JP2022002188A - リチウムイオン電池用セパレータ - Google Patents

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悠 石原
Yu Ishihara
美勝 清野
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正典 森下
Masanori Morishita
哲男 境
Tetsuo Sakai
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Abstract

【課題】過放電が発生しても充放電特性が劣化しにくいリチウムイオン電池を提供する。【解決手段】ポリマー、前記ポリマーの変性体、及び前記ポリマーの架橋体からなる群から選択される1以上を含むリチウムイオン電池用セパレータであって、前記ポリマーは、カルボキシル基及びその塩からなる群から選択される1以上と、アミド基及びアミド結合からなる群から選択される1以上と、を有するリチウムイオン電池用セパレータ。【選択図】なし

Description

本発明は、リチウムイオン電池用セパレータに関する。
二次電池は、繰り返し充放電を行うことができる電池である。近年の環境問題への関心の高まりを背景に、携帯電話、ノートパソコン等の電子機器だけでなく、自動車、航空機等の輸送機においても二次電池の使用が進んでいる。このような二次電池への需要の高まりを受けて、研究も活発に行われている。二次電池の中でも軽量、小型かつ高エネルギー密度のリチウムイオン電池は、各産業界から特に注目されており、開発が盛んに行われている。
一方、リチウムイオン電池は過放電が起こると充放電特性が劣化するという問題がある。すなわち、電子機器に異常があった場合や電子機器にカットオフ電圧が設定されていない場合において、放電電圧が0Vとなった段階で開路しても開路電圧は復帰せず、その後に充放電しても電池容量は著しく低下し、場合よっては内部短絡を起こす。その原因として、電池が過放電になると負極集電体の銅が溶出して、正極側でデンドライトが析出することが挙げられる。
当該問題はリチウムイオン電池の実用上極めて重要であり、対策は不可欠となっている。
特許文献1には、電解液に特定の化合物を添加することにより、負極銅箔が溶解して正極側で析出することを防止する技術が開示されている。特許文献2には、セパレータに特定の有機材料を担持することにより、帯静電気性を抑制する技術が開示されている。
特開2006−73513号公報 特開2017−139086号公報
本発明の目的は、過放電が発生しても充放電特性が劣化しにくいリチウムイオン電池を提供することである。
本発明者らは、充放電特性劣化の原因について検討したところ、以下の知見が得られた。すなわち、リチウムイオン電池が過放電状態になると、セパレータの細孔のうち比較的大きな細孔に電力集中が生じる。当該電力集中に起因してデンドライトが析出することで、ショートや電池容量低下をもたらす。特にセパレータ基材として不織布など細孔面積のばらつきの大きい材料を用いた場合には電力集中が生じやすい。
本発明者らは、上記知見に基づいて鋭意検討を行った結果、セパレータ基材に特定のポリマー(当該ポリマーの変性体及び架橋体を含む)を含めることにより電力集中とデンドライトの析出を抑制できることを見出し、本発明を完成した。
本発明によれば、以下のリチウムイオン電池用セパレータ等が提供される。
1.ポリマー、前記ポリマーの変性体、及び前記ポリマーの架橋体からなる群から選択される1以上を含むリチウムイオン電池用セパレータであって、
前記ポリマーは、カルボキシル基及びその塩からなる群から選択される1以上と、アミド基及びアミド結合からなる群から選択される1以上と、を有する
リチウムイオン電池用セパレータ。
2.前記ポリマーが、不飽和カルボン酸及びその塩からなる群から選択される1以上に由来する構造をモノマー単位として含む、1に記載のリチウムイオン電池用セパレータ。
3.前記ポリマーが、グルタミン酸、グルタミン酸塩、アスパラギン酸、及びアスパラギン酸塩からなる群から選択される1以上に由来する構造をモノマー単位として含むポリアミドである、1又は2に記載のリチウムイオン電池用セパレータ。
4.前記ポリマーが、カルボキシル基及びその塩を含む、1〜3のいずれかに記載のリチウムイオン電池用セパレータ。
5.セパレータ基材として不織布を含む1〜4のいずれかに記載のリチウムイオン電池用セパレータ。
6.前記ポリマー、前記ポリマーの変性体、及び前記ポリマーの架橋体からなる群から選択される1以上が不織布に含浸された1〜5のいずれかに記載のリチウムイオン電池用セパレータ。
7.ガーレ値が15〜100秒/100mlである1〜6のいずれかに記載のリチウムイオン電池用セパレータ。
8.前記ポリマー、前記ポリマーの変性体、及び前記ポリマーの架橋体の含有量が1〜10g/mである1〜7のいずれかに記載のリチウムイオン電池用セパレータ。
9.1〜8のいずれかに記載のリチウムイオン電池用セパレータを含むリチウムイオン電池。
本発明によれば、過放電が発生しても充放電特性が劣化しにくいリチウムイオン電池が提供できる。
本発明の一態様に係る二次電池の一実施形態を示す概略断面図である。 実施例1〜3及び比較例1の過放電試験の結果を示す図である。
以下に発明を実施するための形態について説明する。尚、以下において記載される本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせた形態もまた、本発明の好ましい形態である。
