JP2022011809A - 樹脂複合体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】発泡のばらつきを抑制し、発泡体の物性のばらつきを抑制できる樹脂複合体の製造方法を提供すること。【解決手段】セルロースナノファイバーと融点10~50℃数平均分子量500~2000のオリゴマーとを混合し、CNF予備混合物を解砕温度100℃以上かつ周速7m/min以上の溶融押出混練機1の一次投入口17に一次投入し、一次投入口17よりも下流側の二次投入口18に-COO-基を有する熱可塑性樹脂を二次投入し、一次投入口17から二次投入口18までの間でCNF予備混合物を脱水しながら、セルロースナノファイバーを解砕し、二次投入口18の下流側でセルロースナノファイバーと熱可塑性樹脂とを混練し、二次投入口18よりも下流側の三次投入口19から超臨界流体を供給し、セルロースナノファイバーと熱可塑性樹脂との混練物に超臨界流体を含浸させ、混練物を溶融押出混練機1から押し出して、発泡体を得る。【選択図】図1

Description

本発明は、樹脂複合体の製造方法に関し、詳しくは、熱可塑性樹脂とセルロースナノファイバーとを含有する樹脂複合体に関する。
従来、樹脂成分および補強材を含む樹脂複合体において、補強材としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維などの無機繊維が用いられている。
一方、環境性の観点から、上記の無機繊維に代えて、カーボンニュートラルに対応する植物由来の補強材を用いることが、検討されている。
そのような植物由来の補強材としては、例えば、乾燥パルプが提案されており、また、乾燥パルプを含む樹脂複合体の製造方法が、種々提案されている。
より具体的には、例えば、まず、二軸スクリュー押出機の上流から水を含む離解パルプを供給してパルプを圧縮脱水し、次いで、パルプを加熱および吸引して水分を除去し、その後、得られたフレーク状の乾燥パルプと樹脂とを混練して、パルプ・樹脂複合体を得る方法が、提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2001-234493号公報
一方、各種産業分野では、樹脂複合体を発泡させ、発泡体を得ることが要求される場合がある。
しかしながら、特許文献1に記載される方法で得られるパルプ・樹脂複合体を発泡させる場合、乾燥パルプがフレーク状(比較的大サイズ)に凝集しているため、樹脂複合体の発泡にばらつきが生じ、得られる発泡体の物性にばらつきが生じるという不具合がある。
本発明は、発泡のばらつきを抑制し、発泡体の物性のばらつきを抑制できる樹脂複合体の製造方法である。
本発明[1]は、-COO-基を有する熱可塑性樹脂と、セルロースナノファイバーとを含む樹脂複合体の製造方法であって、前記セルロースナノファイバーと、融点10℃以上50℃以下、数平均分子量500以上2000以下のオリゴマーとを混合し、CNF予備混合物を得る調製工程と、解砕温度100℃以上、かつ、周速7m/min以上の溶融押出混練機の一次投入口に前記CNF予備混合物を一次投入するとともに、前記一次投入口よりも押出方向下流側の二次投入口に前記熱可塑性樹脂を二次投入し、一次投入口から二次投入口までの間で前記CNF予備混合物を脱水しながら、前記セルロースナノファイバーを解砕し、前記二次投入口の押出方向下流側で前記セルロースナノファイバーと前記熱可塑性樹脂とを混練する混練工程と、前記溶融押出混練機において、前記二次投入口よりも押出方向下流側の三次投入口から超臨界流体を供給し、前記セルロースナノファイバーと前記熱可塑性樹脂との混練物に前記超臨界流体を含浸させる含浸工程と、前記超臨界流体が含浸された前記混練物を、前記溶融押出混練機から押し出して、発泡体を得る押出工程とを備える、樹脂複合体の製造方法を含んでいる。
本発明[2]は、さらに、前記発泡体を水中カットし、ビーズ発泡体を得るカット工程を備える、上記[1]に記載の樹脂複合体の製造方法を含んでいる。
本発明の樹脂複合体の製造方法では、セルロースナノファイバーと特定のオリゴマーとを含むCNF予備混合物を、所定の条件の溶融押出混練機の一次投入口に一次投入し、また、一次投入口よりも押出方向下流側の二次投入口に熱可塑性樹脂を二次投入し、一次投入口から二次投入口までの間でCNF予備混合物を脱水しながら、セルロースナノファイバーを解砕し、二次投入口の押出方向下流側でセルロースナノファイバーと熱可塑性樹脂とを混練した後、混練物に超臨界流体を含浸させる。
そのため、本発明の樹脂複合体の製造方法では、セルロースナノファイバーの凝集を抑制しながら解砕でき、その結果、超臨界流体による樹脂複合体の発泡のばらつきを抑制でき、また、得られる発泡体の物性のばらつきを抑制できる。
図1は、本発明の樹脂複合体の製造方法の一実施形態において使用される溶融押出混練機の概略断面図である。
本発明において、樹脂複合体は、熱可塑性樹脂とセルロースナノファイバーとを含んでいる。具体的には、熱可塑性樹脂のマトリックスに、セルロースナノファイバーが分散している。
熱可塑性樹脂としては、-COO-基を有する熱可塑性樹脂が挙げられる。
-COO-基を有する熱可塑性樹脂としては、例えば、エステル基(-COO-)を有する熱可塑性樹脂(熱可塑性ポリエステル樹脂)、ウレタン基(-NH-COO-)を有する熱可塑性樹脂(熱可塑性ポリウレタン樹脂)、カーボネート基(-O-COO-)を有する熱可塑性樹脂(熱可塑性ポリカーボネート樹脂)、アクリル酸エステル基(-CH(CH-COO-)-)を有する熱可塑性樹脂(熱可塑性アクリル樹脂)、メタクリル酸エステル基(-CH(C(CH)-COO-)-)を有する熱可塑性樹脂(熱可塑性メタクリル樹脂)などが挙げられる。
これら熱可塑性樹脂は、単独使用または2種類以上併用することができる。
熱可塑性樹脂として、好ましくは、熱可塑性ポリウレタン樹脂が挙げられる。
熱可塑性ポリウレタン樹脂としては、例えば、ポリエーテル系熱可塑性ポリウレタン樹脂、ポリエステル系熱可塑性ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート系熱可塑性ポリウレタン樹脂などが挙げられる。
これら熱可塑性ポリウレタン樹脂は、単独使用または2種類以上併用することができる。
