JP2022011922A - 車両の変速制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】変速操作の際、ダイレクトなシフトフィーリングを運転者に与えることができ、旋回中に車両の挙動に影響を与えにくい車両の変速制御装置を提供する。【解決手段】車両の変速制御装置18において、検出部20は、車両の横加速度を検出する。変速制御部40は、運転者の変速操作に応じて自動変速機の変速段を変更する。変速速度制御部42は、第1モードにおいて、変速制御部40による変速段の変速速度を第1速度V1に制御し、第2モードにおいて、検出された横加速度が閾値未満である場合、変速速度を第1速度V1より高い第2速度に制御し、検出された横加速度が閾値以上である場合、変速速度を第2速度より低く制御する。【選択図】図1
Description
本発明は、運転者によるシフト操作に応じて変速制御を行う車両の変速制御装置に関する。
特許文献1は、スポーツモードでは、運転者のアクセルワークに対する出力トルクのレスポンスが非スポーツモードよりもよい車両を開示する。
運転者によるシフトレバーなどのシフト操作に応じて、無段変速機の変速段を予め定められた複数の変速段の1つに1段ずつアップシフトまたはダウンシフトする変速制御が知られている。この変速制御は、シーケンシャルシフトともよばれる。スポーツモードでは、シーケンシャルシフトによる変速のレスポンスを通常モードより向上させ、変速による加速度変化をより大きく発生させることで、ダイレクトなシフトフィーリングを運転者に与える制御が考えられる。しかし、車両の旋回中に大きな加速度変化を発生させると、車両の挙動に影響を及ぼす可能性がある。
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、変速操作の際、ダイレクトなシフトフィーリングを運転者に与えることができ、旋回中に車両の挙動に影響を与えにくい車両の変速制御装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある態様の車両の変速制御装置は、車両の横加速度を検出する検出部と、運転者の変速操作に応じて自動変速機の変速段を変更する変速制御部と、第1モードにおいて、前記変速制御部による変速段の変速速度を第1速度に制御し、第2モードにおいて、検出された横加速度が閾値未満である場合、前記変速速度を前記第1速度より高い第2速度に制御し、検出された横加速度が閾値以上である場合、前記変速速度を前記第2速度より低く制御する変速速度制御部と、を備える。
本発明によれば、変速操作の際、ダイレクトなシフトフィーリングを運転者に与えることができ、旋回中に車両の挙動に影響を与えにくい車両の変速制御装置を提供できる。
図1は、実施の形態の変速システム1の概略的な構成を示す。変速システム1は、車両に搭載される。変速システム1は、エンジン10、トルクコンバータ12、無段変速機14、油圧制御装置16、変速制御装置18、検出部20、エンジン回転数センサ22、車速センサ24、アクセル開度センサ26、第1回転数センサ28、第2回転数センサ30、シフト位置センサ32およびスポーツスイッチ34を備える。
トルクコンバータ12は、周知の構成を有し、エンジン10の駆動力を無段変速機14に伝達する。無段変速機14は、周知の構成を有するベルト式無段変速機(CVT:Continuously Variable Transmission)であり、トルクコンバータ12を介して供給されたエンジン10の駆動力を無段階に変速して出力軸へ伝達する。出力軸に伝達された駆動力で車輪が駆動される。無段変速機14は、自動変速機ともよべる。
図示は省略するが、無段変速機14は、金属ベルトと一対のプーリとを備え、油圧制御装置16から供給される油圧によってプーリの有効径を変化させることで連続的な無段階の変速を実現するよう構成されている。入力軸に取り付けられた入力側のプライマリプーリおよび出力軸に取り付けられた出力側のセカンダリプーリに無端金属ベルトが巻き掛けられている。プライマリプーリおよびセカンダリプーリは、溝幅を無段階に変更可能な1対のシーブをそれぞれ備える。この溝幅を油圧によって変化させることで、プライマリプーリおよびセカンダリプーリそれぞれに対する無端金属ベルトの巻き掛け半径を変更し、これにより入力軸と出力軸との回転数比、すなわち変速比を連続的に無段階に変化させることができる。
油圧制御装置16は、変速制御装置18の制御にしたがって無段変速機14に供給する油圧を制御する。
