JP2022013766A - ビア充填基板 - Google Patents

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Masaya Yano
広治 小林
Koji Kobayashi
修 豆崎
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陽光 森
Akimitsu Mori
耀広 林
Teruhiro Hayashi
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Abstract

【課題】生産性に優れ、導電ビア部の緻密性が高く、かつ導電ビア部と孔部壁面との気密性および密着性も高いビア充填基板を提供する。【解決手段】孔部を有する絶縁性基板と、前記孔部に充填された導体で形成された導電ビア部とを有するビア充填基板として、導電ビア部の空隙率が10体積%以下であり、前記導電ビア部と前記孔部の壁面との間に実質的に隙間が存在せず、かつ前記導電ビア部が、連続相および分散相からなる海島構造を有する導電ビア本体と、孔部壁面との界面に存在する活性金属膜とで形成されているビア充填基板を調製する。前記活性金属膜は、前記孔部壁面との界面において、前記界面に沿って連続して延びる膜であってもよい。【選択図】なし

Description

本発明は、各種の電子機器に使用される表裏導通基板(ビア充填基板)に関する。
従来から、電子基板は、機能部品の配置や配線回路の形成に使用されている。近年、電子機器または部品の小型化、高機能化および集積化のために、絶縁性基板に貫通孔(孔部またはビア)を形成し、貫通孔内に導電材料を設けて基板両面を電気的に導通させる用途が増加している。基板両面を電気的に導通する方法として、貫通孔内に導電材料をメッキ処理する方法が知られているが、環境負荷の大きいメッキ工程が必要であるため、工程が複雑であり、経済性も低い。
また、貫通孔に金属粉および硬化性樹脂で構成される導電ペースト(導体ペースト)を充填し、硬化して充填ビアを得る方法も知られている。しかし、この充填ビアも、導電材料に樹脂が含まれているため、導電性が低く、樹脂の耐熱性によって制限され、基板の耐熱性も低い。
さらに、貫通孔に金属粉、無機バインダーおよび樹脂で構成される導電ペーストを充填し、金属の焼結温度以上に加熱して金属粉を焼結して導電性の充填ビアを得る方法も知られており、この方法は、簡便性に優れるとともに、有機ビヒクルとしての樹脂成分は焼成により蒸発、分解される。そのため、この方法で得られた充填ビアは、導電性、熱伝導性および耐熱性も比較的高い。
しかし、ビアに導電ペーストを充填した後に焼成して得られるビア充填基板には、充填導体(導電ビア部)と孔部の壁面との間に隙間やボイドが存在する場合がある。これらの隙間やボイドの発生原因としては、孔部に充填した導電ペーストの溶媒除去(乾燥)による収縮や、高温焼成時の金属粉の焼結による収縮が原因の一部と推定できる。
充填導体と壁面との間に隙間が存在すると、少なくとも以下の3点の課題が生じる虞がある。
(1)基板表面に充填部を跨って導電膜(電極、配線など)を形成した場合、隙間の存在により導電膜が切れて導電性能の低下や断線を招く虞がある。
(2)壁面に存在する隙間が壁面に沿ってお互いに繋がり、充填部の気密性や半田バリア性などの非透過性の確保ができなくなる虞がある。
(3)ビア充填基板が後工程としてメッキなどの湿式工程を経る場合、薬液などが隙間に浸入し、ビア部の破裂、表面膜のフクレ、変色等の不具合を起こす虞がある。
そこで、導電ペーストを用いた方法において、焼成時の焼結収縮を抑制できる導電ペーストが提案されており、特開2009-59744号公報(特許文献1)には、ビアの内側壁面に、活性金属の酸化物層を形成し、さらにこの酸化物層の内側に前記活性金属からなる導体層を形成し、内側のビア導体と、ビア壁面との接着力および密着力を向上させる方法が開示されている。特許文献1では導電ビア部を形成するための導電ペーストの詳細は開示されておらず、ビア充填基板の気密性や非浸透性については検証されていない。
さらに、特開2017-63109号公報(特許文献2)には、孔部を有する絶縁性基板の孔部壁面に活性金属を含む金属膜を形成する金属膜形成工程、焼成前後の体積変化率が-10~20%である導体ペーストを、金属膜を形成した孔部に充填する充填工程、導体ペーストが充填された絶縁性基板を焼成する焼成工程を含むビア充填基板の製造方法が開示されている。
特開2013-153051号公報(特許文献3)には、セラミックス焼結体基板に導電性ビアが形成されているメタライズドセラミックスビア基板であって、融点が600℃以上1100℃以下の金属(A)と、該金属(A)よりも融点が高い金属(B)と、活性金属とを含む導電性の金属が、前記セラミックス焼結体基板のスルーホールに密充填されてなる前記導電性ビアを有し、前記セラミックス焼結体基板の両面のうち少なくとも一方の面に、前記金属(A)と、前記金属(B)と、活性金属とを含む導電性の金属からなる表面導電層を有する配線パターンを有し、前記配線パターンが、前記表面導電層の表面にメッキ層を有し、前記導電性ビアと前記セラミックス焼結体基板との界面および前記表面導電層と前記セラミックス焼結体基板との界面に活性層が形成されている、メタライズドセラミックスビア基板が開示されている。
特開2009-59744号公報 特開2017-63109号公報 特開2013-153051号公報
しかし、特許文献1および2のビア充填基板では、活性金属層の形成によって、孔部壁面との前記気密性および密着性については、ある程度向上できるものの、導電性および熱伝導性を十分に向上できない虞がある。その理由は、これらのビア充填基板では、導電ビア部自体の緻密性が低いためであると推定される。詳しくは、有機ビヒクルを含む導電ペーストを貫通孔に充填する方法においては、有機ビヒクルが蒸発および分解により消失して空隙(ボイド)が発生するため、導電ビア部(充填導体)の内部が全体的にポーラス状になって緻密性が低下し易い。すなわち、特許文献1および2の方法では、ボイドを有さないバルク金属と比較すると、必然的に導電性や熱伝導性は大きく低下することとなり、緻密性を向上させるのが困難であった。そのため、有機ビヒクルを含む導電ペーストを貫通孔に充填する方法においては、前記気密性および密着性以外に、導電ビア部の緻密性も要求される。さらに、特許文献3のメタライズドセラミックスビア基板では、酸素や窒素等の反応性ガスと活性金属とが反応するのを防ぐために、真空下などの非反応性雰囲気下で耐熱性容器を使用する必要があり、簡便な方法で製造できない。
従って、本発明の目的は、生産性に優れ、導電ビア部の緻密性が高く、かつ導電ビア部と孔部壁面との気密性および密着性も高いビア充填基板を提供することにある。
本発明者等は、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、孔部を有する絶縁性基板と、前記孔部に充填された導体で形成された導電ビア部とを有するビア充填基板として、導電ビア部の空隙率が10体積%以下であり、前記導電ビア部と前記孔部の壁面との間に実質的に隙間が存在せず、かつ前記導電ビア部が、連続相および分散相からなる海島構造を有する導電ビア本体と、孔部壁面との界面に存在する活性金属膜とで形成されているビア充填基板を調製することにより、生産性に優れるだけでなく、導電ビア部の緻密性を向上でき、さらに導電ビア部と孔部壁面との気密性および密着性も向上できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明のビア充填基板は、孔部を有する絶縁性基板と、前記孔部に充填された導体で形成された導電ビア部とを有するビア充填基板であって、導電ビア部の空隙率が10体積%以下であり、前記導電ビア部と前記孔部の壁面との間に実質的に隙間が存在せず、かつ前記導電ビア部が、連続相および分散相からなる海島構造を有する導電ビア本体と、この導電ビア本体と孔部壁面との界面に存在する活性金属膜とで形成されている。前記活性金属膜が、Ti、ZrおよびNbからなる群より選択された少なくとも1種の活性金属で形成されていてもよい。前記連続相は、Cu、Ag、Ni、W、Mo、Au、PtおよびPdからなる群より選択された少なくとも1種の高融点金属を含んでいてもよい。前記分散相は、CuおよびAgから選択された少なくとも1種の高融点金属と、Bi、Sn、InおよびZnからなる群より選択された少なくとも1種の低融点金属とを含んでいてもよい。前記活性金属膜は、前記孔部壁面との界面において、前記界面に沿って連続して延びる膜であってもよい。前記ビア充填基板は、導電ビア部の表面にインクを塗布し、インクの塗布面を0.5MPaの圧縮空気で60秒間加圧しても前記導電ビア部の裏面にインクが漏れないビア充填基板であってもよい。
本発明には、孔部を有する絶縁性基板の前記孔部に、第1の導電ビア部用前駆体を充填する充填工程、前記充填工程で前記孔部に充填された前記第1の導電ビア部用前駆体の上に、第2の導電ビア部用前駆体を積層する積層工程、前記積層工程で得られた両前駆体を含む絶縁性基板を窒素雰囲気下で焼成する焼成工程を含むビア充填基板の製造方法であって、
前記第1の導電ビア部用前駆体が、金属成分Aおよび第1の有機ビヒクルを含む充填用導電ペーストを含み、
前記金属成分Aが、焼成温度を超える融点を有する高融点金属粒子であり、
前記充填工程が、前記充填用導電ペーストを前記孔部に充填するペースト充填工程を含み、
前記第2の導電ビア部用前駆体が、金属成分Bおよび第2の有機ビヒクルを含む積層用導電ペーストであり、
前記金属成分Bが、焼成温度よりも低い融点を有する難溶融金属粒子であり、
前記第1の導電ビア部用前駆体および前記第2の導電ビア部用前駆体の少なくとも一方が、活性金属を含む活性金属成分を含み、
前記充填用導電ペーストおよび前記第2の導電ビア部用前駆体の少なくとも一方が、前記難溶融金属粒子よりも低い融点を有する易溶融金属粒子である金属成分Cを含むビア充填基板の製造方法も含まれる。
前記製造方法において、前記金属成分Bの割合は、前記第1の有機ビヒクル100体積部に対して100~1000体積部であってもよい。前記金属成分Cの割合は、前記金属成分A100体積部に対して1~40体積部であってもよい。前記金属成分Cの割合は、前記金属成分A、前記活性金属成分および前記金属成分Cの合計体積に対して2~20体積%であってもよい。
なお、本願において、「導電ビア部用前駆体」とは、導電ビア部を形成するために、絶縁性基板の孔部に導入される全ての未焼成材料を意味する。そのため、前記充填用導電ペーストの導入に先立って、孔部壁面にスパッタなどによって金属膜を形成する場合には、第1の導電ビア部用前駆体には、前記孔部に導入される前記充填用導電ペーストだけでなく、前記金属膜も含まれる。
本発明では、孔部を有する絶縁性基板の前記孔部に導電ビア部が充填されたビア充填基板が、導電ビア部の空隙率が10体積%以下であり、前記導電ビア部と前記孔部の壁面との間に実質的に隙間が存在せず、かつ前記導電ビア部が、連続相および分散相からなる海島構造を有する導電ビア本体と、この導電ビア本体と孔部壁面との界面に存在する活性金属膜とで形成されているため、生産性に優れるだけでなく、導電ビア部の緻密性を向上でき、さらに導電ビア部と孔部壁面との気密性および密着性も向上できる。
図1は、本発明におけるビア充填基板の製造方法の一例を示す概略工程図である。 図2は、本発明におけるビア充填基板の製造方法の他の例を示す概略工程図である。 図3は、実施例1で得られたビア充填基板における孔部(導電ビア部)の断面走査型電子顕微鏡(SEM)像を示す。 図4は、図3のSEM像における導電ビア部と孔部壁面との界面部の拡大像である。 図5は、図3のSEM像における導電ビア部と孔部壁面との界面部の活性金属Tiの元素マッピング像である。 図6は、実施例3で得られたビア充填基板における導電ビア部の断面SEM像を示す。 図7は、図6のSEM像における導電ビア部と孔部壁面との界面部の拡大像である。 図8は、図6のSEM像における導電ビア部と孔部壁面との界面部の活性金属Tiの元素マッピング像である。 図9は、実施例4で得られたビア充填基板における導電ビア部の断面SEM像を示す。 図10は、図9のSEM像における導電ビア部と孔部壁面との界面部の活性金属Tiの元素マッピング像である。 図11は、比較例1で得られたビア充填基板における導電ビア部の断面SEM像を示す。 図12は、比較例2で得られたビア充填基板における導電ビア部の断面SEM像(孔部壁面との界面部の拡大像)を示す。 図13は、図12のSEM像における活性金属Tiの元素マッピング像である。 図14は、比較例5で得られたビア充填基板における導電ビア部の断面SEM像(孔部壁面との界面部の拡大像)を示す。 図15は、比較例7で得られたビア充填基板における導電ビア部の断面SEM像を示す。 図16は、図15のSEM像における導電ビア部と孔部壁面との界面部の拡大像である。
