JP2021530508A - 心臓および腎臓に安全な抗糖尿病療法 - Google Patents

心臓および腎臓に安全な抗糖尿病療法 Download PDF

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Abstract

本発明は心臓および腎臓に安全な抗糖尿病療法に関する。

Description

本発明は、糖尿病(好ましくは2型糖尿病)患者の心血管および/または腎臓に安全な抗糖尿病性治療(殊に長期にわたる治療)に使用するための、ならびに/または、例えば心血管および/または腎臓事象または合併症のリスクが高いまたは増大している患者のような、例えば血管(心腎)リスクが高いまたは増大している患者のような、例えば心血管および/または微小血管(例えば腎性/腎臓)疾患を有するまたはそのリスクがある患者のような、(微小および/または大)血管疾患を有するかまたはそのリスクがある(ヒト)患者を含めてこれらの糖尿病患者において一定の微小および/または大血管性利益を提供するためのある種のDPP−4阻害剤、好ましくはリナグリプチン(1種以上の他の活性薬剤と組み合わせてもよい)に関する。
ある実施形態において、血管リスクが高い患者(殊に2型糖尿病患者)には高い心血管リスクがある患者が含まれ、その大多数が腎臓病(CKD、心血管疾患の重大な危険因子である)も有する。
したがって、ある実施形態において、血管(心腎)リスクが高い患者(殊に2型糖尿病患者)には、腎臓病(CKD)および/またはアルブミン尿および/または腎機能障害を有する患者(伝統的な抗糖尿病性治療装備が、特に進行した段階ではラベル制限される患者の「アンメットメディカルニーズ(unmet−medical need)集団」)が含まれる。例えば、この実施形態の患者は、eGFR<45ml/分/1.73m2またはeGFR<30ml/分/1.73m2を有するような蔓延CKDおよび中等度〜重度の腎機能障害を有する。さらなる例として、本発明による患者は、蔓延CKDおよび/またはそれぞれUACR30〜300mg/gもしくはUACR>300mg/gを有するような微量または顕性アルブミン尿を有する。さらに別の例として、本発明による患者は腎機能障害(例えば、軽度、中等度、中等度/重度もしくは重度の腎臓機能障害)と微量または顕性アルブミン尿の両方を有する。
2型糖尿病(T2D)の人々は、心血管(CV)疾患および微小血管合併症、例えば慢性腎臓病(CKD)および腎不全/腎臓機能障害の両方のリスクが増大している。2008年、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体アゴニストのロシグリタゾンおよびムラグリタザルに関連する有害CV事象に対する懸念は、米国食品医薬品局(FDA)および欧州医薬品庁(EMA)が、T2Dの治療に関する新規な血糖降下薬はCV安全性を実証するように命じることになった問題であった。それ故、このガイダンスに答えて過去10年間にわたって実施されたCVアウトカム試験はCV合併症に対するリスクが高いT2D患者に集中していた。対照的に、有害腎臓アウトカムのリスクが高い個人における新規な血糖降下薬の評価はわずかであり、相対的に無視されていた。
世界的におよそ50%のT2D患者がCKDのいくらかの証拠も有しており、これは末期腎臓病(ESKD)および早期死亡への進行のかなり増大したリスクと関連している。CKDはまたCV事象に対する最強の危険因子の1つでもある。国際腎臓学会により開催された2016年のサミットでは、CKDを研究する臨床試験の量および質を増大させるために協調努力が必要であるという結論が出された。しかしながら、かかる研究を実施するには注目に値する課題が関与している。血糖降下薬による腎臓に関連する有効性および安全性アウトカムを評価するように特に設計された臨床試験の不足は、腎臓合併症のリスクが高いT2Dの患者における情報に基づく治療の意思決定を支持するための知識に重大なギャップを表す。
ジペプチジルペプチダーゼ−4(DPP−4)阻害剤は現在、低血糖症または体重増加を引き起こす内因性のリスクがほとんどない経口の血糖降下薬として確立されている。今までにCVアウトカム研究で評価されたDPP−4阻害剤(サキサグリプチン、アログリプチン、シタグリプチン)はアテローム性動脈硬化のCV疾患アウトカムに関してCV安全性を、プラシーボと比較して主要な有害CV事象に対する中立的効果と共に示している。しかしながら、心不全に対する入院の発生はサキサグリプチン対プラシーボのSAVOR−TIMI 53試験において統計的に上昇し、アログリプチン対プラシーボのEXAMINE試験においては数値で増大したが、シタグリプチン対プラシーボのTECOS試験において心不全入院の発生に対する影響は観察されなかった。これらの観察は米国においてDPP−4阻害剤クラスのすべてのメンバーに対するFDA製品ラベル警告を促した。
特に、これらの以前のCVアウトカム研究(サキサグリプチン、アログリプチン、シタグリプチン)は、2型糖尿病および付随する慢性腎臓病(CKD)の限定された数のみの人々、すなわちずっと高いCVリスクおよび腎臓機能障害のために限定された治療の選択肢を有する(特に進行した段階の)1群の患者を登録した。進行したCKDの患者は大部分が血糖降下薬の以前のCVアウトカム研究から除外されていた結果として、この特定の集団に対する利用可能な安全性情報が不足(scarity)している。
したがって、殊に、リスクのある患者、例えばCVおよび腎臓合併症の両方を有するまたはそのリスクが増大しているもしくは高い患者(例えば欠陥のある腎臓機能(CKD、腎臓機能障害)の証拠を有するCV疾患を伴うまたは伴わない患者)において効果があり、耐容性が良好で、使用するのが容易であり(例えば、患者の腎臓機能と独立しており)、安全なCVおよび安全な腎臓の両方の臨床プロファイルを有するさらなる抗糖尿病性治療に対するニーズがある。
本発明の範囲内で、今や、本明細書に定義されている、1種以上の他の活性薬剤と組み合わせてもよいある種のDPP−4阻害剤、好ましくはリナグリプチンが、本発明の目的に対し、および/または本明細書に述べられているニーズの1つ以上を満たすのに有用となる特性を有することが見出された。
リナグリプチン(5mg、1日一回)は、(血管リスクが高いまたは増大している2型糖尿病の患者における心血管安全性および腎臓/腎性微小血管アウトカムを評価する)心血管および腎臓アウトカム試験において、血管合併症を最も受け易い患者(すなわち、例えば(心腎)リスクが罹患している大血管性疾患および/または腎疾患(の病歴)に基づく場合のような、本明細書に定義されているように(例えば状態I、状態II参照)、CV/心臓および/または腎臓/腎性疾患を有するまたはそのリスクが高い患者のような、心腎リスクが高い患者)においてさえも、長期の臨床的安全性(心血管および腎臓の両方)ならびにある種の利益(例えばアルブミン尿の低減、微小血管腎臓および眼アウトカムの改善)を示す。
この心血管および腎臓アウトカム試験は2型糖尿病ならびに罹患しているCVおよび/または腎臓合併症の成人におけるリナグリプチン(5mg、1日一回)対プラシーボ(各々標準的治療に加えられたとき)のCVおよび腎臓/腎性微小血管アウトカムを評価するために設計されている。
標準的治療は血糖降下剤および心血管薬(降圧剤および脂質低下剤を含む)の両方を含む。
今までに2型糖尿病の患者で実施されたCVアウトカム試験のスペクトルと比較して、本心血管および腎臓アウトカム試験は重度の腎臓機能障害(例えば糸球体ろ過率が30mL/分/m2より低い腎機能障害)および/または上昇したアルブミン尿を有する大部分の患者を含めて蔓延腎臓病を有する個人の人数が最も高い。これらの個人は心腎リスクが高く、限定された血糖降下治療の選択肢に直面し、2型糖尿病における以前のCVアウトカム試験では大部分が過小評価されていた。この集団はまた、医師が日常診る患者を反映してもいる。
重要なことに、本心血管および腎臓アウトカム試験から、大多数が腎臓病も有する2型糖尿病および高い心血管リスクがある成人(糖尿病における他の心血管アウトカム試験で以前には過小評価されていた集団)において、リナグリプチンはプラシーボと比較して同様な心血管安全性を示すことが見出された。
DPP−4阻害剤クラスの2つのメンバーの米国ラベルには心不全のための入院の増大したリスクが含まれるが、リナグリプチンは心不全のための入院の増大したリスクを示さない。
加えて、本心血管および腎臓アウトカム試験から、大多数が腎臓病も有する2型糖尿病および高い心血管リスクがある成人(糖尿病における他の心血管アウトカム試験で以前には過小評価されていた集団)において、リナグリプチンはプラシーボと比較して同様な腎性/腎臓安全性を示すことが見出された。
また、本心血管および腎臓アウトカム試験から、リナグリプチンは、低血糖症のリスクを増大することなくアルブミン尿ならびにHbA1cを低減することが見出された。さらに、本心血管および腎臓アウトカム試験から、リナグリプチンは微小血管腎臓および眼アウトカムを改善することが見出された。
高い血管リスクで2型糖尿病を有する患者におけるリナグリプチンによる心血管安全性および腎臓微小血管アウトカムを評価するこの心血管および腎臓アウトカム試験の患者は(標準的治療に加えて)5mgのリナグリプチンで1日一回処置され、2.2年の中間持続時間が観察されている。
