JP2022018732A - 減速又は増速装置 - Google Patents

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Yuichi Mizutani
秀生 斉藤
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Abstract

【課題】第1フェースギヤ及び第2フェースギヤの歯形の設計の自由度を向上させることができる減速又は増速装置を提供する。【解決手段】第1フェースギヤ1と、第1フェースギヤ1に対して傾き、第1フェースギヤ1に噛み合う第2フェースギヤ2と、第2フェースギヤ2を減速又は増速装置の回転軸A上の点を歳差運動中心Oとして歳差運動させる運動変換部3と、を備える減速又は増速装置10において、第2フェースギヤ2の歳差運動中心Oが第2フェースギヤ2の歯筋22aが張る円錐面Kの頂点Jから回転軸Aの方向にずれている。【選択図】図6

Description

本発明は、歳差運動式の減速又は増速装置に関する。
歳差運動式の減速装置として、第1フェースギヤと、第1フェースギヤに対して傾き、第1フェースギヤに噛み合う第2フェースギヤと、第2フェースギヤを歳差運動させる運動変換部と、を備える減速装置が知られている(特許文献1参照)。歳差運動とは、こまの首振り運動のように、第2フェースギヤの自転軸が減速装置の回転軸上の点(歳差運動中心)を頂点にした円錐面を描く運動である。
運動変換部によって第2フェースギヤを歳差運動させると、第1フェースギヤに対して第2フェースギヤが両者の歯数差の分だけ相対回転する。例えば、第1フェースギヤを固定し、第2フェースギヤに第2フェースギヤの歳差運動を許容する球面スプライン等を介して出力部を連結すると、出力部が第1フェースギヤと第2フェースギヤの歯数差の分だけ減速回転する。なお、出力部を入力側にし、運動変換部を出力側にすれば、減速装置を増速装置として使用することができる。
特開2016-166673号公報
従来の減速又は増速装置において、第1フェースギヤ又は第2フェースギヤの少なくとも一方の歯筋(歯の頂点を結んだ線)が張る面(複数の歯筋が含まれる面)は、円錐面に形成される。そして、第2フェースギヤの歳差運動中心は、この円錐面の頂点と一致する。第2フェースギヤが傾いた状態で第2フェースギヤと第1フェースギヤが噛み合うようにし、かつ第2フェースギヤを歳差運動させても第2フェースギヤと第1フェースギヤの噛み合いを維持するためである。
しかし、従来の減速又は増速装置には、歯筋と円錐面の配置に制約があり、第1フェースギヤ及び第2フェースギヤの歯形の設計に自由度が少ない。
本発明は、上記の課題を鑑みてなされたものであり、第1フェースギヤ及び第2フェースギヤの歯形の設計の自由度を向上させることができる減速又は増速装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、第1フェースギヤと、前記第1フェースギヤに対して傾き、前記第1フェースギヤに噛み合う第2フェースギヤと、前記第2フェースギヤを減速又は増速装置の回転軸上の点を歳差運動中心として歳差運動させる運動変換部と、を備える減速又は増速装置において、前記第2フェースギヤの前記歳差運動中心が前記第1フェースギヤ又は前記第2フェースギヤの少なくとも一方の歯筋が張る円錐面の頂点から前記回転軸の方向にずれている減速又は増速装置である。
本発明の他の態様は、第1フェースギヤと、前記第1フェースギヤに対して傾き、前記第1フェースギヤに噛み合う第2フェースギヤと、前記第2フェースギヤを減速又は増速装置の回転軸上の点を歳差運動中心として歳差運動させる運動変換部と、を備える減速又は増速装置において、前記歳差運動中心から見たときの前記第1フェースギヤの歯先部の仰俯角を前記第1フェースギヤの基準円の変化と共に変化させ、前記歳差運動中心から見たときの前記第2フェースギヤの歯先部の仰俯角を前記第2フェースギヤの基準円の半径の変化と共に変化させる減速又は増速装置である。
