JP2022007356A - 複合基板のブレイク方法並びに基板加工装置 - Google Patents

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真和 武田
Masakazu Takeda
三雄 三浦
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光寿 植田
Mitsutoshi Ueda
護 秀島
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Abstract

【課題】片側面に樹脂膜2bを含む成膜層2が形成された複合基板の分断で、基板反転、基板搬送を行うことなくスクライブ工程からブレイク工程までの分断加工ができるブレイク方法を提供する。【解決手段】複合基板Wの成膜層2の分断許容帯域Dに受け部材5を当接させながら、複合基板の他方側の脆性材料基板1の受け部材と相対する位置にカッターホイール6を押圧転動させてスクライブラインSを加工するスクライブ工程と、スクライブされた複合基板を、水平方向に互いに引き離すことにより脆性材料基板と成膜層とをスクライブラインに沿って分断するブレイク工程とからなるブレイク方法を提供する。【選択図】図6

Description

本発明は、ガラス等の脆性材料基板の一方側の面に機能性膜と樹脂膜とを含む成膜層が形成された複合基板を分断するブレイク方法並びに基板加工装置に関する。
ここでいう「機能性膜」とは、金属膜、有機膜、半導体膜等の積層構造により光学的、音響的、電気的、化学的機能等を奏する膜をいい、例えばセンサ、MEMS等のデバイス、素子としてこれらの機能を奏する膜をいう。また「樹脂膜」は、脆性材料基板上の機能性膜を封止するようにシート状に形成される主としてポリマー樹脂製の膜をいう。樹脂膜には、脆性材料基板および機能性膜を保護する目的で形成される膜の他に、樹脂膜自体が機能性膜の一部となってセンサ等の一部として機能する場合も含まれる。なお、機能性膜や樹脂膜の脆性材料基板への成膜方法、固着方法については特に限定されない。
脆性材料基板の一方の面に樹脂膜を封止したような複合基板を分断するには、図8(a)に示すように、まず脆性材料基板1の表面にカッターホイールKを用いてスクライブライン(切溝)Sを加工する(スクライブ工程)。次の工程で図8(b)に示すように、基板W(脆性材料基板1と成膜層(樹脂膜)2とを含む複合基板)を反転(1回目)させてクッションシート13上に載置する。そして図8(c)に示すように、上方からブレイクバー14を押しつけて基板Wを撓ませることによりスクライブラインの亀裂を浸透させて脆性材料基板1をスクライブラインに沿って完全分断する(脆性材料基板のブレイク工程)。
このとき基板Wを(下に凸の形で)撓ませても亀裂浸透は脆性材料基板1までで停止し、脆性材料とは材質が異なる樹脂膜については亀裂を一気に浸透させることはできない。
そのため、続いて、図8(d)に示すように、基板Wを再度反転(2回目)させてクッションシート13上に載せ、図8(e)に示すようにブレイクバー14を分断ラインに沿って降下させて脆性材料基板1をV字形に押し曲げることで成膜層(樹脂膜)2を引き裂くように分断している(樹脂膜のブレイク工程)(特許文献1、2参照)。なお、スクライブラインSの加工は、カッターホイールに代えてレーザを用いて加工することも可能である。
特開2015-79824号公報 特開2015-83336号公報
この従来手法では、スクライブ機構によって支持板上の脆性材料基板1にスクライブラインSを加工するスクライブ工程を経た後、ブレイク機構に搬送して先ず脆性材料基板1をスクライブラインから完全分断し、次いで成膜層(樹脂膜)2を分断する、というように脆性材料基板1と成膜層(樹脂膜)2とを別々にブレイクしている。このため、スクライブ機構とブレイク機構とが個別に必要となると共に、基板Wの搬送機構や反転機構が必要となって装置構成が複雑かつ大型化し、加えて作業が煩雑で時間がかかるといった課題があった。