図1(この心血管および腎臓アウトカム試験における(3P)MACEの最初の発生までの時間(Time to First Occurrence))は、この心血管および腎臓アウトカム試験におけるスリーポイント(3P)MACE(3P−MACE、心血管死または非致死性心筋梗塞(MI)または非致死性脳卒中として定義される主要心臓有害事象)の最初の発生までの時間を示す。 図2は、この心血管および腎臓アウトカム試験における、リナグリプチン(LINA)対プラシーボ(PBO)の、個々および複合の心不全(HF)関連アウトカム、心不全(hHF)事象のための再入院、利尿療法の開始に対する、および対象のサブグループにおける影響を示す。 図3Aは、この心血管および腎臓アウトカム試験における糖化ヘモグロビンレベル(平均±SE)の経時的変化を示す。糖化ヘモグロビンレベルにおけるベースラインからの変化は、混合モデルとして反復測定分析の使用により計算された。モデルはベースライン推定糸球体ろ過量を有する線形共変量としてのベースライン糖化ヘモグロビン、地理的領域、無作為化処置、訪問、無作為化処置交互作用による訪問、および固定効果として訪問交互作用によるベースライン糖化ヘモグロビンを含んでいた。 図3Bは、この心血管および腎臓アウトカム試験における低血糖症の発生率を示す。低血糖事象を報告した医師の発生率が示されており、医師は血糖値<54mg/dlの低血糖事象もしくは重度の事象、または重度の低血糖事象を報告した。重度の事象は炭水化物、グルカゴンまたは他の蘇生作用を積極的に投与するために別の人の支援を必要とする事象と定義される。 図3Cは、この心血管および腎臓アウトカム試験におけるポストベースラインで(post−baseline)導入された血糖降下薬を示す。最初の試験投与後に血糖降下薬が開始され同一の好ましい名称の以前の(進行中または中止したのいずれかの)処方のない患者のパーセントが示されている。投与量増加は考慮されない。対応する抗糖尿病薬の最初の開始までの時間に対するハザード比(HR)はCox回帰モデルに基づく。 図3Dは、この心血管および腎臓アウトカム試験におけるインスリンの開始または用量増加を示す。インスリンの開始または用量増加までの時間に対するKaplan−Meier推定値およびHR(95%信頼区間)。インスリンの開始はインスリンの連続期間≧3ヶ月であれば考えられた。インスリン用量増加は≦10単位;>10および≦20単位;>20単位のベースラインの1日のインスリン用量の患者に対してそれぞれ>50%;>30%;>20%の少なくとも3ヶ月に対する増加と定義された。 図4A〜4Dは、この心血管および腎臓アウトカム試験における一次およびさらなる心血管アウトカムを示し、図4Aは3P−MACEの最初の発生までの時間を示し、図4Bは心血管(CV)死の最初の発生までの時間を示し、図4Cは全死因死亡の最初の発生までの時間を示し、図4Dは心不全のための入院の最初の発生までの時間を示す。 図5A〜5Dは、この心血管および腎臓アウトカム試験における主要二次アウトカムおよびさらなる微小血管アウトカムを示し、図5Aは腎臓複合アウトカムの最初の発生までの時間を示し、図5Bは腎死または持続性末期腎疾患の最初の発生までの時間を示し、図5Cはアルブミン尿進行の最初の発生までの時間を示し、図5Dは複合微小血管エンドポイントの最初の発生までの時間を示す。 図6は、この心血管および腎臓アウトカム試験における低血糖症リスクが上昇している患者のサブグループにおける低血糖症率を示す。 図7は、この心血管および腎臓アウトカム試験における全試験集団およびアジア人患者における心血管アウトカムおよび死亡率を示す。CI信頼区間、CV心血管、HRハザード比、MACE主要有害心血管事象。 図8は、この心血管および腎臓アウトカム試験における全試験集団およびアジア人患者における腎臓および微小血管アウトカムを示す。a腎不全、持続性ESKD、eGFRの≧50%の持続的な低下、アルブミン尿進行、糖尿病性網膜症、硝子体出血、または糖尿病関連失明に対する網膜光凝固の使用または抗VEGF療法の硝子体内注射による死亡;b糖尿病性網膜症に対する網膜のレーザー凝固療法または抗VEGF療法の硝子体内注射、硝子体出血、または糖尿病関連失明。CI信頼区間;eGFR推定糸球体ろ過量、ESKD末期腎疾患、HRハザード比、VEGF血管内皮増殖因子。
より詳細にいうと、以下の発見がなされた:
心血管および腎臓アウトカム試験
有効性:
2型真性糖尿病および罹患している大血管性または腎疾患(例えば本明細書に定義されている)の病歴により証明される増大したCVリスクの成人患者における心血管リスクに対するリナグリプチンの効果を多施設国際共同無作為化二重盲検並行群間試験で評価した。試験では、リナグリプチンとプラシーボとの間で、これらを糖尿病(HbA1c)に対する標準的治療処置に加えて付随して使用したとき主要有害心血管事象(MACE)、心血管リスク因子および腎疾患を経験するリスクを比較した。試験は事象駆動型であり、少なくとも611の一次アウトカム事象が生じるまで患者を追跡した。
合計6979例の患者を処置し(リナグリプチン5mg=3494例;プラシーボ=3485例)、メジアンの2.2年間追跡した(処置期間のメジアン1.9年)。研究集団のおよそ80%がコーカサス人、9%がアジア人、6%が黒人であった。平均の年齢は66歳であり、63%が男性であった。
ベースラインの平均HbA1cは8.0%であり、参加者はおよそ15年の2型真性糖尿病の平均持続時間を有しており、さらに10%が習慣的な喫煙者であった。試験集団は年齢≧75歳の患者1211例(17.4%)および腎臓機能障害の患者4348例(62.3%)を含んでいた。集団のおよそ19%が中等度の腎臓機能障害(eGFR≧45〜<60mL/分/1.73m2)を有し、集団の28%がやや重度の腎臓機能障害(eGFR≧30〜<45mL/分/1.73m2)を有し、15%が重度の腎臓機能障害(eGFR<30mL/分/1.73m2)を有していた。全体として、糖尿病薬物の使用は処置群でバランスがとれていた(メトホルミン54%、スルホニル尿素32%、インスリン57%)。心血管リスクを低下させる薬物の使用もバランスがとれていた(アスピリン62%、スタチン71%、ACE阻害剤またはARB81%、ベータ遮断薬60%、およびカルシウムチャネル遮断薬41%)。
この試験における一次エンドポイントはスリーポイント(3P)MACEの最初の発生までの時間であった。主要心臓有害事象は心血管死または非致死性心筋梗塞(MI)または非致死性脳卒中と定義された。統計解析計画で(3P)MACEの発生に対する非劣性に関して試験した。非劣性が示されたら、階層試験戦略が(3P)MACEおよび腎臓複合に対して並行して優越性を含んでいた。二次エンドポイントは、腎死または持続性末期腎疾患またはeGFRの40%以上の持続的な低下と定義される腎臓複合であった。
2.2年の平均追跡(処置期間のメジアン1.9年)後、リナグリプチンは、標準的治療に追加したとき、主要有害心血管事象(MACE)または腎臓アウトカム事象のリスクを増大しなかった(表1+表2および図1)。
この試験の一次エンドポイント(CV死の最初の事象、非致死性MIまたは非致死性脳卒中の複合(MACE))の結果を表1および図1に示す。(3P)MACEの発生は両方の処置アームで同様であった;プラシーボ(1000人年当たり56.3のMACE)およびリナグリプチン(1000人年当たり57.7のMACE)。プラシーボに対するリナグリプチンに関連するMACEの推定ハザード比は1.02であった(95%CI;0.89、1.17)。この信頼区間の上限1.17は1.3より大きい予め決められたリスクリスクマージンを排除した。
Figure 2021530508
この試験において、心不全のための入院のリスクの増大はなく、これは付加的な判定事象であった。プラシーボに対するリナグリプチンに関連する心不全のための入院の推定ハザード比は0.90であった(95%CI;0.74、1.08)。試験において、リナグリプチンで処置した209例(6.0%)の患者およびプラシーボで処置した226例(6.5%)の患者が心不全のために入院した。
試験において対象の99.7%で生命状態が得られた。合計740例の死亡がこの試験中に記録された(表3)。これらの死亡のうち、70%は心血管死と判定された。全死因死亡のリスクは処置群間で統計的に差異がない(HR:0.98;95%CI:0.84、1.13)。
Figure 2021530508
腎臓複合(腎死または持続性末期腎疾患またはeGFRの40%以上の持続的な低下と定義される)の発生は両方の処置アームで同様であった;プラシーボ(1000人年当たり46.6の腎臓複合)およびリナグリプチン(1000人年当たり48.9の腎臓複合)。プラシーボに対するリナグリプチンに関連する腎臓複合の推定ハザード比は1.04であった(95%CI;0.89、1.22)。
Figure 2021530508

アルブミン尿進行に対する分析(正常アルブミン尿から微量もしくは顕性アルブミン尿への、または微量アルブミン尿から顕性アルブミン尿への変化)においてハザード比0.86(95%CI 0.78、0.95)が対プラシーボのリナグリプチンに対して観察された。
(腎臓および眼アウトカムの)複合微小血管エンドポイントに対する最初の発生までの時間に対する推定ハザード比は対プラシーボのリナグリプチンに対して0.86であり(95%CI 0.78、0.95);主としてアルブミン尿進行により駆動された。腎臓および眼アウトカムの微小血管エンドポイントは、腎死、持続性ESRD、eGFRの≧50%の持続的な低下、アルブミン尿進行、糖尿病性網膜症に対する網膜光凝固の使用もしくは抗VEGF療法の硝子体内注射または硝子体出血または糖尿病関連失明の複合と定義された。
安全性:
このアウトカム研究では、2型糖尿病を有する、および罹患している大血管性または腎疾患の病歴により示される増大したCVリスクがある患者における対プラシーボのリナグリプチンの心血管および腎臓に対する安全性を評価した。研究はリナグリプチン(5mg)で処置した3494例の患者およびプラシーボで処置した3485例の患者を含んでいた。いずれの処置も、HbA1cおよびCV危険因子に対する局所標準を標的とする標準的治療に追加した。この研究からの安全性データはリナグリプチンの以前の公知の安全性プロファイルと一致した。リナグリプチンを受けた患者における有害事象および重篤な有害事象の全体の発生はプラシーボを受けた患者と同様であった。新しい安全性の知見は観察されなかった。
処置した集団において、(支援を必要とする)重度の低血糖事象が3.0%のリナグリプチン患者および3.1%のプラシーボ患者で報告された。ベースライン時にスルホニル尿素を使用していた患者のうち、重度の低血糖症の発生はリナグリプチン処置患者で2.0%、プラシーボ処置患者で1.7%であった。ベースライン時にインスリンを使用していた患者のうち、重度の低血糖症の発生はリナグリプチン処置患者で4.4%、プラシーボ処置患者で4.9%であった。
全体の研究観察期間において判定された急性膵炎がリナグリプチンで処置した9例(0.3%)の患者で、プラシーボで処置した5例(0.1%)の患者で報告された。
