JP2022010539A - 地中熱交換器及びその埋設方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】大深度の掘削を必要とせず、しかも材料費及び設置費用を抑制できる地中熱交換器及びその埋設方法を実現する。【解決手段】地中に埋設されて、流体を地表側より先端側である下向きに流すと共に、再び地表側である上向きに流す連続した通路を有している地中熱交換器5であって、帯状ないしは細長い板状のボード4からなり、前記ボード4の板厚内の長手方向に前記通路1を区画形成している構成である。また、通路1が、流体を地表側より先端側である下向きに流入可能な第1通路10、及び第1通路に下折返し部12を介し接続されて流体をボード4の先端側より地表側である上向きに流入可能な第2通路11を単位通路PUとして、該単位通路の1又は互いに上折返し部13を介し接続された複数からなる構成である。【選択図】図1

Description

本発明は、地中熱を利用する場合に好適な地中熱交換器及びその埋設方法に関する。
図13(a)と(b)は非特許文献1に記載の地中熱交換器を用いて採熱・放熱する地中熱ヒートポンプシステムのうち、深度10~100m程度までの地中熱交換器に不凍液等を循環させるクローズドループ方式を示している。ここで、地中熱とは、地表から地下約200mの深さまでの地中にある熱のことで、深さ10m以深の地中温度は季節に関わらずほぼ安定していて、夏は外気温より冷たく、冬は外気温より暖かい性質を持っている。また、地中熱交換器としては、最も一般的な方式が深さ数10~100m程度に掘削した孔(ボアホール)にU字管ないしはUチューブと称されるものを挿入する構成であり、熱負荷に応じて必要総延長(深さ×本数)が決められる。ところが、以上の地中熱交換器を埋設する場合は、大型掘削機でボアホールを形成したり、ボアホールに地中熱交換器を挿入し、更に挿入した地中熱交換器の周囲の隙間を珪砂等により埋め戻したりしなければならない。
また、図14(a)や(b)は地中熱交換器であるU字管ないしはUチューブの埋設方法の他の従来例を示している。同(a)の地中熱交換器(地中熱採熱装置)は、特許文献1に開示のもので、地中に打ち込むための先鋭部を有する鋼管杭1と、鋼管杭1内に挿入配置される熱交換器10とからなる。(b)の地中熱交換器(地中熱交換機能を有する鋼矢板)は、特許文献2に開示のものであり、鋼矢板基体122と、鋼矢板基体に設けられて鋼矢板基体の長手方向に延在した収容空間が内部に形成される収容部124と、収容空間に収容され、内部を熱媒が流通する熱交換配管126と、鋼矢板基体や収容部に設けられて地中の土砂との接触面積を増加させる突出部122a,124cとを備えている。
特開2016-223270号公報 特開2017-57716号公報
環境省ホームページ「地中熱利用システム」2019年3月
非特許文献1に開示の熱交換器として用いられるU字管ないしはUチューブは、それ自体単純な構成であるが、埋設するには大型掘削機によりボアホールを形成しなければならず、U字管ないしはUチューブが長くなったり必要本数が多くると、設置工数及び費用が嵩んで熱交換器として目的の長さや本数に制約されることもある。これに対し、上記特許文献1の地中熱交換器の埋設方法では熱交換器と共に鋼管杭を必須とし、特許文献2の地中熱交換器の埋設方法では、鋼矢板基体及び鋼矢板基体に設けられた収容部に挿入される熱交換配管を必須としているため、地盤強度等の理由から鋼管杭や鋼矢板基体を必要としない場合は採用し難い構成となっている。
そこで、本発明の目的は、大深度の掘削を必要とせず、しかも材料費及び設置費用を大幅に抑制できる地中熱交換器及びその埋設方法を実現することにある。他の目的は、以下の内容説明の中で明らかにする。
上記目的を達成するため請求項1の発明は、図1~図9を参照して特定すると、地中に埋設されて、流体を地表側より先端側である下向きに流すと共に、再び地表側である上向きに流す連続した通路を有している地中熱交換器(1)であって、帯状ないしは細長い板状のボード(2)からなり、前記ボードの板厚内の長手方向に前記通路(1)を区画形成していることを特徴としている。
以上の地中熱交換器は、例えば、地盤改良に用いられるプラスチックドレーン材(特許第4363996号公報等を参照)と比べ、細長い帯状ないしは細長い板状からなる点、及び地中に埋設する方法で類似しているが、通路が板厚内に形成されて略U形又はU形同士を連続して接続した構成となっている点で相違している。また、本発明の地中熱交換器は、ボードが非透水性材料で形成されているため両側板から通路に水などが入り込まない。これに対し、プラスチックドレーン材は、両側面が透水性であることを必須としており、透水性がないと機能しない。
以上の本発明は、請求項2~7に特定されるように具体化されることがより好ましい。
(ア)前記通路(1)が、流体を地表側より先端側である下向きに流入可能な第1通路(10)、及び前記第1通路に下折返し部(12)を介し接続されて前記流体を前記ボードの先端側より地表側である上向きに流入可能な第2通路(11)を単位通路(PU)として、該単位通路の1又は互いに上折返し部(13)を介し接続された複数にて構成されている(請求項2)。
(イ)前記ボード(2)は、通路区画用の芯材(3)及び前記芯材の両側面に一体化された側板(4)からなり、前記芯材と前記側板との間に前記通路(1)を形成している構成である(請求項3)。
