JP2021533205A - クエン酸過酸化水素化物及びその使用 - Google Patents

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Abstract

本発明は、クエン酸過酸化水素化物、及び特に殺生物剤、特に農薬、さらに具体的には植物性医薬品としてのクエン酸過酸化水素化物の使用に関する。

Description

本発明は、クエン酸過酸化水素化物(citrate perhydrate)、及び特に殺生物剤、特に農薬、さらに具体的には植物性医薬品(phytopharmaceuticals)としてのクエン酸過酸化水素化物の使用に関する。
本発明はまた、可溶性の安定な結晶性粉末の形態であり、生理学的pHで新規な固体形態の過酸化水素を含有する、これらの新規な生物由来の有機分子を調製するための方法に関する。
殺生物剤とは、農薬、特に植物性医薬品(phytopharmaceutical product)、及び医療用、獣医用、家庭用又は工業用の抗微生物剤、ならびに流体及び表面用、特に水、空気、床、水泳プール、工作物表面、トイレなどのための消毒剤を一緒にした化学物質の大きなファミリーを意味する。
抗微生物剤及び消毒剤は、ヒト又は動物に対する感染リスクを可能な限り減少させることができる。一部の細菌、カビ、酵母及びウイルスは深刻な病気を引き起こす可能性があるため、消毒は、特に医療分野及び家庭では、日常生活の不可欠な部分である。人間の福利のための消毒の重要性は、多くの場合、過小評価されている。過去何世紀にもわたって、大規模な伝染病(ペスト、コレラ、天然痘又はインフルエンザ)の後に、戦争中よりも多くの人々が死亡した。20世紀に入るまで、細菌感染症は先進工業国であっても多くの場合致死的であった。恵まれない国々では、主に不十分な衛生状態に起因する感染症が、今日でも多数の死亡の原因となっている。したがって、特に医療分野では、効果的で安価な抗微生物剤及び消毒剤に対する強い需要がある。
この需要は、農薬、特に殺真菌性物質に対して農業分野にも存在する。実際、殺真菌剤、殺虫剤及び除草剤などの農薬は、作物の収穫量を保護し、増加させるために、農業では重要な補助剤である。農業従事者は、有害生物による種子、苗木、植物及び果実に対する攻撃を最小限に抑えながら、生長条件を強化することによって生産を最適化することを目指している。そのような有害生物には、細菌、真菌などが含まれる。種子、苗木、生長中の植物及び果実上の細菌及び真菌を攻撃する抗微生物化合物には、かなりの注目が集まっている。農業では、植物にとって病原性のある多種多様な微生物によって引き起こされる損失によって、殺真菌剤の使用が必要になる。経済的であるためには、殺細菌剤及び殺真菌剤を適用することによって植物病害と戦うコストは、はるかに大きな潜在的利益によって相殺されなければならない。リンゴ、ナシ、バナナ、穀物、カカオ、コーヒー、綿、ジャガイモ、タバコ、食用ブドウ及びワイン用ブドウ、ならびに他の一般的な果実及び野菜、例えば、セロリ、ネギ、タマネギ、レタス、ジャガイモ、ニンニク、エシャロット、コショウ、豆類、トマト、アーモンド、ピーナッツなどの栽培には、かなりの量の殺真菌剤が必要である。
特に、2016年の数値によると、植物保護殺真菌剤の世界市場は97億ユーロ超、特にヨーロッパでは39億ユーロ、アメリカでは36億ユーロと推定されている。
この市場では、ワイン分野で殺真菌剤に対する強い需要がある。例えば、フランスでは、ブドウの木の処理のための殺真菌製品の総消費量は、792,000.00ヘクタールの総表面積に対して4億ユーロと推定されている。
従来の殺生物剤は、毒性、発癌性、変異原性、催奇形性、高価及び/又は無効であることが多い。さらに、強力な消毒効果を得るために、過去には消毒剤として残留性の高い化学物質を使用して、微生物に対する効果的かつ長期的な保護を実現していた。ただし、この残留性はかなりの環境問題をもたらす。これは、残留性の高い殺生物剤が地下水及び/又は食物連鎖に蓄積し、生態学的及び健康上の大きな問題を引き起こすためである。例えば、高濃度の殺生物剤が生物学的水処理プラントに到達すると、生態学的問題が発生する可能性がある。高濃度の殺生物剤の場合、これらのプラントが必要とする微生物の増殖が影響を受け、廃水処理施設の部分的又は全体的な故障につながる可能性がある。さらに、残留性複合材料が下水汚泥に蓄積する可能性がある。
これらの従来の残留性殺生物剤の健康関連の欠点及び生態学的な欠点を克服するために、過去には、危険性の低い物質の使用、特に消毒特性を有しやすい天然物質の使用が想定されていた。しかし、それらの改善された環境適合性は、それらの効果及び微生物から保護するそれらの能力を犠牲にして得られた。この欠点のために、これらの環境に優しい消毒剤はそれほど重要視されておらず、環境的に危険な化合物の使用が主流となっている。
過酢酸は、殺ウイルス特性、殺細菌特性、殺真菌特性及び殺藻特性を有することが知られている強力な酸化剤である。過酢酸は、細菌及び真菌による植物組織の劣化を低減するために、特に加工することが意図された植物組織の処理、特に果実及び野菜の処理を目的として、1950年代に特許登録された(米国特許第2522640号明細書)。今日、過酢酸は、食品と接触する表面用の消毒剤としてだけでなく、果実、野菜、肉及び卵用の消毒剤として、食品の加工及び取扱い中に一般的に使用されている。果実及び野菜の生産では、生長中の植物上の病原性生物を制御する過酢酸水溶液が提案されている。ただし、過酢酸の液体水溶液に関連する主要な問題の1つが、これらの溶液が腐食性であり、高度に酸性であり、高度に反応性であり、かつ強力に臭気を与え、それにより、使用者及び処理された植物の両方にとってこれらを使用することが困難かつ危険になることである。
本出願の主題を形成し、相乗的に作用し得、米国食品医薬品局によってGRAS(一般的に安全と認められている)として分類されながらベンチマーク殺生物剤と同等の効果を有する活性剤、すなわち過酸化水素とクエン酸塩とを放出することを可能にするクエン酸過酸化水素化物タイプの新規な生物由来のゼロ残留化合物が現在開発されている。実際、本発明のクエン酸過酸化水素化物の分解生成物は、クエン酸ナトリウム(E331)、クエン酸カリウム、クエン酸亜鉛などの食品添加物である。
さらに、本発明の化合物は粉末形態であり得、経済的なプロセスに従って容易に合成し、包装し、輸送し、取り扱うことができる。これらの粉末は、物理的及び化学的に安定であり、すなわち、それらの物理的状態及び化学組成、特に活性酸素の濃度に経時的に大きな変化がない(例えば、周囲温度、すなわち、20〜25℃の温度で1年後)。さらに、それらは無臭で、高度に水溶性であり、対応する水溶液は4〜8という広い範囲の可能なpHを有する。実際、過酸化水素を含有する他の化合物を溶解することによって得られるpH(例えば、過炭酸ナトリウムのpHは11である)は、植物処理に適合しないことがある。これらの化合物は、特に、酸化性、刺激性であり、火災又は爆発を引き起こす可能性があることがよく知られている濃縮過酸化水素溶液の使用を省くことができるため、使用が容易である。
さらに、これらの化合物は、容易な適用及び安全な取扱いを可能にする。さらに、これらの溶液は、乾燥すると、特に細菌及び/又は真菌の汚染に対して、処理された表面をさらに耐性にする保護抗微生物バイオフィルムを形成する。
全く驚くべきことに、本発明のクエン酸過酸化水素化物は、物理的及び化学的に安定である。それとは逆に、混合されたクエン酸と過酸化水素との濃縮溶液は、パーハイドラートの形態で結晶化せず、特に活性酸素の濃度に関して化学的に安定ではない。したがって、本発明の化合物は、新規なクエン酸過酸化水素化物分子の形態で固体の濃縮過酸化水素を安定化することを可能にする。
例えば、37.5%の過酸化水素と25%のクエン酸とを含有する溶液は、20日後に平均でその過酸化水素含有量の34.4%を失う。この不安定性は、過酸化水素によってクエン酸が酸化されてジカルボン酸アセトン(dicarboxylic acetone)を生成し、次いでこれが酸化されてホルムアルデヒド、ギ酸及び二酸化炭素を生成する結果である。クエン酸の第2のエポキシ化も起こり、過クエン酸(percitric acid)の形成を引き起こす(例7)。
したがって、第1の態様によれば、本発明は、殺生物剤としてのクエン酸過酸化水素化物の使用に関する。
一実施形態によれば、クエン酸過酸化水素化物は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属又はポスト遷移金属のクエン酸過酸化水素化物である。
有利な実施形態によれば、クエン酸過酸化水素化物は、アルカリ金属のクエン酸過酸化水素化物であり、アルカリ金属は、特にNa又はKである。
一実施形態によれば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属又はポスト遷移金属の上記クエン酸過酸化水素化物が、クエン酸三ナトリウム過酸化水素化物(trisodium citrate perhydrate)又はクエン酸三カリウム過酸化水素化物(tripotassium citrate perhydrate)である場合、このクエン酸三ナトリウム過酸化水素化物は、クエン酸三ナトリウムジパーハイドラート(trisodium citrate diperhydrate)又はクエン酸三カリウムトリパーハイドラート(tripotassium citrate triperhydrate)ではない。
一実施形態によれば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属又はポスト遷移金属のクエン酸過酸化水素化物は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属又はポスト遷移金属のクエン酸及び/又はクエン酸塩と、過酸化水素と、場合により水とから形成される結晶の形態である。
有利な実施形態によれば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属又はポスト遷移金属は、Li、Na、K、Rb、Cs、Be、Mg、Ca、Sr、Ba及びZnから選択される。