[リチウムイオン電池用セパレータ]
本発明の一態様に係るリチウムイオン電池用セパレータは、ポリマー、前記ポリマーの変性体、及び前記ポリマーの架橋体からなる群から選択される1以上を含む。前記ポリマーは、カルボキシル基及びその塩からなる群から選択される1以上と、アミド基及びアミド結合からなる群から選択される1以上と、を有するポリマー(以下、「ポリマーA」と称する場合がある)である。
本発明の一態様に係るリチウムイオン電池用セパレータは、ポリマーA、ポリマーAの変性体、及びポリマーAの架橋体からなる群から選択される1以上(以下、「ポリマーA等」と称する場合がある)により、セパレータ基材の細孔の一部又は全部が埋められることで電力集中の発生を抑制できる。また、ポリマーA等が電解液で若干膨潤してゲル化することによりデンドライトの成長を抑制できる。このような効果により、過放電状態が発生しても充放電特性が劣化しにくいリチウムイオン電池の提供が可能となる。
リチウムイオン電池に用いるセパレータは、一般に、正極と負極との接触による電流の短絡等を防ぎ、電解液を保持して正極と負極との間のイオン伝導性を確保する部材である。
本発明の一態様に係るリチウムイオン電池用セパレータは、通常、セパレータ基材とポリマーA等とを含む。以下、当該リチウムイオン電池用セパレータの各構成について説明する。
(ポリマーA)
本発明の一態様で用いるポリマーAは、カルボキシル基及びその塩からなる群から選択される1以上と、アミド基及びアミド結合からなる群から選択される1以上と、を有する。
ポリマーAにおいて、全モノマー単位に対する、カルボキシル基を含むモノマー単位及びカルボキシル基の塩を含むモノマー単位の合計量は格別限定されず、例えば、1mol%以上、5mol%以上、又は10mol%以上であり得る。
一態様において、ポリマーAは、全モノマー単位に対する、カルボキシル基を含むモノマー単位及びカルボキシル基の塩を含むモノマー単位の合計量が多いことが好ましく、これにより、セパレータ基材に対する結着性がより良好になる。
かかる合計量が1mol%以上であれば、十分な結着性が発揮される。かかる合計量の上限は、特に限定されないが、例えば50mol%、70mol%、100mol%であり得る。
ポリマーAにおいて、全モノマー単位に対する、カルボキシル基を含むモノマー単位、カルボキシル基の塩を含むモノマー単位、アミド基を含むモノマー単位、及びアミド結合を含むモノマー単位の合計量は、例えば、50mol%以上、又は70mol%以上であり得る。かかる合計量が50mol%以上であることによって、セパレータ基材に対する結着性がより良好になる。
かかる合計量が1mol%以上であれば、十分な結着性が発揮される。かかる合計量の上限は、例えば、100mol%であり得る。
アミド基及びアミド結合からなる群から選択される1以上とは、具体的には、1級アミド構造、2級アミド構造及び3級アミド構造からなる群から選択される1以上である。
1級アミド構造とは、1級アミド(R−CONH)における[−CONH]構造を指し、1級アミド構造を含むポリマーとしては、1級アミド構造をポリマー側鎖又はポリマー末端に含むポリマーが挙げられ、例えば、ポリアクリルアミド及びそのコポリマー等が挙げられるがこれに限定されない。
2級アミド構造とは、2級アミド(R−CONHR’)における[−CONH−]構造を指し、2級アミド構造を有するポリマーとしては、2級アミド構造をポリマー側鎖又はポリマー末端に含むポリマーや、2級アミド構造をポリマー主鎖中に含む(2級アミド構造によってモノマーが連結されている)ポリマーが挙げられ、例えば、ポリ−N−アルキルアクリルアミド及びそのコポリマーや、ポリグルタミン酸ナトリウム等が挙げられるがこれに限定されない。
3級アミド構造とは、3級アミド(R−CONR’R'')における[−CON(−)]構造を指し、3級アミド構造を有するポリマーとしては、3級アミド構造をポリマー側鎖又はポリマー末端に含むポリマーや、3級アミド構造をポリマー主鎖中に含む(3級アミド構造によってモノマーが連結されている)ポリマーが挙げられ、例えば、ポリN,N−ジアルキルアクリルアミドやそのコポリマーが挙げられるがこれに限定されない。
なお、アミド結合によってモノマー単位同士が連結されたポリアミドは、全てのモノマー単位が2級アミド構造又は3級アミド構造を含み、即ち、モノマー単位の100mol%が、1級アミド構造、2級アミド構造及び3級アミド構造からなる群から選択される1以上を含むポリマーであるとみなすことができる。
ポリマーAは、好ましくは、グルタミン酸、グルタミン酸塩、アスパラギン酸、及びアスパラギン酸塩からなる群から選択される1以上に由来する構造をモノマー単位として含むポリアミドであることが好ましい。また、ポリマーAは、全モノマー単位に対して、グルタミン酸及びその塩からなる群から選択される1以上に由来する構造をモノマー単位として50mol%以上含むことが好ましい。さらに、ポリマーAは、ポリグルタミン酸又はポリグルタミン酸塩であることがより好ましい。
上記のアミノ酸ユニットは天然から容易に得られる。中でも、ポリ−γ−グルタミン酸は、天然において高分子量のホモポリアミノ酸として存在するため、入手性の観点から好ましい。
ポリマーAは、不飽和カルボン酸及びその塩からなる群から選択される1以上をモノマー単位として含むことが好ましい。そのようなモノマー単位として、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸塩及びメタクリル酸塩等が挙げられる。