この研究において、水疱性類天疱瘡がリナグリプチンで処置した7例(0.2%)の患者で報告されたが、プラシーボで処置した患者ではなかった。
結論:
この試験では、心血管リスクが高い2型糖尿病の患者において心血管および腎臓アウトカムに対するリナグリプチンの効果を評価した。DPP−4阻害剤を用いた他の完了したCVアウトカム試験とは異なり、この試験は罹患している大血管性疾患を有する患者に加えて蔓延腎臓病の患者を特に高い割合で含んでおり、それにより心血管および腎臓事象を極めて受け易い集団を研究した。この試験において、リナグリプチンはCV死、非致死性MI、または非致死性脳卒中(3P−MACE)の最初の発生までの時間に関して標準的治療に加えたプラシーボより非劣性であることが示された。また、心不全またはその他あらゆる心不全エンドポイントのための入院に関する増大したリスクもなかった。リナグリプチンは、腎死、持続性ESRDまたはeGFRのベースラインからの40%以上の持続的な低下の最初の発生までの時間においてプラシーボに匹敵した。リナグリプチンは低血糖症に関するリスクを増大することなくアルブミン尿ならびにHbA1cを低減した。リナグリプチンは全体として耐容性が良好であり、この研究における安全性プロファイルはこの薬剤の公知のプロファイルと一致した。要約すると、リナグリプチンの心血管および腎臓に対する安全性が罹患している大血管性および/または蔓延腎臓病を有するCV高リスク集団において立証された。
したがって:
本発明は、糖尿病(好ましくは2型糖尿病)患者の治療における使用のための1種以上の他の活性薬剤と組み合わせてもよいリナグリプチンであって、リナグリプチンが3ポイント主要有害心血管事象(3P−MACE)のリスクを増大しない治療をもたらし、3ポイント主要有害心血管事象(3P−MACE)が、心血管死、非致死性心筋梗塞(MI)および/または非致死性脳卒中を含む、リナグリプチンに関する。
本発明は、糖尿病(好ましくは2型糖尿病)患者の治療における使用のための1種以上の他の活性薬剤と組み合わせてもよいリナグリプチンであって、リナグリプチンによる治療の結果、プラシーボによる処置と比べてスリーポイント主要有害心血管事象(3P−MACE)のリスクに関して例えば1.02(95%CI;0.89、1.17)のハザード比(HR)を生じるような明細書中に記載の表1に示されているスリーポイント主要有害心血管事象(3P−MACE)のリスクを生じる、リナグリプチンに関する。
本発明は、糖尿病(好ましくは2型糖尿病)患者の治療における使用のための1種以上の他の活性薬剤と組み合わせてもよいリナグリプチンであって、リナグリプチンが心不全のための入院のリスクを増大しない治療をもたらす、リナグリプチンに関する。
本発明は、糖尿病(好ましくは2型糖尿病)患者の治療における使用のための1種以上の他の活性薬剤と組み合わせてもよいリナグリプチンであって、リナグリプチンによる治療の結果、プラシーボによる処置と比べて心不全のための入院のリスクに関して例えば0.90(95%CI;0.74、1.08)のハザード比(HR)を生じるような本明細書中に記載の図2に示されている心不全のための入院に関するリスクを生じる、リナグリプチンに関する。
本発明は、糖尿病(好ましくは2型糖尿病)患者の治療における使用のための1種以上の他の活性薬剤と組み合わせてもよいリナグリプチンであって、リナグリプチンが主要腎臓アウトカム事象のリスクを増大しない治療をもたらし、主要腎臓アウトカム事象が、腎死、持続性末期腎疾患(ESRD)および/または推定糸球体ろ過量(eGFR)の40%以上の持続的な低下を含む、リナグリプチンに関する。
本発明は、糖尿病(好ましくは2型糖尿病)患者の治療における使用のための1種以上の他の活性薬剤と組み合わせてもよいリナグリプチンであって、リナグリプチンによる治療の結果、例えばプラシーボによる処置に対して腎臓アウトカム事象のリスクに関して1.04(95%CI;0.89、1.22)のハザード比(HR)を生じるような本明細書の表2に示されている主要腎臓アウトカム事象のリスクを生じる、リナグリプチンに関する。
本発明は、糖尿病(好ましくは2型糖尿病)の治療においてそれを必要とする患者に使用するための1種以上の他の活性薬剤と組み合わせてもよいリナグリプチンであって、治療が、
i)リナグリプチンが3ポイント主要有害心血管事象(3P−MACE)のリスクを増大しないこと、ここで3ポイント主要有害心血管事象(3P−MACE)は心血管死、非致死性心筋梗塞(MI)および/もしくは非致死性脳卒中を含み、
ii)リナグリプチンが心不全のための入院のリスクを増大しないこと、ならびに/または
iii)リナグリプチンが主要腎臓アウトカム事象のリスクを増大しないこと、ここで主要腎臓アウトカム事象は、腎死、持続性末期腎疾患(ESRD)および/もしくは推定糸球体ろ過量(eGFR)の40%以上の持続的な低下を含む
ことを特徴とする、リナグリプチンに関する。
本発明は、糖尿病(好ましくは2型糖尿病)患者の治療における使用のための1種以上の他の活性薬剤と組み合わせてもよいリナグリプチンであって、リナグリプチンがあらゆる原因による死亡(全死因死亡)のリスクを増大しない治療をもたらす、リナグリプチンに関する。
本発明は、糖尿病(好ましくは2型糖尿病)患者の治療における使用のための1種以上の他の活性薬剤と組み合わせてもよいリナグリプチンであって、リナグリプチンによる治療の結果、例えばプラシーボによる処置に対して全死因死亡に関して0.98(95%CI;0.84、1.13)のハザード比(HR)を生じるような本明細書の表3に示されている全死因死亡のリスクを生じる、リナグリプチンに関する。
本発明は、糖尿病(好ましくは2型糖尿病)患者の治療における使用のための1種以上の他の活性薬剤と組み合わせてもよいリナグリプチンであって、リナグリプチンが心血管原因の死亡(CV死)のリスクを増大しない治療をもたらす、リナグリプチンに関する。
本発明は、糖尿病(好ましくは2型糖尿病)患者の治療における使用のための1種以上の他の活性薬剤と組み合わせてもよいリナグリプチンであって、リナグリプチンによる治療の結果、例えばプラシーボによる処置に対してCV死に関して0.96(95%CI;0.81、1.14)のハザード比(HR)を生じるような本明細書の表3に示されているCV死のリスクを生じる、リナグリプチンに関する。
本発明は、糖尿病(好ましくは2型糖尿病)患者の治療における使用のための1種以上の他の活性薬剤と組み合わせてもよいリナグリプチンであって、前記リナグリプチン治療の結果、(例えば2.2年で)プラシーボ処置に対して1より有意に大きい(例えば3P−MACEのリスクに関するハザード比(HR)に対して0.89〜1.17の95%信頼区間(CI))3ポイント主要有害心血管事象(3P−MACE)のリスクに関するHRを生じることがなく、3ポイント主要有害心血管事象(3P−MACE)が、心血管死、非致死性心筋梗塞(MI)および/または非致死性脳卒中を含む、リナグリプチンに関する。
本発明は、糖尿病(好ましくは2型糖尿病)患者の治療における使用のための1種以上の他の活性薬剤と組み合わせてもよいリナグリプチンであって、前記リナグリプチン治療の結果、(例えば2.2年で)プラシーボ処置に対して1より有意に大きい(例えば主要腎臓アウトカム事象のリスクに関するハザード比(HR)に対して0.89〜1.22の95%信頼区間(CI))主要腎臓アウトカム事象のリスクに関するHRを生じることがなく、主要腎臓アウトカム事象が、腎死、持続性末期腎疾患(ESRD)および/または推定糸球体ろ過量(eGFR)の40%以上の持続的な低下を含む、リナグリプチンに関する。
本発明は、糖尿病(好ましくは2型糖尿病)患者の治療における使用のための1種以上の他の活性薬剤と組み合わせてもよいリナグリプチンであって、前記リナグリプチン治療の結果、(例えば2.2年で)心不全のための入院の割合の数値上の低下を生じ、および/またはプラシーボ処置に対して1より有意に大きい(例えば心不全のための入院のリスクに関するハザード比(HR)に対して0.74〜1.08の95%信頼区間(CI))心不全のための入院のリスクに関するHRを生じない、リナグリプチンに関する。
本発明は、糖尿病(好ましくは2型糖尿病)患者の治療における使用のための1種以上の他の活性薬剤と組み合わせてもよいリナグリプチンであって、前記リナグリプチン治療の結果、(例えば2.2年で)あらゆる原因による死亡の割合の数値上の低下を生じ、および/またはプラシーボ処置に対して1より有意に大きい(例えば全死因死亡のリスクに関するハザード比(HR)に対して0.84〜1.12の95%信頼区間(CI))あらゆる原因による死亡のリスクに関するHRを生じない、リナグリプチンに関する。
本発明は、糖尿病(好ましくは2型糖尿病)患者の治療における使用のための1種以上の他の活性薬剤と組み合わせてもよいリナグリプチンであって、前記リナグリプチン治療の結果、(例えば2.2年で)心血管死の割合の数値上の低下を生じ、および/またはプラシーボ処置に対して1より有意に大きい(例えばCV死のリスクに関するハザード比(HR)に対して0.81〜1.14の95%信頼区間(CI))心血管死のリスクに関するHRを生じない、リナグリプチンに関する。
本発明は、糖尿病(好ましくは2型糖尿病)患者の治療における使用のための1種以上の他の活性薬剤と組み合わせてもよいリナグリプチンであって、リナグリプチンがアルブミン尿進行のリスクを低減することを伴う治療をもたらし、アルブミン尿進行が、正常アルブミン尿から微量もしくは顕性アルブミン尿への変化および/または微量アルブミン尿から顕性アルブミン尿への変化を含む、リナグリプチンに関する。
本発明は、糖尿病(好ましくは2型糖尿病)患者の治療における使用のための1種以上の他の活性薬剤と組み合わせてもよいリナグリプチンであって、前記リナグリプチン治療の結果、(例えば2.2年で)プラシーボ処置に対して1より有意に低い(例えばアルブミン尿進行のリスクに関するハザード比(HR)に対して、例えば0.86のような0.78〜0.95の95%信頼区間(CI))アルブミン尿進行の割合および/またはアルブミン尿進行のリスクに関するHRの数値上の低下を生じ、アルブミン尿進行が、正常アルブミン尿から微量もしくは顕性アルブミン尿への変化および/または微量アルブミン尿から顕性アルブミン尿への変化を含む、リナグリプチンに関する。