(ウ)前記ボード(2)は、図8に例示されるごとく2枚の側板からなり、前記側板同士の間に前記通路(1)を形成している構成である(請求項4)。
(エ)請求項3の前記芯材(3)と前記側板(4)、又は請求項4の前記各側板が樹脂素材か金属素材の何れかにより形成されている構成である(請求項5)。なお、この素材構成では、例えば、芯材と側板を共に樹脂素材で形成する場合、同一の樹脂素材で形成する構成に限られず、異なる樹脂素材で形成する構成でもよい。
(オ)前記側板(4)が図2(e)の例のごとく側板外面に設けられて地中との接触面積を増加する断面凹状部(4a)又は/及び断面凸状部を有している構成である(請求項6)。
(カ)図3や図4の例のごとく前記単位通路(PU)が複数ある場合、前記通路(1)のうち、流体を通路に流入したり流出する上側通路部(10a,11a)を除いて前記第2通路(11)と第1通路(10)の上折返し部(13)がボード上端面から1メートル以上、下側に位置するよう設けられている構成である(請求項7)。なお、これに代わる構成として、例えば図1のボード2の場合だと両側の外面に対し上端から所定距離(少なくとも下側へ1メートル以上)に断熱シートを貼り付けるようにしてもよい。但し、その場合は断熱シート、及びその貼り付け作業が必要となる。
(キ)請求項1から7の何れかに記載の地中熱交換器(5)の複数を図6の例のごとく並設し、かつ並設された前記地中熱交換器同士の前記通路(1)を連結部材(6)により連続するよう接続している構成である(請求項8)。
(ク)地中熱交換器の埋設方法として、請求項1から6の何れかに記載の前記ボードを打設機により打設管内に挿入した状態で地中に打設した後、前記ボードを地中に残置した状態で前記打設管を引き抜く構成である(請求項9)。
請求項1の発明では、地中熱交換器として、帯状ないしは細長い板状のボードからなり、ボードの板厚内の長手方向に設けられた通路、つまり流体を地表側より先端側である下向きに流すと共に、再び地表側である上向きに流す連続した通路を有している。このため、本発明の地中熱交換器は、図13のU字管ないしはUチューブと称される地中熱交換器に対し、図10に例示されるごとくボードを打設機により打設管内に挿入した状態で地中に打設した後、ボードを地中に残置した状態で打設管を引き抜く埋設方法を採用でき、また、長さが短くても長い通路を得ることができる。換言すると、本発明の地中熱交換器では、U字管ないしはUチューブの埋設方法のごとく大型掘削機でボアホールを形成したり、ボアホールに地中熱交換器を挿入し、更に挿入した地中熱交換器の周囲の隙間を珪砂等により埋め戻す必要がなくなり、請求項9に特定されるような打設管を用いた埋設方法を適用できるため、より深く埋設する場合にも工期及び施工費共に大幅に低減でき、実用性に優れている。
請求項2の発明では、通路が第1通路、及び第1通路に下折返し部を介し接続されている第2通路を単位通路として、該単位通路の1又は互いに上折返し部を介し接続された複数にて構成されているため、通路の必要総延長に応じて図1や図2に示した構成、図3~図8に示した変形例1~6の構成などを採用でき、汎用性に優れている。
請求項3の発明では、ボードが芯材及び芯材の両側面に一体化された側板からなり、芯材と側板との間に通路を形成しているため、例えば従来のU字管ないしはUチューブと称される地中熱交換器の通路に比べ外観形状を一定に保って通路の長さや断面積を変更容易となる。
請求項4の発明では、図8の例のごとくボードが2枚の側板からなり、側板同士の間に通路を形成しているため、請求項3の構成に比べ部材数を減じ簡易化が達成される。
請求項5の発明では、例えば、請求項3の芯材と側板、請求項4の各側板が樹脂素材で形成されていると軽量化と材料費の低減が図られ、また、金属素材で形成されていると耐久性や耐水性に優れたものとなる。
請求項6の発明では、側板が側板外面に設けられて地中との接触面積を増加する断面凹状部又は/及び断面凸状部を有していると、側板と地中の土砂との間の伝熱効率を向上できる。
請求項7の発明では、単位通路が複数ある場合、通路のうち、流体を通路に流入したり流出する上側通路部を除いて第2通路と第1通路の上折返し部がボード上端面から1メートル以上、下側にずれていると、図11から推察されるごとく外気温や地表面側の温度変動の影響を受け難くなり、それにより安定効率的な熱交換を実現可能となる。
請求項8の発明では、地中熱交換器の複数を図6の例のごとく並設し、かつ並設された地中熱交換器同士の通路を連結部材により連続するよう接続しているため、通路の長さを数倍にすることも容易に可能となる。
請求項9の発明では、地中熱交換器の埋設方法として、請求項1から7の何れかに記載の地中熱交換器であるボードを打設機により打設管内に挿入した状態で地中に打設した後、ボードを地中に残置した状態で打設管を引き抜く、要は従来のプラスチックドレーン材を用いたドレーン工法と同様な打設機により迅速な打設作業により、工費を低減したり工期を短縮できる。