また別の手段として、特許文献2の図8で開示された方法がある。この方法では、本明細書の図9(a)に記載するように、先ずスクライブ機構で脆性材料基板1の表面にカッターホイールKでスクライブラインSを加工した後、基板W(脆性材料基板1と成膜層(樹脂膜)2とを含む複合基板)をブレイク機構に搬送して、図9(b)に示すように、スクライブラインSが下面側となるように基板Wを反転させ、左右の受け台15、15の間にスクライブラインSが位置するように受け台上に載置する。そして、図9(c)に示すように、先端を鋭利な刃先としたブレイクバー16をスクライブライン上方から押しつけて基板Wを撓ませる。この押しつけによって鋭利な刃先により最初に押しつけられる成膜層(樹脂膜)2を切断し、その後更なる押しつけによって基板Wを撓ませてスクライブラインSの亀裂を厚み方向に進展させて脆性材料基板1を分断するというものである。
この方法によればブレイクバー16の押しつけによって脆性材料基板1と(成膜層(樹脂膜)2とを、反転することなく同時に分断することができる。しかし、分断に使用されるブレイクバー16は、成膜層(樹脂膜)2を切断するために先端を尖らせた鋭角な刃先(例えば刃先角度30度)を必要とする。また、ブレイクバー16は成膜層(樹脂膜)2を切断するだけではなく、引き続いて脆性材料基板1を押圧してスクライブラインSから分断するものであるから、刃先の先端に大きな荷重が連続して負荷されることになる。鋭角な刃先は非常に繊細で傷みやすいものであるから、このような刃先に繰り返し大きな荷重が負荷されると、摩耗や刃こぼれが発生して精度良くきれいに分断することができなくなるとともに、場合によっては完全分断されずに一部が連なった状態で残ることがあり、このため、ブレイクバーの交換頻度が多くなって作業効率が悪くなる、等の大きな問題点があった。
また、スクライブラインとは別に刃先先端の押しつけ位置が起点となって成膜層2のブレイクが行われるので、分断面の加工品質を高めるためには、刃先先端が成膜層(樹脂膜)2に接する位置を、スクライブラインSの延長線上から外れないように正確に位置合わせする必要もある。
加えて、この方法でも先の方法と同じようにスクライブ機構とブレイク機構が個別に必要となると共に、基板の搬送機構や反転機構が必要となって装置構成が複雑かつ大型化するといった課題をもっている。
また、上述した特許文献1,2に記載の脆性材料基板についても当てはまるが、脆性材料基板には片側面に機能性膜とこれを封止する樹脂膜とを含む成膜層をパターン形成することによって、センサ、MEMS等の機能デバイスを構成するデバイス形成領域が縦横に並べてパターン形成してある。このような複合基板を個々のデバイス形成領域ごとに分離するために、隣接するデバイス形成領域間にスクライブラインを形成したりブレイクしたりすることが許容される分断許容帯域(ストリート領域とも称する)が格子状に設けてある。
そして、分断加工のためにストリート領域にスクライブラインを加工する際には、成膜層が形成された成膜面側を支持板(スクライブ機構のテーブル)で支持した上で、成膜面とは反対側の脆性材料基板面のストリート領域の位置にカッターホイールでスクライブラインを形成することになる。
このとき、図8(a)、図9(a)にも見られるように、成膜層(樹脂膜)2はストリート領域だけでなく、デバイス形成領域の表面も含めて全面が支持台に接することになり、デバイス形成領域の表面が汚れたり、圧接されたりすることになるので製造工程上好ましくない状態になる。
デバイスの種類によっては、デバイス形成領域表面(封止用の樹脂膜表面)に形成される傷や汚染が製品の品質に影響を及ぼす場合があり、分断加工の全工程において、脆性材料基板の成膜面側は、ストリート領域を除いて一切接触することなく分断加工することが望まれている。
そこで本発明は、第一に樹脂膜を含む成膜層が脆性材料基板の片側面に形成された複合基板に対し、スクライブラインの形成から成膜層を含む複合基板のブレイクまでを、基板の移動や反転動作を行わずに処理を行うことができ、しかも安定して分断加工を行うことができるブレイク方法並びに装置を提供することを目的とする。
さらに、第二に樹脂膜を含む成膜層が片側面に形成された脆性材料基板を分断する際に、予め設定されている基板上の分断許容帯域(ストリート領域)以外の成膜層の領域(すなわちデバイス形成領域)については非接触状態のままで、スクライブラインの形成からブレイクまでの分断加工が可能な脆性材料基板のブレイク方法並びに装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するためになされた本発明のブレイク方法は、樹脂膜を含む成膜層が脆性材料基板の一方側の面に形成された複合基板のブレイク方法であって、前記複合基板の前記成膜層に受け部材を当接させながら、前記複合基板の他方側の脆性材料基板面の前記受け部材と相対する位置にカッターホイールを押圧転動させることにより前記脆性材料基板にスクライブラインを加工するスクライブ工程と、前記スクライブラインで区分けされた前記複合基板を、前記成膜層と前記脆性材料基板との接触面に沿った方向に引き離すことにより前記脆性材料基板とともに前記成膜層を前記スクライブラインに沿って分断するブレイク工程とからなる構成とした。
