JP2022018616A - 二次電池から有価元素を回収する際の前処理方法 - Google Patents

二次電池から有価元素を回収する際の前処理方法 Download PDF

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Abstract

Figure 2022018616000001
【課題】回収物からCuを事前に確実に除去し、Cuが除去された回収物からCoやNiを高歩留で回収する。
【解決手段】本発明の二次電池から有価元素を回収する際の前処理方法は、二次電池に対して、少なくとも破砕の処理を経て得られた、ニッケル及びコバルトの1種以上を含む 磁性物 とアルミニウム及び銅の1種以上を含む 非磁性物 とを含む回収物から、磁着物を化学反応 させてニッケル及びコバルトの1種以上を回収するに当たり、前処理としてドラム式の磁選機1で回収物から磁着物を得るものであって、ドラム表面の磁束密度B[G]、回収物が受ける遠心加速度a[m/s]の関係が、所定の関係を満たすような条件下で磁力選別する。
【選択図】図1

Description

本発明は、二次電池からCo、Ni、Feといった有価元素を回収する際の前処理技術に関するものである。
近年、環境規制が厳しくなる中、今後再生可能エネルギーは増加すると考えられており、自動車燃費向上に向けた電動化が進む中で、二次電池はますます重要性を増していくと考えられている。例えば、現在使用されている二次電池はリチウムイオンバッテリ(LIB)やニッケル水素電池(Ni-MH)が主流であり、これらの二次電池については今後も需要増が予想される。
ここで、LIBやNi-MHなどの二次電池にはコバルトやニッケルなどのレアメタル(有価金属)が使用されているが、これらレアメタルについては、資源が世界的に遍在化しているといった問題や資源枯渇のリスクが指摘されている。また、コバルトについても、鉱山での不当な労働実態が取り沙汰されており、採掘のみでは需要を十分に満たせない可能性がある。
これらの観点から、コバルトやニッケルなどのレアメタルのリサイクル技術が注目されている。ただ、現行は湿式の溶媒抽出が中心であり、コスト的な問題から大量処理技術確立に至っていない。そこで、コバルトやニッケルを使用するLIBから、安価に、且つ、効率良く有価金属を回収する技術が要望されている。製鉄プロセスで利用される高温精錬技術(以下、乾式精錬技術)は、比較的安価な処理が可能で、社会的な再資源化の課題に応えるためにも、また自動車や電気機器などさまざまな産業分野で利用が可能であるという面でも技術の確立が急務であると考えられている。
例えば、特許文献1には、回収した有価物を非酸化性雰囲気で加熱して実質的に有価物中の有価金属を酸化することなく、炭素を除去する技術が開示されている。
また、特許文献2には、リチウム電池からリチウム並びにコバルトとその他金属を回収する技術が開示されている。
さらに、特許文献3には、破砕物を分別し、分別された回収物を磁選する技術が開示されている。
さらにまた、特許文献4には、Cu、Al、Feと正負極の活物質を分別し、分別された回収物を磁選する技術が開示されている。
特開2002-32715号公報 特開2012-112027号公報 特開2014-199774号公報 特開2012-229481号公報
ところで、LIBの回収物からコバルトやニッケルなどを回収する技術には、実際にコバルトやニッケルなどを回収する前に、LIBの回収物に含まれるCuなどの余計な金属元素を取り除く工程が必要となる。これは、コバルトやニッケルなどを回収する際には、酸化物を還元等する工程が行われることになるが、このとき回収しようとするコバルトやニッケル以外の元素が含まれていると、金属に戻ったコバルトやニッケルに他の金属が混じることになり、回収効率が悪くなるためである。そのため、LIBの回収物からコバルトやニッケルなどを回収する工程には、前処理工程として回収物からCuなどを取り除く工程が行われる。
