JP2022002447A - 蓄電装置、電気車制御装置、及び鉄道システム - Google Patents

蓄電装置、電気車制御装置、及び鉄道システム Download PDF

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Abstract

【課題】 回生電力を増加可能な蓄電装置、電気車制御装置、及び鉄道システムを提供する。【解決手段】 実施形態に係る蓄電装置は、電動機と、給電線から直流電力を受け取り電動機に交流電力を供給する第1電力変換装置と、を具備する電気車と接続された蓄電装置であって、蓄電池と、第2電力変換装置と、制御回路と、を具備する。第2電力変換装置は、前記給電線から直流電力を受け取り、直流電力を前記蓄電池に供給する充電動作と、前記蓄電池からの直流電力により前記給電線に直流電力を供給する放電動作と、を実行する。制御回路は、前記第1電力変換装置が回生動作を行っている場合、前記第2電力変換装置に放電動作を行わせる。【選択図】 図1

Description

本発明の実施形態は、蓄電装置、電気車制御装置、及び鉄道システムに関する。
電気車は、インバータと電動機とを備える。インバータは、架線または第三軌条などの給電線から電力を受け取り、受け取った電力を用いて、電動機、及び電気車の種々の設備などに電力を供給する。電動機は、例えば、回転子に永久磁石が用いられた永久磁石同期電動機である。インバータは、電動機に交流電力を供給することにより、電動機の軸を回転させ、電気車を力行させる。また、インバータは、電動機の軸の回転の運動エネルギーを電気エネルギーとして回収する回生を行う。
上記の構成では、インバータからの交流電力の周波数と、電動機の軸の回転の周波数との差分(すべり)によって、電動機による電気車の走行が制御される。例えば、すべりが正である場合、電動機を加速させる正のトルク(加速トルク)が与えられる。また、例えば、すべりが負である場合、電動機を減速させる負のトルク(回生トルク)が与えられる。また、電動機に回生トルクが与えられている場合、電動機において電力(回生電力)が発電され、電動機からインバータに返還される回生動作(回生制動)が行われる。
インバータから電動機に印加される交流電圧の最大値(または実効値)は、インバータに電力を供給するフィルタコンデンサの電圧によって決まる。フィルタコンデンサは、給電線とアースである線路との間にインバータと並列に接続される。即ち、フィルタコンデンサの電圧は、給電線の電圧によって決まる。また、電動機の軸の回転速度と回生トルクとの関係(定トルク特性)は、電動機の構成と、給電線の電圧によって決まる。例えば、給電線の電圧が低くなり、且つ電動機の軸の回転速度が高速になると、回生動作の性能が低下する可能性があるという課題がある。
特開2005−328618号公報
本発明が解決しようとする課題は、回生電力を増加可能な蓄電装置、電気車制御装置、及び鉄道システムを提供することである。
実施形態に係る蓄電装置は、電動機と、給電線から直流電力を受け取り電動機に交流電力を供給する第1電力変換装置と、を具備する電気車と接続された蓄電装置であって、蓄電池と、第2電力変換装置と、制御回路と、を具備する。第2電力変換装置は、前記給電線から直流電力を受け取り、直流電力を前記蓄電池に供給する充電動作と、前記蓄電池からの直流電力により前記給電線に直流電力を供給する放電動作と、を実行する。制御回路は、前記第1電力変換装置が回生動作を行っている場合、前記第2電力変換装置に放電動作を行わせる。
図1は、第1実施形態に係る鉄道システムの例について説明するための説明図である。 図2は、第1実施形態に係る鉄道システムの動作の例について説明するための説明図である。 図3は、第1実施形態に係る鉄道システムの動作の例について説明するための説明図である。 図4は、第1実施形態に係る鉄道システムの動作の例について説明するための説明図である。 図5は、第1実施形態に係る鉄道システムの動作の例について説明するための説明図である。 図6は、第2実施形態に係る鉄道システムの例について説明するための説明図である。
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る鉄道システム1の構成例を示す説明図である。鉄道システム1は、架線2、き電装置3、電気車4、及び線路5などを有する。