特に有利な実施形態によれば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属又はポスト遷移金属は、Ca、Na、K、Mg及びZnから選択され、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属又はポスト遷移金属は、特にNaである。
特に、クエン酸過酸化水素化物は、クエン酸二ナトリウム過酸化水素化物(disodium citrate perhydrate)、クエン酸二カリウム過酸化水素化物(dipotassium citrate perhydrate)、クエン酸マグネシウム過酸化水素化物(magnesium citrate perhydrate)、クエン酸亜鉛過酸化水素化物(zinc citrate perhydrate)又はクエン酸三ナトリウム一水素化物二水和物(trisodium citrate monoperhydrate dihydrate)、特に無水クエン酸二ナトリウムモノパーハイドラート(anhydrous disodium citrate monoperhydrate)である。
一実施形態によれば、上記クエン酸過酸化水素化物は、水和物、特に一水和物又は二水和物の形態である。
一実施形態によれば、上記クエン酸過酸化水素化物は、クエン酸モノパーハイドラート(citrate monoperhydrate)又はクエン酸ジパーハイドラート(citrate diperhydrate)、特にクエン酸モノパーハイドラートである。
特定の実施形態によれば、上記クエン酸過酸化水素化物は、クエン酸二ナトリウムモノパーハイドラート(disodium citrate monoperhydrate)又はクエン酸二カリウムモノパーハイドラート(dipotassium citrate monoperhydrate)、場合により、尿素パーハイドラート(urea perhydrate)と共結晶化されたクエン酸二ナトリウムモノパーハイドラート、又は尿素パーハイドラートと共結晶化されたクエン酸二カリウムモノパーハイドラートである。
特定の実施形態によれば、上記クエン酸過酸化水素化物は、非水和クエン酸二ナトリウム過酸化水素化物又は非水和クエン酸二カリウム過酸化水素化物、特に非水和クエン酸二ナトリウム過酸化水素化物である。
さらに特定の実施形態によれば、上記クエン酸過酸化水素化物は、非水和クエン酸二ナトリウムモノパーハイドラート又は非水和カリウムクエン酸モノパーハイドラート、特に非水和クエン酸二ナトリウムモノパーハイドラートである。
別の特定の実施形態によれば、上記クエン酸過酸化水素化物は、クエン酸三ナトリウムモノパーハイドラート(trisodium citrate monoperhydrate)である。
本発明の水和物は、有利には、特に25℃で容易に水溶性であり、それらの溶解度は、特に25℃で850g/l以上である。
一実施形態によれば、上記クエン酸過酸化水素化物は、結晶、特に結晶水和物の形態である。一実施形態によれば、上記クエン酸過酸化水素化物は、過酸化水素をアシル化することを目的とするN−アシル化合物の非存在下で使用される。
一実施形態によれば、上記クエン酸過酸化水素化物は、尿素パーハイドラートの存在下で使用される。
特定の実施形態によれば、上記クエン酸過酸化水素化物は、尿素パーハイドラートと共結晶化される。
有利な実施形態によれば、上記クエン酸過酸化水素化物は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属又はポスト遷移金属のクエン酸過酸化水素化物の結晶の形態であり、結晶形態の尿素パーハイドラートの存在下で使用され、これらの2つの結晶は特に共結晶の形態である。
有利な実施形態によれば、上記クエン酸過酸化水素化物は、クエン酸二ナトリウム過酸化水素化物、クエン酸二カリウム過酸化水素化物、又は尿素パーハイドラートと共結晶化されたクエン酸二ナトリウム過酸化水素化物、特に尿素パーハイドラートと共結晶化されたクエン酸二ナトリウム過酸化水素化物である。
特に、尿素パーハイドラートは、尿素−過酸化水素共結晶の形態である。尿素パーハイドラートを組み合わせて使用することの利点は、過酸化水素の濃度を増加させながら窒素源を提供することである。一実施形態によれば、上記クエン酸過酸化水素化物は、水の存在下で使用される。
一実施形態によれば、上記クエン酸過酸化水素化物は、抗団粒剤、界面活性剤、特にバイオ界面活性剤、湿潤剤、消泡剤、抗ドリフト剤(anti−drift agent)、増粘剤、発泡剤、肥料、植物性医薬品、安定剤及びそれらの混合物から選択される少なくとも1つの追加の化合物の存在下で使用され、追加の化合物は、特に、糖脂質、ピロリン酸二ナトリウム、ココイルイセチオン酸ナトリウム、ヘプタメチルトリシロキサン、ケイ酸二ナトリウム、酸化亜鉛又は過酸化物及び二酸化ケイ素から選択される。
特定の実施形態によれば、上記クエン酸過酸化水素化物は、水、ならびに場合により、抗団粒剤、界面活性剤、特にバイオ界面活性剤、湿潤剤、消泡剤、抗ドリフト剤、増粘剤、発泡剤、固化剤、肥料、植物性医薬品、安定剤及びそれらの混合物から選択される少なくとも1つの追加の化合物との混合物中で使用され、追加の化合物は、特に、糖脂質、ピロリン酸二ナトリウム、ココイルイセチオン酸ナトリウム、ヘプタメチルトリシロキサン、ケイ酸二ナトリウム、酸化亜鉛又は過酸化物及び二酸化ケイ素から選択され、上記混合物の総重量に対する、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属又はポスト遷移金属の上記クエン酸過酸化水素化物の重量パーセントは、特に0.05〜5%である。
さらに具体的には、上記混合物の総重量に対する上記クエン酸過酸化水素化物の重量パーセントは、0.1〜2、2.5、3、3.5、4又は4.5%である。
そのような追加の化合物は、当業者に周知である。それらは、クエン酸過酸化水素化物との混合物として事前に配合されるか、クエン酸過酸化水素化物を水と接触させることによって得られる混合物に加えられ得る。
特定の実施形態によれば、上記少なくとも1つの追加の化合物は、クエン酸尿素(urea citrate)、場合によりパーハイドラート化された(perhydrated)クエン酸と尿素との共結晶、及び特に結晶形態の尿素パーハイドラートを含む群から選択される。この群の化合物は、特に、本発明のクエン酸過酸化水素化物の使用中に、pHを調整すること、及び/又は過酸化水素の含有量を調整すること、及び/又は窒素の供給を調整することを可能にする。
本発明の化合物がクエン酸マグネシウム過酸化水素化物である場合、及び/又はマグネシウムを含む化合物の存在下で使用される場合、これらの化合物は、肥料、特に葉面肥料として、又は土壌強化剤(soil enricher)としてさらに使用される。
安定剤は、特に過酸化物安定剤である。これらの安定剤は、特に過酸化水素安定剤として当業者に周知である。
発泡剤を加えると、本発明による混合物を発泡体の形態で得ることが可能になり得る。発泡体は表面に使用され得る。
増粘剤を加えると、本発明による混合物をゲルの形態で得ることが可能になり得る。ゲルは、ヒト又は動物の皮膚、特に手に使用され得る。
固化剤を加えると、本発明による混合物を固体の形態で得ることが可能になり得る。固形物は、特に水泳プール及びトイレで水を処理するために使用され得る。
有利な実施形態によれば、上記追加の化合物は、糖脂質、特にラムノリピドから選択される。
これらのラムノリピドは、当業者に周知の技術に従って、特に糖蜜の存在下でシュードモナス(Pseudomonas)属の細菌を培養することによって得ることができる。
本発明の組成物内で、糖脂質、特にラムノリピドは、有利なエリシター特性及びバイオ界面活性剤特性を有する。
一実施形態によれば、上で定義された用途は、植物上又は植物内での病原体の増殖を阻害するための用途である。
したがって、本発明はまた、植物上又は植物内での病原体の増殖の阻害剤としての前述の化合物又は前述の組成物の使用に関する。
特定の理論に拘束されることを望むものではないが、上記クエン酸過酸化水素化物は、標的病原体に酸化的、イオン的及び浸透圧的なストレスを引き起こし、図7に図示されるように、例えば、病原体エリシフェネカトール(Erysiphe necator)の場合、その細胞内容物の収縮を引き起こす。
一実施形態によれば、上で定義された用途は、植物上又は植物内での病原体の増殖を防止するための用途である。
したがって、本発明は、植物上又は植物内での病原体の増殖を防止する点で、前述の化合物又は前述の組成物の使用に関する。
特定の理論に拘束されることを望むものではないが、クエン酸塩及び/又は任意の加えられた粘着付与剤に起因する粘着特性のためにこの防止がもたらされ、その結果、処理された表面の周りに保護バリアが形成され、例えば、胞子の繁殖を防止する。
特に、上記クエン酸過酸化水素化物は、特に25〜1000ng.dm−2の量で、植物の表面に適用される。
一実施形態によれば、場合により水の存在下で使用される上記クエン酸過酸化水素化物は、噴霧、気化、浸漬、塗装、燻蒸又は静電噴霧によって、好ましくは噴霧によって、特に葉面噴霧によって、植物の表面に適用される。
一実施形態によれば、場合により水の非存在下で使用される上記クエン酸過酸化水素化物は、植物の根に、又は植物の根と接触している土壌に適用される。一実施形態によれば、病原体は、ウイルス、細菌、真菌及び偽菌から選択される。