ところが、特許文献1には、加熱前に前処理工程を行う点について全く記載されていない。
また、特許文献2には、Cuの除去については記載がなく、物理的分選として磁選が例
示されているものの、Cuを除去対象とする最適な磁選条件について、全く開示されていない。
さらに、特許文献3や特許文献4にも、特許文献2と同様にCuを除去対象とする最適な磁選条件について、全く開示されていない。
つまり、LIBリサイクル工程全体を通じて、有価元素の歩留まり向上および有害元素の低減が必要なところ、上述した特許文献1~4は有価元素リサイクル前に前処理として行う磁選条件を何ら規定するものとはなっていない。また、特許文献1~4には、磁場の強さ(磁束密度)の記載はあるものの、遠心加速度などのような詳細な条件の記載は無く、このまま用いてもLIBからのCu除去は到底実現できない。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、還元前の廃LIB粉末を含む回収物に対して磁力選別をすることで、回収物からCuを事前に確実に除去し、Cuが除去された回収物からCoやNiを高歩留で回収することができる二次電池から有価元素を回収する際の前処理方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の二次電池から有価元素を回収する際の前処理方法は以下の技術的手段を講じている。
即ち、本発明の二次電池から有価元素を回収する際の前処理方法は、二次電池に対して、少なくとも破砕、篩別の処理を経て得られた、ニッケルまたはコバルトの少なくとも一方、及びアルミニウムまたは銅の少なくとも一方を含む回収物に対して、ニッケルやコバルトを還元処理し回収するに当たり、前処理としてドラム式の磁選機で磁選を行うものであって、ドラム表面の磁束密度B[G]、回収物が受ける遠心加速度a[m/s]の関係が、以下の式(1)~(4)を満たすような条件下で磁力選別することを特徴とする。
B≦198.9a+1085.7 ・・・式(1)
B≦-764.4a+16912.3 ・・・式(2)
B≦3000 ・・・式(3)
B≧1170 ・・・式(4)
また、本発明の二次電池から有価元素を回収する際の前処理方法は、二次電池に対して、少なくとも破砕の処理を経て得られた、ニッケル及びコバルトの1種以上を含む磁着物とアルミニウム及び銅の1種以上を含む非磁性物とを含む回収物から、磁着物をドラム式の磁選機で磁選し、この磁着物を化学反応させてニッケル及びコバルトの1種以上を回収する方法であって、前記磁選機は、ドラム表面の磁束密度B[G]、回収物が受ける遠心加速度a[m/s]の関係が、以下の式(1)~(4)を満たすような条件下で磁力選別することを特徴とする。
B≦198.9a+1085.7 ・・・式(1)
B≦-764.4a+16912.3 ・・・式(2)
B≦3000 ・・・式(3)
B≧1170 ・・・式(4)
本発明の二次電池から有価元素を回収する際の前処理方法によれば、還元前の廃LIB粉末を含む回収物に対して磁力選別をすることで、回収物からCuを事前に確実に除去し、Cuが除去された回収物からCoやNiを高歩留で回収することができる。
本発明の前処理方法で用いる磁選機を示した模式図である。 回収物が受ける遠心加速度aと、磁選ドラム表面の磁束密度Bと、の関係を示した図である。
以下、本発明に係る二次電池から有価元素を回収する際の前処理方法(以下、単に前処理方法という)の実施形態を、図面に基づき詳しく説明する。
図1に示すように、本実施形態の前処理方法は、二次電池の回収物から化学反応を利用