本発明によれば、スクライブ工程では、受け部材を複合基板の成膜層に当接させながら、複合基板の反対側の脆性材料基板面における受け部材と相対する位置にカッターホイールを押し当てて転動させることでスクライブラインを加工する。このとき、スクライブラインが形成されるとともに、受け部材によって圧接されることで脆性材料基板に強く密着された状態になる。
続いて、ブレイク工程で複合基板を、成膜層と脆性材料基板との接触面に沿った方向に互いに引き離す力を加えると、既に亀裂が入っていて実質的な肉厚が小さくなっているスクライブラインの切れ残り部分に、引き離す力(引張荷重)が集中するようになる。したがって脆性材料基板はスクライブラインの切れ残り部分に沿って進展して完全にブレイクされるとともに、引き続きスクライブライン直上の成膜層の位置に引き離す力が集中するようになる。このとき直前のスクライブ工程において成膜層(樹脂膜)は受け部材による圧接により脆性材料基板に密着させてあるので、脆性材料基板の引き離しに伴って成膜層(樹脂膜)も追随してこの位置で正確かつ安定して引き離される結果、脆性材料基板と成膜層(樹脂膜)とがスクライブラインに沿って同時に分断されるようになる。
上記発明によれば、スクライブライン加工からブレイク処理までの間の基板搬送機構や反転機構が不要になり、加工工程が減少し、脆性材料基板の分断と成膜層(樹脂膜)の分断とが一挙に行われるようになり、加工時間を短縮することができる。また、複合基板の分断が、従来のような鋭利な刃先を利用することなく引き離しにより行われるので、刃こぼれや摩耗の心配をすることなく安定してブレイク処理を続けることができ、鋭利な刃先先端を正確にスクライブライン上に位置合わせする必要もない。
上記発明において、前記受け部材を当接させる位置が前記複合基板に設定されている分断許容帯域の内側であるようにしてもよい。
これにより、成膜層が片側面に形成された複合基板の分断において、分断許容帯域以外の成膜層の領域(デバイス形成領域)を非接触状態のままでスクライブライン形成から複合基板のブレイクまでの処理を行うことが可能になり、分断加工中にデバイス形成領域を傷つけたり、汚染したりする不具合を抑制することができる。
上記発明において、一対の水平なテーブルが互いに隙間をあけて配置され、前記スクライブ工程で前記複合基板の前記分断許容帯域が前記隙間の間に位置するように前記テーブル上に載置保持され、前記ブレイク工程で前記テーブル間を水平に引き離すことにより前記テーブル上に保持された複合基板を水平に引き離すようにしてもよい。
これにより、スクライブラインの加工とブレイク処理とを同じ作業テーブル上で行うことができるため、従来のようにスクライブ装置とブレイク装置とを個別に設ける必要がなくなる。また、スクライブラインを加工した後でブレイクするために基板を反転させる反転機構が不要となるので装置構成がシンプルとなって、省スペース化が可能となる等の効果がある。
上記発明において、前記受け部材が分断許容帯域の帯幅より狭い幅の当接面を有するローラであり、前記スクライブ工程では前記カッターホイールの移動に連動して前記複合基板を挟んで前記カッターホイールと相対する位置に前記ローラを移動させるようにしてもよい。
また、上記発明において、前記受け部材が分断許容帯域の帯幅より狭い当接面を有する棒状体であってもよい。
また、別の観点からなされた本発明の基板加工装置は、樹脂膜を含む成膜層が脆性材料基板の一方側の面に形成された複合基板の基板加工装置であって、互いに隙間をあけて配置され、前記複合基板の前記成膜層が形成された面を上に向けるとともに、前記成膜層の分断許容帯域が前記隙間の間に位置するようにして前記複合基板を水平姿勢で載置保持する一対のテーブルと、前記一対のテーブルの前記隙間の上方に設けられ、前記テーブルに保持された複合基板の前記分断許容帯域上を転動させるローラと、前記一対のテーブルの前記隙間の下方に設けられ、前記隙間の中で前記ローラと相対する位置の前記複合基板の他方側の脆性材料基板面上を前記ローラと連動するように押圧転動させて前記脆性材料基板にスクライブラインを加工するカッターホイールとを備え、前記ローラ並びに前記カッターホイールは前記一対のテーブルの隙間で昇降可能に配置され、前記テーブルは互いに離れる方向に水平に移動できるように形成されている。
