JP2022020243A - 熱交換器、ループ型ヒートパイプ、冷却装置及び電子機器 - Google Patents

熱交換器、ループ型ヒートパイプ、冷却装置及び電子機器 Download PDF

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聡彦 馬場
Satohiko Baba
晋 松阪
Susumu Matsuzaka
友康 平澤
Tomoyasu Hirasawa
基和 長谷川
Motokazu Hasegawa
剛史 遠藤
Takashi Endo
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Abstract

【課題】弾性ウィックと筐体とのシールを十分に行うことができる熱交換器、ループ型ヒートパイプ、冷却装置及び電子機器を提供する。【解決手段】熱交換器たる蒸発器2は、液相の作動流体が流入する流入部と、外部からの受熱により気化した作動流体を排出する排出部と、流入部と前記排出部とを仕切る部分を有する壁部11aとを備え、液相の作動流体が浸透する弾性ウィック15を内部に有する。壁部11aは液相の作動流体が通過する液連通部10を有し、弾性ウィック15は、液連通部10を塞ぐように、壁部11aと壁部に対向する対向壁部14とで挟持されている。そして、弾性ウィック15の壁部の液連通部10の周囲に当接するシール領域15bの弾性変形量が、液連通部10に対向する受液領域15aの弾性変形量よりも大きくしている。【選択図】図4

Description

本発明は、熱交換器、ループ型ヒートパイプ、冷却装置及び電子機器に関するものである。
従来、液相の作動流体が浸透する弾性ウィックを内部に収納し、内部に液相の作動流体が流入する流入部と、気相の作動流体を排出する排出部とが形成され、外周面に発熱部からの熱を受ける受熱面を有する熱交換器が知られている。
特許文献1には、上記熱交換器として、筐体に弾性ウィックを圧入して、筐体の内周面に弾性ウィックを密着させることで、排出部の気相の作動流体が流入部へ逆流しないようにシールするもの記載されている。
しかしながら、特許文献1に記載の装置においては、弾性ウィックと筐体とのシールが十分にできず、排出部の気相の作動流体が流入部へ逆流し、作動流体の循環効率が低下するおそれがあった。
上述した課題を解決するために、本発明は、液相の作動流体が流入する流入部と、外部からの受熱により気化した作動流体を排出する排出部と、前記流入部と前記排出部とを仕切る部分を有する壁部とを備え、前記液相の作動流体が浸透する弾性ウィックを内部に有する熱交換器であって、前記壁部は前記液相の作動流体が通過する液連通部を有し、前記弾性ウィックは、前記液連通部を塞ぐように、前記壁部と前記壁部に対向する対向壁部とで挟持され、前記弾性ウィックの前記液連通部に対向する領域を受液領域とし、前記弾性ウィックの前記壁部の液連通部の周囲に当接する領域をシール領域としたとき、前記シール領域における弾性変形量は、前記受液領域の弾性変形量よりも大きいことを特徴とするものである。
本発明によれば、弾性ウィックと筐体とのシールを十分に行うことができる。
本発明を適用可能なループ型ヒートパイプの構成を示す概略説明図。 従来のループ型ヒートパイプの概略構成図。 従来における蒸発器の組み付けの一例を示す図。 本実施形態の蒸発器の概略構成図。 ケースを開口側から見た図。 受熱板について説明する図。 ケース内の作動流体の動きについて説明する図。 (a)は、発熱部の受熱面との当接領域が、液連通部よりも大きい場合を示す図であり(b)は、発熱部の受熱面との当接領域が、液連通部よりも小さい場合を示す図。 実施例1の蒸発器2における特徴部である弾性ウィックを示す図。 弾性ウィックの発熱部と対向する受熱領域を示す図。 (a)は、実施例2の蒸発器を示す概略構成図であり、(b)はリザーバー側壁部を弾性ウィックが当接する側から見た平面図。 (a)は、実施例3の蒸発器を示す概略構成図であり、(b)は、潰し部材の平面図。 潰し部材が、蒸気溝の外側にある例を示す図。 潰し部材をリザーバー側壁部と弾性ウィックとの間に設けた例を示す図。 実施例4の蒸発器を示す概略構成図。 実施例4における弾性ウィックの斜視図。 実施例4において、受熱板に凸部を設けた例を示す図。 蒸発器に取り付けることで、弾性ウィックを弾性変形させる構成の変形例を示す図。 本実施形態に係るループ型ヒートパイプを備える電子機器の一例を示す説明図。 蒸発器の受熱板が熱を受ける電子機器の発熱部の一例を示す図。
以下、本発明に係るループ型ヒートパイプを、電子機器の冷却装置に適用した一実施形態について説明する。
図1は、本発明を適用可能なループ型ヒートパイプの構成を示す概略説明図である。
ループ型ヒートパイプ1は、内部に作動流体が封入されており、発熱部6から熱を吸収して作動流体を液相から気相へと蒸発させる熱交換器としての蒸発器2と、蒸発器2から導かれた気相の作動流体を液相へと凝縮させる凝縮器3と、蒸発器2から凝縮器3へ気相の作動流体を流通させる蒸気管4と、凝縮器3から蒸発器へ液相の作動流体を流通させる液管5とを備える。
蒸発器2は、壁の外側の熱を伝熱して壁の内側の作動流体を液相から気相へと気化させ、凝縮器3は、蒸発器2から導かれた気相の作動流体を液相へと凝縮させる。本実施形態では、作動流体としてエタノールを用いているが、アンモニア、水、アルコール、アセトン、フッ素系溶剤、代替フロン等の他の凝縮性流体を用いてもよい。
凝縮器3は、外周面にアルミニウム製の薄板状のフィン(放熱フィン)が多数設けられた凝縮管である放熱パイプを有する。放熱パイプの内部を作動流体が通ることで、作動流体の熱が放熱パイプの壁部及び放熱フィンを通じて放出される。放熱パイプの一端は蒸気管4に連結され、放熱パイプの他端は液管5に連結されている。
蒸発器2は、金属、樹脂などの多孔質体、または多孔質ゴムで形成され、毛細管力を有するウィックを収納している。ウィックを構成する多孔質ゴムとしては、例えば発泡シリコーンゴム、又は発泡ウレタンゴムを挙げることができる。その他、ウィックとしては、セラミック、ガラス、繊維など、内部に多数の空隙(孔)が形成された材料であればよい。