変速制御装置18は、油圧制御装置16を介して、車両の運転状態に基づいて無段変速機14の変速比を制御する。変速制御装置18は、車両の運転状態を検出する検出部20、エンジン回転数センサ22、車速センサ24、アクセル開度センサ26、第1回転数センサ28、第2回転数センサ30、シフト位置センサ32およびスポーツスイッチ34のそれぞれから検出値を受信する。変速制御装置18は、受信した各検出値に基づいて無段変速機14の変速比を制御する。
検出部20は、車両に設けられた加速度センサ38を含み、車両の前後方向の加速度と左右方向の加速度(以下、横加速度ともよぶ)を検出する。
第1回転数センサ28は、無段変速機14のプライマリプーリの回転数を検出する。第2回転数センサ30は、無段変速機14のセカンダリプーリの回転数を検出する。
図2は、シフト装置80の斜視図である。シフト装置80は、車両の運転席の近傍、たとえばセンターコンソールに配置される。シフト装置80にはシフトレバー82が変位操作可能に設けられている。シフト装置80には、リバース(R)位置、ニュートラル(N)位置、ドライブ(D)位置、および、シーケンシャル(S)位置が設定されており、運転者が所望の変速位置へシフトレバー82を変位させることができる。シフト位置センサ32は、これらリバース(R)位置、ニュートラル(N)位置、ドライブ(D)位置、シーケンシャル(S)位置、後述する「+」位置、「-」位置のいずれにシフトレバー82が位置しているか検出する。
シフトレバー82がドライブ(D)位置に操作された場合、自動変速モードに設定され、無段変速動作が行われる。
シフトレバー82がシーケンシャル(S)位置に操作された場合、手動変速モードに設定され、有段変速動作が行われる。つまり、変速比が段階的に制御される。手動変速モードは、有段変速モードまたはシーケンシャルシフトモードともよべる。シーケンシャル(S)位置の前後には「+」位置と「-」位置が設けられている。「+」位置は、マニュアルアップシフトの際にシフトレバー82が操作される位置であり、「-」位置は、マニュアルダウンシフトの際にシフトレバー82が操作される位置である。シフトレバー82がシーケンシャル(S)位置にあるとき、シフトレバー82がシーケンシャル(S)位置を中立位置として「+」位置または「-」位置に操作されると、無段変速機14の変速段がアップまたはダウンされる。この操作をシーケンシャルシフト操作とよぶ。具体的には、「+」位置への1回の操作ごとに変速段が1段ずつアップされる。一方、「-」位置への1回の操作ごとに変速段が1段ずつダウンされる。つまり、変速制御装置18は、運転者のシーケンシャルシフト操作に応じて、無段変速機14の変速段を予め定められた複数の変速段の1つに1段ずつアップシフトまたはダウンシフトする。
図1に戻る。スポーツスイッチ34は、車両の運転席の近傍に設けられ、運転者の操作によりオンまたはオフに切り替えられる。スポーツスイッチ34がオフの場合、車両の走行モードが通常モードに設定される。通常モードは第1モードに相当する。スポーツスイッチ34がオンの場合、走行モードがスポーツモードに設定される。スポーツモードは第2モードに相当する。スポーツモードでは、アクセル操作に対してエンジン出力の応答性を通常モードより高め、かつ、シーケンシャルシフト操作に対して変速のレスポンスを通常モードより高める。これにより、運転者はスポーツ走行を楽しむことができる。
変速制御装置18は、変速制御部40と変速速度制御部42を有する。変速制御装置18は、ECU(Electronic Control Unit)によって構成される。変速制御装置18の構成は、ハードウェア資源とソフトウェア資源の協働により実現できる。変速制御装置18は、ハードウェア資源としてCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを有する。ROMは、ソフトウェア資源として各種制御プログラム、それら各種制御プログラムを実行する際に参照されるマップ等を記憶している。CPUは、ROMに記憶された各種制御プログラムやマップに基づいて演算処理を実行する。RAMは、CPUでの演算結果や各センサから入力されたデータ等を一時的に記憶するメモリである。
(自動変速モード)
自動変速モードでは、変速制御部40は、アクセル開度センサ26で検出されたアクセル開度と、車速センサ24で検出された車速から、運転者が必要とする目標エンジン出力を決定して、目標エンジン出力をエンジン10の最適燃費線上で実現できるようにプライマリプーリの目標回転数を決定する。変速制御部40は、第1回転数センサ28で検出されたプライマリプーリの回転数が目標回転数になるように、油圧制御装置16を制御して無段階の変速を実行する。
