JP2022019362A - オイルポンプ - Google Patents
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Abstract
【目的】車両に使用され、オイルポンプにおけるロータ及び駆動軸の回転動作を良好に維持させることができるオイルポンプ。【構成】ロータ室11と吸入ポート21と吐出ポート22と第1軸受部3とを有するポンプハウジングAと、第2軸受部5を有しポンプハウジングAに接合されるポンプカバーBと、ロータ室11に配置されるロータ7と、軸方向一端寄りに伝達継手部61を有し且つ第1軸受部3と第2軸受部5とによって軸支されロータ7を回転させる駆動軸6と、吐出ポート21と、第1軸受部3又は第2軸受部5に亘って設けられ、吐出ポート21と連通する連通流路32を有するオイル溜り室Sとを備える。駆動軸6は伝達継手部61側が閉鎖される軸内流路62を有し、駆動軸6の軸方向中間箇所に軸内流路62と連通するオイル流入口62aを有し、軸長方向先端寄りにオイル排出口62bを有し、オイル流入口62aはオイル溜り室S内に位置すること。【選択図】 図1
Description
本発明は、車両に使用されるものであって、オイルポンプにおけるロータ及びロータを駆動させる駆動軸の回転動作を良好に維持することができるオイルポンプに関する。
自動車等の潤滑系統にオイルを供給するオイルポンプにおいて、インナーロータ及びアウターロータとからなるトロコイドタイプのロータと、該ロータを駆動する駆動軸を備えた内接歯車タイプとしたものが多く存在する。また、オイルポンプがエンジンのバランサ装置とハウジングが一体となったものでは、駆動軸に回転伝達を行う原動軸も存在し、駆動軸と原動軸とが継手にて連結されている。該継手として一般ではオルダム継手が使用されることが多い。
図9(A)は、従来の一般的なオイルポンプの構造を示すものである。オイルポンプは、通常、オイル吐出側bがオイル吸入側aより高圧になるものである。このようなオイルポンプにおいて、ロータd及び該ロータdを回転駆動させる駆動軸cが、動作中に吐出ポートbの吐出オイルから高い圧力を受けて、さらに、原動軸eからの軸方向荷重(スラスト荷重)を受けて回転の姿勢が崩されてしまうことがよくある〔図9(B)参照〕。その結果、ロータ及び駆動軸が適正な状態に対して傾いた状態となりロータ及び駆動軸が、ロータ室や軸受に押し付けられたり、オイル圧力の変化によって振動が生じることもある。
そのため、ロータd及び駆動軸cの一部がロータ室や軸受との間に局所的に接触し、その部分に摩擦が生じ、相互にすり減ってしまい、いわゆる焼き付き現象が生じて、ロータd,駆動軸c及びポンプハウジング等が損傷してしまうことになる。特に、ロータdを回転させる駆動軸cが、これを回転させる原動軸eとオルダム継手等の継手構造を有する場合では、駆動軸cと原動軸eとの間に芯同士の位置ずれが生じるものであり、このような構成に対する悪影響は、より一層大きくなる。
このような、状態を改善するために、駆動軸と軸受け及びロータとロータ室のそれぞれの寸法公差の精度を高くするということも考えられる。しかし、このように部品同士の寸法精度を高くすることによって、製造に寸法精度管理をするために作業員に大きな負担がかかり、コストが上昇し、また、品質管理も困難となり、最善の解決策とはいえないものである。
さらに、駆動軸と原動軸とを継手部材(オルダム継手等)によって連結されたものでは、精度を高くし過ぎると、回転中における相互の継手部に過大な摩擦が生じ、軸芯の位置ずれを吸収する特性を低くしてしまうことにもなってしまう。以上のようなことは、結局、吐出側のオイル圧力がロータや駆動軸に過大にかかってしまうことによることが多い。オイルポンプのロータに過大な荷重が入力されることによる害を防止する構成が、特許文献1に開示されている。