また、ポリマーAは、不飽和カルボン酸アミド及びN−アルキル不飽和カルボン酸アミドからなる群から選ばれる1以上をモノマー単位として含むことが好ましい。そのようなモノマー単位として、例えば、アクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド及びN−ビニルアセトアミド等が挙げられる。
さらに、ポリマーAは、不飽和カルボン酸及びその塩からなる群から選択される1以上と、不飽和カルボン酸アミド及びN−アルキル不飽和カルボン酸アミドからなる群から選択される1以上との両方をモノマー単位として含むことができる。
ポリマーAにおいて、カルボキシル基の塩は、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン又は有機カチオンで中和されたカルボキシル基の塩であることが好ましい。
アルカリ金属イオンとしては、例えば、リチウム金属イオン及びナトリウム金属イオン等が挙げられる。
アルカリ土類金属イオンとしては、例えば、カルシウム金属イオン及びマグネシウム金属イオン等が挙げられる。
有機カチオンとしては、例えば、炭素数が16以下のアルキルアンモニウムカチオン、炭素数が16以下のピリジニウムカチオン、炭素数が16以下のホスホニウムカチオン、又は炭素数が16以下のスルホニウムカチオンが好ましい。これらのうち、毒性及びコスト等の観点から、炭素数が16以下のアルキルアンモニウムカチオン、又は炭素数が16以下のピリジニウムカチオンがより好ましい。上記炭素数が16以下のアルキルアンモニウムカチオンとしては、例えば、テトラエチルアンモニウムカチオン、テトラブチルアンモニウムカチオン等が挙げられ、炭素数が16以下のピリジニウムカチオンとしては、例えば、N−エチルピリジニウムカチオン、N−1−ブチルピリジニウムカチオン等が挙げられるが、これらに制限されるものではない。
ポリマーAが含むカルボキシル基の中和度は、例えば30mol%〜100mol%であり、40mol%〜100mol%であると好ましく、40mol%〜95mol%であるとより好ましく、40mol%〜90mol%であるとより好ましい。中和度とは、ポリマーが含むカルボキシル基とカルボキシレート基(カルボキシル基の塩)のモル数の総量に対するカルボキシレート基のモル数の割合を百分率で示したものである。中和度は、実施例に記載の方法で測定される値である。
なお、2種以上の材料を組み合わせて用いる場合の中和度の測定方法も上記と同じである。2種以上のポリマーを組み合わせる場合、各材料の中和度を単独に測定した後、混合後の値をモル当たりの平均値として算出する。例えばポリマーXの中和度をX(mol%)、添加するカルボキシル基及びその塩の量をx(mol)、ポリマーYの中和度をY(mol%)、添加するカルボキシル基及びその塩の量をy(mol)としたとき、合計の中和度は{(X×x)+(Y×y)}/(x+y)(mol%)である。
また、ポリマーXとポリマーYをmol%換算で混合しており、実質的にカルボキシル基を含むモノマーのみからなる場合は、合計の中和度(mol%)=ポリマーXの中和度(mol%)×ポリマーXの配合量(mol%)+ポリマーYの中和度(mol%)×ポリマーYの配合量(mol%)と算出する。
ポリマーAが含むカルボキシル基の中和度が40mol%以上であることによって、ポリマーAの水への溶解性を良好にすることができる。
ポリマーAの重量平均分子量(Mw、PEG(ポリエチレングリコール)換算)は、例えば、100,000以上10,000,000以下であることが好ましく、200,000以上9,500,000以下であることがより好ましく、250,000以上8,000,000以下であることが最も好ましい。重量平均分子量は、実施例に記載のゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定される値である。
ポリマーAの重量平均分子量が100,000以上であれば、電解液に溶出しにくくなり、分子鎖の絡み合いによる相互作用を良好に発揮できる。
ポリマーAの重量平均分子量が10,000,000以下であれば、水溶液に塗工に適した良好な粘度を付与できる。
(ポリマーAの変性体)
ポリマーAの変性体としては、ポリマーAを変性剤で変性してなる化合物が挙げられ、具体的には、ポリマーAを、カルボキシル基と反応性を有する1以上の官能基を有する変性剤で変性してなる化合物等が挙げられる。
カルボキシル基と反応性を有する官能基は格別限定されず、例えば、エポキシ基、アジリジル基、オキサゾリン基、カルボジイミド基及びイソシアネート基からなる群から選ばれる1以上であることが好ましい。また、当該官能基は、エポキシ基であることがより好ましい。
変性剤は、上述した官能基とは別に、炭素炭素二重結合(C=C)をさらに有することが好ましい。例えば、変性剤は、上述した官能基とは別に、メタクリル基及びアクリル基からなる群から選ばれる1以上をさらに有することが好ましい。
変性剤1分子が有する、カルボキシル基と反応性を有する官能基の数は、1以上であればよく、例えば、1、2、3、4又は5等であり得る。ただし、変性剤1分子が有するカルボキシル基と反応性を有する官能基の数は、1であることが好ましい。カルボキシル基と反応性を有する官能基の数が1であれば、架橋によるゲル化を防止できる。
変性剤は、水系変性剤、即ち水溶性変性剤であることが好ましい。