本発明は、糖尿病(好ましくは2型糖尿病)患者の治療における使用のための1種以上の他の活性薬剤と組み合わせてもよいリナグリプチンであって、リナグリプチンがアルブミン尿進行のリスクを低減することを伴う治療をもたらし、アルブミン尿進行が、正常アルブミン尿から微量もしくは顕性アルブミン尿への変化および/または微量アルブミン尿から顕性アルブミン尿への変化を含み、アルブミン尿進行の前記リスクがプラシーボと比較して約5%〜約25%または約10%〜約20%低減され、例えばプラシーボと比較して約14%低減される、リナグリプチンに関する。
本発明は、糖尿病(好ましくは2型糖尿病)患者の治療における使用のための1種以上の他の活性薬剤と組み合わせてもよいリナグリプチンであって、リナグリプチンが微小血管腎臓および/または眼合併症のリスクを低減することを伴う治療をもたらし、微小血管腎臓および/または眼合併症が、腎死、持続性ESRD、eGFRの≧50%の持続的な低下、アルブミン尿進行、網膜光凝固の使用、糖尿病性網膜症のための抗VEGF療法の硝子体内注射の使用、硝子体出血および/または糖尿病関連失明を含む、リナグリプチンに関する。
本発明は、糖尿病(好ましくは2型糖尿病)患者の治療における使用のための1種以上の他の活性薬剤と組み合わせてもよいリナグリプチンであって、前記リナグリプチン治療の結果、(例えば2.2年で)微小血管腎臓および/もしくは眼合併症の割合ならびに/またはプラシーボ処置に対して1より有意に低い(例えばアルブミン尿進行のリスクに関するハザード比(HR)に対して、例えば0.86のような0.78〜0.95の95%信頼区間(CI))微小血管腎臓および/もしくは眼合併症のリスクに関するHRの数値上の低下を生じ、微小血管腎臓および/または眼合併症が、腎死、持続性ESRD、eGFRの≧50%の持続的な低下、アルブミン尿進行、網膜光凝固の使用、糖尿病性網膜症のための抗VEGF療法の硝子体内注射の使用、硝子体出血および/または糖尿病関連失明を含む、リナグリプチンに関する。
本発明は、糖尿病(好ましくは2型糖尿病)患者の治療における使用のための1種以上の他の活性薬剤と組み合わせてもよいリナグリプチンであって、リナグリプチンが微小血管腎臓および/または眼合併症のリスクを低減することを伴う治療をもたらし、微小血管腎臓および/または眼合併症が、腎死、持続性ESRD、eGFRの≧50%の持続的な低下、アルブミン尿進行、網膜光凝固の使用、糖尿病性網膜症のための抗VEGF療法の硝子体内注射の使用、硝子体出血および/または糖尿病関連失明を含み、微小血管腎臓および/または眼合併症の前記リスクがプラシーボと比較して約5%〜約25%または約10%〜約20%低減され、例えばプラシーボと比較して約14%低減される、リナグリプチンに関する。
本発明は、糖尿病(好ましくは2型糖尿病)の治療においてそれを必要とする患者に使用するための1種以上の他の活性薬剤と組み合わせてもよいリナグリプチンであって、治療が、
i)リナグリプチンが3ポイント主要有害心血管事象(3P−MACE)のリスクを増大しない治療であって、3ポイント主要有害心血管事象(3P−MACE)は、心血管死、非致死性心筋梗塞(MI)および/または非致死性脳卒中を含む、治療、
ii)リナグリプチンが心不全のための入院のリスクを増大しない治療、
iii)リナグリプチンが主要腎臓アウトカム事象のリスクを増大しない治療であって、主要腎臓アウトカム事象は、腎死、持続性末期腎疾患(ESRD)および/または推定糸球体ろ過量(eGFR)の40%以上の持続的な低下を含む、治療、ならびに/または
iv)リナグリプチンがアルブミン尿進行のリスクを防止または低減する治療であって、ここでアルブミン尿進行は、正常アルブミン尿から微量もしくは顕性アルブミン尿への変化および/または微量アルブミン尿から顕性アルブミン尿への変化を含む、治療
であることを特徴とする、リナグリプチンに関する。
本発明は、糖尿病(好ましくは2型糖尿病)の治療においてそれを必要とする患者に使用するための1種以上の他の活性薬剤と組み合わせてもよいリナグリプチンであって、治療が、
i)リナグリプチンが3ポイント主要有害心血管事象(3P−MACE)のリスクを増大しない治療であって、3ポイント主要有害心血管事象(3P−MACE)は、心血管死、非致死性心筋梗塞(MI)および/または非致死性脳卒中を含む、治療、
ii)リナグリプチンが心不全のための入院のリスクを増大しない治療、
iii)リナグリプチンが主要腎臓アウトカム事象のリスクを増大しない治療であって、主要腎臓アウトカム事象は、腎死、持続性末期腎疾患(ESRD)および/または推定糸球体ろ過量(eGFR)の40%以上の持続的な低下を含む、治療、
iv)リナグリプチンがアルブミン尿進行のリスクを防止または低減する治療であって、アルブミン尿進行は、正常アルブミン尿から微量もしくは顕性アルブミン尿への変化および/または微量アルブミン尿から顕性アルブミン尿への変化を含む、治療、ならびに/または
v)リナグリプチンが微小血管腎臓および/または眼合併症のリスクを防止または低減する治療であって、微小血管腎臓および/または眼合併症は、腎死、持続性ESRD、eGFRの≧50%の持続的な低下、アルブミン尿進行、網膜光凝固の使用、糖尿病性網膜症のための抗VEGF療法の硝子体内注射の使用、硝子体出血および/または糖尿病関連失明を含む、治療
であることを特徴とする、リナグリプチンに関する。
本発明は、糖尿病(好ましくは2型糖尿病)患者の治療における使用のための1種以上の他の活性薬剤と組み合わせてもよいリナグリプチンであって、リナグリプチンが(例えば2.2年で)以下:
i)プラシーボで処置した患者と比較して(1つ以上の)スリーポイント主要有害心血管事象(3P−MACE)のリスクを増大しない治療であって、1つ以上のスリーポイント主要有害心血管事象(3P−MACE)は心血管死、非致死性心筋梗塞(MI)および非致死性脳卒中からなる群から選択される、治療、
ii)プラシーボで処置した患者と比較して心不全のための入院のリスクを増大しない治療、
iii)プラシーボで処置した患者と比較して全死因死亡のリスクを増大しない治療、
iv)プラシーボで処置した患者と比較して心血管(CV)死のリスクを増大しない治療、
v)プラシーボで処置した患者と比較して(1つ以上の)腎臓アウトカム事象のリスクを増大しない治療であって、1つ以上の腎臓アウトカム事象は、腎死、持続性末期腎疾患(ESRD)および推定糸球体ろ過量(eGFR)の40%以上の持続的な低下からなる群から選択される、治療、
vi)プラシーボで処置した患者と比較してアルブミン尿進行を防止する、その発生を遅延させる、またはそのリスクを低減することを伴う治療であって、アルブミン尿進行は、正常アルブミン尿から微量もしくは顕性アルブミン尿への変化および微量アルブミン尿から顕性アルブミン尿への変化からなる群から選択される、治療、ならびに/または
vii)プラシーボで処置した患者と比較して(1つ以上の)微小血管腎臓および/または眼合併症を防止する、その発生を遅延させる、またはそのリスクを低減することを伴う治療であって、1つ以上の微小血管腎臓および/または眼合併症は、腎死、持続性ESRD、eGFRの≧50%の持続的な低下、アルブミン尿進行、網膜光凝固の使用、糖尿病性網膜症のための抗VEGF療法の硝子体内注射の使用、硝子体出血および糖尿病関連失明からなる群から選択される、治療
をもたらす、リナグリプチンに関する。
本発明は、糖尿病(好ましくは2型糖尿病)患者を(特に心血管および/または腎臓合併症または事象のリスクを増大することなく)治療する方法で使用するための1種以上の他の活性薬剤と組み合わせてもよいリナグリプチンであって、前記方法は1種以上の他の活性薬剤と組み合わせてもよいリナグリプチンをそれを必要とする患者に投与することを含み、
前記患者のリナグリプチンによる治療は、プラシーボで処置した患者と比較して心血管死、非致死性心筋梗塞(MI)もしくは非致死性脳卒中の(一次心血管、3P−MACE)複合エンドポイントの割合を増大しない、ならびに/または
前記患者のリナグリプチンによる治療は、プラシーボで処置した患者と比較して心不全のための入院の割合を増大しない、ならびに/または
前記患者のリナグリプチンによる治療は、プラシーボで処置した患者と比較して全死因死亡の割合を増大しない、ならびに/または
前記患者のリナグリプチンによる治療は、プラシーボで処置した患者と比較して心血管死の割合を増大しない、ならびに/または
前記患者のリナグリプチンによる治療は、プラシーボで処置した患者と比較して腎死、持続性末期腎疾患(ESRD)または推定糸球体ろ過量(eGFR)の40%以上の持続的な低下の(二次腎臓)複合エンドポイントの割合を増大しない、ならびに/または
前記患者のリナグリプチンによる治療は、プラシーボで処置した患者と比較して正常アルブミン尿から微量もしくは顕性アルブミン尿への変化または微量アルブミン尿から顕性アルブミン尿への変化の(アルブミン尿進行)複合エンドポイントの割合を増大しない、ならびに/または
前記患者のリナグリプチンによる治療は、プラシーボで処置した患者と比較して腎死、持続性ESRD、eGFRの≧50%の持続的な低下、アルブミン尿進行、網膜光凝固の使用、糖尿病性網膜症のための抗VEGF療法の硝子体内注射の使用、硝子体出血または糖尿病関連失明の複合(微小血管、腎臓および眼アウトカム)エンドポイントの割合を増大しない、
リナグリプチンに関する。
ある種の例において、本発明は、糖尿病(好ましくは2型糖尿病)の治療においてそれを必要とする患者に使用するための1種以上の他の活性薬剤と組み合わせてもよいリナグリプチンであって、治療が、リナグリプチンが心不全のための入院の発生のリスクを低減する、発生を防止する、または(最初の)発生(までの時間)を遅延させることを特徴とする、リナグリプチンに関する。