特許文献1では、ポンプ駆動軸は、鍔部が形成され、ポンプ駆動軸がケースに対して前記軸方向の一端部側に向けて相対移動させられると、段差部がポンプロータに当接する前に前記鍔部が前記ケースに当接して前記ポンプ駆動軸の相対移動が規制されるようにしたものである。特許文献1では、駆動軸及びハウジングの内部形状が複雑であり、そのために極めて高価なものとなる。そこで、本発明の目的は、オイルポンプにおいてロータ及び駆動軸の動作の安定性を維持し、これらの不要な振動(バタつき)及びこれによる焼付による損傷を防止することを極めて簡単な構成で低価格に実現することにある。
そこで、発明者は、上記課題を解決すべく、鋭意,研究を重ねた結果、請求項1の発明を、ロータ室と吸入ポートと吐出ポートと第1軸受部とを有するポンプハウジングと、第2軸受部を有し前記ポンプハウジングに接合されるポンプカバーと、前記ロータ室に配置されるロータと、軸方向一端寄りに伝達継手部を有し且つ前記第1軸受部と前記第2軸受部とによって軸支され前記ロータを回転させる駆動軸と、前記吐出ポートと、前記第1軸受部又は前記第2軸受部に亘って設けられ且つ前記吐出ポートと連通する連通流路を有するオイル溜り室とを備え、前記駆動軸は前記伝達継手部側が閉鎖される軸内流路を有し、前記駆動軸の軸方向中間箇所に前記軸内流路と連通するオイル流入口を有し、軸長方向先端寄りにオイル排出口を有し、前記オイル流入口は前記オイル溜り室内に位置してなるオイルポンプとしたことにより、上記課題を解決した。
請求項2の発明を、請求項1に記載のオイルポンプにおいて、前記第2軸受部の先端寄りには、空隙としたオイル受部が設けられてなるオイルポンプとしたことにより、上記課題を解決した。請求項3の発明を、請求項1又は2に記載のオイルポンプにおいて、前記駆動軸の前記伝達継手部側寄りの位置を前記第1軸受部に軸支される太径支持軸部とし、該太径支持軸部において前記伝達継手と反対側を細径軸部とし、該細径軸部と前記第1軸受部との間の空隙を前記オイル溜り室としてなるオイルポンプとしたことにより、上記課題を解決した。
請求項4の発明を、請求項1又は2に記載のオイルポンプにおいて、前記駆動軸の外周に周方向に沿う外周溝部が形成され、該外周溝部と前記第1軸受部の内周側面との間の空間を前記オイル溜り室としてなるオイルポンプとしたことにより、上記課題を解決した。請求項5の発明を、請求項1又は2に記載のオイルポンプにおいて、前記第1軸受部の内周側面に周方向に沿う内周溝部が形成され、該内周溝部と前記駆動軸の外周側面との間の空間を前記オイル溜り室としてなるオイルポンプとしたことにより、上記課題を解決した。請求項6の発明を、請求項1,2,3,4又は5の何れか1項に記載のオイルポンプにおいて、前記伝達継手部はオルダム継手としてなるオイルポンプとしたことにより、上記課題を解決した。
請求項1の発明では、駆動軸のオイル流入口から軸内流路を通過してオイル排出口から排出されるオイルの流れが第2軸受部の終端箇所に到達し、そのオイルの圧力が駆動軸の軸先端面にかかる。そして、駆動軸に回転を伝達するバランサシャフト等の原動軸により、駆動軸に軸方向荷重(スラスト荷重)が与えられ、これに加えて吐出ポート側のオイルの圧力により駆動軸及びロータが軸方向に傾こうとすることに対して、オイル排出口から排出されたオイルの圧力による力が逆方向に作用して、 駆動軸にオルダム継手等の継手部を介して回転伝達を行う原動軸から受けるスラスト力と相殺させる。
つまり、原動軸から受ける スラスト力によって傾いた駆動軸を、スラスト力と逆方向
に押し返して、駆動軸を元の適正状態に戻すと共に、ロータも適正状態に戻すことができ、安定した回転状態とし、ロータ及び駆動軸の焼付きを防止できる。また、駆動軸のオイル排出口から排出されたオイルは、駆動軸と、第2軸受の軸支持内周面との間を通過することにより、駆動軸の潤滑油としての役目をなす。
