上記の各医療機器に於いては、まだまだ発展途上の段階であり、様々な理由によりその治療の効率を上げられない課題がある。その理由の1つに、上記の如く、使用する物理エネルギー、例えば超短波やマイクロ波、超音波が使用者によって直接認識しにくい点にある。上記のような医療機器では、使用者が所望の強さの出力を機器に設定しても、実際に当該所望の強さの出力が患者に作用しているとは限らない。例えば、医療機器の老朽化による出力の低下や、装置の故障により使用者の設定どおりの強さでの出力がされない、又は出力自体がされていない等の事態が容易に発生しうる。或いは、機器から設定どおりの出力で出射された場合であっても、超短波やマイクロ波が人体によって反射され、実効的に超短波やマイクロ波が患者に十分に作用しない場合も頻繁に発生する。
このような問題を解決するために、マイクロ波の出力部にアンテナを設け、マイクロ波電力を受信して表示するマイクロ波治療器が提案されている(特許文献1)。しかしこの文献に記載の技術では、次のような問題があり、治療効率を十分に上げることができない。例えば、前記アンテナによるマイクロ波がうまく検出できない場合を考えられ、次の理由が考えられる。1つ目は、マイクロ波の出力設定自体がされていない、例えば使用者の誤操作によりマイクロ波の出力がされていない場合であり、使用者が出力開始動作を忘れている場合も該当する。二つ目は、機器を正しく操作しているが、出力部や操作部の故障により、マイクロ波が正常に放射されていない場合である。特許文献1では使用者はアンテナ部でマイクロ波が検出されないことを知ることができるが、これが、前記の誤操作によるものなのか、或いは故障によるものなのかは区別できない。従って、使用者は、受信電力が極端に小さい場合や電力が受信できないことを知ると、マイクロ波の照射部の位置や向きを変えて調整を試みるだけでなく、そのたびに機器の操作パネルを確認して、設定値がゼロでないことや、又は出力開始スイッチがオンとなって出力がされているべきであることを、時には治療中にも関わらず治療を一時的に中止して、患者のもとを離れたり立ち上がったり振り向いたりするなど、治療姿勢を変えて確認する必要があった。使用者に因るこれらの確認作業が無ければ、使用者はマイクロ波の出力部の位置や角度が不適切なのか、出力自体がされていないのかを判断できなかった。即ち特許文献1では、治療を中止して患者のもとを離れなければならない確認動作が必須であり、この動作が治療効率を極端に低下させる、又は施術効率が上がらない原因となっていた。
逆に使用者が施術をしていない場合であってもアンテナによってマイクロ波が検出される場合がある。これにも次の理由が考えられる。1つ目は、マイクロ波の出力停止の設定や動作自体がされていない、例えば使用者の誤操作によりマイクロ波の出力が停止されていない場合であり、使用者が出力停止動作を忘れている場合も該当する。二つ目は、機器を正しく操作しているが、出力部の故障により、マイクロ波が正常に停止されていない場合である。特許文献1では使用者が施術後にアンテナ部でマイクロ波が検出されないことを知ることができるが、これが、前記の誤操作によるものなのか、或いは故障によるものなのかは区別できない。従って、使用者は、受信電力が検出され続けていることを知ると、そのたびに機器の操作パネルを確認して、設定値がゼロであることや、又は出力スイッチがオフとなって出力が停止されていることを、確認する必要があった。即ち、機器の操作状態を確認しないと、使用者自身の誤操作があったのか、或いは装置が故障しているのか確認できないわずらわしさがあり、容易に装置の安全性を確認できなかった。その為に使用している医療機器の故障を発見することができず、或いは故障の発見が遅れ、治療自体が実施できず治療の効率が下がる問題があった。
上記の医療機器、特に超短波やマイクロ波を使用する機器においては、別の特徴を持っている。上記の如く機器から出射された超短波やマイクロ波は人体によって吸収されると共に、反射されやすい特性を持っている。使用される超短波を検出する治療器については特許文献2に記載されている。特許文献2には、導子と機器本体を接続するコードにアンテナを付けて検出した超短波の強さを知ることができる。当該検出はコードの中程に取付けられたアンテナによって行われる。もし当該アンテナが患者や使用者に近接或いは非常に接近する場合は、当該アンテナが超短波を誤検出する可能性があり、実際より大きな電力として検出する場合や、実際より小さな電力として検出する場合がある。実際より大きく検出した場合は、人体に吸収される超短波は小さく、患部に十分に作用できず、治療効果が十分でなく治療効率が低下しているにも関わらず、使用者は十分に効果があげられるものと誤解して治療を続ける為、治療の効果が得られず治療効率が上がらなかった。逆に実際より小さく検出した場合は必要以上に大きな電力の超短波が患部に供給され、過加熱の状態となり、最悪の場合はやけどや患部にダメージを与えることとなり、この場合も治療効果は低下して治療効率を上げることはできない。本発明は上記の課題を解決して、治療の効率を向上させることが可能な、或いは容易に安全性を確保した導子を提供することを目的としている。
本発明により、治療効率を向上させることが可能な医療機器を提供できる効果がある。その1つとして、使用者は、患者に出射する物理エネルギーを検出する検出部やその近傍を使用者が把持したり、指を掛けたりすることが無く、当該検出部は物理エネルギーを誤検出することがない。よって検出器は物理エネルギーを的確に検出することができ、誤検出に由来する不具合を回避して治療効率の低下を防ぎ、治療効率を向上させることが可能となる。或いは、導子を適切に把持することができるので、導子を使用して適切な治療を患者に長時間施すことが可能で、治療効率のよい医療機器を提供できる。
図を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。本実施の形態においては超短波を使用して治療を行う医療機器を例に挙げて説明するが、超短波に限らずマイクロ波を使用する医療機器であっても、超音波を使用する機器であっても、電位治療器であっても、レーザー治療器であっても、これらを組み合わせて使用する医療機器であってもよい。さらには、超短波やマイクロ波等の電磁波と、超音波や低周波を使用する治療機器であってもよい。
図1は本発明による医療機器1の本体部11の斜視図である。医療機器1の本体部11は機器の操作を行う操作部12と別途記載の導子を収納する収納部13と当該導子と本体部11を電気的に接続する接続部14、及び超短波の出力開始操作が行われたことを通知する第1の通知部である通知部15を有する。この他に本体部11には電源に接続する電源コードや移動用のキャスターや、その他の治療に必要な部分があるが、本発明の本質的な部分ではないので説明を省略する。
図1の医療機器1は同時に複数個所の患部、又は複数の患者を治療できるように、複数のチャネルを持ち、例えば3チャネルの出力を備える。チャネル数はこれに限定されない。1チャンネルのみの構成でもよいし、複数のチャネルを有する構成でも良い。例えば2チャンネルの構成でもよく、或いは4チャネル以上の構成であってもよい。
図2は操作部12の拡大図であり、3チャネルを個別に設定する為に設定部21-1、設定部21-2及び設定部21-3を有する。本実施の形態では、設定部21-1によってチャネル1を、設定部21-2によってチャネル2を、設定部21-3によってチャネル3を制御する。
図2の操作部12には、メインスイッチ25を有する。メインスイッチ25を一回押すと本体が起動して本体部11の電源がオンされ、再度押すと総てのチャネルの出力が停止され、本体部11がシャットダウンされて電源がオフとなる。即ちメインスイッチ25は緊急停止ボタンとしても機能する。
操作部12には当該3チャネルを、別々に出力開始制御ができるように、出力開始ボタン22-1、出力開始ボタン22-2、出力開始ボタン22-3を持つ。超短波の出力がオフの状態でこれらの出力開始ボタンを押せば、一定時間、例えば20分間、超短波が出力されて治療が可能となる。本実施の形態では、3チャネルに相当するように3つの出力開始ボタンが配置されているがこれに限定されず、1チャネルなら出力開始ボタンは1つでよく、チャネル数に相当するように設けられていればよい。さらに出力開始ボタン22-1他を押して治療ができる時間は20分に限定されず、15分とすることや、30分としてもよく、適宜時間を設定するような構成でも良い。さらにチャネルごとに時間を変更してもよいし、時間を制限しないで連続的に治療できる構成でも良い。
さらに当該3チャネルを別々に出力停止ができるように、出力停止ボタン23-1、出力停止ボタン23-2、出力停止ボタン23-3を持つ。超短波の出力がオンの状態でこれらの出力停止ボタンを押せば、即ち、出力停止ボタン23-1のみを押せばチャネル1の超短波出力のみが、出力停止ボタン23-2のみを押せばチャネル2の超短波出力のみが、出力停止ボタン23-3のみを押せばチャネル3の超短波出力のみがそれぞれ個別に停止される。さらに、出力停止ボタン23-1と23-2を押せばチャネル1と2の超短波出力が、出力停止ボタン23-2と23-3を押せばチャネル2と3の超短波出力が、出力停止ボタン23-3と23-1を押せばチャネル3と1の超短波出力がそれぞれ停止される。本実施の形態は、3チャネルに相当するように3つの出力停止ボタンを有しているがこれに限定されず、1チャネルなら出力停止ボタンは1つでよく、チャネル数に相当するように設けられていればよい。これら個別の出力停止ボタンとは別に全チャネル出力がすべて停止される緊急停止ボタン(不図示)をメインスイッチ25とは別に配置してもよい。
また、上記各設定部は出力調整を行う調整部24-1、調整部24-2及び調整部24-3を有する。これら調整部により各チャネルの出力値が調整される。これら調整部は本実施の形態ではスライド式の調整手段を使用しているが、ダイヤル式やエンコーダを使用することも可能であり、例えば無段階式のボリュームであってもよく、各チャネルの出力が個別に設定できれば、特に限定されない。
本実施の形態では、出力の開始と停止を行う為に、別々のボタンを使用して、出力の開始と停止を制御しているがこれに限定されず、例えばトグルスイッチを、当該出力開始や停止のスイッチの代わりに使用する構成でも良い。或いは調整部24-1から調整部24-3を使用して、出力をゼロに設定すると出力が停止し、ゼロ以外に設定すると、これに連動して自動的に出力が開始される構成でもよく特に限定されない。この場合、調整部24-1等は各チャネルの出力の設定を行う調整部であって、出力開始ボタンでもあり、出力停止ボタンとしても機能する。
上記に於いては、出力の設定や調整、或いは出力開始や停止について個別にスイッチや調整器を使用しているがこれに限定されない。例えば出力の調整については、ボリュームやエンコーダを使用する代わりに、操作パネルやキーボードを使用してソフトウェアによって設定や調整を行うこともできる。或いは、出力の開始や停止についても同様に操作パネルやキーボードを使用してソフトウェアによって出力開始や停止を行うこともできる。さらにはこれらすべての操作を操作パネルやキーボードを使用してソフトウェアによって行うことでもよい。
