JP2022010778A - 蓋部材、蓋部材の製造方法、パッケージ、及びパッケージの製造方法 - Google Patents

蓋部材、蓋部材の製造方法、パッケージ、及びパッケージの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】パッケージに使用される蓋部材の破損を低減する。【解決手段】蓋部材4は、本体部7と、本体部7の表面7aに形成される緩衝膜8と、緩衝膜8に重なるように形成される接合部10と、を備える。接合部10は、金属系接合材を含む。緩衝膜8は、酸化膜を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、パッケージに用いられる蓋部材及びその製造方法に関する。本発明は、蓋部材を備えるパッケージ及びその製造方法に関する。
電子部品を収容するパッケージとして、凹部を有する基体と、凹部に収容された電子部品を覆うように基体に重ねられる蓋部材とを備えるものがある。一例として、特許文献1には、基体と金属層が形成された蓋部材(窓部材)とを金属系接合材によって接合してなるパッケージ及びその製造方法が開示されている。
パッケージを製造するには、まず、金属層が形成された蓋部材と凹部に電子部品が収容された基体を用意し、この基体に蓋部材を重ね合わせる。この場合において、基体と蓋部材との間に、金属系接合材(プリフォーム)を配置する。次に、基体と蓋部材の間で荷重をかけながら金属系接合材を加熱して溶融状態とする。その後、基体と蓋部材の間で荷重をかけながら金属系接合材を冷却して固化させることで、基体と蓋部材とを接合する(同文献の段落0039参照)。
上記の製造方法の他、金属系接合材を用いて基体に蓋部材を接合する場合、蓋部材に金属系接合材を予め接合しておくことで、基体と蓋部材とを接合する工程を簡略化してもよい。
特開2018-37581号公報
従来のパッケージの製造方法では、金属系接合材を加熱して溶融させた後の冷却工程において、金属接合材と蓋部材の熱膨張係数の差、或いは基体と蓋部材との熱膨張係数の差に起因して、蓋部材に応力が発生し、蓋部材に破損が発生するおそれがあった。
本発明は上記の事情に鑑みて為されたものであり、パッケージに使用される蓋部材の破損を低減することを技術的課題とする。
本発明は上記の課題を解決するためのものであり、パッケージの基体を覆うための蓋部材であって、本体部と、前記本体部の表面に形成される緩衝膜と、前記緩衝膜に重なるように形成される接合部と、を備え、前記接合部は、金属系接合材を含み、前記緩衝膜は、酸化膜を含むことを特徴とする。
かかる構成によれば、本体部の表面に形成された緩衝膜によって、接合部を本体部に形成する際に蓋部材に発生する応力を緩和することができる。これにより、蓋部材の破損を低減することができる。
前記緩衝膜を構成する材料のヤング率は、250GPa以下であることが好ましい。このように規定すれば、前記緩衝膜の緩衝性を高めることができ、蓋部材に発生する応力を緩和することができる。
前記緩衝膜は、積層膜であることが好ましい。積層した膜であれば、接合部を本体部に形成する際に、更に効果的に、蓋部材に発生する応力を緩和することができる。これにより、蓋部材の破損を低減することができる。また、効果的に反射防止効果を得ることができ、パッケージ内部の電子部品素子の発光特性が改善する。
上記構成の蓋部材において、前記緩衝膜は、酸化シリコン膜及び酸化ハフニウム膜を含むことが好ましい。
上記構成の蓋部材において、前記本体部は、石英又は石英ガラスにより構成されてもよい。
本発明は上記の課題を解決するためのものであり、パッケージの基体を覆うための蓋部材を製造する方法であって、前記蓋部材は、本体部を備え、前記本体部の表面に緩衝膜を形成する緩衝膜形成工程と、前記緩衝膜形成工程後に、前記緩衝膜に重なるように接合部を形成する接合部形成工程と、を備え、前記緩衝膜は、酸化膜を含むことを特徴とする。
かかる構成によれば、緩衝膜形成工程において蓋部材における本体部の表面に形成された緩衝膜によって、接合部形成工程において蓋部材に発生する応力を緩和することができる。これにより、蓋部材の破損を低減することができる。
上記の蓋部材の製造方法において、前記緩衝膜形成工程では、二種以上の緩衝膜を積層してもよい。