特定の実施形態によれば、病原体は、アルブゴ(Albugo)属、アルテルナリア(Alternaria)属、アルミラリア(Armillaria)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、アセリア(Athelia)属、ビポラリス(Bipolaris)属、ボトリオスフェリア(Botryosphaeria)属、ボトリオティニア(Botryotinia)属、ボトリチス(Botrytis)属、ブレミア(Bremia)属、カンジダ(Candida)属、カプノジウム(Capnodium)属、カラトバシジウム(Ceratobasidium)属、セラトシスチス(Ceratocystis)属、セルコスポラ(Cercospora)属、コアネフォラ(Choanephora)属、クラビセプス(Claviceps)属、コリネスポラ(Corynespora)属、クロナルチウム(Cronartium)属、クリフォネクトリア(Cryphonectria)属、シリンドロクラジウム(Cylindrocladium)属、シトスポラ(Cytospora)属、ディアポルテ(Diaporthe)属、ディプロディア(Diplodia)属、ドレシュレラ(Dreschlera)属、エルシノエ(Elsinoe)属、エレクソヒルム(Erexohilum)属、エリシフェ(Erysiphe)属、エウチパ(Eutypa)属、エキソバシジウム(Exobasidium)属、フサリウム(Fusarium)属、ゲウマノマイセス(Gaeumannomyces)属、グリオクラジウム(Gliocladium)属、ギムノスポランギウム(Gymnosporangium)属、ヘテロバシジウム(Heterobasidium)属、ヒポシキロン(Hypoxylon)属、クチラケサ(Kutilakesa)属、ロフィオデルミウム(Lophiodermium)属、マグナポルテ(Magnaporthe)属、メラムソラ(Melampsora)属、モニリニア(Monilinia)属、ミコスファエレラ(Mycosphaerella)属、ミロセシア(Myrothecia)属、ネクトリエラ(Nectriella)属、ネマトスポラ(Nematospora)属、オイアイウム(Oiaium)属、オルピディウム(Olpidium)属、オフィオストマ(Ophiostoma)属、ペニシリウム(Penicillium)属、ペロノスポラ(Peronospora)属、ファコスポラ(Phakospora)属、フォーマ(Phoma)属、ホモプシス(Phomopsis)属、フラグミジウム(Phragmidium)属、フィラクチニア(Phyllactinia)属、フィソデルマ(Physoderma)属、フィトフトラ(Phytophthora)属、プラズモディオフォラ(Plasmodiophora)属、プラスモパラ(Plasmopara)属、シュードペロノスポラ(Pseudoperonospora)属、プクシニア(Puccinia)属、フィチウム(Pythium)属、リゾクトニア(Rhizoctonia)属、リゾプス(Rhizopus)属、リチスマ(Rhytisma)属、スクレロティニア(Sclerotinia)属、スクレロチウム(Sclerotium)属、スポンゴスポラ(Spongospora)属、シンキトリウム(Synchytrium)属、タフリナ(Taphrina)属、サナテフォルス(Thanatephorus)属、チエラビオプシス(Thielaviopsis)属、ティレティア(Tilletia)属、ウンシヌラ(Uncinula)属、ウロシスティス(Urocystis)属、ウスチラゴ(Ustilago)属、バルサ(Valsa)属、ベンツリア(Venturia)属、ベルチシリウム(Verticillium)属、キシラリア(Xylaria)属、フォミチポリア(Fomitiporia)属、ステレウム(Stereum)属、ファエオアクレモニウム(Phaeoacremonium)属及びファエオモニエラ(Phaeomoniella)属から選択される真菌又は偽菌である。
さらになお特定の実施形態によれば、病原体は、プラスモパラ(Plasmopara)属、エリシフェ(Erysiphe)属、ボトリチス(Botrytis)属、アスペルギルス(Aspergillus)属及びカンジダ(Candida)属から選択される真菌又は偽菌である。
特定の実施形態によれば、病原体は、シュードモナス(Pseudomonas)属、エシェリキア(Escherichia)属、スタフィロコッカス(Staphylococcus)属、エンテロコッカス(Enterococcus)属及びレジオネラ(Legionella)属の細菌から選択される細菌である。
特定の実施形態によれば、病原体は、カンジダタスファイトプラズマ(Candidatus phytoplasma)、フォミチポリアプンクタタ(Fomitiporia punctata)、F.メディテラネア(F.mediteranea)、ステレウムヒルスツム(Stereum hirsutum)、ファエオアクレモニウムアレオフィリウム(Phaeoacremonium aleophilium)、ファエオモニエラクラミドスポラ(Phaeomoniella chlamydospora)、ボトリオスフェリアオブツサ(Botryosphaeria obtusa)、ボトリオスフェリアドチデアパルバ(Botryosphaeria dothidea parva)及びステベンシイ(stevensii)ならびにエウチパラタ(Eutypa lata)から選択される1つ以上の微生物である。
一実施形態によれば、植物は、果実を有する植物、野菜を有する植物、観賞植物、芝及び穀物から選択される。
観賞植物とは、特にその装飾的品質のために育成された植物を意味することを意図している。
芝とは、特に、芝生を形成するか芝生に含まれるあらゆる草、特にイネ科(Gramineae)を意味することを意図している。
特定の実施形態によれば、植物は、リンゴ、アプリコット、バナナ、ブラックベリー、ブラックカラント、チェリー、クランベリー、レッドカラント、食用ブドウ、ワイン用ブドウ(植物は特にブドウの木である)、ザクロ、メロン、レモン、マンダリン、オレンジ、モモ、ナシ、パイナップル、プラム、ラズベリー、イチゴ、トマト、スイカ、グレープフルーツ、コショウ、オリーブ、ライム、アーモンド、クルミ、ブラジルナッツ、カシューナッツ、クリ、ヘーゼルナッツ、マカダミアナッツ、ピーカンナッツ及びピスタチオから選択される果実を生産する。
特定の実施形態によれば、植物は、アーティチョーク、豆類、ビート、ブロッコリー、キャベツ、ニンジン、カリフラワー、セロリ、エンダイブ、チャイブ、クレソン、キュウリ、ケール、ナス、コールラビ、レタス、タマネギ、コショウ、パースニップ、パセリ、エンドウマメ、ジャガイモ、カボチャ、ハツカダイコン、エシャロット、ダイズ、ホウレンソウ、カブ及びピーナッツから選択される野菜を生産する。
特定の実施形態によれば、植物は、特に刈り株の形態の穀物である。
特定の実施形態によれば、植物は、アマランサス、オオムギ、ソバ、フォニオ、カムット(コーラサン小麦)、キビ、オート麦、キノア、米、ライ麦、モロコシ、スペルト小麦、トリティカーレ、小麦又はナタネから選択される穀物である。
一実施形態によれば、本発明はまた、生物的防除要素としての前述の化合物又は前述の組成物の使用に関する。
一実施形態によれば、本発明は、流体又は表面、特に水、空気、床、水泳プール、工作物表面、トイレを消毒するためのクエン酸過酸化水素化物の使用に関する。
一実施形態によれば、本発明は、特に生菌細胞の数を減少させることによって、流体、特に水又は空気を消毒するためのクエン酸過酸化水素化物の使用に関し、細菌細胞は、特にレジオネラ(Legionella)属のもの、さらに具体的にはL.ニューモフィラ(L.pneumophila)である。
したがって、上記クエン酸過酸化水素化物は、流体又は表面のための消毒剤として使用され得る。
前述の化合物又は前述の組成物によって、スパ、水泳プール、冷却塔、食品加工工場、医療施設などの施設を消毒することができる。
別の実施形態によれば、本発明は、特にコミュニティ施設、医療施設又は食品加工工場内の表面、特に床、工作物表面及びトイレを消毒するためのクエン酸過酸化水素化物の使用に関する。
一実施形態によれば、本発明は、特に生菌細胞又は真菌の数を減少させることによって表面を消毒するためのクエン酸過酸化水素化物の使用に関し、細菌細胞は、特に、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、大腸菌(Escherichia coli)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、エンテロコッカスヒラエ(Enterococcus hirae)から選択され、真菌は、特に、カンジダアルビカンス(Candida albicans)及びアスペルギルスニガー(Aspergillus niger)から選択される。
一実施形態によれば、本発明は、エリシターとして先に定義されたクエン酸過酸化水素化物の使用に関する。
別の態様によれば、本発明は、ヒト又は動物に対して抗微生物剤として使用するためのクエン酸過酸化水素化物に関する。
クエン酸過酸化水素化物に関連して上述されたあらゆる実施形態が、ここでも、単独で又は組み合わせて適用されることに留意されたい。
特定の実施形態によれば、クエン酸過酸化水素化物は歯科で使用される。
別の特定の実施形態によれば、クエン酸過酸化水素化物は、動物に、特に乳房、特に牛、又は足、特に馬の治療に使用される。
別の態様によれば、本発明は、歯をクエン酸過酸化水素化物と接触させることによる歯のホワイトニングの方法に関する。
別の態様によれば、本発明は、歯科、特に歯のホワイトニングで使用するための前述のクエン酸過酸化水素化物に関する。
クエン酸過酸化水素化物に関連して上述されたあらゆる実施形態が、ここでも、単独で又は組み合わせて適用されることに留意されたい。
一実施形態によれば、本発明は、特に、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、大腸菌(Escherichia coli)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、エンテロコッカスヒラエ(Enterococcus hirae)から選択される細菌に対して、殺細菌剤又は静菌剤として使用するためのクエン酸過酸化水素化物に関する。
一実施形態によれば、上記使用は局所的である。
別の態様によれば、本発明は、クエン酸過酸化水素化物及び薬学的に許容される賦形剤から形成されるか、それらを含む医薬組成物に関する。
クエン酸過酸化水素化物に関連して上述されたあらゆる実施形態が、ここでも、単独で又は組み合わせて適用されることに留意されたい。