図3は接続部14と通知部15を示している。接続部14に3チャネル分のコネクタ接続部31-1、コネクタ接続部31-2及びコネクタ接続部31-3がある。各コネクタ接続部には、本実施の形態の医療機器1専用の形状のコネクタを差し込むことができるようになっている。
通知部15には、視覚を利用して通知する視覚通知手段として、各チャネルの個別通知手段である、LED部32-1、LED部32-2及びLED部32-3が設けられている。これらは、上記コネクタ接続部31-1から31-3に接続された導子に対して、出力が開始される操作をした場合、即ち、前記出力開始ボタン22-1から出力開始ボタン22-3が押された場合にLEDが点灯する。より具体的には、出力開始ボタン22-1が押されればLED部32-1が、出力開始ボタン22-2が押されればLED部32-2が、出力開始ボタン22-3が押されればLED部32-3が点灯する。また、複数の出力開始ボタンが押されれば、当該出力開始ボタンに対応した複数のLED部が点灯する。例えば、出力開始ボタン22-1と出力開始ボタン22-2が押されればLED部32-1とLED部32-2が点灯する。出力開始ボタン22-2と出力開始ボタン22-3が押されればLED部32-2とLED部32-3が点灯する。出力開始ボタン22-1と22-3が押されればLED部32-1と32-3が点灯する。全出力開始ボタンが押されれば、全LED部32-1から32-3が点灯する。
逆に、出力停止ボタン23-1が押されてチャネル1の超短波の出力が停止された場合は対応したLED32-1が消灯する。また、出力開始ボタン22-1が押されて超短波の出力が開始されて20分後に超短波出力が停止した場合にもLED32-1は消灯する。この動作は他のチャネルについても同様である。即ち、出力停止ボタン23-2が押されてチャネル2の超短波の出力が停止された場合は対応したLED32-2が消灯する。また、出力開始ボタン22-2が押されてチャネル2の超短波の出力が開始されて20分後にチャネル2の超短波出力が停止した場合にもLED32-2は消灯する。同様に、出力停止ボタン23-3が押されてチャネル3の超短波の出力が停止された場合は対応したLED32-3が消灯する。また、出力開始ボタン22-3が押されてチャネル3の超短波の出力が開始されて20分後にチャネル3の超短波出力が停止した場合にもLED32-3は消灯する。
本実施の形態は、3チャネルに相当するように3つのLED部を有しているがこれに限定されず、1チャネルならLED部は1つでよく、チャネル数に相当するように設けられていればよい。又は、上記通知部15には、本実施の形態では各チャネルについてそれぞれのLED部が設けられているが、これに限定されず、各チャネルに共通の通知手段として、LED部32-4(不図示)が配置されていてもよい。即ち、出力開始ボタン22-1又は22-2或いは22-3のいずれかが押された場合に当該共通の通知手段であるLED部32-4が点灯する構成でも良い。この場合は、出力開始ボタン22-1と22-2と22-3のいずれか2つ、又は総てが押された場合であってもLED部32-4が点灯する。逆に、総ての出力が停止されている場合に限りこのLED部32-4は消灯する。当該共通の通知手段は、各個別の通知手段の代わりに、即ちLED部32-1からLED部32-3の代わりに配置されて使用されてもよいし、上記のように各チャネルに相当するLED部32-1から32-3の他にLED部32-4を設けてもよい。或いは、1つ目のチャネルについては、個別のLED部32-1を配置し、2つ目のチャネルと3つ目のチャネルについては共通のLED部32-5(不図示)を配置するような構成でもよい。
上記において、通知手段はLEDを使用した視覚通知手段の構成であるが、これに限定されない。例えば、ビープ音、チャイムの音、鈴の音、鐘の音、ベルの音、電子的な音、或いはその他の音による音響的な通知であって聴覚を利用して通知を行う聴覚通知手段であってもよい。例えば動物の鳴き声や、人の声、音楽や歌、或いは水の流れる音、波の音や風の音のように自然の音でもよく、これらをデータとして保存して通知の際に通知音として使用してもよい。図3では本体部11の前面に聴覚通知手段として、通知音である鈴音を発する発音部33を通知部15に配置している、即ち本体部11の前面に配置している。聴覚通知手段が設けられる場所は特に限定されないが、本体部11の前面や上面が望ましく、側面や裏面であってもよい。また発音部33は通知部15に設けられていてもよいが、通知部15以外に設けられていてもよい。
図3では当該発音部33は、いずれか1つのチャネルから出力された場合に通知音として鈴音が定期的に、例えば10秒間隔で発せられる。例えば、前記出力開始ボタン22-1が押された場合に発音部33から鈴音が10秒おきに発せられる。同様に、出力開始ボタン22-1ではなく、出力開始ボタン22-2や出力開始ボタン22-3が押された場合にも発音部33から鈴音が発せられる。逆に、チャネル1のみから超短波が出力されている場合に、出力停止ボタン23-1等が押されて超短波の出力が停止された場合は当該鈴音も停止する。即ち、総ての出力が停止された場合に限り発音部33からの音が停止する。また、出力開始ボタン22-1が押されて超短波の出力が開始されて20分後に超短波出力が停止した場合にも総ての出力が停止されていれば、発音部33は発音を停止し鈴音が停止する。
尚、発音部33は1つの音を発するような構成でも良いし、各チャネルに対応した、それぞれ異なる音を発するようにしてもよい。音を発する間隔も10秒でなくても、7秒や15秒、或いはそれ以上でも以下でもよく、連続して音を発していてもよい。通知音として音楽を使用する場合は連続の方がよい。さらに、発音部33の音はあらかじめ設定された音に限定されず、音データを変更することによって切り替えてもよく、複数のデータを本体部11に保持しておき、自由にそのデータの1つを読み出して発音部33からの音を変更できるような構成でも良い。又は自由に音データを入れ替えて使用するような構成でもよい。例えば患者が子供の場合は、子供をリラックスさせるために犬や猫のなき声、或いは小鳥のさえずりを鈴音の代わりに使用してもよい。さらには、複数の音データを自由に或いはランダムに変更して発音部から音を発してもよい。さまざまな音は患者が飽きることが無いので比較的長い治療時間の場合でも、子供に限らず患者がじっとして治療を受けることができやすいので治療効率が向上する。
当該発音部33は、いずれか1つのチャネルから出力された場合に1つの音を発するような構成でも良いし、各チャネルに対応した、それぞれ異なる音を発するようにしてもよい。例えば、チャネル1から出力されている場合は鈴音1、チャネル2から出力されている場合は鈴音2、チャネル3の出力がされている場合は鈴音3が発せられるような構成でも良い。もちろんこれらのチャネルの出力が停止されると、対応する鈴音も停止される。さらに、図3は、発音部33は1つだけが配置されている例であるが、個々のチャネルにそれぞれ発音部を設けてもよい。
図4は医療機器1で使用可能な3つのタイプの導子を示している。本実施の形態においては、3つのタイプの導子を使用することとして説明しているが本発明はこれに限定されない。これら導子のうちの1つのタイプのみを複数使用してもよいし、2種類の導子を使用する構成でも良い。又は、これら3つのタイプの導子のいずれとも異なるタイプの導子を使用してもよい。
図4(a)は比較的大きな患部、例えば腰や背中に使用される導子であるコイルタイプの導子41である。導子41は、超短波を出射するコイルが内蔵されている導子部41-1とケーブル44及びコネクタ45によって構成され、コネクタ45によって本体部11のコネクタ接続部31-1から31-3のいずれかに接続される。
図4(b)は比較的小さな患部に使用される導子であってコンデンサタイプの導子42である。導子42は、2個で対となるように導子部42-1と導子部42-2、導子部42-1に接続されたケーブル46-1、導子部42-2に接続されたケーブル46-2、
及びコネクタ47によって構成され、コネクタ47は本体部11のコネクタ接続部31-1から31-3のいずれかと接続される。導子42を使用する場合は、2個の導子部によって患部、例えば膝を挟んで治療を行う。挟むときは不図示のベルト等を使用してもよく、患部に対して所望の位置に所望の角度で導子を維持できれば特にその固定方法については限定しない。
尚、図ではコイルタイプの導子41がコンデンサタイプの導子42より大きいが、これに限定されず、コンデンサタイプの導子がコイルタイプの導子より大きくてもよい。或いはコイルタイプの導子41とコンデンサタイプの導子42は同じ大きさであってもよい。そして使用する部位についてはこれらタイプの導子部の大きさによって決定すればよい。
図4(c)はさらに小さい患部をピンポイントで治療する場合に使用するプローブタイプの導子43を示している。導子43も対となる2つの導子部によって構成され、本実施の形態では、導子部43-1とプローブタイプの導子部43-2、導子部43-1に接続されたケーブル48-1、導子部43-2に接続されたケーブル48-2、及びコネクタ49によって構成され、コネクタ49は本体部11のコネクタ接続部31-1から31-3のいずれかに接続される。導子43の使用方法は、患者が、例えば診察台に仰向けに横たわり、背中と診察台の間に導子部43-1を挟む。使用者、例えば医師が導子部43-2を患者の腹部表面を移動させ、超短波を患者に照射しながら治療を行う。使用方法はこれに限定されない。例えば椅子の座面に導子部43-1を置き、その上に患者が座り、医師等の使用者が導子部43-2を患者の腹部や背中などの体表面を滑らせて移動させながら、超短波を患者に照射して治療を行う。導子43によって治療を行う患部は、腹部や背中に限らず、肩、上肢、下肢或いは腰などであってもよく、患者の状態に合わせて適宜決定してよい。
上記導子43のようなプローブタイプの導子は、使用者が当該プローブタイプの導子を移動させながら使用するので、導子を患者に対して押し付ける角度や強さによって超短波の反射度合いが変化しうる。導子を移動させた場合であっても超短波の反射を抑えて常に超短波が効率よく患部に適用されるように、使用者は導子の位置や角度、押し付け度合いを調整するのが好適である。ところが超短波は使用者が認識することができず、超短波が効率よく患部に適用されているか判断できず、導子の角度、位置や患部への押し付け程度が不適切なまま、即ち、超短波のほとんどが患部に適用されない状態で使用される場合があり、この場合は治療の効率が著しく低下していた。これに対して本実施の形態の導子43には超短波を検出する検出部51と検出した超短波の状態を使用者に通知する通知部15を配置している。これについて次に説明する。
図5は導子部43-2の詳細な図である。(a)は左側面図を示し、(b)は矢印Aの方向から見た場合の外観図、(c)は断面図である。
図5において検出部51は、超短波を受信する検出手段であるアンテナ部52と、回路部53で構成され、アンテナ部52と回路部53は導子部43-2の内部に、図5(a)では点線の位置に配置されている。即ち、導子43-2に内蔵されていて、外部から見ることはできない。尚、アンテナ部52と回路部53は図5のように別体として構成されてもよいし、一体として構成されてもよい。さらに、アンテナ52や回路部53は図5のように円筒状の筒部59の内部に配置されていてもよいし、把持部56の内部であってもよいし、さらにはケーブル48-2を保護する為のジョイント保護部513の内部であってもよいし、ケーブル48-2に配置されていてもよく、超短波の的確な検出が行えればよい。