上記の蓋部材の製造方法において、前記緩衝膜形成工程では、前記緩衝膜として、酸化シリコン膜及び酸化ハフニウム膜を積層してもよい。
前記緩衝膜形成工程では、スパッタリング法又は蒸着法により前記緩衝膜を前記本体部の前記表面に形成してもよい。
本発明に係るパッケージは上記の課題を解決するためのものであり、電子部品を収容する基体と、上記した蓋部材と、を備えることを特徴とする。
かかる構成によれば、蓋部材における本体部の表面に形成された緩衝膜によって、蓋部材を基体に接合する際に蓋部材に発生する応力を緩和することができる。これにより、蓋部材の破損を低減することができる。
上記のパッケージにおいて、前記電子部品は、紫外線照射用LEDであってもよく、この場合、前記緩衝膜の紫外線(波長280nm)の透過率は、90%以上であってもよい。
かかる構成によれば、緩衝膜によって、紫外線照射用LEDから照射された紫外線の反射を防止することが可能となる。
本発明に係るパッケージの製造方法は、上記の課題を解決するためのものであり、電子部品を収容する基体に、上記の蓋部材を接合する接合工程を備えることを特徴とする。
かかる構成によれば、蓋部材の本体部の表面に形成された緩衝膜によって、接合工程において蓋部材に発生する応力を緩和することができる。これにより、蓋部材の破損を低減することができる。
本発明によれば、パッケージに使用される蓋部材の破損を低減することができる。
パッケージの断面図である。 基体の平面図である。 図2のIII―III矢視線に係る基体の断面図である。 蓋部材の平面図である。 図4のV-V矢視線に係る蓋部材の断面図である。 蓋部材の要部拡大断面図である。 蓋部材の製造方法を示すフローチャートである。 蓋部材の製造方法における一工程を示す平面図である。 蓋部材の製造方法における一工程を示す平面図である。 蓋部材の製造方法における一工程を示す平面図である。 パッケージの製造方法における一工程を示す断面図である。
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。図1乃至図11は、本発明に係る蓋部材、パッケージ及びその製造方法の一実施形態を示す。
図1は、本発明に係るパッケージの一例を示す断面図である。パッケージ1は、基体2と、基体2に収容される電子部品3と、基体2及び電子部品3を覆う蓋部材4と、基体2と蓋部材4とを気密に接合する封止部5と、を備える。
図2及び図3は、蓋部材4が接合される前の基体2を示す。基体2は、電子部品3を収容する凹部2aと、封止部5によって蓋部材4と接合される端面2bと、端面2bに形成される金属層6とを有する。
基体2の材質としては、例えば、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等のセラミックス、これらセラミックスとガラス粉末が混合焼結されて成るガラスセラミックス、Fe-Ni-Co合金、Cu-W合金、Kovar(登録商標)等の合金等が挙げられる。
後述する金属系の接合材を、基体2の端面2bに、直接、接合しようとすると、金属系接合材の濡れ性が悪いため、良好に接合部10を形成することが困難である。そこで、金属系接合材の濡れ性を改善するため、基体2の端面2bに、金属層6を形成することが好ましい。このようにすれば、基体2の端面2bに、接合部10を効果的に形成できる。
図2に示すように、金属層6は、凹部2aの開口部を囲む枠形状を有する。金属層6は、四角形状とされているが、この形状に限定されるものではない。例えば凹部2aの開口部が円形である場合、金属層6は、凹部2aの形状に対応するように、円形状に構成されてもよい。
金属層6は、端面2b側から順に下地層、中間層、及び表層の三層を含む。下地層に用いられる金属としては、例えば、Cr、Ta、W、Ti、Mo、Ni、Pt等が挙げられる。中間層に用いられる金属としては、例えば、Ni、Pt、Pd等が挙げられる。表層に用いられる金属としては、例えば、Au、Sn、Ag、Ni、Pt等が挙げられる。金属層6に用いられる金属は、単体であってもよいし、合金であってもよい。
