JP6549873B2 - 地中熱用採熱管 - Google Patents
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Description
一般的な地中熱交換器としては、ヒートポンプ内で熱交換された熱が地中熱用採熱管内を流れる熱媒体へ移動し、地中に埋設された地中熱用採熱管を循環する間に地中へ熱を放熱(又は採熱)している。つまり、地中熱用採熱管内の熱媒体を受熱部で加熱蒸発させて蒸気流とし放熱部に移動させ、その放熱部において蒸気流を放熱させて凝縮液として還流させ、熱媒体の循環を発生させている。そして、熱媒体の循環中の蒸発及び凝縮の潜熱によりヒートポンプの熱交換を行っている。
このような水平埋設では、可撓性を有する樹脂パイプからなる地中熱用採熱管を、所要の広さ及び深さで掘削された箇所に所定の配設パターンで設置し、その地中熱用採熱管の配設パターンを維持した状態のまま埋め戻すことで地中に設置される。
一方で、前述のような水平埋設において一般的なポリエチレン管を用いて、コストの増大を抑えつつ、さらなる採熱効率の向上が求められており、その点で改善の余地があった。
そして、地中熱用採熱管として0〜0.75MPaの耐圧性能が確保できるので、例えば地表面から2〜3mに地中熱用採熱管を設置する耐圧性能の低い水平埋設に効果的に適用することができる。
しかも、本発明の地中熱用採熱管では、薄肉化させることで、管外方の環境と管内の熱媒体との間による熱伝導率が高くなり、時間当たりの採熱量が増え、採熱効率を向上させることができる。
なお、水平方向とは、全体として地中熱用採熱管1が水平配置されている状態をいう。
ここで、図1において、地上のヒートポンプ3から地下の地中熱用採熱管1の下端までを流通する熱媒体の往き方向を実線で符号Eとし、地中熱用採熱管1の延在長の中間部分からヒートポンプ3までを流通する熱媒体の還り方向を符号Fで示している。
地中熱用採熱管1内の熱媒体としては、水、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、アンモニア水などの液体が単独又は混合して用いられており、地中熱用採熱管1を含む熱交換器内に封入されている。
そして、地中熱用採熱管1の肉厚寸法としては、埋設土圧やトラック等の輪荷重から計算することができる。
先ず、埋設管(地中熱用採熱管1)の土被りを埋設条件として設定する。採熱管の埋設深さは浅い方が地表積載物の加重がかかりやすく、深い方が土により加重が分散されることから、通常、採熱管の埋設は1m以上であり、1mで耐えられればそれ以上の深さも耐えられるので1mに設定した。
埋戻し土による鉛直土圧(静土圧)Peは、一般的に用いられるマーストンの式、すなわち(1)式、(2)式を用いて算出する。
ここで、埋め戻し土砂の単位体積重量ρを0.000018とし、埋め戻し土砂の安息角φを57°(deg)に設定し、土被りHが1000mm、管頂部の溝幅Bが500mmである。
埋戻し土と輪荷重により発生するたわみ率σh/2rは、(4)式により求める。ここで、埋設管基礎の支承角係数FRは、表1より支承角120°を採用した。受働土圧係数E’は、表2に示すように、砂で10、砂質土壌で7、ロームで4を採用した。なお、埋設管にかかる鉛直方向の外圧Pvは、上述した(1)式、(3)式で算出した土圧Peと輪圧Ptの和である。
次に、埋戻し土と輪荷重により発生する曲げ応力σbを、(5)式により算出する。ここで、モーメント係数Kは、表3に基づいて支承角120°の数値で決められる。
ここで、許容曲げ応力σbは、同じ樹脂管である水道用硬質塩化ビニル管と同じように、引張降伏強さに対して安全率2.5を見込んだ値とした。したがって、許容曲げ応力=引張り降伏強さ/安全率=20/2.5=8MPa(81.6kgf/cm2)である。
また、許容たわみ率Vaは、とう性管の許容たわみ率が主に水理特性や舗装面への影響から、一般に管外径の5%以下とされていることから、水道配水用ポリエチレン管もこの値を許容たわみ率とした。
なお、地中熱用採熱管1の外径寸法Dとして、施工性と採熱効率から27mm以上42mm以下のものを用いることが望ましい。この外径寸法Dが42mmよりも大きくなる場合には、土壌との接触表面積が大きくなり単位流量あたりの採熱効率は上がるが、管の曲げ応力も増大して施工がしにくくなる。一方、外径寸法Dが27mm未満の場合には、土壌との接触表面積が小さくなり単位流量あたりの採熱効率が低下する。また、小口径の方が施工はし易いが、口径の大きなものと比べると圧送に必要なポンプ圧が高くなるためポンプ電力が増大し、消費エネルギーの観点から不効率である。
なお、このような性能を有する地中熱用採熱管1は、コイル状に巻かれた状態で製品として搬送され、設置場所に供給される。
図1及び図2に示すように、本実施の形態の地中熱用採熱管1では、SDRが11.1〜17の薄肉化された高密度ポリエチレン管を使用することができるので、SDRが11以下の従来の地中熱用採熱管よりも部材コストを低減することができる。