に押し返して、駆動軸を元の適正状態に戻すと共に、ロータも適正状態に戻すことができ、安定した回転状態とし、ロータ及び駆動軸の焼付きを防止できる。また、駆動軸のオイル排出口から排出されたオイルは、駆動軸と、第2軸受の軸支持内周面との間を通過することにより、駆動軸の潤滑油としての役目をなす。
さらにそのオイルは、ロータ室に到達し、ロータの回転を円滑にすると共に、ロータの側面を押圧し、ロータを傾きのない適正な回転状態にすることができる。このようなことから、本発明のオイルポンプを量産するときの寸法管理幅を緩和し、また、使用する場合においては、駆動軸及びロータ等の回転部品の傾きを防ぐことができる。
請求項2の発明では、第2軸受部の先端又はその近傍には、空隙としたオイル受部が設けられたことにより、駆動軸のオイル排出口から排出されるオイルを一旦ため込みながら、このオイルの圧力が駆動軸の先端面に均一にかかり、駆動軸と継手部にて接続されたバランスシャフト等の原動軸から受けるスラスト荷重に対向し駆動軸を傾きのない適正な状態に維持できる。
さらに、駆動軸と第2軸受部との間の隙間(クリアランス)にも均一にオイルを流入させ、駆動軸に設けられたロータの側面にも均一なオイルの圧力をかけて、ロータ室内壁とロータの過度の倒れ又は傾きを防止し、ロータの回転を良好な状態に安定させることができる。
請求項3の発明では、駆動軸の前記伝達継手部側寄りの位置を前記第1軸受部に軸支される太径支持軸部とし、該太径支持軸部において前記伝達継手と反対側を細径軸部とし、該細径軸部と前記第1軸受部との間の空隙を前記オイル溜り室としたことにより、第1軸受部の近傍をオイル溜り室として利用することができ、駆動軸の周囲がオイル溜り室となり、オイル流入口からのオイル流入が行われ易く、よって駆動軸周囲のオイルの圧力の伝達を良好にして、駆動軸及びロータの回転動作を安定させることができる。
請求項4の発明では、駆動軸の外周に周方向に沿う外周溝部が形成され、該外周溝部と前記第1軸受部の内周側面との間の空間を前記オイル溜り室とし、また、請求項5の発明では、第1軸受部の内周側面に周方向に沿う内周溝部が形成され、該内周溝部と前記駆動軸の外周側面との間の空間を前記オイル溜り室としたことにより、本発明を、径方向に小さく、また、より一層簡単な構成にできる。請求項6の発明では、伝達継手部はオルダム継手としたことにより、駆動軸の継手による回転伝達構造を簡単確実なものにできる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本発明におけるオイルポンプは、トランスミッション又はエンジン等の潤滑オイルを必要とする機器に適正に装着される。本発明の構成は、主に、ポンプハウジングA,ポンプカバーB,駆動軸6及びロータ7を有する〔図1(A)参照〕。
なお、本発明における説明で方向を示す軸方向及び径方向を使用する。軸方向は、駆動軸6がポンプハウジングAとポンプカバーBに適正に装着されたときの軸長の方向のことを言う。軸方向は、駆動軸6以外の部材についても、駆動軸6が適正に装着された状態で、駆動軸6を基準として方向を示す文言として共通して使用される。軸方向は、主要図面に矢印で記載されている。径方向は、軸方向に垂直な方向である。
ポンプハウジングAは、ハウジング部1にロータ室11と、吸入ポート21と、吐出ポート22と、第1軸受部3を有している〔図1,図2,図3(A)等参照〕。第1軸受部3は、軸支孔31aを有する円筒ボス状部31とした滑り軸受タイプであり、その内周側に駆動軸6が回転自在に挿通される〔図1,図2(A),図3(A)参照〕。
第1軸受部3の軸方向に隣接してロータ室11が備わっている。該ロータ室11は、後述するロータ7が収容される部位であり、ロータ7の軸方向における前面又は後面を支持する底面部11aとロータ7の外周側面を回転自在に支持する内周側面11bを有している。該内周側面11bは、必ずしも、円周状に連続する壁面ではなく、断続的な円弧の内周側面11bの集合からなる。