自動変速モードでは、変速制御部40は、アクセル開度センサ26で検出されたアクセル開度と、車速センサ24で検出された車速から、運転者が必要とする目標エンジン出力を決定して、目標エンジン出力をエンジン10の最適燃費線上で実現できるようにプライマリプーリの目標回転数を決定する。変速制御部40は、第1回転数センサ28で検出されたプライマリプーリの回転数が目標回転数になるように、油圧制御装置16を制御して無段階の変速を実行する。
エンジン10を制御する図示しないECUは、目標エンジン出力とエンジン回転数により目標エンジントルクを決定し、スロットル開度を制御する。このような制御が行われるので、無段変速機14を搭載した車両では、エンジン出力を効率的に引き出すことが可能で、燃費および走行性能の向上を図ることが可能な変速動作を実現できる。
(手動変速モード)
変速制御部40は、手動変速モードで用いられる変速段ごとのプライマリプーリの回転数と車速の関係を示す変速マップを保持している。変速制御部40は、シフト位置センサ32でアップシフト操作またはダウンシフト操作が検出された場合、車速センサ24で検出された車速と変速マップにもとづいてプライマリプーリの第1目標回転数を設定する。変速制御部40は、第1回転数センサ28で検出されたプライマリプーリの回転数が第1目標回転数になるように、油圧制御装置16を制御して変速段を切り替える変速を実行する。
変速制御部40は、手動変速モードで用いられる変速段ごとのプライマリプーリの回転数と車速の関係を示す変速マップを保持している。変速制御部40は、シフト位置センサ32でアップシフト操作またはダウンシフト操作が検出された場合、車速センサ24で検出された車速と変速マップにもとづいてプライマリプーリの第1目標回転数を設定する。変速制御部40は、第1回転数センサ28で検出されたプライマリプーリの回転数が第1目標回転数になるように、油圧制御装置16を制御して変速段を切り替える変速を実行する。
変速速度制御部42は、シフト位置センサ32でアップシフト操作またはダウンシフト操作が検出された場合、走行モード、および、スポーツモードでは検出部20で検出された加速度に基づいて、変速段の変速速度を制御する。
変速速度は、ある変速段から別の変速段への変速制御中の変速比の変化速度である。つまり、変速速度は、単位時間あたりの変速比の変化量である。変速速度を高くするほど、変速中の車両の加速度の変化が大きくなり、運転者に対して与える変速感を強調できる。そのため、基本的にはスポーツモードでは通常モードよりも変速速度を高くする。変速速度の制御の詳細は後述する。
変速速度制御部42は、アップシフト操作またはダウンシフト操作が検出された場合、走行モードが通常モードであれば、変速速度を予め定められた第1速度V1に制御する。第1速度V1は、変速中に加速度変化がほとんど発生しない値に設定される。通常モードでは、運転者は変速による加速度変化を体感し難い。
図3は、実施の形態のスポーツモードにおける変速速度と左右加速度または前後加速度の関係を示す。変速速度制御部42は、走行モードがスポーツモードであり、検出された左右加速度が第1閾値Th1未満であり、かつ、検出された前後加速度が第2閾値Th2未満である場合、変速速度を予め定められた第2速度V2に制御する。第2速度V2は、第1速度V1より高い。第2速度V2は、通常モードと比べて変速中に加速度変化が大きく発生する値に設定される。そのため、運転者は変速による加速度変化を体感できる。
変速速度制御部42は、走行モードがスポーツモードであり、検出された左右加速度が第1閾値Th1以上である場合、変速速度を第2速度V2より低く制御する。この場合の変速速度は、左右加速度が第1閾値Th1より大きいほど低くなる。
スポーツ走行中の車両は、カーブで旋回中、タイヤのグリップ限界に近い状態である可能性がある。この状態で運転者がシーケンシャルシフト操作を行った場合、第2速度V2の変速速度で比較的大きな加速度変化を発生させると仮定すると、既述のように車両の挙動に影響を及ぼす可能性がある。そこで、変速速度を第2速度V2より低く制御することで、加速度の時間変化率が所定値以内に制御され、旋回中に車両の挙動に影響を与えにくくできる。
また、左右加速度が第1閾値Th1より大きい範囲では、左右加速度が第1閾値Th1に近いほど、変速速度は第2速度V2に近づき、加速度変化を大きく発生させることができ、旋回中の車両挙動の安定性とダイレクトなシフトフィーリングを両立させることができる。