架線2は、き電装置3と電気車4とを電気的に接続する為の給電線である。架線2は、例えば架空電車線である。また、架線2の代わりに第三軌条などが用いられてもよい。
き電装置3は、架線2に直流電力を供給する構成である。き電装置3は、変圧器11及び整流器12などを備える。き電装置3は、図示されない電圧源からの直流電圧を鉄道システム1の仕様に応じた電圧に変圧器11によって変換する。き電装置3は、変圧器11によって変圧した直流電圧を、整流器12を介して架線2に供給する。これにより、架線2に所定の直流電圧が供給される。
電気車4は、線路5上を移動する移動体である。電気車4は、集電器21、車輪22、及び電気車制御装置23などを有する。
集電器21は、架線2などの給電線から直流電力を受け取り、電気車制御装置23に供給する構成である。集電器21は、例えば、給電線が架線である場合、パンタグラフなどとして構成される。また、集電器21は、例えば給電線が第三軌条などである場合、集電シューとして構成される。
車輪22は、電気車制御装置23によって回転することにより、電気車4を走行させる構成である。
電気車制御装置23は、例えば、電気車4などの移動体に搭載される。電気車制御装置23は、架線2から集電器21を介して直流電力を受け取り、受け取った直流電力を電動機の定格に応じた交流電力に変換し、電動機に交流電力を供給する。これにより、電気車制御装置23は、電動機の回転軸を回転させ、電動機の回転軸にギアなどを介して連動する車輪22を回転させ、電気車に線路上を力行させる。
図1に示されるように、電気車制御装置23は、第1高速度遮断器31、第1フィルタリアクトル32、第1フィルタコンデンサ33、インバータ34、電動機35、レゾルバ36、第2高速度遮断器37、第2フィルタリアクトル38、第2フィルタコンデンサ39、DCDCコンバータ40、蓄電池41、運転台42、及び制御ユニット43を備える。
第1高速度遮断器31は、集電器21に接続される。第1高速度遮断器31は、閉路(投入)することにより、インバータ34と集電器21とを接続する。第1高速度遮断器31は、制御ユニット43からの投入指令に基づいて、投入と開放とを切り替える。
第1フィルタリアクトル32は、集電器21と、インバータ34と第1フィルタコンデンサ33との接続点との間に接続されている。
第1フィルタコンデンサ33は、第1フィルタリアクトル32からみてインバータ34と並列に接続されている直流電源である。第1フィルタコンデンサ33の高圧側端子は、第1フィルタリアクトル32及びインバータ34に接続されている。第1フィルタコンデンサ33の低圧側端子は、インバータ34に接続されている。また、第1フィルタコンデンサ33の低圧側端子は、アースとしての線路5に車輪22などを介して電気的に接続されている。第1フィルタコンデンサ33は、第1フィルタリアクトル32などを介して集電器21から供給された電力を平滑し、インバータ34に供給する。
インバータ34は、例えば、可変電圧可変周波数インバータ(VVVFインバータ)などのインバータ回路である。インバータ34は、供給された直流電力を交流電力(三相交流電力)に変換する第1電力変換装置である。インバータ34は、変換した交流電力を電動機35に供給する。
インバータ34は、それぞれ上アームと下アームとを構成する複数の半導体スイッチにより構成された複数のレグを備える。インバータ34は、例えば、3つのレグを備える。各レグは、それぞれ第1フィルタコンデンサ33に並列に接続されている。各レグは、制御ユニット43からのインバータ動作信号に基づいて、上アーム及び下アームの半導体スイッチをオンオフ制御する。これにより、各レグは、第1フィルタコンデンサ33からの直流電圧により、電動機35に交流電力を供給する。各レグは、互いに位相の異なる交流電力を電動機35に供給する。例えばインバータ34は、互いに120°位相が異なる3相の交流電力(三相交流電力)を電動機35に供給する。
電動機35は、インバータ34からの交流電力によって回転軸を回転させる構成である。電動機35は、例えば、三相式の永久磁石同期電動機(PMSM)として構成される。電動機35は、インバータ34の各レグに接続された複数の巻線を備える固定子と、固定子の中央部に形成された空間に回転可能に設けられた永久磁石回転子とを有する。