カルボキシル基と反応性を有する1以上の官能基を有する変性剤によりポリマーAを変性する場合、ポリマーAは100%中和されたものではなく、カルボキシル基を含むと好ましい。
(ポリマーAの架橋体)
ポリマーAを架橋剤によって架橋した架橋体を用いることもできる。
架橋剤は、ポリマーAの架橋処理に用いられ、カルボキシル基と反応性を有する2以上の官能基(例えば2つ又は3つ)を有する。
架橋剤の添加量は、ポリマーA100mol%に対して、0.1mol%以上20.0mol%以下であることが好ましい。架橋剤の添加量が0.1mol%以上であれば、十分な架橋が得られやすく、また、20.0mol%以下であれば、導電助剤や活物質を十分に分散することができる。
架橋剤は、水系架橋剤、即ち水溶性架橋剤であることが好ましい。そのような架橋剤として、例えば、官能基として、エポキシ基、アジリジニル基、オキサゾリン基、カルボジイミド基又はイソシアネート基からなる群から選択される1以上を有する架橋剤が挙げられる。これらの中でも、官能基として、エポキシ基及びアジリジニル基からなる群から選択される1以上を有する架橋剤が好ましい。エポキシ基を有する架橋剤及びアジリジニル基を有する架橋剤は、水中で適度な反応速度で架橋反応が進行するため、均一な溶液を作成可能であり、架橋反応を速やかに進行させることができる。また、アジリジニル基を有する架橋剤は、アミノ基の極性によってさらなる結着性向上も期待できる観点からより好ましい。
当該官能基の数は、通常、1000個以下である。
アジリジニル基を有する架橋剤としては、2,2−ビスヒドロキシメチルブタノール−トリス[3−(1−アジリジニル)プロピネート](株式会社日本触媒製「PZ−33」)、N,N’−ヘキサメチレン−1,6−ビス(1−アジリジンカルボキサミド)、テトラメチロールメタン−トリ−β−アジリジニルプロピネート、トリメチロールプロパントリス2−メチル−1アジリジンプロピネート、1,1’−イソフタロイルビス(2−メチルアジリジン)、4,4−ビス(エチレンイミンカスボニルアミノ)ジフェニルメタン等が挙げられるが、これらに限定されない。
一態様において、架橋剤は、ポリマーA間をイオン結合によって架橋可能な塩であり得る。そのような塩として例えばカルシウム塩等が使用可能である。
ポリマーAを架橋剤で架橋する方法は特に限定されない。ポリマーAの粉体に架橋剤を混合して架橋させることも可能であるが、溶媒中で架橋させることが好ましい。溶媒は格別限定されず、水以外の溶媒を用いてもよく、水を用いてもよい。一態様において、架橋方法は、ポリマーAの水溶液に、上述した架橋剤を添加して、好ましくは均一に混合し、ポリマーAを架橋剤によって架橋する工程を含む。これにより架橋体が好適に得られる。架橋温度は格別限定されず、水の沸点である100℃以下で反応させることが製造の容易さ、反応の均一性の観点から好ましい。
ポリマーA、ポリマーAの変性体、及びポリマーAの架橋体は、それぞれを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、構造の異なる2種以上のポリマーA、構造の異なる2種以上のポリマーAの変性体、又は構造の異なる2種以上のポリマーAの架橋体を用いてもよい。
(セパレータ基材)
上記のリチウムイオン電池用セパレータに用いるセパレータ基材としては、リチウムイオン電池用のセパレータ基材であれば特に制限はないが、好ましくは不織布である。
不織布としては、合成樹脂製の不織布等が挙げられる。合成樹脂としては、シンジオタクチックポリスチレン(SPS);アラミド(芳香族ポリアミド);ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン;セルロース;ポリアクリロニトリル;ポリフェニレンサルファイド(PPS);ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエステル(PEE)等の芳香族ポリエーテルケトン等が挙げられる。
(ポリマーA等の含有量)
上記のリチウムイオン電池用セパレータにおけるポリマーA等の含有量(担持量)は、通常、1〜10g/mであり、好ましくは2〜8g/mであり、より好ましくは4〜6g/mである。このような範囲にすることで、リチウムイオン電池の充放電特性の劣化抑制効果をより高めることができる。
なお、ポリマーA等の含有量とは、セパレータに含まれるポリマーA、ポリマーAの変性体、及びポリマーAの架橋体の総量である。
ポリマーA等の含有量は、実施例に記載の方法により測定する。
(セパレータのガーレ値)
本発明の一態様に係るリチウムイオン電池用セパレータは、好ましくはガーレ値が15〜100秒/100mlであり、より好ましくは15〜50秒/100ml又は15〜30秒/100mlである。このような範囲であると、セパレータ基材の小さな細孔が塞がれ、イオン伝導の安定性に優れる。
ガーレ値は、実施例に記載の方法により測定する。
(セパレータの製造方法)
本発明の一態様に係るリチウムイオン電池用セパレータは、セパレータ基材にポリマーA等を含浸することで製造することができる。具体的には、ポリマーA等を溶液状態とした上で、セパレータ基材を当該溶液中に浸し、取り出して乾燥することにより、ポリマーA等を含有する(担持する)セパレータが得られる。セパレータ基材を当該溶液中に浸す時間に関し、セパレータ基材を当該溶液中に潜らせるだけでもよいし、数秒〜1時間程度浸してもよい。