筒部59は樹脂製であって、把持部56の前方から上方に伸びるように把持部56と一体成型によって構成されている。筒部59は図のように直線状に伸びる筒状であってよいし、手前にカーブする形状であってもよいし、或いは後述するように筒部の途中で折れ曲がる形状でも良い。さらに、図5では筒部59は把持部56の付け根部分から同じ太さで構成されているがこれに限定されない。即ち、使用者が持ちやすく、治療がしやすい、或いは導子43-2の患部に対する位置を維持しやすいように、太さや位置や長さ、或いは材質や角度や重さを適宜調整すればよい。
さらに、図5では、超短波を検出したことを通知する第2の通知部として通知部55を有し、通知部55は検出表示部54-1、検出表示部54-2及び検出表示部54-3で構成されている。ここで、検出表示部は3個に限定されず、2個でもよいし、1個でもよく、4つ以上でもよい。さらに通知部55は視覚によって通知を行うが、これに限定されず、音によって通知を行う構成でも良く、さらには表示と音によって通知を行う構成でも良い。また、図5ではアンテナ部52と回路部53と通知部55は導子43に配置されているが、これに限定されず、導子41や導子42に配置されていてもよい。
図6は上記検出部51の回路部53の回路図である。回路部53はアンテナ部52で受信した超短波電力を使用して、検出表示部54-1、54-2及び54-3を点灯させる。検出表示部54-1はLED641を使用して点灯させる。同様に、検出表示部54-2はLED642で、検出表示部54-3はLED643で点灯する。LED641、LED642及びLED643は青色LEDを使用している。
図では検出表示部54-1から54-3のそれぞれに1つのLEDを使用しているが、LEDの数はこれらに限定されず、検出表示部が異なる数のLEDで構成されていてもよい。例えば、検出表示部54-1はLED641が1つ、検出表示部54-2はLED642が2つ、検出表示部54-3はLED643が3つ使用される構成でも良い。さらに、各検出表示部に使用されるLEDは検出表示部54-1から54-3で異なるLEDを使用してもよいし、同じLEDを使用してもよい。例えば使用するLEDの個数を増やす代わりに輝度の高いLEDを使用するような構成でもよいし、輝度を変えると共に個数を変えて各検出表示部が構成されていてもよい。
検出表示部54-1から検出表示部54-3は、検出された超短波の強度に対応して点灯するように設定されている。本実施の形態においては、検出された超短波が比較的弱い場合は検出表示部54-1のみが、即ちLED641のみが点灯する。中程度の場合は検出表示部54-1と54-2が、即ちLED641と642が点灯する。比較的強い場合は検出表示部54-1から54-3の総てが、即ちLED641、LED642及びLED643の総てが点灯するように設定されている。LED641の点灯には、ダイオード621、抵抗631、ツェナーダイオード651、コンデンサ661及び抵抗671を使用した回路(以後、第1段目の回路という)が使用され、アンテナ部52で受信した電力を利用してLED641により検出表示54-1が点灯する。LED642の点灯には、ダイオード622、抵抗632、ツェナーダイオード652、コンデンサ662及び抵抗672を使用した回路(以後、第2段目の回路という)が使用され、アンテナ部52で受信した電力を利用してLED642により検出表示部54-2が点灯する。同様に、LED643の点灯には、ダイオード623、抵抗633、ツェナーダイオード653、コンデンサ663及び抵抗673を使用した回路(以後、第3段目の回路という)が使用され、アンテナ部52で受信した電力を利用してLED643が点灯して検出表示部54-3が点灯する。このような設定は図6の回路における、抵抗、コンデンサ、ダイオード等の仕様やパラメータを調整することによって自由に設定可能である。
図7に検出表示部54-1から54-3の点灯状態と検出した超短波の電力の関係を示している。横軸はアンテナ部52で検出した超短波の電力であり、縦軸は各表示部に使用されるLEDの輝度を示している。実線は検出表示部54-1のLED641の発光特性、点線は検出表示部54-2のLED642の発光特性、そして一点破線は検出表示部54-3のLED643の発光特性を示している。まず、受信電力がP1で検出表示部54-1が点灯を始める。但し、P1での輝度はそれほど大きくない。さらに受信電力が大きくなると、検出表示部54-1が徐々に明るくなる。受信電力がP2において、検出表示部54-2が点灯を開始する。受信電力がP1からP2の間は、受信電力に応じて検出表示部54-1の明るさが上昇する。受信電力P3になった時点でさらに検出表示部54-3が点灯を開始して明るくなり始める。電力がP2からP3の間は、検出表示部54-1の明るさは変わらないが、検出表示部54-2の明るさは受信電力によって徐々に明るくなる。以下、同様に受信電力の強度によって検出表示部54-2や検出表示部54-3の明るさが変わる。
図7は1つの例であって、検出表示部の点灯状態は、上記抵抗やダイオードの設定、或いはLEDの選択によって図7の代わりにいろいろな設定が可能である。例えば図7では検出表示部54-1が最大輝度になる前に第2段目の検出表示部54-2が点灯を開始し、第2段目の検出表示部54-2が最大輝度に達する前に第3段目の検出表示部54-3が点灯を開始するが、これに限らず、検出表示部54-1が最大輝度又はほぼ最大輝度になった後に検出表示部54-2が点灯を開始し、検出表示部54-2が最大輝度又はほぼ最大輝度になった後に検出表示部54-3が点灯を開始するような構成でよい。
図8は、この場合の検出表示部54-1から54-3の点灯状態と超短波の検出電力の関係を示している。検出電力P1で検出表示部54-1が点灯を開始し、P5で検出表示部54-2が点灯を開始する。P5では検出表示部54-1は最大輝度或いはほぼ最大輝度になっている。さらにP6で検出表示部54-3が点灯を開始する。既にP6では検出表示部54-2は最大輝度或いはほぼ最大輝度になっている。
図7及び図8では各検出表示部の最大輝度、即ち各LEDの最大輝度は変えてあるが、これに限定されず、総ての検出表示部の最大輝度を一定にしてもよく、一部の検出表示部のLEDの最大輝度を一定にして他を変更してもよい。例えば検出表示部54-1と検出表示部54-2の最大輝度を同じとし、検出表示部54-3輝度を検出表示部54-1や54-2より大きく設定するような構成でもよい。
本実施の形態においては検出表示部に使用するLEDである、LED641、LED642及びLED643は同じ色、例えば青色としているがこれに限定されず、白色でも赤色でもよい。さらに、全LEDを同じ色とせずに、異なる色としてもよい。例えば最も弱い電力を検出した場合に点灯する検出表示部54-1に使用されるLED641は白色、次に点灯するLEDであって本実施の形態ではLED642は青色、そして最も高い電力を示すLEDであって本実施の形態ではLED643は黄色のLEDであってもよい。このように検出した電力によってLEDの色を変えることでもよく、使用者がより容易に受信した電力を認識できるのでより望ましい。
また、上記のように本実施の形態では、検出した超短波の電力に応じて、検出した電力が比較的弱い場合は検出表示部54-1、中程度の場合は検出表示部54-2、比較的強い場合は検出表示部54-3が点灯するようになっており、即ち、検出した電力を、ゼロ又は非常に弱い場合を含めて4段階に分けて表示している。しかし本発明はこれに限定されない。例えば検出した電力の有無を示す2段階、即ち検出表示部54-1と第1段目の回路のみを配置し、超短波が検出できた場合は検出表示部54-1を点灯させ、検出できない或いは検出した電力がゼロに近く非常に弱い場合は検出表示部を点灯させないとすることでもよい。
或いは、検出した電力が強い、弱い、又は検出できないかゼロに非常に近い、の3段階でもよい。或いは5段階以上としてもよい。この他に、検出した電力を表示するために電力メータを配置してもよく、又は検出した電力を数値化してデジタル表示を行ってよい。さらには、電力を使用して上記のようにLEDを点灯させるのではなく、音を鳴らすことでもよい。例えば検出した電力が小さい場合は低い音として、電力が大きくなるにしたがって高くなるような音を鳴らすことでも良い。
上記の実施の形態に於いては、本体部11が故障した場合を想定していないが、機器の老朽化や誤操作、その他の理由により、装置が故障する、又は一時的に誤動作することは避けることができない。故障や一時的な誤動作が発生したら、想定を超える非常に強い超短波が患者に照射されることもある為に、直ちに装置の電源を落とす、或いは導子を患者から引き離す等の措置を一刻も早く取らなければ、患者がやけどを負うなどの事故に発展しうる。本発明はこれについても対応可能である。
図9は回路部53の他の例を示している。この図では、第3段目の回路の他に、第4段目の回路を配置し、第4段目の回路には警告手段としての警告用回路と警告部としてのブザー91が接続されている。即ち、第2の通知手段として、警告手段を使用している。当該第4段目の回路は、ダイオード924、抵抗934、ツェナーダイオード954、コンデンサ964、抵抗974を使用して警告用回路を構成する。この例では、比較的弱い超短波が検出された場合に、第1段目の回路によってLED641が発光して検出表示部54-1が点灯し、検出電力が大きくなると第2段目の回路によってLED642が発光して検出表示部54-2が点灯し、さらに超短波の電力が大きくなると第3段目の回路によってLED643が発光して検出表示部54-3が点灯する。ところが、装置の誤動作や故障によって想定を超えた非常に強い電力が検出された場合は、第4段目の回路によってブザー91が発音して警告が通知される。警告手段はブザーに限らず、スピーカを使用して警報を出すような構成でもよい。又は発音による警報でなくても、非常に明るいLEDを使用して、或いは赤色のLEDを使用してもよく、或いはこれらLEDと音による警告、例えばブザー91の併用であってもよい。
さらに図9では3段階の検出表示と警告が行える構成であるが、これに限定されず、第1段目の回路と警告用回路を使用する構成でもよいし、第1段目の回路の他に第2段目の回路を使用し、さらに警告用回路を使用してもよい。あるいは、第2の通知手段として視覚による通知部55を配置せずに、図9を一例とする警告用回路と警告手段であるブザー91のみを配置するような構成でも良い。
続いて導子43のさらなる詳細な構成について説明する。図5(a)において導子部43-2には、導子部43-2を把持するドーム状の把持部56と導子部43-2が人体表面に接触する接触平面57及び、接触平面57に設けられた小型ドーム状の凸部58が設けられている。