液管5を通じて蒸発器2に供給された液相の作動流体は毛細管現象によってウィックに浸透する。この毛細管現象によってウィックは液相の作動流体を凝縮器3から蒸発器2へ送るポンプの役割も果たす。
発熱部6からの熱が、蒸発器2を通してウィックに浸透した液相の作動流体に伝熱すると、その熱で作動流体が蒸発して気相に変化する。蒸発して気相に変化した作動流体は蒸気管4へと排出される。そして、気相の作動流体は蒸気管4を通って凝縮器3へと送られる。
凝縮器3においては、内部を通過する作動流体の熱がフィンを介して外部に放出されることで、作動流体の温度が低下して凝縮し、気相から液相へと変化する。液相に変化した作動流体は液管5を通って蒸発器2へ移動する。このような作動流体の循環が行われることで、発熱部6の熱が連続して外部に放出され、冷却対象が冷却される。
図2は、従来のループ型ヒートパイプの概略構成図である。
図2に示すように従来のループ型ヒートパイプの蒸発器102は、ウィック106を蒸発器102に圧入して、蒸発器102本体(筐体)の内周面にウィック106を密着させてウィック106のみで蒸発器102内を、液相空間であるリザーバー部108と、気相空間である排出部107とに仕切っていた。
蒸発器内の気相空間である排出部107は、蒸発して体積が膨張した気相の作動流体で満たされるため、蒸発器内の液相空間であるリザーバー部108よりも圧力が高くなる。そのため、排出部107の気相の作動流体がリザーバー部108へ逆流するおそれがある。排出部107の気相の作動流体がリザーバー部108へ逆流すると、液管側と蒸気管側との圧力差が減少し、作動流体が循環しなくなるおそれがある。そのため、ウィック106を蒸発器102の本体の内周面に密着させてシールし、ウィック106と蒸発器102の内周面との間から排出部107の気相の作動流体がリザーバー部108へ逆流しないようにしている。
図3は、従来における蒸発器102の組み付けの一例を示す図である。
従来においては、蒸発器102の本体は、略長方体状で一側面が開口した箱型形状の筐体109と、液管105が接続され筐体109の開口を覆う蓋部材110とで構成されている。ウィック106は、略直方体で、筐体109の開口を通して図中矢印W方向に筐体内部に圧入され、筐体109のウィック挿入方向(図中矢印W)に平行な内周面に密着させてシールしている。
このように、従来においては、ウィック106を筐体109に圧入して組み付けることで、ウィックを筐体の内周面に密着させ排出部107の気相の作動流体がリザーバー部108へ逆流しないようにシールするものである。ウィックの外周面を良好に筐体109の内周面に密着させるためには、嵌め合いをきつくする必要があり、ウィック106の蒸発器102への組み付けが難しく作業性の改善が望まれていた。特に、ウィック106が多孔質ゴムなどの弾性ウィックで、筐体内周面との摩擦力が大きい材質の場合は、ウィック106が筐体内周面を滑らないため、ウィック106の組み付けの難易度が高かった。
また、この従来例では、筐体の断面四角形状の内周面全体にウィックを密着させる必要がある。筐体109の内周面には90°に折れ曲がった角部があり、その角部にウィック106の外周面の90°折れ曲がった角部を密着させてシールする必要がある。しかし、筐体109の内周面の角部とウィック106との間に隙間が生じやすく、ウィック106と筐体109とのシールが十分にできないおそれがあった。
また、この従来例では、ウィックを筐体に圧入することで、ウィック全体が、挿入方向と直交する方向に押し潰されてしまう。その結果、ウィックの空隙(孔)が過度に潰れてしまい、液相の作動流体のウィックへの浸透が低下し、作動流体の循環効率が低下して、冷却性能が低下してしまうおそれがある。このような液相の作動流体のウィックへの浸透低下を抑制するために、ウィックの潰し量を低減すると、ウィックの筐体との密着性が低下し、ウィック106と筐体の内周面との間から排出部の気相の作動流体がリザーバー部へ逆流してしまう。
そこで、本実施形態では、蒸発器を以下に説明する構成として、排出部の気相の作動流体がリザーバーへの逆流を良好に防止することができ、かつ、ウィックの蒸発器への組み付けを容易にした。さらに、ウィックの筐体との密着性を良好し、かつ、液相の作動流体のウィックへの浸透低下を抑制できるようにした。以下、本実施形態の特徴部について図面を用いて詳細に説明する。
図4は、本実施形態の蒸発器2の概略構成図であり、図5は、ケース11を開口側見た図である。
本実施形態の蒸発器2は、伝熱部材であり取り付け部材である受熱板14、弾性ウィック15、筐体たるケース11、流入部たるリザーバー12を主に備えている。
弾性ウィック15は、内部に作動流体を浸透させ、作動流体に対して毛細管現象を良好に生じさせるために、連通した複数の空孔が形成された多孔質弾性体である。多孔質弾性体としては、例えば発泡シリコーンゴム、又は発泡ウレタンゴムなどがある。
受熱板14、ケース11、リザーバー12、蒸気管4および液管5は、アルミやアルミ合金、或いは銅や銅合金、ステンレス等の金属で形成されている。蒸気管4と液管5のそれぞれの他端部は凝縮器3に連結されている。
ケース11は、図4の下側が開口した箱型形状であり、図4における上側のリザーバー側壁部11aには、複数の連通孔10aが形成された液連通部10が設けられている。図5に示すように連通孔10aは、縦7列、横7列、等間隔に配置されている。リザーバー12は、この液連通部10を塞ぐようにケース11に接合されている。このように、リザーバー12がケース11に接合されることで、ケース11のリザーバー側壁部11aが、蒸発器2の内部を、弾性ウィック15とともに流入部としてのリザーバー12と、排気部16とを仕切る仕切り部分を有する壁部として機能する。このリザーバー側壁部11aの図中右側には、蒸気管4が接合されている。リザーバー12の側壁には、液管5が接続されている。なお、図5には連通孔10aを縦7列、横7列に等間隔に配置した例を示しているが、連通孔10aの数、形状および配置は作動流体の流量や壁部の構造的な強度等に応じて適宜設定することができる。
