とする。成果物生産開始から1番目から10番目までの個々の総合品質のバリュー1025とランク1024の値を示したものである。PRXで指定された個別の品質要求からバリュー1025を導くまでの手法は図10、11、12において説明済の為、省略する。
図13(B)は、図11Aの結果をグラフとして示したものである。グラフの左軸はランク1024の値であり、右軸がバリュー1025を示している。各成果物のバリュー1025とランク1024はそれぞれ記号●と△でグラフにプロットされている。
同図に示す通り、1番目および10番目の成果物は隣接する成果物との比較において、極端に品質が悪いか、若しくは優れている。換言すればこれらの成果物は品質の均一性を損ねる要因となっている。これら1番目もしくは5番目以外の成果物はバリュー1025が一定の数値の範囲に収まっている。すなわち、これら均一性が確保された、1番目と5番目以外の成果物の品質においてはばらつきが抑制され、均一性が担保されている。また、発注者は図10Bに示す画面においける許容範囲設定部1029においてバリュー1025のばらつき幅として1.0を指定している。すなわち、このバリューの許容幅=1.0に収まっている成果物が要望する成果物であり、品質の均一性として印刷業者に生産時に依頼する品質に関する要望事項である。
図13(C)は、図11Aにおいて示した均一性が確保された成果物を抽出するための計算式の一例を説明するための図である。複数の数値を有したデータからばらつきを排除し均一な数値範囲内に属するデータを選別する手法としては各種知られているが同図に示すものはそのうちの一例を示している。
まず、抽出対象となる成果物のバリュー1025の数値の平均値を求める。その上で、前記求めた平均値から各成果物のバリュー1025データとの差を計算する。平均値とその基となるデータとの差は偏差として知られている。この偏差が許容範囲情報設定部1231として設定された数値である、プラスマイナス0.5すなわち範囲として1.0に収まっているか否かが前述したばらつきの範囲内に収まっているか否かの判別条件となる。
図13(B)は、図13(C)に示した偏差によるばらつき指標が指定した許容範囲である許容範囲設定部1029の値に収まるか否かの判定結果を説明するための図である。具体的には、図13(C)に示した方式によって求めた偏差1313と、その値によって許容範囲情報規定部1231で指定した許容範囲内に納まっているか否かの判定結果1314を示している。バリュー1025の平均値1312は同図に示した例においては5.2であるため、図13(C)に示した計算結果から偏差1313を求め、その結果が図13(C)に示した数式を成立させているか否かの判定結果1314を示している。
同図に示す通り、判定結果1314に示す通り、許容範囲情報設定部1231に指定した許容範囲に収まっているデータ1315、すなわち発注者が印刷業者に指定した生産条件として品質の均一性が担保されている成果物群を示している。
図11Bは、図13(B)に示した判別結果1314をグラフ形式でかつ効果を簡易に示すための情報を付加したものである。許容範囲情報設定部1231に指定した許容範囲に収まっているデータ1315、および平均値1312との関連を示している。
同図に示す通り、発注者は印刷業者に対して成果物の品質のばらつきを抑制し、均一性という品質指標を求めるためにPRXによって許容範囲情報設定部1231を指定可能とする。さらに同PRXを受信したシステムがその指定された許容範囲情報設定部1231に基づき成果物の品質を検査し、生産時に同許容範囲情報設定部1231に指定された許容範囲に品質が収まるよう、生産を実施することを可能とする。さらに、許容範囲情報設定部1231に収まらない品質の成果物、同図に示す例では、1番目および5番目のような成果物の生成を抑制するための生産体制並びに品質管理を実施することを可能としている。許容範囲情報設定部1231に指定した許容範囲内であるか否かによって良品であるか否かを判定することで品質に関する報告であるPQXの品質報告情報を生成し発注者に報告情報を送信する。
図14は、データ作成アプリ部703並びにウェブブラウザ部704が図10にて示した各種設定画面の操作によって、図12に示したような入稿各種データを作成、並びに送信する場合のフロー図である。同フロー図に示す動作は、HDD311に格納されるPDF作成プログラム605、PRX作成プログラム606、JDF作成プログラム607、第三の送信プログラム608、ウェブブラウザ604をCPU301が実行することによってなされる。
S1401において、図10Bに示した通り情報処理装置110において入稿対象の品質要求データであるPRXを作成もしくは編集する手段によって品質要求データの設定が為される。同ステップにおいて実行される品質要求データ設定処理には、許容範囲設定部1029に対するバリュー1025の許容範囲の指定もしくは未指定も含まれる。