別の態様によれば、本発明は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属又はポスト遷移金属のクエン酸過酸化水素化物に関し、ただし、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属又はポスト遷移金属の上記クエン酸過酸化水素化物がクエン酸三ナトリウム過酸化水素化物又はクエン酸三カリウム過酸化水素化物である場合、このクエン酸三ナトリウム過酸化水素化物は、クエン酸三ナトリウムジパーハイドラート又はクエン酸三カリウムトリパーハイドラートではない。
有利な実施形態によれば、本発明は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属又はポスト遷移金属のクエン酸過酸化水素化物に関し、ただし、
・アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属又はポスト遷移金属がナトリウムである場合、上記クエン酸塩は、クエン酸二ナトリウム過酸化水素化物又はクエン酸三ナトリウム過酸化水素化物、特にクエン酸三ナトリウム過酸化水素化物であり、
・アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属又はポスト遷移金属の上記クエン酸過酸化水素化物がクエン酸三ナトリウム過酸化水素化物又はクエン酸三カリウム過酸化水素化物である場合、このクエン酸三ナトリウム過酸化水素化物は、クエン酸三ナトリウムジパーハイドラート又はクエン酸三カリウムパーハイドラートではない。
有利な実施形態によれば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属又はポスト遷移金属は、Li、Na、K、Rb、Cs、Be、Mg、Ca、Sr、Ba及びZnから選択される。
特に有利な実施形態によれば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属又はポスト遷移金属は、Ca、Na、K、Mg及びZnから選択され、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属又はポスト遷移金属は、特にNaである。
一実施形態によれば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属又はポスト遷移金属のクエン酸過酸化水素化物は、ジアルカリ金属クエン酸過酸化水素化物である。
一実施形態によれば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属又はポスト遷移金属のクエン酸過酸化水素化物は、クエン酸二ナトリウム過酸化水素化物、クエン酸二カリウム過酸化水素化物、クエン酸マグネシウム過酸化水素化物、特に三マグネシウムジクエン酸過酸化水素化物(trimagnesium dicitrate perhydrate)、クエン酸亜鉛過酸化水素化物、特に三亜鉛二クエン酸過酸化水素化物(trizinc dicitrate perhydrate)又はクエン酸三ナトリウムモノパーハイドラート二ハイドラートである。
特に、クエン酸過酸化水素化物は、クエン酸二ナトリウム過酸化水素化物又はクエン酸二カリウム過酸化水素化物、特にクエン酸二ナトリウム過酸化水素化物である。
一実施形態によれば、上記クエン酸過酸化水素化物は、クエン酸モノパーハイドラート(citrate monoperhydrate)又はクエン酸ジパーハイドラート(citrate diperhydrate)、特にクエン酸モノパーハイドラートである。
特定の実施形態によれば、上記クエン酸過酸化水素化物は、クエン酸二ナトリウムモノパーハイドラート又はクエン酸二カリウムモノパーハイドラートである。
別の特定の実施形態によれば、上記クエン酸過酸化水素化物は、クエン酸三ナトリウムモノパーハイドラート(trisodium citrate monoperhydrate)である。
一実施形態によれば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属又はポスト遷移金属のクエン酸過酸化水素化物は、クエン酸及び/又はアルカリ金属クエン酸、過酸化水素及び場合により水から形成される結晶の形態である。
一実施形態によれば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属又はポスト遷移金属のクエン酸過酸化水素化物は、水和物の形態である。
本発明のクエン酸過酸化水素化物は単結晶であり得る。実際、X線回折法によって得られた特徴はそれらに固有のものである。これらの結晶は、特に、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属又はポスト遷移金属の数及び性質によって、過酸化水素分子の付加物の数によって、ならびに水分子の付加物の数によって区別される。
一実施形態によれば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属又はポスト遷移金属のクエン酸過酸化水素化物は、2θ角(°)で以下の特性線、特に、相対強度が20以上である特性線を有するX線回折スペクトルを有するクエン酸三ナトリウムモノパーハイドラートジハイドラートである。
Figure 2021533205
一実施形態によれば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属又はポスト遷移金属のクエン酸過酸化水素化物は、2θ角(°)で以下の特性線、特に、相対強度が15以上である特性線を有するX線回折スペクトルを有するクエン酸二ナトリウム過酸化水素化物である。
Figure 2021533205
有利な実施形態によれば、上記クエン酸過酸化水素化物は、クエン酸二ナトリウム過酸化水素化物、クエン酸二カリウム過酸化水素化物、又は尿素パーハイドラートと共結晶化されたクエン酸二ナトリウム過酸化水素化物、特に尿素パーハイドラートと共結晶化されたクエン酸二ナトリウム過酸化水素化物である。
別の態様によれば、本発明はまた、先に定義されたクエン酸過酸化水素化物、特にクエン酸二ナトリウム過酸化水素化物及び尿素パーハイドラートから形成されるか、それらを含む組成物に関する。
有利な一実施形態によれば、上記クエン酸過酸化水素化物は、クエン酸二ナトリウム過酸化水素化物である。
特に、尿素パーハイドラートは、尿素−過酸化水素共結晶の形態である。
有利な実施形態によれば、本発明は、クエン酸二ナトリウム過酸化水素化物の結晶又はクエン酸二カリウム過酸化水素化物の結晶と、特に尿素−過酸化水素共結晶の形態の尿素パーハイドラートの結晶とを含む組成物に関する。クエン酸二ナトリウム過酸化水素化物の結晶又はクエン酸二カリウム過酸化水素化物の結晶と尿素パーハイドラートの結晶とは、特に共結晶化されている。
別の態様によれば、本発明は、先に定義されたアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属又はポスト遷移金属のクエン酸過酸化水素化物を調製するための方法であって、
(i)アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属又はポスト遷移金属のクエン酸塩を過酸化水素と接触させて、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属又はポスト遷移金属の上記クエン酸過酸化水素化物を得る工程を含む方法に関する。
好ましくは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属又はポスト遷移金属のクエン酸塩の量と、過酸化水素の量とは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属又はポスト遷移金属の所望のクエン酸過酸化水素化物の組成に従って、化学量論的である。
化学量論量は、例えば、重量測定フィーダを使用して実現される。
有利な実施形態によれば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属又はポスト遷移金属のクエン酸塩は、固体形態、特に無水であり、過酸化水素は、30〜80重量%の濃度の過酸化水素の水溶液の形態である。
工程(i)は、特に、30〜90℃、特に40〜80℃、さらに具体的には50〜70℃、特に55〜65℃の温度で行われる。
非常に有利な実施形態によれば、接触は、押出機、例えば二軸押出機を使用して行われる。
別の有利な実施形態によれば、工程(i)で得られた組成物は、アルコール又はアルコール系溶液に導入され、上記アルコールは、特にC1〜C5アルコールである。このアルコールの使用により、特に、所望のクエン酸過酸化水素化物の沈殿物を得ることが可能になり得、この沈殿物は、周知の液固分離技術によって単離することができる。
非常に有利な実施形態によれば、接触は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属又はポスト遷移金属のクエン酸塩と過酸化水素とを含有する水溶液、及びアルコール又はアルコール系溶液を混合することによって行われ、アルコール又はアルコール系溶液と水溶液との体積比は、特に3.7:1〜8:1である。
一実施形態によれば、工程(i)の前に、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属又はポスト遷移金属の水酸化物、カーボナート又はクエン酸塩を用いてクエン酸を中和して、工程(i)で述べたアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属又はポスト遷移金属のクエン酸塩を得る工程が先行する。
この中和工程は、全体的又は部分的であり得る。
別の実施形態によれば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属又はポスト遷移金属の水酸化物、カーボナート又はクエン酸塩を用いてクエン酸を中和して、工程(i)で述べたアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属又はポスト遷移金属のクエン酸塩を得る工程が、この工程(i)と同時に行われる。