[ビア充填基板]
本発明のビア充填基板は、絶縁性基板の両面を電気的に導通させるためのビア充填基板であり、孔部を有する絶縁性基板と、前記孔部に充填された導体で形成された導電ビア部とを有する。このビア充填基板は、導電ビア部の緻密性が高く、前記導電ビア部の空隙率は10体積%以下であり、好ましくは8体積%以下、さらに好ましくは5体積%以下である。なお、本願において、導電ビア部の空隙率は、SEMを用いて測定でき、詳細には、後述する実施例に記載の方法で測定できる。
前記ビア充填基板は、導電ビア部と孔部壁面との密着性も高く、導電ビア部と孔部壁面との間の隙間が小さいか、または実質的に存在しない。具体的には、導電ビア部と孔部壁面との間には、隙間が存在していても局部的であり、かつ隙間の大きさは0.5μm以下であるのが好ましく、隙間が実質的に存在しないのがさらに好ましく、隙間が存在しないのが特に好ましい。なお、本願において、導電ビア部と孔部壁面との間の隙間は、SEMを用いて測定でき、詳細には、後述する実施例に記載の方法で測定できる。
前記ビア充填基板は、導電ビア部と孔部壁面との密着性も高く、インクを用いたシール試験において、インク漏れが20%以下であり、好ましくは10%以下、さらに好ましくは0%である。なお、本願において、インクを用いたシール試験の評価方法としては、後述する実施例に記載の方法で測定できる。本願において、導電ビア部と孔部壁面との間に実質的に隙間が存在しないビア充填基板は、このシール試験においてインク漏れが0%であるビア充填基板であってもよい。
前記ビア充填基板の導電ビア部は、連続相および分散相からなる海島構造を有する導電ビア本体と、この導電ビア本体と孔部壁面との界面に存在する活性金属膜とで形成されている。
(導電ビア本体)
導電ビア部の本体は、連続相(マトリックス相)と分散相との組み合わせである相分離構造(海島構造)を有しており、この相分離構造によって導電ビア部の応力が緩和されているため、緻密性ならびに気密性および密着性を向上できる。
分散相と、連続相との比率は、断面写真の面積比において、前者/後者=1/99~90/10程度の範囲から選択でき、例えば3/97~60/40、好ましくは5/95~50/50、さらに好ましくは10/90~40/60、より好ましくは10/90~30/70である。
分散相の形状は、特に限定されず、等方形状(球状、立方体状など)であってもよく、異方形状(楕円体状、棒状、繊維状、不定形状など)であってもよい。
分散相の平均径は、例えば0.1~100μm、好ましくは1~80μm、さらに好ましくは3~50μm、より好ましくは5~30μmである。
なお、本願において、前記比率および平均径は、断面SEM像に基づいて測定できる。また、分散相が異方形状である場合、各分散相の径は長径と短径との平均値とする。
(連続相)
連続相は、導電ビア本体の骨格となる金属相であり、主として後述する金属成分A由来の金属相であってもよい。特に、後述する好ましい製造方法である充填用導電ペーストおよび積層用導電ペーストを利用する製造方法において、充填用導電ペーストに含まれる金属成分Aが中心となって焼成により形成された連続相であってもよい。
そのため、連続相は、高融点金属を含むのが好ましい。高融点金属としては、例えば、Cu、Ag、Ni、W、Mo、Au、Pt、Pdなどが挙げられる。これらの高融点金属は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、Cu、Ag、Ni、W、Moが好ましく、Cuおよび/またはAgが特に好ましい。
高融点金属の割合(元素比)は、連続相中50%以上であってもよく、例えば70%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上である。高融点金属の割合が少なすぎると、導電性および熱伝導性が低下する虞がある。
連続相は、高融点金属に加えて、低融点金属(難溶融金属および易溶融金属)をさらに含んでいてもよい。低融点金属としては、例えば、Bi、Sn、In、Znなどが挙げられる。これらの低融点金属は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、Bi、Sn、Znが好ましく、Snおよび/またはZnが特に好ましい。
低融点金属の割合(元素比)は、連続相中10%以下(例えば1~10%)であってもよく、例えば8%以下、好ましくは5%以下である。低融点金属の割合が多すぎると、導電ビア部の保形性や導電性、熱伝導性が低下する虞がある。
連続相は、高融点金属に加えて、活性金属をさらに含んでいてもよい。活性金属としては、Ti、Zr、Nbなどが挙げられる。これらの活性金属は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、Tiおよび/またはZrが好ましく、Tiが特に好ましい。
活性金属の割合(元素比)は、連続相中5%以下であってもよく、例えば4%以下、好ましくは3%以下である。活性金属の割合が多すぎると、導電ビア部の保形性や導電性、熱伝導性が低下する虞がある。
連続相が異なる金属を含む場合、異なる複数種の金属は合金化して連続相を形成してもよい。
(分散相)
分散相は、主として後述する金属成分B由来の金属相であってもよい。特に、後述する好ましい製造方法である充填用導電ペーストおよび積層用導電ペーストを利用する製造方法において、積層用導電ペーストに含まれる金属成分Bが焼成によって生じる空隙に流れ込んで前記空隙を埋めることにより形成された分散相であってもよい。
分散相も、前記連続相と同様に、導電ビア本体を形成する金属相であるため、高融点金属を含むのが好ましい。高融点金属は、前記連続相で例示された高融点金属から選択できる。前記高融点金属のうち、分散相としては、導電性を向上できる点から、高導電金属であるCuおよび/またはAgが好ましく、CuおよびAgがさらに好ましく、CuとAgとの合金が特に好ましい。
高融点金属(特に、Cuおよび/またはAgの高導電金属)の割合(元素比)は、通常、連続相中の高融点金属の割合と異なっており、分散相中30%以上であってもよく、例えば50%以上、好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上である。高融点金属の割合が少なすぎると、導電性および熱伝導性が低下する虞がある。
分散相は、高融点金属(特に、Cuおよび/またはAgの高導電金属)に加えて、低融点金属(難溶融金属および易溶融金属)をさらに含んでいてもよい。低融点金属は、好ましい態様も含めて、前記連続相で例示された低融点金属から選択できる。
低融点金属の割合(元素比)は、通常、連続相中の高融点金属の割合と異なっており、分散相中30%以下(例えば1~30%)であってもよく、例えば20%以下、好ましくは15%以下である。低融点金属の割合が多すぎると、導電ビア部の保形性や導電性、熱伝導性が低下する虞がある。
分散相は、高融点金属に加えて、活性金属をさらに含んでいてもよい。活性金属は、好ましい態様も含めて、前記連続相で例示された活性金属から選択できる。
活性金属の割合(元素比)は、通常、連続相中の活性金属の割合と異なっており、分散相中10%以下であってもよく、例えば8%以下、好ましくは5%以下である。活性金属の割合が多すぎると、導電ビア部の保形性や導電性、熱伝導性が低下する虞がある。
なお、本願において、連続相および分散相の金属組成は、SEM像によって相分離構造を確認した後、各相をSEM-EDS(エネルギー分散型蛍光X線を搭載した走査型電子顕微鏡)の元素分析によって測定でき、詳細には、後述する実施例に記載の方法で測定できる。
分散相が異なる金属を含む場合、異なる複数種の金属は合金化して分散相を形成してもよい。
(活性金属膜)
本発明のビア充填基板は、前記活性金属膜が前記導電ビア本体と孔部壁面との界面に存在するため、導電ビア部と孔部壁面との気密性および密着性を向上できる。
活性金属膜は、前記導電ビア本体と孔部壁面との界面に存在しており、界面に存在する活性金属膜は、密着性および気密性を向上できる点から、前記孔部壁面との界面において、前記界面に沿って連続して延びる相(連続相または連続膜)であるのが好ましい。
活性金属膜の平均厚みは、例えば0.1~10μm程度の範囲から選択でき、好ましくは0.3~5μm、さらに好ましくは0.5~3μm、より好ましくは1~2.5μmである。活性金属膜の厚みが薄すぎると、導電ビア部と孔部壁面との気密性および密着性が低下する虞があり、厚すぎると、導電性および熱伝導性が低下する虞がある。
なお、本願において、活性金属膜の存在およびサイズは、慣用の元素マッピング像、例えば、SEM-EDSを用いて得られた活性金属の元素マッピング像に基づいて確認および測定でき、詳細には後述する実施例に記載の方法で測定できる。そのため、本願では、元素マッピングで膜状に観察できる活性金属の分布状態を活性金属膜と称する。
[ビア充填基板の製造方法]
前記ビア充填基板の製造方法は、前記構造を有する導電ビア部を形成できる方法であれば特に限定されないが、高い生産性で製造できる点から、以下の製造方法で製造するのが好ましい。
好ましい製造方法は、孔部を有する絶縁性基板の前記孔部に、第1の導電ビア部用前駆体を充填する充填工程、前記充填工程で前記孔部に充填された前記第1の導電ビア部用前駆体の上に、第2の導電ビア部用前駆体を積層する積層工程、前記積層工程で得られた両前駆体を含む絶縁性基板を窒素雰囲気下で焼成する焼成工程を含むビア充填基板の製造方法であって、
前記第1の導電ビア部用前駆体が、金属成分Aおよび第1の有機ビヒクルを含む充填用導電ペーストを含み、
前記金属成分Aが、焼成温度を超える融点を有する高融点金属粒子であり、
前記充填工程が、前記充填用導電ペーストを前記孔部に充填するペースト充填工程を含み、
前記第2の導電ビア部用前駆体が、金属成分Bおよび第2の有機ビヒクルを含む積層用導電ペーストであり、
前記金属成分Bが、焼成温度よりも低い融点を有する難溶融金属粒子であり、
前記第1の導電ビア部用前駆体および前記第2の導電ビア部用前駆体の少なくとも一方が、活性金属を含む活性金属成分を含み、
前記充填用導電ペーストおよび前記第2の導電ビア部用前駆体の少なくとも一方が、前記難溶融金属粒子よりも低い融点を有する易溶融金属粒子である金属成分Cを含む製造方法である。
この製造方法では、前記充填工程と前記積層工程とを組み合わせることにより、導電ビア部と孔部壁面との気密性および密着性が高く、かつ導電ビア部の緻密性も高いビア充填基板を高い生産性で簡便に製造できる。このようなビア充填基板を簡便に製造できる理由は以下のように推定できる。
前記製造方法では、焼成工程において、金属成分Aは、焼成温度で溶融しないため、導電ビア部の導電性を担う主成分として孔部から流れ出ないように充填部の形状(骨格)を形成する役割を有している。前述のように、孔部に充填された導電ペーストが焼成されると、有機ビヒクルの消失に伴って空隙(ボイド)が生じる。これに対して、前記方法では、金属成分Aおよび有機ビヒクルを含む導電ペーストを含む第1の導電ビア部用前駆体で孔部を充填した後、前記第1の導電ビア部用前駆体の上に、難溶融金属粒子である金属成分Bを含む第2の導電ビア部用前駆体を積層し、好ましくは乾燥した状態で、金属成分Bの融点より高い温度で焼成する。その結果、有機ビヒクルが消失したことにより発生した空隙や金属成分Aの粒子間の隙間(特に、体積が大きい有機ビヒクル消失によるボイド)に、溶融した金属成分Bが流れ込み、ボイドや隙間を埋めながら金属を焼結することによって全体を緻密に焼結し、導電ビア部の緻密性を向上させていると推定できる。さらに、金属成分Bは、孔部壁面と第1の導電ビア部用前駆体との隙間にも流れ込み、隙間を埋めながら金属を焼結することによって気密性および密着性を向上させていると推定できる。
