JP2022015054A - 電動式オイルポンプの制御装置 - Google Patents

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Abstract

Figure 2022015054000001
【課題】ポンプ騒音が顕在化することを抑制する。
【解決手段】車両は、エンジンと、エンジンのクランクシャフトにより駆動される機械式オイルポンプと、クランクシャフトの回転力を用いて充電されるバッテリと、バッテリから入力される駆動電圧により駆動される電動式オイルポンプと、機械式オイルポンプ及び電動式オイルポンプからオイルが供給されて駆動する油圧機器と、を備えている。制御装置は、エンジンが自動停止してから自動再始動するまでの期間である停止期間に駆動電圧を制御する制御部を備えている。制御部は、停止期間のうちのエンジンが自動停止したときからクランキングが開始されるまでの期間である第1期間における駆動電圧が、停止期間のうちのクランキングが開始されてからエンジンが自動再始動するまでの期間である第2期間における駆動電圧よりも低くなるように駆動電圧を制御する。
【選択図】図3

Description

本発明は、電動式オイルポンプの制御装置に関する。
特許文献1に記載されている車両は、自動変速機と、エンジンのクランクシャフトにより駆動される機械式オイルポンプと、バッテリから入力される駆動電圧により駆動される電動式オイルポンプとを備えている。電動式オイルポンプは、エンジンが自動停止してから自動再始動するまでの期間に、自動変速機のクラッチにオイルを供給する。その結果、エンジンが自動停止してから自動再始動するまでの期間においても、クラッチに供給されるオイルの圧力がある程度維持される。
特開平08-014076号公報
エンジンが自動停止してから自動再始動するまでの期間には、エンジンの運転に伴う騒音が発生しないため、電動式オイルポンプの駆動に伴う騒音が顕在化しやすい。
上記課題を解決するための電動式オイルポンプの制御装置は、エンジンと、前記エンジンのクランクシャフトにより駆動される機械式オイルポンプと、前記クランクシャフトの回転力を用いて充電されるバッテリと、前記バッテリから入力される駆動電圧により駆動される電動式オイルポンプと、前記機械式オイルポンプ及び前記電動式オイルポンプからオイルが供給されて駆動する油圧機器と、を備える車両の前記電動式オイルポンプを制御する制御装置であって、前記制御装置は、前記エンジンが自動停止してから自動再始動するまでの期間である停止期間に前記駆動電圧を制御する電圧制御部を備え、前記電圧制御部は、前記停止期間のうちの前記エンジンが自動停止したときからクランキングが開始されるまでの期間である第1期間における前記駆動電圧が、前記停止期間のうちのクランキングが開始されてから前記エンジンが自動再始動するまでの期間である第2期間における前記駆動電圧よりも低くなるように前記駆動電圧を制御する。
上記構成によれば、エンジンの運転に伴う騒音(以下、「エンジン騒音」という)が発生する第2期間と比較して、当該エンジン騒音が発生しない第1期間における電動式オイルポンプの駆動に伴う騒音(以下、「ポンプ騒音」という)が小さくなる。一方、第2期間におけるポンプ騒音は、エンジン騒音によってマスクされやすい。その結果、エンジンの停止機関において、ポンプ騒音が顕在化しにくい。
さらに、第2期間における電動式オイルポンプの駆動電圧は、第1期間における電動式オイルポンプの駆動電圧よりも高い。したがって、第1期間と比較して、第2期間では電動式オイルポンプのオイルの吐出量が多くなる。また、第2期間では、クランキングが行われているもののエンジンが自動再始動していないため、機械式オイルポンプから油圧機器に供給されるオイルが不足しやすい。しかし、こうした機械式オイルポンプから吐出されるオイルの不足を電動式オイルポンプから吐出されるオイルによって補うことができる。
上記構成において、前記電動式オイルポンプから吐出されるオイルの温度であるオイル温度を取得する温度取得部を備え、前記電圧制御部は、前記オイル温度に基づいて前記第1期間における前記駆動電圧を制御してもよい。
・オイルの粘度、・電動式オイルポンプの駆動電圧、・電動式オイルポンプのオイルの吐出量、・油圧機器からのオイルの漏出量や電動式オイルポンプから油圧機器に至るオイルの供給通路からのオイルの漏出量(以下、両者を合わせて「オイル漏出量」という)のそれぞれの間には、以下の特性が存在する。
(1)オイルの粘度が高くなると、電動式オイルポンプの駆動電圧が同じ場合であっても電動式オイルポンプから吐出されるオイルの量は少なくなる。