ロータ室11には、吸入ポート21と吐出ポート22が存在している。吸入ポート21は、オイルの吸入流路21aを備えており、吐出ポート22は吐出流路22aを備えている〔図1(B)参照〕。なお、ポンプハウジングAは、オイルポンプのハウジングとして単独のものとして使用される場合と、エンジンの振動を打ち消すバランス装置のハウジングと一体的に形成される場合とが存在する。
ポンプカバーBは、ポンプカバー本体4と第2軸受部5とを有しており、前記ポンプハウジングAに接合される。ポンプハウジングAとポンプカバーBとが適正に接合された状態で第1軸受部3と第2軸受部5とは、軸芯が一致するようになっている〔図1(A),図2(A)参照〕。第2軸受部5は、円筒ボス孔状の軸支部51が形成され、該軸支部51によって、駆動軸6の軸先端部分が軸支される。軸支部51の軸方向の奥側端部には軸支終端51aが形成されている〔図1(A),図2(A),(D)参照〕。
つまり、軸支終端51aは、軸支部51の終端(奥側)となる部位であり、軸支終端51aは、軸支部51の内径が窄まるように狭くなる部位である。そして、軸支終端51aにて軸支される駆動軸6の先端の軸方向におけるストッパの役目をなすものである。つまり、軸支部51にて軸支された駆動軸6が、軸支終端51aによって、第2軸受部5の軸方向奥側に移動不可能となるように規制するものである。
第2軸受部5の軸支終端51aの奥側には、オイル受部52が形成されている〔図1(A),図2(A),図3(A)参照〕。オイル受部52は、軸支終端51aと同一内径となる開口52aを有する空隙である。オイル受部52には、駆動軸6の先端部分は挿入することはできない。
オイル受部52における空隙形状は、半球状又は略半球状である。つまり、略真球を半分にした形状となる。或いは、オイル受部52の形状は、真球以外の球面状の空隙とすることもある。また、オイル受部52の形状は、円錐台形状とすることもある〔図2(D)の想像線部分を参照〕。
また、オイル受部52の軸方向における最深位置は、前記軸支終端51aの位置から、該軸支終端51aの略半径分の位置としたり、或いは軸支終端51aの位置に極めて近接した位置とすることもある〔図2(A)想像線部分参照〕。第2軸受部5に、駆動軸6が挿入したときには、該駆動軸6の先端よりも奥側にオイル受部52が空隙室として存在する。オイル受部52の役目については、後述する。
また、ポンプカバーBのポンプカバー本体4には、ポンプハウジングAに接合した状態で、ポンプハウジングAの吸入ポート21及び吐出ポート22に対応する位置に、副吸入ポート41と副吐出ポート42がそれぞれ形成されることもある〔図1(A),図2(A),図3(A)等参照〕。ポンプカバーBがポンプハウジングAに接合された状態で、副吸入ポート41は吸入ポート21と連通し、副吐出ポート42は吐出ポート22と連通する構成となっている〔図1(A),図2(A)参照〕。
次に、駆動軸6は、前記ポンプハウジングAの第1軸受部3と、ポンプカバーBの第2軸受部5によって軸支される〔図1(A),図2(A)参照〕。ここで、駆動軸6の軸方向において第2軸受部5側で軸支される側を駆動軸6の軸方向先端とし、その軸方向に直交する端面を軸先端面6aと称する。駆動軸6は、軸方向一方側(軸方向先端と逆側)に伝達継手部61が形成されている。
伝達継手部61は、駆動軸6を回転させる原動軸9から、回転伝達を受けるための継手部である。該原動軸9は、本発明のオイルポンプがバランサ装置と共通するハウジングに使用される場合では、バランサシャフトとなり、該バランサシャフトはエンジンから回転が伝達される。
また、原動軸9は、モータ軸とする場合もある。継手構造は、駆動軸6と原動軸9との軸芯同士のずれを吸収することができるものであり、この種の継手構造は公知技術のものが使用される。伝達継手部61の具体的なものとしては、オルダム継手であり、この場合には伝達継手部61が軸方向に直交する溝であり、原動軸9側に前記溝に挿入する平行な2面を有する突起が設けられる。
