JP2022018533A - 複合容器、および該複合容器を用いた食品の鮮度保持方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来の容器に比べて、生鮮食品の鮮度保持期間を延ばすことが可能であり、また、複数の商品を小分けして収納することが可能である複合容器を提供する。【解決手段】複数の内容器と、該複数の内容器を収容する外容器によって構成される複合容器において、前記内容器は、容器本体とシール材とで構成される密閉可能な構造を有し、前記外容器の内側形状は、前記内容器を係留させる形状であることを特徴とする複合容器。【選択図】図3

Description

本発明は、複合容器、および該複合容器を用いた食品の鮮度保持方法に関する。
高齢単身者の増加、核家族化の進行により、コンビニエンスストア等における小分け食品の需要は、ますます高まっている。また、従来から販売されているお弁当以外の、生鮮野菜等の生鮮食品についても、小分け食品としての需要が高まっている。
サラダなどの生鮮食品を収容する食品包装容器には、生鮮食品の鮮度を所定期間維持する機能が要求される。
例えば、特許文献1は、食品の貯蔵期間を延ばすため、スチロールおよび/またはポリオレフィンから成るプラスチック容器内の、外側および/または内側の容器表面が、酸素に対する防護特性を持つラッカー層で被覆されていることを特徴とするプラスチック容器ついて開示する。
また、特許文献2は、サラダとサラダドレッシングを収納するのに適した複数の収納部をもつ食品容器であって、複数の収納部が連通手段によって結合する構成を開示する。この食品容器を振ることで、前記収納部に収納されたサラダとサラダドレッシングとが混じり合うことが可能となる。
特表2005-533726 特表2007-537957
しかしながら、特許文献1、2の包装容器では、生鮮食品を収納した場合の、鮮度保持期間が十分ではなかった。また、小分けされた複数の商品をからなるパッケージ商品の需要があり、この需要に対応できる包装体が求められているが、上記包装体は、これに対応できるものではなかった。
以上より、本発明は、従来の容器に比べて、生鮮食品の鮮度保持期間を延ばすことが可能であり、また、複数の商品を小分けして収納することが可能である複合容器、および、該複合容器を用いた食品の鮮度保持方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、以下の事項を見出した。
・複数の食品を複数の内容器に個別に収納し、さらにこれら内容器を外容器にまとめて収納することで、複数の食品をまとめて消費者に提供可能となる。
・上記構成により、収納したそれぞれの食品の鮮度保持期間を延ばすことができる。
以上の事項を元に、本発明者は以下の発明を完成させた。
第1の本発明は、複数の内容器と、該複数の内容器を収容する外容器によって構成される複合容器において、前記内容器は、容器本体とシール材とで構成される密閉可能な構造を有し、前記外容器の内側形状は、前記内容器を係留させる形状であることを特徴とする複合容器である。
第1の本発明において、前記内容器は、フランジ部を有する前記容器本体と、ヒートシール性を有する前記シール材とで構成され、ガス置換包装(MAP)可能であることが好ましい。
第1の本発明において、前記容器本体がガスバリア性容器であることが好ましい。
第1の本発明において、前記外容器の内面と、前記内容器との間に、間隙を備えることが好ましい。
第1の本発明において、前記複数の内容器のうち、1の内容器の側面は、他の内容器の側面と接触せず、1の内容器と他の内容器との間に、間隙が形成されるものであることが好ましい。
第1の本発明において、前記間隙は、保冷剤を収容可能であることが好ましい。
第2の本発明は、第1の本発明の複合容器を用いて、複数種類の食品を種類に応じて前記複数の内容器に分けて収納することを特徴とする、食品の鮮度保持方法である。