(2)オイルの粘度が低くなると、オイル漏出量が多くなりやすい。オイル漏出量が多くなると、電動式オイルポンプのオイルの吐出量が同じであっても、油圧機器に供給されるオイルの圧力は低下しやすい。
上記構成によれば、オイルの粘度と相関するオイルの温度に基づいて駆動電圧を制御することにより、上記(1)及び(2)の少なくとも一方の特性を踏まえたかたちで、油圧機器に供給されるオイルの圧力を当該油圧機器の作動に適した圧力に調整することができる。
上記構成において、前記電圧制御部は、前記オイル温度が予め定められた閾値よりも低い温度範囲にある場合、前記オイル温度が低いときには高いときと比較して、前記第1期間における前記駆動電圧が高くなるように前記駆動電圧を制御する一方、前記オイル温度が前記閾値以上である温度範囲にある場合、前記オイル温度が高いときには低いときと比較して、前記第1期間における前記駆動電圧が高くなるように前記駆動電圧を制御してもよい。
上記構成によれば、上記(1)の特性に起因して、オイルの粘度が高い場合に電動式オイルポンプのオイルの吐出量が低下すること、上記(2)の特性に起因して、オイルの粘度が低い場合にオイル漏出量が増加する結果、当該増加を補うだけの量のオイルを電動式オイルポンプから吐出できなくなること、をそれぞれ抑制することができる。その結果、油圧機器に供給されるオイルの圧力を当該油圧機器の作動に適した圧力に調整することができる。
上記構成において、前記バッテリの電圧であるバッテリ電圧を取得する電圧取得部を備え、前記電圧制御部は、前記バッテリ電圧をPWM制御におけるデューティ比に基づき前記駆動電圧に変換するものであり、前記バッテリ電圧が低いときには前記バッテリ電圧が高いときと比較して前記PWM制御におけるデューティ比を大きくしてもよい。
上記構成によれば、バッテリ電圧が低下した場合でも、デューティ比が大きくされるため、電動式オイルポンプの駆動電圧が低下しにくい。このため、バッテリ電圧が低くなることに起因して第1期間における電動式オイルポンプのオイルの吐出量が低下することを抑制できる。
車両の構成図。 クラッチ及び油圧機構を示す構成図。 制御装置により実行される停止期間制御を示すフローチャート。 オイル温度及び第1期間における基準デューティ比の関係を示す関係図。 (a)は、機関回転速度NEの変化を示すタイムチャート。(b)は、スタータモータの駆動状態の変化を示すタイムチャート。(c)は、バッテリ電圧VBの変化を示すタイムチャート。(d)は、デューティ比の変化を示すタイムチャート。(e)は、駆動電圧の変化を示すタイムチャート。
以下、電動式オイルポンプの制御装置の一実施形態を図1~図5にしたがって説明する。先ず、車両100の概略構成について説明する。
図1に示すように、車両100は、エンジン10、吸気通路16、排気通路17、トルクコンバータ20、自動変速機30、ディファレンシャルギヤ41、複数の駆動輪42、油圧機構50、バッテリ61、及びスタータモータ62を備えている。
エンジン10は、4つの気筒11、及び1つのクランクシャフト12を備えている。吸気通路16は、エンジン10に接続されている。吸気通路16は、車両100の外部の吸気を気筒11に導入する。排気通路17は、エンジン10に接続されている。排気通路17は、気筒11からの排気を排出する。
トルクコンバータ20は、エンジン10に固定されている。トルクコンバータ20は、入力軸21、及び出力軸22を備えている。入力軸21の一端は、クランクシャフト12に接続されている。入力軸21の他端は、図示しないロックアップクラッチを介して出力軸22と連結されている。
自動変速機30は、トルクコンバータ20に固定されている。自動変速機30は、複数の遊星歯車機構を備える有段式の自動変速機である。自動変速機30は、1つの入力軸31、1つの出力軸32、及び複数のクラッチ33を備えている。なお、図1では、複数のクラッチ33のうちの1つのクラッチのみを図示している。
入力軸31の一端は、出力軸22に接続されている。入力軸31の他端は、クラッチ33を介して出力軸32の一端に接続されている。出力軸32の他端は、ディファレンシャルギヤ41を介して、車両100の左右の駆動輪42に接続されている。クラッチ33は、当該クラッチ33に供給されるオイルの圧力によって係合状態及び解放状態が切り替え可能になっている。具体的には、クラッチ33に供給されるオイルの圧力が高くなることで、クラッチ33が解放状態から係合状態へと切り替えられる。クラッチ33の伝達可能な最大のトルクは、当該クラッチ33に供給されるオイルの圧力が高くなるほど大きくなる。複数のクラッチ33のうちで係合状態にするクラッチと解放状態にするクラッチとを変更することにより自動変速機30の変速段が切り替えられる。そして、自動変速機30の変速段が変更されることにより、自動変速機30の変速比が変更される。なお、クラッチ33は油圧機器の一例である。