ポリマーA等の溶液の溶媒としては、水、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等が挙げられる。ポリマーA等の溶液濃度は、通常、0.1〜20質量%であり、好ましくは0.5〜10質量%である。
[リチウムイオン電池]
本発明の一態様に係るリチウムイオン電池(リチウムイオン二次電池)について、図を用いて説明する。
図1は、リチウムイオン電池の一実施形態を示す概略断面図である。図1において、リチウムイオン電池10は、正極缶9上に正極集電体7、正極6、セパレータ5、リチウム金属4(負極)及びSUSスペーサー3がこの順に積層しており、当該積層体は、積層方向両側面をガスケット8によって固定され、ウェーブワッシャー2を介した負極缶1によって積層方向に固定されている。
リチウムイオン電池10において、セパレータ5として上述した本発明の一態様に係るセパレータを用いる。
以下、リチウムイオン電池に用いる他の各部材について説明する。
(正極)
正極を構成する材料としては、正極活物質、導電助剤、バインダー等が挙げられる。
正極活物質は、リチウムイオンを吸蔵及び放出できる活物質であると好ましい。このような正極活物質を用いることで、リチウムイオン電池の正極として好適に用いることができるものとなる。
正極活物質としては、種々の酸化物、硫化物が挙げられ、具体例としては、二酸化マンガン(MnO)、リチウムマンガン複合酸化物(例えばLiMn又はLiMnO)、リチウムニッケル複合酸化物(例えばLiNiO)、リチウムコバルト複合酸化物(LiCoO)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(例えばLiNi1−xCo)、リチウム−ニッケル−コバルト−アルミニウム複合酸化物(LiNi0.8Co0.15Al0.05)、リチウムマンガンコバルト複合酸化物(例えばLiMnCo1−x)、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(例えばLiNiMnCo1−x−y)、ポリアニオン系リチウム化合物(例えば、LiFePO、LiCoPOF、LiMnSiO等)、バナジウム酸化物(例えばV)等が挙げられる。また、導電性ポリマー材料、ジスルフィド系ポリマー材料、等の有機材料も挙げられる。硫黄、硫化リチウム等のイオウ化合物材料も挙げられる。導電性の乏しい活物質に関しては、炭素等の導電性物質と複合化して用いてもよい。
これらのうち、リチウムマンガン複合酸化物(LiMn)、リチウムニッケル複合酸化物(LiNiO)、リチウムコバルト複合酸化物(LiCoO)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(LiNi0.8Co0.2)、リチウム−ニッケル−コバルト−アルミニウム複合酸化物(LiNi0.8Co0.15Al0.05)、リチウムマンガンコバルト複合酸化物(LiMnCo1−x)、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(例えばLiNiMnCo1−x−y)、Li過剰系ニッケル−コバルト−マンガン複合酸化物(LiNiCoMnCO固溶体)、LiCoPO、LiNi0.5Mn1.5が好ましい。
正極活物質は、電池電圧の観点から、LiMO、LiM、LiMO又はLiMXO3or4、LiMXOで表されるLi複合酸化物が好ましい。ここで、Mは80%以上がNi、Co、Mn及びFeから選択される1以上の遷移金属元素からなるが、遷移金属以外にもAl、Ga、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Si、P、B等が添加されていてもよい。Xは80%以上がP、Si及びBから選択される1以上の元素からなる。
上記正極活物質のうち、MがNi、Co及びMnの1以上であるLiMO、LiM又はLiMOの複合酸化物が好ましく、MがNi、Co及びMnの1以上であるLiMOの複合酸化物がより好ましい。Li複合酸化物は導電性ポリマー等の正極物質と比較して体積当たりの電気容量(Ah/L)が大きく、エネルギー密度の向上に有効である。
正極活物質は、電池容量の観点から、LiMOで表されるLi複合酸化物が好ましい。ここで、MはNiを含むと好ましく、Mのうち25%以上がNiであるとより好ましく、Mの45%以上がNiであるとさらに好ましい。MがNiを含むと、MがCo及びMnの場合に比べて、正極活物質の重量当たりの電気容量(Ah/kg)が大きくなり、エネルギー密度の向上に効果的である。
正極活物質がNiを含有する層状リチウム複合酸化物である場合、当該正極活物質を含む電極組成物は、余剰のLi塩等によるpHの上昇が見られ、集電体(アルミ等)の腐食により、活物質本来の特性が得られないことがある。一方、電極組成物に本発明のバインダーを用いることで、ポリアミドのカルボキシル基部位がpHの上昇を抑制し、Niを含有する層状リチウム複合酸化物の集電体の腐食を防ぐことができる。
正極活物質を金属酸化物、炭素等で被覆することもできる。正極活物質を金属酸化物又は炭素で被覆することで正極活物質が水に触れたときの劣化を抑制し、充電時のバインダーや電解液の酸化分解を抑制することができる。
被覆に用いる金属酸化物は特に限定されないが、Al、ZrO、TiO、SiO、AlPO等の金属酸化物や、Liを含有するLiαβγで表される化合物でもよい。尚、Liαβγにおいて、Mは、Al、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zr、Nb、Mo、Ag、Ta、W、及びIrからなる群から選択される1以上の金属元素であり、0≦α≦6、1≦β≦5、0<γ≦12である。