本発明の基板加工装置によれば、上述したスクライブ工程、ブレイク工程によるブレイク方法を実現することができ、これにより、スクライブラインの加工とブレイクとを同じ作業テーブル上で行うことができるため、従来のようにスクライブ装置とブレイク装置とを個別に設ける必要がなくなる。また、機能性膜と機能性膜を封止する樹脂膜とを含む成膜層が脆性材料基板の一方側の面に形成された複合基板を分断加工する際に、分断許容領域以外の成膜層を非接触状態で加工することができるので、分断加工の際に複合基板に傷や汚染を生じさせる不具合を抑制することができる。
本発明方法のブレイク対象となる複合基板の一例を示す断面図および斜視図。 本発明の一実施例である基板加工装置の概略的な正面図。 本発明の一実施例におけるスクライブ工程の第1段階を示す断面図。 図3のスクライブ工程の第2段階を示す断面図。 本発明の一実施例におけるブレイク工程の第1段階を示す断面図。 図5のブレイク工程の第2段階を示す断面図。 本発明の他の一実施例である基板加工装置の概略的な正面図。 従来の複合基板の分断方法を示す説明図。 従来の複合基板の他の分断方法を示す説明図。
以下において、本発明の詳細を図に示した実施例に基づいて詳細に説明する。以下の説明では、一方の面に樹脂膜を含む成膜層が積層されていて、分断加工することにより多数のセンサデバイスを製造する複合基板を加工対象とする。本実施例では、図1(a)に示すように、脆性材料基板として厚み0.5mmの平板状のガラス基板1を使用し、成膜層2としてセンサデバイス用の機能性膜2aおよび樹脂膜2bが積層された複合基板Wを用いる。
機能性膜2aには、センサデバイスを構成する有機膜および金属電極膜が積層されており、樹脂膜2bは機能性膜2aの上面を封止するようにポリマー樹脂が積層してあり、これらによって厚み50μm程度の成膜層2を形成している。
複合基板Wの成膜層2は、図1(b)に示すように、それぞれがセンサデバイスとなる個々のデバイス形成領域Gが縦横に並べてパターン成形され、隣接するデバイス形成領域G,G間には、複合基板Wをブレイクして個々のセンサデバイスを分離する際に、スクライブラインを刻設しブレイクするために使用する帯幅dの分断許容帯域D(ストリート領域)が格子状に設定されている。
図2は、本発明方法を実施するための基板加工装置の概略を示す説明図である。図2では、左側が加工すべき基板Wの送り方向上流側であり、右側が下流側となる。
基板加工装置Aは、複合基板Wを水平姿勢で載置保持する一対のテーブル3a、3bを備えている。テーブル3a、3bはその表面に多数の吸引口4(図3参照)が形成されており、図示しない吸引装置(真空ポンプ)による吸引によって基板Wを吸着保持することができるように形成されている。またテーブル3a、3bは隙間Lをあけて基板送り方向(X方向)に直列に配置されており、下流側のテーブル3bが、エアーシリンダ等の駆動機構(図示外)により他方のテーブル3aから離れる方向に水平移動できるように形成されている。
テーブル3a、3bの隙間Lの中間部では、これらテーブルに保持された基板Wの上方にローラ5が配置され、基板Wの下方でローラ5と相対する位置にカッターホイール6が配置されている。ローラ5は昇降機構7を介して上部スクライブヘッド8に昇降自在に保持され、上部スクライブヘッド8は駆動機構(図示外)によりガイドレール9に沿って上記隙間Lに沿った方向(X方向に対して水平面上で直交するY方向)に移動できるように形成されている。ローラ5は、図3に示すように、外周面に平らな周面5aを有し、エッジ5bに丸みを持たせた形状で形成されている。またローラ5の周面5aの幅は、基板Wの分断許容帯域D(ストリート領域)の帯幅dよりも狭いものを用いるようにしてある。
カッターホイール6は昇降機構10を介して下部スクライブヘッド11に昇降自在に保持され、下部スクライブヘッド11は駆動機構(図示外)によりガイドレール12に沿ってローラ5と同じ移動方向、即ちY方向に移動可能に形成されている。
次に上記装置を用いた本発明のブレイク方法について説明する。