本発明形態の地中熱交換器を地中熱利用施設に使用する場合の模式図であり、(a)は地盤に打設した地中熱交換器の正面図、(b)は(a)のA-A線断面図、(c)は(a)のB方向から見た側面図である。 (a)と(b)は上記地中熱交換器を構成している芯材を示す正面図とそのA1-A1線断面図、(c)と(d)は側板を示す正面図とそのA2-A2線断面図、(e)と(f)は側板の変形例を示す正面図とそのA3-A3線断面図である。 (a)は地中熱交換器の変形例1を模式的に示す正面図、(b)は(a)のA4-A4線断面図、(c)は該地中熱交換器を構成している芯材を示す正面図である。 (a)は地中熱交換器の変形例2を模式的に示す正面図、(b)は(a)のA5-A5線断面図、(c)は該地中熱交換器を構成している芯材を示す正面図である。 (a)は地中熱交換器の変形例3を模式的に示す正面図、(b)は(a)のA6-A6線断面図、(c)は該地中熱交換器を構成している芯材を示す正面図である。 (a)は地中熱交換器の変形例4を模式的に示す正面図、(b)は(a)のA7-A7線断面図、(c)は該地中熱交換器を構成している芯材を示す正面図である。 (a)は地中熱交換器の変形例5を模式的に示す正面図、(b)は(a)のA8-A8線断面図、(c)は(a)のB1方向から見た側面図である。 (a)は地中熱交換器の変形例6を模式的に示す正面図、(b)は(a)のA9-A9線拡大断面図、(c)は側板同士の接合前状態を示す参考断面図である。 上記地中熱交換器の他の作成方法を模式的に示し、(a)は芯材を一方側板付きの態様で成形した後、もう一方の側板を接合する構成を示す正面図、(b)は(a)のA10-A10線断面図、(c)は地中熱交換器の上下部と中間部を別々に作成した後、それらを接合した構成を示す正面図である。 上記地中熱交換器を埋設する際の施工順を模式的に示し、(a)は打設機を位置決めする位置決め工程、(b)は地中熱交換器を挿入した打設管を打設する打設工程、(c)は打設管を引き抜いた工程の引抜き工程である。 上記地中熱交換器の地中温度特性を夏場と冬場で調べた試験例であり、(a)は試験方法の模式図、(b)は試験結果を示すグラフである。 中熱交換器の最深分に設置した温度センサで流入した水温度の経時変化を調べた試験例で、(a)は試験方法の模式図、(b)は試験結果を示すグラフである。 (a)と(b)は環境庁ホームページより入手した「地中熱利用システム」2019年3月に掲載された地中熱ヒートポンプシステムの2つの模式図である。 (a)は特許文献1に開示の図1であり、(b)は特許文献2に開示の図2である。
以下、本発明を適用した形態及びその変形例を図面を参照して説明する。この説明では、地中熱交換器の形態、側板の変形例、地中熱交換器の変形例1~6、作成方法の他の例、埋設方法、作用効果、試験例の順に述べる。これらの説明では、変更した部材や部位にだけ新たな符号を付け極力重複した記載を省く。また、図面は細部を省略したり模式化され、地中熱交換器ないしはボードの長さは作図上、実寸より短くなっている。
(地中熱交換器の形態)図1及び図2において、地中熱交換器5A(5)は、芯材3A(3)及び芯材3Aを両側に一体化している対の側板4A(4)を有した可撓性の帯状ないしは細長い板状のボード2を構成し、ボード2の板厚内の長手方向に通路1を形成している。また、通路1は、液体又は気体である流体を地表側より先端側である下向きに流入可能な第1通路10、及び第1通路10に下折返し部12を介し接続されて流体をボード2の先端側より地表側である上向きに流入可能な第2通路11を単位通路PUとして形成される。この例では、通路1が3つの単位通路PUで構成されており、単位通路PU同士が互いに上折返し部13を介し連続するよう接続されている。
両側の単位通路PUは地中熱利用施設7に配管6で接続されている。すなわち、この例では、右側単位通路PUを構成している第1通路10の上側が延長され、該延長された上側通路部10aに地中熱利用施設7側から流体が配管6を介して流入され、また、左側単位通路PUを構成している第2通路11の上側が延長され、該延長された上側通路部11aから流体が配管6を介して地中熱利用施設7側に流出される。中間の単位通路PUにおいて、その第1通路10は右側単位通路PUの第2通路11と上折返し部13を介して連通されていると共に、その第2通路11は左側単位通路PUの第1通路10と上折返し部13を介して連通されている。このため、この例では、地中熱利用施設7で利用される流体が右側単位通路PU、中間の単位通路PU、左側単位通路PUを通って循環可能となっている。なお、地中熱利用施設7はヒートポンプや路面等への放熱部である。
ここで、地中熱交換器5ないしはボード2の幅、厚さ、長さは任意に決められる。通常、幅寸法は打設管との関係や取扱性の点から5~15cm程度が好ましい。厚さは1~3cm程度が好ましい。長さは少なくとも5m以上に設定されることが好ましい。芯材3及び側板4の材質は、樹脂素材、金属、ゴム、その他の素材でもよい。好ましくは、樹脂素材、特に熱可塑性の樹脂素材で形成される。この場合は芯材と側板を異なる樹脂素材で形成してもよい。例えば、芯材は加工性等に優れた樹脂素材を選定し、側板は耐久性等に優れた樹脂素材を選定することである。
以上の地中熱交換器5ないしはボード2の成形方法は、芯材3A及び各側板4Aが共に熱可塑性樹脂素材を用いて作成された後、各側板4Aが芯材3Aの両側面に接合されて一体化される。また、地中熱交換器5ないしはボード2は、可撓性であるため、所定長さ以上(例えば10m以上)になる場合、例えば、図10に示されるような供給リール23に巻き付けた状態で取扱可能であり、また、同図のごとく必要に応じ吊り紐27を地中熱交換器5ないしはボード2の上端側に連結しておくと扱い易く便利となる。