変速速度制御部42は、走行モードがスポーツモードであり、検出された前後加速度が第2閾値Th2以上である場合、変速速度を第2速度V2より低く制御する。この場合の変速速度は、前後加速度が第2閾値Th2より大きいほど低くなる。
スポーツ走行中の車両は、たとえばコーナー進入直前のブレーキにより減速度が比較的大きく、タイヤのグリップ限界に近い状態である可能性がある。この状態で運転者がシーケンシャルシフト操作を行った場合、第2速度V2の変速速度で比較的大きな加速度変化を発生させると仮定すると、車両の挙動に影響を及ぼす可能性がある。そこで、変速速度を第2速度V2より低く制御することで、加速度の時間変化率が所定値以内に制御され、車両の挙動に影響を与えにくくできる。
また、前後加速度が第2閾値Th2より大きい範囲では、前後加速度が第2閾値Th2に近いほど、変速速度は第2速度V2に近づき、加速度変化を大きく発生させることができ、制動中の車両挙動の安定性とダイレクトなシフトフィーリングを両立させることができる。
左右加速度が第1閾値Th1以上であり、かつ、前後加速度が第2閾値Th2以上である場合、左右加速度にもとづいて設定される変速速度と、前後加速度にもとづいて設定される変速速度のうち小さい方を変速速度として採用してよい。
第1閾値Th1と第2閾値Th2は、同一でもよいし、異なってもよい。第1速度V1、第2速度V2、左右加速度が第1閾値Th1以上である範囲の変速速度の傾き、前後加速度が第2閾値Th2以上である範囲の変速速度の傾き、第1閾値Th1、第2閾値Th2は、実験やシミュレーションにより適宜設定できる。
次に、変速システム1の動作を説明する。図4は、図1の変速システム1において、スポーツモードで変速段「3」から変速段「4」にシーケンシャルシフト操作が行われた場合のプライマリプーリの回転数と前方向加速度の一例を示す。
変速速度が第2速度V2の場合のプライマリプーリの回転数Npを実線で示し、変速速度が第2速度V2より低い第3速度V3の場合のプライマリプーリの回転数Np’を破線で示す。プライマリプーリの回転数NpとNp’は、図示する範囲ではエンジン回転数とほぼ等しい。
図4の横軸は時間である。時刻t1でアップシフト操作が検出され、変速段を示す信号は「3」から「4」に切り替わる。時刻t1まで、プライマリプーリの回転数NpとNp’はほぼ一致しているとする。
時刻t1以降、変速制御部40は、車速と変速マップにもとづいて変速段「4」に対応するプライマリプーリの第1目標回転数T1を逐次導出する。プライマリプーリの第1目標回転数T1は、変速制御の終了時点でプライマリプーリの回転数Npが一致すべき回転数である。
まず、左右加速度が第1閾値Th1未満であり、前後加速度が第2閾値Th2未満であり、変速速度が第2速度V2である場合を説明する。
変速速度制御部42は、時刻t1以降、第1目標回転数T1と第2速度V2にもとづいて、変速速度が第2速度V2に近づくようにプライマリプーリの第2目標回転数T2を逐次導出する。プライマリプーリの第2目標回転数T2は、時間経過とともにプライマリプーリの第1目標回転数T1に近づき、時刻t3で第1目標回転数T1に一致する。
プライマリプーリの第2目標回転数T2は、変速比の変化中に変速速度を制御するための目標値であり、変速制御部40は、検出されたプライマリプーリの回転数Npがプライマリプーリの第2目標回転数T2に近づくように無段変速機14を制御する。
プライマリプーリの第2目標回転数T2の低下により、時刻t1から遅れた時刻t2を過ぎるとプライマリプーリの回転数Npが急速に低下し始める。これにより、車両の前方向加速度Gが増加する。よって、運転者はシフトチェンジが行われたことを体感できる。
時刻t3付近で、プライマリプーリの回転数Npはプライマリプーリの第1目標回転数T1と第2目標回転数T2に一致し、変速段「4」に切り替わり、変速制御が終了する。時刻t1から時刻t3までが変速に要した時間である。
次に、車両が旋回中で左右加速度が第1閾値Th1以上であり、前後加速度が第2閾値Th2未満であり、変速速度が第3速度V3である場合を説明する。
変速速度制御部42は、時刻t1以降、第1目標回転数T1と第3速度V3にもとづいて、変速速度が第3速度V3に近づくようにプライマリプーリの第2目標回転数T2’を逐次導出する。プライマリプーリの第2目標回転数T2’は、時間とともにプライマリプーリの第1目標回転数T1に近づき、時刻t3より遅い時刻t4で第1目標回転数T1に一致する。