して有価金属を単体金属や合金、あるいは塩の状態で回収する有価元素の回収方法に対して、この回収方法の前処理を行うものであり、回収方法で処理される原料を調整するものとなっている。
具体的には、本実施形態の回収方法は、二次電池に対して、加熱、破砕、篩別、磁選の処理を加えることで得られる有価元素を含む回収物を回収するものである。そして、上記化学反応は、還元剤と混合して加熱することにより、有価元素を還元し金属化すると共に溶融することで、混合物から金属と酸化物とを分離し、冷却後金属を酸化物から選別して回収する方法でも良いし、回収物を酸へ溶解して作成した水溶液に対して、電析を行う方法であっても良い。
そして、本発明の前処理方法は、二次電池に対して、少なくとも破砕の処理、より具体的な例として、加熱、破砕、篩別の処理を経て得られた、ニッケル及びコバルトの1種以上を含む回収物に対して、ニッケルまたは/およびコバルトを還元処理し回収するに当たり、前処理として、磁選ドラム2の表面における磁束密度B[G]、回収物が受ける遠心加速度a[m/s]の関係が、以下の式(1)~(4)を満たすような条件下で磁力選別するものとなっている。
ここで、廃LiイオンバッテリーにはNi、Co、Li等の酸化物が使用されている。これらのNi、Co、Li等の元素は、希少価値の高いものであるため、可能な限り回収することが望ましい。例えば、Ni、Co、Li等の酸化物の回収方法としては、ガス/炭材還元などの乾式精錬と、電解/抽出等の湿式精錬とがある。これらのうち、乾式精錬は、湿式精錬に比べて、一般に操業コストが安いため、今後も更なる開発が期待されている。
ただ、乾式精錬で有価金属を回収する場合の課題としては、LIB(リチウムイオンバッテリー)の負極箔に用いられるCuや正極箔に用いられるAl等の分離が挙げられる。つまり、還元の際にLIBの回収物にCu等が残っていると、還元工程の後で金属が混じり合い、Cu等だけを除去することが難しくなる。そのため、還元工程の前に回収物から予めCu等だけを除去しておくのが望ましい。
なお、湿式精錬におけるCu等の分離回収は、乾式精錬に比べて容易である。しかし、一般に湿式精錬の操業コストは乾式精錬よりも高いため、湿式精錬で処理される回収物の量をできる限り削減するのが好ましい。この点においても、予めCu等を分離しておけば、湿式精錬に持ち込まれる回収物の量を低減することができ、湿式精錬の操業コストを相対的に削減することが可能となる。
そこで、本発明の前処理方法では、二次電池に対して、少なくとも破砕の処理を経て得られた、ニッケル及びコバルトの1種以上を含む磁性物とアルミニウム及び銅の1種以上を含む非磁性物とを含む回収物から、磁着物を化学反応 させてニッケル及びコバルトの1種以上を回収するに当たり、前処理として、ドラム表面の磁束密度B[G]、回収物が受ける遠心加速度a[m/s]の関係が、以下の式(1)~(4)を満たすような条件下で磁力選別することで、Ni、Coを回収する前にCu、Alを効率的に除去し、前処理としてCu、Alのみを選択除去することで乾式処理や湿式処理での回収効率や回収される有価元素の価値(純度)の低下を抑制しているのである。
B≦198.9a+1085.7 ・・・式(1)
B≦-764.4a+16912.3 ・・・式(2)
B≦3000 ・・・式(3)
B≧1170 ・・・式(4)
次に、本実施形態の前処理方法に用いられる回収物、前処理方法に用いられる設備(磁選機1)、またこの設備を用いて行われる前処理工程の内容について詳しく説明する。
上述したNi、Coは、磁性を有する(強磁性の)元素であるため、前処理方法で磁場の存在下に置けば、磁力を受ける。一方、Cu、Alは、Ni、Coと違い磁性を持たない元素であるため、磁場の存在下でも磁力は発生しない。つまり、磁力の有無を利用して、磁性を有するNiやCoなどの成分と、非磁性のCu等を主に含む成分とを選択的に分離することが可能である。上述した前処理方法は、この成分間や元素間での磁性の違いを利用したものとなっている。