本発明によれば、第1フェースギヤ及び第2フェースギヤの歯形の設計の自由度を向上させることができる
本発明の一実施形態の減速装置の縦断面図である。 上方側から見た本実施形態の減速装置の分解斜視図である。 下方側から見た本実施形態の減速装置の分解斜視図である。 本実施形態の減速装置の第1フェースギヤの斜視図である。 本実施形態の減速装置の第2フェースギヤの斜視図である。 本実施形態の減速装置の縦断面図である(歳差運動中心のオフセットを説明する図)。 本実施形態の減速装置の縦断面図である(仰俯角αを説明する図)。 本実施形態の減速装置の縦断面図である(仰俯角βを説明する図)。 本実施形態の減速装置の縦断面図である(歯筋を曲線に形成した例を示す)。 第1フェースギヤと第2フェースギヤの歯形曲線を示す図である。 頂点と母線が接触した動円錐(第2フェースギヤの母体)と定円錐(第1フェースギヤの母体)を示す図である。 動円錐の歳差運動を示す図である。 θとψの関係を示すグラフである。 ベクトルpが描く軌跡を示す図である。 歯底曲線pの形成過程を示す図である。 の求め方を示すグラフである。 第1フェースギヤと第2フェースギヤの歯形曲線の作成方法を示す図である。 円錐の底角を変化させた図である。 第1フェースギヤの歯先部の模式図である。 第2フェースギヤの歯底曲線を示す図である。 同方向を向く動円錐と定円錐を示す図である。 逃げを形成した第1フェースギヤの歯形曲線を示す図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態の減速又は増速装置を詳細に説明する。ただし、本発明の減速又は増速装置は種々の形態で具体化することができ、本明細書に記載される実施形態に限定されるものではない。この実施形態は、明細書の開示を十分にすることによって、当業者が発明を十分に理解できるようにする意図をもって提供されるものである。
図1は本発明の一実施形態の減速装置10の断面図であり、図2は上方側から見た減速装置10の分解斜視図であり、図3は下方側から見た減速装置10の分解斜視図である。以下の説明において、説明の便宜上、減速装置10の回転軸Aを垂直軸に配置したときの各方向、すなわち図1の上下、左右の方向を用いて減速装置の構成を説明する。もちろん、減速装置の配置はこれに限られるものではない。
(本実施形態の減速装置の全体構成)
まず、本実施形態の減速装置10の全体構成を説明する。図1に示すように、減速装置10は、第1フェースギヤ1と、第1フェースギヤ1に対して傾き、第1フェースギヤ1に噛み合う第2フェースギヤ2と、第2フェースギヤ2を歳差運動させる運動変換部3と、を備える。歳差運動とは、こまの首振り運動のように、第2フェースギヤ2の自転軸Bが減速装置10の回転軸A上の点O(歳差運動中心O)を頂点にした円錐面を描く運動である。第1フェースギヤ1、第2フェースギヤ2、運動変換部3は、ハウジング6に収容される。
図3に示すように、第1フェースギヤ1は環状であり、中空に形成される。第1フェースギヤ1は、ボルト等の締結部材16によってハウジング6に固定される。第1フェースギヤ1の下面、すなわち第2フェースギヤ2との対向面には、複数の歯21が形成される。図4に示すように、第1フェースギヤ1の歯21は、歯先部21aと、歯底部21bと、を備える。第1フェースギヤ1の歯筋(歯先部21aの頂点を結んだ線)は、放射状に形成される。
図2に示すように、第2フェースギヤ2も環状であり、中空に形成される。第2フェースギヤ2の上面、すなわち第1フェースギヤ1との対向面には、複数の歯22が形成される。図5に示すように、第2フェースギヤ2の歯22も、歯先部22aと、歯底部22bと、を備える。第2フェースギヤ2の歯筋(歯先部22aの頂点を結んだ線)は、放射状に形成される。第2フェースギヤ2の歯数と第1フェースギヤ1の歯数とは、互いに異なる。