熱可塑性ポリウレタン樹脂として、好ましくは、ポリエーテル系熱可塑性ポリウレタン樹脂が挙げられる。
熱可塑性樹脂の溶融温度(軟化温度)は、例えば、80℃以上、好ましくは、100℃以上であり、例えば、300℃以下、好ましくは、250℃以下である。
また、熱可塑性樹脂は、添加剤を含むことができる。すなわち、熱可塑性樹脂は、-COO-基を有する熱可塑性樹脂と添加剤とを含む樹脂組成物であってもよい。
添加剤としては、例えば、離型剤、増粘剤、可塑剤、劣化防止材、耐熱安定剤、耐光安定剤、酸化防止剤などが挙げられる。また、添加剤としては、さらに、後述するセルロースナノファイバーを除く充填材が挙げられる。そのような充填材としては、例えば、アルミナ、チタニア、シリカ、炭酸カルシウム、タルクなどが挙げられる。
これら添加剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
添加剤の添加量および添加のタイミングは、特に制限されず、目的および用途に応じて、適宜設定される。
セルロースナノファイバーは、例えば、植物原料を繊維化処理し、得られたセルロース繊維を解繊処理することによって、得ることができる。
植物原料としては、例えば、木材、竹、麻、綿、紙、布、ジュート、ケナフ、ビート、農産物、農産廃棄物などが挙げられる。
これら植物原料は、単独使用または2種類以上併用することができる。
植物原料として、好ましくは、木材が挙げられる。
繊維化処理としては、例えば、化学処理、機械処理などが挙げられる。化学処理としては、例えば、クラフト法、硫酸塩法、亜硫酸法などが挙げられる。機械処理としては、例えば、磨砕などが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用することができる。
なお、繊維化処理の処理条件は、目的および用途に応じて、適宜設定される。
また、得られるセルロース繊維の種類は、植物原料の種類に応じて異なる。
例えば、植物原料として木材が用いられる場合、セルロース繊維としては、パルプなどが挙げられ、より具体的には、例えば、ケミカルパルプ、セミケミカルパルプ、ケミグランドパルプ、ケミメカニカルパルプ、メカニカルパルプ、リファイナーメカニカルパルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ、砕木パルプなどが挙げられる。
これらセルロース繊維は、単独使用または2種類以上併用することができる。
セルロース繊維の平均繊維長さは、例えば、0.5mm以上、好ましくは、1.0mm以上であり、例えば、10mm以下、好ましくは、5mm以下である。
なお、平均繊維長さは、デジタルマイクロスコープにより測定される。
また、セルロース繊維の平均繊維径は、例えば、5μm以上、好ましくは、10μm以上であり、例えば、500μm以下、好ましくは、300μm以下である。
なお、平均繊維径は、デジタルマイクロスコープにより測定される。
セルロース繊維の解繊では、例えば、上記のセルロース繊維の分散液(懸濁液、スラリー)を調製し、得られた分散液を、公知の解繊処理機(磨砕処理機、叩解処理機など)により処理する。
セルロース繊維の分散液において、分散媒としては、例えば、水、有機溶剤などが挙げられる。有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン、例えば、メタノール、エタノールなどのアルコール、例えば、酢酸エチルなどのエステル、例えば、n-メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどの非プロトン溶剤などが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用することができる。
解繊処理機としては、例えば、リファイナー、ホモジナイザー、グラインダー、一軸混練機、多軸混練機などが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用することができる。
解繊処理機の運転条件は、目的および用途に応じて、適宜設定される。
なお、セルロースナノファイバーのサイズについて、詳しくは後述する。
樹脂複合体において、熱可塑性樹脂とセルロースナノファイバーとの含有割合は、特に制限されず、目的および用途に応じて、適宜設定される。
より具体的には、熱可塑性樹脂とセルロースナノファイバーの総量100質量部に対して、セルロースナノファイバーが、例えば、1質量部以上、好ましくは、3質量部以上、より好ましくは、5質量部以上であり、例えば、50質量部以下、好ましくは、30質量部以下、より好ましくは、20質量部以下である。
樹脂複合体の製造では、溶融押出混練機が用いられる。
以下において、溶融押出混練機について、図1を参照して詳述する。
溶融押出混練機1は、樹脂複合体100を製造するための装置である。
溶融押出混練機1は、例えば、一軸押出型または二軸押出型の溶融押出混練機であり、好ましくは、二軸押出型の溶融押出混練機である。図1には、二軸押出型の溶融押出混練機を示す。
溶融押出混練機1は、押出機本体10と、CNF供給部20と、樹脂供給部30と、超臨界流体供給部40と、これらを制御する制御装置(CPU)60とを備えている。
押出機本体10は、シリンダ11と、シリンダ11内を加熱するためのヒータ12と、シリンダ11内に配置されるスクリュー13と、スクリュー13を回転させるための駆動モータ14とを備えている。
シリンダ11は、シリンダ11は、耐熱材料からなる筒状部材であり、図示しない内圧調整機構を有し、内圧を調整可能としている。
シリンダ11は、シリンダ11に内装される2つのスクリュー13の軸方向一端部(押出方向上流側端部)を、回転可能に軸受支持している。
また、シリンダ11は、押出方向下流側端部において、後述するストランドを吐出可能な吐出口(ダイ)16を備えている。
シリンダ11のサイズは、特に制限されず、目的および用途に応じて、適宜設定される。例えば、シリンダ11の内径は、例えば、20mm以上、好ましくは、例えば、25mm以上であり、例えば、100mm以下、好ましくは、例えば、75mm以下である。