S1402において、設定および作成した設定データを含む入稿データ一式を発注者システム109から印刷業者システム100に送信する。同ステップの処理は図7において示したS719に相当し、図11において示した入稿処理画面が備える第一の送信指示部1108若しくは第二の送信指示部1119の操作に相当する。
同ステップにて送信指示が為された後にS1403以降の処理が実行される。
S1403において、S1401にて作成されたデータのうち、JDFデータの解析処理を実行する。これは図12Aにて示した、XMLフォーマットで記述されたJDFデータの解析処理に相当する。換言すれば発注者が印刷業者に指定した成果物作成に係るジョブ実行条件、ジョブ設定情報に関する各種情報を取得する処理を実行する。
S1404において、以上実行したステップの結果得られる情報に従いPRX形式のデータに変換しPRXデータの作成処理を実行する。これは図12Bにて示したXMLフォーマットで記述されたPRXデータの作成処理に相当する。
S1405において、S1401においてなされた設定処理のうちPRX設定処理において、図10Bにおいて示した許容範囲設定部1029に対してバリュー1025の許容範囲設定が為されたか否かを判別する。同ステップの判別の結果が真であると判定された場合、図12Bにて示した許容範囲情報設定部1231に設定された許容値に関する設定情報をPRXに付加する(S1406)。S1407において、データ作成アプリ部703によって設定もしくは作成された入稿データ一式を発注者システム109から印刷業者システム100に送信する。
図15は、ワークフロー制御部707がPRXを解析し、入稿されたデータに基づき画像形成装置103、104に対し検査部に対する検査時の検査条件を指定する処理を実施する際の詳細フローを説明するためのフロー図である。同フロー図に示す動作はHDD311に格納されるワークフロー制御プログラム505をCPU301が実行することによって為される。
S1501で入稿されたデータのうち、S1502においてPRXデータの解析処理を実行する。これは図12Bにて示した、XMLフォーマットで記述されたPRXデータの解析処理に相当する。換言すれば発注者が印刷業者に指定した成果物作成に係る品質要求に関する各種情報を取得する処理を実行する。
同様にS1503において、S1501にて入稿されたデータのうち、JDFデータの解析処理を実行する。これは図12Aにて示した、XMLフォーマットで記述されたJDFデータの解析処理に相当する。換言すれば発注者が印刷業者に指定した成果物作成に係るジョブ実行条件、設定情報に関する各種情報を取得する処理を実行する。
S1504において、S1502にて実施したPRX解析結果の情報から、発注者が印刷業者に指定した成果物の各種品質に関する要求情報を取得および判別する。
S1505において、S1504にて取得および判別した品質要求情報の中に、バリュー1025のばらつきに関する品質設定がなされているか否かを判別する。具体的には、図12Bにおいて示したPRXに許容範囲情報設定部1231が含まれているか否かを判別する。ばらつきに関する品質設定がなされていない場合には、S1506に進み、通常モードで、成果物の品質検査を実施すべく検査項目を抽出する。つまり、抽出される検査項目には、ばらつきに関する品質設定の検査項目は含まれない。
一方でS1505の判別の結果が真である場合にはS1507に進み、許容範囲指定モードで、ばらつきに関する品質設定の検査を含めた、成果物の品質検査を実施すべく検査項目を抽出する。すなわち、成果物の品質指標として求められるバリュー1025においてばらつき、すなわち品質の統一性・均一性に関する検査は実施するための検査項目の抽出も行う。
S1508において、PRXに設定されている、発注者が印刷業者に生産時に指定する品質要求情報(品質検査関連情報)を検査部214にセットする処理を実行する。具体的には図12Bで示したPRX情報のうち、品質の統一性・均一性に関する検査項目に対しての設定を検査部214に設定する。検査項目としては、図12Bで示したPRX情報のうち、色品質情報規定部1229、画像位置ずれ品質情報規定部1241、バーコード読み取り品質規定部1250である。そして、生産時に前述の各項目に対する検査を検査部214に対し実行させるための指示を行う。
発注者が印刷業者に対して要求する品質項目、すなわちPRXに含まれる品質要求項目に限り、同ステップにおいて検査部214に対する設定処理が為されることは言うまでもない。また、同ステップにおいてにS1503にて解析したジョブチケット内の設定情報も併せて同ステップにおいて送信する処理も実行される。