図1に示すように、第2フェースギヤ2は、支持部としての球面スプライン4によって歳差運動可能に支持される。球面スプライン4は、第2フェースギヤ2の内側に配置される内輪17と、内輪17と第2フェースギヤ2との間に介在する複数のボール18と、を備える。図2に示すように、内輪17の外面には、上下方向に延びる複数の内輪スプライン溝17aが形成される。第2フェースギヤ2の内面には、上下方向に延びる複数の外輪スプライン溝2aが形成される。各ボール18は、内輪スプライン溝17aと外輪スプライン溝2aとの間に配置される。
ボール18は、環状に並べられる。歳差運動中心Oは、環状に並べられたボール18の中心が配置される平面Tと回転軸Aとの交点である(図6参照)。第2フェースギヤ2が歳差運動すると、ボール18が上下に動く。ボール18が上下に動いても歳差運動中心Oの位置は変化しない。
図1に示すように、内輪17には、出力部19が連結される。図2に示すように、出力部19は環状であり、中空に形成される。出力部19はハウジング6に軸受20を介して回転可能に支持される。23は軸受をハウジング6に固定するための蓋部材である。
図1に示すように、運動変換部3は、第2フェースギヤ2を歳差運動させる。運動変換部3は、傾斜カム13と、傾斜カム13と第2フェースギヤ2との間に介在する複数の第1転動体12と、傾斜カム13とハウジング6との間に介在する複数の第2転動体14と、を備える。傾斜カム13には入力部24が連結される。入力部24を回転軸Aの回りに回転させると、運動変換部3が入力部24の回転運動を第2フェースギヤ2の歳差運動に変換する。
図2に示すように、傾斜カム13は環状である。傾斜カム13の円周方向の一部分(図1の右側部分)の上下方向の厚さが最も厚く、傾斜カム13の反対部分(図1の左側部分)が最も薄い。
第2フェースギヤ2には、軌道溝25aが形成された環状の軌道輪25が固定される。第1転動体12は、この軌道溝25aと傾斜カム13に形成された軌道溝13aとの間を転がる。ハウジング6には、軌道溝26aが形成された環状の軌道輪26が固定される。第2転動体14は、この軌道溝26aと傾斜カム13に形成された軌道溝13bとの間を転がる。
傾斜カム13には入力部24が連結される。入力部24は環状であり、中空に形成される。入力部24と傾斜カム13が一緒に回転するように、入力部24の外面の凹凸24aと傾斜カム13の内面の凹凸13cが係合する。
本実施形態の減速装置10の動作は下記のとおりである。入力部24が回転すると、入力部24と一緒に傾斜カム13が回転し、第2フェースギヤ2が歳差運動する。第2フェースギヤ2が歳差運動すると、第1フェースギヤ1と第2フェースギヤ2との歯数差の分だけ第2フェースギヤ2が第1フェースギヤ1に対して回転する。第2フェースギヤ2の回転は第2フェースギヤ2の歳差運動を許容する球面スプライン4を介して出力部19に伝達される。このため、出力部19が減速回転する。
(本実施形態の減速装置の特徴)
図6を参照して本実施形態の減速装置10の特徴を説明する。Oは第2フェースギヤ2の歳差運動中心である。上記のように、歳差運動中心Oは、球面スプライン4の複数のボール18の中心が含まれる平面Tと回転軸Aとの交点である。Jは第2フェースギヤ2の歯筋が張る円錐面K(歯筋が含まれる円錐面K)の頂点である。