ヒータ12は、シリンダ11の外周面に、スクリュー13の軸方向に沿って複数のブロックごとに設けられている。シリンダ11内には、図示しないが、CPU60に接続される温度センサが設けられており、この温度センサによって検知された検知温度に基づいて、ヒータ12がブロック単位で温度制御される。つまり、シリンダ11は、ヒータ12によって個別に温度制御可能とされる複数の温度制御ブロック15(破線参照)に区画されている。
すなわち、シリンダ11の内部温度は、温度制御ブロック15毎に、ヒータ12により制御可能とされている。
温度制御ブロック15の数は、特に制限されないが、例えば、3つ以上、好ましくは、8つ以上、より好ましくは、10つ以上であり、例えば、50つ以下、好ましくは、30つ以下、より好ましくは、20つ以下である。
また、各温度制御ブロック15の押出方向長さは、例えば、100cm以上、好ましくは、120cm以上であり、例えば、500cm以下、好ましくは、400cm以下である。
図1には、13つの温度制御ブロック15を示す。また、各温度制御ブロック15を、押出方向上流側から下流側に向かって順に、温度制御ブロック15a、温度制御ブロック15b、温度制御ブロック15c、温度制御ブロック15d、温度制御ブロック15e、温度制御ブロック15f、温度制御ブロック15g、温度制御ブロック15h、温度制御ブロック15i、温度制御ブロック15j、温度制御ブロック15k、温度制御ブロック15l、および、温度制御ブロック15mと称する。
また、シリンダ11の周側面には、CNF供給部20が接続される一次投入口17と、樹脂供給部30が接続される二次投入口18と、超臨界流体供給部40が接続される三次投入口19とが形成されている。
一次投入口17、二次投入口18および三次投入口19は、押出機本体10の押出方向上流側から押出方向下流側に向かって、順に配置されている。
一次投入口17は、押出機本体10にCNF予備混合物(後述)を供給するための供給口である。
一次投入口17は、押出機本体10の押出方向上流側(長手方向一方側)の端部近傍において、シリンダ11の側面に開口形成されている。
一次投入口17は、好ましくは、押出機本体10の押出方向における全長に対して、押出方向上流側から1%~25%の位置、より好ましくは、5%~15%の位置に、開口形成されている。
より具体的には、一次投入口17は、押出機本体10の温度制御ブロック15a~温度制御ブロック15cのいずれか、好ましくは、押出機本体10の温度制御ブロック15a~温度制御ブロック15bのいずれか、さらに好ましくは、押出機本体10の温度制御ブロック15aにおいて、シリンダ11の側面に開口形成されている。
二次投入口18は、押出機本体10に上記の熱可塑性樹脂を供給するための供給口である。
二次投入口18は、押出機本体10の押出方向途中部分(長手方向一方側および他方側の間)のシリンダ11の側面に開口形成されている。
二次投入口18は、好ましくは、押出機本体10の押出方向における全長に対して、押出方向上流側から25%~65%の位置、より好ましくは、50%~65%の位置に、開口形成されている。
より具体的には、二次投入口18は、押出機本体10の温度制御ブロック15d~温度制御ブロック15iのいずれか、好ましくは、押出機本体10の温度制御ブロック15g~温度制御ブロック151のいずれか、さらに好ましくは、押出機本体10の温度制御ブロック15hにおいて、シリンダ11の側面に開口形成されている。
三次投入口19は、押出機本体10に不活性流体(後述)を供給するための供給口である。
三次投入口19は、押出機本体10の押出方向下流側(長手方向他方側)のシリンダ11の側面に開口形成されている。
三次投入口19は、好ましくは、押出機本体10の押出方向における全長に対して、押出方向上流側から65%~99%の位置、より好ましくは、70%~80%の位置に、開口形成されている。
より具体的には、三次投入口19は、押出機本体10の温度制御ブロック15j~温度制御ブロック15mのいずれか、好ましくは、押出機本体10の温度制御ブロック15j~温度制御ブロック15kのいずれか、より好ましくは、押出機本体10の温度制御ブロック15jにおいて、シリンダ11の側面に開口形成されている。
2つのスクリュー13は、シリンダ11内において、並行配置されている。なお、図1では、1つのスクリュー13のみが示されている。
各スクリュー13の条数、サイズおよび配置は、特に制限されず、例えば、シリンダ11の内径、スクリュー13の条数、2つのスクリュー13の噛み合いの有無など、各種条件に応じて、適宜選択される。
また、各スクリュー13の軸方向一端部には、駆動モータ14が連結されている。
駆動モータ14は、シリンダ11におけるスクリュー13の軸方向一端部において、図示しない減速装置などを介して、2本のスクリュー13の軸方向一端部にそれぞれ連結されている。
駆動モータ14は、図1において破線で示されるように、CPU60に電気的に接続されており、CPU60によって、各スクリュー13の作動条件(作動開始、作動停止、回転方向、回転数など)が、任意に制御可能とされている。
CNF供給部20は、CNFタンク21と、CNF供給ライン22を備えている。
CNFタンク21は、CNF予備混合物(後述)が貯留されるタンクである。なお、CNF予備混合物(後述)は、詳しくは後述するが、セルロースナノファイバーとオリゴマー(後述)とを含む混合組成物である。
CNF供給ライン22は、CNF供給管23およびCNF供給ポンプ24を備えている。
CNF供給管23は、公知の管部材である。CNF供給管23の一方側端部は、CNFタンク21に接続されている。また、CNF供給管23の他方側端部は、一次投入口17に接続されている。
CNF供給ポンプ24は、公知のポンプ装置である。CNF供給ポンプ24は、CNF供給管23に介在されている。また、CNF供給ポンプ24は、図示しないが、CPU60に電気的に接続されており、CPU60によってCNF供給ポンプ24の作動条件(作動開始、作動停止、供給量など)が任意に制御可能とされている。
これにより、CNF供給ポンプ24は、CNFタンク21に貯蔵されているCNF予備混合物(後述)を、一次投入口17を介して、押出機本体10に単位時間あたり一定量で供給可能としている。つまり、CNF供給部20によって、CNF予備混合物(後述)が、一次投入口17を介して、押出機本体10に所定の流量で連続的に供給可能とされている。