駆動軸6には、軸内流路62が形成されている。該軸内流路62は、駆動軸6の軸方向に沿って直線状の流路であり、前記伝達継手部61側が閉鎖される行き止まりタイプのものである〔図1(A),図2(A),図3(C)等参照〕。軸内流路62には、オイル流入口62aとオイル排出口62bとを有しており、オイル流入口62aは、駆動軸6の軸方向中間箇所に形成されている。
オイル流入口62aは、駆動軸6の外周側面と軸内流路62とを径方向に連通する流路である。オイル流入口62aは、1個又は2個以上形成される〔図3(D)乃至(F)参照〕。オイル流入口62aを2個とした場合では、駆動軸6の直径方向の両端に形成される〔図3(D)参照〕。オイル流入口62aを3個以上形成する場合では、駆動軸6の外周に等間隔に形成される〔図3(F)参照〕。また、オイル排出口62bは、駆動軸6の軸方向の先端側、つまり伝達継手部61とは反対側となる軸先端面6aで軸内流路62の開口部となっている〔図3(C)参照〕。
駆動軸6は、軸方向において伝達継手部61側寄りの位置に太径支持軸部63が形成され、該太径支持軸部63において前記伝達継手と反対側となる部分を細径軸部64とする。太径支持軸部63は、第1軸受部3によって軸支され、細径軸部64の先端側が第2軸受部5によって軸支される。前記太径支持軸部63と前記細径軸部64との間に形成される軸方向に略直交状となる段差箇所を段部63a称する(図1乃至図3等参照)。また、後述するロータ7は、駆動軸6の細径軸部64によって支持されることになる。
ロータ7は、ポンプハウジングAのロータ室11に収納されるもので、回転してポンプ動作を行うものである。具体的には、内接歯車タイプのものであり、例えばトロコイドタイプ等であり、トロコイド形の歯形を有するインナーロータ71とアウターロータ72とから構成される〔図1(C)参照〕。
そして、インナーロータ71は、駆動軸6によって回転し、アウターロータ72がインナーロータ71と共に回転することができる。インナーロータ71の外歯と、アウターロータ72の内歯が噛み合いつつインナーロータ71が回転することによってアウターロータ72が回転し、吸入ポート21から吐出ポート22にオイルを搬送する。インナーロータ71にはボス孔71aが形成され、前記駆動軸6に装着される。該駆動軸6とインナーロータ71は、相互に固定され、インナーロータ71は駆動軸6の回転方向及び軸方向に移動不可能としている。
次に、オイル溜り室Sについて説明する。オイル溜り室Sは、ポンプハウジングAの吐出ポート22と第1軸受部3に亘って設けられた空隙となる部分である〔図1(A),図2参照〕。具体的には、第1軸受部3の円筒ボス状部31の軸支孔31aがオイル溜り室Sとして共用で使用される。そして、吐出ポート22と、円筒ボス状部31の内部、つまり軸支孔31aとを連通する連通流路32が形成されている〔図1(A),(B),図2参照〕。
連通流路32は、第1軸受部3の円筒ボス状部31の開口周辺に径方向にまたがるように形成される〔図1(A),図2(A),図3(A),(B)参照〕。或いは、連通流路32は、円筒ボス状部31の円周壁に径方向の貫通孔として形成されることもある(図5,図6参照)。第1軸受部3の吐出ポート22の吐出オイルの一部は、連通流路32を介してオイル溜り室Sに流入可能となっている。
第1軸受部3の円筒ボス状部31の軸支孔31aの軸方向における一部で、駆動軸6の太径支持軸部63が軸支される。そして、円筒ボス状部31内と、太径支持軸部63の段部63aと、細径軸部64との径方向の隙間には空隙が存在し、この空隙がオイル溜り室Sとなる〔図1(A),図2(A)参照〕。
また、細径軸部64に設けられたロータ7が円筒ボス状部31の開口を数十μmの隙間で略塞ぐ構造となり、オイル溜り室Sは、第1軸受部3と、駆動軸6における細径軸部64と太径支持軸部63の段部63aと、ロータ7とによって略閉鎖状の空隙となる〔図1(A),図2(A)参照〕。駆動軸6のオイル流入口62aは、常時オイル溜り室S内に存在し、オイル溜り室S内のオイルの圧力が軸内流路62に伝達可能となるように駆動軸6に設けられる。