従来の減速装置では、歳差運動中心Oは第2フェースギヤ2の歯筋が張る円錐面Kの頂点Jに一致する。これに対して、本実施形態では、歳差運動中心Oを第2フェースギヤ2の歯筋が張る円錐面Kの頂点Jから回転軸A方向にずらしている。こうすることで、第1フェースギヤ1と第2フェースギヤ2の歯形の設計に自由度が増し、例えば第1フェースギヤ1の歯筋が含まれる面L(図1参照)と第2フェースギヤ2の歯筋が含まれる面K(図6参照)を平面に近づけることができ、第1フェースギヤ1と第2フェースギヤ2を薄くすることができる。また、歳差運動中心Oを第2フェースギヤ2の歯筋が張る円錐面Kの頂点Jからずらすことで、例えば球面スプライン4のボール18を第1フェースギヤ1と第2フェースギヤ2の噛み合い位置から回転軸A方向にずらすことができ、減速装置10をラジアル方向にコンパクトにすることも可能になる。
図1に示すように、第1フェースギヤ1の歯筋が張る面(歯筋が含まれる面)は、平面Lに形成される。この平面Lには、第2フェースギヤ2の歯筋が張る円錐面Kの頂点Jが位置する。第1フェースギヤ1の歯筋が張る面を平面Lに形成することで、第2フェースギヤ2が第1フェースギヤ1から受ける反力P(図6参照)が回転軸A方向の成分のみとなり、ラジアル方向の成分が発生しにくくなる。このため、第2フェースギヤ2に反力Pに起因したモーメントが働くのを抑制し、第2フェースギヤ2の振れ回りを防止することができる。
なお、上記実施形態では、第2フェースギヤ2の歯筋が張る面を円錐面Kに形成し、第1フェースギヤ1の歯筋が張る面を平面Lに形成しているが、第1フェースギヤ1の歯筋が張る面を円錐面に形成し、第2フェースギヤ2の歯筋が張る面を平面に形成してもよい。
図7に示すように、歳差運動中心Oから見たときの第1フェースギヤ1の歯先部21aの仰俯角αは、第1フェースギヤ1の基準円の半径r1、r2、r3、r4、r5の変化と共に変化する。こうすることで、第1フェースギヤ1の歯形の設計に自由度が増す。
仰俯角αは、歳差運動中心Oと第1フェースギヤ1の歯先部21aの頂点を結んだ線と水平面M(回転軸Aと直角な面)とのなす角度である。この図7には、第1フェースギヤ1の半径r3における仰俯角αを示しているが、半径r1、r2、r3、r4、r5においても同様に仰俯角αが存在する。第1フェースギヤ1の歯筋は直線状に形成されていて、第1フェースギヤ1の基準円の半径r1、r2、r3、r4、r5が大きくなるにしたがって仰俯角αが徐々に小さくなる。なお、仰俯角αは、第1フェースギヤ1の歯筋の少なくとも一部において変化すればよく、歯筋の全長にわたって変化しなくてもよい。
同様に、図8に示すように、歳差運動中心Oから見たときの第2フェースギヤ2の歯先部22aの仰俯角βは、第2フェースギヤ2の基準円の半径r1、r2、r3、r4、r5の変化と共に変化する。こうすることで、第2フェースギヤ2の歯形の設計に自由度が増す。
仰俯角βは、歳差運動中心Oと第2フェースギヤ2の歯先部22aの頂点を結んだ線と水平面M(回転軸Aと直角な面)とのなす角度である。この図8には、第2フェースギヤ2の半径r3における仰俯角βを示しているが、半径r1、r2、r3、r4、r5においても同様に仰俯角βが存在する。第2フェースギヤ2の歯筋は直線状に形成されていて、第2フェースギヤ2の基準円r1、r2、r3、r4、r5の半径が大きくなるにしたがって仰俯角βは徐々に小さくなる。なお、仰俯角βは、第2フェースギヤ2の歯筋の少なくとも一部において変化すればよく、歯筋の全長にわたって変化しなくてもよい。
図9は、第1フェースギヤ1と第2フェースギヤ2の歯筋を曲線状に形成した例を示す。歳差運動中心Oを基準として、第1フェースギヤ1と第2フェースギヤ2の歯筋を回転軸Aの方向の任意の位置にずらすことで、図9に示すように第1フェースギヤ1と第2フェースギヤ2の歯筋を曲線状に形成することもできる。
(本実施形態の減速装置の歯形の設計方法)
本実施形態の減速装置10の歯形の設計方法を説明する。図10は本実施形態の減速装置10の基準となる歯形曲線を示す。符号31が歳差運動を行う第2フェースギヤ2の歯形曲線で、符号32が第1フェースギヤ1の歯形曲線である。図では、第2フェースギヤ2を上側に第1フェースギヤ1を下側に配置している。
1.設計指針