金属層6を基体2の端面2bに形成する方法としては、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンアシスト又はイオンプレーティングを用いた真空蒸着法、及びCVD法等の成膜法が挙げられる。
電子部品3は、基体2における凹部2aの底面に固定されている。電子部品3の例としては、レーザーモジュール、LED光源、光センサ、撮像素子、光スイッチ等の光学デバイスが挙げられる。電子部品3は、振動センサ、加速度センサ等であってもよい。本実施形態では、電子部品3が紫外線照射用LEDである場合を一例として説明する。
図4乃至図6は、基体2に接合される前の蓋部材4を示す。蓋部材4は、本体部7と、本体部7の一部に形成される緩衝膜8と、金属層9と、接合部10と、を備える。
本体部7は、光透過性を有する基板により構成される。具体的には、本体部7は、石英基板、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノシリケートガラス、その他の各種ガラスを含むガラス基板、サファイア基板、樹脂基板等により構成される。本実施形態では、高い紫外線透過性を有する石英基板又は石英ガラス基板が本体部7に用いられる場合について説明する。
本体部7の厚さは、0.1mm以上、1mm以下の範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.2mm以上、0.5mm以下の範囲内である。本体部7の熱膨張係数は、接合部10の熱膨張係数よりも小さい。本体部7の熱膨張係数は、基体2の熱膨張係数よりも小さい。
図1、図4及び図5に示すように、本体部7の表面は、第一主面7aと、第一主面7aの反対側に位置する第二主面7bと、を含む。第一主面7a及び第二主面7bは、基体2の凹部2aの開口面積よりも大きな面積を有する。
緩衝膜8は、基体2と蓋部材4とを接合部10によって接合する際に、蓋部材4に発生する応力を緩和するためのものである。緩衝膜8は、酸化膜により構成される。
緩衝膜8を構成する酸化物のヤング率は、好ましくは250GPa以下、より好ましくは200GPa以下、更に好ましくは150GPa以下、特に好ましくは100GPa以下である。このように上限を規定すれば、緩衝膜8の緩衝性を高めることができ、接合部10と蓋部材4の熱膨張係数の違いに起因する応力を緩和する効果を得られる。
図4に示すように、緩衝膜8は、枠形状を有する。緩衝膜8は、四角形状に構成されるが、この形状に限定されず、円形状その他の形状であってもよい。図4及び図5に示すように、緩衝膜8は、本体部7の第一主面7aに形成されている。緩衝膜8は、本体部7の第一主面7aの全面に形成してもよく、第一主面7aの一部に形成してもよい。
図6に示すように、緩衝膜8は、第一の膜としての酸化シリコン膜(SiO)11a,11bと、第二の膜としての酸化ハフニウム膜(HfO)12a,12bとを含む多層膜構造を有する。緩衝膜8の材質は、本実施形態に限定されない。なお、緩衝膜8における酸化シリコン膜11a,11bを構成する酸化シリコンのヤング率は、73GPaである。緩衝膜8における酸化ハフニウム膜12a,12bを構成する酸化ハフニウムのヤング率は、55GPaである。
本実施形態では、二層の酸化シリコン膜11a,11bと、二層の酸化ハフニウム膜12a,12bとが交互に積層された緩衝膜8(積層膜)を例示する。緩衝膜8における膜の構成(各膜の数や積層順)は、本実施形態に限定されない。酸化シリコン膜11a,11bの数と、酸化ハフニウム膜12a,12bの数の合計は、4以上、好ましくは16以上である。
緩衝膜8の厚さは、好ましくは0.1μm以上1μm以下であり、より好ましくは0.2μm以上0.8μm以下である。このように下限を規定すれば、緩衝膜8の緩衝性を更に高めることができ、接合部10と蓋部材4の熱膨張係数の違いに起因する応力を緩和する効果を得られる。また、このように上限を規定すれば、緩衝膜8の製造コストを下げることができる。酸化シリコン膜11a,11bの厚さは、好ましくは0.01μm以上0.07μm以下であり、より好ましくは、0.015μm以上0.065μm以下である。酸化ハフニウム膜12a,12bの厚さは、好ましくは0.001μm以上1μm以下であり、より好ましくは、0.002μm以上0.8μm以下である。