自動変速機30には、オイルが充填された油圧機構50が取り付けられている。油圧機構50は、クラッチ33に供給するオイルの圧力をそれぞれ制御することにより、各クラッチ33の係合状態及び解放状態を操作する。
図2に示すように、油圧機構50は、機械式オイルポンプ51、電動式オイルポンプ52、オイルパン55、第1吸引通路56、第2吸引通路57、集合通路58、及び排出通路59を備えている。オイルパン55には、クラッチ33に供給するためのオイルが貯留されている。第1吸引通路56の一端は、オイルパン55の内部に配置されている。第1吸引通路56の他端は、集合通路58に接続されている。第2吸引通路57の一端は、オイルパン55の内部に配置されている。第2吸引通路57の他端は、第1吸引通路56と集合通路58との接続部分に接続されている。集合通路58は、クラッチ33に接続されている。排出通路59は、クラッチ33に接続されている。
機械式オイルポンプ51は、第1吸引通路56の途中に取り付けられている。機械式オイルポンプ51には、図示しないクランクシャフト12が連結されている。クランクシャフト12が回転することで、機械式オイルポンプ51が駆動される。機械式オイルポンプ51が駆動すると、第1吸引通路56を介してオイルパン55のオイルが吸引され、機械式オイルポンプ51にオイルが流入する。機械式オイルポンプ51に流入したオイルは、機械式オイルポンプ51から吐出され、第1吸引通路56及び集合通路58を介してクラッチ33に流入する。そして、クラッチ33の内部を流通したオイルは、排出通路59を介してオイルパン55に戻される。
電動式オイルポンプ52は、ポンプ本体53、及び電動モータ54を備えている。ポンプ本体53は、第2吸引通路57の途中に取り付けられている。ポンプ本体53には、電動モータ54の出力軸が連結されている。電動モータ54の出力軸が回転することで、ポンプ本体53が駆動される。ポンプ本体53が駆動すると、第2吸引通路57を介してオイルパン55のオイルが吸引され、ポンプ本体53にオイルが流入する。ポンプ本体53に流入したオイルは、ポンプ本体53から吐出され、第2吸引通路57及び集合通路58を介してクラッチ33に流入する。そして、クラッチ33の内部を流通したオイルは、排出通路59を介してオイルパン55に戻される。
図1に示すように、バッテリ61は、電動式オイルポンプ52の電動モータ54に電力を供給する。バッテリ61は、スタータモータ62に電力を供給する。バッテリ61は、図示しないオルタネータによりクランクシャフト12の回転力を用いて充電される。スタータモータ62は、クランクシャフト12に連結されている。スタータモータ62は、エンジン10を始動させる際にクランクシャフト12を回転させる、いわゆるクランキングを実行する。
車両100は、運転者が車両100の加速を操作するためのアクセルペダル91を備えている。車両100は、運転者が車両100の減速を操作するためのブレーキペダル92を備えている。
車両100は、アクセル開度センサ71、ブレーキ開度センサ72、クランク回転速度センサ73、電圧センサ74、温度センサ75、及び車速センサ76を備えている。アクセル開度センサ71は、アクセルペダル91の近傍に取り付けられている。アクセル開度センサ71は、運転者が操作するアクセルペダル91の操作量であるアクセル操作量ACCを検出する。ブレーキ開度センサ72は、ブレーキペダル92の近傍に取り付けられている。ブレーキ開度センサ72は、運転者が操作するブレーキペダル92の操作量であるブレーキ操作量BRAを検出する。クランク回転速度センサ73は、クランクシャフト12の近傍に取り付けられている。クランク回転速度センサ73は、クランクシャフト12の回転速度である機関回転速度NEを検出する。
図1に示すように、電圧センサ74は、バッテリ61の端子間電圧であるバッテリ電圧VBを検出する。図2に示すように、温度センサ75は、集合通路58に取り付けられている。温度センサ75は、集合通路58を流通するオイルの温度、すなわち電動式オイルポンプ52から吐出されるオイルの温度であるオイル温度TOを検出する。図1に示すように、車速センサ76は、車両100が走行する速度である車速SPを検出する。
図1に示すように、車両100は、制御装置80を備えている。制御装置80には、アクセル操作量ACC、ブレーキ操作量BRA、機関回転速度NE、バッテリ電圧VB、オイル温度TO、車速SPを示す信号が、それぞれアクセル開度センサ71、ブレーキ開度センサ72、クランク回転速度センサ73、電圧センサ74、温度センサ75、車速センサ76から入力される。