先ず、図3に示すように、加工すべき複合基板Wを、成膜層2が上側になるようにし、さらにローラ5、カッターホイール6が分断許容領域D(ストリート領域)の帯幅dの上下空間の範囲内に位置するようにテーブル3a、3b上に載置して吸着保持させる。そして、図4に示すように、ローラ5を下降させて成膜層2の表面に当接させた状態でY方向に転動させる。同時に、カッターホイール6を上昇させてガラス基板1の表面に押しつけながら上記ローラ5と一緒にY方向に走行させる。これにより、ローラ5が基板Wの受け台として作用し、ガラス基板1にスクライブラインSを加工することができる(スクライブ工程)。
加工条件の一例としては、直径2mmで刃先角度115°のカッターホイール6を使用し、走行速度100mm/sec、押圧荷重6Nでスクライブラインの加工を行った。また、ローラ5は平坦な周面5aの幅が25μmとしたものを使用した。その結果、ガラス基板1に精度の良いスクライブラインSを加工することができた。このときカッターホイール6による押圧荷重に対する抗力により成膜層2はローラ5により圧接された結果、ローラ5が走行して接触する帯状の領域の成膜層2の部分はガラス基板1に強く密着された状態になった。
次いで、図5並びに図6に示すように、カッターホイール6を下方に退避させ、下流側のテーブル3bを他方のテーブル3aから離れる方向に水平に引き離す。この水平方向の力は成膜層2とガラス基板1との接触面に沿った方向であり、水平方向の力であれば、ガラス基板1と成膜層2とを引き剥す作用が生じなくなる(水平方向以外の分力が働けばガラス基板1を撓ませてガラス基板1と成膜層2とを引き剥す作用を生じさせる)。
互いに水平方向に引き離す力を加えると、引き離す力(引張荷重)はガラス基板1のスクライブライン上で成膜層2直下の亀裂が進展せずに切り残っている位置に集中するようになる。そして亀裂が上方に進展していきガラス基板1が完全にブレイクされるとともに、引き続きスクライブライン直上の成膜層2の位置に引き離す力が集中するようになる。このとき直前のスクライブ工程において分断許容帯域D内の成膜層2(樹脂膜)の部分は、ローラ5による圧接によりガラス基板1に強く密着させてあるので、ガラス基板1の引き離しに伴って成膜層2(樹脂膜)についても、ガラス基板1に(密着部分が)追随し、ガラス基板1が分断された位置で強く引き裂かれる結果、ガラス基板1と成膜層2(樹脂膜)とをスクライブラインに沿って、分断許容帯域D内で、正確かつ安定して分断することができる。
図6では、下流側のテーブル3bを他方のテーブル3aから離れる方向に水平に引き離す際に、ローラ5についてはスクライブライン上における成膜層2上のある一点(主としてスクライブラインの片端)に当接させた状態(わずかに圧接した状態)にしている。このようにスクライブライン上のある一点に当接させておくことで、その位置を起点にして亀裂を(スクライブラインに沿って)一方向に確実に進展させることができるようになり、ブレイク工程での高度な亀裂進展の制御が可能になる。
例えば、スクライブ工程でガラス基板1にスクライブラインを形成する際に、ガラス基板1の片側エッジに数mm程度のスクライブラインを形成しない領域を設けて、この片側エッジより内側に入った位置からスクライブラインを形成することで片側エッジ付近の分断面の加工品質を向上させるスクライブ方法(内切りスクライブと称する)がある。この内切りスクライブを本発明のスクライブ工程で採用した場合には、内切りスクライブによってスクライブラインを形成しなかった片側エッジ付近に対し、ブレイク工程の際にローラ5を当接しておくことで、ローラ5の当接位置を起点として亀裂をスクライブラインに沿って確実に進展させることができるようになる。
なお、ブレイク工程でテーブル3bを引き離す際に、ローラ5を成膜層2に当接させておくことは必ずしも必要ではなく、ローラ5を上昇させてからテーブル3bを水平に引き離すようにしても、安定してガラス基板1と成膜層2とを分断加工することができ、その場合の分断面の加工品質についても何も問題ない。
以上のように本発明によれば、複合基板Wに対してガラス基板1の分断と樹脂膜2bを含む成膜層2の分断とを行う際に、スクライブ工程からブレイク工程までの全分断工程を、基板搬送や基板反転を行うことなくする実現することができるので、加工工程が減少して加工時間を短縮することができ、スクライブ装置とブレイク装置とを個別に設ける必要がなくなる。また成膜層2の分断に、従来のような鋭利な刃先を利用することなく水平引き離しにより行うので、刃こぼれや摩耗を心配することなく安定してブレイクすることができ、刃先先端が成膜層2に接する位置を正確に位置合わせする必要もなくなる。