次に、本発明の作用について、説明する。まず、オイルポンプが始動し、ロータ7が回転すると、吸入ポート21から吐出ポート22にオイルが搬送される。吐出ポート22側のオイルの圧力は、吸入ポート21側のオイルの圧力よりも高くなり、吐出ポート22側のオイルの圧力が連通流路32を介してオイル溜り室Sに伝達する〔図4(A),(B)参照〕。
そして、オイル溜り室Sに充満したオイルによる圧力は、さらに駆動軸6のオイル流入口62aから軸内流路62に伝達し、該軸内流路62内をオイルの圧力がオイル排出口62bに向かって伝わる。該オイル排出口62bに伝わったオイルの圧力は、ポンプカバーBの第2軸受部5のオイル受部52に伝わり、オイル受部52がオイルで満たされると共に、駆動軸6の軸先端面6aにオイルの圧力をかける。
駆動軸6は、原動軸9から軸先端に向かう軸方向荷重(スラスト荷重)がかけられており、これによって駆動軸6及びロータ7に傾きが生じるような外力がかかっている〔従来技術を示す図9(B)参照〕。このような状態に対して、第2軸受部5の軸方向の奥側端、或いはオイル受部52によって駆動軸6のオイル排出口62bから伝達されたオイルの圧力によって、駆動軸6が原動軸9から受ける軸方向荷重を相殺し、駆動軸6及びロータ7の回転を安定させることができる。
次に、本発明の第2実施形態を図5に基づいて説明する。この第2実施形態では、駆動軸6の外周に周方向にくぼむような外周溝部65が形成されている。該外周溝部65の内部でその底面箇所に前記オイル流入口62aが設けられている〔図5(A)参照〕。そして、該外周溝部65と、第1軸受部3の円筒ボス状部31の内周側面である軸支孔31aとの間に形成される空隙をオイル溜り室Sとしたものである。円筒ボス状部31内において、オイル溜り室Sを構成する外周溝部65の位置と、吐出ポート22との間に連通流路32が設けられている〔図5(B)参照〕。
そして、吐出ポート22から連通流路32を介してオイル溜り室Sを構成する外周溝部65からオイル流入口62aにオイルの圧力が伝わり、さらにそのオイルの圧力が軸内流路62内を伝わる。この実施形態では、駆動軸6に太径支持軸部63及び細径軸部64は存在しないものであり、駆動軸6は軸方向に沿って同一直径の軸体である。よって、円筒ボス状部31近傍の径方向寸法を小さくでき、また駆動軸6も軽量・安価にできる。
次に、本発明の第3実施形態を図6に基づいて説明する。この実施形態では、第1軸受部3の内周側面に周方向に沿う内周溝部33が形成されたものである。該内周溝部33と吐出ポート22とは連通流路32が設けられている。内周溝部33と、第1軸受部3に軸支されている駆動軸6のオイル流入口62aとは、相互に交わる位置としている。そして、内周溝部33と、駆動軸6の外周側面との間に形成される空隙をオイル溜り室Sとしたものである。
そして、吐出ポート22から連通流路32を介してオイル溜り室Sを構成する内周溝部33にオイルの圧力が伝わり、さらに、そのオイルの圧力が駆動軸6のオイル流入口62aから軸内流路62に伝わる。この実施形態においても、駆動軸6に太径支持軸部63及び細径軸部64は存在しないものであり、駆動軸6は軸方向に沿って同一直径の軸体である。
次に、本発明の第4実施形態を図7に基づいて説明する。この第4実施形態では、駆動軸6には、前述した第2実施形態における、外周溝部65が形成されている。該外周溝部65の内部底面にはオイル流入口62aが形成されている。外周溝部65の駆動軸6における軸方向の形成位置は、該駆動軸6がポンプカバーB側の第2軸受部5の軸支部51にて包囲軸支される範囲内となる。
そして、駆動軸6の外周溝部65と、第2軸受部5の軸支部51の内周側面との間に形成される空隙をオイル溜り室Sとしたものである。副吐出ポート42は、吐出ポート22とロータ室11を介して連通しており、ポンプの稼働中においては、副吐出ポート42内には、吐出ポート22からの吐出オイルの一部がロータ7の回転によって流れ込む。