制御装置80は、制御部81、電圧取得部82、及び温度取得部83を備えている。電圧取得部82は、電圧センサ74からバッテリ電圧VBを取得する。温度取得部83は、温度センサ75からオイル温度TOを取得する。
制御部81は、アクセル操作量ACC等に基づいて、エンジン10を制御する。具体的には、制御部81は、エンジン10に制御信号S1を出力することにより、エンジン10における燃料噴射弁の燃料噴射量やスロットルバルブの開度を制御する。また、制御部81は、スタータモータ62に制御信号S2を出力することにより、スタータモータ62を制御する。
制御部81は、アクセル操作量ACC、ブレーキ操作量BRA、及び車速SPに基づいて、エンジン10を自動停止させたり、エンジン10を自動再始動させたりする。具体的には、制御部81は、予め定められた自動停止条件が満たされた場合、エンジン10を自動停止させる。自動停止条件が満たされた場合とは、例えば、アクセル操作量ACCが「0」であること、ブレーキ操作量BRAが「0」よりも大きいこと、車速SPが「0」であること、の全ての条件が満たされた場合である。制御部81は、自動停止条件が満たされたと判定した場合、燃料噴射弁の燃料噴射量を「0」にする。その結果、エンジン10が自動停止する。その後、制御部81は、例えばブレーキ操作量BRAが「0」になること等により、自動停止条件が満たされていないと判定した場合、スタータモータ62を駆動させてクランキングを実行するとともに、燃料噴射弁から燃料を噴射させる。そして、制御部81は、予め定められた完了条件が満たされた場合、スタータモータ62の駆動を停止することにより、自動再始動を完了させる。完了条件が満たされた場合とは、例えば、機関回転速度NEが予め定められた完了用規定回転速度以上になること、クランキングの開始からの経過時間が予め定められた規定時間以上になること、の全ての条件が満たされた場合である。なお、完了用規定回転速度としては、例えば、エンジン10が自立運転可能になる回転速度である。
制御部81は、エンジン10が自動停止してから自動再始動するまでの期間である停止期間に、バッテリ61から電動モータ54に入力される駆動電圧を制御する。具体的には、制御部81は、電動モータ54に制御信号S3を出力することにより、電動モータ54の駆動電圧をPWM制御により制御する。駆動電圧は、PWM制御によるデューティ比が高いほど高い。そして、電動モータ54に入力される駆動電圧に応じて当該電動モータ54の出力軸の回転速度が変化することにより、ポンプ本体53からのオイルの吐出量が変化する。ポンプ本体53のオイルの吐出量は、電動モータ54に入力される駆動電圧が高いほど多い。本実施形態において、制御部81が電圧制御部として機能する。なお、PWM制御は、通電状態及び非通電状態を交互に切り替える制御である。また、デューティ比は、通電状態及び非通電状態が切り替えられる1周期(1パルス周期)の時間のうちの通電状態の時間の比である。
制御装置80は、コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って各種処理を実行する1つ以上のプロセッサを含む回路(circuitry)として構成し得る。なお、制御装置80は、各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する、特定用途向け集積回路(ASIC)等の1つ以上の専用のハードウェア回路、又はそれらの組み合わせを含む回路として構成してもよい。プロセッサは、CPU及び、RAM並びにROM等のメモリを含む。メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコード又は指令を格納している。メモリすなわちコンピュータ可読媒体は、汎用又は専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる媒体を含む。
次に、制御装置80がエンジン10の停止期間に行う停止期間制御について説明する。制御装置80は、エンジン10が自動停止したと判定した場合、停止期間制御の実行を開始する。具体的には、制御装置80は、自動停止条件が満たされたこと、機関回転速度NEが予め定められた停止用規定回転速度以下であること、の全ての条件が満たされたと判定した場合、エンジン10が自動停止したと判定する。停止用規定回転速度としては、上記の完了用規定回転速度よりも低い回転速度であり、例えば、0rpm~500rpmである。制御装置80は、エンジン10が自動再始動したと判定した場合、停止期間制御の実行を終了する。具体的には、制御装置80は、完了条件が満たされた場合、エンジン10が自動再始動したと判定する。制御装置80は、エンジン10が自動停止したと判定したときからエンジン10が自動再始動したと判定したときまで、停止期間制御を繰り返し実行する。