第2の本発明において、前記複数の内容器に充填するガス組成が、内容器毎に異なることが好ましい。
第2の本発明において、前記複数の食品のうちの少なくとも一つが野菜であり、該野菜が、葉菜類、果菜類、根菜類、茎菜類、および、花菜類のいずれかであることが好ましい。
第2の本発明において、前記複数種類の食品のうち少なくとも一つが野菜以外であり、該野菜以外が穀類、または、動物性たんぱく質食品、あるいは、これら両方であることが好ましい。
本発明の複合容器は、従来の容器に比べて、収容する生鮮食品の鮮度保持期間を延ばすことが可能であり、また、複数の商品を個別に収納することが可能である。また、本発明の鮮度保持方法によると、収納した複数の食品の鮮度保持期間を延長することができる。
図1(a)は内容器の正面図であり、(b)は内容器の平面図であり、(c)は内容器の右側面図である。 図2(a)は外容器の正面図であり、(b)は外容器の平面図であり、(c)は外容器の右側面図である。 図3は、三つの内容器と外容器とを組み合わせた状態の側面図である。 図4は、インキュベーター内にて4℃から9℃に昇温した際における、内容器および外容器内の温度変化を測定した結果である。 図5は、外容器内にドライアイスを入れ、室温(25℃)にて放置した際の、各内容器内、外容器内の温度変化を測定した結果である。
以下、本発明の実施形態の一例としての、複合容器、および、該複合容器を用いた食品の鮮度保持方法について説明する。ただし、本発明の範囲が以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
なお、数値範囲を示す「a~b」の記述は、特にことわらない限り「a以上b以下」を意味すると共に、「好ましくはaより大きい」及び「好ましくはbより小さい」の意を包含するものである。
また、本明細書における数値範囲の上限値及び下限値は、本発明が特定する数値範囲内から僅かに外れる場合であっても、当該数値範囲内と同様の作用効果を備えている限り本発明の均等範囲に包含するものとする。
<複合容器100>
本発明の複合容器100は、複数の内容器10と、該複数の内容器10を収納する外容器20から構成される。本発明の複合容器100を使用することで、複数の商品を複数の内容器10に個別に収納することができ、また、複数の内容器10を一つの外容器20に収め、一体形状とすることで、機能性、デザイン性に優れた複合容器とすることができる。
(内容器10)
商品を収納する複数の内容器10は、それぞれ、底材である容器本体12と、蓋材であるシール材とで構成される。容器本体12に商品を収納し、開口部をシール材により塞ぐことで、内容器10の内部に商品が収納される。
・容器本体12
容器本体12の一実施例の形態を図1に示す。図1(a)が正面図、図1(b)が平面図、図1(c)が右側面図である。底面図は平面図と同じであり、左側面図は右側面図と同じである。
容器本体12は、商品を収納する商品収容部16を有する形状を備えており、開口部にフランジ部14を有していることが好ましい。フランジ部14を有する容器本体を用いて、蓋材であるシール材を該開口部にヒートシールすることにより、容器内部のガス雰囲気を変更するガス置換包装(Modified Atmosphere Package、MAP)が可能となる。
フランジ14部は、開口部を囲むように形成されており、フランジ部14の幅は、MAP包装が可能となる幅であれば特に制限はなく、好ましくは2~20mm、より好ましく3~15mmとすることができる。
容器本体12の材質は、所定の形状の底材とすることができれば、特に限定されず、種々の材料により形成可能である。例えば、A-PET、C-PET、発泡PET、ポリスチレン(PS)、ハイインパクトポリスチレン(HIPS)、耐熱PS、発泡PS(PSP)、二軸延伸PS(OPS)、耐熱PSP、PE、PP、フィラー入PP(PPF)、発泡PP、発泡PPF、PLA、を用いることができる。例えば、商品として、生鮮野菜を収容する用途においては、消費者が容器内部の生鮮野菜を視認できることが好ましく、容器本体12に透明性を付与すべく、中でも、材料としては、APET、ポリスチレンを使用することが好ましい。