電動機35は、インバータ34から供給された三相交流電力に応じて動作し、機械的な動力を得る。インバータ34の各レグから各巻線にそれぞれ異なるタイミングで交流電力が供給される。各巻線に流れる電流によって各巻線に発生する磁場と、固定子の磁場との相互作用により、軸を回転させる機械的エネルギーが生じる。電動機35の軸が回転すると、電動機35の軸に連結されたギアなどを介して、電気車4の車輪22に駆動力が伝達し、電気車4が力行する。
レゾルバ36は、電動機35の軸の回転を検出する速度検出手段である。レゾルバ36は、電動機35の軸の回転数を検出し、制御ユニット43に検出結果を供給する。
第2高速度遮断器37は、集電器21に接続される。第2高速度遮断器37は、閉路(投入)することにより、DCDCコンバータ40と集電器21とを接続する。第2高速度遮断器37は、制御ユニット43からの投入指令に基づいて、投入と開放とを切り替える。
第2フィルタリアクトル38は、集電器21と、DCDCコンバータ40と第2フィルタコンデンサ39との接続点との間に接続されている。
第2フィルタコンデンサ39は、第2フィルタリアクトル38からみてDCDCコンバータ40と並列に接続されている直流電源である。第2フィルタコンデンサ39の高圧側端子は、第2フィルタリアクトル38及びDCDCコンバータ40に接続されている。第2フィルタコンデンサ39の低圧側端子は、DCDCコンバータ40に接続されている。また、第2フィルタコンデンサ39の低圧側端子は、アースとしての線路5に車輪22などを介して電気的に接続されている。第2フィルタコンデンサ39は、第2フィルタリアクトル38などを介して集電器21から供給された電力を平滑し、DCDCコンバータ40に供給する。
DCDCコンバータ40は、例えば、第2フィルタコンデンサ39から供給される直流電力を蓄電池41の定格電力に応じた直流電力に変換する第2電力変換装置である。DCDCコンバータ40は、変換した直流電力を蓄電池41に供給する充電動作と、蓄電池41から電力を架線2に放電させる放電動作とを行う。
蓄電池41は、例えば、セパレータを介して正極及び負極が積層された電極群を備えるリチウムイオン二次電池として構成される。また、蓄電池41は、大容量のコンデンサとして構成されていてもよい。蓄電池41は、DCDCコンバータ40から供給された直流電力を充電する。また、蓄電池41は、DCDCコンバータ40の制御によって直流電力を放電する。DCDCコンバータ40及び蓄電池41は、架線2からの直流電力を充電し、且つ架線2に直流電力を放電する蓄電装置として構成される。
運転台42は、制御ユニット43に種々の指令を出力する構成である。運転台42は、ノッチなどによる操作に応じて、インバータ動作指令、及び他の種々の指令を制御ユニット43に出力する。
制御ユニット43は、第1高速度遮断器31及び第2高速度遮断器37の投入及び開放、インバータ34の制御、及びDCDCコンバータ40の制御を行う制御回路である。即ち、制御ユニット43は、第1高速度遮断器31及び第2高速度遮断器37への投入指令、インバータ34へのインバータ動作信号、及びDCDCコンバータ40への充電及び放電の制御信号の出力をそれぞれ行う。
制御ユニット43は、給電線である架線2の電圧の検出結果を取得する。例えば、制御ユニット43は、架線2、第1フィルタコンデンサ33、または第2フィルタコンデンサ39の電圧を検出する電圧検出器を備えていてもよい。また、制御ユニット43は、インバータ34またはDCDCコンバータ40から第1フィルタコンデンサ33または第2フィルタコンデンサ39の電圧の検出結果を取得する構成であってもよい。
また、制御ユニット43は、レゾルバ36からの検出結果に基づいて、電動機35の軸の回転速度を算出する。また、制御ユニット43は、電動機35の軸の回転速度に基づいて、電気車4の車両の速度(車両速度)を算出する。
制御ユニット43は、運転台42からのインバータ動作指令と、架線2の電圧の検出結果と、電動機35の軸の回転速度と、に基づいて、インバータ34へのインバータ動作信号、及びDCDCコンバータ40への充電及び放電の制御信号の生成などを行う。
制御ユニット43は、例えばパルス信号を生成する論理回路として構成される。また、制御ユニット43は、演算処理を実行する演算素子であるプロセッサと、プログラム及びプログラムで用いられるデータなどを記憶するメモリとを備え、プロセッサがプログラムを実行することにより、パルス信号(インバータ動作信号)を生成する構成であってもよい。
また、電気車制御装置23は、図示されないブレーキ制御器などを備える。ブレーキ制御器は、制御ユニット43の制御に基づいて、電動機35の回転軸に連動するギアまたは車輪に対して空気ブレーキなどによりブレーキをかける。