(側板の変形例)図2(e)と(f)は以上の側板の変形例を示している。すなわち、変形例の側板4Bは、側板4Aに比べ芯材3に接合される内面が平坦面になっている点で同じ、しかし外面が長手方向に延びた溝状の断面凹状部4aを複数有している点で相違している。この断面凹状部4aは、側板4を芯材3に一体化した状態で芯材の通路10に対応して設けられており、この例だと単位通路PUの数3×2=6つである。但し、より多くの凹状部4aを設けるようにしてもよい。作用は、地中との接触面積を増やすことにより熱の伝達ないしは伝熱効率を向上する。形状としては、図示を省いたが、凹状に代えて断面凸状部にしても同様な効果を期待できる。
(地中熱交換器の変形例1)図3はボードの肉厚内に設けられる通路の設定を変えた変形例を示している。すなわち、この地中熱交換器5B(5)は、芯材3B(3)及び芯材3Bの両側に一体化している対の側板4B(4)を有した可撓性の帯状ないしは細長い板状のボード2を構成し、ボード2の板厚内の長手方向に通路1を形成している。この通路1は、ボード2の上側を所定寸法Lだけ避けるようにした構成である。
詳述する。前記した単位通路PUが複数ある構成において、通路1のうち、流体を通路に導入ないしは流入したり導出ないしは流出する上側通路部10a,11aを除き、第2通路11と第1通路10の上折返し部13をボード上端面から1メートル以上、下側に位置するよう設けたものである。これは、通路10のうち、流体を通路10に流入したり流出する上側通路部10a,11aを除いて上折返し部13がボード上端面から1メートル以上、下側にずれるようにすると、図12(a)の試験から推察されるごとく外気温や地表面側の温度変動の影響を受け難くなり、効率的な熱交換を維持できる。
(地中熱交換器の変形例2)図4は上記単位通路PUを2つに設定した変形例を示している。すなわち、この地中熱交換器5C(5)は、芯材3C(3)及び芯材3Cを両側に一体化している対の側板4C(4)を有した可撓性の帯状ないしは細長い板状のボード2を構成し、ボード2の板厚内の長手方向に通路1を形成している。そして、この変形例2の通路1は、変形例2と同じくボード2の上側を所定寸法Lだけ避け、また、通路1を2つの単位通路PUにて構成した例である。この場合は、右側の単位通路PUの第2通路11と左側の単位通路PUの第1通路10が上折返し部13で接続されている。
(地中熱交換器の変形例3)図5は上記単位通路PUを1つに設定した変形例を示している。すなわち、この地中熱交換器5D(5)は、芯材3D(3)及び芯材3Dを両側に一体化している対の側板4D(4)を有した可撓性の帯状ないしは細長い板状のボード2を構成し、ボード2の板厚内の長手方向に通路1を形成している。そして、変形例3の通路1は、1つの単位通路PUにて構成されているため単純な形状であり、例えば形態や変形例2,3に比べてほぼ同じボード幅であれば、通路断面積を拡大し易い。
(地中熱交換器の変形例4)図6は複数の地中熱交換器を並設した状態で互いの通路を連結部材により連続するよう接続した変形例を示している。すなわち、この地中熱交換器5C(5)は、地中熱交換器5Cの複数、要は2以上を同図のごとく接近した状態で並設し、かつ並設された地中熱交換器5C同士の通路1、この例だと右側の地中熱交換器5Cの左側単位通路PUの第2通路11と、左側の地中熱交換器5Cの右側単位通路PUの第1通路10とをパイプ状の連結部材6により連続するよう接続している。このような構成では、通路1の長さを必要に応じ数倍に延長したい場合に簡単かつ容易に実現可能となる。なお、図6では地中熱交換器5Cの例で示したが、このような構成は地中熱交換器5A,5B,5Dでも同様に適用可能である。
(地中熱交換器の変形例5)図7は以上の地中熱交換器に埋設用のアンカを付設するようにした変形例を示している。すなわち、このアンカ9は、地中熱交換器5C(5)を後述する図10の打設管25と共に貫入した後、打設管25の引き抜き時にボード2が不用意に引き抜かれないようにする部材である。つまり、アンカ9は、左右幅がボード2に比べて長く先端が略逆三角ないしは逆山形の本体と、本体の上中央部に立設された板状の取付部9aとからなる。そして、アンカ9は、取付部9aが地中熱交換器5Cないしはボード2の先端面に設けられた取付穴14に挿入連結される。この連結作業は、例えば図10(a)のごとく地中熱交換器5C(5)を打設管25内を上から下向きに挿入し、打設管25の先端開口から突出された状態で行われる。なお、図7では地中熱交換器5Cの例で示したが、このような構成は地中熱交換器5A,5B,5Dでも同様に適用可能である。また、アンカ9の形状はこの例に限られず必要に応じて変更される。
(地中熱交換器の変形例6)図8の地中熱交換器5D(5)は、以上の芯材3を省略して2枚の側板4D,4D(4)で構成されており、側板4D同士の間に通路1を形成した変形例である。すなわち、各側板4Dは、同図に示されるごとく上記した第1通路10、第2通路11、下折返し部12、上折返し部13を有した複数の単位通路PU、つまり流体を流すための通路1に沿って凸状部4bを形成し、かつ、その凸状部4bの接合面に通路形成用凹部4cを形成している。換言すると、この側板4D同士は、間に通路を区画形成可能な同一ないしは対象形状であり、平板の接合面を基準にすると、通路1に沿って凸状部4bを形成すると共に、凸状部4bの底面側に通路形成用凹部4cを形成している。なお、図8では地中熱交換器5Dの例で示したが、このような構成は地中熱交換器5A,5Bでも同様に適用可能である。