また、例えば、商品として、肉料理、ご飯等の電子レンジにて加熱するものを収容する場合は、容器本体12に耐熱性を付与すべく、材料として、PPを使用することが好ましい。
また、容器本体12は、多層構成としてもよく、上記材料からなる多層フィルムにより構成してもよいし、また、容器本体12にガスバリア性を付与する場合は、ガスバリア層として、エチレン‐酢酸ビニル共重合体鹸化物や芳香族ポリアミドからなる層を多層フィルムの一部として備えることが好ましい。
上記のように容器本体12をガスバリア性材料により構成し、さらに、以下に説明するシール材をガスバリア性材料により構成することで、内容器10をガスバリア性容器とすることができる。内容器10をガスバリア性容器として、酸素を除去した窒素および二酸化炭素雰囲気のガス置換包装とすることにより、例えば、生鮮食品として、肉、または、魚を収容する場合に、それらの鮮度保持期間を延ばすことができる。
多層フィルムの製造方法は、特に限定されず、共押出法、熱ラミネート法、または、押出ラミネート法を採用可能である。共押出法は、Tダイを用いて、公知のフィードブロック方式、マルチマニホールド方式、またはこれらの組み合わせを用いることができる。
図1において、正面および底面が略矩形の容器本体12を示したが、容器本体12の形状はこの形状に限定されず、正面および底面が略円形の円柱状の容器本体12としてもよいし、正面および底面形状を矩形以外の多角形状である容器本体12としてもよい。
容器本体12の大きさは、収納する商品によって種々の大きさとすることができ、特に限定されない。例えば、生鮮野菜を収納する容器であって、図1に示した正面および底面が略矩形の容器であれば、図1の収納部16のX1方向の大きさを、好ましくは、60mm~140mmとすることができ、Y1方向の大きさを、好ましくは、40~80mmとすることができる。
深さ方向(Z1方向)の大きさは、外容器20の内容器収容部24深さ方向の大きさを最大として、収納する商品に応じて適宜調整可能である。好ましくは、20~150mm、より好ましくは、40~100mmの範囲である。
容器本体12の厚みは、容器本体12を構成する材料によって異なるが、例えば、APET、ポリスチレンにより容器本体を構成した場合は、好ましくは0.4~1.2mmとすることができ、PPにより容器本体を構成した場合は、好ましくは、250~500μmとすることができる。
また、図3に、内容器10と外容器20とを組み合わせた状態の側面図を示したが、三つの内容器10a、10b、10cのうち一つの内容器10aの底面が外容器20に接していない。このように、複数の内容器10の容器本体12の高さ(深さ)をそれぞれ変えることができ、商品の量に応じて商品収納部16の大きさを調整することが可能である。例えば、肉、魚等を深さの浅い内容器10に収納し、野菜を深さの深い内容器10に収納する等、商品の密度(嵩張り具合)によって、商品収容部16の大きさを調整可能である。
容器本体12の形成方法としては、例えば、熱成形(真空成形、圧空成型)、圧縮成形、射出成形などを採用可能である。中でも、熱成型により成形することが好ましい。
・シール材
シール材は、容器本体12の開口を塞ぐ役割を有しており、この機能を有していれば、材料などは特に限定されない。また、シール材は、ヒートシール性を有するフィルムであることが好ましく、ヒートシール性のシール材と、上記したフランジ部を有する容器本体12とを組み合わせることにより、ガス置換包装が可能となる。
また、シール材は多層フィルムであってもよく、その場合は、容器本体12のフランジ部14と接着する側にシール層を備えていることが好ましい。