特に、本発明は、先に定義されたアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属又はポスト遷移金属のクエン酸過酸化水素化物を調製するための方法であって、
(i’)クエン酸と、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属又はポスト遷移金属の水酸化物、カーボナート又はクエン酸塩と、過酸化水素とを接触させて、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属又はポスト遷移金属の上記クエン酸過酸化水素化物を得る工程を含む方法に関する。
アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属又はポスト遷移金属の水酸化物、カーボナート又はクエン酸塩は、特に、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属又はポスト遷移金属のクエン酸塩である。
好ましくは、クエン酸/クエン酸塩の量、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属又はポスト遷移金属の量、及び過酸化水素の量は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属又はポスト遷移金属の所望のクエン酸過酸化水素化物の組成に従って、化学量論的である。
特定の実施形態によれば、先に定義された工程(i)又は(i’)の後に、乾燥及び/又は粉砕の工程が続く。
これらの工程は、当業者に周知の技術に従って行われ得る。
別の態様によれば、本発明は、先に定義されたクエン酸過酸化水素化物と、特に先に定義された尿素パーハイドラートとから形成されるか、それらを含む組成物を調製するための方法であって、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属又はポスト遷移金属のクエン酸塩と、尿素と、過酸化水素とを接触させることによる共結晶化の工程(a)を含む方法に関する。
好ましくは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属又はポスト遷移金属のクエン酸塩の量と、過酸化水素の量とは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属又はポスト遷移金属の所望のクエン酸過酸化水素化物の組成に従って、化学量論的である。
好ましくは、尿素の量は、クエン酸塩1モル当たり1〜5モルの尿素、好ましくはクエン酸塩1モル当たり2〜4モルの尿素、特にクエン酸塩1モル当たり3モルの尿素である。
有利な実施形態によれば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属又はポスト遷移金属のクエン酸塩と尿素とは固体形態であり、過酸化水素は、30〜80重量%の濃度の過酸化水素の水溶液の形態である。
工程(a)は、特に、30〜90℃、特に40〜80℃、さらに具体的には50〜70℃、特に55〜65℃の温度で行われる。
非常に有利な実施形態によれば、接触は、押出機、例えば二軸押出機を使用して行われる。
例えば、1モルのクエン酸三ナトリウムモノパーハイドラートジハイドラートと3モルの尿素パーハイドラートとの共結晶化を生じさせる場合、4モルの過酸化水素が、1モルのクエン酸三ナトリウム及び3モルの尿素に加えられる。
一実施形態によれば、工程(a)の前に、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属又はポスト遷移金属の水酸化物、カーボナート又はクエン酸塩を用いてクエン酸を中和して、工程(a)で述べたアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属又はポスト遷移金属のクエン酸塩を得る工程が先行する。
この中和工程は、全体的又は部分的であり得る。
別の実施形態によれば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属又はポスト遷移金属の水酸化物、カーボナート又はクエン酸塩を用いてクエン酸を中和して、工程(a)で述べたアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属又はポスト遷移金属のクエン酸塩を得る工程が、この工程(a)と同時に行われる。
特に、本発明は、先に定義されたクエン酸過酸化水素化物と、特に先に定義された尿素パーハイドラートとから形成されるか、それらを含む組成物を調製するための方法であって、
(a’)クエン酸と、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属又はポスト遷移金属の水酸化物、カーボナート又はクエン酸塩と、尿素と、過酸化水素とを接触させて、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属又はポスト遷移金属の上記クエン酸過酸化水素化物を得る工程を含む方法に関する。
アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属又はポスト遷移金属の水酸化物、カーボナート又はクエン酸塩は、特に、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属又はポスト遷移金属のクエン酸塩である。
好ましくは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属又はポスト遷移金属のクエン酸塩の量と、過酸化水素の量とは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属又はポスト遷移金属の所望のクエン酸過酸化水素化物の組成に従って、化学量論的である。
好ましくは、尿素の量は、クエン酸塩1モル当たり1〜5モルの尿素、好ましくはクエン酸塩1モル当たり2〜4モルの尿素、特にクエン酸塩1モル当たり3モルの尿素である。
特定の実施形態によれば、先に定義された工程(a)又は(a’)の後に、乾燥及び/又は粉砕の工程が続く。
これらの工程は、当業者に周知の技術に従って行われ得る。
定義
本説明で使用されているように、用語「おおよそ」は、特定の値の±10%の値の範囲を指す。例として、「約120mg」という表現は、120mg±10%の値、すなわち、108mg〜132mgの値を含む。
本説明の目的のために、パーセンテージは、特に指示がない限り、製剤の総重量に対する重量パーセントを指す。
本明細書で意図されているように、「x〜y」、「xからyまで」又は「xとyとの間」の形式の値の範囲は、制限値x及びy、ならびにこれらの制限値の間に含まれる整数も含む。例として、「1〜5」又は「1から5まで」又は「1と5との間」は、整数1、2、3、4及び5を意味する。好ましい実施形態は、値の範囲内で個別に取られた各整数、及びこれらの整数の任意の部分的組合せも含む。例として、「1〜5」の好ましい値は、整数1、2、3、4、5、1〜2、1〜3、1〜4、1〜5、2〜3、2〜4、2〜5などを含み得る。
「クエン酸塩(citrate)」は、クエン酸塩(citric acid salt)を意味することを意図しており、すなわち、クエン酸の3つのカルボン酸基のうちの少なくとも1つ、特にクエン酸の3つのカルボン酸基のうちの2つ、又は3つすべてが、塩の形態、特にアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、遷移金属塩又はポスト遷移金属塩である。
塩の例として、アルカリ金属(ナトリウム、カリウム、リチウム)との塩、アルカリ土類金属(マグネシウム、カルシウム)との塩、遷移金属との塩、ポスト遷移金属(亜鉛)との塩、アンモニウム塩、尿素塩、窒素系塩(エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、メチルアミン、プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、NN−ジメチルエタノールアミン、ベンジルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N−ベンジル−p−フェネチルアミン、NN’−ジベンジルエチレンジアミン、ジフェニレンジアミン、ベンズヒドリルアミン、キニン、コリン、アルギニン、リジン、ロイシン、ジベンジルアミン)が挙げられ得る。
「クエン酸過酸化水素化物」(又はパーハイドラート化クエン酸(perhydrated citrate)、又はクエン酸ペルオキシハイドラート(citrate peroxyhydrate)、又はペルオキシハイドラート化クエン酸(peroxyhydrated citrate)、又はクエン酸ペルオキソソルバート(citrate peroxosolvate)、本明細書ではこれらの用語は同等である)は、特にクエン酸塩と過酸化水素との間の付加物を意味することを意図しており、クエン酸塩及び過酸化水素は、さらに具体的には同じ固体内で、さらになお具体的には同じ結晶内で、水素結合によって結合されている。したがって、用語「クエン酸過酸化水素化物」は、好ましくは、場合により水和されたパーシトラートを意味しない。
したがって、本発明のクエン酸過酸化水素化物は、特に、以下の式(I)のものであり、
Figure 2021533205

式中、xは厳密に0よりも大きく、xは特に1又は2であり、M、M及びMは、互いに独立して、H、又はカルボン酸基、特にアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属又はポスト遷移金属、特にアルカリ金属と塩を形成することができる原子もしくは化合物を表し、M、M及びMのうちの少なくとも1つはHを表さない。この式(I)は、任意の他の先行する定義又は実施形態と組み合わされ得ることに留意されたい。
ポスト遷移金属とは、特に、周期表の左側の遷移金属と、周期表の右上の半金属との間で周期表に位置する金属化学元素を意味することを意図している。例として、ポスト遷移金属は亜鉛であり得る。