導電助剤は二次電池を高出力化するために用いられ、導電性カーボンが挙げられる。
導電性カーボンとしては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック;ファイバー状カーボン;黒鉛等がある。これらの中でもケッチェンブラック、アセチレンブラックが好ましい。ケッチェンブラックは中空シェル構造を持ち、導電性ネットワークを形成しやすい。そのため、従来のカーボンブラックに比べ、半分程度の添加量で同等性能を発現することができる。アセチレンブラックは高純度のアセチレンガスを用いることで副生される不純物が非常に少なく、表面の結晶子が発達しているため好ましい。
導電助剤は、平均粒子径が1μm以下のものであることが好ましい。平均粒子径が1μm以下の導電助剤を用いることにより、本発明の電極組成物を用いて電極とした場合に出力特性等の電気特性を優れた電極とすることが可能となる。
導電助剤の平均粒子径は、より好ましくは0.01〜0.8μmであり、さらに好ましくは0.03〜0.5μmである。導電助剤の平均粒子径は、動的光散乱の粒度分布計(例えば導電助剤屈折率を2.0とする)により測定することができる。
導電助剤であるファイバー状カーボンとして、カーボンナノファイバー又はカーボンナノチューブを用いると、導電パスが確保できるため、出力特性、サイクル特性が向上するので好ましい。
ファイバー状カーボンは、太さ0.8nm以上、500nm以下、長さ1μm以上100μm以下が好ましい。太さが当該範囲であれば、十分な強度と分散性が得られ、長さが当該範囲内であれば、ファイバー形状による導電パスの確保が可能となる。
正極活物質同士および正極活物質と集電体とを結着させるために、バインダーを加えてもよい。バインダーとしては、リチウムイオン二次電池に使用可能な通常のバインダーであれば特に限定されないが、例えば、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、スチレン・ブタジエン系ゴム、ポリイミド等が挙げられる。これらのバインダーは一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。上記バインダーの中でも、結着性に優れる点から、ポリフッ化ビニリデン又はスチレン・ブタジエン系ゴムが好ましい。
バインダーの使用形態は特に限定されないが、環境に優しい点や結着性に優れる点から、水系媒体に上記バインダーをラテックス状態で分散又は溶解して用いる、いわゆる水系バインダーが好ましい。
また、塗布に適した流動性を確保する点から、増粘剤を加えてもよい。増粘剤としては、リチウムイオン二次電池に使用可能な通常の増粘剤であれば特に限定されないが、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース系ポリマー、これらのアンモニウム塩及びアルカリ金属塩、ポリカルボン酸、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸塩、ポリビニルアルコール等の水溶性ポリマー等が挙げられる。これらの増粘剤は一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記の材料を含む電極組成物を集電体上に塗布し、乾燥することで正極とすることができる。
(負極)
負極を構成する材料としては、負極活物質、上記の導電助剤、上記のバインダー、上記の増粘剤等が挙げられる。
負極活物質は、グラファイト、天然黒鉛、人造黒鉛、ハードカーボン、ソフトカーボン等の炭素材料;ポリアセン系導電性高分子、チタン酸リチウム等の複合金属酸化物;シリコン、シリコン合金、シリコン複合酸化物、スズ等のリチウムと合金を形成する化合物等、リチウムイオン二次電池で通常用いられる材料を用いることができる。
これらのうち、炭素材料、シリコン、シリコン合金、シリコン複合酸化物が好ましい。シリコン複合酸化物やシリコン系の材料においては、事前にリチウムを含有させることも好ましい。
上記の材料を含む電極組成物を集電体上に塗布し、乾燥することで負極とすることができる。
(集電体)
正極集電体は、電子伝導性を有し、保持した正極材料に通電し得る材料であれば特に限定されない。正極集電体としては、例えば、C、Ti、Cr、Mo、Ru、Rh、Ta、W、Os、Ir、Pt、Au、Al等の導電性物質;これら導電性物質の二種類以上を含有する合金(例えば、ステンレス鋼)を使用し得る。
電気伝導性が高く、電解液中の安定性と耐酸化性がよい観点から、正極集電体としてはC、Al、ステンレス鋼等が好ましく、さらに材料コストの観点からAlが好ましい。アルカリが強い正極スラリーにおいては、アルカリに耐食性を有するステンレス鋼を用いることもできる。
負極集電体は、導電性材料であれば特に制限されること無く使用できるが、電池反応時に電気化学的に安定な材料を使用することが好ましく、例えば銅、ステンレス等を使用することができる。
炭素系の活物質には導電性の高い銅が好ましく、膨張収縮が大きなシリコンやスズ等を含有する活物質においては強度に優れたステンレス鋼を適用するのが好ましい。
集電体の形状には、特に制約はないが、箔状基材、三次元基材等を用いることができる。これらのうち、三次元基材(発泡メタル、メッシュ、織布、不織布、エキスパンド等)を用いると、集電体との密着性に欠けるようなバインダーを含む電極組成物であっても高い容量密度の電極が得られ、高率充放電特性も良好になる。