図16は、画像形成装置103、104が備える検査部214においてなされる、図15におけるS1508で設定された検査項目の条件に基づき、PRXにて規定された品質検査処理、品質検査結果情報作成処理ならびに検査結果の送信処理のフロー図である。同フロー図に示す動作は、コントローラ部205がHDD209に格納される検査プログラム410を実行することによって為される。
1602において、図15のS1508にて設定されたすべてのPRXに記載された品質要求に関する検査項目の設定情報を受信する。S1603において、検査部214に設定した上で、印刷処理を開始する。
S1604において、S1601およびS1602にて受信した検査部214に対する検査指示情報に基づき、印刷処理が為された各成果物に対して、品質検査処理を実行する。具体的にはシート上に形成された画像情報に対し、コントローラ部205が検査プログラム410を図9(B)に示した検査部214を構成する第一から第四の検査部(907、908、912、913)を制御してPRXに指定された品質検査処理を実行する。
S1604を実行した結果はS1605において画像形成装置103、104からワークフロー制御部707に対して、図12Cに示すフォーマットによる検査結果データを生成し、作成後に送信処理を実行する(S1606)。S1607において、上記で述べたS1604からS1606までの処理を成果物毎に繰り返し実行するための終了条件の判定をする。すなわち、S1604からS1606は、成果物単位で行われる。
図17は、印刷業者システム100における、ワークフロー制御部707が画像形成装置103、104から送付される、図16に示したフローの動作に従い作成された検査結果データから、PQXデータを生成するための処理を説明するためのフロー図である。同フロー図に示す動作はHDD311に格納されるワークフロー制御プログラム505をCPU301が実行することによって為される。
S1700において、報告対象となる成果物毎の情報を蓄積し、成果物の平均値及び偏差を計算する。ここでは、報告対象となる全ての成果物の平均値と偏差を計算する。しかしながら、成果物単体の品質が満たす成果物を対象に、平均値及び偏差を計算してもよい。具体的には、成果物毎に、後述するS1702を判定し、S1702がYesと判定された成果物を対象にする。あるいは、成果物毎に、後述するS1702とS1705を判定し、S1702とS1705がともにYesと判定された成果物を対象にしてもよい。
S1701で、成果物n=1とする。すなわち、1つの目の成果物に対して、S1702以降の処理を行う。S1702では、PRXデータで要求されている成果物単体の品質要求を満たすかどうかを判定する。図12BのPRXデータの例では、許容範囲情報設定部1231が、成果物単体ではなく、複数の成果物に対する要求なので、許容範囲情報設定部1231を除く、PRXデータに含まれる成果物単体の品質要求を満たすかを判定する。S1702でYesの場合は、S1703に進む。S1703では、PRXデータに、許容範囲情報設定部1231を含むかを判定する。すなわち、受注者が、許容範囲を設定しているかを判定する。図12Bは、許容範囲情報設定部1231を含むPRXデータの例である。ここでは、許容範囲の値として、1.0が指定されている。すなわち、受注者は、バリューの値が1.0の範囲内にある成果物群を求めていることを表す。S1703がYesの場合は、S1704に進む。S1704では、成果物が、PRXデータで指定されている許容範囲を満たしているかを判定する。具体的には、図13(B)の1番目の成果物の例では満たさず、2番目の成果物の例では満たす。S1704がYesの場合は、S1705に進む。
S1705では、PRXデータに、最低品質要求規定部1801を含むかを判定する。すなわち、受注者が、最低品質を設定しているかを判定する。図18(A)は、最低品質要求規定部1801を含むPRXデータの例である。ここでは、最低品質要求の値として、5.0が指定されている。すなわち、バリューの値が5.0以上の成果物を、受注者が求めていること表す。S1705がYesの場合は、S1706に進む。S1706では、成果物が、PRXで指定されている最低品質の値を満たしているかを判定する。具体的には、図13(B)の1番目の成果物の例では満たさない。S1706がYesの場合は、S1707に進む。