図3に示すように、停止期間制御が開始されると、ステップS11において、制御部81は、ステップS11の処理時点が第1期間であるか否かを判定する。第1期間とは、停止期間のうち、エンジン10が自動停止したときからクランキングが開始されるまでの期間である。ステップS11において、制御部81は、ステップS11の処理時点が第1期間であると判定した場合(S11:YES)、処理をステップS21に進める。
ステップS21において、制御部81は、オイル温度TOに基づいて、基準デューティ比を算出する。図4において実線で示すように、制御部81には、オイル温度TOと基準デューティ比とを対応付けて表したデューティ比マップが記憶されている。
ここで、・オイルの粘度、・電動式オイルポンプ52の駆動電圧、・電動式オイルポンプ52のオイルの吐出量、・クラッチ33からのオイルの漏出量や電動式オイルポンプ52からクラッチ33に至るオイルの供給通路からのオイルの漏出量(以下、両者を合わせて「オイル漏出量」という)のそれぞれの間には、以下の特性が存在する。なお、供給通路は、第2吸引通路57及び集合通路58である。
特性(1):オイルの粘度が高くなると、電動式オイルポンプ52の駆動電圧が同じ場合であっても電動式オイルポンプ52から吐出されるオイルの量は少なくなる。
特性(2):オイルの粘度が低くなると、オイル漏出量が多くなりやすい。オイル漏出量が多くなると、電動式オイルポンプ52のオイルの吐出量が同じであっても、クラッチ33に供給されるオイルの圧力は低下しやすい。
そこで、デューティ比マップは、上記の特性(1)及び特性(2)の両者を踏まえたかたちで予め定められている。具体的には、デューティ比マップでは、オイル温度TOが予め定められた規定温度Xよりも低い温度範囲にある場合、オイル温度TOが低いときには高いときと比較して、第1期間における基準デューティ比が高い。また、デューティ比マップでは、オイル温度TOが規定温度X以上である温度範囲にある場合、オイル温度TOが高いときには低いときと比較して、第1期間における基準デューティ比が高い。規定温度Xとしては、例えば80℃である。制御部81は、デューティ比マップにオイル温度TOを当てはめて、基準デューティ比を算出する。その後、制御部81は、処理をステップS22に進める。
ステップS22において、制御部81は、バッテリ電圧VBに基づいて、基準デューティ比を補正する。補正後の基準デューティ比は、バッテリ電圧VBが低いほど高い。その後、制御部81は、処理をステップS23に進める。
ステップS23において、制御部81は、ステップS22における補正後の基準デューティ比を、第1デューティ比として設定する。なお、第1デューティ比の一例は、10%~80%である。その後、制御部81は、処理をステップS24に進める。
ステップS24において、制御部81は、第1デューティ比に基づいて、電動モータ54の駆動電圧を制御する。その結果、電動モータ54の駆動電圧に応じて、ポンプ本体53からのオイルの吐出量が変化する。その後、制御部81は、ステップS11からの処理を繰り返す。
一方、ステップS11において、制御部81は、ステップS11の処理時点が第1期間でないと判定した場合(S11:NO)、処理をステップS31に進める。すなわち、停止期間のうち、クランキングが開始されてからエンジン10が自動再始動するまでの期間である第2期間である場合、処理がステップS31に進められる。
ステップS31において、制御部81は、予め定められた第2デューティ比に基づいて、電動モータ54の駆動電圧を制御する。その結果、電動モータ54の駆動電圧に応じて、ポンプ本体53からのオイルの吐出量が変化する。なお、第2デューティ比としては、第1デューティ比よりも高い値が設定されている。第2デューティ比の一例は、90%~100%である。すなわち、第2期間におけるポンプ本体53からのオイルの吐出量は、最大値又は最大値に近い吐出量になる。その後、制御部81は、ステップS11からの処理を繰り返す。
本実施形態の作用について説明する。
図5(a)に示すように、時刻t11よりも前の時刻においては、エンジン10の自動停止条件が満たされておらず、エンジン10が運転されているとする。時刻t11において、エンジン10の自動停止条件が満たされると、燃料噴射弁の燃料噴射量が「0」になる。その結果、時刻t11以降においては、機関回転速度NEが次第に低くなる。