伝熱部材であり、取り付け部材である受熱板14は、ケース11の開口を閉じるような形でケース11に接合されている。受熱板14の外周面は、発熱部6が接触して発熱部6の熱を受ける受熱面14cである。受熱板14は、ケースに取り付けられることで、蒸発器2の受熱壁部として機能する。また、この受熱板14は、リザーバー側壁部11aと対向しリザーバー側壁部11aとで弾性ウィックを挟持する対向壁部としても機能する。
弾性ウィック15の厚みは、ケース11の深さよりも厚くなっている。ケース11の開口を閉じるような形で受熱板14がケースに取り付けられると、弾性ウィック15が、受熱板14に押圧されケース内で圧縮弾性変形してケース11に収納される。
また、弾性ウィック15は、液連通部10よりも大きく、受熱板14により弾性ウィック15がケース11のリザーバー側壁部11aに押圧されることで、液連通部10の周囲に弾性ウィック15が密着し、リザーバー12と排気部16との間がシールされる。これにより、排気部16の気相の作動流体が、弾性ウィック15とリザーバー側壁部11aとの間から液連通部10通ってリザーバー12への逆流を防止することができる。
弾性ウィック15の外形寸法は、ケースの内形寸法よりも小さくなっており、ケース11の側面と弾性ウィック15の外周面との間には、所定の隙間が形成されている。この隙間が、蒸発器内の気相空間である排出部としての排気部16となる(図7参照)。
図6は、受熱板14について説明する図であり、(a)は、受熱板14の内面を示す図であり、(b)は、図6(a)のF方向から見た図である。
図6に示すように、弾性ウィック15が当接する受熱板14の内面には、図中左右方向に延びる複数の凸部14bが等間隔で形成されており、それら凸部14bの間が、弾性ウィック15から蒸発した気相の作動流体を流すための蒸気溝14aとなる。これら凸部14bは、受熱板14内面の弾性ウィック15と対向する箇所に設けられ、凸部14bの長さが、弾性ウィック15よりも若干長くなっており、両端が、弾性ウィック15から少し飛び出すようになっている(図7参照)。これにより、蒸気溝14aを流れる気相の作動流体を、弾性ウィック15に堰き止められることなく、排気部16へ流すことができる。
蒸気溝14aの溝幅は、なるべく狭くするのが好ましい。これは、蒸気溝14aの箇所は、弾性ウィック15を押圧できないため、弾性ウィック15の蒸気溝14aに対応する箇所のリザーバー側壁部11aとの当接圧が低下する。蒸気溝幅が広くなるほど、弾性ウィック15の蒸気溝14aに対応する箇所のリザーバー側壁部11aへの当接圧の低下が大きくなり、シール性を損なうおそれがある。そのため、蒸気溝14aの溝幅をなるべく狭くし、弾性ウィックの蒸気溝14aに対応する箇所のリザーバー側壁部11aへの当接圧の低下を抑制するのが好ましい。
図7は、ケース11内の作動流体の動きについて、説明する図である。この図7は、図4のD-D断面である。
リザーバー12に貯留されている液相の作動流体は、液連通部10の連通孔10aを通って、毛細管現象によって弾性ウィック15に浸透する。発熱部6の熱が受熱板14を介して弾性ウィック15に伝熱される。発熱部6の熱が弾性ウィック15に伝熱されることで、弾性ウィック15に浸透した液相の作動流体が気相へと相変化する。気相となった作動流体は、図中点線矢印に示すように、受熱板14に形成された蒸気溝14aに沿って流れ、ケース11の気相空間である排気部16へ流れ込む。排気部16へ流れた気相の作動流体は、図中実線の矢印に示すように、排気部16内を、蒸気管4に向けて流れ、蒸気管4へ排出される。
次に、発熱部6と液連通部10との関係について説明する。
図8(a)は、発熱部6の受熱面14cとの当接領域Jが、液連通部10よりも大きい場合を示す図であり、図8(b)は、発熱部6の受熱面14cとの当接領域Jが、液連通部10よりも小さい場合を示す図である。
弾性ウィック15の乾いた部分は、気体が空隙(孔)を抜けてしまうため、弾性ウィックによってリザーバー12と排気部16との間のシールできず排気部16の気相の作動流体が、弾性ウィック15の空隙(孔)を通ってリザーバー12への逆流してしまう。
弾性ウィック15の液連通部10と対向する受液領域15aは、液連通部10の連通孔10aを介してリザーバー12内の作動流体が接触するため、すばやく液相の作動流体が浸透する。しかし、液連通部10の周囲のリザーバー側壁部11aに密着してシールする弾性ウィック15のシール領域15bには、液相の作動流体が浸透するまでに時間を要する。
図8(a)に示すように、発熱部6の受熱面14cとの当接領域Jが、液連通部10よりも大きい場合、ほぼ弾性ウィック15の全域に発熱部6の熱が均等に伝熱し、シール領域15bの温度と、受液領域15aの温度とがほぼ同じ温度となる。その結果、シール領域15bにおける単位時間当たりの作動流体の蒸発量と、受液領域15aにおける単位時間当たりの作動流体の蒸発量がほぼ同一となる。しかし、上述したように、シール領域15bへの液相の作動流体の浸透は、受液領域15aへの液相の作動流体の浸透よりも時間を要する。その結果、シール領域15bへの液相の作動流体の浸透が間に合わず、シール領域15bが乾いてしまい、弾性ウィック15でリザーバー12と排気部16との間をシールできなくなるおそれがある。
そのため、本実施形態では、図8(b)に示すように、発熱部6の受熱面14cとの当接領域Jを、液連通部10よりも小さくしている。このように、発熱部6の受熱面14cとの当接領域Jを液連通部10よりも小さくし、当接領域Jが液連通部10の中央に位置するようにすることで、弾性ウィック15の外周であるシール領域15bの温度上昇を抑制でき、受液領域15aの温度よりも低くすることができる。これにより、シール領域15bにおける作動流体の単位時間当たりの蒸発量を、受液領域15aの作動流体の単位時間当たりの蒸発量をよりも少なくすることができる。その結果、シール領域15bへの液相の作動流体の浸透が間に合い、シール領域15bが乾いてしまうのを抑制することができる。これにより、リザーバー12と排気部16との間を弾性ウィック15により良好にシールことができる。
次に、本実施形態における蒸発器2の組み立てについて図4を用いて説明する。