樹脂供給部30は、樹脂供給装置31を備えている。
樹脂供給装置31は、上記した熱可塑性樹脂を押出機本体10に供給するための装置である。樹脂供給装置31は、樹脂タンク32および単軸押出機33を備えている。
樹脂タンク32は、上記した熱可塑性樹脂のペレットを貯留するタンクである。
樹脂タンク32は、公知の容器からなり、単軸押出機33の樹脂投入口に接続されている。
単軸押出機33は、公知の構成でよく、例えば、樹脂投入口を備えるシリンダと、そのシリンダに内装される1つのスクリューを備えている。
また、単軸押出機33は、図示しないが、CPU60に電気的に接続されており、CPU60によって単軸押出機33の作動条件(作動開始、作動停止、回転方向、回転数など)が任意に制御可能とされている。
これにより、単軸押出機33は、樹脂タンク32に貯蔵されている熱可塑性樹脂のペレットを溶融させ、二次投入口18を介して、押出機本体10に単位時間あたり一定量で供給可能としている。
すなわち、樹脂供給装置31によって、溶融状態の熱可塑性樹脂が、二次投入口18を介して、押出機本体10に所定の流量で連続的に供給可能とされている。
超臨界流体供給部40は、ガスタンク41および超臨界流体供給ライン42を備えている。
ガスタンク41は、超臨界流体の原料ガスを貯留するタンクである。
原料ガスとしては、例えば、不活性ガスが挙げられ、より具体的には、炭酸ガス(COガス)、窒素ガス(Nガス)などが挙げられる。
超臨界流体供給ライン42は、超臨界流体供給管43、ノズル44および超臨界流体供給ポンプ45を備えている。
超臨界流体供給管43は、内部温度および内部圧力を制御可能な管部材である。超臨界流体供給管43の一方側端部は、ガスタンク41に接続されている。また、超臨界流体供給管43の他方側端部は、ノズル44に接続されている。
ノズル44は、超臨界流体を、押出機本体10に噴射させるために、備えられている。
より具体的には、ノズル44の一方側端部が、超臨界流体供給管43の他方側端部に接続されている。また、ノズル44の他方側端部は、噴射口として形成され、押出機本体10の三次投入口19に接続されている。
超臨界流体供給ポンプ45は、上記の原料ガスを超臨界流体化し、押出機本体10に向けて供給可能な公知のポンプ装置である。超臨界流体供給ポンプ45は、超臨界流体供給管43に介在されている。また、超臨界流体供給ポンプ45は、CPU60に電気的に接続されており、CPU60によって超臨界流体供給ポンプ45の作動条件(作動開始、作動停止、供給量など)が任意に制御可能とされている。
これにより、超臨界流体供給ポンプ45は、ガスタンク41に貯蔵されている原料ガスを、超臨界流体として、三次投入口19を介して、押出機本体10に単位時間あたり一定量で供給することができる。
すなわち、超臨界流体供給部40により、超臨界流体が、三次投入口19を介して、押出機本体10に、所定の流量で連続的に供給可能とされている。
CPU60は、公知のコンピュータシステムである。CPU60は、駆動モータ14、ヒータ12、CNF供給ポンプ24、単軸押出機33および超臨界流体供給ポンプ45に電気的に接続されている。これにより、CPU60は、駆動モータ14、ヒータ12、CNF供給ポンプ24、単軸押出機33および超臨界流体供給ポンプ45の作動条件を、任意に制御可能としている。
また、上記の溶融押出混練機1は、水中カット装置50に接続されている。
水中カット装置50は、公知の造粒装置(ペレタイザー)である。
水中カット装置50としては、公知の構成が採用される。例えば、水中カット装置50は、図示しないが、冷水タンクおよび回転カッターを備えている。
水中カット装置50は、シリンダ11の吐出口(ダイ)16を介して、押出機本体10の押出方向下流端に接続される。これにより、水中カット装置50は、押出機本体10から押し出されたストランド(後述)を、水中でカットし、ビーズ状に加工可能としている。
以下において、上記の溶融押出混練機1を用いた樹脂複合体の製造方法について、詳述する。
この方法では、まず、セルロースナノファイバー(以下、原料CNFと称する。)と所定のオリゴマーとを混合し、CNF予備混合物を得る(調製工程)。
原料CNFとオリゴマーとを混合することにより、原料CNFの飛散を抑制でき、原料CNFの取扱性の向上を図ることができ、その結果、樹脂複合体の製造効率の向上を図ることができる。
原料CNFの平均繊維長さは、例えば、0.5μm以上、好ましくは、1μm以上であり、100μm以下、好ましくは、50μm以下、より好ましくは、10μm以下である。
なお、原料CNFの平均繊維長さは、デジタルマイクロスコープにより測定される。
また、原料CNFの平均繊維径は、例えば、0.1nm以上、好ましくは、10nm以上であり、例えば、3000nm(3μm)以下、好ましくは、1000nm(1μm)以下、より好ましくは、100nm(0.1μm)以下である。
なお、原料CNFの平均繊維径は、デジタルマイクロスコープにより測定される。
オリゴマーは、後述する融点を有し、かつ、後述する数平均分子量を有するオリゴマーである。
オリゴマーとして、より具体的には、例えば、ポリオールが挙げられる。
ポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール、ダイマーポリオール、ポリウレタンポリオール、ポリオキシアルキレンポリエステルブロック共重合体ポリオール、アクリルポリオール、エポキシポリオール、天然油ポリオール、シリコーンポリオール、フッ素ポリオールなどが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用することができる。
ポリオールとして、好ましくは、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオールが挙げられ、さらに好ましくは、ポリエーテルポリオールが挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリオキシエチレンポリオール、ポリオキシプロピレンポリオール、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン共重合体(ランダム/ブロック)、ポリテトラメチレンエーテルポリオールなどが挙げられる。
これらポリエーテルポリオールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
ポリエーテルポリオールとして、好ましくは、ポリテトラメチレンエーテルポリオールが挙げられる。
これらオリゴマーは、単独使用または2種類以上併用することができる。
オリゴマーの融点は、10℃以上、好ましくは、20℃以上、より好ましくは、25℃以上であり、50℃以下、好ましくは、45℃以下、より好ましくは、40℃以下である。
なお、オリゴマーの融点は、JIS K 0064(1992年)の目視による方法に準拠して、測定される。
また、オリゴマーの数平均分子量は、500以上、好ましくは、650以上、より好ましくは、800以上であり、2000以下、好ましくは、1600以下、より好ましくは、1500以下である。
なお、オリゴマーの数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラム(GPC)測定による標準ポリスチレン換算分子量として求めることができる。
CNF予備混合物において、セルロースナノファイバーとオリゴマーとの含有割合は、セルロースナノファイバーおよびオリゴマーの総量100質量部に対して、セルロースナノファイバーが、例えば、5質量部以上、好ましくは、10質量部以上であり、例えば、50質量部以下、好ましくは、40質量部以下である。
セルロースナノファイバーとオリゴマーとを混合することにより、セルロースナノファイバーとオリゴマーとを含むCNF予備混合物が得られる。
得られたCNF予備混合物は、CNFタンク21に貯留される。
また、この方法では、上記した熱可塑性樹脂のペレットが、樹脂タンク32に貯留され、上記した超臨界流体の原料ガスが、ガスタンク41に貯留される。
次いで、この方法では、溶融押出混練機1を駆動させ、溶融押出混練機1の一次投入口17に、CNF予備混合物を一次投入するとともに、二次投入口18に溶融状態の熱可塑性樹脂を二次投入し、一次投入口17から二次投入口18までの間で、CNF予備混合物を脱水しながら、セルロースナノファイバーを、凝集を抑制しながら解砕し、また、二次投入口18の押出方向下流側で、脱水されたCNF予備混合物(すなわち、セルロースナノファイバー)と、熱可塑性樹脂とを混練する(混練工程)。
より具体的には、混練工程では、まず、溶融押出混練機1を駆動させるとともに、CNF供給ポンプ24を駆動させる。これにより、CNFタンク21から、CNF供給管23を介して、一次投入口17にCNF予備混合物を一次投入する。
CNF予備混合物の一次投入における投入量は、目的および用途に応じて、適宜設定される。
例えば、CNF予備混合物の供給速度が、例えば、0.5kg/hr以上、好ましくは、1kg/hr以上であり、例えば、50kg/hr以下、好ましくは、30kg/hr以下である。
また、この方法では、一次投入口17から二次投入口18までの間において、シリンダ11の内部温度が、CPU60およびヒータ12により制御される。
より具体的には、一次投入口17が設けられる位置の温度制御ブロック15(図1では、温度制御ブロック15a)から、二次投入口18が設けられる位置の温度制御ブロック15(図1では、温度制御ブロック15h)の直前の温度制御ブロック15(図1では、温度制御ブロック15g)までの領域(以下、脱水領域Aと称する。)の温度が、CPU60およびヒータ12により制御される。
脱水領域Aの温度制御ブロック15の温度は、セルロースナノファイバー(原料CNF)を解砕するときの解砕温度である。
脱水領域Aの温度制御ブロック15の温度(解砕温度)は、水が蒸発し、上記オリゴマーが分解される温度以上であり、かつ、後述する平均繊維径のセルロースナノファイバーが得られる条件に設定される。
より具体的には、脱水領域Aの温度制御ブロック15の温度(解砕温度)は、100℃以上、好ましくは、120℃以上、より好ましくは、140℃以上であり、例えば、200℃以下、好ましくは、180℃以下、より好ましくは、160℃以下である。
また、スクリュー13の周速が、CPU60および駆動モータ14により制御される。
スクリュー13の周速は、後述する平均繊維径のセルロースナノファイバーが得られる条件に設定される。
より具体的には、スクリュー13の周速が、7m/min以上、好ましくは、8m/min以上、より好ましくは、11m/min以上、さらに好ましくは、14m/min以上であり、例えば、30m/min以下、好ましくは、25m/min以下、より好ましくは、20m/min以下、さらに好ましくは、18m/min以下である。
また、スクリュー13の回転数としては、例えば、50rpm以上、好ましくは、60rpm以上、より好ましくは、80rpm以上、さらに好ましくは、100rpm以上であり、例えば、300rpm以下、好ましくは、250rpm以下、より好ましくは、230rpm以下、さらに好ましくは、200rpm以下である。
上記の解砕条件に設定することにより、セルロースナノファイバーの凝集を抑制しながら、セルロースナノファイバーを解砕できる。つまり、解砕後のセルロースナノファイバーの塊化を抑制できる。このようなセルロースナノファイバーを用いることにより、発泡のばらつきを抑制し、発泡体の物性のばらつきを抑制でき、さらには、機械物性に優れた樹脂複合体を得ることができる。
これにより、CNF予備混合物は、一次投入口17から二次投入口18までの間(脱水領域A)で脱水され、セルロースナノファイバーが解砕される。
解砕後のセルロースナノファイバー(以下、解砕CNFと称する。)の平均繊維長さは、例えば、100nm以上、好ましくは、300nm以上、より好ましくは、500nm以上、さらに好ましくは、800nm以上であり、例えば、100μm以下、好ましくは、50μm以下、より好ましくは、40μm以下、さらに好ましくは、30μm以下である。
平均繊維長さが上記上限を下回っていれば、発泡のばらつきを抑制し、発泡体の物性のばらつきを抑制できる。また、平均繊維長さが上記下限を上回っていれば、機械物性に優れた樹脂複合体を得ることができる。
なお、解砕CNFの平均繊維長さは、デジタルマイクロスコープにより測定される。