特に、グループM、M及びMのうちの1つだけがHを表す。例えば、M=Naの場合、二ナトリウムが言及される。
特に、グループM、M及びMのいずれもHを表さない。例えば、M=Naの場合、三ナトリウムが言及される。
特に、グループM、M及びMのうちの2つがHを表す。例えば、M=Naの場合、一ナトリウムが言及される。
、M及び/又はMがアルカリ土類金属、遷移金属又はポスト遷移金属を表す場合、この金属は、同じクエン酸塩上、又は式(I)の別のクエン酸塩上に存在する別のカルボキシラートにさらに結合し得る。
例えば、M、M及びMのうちの1つがアルカリ土類金属を表し、他の2つはHである。この場合、式(I)の対応するクエン酸塩は、特に式(C)(アルカリ土類金属)1/2・xHのものである。
「殺生物剤」は、農薬、及び医療用、獣医用、家庭用又は工業用の抗微生物剤、ならびに流体及び表面用、特に水、空気、床、水泳プール、工作物表面、トイレなどのための消毒剤を意味することを意図している。
特に指示がない限り、「表面」は、特に、生体組織の表面、特に植物の表面(例えば、葉の表面)、及び(ヒト又は動物の)皮膚、ならびに不活性表面、特に有機又は無機不活性表面、例えば、床及び工作物表面を意味することを意図している。
農薬の場合、当該表面は、特に植物の表面である。
抗微生物剤の場合、当該表面は、特にヒト又は動物の皮膚の表面である。
消毒剤の場合、当該表面は、特に不活性表面である。
「農薬」は、有害であると考えられている生物と戦うために使用することができる化学物質を意味することを意図している。これは、殺虫剤、殺真菌剤、除草剤及び寄生虫駆除剤を網羅する総称である。それらはそれぞれ、害虫、真菌、「雑草」及び寄生虫を攻撃する。
「植物性医薬組成物」は、植物保護製品、すなわち、以下を目的とする任意の製品を意味することを意図している:
・植物又は植物製品をあらゆる有害生物から保護するか、その作用を防止する;
・植物が栄養物質(例えば成長調節因子)でない限り、植物の生物学的プロセスに作用する;
・植物製品の保存を確実にする。
・望ましくない植物を破壊する;及び/又は
・植物の一部を破壊し、植物の望ましくない生長を阻止又は防止する。
「抗微生物剤」は、特にヒト又は動物において、細菌、真菌、ウイルス又は寄生虫などの微生物を死滅させるか、その増殖を遅らせる物質を意味することを意図している。
「消毒剤」は、不活性表面の上、又は水及び空気などの流体内で、細菌、ウイルス及び原生動物などの微生物を死滅させるか不活化する製品を意味することを意図している。
「水和物」は、特にクエン酸過酸化水素化物と水との結合によって形成される化合物を意味することを意図している。水和物は、特に結晶化した塩である。次いで、結晶水について言及する。
「非水和」は、結晶水を含まない化合物を意味することを意図している。
「バイオ界面活性剤」は、生物によって合成される界面活性剤を意味することを意図している。
「偽菌」は、特に卵菌(Oomycetes)、サカゲカビ(Hyphochytridiomycetes)及びラビリンチュラ綱(Labyrinthulomycetes)から選択される生物を意味することを意図している。
「刈り株」は、収穫後に地面に残った穀物の茎部分から形成された作物の残部を意味することを意図している。
「エリシター」は、防御物質の生成を伴う植物防御機構を誘発する化合物又は組成物を意味することを意図している。エリシターは、植物の自然防御の刺激剤(SND)である。
本明細書で使用される場合、用語「薬学的に許容される」は、有効な医学的判断の範囲内で、毒性、刺激、誘発されたアレルギー反応などを伴うことなくヒト及び下等動物の細胞と接触して使用するのに適しており、合理的な利益/リスク比に釣り合う化合物、組成物及び/又は剤形を指す。
この説明全体を通して、特に指示がない限り、用語「クエン酸ナトリウム、クエン酸クエン酸二ナトリウム三ナトリウム」は、それぞれ用語「ナトリウム、二ナトリウム、三ナトリウム(の)クエン酸塩」と交換可能である。同じことが他の金属にも当てはまる。
「共結晶化」は、特に、2つの化合物を含む溶液から、特に後者の蒸発によって得られる、異なる化合物の2つの結晶を意味することを意図している。これらの2つの化合物のうちの少なくとも1つは、共結晶の形態であり得る。
したがって、特に、共結晶化された結晶は、2つの異なる化合物を含むか、それらから形成される1つの同じ結晶である共結晶とは異なり、異なる性質の2つの結晶が共存する組成物を形成する。
クエン酸及びその塩の分布グラフを示している。 例2のクエン酸三ナトリウムモノパーハイドラートジハイドラートの粉末グラフに対応している(λ=1.5418Å)。 例2のクエン酸三ナトリウム及び 例3のクエン酸二ナトリウム過酸化水素化物の粉末グラフに対応している(λ=1.5418Å)。 例4による1モルのクエン酸二ナトリウム過酸化水素化物と3モルの尿素パーハイドラートとの共結晶化のディフラクトグラムを示している(λ=1.5418Å)。 最初に存在する異なる病原性株の対数濃度と、過酸化水素濃度C1(=0.5%)及びC2(=3%)で製剤3を処理した後の株の対数減少とに対応している。 真菌エリシフェネカトール(Erysiphe necator)の顕微鏡写真に対応している。 図7A:水中。図7B:クエン酸過酸化水素化物(10mg/ml)の存在下。 例5.5によるうどんこ病菌の処理に対する本発明の製剤3の効果の野外評価中に得られた結果を示している。病害の発生率及び重症度は、葉(図8A)及びブドウ(図8B)の両方について示されている。

例1:クエン酸過酸化水素化物の合成
本発明のクエン酸過酸化水素化物を調製するための方法は、クエン酸の塩を用いて過酸化水素を結晶化することにある。
以下に提示される調製方法を使用して、本発明の主題を形成するクエン酸過酸化水素化物のみを生成することができる。
使用される可能性のある装置は、原料用の重量測定フィーダ、スラリー結晶化反応のための二軸押出機、その後の流動床乾燥機又は真空マイクロ波乾燥機、及び造粒機からなる。
この方法の原料は、30から80%に濃縮された水溶液の形態の過酸化水素、及びクエン酸の塩である。クエン酸塩は、とりわけ、カーボナート、水酸化物、又はそれ自体の塩の1つを用いてクエン酸を部分的又は完全に中和することによって得ることができ、そのカチオンは、本発明の所望のクエン酸過酸化水素化物の生成に適したアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属又はポスト遷移金属から選択される。クエン酸は、とりわけ、結晶化反応の前に粉末を混合することによって中和されるか、各成分を個別に注入することによって押出機内で直接中和され得る。
工程1:結晶化反応
重量測定フィーダを使用して二軸押出機に原料を注入する。注入される原料の量は、本発明の所望のクエン酸過酸化水素化物の化学量論に従う。例えば、無水クエン酸二ナトリウムモノパーハイドラートの調製の場合、1つの可能な生成方法は、3モルの過酸化水素を用いて、2モルのクエン酸三ナトリウム及び1モルのクエン酸を結晶化することである。
二軸押出機内で原料を混合し、制御された温度及び滞留時間で結晶化を開始して、押出機の出口で固体を生成する。例えば、無水クエン酸二ナトリウムモノパーハイドラートの生成の場合、使用される固体原料が無水であれば、結晶化温度は55〜65℃であり、滞留時間は約1分である。水和固体原料を使用すると、脱気システムを備えた押出機が必要になり、反応の発熱性が大幅に低減され、押出機内での滞留時間を大幅に延長することができることに留意されたい。
この段階で、押出機の出口で得られた固体はチキソトロピックであり、団粒することなく、例えば顆粒に容易に成形することができる。
本発明の所望のクエン酸過酸化水素化物の結晶化を完了するために、自然対流によって、押出機の出口で得られた固体を15〜25℃に冷却する。結晶化反応からの過剰水の放出は、固体表面上で視覚的に観察することができる。
工程2:乾燥及び粉砕
結晶化後、流動床乾燥機又は真空マイクロ波乾燥機を使用して、制御された温度でクエン酸過酸化水素化物を乾燥させ、次いで、この最終段階では生成物はもはやチキソトロピックではないため、所望の粒径に粉砕することができる。例えば、無水クエン酸二ナトリウムモノパーハイドラートの生成の場合、乾燥温度は40〜60℃である。
尿素パーハイドラートと共結晶化したクエン酸過酸化水素化物の生成のための変形例。
本発明によるクエン酸過酸化水素化物は、尿素との共結晶化によって生成されて、クエン酸過酸化水素化物と尿素パーハイドラートとの共結晶を形成することができる。
この目的のために、重量測定供給によって、二軸押出機に尿素も注入する。観察されるモル比は、クエン酸の塩1モル当たり1〜5モルの尿素、好ましくはクエン酸の塩1モル当たり3モルの尿素の範囲である。
過酸化水素の量は、本発明から得られるクエン酸過酸化水素化物と尿素パーハイドラートとの所望の結晶の化学量論に従うように適合されるべきである。例えば、1モルのクエン酸三ナトリウムモノパーハイドラートジハイドラートと3モルの尿素パーハイドラートとの共結晶化を生じさせる場合、4モルの過酸化水素が、1モルのクエン酸三ナトリウム及び3モルの尿素とともに結晶化する。
この生成方法は、尿素パーハイドラートを独立して生成し、次いでこれを生成されたクエン酸過酸化水素化物と固体形態で混合するよりも大きな利点を有する。これは、ヨーロッパ市場で入手可能な尿素パーハイドラートが約20ユーロ/kgで販売されているのに対して、尿素は1ユーロ/kg未満で販売されているためである。さらに、独立して生成された尿素パーハイドラートは、一般に、比較的毒性のある安定剤を加えることによって安定化され、これは、本発明のクエン酸過酸化水素化物などのゼロ残留生物由来殺生物剤と適合しないのに対して、クエン酸過酸化水素化物との共結晶化によって生成された尿素パーハイドラートは、安定剤を加えることなく安定である。これは、天然の非毒性の安定剤としてのクエン酸塩の存在に起因すると思われる。
アルコール系溶液からクエン酸過酸化水素化物を生成するための変形例。
アルコール系溶液中での結晶化によって、クエン酸過酸化水素化物を得ることができる。