図2は、制御ユニット43によるインバータ34及びDCDCコンバータ40の回生動作中の制御について説明する為の説明図である。
制御ユニット43は、まず電圧の検出を行う(ステップS11)。即ち、制御ユニット43は、給電線である架線2の電圧の検出結果を取得する。本例では、制御ユニット43は、第1フィルタコンデンサ33の電圧を検出するものとして説明する。
制御ユニット43は、回生電力を算出する(ステップS12)。例えば、制御ユニット43は、架線2の電圧の検出結果と、電動機35の軸の回転速度と、に基づいて、インバータ34により回生動作において生じる回生電力を算出する。
制御ユニット43は、ブレーキ指令値を取得する(ステップS13)。ブレーキ指令値は、減速の度合を示す情報(減速度)である。制御ユニット43は、例えば、運転台42からのインバータ動作指令に基づいて、ブレーキ指令値を取得する。
制御ユニット43は、物理的減速エネルギーを算出する(ステップS14)。物理的減速エネルギーは、電気車4の車両の質量、現時点での列車の速度(即ち電動機35の軸の回転速度)、ブレーキ指令値(減速度)などから算出される減速のエネルギーである。例えば、物理的減速エネルギーは、質量、速度、及びブレーキ指令値(減速度)の積から算出される。
制御ユニット43は、(物理的減速エネルギー)−(回生電力)<閾値Pthであるか否か判断する(ステップS15)閾値Pthは、予め設定された値である。なお、制御ユニット43は、物理的減速エネルギー<回生電力であるか否か判断する構成であってもよい。
制御ユニット43は、(物理的減速エネルギー)−(回生電力)<閾値Pthであると判断した場合(ステップS15、YES)、回生動作を継続するように、インバータ34を制御し、図2の動作を終了する。
(物理的減速エネルギー)−(回生電力)<閾値Pthである場合、物理的減速エネルギーに対して回生電力が十分である。即ち、制御ユニット43は、回生動作によって減速が可能であると判断する。この為、制御ユニット43は、回生動作によって減速するように、インバータ34を制御する。
また、制御ユニット43は、(物理的減速エネルギー)−(回生電力)<閾値Pthではないと判断した場合(ステップS15、NO)、第1フィルタコンデンサ33の電圧の検出結果が、予め設定された回生絞り込み電圧未満であるか否か判断する(ステップS16)。
(物理的減速エネルギー)−(回生電力)≧閾値Pthである場合、物理的減速エネルギーに対して回生電力が不十分である。即ち、制御ユニット43は、回生動作による減速が不十分であると判断する。この為、制御ユニット43は、回生動作によって生じる回生電力を増加させることができるか否か判断する。
回生絞り込み電圧は、車両のインバータ34及び鉄道システム1の種々の構成の性能によって決まる値である。例えば、他の列車において高速度遮断器が開放され、架線2から負荷が無くなった場合、架線2の電圧が急激に増加する。この為、鉄道システム1では、回生動作によって増加する架線2の電圧の上限が、回生絞り込み電圧として設定されている。制御ユニット43は、回生絞り込み電圧を超えないように、インバータ34による回生動作を制御する。即ち、制御ユニット43は、第1フィルタコンデンサ33の電圧の検出結果が、予め設定された回生絞り込み電圧未満である場合、架線2の電圧、即ち第1フィルタコンデンサ33の電圧を増加させることによって、回生電力を増加させることができると判断する。
制御ユニット43は、第1フィルタコンデンサ33の電圧の検出結果が、回生絞り込み電圧未満であると判断した場合(ステップS16、YES)、放電動作を行うように、DCDCコンバータ40を制御する(ステップS17)。DCDCコンバータ40は、制御ユニット43から放電を指示する制御信号を受信した場合、蓄電池41から直流電力を架線2に放電させる。このように、制御ユニット43は、DCDCコンバータ40及び蓄電池41に放電動作を行わせることにより、架線2の電圧を増加させることができる。
なお、制御ユニット43は、第1フィルタコンデンサ33の電圧を検出しつつ、徐々に蓄電池41から放電させる量を増やしてもよいし、予め定められた電力量を蓄電池41から放電させてもよい。また、制御ユニット43は、第1フィルタコンデンサ33の電圧の検出結果に基づいてPI制御を行い、蓄電池41からの放電量を制御する構成であってもよい。