駆動軸6の外周溝部65と、副吐出ポート42との間に連通流路43が設けられている。つまり、吐出ポート22と連通する副吐出ポート42から連通流路43を介してオイル溜り室Sを構成する外周溝部65からオイル流入口62aにオイルの圧力が伝わり、さらにそのオイルが軸内流路62内をオイルの圧力が伝わる。
この第4実施形態では、駆動軸6の軸内流路62は、駆動軸6の外周溝部65及びオイル流入口62aが、ポンプカバーBの第2軸受部5側に軸支される位置に設けられているので、軸内流路62の軸方向における深さを浅く設定することができる。これによって、駆動軸6における加工時間及び加工費用を低減できる。
また、この第4実施形態では、第1実施形態と略同様に、太径支持軸部63及び細径軸部64が設けられたり〔図7(A)参照〕、或いはその変形例として第2実施形態と略同様に、駆動軸6に太径支持軸部63及び細径軸部64は存在しないものとし、駆動軸6は軸方向に沿って同一直径の軸体にすることができる〔図7(B)参照〕。
つまり、本発明における第4実施形態は、駆動軸6は、伝達継手部61側が閉鎖される軸方向に短尺となる軸内流路62を有し、駆動軸6における軸内流路62と連通するオイル流入口62a,オイル排出口62b及び前記外周溝部65と、第2軸受部5の軸支部51の内周側面との間に形成される空隙部をオイル溜り室Sとし、該オイル溜り室SはポンプカバーBの第2軸受部5側に位置し、オイル溜り室Sと副吐出ポート42とを連通する連通流路43は、ポンプカバーBの第2軸受部5に設けられるものである。
次に、本発明の第5実施形態を図8に基づいて説明する。この実施形態では、ポンプカバーBの第2軸受部5の内周側面に周方向に沿う内周溝部53が形成されたものである。該内周溝部53と吐出ポート22とは連通流路43が設けられている。内周溝部53と、第2軸受部5に軸支されている駆動軸6のオイル流入口62aとは、相互に交わる位置としている。
そして、内周溝部53と、駆動軸6の外周側面との間に形成される空隙をオイル溜り室Sとしたものである。つまり、副吐出ポート42から連通流路43を介してオイル溜り室Sを構成する内周溝部53にオイルの圧力が伝わり、さらに、そのオイルの圧力が駆動軸6のオイル流入口62aから軸内流路62に伝わる。
この第5実施形態では、第1実施形態と略同様に、太径支持軸部63及び細径軸部64が設けられたり〔図8(A)参照〕、或いはその変形例として、第3実施形態と略同様に、駆動軸6に太径支持軸部63及び細径軸部64は存在しないものとし、駆動軸6は軸方向に沿って同一直径の軸体にすることができる〔図8(B)参照〕。第5実施形態においても、第4実施形態と略同様に、軸内流路62の軸方向における深さを浅く設定することができ、駆動軸6における加工時間及び加工費用を低減できる。
つまり、本発明における第5実施形態は、駆動軸6は、伝達継手部61側が閉鎖される軸方向に短尺なる軸内流路62を有し、駆動軸6における軸内流路62と連通するオイル流入口62a,オイル排出口62b及びオイル溜り室Sは、ポンプカバーBの第2軸受部5側に位置し、該第2軸受部5には内周溝部53が設けられ、該内周溝部53と駆動軸6の外周との間に形成される空隙をオイル溜り室Sとし、該オイル溜り室Sと副吐出ポート42とを連通する連通流路43は、ポンプカバーBの第2軸受部5に設けられるものである。
A…ポンプハウジング、11…ロータ室、21…吸入ポート、22…吐出ポート、
3…第1軸受部、32…連通流路、33…内周溝部、B…ポンプカバー、
43…連通流路、5…第2軸受部、51a…軸支終端、52…オイル受部、
53…内周溝部、6…駆動軸、6a…軸先端面、61…伝達継手部、62…軸内流路、
62a…オイル流入口、62b…オイル排出口、63…太径支持軸部、64…細径軸部、65…外周溝部、7…ロータ、S…オイル溜り室。