集電体が箔状である場合、あらかじめ、集電体表面上にプライマー層を形成することで高容量化を図ることができる。プライマー層は、活物質層と集電体との密着性が良好で、且つ導電性を有しているものであればよい。例えば、炭素系導電助剤を混ぜ合わせたバインダーを集電体上に0.1μm〜50μmの厚みで塗布することでプライマー層を形成できる。
プライマー層用の導電助剤は、炭素粉末が好ましい。金属系の導電助剤であると、容量密度を上げることは可能だが、入出力特性が悪くなるおそれがある一方、炭素系の導電助剤であれば、入出力特性を向上させることができる。
炭素系導電助剤としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、気相法炭素繊維、グラファイト、グラフェン、カーボンチューブ等が挙げられ、これら一種単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。これらのうち、導電性とコストの観点から、ケッチェンブラック又はアセチレンブラックが好ましい。
プライマー層用のバインダーは、炭素系導電助剤を結着できるものであれば、特に限定されない。但し、本発明のバインダーの他、PVA、CMC、アルギン酸ナトリウム等の水系バインダーを用いてプライマー層を形成すると、活物質層を形成する際に、プライマー層が溶け、効果が顕著に発揮されないおそれがある。そのため、このような水系バインダーを用いる際は、あらかじめプライマー層を架橋するとよい。架橋材としては、ジルコニア化合物、ホウ素化合物、チタン化合物等が挙げられ、プライマー層用スラリー形成時にバインダー量に対して0.1〜20wt%添加するとよい。
プライマー層は、箔状の集電体で、水系バインダーを用いて容量密度を上げることが可能なだけでなく、高い電流で充放電を行っても、分極が小さくなり高率充放電特性を良好にすることができる。
尚、プライマー層は箔状の集電体だけに効果があるのではなく、三次元基材でも同様の効果が得られる。
(電解液)
電解液としては、有機溶媒に電解質を溶解した溶液である非水系電解液を用いることができる。
電解質としては、例えばLiClO、LiBF、LiI、LiPF、LiCFSO、LiCFCO、LiAsF、LiSbF、LiAlCl、LiCl、LiBr、LiB(C、LiCHSO、LiCSO、Li(CFSON、Li[(COB等が挙げられる。
有機溶媒としては、例えばプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート等のカーボネート類;γ−ブチロラクトン等のラクトン類;トリメトキシメタン、1,2−ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、2−エトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等のエーテル類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン等のオキソラン類;アセトニトリル、ニトロメタン、NMP等の含窒素類;ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、リン酸トリエステル等のエステル類;ジグライム、トリグライム、テトラグライム等のグライム類;アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;スルホラン等のスルホン類;3−メチル−2−オキサゾリジノン等のオキサゾリジノン類;1,3−プロパンスルトン、4−ブタンスルトン、ナフタスルトン等のスルトン類等が挙げられる。これらの有機溶媒は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
非水系電解液としては、カーボネート類にLiPFを溶解した溶液が好ましく、該溶液はリチウムイオン電池の電解液として特に好適である。
二次電池は、例えば、負極、電解質を含浸したセパレータ、正極を外装体の中に入れて密封することで製造することができる。密封の方法には加締め、ラミネートシール等公知の方法を用いてよい。
本発明の一態様に係るリチウムイオン電池は様々な電気機器や車両に用いることができる。電気機器としては携帯電話やノートパソコン等、車両としては自動車、鉄道、飛行機等が挙げられるが、上記に限定されるものではない。
実施例1
(ポリ−γ−グルタミン酸ナトリウムの調製と評価)
ポリ−γ−グルタミン酸(PGA−DF、株式会社PGAバイオ技術研究所製)を、1M塩酸(富士フイルム和光純薬株式会社製)を用いてポリグルタミン酸にしたのち、水酸化ナトリウム(富士フイルム和光純薬株式会社製)の水溶液を用いて中和し、凍結乾燥して、ポリ−γ−グルタミン酸ナトリウム(カルボキシル基の塩とアミド結合とを含むポリマーA)を得た。得られたポリ−γ−グルタミン酸ナトリウムについて、下記装置及び条件で重量平均分子量測定、元素分析を行い、中和度を評価した。中和度は、核磁気共鳴分析法(NMR)により、モノマー単位がグルタミン酸のみ又はグルタミン酸塩のみのホモポリマーであることを確認した上で、元素分析によりNとNaの比を測定して算出した。その結果、ポリ−γ−グルタミン酸ナトリウムの重量平均分子量は736,000、中和度は45%であった。
[測定装置と測定条件]
カラム:東ソー株式会社製 TSKgel GMPWXL 2本
溶媒 :0.2M NaNO aq.