また、解砕CNFの平均繊維径は、例えば、1nm以上、好ましくは、5nm以上であり、例えば、100nm以下、好ましくは、70nm以下、より好ましくは、50nm以下である。
なお、解砕CNFの平均繊維径は、デジタルマイクロスコープにより測定される。
このようにして得られた解砕CNFは、オリゴマー中に分散する。つまり、解砕CNFは、フレーク状に凝集することなく、オリゴマー中で互いに分離する。
また、混練工程では、単軸押出機33を駆動させる。これにより、樹脂タンク32中の熱可塑性樹脂を、溶融状態で二次投入口18に二次投入する。
熱可塑性樹脂の二次投入における投入量は、目的および用途に応じて、適宜設定される。
例えば、熱可塑性樹脂の供給速度が、例えば、5kg/hr以上、好ましくは、10kg/hr以上であり、例えば、100kg/hr以下、好ましくは、80kg/hr以下である。
また、この方法では、二次投入口18から三次投入口19までの間において、シリンダ11の内部温度が、CPU60およびヒータ12により制御される。
より具体的には、二次投入口18が設けられる位置の温度制御ブロック15(図1では、温度制御ブロック15h)から、三次投入口19が設けられる位置の温度制御ブロック15(図1では、温度制御ブロック15j)までの領域(以下、混練領域Bと称する。)の温度が、CPU60およびヒータ12により制御される。
混練領域Bの温度制御ブロック15の温度は、セルロースナノファイバー(解砕CNF)と熱可塑性樹脂とを混練するときの混練温度である。
混練領域Bの温度制御ブロック15の温度(混練温度)は、熱可塑性樹脂の溶融温度以上であり、また、例えば、脱水領域Aの温度を超過する温度条件に設定される。
より具体的には、混練領域Bの温度制御ブロック15の温度(混練温度)は、例えば、120℃以上、好ましくは、140℃以上、より好ましくは、150℃以上であり、例えば、280℃以下、好ましくは、260℃以下、より好ましくは、240℃以下である。
なお、スクリュー13の周速および回転数は、上記と同じである。
これにより、二次投入口18よりも押出方向下流側、より具体的には、二次投入口18から三次投入口19までの間(混練領域B)において、セルロースナノファイバー(解砕CNF)と熱可塑性樹脂とが混練される。
その後、得られた混練物は、さらに混練されるとともに、押出方向下流側に向かって連続的に流動する。
次いで、この方法では、溶融押出混練機1において、三次投入口3から超臨界流体を供給し、セルロースナノファイバー(解砕CNF)と熱可塑性樹脂との混練物に、超臨界流体を含浸させる(含浸工程)。
より具体的には、三次投入口19が設けられる位置の温度制御ブロック15(図1では、温度制御ブロック15j)の次の温度制御ブロック(図1では、温度制御ブロック15k)から、溶融押出混練機1の押出方向下流端の温度制御ブロック(図1では、温度制御ブロック15m)までの領域(以下、含浸領域Cと称する。)の温度が、CPU60およびヒータ12により制御される。
含浸領域Cの温度制御ブロック15の温度は、セルロースナノファイバー(解砕CNF)と熱可塑性樹脂との混練物に、超臨界流体を含浸させるときの含浸温度である。
含浸領域Cの温度制御ブロック15の温度(含浸温度)は、上記の混練物に超臨界流体を含浸可能な温度であり、また、例えば、混練領域Bの温度未満に設定される。
より具体的には、含浸領域Cの温度制御ブロック15の温度(含浸温度)は、例えば、120℃以上、好ましくは、140℃以上、より好ましくは、150℃以上であり、例えば、280℃以下、好ましくは、260℃以下、より好ましくは、240℃以下である。
また、含浸領域Cでは、例えばシリンダ11の内部圧力が、超臨界流体を溶解状態に維持可能であり、かつ、後述するストランドを吐出口16から押し出したときに、圧力差によりストランドを発泡可能な圧力に、調整されている。
シリンダ11の内部圧力は、例えば、7.5MPa以上、好ましくは、8MPa以上であり、例えば、20MPa以下、好ましくは、18MPa以下である。
また、これとともに、CPU60によって、超臨界流体供給ポンプ45を駆動させ、所定量の超臨界流体を、ガスタンク41から、超臨界流体供給管43およびノズル44を介して、三次投入口19に三次投入する。
超臨界流体の三次投入における投入量は、目的および用途に応じて、適宜設定される。
超臨界流体の割合が、例えば、シリンダ11内において混練されるセルロースナノファイバーおよび熱可塑性樹脂と、超臨界流体との合計質量に対して、例えば、0.5質量%以上、好ましくは、1.0質量%以上であり、例えば、5.0質量%以下、好ましくは、3.0質量%以下である。
また、超臨界流体の三次投入における圧力条件(ガス注入圧)は、例えば、8MPa以上、好ましくは、8.5MPa以上であり、例えば、25MPa以下、好ましくは、20MPa以下である。
これにより、セルロースナノファイバーおよび熱可塑性樹脂の混練物に対して、シリンダ11内において、超臨界流体が連続的に混合および分散される。これにより、超臨界流体が含浸された混練物が得られる。
次いで、この方法では、上記の超臨界流体が含浸された混練物を、溶融押出混練機1から押し出して、発泡体を得る(押出工程)。
すなわち、超臨界流体が含浸された混練物は、比較的高圧状態のシリンダ11の内部を押出方向下流側に移動し、押出方向下流端の吐出口16(ダイ)から押し出され、紐状に形成される。すなわち、ストランドが得られる。
このとき、超臨界流体が含浸された混練物は、比較的低圧状態(例えば、大気圧)のシリンダ11の外で、急激な圧力低下に曝露される。これにより、混練物中の超臨界状態の不活性ガスが、過飽和状態になり、多数の気泡を発生させる。すなわち、ストランドが発泡する。その結果、樹脂複合体として、発泡体(ストランド発泡体)が得られる。
その後、この方法では、上記の発泡体(ストランド発泡体)は、水中カット装置50に供給される。
水中カット装置50では、上記の発泡体(ストランド発泡体)を水中カットする(カット工程)。
なお、水中カットの方法は、特に制限されず、公知の方法が採用される。また、水中カットにおけるカット条件は、特に制限されず、目的および用途に応じて、適宜設定される。
これにより、発泡体(ストランド発泡体)が、ビーズ状に成形され、その結果、樹脂複合体としてのビーズ発泡体が得られる。