また、制御ユニット43は、第1フィルタコンデンサ33の電圧の検出結果が、回生絞り込み電圧未満ではないと判断した場合(ステップS16、NO)、充電動作を行うように、DCDCコンバータ40を制御する(ステップS18)。DCDCコンバータ40は、制御ユニット43から充電を指示する制御信号を受信した場合、架線2から第2フィルタコンデンサ39を介して供給される直流電力を蓄電池41に充電させる。このように、制御ユニット43は、架線2の直流電力によって蓄電池41を充電することができる。
次に、車両速度と回生電力との関係、及び電圧と回生電力との関係について説明する。
図3は、車両速度と回生電力との関係について説明するための説明図である。図3の縦軸は、回生動作によって生じるエネルギーである回生電力を示す。図3の横軸は、電気車4の車両の速度(車両速度)を示す。なお、横軸は、電動機35の軸の回転速度であってもよい。
図3に示されるように、車両速度と回生電力との間には、車両速度が所定の速度に達するまで、車両速度に因らず回生電力が一定となる定トルク特性がある。図3は、架線2に対して蓄電池41から放電が行われていない場合の定トルク特性である。即ち、図3は、第1フィルタコンデンサ33の電圧が放電動作中に比べて低いある値である場合の定トルク特性の例を示す。
回生電力は、車両速度が速度域によって変化する。具体的には、回生電力は、車両速度が所定の値(以下、定トルク領域終端速度と称する)に達するまで一定である。また、回生電力は、車両速度が定トルク領域終端速度を超えると徐々に低下する。
例えば、図3の点Aでは、車両速度(第1速度)が定トルク領域終端速度未満である。この為、十分に回生電力が生じている状態となっている。これに対し、図3の点Bでは、車両速度(第2速度)が定トルク領域終端速度以上となっている。この為、十分に回生電力が得られていない状態となっている。
図4は、第1フィルタコンデンサ33の電圧と回生電力との関係について説明するための説明図である。図4の縦軸は、回生電力を示す。図3の横軸は第1フィルタコンデンサ33の電圧を示す。
図4に示されるように、回生電力は、インバータ34に供給される直流電力の電圧、即ち第1フィルタコンデンサ33の電圧によって変化する。具体的には、回生電力は、第1フィルタコンデンサ33の電圧が所定の値(上記の回生絞り込み電圧)に達するまで一定であり、第1フィルタコンデンサ33の電圧が電圧を超えると徐々に低下する。
例えば、図4の点Cでは、第1フィルタコンデンサ33の電圧が回生絞り込み電圧(回生絞り込み開始電圧)未満である。この為、十分に回生電力が生じている状態となっている。これに対し、図4の点Dでは、第1フィルタコンデンサ33の電圧が回生絞り込み電圧(回生絞り込み開始電圧)以上となっている。この為、回生絞り込みが行われ、十分に回生電力が得られていない状態となっている。
上記したように、トルク性能は、速度域によって変化し、架線電圧によっても変化する。具体的には、定トルク領域終端速度は、架線電圧、即ちインバータ34に直流電力を供給する第1フィルタコンデンサ33の電圧に依存する。例えば、第1フィルタコンデンサ33の電圧が低下すると、定トルク領域終端速度も低下する。この結果、高速域の回生トルクも低下する。この結果、回生動作時に生じる回生電力が減少する。
しかしながら、上記の図2のように、制御ユニット43は、第1フィルタコンデンサ33の電圧の検出結果が、回生絞り込み電圧未満である場合、放電動作を行うように、DCDCコンバータ40を制御する。これにより、架線2の電圧が蓄電池41からの放電によって増加する。
図5は、車両速度と回生電力との関係について説明するための説明図である。図5の縦軸は、回生動作によって生じるエネルギーである回生電力を示す。図5の横軸は、電気車4の車両の速度(車両速度)を示す。
図5のグラフ51は、通常の定トルク特性を示す。図5のグラフ51は、図3の定トルク特性と同じである。即ち、図5のグラフ51は、架線2に対して蓄電池41から放電が行われていない場合の定トルク特性である。グラフ51の定トルク領域終端速度を第1定トルク領域終端速度と称する。
図5のグラフ52は、放電動作時の定トルク特性を示す。上記したように、架線2に対して蓄電池41から放電が行われると、架線2の電圧が増加する。架線2の電圧が増加すると、第1フィルタコンデンサ33からインバータ34に印加される電圧が増加する。第1フィルタコンデンサ33の電圧が増加すると、図5のグラフ51及びグラフ52で示されるように、定トルク特性における定トルク領域終端速度が第1定トルク領域終端速度から第2定トルク領域終端速度に増加する。