さらに、前記方法では、焼成工程において、金属成分C(易溶融金属粒子)が低温で溶融して活性金属成分(活性金属粒子)の表面を覆うことによって、高温でも活性金属成分が周辺に存在するガス(焼成雰囲気ガスの窒素や、有機ビヒクルが分解して発生する炭素や揮発性有機化合物など)と反応するのを防止できる。このような作用によって、活性金属成分は、窒素雰囲気中でも高温までその活性を保持でき、易溶融金属成分中に活性を保持した活性金属が含まれることで溶融金属は絶縁性基板に濡れて活性金属と絶縁性基板との間で反応することが可能となり、導電ビア部と孔部壁面とを強固に接合することができる。なお、易溶融金属(金属成分C)は、文字通り液化流動しているため、易溶融金属成分が高融点金属粒子の表面にも濡れることで過剰な流動を防いでいると推定できる。易溶融金属および高融点金属の種類によっては、焼成中に易溶融金属と高融点金属との間で合金化が進んで易溶融金属の融点が上昇することを利用して、流動化を抑制することも可能である。特に、前記方法では、易溶融金属成分の作用によって活性金属成分の活性を保持することにより、窒素雰囲気下で焼成して製造できるため、このような諸特性に優れたビア充填基板を簡便に製造でき、生産性も高い。
金属成分A、金属成分B、活性金属成分および金属成分Cは、このような作用によって、導電ビア部の緻密性ならびに導電ビア部と孔部との気密性および密着性を向上できると推定できる。活性金属成分および金属成分Cは、充填用導電ペーストおよび/または積層用導電ペーストに含まれていてもよく、活性金属成分は予め、孔部の壁面に積層してもよい。
(充填工程)
充填工程において、第1の導電ビア部用前駆体は金属成分Aおよび第1の有機ビヒクルを含む充填用導電ペーストを含み、前記充填工程は前記充填用導電ペーストを充填するペースト充填工程を含む。
(a)ペースト充填工程
前記ペースト充填工程において、前記充填用導電ペーストは、焼成温度を超える融点を有する高融点金属粒子である金属成分Aを含む。
(a1)金属成分A
金属成分Aである高融点金属粒子を形成する金属は、焼成温度を超える融点(例えば600℃以上)を有していれば、特に限定されない。前記金属は、高融点金属単体であってもよく、前記高融点金属を含む合金であってもよい。具体的には、前記高融点金属としては、例えば、Cu、Ag、Ni、W、Mo、Au、Pt、Pdなどが挙げられる。前記高融点金属を含む合金は、前記高融点金属同士の合金であってもよく、前記高融点金属と他の金属との合金であってもよい。他の金属は、合金の融点が焼成温度を超えれば特に限定されず、前記高融点金属と合金可能な金属であればよい。他の金属としては、例えば、後述する金属成分Bの項で例示される難溶融金属、後述する金属成分Cの項で例示される易溶融金属、後述する活性金属成分の項で例示される活性金属などが挙げられる。他の金属も、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。
高融点金属粒子を構成する金属としては、Cu、Ag、Ni、W、Mo、Au、PtおよびPdからなる群より選択された少なくとも1種の高融点金属またはこの高融点金属を含む合金が好ましく、Cu、Ag、Ni、WおよびMoからなる群より選択された少なくとも1種の高融点金属またはこの高融点金属を含む合金が特に好ましい。さらに、焼成時の粒子の焼結性の制御や、導電ビア部の保形をし易くなる点から、二種類以上の高融点金属粒子を組み合わせるのが好ましい。
これらの金属粒子のうち、導電性に優れ、かつ比較的融点が低く、800~950℃の焼成温度で粒子同士が互いに焼結し易い点から、Cu粒子(融点1085℃)、Ag粒子(融点962℃)が好ましく、経済性の点から、Cu粒子が特に好ましい。
Cu粒子は、他の高融点金属粒子と組み合わせてもよく、Cu粒子と、Ni、WおよびMoからなる群より選択された少なくとも1種の金属粒子との組み合わせが好ましい。Cu粒子と他の高融点金属粒子とを組み合わせる場合、他の高融点金属粒子の割合は、Cu粒子100体積部に対して、例えば10~1000体積部、好ましくは30~500体積部、さらに好ましくは50~300体積部、より好ましくは80~200体積部である。
さらに、高融点金属粒子は、気密性および密着性をさらに向上できる点から、熱膨張係数の小さい低熱膨張金属粒子(特に、W粒子および/またはMo粒子)を含むのが好ましい。熱膨張係数の小さい低熱膨張金属粒子を含むことにより、絶縁性基板との熱膨張係数の差異を低減できるために、焼成後の冷却による導電ビア部の収縮が抑制され、絶縁性基板の孔部壁面との間の剥離を抑制できる。
低熱膨張金属粒子は、熱膨張係数の大きい高熱膨張金属粒子(低熱膨張金属粒子以外の高融点金属粒子)と組み合わせてもよく、焼結性に優れるCu粒子および/またはAg粒子との組み合わせが好ましい。低熱膨張金属粒子(特に、W粒子および/またはMo粒子)と、高熱膨張金属粒子(特に、Cu粒子および/またはAg粒子)とを組み合わせる場合、低熱膨張金属粒子の割合は、高熱膨張金属粒子の全体積に対して、例えば10~99体積%、好ましくは30~90体積%、さらに好ましくは50~80体積%、より好ましくは60~70体積%である。
なお、本願において、体積割合は、25℃、大気圧下での体積割合を示す。
高融点金属粒子の形状としては、例えば、球状(真球状または略球状)、楕円体(楕円球)状、多面体状(多角錘状、立方体状や直方体状など多角柱状など)、板状(扁平状、鱗片状、薄片状など)、ロッド状または棒状、繊維状、樹針状、不定形状などが挙げられる。高融点金属粒子の形状は、通常、球状、楕円体状、多面体状、不定形状などである。充填密度が高くなる点や、ペーストとしての流動性に優れる点から、球状が好ましい。
高融点金属粒子の中心粒径(D50)は、ペーストとしての流動性、焼成後の緻密性ならびに気密性および密着性を向上できる点から、100μm以下(特に50μm以下)程度であってもよく、例えば0.001~50μm、好ましくは0.01~20μm、さらに好ましくは0.1~10μm、より好ましくは0.2~10μmである。中心粒径が大きすぎると、小さい孔部への充填が困難となる虞がある。
高融点金属粒子は、ペースト中の金属含有量を向上でき、導電ビア部の緻密性および導電性を向上できる点から、粒径3μm未満(例えば1nm以上3μm未満)の高融点金属小粒子(以下「小粒子」と称する)と、粒径3~50μmの高融点金属大粒子(以下「大粒子」と称する)との組み合わせが好ましい。
小粒子の中心粒径は、例えば0.1~2.5μm、好ましくは0.2~2μm、さらに好ましくは0.25~1.5μm、より好ましくは0.3~1μmである。小粒子の中心粒径が小さすぎると、導体ペーストの粘度が上昇して取り扱い性が困難となる虞があり、大きすぎると、緻密性向上効果が低下する虞がある。
大粒子の中心粒径は、例えば3~30μm、好ましくは4~20μm、さらに好ましくは4.5~15μm、より好ましくは5~10μmである。大粒子の中心粒径が小さすぎると、導体ペーストの焼結収縮が大きくなる虞があり、大きすぎると、導電ビア部の充填性が低下する虞がある。
なお、本願において、中心粒径は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置を用いて測定された平均粒径(体積基準)を意味する。
高融点金属粒子として、小粒子と大粒子とを組み合わせる場合、小粒子の割合は、大粒子100体積部に対して、例えば1~100体積部、好ましくは5~80体積部、さらに好ましくは10~50体積部、より好ましくは20~40体積部である。小粒子の割合が少なすぎると、導電ビア部の充填性が低下する虞があり、多すぎると、取り扱い性が低下する虞がある。
高融点金属粒子の融点は、焼成温度を超える融点であればよく、例えば600℃以上であってもよく、具体的には600~4000℃程度の範囲から選択でき、例えば800~2500℃、好ましくは850~2000℃、さらに好ましくは900~1500℃、より好ましくは950~1200℃である。融点が低すぎると、導電性、耐熱性が低下する虞がある。
高融点粒子である金属成分Aは、このような融点を有しているため、焼成の過程で溶融はしないが、金属成分Aの粒子間で焼結したり、金属成分Aと金属成分Bとがお互いに焼結して合金化してもよい。
高融点金属粒子は、慣用の方法で製造でき、例えば、湿式還元法、電解法、アトマイズ法、水アトマイズ法などの各種製法によって製造できる。
金属成分A(高融点金属粒子)の割合は、充填用導電ペースト中30体積%以上であってもよく、例えば30~99体積%、好ましくは35~80体積%、さらに好ましくは40~60体積%、より好ましくは45~55体積%である。金属成分Aの割合が少なすぎると、導電ビア部の保形性が低下する虞がある。
金属成分Aの体積割合は、第1の導電ビア部用前駆体に含まれる金属成分A、金属成分Cおよび活性金属成分の合計体積(以下「無機成分の合計体積」と称する)に対して、50体積%以上であってもよく、例えば60~100体積%、好ましくは65~95体積%、さらに好ましくは70~92体積%、より好ましくは80~90体積%である。さらに、金属成分Aの体積割合は、第1の導電ビア部用前駆体および第2の導電ビア部用前駆体中における割合が前記範囲であってもよい。すなわち、金属成分Aの体積割合は、第1の導電ビア部用前駆体および第2の導電ビア部用前駆体に含まれる無機成分の合計体積(金属成分A、金属成分Cおよび活性金属成分の合計体積)に対して、50体積%以上であってもよく、例えば60~100体積%、好ましくは65~95体積%、さらに好ましくは70~92体積%、より好ましくは80~90体積%であってもよい。金属成分Aの体積割合が小さすぎると、導電ビア部の保形性が低下したり、ボイドや隙間が発生する虞があり、大きすぎると、導電ビア部と孔部壁面との密着性が低下する虞がある。
(a2)第1の有機ビヒクル
前記充填用導電ペーストは、ペースト状(流動性のある状態)にするために、前記金属成分Aに加えて、有機ビヒクル(第1の有機ビヒクル)をさらに含む。
第1の有機ビヒクルは、金属粒子を含む導電性ペーストの有機ビヒクルとして利用される慣用の有機ビヒクル、例えば、有機バインダーおよび/または有機溶剤であってもよい。有機ビヒクルは、有機バインダーおよび有機溶剤のいずれか一方であってもよいが、通常、有機バインダーと有機溶剤との組み合わせ(有機バインダーの有機溶剤による溶解物)である。
有機バインダーとしては、特に限定されず、例えば、熱可塑性樹脂(オレフィン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース誘導体など)、熱硬化性樹脂(熱硬化性アクリル系樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂など)などが挙げられる。これらの有機バインダーは、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。これらの有機バインダーのうち、焼成過程で容易に焼失し、かつ灰分の少ない樹脂、例えば、アクリル系樹脂(ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレートなど)、セルロース誘導体(ニトロセルロース、エチルセルロース、ブチルセルロース、酢酸セルロースなど)、ポリエーテル類(ポリオキシメチレンなど)、ゴム類(ポリブタジエン、ポリイソプレンなど)などが汎用され、熱分解性などの点から、ポリ(メタ)アクリル酸メチルやポリ(メタ)アクリル酸ブチルなどのポリ(メタ)アクリル酸C1-10アルキルエステルが好ましい。
有機溶剤としては、特に限定されず、ペーストに適度な粘性を付与し、かつペーストを基板に塗布した後に乾燥処理によって容易に揮発できる有機化合物であればよく、高沸点の有機溶剤であってもよい。このような有機溶剤としては、例えば、芳香族炭化水素(パラキシレンなど)、エステル類(乳酸エチルなど)、ケトン類(イソホロンなど)、アミド類(ジメチルホルムアミドなど)、脂肪族アルコール(オクタノール、デカノール、ジアセトンアルコールなど)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブなど)、セロソルブアセテート類(エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテートなど)、カルビトール類(カルビトール、メチルカルビトール、エチルカルビトールなど)、カルビトールアセテート類(エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート)、脂肪族多価アルコール類(エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、トリエチレングリコール、グリセリンなど)、脂環族アルコール類[例えば、シクロヘキサノールなどのシクロアルカノール類;テルピネオール、ジヒドロテルピネオールなどのテルペンアルコール類(モノテルペンアルコールなど)など]、芳香族アルコール類(メタクレゾールなど)、芳香族カルボン酸エステル類(ジブチルフタレート、ジオクチルフタレートなど)、窒素含有複素環化合物(ジメチルイミダゾール、ジメチルイミダゾリジノンなど)などが挙げられる。これらの有機溶剤は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。これらの有機溶剤のうち、ペーストの流動性などの点から、カルビトールなどのカルビトール類、テルピネオールなどの脂環族アルコールが好ましい。