電子部品3が紫外線照射用LEDである場合、緩衝膜8は、紫外線の反射を防止する反射防止膜としても機能する。すなわち、緩衝膜8は、低屈折率層(本実施形態においては酸化シリコン膜11a,11b)と、高屈折率層(本実施形態においては酸化ハフニウム膜12a,12b)とを交互に積層してなる多層構造を有する。緩衝膜8の紫外線(波長280nm)の透過率は、90%以上であることが好ましい。
低屈折率層における紫外線(波長280nm)の屈折率は、1.4以上1.7以下である。高屈折率層における紫外線(波長280nm)の屈折率は、1.8以上2.5以下である。このように規定すると、積層された緩衝膜8は、紫外線の反射防止膜としての効果を高めることができる。なお、本実施形態で例示する緩衝膜8の酸化シリコン膜11a,11bにおける紫外線の屈折率は、1.5である。緩衝膜8の酸化ハフニウム膜12a,12bにおける紫外線の屈折率は、2.1である。
図4に示すように、金属層9は、基体2の金属層6の形状に対応するように、四角形の枠形状を有する。金属層9の形状は本実施形態に限定されない。金属層9は、円形状その他の各種枠形状を有してもよい。後述する金属系の接合材を、蓋部材4の本体部7に形成されている酸化膜からなる緩衝膜8の上に、直接、形成しようとすると、金属系接合材の濡れ性が悪いため、良好に接合部10を形成することが困難である。そこで、金属系接合材の濡れ性を改善するため、蓋部材4の本体部7に形成される緩衝膜8の上に、金属層9を形成することが好ましい。このようにすれば蓋部材4の上に、接合部10を効果的に形成できる。
図4及び図5に示すように、金属層9は、緩衝膜8に重なるように形成されている。図6に示すように、金属層9は、本体部7の緩衝膜8側から順に、下地層13、中間層14、及び表層15の三層を含む。
下地層13に用いられる金属としては、例えば、Cr、Ta、W、Ti、Mo、Ni、Pt等が挙げられる。下地層13にCrが用いられる場合、下地層13のヤング率は、279GPaである。中間層14に用いられる金属としては、例えば、Ni、Pt、Pd等が挙げられる。表層15に用いられる金属としては、例えば、Au、Sn、Ag、Ni、Pt等が挙げられる。金属層9に用いられる金属は、単体であってもよいし、合金であってもよい。
図4に示すように、接合部10は、緩衝膜8及び金属層9の形状に対応するように、四角形の枠形状を有する。接合部10の形状は本実施形態に限定されず、円形その他の各種枠形状であってもよい。図5及び図6に示すように、接合部10は、金属層9の表層15に重なるように層状に構成される。
接合部10は、金属系接合材により構成される。金属系接合材としては、半田材やろう材として市販されるものを用いることができる。金属系接合材としては、例えば、Au-Sn合金、Pb-Sn合金、Au-Ge合金等が挙げられる。本実施形態では、金属系接合材としてAu-Sn合金が使用される場合について説明する。
封止部5は、基体2の金属層6と蓋部材4の金属層9とを接合部10で一体に接合することにより形成される。
以下、蓋部材4を製造する方法について説明する。図7に示すように、蓋部材4の製造方法は、準備工程S1と、緩衝膜形成工程S2と、金属層形成工程S3と、接合部形成工程S4と、切断工程S5と、を備える。
図8に示すように、準備工程S1では、蓋部材4を複数形成することが可能な大型の基板16が用意される。本実施形態では、4枚の蓋部材4(本体部7)を形成することが可能な基板16を例示するが、基板16の大きさは本実施形態に限定されない。基板16は、蓋部材4の本体部7の母材であり、本体部7と同じ材料により構成される。このため、基板16は、複数の本体部7が一体に構成されたものと見做すことができる。
図8に示すように、緩衝膜形成工程S2では、基板16に複数の緩衝膜8が形成される。緩衝膜8は、基板16における一方の面16a(本体部7の第一主面7aに相当)に形成される。複数の緩衝膜8は所定の間隔をおいて基板16に形成される。
緩衝膜形成工程S2では、酸化シリコン膜11a,11bと酸化ハフニウム膜12a,12bとが交互に積層形成されることにより、緩衝膜8が形成される。緩衝膜8を形成する方法としては、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンアシスト又はイオンプレーティングを用いた真空蒸着法、及びCVD法の成膜法が挙げられる。