ある実施形態において、本発明は、糖尿病(好ましくは2型糖尿病)の治療においてそれを必要とする患者に使用するための1種以上の他の活性薬剤(インスリンを含まない)と組み合わせてもよいリナグリプチンであって、治療が、リナグリプチンが心不全のための入院の発生のリスクを低減する、発生を防止する、または(最初の)発生(までの時間)を遅延させることを特徴とし、患者がインスリンによるバックグラウンド薬物治療を受けていない、リナグリプチンに関する。
ある種の例において、本発明は、糖尿病(好ましくは2型糖尿病)の治療においてそれを必要とする患者に使用するための1種以上の他の活性薬剤と組み合わせてもよいリナグリプチンであって、治療が、リナグリプチンがアルブミン尿進行の発生のリスクを低減する、発生を防止する、(最初の)発生(までの時間)を減速するまたは遅延させることを特徴とし、アルブミン尿進行が、正常アルブミン尿から微量もしくは顕性アルブミン尿への変化および/または微量アルブミン尿から顕性アルブミン尿への変化を含む、リナグリプチンに関する。
ある実施形態において、前記アルブミン尿進行のリスクが治療によりプラシーボと比較して約5%〜約25%または約10%〜約20%低減され、例えばプラシーボと比較して約14%低減される。
ある種の例において、本発明は、糖尿病(好ましくは2型糖尿病)の治療においてそれを必要とする患者に使用するための1種以上の他の活性薬剤と組み合わせてもよいリナグリプチンであって、治療が、リナグリプチンが微小血管腎臓および/または眼合併症の発生のリスクを低減する、発生を防止するまたは(最初の)発生(までの時間)を遅延させることを特徴とし、微小血管腎臓および/または眼合併症が、腎死、持続性ESRD、eGFRの≧50%の持続的な低下、アルブミン尿進行、網膜光凝固の使用、糖尿病性網膜症のための抗VEGF療法の硝子体内注射の使用、硝子体出血および/または糖尿病関連失明を含む、リナグリプチンに関する。
ある実施形態において、前記微小血管腎臓および/または眼合併症のリスクが治療によりプラシーボと比較して約5%〜約25%または約10%〜約20%低減され、例えばプラシーボと比較して約14%低減される。
特定の実施形態において、本発明による患者は糖尿病(例えば1型もしくは2型糖尿病またはLADA、特に2型糖尿病)を有する対象である。
特に、本発明による患者はヒト、特にヒト成人である。
殊に、本発明による患者はヒト2型糖尿病患者である。
本発明による糖尿病(好ましくは2型糖尿病)患者は、例えば糖尿病患者がi)アルブミン尿および以前の大血管性疾患ならびに/またはii)例えば本明細書に定義されている(例えば状態a、状態b、状態I、または状態II)ような所定の尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)を有する腎機能障害により定義されるような、大血管性(心血管)疾患を伴うまたは伴わない蔓延腎臓病または欠陥のある腎臓機能の証拠を有する場合のような、例えば罹患している大血管性および/または腎疾患(例えば本明細書に定義されている)の病歴により証明されるような、心血管(CV)および/または腎臓リスクが高いまたは増大した患者を含む。
特別な実施形態において、本発明による糖尿病患者は(微小および/または大)血管疾患、合併症または事象を有する(有していた)またはそのリスクがある患者を含み、例えばかかる患者は血管リスクが高く、殊にCVおよび腎臓合併症または(主要)事象の両方のリスクが高く、特にかかる患者はCV疾患を伴うまたは伴わない欠陥のある腎臓機能の証拠を有する。
例えば、かかる血管リスクが高い本発明による患者は
(状態a):
アルブミン尿(例えば微量または顕性アルブミン尿)
および
以前の大血管性(例えば心臓もしくは脳血管)疾患(例えば心筋梗塞、冠状動脈疾患、(虚血性または出血性)脳卒中、頸動脈疾患および/または末梢動脈障害);
の両方
ならびに/または
(軽度もしくは中等度)腎臓機能障害(例えばCKD段階1、2もしくは3、例えばCKD段階1、2(軽度)もしくは3a(軽度〜中等度)、好ましくはeGFR≧45〜75mL/分/1.73m2)および顕性アルブミン尿
または
(中等度もしくは重度)腎臓機能障害(例えばCKD段階3もしくは4、例えばCKD段階3b(中等度〜重度)もしくは4(重度)、好ましくはeGFR15〜45mL/分/1.73m2)、アルブミン尿ありもしくはなし(例えば微量もしくは顕性アルブミン尿ありもしくはなし)
のいずれか
を有する。
より詳細には、かかる血管リスクが高い本発明による患者は
(状態b):
(i)アルブミン尿(微量または顕性)(例えば尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)≧30mg/gクレアチニンまたは≧30mg/l(尿1リットル当たりのアルブミンのミリグラム)または≧30μg/分(1分当たりのアルブミンのマイクログラム)または≧30mg/24時間(24時間当たりのアルブミンのミリグラム))および
以前の大血管性疾患、例えばa)〜f)の1つ以上として定義される:
a)以前の心筋梗塞、
b)進行した冠状動脈疾患、
c)高リスクの一枝冠状動脈疾患、
d)以前の虚血性または出血性脳卒中、
e)頸動脈疾患の存在、
f)末梢動脈疾患の存在、
ならびに/または
(ii)例えば
・推定糸球体ろ過量(eGFR)15〜45mL/分/1.73m2を有し、何らかの尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)を有する腎機能障害(例えばMDRD式により定義される)、または
・推定糸球体ろ過量(eGFR)≧45〜75mL/分/1.73m2を有し、尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)>200mg/gクレアチニンもしくは>200mg/l(尿1リットル当たりのアルブミンのミリグラム)もしくは>200μg/分(1分当たりのアルブミンのマイクログラム)もしくは>200mg/24時間(24時間当たりのアルブミンのミリグラム)を有する腎機能障害(例えばMDRD式により定義される)
により定義されるような腎機能障害(例えばCV併存疾患ありまたはなし)
を有する患者(好ましくは糖尿病、特に2型糖尿病患者)である。
さらにより詳細には、かかる血管リスクが高い本発明による患者は、各々本明細書中以下に定義されている状態I(実施形態1)および/または状態II(実施形態2)を有する患者(好ましくは糖尿病、特に2型糖尿病患者)である。
状態I:
アルブミン尿(例えば、尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)≧30mg/gクレアチニンまたは≧30mg/l(尿1リットル当たりのアルブミンのミリグラム)または≧30μg/分(1分当たりのアルブミンのマイクログラム)または≧30mg/24時間(24時間当たりのアルブミンのミリグラム))および
以前の大血管性疾患、例えばa)〜f)の1つ以上として定義される:
a)以前の心筋梗塞(例えば>2ヶ月)、
b)進行した冠状動脈疾患、例えば次のいずれか1つにより定義される:
・冠動脈造影またはCT血管造影による2以上の主冠状動脈(例えばLAD、CXまたはRCA)における内腔径の≧50%狭小化、
・内腔径の≧50%狭小化を有する左主幹冠状動脈、
・≧2の主冠状動脈の以前の経皮または外科的血管再生(例えば≧2ヶ月)、
・例えば1つの主冠状動脈の以前の経皮または外科的血管再生(例えば≧2ヶ月)および少なくとも1つの追加の主冠状動脈の冠動脈造影またはCT血管造影による内腔径の≧50%狭小化の組合せ、
c)例えば1つの主冠状動脈の内腔径の≧50%狭小化(例えば血管再生されてない患者における冠動脈造影またはCT血管造影による)および以下の少なくとも1つの存在として定義されるような高リスクの一枝冠状動脈疾患:
・例えば:
−左脚ブロック、ウォルフ・パーキンソン・ホワイト症候群、再分極異常を伴う左心室肥大、または調律された心室リズム、異常なST−Tセグメントの場合の心房性細動のない患者における陽性のECG運動負荷試験、
−誘発された局所収縮期壁運動異常を示す陽性の負荷心エコー図、
−ストレス誘発された可逆灌流異常を示す陽性の核心筋灌流画像ストレス試験、
−不安定狭心症の確認された診断を有する病院から退院した患者(例えば≧2〜12ヶ月)
のいずれかにより確認されるような陽性の非侵襲性ストレス試験、
d)以前の虚血性または出血性脳卒中(例えば>3ヶ月)、
e)例えば:
−内腔径の≧50%狭小化と推定される少なくとも1つの病変を伴うイメージング技術、
−以前の経皮または外科的頸動脈血管再生
のいずれかにより確認されるような頸動脈疾患の存在(例えば症状を示すまたは示さない)、
f)例えば:
−以前の四肢血管形成、ステント留置またはバイパス手術、
−大循環不十分に起因する以前の四肢または足の切断、
−少なくとも1つの四肢における内腔径の≧50%狭小化の末梢動脈狭窄の血管造影法の証拠(例えば末梢動脈の定義:総腸骨動脈、内腸骨動脈、外腸骨動脈、大腿動脈、膝窩動脈)
のいずれかにより確認されるような末梢動脈疾患の存在。
状態II:
例えば:
・eGFR15〜45mL/分/1.73m2を有し、何らかの尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)を有する腎機能障害(例えばMDRD式により定義される)、または
・eGFR≧45〜75mL/分/1.73m2を有し、尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)>200mg/gクレアチニンもしくは>200mg/l(尿1リットル当たりのアルブミンのミリグラム)もしくは>200μg/分(1分当たりのアルブミンのマイクログラム)もしくは>200mg/24時間(24時間当たりのアルブミンのミリグラム)を有する腎機能障害(例えばMDRD式により定義される)
により定義されるような腎機能障害(例えばCV併存疾患ありまたはなし)。
さらなる実施形態において、本発明による患者は、限定されることはないが、例えば2型真性糖尿病の持続時間が>5年または>10年または>15年の長期にわたる2型糖尿病患者を含む。
さらなる実施形態において、本発明による患者は、限定されることはないが、例えば≧65歳の年齢または≧75歳の年齢の年配の患者を含む。
さらなる実施形態において、本発明による患者は、限定されることはないが、腎臓機能障害を有する患者を含む。