有機バインダーと有機溶剤とを組み合わせる場合、有機バインダーの割合は、有機溶剤100質量部に対して、例えば1~200質量部、好ましくは10~100質量部、さらに好ましくは20~50質量部程度であり、有機ビヒクル全体に対して5~80質量%、好ましくは10~50質量%、さらに好ましくは20~30質量%である。
第1の有機ビヒクルの割合は、金属成分A100体積部に対して、例えば10~300体積部、好ましくは30~200体積部、さらに好ましくは50~150体積部、より好ましくは70~100体積部である。第1の有機ビヒクルの割合が少なすぎると、取り扱い性が低下する虞があり、多すぎると、緻密性ならびに気密性および密着性が低下する虞がある。
(a3)金属成分C
前記充填用導電ペーストは、金属成分Aおよび第1の有機ビヒクルに加えて、活性金属成分を保護し、高温下で窒素、酸素、炭素などと活性金属との反応を抑制することなどにより、前記気密性および密着性を向上させるために、後述する金属成分Bである難溶融金属粒子よりも低い融点(好ましくは融点450℃以下)の易溶融金属粒子である金属成分C(第1の金属成分C)をさらに含んでいてもよい。なお、充填用導電ペーストは、金属成分Cを含んでいなくてもよいが、充填用導電ペーストが金属成分Cを含んでいない場合は、後述する積層用導電ペースト(第2の導電ビア部用前駆体)が金属成分Cを含む必要がある。すなわち、充填用導電ペーストおよび積層用導電ペーストの少なくとも一方が金属成分Cを含んでいればよく、緻密性ならびに気密性および密着性を向上できる点から、少なくとも充填用導電ペーストが金属成分Cを含むのが好ましく、充填用導電ペーストのみが金属成分Cを含むのがさらに好ましい。
金属成分Cである易溶融金属粒子を形成する金属は、難溶融金属粒子よりも低い融点を有していれば、特に限定されない。易溶融金属粒子を形成する前記金属は、易溶融金属単体であってもよく、前記易溶融金属を含む合金であってもよい。具体的には、前記易溶融金属としては、例えば、Bi、Sn、In、Znなどが挙げられる。前記易溶融金属を含む合金は、前記易溶融金属同士の合金であってもよく、前記易溶融金属と他の金属との合金であってもよい。他の金属は、合金の融点が難溶融金属粒子よりも低ければ特に限定されず、前記易溶融金属と合金可能な金属であればよい、他の金属としては、例えば、後述する金属成分Bの項で例示される難溶融金属、後述する活性金属成分の項で例示される活性金属などが挙げられる。他の金属も、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。
易溶融金属粒子を構成する金属としては、Bi、Sn、InおよびZnからなる群より選択された少なくとも1種の易溶融金属またはこの易溶融金属を含む合金を含む金属が好ましい。
これらの易溶融金属粒子は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。これらの易溶融金属粒子のうち、Bi粒子、Sn粒子、In粒子、Zn粒子がさらに好ましく、Sn粒子が特に好ましい。
易溶融金属粒子の形状は、通常の態様および好ましい態様も含めて、前記金属成分Aである高融点金属粒子の形状として例示された形状から選択できる。
易溶融金属粒子の中心粒径(D50)は0.1~100μm程度の範囲から選択でき、充填用導電ペーストの取り扱い性、およびより少量でも効果を発揮するという点から、例えば0.2~30μm、好ましくは0.5~20μm、さらに好ましくは1~10μmである。
易溶融金属粒子の融点は、活性金属成分(活性金属粒子)の表面を覆って、焼成雰囲気ガスの窒素などとの反応から保護するためには、好ましくは450℃以下であり、具体的には100~450℃程度の範囲から選択でき、例えば130~420℃、好ましくは150~400℃、さらに好ましくは180~300℃、より好ましくは200~250℃である。易溶融金属粒子の融点が高すぎると、溶融した易溶融金属粒子による活性金属成分(活性金属粒子)の表面を覆って保護する機能が低下して、導電ビア部と孔部壁面との接合力が不充分で、気密性および密着性が低下する虞がある。
金属成分Cは、導電性を担う主成分の金属成分Aに比べると、導電性は低いため、活性金属を保護するために必要な割合に調整するのが好ましい。金属成分Cの割合は、金属成分A100体積部に対して1~40体積部程度の範囲から選択でき、例えば2~30体積部、好ましくは3~25体積部、さらに好ましくは5~20体積部、より好ましくは10~15体積部である。金属成分Cの割合が少なすぎると、焼成時に溶融して発現する機能が小さくなり、導電ビア部と孔部壁面との接合力が不充分で、気密性および密着性が低下する虞がある。金属成分Cの割合が多すぎると、導電ビア部の導電性や熱伝導性が低下したり、金属成分A(高融点金属粒子)の粒子間に、溶融した金属成分Cが入り込み、表面から流れ込む金属成分Bの流入路を阻害し、ポーラス(空隙)が充填されない虞がある。また、金属成分Cの割合が多すぎると、焼成時に充填部から金属成分Cが流れ出る虞もある。
金属成分Cは、第1の導電ビア部用前駆体に含まれる金属成分Cの合計体積が、無機成分の合計体積に対して、例えば0.5~30体積%、好ましくは1~25体積%、さらに好ましくは2~20体積%(例えば3~20体積%)、より好ましくは5~15体積%となる体積割合となるように配合してもよい。さらに、金属成分Cの体積割合は、第1の導電ビア部用前駆体および第2の導電ビア部用前駆体中における割合が前記範囲であってもよい。すなわち、金属成分Cの体積割合は、第1の導電ビア部用前駆体および第2の導電ビア部用前駆体に含まれる無機成分の合計体積(金属成分A、金属成分Cおよび活性金属成分の合計体積)に対して、例えば0.5~30体積%、好ましくは1~25体積%、さらに好ましくは2~20体積%(例えば3~20体積%)、より好ましくは5~15体積%であってもよい。
(a4)活性金属成分
前記充填用導電ペーストは、金属成分Aおよび第1の有機ビヒクルに加えて、金属成分Aと絶縁性基板との接合性を向上させるために、活性金属成分(第1の活性金属成分)をさらに含んでいてもよい。なお、充填用導電ペーストは、活性金属成分を含んでいなくてもよいが、充填用導電ペーストが活性金属成分を含んでいない場合は、後述する金属膜および/または積層用導電ペーストが活性金属成分を含む必要がある。すなわち、充填用導電ペースト、金属膜および積層用導電ペーストの少なくとも一つが活性金属成分を含んでいればよく、緻密性ならびに気密性および密着性を向上できる点から、充填用導電ペーストおよび/または金属膜が活性金属成分を含むのが好ましく、少なくとも充填用導電ペーストが活性金属成分を含むのがさらに好ましく、充填用導電ペーストのみが活性金属成分を含むのがより好ましい。なお、金属膜は、必須ではない。
充填用導電ペーストに含まれる活性金属成分は、活性金属含有粒子であってもよい。活性金属含有粒子に含まれる活性金属としては、例えば、Ti、Zr、Hf、Nbなどが挙げられる。これらの活性金属は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。これらの活性金属のうち、焼成工程での活性に優れ、絶縁性基板と導電ビア部との接合力を向上できる点から、Ti、ZrおよびNbからなる群より選択された少なくとも1種が好ましく、Tiおよび/またはZrがさらに好ましく、Tiが特に好ましい。
活性金属含有粒子は、活性金属を含んでいればよく、前記活性金属単体で形成されていてもよいが、焼成工程での活性に優れる点から、活性金属を含む化合物で形成されているのが好ましい。
活性金属を含む化合物としては、特に限定されないが、例えば、水素化チタン(TiH)、水素化ジルコニウム(ZrH)、水素化ニオブ(HNb)などが挙げられる。これらのうち、焼成工程での活性に優れる点から、水素化チタン(TiH)が好ましい。
これらの活性金属を含む活性金属含有粒子は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用でき、水素化チタン粒子および/または水素化ジルコニウム粒子がさらに好ましく、水素化チタン粒子が特に好ましい。
前記活性金属含有粒子の形状は、通常の態様および好ましい態様も含めて、前記金属成分Aである高融点金属粒子の形状として例示された形状から選択できる。
前記活性金属含有粒子の中心粒径(D50)は0.1~100μm程度の範囲から選択でき、充填用導電ペーストの取り扱い性などの点から、例えば0.2~50μm、好ましくは0.5~20μm、さらに好ましくは1~10μmである。
活性金属成分の割合は、金属成分A100体積部に対して0.3~40体積部程度の範囲から選択でき、例えば0.4~36体積部、好ましくは1~30体積部、さらに好ましくは2~30体積部、より好ましくは3~20体積部、最も好ましくは5~10体積部である。活性金属成分の割合が少なすぎると、導電ビア部と孔部壁面との接合力が不充分で、気密性および密着性が低下する虞があり、多すぎると、導電性や焼結性が低下する虞がある。
活性金属成分は、第1の導電ビア部用前駆体に含まれる活性金属成分の合計体積が、無機成分の合計体積に対して、例えば0.1~30体積%、好ましくは0.3~25体積%、さらに好ましくは0.5~20体積%、より好ましくは1~15体積%、最も好ましくは3~10体積%となる割合で配合してもよい。さらに、活性金属成分の割合は、第1の導電ビア部用前駆体および第2の導電ビア部用前駆体中における割合が前記範囲であってもよい。すなわち、活性金属成分の体積割合は、第1の導電ビア部用前駆体および第2の導電ビア部用前駆体に含まれる無機成分の合計体積(金属成分A、金属成分Cおよび活性金属成分の合計体積)に対して、例えば0.1~30体積%、好ましくは0.3~25体積%、さらに好ましくは0.5~20体積%、より好ましくは1~15体積%、最も好ましくは3~10体積%であってもよい。
(a5)他の成分
前記充填用導電ペーストは、金属成分Aおよび第1の有機ビヒクルに加えて、本発明の効果を損なわない範囲で、慣用の添加剤をさらに含んでいてもよい。慣用の添加剤としては、例えば、無機バインダー(ガラスフリットなど)、硬化剤(アクリル系樹脂用硬化剤など)、熱膨張係数調整剤(シリカ粉など)、着色剤(染顔料など)、色相改良剤、染料定着剤、光沢付与剤、金属腐食防止剤、安定剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤など)、界面活性剤または分散剤(アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤など)、分散安定化剤、粘度調整剤またはレオロジー調整剤、保湿剤、チクソトロピー性賦与剤、レベリング剤、消泡剤、殺菌剤、充填剤などが挙げられる。これらの添加剤は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。他の成分の割合は、成分の種類に応じて選択でき、通常、充填用導電ペースト全体に対して10質量%以下(例えば0.01~10質量%)程度である。
(a6)絶縁性基板
前記充填用導電ペーストを孔部に充填する絶縁性基板の材質は、焼成工程を経るため、耐熱性が要求され、エンジニアリングプラスチックなどの有機材料であってもよいが、通常、無機材料(無機素材)である。