まず、ケース11にリザーバー12および蒸気管4を接合し、リザーバー12に液管5を接合する。次に、ケース11の開口から、外形寸法がケース11の内形寸法よりも短い弾性ウィック15を挿入し、液連通部10を塞ぐように、ケース11のリザーバー側壁部11aに置く。弾性ウィック15の厚みは、ケース11の深さよりも厚いため、リザーバー側壁部11aに置かれた弾性ウィック15の一部は、ケース11の開口から飛び出している。
次に、ケース11の開口から飛び出している弾性ウィック15を圧縮弾性変形させながら、受熱板14をケース11に組付けた後、受熱板14をケース11に接合する。これにより、弾性ウィック15が受熱板14によりリザーバー側壁部11aに向けて押圧され、弾性ウィック15が、リザーバー側壁部11aと受熱板14とに挟持される形でケース11に組み付けられる。これにより、弾性ウィック15は、液連通部10の周囲の平面に密着する。よって、弾性ウィック15により、リザーバー12と排気部16との間をシールすることができ、排気部16の気相の作動流体が、弾性ウィック15とリザーバー側壁部11aとの間から液連通部10通ってリザーバー12への逆流を防止することができる。
また、弾性ウィック15をリザーバー側壁部11a内周面にのみ密着させるだけで、リザーバー12と排気部16との間をシールすることができる。これにより、内周面の90°に折れ曲がった角部に弾性ウィックを密着させる必要がある図3に示した従来例に比べて、弾性ウィック15と内周面との間に隙間が生じるのを抑制でき、良好にリザーバー12と排気部16との間をシールすることができる。
また、弾性ウィック15は、圧縮弾性変形してケース11内に収納されることで、弾性ウィック15の復元力によりリザーバー側壁部11aの液連通部10の周囲との密着性を高めることができる。
このように、本実施形態では、ケース11に弾性ウィック15を圧入せずに、ケース11に組付けることができ、弾性ウィック15の組み付けを従来のものに比べて容易に行なうことができる。
液連通部10が、矩形状の大きな開口の場合、弾性ウィック15が受熱板14に押圧されたときに、弾性ウィック15が大きな開口の液連通部10に入り込むように変形する。その結果、液連通部10の周囲に対向する弾性ウィックの部分にリザーバー側壁部11aから離間させるような力が発生し、液連通部10の周囲と弾性ウィックとの密着性が低下するおそれがある。
これに対し、本実施形態では、液連通部10を、複数の連通孔10aで構成することで、弾性ウィック15は、液連通部10に入り込むように変形することがない。これにより、液連通部10の周囲に対向する弾性ウィック15の部分にリザーバー側壁部11aから離間させるような力が発生することがなく、密着性が低下することがなく、良好なシール性を得ることができる。
このように、本実施形態では、液連通部10を、複数の連通孔10aで構成し、この液連通部10で弾性ウィック15の受熱板14から押圧力を受け止めるため、弾性ウィック15の液連通部10の対向領域である受液領域15a(図7参照)が、弾性ウィック15の液連通部10の周囲に密着するシール領域15b(図7参照)とほぼ同等の圧縮弾性変形量となる。ここで弾性変形量とは、弾性体(例えば弾性ウィック)の任意の部分に押圧した際に押圧方向の寸法変化量を意味する。例えば、弾性体の板状の部材に主面に垂直な方向(厚さ方向)に押圧した場合の厚さの変化(薄くなる)量である。同一の材質で同一の形状であれば、押圧する力が大きいほど弾性変形量は大きくなる。一般的な弾性体ではひずみに相当する量である。
受液領域15aの圧縮弾性変形量がシール領域15bの弾性変形量とほぼ同等のため、弾性ウィックの受液領域の空隙(孔)が過度に潰れてしまい、液相の作動流体を良好に浸透させることできないおそれがある。また、受液領域15aの空隙(孔)が過度に潰れることで、弾性ウィック内で液相から気相へ相変化した作動流体が、排気部16へ流れ難くなる。その結果、作動流体の循環効率が低下して、冷却性能が低下するおそれがある。
そこで、弾性ウィック15の圧縮弾性変形量を低減することが考えられるが、弾性ウィック15の圧縮弾性変形量を低減すると、液連通部10の周囲との密着性が低下してしまい、排気部16の気相の作動流体が、弾性ウィック15とリザーバー側壁部11aとの間から液連通部10通ってリザーバー12へ逆流するおそれがある。
そこで、本実施形態では、弾性ウィック15の液連通部10の周囲のリザーバー側壁部11aに当接するシール領域15bの弾性変形量を、弾性ウィック15の液連通部10との対向領域である受液領域15aの少なくとも一部の弾性変形量よりも大きくなるように構成した。以下、かかる構成について、図面を用いて説明する。
[実施例1]
図9は、実施例1の蒸発器2における特徴部である弾性ウィック15を示す図である。図9(a)は、弾性ウィック15の平面図であり、図9(b)は、図9(a)のH-H断面図である。
図9(b)に示すように実施例1においては、弾性ウィック15のシール領域15bの厚みh1を、受液領域の厚みh2よりも厚くした。
このように、シール領域15bの厚みを受液領域の厚みよりも厚くすることで、シール領域15bの圧縮弾性変形量を、受液領域15aの圧縮弾性変形量よりも大きくすることができる。よって、シール領域15bの復元力を高めることができる。
シール領域15bの受液領域15aよりも突出した側(図9(b)の上側)が、リザーバー側壁部11aに当接するように弾性ウィック15をケースに組み付けてもよいし、シール領域15bの受液領域15aよりも突出した側が受熱板14に当接するように弾性ウィック15をケースに組み付けてもよい。
また、図9では、弾性ウィック15の一方側の面(図9(b)の上側)のみシール領域15bは受液領域15aから突出している構成であるが、他方側の面(図9(b)の下側)も受液領域15aから突出するような構成とし、断面略H字形状としてもよい。
また、シール領域15bの厚みを受液領域15aの厚みよりも厚くすることで、受熱板14をケース11に接合したときに、シール領域15bが受熱板14から受ける押圧力を、受液領域15aが受熱板14から受ける押圧力よりも大きくすることができる。
これにより、リザーバー側壁部11aと弾性ウィック15のシール領域15bとの密着性を高めることができ、リザーバー12と排気部16との間を良好にシールすることができる。