歯形の設計は下記の順序で行う。
i. 歳差運動によって歯が通る曲線を求める。
ii. 相手側ギヤの歯先半径を仮定し、歯がi.で求めた曲線上を通ったときにえがく軌跡を創成し、これを歯底曲線とする。
iii. 歯先曲線(円弧)と歯底曲線が互いに滑らかに接続するよう、歯先半径を決定する。
2.歯の通る曲線の計算
本実施形態の減速装置10の第1フェースギヤ1と第2フェースギヤ2とは、歳差運動を行いながらかみ合うため、その歯面は円錐上にある。したがって、周方向には合同な歯形曲線が並ぶが、半径方向では歯形曲線が相似ではあるが合同ではない。したがって、ある基準円を定め、この円周上での基準歯形曲線を求めることとする。
まず、この基準円を底面に持つ2つの円錐があり、図11のように互いの頂点と母線が接触している状態を仮定し、歳差運動を行う円錐を動円錐、固定された円錐を定円錐とよぶ。ここで、円錐頂点を原点O、底面同士の接触点を点P、動円錐の底面上の定点を点P、定円錐の頂点から底面へ下ろした垂線の足をH、動円錐の頂点から底面へ下ろした垂線の足をHとする。このとき、動円錐を歳差運動させたときの点Pのえがく軌跡が歯の通る曲線となる。いま、図12に示すように、動円錐が定円錐から離れることなく歳差運動を行った場合を考える。この歳差運動が、動円錐が自身の軸OHまわりに-ψだけ回転し、かつ定円錐周りをθ回転するものだとすれば、点PがOHまわりにθ、点PがOHまわりに-ψ回転したものとみなせる。ここで、線分OHに平行で正規化したベクトルをn、点Oから点Pまでのベクトルをp、点Oから点Pまでのベクトルをpとすれば、pはp1をn周りにψだけ回転したベクトルとみなせるため、
Figure 2022018732000002
と表すことができる。ここで、動円錐が底面半径rの円を持ち、底角Φである円錐、定円錐が底面半径rの円を持ち、底角Φである円錐であるとすれば、nとpはそれぞれ、
Figure 2022018732000003
Figure 2022018732000004
と表すことができる。
ここまで求めてきたpは、ψの値を変えることで第2フェースギヤ2と第1フェースギヤ1それぞれの歯先の中心が通る曲線を表すベクトルを表すことができる。まず、第2フェースギヤ2の歯先の中心が通る曲線を求める。動円錐が第2フェースギヤ2、定円錐が第1フェースギヤ1とみなし、歯数をそれぞれz,zとする。また、動円錐の歳差運動のパラメータはθ=θ.ψ=ψとする。このとき、正転ギヤであれば、図13に示すようにθが1回転する間にψは反対方向に1歯分だけ多く回転し、逆転ギヤであれば、θが1回転する間にψは反対方向に1歯分だけ少なく回転するため、式(4)が成り立つ。
Figure 2022018732000005
これを整理すると、式(5)になる。
Figure 2022018732000006
第1フェースギヤ1の歯先の中心が通る曲線を求める場合、第1フェースギヤ1を第2フェースギヤ2に対して相対的に歳差運動させればよい。すなわち、動円錐を第1フェースギヤ1、定円錐を第2フェースギヤ2とみなし、式(2),(3)のr,Φとr,Φを入れ替える。また、歳差運動のパラメータはθ=θ,ψ=ψとすれば、同様にして式(6)が成り立つ。
Figure 2022018732000007
このように、組合わせるギヤの特性によって、式(5)-(6)を選択し、ψについて式(1)に代入することで、歯先の中心が通る曲線を求められる。このとき、求めた曲線の例を図14に示す。
3.歯底曲線の計算
次に、歯底曲線を求める。これは、図15のように相手側ギヤの歯がえがく軌跡が歯底曲線となる。すなわち、相手側ギヤの歯先の中心が通る曲線を求め、相手側ギヤの歯先半径を持つ円をこの曲線上で動かしたときに得られる軌跡を計算すればよい。