無機材料としては、例えば、セラミックス{金属酸化物(石英、アルミナまたは酸化アルミニウム、ジルコニア、サファイア、フェライト、チタニアまたは酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ニオブ、ムライト、ベリリアなど)、酸化ケイ素(二酸化ケイ素など)、金属窒化物(窒化アルミニウム、窒化チタンなど)、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化炭素、金属炭化物(炭化チタン、炭化タングステンなど)、炭化ケイ素、炭化ホウ素、金属ホウ化物(ホウ化チタン、ホウ化ジルコニウムなど)、金属複酸化物[チタン酸金属塩(チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸鉛、チタン酸ニオブ、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウムなど)、ジルコン酸金属塩(ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、ジルコン酸鉛など)など]など}、ガラス類(ソーダガラス、ホウケイ酸ガラス、クラウンガラス、バリウム含有ガラス、ストロンチウム含有ガラス、ホウ素含有ガラス、低アルカリガラス、無アルカリガラス、結晶化透明ガラス、シリカガラス、石英ガラス、耐熱ガラスなど)、ケイ素類(半導体ケイ素など)などが挙げられる。無機材料は、これらの無機材料と金属との複合材料(例えば、ほうろうなど)であってもよい。
絶縁性基板は、例えば、セラミックス基板、ガラス基板、シリコン基板、ほうろう基板などの耐熱性基板であってもよい。これらの耐熱性基板のうち、アルミナ基板、サファイア基板、窒化アルミニウム基板、窒化ケイ素基板、炭化ケイ素基板などのセラミックス基板;石英ガラス基板などのガラス基板が好ましい。
絶縁性基板の孔部壁面は、酸化処理[表面酸化処理、例えば、放電処理(コロナ放電処理、グロー放電処理、高温酸化処理など)、酸処理(クロム酸処理など)、紫外線照射処理、焔処理など]、表面凹凸処理(溶剤処理、サンドブラスト処理など)などの表面処理がされていてもよい。
絶縁性基板の平均厚みは、用途に応じて適宜選択すればよく、例えば0.01~10mm、好ましくは0.05~5mm、さらに好ましくは0.1~1mm、より好ましくは0.2~0.8mmである。
絶縁性基板には、導電ビア部を充填するための孔部(通常、複数の孔部)が形成されており、この孔部は通常は貫通孔であるが、非貫通孔であってもよい。孔部の基板面方向に平行な断面形状は、特に限定されず、多角形状(三角形状、四角形状や六角形状など)などであってもよいが、通常、円形状または楕円形状であり、円形状が好ましい。
孔部の平均孔径は、例えば0.05~10mm、好ましくは0.08~5mm、さらに好ましくは0.1~1mm程度である。
孔部の形成方法は、特に限定するものではなく、レーザー法、ブラスト法、超音波法、研削法、ドリル法などの公知な方法を適宜使用できる。
(a7)充填用導電ペーストの充填方法
充填用導電ペーストの孔部への充填方法は、例えば、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法、凹版印刷法(例えば、グラビア印刷法など)、オフセット印刷法、凹版オフセット印刷法、フレキソ印刷法などの印刷方法や、ロール圧入法、スギージ圧入法、プレス圧入法などの直接圧入法などが挙げられる。これらの方法のうち、スクリーン印刷法などが好ましい。
充填後は、自然乾燥してもよいが、加熱して乾燥してもよい。加熱温度は、有機溶剤の種類に応じて選択でき、例えば50~200℃、好ましくは60~180℃、さらに好ましくは100~150℃程度である。加熱時間は、例えば1~60分、好ましくは3~40分、さらに好ましくは5~30分である。
(b)金属膜形成工程
前記充填工程は、前記ペースト充填工程の前工程として、孔部の孔部壁面に活性金属成分(第2の活性金属成分)を含む金属膜を形成する金属膜形成工程をさらに含んでいてもよい。金属膜形成工程は、前記ペースト充填工程における充填用導電ペーストおよび/または後述する積層工程における積層用導電ペーストが活性金属成分を含まない場合に有効であり、前記充填用導電ペーストが活性金属成分を含まない場合に特に有効である。充填用導電ペーストおよび/または積層用導電ペーストが活性金属成分を含んでいない場合であっても、第1の導電ビア部用前駆体として、孔部壁面に活性金属成分を含む金属膜を積層することにより、導電ペースト中の金属成分Aに作用して、緻密性ならびに気密性および密着性を向上できる。
金属膜は、活性金属を含んでいればよい。金属膜の平均厚みは、例えば0.01μm以上であり、例えば0.05~1μm、好ましくは0.1~0.5μm、さらに好ましくは0.2~0.4μmである。
金属膜形成工程は、金属膜が活性金属成分を含んでいればよいが、活性金属で形成された活性金属層を形成する活性金属層形成工程を含むのが好ましい。
活性金属としては、前記充填用導電ペーストの項で例示された活性金属などが挙げられる。前記活性金属は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。前記活性金属のうち、焼成工程での活性に優れ、絶縁性基板と導電ビア部との接合力を向上できる点から、Tiおよび/またはZrが好ましく、Tiが特に好ましい。
活性金属層の平均厚みは、例えば0.005μm以上であり、例えば0.005~1μm、好ましくは0.01~0.5μm、さらに好ましくは0.05~0.4μm、より好ましくは0.1~0.3μmである。活性金属層の厚みが薄すぎると、密着性が低下する虞があり、厚すぎると、導電性および焼結性が低下する虞がある。
金属膜形成工程は、前記活性金属層の上にさらに高融点金属で形成された保護層形成工程をさらに含むのが好ましい。本発明では、前記活性金属層の上に保護層を積層することにより、孔部壁面に形成した活性金属層が、焼成前や焼成中の過程において、酸素、窒素、炭素などとの反応から前記活性金属層を保護し、活性金属が失活するのを抑制できる。特に、充填用導電ペーストに含まれる金属成分Cとの組み合わせにより、活性金属の保護機能をより向上できる。
高融点金属としては、例えば、Cu、Ni、Pd、Ptなどが挙げられる。これらの高融点金属は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用でき、二種以上を組み合わせた合金であってもよい。これらの高融点金属のうち、Pd、Ptが好ましく、Pdが特に好ましい。
保護層の平均厚みは、例えば0.005μm以上であり、例えば0.005~1μm、好ましくは0.01~0.5μm、さらに好ましくは0.05~0.3μm、より好ましくは0.08~0.2μmである。保護層の厚みが薄すぎると、密着性を向上させる効果が低下する虞があり、厚すぎると、導電性および焼結性が低下する虞がある。
金属膜の形成方法としては、物理蒸着法(PVD法)、化学蒸着法(CVD法)などを利用できるが、容易に金属膜を形成できる点から、物理蒸着法が好ましい。物理蒸着法としては、例えば、真空蒸着法、フラッシュ蒸着法、電子ビーム蒸着法、イオンビーム蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、分子線エピタキシー法、レーザーアブレーション法などが挙げられる。これらのうち、物理的なエネルギーが高く、形成された金属膜と絶縁性基板との間の密着力を向上できる点から、スパッタリング法、イオンプレーティング法が好ましく、スパッタリング法が特に好ましい。スパッタリング法は、慣用の条件で利用できる。
(研磨工程)
前記充填工程で孔部に第1の導電ビア部用前駆体が充填された絶縁性基板は、そのまま積層工程に供してもよいが、孔部に充填された第1の導電ビア部用前駆体の表面を研磨する研磨工程を経た後に積層工程に供してもよい。研磨工程によって、第1の導電ビア部用前駆体の表面を平滑にすると、第2の導電ビア部用前駆体を均一に積層し易く、緻密性ならびに気密性および密着性を向上できる。
研磨工程における研磨方法としては、物理的な研磨方法であってもよく、化学的な研磨方法であってもよい。物理的な研磨方法としては、例えば、バフ研磨、ラップ研磨、ポリッシング研磨などが挙げられる。化学的な研磨方法(表面処理方法)としては、例えば、過硫酸ナトリウム水溶液などで最表面をソフトエッチングする方法などが挙げられる。これらのうち、バフ研磨などの物理的研磨方法が好ましい。
(積層工程)
積層工程において、第2の導電ビア部用前駆体は、金属成分Bおよび第2の有機ビヒクルを含む積層用導電ペーストである。
(c1)金属成分B
金属成分Bである難溶融金属粒子を形成する金属は、焼成温度で溶融する融点(前記金属成分Aよりも低い融点)を有していれば、特に限定されない。前記金属は、難溶融金属単体であってもよく、難溶融合金であってもよい。具体的には、難溶融金属としては、例えば、金属成分Aの項で例示された高融点金属などが挙げられる。難溶融合金としては、例えば、前記難溶融金属同士の合金、金属成分Aの項で例示された高融点金属同士の合金、難溶融金属と高融点金属との合金、難溶融金属と金属成分Cの項で例示された易溶融金属との合金、高融点金属と易溶融金属との合金、高融点金属と難溶融金属と易溶融金属との合金などが挙げられる。
難溶融金属粒子を構成する金属としては、難溶融金属単体、高融点金属同士の合金、高融点金属と易溶融金属との合金が汎用される。
難溶融金属単体を構成する高融点金属としては、金属成分Aとして利用されている高融点金属よりも融点の低い高融点金属であればよく、Cuおよび/またはAgが好ましい。
難溶融合金を構成する高融点金属としては、Cu、Ag、Ni、Au、Pt、Pd(特に、Cuおよび/またはAg)が好ましい。
難溶融合金を構成する易溶融金属としては、Bi、Sn、Zn(特に、Snおよび/またはZn)が好ましい。合金として高融点金属または難溶融金属に対して易溶融金属を組み合わせることにより、広い範囲で金属成分Bの融点を調整することが可能であるが、易溶融金属を含む金属成分Bは導電性が低下するため、易溶融金属の割合は必要最小量に留めるのが好ましい。
これらの難溶融金属粒子のうち、緻密性ならびに気密性および密着性に加えて、導電性も向上できる点から、Cu、Ag、Ni、Au、PtおよびPdからなる群より選択された少なくとも1種の高融点金属を含む難溶融金属粒子が好ましく、生産性などの点から、前記高融点金属を含む難溶融合金を含む難溶融金属粒子(特に、Cu、Ag、Ni、Au、PtおよびPdからなる群より選択された少なくとも1種の高融点金属を含む難溶融合金粒子)がさらに好ましく、Agおよび/またはCuを含む合金粒子がより好ましく、Agを含む合金粒子(例えば、Ag-Cu合金粒子、Ag-Sn合金粒子、Ag-Cu-Zn-Sn合金粒子など)が特に好ましく、Ag-Cu合金粒子が最も好ましい。
なお、金属成分Bは、第1の導電ビア部用前駆体とは別個に調製して第1の導電ビア部用前駆体の上に積層するため、合金可能な複数の金属単体粒子を組み合わせて配合すると、焼成工程において、金属単体粒子同士が合金化した状態で孔部の隙間やボイドに流れ込む。そのため、本願において、金属成分Bにおける合金は、原料段階で金属単体粒子であっても、焼成工程において金属成分Bとして合金化する複数の金属単体粒子の組み合わせも含む意味で用いる。さらに、合金として金属単体粒子を組み合わせる態様においては、金属成分Bの融点は、各金属単体粒子の融点ではなく、焼成工程で合金化した合金粒子の融点である。そのため、原料段階における合金化前の金属単体粒子の一部が、充填用導電ペーストにおける易溶融金属粒子であっても、合金が難溶融金属に相当するため、合金化した金属成分Bは、難溶融金属粒子に分類する。
難溶融金属粒子の形状は、通常の態様および好ましい態様も含めて、前記金属成分Aである高融点金属粒子の形状として例示された形状から選択できる。
難溶融金属粒子の中心粒径(D50)は0.01~100μm程度の範囲から選択でき、積層用導電ペーストの取り扱い性などの点から、例えば0.1~30μm、好ましくは0.5~20μm、さらに好ましくは1~15μm、より好ましくは3~15μm、最も好ましくは4~10μmである。
金属成分Bが難溶融金属単体で形成された粒子を含む場合、この粒子の中心粒径(D50)は10μm以下であってもよく、例えば0.01~10μm、好ましくは0.05~5μm、さらに好ましくは0.1~3μm、より好ましくは0.3~1μmである。難溶融金属単体で形成された粒子の粒径が大きすぎると、合金化が十分に進行しない虞がある。