プライマリプーリの第2目標回転数T2’の低下により、時刻t2から遅れてプライマリプーリの回転数Np’が回転数Npよりも緩やかに低下し始める。そのため、前方向加速度G’は実質的に一定である。よって、旋回中に車両の挙動に影響を与えにくくできる。
時刻t4付近で、プライマリプーリの回転数Np’はプライマリプーリの第1目標回転数T1と第2目標回転数T2’に一致し、変速段「4」に切り替わり、変速制御が終了する。時刻t1から時刻t4までが変速に要した時間である。変速速度が低いとは、変速に要した時間が長いともいえる。時刻t4以降、プライマリプーリの回転数NpとNp’はほぼ一致している。
図5は、図1の変速制御装置18の変速制御処理を示すフローチャートである。この処理は、手動変速モードで繰り返し実行される。シーケンシャルシフト操作がなければ(S10のN)、S10に戻る。シーケンシャルシフト操作がある場合(S10のY)、スポーツスイッチ34がオンであり(S12のY)、左右加速度が第1閾値Th1より小さく、かつ、前後加速度が第2閾値Th2より小さければ(S14のY)、変速制御部40は、第2速度V2の変速速度で変速制御を実行し(S16)、プライマリプーリの回転数が第1目標回転数に達することで変速制御を終了し(S18)、処理を終了する。
S14で左右加速度が第1閾値Th1以上であるか、または、前後加速度が第2閾値Th2以上であれば(S14のN)、変速制御部40は、加速度に応じた第2速度V2より低い変速速度で変速制御を実行し(S20)、S18に移る。
S12でスポーツスイッチ34がオンでない場合(S12のN)、変速制御部40は、第1速度V1の変速速度で変速制御を実行し(S22)、S18に移る。
実施の形態によれば、スポーツモードにおいて、左右加速度が第1閾値Th1未満である場合、シーケンシャルシフト操作に応じた変速段の変速速度を第1速度V1より高い第2速度V2に制御するので、通常モードよりもダイレクトなシフトフィーリングを運転者に与えることができる。
また、スポーツモードにおいて、左右加速度が第1閾値Th1以上である場合、変速速度を第2速度V2より低く制御するので、車両の旋回時に、変速による加速度変化を抑制でき、車両の挙動に影響を与えにくくできる。
以上、実施の形態をもとに本発明を説明した。実施の形態はあくまでも例示であり、各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
たとえば実施の形態では、左右加速度が第1閾値Th1より大きいほど変速速度は低く、前後加速度が第2閾値Th2より大きいほど変速速度は低いが、左右加速度が第1閾値Th1以上である場合と前後加速度が第2閾値Th2以上である場合の変速速度は、第2速度V2より低い一定値でもよい。この一定値は、通常モードの第1速度V1と等しくてもよい。この変形例では、制御を簡素化できる。
検出部20は前後加速度を検出せず、前後加速度を変速速度の制御に用いなくてもよい。この場合、制御を簡素化できる。
変速速度制御部42は、検出部20で検出された左右加速度と前後加速度を合成し、合成された加速度が閾値未満である場合、変速速度を第2速度V2に制御し、合成された加速度が閾値以上である場合、変速速度を第2速度V2より低く制御してもよい。この場合、変速システム1の構成の自由度を向上できる。
無段変速機14はベルト式のものに限らず、例えばトロイダル式の無段変速機であってもよい。
実施の形態ではセンターコンソールに備えられたシフトレバー82によって手動変速モードでの変速操作が行われるが、ステアリングにシフトレバーが配置されたパドルシフトタイプのシフト装置によって手動変速モードでの変速操作が行われてもよい。
1…変速システム、14…無段変速機、18…変速制御装置、20…検出部、22…エンジン回転数センサ、24…車速センサ、26…アクセル開度センサ、28…第1回転数センサ、30…第2回転数センサ、32…シフト位置センサ、34…スポーツスイッチ、38…加速度センサ、40…変速制御部、42…変速速度制御部。
Claims (1)
- 車両の横加速度を検出する検出部と、
運転者の変速操作に応じて自動変速機の変速段を変更する変速制御部と、
第1モードにおいて、前記変速制御部による変速段の変速速度を第1速度に制御し、第2モードにおいて、検出された横加速度が閾値未満である場合、前記変速速度を前記第1速度より高い第2速度に制御し、検出された横加速度が閾値以上である場合、前記変速速度を前記第2速度より低く制御する変速速度制御部と、
を備えることを特徴とする車両の変速制御装置。
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