図5(c)は導子部43-2の断面である。このように凸部58の内部に電気エネルギー出射部である超短波出射部512が設けられており、ケーブル48-2は筒部59の内部に設けられたアンテナ52及び回路部53の中を通って、つまり検出部51の内部を通って超短波出射部512に接続されている。回路部53はドーナツ状の基盤に上記の第1段目の回路等が設けられており、当該ドーナツ状の基盤の中央の穴をケーブル48-2が通っている。回路部53の基盤は、一枚の基板に上記の第1段目の回路、第2段目及び第3段目の回路が設けられてもよいし、例えば3枚の基板にそれぞれに第1段目の回路、第2段目及び第3段目の回路が設けられて構成されてもよい。本実施の形態では、ケーブル48-2は検出部51の内部のドーナツ状基板の中央の穴を通って超短波出射部512に接続されているがこれに限定されず、ケーブル48-2の両側、若しくはその一方に配置されるような構成でも良い。
また通知部55は筒部59の表面に設けられている。通知部55の検出表示部54-1、検出表示部54-2及び検出表示部54-3は、当該導子部43-2を右手で持った場合に見やすいように図5(b)の紙面左側の筒部59に配置されているがこれに限定されず、紙面右側の筒部59に配置されていてもよく、右側と左側の両方でもよく、或いは120度の中心角をもって3方向に配置されていてもよく、さらには筒部59の全周にわたって環状に設けられていてもよい。全周に配置する場合は、例えば図6に例示された回路部53を複数、例えば3つ又は或いは4つ以上使用する構成でもよい。この場合はこれら複数の回路にそれぞれアンテナ部52を配置してもよく、或いはアンテナ部52をこれら複数の回路に共通としてもよい。又は、回路部53は1つだけ配置し、LED641、LED642及びLED643を複数使用して筒部59の全周にわたって配置してもよい。例えば、3個のLED641を筒部59の全周に均等に配置し、さらに6個のLED642を筒部59の全周に配置し、9個のLED643も筒部59の全周に配置してもよい。
導子部43-2には図5のように凸部58がある。凸部58と接触平面57はプローブタイプの導子にとっては、例えば導子部43-2のような導子にとっては非常に有益である。このようなプローブタイプの導子は既述したように人体の表面を滑らせるように移動させて使用する。例えばコリの強い患部(以後、コリ部という)を探しながら移動させる場合に、凸部58がなく接触平面57だけを使用してコリ部を探し出すことは難しく、コリ部を効率よく確実に発見できず、コリ部に治療が施せず、治療効率が上げられなかった。ところが、凸部58があることによって例えば背中や肩のコリに凸部58が近づくことによって、使用者が導子部43-2を滑らせる力が、コリの部分だけ大きくなり、或いは滑らせる時の手に伝わる感覚が、コリの有無によって異なるので、容易にコリ部を、即ち治療すべき患部を発見することができる。よって、本来スムーズに導子43-2が滑るべき所であるにも関わらず導子がスムーズに滑らないことにより、患部を容易に発見してコリ部に的確に治療を施すことにより、治療効率を上げることができる。
ペンタイプの導子、即ち上記導子部43-2のように患者表面に接触する表面がなく、患者に接触させる部分としては凸部のみで構成される導子を患者に表面に当接させて患者の表面を滑らせて使用すると、ペンタイプの導子の先端の凸部を押し当てる力や滑らせるための微妙な力の調節が必要で未経験者や未修練者にはペンタイプの導子を患者の体表面を滑らせてコリ部を発見することは容易ではなく、患部の発見に経験を有し、治療効率が十分に上げられなかった。例えばペンタイプの導子に加える力が強くなると、先端の凸部が人体により強く押し付けられ、ペンタイプの導子がうまく滑らなくなったり、ペンタイプの導子を滑らせる為に強い力が必要となったり、コリがあっても見つけにくくなる場合がある。さらに強く押し付けられることにより患者が痛みを感じたり、患部に意図せず強い力でペンタイプの導子先端の凸部を押し付けるなどにより患部がよりダメージを受けたり、ペンタイプの導子先端が必要以上に強い力で押し付けられることにより正常な筋肉や腱などにもダメージを与えるなどのトラブルが発生していた。逆にペンタイプの導子を押し当てる力が弱すぎるとペンタイプの導子を滑らせ易くなる半面、コリに気付かない場合が多く超短波による治療が施されない問題もあった。又は炎症部に気付くことができずに超短波を照射して炎症を悪化させるなどの問題があった。これらの問題の為にペンタイプの導子の使用は治療効率が上げられず、治療効率が低下する場合が多かった。
本実施に於いては、上記のように人体表面に接触する接触平面57と凸部58を両方備える。接触平面57と凸部58が両方あることにより、必要以上に強めの力が導子43-2に与えられた場合であっても、接触平面57によって凸部58が必要以上に人体に押し付けられることが無く、即ち凸部58に加わる力が適切に制限されるので、スムーズに導子部43-2を滑らせることができると共に容易にコリを発見することができる。従って容易にコリ部を発見できて、適切な治療がすぐに行えるので、治療効率の低下を招かず、治療効率を向上させることができる。
さらに、当該接触平面57と凸部58は次のような課題も解決する。例えば治療すべき患部の近傍に炎症部が存在する場合がある。この実施の形態に於ける治療器は超短波による温熱効果により治療を行う為、当該炎症部については超短波を当てることはできない。この場合に導子41や導子42を使用すると比較的広い面に超短波が放出され、当該炎症部にも超短波が作用して温熱効果を及ぼし、温熱効果によって当該炎症が悪化してしまい、治療効果が下がってしまう問題があった。これに対して導子43を使用して導子部43-2を、人体表面を滑らせるようにして移動させた場合には、凸部58が炎症部に差し掛かった時に、導子部43-2を滑らせる為に必要な力や、滑らせるときに手に伝わる感覚が、炎症の有無によって異なるので、容易に炎症部を、即ち超短波を照射してはいけない患部を発見することができる。即ち、超短波による治療をしてはいけない患部を容易に発見して、治療すべき部位だけに治療を施すことにより、炎症を悪化させることがなく、治療効果が低下せず、患部のみを的確に治療できるので治療効率を上げることができる。
図5(a)及び図5(b)に於ける把持抑止手段について説明する。図5では、把持抑止手段として把持抑止部511が配置されている。把持抑止部511が無い場合は、本来把持しなければならない把持部56ではなく、使用者は筒部59を、例えば筒部59の中間あたりを握って導子部43-2を持ったり、筒部59の下の方を握ったり、或いは把持部56を持った場合でも正しく把持せずに筒部59に指を掛けるなど、適切な把持をしない場合もある。本実施の形態のようなプローブタイプの導子は、把持すべき位置を適切に把持することによって、無駄なく、無理なく導子を使用できるように設計されている。従って本来把持すべきではない位置を把持したり不適切な把持を行ったりした場合は、適切に導子を滑らせて使用することができず、即ち、導子部43-2を人体の表面を滑らせて治療する場合に十分な力が加わらず、導子部43-2が滑らせることができない。導子部43-2の握り方が適切でない場合は、プローブタイプの導子部43-2の使用に余分な負荷がかかり、必要以上の力を要し、或いは疲れやすくなって導子部43-2が適切な位置からずれてしまうなど、患部に対して適切な位置に導子部43-2を長時間維持できなくなり、治療効率が低下していた。さらに、導子部43-2の握り方が適切でない場合は、導子部43-2をうまく人体表面を滑らせることができないので、患部を見つけることができず、或いは患部を見つけることが難しくなり、患部を発見するために時間を要し、患部を十分に治療できず、治療効率が低下していた。さらには、上記にように炎症部、特に患部の周囲に炎症部がある場合は、当該炎症部を発見できずに見逃してしまい、超短波を照射して当該炎症部を加熱して悪化させる問題を誘発する。
ところが本発明の導子では導子部43-2のように把持抑止部511を有しているので、使用者は筒部59を持つことができず、或いは筒部59に指を掛けて持つこともできず、把持部56を必然的に適切に把持するようになる。例えばパーソナルコンピューターに使用するマウスを持つように把持部56に手を添えて導子部43-2を把持する。よって把持部56を適切に使用者が握るので、導子部43-2を適切に使用することができ、効率的に患部を見つけて治療することが可能で治療効率が向上する。把持部56を適切に使用者が握るので、使用者に余分な負荷がかかることもなく、疲れやすくなることもなく導子部43-2を効率的に操作でき、長時間患部に適切に当接させることができる。さらに治療に使用する電気エネルギー、本実施の形態では超短波を、照射すべきでない部分、例えば炎症部を容易に発見できるようになるので、誤って炎症部に超短波を照射することが無く、炎症部に温熱効果を与えることがなく、炎症を悪化させることが無く適切な治療が可能で治療効果を向上させることができる。この意味で把持抑止部511は把持抑止手段であると共に導子部43-2を適切に把持させるために機能する把持誘導部でもある。
把持抑止部511はさらに次の課題も解決している。導子部43-2は図5のようにアンテナ部52が筒部59内部に配置されている。当該アンテナ部52によってケーブル48-2を伝わる電力を、当該ケーブル48-2から漏れ出した電力を受信することによって検出し、超短波の出力として検出表示部54-1から54-3を使用して表示している。ところが、当該アンテナ部52の近傍を把持した場合や指がかけられた場合は、アンテナ部52で受信できる電力が影響をうけ、超短波を誤検出してしまう。実際の電力よりも大きく誤検出した場合は、通知部55で表示された電力より小さな電力の超短波が患者に適用されていることになるので超短波の電力が不十分で十分な治療効果が得られず治療効果が上がらない問題がある。逆に実際の電力よりも小さく誤検出した場合は、必要以上の超短波が患部に照射されていることになり、患部に熱さを感じて患者に不快感を与えたり、場合によってはやけどが発生したりする場合もある。これらの誤検出は、アンテナ部52に対する使用者の手や指の角度、位置、距離その他の要因により一定せず、最も確実な対策としては、筒部59に配置されたアンテナ部52の位置、又はこの周りに手や指を近づけないことである。
本発明においては、アンテナ部52の近傍に把持抑止部511を配置している。換言すると、検出手段であるアンテナ部52と使用者が把持する把持部56の間に把持抑制手段である把持抑止部511を配置している。この為に使用者はアンテナ部52の位置で導子部43-2を持つこともアンテナ部52の近傍に指をあてることもなく、使用者に導子部43-2の適切な把持を促すと共に、アンテナ部の把持を抑止可能となる。
尚、アンテナ部52を、図5のように筒部59の中央部ではなく筒部59の先端であってジョイント保護部513の近傍、或いはジョイント保護部513の内部や外側、又はケーブル48-2に配置して、アンテナ部52を使用者の手や指からできるだけ遠ざけるのが誤検出の観点から望ましいと思われがちであるが、本実施の形態ではアンテナ部52や回路部53を、筒部59の中央付近に配置している。この理由としては、アンテナ部52や回路部53が筒部59の先端部に配置された場合はこれらの重みによって、導子部43-2の重心が取りにくく、使用者の使い勝手が悪くなることを回避する為である。アンテナ部52や回路部53の重みを考慮する限りにおいてはこれらの位置は出来るだけ下の方、即ち、把持部56に近い方がよいが、使用者が把持部56を把持することにより、アンテナ部52による検出が、使用者の手や指の影響を受けやすくなる問題がある。そこで、アンテナ部を筒部59の中央付近としている。このようにアンテナ部52を筒部59の中央部に配置することで導子部43-2の重心が取りづらいことに由来する上記問題と、使用者の手や指によるアンテナ部52の誤検出の両方を改善することが可能となっている。