さらなる実施形態において、本発明による患者は、限定されることはないが、軽度の腎臓機能障害(eGFR≧60〜<90mL/分/1.73m2)を有する患者を含む。
さらなる実施形態において、本発明による患者は、限定されることはないが、中等度の腎臓機能障害(eGFR≧45〜<60mL/分/1.73m2)を有する患者を含む。
さらなる実施形態において、本発明による患者は、限定されることはないが、やや重度の腎臓機能障害(eGFR≧30〜<45mL/分/1.73m2)を有する患者を含む。
さらなる実施形態において、本発明による患者は、限定されることはないが、重度の腎臓機能障害(eGFR<30mL/分/1.73m2)を有する患者を含む。
さらなる実施形態において、本発明による患者は、限定されることはないが、正常な腎臓機能(eGFR≧90mL/分/1.73m2)を有する患者を含む。
さらなる実施形態において、本発明による患者は、限定されることはないが、微量アルブミン尿(UACR30〜300mg/g)を有する患者を含む。
さらなる実施形態において、本発明による患者は、限定されることはないが、顕性アルブミン尿(UACR>300mg/g)を有する患者を含む。
さらなる実施形態において、本発明による患者は、限定されることはないが、正常アルブミン尿(UACR<30mg/g)を有する患者を含む。
さらなる実施形態において、本発明による患者は、限定されることはないが、例えば、i)例えば微量アルブミン尿(UACR30〜300mg/g)もしくは顕性アルブミン尿(UACR>300mg/g)のようなアルブミン尿を有する、および/または
ii)例えば軽度(eGFR≧60〜<90mL/分/1.73m2)、中等度(eGFR≧45〜<60mL/分/1.73m2)、中等度/重度(eGFR≧30〜<45mL/分/1.73m2)もしくは重度(eGFR<30mL/分/1.73m2)の腎臓機能障害のような腎機能障害を有する
ような腎臓病の患者を含み;
特定の下位の実施形態において、本発明による患者はアルブミン尿および腎臓機能障害の両方を有する。
さらなる実施形態において、本発明による患者は、限定されることはないが、1種または2種の抗糖尿病性バックグラウンド薬物治療を有する患者を含む。
さらなる実施形態において、本発明による患者は、限定されることはないが、メトホルミンを含む少なくとも1種の抗糖尿病性バックグラウンド薬物治療を有する患者を含む。
さらなる実施形態において、本発明による患者は、限定されることはないが、スルホニル尿素を含む少なくとも1種の抗糖尿病性バックグラウンド薬物治療を有する患者を含む。
さらなる実施形態において、本発明による患者は、限定されることはないが、インスリンを含む少なくとも1種の抗糖尿病性バックグラウンド薬物治療を有する患者を含む。
さらなる実施形態において、本発明による患者は、限定されることはないが、インスリンを含まない少なくとも1種の抗糖尿病性バックグラウンド薬物治療を有する患者を含む。
さらなる実施形態において、本発明による患者は、限定されることはないが、心血管リスクを低減するための少なくとも1種のバックグラウンド薬物治療を有する患者を含む。
さらなる実施形態において、本発明による患者は、限定されることはないが、アスピリンまたは血小板凝集阻害剤である、心血管リスクを低減するための少なくとも1種のバックグラウンド薬物治療を有する患者を含む。
さらなる実施形態において、本発明による患者は、限定されることはないが、スタチンである、心血管リスクを低減するための少なくとも1種のバックグラウンド薬物治療を有する患者を含む。
さらなる実施形態において、本発明による患者は、限定されることはないが、ACE(アンジオテンシン転換酵素)阻害剤またはARB(アンジオテンシン受容体遮断薬)である、心血管リスクを低減するための少なくとも1種のバックグラウンド薬物治療を有する患者を含む。
さらなる実施形態において、本発明による患者は、限定されることはないが、ACE阻害剤、ARB、ベータ遮断薬、利尿剤またはカルシウムチャネル遮断薬である、心血管リスクを低減するための少なくとも1種のバックグラウンド薬物治療を有する患者を含む。
さらなる実施形態において、本発明による患者は、限定されることはないが、太り過ぎである患者を含む。
さらなる実施形態において、本発明による患者は、限定されることはないが、肥満体である患者を含む。
さらなる実施形態において、本発明による患者は、限定されることはないが、標準体重である患者を含む。
さらなる実施形態において、本発明による患者は、限定されることはないが、ヨーロッパ地域出身である患者を含む。
さらなる実施形態において、本発明による患者は、限定されることはないが、北アメリカ地域出身である患者を含む。
さらなる実施形態において、本発明による患者は、限定されることはないが、南アメリカ地域出身である患者を含む。
さらなる実施形態において、本発明による患者は、限定されることはないが、アジア地域出身である患者を含む。
さらなる実施形態において、本発明による患者は、限定されることはないが、有害腎臓事象に関するリスクが高い患者を含む(eGFRおよびアルブミン尿カテゴリーによるCKDの予後):
高いリスク:
UACR(mg/g)>300およびeGFR(ml/分/1.73m2)>60、または
UACR(mg/g)30〜299およびeGFR(ml/分/1.73m2)45〜59、または
UACR(mg/g)<30およびeGFR(ml/分/1.73m2)30〜44。
さらなる実施形態において、本発明による患者は、限定されることはないが、有害腎臓事象に関するリスクが非常に高い患者を含む(eGFRおよびアルブミン尿カテゴリーによるCKDの予後):
非常に高いリスク:
UACR(mg/g)>300およびeGFR(ml/分/1.73m2)45〜59もしくは30〜44もしくは<30、または
UACR(mg/g)30〜299およびeGFR(ml/分/1.73m2)30〜44もしくは<30、または
UACR(mg/g)<30およびeGFR(ml/分/1.73m2)<30。
したがって、本発明は、(微小および/または大)血管疾患を有するまたはそのリスクがある糖尿病(好ましくは2型糖尿病)患者、例えば心血管および/または微小血管の(例えば腎性)疾患を有するまたはそのリスクがある患者、例えば高いまたは増大した血管(心腎)リスク(例えば上記および下記に記載されている、例えば状態a、状態b、状態I、または状態IIを有するような)がある患者の治療における使用のための1種以上の他の活性薬剤と組み合わせてもよいリナグリプチンに関する。
ある実施形態において、本発明は、糖尿病(好ましくは2型糖尿病)患者の治療における使用のための1種以上の他の活性薬剤と組み合わせてもよいリナグリプチンであって、患者が、リナグリプチンによる治療の開始前に
・薬剤未投与である、またはGLP−1受容体アゴニスト、DPP−4阻害剤もしくはSGLT−2阻害剤による処置を除いて何らかの抗糖尿病性バックグラウンド薬物治療で7日以上連続して予め処置されている、
・少なくとも8週間の間変化しない1日用量の抗糖尿病性バックグラウンド薬物治療を受ける、ここでインスリンがバックグラウンド療法の一部であれば、平均の1日のインスリン用量は開始時の1日のインスリン用量と比較して8週以内で10%を超えて変化することはない、
・≧6.5%および≦10.0%のHbA1cを有する、
・肥満度指数(BMI)≦45kg/m2を有する、ならびに
・a)アルブミン尿および以前の大血管性疾患および/またはb)所定のUACRを有する腎機能障害により定義される、例えば
(i)アルブミン尿(微量または顕性)(例えば尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)≧30mg/gクレアチニンまたは≧30mg/l(尿1リットル当たりのアルブミンのミリグラム)または≧30μg/分(1分当たりのアルブミンのマイクログラム)または≧30mg/24時間(24時間当たりのアルブミンのミリグラム))および
以前の大血管性疾患、例えばa)〜f)の1つ以上として定義される:
a)以前の心筋梗塞、
b)進行した冠状動脈疾患、
c)高リスクの一枝冠状動脈疾患、
d)以前の虚血性または出血性脳卒中、
e)頸動脈疾患の存在、
f)末梢動脈疾患の存在;
ならびに/または
(ii)例えば:
・推定糸球体ろ過量(eGFR)15〜45mL/分/1.73m2を有し、何らかの尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)を有する腎機能障害(例えばMDRD式により定義される)、または
・推定糸球体ろ過量(eGFR)≧45〜75mL/分/1.73m2を有し、尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)>200mg/gクレアチニンもしくは>200mg/l(尿1リットル当たりのアルブミンのミリグラム)もしくは>200μg/分(1分当たりのアルブミンのマイクログラム)もしくは>200mg/24時間(24時間当たりのアルブミンのミリグラム)を有する腎機能障害(例えばMDRD式により定義される)
により定義されるような腎機能障害(例えばCV併存疾患ありまたはなし)
のような心血管または腎臓事象の高いリスクを有する
男性または女性の患者であることを特徴とする、リナグリプチンに関する。
また、本発明は、罹患している大血管性疾患および/または微小血管(腎性)疾患(例えば本明細書でa)アルブミン尿および以前の大血管性疾患ならびに/またはb)所定のUACRを有する腎機能障害により定義されているような、例えば状態a、状態b、状態I、または状態II参照)に基づいて、増大したまたは高い血管リスク(例えば増大した(微小および/または大)血管疾患のリスク、例えば増大した心血管および/または腎臓のリスク)を有する糖尿病(好ましくは2型糖尿病)患者を治療する方法にも関し、この方法は患者をリナグリプチン(1種以上の他の活性薬剤と組み合わせてもよい)で処置することを含む。