示差屈折率(RI)検出器:日本分光株式会社製 RI−1530
濃度 :0.3w/v%
注入量:100μL
流速 :1.0mL/分
カラム温度:40℃
検量線用標準試料:東ソー株式会社製 TSKgel std PEO及びAgilent製 PEG(標準試料は分子量420〜110万)
検量線:三次関数
(セパレータの調製)
得られたポリ−γ−グルタミン酸ナトリウムを1質量%水溶液とし、当該水溶液中に不織布(材質:アラミド、日本バイリーン株式会社製「BLC−1316」、大きさ:100mm×100mm、厚さ:26μm)を数秒間浸した後、乾燥することで、ポリ−γ−グルタミン酸ナトリウムを不織布に含浸させたセパレータを得た。
(セパレータの評価:ポリ−γ−グルタミン酸ナトリウムの含有量)
得られたセパレータの質量と、浸漬処理前の不織布の質量とを計測し、差を算出することで、セパレータにおけるポリ−γ−グルタミン酸ナトリウムの含有量(担持量、単位:g/m)を求めた。結果を表1に示す。
(セパレータの評価:ガーレ値)
得られたセパレータについて、JIS P8117(2009)に準じて測定することでガーレ値を測定した。結果を表1に示す。
(二次電池の作製)
酸素濃度10ppm以下、水分濃度5ppm以下に管理された、アルゴン置換のグローブボックス中にて、コインセルの構成部材である正極缶にガスケットをはめ、正極を配置し、上記で得られたセパレータをこの上に積層し、電解液を加えた。さらに、負極、SUSスペーサー、ウェーブワッシャー及び負極缶をこの順に重ね、かしめ機(宝泉株式会社製「自動コインセルかしめ機」)により密閉してコインセル(リチウムイオン二次電池)を製造した。得られたコインセルは図1に示す構造を有するものである。ただし、このコインセルは負極材を評価するための負極ハーフセルであるため、本来正極部材を配置する部分に上記で製造した電極(負極)を用いた。
コインセルの各構成部材は以下の通りである。
<コインセルの構成部材>
正極缶、ガスケット、SUSスペーサー、ウェーブワッシャー及び負極缶:宝泉株式会社製「リチウムイオン二次電池コインセル部材(CR2032用)」
正極:直径16mmに打ち抜いたリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物正極
負極:直径16mmに打ち抜いた黒鉛負極(宝泉株式会社製)
電解液:電解質LiPFの溶液(1mol/L、溶媒はEC(エチレンカーボネート)とDEC(炭酸ジエチル)の混合溶媒、EC:DEC(体積比)=3:7、キシダ化学株式会社製)に10質量%のFEC(炭酸フルオロエチレン、富士フイルム和光純薬株式会社製、電池研究用)を加え均一に混合したもの。
(二次電池の評価:過放電試験)
得られたコインセルについて、下記条件により充放電を行って放電容量(mAh/g)を測定した。結果を図2に示す。
充電条件:0.2C 終止電圧4.1V
放電条件:0.05C 終止電圧0.0V
放電後の休止:1時間
繰り返し:10回
実施例2
(セパレータの調製)において、ポリ−γ−グルタミン酸ナトリウムを3質量%溶液とした以外は実施例1と同じ方法でセパレータと二次電池を製造し、評価した。結果を表1及び図2に示す。
実施例3
(セパレータの調製)において、ポリ−γ−グルタミン酸ナトリウムを5質量%溶液とした以外は実施例1と同じ方法でセパレータと二次電池を製造し、評価した。結果を表1及び図2に示す。
比較例1
不織布にポリ−γ−グルタミン酸ナトリウムを含浸させず、そのままセパレータとして用いた以外は実施例1と同じ方法でセパレータと二次電池を製造し、評価した。結果を表1及び図2に示す。
Figure 2022002188
図2より、不織布をそのままセパレータとして用いた比較例1では、7回目の過放電試験後に放電容量がほぼ0mAh/gとなり、二次電池としての機能を喪失したことが分かる。一方、実施例1〜3では、過放電試験を10回行っても充放電特性がほとんど変化しなかったことが分かる。なお、図2において実施例1のデータが視認しにくいが、実施例2のデータと略同一である。
本発明の一態様に係るリチウムイオン電池は、携帯電話やノートパソコン等の電気機器や、自動車、鉄道、飛行機等の車両等に用いることができる。
1 負極缶
2 ウェーブワッシャー
3 SUSスペーサー
4 リチウム金属
5 セパレータ
6 正極
7 正極集電体
8 ガスケット
9 正極缶
10 リチウムイオン電池

Claims (9)

  1. ポリマー、前記ポリマーの変性体、及び前記ポリマーの架橋体からなる群から選択される1以上を含むリチウムイオン電池用セパレータであって、
    前記ポリマーは、カルボキシル基及びその塩からなる群から選択される1以上と、アミド基及びアミド結合からなる群から選択される1以上と、を有する
    リチウムイオン電池用セパレータ。
  2. 前記ポリマーが、不飽和カルボン酸及びその塩からなる群から選択される1以上に由来する構造をモノマー単位として含む、請求項1に記載のリチウムイオン電池用セパレータ。
  3. 前記ポリマーが、グルタミン酸、グルタミン酸塩、アスパラギン酸、及びアスパラギン酸塩からなる群から選択される1以上に由来する構造をモノマー単位として含むポリアミドである、請求項1又は2に記載のリチウムイオン電池用セパレータ。
  4. 前記ポリマーが、カルボキシル基及びその塩を含む、請求項1〜3のいずれかに記載のリチウムイオン電池用セパレータ。
  5. セパレータ基材として不織布を含む請求項1〜4のいずれかに記載のリチウムイオン電池用セパレータ。
  6. 前記ポリマー、前記ポリマーの変性体、及び前記ポリマーの架橋体からなる群から選択される1以上が不織布に含浸された請求項1〜5のいずれかに記載のリチウムイオン電池用セパレータ。
  7. ガーレ値が15〜100秒/100mlである請求項1〜6のいずれかに記載のリチウムイオン電池用セパレータ。
  8. 前記ポリマー、前記ポリマーの変性体、及び前記ポリマーの架橋体の含有量が1〜10g/mである請求項1〜7のいずれかに記載のリチウムイオン電池用セパレータ。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載のリチウムイオン電池用セパレータを含むリチウムイオン電池。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN116333545A (zh) * 2023-03-22 2023-06-27 江苏铭丰电子材料科技有限公司 一种锂离子电池电解铜箔防氧化液及其制备方法

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