さらに把持抑止部511を配置しているので、導子43-2を把持した場合に把持抑止部511によって確実にアンテナ部52を使用者の手や指から離間されることが可能であると共に、アンテナ部52や回路部53や導子部43-2の重みによる導子部43-2全体の重心を考慮して、使用者が導子部43-2を操作し易いように重心をできるだけ下げた図5の位置に配置可能となる。以上から図5のように本実施の形態では筒部59の中央部にアンテナ部52や回路部53を配置し、さらに把持抑止部511を配置しているので、これらの問題を防止でき、患部や炎症部の発見が容易で、長時間にわたって導子部43-2を適切な位置に維持可能となり、治療効率の向上をより確実なものとしている。
把持抑止手段は図5のような把持抑止部511に限定されない。通知部55である検出表示部54-1等に関しても、この部分を握ってしまうと検出表示部54-1他が見えなくなるので使用者はこの部分を把持しない。よって筒部59の内部であって通知部55の位置にアンテナ部52や、アンテナ部52と回路部53を配置してもよい。
図10はこの状態の例である。このような場合は通知部55や検出表示部54-1から
54-3を握ると、これら検出表示部54-1を使用者が見ることができないので、使用者は検出表示部54-1等を避けて把持する。よってこれら通知部55である検出表示部54-1他は把持抑止手段にも該当する。また、この場合も、アンテナ部52と回路部53と通知部55を一体として構成して配置してもよい。
本実施の形態における把持抑止部の形状は半円盤状であって図5(b)においては半円形状で示されているが、これに限らず、長方形、正方形、三角形などのその他の多角形、又はピン状などの突起であってもよい。
図11(a)のように、筒部59の一部が飛び出したような形状の把持抑止部514であってもよい。この場合は、使用者は把持抑止部514と把持部56の間に手や指をいれてパーソナルコンピューターに使用するマウスを持つように把持部56を把持する。
把持抑止部はこの他に図11(b)のように筒部59を取り巻くように環状の把持抑止部515を配置してもよい。この図では、筒部59に対して把持抑止部515は導子の手前方向、この図では右側に偏心しているがこれに限定されず、筒部59に対して、把持抑止部は同心円として形成されていてもよいし、さらには楕円としてもよい。
さらに図5(b)では把持抑止手段は把持抑止部511が2個設けられているがこれに限定されない。例えば3つ以上の把持抑止部が筒部59の周面に取付けられていてもよいし、1つであってもよい。さらには、図11に記載の2種類の把持抑止手段に代表される把持抑止手段と併用してもよい。
把持抑止手段は次のような構成であってもよい。例えば上記のように筒部59の全体を円筒状として、別途把持抑止部を配置する又は筒部59と一体に形成するのではなく、把持抑止部の代わりに把持抑止部として筒部59の断面を円ではなく例えば三角形や四角形にしてもよい。
図12(a)は、把持抑止手段として導子部43-2の形状、例えば筒部59の形状を変更した例を示している。この図において、検出表示部等は簡単の為に省略している。図のように筒部59は、アンテナ部52の若干下側の部分を筒部59-1とし、筒部59-1より上側をアンテナ部52が含まれる筒部59-2としている。このように筒部を二つの部分にわけて把持抑止手段を構成してもよい。
この図12の例では、筒部59-1の断面(矢印のBの断面)の形状は図12(b)のように円形とし、筒部59-2の断面(矢印のCの断面)の形状は図12(c)のように正方形としているがこれに限定されず、例えば筒部59-2の断面を四角形ではなく三角形としてもよい。尚、この例のように把持を抑止するために、筒部の径や断面の大きさを変えてさらに形状を把持しにくいように断面が正方形になるようにしてもよいが、径を変えずに断面形状だけを変更してもよい。逆に断面形状を変更せず、径だけを変更する構成でも良い。例えば、筒部の断面形状を円としたまま、アンテナ部52の位置やその近傍で筒部の径を大きくすることでもよいし、逆にアンテナ部52の位置やその近傍で筒部を細くすることで、使用者が把持しにくいようにしても良い。又は、アンテナ部52が配置された部分のみについて上記のように径や断面形状を変えてもよい。例えば図12(a)では、筒部59を2つの部分に分けているがこれに限定されず、3つ以上に分けてもよい。
或いは図12(d)のように、把持抑止手段として湾曲部59-3を設けてもよい。通常、使用者は把持しようとするものが筒状であって、さらに湾曲している部分があれば、当該湾曲部分を避けて把持する傾向が強い。よって図12(d)のように湾曲部59-3を設けて湾曲させ、当該湾曲部59-3或いはその近傍にアンテナ部52を配置することにより、使用者が当該湾曲部59-3やその近傍を把持せず、アンテナ部52の近傍に使用者は手や指を置かない。よって湾曲部59-3がアンテナ部52に対する把持抑制手段である把持抑制部となる。
上記においては、例えば図5や、図10では物理的な突起物が把持抑止手段として記載されている。一方、図12(d)においては湾曲部59-3が、図10においては通知部55である検出表示部54-1他が把持抑止手段とし機能する。このように把持抑制手段は物理的な突起物であることに限定されず非突起物であってもよく、図5では検出表示部54-1他は使用者が当該検出表示部54-1から54-3を目視する必要から、当該検出表示部54-1から54-3は把持されないことにより検出表示部54-1から54-3は非突起物である把持抑止手段として利用される。同様に図12(d)では非突起物として筒部59の形状が把持抑止手段として使用されている。即ち、把持抑制手段は使用者の把持が抑制されればよく、物理的な突起等に限定されない。
上記の把持抑止手段は、単独で使用されるべきであると断定されるものではない。例えば複数の把持抑止手段を併用することも可能である。例えば図12(e)のように把持抑止手段として、非突起物である湾曲部59-3と突起物である把持抑止部516を配置してもよい。より確実に使用者がアンテナ52の近傍に手や指を近づけないようにする為に、複数の把持抑止手段を組み合わせてもよく、その組合せは特に限定はない。
また、当該導子43は次のような課題も解決できる。導子41や導子42は既述のようにベルト等によって患部に固定することができるが、プローブタイプの導子は、導子を固定することができない。導子部43-2を使用者が常に手に持って患部に当接させる。もし凸部58がなく、接触平面57の場合では、すぐに導子部が患部からずれてしまう傾向が強い。特に患者が子供等の場合に、長時間にわたってじっとしていることは容易ではない。不意に子供が動いた場合に、導子も動いてしまうので、患部から導子がずれてしまい、同じ位置に導子部を当てていることはなかなか難しい。ところが凸部58があれば、凸部58が無い場合に比較すると凸部58によって導子部43-2が滑ににくく移動しにくくなるので、患者が子供の場合であっても導子部43-2を比較的長い時間にわたって同じ位置に維持しやすくなる。よって導子部が患部からずれてしまうことに由来する治療効率の低下を防止して、治療効率を上げることができる。
さらに、凸部58により、コリのある部分やツボが刺激されて指圧効果が作用し、超短波による治療効果との相乗効果によって治療効果が向上する。この指圧効果は、接触平面57によって凸部58が押し付けられる力が適度に制限され、押し付けすぎによって発生する不具合、例えば痛み等の発生を防ぐこともでき、導子を押し付けすぎたことに由来する既述した治療効率の低下を防止して、治療効率を上げることができる。
また、上記の導子部43-2のように接触平面57と凸部58を持つ構成に於いて、凸部58を接触平面57の先端に配置している。即ち把持部56を把持した場合に指の先端に近い方に凸部58を配置することで、より凸部58を押しやすくなる効果がある。これにより、導子部43-2を患部に押し付けることによる使用者の疲労が軽減され、長時間にわたって適切な位置に導子部43-2を当接させることが可能となる。よって、指圧効果も使用して治療する場合に効率的に凸部58に力を加えることができるのでより確実な治療が長時間にわたって実施できて治療効率が上げられる。
図13は他のプローブタイプの導子部43-3の例を示している。図5と比較すると、凸部58が無いが、把持部56や筒部59の他に、通知部55やアンテナ部52や回路部53があるなど、ほぼ同じである。上記導子部43-2は背中や腹部などの比較的広く平らな部位については上記ように効果的である。一方、肘や膝、足首等においては、十分に威力を発揮できない場合がある。これらの部分は、関節によって表面に大きな凹凸があり、この凹凸により、うまく導子部43-2が表面を滑らない。或いは、表面は比較的なめらかでも、皮膚のすぐ下は骨や筋肉により非常にごつごつしており、うまく導子部43-2が表面を滑らない。例えば胸部では、肋骨により凸部58が妨げられて導子部43-2をうまく胸部表面を滑らせて移動させることはできない。さらに凸部58が肋骨を必要以上に押し付けるので痛みを感じるなどのトラブルが発生する。肘や膝や足首についても同様に凸部58によって導子部43-2を滑らせることができず、治療に適さない場合がある。さらにこれによって超短波による治療が開始できず、或いは凸部58による当接により痛みが強くなって途中で治療が中止される場合があり、治療効率が低下していた。
そこで、胸部や肘や膝や足首などでは、あえて導子部43-2を使用せず、導子部43-3を使用するのが望ましい。このような部位に治療を施す場合には、凸部58を有する導子部43-2では、ペンタイプの導子と同様に凸部58がこれら部位に必要以上に強く当接されることによる上記トラブルが発生する。ところが図13の導子部43-3は凸部58が無いので、たとえ皮膚直下に骨がある場合であっても接触平面57によってスムーズに導子部43-3を滑らせることができ、関節部等に於いても超短波による治療が容易で治療効率が向上する。これらの関節部分等では、導子42等をベルトで固定して使用する場合もあるが、この場合は導子42の角度を適切に維持できるとは限らず、適切な角度を維持するために使用者や患者が当該導子42を手で持って使用しなければならなかった。導子42等は手でもって使用するように設計されておらず、長時間導子42を適切な位置や角度に維持することができず、治療効率が上げられなかった。これに対して導子43-3は使用者が手にもって使用することができるので、使用者が長時間にわたって導子43-3を患部に対して適切な位置と角度で維持でき、治療効率の向上が可能である。
図13(b)は導子部43-3の断面である。導子部43-2との違いは、凸部58がないことに加えて、超短波出射部512が接触平面57の中央に配置されている点である。尚、電気エネルギー出射部である超短波出射部512はこの位置に限らず、接触平面57の前方、即ち図5(c)と同様な位置である図面に向かって左に、配置してもよい。又は、逆に接触平面57の後方、即ち図面に向かって右に、図13(b)内の点線で示した位置のように導子部43-3の後方に配置してもよい。