点Eは、放電動作が行われておらず、且つ第1速度で回生動作を行った場合に生じる回生電力を示す。点Eの例では、車両速度(第1速度)が第1定トルク領域終端速度未満となっている。この為、点Eの例は、十分に回生電力が生じている状態となっている。
点Fは、放電動作が行われておらず、且つ第1速度より速い第2速度で回生動作を行った場合に生じる回生電力を示す。点Fの例では、車両速度(第2速度)が第1定トルク領域終端速度以上となっている。この為、点Fの例は、十分に回生電力が生じていない状態となっている。
点Gは、放電動作が行われており、且つ第2速度で回生動作を行った場合に生じる回生電力を示す。点Gの例では、車両速度(第2速度)が第2定トルク領域終端速度未満となっている。この為、点Gの例は、十分に回生電力が生じている状態となっている。
上記したように、制御ユニット43は、第1フィルタコンデンサの電圧検出結果が回生絞り込み電圧未満である場合に、蓄電池41により架線2に放電を行うようにDCDCコンバータを制御する。これにより、架線2の電圧が増加し、定トルク特性における定トルク領域終端速度が増加する。この結果、電気車4の車両が高速で走行している際の回生動作によって生じる回生電力を増加させることができる。
(第2実施形態)
図6は、第2実施形態に係る鉄道システム1Aの構成例を示す説明図である。なお、第1実施形態と同じ構成には同じ参照符号を付し、詳細な説明を省略する。第1実施形態では、電気車4に搭載された蓄電池から架線2に放電を行う構成であった。これに対し、第2実施形態は、地上に設けられた定置型蓄電装置から架線2に放電を行う点が第1実施形態と異なる。
鉄道システム1Aは、架線2、き電装置3、電気車4、線路5、及び定置型蓄電装置6Aなどを有する。
定置型蓄電装置6Aは、架線2からの直流電力による充電及び架線2への放電を行う装置である。定置型蓄電装置6Aは、DCDCコンバータ40、蓄電池41、及び制御ユニット43を備える。
DCDCコンバータ61Aは、例えば、図示されないフィルタコンデンサなどを介して架線2から供給される直流電力を蓄電池62Aの定格電力に応じた直流電力に変換する電力変換装置(第2電力変換装置)である。DCDCコンバータ61Aは、変換した直流電力を蓄電池62Aに供給する充電動作と、蓄電池62Aから電力を架線2に放電させる放電動作とを行う。
蓄電池62Aは、例えば、セパレータを介して正極及び負極が積層された電極群を備えるリチウムイオン二次電池として構成される。また、蓄電池62Aは、大容量のコンデンサとして構成されていてもよい。蓄電池62Aは、DCDCコンバータ61Aから供給された直流電力を充電する。また、蓄電池62Aは、DCDCコンバータ61Aの制御によって直流電力を放電する。
制御ユニット63Aは、DCDCコンバータ61Aの制御を行う。即ち、制御ユニット63Aは、DCDCコンバータ61Aに対して充電または放電を指示するための制御信号の出力を行う。
制御ユニット63Aは、給電線である架線2の電圧の検出結果を取得する。例えば、制御ユニット63Aは、架線2、またはDCDCコンバータ61Aと架線2との間に設けられたフィルタコンデンサの電圧を検出する電圧検出器を備えていてもよい。また、制御ユニット63Aは、DCDCコンバータ61Aから電圧の検出結果を取得する構成であってもよい。
制御ユニット63Aは、架線2の電圧の検出結果に基づいて、DCDCコンバータ40に充電を行わせるか放電を行わせるかを判断する。例えば、制御ユニット63Aは、第1実施形態と同様に、架線2の電圧の検出結果が、予め設定された回生絞り込み電圧未満であるか否か判断する。制御ユニット63Aは、電圧の検出結果が、回生絞り込み電圧未満であると判断した場合、放電動作を行うように、DCDCコンバータ61Aを制御する。
DCDCコンバータ61Aは、制御ユニット63Aから放電を指示する制御信号を受信した場合、蓄電池62Aから直流電力を架線2に放電させる。このように、制御ユニット63Aは、DCDCコンバータ61A及び蓄電池62Aに放電動作を行わせることにより、架線2の電圧を増加させることができる。
なお、制御ユニット63Aは、架線2の電圧を検出しつつ、徐々に蓄電池62Aから放電させる量を増やしてもよいし、予め定められた電力量を蓄電池62Aから放電させてもよい。また、制御ユニット63Aは、架線2の電圧の検出結果に基づいてPI制御を行い、蓄電池62Aからの放電量を制御する構成であってもよい。