3…第1軸受部、32…連通流路、33…内周溝部、B…ポンプカバー、
43…連通流路、5…第2軸受部、51a…軸支終端、52…オイル受部、
53…内周溝部、6…駆動軸、6a…軸先端面、61…伝達継手部、62…軸内流路、
62a…オイル流入口、62b…オイル排出口、63…太径支持軸部、64…細径軸部、65…外周溝部、7…ロータ、S…オイル溜り室。
Claims (6)
- ロータ室と吸入ポートと吐出ポートと第1軸受部とを有するポンプハウジングと、第2軸受部を有し前記ポンプハウジングに接合されるポンプカバーと、前記ロータ室に配置されるロータと、軸方向一端寄りに伝達継手部を有し且つ前記第1軸受部と前記第2軸受部とによって軸支され前記ロータを回転させる駆動軸と、前記吐出ポートと、前記第1軸受部又は前記第2軸受部に亘って設けられ且つ前記吐出ポートと連通する連通流路を有するオイル溜り室とを備え、前記駆動軸は前記伝達継手部側が閉鎖される軸内流路を有し、前記駆動軸の軸方向中間箇所に前記軸内流路と連通するオイル流入口を有し、軸長方向先端寄りにオイル排出口を有し、前記オイル流入口は前記オイル溜り室内に位置してなることを特徴とするオイルポンプ。
- 請求項1に記載のオイルポンプにおいて、前記第2軸受部の先端寄りには、空隙としたオイル受部が設けられてなることを特徴とするオイルポンプ。
- 請求項1又は2に記載のオイルポンプにおいて、前記駆動軸の前記伝達継手部側寄りの位置を前記第1軸受部に軸支される太径支持軸部とし、該太径支持軸部において前記伝達継手と反対側を細径軸部とし、該細径軸部と前記第1軸受部との間の空隙を前記オイル溜り室としてなることを特徴とするオイルポンプ。
- 請求項1又は2に記載のオイルポンプにおいて、前記駆動軸の外周に周方向に沿う外周溝部が形成され、該外周溝部と前記第1軸受部の内周側面との間の空間を前記オイル溜り室としてなることを特徴とするオイルポンプ。
- 請求項1又は2に記載のオイルポンプにおいて、前記第1軸受部の内周側面に周方向に沿う内周溝部が形成され、該内周溝部と前記駆動軸の外周側面との間の空間を前記オイル溜り室としてなることを特徴とするオイルポンプ。
- 請求項1,2,3,4又は5の何れか1項に記載のオイルポンプにおいて、前記伝達継手部はオルダム継手としてなることを特徴とするオイルポンプ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020123150A JP2022019362A (ja) | 2020-07-17 | 2020-07-17 | オイルポンプ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2020123150A JP2022019362A (ja) | 2020-07-17 | 2020-07-17 | オイルポンプ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2022019362A true JP2022019362A (ja) | 2022-01-27 |
Family
ID=80203628
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2020123150A Pending JP2022019362A (ja) | 2020-07-17 | 2020-07-17 | オイルポンプ |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2022019362A (ja) |
-
2020
- 2020-07-17 JP JP2020123150A patent/JP2022019362A/ja active Pending
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