難溶融金属粒子の融点は、焼成温度よりも低ければよいが、通常450℃を超えており、具体的には450℃超1100℃程度の範囲から選択でき、例えば500~1000℃、好ましくは600~960℃、さらに好ましくは650~900℃、より好ましくは700~830℃、最も好ましくは750~800℃である。難溶融金属粒子の融点が高すぎると、難溶融金属粒子の流動性が低下して、緻密性ならびに気密性および密着性が低下する虞がある。難溶融金属粒子の融点が低すぎると、流動しすぎて導電ビア部から流出し易くなって、緻密性ならびに気密性および密着性が低下する虞がある。
金属成分Bの割合は、積層用導電ペースト中30体積%以上であってもよく、例えば30~75体積%、好ましくは40~70体積%、さらに好ましくは45~60体積%、より好ましくは50~55体積%である。金属成分Bの割合が少なすぎると、充填ビア部に流れ込む金属成分Bの量が不足して緻密性が低下する虞があり、流れ込む量を確保するには積層(印刷)回数を多くする必要がある。積層回数が多すぎると、印刷性が低下する。
金属成分Bの割合は、充填用導電ペーストに含まれる金属成分Aの100体積部に対して、例えば10~100体積部、好ましくは20~60体積部、さらに好ましくは30~50体積部、より好ましくは35~45体積部である。金属成分Aに対する金属成分Bの割合が、少なすぎると、緻密性ならびに気密性および密着性(特に、緻密性)が低下する虞がある。金属成分Aに対する金属成分Bの割合が、多すぎると、経済性が低下する虞がある。
積層用導電ペースト(第2の導電ビア部用前駆体)中において、金属成分Bの体積割合は、無機成分の合計体積に対して、例えば60~100体積%、好ましくは70~100体積%、さらに好ましくは80~100体積%、より好ましくは85~100体積%である。金属成分Bの体積割合が小さすぎると、流動性が低下して緻密性ならびに気密性および密着性(特に、緻密性)が低下する虞がある。金属成分Bの体積割合は、積層用導電ペーストに活性金属成分や金属成分Cを配合する必要がなければ、100体積%にするのが好ましい。
金属成分Bの割合が第1の有機ビヒクルの体積と略同体積であると、焼成に伴って第1の有機ビヒクルが消失して生じるボイドに金属成分Bが過不足なく充填され、導電ビア部の緻密性を向上できる。そのため、第2の導電ビア部用前駆体の体積は、金属成分Bおよび第1の有機ビヒクルの体積の関係から選択でき、理論上は、両体積が同一体積となる割合が好ましいが、金属成分Bは孔部周囲の基板表面に滞留したり、孔部から流れ出し易いため、同一体積よりも大きくなる割合であってもよい。
具体的には、金属成分Bの割合は、第1の有機ビヒクル100体積部に対して、例えば100~1000体積部、好ましくは120~700体積部、さらに好ましくは150~500体積部、より好ましくは200~300体積部である。金属成分Bの体積割合が少なすぎると、緻密性が低下する虞があり、多すぎると、経済性が低下する虞がある。
(c2)第2の有機ビヒクル
前記積層用導電ペーストは、取り扱い性を向上させるために、前記金属成分Bに加えて、有機ビヒクル(第2の有機ビヒクル)をさらに含む。
第2の有機ビヒクルの材質は、好ましい態様も含めて、前記充填用導電ペーストの項で例示された第1の有機ビヒクルの材質から選択できる。
第2の有機ビヒクルの割合は、積層用導電ペーストの全体積に対して、例えば25~65体積%、好ましくは30~60体積%、さらに好ましくは40~55体積%、より好ましくは45~52体積%である。第2の有機ビヒクルの割合が少なすぎると、取り扱い性が低下する虞があり、多すぎると、充填ビア部に流れ込む金属成分Bが不足して緻密性が低下する虞があり、流れ込む量を確保するには積層(印刷)回数を多くする必要がある。
(c3)金属成分C
前記積層用導電ペーストは、金属成分Bおよび第2の有機ビヒクルに加えて、金属成分C(第2の金属成分C)をさらに含んでいてもよい。
金属成分Cの材質は、好ましい態様も含めて、前記充填用導電ペーストの項で例示された金属成分C(第1の金属成分C)の材質から選択できる。
金属成分Cの割合は、積層用導電ペーストの全体積に対して40体積%以下(例えば0.1~40体積%)であってもよく、好ましくは30体積%以下、さらに好ましくは20体積%以下(例えば1~20体積%)である。
(c4)活性金属成分
前記積層用導電ペーストは、金属成分Bおよび第2の有機ビヒクルに加えて、活性金属成分(第3の活性金属成分)をさらに含んでいてもよい。
活性金属成分の材質は、好ましい態様も含めて、前記充填用導電ペーストの項で例示された活性金属成分(第1の活性金属成分)の材質から選択できる。
活性金属成分の割合は、積層用導電ペーストの全体積に対して40体積%以下(例えば0.1~40体積%)であってもよく、好ましくは30体積%以下、さらに好ましくは10体積%以下(例えば1~10体積%)である。
(c5)他の成分
前記積層用導電ペーストは、金属成分Bおよび第2の有機ビヒクルに加えて、本発明の効果を損なわない範囲で、慣用の添加剤をさらに含んでいてもよい。慣用の添加剤としては、前記充填用導電ペーストの項で例示された添加剤などが挙げられる。他の成分の割合は、成分の種類に応じて選択でき、通常、積層用導電ペースト全体積に対して10体積%以下(例えば0.01~10体積%)程度である。
(c6)積層用導電ペーストの割合
積層用導電ペーストは、絶縁性基板の孔部に充填された第1の導電ビア部用前駆体(一方の面における第1の導電ビア部用前駆体)の上に積層すればよく、絶縁性基板の孔部に充填されて孔部の開口部において露出した前記第1の導電ビア部用前駆体の少なくとも一部を被覆するように積層すればよい。具体的には、緻密性ならびに気密性および密着性を向上できる点から、前記孔部の開口部の面積(第1の導電ビア部用前駆体表面の面積)に対して50%以上(好ましくは80%以上、さらに好ましくは100%以上)の面積割合で第2の導電ビア部用前駆体を積層するのが好ましい。生産性の点から、開口部よりも大きい径で第2の導電ビア部用前駆体を積層するのが好ましく、開口部の開口径に対して1.1倍以上(例えば1.1~5倍、好ましくは1.2~3倍、さらに好ましくは1.3~2倍程度)の径を有する第2の導電ビア部用前駆体を積層してもよい。
第2の導電ビア部用前駆体の割合は、第1の有機ビヒクルに対する金属成分Bの体積割合が前記範囲となる割合であってもよい。第1の導電ビア部用前駆体(充填用導電ペースト)の第1の有機ビヒクルに基づいて、第2の導電ビア部用前駆体(積層用導電ペースト)の割合を調整する場合は、以下の方法で調整できる。
すなわち、第2の導電ビア部用前駆体(積層用導電ペースト)の必要量は、下記式に基づいて計算できる。
積層用導電ペースト必要量(体積)=[金属成分Bの必要量(体積)]÷[積層用導電ペースト中の金属成分Bの体積割合]
なお、金属成分Bの必要量は、下記式に基づいて計算できる。
金属成分Bの必要量(体積)=[孔部(導電ビア部)の体積]×[充填用導電ペースト中の第1の有機ビヒクルの体積割合]。
第2の導電ビア部用前駆体の厚みは、前記割合に基づいて積層用導電ペースト量と、前記積層用導電ペーストの塗布面積から求めればよく、おおむね、第1の導電ビア部用前駆体の厚み(孔部深さ)に対して、例えば5~120%、好ましくは8~100%、さらに好ましくは10~80%、より好ましくは12~70%、最も好ましくは15~50%である。
(c7)積層用導電ペーストの積層方法
積層用導電ペーストの孔部上面への積層方法は、例えば、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法、凹版印刷法(例えば、グラビア印刷法など)、オフセット印刷法、凹版オフセット印刷法、フレキソ印刷法などの印刷方法などが挙げられる。これらの方法のうち、スクリーン印刷法などが好ましい。
積層後は、自然乾燥してもよいが、加熱して乾燥してもよい。加熱温度は、有機溶剤の種類に応じて選択でき、例えば50~200℃、好ましくは60~180℃、さらに好ましくは100~150℃程度である。加熱時間は、例えば1~60分、好ましくは3~40分、さらに好ましくは5~30分である。
積層は、必要な厚みに応じて、印刷を繰り返すことで複数の層を積層してもよい。印刷を繰り返す場合は、1回の印刷ごとに乾燥を行ってもよい。
(焼成工程)
焼成工程において、焼成温度は、金属成分Aの融点未満で、かつ金属成分Bの融点超であればよい。焼成温度(ピーク温度)は、金属成分Bの融点よりも30~200℃高い温度から選択でき、好ましくは50~150℃高い温度、さらに好ましくは80~120℃高い温度である。具体的な焼成温度は600℃以上(例えば800~1000℃程度)であってもよい。焼成時間(ピーク保持時間)は、例えば5分~3時間、好ましくは8分~1時間、さらに好ましくは10分~20分程度である。室温からピーク温度までの昇温、およびピーク保持時間以降の室温までの降温は、それぞれ10分~3時間、好ましくは20分~2時間、さらに好ましくは25分~60分である。
なお、焼成の雰囲気は、窒素ガス雰囲気である。本発明では、雰囲気ガスとして、活性金属と反応する窒素ガスを用いても、金属成分Cの作用によって、高温において活性金属の活性を維持できるため、真空装置や耐熱性容器などの特殊な製造装置を用いることなく、簡便な方法で、緻密性ならびに気密性および密着性の高いビア充填基板を製造できる。
(図面による説明)
以下、図面を参照しながら、本発明のビア充填基板の製造方法の製造工程について説明する。図1は、充填工程がペースト充填工程のみである製造方法の工程図であり、図2は、充填工程が金属膜形成工程およびペースト充填工程からなる製造方法の工程図である。
図1および図2のいずれも本発明の製造方法の一例である。
充填工程がペースト充填工程のみである製造方法では、最初に、図1(a)に示されるように、耐熱性基板1に孔部1aが形成される。次に、図1(b)に示されるように、充填工程として前記孔部1aに充填用導電ペースト3を充填し、乾燥後、充填した前記充填用導電ペースト3の表面を研磨して平坦化する。さらに、図1(c)に示されるように、研磨した充填用導電ペースト3の表面に積層用導電ペースト4を積層し、乾燥する。最後に、両導電ペーストを含む絶縁性基板1を焼成して導電ビア部5を形成する。
充填工程が金属膜形成工程およびペースト充填工程からなる製造方法でも、最初は、図2(a)に示されるように、耐熱性基板11に孔部11aが形成される。次に、この方法では、形成した孔部11aの壁面(内壁面)に活性金属を含む金属膜12をスパッタなどによって形成した後、壁面に金属膜12が積層された孔部11aに充填用導電ペースト13を充填する。充填用導電ペースト13を充填した後は、図1の方法と同様にして、積層用導電ペースト14を積層し、導電ビア部15を形成する。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。以下の例において、導電ペーストの調製方法および評価試験の測定方法を以下に示す。
[使用した材料]
(金属成分A)
銅粒子A:中心粒径0.8μmの銅粒子、融点1085℃
銅粒子B:中心粒径6.5μmの銅粒子、融点1085℃
銅粒子C:中心粒径8μmの銅粒子、融点1085℃
銀粒子A:中心粒径2.5μmの銀粒子、融点962℃
ニッケル粒子:中心粒径0.7μmのニッケル粒子、融点1455℃
モリブデン粒子:中心粒径3μmのモリブデン粒子、融点2620℃
タングステン粒子:中心粒径5μmのタングステン粒子、融点3683℃
(金属成分B)
銅粒子D:中心粒径0.5μmの銅粒子、融点1085℃
銀粒子B:中心粒径0.5μmの銀粒子、融点962℃
AgCu粒子:中心粒径5μmの72Ag-28Cu合金粒子、融点780℃
AgCuZnSn粒子:中心粒径5μmの56Ag-22Cu-17Zn-5Sn半田粉、融点650℃
スズ粒子:中心粒径8μmのスズ粒子、融点232℃
(金属成分C)
スズ粒子:中心粒径8μmのスズ粒子、融点232℃
ビスマス粒子:中心粒径16μmのビスマス粒子、融点271℃
インジウム粒子:中心粒径25μmのインジウム粒子、融点156℃
亜鉛粒子:中心粒径7μmの亜鉛粒子、融点419℃
(活性金属)
水素化チタン(TiH)粒子:中心粒径6μm
水素化ジルコニウム(ZrH)粒子:中心粒径5μm
(有機ビヒクル)
有機バインダーであるアクリル樹脂と、有機溶剤であるカルビトールおよびテルピネオールの混合溶媒(質量比1:1)とを、有機バインダー:有機溶剤=1:3の質量比で混合した混合物。