なお、磁力による選別には、ベルト式、吊り下げ式、筒式、及びドラム式などのさまざまな方式が知られているが、本実施形態の前処理方法ではドラム式を採用している。ドラム式の磁選機1は、磁力と遠心力とを併用して、回収物から高い回収効率で磁着物4を回収可能となっている。
図1示すように、上述したドラム式の磁選機1は、水平方向を向く軸回りに回転する磁選ドラム2と、磁選ドラム2上に回収物を供給するフィーダ3と、磁選ドラム2で分離された磁着物4を回収する磁着物捕集部5と、磁選ドラム2で分離された非磁着物6を回収する非磁着物捕集部7と、を有している。
フィーダ3は、破砕や篩別の処理を経て得られたニッケル及びコバルトを含む回収物を投入可能とするホッパ8と、このホッパ8から投入された回収物を磁選ドラム2まで運搬するコンベア部9と、を有している。具体的には、上述したホッパ8は、上方に向かって末広がりのテーパ状に形成されており、上方と下方との双方に開口していて、上方から投入された回収物を集積し、集積された回収物をコンベア部9の上に供給できるようになっている。また、コンベア部9は、水平方向に沿うようにほぼ平行に配備されており、水平方向に回収物を運搬できるようになっている。つまり、コンベア部9には、水平方向に距離をあけて設けられたヘッドプーリー及びテールプーリーと、これら2つのプーリー間に掛け回されたベルトと、を有している。コンベア部9は、テールプーリーからヘッドプーリーに向かって水平移動するベルトの上に、フィーダ3から投入された回収物を載せて移動させ、磁選ドラム2の上部、より詳しくは回転軸心の上側に位置する磁選ドラム2の表面に、回収物を搬送できるようになっている。
上述した磁選ドラム2は、内部が空洞とされた円筒状の部材であり、水平方向を向く軸回りに回転自在に配備されている。磁選ドラム2の空洞とされた内部には、磁石10が配備されており、磁選ドラム2の表面に供給された原料に磁力を作用できるようになっている。また、磁選ドラム2には、図示しないモータが取り付けられており、水平方向を向く軸回りに回転駆動できるようになっている。
上述した磁選ドラム2の内部に設けられる磁石10は、表面から軸心方向に向かって等しい距離になるように複数配備されている。これら複数の磁石10は、軸心を中心とする円弧状に並んで配備されており、磁選ドラム2の表面に均等に同じ強さの磁力を発生可能となっている。
これらの磁石10は、回収物が供給される磁選ドラム2の最も上側(最上部)から、磁選ドラム2の回転方向に向かって、磁選ドラム2の最も下側(最下部)までの半周(角度でいえば180度)範囲に亘って半円の円弧状に並んで配備されている。また、これらの磁石10は、磁選ドラム2に対して同伴回転しないように、回転不可な状態で固定されている。なお、これらの磁石10は、永久磁石でも良いし、電磁石でも良い。
磁着物捕集部5は、磁選ドラム2の表面から落下してくる磁着物4を捕集する磁着物捕集ホッパ11と、磁着物捕集ホッパ11で捕集された磁着物4を貯留する磁着物貯留部12と、を有している。非磁着物捕集部7は、磁選ドラム2の表面から落下してくる非磁着物6を捕集する非磁着物捕集ホッパ13と、非磁着物捕集ホッパ13で捕集された非磁着物6を貯留する非磁着物貯留部14と、を有している。
具体的には、磁着物捕集部5は、磁選ドラム2の回転軸心から見て、回転方向側の側方に位置する外周面の下方に設けられており、下方に向かって鉛直に落下してくる磁着物4を捕集している。また、非磁着物捕集部7は、磁選ドラム2の回転軸心から見て、回転軸心のちょうど下方に位置しており、回転軸心に向かって戻る方向に近接しつつ落下してくる非磁着物6を捕集している。