(作成方法の他の例)以上の地中熱交換器5ないしはボード2の成形方法として、通常は形態の箇所で述べたごとく芯材3及び各側板4が共に作成された後、各側板4が芯材3の両側面に接合されて一体化される。図9(a)と(c)はそれ以外の作成方法を示している。すなわち、同(a),(b)の作成方法は、(b)から推察されるごとく射出成形等により芯材3Eが一方の側板4Eと共に一体成形された後、不図示の押出成形したもう一方の側板(不図示)を芯材3Eの対応側面に接合して一体化する構成である。このような構成は地中熱交換器5ないしはボード2の全寸が比較的短い場合に好適である。また、芯材3A,3B,3Dでも同様に適用可能である。
同(c)の作成方法は、以上の地中熱交換器5ないしはボード2の成形方法として、上下の端部分2A,2Cと中間部分2Bとを別々に形成した後、それらを接合一体化する構成である。この場合、好ましくは、端部分2A,2Cが射出成形により作成され、前後で同一形状となる中間部分2Bが押出成形により作成される。このような構成は地中熱交換器5ないしはボード2の全寸が比較的長くなる場合に好適である。
(埋設方法)次に、以上の地中熱交換器5ないしはボード2を地中に打設ないしは埋設する作業手順の一例を図10により概説する。この作業では、同(a)の打設機20の位置決め工程と、同(b)のボードを打設管を介して貫入した後、打設管だけを引き抜く打設・引き抜き工程と、同(c)の切断したり配管を接続する後処理工程とを経る。
ここで、地中熱交換器5C(5)は、供給リール23に巻かれた状態で対象域に搬送され、打設機20の供給リール23から巻き戻されて地盤に打設された状態で地中熱交換器5の後端(上端)に連結された吊り紐27が切断される。ここで、打設機20は、従来のプラスチックドレーン材を用いたドレーン工法に用いられるものと同じか類似しており、移動体21に設置されている昇降ガイド用リーダ22、供給リール23、打設管25、不図示の制御装置等を備えている。また、リーダ22には、上側に設けられて供給リール23から引き出される地中熱交換器5Cを上からリーダ22に沿って下向きに導くガイド手段24、及び下側に設けられて打設管25を昇降する複数組の対のローラ26等を有している。また、打設管25は、マンドレルと称されており、筒状の先端25aが略円錐状に絞られかつスリット状の開口を有している。
同(a)の位置決め工程では、以上の打設機20の初期準備が完了した状態で、移動体21を対象域の打設位置に配置する。そして、地中熱交換器5Cは、打設管25に対し真上より管内に挿入され、先端25aの開口より外へ引き出される。その引出端には、アンカ9が装着される。アンカ9は、上述したごとく地盤中に打設された打設管25を引き抜くときに打設管内の地中熱交換器5Cが打設管の引抜きに連れられて上ってくる、いわゆる共上りを防ぐ部材である。なお、図1ではこのようなアンカが省略されている。
同(b)の打設・引き抜き工程では、打設管25を目的の所定深さまで圧入したり打ち込んだ後、打設管内に挿入された地中熱交換器5Cを地中に残置した状態で打設管25を引き抜いて、地中熱交換器地盤注入ボード1となる上端側を地表側に露出させる。この過程では、不図示の制御装置等により上記した共上がりの有無が監視される。
同(c)の後処理工程では、地表側に露出された地中熱交換器5Cの上端側ないしは吊り紐27が専用のカッタ9により切断される。その後、図1に示したごとく上側通路部10a,11aに地中熱利用施設7側から流体を流入したり流出する配管6が連結操作されると共に、土砂等をまいて地中熱交換器の上端が目視不能になるよう処理される。なお、図9では地中熱交換器5Cの例で示したが、このような構成は地中熱交換器5A,5B,5Dでも同様に適用可能である。
(作用効果)以上のような地中熱交換器5(5A~5E)は、打設管25内に挿入された状態で該打設管と共に地中に打設された後、打設管25のみが地表に引き上げ、地中熱交換器5ないしはボード2が地中に残置される。この打設には、既存のプラスチックボードドレーン工法で用いる打設機20やアタッチメントを利用することができ、安価に打設することが可能である。
ところで、現在普及している既存のU字管ないしはUチューブは、100m程度のボーリング孔に設置されることも多い。この場合は、住復で通路全体の長さが200m程度の通路となる。これに対し、例えば図1の地中熱交換器5Aのごとく単位通路PUが3つ構成だと、単位通路PUの長さが70mの場合は、通路全体の長さが約210m程度となり、また、単位通路PUが5つ構成だと、単位通路PUの長さが40mの場合は、通路全体の長さが約200m程度となる。これにより、本発明の地中熱交換器5は、U字管ないしはUチューブに対して効率的な打設ないしは埋設方法が可能になり、加えて取扱性等を改善したり、コスト低減も図られる。