図9に示すように、金属層形成工程S3では、緩衝膜8に重なるように、金属層9が形成される。金属層9を形成する方法としては、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンアシスト又はイオンプレーティングを用いた真空蒸着法、及びCVD法の成膜法が挙げられる。
図10に示すように、接合部形成工程S4では、金属層9に重なるように、接合部10が形成される。接合部10は、例えばペースト状の金属系接合材を金属層9に重ねるように塗布する工程を有する(塗布工程)。塗布工程の具体例としては、マスクを用いた印刷法(スクリーン印刷法)、ディスペンサを用いた塗布法等が挙げられる。
接合部形成工程S4は、本実施形態に限定されない。接合部形成工程S4では、例えば、予め所定の枠形状に形成した金属系接合材の成形体を、本体部7の第一主面7aの金属層9に重なるように配置してもよい。
接合部10に係る金属系接合材が本体部7の第一主面7aに塗布されると、この金属系接合材を第一主面7aの金属層9に固定するための熱処理工程が実行される。熱処理工程は、加熱工程と、冷却工程とを備える。
加熱工程では、本体部7をリフロー炉等の加熱装置を用いて加熱することで、金属系接合材を溶融させることができる。加熱工程は、例えば炉内に窒素を充填した状態で実施してもよい。加熱工程において、本体部7は、300℃以上の温度に加熱される。
冷却工程において、本体部7の第一主面7a上で溶融した金属系接合材は、冷却されることで固化する。冷却工程は、150℃以上300℃以下の温度範囲、2分間以上30分間以下の時間の条件で温度を維持する徐冷を含むことが好ましい。冷却工程において、本体部7と接合部10との熱膨張係数の差により、蓋部材4に応力が発生するが、緩衝膜8は、この応力を緩和することができる。
以上により、複数の緩衝膜8、複数の金属層9及び複数の接合部10が積層されてなるパッケージ用基板16が完成する。切断工程S5において、この基板16は、切断刃や、レーザー等を用いた公知の切断法により、図10に示す切断予定線CLに沿って切断される。これにより、複数の蓋部材4が製造される。
次に、パッケージ1の製造方法について説明する。本方法は、上記のように製造された蓋部材4を基体2の端面2bに接合する接合工程を備える。
図11に示すように、接合工程では、蓋部材4が基体2に重ねられる。具体的には、蓋部材4の本体部7の第一主面7aを基体2に対向させ、接合部10を基体2の端面2bの金属層6に接触させる。その後、金属層6と接合部10とを圧接させた状態で加熱する(加熱工程)。これにより、接合部10の金属系接合材が溶融した状態となる。
その後、溶融した金属系接合材を冷却することにより固化させる(冷却工程)。冷却工程において、基体2と蓋部材4の本体部7との熱膨張係数の差に起因して、蓋部材4に応力が発生することとなる。この場合において、緩衝膜8は、この応力を緩和するように変形する。
冷却工程が終了すると、接合部10が基体2の金属層6と本体部7の金属層9とを一体に接合してなる封止部5が形成される。以上により、基体2の凹部2aの気密性が保たれたパッケージ1が完成する。
以上説明した本実施形態に係るパッケージ1、蓋部材4及びその製造方法によれば、蓋部材4における本体部7の第一主面7aに緩衝膜8を形成することで、接合部形成工程S4、及び接合工程における冷却時に蓋部材4に発生する応力を緩和することができる。これにより、蓋部材4の破損を低減することができる。
蓋部材4の本体部7に石英基板又は石英ガラス基板を用いた場合には、接合部10と本体部7の熱膨張係数の差、及び基体2と本体部7との熱膨張係数の差が顕著に大きくなる。このような場合であっても、金属層9よりもヤング率の小さな緩衝膜8によって蓋部材4に発生する応力を緩和することで、蓋部材4の破損を効果的に低減することが可能である。
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、上記した作用効果に限定されるものでもない。本発明は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