具体的には、上述した磁選機1では、以下のようにして磁選が行われる。
すなわち、磁選ドラム2の表面に供給された回収物のうち、磁性を有するNi、Co、Feなどの金属または金属酸化物(金属化合物)を含む成分(磁着物4)には、上述した磁石10の磁場の影響で磁力が発生し、これらの磁着物4は磁選ドラム2の表面に磁着する。一方、磁性を有さないCuなどの金属または金属酸化物(金属化合物)を含む成分(
非磁着物6)には、上述した磁力は発生せず、これらの非磁着物6は磁選ドラム2の表面に載せられただけの状態(磁着していないため、逆さまにすれば離脱可能な状態)となる。
なお、磁選ドラム2の表面に載せられただけであっても、非磁着物6が下側に位置する磁選ドラム2の表面で支えられている限りは、非磁着物6は磁選ドラム2の表面から離脱することはない。
しかし、磁選ドラム2が回転し、磁選ドラム2上での磁着物4や非磁着物6の位置が、下方に移動するにつれ、磁着物4や非磁着物6の位置と磁選ドラム2との位置関係が変化し、磁着物4や非磁着物6を下側に位置する磁選ドラム2の表面で支えることが困難になる。例えば、磁選ドラム2の回転軸心の側方に、磁着物4や非磁着物6の位置が変化した場合を考える。この場合、磁着物4や非磁着物6を下側に、これらを支えるべき磁選ドラム2の表面が存在しなくなる。加えて、磁着物4や非磁着物6には下側に向かって重力が作用し、磁着物4や非磁着物6を磁選ドラム2の表面から引き剥がす方向に力が作用する。
なお、重力が作用しても、磁着物4には磁力が作用しているので、簡単に磁選ドラム2の表面から剥がれることはない。しかし、磁力が作用していない非磁着物6は、磁選ドラム2の表面から重力により簡単に剥がれてしまう。
そのため、磁選ドラム2の回転軸心から見て、回転方向側の側方の位置で、非磁着物6は磁選ドラム2の表面から脱離し、下方に(法線方向に)向かって落下する。一方、磁着物4には、上述したように磁力が作用しているので、磁選ドラム2がさらに回転し、重力が磁力を上回る位置になるまで、磁着物4は磁選ドラム2の表面から脱離することはない。
具体的には、回転軸心から見て、回転方向側の側方下側の位置(時計の時針で4時~5時ぐらいの位置)で、磁着物4は磁選ドラム2の表面から脱離し、回転軸心に向かって戻る方向に近接しつつ落下する。
このようにして本実施形態の磁選機1では、磁着物4、つまりNi、Co、Feなどの金属または金属酸化物(金属化合物)を含む成分が、磁着物捕集部5に捕集される。また、非磁着物6、つまりCuなどの金属または金属酸化物(金属化合物)を含む成分が、非磁着物捕集部7に捕集される。
上述した磁選機1を用いて磁選を行う場合、磁着物4と非磁着物6とが効率良く選別されるかは、磁選ドラム2の表面に供給された回収物が受ける遠心加速度a、及びドラム表面の磁束密度Bなどに影響を受ける。
例えば、回収物が受ける遠心加速度aが大きい場合、回収物に加わる遠心力も大きくなり、回収物が磁選ドラム2の表面から離脱しやすくなる。また、ドラム表面の磁束密度Bが小さい場合も、回収物を磁選ドラム2に引き寄せる磁力が小さくなり、遠心加速度aの場合と同様に回収物が磁選ドラム2の表面から離脱しやすくなる。
一方、回収物が受ける遠心加速度aが小さい場合、回収物に加わる遠心力も小さくなり、回収物が磁選ドラム2の表面から離脱し難くなる。また、ドラム表面の磁束密度Bが大きい場合も、回収物を磁選ドラム2に引き寄せる磁力が大きくなり、遠心加速度aの場合と同様に回収物が磁選ドラム2の表面から離脱し難くなる。
そこで、本発明の前処理方法(磁選方法)では、前処理としてドラム式の磁選機1で磁選を行うものであって、ドラム表面の磁束密度B[G]、回収物が受ける遠心加速度a[m/s]の関係が、以下の式(1)~(4)を満たすような条件下で磁力選別することとしている。