さらに、本発明は、増大したまたは高い血管リスク(例えば増大した(微小および/または大)血管疾患、例えば増大した心血管および/または腎臓リスク)の糖尿病(好ましくは2型糖尿病)患者を、(例えば本明細書に記載されている、例えば状態a、状態b、状態I、または状態IIを有するような)罹患している大血管性疾患および/または微小血管(腎性)疾患に基づいて、
i)3ポイント主要有害心血管事象(3P−MACE)のリスクを増大させずに治療する方法であって、3ポイント主要有害心血管事象(3P−MACE)は、心血管死、非致死性心筋梗塞(MI)および/または非致死性脳卒中を含む、方法、
ii)心不全のための入院のリスクを増大しない治療、
iii)主要腎臓アウトカム事象のリスクを増大させずに治療する方法であって、主要腎臓アウトカム事象は、腎死、持続性末期腎疾患(ESRD)および/または推定糸球体ろ過量(eGFR)の40%以上の持続的な低下を含む、方法、
iv)アルブミン尿進行のリスクを予防または低減して治療する方法であって、アルブミン尿進行は、正常アルブミン尿から微量もしくは顕性アルブミン尿への変化および/または微量アルブミン尿から顕性アルブミン尿への変化を含む、方法、ならびに/または
v)微小血管腎臓および/または眼合併症のリスクを予防または低減して治療する方法であって、ここで微小血管腎臓および/または眼合併症は、腎死、持続性ESRD、eGFRの≧50%の持続的な低下、アルブミン尿進行、網膜光凝固の使用、糖尿病性網膜症のための抗VEGF療法の硝子体内注射の使用、硝子体出血および/または糖尿病関連失明を含む、方法
に関し、
方法は患者をリナグリプチン(1種以上の他の活性薬剤と組み合わせてもよい)で処置することを含む。
いくつかの実施形態において、かかる(微小および/または大)血管疾患を有するまたはそのリスクがある患者の治療は、リナグリプチンによる治療に先立って、かかる患者を、例えば本明細書に記載されているような罹患している大血管性疾患および/または微小血管(腎性)疾患に基づいて(例えば本明細書に記載されているようなCV疾患を伴うまたは伴わない欠陥のある腎臓機能の証拠に基づいて、例えば状態a、状態b、状態I、または状態II参照)特定するステップをさらに含み得る。
また、したがって、本発明は、糖尿病(好ましくは2型糖尿病)の治療においてそれを必要とする患者に使用するための1種以上の他の活性薬剤と組み合わせてもよいリナグリプチンであって、治療が、
i)リナグリプチンが3ポイント主要有害心血管事象(3P−MACE)のリスクを増大しない治療であって、3ポイント主要有害心血管事象(3P−MACE)は、心血管死、非致死性心筋梗塞(MI)および/または非致死性脳卒中を含む、治療、
ii)リナグリプチンが心不全のための入院のリスクを増大しない治療、
iii)リナグリプチンが主要腎臓アウトカム事象のリスクを増大しない治療であって、主要腎臓アウトカム事象は、腎死、持続性末期腎疾患(ESRD)および/または推定糸球体ろ過量(eGFR)の40%以上の持続的な低下を含む、治療、
iv)リナグリプチンがアルブミン尿進行のリスクを防止または低減する治療であって、アルブミン尿進行は、正常アルブミン尿から微量もしくは顕性アルブミン尿への変化および/または微量アルブミン尿から顕性アルブミン尿への変化を含む、治療、ならびに/または
v)リナグリプチンが微小血管腎臓および/または眼合併症のリスクを防止または低減する治療であって、微小血管腎臓および/または眼合併症は、腎死、持続性ESRD、eGFRの≧50%の持続的な低下、アルブミン尿進行、網膜光凝固の使用、糖尿病性網膜症のための抗VEGF療法の硝子体内注射の使用、硝子体出血および/または糖尿病関連失明を含む、治療
であることを特徴とし、
(微小および/または大)血管疾患を有するまたはそのリスクがある(ヒト)患者、例えば心血管および/または微小血管(例えば腎性)疾患を有するまたはそのリスクがある患者、例えば血管(心腎)リスクが高いまたは増大している(例えば上記および下記に記載されているような、例えば状態a、状態b、状態I、または状態IIを有する)患者を含む、リナグリプチンに関する。
ある実施形態において、本発明は、心不全のリスクがある糖尿病(好ましくは2型糖尿病)患者の治療における使用のための1種以上の他の活性薬剤と組み合わせてもよいリナグリプチンであって、
リナグリプチンが心不全のための入院のリスクを増大しない治療をもたらす、リナグリプチンに関する。
さらなる実施形態において、本発明は、心不全のリスクがある糖尿病(好ましくは2型糖尿病)患者を心不全のための入院のリスクを増大することなく治療する方法に関し、方法は患者をリナグリプチン(1種以上の他の活性薬剤と組み合わせてもよい)で処置することを含む。
かかる心不全のリスクがある患者の治療は、リナグリプチンによる治療に先立って、かかる患者を、例えば本明細書に記載されているような罹患している大血管性疾患および/または微小血管(腎性)疾患に基づいて(例えば本明細書に記載されているような、例えば状態a、状態b、状態I、または状態IIを有する、CV疾患を伴うまたは伴わない欠陥のある腎臓機能の証拠に基づいて)特定するステップをさらに含み得る。
さらにまた、したがって、本発明は、糖尿病(好ましくは2型糖尿病)患者の治療における使用のための1種以上の他の活性薬剤と組み合わせてもよいリナグリプチンであって、
i)リナグリプチンが3ポイント主要有害心血管事象(3P−MACE)のリスクを増大しない治療であって、3ポイント主要有害心血管事象(3P−MACE)は、心血管死、非致死性心筋梗塞(MI)および/または非致死性脳卒中を含む、治療
ii)リナグリプチンが心不全のための入院のリスクを増大しない治療、
iii)リナグリプチンが主要腎臓アウトカム事象のリスクを増大しない治療であって、主要腎臓アウトカム事象は、腎死、持続性末期腎疾患(ESRD)および/または推定糸球体ろ過量(eGFR)の40%以上の持続的な低下を含む、治療、
iv)リナグリプチンがアルブミン尿進行のリスクを予防または低減することを伴う治療であって、ここでアルブミン尿進行は、正常アルブミン尿から微量もしくは顕性アルブミン尿への変化および/または微量アルブミン尿から顕性アルブミン尿への変化を含む、治療、ならびに/または
v)リナグリプチンが微小血管腎臓および/または眼合併症のリスクを予防または低減することを伴う治療であって、微小血管腎臓および/または眼合併症は、腎死、持続性ESRD、eGFRの≧50%の持続的な低下、アルブミン尿進行、網膜光凝固の使用、糖尿病性網膜症のための抗VEGF療法の硝子体内注射の使用、硝子体出血および/または糖尿病関連失明を含む、治療
をもたらし、
例えば罹患している大血管性疾患および/または腎疾患(例えばアルブミン尿および/または腎機能障害)の(病歴)に基づき、例えばi)アルブミン尿および以前の大血管性疾患および/またはii)所定の尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)を有する腎機能障害により定義され、例えば:
(i)アルブミン尿(微量または顕性)(例えば尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)≧30mg/gクレアチニンまたは≧30mg/l(尿1リットル当たりのアルブミンのミリグラム)または≧30μg/分(1分当たりのアルブミンのマイクログラム)または≧30mg/24時間(24時間当たりのアルブミンのミリグラム))および
以前の大血管性疾患、例えばa)〜f)の1つ以上として定義される:
a)以前の心筋梗塞、
b)進行した冠状動脈疾患、
c)高リスクの一枝冠状動脈疾患、
d)以前の虚血性または出血性脳卒中、
e)頸動脈疾患の存在、
f)末梢動脈疾患の存在;
ならびに/または
(ii)例えば
・推定糸球体ろ過量(eGFR)15〜45mL/分/1.73m2を有し、何らかの尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)を有する腎機能障害(例えばMDRD式により定義される)、または
・推定糸球体ろ過量(eGFR)≧45〜75mL/分/1.73m2を有し、尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)>200mg/gクレアチニンもしくは>200mg/l(尿1リットル当たりのアルブミンのミリグラム)もしくは>200μg/分(1分当たりのアルブミンのマイクログラム)もしくは>200mg/24時間(24時間当たりのアルブミンのミリグラム)を有する腎機能障害(例えばMDRD式により定義される)により定義される
により定義されるような腎機能障害(例えばCV併存疾患ありまたはなし)
を有する、血管(心腎)リスク(例えば心血管および/または腎臓事象の高いまたは増大したリスク)が高いまたは増大した(ヒト)患者を含む、リナグリプチンに関する。
ある種の例において、本発明は、糖尿病(好ましくは2型糖尿病)患者の治療における使用のための1種以上の他の活性薬剤と組み合わせてもよいリナグリプチンであって、リナグリプチンが微小(腎臓もしくは眼)または大血管(心臓または脳血管)疾患、合併症または事象のリスクを低減する、防止する、保護する、その発生を遅延させる、その進行を遅延させる、および/または処置することを伴う治療をもたらし;(微小および/または大)血管疾患を有するまたはそのリスクがある(ヒト)患者、例えば心血管および/または微小血管(例えば腎性)疾患を有するまたはそのリスクがある患者、例えば血管(心腎)リスクが高いまたは増大した(例えば上記および下記に記載されている、例えば状態a、状態b、状態I、または状態IIを有する)患者を含む、リナグリプチンに関する。
本出願の意味または目的の内で、リナグリプチンのいずれかのリスク特徴/特性はプラシーボと比べ得る。データのあらゆる(リスク)解析は(標準的治療に加えた)プラシーボと比較してリナグリプチンを用いる薬剤研究で見られるようなハザード比(HR)(およびその統計的有意性)に基づき得る。あるいは、データのあらゆる解析は(標準的治療に加えた)プラシーボと比較してリナグリプチンを用いる薬剤研究で見られるような数値差(例えば発生数、例えば統計的有意性に到達しないような発生数)に基づき得る。