この目的のために、クエン酸の塩と過酸化水素とを含有する第1の溶液を調製し、その量は、本発明から得られる所望のクエン酸過酸化水素化物の化学量論に従う。クエン酸塩は、とりわけ、カーボナート、水酸化物、又はそれ自体の塩の1つを用いてクエン酸を部分的又は完全に中和することによって得ることができ、そのカチオンは、本発明から得られる所望のクエン酸過酸化水素化物の生成に適したアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属又はポスト遷移金属から選択される。
第2の溶液、すなわち、アルコールが特に1〜5個の炭素原子を含み、さらに具体的にはエタノールであり得るアルコール系溶液を調製する。また、この溶液は、アルコール自体であり得る。
その後、これらの2つの溶液を混合する。アルコール系溶液の体積比は、クエン酸塩と過酸化水素とを含有する第1の水溶液に対して3.7:1〜8:1である。
生成されたクエン酸過酸化水素化物は、結晶の形態で沈殿し、当業者に公知の液固分離技術(濾過、遠心分離など)を使用して回収され、場合により、40〜60℃で乾燥される。
例2:クエン酸三ナトリウムモノパーハイドラートジハイドラート
例1に示すように、クエン酸三ナトリウムモノパーハイドラートジハイドラートを調製した。
2.1.結晶構造
材料及び方法
粉末X線回折
乳棒と乳鉢とを使用して、試料を注意深く微粉末に粉砕した。PANalytical XPERT−PRO回折計(Bragg−Brentano型、Cu Kα放射線(λ=1.5418Å)、発生器設定:45kV及び30mA)を使用して、粉末X線回折データを収集した。粉末グラフを4〜40°、2θで測定し、測定時間は6〜15分であった。
結果
図2に示した得られたディフラクトグラムと、表1の特性線とは、出発物質、クエン酸三ナトリウム、及びそのすべての水和形態とは異なる未知の結晶構造を示している。
Figure 2021533205
クエン酸三ナトリウムモノパーハイドラートジハイドラートの結晶の特性を以下の表2に示す。
Figure 2021533205
非対称単位は、完全に脱プロトン化されたクエン酸塩アニオンと、3個のナトリウムカチオンと、2個の水分子と、過酸化水素の2個の半分子とを含む。したがって、以下及び図3に示すように、与えられた化学式はNa1111である。
Figure 2021533205
2.2.水溶性
脱イオン水中の本発明の化合物の濃度を増加させて実験することによって、本発明の化合物の溶解度を決定する。結果は、クエン酸三ナトリウムモノパーハイドラートジハイドラートが完全に水溶性であることを示している(20℃で>900g/l)。
2.3 化合物の水溶液のpH
(pHメータを使用した)pH測定値は、20倍に希釈されたクエン酸三ナトリウムモノパーハイドラートジハイドラートの水溶液が7.6(±0.3)であることを示している。
例3:無水クエン酸二ナトリウムモノパーハイドラート
例1に示すように、無水クエン酸二ナトリウムモノパーハイドラートを調製した。
3.1.結晶構造
上記のようにCu Kα回折計を使用して粉末X線回折データを収集し、シンクロトロン放射測定値によって補足した。
図4に示した得られたディフラクトグラムと、表3に示した特性線とは、クエン酸、クエン酸三ナトリウム及びそのすべての水和形態、クエン酸二ナトリウム及びそのすべての水和結晶、ならびにクエン酸三ナトリウム過酸化水素化物とは異なる、データベースからの未知の結晶構造を示している。
Figure 2021533205
クエン酸二ナトリウム過酸化水素化物の結晶に特有の特性を表4に示す。
Figure 2021533205
H結合に関する測定値を以下の表5に示す。
Figure 2021533205
非対称単位は式NaHC(H)に対応し、したがって、以下に示すように、クエン酸塩アニオンと、2つのナトリウムカチオンと、過酸化水素の分子とを含む。構造内に水分子を収容するための空間は存在しない。
Figure 2021533205
3.2.水溶性
クエン酸二ナトリウム過酸化水素化物は完全に水溶性である(20℃で>800g/l)。
3.3.化合物の水溶液のpH
(pHメータを使用した)pH測定値は、水で希釈(20倍)すると、得られたクエン酸二ナトリウム過酸化水素化物結晶が5.2(±0.3)のpHを有することを示している。
3.4.熱重量分析(TGA)
例1によるクエン酸二ナトリウム過酸化水素化物の結晶性粉末の熱重量分析を行って、100〜220℃の温度でのその挙動を評価した。
TA機器(Waters)機器を用いて、窒素雰囲気下、30〜250℃の温度範囲で、TGA質量損失グラフを取得した。10℃/分の温度傾斜を設定した後、最終温度(この分析では250℃)で10分間にわたり保持した。
140℃未満では1%未満の質量損失が発生し、これは、結晶水の損失に対応すると思われる。次いで、粉末は140〜220℃でその質量の2〜3%を損失した。
これらの結果は、高温での優れた安定性を示している。
例4:1モルの無水クエン酸二ナトリウムモノパーハイドラートと3モルの尿素パーハイドラートとの共結晶化
4.1.結晶構造
得られたディフラクトグラムを図5に示す。
得られた回折スペクトルは、生成された粉末が無水クエン酸二ナトリウムモノパーハイドラートと尿素パーハイドラートとの共結晶化物であることを示しており、その最も特徴的なピークを強調している。
4.2 化合物の水溶液のpH
20倍に希釈した、1モルの無水クエン酸二ナトリウムモノパーハイドラートと3モルの尿素パーハイドラートとの共結晶の水溶液のpHは、5.2(±0.3)である。
例5:性能
1.共結晶化したクエン酸三ナトリウムモノパーハイドラートジハイドラート及び尿素パーハイドラートに基づく製剤1
1.1.製剤の調製
1モルのクエン酸三ナトリウムモノパーハイドラートジハイドラート及び4モルの尿素パーハイドラートを含有する200gの共結晶化物と、21gの尿素及び55gの無水クエン酸とを混合する。次いで、粉末の混合物を様々な濃度で脱イオン水に溶解する。
1.2.バイオテストにおける殺生物性能
様々な病原体に対するバイオテストで製剤1を試験する。結果を表6に示す。
Figure 2021533205
2.無水クエン酸二ナトリウムモノパーハイドラートに基づく製剤2
2.1.製剤の調製
例3の粉末を様々な濃度で脱イオン水に溶解する。
2.2.抗真菌性能
様々な病原体に対するバイオテストで製剤2を試験する。結果を表7に示す。
Figure 2021533205
3.共結晶化した無水クエン酸二ナトリウムモノパーハイドラート及び尿素パーハイドラートに基づく製剤3
3.1 製剤の調製
例4の粉末を様々な濃度で脱イオン水に溶解する。
3.2.抗真菌性能
真菌プラスモパラビチコラ(Plasmopara viticola)、エリシフェネカトール(Erysiphe necator)、グイグナルジアビドウェリ(Guignardia bidwellii)及びモニリアフルクチゲナ(Monilia fructigena)に対するバイオテストで製剤3を試験する。結果を表8に示す。
Figure 2021533205
4.共結晶化した無水クエン酸二ナトリウムモノパーハイドラート及び尿素パーハイドラートに基づく製剤4
4.1.製剤の調製
例4に記載の粉末62gと、無水クエン酸10g、乳酸3g、無水乳酸カルシウム2g、界面活性剤1.5g及び乾燥剤1.5gとを混合する。次いで、粉末混合物を様々な濃度で脱イオン水に溶解する。
4.2.抗細菌性能
EN1040規格に従って6つの病原性株に対するバイオテストで製剤4を試験する。結果を図6に示す。
5.インビトロ試験
参照化学殺真菌剤(Teldor、Bayer)と比較された分生子発芽(表9)及び菌糸生長(表10)に関して、真菌ボトリチスシネレア(Botritys cinerea)に対するバイオテスト、ならびに参照化学殺真菌剤(Merpan、Adam France)と比較された分生子発芽(表11)に関して、真菌ベンツリアイナエクアリス(Venturia inaequalis)に対するバイオテストを使用して、上記の製剤2及び3の有効性を分析する。
Figure 2021533205

Figure 2021533205

Figure 2021533205
6.抗真菌性能:他の野外検証
植物保護製品の生物学的評価に関連するデータについて、French Rural Codeの第R 253−1条に定義されている適正農業規範(GAP)に従って、スイスのブドウ園で実験を行う。この試験は、葉及びブドウの房の両方に対して、うどんこ病菌の増殖を評価することを目的としている。200l/haでスプレー混合物を適用することによって、苗木を毎週処理する。試験区画を以下のように説明する。
・未処理区画(TNT);
・ブドウの木1ヘクタール当たり6kgに相当する、1%のSiO及び0.5%のヘプタメチルトリシロキサン(湿潤剤、De Sangosse−Agridyne)が加えられた30g/lの製剤3を用いて処理された区画(バイオゲル単独);
・従来の参照化学殺真菌剤を用いて処理された区画(従来のスケジュール);
・有機農業用に認可された参照殺真菌剤を用いて処理された区画(有機スケジュール)。
2つの基準、すなわち、葉(図8A)及びブドウ(図8B)の両方の病害の発生率及び重症度に基づいて、試験した製剤の有効性を評価する。
例6:クエン酸及び過酸化水素の濃縮溶液の不安定性
過酸化水素及びクエン酸の濃縮溶液の安定性を試験する。
この目的のために、37.5%の過酸化水素及び25%のクエン酸を含有する溶液を調製する。次いで、パーマンガナート滴定を使用して、過酸化水素の濃度を2カ月に3回測定する。比色試験ストリップ法に基づいて、過酸の含有量も測定する。
結果を表12に示す。
Figure 2021533205
これらの結果は、溶液が2カ月後に過酸化水素の濃度の34.4%を失うことを示している。18日後に、5%の過酸が溶液中に現れることも観察されている。さらに、圧力の上昇と、それに続くガス放出が経時的に観察されている。
例7:過酸化水素、クエン酸塩及びクエン酸の水溶液と比較した、本発明のクエン酸過酸化水素化物の比較性能。
1.ボトリチスシネレア(Botrytis cinerea)に対する作用
ボトリチスシネレア(Botrytis cinerea)を含む様々な標的真菌に対して標準プロトコルに従って行った試験は、本発明の化合物とは異なり、クエン酸塩単独又は過酸化水素単独のいずれも、同等の濃度で殺真菌効果又は静真菌効果を有しないことを示した(以下の表13を参照)。