B≦198.9a+1085.7 ・・・式(1)
B≦-764.4a+16912.3 ・・・式(2)
B≦3000 ・・・式(3)
B≧1170 ・・・式(4)
具体的には、上述した式(1)~式(4)をすべて満足する条件とは、回収物が受ける遠心加速度a[m/s]を横軸にとり、ドラム表面の磁束密度B[G]を縦軸にとった
場合に、式(1’)~式(4’)の各直線で囲まれた台形の範囲に、磁束密度B[G]及び遠心加速度a[m/s]の値を設定することに他ならない。
なお、上述した回収物については、どのような粒径のものでも磁選できるわけではないので、磁選が実施可能になるという観点で、粒径が最大でも5mm、好ましくは2mm以下のものを回収物として選択するのが好ましい。
上述した式(1)~式(4)をすべて満足する条件で磁選を行えば、磁着物捕集部5に回収された磁着物4のCu濃度を1.6wt%以下にすることができ、また有価金属であるCo及びNiの回収率(歩留まり)を90%以上とすることができ、回収物からCuを事前に確実に除去し、且つCuが除去された回収物からCoやNiを高歩留で回収することが可能となる。
次に、実施例及び比較例を用いて、本発明の前処理方法が有する作用効果について詳しく説明する。
実施例及び比較例は、ニッケル、コバルト、アルミニウム、及び銅を含むリチウムイオンバッテリ(LIB)の廃電池に対して粉砕、篩分を行い、篩下に分別されたものを回収物として、有価金属の回収を行うと共に、回収率の算出を行ったものである。より詳しくは、実施例及び比較例は、永久磁石(磁石10)を用いたドラム式の磁選機1(エリーズ製)を用いて、上述した回収物を、磁選ドラム2が10rpm、20rpm、27rpm、36rpm、40rpm、48rpm、60rpm、66rpm、72rpm、80rpmの回転数で回転している磁選機1に投入し、磁選機1において磁着物4と非磁着物6とに磁選(分級)したものである。磁選された実施例及び比較例の磁着物4及び非磁着物6は、それぞれ重量を秤量後、ICP分析法によりCu、Co、Niを分析した。なお、磁選前の元原料に対しても、ICP分析法によりCu、Co、Niを分析し、重量比率(重量パーセント)の濃度[wt%]を磁選の前後でそれぞれ求めた。
また、実施例及び比較例で評価に用いたCo及びNiの総歩留り(有価金属の総歩留まり)は、以下の式(5)によって算出した。このCo及びNiの総歩留りとは、表1中で「Co+Ni歩留まり」のことであり、「Niの歩留り」と「Coの歩留まり」との和に他ならない。
総歩留り(Co+Ni歩留まり)=
(100×磁着物4重量[g]×磁着物4中のCo濃度[wt%]
+ 100×磁着物4重量[g]×磁着物4中のNi濃度[wt%])
÷(磁選機1に投入した原料重量[g]×元原料中Co濃度[wt%]
+磁選機1に投入した原料重量[g]×Ni濃度[wt%]) ・・・(5)
また、表1の実施例及び比較例において得られたCu濃度[wt%]は、磁選後に得られた磁着物4に含まれるCuを、CoやNiと同様にICP分析して得られたものである。
計測で得られたCu濃度については、1.6wt%以下の場合を合格、1.6wt%より大きくなる場合を不合格とした。また、算出された総歩留りについては、90%以上の場合を合格、90%より低くなる場合を不合格とした。Cu濃度の結果、及び総歩留りの結果がいずれも合格の場合に、総合的な判断の結果を「合格」とした。さらに、Cu濃度の結果、及び総歩留りの結果がいずれかが不合格の場合に、総合的な判断の結果を「不合格」とした。
Cuの計測結果、総歩留り(Co+Ni歩留まり)、及び総合的な判断の結果を、表1に示す。
Figure 2022018616000002