そして、地中熱用採熱管1として0〜0.75MPaの耐圧性能が確保できるので、ヒートポンプ3と地中に埋設されている地中熱用採熱管1との水頭差Hが小さい適用条件となる、本実施の形態のような地表面から2〜3mに地中熱用採熱管1を設置する耐圧性能の低い水平埋設に効果的に適用することができる。
本実験では、本実施の形態によるSDRが17の地中熱用採熱管(実施例)と、従来一般的に使用されるSDRが11の地中熱用採熱管(比較例)とにおいて、時間(h)の経過による単位長さ(地中熱用採熱管の単位長さ)当たりの採熱量(W/m・K)を測定した。実験条件は、地表面より1mの地中に埋設し、流量0.4 L/minとした。
この結果、開始後10時間を過ぎた頃(図4で四角で囲んだ領域)より採熱量が安定しており、実施例の採熱量が比較例に対して平均で9.3%高くなり、採熱効率が向上されていることが確認できた。
そのため、薄肉の採熱管を接続する場合には、予め薄肉管内に強度を金属製のインコアを内挿してから電気融着継手と融着するか、予め内部にインコア(内筒)を備えた電気融着継手を用いて融着するのが好ましい。継手部分をこれらの構造により溶融した薄肉のポリエチレン樹脂が管内側に膨張するのを防ぐことができる。
前者の場合の電気融着継手の構造としては、SDR11のポリエチレン管に通常使用されるものが使用される。採熱管1とヒートポンプ3との間がSDR11の通常のポリエチレン管の場合には、採熱管1にのみインコアが挿入され、通常のポリエチレン管とインコアが挿入された採熱管とが電気融着継手により融着接続される。
後者の場合の電気融着継手の構造としては、接合する採熱管の外周面に対応した内周面を有するとともに融着用の電熱線を埋設した外筒と、採熱管の内周面に対応した外周面を有する内筒とを、採熱管の端部突き当て面となる結合部で結合した構造とすることができる。
また、内筒は、採熱管の抜け止め防止のために外筒に係合する突起を有していても良い。
さらに、電気融着継手の内筒と外筒の間の空間の大きさは、採熱管の肉厚以上である。電気融着継手の内筒と外筒の間の空間の大きさが、採熱管の肉厚未満であると採熱管を挿入することができない。一方、電気融着継手の内筒と外筒の間の空間が大きい、即ち内筒の外径が小さい場合には、上述のインジケータの隆起しない問題を解決できない。
また、内筒の外周面には、鋸歯状の係止部が設けられていても良く、さらにこの係止部には採熱管が挿入し易いように継手端部側に順次小径となるテーパ状に形成されていてもよい。そして、内筒の周方向に割り溝を設けて前記係止部が径方向に拡縮径自在になるように構成することも可能である。
さらに、内筒の外周面にOリング用の溝を設け、その溝にOリングを装着する構成とし、挿入された採熱管の内面とシールする構成としてもよい。
また、薄肉の採熱管1とヒートポンプ3との間が鋳鉄管等の金属管である場合には、予め薄肉管内に強度を金属製のインコアを内挿してから、特開2000−291854号公報等に記載された電気融着継手と金属継手とが一体となった継手を用いて金属管と採熱管とを接続することができる。なお、この電気融着継手と金属継手とが一体となった継手は、電気融着継手部分に予め内筒を有した構造であっても良い。
例えば、上述の本実施の形態では、地中内に埋設される地中熱用採熱管として、スリンキー状をなるループ部と直線部を有する水平埋設配置の一例を示しているが、このような配置に限定されることはない。例えば、図5に示すように平面視で蛇腹状に複数に折り返してなる並列型配置であってもよいし、地中内での地中熱用採熱管に部分的に上下方向に延在し、全体的には地表面からの地中埋設深さが例えば0〜10mの範囲に配置される形態であってもよい。
例えば、並列型配置で配設された折り返し部の曲げ半径R2は、250mm(直径500mm)以上であることが好ましい。なお、並列型配置の直線部は、予め敷設されたメッシュ筋にインシュロック等で採熱管を固定することで直線部を形成する。
要は、ヒートポンプ3のポンプ圧P1と、埋設地中内の地中熱用採熱管1にかかる水頭圧P2と、の合計圧力が0<P1+P2≦0.75MPaの範囲となるように設定されていれば良いのである。
1A ループ部
1B 直線部
2 建物
3 ヒートポンプ
10 熱交換器
D 地中熱用採熱管の外径寸法
t 地中熱用採熱管の肉厚寸法
Claims (2)
- 地中に埋設されるとともにヒートポンプに接続され、内部に熱媒体を流すことによって管周囲の環境と熱交換を行うための地中熱用採熱管であって、
外径寸法が27mm以上42mm以下であり、
前記外径寸法を肉厚寸法で割った比率が11.1〜17の高密度ポリエチレン管が使用され、
前記ヒートポンプのポンプ圧P1と、埋設地中内の当該地中熱用採熱管にかかる水頭圧P2と、の合計圧力が0<P1+P2≦0.75MPaの範囲となる耐圧性能を有することを特徴とする地中熱用採熱管。 - 地表面からの地中埋設深さが0〜10mの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の地中熱用採熱管。
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