一方、受液領域15aについては、圧縮弾性変形が抑えられ、空隙(孔)の過度の潰れを抑制することができる。よって、リザーバー側壁部11aの液連通部10の連通孔10aを通って弾性ウィック15の受液領域15aに接触している液相の作動流体を良好に浸透させることできる。また、この受液領域15aに浸透して液相から気相へ相変化した作動流体を良好に排気部16へ流れすることができる。その結果、作動流体の循環効率の低下を抑制でき、冷却性能の低下を抑制することができる。
なお、弾性ウィック15の外周部であるシール領域15bの厚みh1は、受液領域15aの厚みh2よりも0.1mm~1mm程度とするのが好ましい。受液領域15aとシール領域15bとの厚みの差が1mmを超えると、弾性ウィック15を押し潰しながら受熱板14をケースに取り付けるときに弾性ウィック15の縁部のシール領域15bが、内側に倒れるような形で弾性変形するおそれがあり、シール領域15bとリザーバー側壁部11aとの密着性が低下するおそれがある。また、弾性ウィック15の受液領域15aが受熱板14(具体的には、受熱板14の複数の凸部14b)に接触しなくなるおそれもあり、発熱部6の熱が受液領域15aに伝熱し難くなる。その結果、受液領域15aに浸透した作動流体の単位時間当たりの蒸発量が低下して冷却効率が低下するおそれもある。一方、受液領域15aとシール領域との厚みの差が0.1mm未満だと、シール領域15bの圧縮弾性変形量が十分でなく、良好なシール性が得られないおそれがある。
上記では、シール領域15bの厚みを受液領域15aの厚みよりも厚くしているがこれに限られない。例えば、図10の斜線で示す、受液領域15aの一部である弾性ウィック15の発熱部6と対向する受熱領域15cの厚みを、これよりも外側の領域の厚みよりも薄くしてもよい。
[実施例2]
図11(a)は、実施例2の蒸発器2を示す概略構成図であり、図11(b)はリザーバー側壁部11aを弾性ウィック15が当接する側から見た平面図である。
この実施例2においては、リザーバー側壁部11aの液連通部10の周囲に、液連通部10を囲うように凸部17を設けたものである。凸部17の高さは、実施例1と同様な理由から、0.1mm~1mm程度が好ましい。
この実施例2においても、実施例1と同様、弾性ウィック15のシール領域15bの圧縮弾性変形量を、受液領域15aの圧縮弾性変形量よりも大きくできる。よって、実施例1と同様に、リザーバー12と排気部16との間を良好にシールできるとともに、冷却性能の低下を抑制することができる。
この実施例2において、弾性ウィック15について、実施例1と同様にシール領域15bの厚みを受液領域15aの厚みよりも厚くしてもよい。
[実施例3]
図12(a)は、実施例3の蒸発器2を示す概略構成図であり、図12(b)は、潰し部材19の平面図である。
この実施例3は、剛体からなる潰し部材19を受熱板14と弾性ウィック15のシール領域15bとの間に設けたものである。
潰し部材19は、剛体で構成され、図12(b)に示すように、外観矩形の環状形状である。潰し部材19の厚さは、実施例1と同様な理由から、0.1~1mm程度が好ましい。
潰し部材19は、図12(a)に示すように、受熱板14の複数の凸部14bに当接するように配設する。これは、図13に示すように、潰し部材19を受熱板14の複数の凸部14bよりも外側の周囲に当接するようにした場合は、蒸気溝14aを通って出てきた気相の作動流体が、潰し部材19によって堰き止められてしまい、気相の作動流体の逃げ場が無くなってしまうからである。
この実施例3においても、実施例1、2と同様に、弾性ウィック15のシール領域15bの圧縮弾性変形量を、受液領域15aの圧縮弾性変形量よりも大きくできる。よって、実施例1と同様に、リザーバー12と排気部16との間を良好にシールすることができるとともに、冷却性能の低下を抑制することができる。
また、実施例3においては、弾性ウィック15のシール領域15bの受熱板14の蒸気溝14aと対向する箇所も、潰し部材19によりリザーバー側壁部へ押圧することができる。また、潰し部材19は環状であり、弾性ウィック15の縁のシール領域15bの全体を均一にリザーバー側壁部へ押圧することができる。これにより、弾性ウィック15のシール領域15bの受熱板14の蒸気溝14aと対向する箇所のリザーバー側壁部への当接圧の低下がなく、より一層、シール性を高めることができる。また、この実施例3では、蒸気溝14aの溝幅を広くすることが可能となり、気相の作動流体を流しやすくすることができる。これにより、冷却効率を高めることができる。
また、図14に示すように、潰し部材19をケースのリザーバー側壁部11aと弾性ウィック15のシール領域との間に設けてもよい。ただし、潰し部材19をケースのリザーバー側壁部11aと弾性ウィック15のシール領域との間に設ける場合は、潰し部材19が剛体であると、リザーバー側壁部11aと潰し部材19との接触が剛体同士の接触となるため、リザーバー側壁部11aと潰し部材19との間に隙間が生じ、リザーバー12と排気部16との間をシールできない。
そのため、潰し部材19をケースのリザーバー側壁部11aと弾性ウィック15のシール領域15bとの間に設ける場合は、潰し部材19をゴム層と剛体層の2層構造とし、潰し部材19のゴム層をリザーバー側壁部11aに当接させる構成とする。また、潰し部材19をケースのリザーバー側壁部11aと弾性ウィック15のシール領域との間に設ける場合も、潰し部材19を環状とする。
かかる構成とすることで、弾性ウィック15のシール領域15bの圧縮弾性変形量を大きくでき、潰し部材19のゴム層とリザーバー側壁部との当接圧、および、潰し部材19の剛体層と弾性ウィック15との当接圧を高めることができ、リザーバー12と排気部16との間を良好にシールすることができる。
また、リザーバー側壁部11aと弾性ウィック15のシール領域15bとの間、受熱板14と弾性ウィック15のシール領域15bとの間の両方に潰し部材19を設けてもよい。
また、実施例3の構成に、弾性ウィック15のシール領域15bの厚みを受液領域15aの厚よりも厚くする実施例1の構成、および、リザーバー側壁部11aの液連通部10の周囲に凸部17を設ける実施例2の構成を適宜組み合わせてもよい。
[実施例4]
図15は、実施例4の蒸発器を示す概略構成図であり、図16は、実施例4における弾性ウィック15の斜視図である。