次に、本実施の形態において、第1の通知部である通知部15と第2の通知部である通知部55について説明する。ここでは導子43を使用して治療を行う場合を例に挙げて説明する。導子43のコネクタ49をコネクタ接続部31-1に接続して使用する、即ちチャネル1を使用することとする。チャネル1の出力を開始する出力開始ボタン22-1を押すと、調整部24-1で設定した出力(仮にPsとする)が導子部43-2に内蔵された、超短波出射部512に供給されて超短波が出射される。ところが実際は、超短波の一部は患者によって吸収されると共に、一部は反射される。患者に吸収される電力をPiとし、反射される電力をPrとすると、Ps=Pi+Prと近似できる。Prは患者によって反射されてそのままケーブル48-2を戻るので、本体部11から供給される電力と打ち消し合って、結果的にケーブルを伝わる超短波電力は、Ps-Prとなり、これがPiとなる。注目すべきはこのPrは導子部43-2の患部に対する、位置、角度、押し付け具合によって容易に変化しうることである。導子部43-2の患部への押し当て方や位置や角度を調整することによってPrを最小限にして、Piを最大限に大きくすることにより、超短波を患者に効率よく適用でき、治療効率を向上させられる。尚、アンテナ部52で検出される電力Pdは、Pd=f(Pi)となり、Piの関数となる。ここでPiと検出される電力Pdの関係は、使用するアンテナ部52の特性や、アンテナ部52とケーブル48-2との距離等によって変わる上に、本発明の本質的な問題ではないので説明は省略する。重要なのは、検出する電力は患者に適用される電力を間接的に表す指標となることと、反射された電力Prによって容易に変化することと、当該Prを小さくすることによって患者に吸収される電力が増加し、より治療効率が向上することである。
ところが、既述したように当該Prは導子部43-2の角度や距離、患部への押し当て方を変えることによって容易に変動する。よって使用者は当該導子部43-2を常に適切な向きや位置に調整し、その適切な位置や向きを維持して治療を行う。ところが、使用者が治療を開始した時に、導子部43-2の当て方や位置を変えても、第2の通知部である通知部55を構成する検出表示部54-1等の点灯が、使用者が想定した点灯と異なる場合がある。例えば、検出表示部54-1が全く反応しない場合がある。この場合は、次の2つの原因が考えられる。原因1:本体部11の出力開始ボタン22-1が押されておらず、出力がされていない。原因2:出力開始ボタン22-1が押されているが、何らかの原因により電力がケーブル48-2を通って導子部43-2に供給されていない。
導子部43-2にのみ通知部が設けられているが、本体部11に通知部が設けられていない場合は、超短波が出力されていないことに使用者が容易に気付くことができない。この場合、使用者は検出表示部54-1他が点灯しないのは導子部43-2の当て方が不適切であると誤解して、超短波の出力自体がされていないにも関わらず導子部43-2の当て方を調整することに固執して、実質的な治療がなかなか開始できず、治療効率がさがる問題を引き起こしていた。
本実施の形態における医療機器1では、導子部43-2に第2の通知部として通知部55と本体部11に第1の通知部として通知部15を有し、LED32-1からLED32-3を有しているので次のように、これらの原因を容易に特定して早急に対処することができる。まず、使用者は本体部11の通知部15のLED32-1を確認する。出力開始ボタン22-1が押されていればLED32-1は点灯するので、LED32-1の点灯の有無によって原因1か否かを瞬時に判断できる。LED32-1が消灯していれば出力開始ボタン22-1が押されていないことが容易に且つ瞬時に判断できるので、使用者は出力開始ボタン22-1を押し忘れたことにすぐに気づいて速やかに出力開始ボタン22-1を押して治療を開始できる。よって使用者が、出力開始の操作を忘れた場合であっても、出力されていると誤認して治療行為を続けることがなく、問題の原因を瞬時に特定して直ちに対処できるので治療効率の向上が見込まれる。逆にLED32-1が点灯している場合は、原因2であることが分かる。即ち、使用者が患者のもとを離れて本体部11まで移動して確認しなくてもどちらの原因であるかを容易に判断でき、出力されていると誤認して治療を続けることがなく、治療の実質的な開始を速やかに行うことができ、治療効率の向上が見込まれる。
本発明を施した医療機器1には、第1の通知部として発音部33が設けられている。この発音部33によっても同様に上記原因を判断できる。上記のように検出表示部54-1等の点灯が、使用者が想定した点灯と異なる場合、例えば、検出表示部54-1が全く反応しない場合に、発音部33からの音を次のように使用する。まず、使用者は発音部33からの音が聞こえるか否かを確認する。出力開始ボタン22-1が押されていれば発音部33からの音、本実施の形態では鈴音が聞こえるので、当該音の有無によって原因1か否かを瞬時に判断できる。発音部33からの音が聞こえなければ出力開始ボタン22-1が押されていないことが容易に、且つ瞬時に判断できるので、使用者は速やかに出力開始ボタン22-1を押して治療を開始できる。よって使用者が、検出表示部が点灯しない理由の判断に困ることがなく、超短波が出力されていないにも関わらず、出力されていると誤認して治療を続けることがなく、治療の開始を速やかに行うことができ、治療効率の向上が見込まれる。逆に鈴音が聞こえている場合は、原因2であることが分かる。
また、本実施の形態では、治療は20分とされているので、20分後には超短波は停止する。一般的にタイマーを使用した場合、所定の時間が経過した時にブザーや警告が一度だけ鳴る場合が多い。このブザーは通常の病院等では他の患者や治療に影響しないように非常に小さな音や非常に短い音に設定されているのが普通で使用者が聞き逃すことが比較的多い。特に導子43のようにプローブ導子を使用する場合は使用者が導子部43-2に、特に検出表示部54-1他に注目しているので、タイマー満了時のブザーを聞きのがすことが多く、検出表示部54-1等が点灯しなくなったときに、導子部43-2が適切な位置からずれた、或いは導子部43-2の当て方が不適切となったと誤認する場合が多い。ところが本実施の形態の場合は、超短波が出力している間は、発音部33によって鈴音が10秒おきに鳴り、治療時間が経過して超短波出力が停止された場合には、この鈴音も停止するので、鈴音が等間隔で鳴っているか否かを確認するだけで容易に超短波の出力が終わったのか否か確認することができる。鈴音が停止しているなら、治療時間が終了して超短波が停止したと使用者はすぐに判断できるので治療動作を終了できる。鈴音が停止していないなら、検出表示部54-1が消灯していれば導子部43-2がずれたことや、傾いたことが原因であることを瞬時に判断して、適切な位置や向きに導子部43-2を戻すことができ、導子の位置や角度が不適切となったことによる治療効率の低下を防いで適切な治療を継続できるので治療効率が下がることがなく治療効率が向上する。このように発音部33があることにより、使用者は本体部11の通知部15を目視するために、視線を変えたり、顔を向けたり、或いは振り返ったり、立ち上がる必要がなく、使用者は導子部43-2に注目したまま、特に通知部55の検出表示部54-1他を注視したまま、検出表示部54-1他が思った通りに点灯しない理由を知ることができ、治療効率の低下を防いで治療効率の向上ができる。
上記のよう特にプローブタイプの導子43を使用する場合は、導子部43-2の患部への当て方が重要であるので、医師等の使用者は常に導子部43-2に、特に第2の通知部である通知部55に注目して治療を行う。従って使用者は出来るだけ、導子部43-2から目を離したくないし、導子部43-2を当てた場所から導子部43-2を離したくない。ところが、検出表示部54-1等の点灯が想定した点灯と異なる場合には、第1の通知部が無ければ、それが、使用者が出力を開始し忘れた為なのか、或いは導子部43-1の当て方が不適切なことによるものなのか区別できず、わざわざ患者から離れて、本体部11を確認するために本体部11に戻り、導子部43-1の当て方が不適切か否かを判断するしかなかった。ところが本発明では、本体部11に第1の通知部を有するので、プローブタイプの導子43を使用する場合であっても、導子部43-2を患者に当てたまま、導子部43-2を患者から離すことなく、容易に使用者が出力を開始し忘れた為なのか、或いは導子部43-1の当て方が不適切な為なのかを判断できる。よって導子部43-1の当て方が不適切な場合はすぐに導子部43-1の位置や傾きなどを調整することによって治療効率の低下を防いで、治療効率を向上させることができる。
第1の通知部として本実施の形態では、視覚を利用する視覚通知手段と聴覚を利用する聴覚通知手段を両方とも有している。本発明はこれに限定されず、第1の通知部としては、視覚通知手段のみであってもよいし、聴覚通知手段のみであってもよい。
尚、第1の通知部としては聴覚通知手段が少なくとも使用されているのが望ましい。使用者は上記のようにプローブタイプの導子を使用する場合は当該導子、本実施の形態では導子部43-2に注目し、視線を外したくない。特に、本実施の形態のように導子部に通知部が設けられており、例えば検出表示部54-1等が配置されている場合は尚更である。このような場合に視線を本体部11に視線を向けたり、本体部11に顔を向けたり、本体部11が見えない場合は治療を中止して患者のもとを離れて本体部11に移動する必要がない聴覚による通知手段がより好適である。
上記の実施の形態においては、次のような場合にも有効である。例えば治療が終了して本来ならば超短波が停止している筈であるにも関わらず、検出表示部54-1等が点灯している場合がある。これは超短波出力が意図せず継続されていることを示すので、決して望ましくはなく、場合によっては本体部11や導子部43-2の故障を招く、又は漏電や発煙や発火を招き最終的には火災を発生することもある。この場合は、すぐに発音部33からの鈴音の有無や、LED32-1他が点灯しているか否か確認をすることによって、本体部11に故障があるか否を容易に判断できる。例えば、LED32-1、LED32-2やLED32-3が点灯している、或いは鈴音が鳴っていて、さらに検出表示部54-1他が点灯している場合は、出力停止ボタン23-1等が適切に操作されず出力停止が設定されていない状態である。この場合はすぐに出力停止ボタン23-1他を操作して出力を停止すればよい。逆にLED32-1、LED32-2やLED32-3が点灯していない或いは、鈴音が鳴っていないにも関わらず検出表示部54-1他が点灯している場合は、本体部11において超短波の出力停止の設定がされているにも関わらず出力継続されていることを示し、本体部11が一時的に暴走して、出力制御ができない状態であることを示す。このように本体部11が出力を継続している場合には本体部11の故障を招き易く、すぐにメインスイッチ25を押して本体部11の電源を落とし、本体部11を再起動する等が必要となる。これにより、装置の故障を回避して故障による治療効率の低下を防ぎ、治療効率の向上が可能となる。又は装置の暴走ではなく既に故障している場合でも直ぐに故障を検知できることにより、故障によるさらなる不具合、例えば火災等の事故を防止することもできる。