時刻t12において、機関回転速度NEが停止用規定回転速度以下になると、停止期間制御の実行が開始されて電動式オイルポンプ52が駆動する。図5(c)に示すように、時刻t12から時刻t13までの期間では、電動式オイルポンプ52が駆動することで、バッテリ電圧VBが徐々に低くなる。一方、図5(d)に示すように、時刻t12から時刻t13までの期間では、バッテリ電圧VBに応じてデューティ比が補正されることにより、デューティ比が徐々に高くなる。その結果、図5(e)に示すように、時刻t12から時刻t13までの期間では、駆動電圧が一定の値に維持される。
図5(b)に示すように、時刻t13において、エンジン10の自動停止条件が満たされなくなると、スタータモータ62が駆動することによりクランキングが実行される。この場合、図5(c)に示すように、時刻t13直後においては、スタータモータ62が駆動することで、バッテリ電圧VBが一時的に低くなる。一方、図5(d)に示すように、時刻t13から時刻t14までの期間における第2デューティ比は、時刻t12から時刻t13までの期間における第1デューティ比よりも高くなる。その結果、バッテリ電圧VBの低下に起因して電動モータ54の駆動電圧が多少低下したとしても、図5(e)に示すように、時刻t13から時刻t14までの期間における電動モータ54の駆動電圧は、時刻t12から時刻t13までの期間における駆動電圧に比べて高くなる。
図5(a)に示すように、燃料噴射弁から燃料が噴射されることにより、機関回転速度NEが次第に高くなる。そして、時刻t14において、完了条件が満たされることにより、停止期間制御の実行が終了する。
本実施形態の効果について説明する。
(1)図5(e)に示すように、時刻t12から時刻t13までの期間である第1期間Aにおける駆動電圧は、時刻t13から時刻t14までの期間である第2期間Bにおける電動モータ54の駆動電圧に比べて低くなる。これにより、エンジン10の運転に伴う騒音(以下、「エンジン騒音」という)が発生する第2期間Bと比較して、当該エンジン騒音が発生しない第1期間Aにおける電動式オイルポンプ52の駆動に伴う騒音(以下、「ポンプ騒音」という)が小さくなる。一方、第2期間Bにおけるポンプ騒音は、エンジン騒音によってマスクされやすい。その結果、ポンプ騒音が顕在化しにくい。
さらに、第2期間Bにおける電動式オイルポンプ52の駆動電圧は、第1期間Aにおける電動式オイルポンプ52の駆動電圧よりも高い。したがって、第2期間Bでは、第1期間Aと比較して、電動式オイルポンプ52のオイルの吐出量が多くなる。また、第2期間Bでは、クランキングが行われているもののエンジン10が自動再始動していないため、機械式オイルポンプ51からクラッチ33に供給されるオイルが不足しやすい。しかし、こうした機械式オイルポンプ51からクラッチ33に供給されるオイルの不足を電動式オイルポンプ52から吐出されるオイルによって補うことができる。
(2)オイルの粘度等については、上記の特性(1)が存在する。そのため、例えばオイル温度TOが規定温度Xよりも低い温度範囲にある場合には、オイル温度TOが低くなってオイルの粘度が高くなるほど、電動式オイルポンプ52の駆動電圧が同じ場合であっても電動式オイルポンプ52から吐出されるオイルの量は少なくなる。
この点、デューティ比マップにより算出される第1期間Aの基準デューティ比は、オイル温度TOが規定温度Xよりも低い温度範囲にある場合、オイル温度TOが低いときには高いときと比較して高い。そして、第1期間Aの駆動電圧は、オイル温度TOが低いときには高いときと比較して高くなる。これにより、上記の特性(1)に起因して、オイルの粘度が高い場合に電動式オイルポンプ52のオイルの吐出量が低下することを抑制できる。
また、オイルの粘度等については、上記の特性(2)が存在する。そのため、例えばオイル温度TOが規定温度X以上である温度範囲にある場合には、オイル温度TOが高くなってオイルの粘度が低くなるほど、オイル漏出量が多くなりやすい。オイル漏出量が多くなると、電動式オイルポンプ52のオイルの吐出量が同じであっても、クラッチ33に供給されるオイルの圧力は低下しやすい。
この点、デューティ比マップにより算出される第1期間Aの基準デューティ比は、オイル温度TOが規定温度X以上である温度範囲にある場合、オイル温度TOが高いときには低いときと比較して高くなる。そして、第1期間Aの駆動電圧は、オイル温度TOが高いときには低いときと比較して高くなる。これにより、上記の特性(2)に起因して、オイルの粘度が低い場合にオイル漏出量が増加する結果、当該増加を補うだけの量のオイルを電動式オイルポンプ52から吐出できなくなることを抑制できる。