シール材の材質としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリアミド6、ポリアミド66,66共重合体等のポリアミド系樹脂(PNy)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル樹脂を挙げることができる。シール材は、前記の単層フィルムであっても、前記フィルムをラミネーションあるいは共押出した多層フィルムであってもよい。
フィルムにシール性を持たせる場合は、または、シール層を形成する場合は、ヒートシール性のあるポリエチレン、ポリプロピレンを用いることが好ましい。
シール材にガスバリア性を付与する場合は、ガスバリア層を備える多層フィルムとすることができ、ガスバリア層としては、エチレン‐酢酸ビニル共重合体鹸化物からなる層や、芳香族ポリアミドからなる層を用いることができる。該多層フィルムの例としては、OPET//PNy//CPPを挙げることができる。(OPETは延伸PET、CPPは無延伸ポリプロピレンを意味する。)
シール材の製造方法としては、カレンダー成形、押出成形、インフレーション成形などを採用可能である。シール材が多層フィルムである場合の製造方法としては、上記容器本体の多層フィルムの製造方法と同様の方法を採用可能である。
(外容器20)
外容器20は、複数の内容器10を収容し、それぞれの内容器10を係留させる形状を有する。
図2に外容器20の外観形状を示したが、図示した形状の外容器20は、外容器本体22と蓋29とから構成されている。図2には、外容器本体22の正面図(図2(a))、平面図(図2(b))、右側面図(図2(c))を示した。図2の外容器本体22と、図2(a)の正面側を覆う蓋29とから外容器20は構成される。
図2に示した形態の外容器本体22は、三つの内容器10a、10b、10cを収容する内容器収納部24a、24b、24cを備えている。
係留形状は、複数の内容器10のそれぞれの位置を、外容器20内部において一定の位置に固定できるような形状であれば、特に限定されない。
図3に、内容器10a、10b、10cと外容器本体22とを組み合わせ、さらに蓋29を閉めた状態の側面図を示した。三つの内容器のうち、内容器10aの商品収容部16の深さが相対的に浅く、内容器10aの底面と、外容器本体22との間に間隙が存在している。
また、図2(a)に示したように、外容器本体22は、内容器10の外表面の全体に接しているわけではない。収容部24aは、内容器10の図示上側の側面の一部において接しておらず、収容部24bは、図示上側および下側の側面の一部において接しておらず、収容部24cは、図示上側のリブ26の位置および下側の側面の一部において接していない。また、上記したように、内容器10aの商品収容部16の深さが相対的に浅い場合は、内容器10aの底面においても、外容器本体22と接していない。
また、蓋29を閉めた状態では、内容器10a、10b、10cのフランジ部が蓋29と接している。
このように、外容器20は、内容器10の全体に接する必要はなく、内容器10を外容器20の内部において係留することができる少なくとも最小限の範囲で、内容器10と接していればよく、内容器10の位置を固定できるのであれば、係留形状は図示した形態に限定されず、種々の形態とすることができる。
また、外容器20内部において内容器10の位置を固定する観点から、外容器20の内側形状は、内容器10の少なくとも2面に接していることが好ましく、少なくとも3面に接していることがより好ましい。
また、外容器20には、強度付与の点から、リブ26を形成してもよい。図2(a)の形態では、図示上側にリブ26、26が形成されている。
また、外容器20は、取手28を備えていてもよい。取手28を備えることで、複合容器100の取り扱い性が向上し、また、複合容器100を吊るして展示することが可能となる。図示した形態では、外容器本体22の図示下側に取手28が付与されている(図2(a))。