一方で、本発明の地中熱交換器5は、U字管ないしはUチューブに比べ経路断面積が小さいので、ボード2でU字管ないしはUチューブと同等の揚水量を確保するには複数の地中熱交換器5の打設ないしは埋設が必要となるが、ボーリング費用に比べ、地中熱交換器5の打設ないしは埋設方法は非常に安価であるため経済的優位性が見込める。また、地中熱交換器5ないしはボード2は周辺地盤との後述する試験1から分かるごとく熱交換速度が速いので、水循環速度を高く設定することが可能であり、複数の地中熱交換器5ないしはボード2でU字管ないしはUチューブと同等の断面積を確保した場合、同一時間内により多くの揚水が可能となる。
(試験例)図11(a)と(b)は、以下に挙げた試験1と2で使用した試験設備、つまり地中温度測定用ボードや地中熱交換器、それに付随した記録計や水槽等の装備品を当社試験場に設置した構成を模式的に示している。両者の地中熱交換器は、(a)が市販のU字管ないしはUチューブの構成、(b)は図5の構成が用いられている。これらには、地中熱交換器の下折返し部と、地中熱交換器から流出されて貯め槽に入れるための配管の流出端に熱電水がそれぞれ付設されており、ここを流れる水の温度が記録器に送信されて記録される。また、外気温度測定用温度計、水槽内の水温度測定用温度計、地中温度測定用樹脂製ボードに取り付けた地表温度、深度が-1.5m、-3.0m、-4.5m、-6.0m、-7.5mの各熱電対を有し、これらで計測された温度が記録器に送信されて記録されるようになっている。
試験1:この試験1は温度センサと、地中温度測定用樹脂製ボードに取り付けた熱電対、深度が-1.5m、-3.0m、-4.5m、-6.0m、-7.5mの熱電対により、夏場(2019年10月30)と、冬場(2020年1月21日)に計測した各温度を比較した一例である。
図12(a)はその測定結果をグラフにプロットしたものである。このグラフにおいて、冬場と夏場では、外気温、地表温度が15℃程度の開きがあるが、地中温度の差は深度によらずほぼ5℃程度となっている。非特許文献1によると、地中温度は10以浅では温度の季節変化が認められ、夏が低温で冬が高温となっている。この点は測定結果と乖離する。これは試験場所の地下水位が-5mと低いこと、周囲が矢板で囲まれていることなど諸条件の違いにより、外気温の影響度が高いためと考えられる。何れにしても、この試験結果からは次のような構成が導かれる。つまり、上記通路1としては、図3や図4のごとく上折返し部13を有する場合、流体を通路1に流入したり流出する上側通路部10a,11aを除いて、第2通路11と第1通路10の上折返し部13がボード上端面からL寸法、つまり少なくとも1メートル以上、好ましくは1.5~2メートルだけ下側に位置させると、外気温や地表面側の温度変動の影響を受け難くなり、より安定かつ効率的な熱交換を実現できることになる。
試験2:この試験2は、地中における水温度の経時変化を調べた一例である。すなわち、図11(b)において、ケース1(○印)は従来の地中熱交換器を用いた一回目の場合、ケース2(□印)は同じ従来の地中熱交換器を用いた二回目の場合、ケース3(△印)は本発明の図5の地中熱交換器を用いた場合を示している。各地中熱交換器では通路の長さ及び断面積がほぼ同じとなるようにし、各通路の下折返し部(最深部-7.5m)を通過する水温(地中水温度)を熱電対で計測することで通路内の温度変化を測定できるようにした。また、試験では、各水槽内の水を冷却器により10℃に温度調整し、各通路に所定時間だけ流した後、流入を停止した状態を保ち、下折返し部付近の地中温度18℃に同化するまでの時間を計測した。その測定結果を次の表1(地中水温の経時変化)にまとめ、また、図12(b)はその測定結果をグラフにプロットしたものである。
Figure 2022010539000002
表1中、温度の右側に記載の( )は地中温度測定用ボードの-7.5mにおける温度である。
図12(b)において、本発明の地中熱交換器(図5の構成)では約20分で、温度(18℃)が安定するのに対し、従来の地中熱交換器(U字管ないしはUチューブ)では約90分を要することが分かる。つまり、本発明の地中熱交換器は従来の地中熱交換器に比べ4.5倍も早くなる。しかも、地中温度7℃までの上昇時間は本発明の地中熱交換器が約5分であるのに対し、従来の地中熱交換器では約60分となっており、その比は12倍となる。これらは本発明の地中熱交換器の熱交換率が従来品に比べ優れていることを示すものである。
なお、以上の形態例や各変形例は本発明を何ら制約するものではない。本発明は、各請求項で特定される技術要素を備えておればよく、細部は必要に応じて種々変更したり展開可能なものである。例えば、展開例としては次のような構成が挙げられる。
まず、地中熱交換器ないしはボードを形態例のごとく打設管で打設する場合、ボードが打設管の引抜きに連れられて上ってくる、いわゆる共上りが発生し易いため、特許第2768879号公報等に記載の構成によりそのような共上がりを監視する構成である。また、打設機に関して特開2005-207177号公報等に記載のごとく打設管に衝突加重を加えて貫入するような構成である。更に、埋設方法としては特開2017-155404号公報に記載のごとく施工機としてドリルバイプ及び該ドリルパイプに挿入したインナーロッドを有した二重管を使用して、地中熱交換器ないしはボードを斜め下向きに打設することである。
1・・・・・・・・・・通路
2・・・・・・・・・・ボード
3A~3E(3)・・・芯材
4A~4E(4)・・・側板
4a・・・・・・・・・凹状部
4b・・・・・・・・・凸状部
4c・・・・・・・・・通路形成用凹部