ここで、図16に示すように、相手側ギヤの歯先半径をh、この円をCとする。このとき、歯底曲線を表すベクトルpは、p上に円Cをえがいたときの点のうち、pとpの方向ベクトルΔpのどちらにも直交する点Pまでのベクトルとなる。したがって、式(7)と式(8)の関係が成り立つ。
Figure 2022018732000008
Figure 2022018732000009
以上の結果から、
Figure 2022018732000010
が成り立つ。なお、式中の正負は、方向ベクトルの向きによって決定される。
4.歯先曲線と歯底曲線の接続
図17(a)に示すように、第2フェースギヤ2の歯先曲線と歯底曲線を滑らかに接続するように歯先半径hkiを決定する。そして、図17(b)に示すように、第1フェースギヤ1の歯先曲線と歯底曲線を滑らかに接続するように歯先半径hkoを決定する。図17(c)は滑らかに接続した第2フェースギヤ2の歯形曲線を示す。図17(d)は滑らかに接続した第1フェースギヤ1の歯形曲線を示す。
5.歳差運動中心をオフセット量Zだけずらし、かつかみ合いが水平になる(第1フェースギヤ1の歯筋が張る面が平面になる)パラメータ設定
歳差運動中心をかみ合い点から回転軸上の任意の位置に量Zだけずらしつつ、かみ合いが水平になるギヤの設計方法を説明する。これは、図11に示す円錐が、図18に示すように半径が変化するとともに底角も変化するものとすればよい。ここで、図18の上側のように異なる半径を持つ動円錐と定円錐の組を考える。代表としてギヤの内径、中心径、外径部の3点を取り、この動円錐上の点pをそれぞれp2i,p2c,p20とする。また、この点が定円錐と接触する点をそれぞれq,q,qとし、これらの定円錐はすべて高さが同じでzであるとする。さらに、動円錐と定円錐の底角の和は常に一定となる。ここで、第2フェースギヤ2と第1フェースギヤ1がかみ合うときの第2フェースギヤ2の揺動角を歳差運動角と呼び、その値をγとすると、式(10)のようにあらわすことができる。
Figure 2022018732000011
このとき、式(10)の関係を保っていれば、原点Oは定円錐の軸上のどこでも動かすことができる。さらに、内側にある定円錐は底角が大きく、外側にある定円錐は底角が小さくなるようにし、この時の底角の変化量を調整すると、図18の下側のように動円錐と定円錐が接触するとき、p2i,p2c,p20とq,q,qがそれぞれ水平に並ぶようにできる。ここで、図15で示したように、かみ合い点はpの軌跡からhだけオフセットした位置となる。したがって、図18の下側のように動円錐と定円錐が接触するとき、p2i,p2c,p20とq,q,qがそれぞれhだけオフセットした点がギヤのかみ合い位置となり、これらを結ぶ直線がかみ合った状態の歯筋となる。したがって、定円錐の高さを増減させれば歳差運動中心Oはかみ合い点からオフセットされることになり、しかもかみ合いが水平を保っていることがわかる。
このように設計した第1フェースギヤ1と第2フェースギヤ2の歯筋の仰俯角は、図7及び図8に示すように、基準円の半径の変化と共に変化する。そして、図19に示すように、第1フェースギヤ1の歯先部21aは、左右非対称(円錐の頂点Nから底面Rに降ろした垂線の足は底面Rの中心に一致しない)の円錐面の一部に形成される。第2フェースギヤ2の歯先部も同様である。図20に示すように、第2フェースギヤ2の歯底曲線pは半径の長さのパラメータに加えて、仰俯角のパラメータを持つことになる。第1フェースギヤ1の歯底曲線も同様である。
再び図18に示すように、かみ合い点からの歳差運動中心Oのオフセット量をZとすれば、これが定円錐の高さと等しいことから式(11)が、定円錐と動円錐の母線の長さが一致していることから式(12)がそれぞれ求められる。
Figure 2022018732000012
Figure 2022018732000013