また、制御ユニット63Aは、架線2の電圧の検出結果が、回生絞り込み電圧未満ではないと判断した場合、充電動作を行うように、DCDCコンバータ61Aを制御する。
DCDCコンバータ61Aは、制御ユニット63Aから充電を指示する制御信号を受信した場合、架線2から供給される直流電力を蓄電池62Aに充電させる。このように、制御ユニット63Aは、架線2の直流電力によって蓄電池62Aを充電することができる。
上記したように、定置型蓄電装置6Aは、架線2の電圧の検出結果に基づいて、蓄電池62Aから架線2に放電を行い、架線電圧を増加させることができる。これにより、架線電圧が増加した区間に存在する電気車4において、定トルク特性における定トルク領域終端速度が増加する。この結果、電気車4の車両が高速で走行している際の回生動作によって生じる回生電力を増加させることができる。
なお、鉄道システム1は、複数の電気車4をそなえていてもよい。また、複数の電気車4がそれぞれ集電器21、車輪22、及び電気車制御装置23などを有していてもよい。また、架線2に接続される複数の電気車4の少なくとも1つが、インバータ34、電動機35、DCDCコンバータ40、蓄電池41、及び制御ユニット43を備える電気車制御装置23として構成されていればよい。即ち、架線2にDCDCコンバータ40及び蓄電池41を備えていない電気車が接続されていてもよい。
なお、上述の各実施の形態で説明した機能は、ハードウエアを用いて構成するに留まらず、ソフトウエアを用いて各機能を記載したプログラムをコンピュータに読み込ませて実現することもできる。また、各機能は、適宜ソフトウエア、ハードウエアのいずれかを選択して構成するものであっても良い。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…鉄道システム、1A…鉄道システム、2…架線、3…き電装置、4…電気車、5…線路、6A…定置型蓄電装置、11…変圧器、12…整流器、21…集電器、22…車輪、23…電気車制御装置、31…第1高速度遮断器、32…第1フィルタリアクトル、33…第1フィルタコンデンサ、34…インバータ、35…電動機、36…レゾルバ、37…第2高速度遮断器、38…第2フィルタリアクトル、39…第2フィルタコンデンサ、40…DCDCコンバータ、41…蓄電池、42…運転台、43…制御ユニット、51…グラフ、52…グラフ、61A…DCDCコンバータ、62A…蓄電池、63A…制御ユニット。

Claims (5)

  1. 電動機と、給電線から直流電力を受け取り電動機に交流電力を供給する第1電力変換装置と、を具備する電気車と接続された蓄電装置であって、
    蓄電池と、
    前記給電線から直流電力を受け取り、直流電力を前記蓄電池に供給する充電動作と、前記蓄電池からの直流電力により前記給電線に直流電力を供給する放電動作と、を実行する第2電力変換装置と、
    前記第1電力変換装置が回生動作を行っている場合、前記第2電力変換装置に放電動作を行わせる制御回路と、
    を具備する蓄電装置。
  2. 前記制御回路は、前記給電線の電圧が予め設定された回生絞り込み電圧以上である場合、前記第2電力変換装置に充電動作を行わせ、前記給電線の電圧が予め設定された回生絞り込み電圧未満である場合、前記第2電力変換装置に放電動作を行わせる請求項1に記載の蓄電装置。
  3. 前記制御回路は、回生動作により生じる回生電力の前記電動機の物理的減速エネルギーに対する差分が予め設定された閾値未満であり、且つ前記給電線の電圧が予め設定された回生絞り込み電圧未満である場合、前記第2電力変換装置に放電動作を行わせる請求項2に記載の蓄電装置。
  4. 請求項1に記載の蓄電装置と、
    電動機と、
    前記給電線から直流電力を受け取り前記電動機に交流電力を供給する第1電力変換装置と、
    を具備する電気車制御装置。
  5. 給電線に直流電力を供給するき電装置と、
    請求項1に記載の蓄電装置と、
    電動機と、前記給電線から直流電力を受け取り前記電動機に交流電力を供給する第1電力変換装置と、を備える電気車制御装置と、
    を具備する鉄道システム。
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