したがって、本実施形態では、上記の特性(1)及び特性(2)に起因して発生する問題をそれぞれ抑制できる。その結果、クラッチ33に供給されるオイルの圧力を当該クラッチ33の作動に適した圧力に調整することができる。
(3)デューティ比が同じである場合、電動モータ54の駆動電圧は、バッテリ電圧VBが低いほど低くなる。そのため、バッテリ電圧VBが低下することで電動モータ54の駆動電圧が低下すると、電動式オイルポンプ52のオイルの吐出量が低下することがある。
この点、第1期間Aにおける第1デューティ比は、バッテリ電圧VBが低いほど高い。これにより、バッテリ電圧VBが低下した場合でも、デューティ比が大きくなるため、電動モータ54の駆動電圧が低下しにくい。その結果、バッテリ電圧VBが低下することに起因して第1期間Aにおける電動式オイルポンプ52のオイルの吐出量が低下することを抑制できる。
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態において、エンジン10の自動停止を判定するための条件は変更できる。例えば、制御装置80は、機関回転速度NEに関係なく、エンジン10の自動停止条件のみが満たされた場合に、エンジン10が自動停止したと判定してもよい。この場合、図5の例では、時刻t11から時刻t13までの期間が第1期間である。また、例えば、制御装置80は、自動停止条件が満たされたこと、機関回転速度NEが「0」であること、の全ての条件が満たされたと判定した場合、エンジン10が自動停止したと判定してもよい。この場合、図5の例では、時刻t12よりも後に機関回転速度NEが「0」になってから時刻t13までの期間が第1期間である。
・上記実施形態において、エンジン10の自動再始動を判定するための条件は変更できる。例えば、制御装置80は、機関回転速度NEが予め定められた完了用規定回転速度以上になること、クランキングの開始からの経過時間が予め定められた規定時間以上になること、のうちの少なくとも一方が満たされた場合に、エンジン10が自動再始動したと判定してもよい。この場合、図5の例では、時刻t13からエンジン10が自動再始動したと判定されるまでの期間が第2期間である。
・上記実施形態において、第2期間における全ての期間の駆動電圧は、第1期間の駆動電圧よりも高くなっている必要はない。例えば、図5(a)に示すように、第2期間Bの開始直後における機関回転速度NEは、第2期間Bの終了直前に比べて低い。そのため、第2期間Bの開始直後における機械式オイルポンプ51の吐出量は、第2期間Bの終了直前に比べて少ない。その結果、第2期間Bの開始直後における電動式オイルポンプ52の吐出量は多くする必要性が高い一方、第2期間Bの終了直前における電動式オイルポンプ52の吐出量は多くする必要性が低い。そこで、クラッチ33に供給されるオイルが不足することを抑制する上では、第2期間Bの終了直前における電動式オイルポンプ52の駆動電圧は、第1期間Aにおける電動式オイルポンプ52の駆動電圧よりも高くする必要はなく、低くなっていてもよい。なお、この場合にあっても、第2期間Bのうちの終了直前よりも前の期間における駆動電圧が、第1期間Aにおける電動式オイルポンプ52の駆動電圧よりも高くなっていればよい。
・また、例えば、図5(a)に示すように、第2期間Bの開始直後における機関回転速度NEは、第2期間Bの終了直前に比べて低い。そのため、第2期間Bの開始直後におけるエンジン騒音は、第2期間Bの終了直前に比べて小さい。その結果、第2期間Bの開始直後におけるポンプ騒音は、エンジン騒音によってマスクされにくい。したがって、ポンプ騒音が顕在化することを抑制する上では、第2期間Bの開始直後における電動式オイルポンプ52の駆動電圧を、第1期間Aにおける電動式オイルポンプ52の駆動電圧よりも必ずしも高くしなくてもよい。なお、この場合にあっても、第2期間Bのうちの開始直後よりも後の期間における駆動電圧が、第1期間Aにおける電動式オイルポンプ52の駆動電圧よりも高くなっていればよい。
・上記実施形態において、デューティ比マップに設定された規定温度Xは、油圧機構50やクラッチ33の構成に合わせて適宜変更できる。
・上記実施形態において、デューティ比マップは、上記の特性(1)及び特性(2)の両者を踏まえたかたちで定められている必要はない。例えば、上記の特性(1)のみに起因した問題を抑制する上では、デューティ比マップにより算出される第1期間の基準デューティ比は、規定温度Xに関係なく、オイル温度TOが低いときには高いときと比較して高くなっていればよい。
・また、例えば、上記の特性(2)のみに起因した問題を抑制する上では、デューティ比マップにより算出される第1期間の基準デューティ比は、規定温度Xに関係なく、オイル温度TOが高いときには低いときと比較して高くなっていればよい。