したがって、式(10),(11),(12)から、減速装置10の設計パラメータとして歳差運動角γと歳差運動中心Oのオフセット量Zを与えれば、動円錐のパラメータr,Φおよび定円錐のパラメータr,Φが一意に求められ、これにより、「2.歯の通る曲線の計算」で示した通りpを一意に求め、歯形を作成することができる。このようにして、ギヤのかみ合いが水平になるという条件下でも新たに歳差運動中心Oのオフセット量Zの設計パラメータを与えることができ、設計自由度を向上させることができる。
これまで図18に示すように動円錐と定円錐が対向する関係を説明してきたが、本実施形態の歯形の設計方法は、図21に示すように、動円錐と定円錐が同方向を向く関係でも成り立つ。第1フェースギヤ1のプロファイルは定円錐を基礎とし、第2フェースギヤ2のプロファイルは動円錐を基礎とする。このとき、動円錐は半径が大きくなるにしたがって、底角が小さくなる関係になる。
6.歯底部の逃げの設計方法
図22は、逃げ22cを形成した第1フェースギヤ1の歯形曲線を示す。図22の破線が元のプロファイルであり、実線が逃げを形成したプロファイル(修正したプロファイル)である。図22では、第1フェースギヤ1の基準円上の歯形曲線を平面に展開している。
第1フェースギヤ1の歯底部21bには、第2フェースギヤ2の歯先部22aと非接触になるように逃げ22cが形成される。hは逃げの深さであり、wは逃げ範囲である。修正したプロファイルでは、逃げ範囲の端点S、Sで元のギヤプロファイルと曲率連続となる。最下点Sで接線の傾きがゼロになる。端点S、Sから最下点Sまで常に曲率連続となる。同様に、第2フェースギヤ2の歯底部22bにも第1フェースギヤ1の歯先部21aと非接触になるように逃げが形成される。
以上に本実施形態の減速装置10の構成を詳細に説明した。本実施形態の減速装置10によれば、以下の効果を奏する。
第2フェースギヤ2の歳差運動中心Oが第2フェースギヤ2の歯筋が張る円錐面Kの頂点Jから回転軸Aの方向にずれているので、第1フェースギヤ1と第2フェースギヤ2の歯形の設計の自由度を向上させることができ、減速装置10の設計の自由度を向上させることができる。
第1フェースギヤ1の歯筋が張る面が実質的に平面Lに形成されるので、第2フェースギヤ2が第1フェースギヤ1から受ける反力Pのラジアル方向の分力を抑制することができ、強度、剛性、静音性が向上する。
歳差運動中心Oから見たときの第1フェースギヤ1の歯先部21aの仰俯角αを第1フェースギヤ1の基準円の変化と共に変化させ、歳差運動中心Oから見たときの第2フェースギヤ2の歯先部22aの仰俯角βを第2フェースギヤ2の基準円の半径の変化と共に変化させるので、第1フェースギヤ1と第2フェースギヤ2の歯形の設計の自由度を向上させることができる。
第1フェースギヤ1の基準円上の歯底曲線を第2フェースギヤ2の歯先部22aを第1フェースギヤ1に対して歳差運動させたときに創成される形状に形成し、第2フェースギヤ2の基準円上の歯底曲線を第1フェースギヤ1の歯先部21aを第2フェースギヤ2に対して相対的に歳差運動させたときに創成される形状に形成するので、第1フェースギヤ1と第2フェースギヤ2とを転がり接触にすることができ、遊びを無くすことができる。
第1フェースギヤ1の歯底部21bに第2フェースギヤ2の歯先部22aと非接触になるように逃げ22cを形成し、第2フェースギヤ2の歯底部22bに第1フェースギヤ1の歯先部21aと非接触になるように逃げを形成するので、回転軸A方向の分力(損失)を小さくすることができ、相対的に円周方向の分力(駆動力)を大きくすることができる。したがって、トルク伝達効率を向上させることができる。
第1フェースギヤ1、第2フェースギヤ2、入力部24、及び出力部19を中空に形成するので、減速装置10の内部にケーブル、チューブ等を通すことができる。また、第1フェースギヤ1と第2フェースギヤ2の歯形や球面スプライン4の位置を最適化することで、中空の径(図6のΦD)を大きくすることができる。これにより、多くのケーブルやチューブを通すことができ、例えば減速装置10がロボット関節に使用された際に、ロボット関節のコンパクト化、可動域を広げられる等のメリットがある。