この実施例4は、弾性ウィック15に蒸気溝15dを設け、受熱板14の蒸気溝を無くした以外は、実施例2と同様な構成としたものである。
弾性ウィック15が受熱板14に押圧されて圧縮弾性変形してケース11内に組み付けられたときに、蒸気溝15dの底面と受熱板14との間に気相の作動流体がスムーズに流れる十分な隙間が確保されるよう蒸気溝15dの溝深さが設定されている。また、蒸気溝15dのシール領域15bの部分(蒸気溝の両端部分)の溝深さを、受液領域15aの部分に溝深さよりも深くしてもよい。
また、蒸気溝15dの溝幅を、なるべく狭くし、蒸気溝15d箇所の弾性ウィックのリザーバー側壁部11aへの当接圧の低下を抑制するのが好ましい。
また、弾性ウィック15に蒸気溝15dを設け、受熱板14に蒸気溝を無くすことで、図17に示すように、受熱板14に実施例2と同様な凸部25を設ける構成として、シール領域15bの圧縮弾性変形量を受液領域15aの圧縮弾性変形量よりも大きくすることができる。
また、実施例4では、リザーバー側壁部11aのシール領域と対向する箇所、と受熱板14のシール領域と対向する箇所の両方に凸部を設ける構成でもよい。また、実施例1~3の構成を適宜、組み合わせてもよい。
また、上述では、受熱板14を蒸発器2に取り付けることで、弾性ウィック15を圧縮弾性変形させる構成であるが、かかる構成に限られない。例えば、図18に示す構成としてもよい。
図18に示す蒸発器2は、発熱部6が当接する受熱面14cを有する受熱壁部7aを備え、リザーバー側が開口したケース7を有する。ケース内には、弾性ウィック15と、液連通部10を有し、ケース7内を、流入部たるリザーバー12と排出部たる排気部16とに仕切る壁部としての仕切り板20とが収納される。そして、ケース7の開口を塞ぐようにケース7に取り付けられる取り付け部材としての蓋部材9には、先端にシール部9bが形成された押圧部9aを有している。この蓋部材9をケース7に取り付けることで、仕切り板20を介して弾性ウィック15が受熱壁部7aへ向けて押圧され、弾性ウィック15が圧縮弾性変形し、弾性ウィック15が受熱壁部7aと仕切り板20とにより挟持される。
そして、図18に示す構成においても、図に示すように、仕切り板20の弾性ウィックのシール領域15bが当接する箇所に凸部17を設けたり、弾性ウィック15のシール領域15bの厚みを受液領域15aの厚みよりも厚くしたりするなど、上述した実施例1~3の構成を適宜適用する。これにより、シール領域の弾性変形量を受熱領域の弾性変形量よりも大きくでき、良好なシール性を得ることができ、かつ、冷却効率の低下を抑制することができる。
図19は、本実施形態に係るループ型ヒートパイプ1を備える電子機器の一例を示す説明図である。図20は、蒸発器2の受熱板14が熱を受ける電子機器の発熱部の一例を示す図である。
図19に示す電子機器は、光学ユニット31を備えるプロジェクタ30の例である。なお、本実施形態に係るループ型ヒートパイプ1を適用可能な電子機器は、プロジェクタに限らない。プリンタ、複写機、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等の画像形成装置、パーソナルコンピュータ、サーバ、電子黒板、テレビ、ブルーレイレコーダ、ゲーム機等の種々の電子機器にも適用可能である。
ループ型ヒートパイプ1の蒸発器2の受熱板14は、光学ユニット31の発熱部である光源部50に接触している。具体的には、図20に示すように、光源部50は、基板52と、基板52に実装された複数の面発光LED51を備えおり、蒸発器2の受熱板14は、基板52の面発光LED51が実装されている実装面とは反対側の面に接触している。
蒸発器2の受熱板14は、基板52から熱を伝熱して冷却対象である光源部50を冷却する。凝縮器3は、図19に示すように、プロジェクタ30本体の筐体側面に設けられた排気ファンとしての冷却ファン40の近傍に配置されている。冷却ファン40が外部に空気を排出することで、凝縮器3の周囲に気流が発生し、当該気流によって凝縮器3が冷却され、凝縮器3における放熱効果が向上する。また、冷却ファン40が設けられた筐体側面とは反対側の側面には、給気口33が設けられており、給気口33から吸気された空気がプロジェクタ30内を通って冷却ファン40から排出される。
この例では、プロジェクタを冷却する冷却装置として、ループ型ヒートパイプ1と、ループ型ヒートパイプ1の放熱効果を高めるための冷却ファン40とを備えているが、冷却ファン40の代わりに凝縮器3へ空気を送風する送風ファンを設けてもよい。また、ファンを備えず、ループ型ヒートパイプのみを備える冷却装置であってもよい。
また、本実施形態に係るループ型ヒートパイプやこれを備えた冷却装置は、電子機器以外のものにも広く適用可能である。例えば、反応炉を備える化学プラント等を冷却する冷却装置に、本実施形態に係るループ型ヒートパイプや冷却装置を適用してもよい。
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様1)
液相の作動流体が流入するリザーバー12などの流入部と、外部からの受熱により気化した作動流体を排出する排気部16などの排出部と、流入部と排出部とを仕切る部分を有するリザーバー側壁部11aなどの壁部とを備え、液相の作動流体が浸透する弾性ウィック15を内部に有する蒸発器2などの熱交換器であって、壁部は液相の作動流体が通過する液連通部10を有し、弾性ウィック15は、液連通部10を塞ぐように、壁部と壁部に対向する対向壁部(本実施形態では、受熱板14)とで挟持され、弾性ウィック15の液連通部10に対向する領域を受液領域15aとし、弾性ウィック15の壁部の液連通部10の周囲に当接する領域をシール領域15bとしたとき、シール領域15bにおける弾性変形量は、受液領域15aの弾性変形量よりも大きい。
特許文献1に記載の蒸発器などの熱交換器においては、箱型形状の筐体に弾性ウィック15を圧入し、断面四角形状の筐体の内周面に直方形状の弾性ウィックを密着させてシールするものである。特許文献1では、筐体の内周面の90°に折れ曲がった角部があり、その角部にも弾性ウィックを密着させてシールする必要がある。しかし、筐体の内周面の角部と弾性ウィックとの間に隙間が生じやすく、弾性ウィックと筐体とのシールが十分にできないおそれがあった。