・上記実施形態において、第1デューティ比を設定する構成は変更できる。例えば、バッテリ電圧VBに応じて基準デューティ比を補正することなく、ステップS21の処理で算出した基準デューティ比を、第1デューティ比として設定してもよい。
・また、例えば、オイル温度TOに基づいて第1デューティ比を算出する必要はない。具体例としては、第1デューティ比として、第2デューティ比よりも低い値が予め設定されていてもよい。
・上記実施形態において、第2デューティ比は、オイル温度TOやバッテリ電圧VBに基づいて補正してもよい。この場合においても、第2期間の駆動電圧が、第1期間よりも高くなっていればよい。
・上記実施形態において、駆動電圧を制御する構成は、PWM制御に限らず、例えば降圧回路等を用いてもよい。
・上記実施形態において、温度センサ75が取り付けられる箇所は変更できる。例えば、温度センサ75は、排出通路59に取り付けられていたり、オイルパン55に取り付けられていたりしてもよい。この場合、排出通路59を流通するオイルの温度や、オイルパン55に貯留されるオイルの温度が、電動式オイルポンプ52から吐出されるオイルの温度である。
・上記実施形態において、油圧機器はクラッチ33に限らない。例えば、油圧機器は、自動変速機における係合状態及び解放状態を切り替え可能な摩擦係合要素としてのブレーキでもよい。
・上記実施形態において、エンジン10に用いられる、機械式オイルポンプ及び電動式オイルポンプを備えている場合には、エンジン10に用いられる電動式オイルポンプについて本件技術を適用してもよい。
A…第1期間
B…第2期間
TO…オイル温度
VB…バッテリ電圧
10…エンジン
12…クランクシャフト
30…自動変速機
33…クラッチ
50…油圧機構
51…機械式オイルポンプ
52…電動式オイルポンプ
53…ポンプ本体
54…電動モータ
55…オイルパン
56…第1吸引通路
57…第2吸引通路
58…集合通路
59…排出通路
61…バッテリ
80…制御装置
81…制御部
82…電圧取得部
83…温度取得部
100…車両

Claims (4)

  1. エンジンと、
    前記エンジンのクランクシャフトにより駆動される機械式オイルポンプと、
    前記クランクシャフトの回転力を用いて充電されるバッテリと、
    前記バッテリから入力される駆動電圧により駆動される電動式オイルポンプと、
    前記機械式オイルポンプ及び前記電動式オイルポンプからオイルが供給されて駆動する油圧機器と、
    を備える車両の前記電動式オイルポンプを制御する制御装置であって、
    前記制御装置は、
    前記エンジンが自動停止してから自動再始動するまでの期間である停止期間に前記駆動電圧を制御する電圧制御部を備え、
    前記電圧制御部は、
    前記停止期間のうちの前記エンジンが自動停止したときからクランキングが開始されるまでの期間である第1期間における前記駆動電圧が、前記停止期間のうちのクランキングが開始されてから前記エンジンが自動再始動するまでの期間である第2期間における前記駆動電圧よりも低くなるように前記駆動電圧を制御する
    電動式オイルポンプの制御装置。
  2. 前記電動式オイルポンプから吐出されるオイルの温度であるオイル温度を取得する温度取得部を備え、
    前記電圧制御部は、
    前記オイル温度に基づいて前記第1期間における前記駆動電圧を制御する
    請求項1に記載の電動式オイルポンプの制御装置。
  3. 前記電圧制御部は、
    前記オイル温度が予め定められた閾値よりも低い温度範囲にある場合、前記オイル温度が低いときには高いときと比較して、前記第1期間における前記駆動電圧が高くなるように前記駆動電圧を制御する一方、
    前記オイル温度が前記閾値以上である温度範囲にある場合、前記オイル温度が高いときには低いときと比較して、前記第1期間における前記駆動電圧が高くなるように前記駆動電圧を制御する
    請求項2に記載の電動式オイルポンプの制御装置。
  4. 前記バッテリの電圧であるバッテリ電圧を取得する電圧取得部を備え、
    前記電圧制御部は、
    前記バッテリ電圧をPWM制御におけるデューティ比に基づき前記駆動電圧に変換するものであり、
    前記バッテリ電圧が低いときには前記バッテリ電圧が高いときと比較して前記PWM制御におけるデューティ比を大きくする
    請求項1~3の何れか一項に記載の電動式オイルポンプの制御装置。
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