上記の実施の形態においては、第1の通知部である通知部15に配置されている視覚通知手段も聴覚通知手段も、出力が有るか無いかの2段階で通知する。本発明はこれに限定されず、これらの第1の通知部による通知を多段とすることにより本発明の効果がより発揮されることとなる。例えば、出力を、「弱い」、「中程度」、「強い」に分け、発音部33から発せられる音を当該電力に応じて変更させることも望ましい。この際に、出力の設定が例えば、1、2、3、4、5、6、の6段階に分かれており、1が一番弱く、2、3、と数字が大きくなるに従って出力が大きくなるような場合に、出力の設定1と2が「弱い」、出力の設定が3と4の場合は「中程度」、出力の設定が5と6は「強い」に分けてもよい。或いは、出力の設定1と2と3が「弱い」、出力の設定が4と5の場合は「中程度」、出力の設定が6は「強い」に分けてもよく、特に限定はない。さらに6段階でなくても例えば5段階以下であってもよいし、7段階以上であってもよいし、アナログボリュームによる無段階設定を行うような場合でもよい。さらには、「弱い」、「中程度」、「強い」の3段階に分けているがこれに限定されず、「弱い」と「強い」の2段階でもよく、4段階以上でもよく、特に限定されない。
出力を例えば3段階に分けた場合、上記実施の形態では発音部33から発せられる音は鈴音であるので、出力が弱い場合は鈴音1、中程度は鈴音2、強い場合は鈴音3として、設定された超短波の電力に応じて鈴音を変更するような構成でも良い。ここでは、設定された「弱い」、「中程度」、「強い」と3段階に分けられた電力に応じてチャネル音も3段階としたが、これに限定されず、設定電力を2段、或いは4段以上にして、これに応じて発する音を変更してもよい。
設定された出力に応じて音を変更する場合は、設定した出力に対応した別の音を使用することでも良いが、単に音の大きさや音程を変えることでも良い。例えば、設定した電力が弱い場合は低い音程の鈴音1-1を、電力が強い場合は鈴音1-1をそのまま高い音とした鈴音1-3を、中程度の場合は、鈴音1-1と鈴音1-3の間の音程である鈴音1-2を使用してもよい。
さらに、各チャネルに対応させて異なる音を使用してもよい。例えばチャネル1については鈴音1、チャネル2については鈴音2、チャネル3については鈴音3として、そして各チャネルの設定された電力に応じて鈴音の音程や音質を変えることがより望ましい。例えば、チャネル1に対して、弱い電力が設定された場合は、鈴音1-1、強い電力が設定された場合は鈴音1-1の音質を高くした鈴音1-3、中程度の場合は鈴音1-1と鈴音1-3の間の音質である鈴音1-2とする。同様にチャネル2に対しては、弱い電力が設定された場合は、鈴音2-1、強い電力が設定された場合は鈴音2-1の音質を高くしたチャネル音2-3、中程度の場合は鈴音2-1と鈴音2-3の間の音質である鈴音2-2とする。さらに同様に、チャネル3に対して、弱い電力が設定された場合は、鈴音3-1、強い電力が設定された場合は鈴音3-1の音質を高くした鈴音3-3、中程度の場合は鈴音3-1と鈴音3-3の間の音質である鈴音3-2とする。
上記では設定した電力に応じて、発する音そのものを変更する構成について説明したがこれに限らず、設定した電力が表されており、使用者や患者がその電力を知得できればよい。例えば音質や音そのものを変更するではなく、発する音の回数や音の長さで設定した電力を表現してもよい。例えば上記のように設定した電力を3段階で表す場合は、設定した電力が弱い場合は音を1回、設定電力が中程度の場合は2回、強い場合は3回とすることで超短波の設定強度を使用者に聴覚を利用して通知することができる。
さらに、各チャネルに対する音を変更してもよい。例えば上記と同じように、例えばチャネル1については鈴音1、チャネル2については鈴音2、チャネル3については鈴音3としてもよい。設定した電力を通知する為に、設定した電力に応じて各音を発する回数を変更してもよい。例えば、設定した電力が弱い場合は1回、中程度の場合は2回、強い場合は3回としてもよい。そして、例えば、全チャネルを使用して治療を行う場合であって、チャネル1に対して中程度の電力が、チャネル2について強い電力が、チャネル3について弱い電力が設定された場合には発音部33は次のように音を発する。鈴音1が2回、鈴音2が3回、鈴音3が1回、これらが発音部33によって10秒周期で繰り返して発せられる。
図14はこの様子を示している。図の横軸は時間であり、縦軸は発音の「あり」か「なし」を示し、「あり」はON、「なし」はOFFで示している。前述の如く、発音は10秒間隔で行われる。まず、チャネル1に設定した電力を示す為に鈴音1が2回発せられる。次に、チャネル2に設定された強い電力を表すために鈴音2が3回発せられる。そしてチャネル3に設定された弱い電力を示す為に鈴音が1回発せられる、これらが10秒周期で繰り返される。
この場合に、出力停止ボタンが押されたり、所定の時間が経過して超短波の出力が自動停止した場合は、当該停止したチャネルに対応した音のみが停止する。例えば図14において、出力停止ボタン23-1が押されて、チャネル1の超短波出力が停止された場合は、鈴音1のみが停止され、鈴音2と鈴音3が引き続き発音部33から発せられる。
或いは図14において、例えばチャネル2の治療時間が経過して、チャネル2の超短波出力が自動的に停止した場合は、チャネル2に対応する鈴音2が停止され、一方出力が継続されているチャネル1とチャネル3に対応した鈴音1と鈴音3は継続して発音部33から発せられる。
図14に代表されるような制御は次のような効果が得られる。使用者は治療に先立って患者に適用する超短波の強度を設定する。だが、仮に強い強度を設定したつもりでも実際は中程度の強度しか設定されていない場合がある。このような場合には、検出表示部54-1と検出表示部54-2しか点灯しない。この状態ではそもそも検出表示部54-2までしか点灯しないにも関わらず、使用者は強い強度を設定したと思い込んでいるので検出表示部54-3も点灯させようと導子部43-2を移動させたり傾けたり患部に押し付けたりいろいろと試行錯誤を繰り返し不要な時間を浪費し、結果として治療効果が上がらず治療効率を低下させていた。ところが本発明により発音部33から発せられる音を聞くことによって実際に導子43に設定されている超短波強度を、聴覚のみで、使用者が治療体制を変えることなく、或いは本体部11を振り返ることなく、導子部43-2にある検出表示部54-1他から目を離すことなく、知ることができ、即座に自分の設定が誤っていたことに気づき、設定を変更させることができる。
設定を看護師や助手などに指示した場合に、当該指示がうまく伝わらず、医師が中程度の強度を指示しても、看護師や助手が強い強度を設定する場合もある。このように、意図せず強い強度が設定された場合には、例えば検出表示部54-1や54-2が良好に点灯した場合であっても、導子部43-2の角度や位置が微妙に変化しただけで検出表示部54-3が点灯する。これは非常に強い超短波が患者に供給されたことを示し、望ましくなく、患者に熱さなどの不快感が与えられる、又はやけどが発生する場合もある。ところが本発明を施した本体部11の場合では、発音部33が強い強度が設定されていることを使用者に通知するので、自分が意図しない電力が設定されていることを医師は容易に知ることができ、患者に不快感を与えたりやけどを負わせたりすることが無くなり、結果的に治療効率が向上する。
本発明は次の場合にように、装置が故障している又はうまく出力電力が制御できない場合にも効果を発する。仮に医師が中程度の強度をチャネル3に設定した場合を考える。本体部11が正常な場合は、例えば発音部33はチャネル3の出力が中程度の電力に設定されている時は、鈴音3が2回発せられて、検出表示部54-1と54-2が良好に点灯する。ところが導子部43-2の位置や角度をいくら調節しても、検出表示部54-1のみが点灯し、点灯すべき検出表示部54-2が点灯しない場合がある。この場合は中程度の出力が設定されているにも関わらず、導子43に対して中程度の電力が適切に出力されていない、即ち本体部11が故障して出力の低下が発生していることを使用者は容易に且つ瞬時に知ることができる。
逆に、検出表示部54-1及び54-2だけでなく、検出表示部54-3も点灯する場合もあり、中程度の電力が適切に出力されていない、即ち本体部11が故障して出力の制御ができず過剰な出力がされている可能性が高いことを容易に且つ瞬時に使用者が知ることができる。このように使用者が正しく設定を行った場合であっても、意図しない電力が供給されていることを、音を聞くことによって使用者は容易に且つ瞬時に知ることができ、患者に熱さなどの不快感を与える、又はやけどを負わせることが無くなり、結果的に治療効率が向上する。
これらの効果は、第1の通知部による通知が電力の設定値に対応していること、又は第2の通知部による通知が検出した電力値に対応していること、或いはこれら両方によって得られるものである。即ち、第1の通知部と第2の通知部を持つことによって得られる格別の効果である。以上のように、上記の実施の形態では、本体部11から超短波出力がされていることを通知する第1の通知部と導子によって超短波が実際に出射されていることを通知する第2の通知部を有しているので、使用者の誤操作、或いは装置の誤作動や故障を容易に知ることができる。
さらに第1の通知部による通知が電力の設定値に対応していること、及び第2の通知部よる通知が検出した電力値に対応していることによって、さらに細かく装置の設定値と導子の状態を知ることができる。
また、少なくとも第1の通知部による通知として聴覚を利用した通知を行うので、使用者は導子や患者から目を離すことが無く患者や導子に注目したまま、導子の位置や角度を調節しなければいけないことや、装置の状態が不安定であること、又は装置が故障していること、又は装置の操作が適切でないことを容易に判断することができ、これらに由来する治療効果の低下を防いで、治療効率を向上させることができる。
上記において、第1の通知部である通知部15は「弱い」、「中程度」、「強い」の3段階、出力がゼロや極めて低い場合を含めると4段階を示している例について記載している。さらに第2の通知部である検出表示部54-1から54-3については、検出された電力がゼロ又は極めて弱い場合は、何れも点灯せず、検出された電力が弱い場合は検出表示部54-1が、中程度の場合は検出表示部54-1と検出表示部54-2が、強い出力の場合は検出表示部54-1と検出表示部54-2と検出表示部54-3が点灯するとして記載しているが、本発明はこれらに限定されない。例えば、出力が弱い場合は検出表示部54-1と検出表示部54-2が点灯し、中程度の場合は検出表示部54-2と検出表示部54-3が点灯し、強い場合は検出表示部54-1と検出表示部54-2と検出表示部54-3が点灯するような構成でも良い。或いは第1の通知部が3段階の通知を行う場合に第2の通知部は3段階以上でも以下でもよい。例えば、出力が弱い場合は検出表示部54-1と検出表示部54-2が点灯し、中程度若しくは強い場合は検出表示部54-1と検出表示部54-2と検出表示部54-3が点灯するような構成でも良い。さらに、上記の実施の形態では、第2の通知部は導子部43-2や導子部43-3のみに配置されているが、これに限定されず、導子41や導子42に配置されていてもよい。