外容器20(外容器本体22、蓋29)の材質は、所定の形状の外容器20とすることができれば、特に限定されず、種々の材料が使用可能である。例えば、A-PET、C-PET、発泡PET、ポリスチレン(PS)、ハイインパクトポリスチレン(HIPS)、耐熱PS、発泡PS(PSP)、二軸延伸PS(OPS)、耐熱PSP、PE、PP、フィラー入PP(PPF)、発泡PP、発泡 PPF、PLAを用いることができる。例えば、商品として、生鮮野菜を収容する用途においては、消費者が外容器20を通して、内容器10内部の生鮮野菜を視認できることが好ましく、外容器20に透明性を付与すべく、材料としては、APET、ポリスチレンを使用することが好ましい。
また、外容器20に耐熱性を付与する場合は、材料として、PPを使用することが好ましい。なお、外容器20を耐熱性材料により形成した場合は、例えば、内容器に収納されている複数の食品を、それぞれ外容器に入れて、これらをまとめてレンジ加熱するような用途において、使用可能である(お弁当、どんぶりなど)。
外容器20の形成方法は、例えば、熱成形(真空成形、圧空成型)、圧縮成形、射出成形などを採用可能である。中でも、熱成型により成形することが好ましい。
外容器20(外容器本体22、蓋29)の厚みは、外容器20を構成する材料によって異なるが、例えば、APET、ポリスチレンにより外容器20を構成した場合は、好ましくは0.4~1.2mmとすることができ、PPにより外容器20を構成した場合は、好ましくは、250~500μmとすることができる。
外容器20の大きさは、収納する商品によって、または、収容する内容器10の数によって、種々の大きさとすることができ、特に限定されない。例えば、生鮮野菜を収納する内容器10を、三つ収容する外容器20の場合、図2のX2方向の大きさを、好ましくは、100mm~250mmとすることができ、Y2方向の大きさを、好ましくは、200~500mmとすることができる。
深さ方向(Z2方向)の大きさは、30~160mm、より好ましくは、50~110mmの範囲である。
外容器本体22に蓋29を閉めた状態は、非密閉構造であることが好ましい。特に、以下に記載するように、保冷剤を使用する場合、外容器本体22と蓋29との間に気体が連通できる程度の間隙があれば、保冷剤の種類によっても安全に使用可能であり、好ましい。
(外容器20と内容器10との間の間隙)
本発明の複合容器においては、外容器20の内面と内容器10の外面との間の少なくとも一部に、間隙を備えることが好ましい。該間隙を備えることにより、間隙の空気層の断熱作用により、外部の熱を遮断可能となり、収納した生鮮食品の鮮度保持期間を延ばすことが可能となる。
間隙の幅は、複合容器の大きさにも依存するが、外部の熱を遮断する観点から、少なくとも3mm以上が好ましく、5mm以上がより好ましく、10mm以上がさらに好ましく、20mm以上が特に好ましい。また、熱遮断機能が飽和し、複合容器全体の大きさを過剰に大きくしない点から、100mm以下が好ましく、80mm以下がより好ましく、70mm以下がさらに好ましい。
ここで、「間隙の幅」とは、内容器10外面と内容器10外面との間の距離、または、内容器10外面と外容器20内面との間の距離をいう。
また、外部の熱を遮断する点から、内容器10の外面の面積全体を基準として、10%以上を間隙とすることが好ましく、20%以上を間隙とすることがより好ましく、30%以上を間隙とすることがさらに好ましく、40%以上を間隙とすることが特に好ましい。
図2、3に示した形態では、内容器10aと内容器10bとの間、内容器10bと内容器10cとの間、内容器10aの底面と外容器20の内面との間、内容器10cと外容器20の内面との間(外容器20に形成されたリブ26における間隙)に間隙が形成されている。
(保冷材)