上述した表1の実施例1~実施例8は、式(1)~式(4)の結果をいずれも満足し、また「Cu濃度」が0.75wt%~1.56wt%となっていて、1.6wt%以下という基準を満足する。さらに、「総歩留り」が92.0%~99.9%となっていて、90%以上という基準を満足する。つまり、式(1)~式(4)の結果をいずれも満足する実施例1~実施例8は、「回収物からCuを事前に確実に除去する」という効果と、「回収物からCoやNiを高歩留で回収する」という効果とを、双方満足できるものとなり、合格の判断となった。
一方、比較例1~比較例3は、磁束密度Bが960[G]であり、いずれも式(4)を明らかに満足していない。また、比較例4は、磁束密度Bが1170[G]であるのに対して、式(2)の右辺が「-3849.68」となり、式(2)を満足しない。さらに、比較例5は、磁束密度Bが3000[G]であるのに対して、式(1)の右辺が「2162.72」となり、式(1)を満足しない。最後に、比較例6は、磁束密度Bが6500[G]であり、式(3)を明らかに満足していない。
つまり、式(1)~式(4)のいずれかを満足できない比較例1~比較例6は、「回収物からCuを事前に確実に除去する」という効果と、「回収物からCoやNiを高歩留で回収する」という効果との、一方しか満足できず、不合格の判断となった。
以上の結果から、上述した式(1)~式(4)をすべて満足する条件で磁選を行えば、磁着物捕集部5に回収された磁着物4のCu濃度を1.6wt%以下にすることができ、また有価金属であるCo及びNiの回収率(歩留まり)を90%以上とすることができ、回収物からCuを事前に確実に除去し、且つCuが除去された回収物からCoやNiを高歩留で回収することが可能となる。
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
1 磁選機
2 磁選ドラム
3 フィーダ
4 磁着物
5 磁着物捕集部
6 非磁着物
7 非磁着物捕集部
8 ホッパ
9 コンベア部
10 磁石
11 磁着物捕集ホッパ
12 磁着物貯留部
13 非磁着物捕集ホッパ
14 非磁着物貯留部

Claims (2)

  1. 二次電池に対して、少なくとも破砕の処理を経て得られた、ニッケル及びコバルトの1種以上を含む磁着物とアルミニウム及び銅の1種以上を含む非磁着物とを含む回収物から、磁着物を化学反応させてニッケル及びコバルトの1種以上を回収するに当たり、前処理としてドラム式の磁選機で回収物から磁着物を得るものであって、ドラム表面の磁束密度B[G]、回収物が受ける遠心加速度a[m/s]の関係が、以下の式(1)~(4)を満たすような条件下で磁力選別する
    ことを特徴とした二次電池から有価元素を回収する際の前処理方法。
    B≦198.9a+1085.7 ・・・式(1)
    B≦-764.4a+16912.3 ・・・式(2)
    B≦3000 ・・・式(3)
    B≧1170 ・・・式(4)
  2. 二次電池に対して、少なくとも破砕の処理を経て得られた、ニッケル及びコバルトの1種以上を含む磁着物とアルミニウム及び銅の1種以上を含む非磁性物とを含む回収物から、磁着物をドラム式の磁選機で磁選し、この磁着物を化学反応させてニッケル及びコバルトの1種以上を回収する方法であって、前記磁選機は、ドラム表面の磁束密度B[G]、回収物が受ける遠心加速度a[m/s]の関係が、以下の式(1)~(4)を満たすような条件下で磁力選別する
    ことを特徴とした二次電池から有価元素を回収する際の前処理方法。
    B≦198.9a+1085.7 ・・・式(1)
    B≦-764.4a+16912.3 ・・・式(2)
    B≦3000 ・・・式(3)
    B≧1170 ・・・式(4)
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