S1707では、PRXデータに、要望品質要求規定部1804を含むかを判定する。すなわち、受注者が、要望品質を設定しているかを判定する。図18(B)は、要望品質要求規定部1804を含むPRXデータの例である。ここでは、要望品質要求の値として、6.0が指定されている。すなわち、受注者は、バリューの値が6.0ぐらいの成果物を求めていることを表す。S1705がYesの場合は、S1706に進む。S1708では、成果物が、PRXで指定されている要望品質の値を満たしているかを判定する。S1708の判定の仕方の例として、要望品質要求の値が6.0であり、許容範囲の値が1.0である場合は、バリューが5.0~7.0の範囲にある成果物が、要望品質を満たすと判定する。S1708がYesの場合は、S1709に進む。
S1709において、要望を満たすことを示す情報をPQXに付与する。S1710において、要望を満たさないことを示す情報をPQXに付与する。最初に判定した、最低品質要求規定部1801、要望品質要求規定部1804を満たさない成果物、あるいは、許容範囲情報設定部1231を満たさないと判定された成果物に対して付与する。PRXに指定された品質要求に対応する品質報告をPQXフォーマットに変換し、変換したPQXを送信する(S1711)。S1711における送信処理は図7におけるS729に相当する。
S1712で、全ての成果物に対して処理を行ったかを判定し、Yesの場合は、S1713で、n=n+1として、S1703へ進む。
<変形例1>
図17のフローチャートでは、成果物単体の品質を満たすか(S1702、S1705)、複数の成果物の品質の許容ばらつきを満たすか(S1703)を、それぞれの成果物に対して判定した。しかしながら、先に、成果物単体の品質を満たすか(S1702、S1705)を実行し、S1702、S1705をともに満たす成果物だけで、成果物の偏差を計算する。そして、S1702、S1705をともに満たす成果物に対して、複数の成果物の品質の許容ばらつきを満たすか(S1703)を判定するようにしてもよい。
<変形例2>
図17のフローチャートでは、S1701で、成果物の偏差を求めてから、許容範囲情報設定部1231と、最低品質要求規定部1801、要望品質要求規定部1804、それぞれを満たすかどうかを判定した。しかしながら、PRXデータに、最低品質要求規定部1801、要望品質要求規定部1804が含まれる場合は、以下のように判定してもよい。すなわち、まず、それぞれの成果物に対して、最低品質要求規定部1801、要望品質要求規定部1804を満たすかを判定する。最低品質要求規定部1801、要望品質要求規定部1804を満たすと判定された成果物に対して偏差を求め、それらの成果物に対して、許容範囲情報設定部1231を満たすかを判定する。結果、許容範囲情報設定部1231を満たすと判定された成果物は、S1709において、要望を満たすことを示す情報をPQXに付与する。また、最低品質要求規定部1801、要望品質要求規定部1804を満たさない成果物、あるいは、許容範囲情報設定部1231を満たさないと判定された成果物に対して、S1710において、要望を満たさないことを示す情報をPQXに付与する。
<変形例3>
PRXデータに、許容範囲情報設定部1231と、要望品質要求規定部1804とを含む場合は、以下のように判定してもよい。ここでは、図18(B)にて示したPRX,すなわち許容範囲情報設定部1231に加え、要望品質要求規定部1804を共に含んだ場合の例で説明する。すなわち許容される成果物品質のバリュー1025の許容範囲は1.0であり、要望する品質のバリュー1025は6.0であることを共に満たすという品質要求を求めている。
図19は、変形例3の判定について説明する図である。
パターン1(1805)は、要望品質要求規定部1804に規定された要望する品質のバリュー1025として指定された6.0を含み、かつ品質のばらつき許容範囲1231が許容範囲情報設定部1231に規定された1.0の範囲内に収まっている一例である。
パターン2(1806)、パターン3(1807)も同様であり、含まれる範囲がそれぞれ異なっているが、許容される成果物品質のバリュー1025の許容範囲は1.0である。要望する品質のバリュー1025が要望品質要求規定部1804に規定された設定である6.0を含むことを共に満足する。従って、このようなバリュー1025に収まるような成果物の生産並びに品質報告を実施する。
一方で、パターン4(1808)、パターン5(1809)は、許容される成果物品質のバリュー1025の許容範囲は1.0であるが、要望する品質のバリュー1025は要望品質要求規定部1804に規定された設定である6.0を含んでいない。従って図18(B)で指定したPRXの異なる二つの品質条件を共に満たしていないため、このようなバリュー1025の分布を持つ生産は発注者が印刷業者に依頼する品質条件に合致しないものであることを意味する。
ただし、パターン4(1808)は、要望品質要求規定部1804を超えた品質条件であり、かつ成果物品質のバリュー1025の許容範囲は1.0を満たしている為、良品の生産品質であると看做した品質指定とし、制御および判別することも可能である。