5A~5E(5)・・・地中熱交換器
6・・・・・・・・・・配管
7・・・・・・・・・・地中熱利用施設
8・・・・・・・・・・連結部材
9・・・・・・・・・・アンカ
10・・・・・・・・・第1通路
10a・・・・・・・・上側通路部
11・・・・・・・・・第2通路
11a・・・・・・・・上側通路部
12・・・・・・・・・下折返し部
13・・・・・・・・・上折返し部
14・・・・・・・・・取付穴
20・・・・・・・・・打設機
21・・・・・・・・・移動体
25・・・・・・・・・打設管(25aは先端)
PU・・・・・・・・・単位通路
上記目的を達成するため請求項1の発明は、図1~図9を参照して特定すると、地中に埋設されて、流体を地表側より先端側である下向きに流すと共に、再び地表側である上向きに流す連続した通路を有している地中熱交換器(1)であって、帯状ないしは細長い板状のボード(2)からなり、前記ボードの板厚内の長手方向に前記通路(1)を区画形成しており、また、前記ボードは、通路区画用の芯材及び前記芯材の両側面に一体化された側板からなり、前記芯材と前記側板との間に前記通路を形成していることを特徴としている。
一方、請求項2の発明は、地中に埋設されて、流体を地表側より先端側である下向きに流すと共に、再び地表側である上向きに流す連続した通路を有している地中熱交換器(1)であって、帯状ないしは細長い板状のボード(2)からなり、前記ボードの板厚内の長手方向に前記通路(1)を区画形成しており、また、前記ボード(2)は、通路区画用の芯材(3)及び前記芯材の両側面に一体化された側板(4)からなり、前記芯材と前記側板との間に前記通路(1)を形成していることを特徴としている。
以上の本発明は、請求項~7に特定されるように具体化されることがより好ましい。
(ア)前記通路(1)が、流体を地表側より先端側である下向きに流入可能な第1通路(10)、及び前記第1通路に下折返し部(12)を介し接続されて前記流体を前記ボードの先端側より地表側である上向きに流入可能な第2通路(11)を単位通路(PU)として、該単位通路の1又は互いに上折返し部(13)を介し接続された複数にて構成されている(請求項)。
(イ)請求項1の前記芯材(3)と前記側板(4)、又は請求項2の前記各側板が樹脂素材か金属素材の何れかにより形成されている構成である(請求項4)。なお、この素材構成では、例えば、芯材と側板を共に樹脂素材で形成する場合、同一の樹脂素材で形成する構成に限られず、異なる樹脂素材で形成する構成でもよい。
(ウ)前記側板(4)が図2(e)の例のごとく側板外面に設けられて地中との接触面積を増加する断面凹状部(4a)又は/及び断面凸状部を有している構成である(請求項5)
(エ)図3や図4の例のごとく前記単位通路(PU)が複数ある場合、前記通路(1)のうち、流体を通路に流入したり流出する上側通路部(10a,11a)を除いて前記第2通路(11)と第1通路(10)の上折返し部(13)がボード上端面から1メートル以上、下側に位置するよう設けられている構成である(請求項6)。なお、これに代わる構成として、例えば図1のボード2の場合だと両側の外面に対し上端から所定距離(少なくとも下側へ1メートル以上)に断熱シートを貼り付けるようにしてもよい。但し、その場合は断熱シート、及びその貼り付け作業が必要となる。
(オ)請求項1から6の何れかに記載の地中熱交換器(5)の複数を図6の例のごとく並設し、かつ並設された前記地中熱交換器同士の前記通路(1)を連結部材(6)により連続するよう接続している構成である(請求項7)
(カ)地中熱交換器の埋設方法として、請求項1から6の何れかに記載の前記ボードを打設機により打設管内に挿入した状態で地中に打設した後、前記ボードを地中に残置した状態で前記打設管を引き抜く構成である(請求項8)
請求項1と2の発明では、地中熱交換器として、帯状ないしは細長い板状のボードからなり、ボードの板厚内の長手方向に設けられた通路、つまり流体を地表側より先端側である下向きに流すと共に、再び地表側である上向きに流す連続した通路を有している。このため、本発明の地中熱交換器は、図13のU字管ないしはUチューブと称される地中熱交換器に対し、図10に例示されるごとくボードを打設機により打設管内に挿入した状態で地中に打設した後、ボードを地中に残置した状態で打設管を引き抜く埋設方法を採用でき、また、長さが短くても長い通路を得ることができる。換言すると、本発明の地中熱交換器では、U字管ないしはUチューブの埋設方法のごとく大型掘削機でボアホールを形成したり、ボアホールに地中熱交換器を挿入し、更に挿入した地中熱交換器の周囲の隙間を珪砂等により埋め戻す必要がなくなり、請求項8に特定されるような打設管を用いた埋設方法を適用できるため、より深く埋設する場合にも工期及び施工費共に大幅に低減でき、実用性に優れている。
また、請求項1の発明では、ボードが芯材及び芯材の両側面に一体化された側板からなり、芯材と側板との間に通路を形成しているため、例えば従来のU字管ないしはUチューブと称される地中熱交換器の通路に比べ外観形状を一定に保って通路の長さや断面積を変更容易となる。
一方、請求項2の発明では、図8の例のごとくボードが2枚の側板からなり、側板同士の間に通路を形成しているため、請求項3の構成に比べ部材数を減じ簡易化が達成される。