ビーズ発泡体の平均セル径は、例えば、50nm以上、好ましくは、100nm以上であり、例えば、200μm以下、好ましくは、100μm以下である。
また、ビーズ発泡体のかさ密度は、例えば、50g/L以上、好ましくは、70g/L以上であり、例えば、600g/L以下、好ましくは、300g/L以下である。
なお、上記した樹脂複合体の製造方法では、ストランドを水中カットしてビーズ発泡体を成形しているが、例えば、その他の公知の方法でストランドをカットしてビーズ発泡体を得ることができる。
このような場合、詳しくは図示しないが、溶融押出混練機1は、水中カット装置50に代えて、水中カット装置以外の造粒装置(ペレタイザー)を備えることができる。そのような造粒装置としては、例えば、ホットカット装置、ミストカット装置などが挙げられる。
また、また、例えば、ストランドをカットすることなく、発泡体を得ることもできる。
樹脂複合体100の製造効率の観点から、好ましくは、溶融押出混練機1は、水中カット装置50を備える。
そして、このような樹脂複合体の製造方法では、セルロースナノファイバーと特定のオリゴマーとを含むCNF予備混合物を、所定の条件の溶融押出混練機の一次投入口に一次投入し、また、一次投入口よりも押出方向下流側の二次投入口に熱可塑性樹脂を二次投入し、一次投入口から二次投入口までの間でCNF予備混合物を脱水しながら、セルロースナノファイバーを解砕し、二次投入口の押出方向下流側で、セルロースナノファイバーと熱可塑性樹脂とを混練した後、混練物に超臨界流体を含浸させる。
そのため、上記の樹脂複合体の製造方法では、セルロースナノファイバーの凝集を抑制しながら解砕でき、その結果、超臨界流体による樹脂複合体の発泡のばらつきを抑制でき、また、得られる発泡体の物性のばらつきを抑制できる。
その結果、上記の樹脂複合体の製造方法、および、得られる樹脂複合体は、例えば、緩衝材、靴のミッドソールなどの各種産業分野において、好適に用いられる。
次に、本発明を、実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明は、下記の実施例によって限定されるものではない。なお、「部」および「%」は、特に言及がない限り、質量基準である。また、以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
実施例1
(1)調製工程
原料CNFとしてのセルロースナノファイバー(平均繊維径70nm、平均繊維長さ2μm)を準備し、ヘンシェルミキサーに入れた。
次いで、ヘンシェルミキサーに、オリゴマーとしてのポリテトラメチレンエーテルポリオール(数平均分子量1000、平均官能基数2、融点25℃)を入れた。ポリテトラメチレンエーテルポリオールの配合量は、セルロースナノファイバーおよびポリテトラメチレンエーテルポリオールの総量に対して、セルロースナノファイバーが20質量%となる割合に調整した。
その後、セルロースナノファイバーおよびポリテトラメチレンエーテルポリオールを、約30秒撹拌した。これにより、CNF予備混合物を得た。
(2)混練工程
図1に示す二軸押出型の溶融押出混練機および水中カット装置を準備した。
なお、溶融押出混練機のシリンダの内径は、46mmであった。
また、シリンダは、13つの温度制御ブロックに区画されていた。各温度制御ブロックの押出方向長さは、16cmであった。
また、一次投入口は、押出方向上流側から1つ目の温度制御ブロック(図1における温度制御ブロック15a)に形成されていた。
また、二次投入口は、押出方向上流側から8つ目の温度制御ブロック(図1における温度制御ブロック15h)に形成されていた。
また、三次投入口は、押出方向上流側から10つ目の温度制御ブロック(図1における温度制御ブロック15j)に形成されていた。
また、溶融押出混練機の作動条件を、以下の通り設定した。
スクリュー回転速度:周速14m/min(回転数100rpm)
シリンダ内の圧力:8.5MPa
脱水領域Aの温度:150℃
混練領域Bの温度:190℃
含浸領域Cの温度:180℃
超臨界流体の原料:炭酸ガス
そして、一次投入口から、シリンダ内にCNF予備混合物を一次投入した。CNF予備混合物の投入速度は、2kg/hrとした。これにより、脱水領域A(一次投入口から二次投入口までの間)で、CNF予備混合物を脱水しながら、セルロースナノファイバーを解砕した。
また、解砕されたセルロースナノファイバー(解砕CNF)を一部取り出した。得られた解砕CNFは、オリゴマー中で分散し、フレーク状に凝集していなかった。
また、解砕CNFの平均繊維長さおよび平均繊維径を、以下の方法で測定した。
すなわち、解砕CNFを水に分散させ、固形分濃度約0.001質量%の水分散液を調製した。次いで、水分散液をデジタルマイクロスコープで観察した。そして、観察された解砕CNFから、無作為に5本を抽出し、それらの平均繊維長さおよび平均繊維径を測定した。
その結果、解砕CNFの平均繊維長さは1μmであり、平均繊維径は50nmであった。
一方、熱可塑性ポリウレタン樹脂(ポリエーテル系熱可塑性ポリウレタン樹脂、アスカー硬度80A)と、タルク(充填材、日本タルク製)0.5phrと、ワックス(離型剤、品番EBAワックス、花王製)0.5phrとを含む熱可塑性樹脂を、内径50mmの単軸押出機によって溶融混練しながら押し出して、二次投入口からシリンダ内に二次投入した。熱可塑性樹脂の投入速度は、38kg/hrとした。
これにより、混練領域B(二次投入口から三次投入口までの間)で、解砕されたセルロースナノファイバー(解砕CNF)と熱可塑性樹脂とを混練し、混練物を得た。
混練物において、解砕CNFの割合は、解砕CNFと熱可塑性樹脂との総量に対して、5質量%であった。
(3)含浸工程
三次投入口から、炭酸ガスの超臨界流体を、セルロースナノファイバーと熱可塑性樹脂との混練物に対して1phrの割合で注入(注入圧力8.5MPa)し、含浸領域Cで混練および含浸させた。
(4)押出工程およびカット工程
超臨界流体が含浸された混練物を、シリンダの吐出口(ダイ)から押し出し、得られたストランド発泡体を、水中カット装置により水中カットした。
これにより、ビーズ発泡体を得た。得られたビーズ発泡体の発泡は均一であり、かさ密度は、180g/Lであった。