上記した外容器20と内容器10との間の間隙には、保冷材を入れることができる。保冷材を入れることにより、内容物の保冷効果を向上させることが期待できる。保冷材としては、内容物を収容した複合容器をチルド域から出した場合に、内容物の温度が上昇するのを抑制する機能を有するものであって、上記外容器20と内容器10との間隙に入れることができる大きさものであれば、特に限定されず、種々のものを採用可能である。例えば、三重化学工業社製のスノーパックを使用することができる。
また、内容器10に収納する商品が例えば、肉、魚などのように酸素に触れさせないことで鮮度を保つことができる食品の場合は、保冷材としてドライアイスを使用することも可能である。
<食品の鮮度保持方法>
本発明の食品の鮮度保持方法は、上記した本発明の複合容器100を用いて、複数種類の食品を種類に応じて前記複数の内容器10に分けて収納することを特徴とする方法である。
(複数種類の食品)
内容器10に収容する複数種類の食品のうち少なくとも一つが、野菜、つまり、生鮮野菜であることが好ましい。野菜としては、葉菜類、果菜類、根菜類、茎菜類、および、花菜類が挙げられ、これらを種類別に、または、複数種類を混合して内容器10に収納することができる。葉菜類としては、例えば、レタスが挙げられる。果菜類としては、例えば、トマトが挙げられる。根菜類としては、例えば、ゴボウが挙げられる。茎菜類としては、例えば、玉ねぎが挙げられる。花菜類としては、例えば、ブロッコリーが挙げられる。
種類別に収納した場合、例えば、葉菜類であるレタスと、花菜類であるブロッコリーとを別の内容器に収納することで、たとえレタスの鮮度が先に下がったとしても、レタス容器中に発生した細菌が、ブロッコリーを収納する内容器10に移行することがないので、ブロッコリーの鮮度を維持することができる。
この点で、野菜を種類別に、別の収容することが好ましく、中でも、比較的鮮度が落ちやすい、葉菜類および根菜類と、他の野菜とを分けて収納することが好ましい。
本発明の複合容器100は、上記野菜以外の食品も収容可能である。野菜以外としては、例えば、穀類、動物性たんぱく質食品、および、各種料理を挙げることができる。穀類としては、大豆などの豆、大豆加工食品(豆腐、納豆など)、米を挙げることができる。動物性たんぱく質食品としては、生肉、生魚、調理した肉または魚を挙げることができる。各種料理とは、野菜、穀類、動物性たんぱく質食品に分類されない、麻婆豆腐、野菜炒め、肉じゃが、コロッケ、ハンバーグ等各種料理を挙げることができる。野菜と、野菜以外とを別の内容器10に収納することにより、例えば、肉の細菌が野菜等に移行することが防止できたり、各種料理の調味料などが野菜等に移行することが防止できたりして、鮮度保持に貢献するとともに、食品衛生上の観点からも好ましい。
本発明の鮮度保持方法において、複数種類の食品を種類に応じて複数の内容器10に分けて収納する場合、それぞれの内容器10に充填するガス組成は、内容器10毎に異なる組成とすることが好ましい。
例えば、生鮮野菜を収納する場合は、野菜の腐敗を遅らせ、かつ、野菜が生き続けることができるように、内容器10に充填する気体を窒素と二酸化炭素とし、かつ、内容器本体12およびシール材をガスバリア性の無い材料で構成することが好ましい。この構成では、外部から酸素を少しずつ取り入れ、中の野菜が長く生き続けることができる。
また、生肉、生魚を収容する場合は、これらの腐敗を遅らせるべく、内容器10に充填する気体を窒素と二酸化炭素とし、かつ、内容器本体12およびシール材をガスバリア性材料により構成することが好ましい。これにより、内容物が酸素と触れることが防止され、内容物の鮮度保持期間を延ばすことが可能となる。ただし、ミオグロビンを含有する生肉、例えば、牛、豚については、酸素との接触を遮断すると赤みを出すオキシミオグロビンの形成が阻害されて、商品価値が落ちる場合がある。よって、これら生肉を収容する場合は、あえて酸素を含有させる、あるいは、ガスバリア性の無い材料で内容器10を構成する等の方法を採用することができる。