<変形例4>
上記実施形態においては、生産した成果物の特定数を全数として品質指標であるバリュー1025の平均値を求め、さらにその求めた平均からの分散を算出し、許容範囲設定部1029に規定された許容範囲内に収まっているか否かの判別を実施した例を示した。
しかしながら、成果物を長期かつ日を挟んで生産する、かつ大量の生産を実施する場合次に示すようなさらなる考慮すべき事項が存在する。同一成果物を例えば一定数量単位で生産することを想定する。その際、連続して装置を稼働した場合には生産時の各種環境(温度湿度、仕入れたシートの製紙会社の生産時期等)はある程度変動が抑制された状態が維持される。すなわち連続して生産した個々の成果物同士の品質状態はある程度の均一性が維持される。しかしながら一定数で生産を実施した後に、装置の稼働を停止する、あるいは生産を翌日に持ち越す等、生産状態に不連続な条件が生じた場合を想定する。もしくは製紙会社から新規のロット注文のシートを入荷して生産を実施する場合をも想定する。その場合、同一の一生産単位成果物内における品質指標であるバリュー1025のばらつきは抑制されていたとしても、一生産単位毎の品質指標、すなわちバリュー1025の数値は異なるケースが存在しうる。そのため、変形例として、ばらつきを判別する成果物群の単位をさらに指定可能とする。
図20Aは、変形例4における発注者システム109において情報処理装置110において入稿対象の品質要求データであるPRXを作成もしくは編集するためのアプリケーション画面の一例を示したものである。図10Bに、生産単位指定部2001が追加されている。生産単位指定部2001は、品質のばらつき程度を考慮するための、対象となる成果物の生産単位を指定するための設定手段である。2001を選択することにより図20Bに示す画面に遷移する。
図20Bは、品質のばらつき程度を判定する成果物の生産単位を指定するための画面2002が表示される。同図に示す例においては、指定可能な成果物の生産単位として次に示すものが規定されている。
部数単位設定部2003は指定した部数(2006)単位を母数として成果物品質指標のバリュー1025のばらつきを判定する指示を行う指定部である。同図に示した例では1000部単位を一塊としてバリュー1025のばらつき加減を判別する場合の例を示している。
ロット数単位設定部2004においては、印刷業者もしくは発注者が発注若しくは生産、納品の単位であるロットという塊を一単位としてバリュー1025のばらつき加減を判定する指示を行う指定部である。同図においては100ロット単位で成果物品質のばらつきを判別すべく指定している例であり、1ロット当たりのアイテム数指定部2008においてさらに1ロットに含まれる成果物数も指定可能なよう構成されている。同図における例においてはロット当たりのアイテム数は500である場合の例を示している。
上述した部数でも、ロット数でもなく、成果物の全生産過程において品質指標のバリュー1025のばらつき抑制効果を得るためには全アイテム設定部2005を選択する。
なお、部数単位設定部2003、ロット数単位設定部2004、アイテム設定部2005は排他的に選択可能とし、同図においては部数単位設定部2003が選択されている場合の例を示している。
OKボタン2009は上述の各設定部で選択した内容を決定した上で図20Aの画面に再度遷移するための操作部である。キャンセルボタン2010は上述した各操作部での設定操作を取り消して図20Aの画面に再度遷移させるための操作として設けられたものである。
尚、図20Bで指定された単位ごとに、図17のフローチャートを実行すればよい。
以上説明した実施形態によれば、成果物の品質として個々の成果物の品質だけでなく、複数から成る成果物群の間で品質均一性の確保が達成されるような品質要求の指定が可能となる。そして、その指定に基づく品質均一性を確保した生産および品質検査も可能となる。
尚、以上説明した実施形態では、受注者は、一意に決まる品質の許容範囲(例えば、バリューの値が4~6)を指定するのではなく、複数の成果物の品質の許容範囲(例えば、複数の成果物のバリューの値が2以内のもの)を指定している。そのため、他の項目での品質をクリアしていれば、成果物群の品質のレベルは問わず、極端に目立った品質のものが含まれない成果物群が生成可能である。例えば、バリューの値が高いものが生成されやすい画像形成装置であっても、バリュー値がそれほど高くないものが生成されやすい画像形成装置であっても、成果物群での品質レベルを確保可能となる。
[その他の実施形態]
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。