上記の実施形態では、紫外線の反射防止膜としても機能する緩衝膜8を例示したが、本発明は、この構成に限定されない。緩衝膜8は、紫外線の反射防止機能を有していなくてもよい。
上記の実施形態では、緩衝膜8における第二の膜として酸化ハフニウム膜12a,12bを例示したが、本発明はこの構成に限定されるものではない。緩衝膜8の第二の膜(高屈折率層)は、例えばチタン、ニオブ、タンタルのいずれか一種を含む酸化膜により構成されてもよい。
上記の実施形態では、複数の蓋部材4を製造することが可能な基板16に複数の緩衝膜8、金属層9及び接合部10を形成する工程を示したが、本発明はこの構成に限定されない。本発明は、基板16を切断することによって複数の本体部7を形成した後に、各本体部7に緩衝膜8等を形成してもよい。
上記の実施形態では、基板16を切断予定線CLに沿って切断する切断工程S5を例示したが、本発明はこの構成に限定されない。例えば複数の緩衝膜8、金属層9及び接合部10が形成された基板16を切断することなく蓋部材4として使用してもよい。この場合、基板16自体がこの蓋部材4の本体部7となる。この蓋部材4を複数の凹部2aを有する基体2に接合することで、複数の電子部品3を備えるパッケージを製造することができる。このパッケージは、接合工程後に、複数の電子部品を個別に分割するように切断されてもよい。
上記の実施形態では、二種(酸化シリコン膜11a,11b及び酸化ハフニウム膜12a,12b)の膜を積層してなる緩衝膜8を例示したが、本発明は、この構成に限定されず、他種の膜が追加されてもよい。すなわち、緩衝膜8は二種以上の膜を積層してなる積層膜であってもよい。
1 パッケージ
2 基体
3 電子部品
4 蓋部材
7 本体部
7a 第一主面
8 緩衝膜
10 接合部
11a 酸化シリコン膜
11b 酸化シリコン膜
12a 酸化ハフニウム膜
12b 酸化ハフニウム膜
S2 緩衝膜形成工程
S4 接合部形成工程

Claims (12)

  1. パッケージの基体を覆うための蓋部材であって、
    本体部と、前記本体部の表面に形成される緩衝膜と、前記緩衝膜に重なるように形成される接合部と、を備え、
    前記接合部は、金属系接合材を含み、
    前記緩衝膜は、酸化膜を含むことを特徴とする蓋部材。
  2. 前記緩衝膜を構成する材料のヤング率は、250GPa以下である請求項1に記載の蓋部材。
  3. 前記緩衝膜は、積層膜であることを特徴とする請求項1又は2に記載の蓋部材。
  4. 前記緩衝膜は、酸化シリコン膜及び酸化ハフニウム膜を含む請求項1から3のいずれか一項に記載の蓋部材。
  5. 前記本体部は、石英又は石英ガラスにより構成される請求項1から4のいずれか一項に記載の蓋部材。
  6. パッケージの基体を覆うための蓋部材を製造する方法であって、
    前記蓋部材は、本体部を備え、
    前記本体部の表面に緩衝膜を形成する緩衝膜形成工程と、前記緩衝膜形成工程後に、前記緩衝膜に重なるように接合部を形成する接合部形成工程と、を備え、
    前記接合部は、金属系接合材を含み、
    前記緩衝膜は、酸化膜を含むことを特徴とする蓋部材の製造方法。
  7. 前記緩衝膜形成工程では、二種以上の緩衝膜を積層する請求項6に記載の蓋部材の製造方法。
  8. 前記緩衝膜形成工程では、前記緩衝膜として、酸化シリコン膜及び酸化ハフニウム膜を積層する請求項6又は7に記載の蓋部材の製造方法。
  9. 前記緩衝膜形成工程では、スパッタリング法又は蒸着法により前記緩衝膜を前記本体部の前記表面に形成する請求項6から8のいずれか一項に記載の蓋部材の製造方法。
  10. 電子部品を収容する基体と、請求項1から5のいずれか一項に記載の蓋部材と、を備えることを特徴とするパッケージ。
  11. 前記電子部品は、紫外線照射用LEDであり、
    前記緩衝膜の紫外線透過率は、90%以上である請求項10に記載のパッケージ。
  12. 電子部品を収容する基体に、請求項1から5のいずれか一項に記載の蓋部材を接合する接合工程を備えることを特徴とするパッケージの製造方法。
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