このことは、Gil−adら(FEMS Microbiology Letters 1999,176,455−461)によってさらに確認されており、ボトリチスシネレア(Botrytis cinerea)は、最大180mM(6mg/ml)の濃度の過酸化水素の存在下で発芽することができ、その菌糸はさらに高濃度でも生長することができることが示されている。
Figure 2021533205
クエン酸二ナトリウム過酸化水素化物は、好ましくは、水ではなく過酸化水素により結晶化し、反応性の殺生物性バリアを形成する。実際、噴霧のために水溶液にクエン酸二ナトリウム過酸化水素化物入れると、すなわち、クエン酸二ナトリウムと過酸化水素とを表面に噴霧すると、水が蒸発し、クエン酸二ナトリウム過酸化水素化物も同様に蒸発して反応性の殺生物性バリアを形成するのに対して、過酸化水素の溶液はただ蒸発するのみである。これは、本発明の生成物の持続的な効果を可能にする。
2.黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)に対する作用
黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)MRSAの標準プロトコルに従って、本発明のクエン酸二ナトリウム過酸化水素化物と、クエン酸ナトリウム、過酸化水素及び参照防腐剤とを比較して、試験を行った。
これらの試験の結果を表14に示す。
Figure 2021533205
クエン酸二ナトリウム過酸化水素化物の分子構造を考慮すると、クエン酸ナトリウム及び過酸化水素と比較した本発明の化合物の有効性の比較は容易である(等モル量単位)。
クエン酸二ナトリウム過酸化水素化物は、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)MRSAに対して、過酸化水素単独の230倍及びクエン酸ナトリウムの103倍の増殖阻害効果(MIC)を有することに留意すべきである。

Claims (16)

  1. 殺生物剤としてのクエン酸過酸化水素化物の使用。
  2. クエン酸過酸化水素化物が、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属又はポスト遷移金属のクエン酸過酸化水素化物であり、前記アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属又はポスト遷移金属が、特に、Li、Na、K、Rb、Cs、Be、Mg、Ca、Sr、Ba及びZnから選択され、前記アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属又はポスト遷移金属が、さらに具体的には、Ca、Na、K、Mg又はZnであり、前記クエン酸過酸化水素化物が、特に、アルカリ金属クエン酸、過酸化水素及び場合により水から形成される結晶の形態である、請求項1に記載の使用。
  3. クエン酸過酸化水素化物が、水の存在下で、及び/又はpH調整剤、抗団粒剤、界面活性剤、湿潤剤、消泡剤、抗ドリフト剤、増粘剤、発泡剤、固化剤、肥料、植物性医薬品、安定剤及びそれらの混合物から選択される少なくとも1つの追加の化合物の存在下で使用され、前記追加の化合物が、特に糖脂質から選択される、請求項1又は2に記載の使用。
  4. 植物上又は植物内での病原体の増殖を阻害又は防止するための、請求項1〜3のいずれかに記載の使用であって、クエン酸過酸化水素化物が、特に、前記植物の表面に、さらに具体的には25〜1000ng.dm−2の量で適用される使用。
  5. 病原体が、ウイルス、細菌、真菌及び偽菌から選択される、請求項4に記載の使用。
  6. 植物が、果実を有する植物、野菜を有する植物、観賞植物、芝及び穀物から選択される、請求項4に記載の使用。
  7. 流体又は表面、特に水、空気、床、水泳プール、工作物表面、トイレを消毒するための、請求項1〜3のいずれかに記載の使用。
  8. クエン酸過酸化水素化物が、クエン酸二ナトリウム過酸化水素化物、クエン酸二カリウム過酸化水素化物、クエン酸マグネシウム過酸化水素化物、クエン酸亜鉛過酸化水素化物又はクエン酸三ナトリウムモノパーハイドラートジハイドラートである、請求項1〜7のいずれかに記載の使用。
  9. クエン酸過酸化水素化物が、尿素パーハイドラートの存在下で使用され、前記クエン酸過酸化水素化物が、特に尿素パーハイドラートと共結晶化され、前記尿素パーハイドラートが、特に尿素−過酸化水素共結晶の形態である、請求項1〜8のいずれかに記載の使用。
  10. ヒト又は動物に対して抗微生物剤として使用するためのクエン酸過酸化水素化物であって、前記使用が特に局所的に行われるクエン酸過酸化水素化物。
  11. アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属又はポスト遷移金属のクエン酸過酸化水素化物であって、ただし、
    ・前記アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属又はポスト遷移金属がナトリウムである場合、クエン酸塩が、クエン酸二ナトリウム過酸化水素化物又はクエン酸三ナトリウム過酸化水素化物、特にクエン酸三ナトリウム過酸化水素化物であり、
    ・アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属又はポスト遷移金属の前記クエン酸過酸化水素化物がクエン酸三ナトリウム過酸化水素化物又はクエン酸三カリウム過酸化水素化物である場合、このクエン酸三ナトリウム過酸化水素化物が、クエン酸三ナトリウムジパーハイドラート又はクエン酸三カリウムトリパーハイドラートではない、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属又はポスト遷移金属のクエン酸過酸化水素化物。
  12. クエン酸二ナトリウム過酸化水素化物、クエン酸二カリウム過酸化水素化物、クエン酸マグネシウム過酸化水素化物、クエン酸亜鉛過酸化水素化物又はクエン酸三ナトリウムモノパーハイドラートジハイドラートである、請求項11に記載のアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属又はポスト遷移金属のクエン酸過酸化水素化物。
  13. クエン酸及び/又はアルカリ金属クエン酸、過酸化水素及び場合により水から形成される結晶の形態である、請求項11又は12に記載のアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属又はポスト遷移金属のクエン酸過酸化水素化物。
  14. 請求項11から13のいずれかに定義されるクエン酸過酸化水素化物と、特に尿素−過酸化水素共結晶の形態の尿素パーハイドラートとを含む組成物であって、特に、クエン酸二ナトリウム過酸化水素化物又はクエン酸二カリウム過酸化水素化物の結晶と、特に尿素−過酸化水素共結晶の形態の尿素パーハイドラートの結晶とを含む組成物。
  15. (i)アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属もしくはポスト遷移金属のクエン酸塩を過酸化水素と接触させて、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属もしくはポスト遷移金属のクエン酸過酸化水素化物を得る工程であって、
    前記工程(i)の前に、場合により、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属もしくはポスト遷移金属の水酸化物、カーボナートもしくはクエン酸塩を用いてクエン酸を中和して、工程(i)で述べたアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属もしくはポスト遷移金属の前記クエン酸塩を得る工程が先行する工程、
    又は
    (i’)クエン酸と、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属もしくはポスト遷移金属の水酸化物、カーボナートもしくはクエン酸塩と、過酸化水素とを接触させて、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属もしくはポスト遷移金属の前記クエン酸過酸化水素化物を得る工程
    を含む、請求項11から13のいずれかに記載のアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属又はポスト遷移金属のクエン酸過酸化水素化物を調製するための方法。
  16. アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属もしくはポスト遷移金属のクエン酸塩と、尿素と、過酸化水素とを接触させることによる共結晶化の工程(a)であって、
    前記工程(a)の前に、場合により、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属もしくはポスト遷移金属の水酸化物、カーボナートもしくはクエン酸塩を用いてクエン酸を中和して、工程(a)で述べたアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属もしくはポスト遷移金属の前記クエン酸塩を得る工程が先行する工程、
    又は
    (a’)クエン酸と、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属もしくはポスト遷移金属の水酸化物、カーボナートもしくはクエン酸塩と、尿素と、過酸化水素とを接触させて、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属もしくはポスト遷移金属のクエン酸過酸化水素化物を得る工程、を含む、請求項14に記載の組成物を調製するための方法。
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