本実施の形態についてさらに説明する。図1には本体部11の側面に、主に本体部11を移動する際に使用する第1の把手である取っ手16を有する。取っ手16は主に、本体部11を設置や撤去する際に使用される。医療機器1はレントゲンやMRIの装置に比較すると非常に小型であるので、使用する場所を変更して使用される場合もあり、例えば診察室から病室に移動させる場合にも、取っ手16が使用される。その為、移動させ易いように本体部11の側面の中央付近に取付けられている。取っ手16は図1では本体部11の右側面だけに図示されているが、取っ手16の対応する位置であって本体部11の左側面にも配置されている。
さらに、本体部11には、第2の把手であるハンドル17が設けてある。ハンドル17は、金属製のパイプで構成されており、操作部12の横から接続部14の横にかけて本体部11の側面の手前側に配置されている。ハンドル17は図1のように本体部11の右側面だけでなく、ハンドル17の対応する位置であって本体部11の左側面にも配置されている。操作部12によって操作を行う場合や、収納部13に導子を収納する、或いは収納部13から導子を取り出す場合にハンドル17を使用者が握ることによってより操作がしやすくなり、導子の出し入れがより簡単に確実に行えるようになる。さらに導子のコネクタを接続部14に差し込んだり、引き抜いたりする際にハンドル17を握りながら引き抜きや差込みを行うことにより、より簡単に、且つ確実にコネクタの抜き差しが行えるようになる。さらに差し込んだり、引き抜いたりする際に、比較的大きな力を加えてもハンドル17を握っているので本体部11が移動したり傾いたり倒れたりすることを防ぐことができ、安定させることができる。また、本体部11を若干移動したい場合、例えば患者に少し近づけたい場合にはこのハンドル17を使用して本体部11を多少ずらすことが容易となる。
図のような医療機器は通常、この機器のみが単独で配置されることはなく、他の医療機器や他の物、例えばキャビネットや診察台等とも並べて配置されることが多く、壁際に配置されている場合も多い。その為に、本体部11を若干ずらせたい場合をはじめ、導子のコネクタを抜き差しする場合のように本体部11を手で固定したい場合など、本体部11の側面に配置されている取っ手16は機器の側面の比較的奥に配置されているために、隣に配置された医療機器や壁に挟まれて、容易に握ることができず使用できない。その為、導子のコネクタを、力を込めて差し込んだり引き抜いたりする場合に意図せず本体部11が移動したり、本体部11が倒れて本体部11に破損や故障が発生していた。ところが本実施の形態の本体部11には取っ手16の他にハンドル17が配置されているので、当該ハンドル17を掴むことによって、取っ手16を使用しなくても容易に操作や導子の出し入れ、或いはちょっとした本体部11の移動が行えるので、これらに関する操作性が向上して、治療効率の向上が実現できる。
さらに、本体部11にキャスターが設けられている場合はさらにハンドル17は有効である。例えば操作部12を操作する場合でも、キャスターによって容易に本体部11が移動する或いは回転する場合がある。同様に導子を収納部13に出し入れする、又は導子のコネクタを接続部14に抜き差しする場合はこの問題はより顕著に発生する。キャスターがあることにより本体部11が意図せず移動したり回転する場合は、操作や導子の抜き差しや出し入れができないだけでなく、本体部11の回転や移動によって既に治療を行っている場合は患者に装着している導子が外れたり、ケーブルが断線したり、コネクタが抜けるなどのトラブルが発生して、治療効率が低下していた。ところが本実施の形態の本体部11には取っ手16の他にハンドル17が配置されているので、当該ハンドル17を掴むことによって操作や導子の出し入れ、導子の抜き差しが容易に且つ確実に行えるので、これらに関する操作性が向上して、治療効率の向上が実現できる。
ハンドル17は上記のように使用されるが、必ず左右に配置されなければならない訳ではない。右側だけであっても左側であってもよい。さらに側面に限らず、前面であっても上面であってもよく特に限定されない。さらにハンドル17は図1では縦に長くなるように構成されているがこれに限らず、水平となる向きに設けられていてもよい。例えば上面の手前側の位置に、当該上面の長手方向に設けられてもよい。前面であって操作部12の上側に設けられてもよい。或いは接続部14の下の位置に設けられてもよく、操作部12と収納部13の間の位置や、収納部13と接続部14の間の位置でもよい。或いはこれらの位置の1つに限定されず複数の位置に設けられてもよい。さらには、図1では、操作部12から接続部14まで、1つのハンドル17が配置されているがこれに限らず、操作部12の横に1つのハンドル、収納部13の横に1つのハンドル、接続部14の横に1つのハンドルと複数が配置される構成であってもよい、即ち各部に1つのハンドルを配置してもよい。或いは操作部12と収納部13の横に共通の1つのハンドル、接続部14には1つのハンドルと複数の部分に共通のハンドルを配置してもよい。尚、本段落に記載のハンドルの形態を組み合わせてもよい。さらには、図1ではパイプ状の形状であるが、操作時や導子の出し入れ、或いはコネクタの抜き差しに際して使用者が握ることによって本体部11を確実に固定できて、本体部11がずれたり、回転したり、或いは転倒するのを防止できればよく、パイプ形状に限定されない。例えば、木製の角材を使用して構成してもよいし、本体部11に設けられた窪みや溝の形状であってよいし、使用者が把持可能な突起物であってもよいし、これらを組み合わせていてもよい。
図15の(a)は図1の矢印Aから、即ち上から取っ手16を見た場合を示している。図の斜線部は本体部11を示している。取っ手16は、本体部11を移動させる場合に把持する把持部112、把持部112の両側に上記導子のケーブルを掛けてまとめて、一時的に格納するホールド部113と一旦まとめたケーブルをホールド部113に留めておく為にホールド部113の先端に突起部111を有している。突起部111の先端と本体部11との距離は望ましくは、使用するケーブルの直径と同程度か当該ケーブルの径より若干小さくてよい。若干小さくても、ケーブルは通常ゴムやシリコンでできているためにその弾性を利用して容易に本体部11と突起部111の間をすり抜けてホールド部113にホールドされる、又は容易にケーブルをホールド部113から取り出すことができる。
ホールド部113は、使用しない導子のケーブルをまとめて掛けることによって使用しないケーブルが邪魔にならないようにすることができる。或いは装置を移動する場合に各導子のケーブルをこのホールド部に一時的にまとめることよってケーブルがバラバラにならないように整理することができる。ケーブルがバラバラすることによって、これから使用する導子のケーブルを接続部14に接続する際に、他の使用しないケーブルが邪魔になりうまく接続できなかったり接続が不十分になる、或いは接続すべき場所を間違えたりするトラブルが発生する。さらに移動の際にはまとめられていないケーブルが他の機器等に引っかかり、ケーブルが断線したり、コネクタやコネクタ接続部が破損したり、本体部11が転倒する、或いは他の機器を破損させたりするトラブルが発生していた。ところが図1の医療機器は取っ手16により、このようにケーブルを適切に、且つ簡単に整理することによってケーブルがバラバラになることに由来するトラブルを回避して治療効率の低下を防いで治療効率の向上が可能となる。
取っ手16は図15(a)に限定されず、ホールド部113が一方だけに配置された図15(b)や図15(c)の形態であってもよい。特に、(b)はホールド部113が把持部112に対して背面側にあるので、ケーブルがホールド部113に収まりやすく、ケーブルがホールド部113の手前方向、図面の下方向に集まり、突起部111を超えて外れることが無く望ましい。逆にホールド部113へのケーブルをホールドしやすさを優先すると図15(c)が望ましい。
さらに、医療機器1を移動させる場合に把持するのは把持部112に限らず、ホールド部113を持って移動させることができるようにホールド部113に十分な強度を持たせることがより望ましい。逆にホールド部113に十分に強度が無いと、移動に際して誤ってホールド部113を持った場合にホールド部113が破損する事態を引き起こす。このようにホールド部113にも十分に強度を持たせる方が、移動に際して取っ手16のどこを把持するかの選択について自由度が上がって、移動効率が上げられ、医療機器1を移動させる際によりスムーズに移動でき、早く治療に取り掛かることができ、移動に関する効率を上げて治療効率を上げることができる。
本実施の形態の図1の医療機器1においては、本体部11において接続部14の上に収納部13が設けられており、これについて説明する。この構成について考える前に逆の配置、即ち収納部13が接続部14の下にある場合を考える。
図16(a)は、収納部と接続部が図1と逆に配置されている状態を示す。即ち、収納部1213の上に接続部1214が配置されている。図においては、収納部1213と接続部1214以外の操作部12や通知部15は簡単の為に省略している。さらに簡単の為に、接続部1214では接続部1214に各導子の接続されているケーブルだけを示し、コネクタ接続部やコネクタは省略している。
収納部と接続部が図1と逆に配置されている図16(a)では収納部1213の手前に接続部1214に接続されたケーブルが多数垂れ下がった状態となる。この状態ではケーブルによって導子が隠れてしまい、収納部1213に収納された各導子を容易に見つけることが困難な場合もあり、導子のとり間違えや所望の導子を発見しづらい状態となり、治療を開始するのが遅れるなどの問題があった。さらに所望の導子を取り出す際に、他の導子のケーブルが邪魔となり、簡単に取り出すことができない、或いは所望の導子を取り出す際に他の導子のケーブルを引っ掛けてしまい、当該ケーブルを引っ張ることとなり、当該ケーブルを引き抜く、或いは当該ケーブルを断線させるなどのトラブルが発生していた。これらの問題は超短波やマイクロ波を使用する医療機器に非常に顕著有効である。これらの医療機器に使用されるケーブルは非常に太くて長い特徴がある。従ってケーブルが垂れ下がった場合に導子を隠してしまうことや、使用者が収納された導子を発見しづらくなることや、収納された導子を取り出す時に邪魔になることは大変良く発生する。
ところが、図1のように収納部13が接続部14の上にある場合は、図16(b)のように収納部13の前に他の導子のケーブルが垂れ下がることが無く、収納部13に収納された導子を容易に発見でき、導子の取り間違えが発生せず、容易に所望の導子を取り出して、スムーズに治療が開始できる。さらに導子を取り出す場合に他のケーブルを引っ掛けることが無く、したがって他のケーブルを引っ張ることが無いので、他のケーブルを引き抜くこともなく、他のケーブルを断線させることもない。従って図1のように接続部14の上に収納部13があることにより、ケーブルによって収納部13が隠れることもなく、導子の取り出しも容易であって、他のケーブルに影響を与えることが無く、収納部の前にケーブルが垂れ下がることに由来する不具合を解消して治療効率の向上が可能となる。
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な組み合わせ等をすることが可能である。