以下、本発明の複合容器および鮮度保持方法の効果を明確にするために実施した実施例に基づいてより詳細に説明する。なお、本発明の複合容器および鮮度保持方法は、以下の実施例、および、比較例によって何ら限定されるものではない。
<インキュベーター内での4℃→9℃への昇温テスト>
内容器として、図1に示した形状の容量306ccの内容器3つを準備した。凹部のサイズは、X1が103mm、Y1が59mmであり、Z1が60mmである。3つのうち、2つの内容器の中に、温度測定器(データロガー)を入れ、それぞれの内容器の開口部を、クレハ社製クレラップ(厚み:5μm)により二枚重ねにして覆い、フランジ外部を輪ゴムで止めた。内容器内部は空気とした。
内容器は、A-PET製であり、厚みは0.8mmである。
温度測定器(データロガー)としては、KNラボラトリーズ社製、「サーモクロンGタイプ」、測定可能温度範囲:-40℃~+80℃、温度精度:±1℃(温度一定の時)、寸法:φ17mm×厚み6mm、3.3g、を使用した。
温度の解析ソフトとしては、ThermoManager(KNラボラトリーズ社製)を使用した。
外容器本体としては、図2に示した形状の、三つの内容器収納部を有する外容器を一つ準備した。X2が168mm、Y2が326mm、Z2が88mmである。
蓋としては、外容器本体の取手以外の正面を覆い、内容器のフランジ部に接する形状の蓋(X2が168mm、Y2が292mm、Z2が14mm)を準備した。
外容器(外容器本体および蓋)は、A-PET製であり、厚みは0.8mmである。
温度測定器を入れた二つの内容器を、外容器の中央の収納部24bと、取手側の収納部24aに入れ、リブ側の収納部24cには、温度測定器を入れていない内容器を入れた。最後に、蓋を閉めて複合容器とした。
また、外容器の中央の収納部24bの内側と内容器10bの外側との間に、温度測定器を入れて、外容器内部の温度を測定した。
内容器と内容器との間の間隙の幅は、27~45mmであり、外容器と内容器との間の間隙の幅は25mmであった。また、間隙が、内容器の外表面全体の50%において、形成されていた。
上記複合容器を、4℃のインキュベーターに90分保持した後、予め設定温度を10℃にしたインキュベーター内に移動させた。
インキュベーターとしては、冷凍機付きのインキュベーターであるMIR-254(パナソニック社製)を使用した。
庫内温度、外容器内温度、内容器内温度の経過時間に伴う測定結果を図4に示す。
また、内容器内部温度は、二つの内容器24a、24b内部に設置した温度測定器の算術平均値である。
庫内温度は10分で9℃に到達した。外容器内部は10分後5.5℃となり、その後変化は無かった。内容器内部は20分後4℃となり、その後変化は無かった。
このように、本発明の複合容器を用いることで、内容器と外容器の間の間隙の空間(4℃付近に冷やされた空間)がバッファーとなり、内容器内部の温度上昇が、庫内温度、および、外容器内部温度に比べて遅れていることが分かった。また、庫内温度が9℃であるにも関わらず、内容器内部は少なくとも30分間は4℃以下で維持されており、本発明の複合容器を用いることで、外部温度を断熱し、保冷効果があることが示された。
<外容器内にドライアイスを入れ、室温(25℃)で放置>
上記した昇温テストにおけるものと同様の内容器を二つ準備し、それぞれに温度測定器(データロガー)を入れ、それぞれの内容器の開口部を、クレハ社製クレラップ(厚み:5μm)により二枚重ねにして覆い、フランジ外部を輪ゴムで止めた。内容器内部は空気とした。
外容器についても、上記した昇温テストにおけるものと同様のものを準備し、収容部24a、24cに、上記二つの内容器を入れた。外容器の中央の収容部24bには、146gのドライアイスを入れ、蓋を閉めて複合容器とした。なお、外容器の収容部24c内と、内容器との間に、温度測定器(データロガー)を入れ、内容器と外容器との間の温度も測定した。
比較例として、同様の外容器の中央の収容部24bに164gのドライアイスを入れ、収容部24cに温度測定器(データロガー)を入れ、内容器を入れずに、蓋を閉めた容器を準備した。