[導電ペーストの調製]
表1~4に示す組成で各原料を秤量し、ミキサーにより混合した後、三本ロールで均一に混練することによって、導電ペースト1(充填用導電ペースト)、導電ペースト2(積層用導電ペースト)を調製した。
なお、表1~3において、金属成分A、活性金属および金属成分Cの比率(体積比)は、導電ペースト1における無機成分の合計体積に対する比率である。
Figure 2022013766000001
Figure 2022013766000002
Figure 2022013766000003
Figure 2022013766000004
[導電ビア部の空隙率(ボイド率)]
焼成後のビア充填基板の導電ビア部の中心部付近をダイヤモンドソーで基板に対して垂直方向に切断した上、イオンミリングにより切断面を平滑に仕上げ加工した。加工した試料を走査型電子顕微鏡(日本電子(株)製)で観察し、組成像にて2相の存在を確認し、画像解析により導電ビア部の空隙率(ボイド率)を算出した。
(判定方法)
◎:空隙率(ボイド率)5%以下(合格)
○:空隙率(ボイド率)5%超10%以下(合格)
×:空隙率(ボイド率)が10%を超える(不合格)。
[導電ビア部と基板との密着性]
導電ビア部と基板(孔部の壁面)との間の密着性について、上記のイオンミリングにて平滑に仕上げ加工した試料について、走査型電子顕微鏡を用いて3000倍の倍率で観察し、導電ビア部と孔部の壁面との間に隙間が存在するかを確認した。なお、導体の熱膨張率がセラミックス基板より高いため、高温焼成した後、室温まで冷却する際、導体の収縮量は基板より高くなるため、導体と基板との間の密着力が不十分な場合、導体は孔部壁面から剥がれ、微小な隙間が生じる結果となる。
(判定方法)
◎:隙間が存在しない(合格)
○:局部的に0.5μm以下の隙間が存在する(合格)
×:0.5μmを超える隙間が存在する(不合格)。
[導電ビア部のシール性(気密性)]
孔部表面に赤インクを塗布し、密閉した上でインク塗布面を圧縮空気で0.5MPaの圧力で60秒加圧した。孔部の反対面から赤インクの漏れ出しの有無を確認する。
(判定方法)
◎:10孔中、インク漏れ0孔(合格)
○:10孔中、インク漏れ2孔まで(合格)
×:10孔中、インク漏れ3孔以上(不合格)。
[相の構成金属の組成分析]
上記のイオンミリングにて平滑に仕上げ加工した試料について、走査型電子顕微鏡で観察し、異なる相の存在を確認し、それぞれの相をSEM-EDS分析により構成金属組成(質量%)を確認した。SEM-EDS分析は、日本電子(株)製走査型電子顕微鏡JSM-IT300LAに付属のエネルギー分散型蛍光X線分析装置JED-2300を用いた。
[活性金属膜の観察]
上記のイオンミリングにて平滑に仕上げ加工した試料について、SEM-EDSの元素分析で検出された元素(Ti)の分布を画像化したTiマッピング像に基づいて活性金属膜の形態を観察した。Tiマッピング像は、積算回数を重ねることによりコントラストを強くした状態で観察され、元素の濃度が高いほど、明度(白色)が高く表示されるため、活性金属膜であるTi膜は白色領域として観察できる。SEM-EDS分析は、日本電子(株)製走査型電子顕微鏡JSM-IT300LAに付属のエネルギー分散型蛍光X線分析装置JED-2300を用いた。
[総合評価の判定方法(ランク付け)]
空隙率(ボイド率)、密着性およびシール性(気密性)の結果について、総合評価として、以下の基準で判定し、ランク付けした。
A:空隙率(ボイド率)、密着性、シール性(気密性)が全て◎である(合格)
B:空隙率(ボイド率)、密着性、シール性(気密性)が◎か○である(合格)
C:空隙率(ボイド率)、密着性、シール性(気密性)のいずれかに×がある(不合格)。
[実施例1]
以下に示す方法で、基板を作製した。
(基板の準備)
2インチ×2インチ×0.5mm厚みの窒化アルミニウム基板((株)MARUWA製「170W」)に、レーザー装置で孔径φ0.1mmおよび0.3mmの貫通孔をそれぞれ複数形成した。
(ビア充填基板の作製工程)
孔径φ0.1mmおよび0.3mmの貫通孔をそれぞれ多数有する2インチ×2インチ×0.5mm厚みの窒化アルミニウム基板に、表1に示す導電ペースト1-1を用いてメタルマスク(板厚が0.1mmで、開口の直径が貫通孔の直径よりも0.2mm大きいメタルマスク)を通してスクリーン印刷により貫通孔を充填し、120℃の送風乾燥機で10分間乾燥した。その後、バフ研磨機を1回通過させてメタルマスクから由来する孔部上の基板表面に突起している導電ペーストを除去し、基板表面を平坦にした。
その後、上記と同じメタルマスクを用いて、導電ペースト1-1で充填した孔部の一方の表面に導電ペースト2-1を印刷し、孔部表面に孔径より直径が0.2mm大きい導電ペースト2の円形パターンを形成した。導電ペースト2-1を印刷した基板を、100℃の送風乾燥機で10分間乾燥した。なお、孔径φ0.3mmの貫通孔に関しては、1回印刷したペースト2の量(ウエット膜厚0.1mm)では孔の内部の空隙を全て埋めることは不十分である可能性があるため、導電ペースト2-1を印刷、乾燥した後、さらに重ねて2回(合計3回)印刷した。
導電ペースト2-1を印刷した面を基板の上部に位置させ、ベルト式連続焼成炉にて窒素雰囲気中、ピーク温度900℃、ピーク保持時間10分間焼成した。焼成炉に投入してから、焼成後の基板を排出するまでの総時間は60分であった。
実施例1の条件および評価結果を表4~7に示す。焼成温度下で溶融しない金属成分Aとして異なる粒径の銅混合粉(84.0体積%)、活性金属成分として水素化チタン(5.7体積%)、金属成分Cとしてはスズ粉(10.4体積%)からなる導電ペースト1-1を用いて窒化アルミニウム基板の貫通孔を充填し、充填した導電ビア部の上部表面に金属成分Bとして、銀72%、銅28%の銀銅合金粉(融点780℃)からなる導電ペースト2-1をスクリーン印刷で積層して焼成した基板について、導電ビア部の空隙率(ボイド率)、導電ビア部と基板との密着性、シール性(気密性)を確認した。
図3は、実施例1における孔部(導電ビア部)の断面SEM像であり、図4は、前記孔部における導電ビア部と孔部壁面との界面部の拡大像である。図5は、導電ビア部と孔部壁面との界面部の活性金属Tiの元素マッピング像である。なお、図4および5において、右側が導電ビア部側である。図3の断面全体像から、導電ビア部に空隙(ボイド)は見られなかった[空隙率(ボイド率)1%以下]。また、図4の導電ビア部と孔部壁面との接合部の拡大像から、導電ビア部と孔部壁面との隙間はなく、密着性に優れていた。さらに、シール性(気密性)も優れていた。
さらに、図4の拡大像から導電ビア部には、灰色の連続相(灰色相)と、白色の分散相(白色相)との2相が存在することが判る。相の構成金属の組成分析により、濃色相である灰色相の金属組成(元素比)はCu/Ag=91/9(Cuリッチ相)、淡色相である白色相の金属組成はAg/Cu/Sn/Ti=76.7/7/12/4.3(Agリッチ相)であった。Agリッチ相は、ボイドなどの空隙を導電ペースト2-1で埋めた部位に相当し、導電ペースト2-1を用いなければ、この相は空隙になっていた相であると推定できる。
また、図5のTiマッピング像から、活性金属であるTi成分はAgリッチ相に存在し、特に導電ビア部と孔部壁面との界面部に多く存在することが判る。導電ペースト1-1に含まれていた活性金属成分は、拡散して界面部に活性金属膜として偏析し、孔部壁面と接合して強固な密着力を形成したことが推察できる。なお、図5において、明瞭な白色領域がTi成分である。
[実施例2~6]
導電ペースト1-1の代わりに、導電ペースト1-2、1-3、1-4、1-5、1-6を用いて、導電ペースト1中の焼成温度で溶融しない金属成分Aとして、それぞれ異なる粒径の銅混合粉、銀粉、ニッケル/銅混合粉、モリブデン/銅混合粉、タングステン/銅混合粉を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法でビア充填基板を作製した。
実施例2~6の条件および評価結果を表4~7に示す。実施例1と同様に、空隙率(ボイド率)、密着性、シール性(気密性)において、いずれも良好な結果が得られた。
図6は、実施例3における孔部の断面SEM像であり、図7は、前記孔部における導電ビア部と孔部壁面との界面部の拡大像である。図8は、前記孔部における導電ビア部と孔部壁面との界面部の活性金属Tiの元素マッピング像である。なお、図7および8において、左側が導電ビア部側である。導電ビア部の主成分である金属成分Aとして銀粉を使用したので、銀リッチ相(白色相)の面積が大きくなっており、逆に銅は金属成分Bに含まれて空隙を埋めている成分の一部であるため、実施例1とは、灰色相と白色相とが逆であり、白色相が連続相になっている。このことからも、積層用ペーストに含まれる金属成分Bが、空隙を埋めて緻密性に寄与していることがわかる。
さらに、相の構成金属の組成分析により、図7において、淡色相である白色相の金属組成(元素比)はAg/Cu/Sn/Ti=90.1/3.6/4.2/2.1(Agリッチ相)、濃色相である灰色相の金属組成はAg/Cu/Sn/Ti=0.7/95.3/2.8/1.2(Cuリッチ相)であった。Cuリッチ相は、ボイドなどの空隙を導電ペースト2-1で埋めた部位に相当し、導電ペースト2-1を用いなければ、この相は空隙になっていた相であると推定できる。
図8におけるTiの元素マッピング像から、実施例1と同様に、活性金属であるTi成分が、導電ビア部と孔部壁面との界面部に多く存在することが判る。導電ペースト1-3に含まれていた活性金属成分が、拡散して界面部に活性金属膜として偏析し、孔部壁面と接合して強固な密着力を形成したことが推察できる。
図9は、実施例4における孔部の断面SEM像であり、図10は、前記孔部における導電ビア部と孔部壁面との界面部の拡大像である。なお、図10において、右側が導電ビア部側である。断面の形態は実施例1と類似しており、ボイド、隙間、空隙等がないことが判る。
[比較例1](導電ペースト2を用いない例)
実施例1と同じ導電ペースト1-1で孔部を充填した後、孔部の上部表面に導電ペースト2の印刷を行わず、そのまま窒素雰囲気中、900℃で焼成した。孔部(導電ビア部)の断面を図11に示す。
上部から孔部(導電ビア部)に流れ込む溶融金属成分が存在しないため、孔部(導電ビア部)全体に多数のボイドが存在し、さらには導電ビア部と孔部壁面との間に大きな隙間が存在している。そのため、空隙率(ボイド率)、密着性、シール性(気密性)において、全てについて不合格となった。また、金属成分も実施例1のような2相構造ではなかった。
[実施例7~9]
導電ペースト1-1の代わりに、導電ペースト1-7、1-8、1-9を用いて、金属成分Cをそれぞれ、ビスマス粒子、インジウム粒子、亜鉛粒子に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法でビア充填基板を作製した。金属成分Cの種類を変更しても、実施例1と同様に良好な結果が得られた。
[実施例10~15]
導電ペースト1-1の代わりに、ペースト1-10、1-11、1-12、1-13、1-14、1-15を用いて、セラミックス基板と反応性を持つ活性金属(水素化チタン)、および活性金属を保護する金属成分C(低融点金属粒子)の割合を変量すること以外は、実施例1と同様の方法でビア充填基板を作製した。
活性金属(水素化チタン)の割合は、導電ペースト1-1中の5.7%に対して、8.5%(実施例10)、12.6%(実施例11)、17.8%(実施例12)、24.2%(実施例13)、2.1%(実施例14)、0.4%(実施例15)に変量した。それに対応して金属成分Cの割合も、15.6%(実施例10)、17.3%(実施例11)、16.3%(実施例12)、8.3%(実施例13)、3.9%(実施例14)、2.7%(実施例15)に変量した。
活性金属の割合が24.2%の実施例13は、導電ビア部の空隙率(ボイド率)がやや高くなり、活性金属の割合が0.4%の実施例15では、導電ビア部と孔部壁面との密着性がやや低下したものの、どちらも実用レベルであった。その他の実施例では、実施例1と同様に、空隙率(ボイド率)、密着性、シール性(気密性)において、いずれも良好な結果が得られた。
[実施例16~17]