そして、本発明によれば、複合基板Wの成膜層2側については、分断許容帯域Dを除いてスクライブ工程からブレイク工程まで一切非接触状態のまま分断加工することができる。
以上、本発明の代表的な実施例について説明したが、本発明は必ずしも上記の実施形態に特定されるものでなく、その目的を達成し、請求の範囲を逸脱しない範囲内で適宜修正、変更することが可能である。
上記実施例ではスクライブ工程で成膜層2に当接する受け部材としてローラ5を使用したが、これに代えて図7に示すように、平坦な当接面15aを備えたバー15(棒状体)を用いて、複合基板Wのエッジ間を横断するように当接させてもよい。この場合も、分断許容帯域D内で成膜面2に当接できるように分断許容帯域Dの帯幅dより狭い幅の当接面15aとしてある。
また、分断許容領域が設定されていない複合基板を加工する場合には、受け部材の当接位置は、カッターホイールを押圧転動させる位置の反対面側の相対する位置を含まれていれば、当接する領域を拡大してもよく、この場合は成膜面の一部分に当接させるだけでなく、成膜面側の全面に当接させておいてもよい。
本発明は、脆性材料基板の一方の面に樹脂膜を含む成膜層が形成された複合基板の分断に利用することができる。
A 基板加工装置
L テーブル間の隙間
S スクライブライン
W 複合基板
D 分断許容帯域(ストリート領域)
G デバイス形成領域
1 ガラス基板
2 成膜層
2a 機能性膜
2b 樹脂膜
3a テーブル
3b テーブル
5 ローラ
6 カッターホイール
7 昇降機構
8 上部スクライブヘッド
9 ガイドレール
10 昇降機構
11 下部スクライブヘッド
12 ガイドレール
15 バー

Claims (6)

  1. 樹脂膜を含む成膜層が脆性材料基板の一方側の面に形成された複合基板のブレイク方法であって、
    前記複合基板の前記成膜層に受け部材を当接させながら、前記複合基板の他方側の脆性材料基板面の前記受け部材と相対する位置にカッターホイールを押圧転動させることにより前記脆性材料基板にスクライブラインを加工するスクライブ工程と、
    前記スクライブラインで区分けされた前記複合基板を、前記成膜層と前記脆性材料基板との接触面に沿った方向に引き離すことにより前記脆性材料基板とともに前記成膜層を前記スクライブラインに沿って分断するブレイク工程とからなる複合基板のブレイク方法。
  2. 前記受け部材を当接させる位置が前記複合基板に設定されている分断許容帯域の内側である請求項1に記載の複合基板のブレイク方法。
  3. 一対の水平なテーブルが互いに隙間をあけて配置され、前記スクライブ工程で前記複合基板の前記分断許容帯域が前記隙間の間に位置するように前記テーブル上に載置保持され、前記ブレイク工程で前記テーブル間を水平に引き離すことにより前記テーブル上に保持された複合基板を水平に引き離すようにした請求項2に記載の複合基板のブレイク方法。
  4. 前記受け部材が前記分断許容帯域の帯幅より狭い幅の当接面を有するローラであり、前記スクライブ工程では前記カッターホイールの移動に連動して前記複合基板を挟んで前記カッターホイールと相対する位置に前記ローラを移動させる請求項2または請求項3のいずれかに記載のブレイク方法。
  5. 前記受け部材が分断許容帯域の帯幅より狭い当接面を有する棒状体である請求項2または請求項3のいずれかに記載のブレイク方法。
  6. 樹脂膜を含む成膜層が脆性材料基板の一方側の面に形成された複合基板の基板加工装置であって、
    互いに隙間をあけて配置され、前記複合基板の前記成膜層が形成された面を上に向けるとともに、前記成膜層の分断許容帯域が前記隙間の間に位置するようにして前記複合基板を水平姿勢で載置保持する一対のテーブルと、
    前記一対のテーブルの前記隙間の上方に設けられ、前記テーブルに保持された複合基板の前記分断許容帯域上を転動させるローラと、
    前記一対のテーブルの前記隙間の下方に設けられ、前記隙間の中で前記ローラと相対する位置の前記複合基板の他方側の脆性材料基板面上を前記ローラと連動するように押圧転動させて前記脆性材料基板にスクライブラインを加工するカッターホイールとを備え、
    前記ローラ並びに前記カッターホイールは前記一対のテーブルの隙間で昇降可能に配置され、
    前記テーブルは互いに離れる方向に水平に移動できるように形成されている複合基板の基板加工装置。
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