これに対し、態様1では、弾性ウィック15は、仕切る部分を有する壁部とこの壁部に対向する対向壁部とに挟持されることで、弾性ウィックが壁部の液連通部の周囲の平面状の面に密着し、流入部と排出部との間をシールする。このように、態様1では、内周面の一面にのみの密着で流入部と排出部との間をシールできる。よって、角部に弾性ウィックを密着させる必要がある特許文献1に記載の構成に比べて、シール性を高めることができる。
さらに、態様1では、壁部の液連通部10の周囲に当接する弾性ウィック15のシール領域15bの弾性変形量を、液連通部10に対向する受液領域15aの弾性変形量よりも大きくすることで、弾性ウィック15のシール領域15bの復元力を、受液領域15aの復元力よりも大きくできる。これにより、弾性ウィック15のシール領域15bの壁部との当接圧を高めることができ、良好なシール性を得ることができる。一方、弾性ウィック15の受液領域15aの弾性変形量は、シール領域15bよりも少ないため、弾性ウィック15の受液領域15aの空隙(孔)が過度に潰れるのを抑制することができる。よって、液連通部10から供給される液相の作動流体の弾性ウィック15への浸透の低下を抑制することができ、作動流体の循環性能の低下を抑制でき、熱交換性能の低下を抑制することができる。
(態様2)
態様1において、蒸発器2などの熱交換器に取り付けられることで弾性ウィック15を弾性変形させる受熱板14などの取り付け部材を有する。
これによれば、実施形態で説明したように、受熱板14などの取り付け部材を熱交換器に取り付けることで、弾性ウィック15が弾性変形してリザーバー側壁部11aなどの壁部に当接する。これにより、排気部16などの排出部の気相の作動流体がリザーバー12などの流入部へ逆流しないようにシールすることができる。このように、取り付け部材を熱交換器に取り付けで、弾性ウィック15を壁部に当接させて流入部と排出部との間をシールすることができ、弾性ウィック15を熱交換器内部に圧入せずにシールすることができる。これにより、弾性ウィック15を熱交換器内部に圧入して、弾性ウィック15を組み付けるものに比べて容易に、弾性ウィック15を組み付けることができる。よって、弾性ウィック15の熱交換器へ組み付ける際の作業性を向上させることができる。
(態様3)
態様2において、受熱板14などの取り付け部材は、蒸発器2などの熱交換器に取り付けられることで対向壁部を構成するとともに、外部からの熱を受熱する受熱面を有し、外部からの熱を弾性ウィックに伝熱する伝熱部材である。
これによれば、受熱板14などの伝熱部材を蒸発器2などの熱交換器に取り付けで、弾性ウィック15を壁部に当接させてリザーバー12などの流入部と排気部16などの排出部との間をシールすることができる。また、弾性ウィック15を伝熱部材に当接させるができ、伝熱部材が受けた発熱部6の熱を良好に弾性ウィック15に伝熱させることができる。よって、弾性ウィック15に浸透した液相の作動流体を効率的に蒸発させて気相にすることができ、熱交換性能を高めることができる。
(態様4)
態様1乃至3いずれかにおいて、対向壁部は、外周面が外部からの熱を受熱する受熱面を有する受熱壁部であり、受熱面14cの発熱部6が当接する当接領域Jが、液連通部10よりも小さく、受熱面14cの垂直方向から見たとき当接領域Jが、液連通部10の略中央に位置する。
これによれば、図8を用いて説明したように、弾性ウィック15のシール領域15bが乾燥するのを防止でき、リザーバー12などの流入部と排気部16などの排出部との間を弾性ウィック15により良好にシールことができる。
(態様5)
態様1乃至4いずれかにおいて、弾性ウィック15の受液領域15aの液連通部10への当接圧よりも、シール領域15bの壁部の液連通部の周囲への当接圧の方が高い。
これによれば、実施形態で説明したようにリザーバー12などの流入部と、排気部16などの排出部との間を良好にシールすることができる。
(態様6)
態様1乃至5いずれかにおいて、リザーバー側壁部11aなどの壁部の垂直方向における、弾性ウィック15のシール領域15bの厚さが、弾性ウィック15の受液領域15aよりも厚い。
これによれば、実施例1で説明したように、シール領域15bの弾性変形量を、受液領域15aの弾性変形量よりも大きくできる。
(態様7)
態様1乃至6いずれかにおいて、リザーバー側壁部11aなどの壁部の弾性ウィック15のシール領域15bが当接する部分を凸状とした。
これによれば、実施例2を用いて説明したように、シール領域15bの弾性変形量を、受液領域15aの弾性変形量よりも大きくできる。
(態様8)
態様1乃至7いずれかにおいて、弾性ウィック15を挟んでリザーバー側壁部11aなどの壁部に対向する対向壁部(本実施形態では受熱板14)の弾性ウィック15のシール領域15bが当接する部分を凸状とした。
これによれば、図17を用いて説明したように、シール領域15bの弾性変形量を、受液領域15aの弾性変形量よりも大きくできる。
(態様9)
態様1乃至8いずれかにおいて、弾性ウィック15とリザーバー側壁部11aなどの壁部との間に、弾性ウィック15のシール領域15bを潰す潰し部材19を設けた。
これによれば、図14を用いて説明したように、シール領域15bの弾性変形量を、受液領域15aの弾性変形量よりも大きくできる。
(態様10)
態様1乃至9いずれかにおいて、対向壁部(本実施形態では、受熱板14)と弾性ウィック15との間に、弾性ウィック15のシール領域を潰す潰し部材19を設けた。
これによれば、図12を用いて説明したように、シール領域15bの弾性変形量を、受液領域15aの弾性変形量よりも大きくできる。
また、潰し部材19を剛体のみで構成でき、弾性ウィック15とリザーバー側壁部11aなどの壁部との間に潰し部材を設ける場合に比べて安価な構成にできる。
(態様11)
態様9または10において、潰し部材は、環状である。
これによれば、実施例3で説明したように、シール領域15bを均一に押圧することができる。
(態様12)
態様1乃至11いずれかにおいて、液連通部10は、複数の連通孔10aを有する。