導電ペースト1-1、1-3の代わりに、導電ペースト1-16、1-17を用いて、活性金属を水素化ジルコニウムに変更した以外は、実施例1、実施例3と同様の方法でビア充填基板を作製した。活性金属に水素化チタンを使用した実施例1、実施例3と同様に、空隙率(ボイド率)、密着性、シール性(気密性)において、いずれも良好な結果が得られた。
[実施例18~22]
導電ペースト1-1の代わりに、導電ペースト1-18、1-19、1-20、1-21および1-22を用いて、金属成分Cの割合をそれぞれ19.7%(実施例18)、20.5%(実施例19)、24.3%(実施例20)、2.0%(実施例21)、1.3%(実施例22)に変更した以外は、実施例1と同様の方法でビア充填基板を作製した。
金属成分Cの割合が19.7%である実施例18では、実施例1と同様に、空隙率(ボイド率)、密着性、シール性(気密性)において、いずれも良好な結果が得られた。
金属成分Cの割合をさらに増量(20.5%)した実施例19では、導電ビア部に多少のボイドが存在し、導電ビア部と孔部壁面との界面に多少の隙間が観察された。その結果、実施例1に比べシール性(気密性)は同等に良好であったものの、空隙率(ボイド率)や密着性が劣った(実用レベル)。
金属成分Cの割合をさらに増量(24.3%)した実施例20では、導電ビア部に多少のボイドや、導電ビア部と孔部壁面との界面の隙間が、比較的多く存在した。その結果、空隙率(ボイド率)や密着性のほか、シール性(気密性)も劣った(いずれも実用レベル)。この原因は金属成分Cの増加によって、焼成時に導電ペースト2-1に含む金属成分Bが浸入しにくくなり、内部のボイドや界面の隙間が残留したと考えられる。
金属成分Cの割合を減量(2.0%)した実施例21では、実施例1と同様に、空隙率(ボイド率)、密着性、シール性(気密性)において、いずれも良好な結果が得られた。
金属成分Cの割合をさらに減量(1.3%)した実施例22では、導電ビア部に多少のボイドが存在し、導電ビア部と孔部壁面との界面にも多少の隙間が観察された。その結果、実施例1に比べシール性(気密性)は同等に良好であったものの、空隙率(ボイド率)や密着性が劣った(実用レベル)。この結果は、活性金属を保護するための金属成分C(低融点金属粒子)の量が不足し、活性金属を充分に保護できず、活性金属が窒素と反応したために基板との反応性が低下したためと考えられる。
以上の結果から、金属成分C(低融点金属粒子)の割合は、2~20%が好ましいことが確認できた。
[比較例2](金属成分Cを含まない例)
導電ペースト1-1の代わりに、金属成分C(低融点金属粒子)を含まない導電ペースト1-23を使用した以外は、実施例1と同様の方法でビア充填基板を作製した。その結果、導電ビア部と孔部壁面との密着性について界面に一部隙間が見られた。また、シール性(気密性)が不充分であった。これは、金属成分C(低融点金属粒子)が存在しないため、焼成時に活性金属の保護ができず、活性金属粒子が窒素や炭素との反応により失活して、導電ビア部と孔部壁面との密着力が充分に得られず、導電ビア部の収縮により界面に隙間が発生したと考えられる。
図12は、比較例2における孔部の断面SEM像であり、図13は、図12のSEM像における活性金属Tiの元素マッピング像である。なお、図12および13において、上側が導電ビア部側である。図12の界面拡大像から、充填ビア部は緻密で空隙はなかったが、導電ビア部と孔部壁面との界面に1μm以上の隙間が存在していた。そのため、導電ビア部と孔部壁面とのシール性(気密性)が不充分であった。図13の活性金属Tiの元素マッピング像から、Tiは導電ビア部に粒子状に溜まり、活性金属成分の拡散や導電ビア部と孔部壁面との界面への偏析は見られなかった。これは、金属成分C(低融点金属粒子)が存在しないため、焼成時に活性金属粒子が窒素、炭素などと反応して窒化チタン、炭化チタンなどの難溶性、非反応性の物質に変化し、孔部壁面部への拡散が出来なくなり、また、たとえ拡散したとしても孔部壁面との反応性が消失して、孔部壁面との密着力不足により導電ビア部の収縮により界面で剥離が発生したことが推察される。この結果から、金属成分C(低融点金属粒子)が活性金属粒子の保護や、界面部への拡散に寄与していることがわかる。
[比較例3](活性金属を含まない例)
導電ペースト1-1の代わりに、活性金属を含まない導電ペースト1-24を使用した以外は、実施例1と同様の方法でビア充填基板を作製した。その結果、比較例2よりも更に密着性およびシール性(気密性)が低下し、不合格となった。これは、基板と反応する活性金属が存在しないため、導電ビア部と孔部壁面との密着力が充分に得られず、導電ビア部の収縮により界面に隙間が発生したためと考えられる。
[比較例4](活性金属、金属成分Cを含まない例)
導電ペースト1-1の代わりに、活性金属および金属成分Cを含まない導電ペースト1-25を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法でビア充填基板を作製した。その結果、比較例3と同様に、シール性(気密性)および密着性が不合格となった。
[比較例5](導電ペーストに活性金属および金属成分Cを含まず、孔部壁面に活性金属(Ti)スパッタ膜を形成した例)
窒化アルミニウム基板の表面および貫通孔内部の壁面(孔部壁面)に、スパッタリング装置(キヤノンアネルバ(株)製「E-200S」)を用いて、電圧200W、アルゴンガス0.5Pa、基板の加熱200℃の条件で、チタン、パラジウムの順にスパッタリングした。スパッタリング後のチタン層の厚みが0.2μm、パラジウム層の厚みは0.1μmである、Ti/Pd薄膜を形成したセラミックス基板が得られた。
そして、この基板を用いたこと以外は、比較例4と同様の方法でビア充填基板を作製した。図14は、比較例5における孔部の断面SEM像である。比較例4よりもシール性(気密性)は向上した(判定○)が、導電ビア部と孔部壁面との密着性(界面に一部隙間が見られた)は不充分であった。
[比較例6](主成分となる金属粒子Aを含まない例)
導電ペースト1-1の代わりに、主成分となる金属粒子A(高融点金属粒子)を含まない導電ペースト1-26を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法でビア充填基板を作製した。その結果、焼成中に導体が貫通孔から流れ出し、導体の形成はできなかった。
[実施例23~24]
主成分(金属成分A)として銅とニッケルの混合金属粉を用いた実施例4に対して、導電ペースト2-1の代わりに、銀粒子/銅粒子=70/30、50/50(質量比)の混合粉を使用した導電ペースト2-2、2-3を使用した以外は、実施例4と同様の方法でビア充填基板を作製した。
銀粒子/銅粒子=70/30の混合粉を用いた実施例23は、実施例4と同等の結果であり、銀粒子/銅粒子混合粉を使用しても、AgCu合金粒子と同じ結果が得られることを示した。これは、焼成時の昇温過程に銀粒子と銅粒子が焼結しながら合金化が進み、融点が低下することによりAgCu合金粉と類似の溶融流動が起こることで、緻密化効果が得られたものと考えられる。
一方、銀粒子/銅粒子=50/50の混合粉を用いた実施例24では、実施例23より、やや空隙率(ボイド率)は増えたが、密着性およびシール性(気密性)は良好であった。これは、銀粒子/銅粒子の比率が50/50になることにより、AgCu合金比率の変化により融点が上昇し、焼成時の導電ペースト2-3の流れ性が低下したことで、緻密性効果が若干低下したものと考えられる。
[実施例25]
実施例1に対して、導電ペースト2-1の代わりに、金属成分C(低融点金属粒子)としてAgCuZnSn半田粉を用いた導電ペースト2-4を使用し、焼成温度を800℃とした以外は、実施例1と同様の方法でビア充填基板を作製した。その結果、実施例1と同等の良好な結果が得られた。
[実施例26]
実施例1に対して、導電ペースト2-1の代わりに、金属成分C(低融点金属粒子)として銀粒子/スズ粒子=88/12(質量比)の混合粉を用いた導電ペースト2-5を使用した以外は、実施例1と同様の方法でビア充填基板を作製した。その結果、実施例1と同等の良好な結果が得られた。
[比較例7](焼成温度が金属成分Bの融点よりも低い場合;金属成分Bが焼成時に溶融しない例)
実施例1において、焼成温度を、金属成分Bの融点(780℃)よりも低い750℃としたこと以外は、実施例1と同様の方法でビア充填基板を作製した。
図15は、得られた孔部(導電ビア部)の断面SEM像であり、図16は、前記孔部における導電ビア部と孔部壁面との界面の拡大像である。なお、図16において、右側が導電ビア部側である。導電ビア部の内部には空隙(ボイド)が多く、導電ビア部と孔部壁面との界面には隙間が存在しており、空隙率(ボイド率)、密着性、シール性(気密性)ともに不合格であった。これは、焼成温度が金属成分Bの融点の780℃よりも低いため、焼成時に金属成分Bが溶融して孔部へ流れ込むことが出来ず、空隙を埋めて緻密化することができないことを示している。
[比較例8](最初から全成分を混合した全混合ペーストで孔部を充填し、充填後さらに孔部に全混合ペーストを積層した例)
導電ペースト1-1と導電ペースト2-1とを質量比1:1で混合して得られた全混合ペーストを、充填用導電ペーストおよび積層用導電ペーストとして用いたこと以外は、実施例1と同様の方法でビア充填基板を作製した。
その結果、空隙率(ボイド率)、密着性、シール性(気密性)ともに不合格であった。これは、金属成分Bが充填用導体ペースト中に存在するため、焼成において溶融した充填用導体ペーストの金属成分Bが周囲の金属成分Aと一体化し、孔部内の通気性が無くなって、積層用導電ペーストの孔部への流れ込みを阻害したことが推察される。この結果から、金属成分Bは充填用導電ペーストには配合せず、積層用導電ペーストに配合するのが好ましいことがわかる。
[実施例27~30]
実施例1に対して、セラミックス基板の材質を、窒化アルミニウムからアルミナ、サファイア、窒化珪素、石英ガラスに変更したこと以外は、実施例1と同様の方法でビア充填基板を作製した。いずれの場合も、実施例1と同等に、空隙率(ボイド率)、密着性、シール性(気密性)は良好な結果であった。
実施例および比較例の条件および評価結果を表5~8に示す。
Figure 2022013766000005
Figure 2022013766000006
Figure 2022013766000007
Figure 2022013766000008
本発明のビア充填基板は、回路基板、電子部品、半導体パッケージの基板などに利用できる。
1,11…絶縁性基板
1a,11a…孔部
12…金属膜
3,13…充填用導電ペースト
4,14…積層用導電ペースト
5,15…導電ビア部

Claims (6)

  1. 孔部を有する絶縁性基板と、前記孔部に充填された導体で形成された導電ビア部とを有するビア充填基板であって、導電ビア部の空隙率が10体積%以下であり、前記導電ビア部と前記孔部の壁面との間に実質的に隙間が存在せず、かつ前記導電ビア部が、連続相および分散相からなる海島構造を有する導電ビア本体と、孔部壁面との界面に存在する活性金属膜とで形成されているビア充填基板。
  2. 前記活性金属膜が、Ti、ZrおよびNbからなる群より選択された少なくとも1種の活性金属で形成されている請求項1記載のビア充填基板。
  3. 前記連続相が、Cu、Ag、Ni、W、Mo、Au、PtおよびPdからなる群より選択された少なくとも1種の高融点金属を含む請求項1または2記載のビア充填基板。
  4. 前記分散相が、CuおよびAgから選択された少なくとも1種の高融点金属と、Bi、Sn、InおよびZnからなる群より選択された少なくとも1種の低融点金属とを含む請求項1~3のいずれか一項に記載のビア充填基板。
  5. 前記活性金属膜が、前記孔部壁面との界面において、前記界面に沿って連続して延びる請求項1~4のいずれか一項に記載のビア充填基板。
  6. 導電ビア部の表面にインクを塗布し、インクの塗布面を0.5MPaの圧縮空気で60秒間加圧しても前記導電ビア部の裏面にインクが漏れない請求項1~5のいずれか一項に記載のビア充填基板。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2024058254A1 (ja) * 2022-09-16 2024-03-21 日亜化学工業株式会社 セラミックス焼結体基板、発光装置及びそれらの製造方法

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