実施例2
混練物において、解砕CNFの割合を、解砕CNFと熱可塑性樹脂との総量に対して、10質量%に変更した以外は、実施例1と同じ方法で、解砕CNFと熱可塑性樹脂との混練物を得た。また、実施例1と同じ方法で、ストランド発泡体および発泡ビーズを得た。より具体的には、混練工程における熱可塑性樹脂の投入速度を、38kg/hrから18kg/hrに変更し、その他の条件を変更しなかった。
この場合、得られた解砕CNFは、オリゴマー中で分散し、フレーク状に凝集していなかった。また、解砕CNFの平均繊維長さは0.8μmであり、平均繊維径は40nmであった。
また、得られたビーズ発泡体の発泡は均一であり、かさ密度は、180g/Lであった。
実施例3
混練物において、解砕CNFの割合を、解砕CNFと熱可塑性樹脂との総量に対して、20質量%に変更した以外は、実施例1と同じ方法で、解砕CNFと熱可塑性樹脂との混練物を得た。また、実施例1と同じ方法で、ストランド発泡体および発泡ビーズを得た。より具体的には、混練工程における熱可塑性樹脂の投入速度を、38kg/hrから16kg/hrに変更し、その他の条件を変更しなかった。
この場合、得られた解砕CNFは、オリゴマー中で分散し、フレーク状に凝集していなかった。また、解砕CNFの平均繊維長さは0.5μmであり、平均繊維径は40nmであった。
また、得られたビーズ発泡体の発泡は均一であり、かさ密度は、200g/Lであった。
実施例4
アスカー硬度80Aの熱可塑性ポリウレタン樹脂に代えて、アスカー硬度96Aの熱可塑性ポリウレタン樹脂(ポリエーテル系熱可塑性ポリウレタン樹脂)を用いた。
なお、混練物において、解砕CNFの割合は、解砕CNFと熱可塑性樹脂との総量に対して、5質量%であった。
また、混練領域Bの温度を200℃に変更した。
上記以外は、実施例1と同じ方法で、解砕CNFと熱可塑性樹脂との混練物を調製し、ストランド発泡体および発泡ビーズを得た。
この場合、得られた解砕CNFは、オリゴマー中で分散し、フレーク状に凝集していなかった。また、解砕CNFの平均繊維長さは1μmであり、平均繊維径は50nmであった。
また、得られたビーズ発泡体の発泡は均一であり、かさ密度は、210g/Lであった。
実施例5
アスカー硬度80Aの熱可塑性ポリウレタン樹脂に代えて、アスカー硬度96Aの熱可塑性ポリウレタン樹脂(ポリエーテル系熱可塑性ポリウレタン樹脂)を用いた。
また、混練物において、解砕CNFの割合を、解砕CNFと熱可塑性樹脂との総量に対して、10質量%に変更した。
また、混練領域Bの温度を200℃に変更した。
上記以外は、実施例1と同じ方法で、解砕CNFと熱可塑性樹脂との混練物を調製し、ストランド発泡体および発泡ビーズを得た。
この場合、得られた解砕CNFは、オリゴマー中で分散し、フレーク状に凝集していなかった。また、解砕CNFの平均繊維長さは0.8μmであり、平均繊維径は40nmであった。
また、得られたビーズ発泡体の発泡は均一であり、かさ密度は、210g/Lであった。
実施例6
アスカー硬度80Aの熱可塑性ポリウレタン樹脂に代えて、アスカー硬度96Aの熱可塑性ポリウレタン樹脂(ポリエーテル系熱可塑性ポリウレタン樹脂)を用いた。
また、混練物において、解砕CNFの割合を、解砕CNFと熱可塑性樹脂との総量に対して、20質量%に変更した。
また、混練領域Bの温度を200℃に変更した。
上記以外は、実施例1と同じ方法で、解砕CNFと熱可塑性樹脂との混練物を調製し、ストランド発泡体および発泡ビーズを得た。
この場合、得られた解砕CNFは、オリゴマー中で分散し、フレーク状に凝集していなかった。また、解砕CNFの平均繊維長さは0.5μmであり、平均繊維径は40nmであった。
また、得られたビーズ発泡体の発泡は均一であり、かさ密度は、210g/Lであった。
実施例7
超臨界流体の原料として、炭酸ガスに代えて、窒素ガスを用いた。また、注入圧力を8.5MPaとし、注入量を0.15phrに変更した。
上記以外は、実施例1と同じ方法で、解砕CNFと熱可塑性樹脂との混練物を調製し、ストランド発泡体および発泡ビーズを得た。
この場合、得られた解砕CNFは、オリゴマー中で分散し、フレーク状に凝集していなかった。また、解砕CNFの平均繊維長さは1μmであり、平均繊維径は50μmであった。
また、得られたビーズ発泡体の発泡は均一であり、かさ密度は、180g/Lであった。
比較例1
スクリュー回転速度:周速5.7m/min(回転数40rpm)に変更した以外は、実施例1と同じ方法で、解砕CNFと熱可塑性樹脂との混練物を調製し、ストランド発泡体および発泡ビーズを得た。
この場合、得られた解砕CNFはフレーク状に凝集していた。
また、得られたビーズ発泡体の発泡は不均一であり、かさ密度は、200g/Lであった。

Claims (2)

  1. -COO-基を有する熱可塑性樹脂と、セルロースナノファイバーとを含む樹脂複合体の製造方法であって、
    前記セルロースナノファイバーと、融点10℃以上50℃以下、数平均分子量500以上2000以下のオリゴマーとを混合し、CNF予備混合物を得る調製工程と、
    解砕温度100℃以上、かつ、周速7m/min以上の溶融押出混練機の一次投入口に前記CNF予備混合物を一次投入するとともに、前記一次投入口よりも押出方向下流側の二次投入口に前記熱可塑性樹脂を二次投入し、一次投入口から二次投入口までの間で前記CNF予備混合物を脱水しながら、前記セルロースナノファイバーを解砕し、前記二次投入口の押出方向下流側で前記セルロースナノファイバーと前記熱可塑性樹脂とを混練する混練工程と、
    前記溶融押出混練機において、前記二次投入口よりも押出方向下流側の三次投入口から超臨界流体を供給し、前記セルロースナノファイバーと前記熱可塑性樹脂との混練物に前記超臨界流体を含浸させる含浸工程と、
    前記超臨界流体が含浸された前記混練物を、前記溶融押出混練機から押し出して、発泡体を得る押出工程と
    を備えることを特徴とする、樹脂複合体の製造方法。
  2. さらに、
    前記発泡体を水中カットし、ビーズ発泡体を得るカット工程
    を備えることを特徴とする、請求項1に記載の樹脂複合体の製造方法。
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