なお、本発明は上記実施形態に具現化されるのに限られることはなく、本発明の要旨を変更しない範囲でさまざまな実施形態に具現化可能である。
減速装置の構成は一例であり、本発明の要旨を変更しない範囲で他の実施形態に変更可能である。
上記実施形態では、減速装置を説明したが、入力側と出力側を逆にすることで、増速装置としても利用できる。例えば、入力側のパワーの大きい水力発電機に本発明の増速装置を使用することができる。
1…第1フェースギヤ、2…第2フェースギヤ、3…運動変換部、10…減速装置、19…出力部、21…第1フェースギヤの歯、21a…第1フェースギヤの歯先部(第1フェースギヤの歯筋)、21b…第1フェースギヤの歯底部、22…第2フェースギヤの歯、22a…第2フェースギヤの歯先部(第2フェースギヤの歯筋)、22b…第2フェースギヤの歯底部、22c…逃げ、24…入力部、A…回転軸、O…歳差運動中心、J…第2フェースギヤの歯筋が張る円錐面の頂点、K…第2フェースギヤの歯筋が張る円錐面、L…第1フェースギヤの歯筋が張る平面、α…第1フェースギヤの歯先部の仰俯角、β…第2フェースギヤの歯先部の仰俯角

Claims (6)

  1. 第1フェースギヤと、
    前記第1フェースギヤに対して傾き、前記第1フェースギヤに噛み合う第2フェースギヤと、
    前記第2フェースギヤを減速又は増速装置の回転軸上の点を歳差運動中心として歳差運動させる運動変換部と、を備える減速又は増速装置において、
    前記第2フェースギヤの前記歳差運動中心が前記第1フェースギヤ又は前記第2フェースギヤの少なくとも一方の歯筋が張る円錐面の頂点から前記回転軸の方向にずれている減速又は増速装置。
  2. 前記第1フェースギヤ又は前記第2フェースギヤの歯筋が張る面が実質的に平面に形成されることを特徴とする請求項1に記載の減速又は増速装置。
  3. 第1フェースギヤと、
    前記第1フェースギヤに対して傾き、前記第1フェースギヤに噛み合う第2フェースギヤと、
    前記第2フェースギヤを減速又は増速装置の回転軸上の点を歳差運動中心として歳差運動させる運動変換部と、を備える減速又は増速装置において、
    前記歳差運動中心から見たときの前記第1フェースギヤの歯先部の仰俯角を前記第1フェースギヤの基準円の変化と共に変化させ、
    前記歳差運動中心から見たときの前記第2フェースギヤの歯先部の仰俯角を前記第2フェースギヤの基準円の半径の変化と共に変化させる減速又は増速装置。
  4. 前記第1フェースギヤの前記基準円上の歯底曲線を前記第2フェースギヤの歯先部を前記第1フェースギヤに対して歳差運動させたときに創成される形状に形成し、
    前記第2フェースギヤの前記基準円上の歯底曲線を前記第1フェースギヤの歯先部を前記第2フェースギヤに対して相対的に歳差運動させたときに創成される形状に形成することを特徴とする請求項3に記載の減速又は増速装置。
  5. 前記第1フェースギヤの歯底部に前記第2フェースギヤの歯先部と非接触になるように逃げを形成し、
    前記第2フェースギヤの歯底部に前記第1フェースギヤの歯先部と非接触になるように逃げを形成することを特徴とする請求項4に記載の減速又は増速装置。
  6. 前記減速又は前記増速装置の内部に中空を形成できるように、前記第1フェースギヤ、前記第2フェースギヤ、前記運動変換部に連結される入力部、及び前記第2フェースギヤの回転が伝達される出力部を中空に形成することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の減速又は増速装置。
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