これらの容器を室温(25℃)で6時間にわたって放置し、温度変化を測定した。結果を図5に示す。
内容器と外容器との間は空間体積が狭く、冷却速度が速い。遅れて内容器なしの外容器のみ(比較例)が続いている。ドライアイスによる降温は1時間弱継続し、その後昇温に変わっている。4時間弱で、外容器のみ(比較例)よりも複合容器の内容器内の方が低温となり、その後は、6時間経過までより低い温度(1~1.5℃程度低温)を維持していた。これは、1重構造(比較例)の容器に保冷剤を入れると、その空間をダイレクトに保冷するため、当初の温度が低くなる一方、2重構造(本願の複合容器)の内容器の温度は、外容器を冷やした空気により、冷やされるため冷える時間が必要となるが、ある時点で温度は反転し、外気の暑さを取り込みづらく、低温を維持できるためと考えられる。
また、内容器と外容器との間は、常に最も低温となっていた。なお、ドライアイスは5時間経過後に全部昇華した。また、ドライアイスが昇華し発生した二酸化炭素は、外容器本体と蓋との間隙から外部へ漏れるため、内圧上昇で蓋が飛ぶことはなかった。
二重構造の内容器内と外容器内の温度はお互いがバッファーとなり、複合容器全体の温度を保持することができる。上記例では、内容物内は空気であり熱容量が低い(比熱容量1.01×10J/(kg・K))が、実際には内容器内にはカット野菜や惣菜が入る為、更なるバッファー 効果が期待出来る(例:水の比熱容量:4.18×10J/(kg・K))。
本発明の複合容器は、従来の容器に比べて、生鮮食品の鮮度保持期間を延ばすことが可能であり、また、複数の商品を小分けして収納することが可能であるので、近年の小分け食品の需要およびパッケージ食費の需要を満たすことができ、消費者のニーズの多様化に寄与するものである。
10、10a、10b、10c:内容器
12:内容器本体、
14:フランジ部
16:内容物収容部
20:外容器
22:外容器本体
24a、24b、24c:内容器収容部
26:リブ
28:取手
29:蓋

Claims (10)

  1. 複数の内容器と、該複数の内容器を収容する外容器によって構成される複合容器において、
    前記内容器は、容器本体とシール材とで構成される密閉可能な構造を有し、
    前記外容器の内側形状は、前記内容器を係留させる形状であることを特徴とする複合容器。
  2. 前記内容器は、フランジ部を有する前記容器本体と、ヒートシール性を有する前記シール材とで構成され、ガス置換包装(MAP)可能である、請求項1に記載の複合容器。
  3. 前記容器本体がガスバリア性容器である、請求項1または2に記載の複合容器。
  4. 前記外容器の内面と、前記内容器との間に、間隙を備える、請求項1~3のいずれかに記載の複合容器。
  5. 前記複数の内容器のうち、1の内容器の側面は、他の内容器の側面と接触せず、1の内容器と他の内容器との間に、間隙が形成されるものである請求項1~4のいずれかに記載の複合容器。
  6. 前記間隙は、保冷剤を収容可能である請求項4または5に記載の複合容器。
  7. 請求項1~6のいずれかの複合容器を用いて、
    複数種類の食品を種類に応じて前記複数の内容器に分けて収納することを特徴とする、食品の鮮度保持方法。
  8. 前記複数の内容器に充填するガス組成が、内容器毎に異なる、請求項7に記載の食品の鮮度保持方法。
  9. 前記複数の食品のうちの少なくとも一つが野菜であり、該野菜が、葉菜類、果菜類、根菜類、茎菜類、および、花菜類のいずれかである、請求項7または8に記載の食品の鮮度保持方法。
  10. 前記複数種類の食品のうち少なくとも一つが野菜以外であり、該野菜以外が穀類、または、動物性たんぱく質食品、あるいは、これら両方である、請求項7~9のいずれかに記載の食品の鮮度保持方法。
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