これによれば、実施形態で説明したように、押圧部材で弾性ウィック15を押圧したときに、受液領域15aが液連通部10へ入り込むことがない。これにより、シール領域15bのリザーバー側壁部11aなどの壁部の液連通部10の周囲への当接圧が低下するように弾性ウィック15が弾性変形するのを抑制することができ、良好なシール性を得ることができる。
(態様13)
外部からの熱を受けて作動流体を液相から気相へと蒸発させる蒸発器2と、蒸発器2から排出された気相の作動流体を液相へと凝縮させる凝縮器3とを備えたループ型ヒートパイプにおいて、蒸発器2として、態様1乃至11いずれかの熱交換器を用いた。
これによれば、蒸発器2を容易に組み立てることができるとともに、蒸発器2内での気相の作動流体の逆流を防ぎ、かつ、冷却性能の低下を抑制できる。
(態様14)
ループ型ヒートパイプを備えた冷却装置において、ループ型ヒートパイプとして、態様13に記載のループ型ヒートパイプを用いた。
これによれば、冷却対象を良好に冷却することができる。
(態様15)
冷却手段を備えたプロジェクタ30等の電子機器において、冷却手段として、態様13の冷却装置を用いた。
これによれば、プロジェクタ30等の電子機器の発熱部を良好に冷却することができる。
1 :ループ型ヒートパイプ
2 :蒸発器
3 :凝縮器
4 :蒸気管
5 :液管
6 :発熱部
7 :ケース
7a :受熱壁部
9 :蓋部材
9a :押圧部
9b :シール部
10 :液連通部
10a :連通孔
11 :ケース
11a :リザーバー側壁部
12 :リザーバー
14 :受熱板
14a :蒸気溝
14b :凸部
14c :受熱面
15 :弾性ウィック
15a :受液領域
15b :シール領域
15c :受熱領域
15d :蒸気溝
16 :排気部
17 :凸部
19 :潰し部材
20 :仕切り板
25 :凸部
30 :プロジェクタ
31 :光学ユニット
33 :給気口
40 :冷却ファン
50 :光源部
51 :面発光LED
52 :基板
J :当接領域
h1 :シール領域の厚み
h2 :受液領域の厚み
2018-066510号公報

Claims (15)

  1. 液相の作動流体が流入する流入部と、
    外部からの受熱により気化した作動流体を排出する排出部と、
    前記流入部と前記排出部とを仕切る部分を有する壁部とを備え、
    前記液相の作動流体が浸透する弾性ウィックを内部に有する熱交換器であって、
    前記壁部は前記液相の作動流体が通過する液連通部を有し、
    前記弾性ウィックは、前記液連通部を塞ぐように、前記壁部と前記壁部に対向する対向壁部とで挟持され、
    前記弾性ウィックの前記液連通部に対向する領域を受液領域とし、前記弾性ウィックの前記壁部の液連通部の周囲に当接する領域をシール領域としたとき、
    前記シール領域における弾性変形量は、前記受液領域の弾性変形量よりも大きいことを特徴とする熱交換器。
  2. 請求項1に記載の熱交換器において、
    当該熱交換器に取り付けられることで弾性ウィックを弾性変形させる取り付け部材を有することを特徴とする熱交換器。
  3. 請求項2に記載の熱交換器において、
    前記取り付け部材は、当該熱交換器に取り付けられることで前記対向壁部を構成するとともに、前記外部からの熱を受熱する受熱面を有し、前記外部からの熱を前記弾性ウィックに伝熱する伝熱部材であることを特徴とする熱交換器。
  4. 請求項1乃至3いずれか一項に記載の熱交換器において、
    前記対向壁部は、外周面が外部からの熱を受熱する受熱面である受熱壁部であり、
    前記受熱面の発熱部が当接する当接領域が、前記液連通部よりも小さく、
    前記受熱面の垂直方向から見たとき前記当接領域が、前記液連通部の内側に位置することを特徴する熱交換器。
  5. 請求項1乃至4いずれか一項に記載の熱交換器において、
    前記弾性ウィックの前記受液領域の前記液連通部への当接圧よりも、前記シール領域の前記壁部の液連通部の周囲への当接圧の方が高いことを特徴とする熱交換器。
  6. 請求項1乃至5いずれか一項に記載の熱交換器において、
    前記壁部の垂直方向における、前記弾性ウィックの前記シール領域の厚さが、前記弾性ウィックの前記受液領域よりも厚いことを特徴とする熱交換器。
  7. 請求項1乃至6いずれか一項に記載の熱交換器において、
    前記壁部の前記弾性ウィックの前記シール領域が当接する部分を凸状としたことを特徴とする熱交換器。
  8. 請求項1乃至7いずれか一項に記載の熱交換器において、
    前記対向壁部の前記弾性ウィックの前記シール領域が当接する部分を凸状としたことを特徴とする熱交換器。
  9. 請求項1乃至8いずれか一項に記載の熱交換器において、
    前記弾性ウィックと前記壁部との間に、前記弾性ウィックの前記シール領域を潰す潰し部材を設けたことを特徴とする熱交換器。
  10. 請求項1乃至9いずれか一項に記載の熱交換器において、
    前記対向壁部と前記弾性ウィックとの間に、前記弾性ウィックの前記シール領域を潰す潰し部材を設けたことを特徴とする熱交換器。
  11. 請求項9または10に記載の熱交換器において、
    前記潰し部材は、環状であることを特徴とする熱交換器。
  12. 請求項1乃至11いずれか一項に記載の熱交換器において、
    前記液連通部は、複数の連通孔を有することを特徴とする熱交換器。
  13. 外部からの熱を受けて作動流体を液相から気相へと蒸発させる蒸発器と、
    前記蒸発器から排出された気相の作動流体を液相へと凝縮させる凝縮器とを備えたループ型ヒートパイプにおいて、
    前記蒸発器として、請求項1乃至12いずれか一項に記載の熱交換器を用いたことを特徴とするループ型ヒートパイプ。
  14. ループ型ヒートパイプを備えた冷却装置において、
    前記ループ型ヒートパイプとして、請求項13に記載のループ型ヒートパイプを用いたことを特徴とする冷却装置。
  15. 冷却手段を備えた電子機器において、
    前記冷却手段として、請求項14に記載の冷却装置を用いたことを特徴とする電子機器。
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