請求項3の発明では、通路が第1通路、及び第1通路に下折返し部を介し接続されている第2通路を単位通路として、該単位通路の1又は互いに上折返し部を介し接続された複数にて構成されているため、通路の必要総延長に応じて図1や図2に示した構成、図3~図8に示した変形例1~6の構成などを採用でき、汎用性に優れている。
請求項4の発明では、例えば、請求項1の芯材と側板、請求項2の各側板が樹脂素材で形成されていると軽量化と材料費の低減が図られ、また、金属素材で形成されていると耐久性や耐水性に優れたものとなる。
請求項5の発明では、側板が側板外面に設けられて地中との接触面積を増加する断面凹状部又は/及び断面凸状部を有していると、側板と地中の土砂との間の伝熱効率を向上できる。
請求項6の発明では、単位通路が複数ある場合、通路のうち、流体を通路に流入したり流出する上側通路部を除いて第2通路と第1通路の上折返し部がボード上端面から1メートル以上、下側にずれていると、図11から推察されるごとく外気温や地表面側の温度変動の影響を受け難くなり、それにより安定効率的な熱交換を実現可能となる。
請求項7の発明では、地中熱交換器の複数を図6の例のごとく並設し、かつ並設された地中熱交換器同士の通路を連結部材により連続するよう接続しているため、通路の長さを数倍にすることも容易に可能となる。
請求項8の発明では、地中熱交換器の埋設方法として、請求項1から7の何れかに記載の地中熱交換器であるボードを打設機により打設管内に挿入した状態で地中に打設した後、ボードを地中に残置した状態で打設管を引き抜く、要は従来のプラスチックドレーン材を用いたドレーン工法と同様な打設機により迅速な打設作業により、工費を低減したり工期を短縮できる。
(地中熱交換器の変形例2)図4は上記単位通路PUを2つに設定した変形例を示している。すなわち、この地中熱交換器5C(5)は、芯材3C(3)及び芯材3Cを両側に一体化している対の側板4C(4)を有した可撓性の帯状ないしは細長い板状のボード2を構成し、ボード2の板厚内の長手方向に通路1を形成している。そして、この変形例2の通路1は、変形例1と同じくボード2の上側を所定寸法Lだけ避け、また、通路1を2つの単位通路PUにて構成した例である。この場合は、右側の単位通路PUの第2通路11と左側の単位通路PUの第1通路10が上折返し部13で接続されている。
(地中熱交換器の変形例4)図6は複数の地中熱交換器を並設した状態で互いの通路を連結部材により連続するよう接続した変形例を示している。すなわち、この地中熱交換器5C(5)は、地中熱交換器5Cの複数、要は2以上を同図のごとく接近した状態で並設し、かつ並設された地中熱交換器5C同士の通路1、この例だと右側の地中熱交換器5Cの左側単位通路PUの第2通路11と、左側の地中熱交換器5Cの右側単位通路PUの第1通路10とをパイプ状の連結部材8により連続するよう接続している。このような構成では、通路1の長さを必要に応じ数倍に延長したい場合に簡単かつ容易に実現可能となる。なお、図6では地中熱交換器5Cの例で示したが、このような構成は地中熱交換器5A,5B,5Dでも同様に適用可能である。

Claims (9)

  1. 地中に埋設されて、流体を地表側より先端側である下向きに流すと共に、再び地表側である上向きに流す連続した通路を有している地中熱交換器であって、
    帯状ないしは細長い板状のボードからなり、前記ボードの板厚内の長手方向に前記通路を区画形成していることを特徴とする地中熱交換器。
  2. 前記通路が、流体を地表側より先端側である下向きに流入可能な第1通路、及び前記第1通路に下折返し部を介し接続されて前記流体を前記ボードの先端側より地表側である上向きに流入可能な第2通路を単位通路として、該単位通路の1又は互いに上折返し部を介し接続された複数にて構成されていることを特徴とする請求項1に記載の地中熱交換器。
  3. 前記ボードは、通路区画用の芯材及び前記芯材の両側面に一体化された側板からなり、前記芯材と前記側板との間に前記通路を形成していることを特徴とする請求項1又は2に記載の地中熱交換器。
  4. 前記ボードは、2枚の側板からなり、前記側板同士の間に前記通路を形成していることを特徴とする請求項1又は2に記載の地中熱交換器。
  5. 請求項3の前記芯材と前記側板、請求項4の前記各側板が樹脂素材か金属素材の何れかにより形成されていることを特徴とする地中熱交換器。
  6. 前記側板が側板外面に設けられて地中との接触面積を増加する断面凹状部又は/及び断面凸状部を有していることを特徴とする請求項3又は4に記載の地中熱交換器。
  7. 前記単位通路が複数ある場合、前記通路のうち、流体を通路に流入したり流出する上側通路部を除いて前記第2通路と第1通路の上折返し部がボード上端面から1メートル以上、下側に位置するよう設けられていることを特徴とする請求項2から6の何れかに記載の地中熱交換器。
  8. 請求項1から7の何れかに記載の地中熱交換器の複数を地中に並設し、かつ並設された前記地中熱交換器同士の前記通路を連結部材により連続するよう接続していることを特徴とする地中熱交換器。
  9. 請求項1から8の何れかに記載の地中熱交換器である前記ボードを打設機により打設管内に挿入した状態で地中に打設した後、前記ボードを地中に残置した状態で前記打設管を引き抜くことを特徴とする地中熱交換器の埋設方法。
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