本発明の目的からリナグリプチン(好ましくは5mg/日、経口で投与され、例えば本明細書に記載されているもののような1種以上の他の活性物質と組み合わせてもよい)による治療の持続時間は例えば少なくとも1〜5年、または少なくとも12〜48ヶ月、または少なくとも18〜54ヶ月、好ましくは少なくとも約20〜24ヶ月のような長い期間にわたることができる。ある実施形態において、処置曝露のメジアンは少なくとも約1.8または1.9年である。ある実施形態において、患者は少なくとも2.2年間追跡される。
本発明の他の態様は以上および以下(実施例および特許請求の範囲を含む)の説明から当業者に明らかになる。
発明の詳細な説明
本発明内で強調されるべき特に好ましいDPP−4阻害剤はリナグリプチンである。本明細書で使用される用語「リナグリプチン」はリナグリプチンまたはその水和物および溶媒和物ならびにその非晶質もしくは結晶性形態を含めてその薬学的に許容できる塩を指し、好ましくはリナグリプチンは1−[(4−メチル−キナゾリン−2−イル)メチル]−3−メチル−7−(2−ブチン−1−イル)−8−(3−(R)−アミノ−ピペリジン−1−イル)−キサンチンを指す。
好ましくは、リナグリプチンは5mgの経口1日用量(例えば1日二回2.5mg、または好ましくは1日一回5mg)で投与される。
さらなる実施形態:
ある実施形態において、本明細書で言及される糖尿病患者は以前に抗糖尿病薬で処置されたことがない患者(薬剤未投与の患者)を含み得る。したがって、ある実施形態において、本明細書に記載されている治療は薬剤未投与の患者において使用され得る。本発明の治療のいくつかの実施形態において、DPP−4阻害剤(好ましくはリナグリプチン)はかかる患者において単独で、または1種以上の他の抗糖尿病薬と組み合わせて使用され得る。別の実施形態において、本発明の意味の範囲内の糖尿病患者は慣用の抗糖尿病性バックグラウンド薬物治療で予め処置された患者、例えば進行または末期2型真性糖尿病の患者(慣用の抗糖尿病療法に失敗した患者を含む)、例えば本明細書に定義されているような1種、2種またはそれ以上の慣用の経口および/または非経口抗糖尿病性薬剤による不適切な血糖管理の患者、例えばメトホルミン、チアゾリジンジオン(特にピオグリタゾン)、スルホニル尿素、グリニド、GLP−1もしくはGLP−1類似体、インスリンもしくはインスリン類似体、またはα−グルコシダーゼ阻害剤による(単剤)療法にもかかわらず、あるいはメトホルミン/スルホニル尿素、メトホルミン/チアゾリジンジオン(特にピオグリタゾン)、スルホニル尿素/α−グルコシダーゼ阻害剤、ピオグリタゾン/スルホニル尿素、メトホルミン/インスリン、ピオグリタゾン/インスリンまたはスルホニル尿素/インスリンによる二剤併用療法にもかかわらず不充分な血糖管理の患者を含み得る。こうして、ある実施形態において、本明細書に記載されている治療は療法、例えば本明細書に述べられている慣用の経口および/または非経口抗糖尿病性単剤または二剤または三剤併用投薬を受けている患者に使用され得る。本発明の療法のいくつかの実施形態において、かかる患者で、DPP−4阻害剤(好ましくはリナグリプチン)は、かかる患者が予め処置されるまたは受ける現存または継続している慣用の経口および/または非経口抗糖尿病薬単剤または二剤または三剤併用投薬に加えて使用されるまたは追加され得る。
例えば、本明細書で言及される糖尿病患者(特に血糖管理が不充分な2型糖尿病患者)は治療未経験であってもよいし、またはメトホルミン、チアゾリジンジオン(特にピオグリタゾン)、スルホニル尿素、グリニド、α−グルコシダーゼ阻害剤(例えばアカルボース、ボグリボース)、およびインスリンまたはインスリン類似体から選択される1種以上(例えば1種または2種)の慣用の抗糖尿病薬で予め処置されていてもよく、例えば:
メトホルミン、α−グルコシダーゼ阻害剤、スルホニル尿素もしくはグリニド単剤療法、またはメトホルミン+α−グルコシダーゼ阻害剤、メトホルミン+スルホニル尿素、メトホルミン+グリニド、α−グルコシダーゼ阻害剤+スルホニル尿素、またはα−グルコシダーゼ阻害剤+グリニド二剤併用療法
で予め処置されるまたは受けていてもよい。
かかる治療未経験の患者に関連するいくつかの実施形態において、DPP−4阻害剤(好ましくはリナグリプチン)は単剤療法として、または例えばメトホルミン、チアゾリジンジオン(特にピオグリタゾン)、スルホニル尿素、グリニド、α−グルコシダーゼ阻害剤(例えばアカルボース、ボグリボース)、GLP−1もしくはGLP−1類似体、またはインスリンもしくはインスリン類似体によるような初期併用療法として;好ましくは単剤療法として使用され得る。
かかる1種または2種の慣用の抗糖尿病薬で予め処置されているまたは受けている患者に関連するいくつかの実施形態において、DPP−4阻害剤(好ましくはリナグリプチン)は、アドオン併用療法として、すなわち1種以上の慣用の抗糖尿病薬による療法にもかかわらず血糖管理が不充分な患者において1種または2種の慣用の抗糖尿病薬による現存のまたはバックグラウンド療法に追加して、例えばメトホルミン、チアゾリジンジオン(特にピオグリタゾン)、スルホニル尿素、グリニド、α−グルコシダーゼ阻害剤(例えばアカルボース、ボグリボース)、GLP−1もしくはGLP−1類似体、およびインスリンもしくはインスリン類似体から選択される1種以上(例えば1種または2種)の慣用の抗糖尿病薬に対するアドオン療法として、例えば:
メトホルミンに対する、α−グルコシダーゼ阻害剤に対する、スルホニル尿素に対するもしくはグリニドに対するアドオン療法として;
またはメトホルミン+α−グルコシダーゼ阻害剤に対する、メトホルミン+スルホニル尿素に対する、メトホルミン+グリニドに対する、α−グルコシダーゼ阻害剤+スルホニル尿素に対する、もしくはα−グルコシダーゼ阻害剤+グリニドに対するアドオン療法として;
またはメトホルミン、チアゾリジンジオン(特にピオグリタゾン)、スルホニル尿素、グリニドもしくはα−グルコシダーゼ阻害剤(例えばアカルボース、ボグリボース)と共にまたはなしにインスリンに対するアドオン療法として
使用され得る。
本明細書に記載されている糖尿病患者のさらなる実施形態は、メトホルミン療法にふさわしくない患者、例えば、
−メトホルミン療法が禁忌である患者、例えばラベルに従うメトホルミン療法に対して1つ以上の禁忌を有する患者、例えば:
腎疾患、腎臓機能障害または腎機能障害(例えば、局部的に認可されたメトホルミンの製品情報に明記されているような)、
脱水症、
不安定または急性鬱血性心不全、
急性または慢性の代謝性アシドーシス、および
遺伝性のガラクトース不耐症
から選択される少なくとも1つの禁忌を有する患者;
ならびに
−メトホルミンを原因とする1つ以上の耐えられない副作用、特にメトホルミンに関連する胃腸の副作用を患う患者、例えば:
吐き気、
嘔吐、
下痢、
腸内ガス、および
重度の腹部不快感
から選択される少なくとも1つの胃腸の副作用を患う患者
に関し得る。
本明細書で言及される糖尿病患者のさらなる実施形態は、限定されることはないが、通常のメトホルミン療法が適当でない糖尿病患者、例えばメトホルミンに対する低下した耐容性、不耐容性もしくは禁忌のため、または(軽度に)障害のある/低下した腎臓機能のために低減した用量のメトホルミン療法を必要とする糖尿病患者(例えば≧60〜65歳のような年配の患者を含む)を含み得る。
糖尿病患者のさらなる実施形態は腎疾患、腎機能障害、または腎臓機能の機能不全もしくは機能障害(軽度、中等度および/または重度の腎臓機能障害を含む)を有する患者を指してもよく、例えば上昇した血清クレアチニンレベル(例えばその年齢の通常の上限を超える血清クレアチニンレベル、例えば≧130〜150μmol/l、または男性の場合≧1.5mg/dl(≧136μmol/l)、女性の場合≧1.4mg/dl(≧124μmol/l))または異常なクレアチニンクリアランス(例えば糸球体ろ過率(GFR)≦30〜60ml/分)により(他に断らなければ)示唆され得る。
これに関連して、さらなる実施形態において、軽度の腎臓機能障害は例えば(他に断らなければ)50〜80ml/分のクレアチニンクリアランス(男性の場合≦1.7mg/dL、女性の場合≦1.5mg/dLの血清クレアチンレベルにほぼ対応する)により示唆され得;中等度の腎臓機能障害は例えば(他に断らなければ)30〜50ml/分のクレアチニンクリアランス(男性の場合>1.7〜≦3.0mg/dL、女性の場合>1.5〜≦2.5mg/dLの血清クレアチニンレベルにほぼ対応する)により示唆され得;重度の腎臓機能障害は例えば(他に断らなければ)<30ml/分のクレアチニンクリアランス(男性の場合>3.0mg/dL、女性の場合>2.5mg/dLの血清クレアチニンレベルにほぼ対応する)により示唆され得る。末期腎疾患の患者は透析(例えば血液透析または腹膜透析)を必要とする。
別のさらなる実施形態において、腎疾患、腎機能障害または腎臓機能障害の患者は、(他に断らなければ)糸球体ろ過率(GFR、ml/分/1.73m2)によって5つの病期:正常なGFR≧90(加えて持続性のアルブミン尿(例えばUACR≧30mg/g)または公知の構造的もしくは遺伝性腎疾患を有してもよい)により特徴付けられる段階1;軽度の腎臓機能障害を記述するGFRの軽度の低下(GFR60〜89)により特徴付けられる段階2;中等度の腎臓機能障害を記述するGFRの中等度の低下(GFR30〜59)により特徴付けられる段階3[またはより詳細には:軽度〜中等度の腎臓機能障害を記述するGFRの軽度〜中等度の低下(GFR45〜59)により特徴付けられる段階3a、中等度〜重度の腎臓機能障害を記述するGFRの中等度〜重度の低下(GFR30〜44)により特徴付けられる段階3b];重度の腎臓機能障害を記述するGFRの重度の低下(GFR15〜29)により特徴付けられる段階4;および透析を必要とするまたは罹患している腎不全(末期腎疾患、ESRD)を記述するGFR<15により特徴付けられる最終段階5に階層化することができる慢性の腎不全または機能障害を有する患者を含み得る。
したがって、慢性腎臓病およびその段階(CKD1〜5)は通常、例えば腎傷害(アルブミン尿)または低下した推定糸球体ろ過量(GFR<60[ml/分/1.73m2]、腎傷害ありまたはなし)の存在に基づいて特徴付けまたは分類することができる。
アルブミン尿段階は例えば本明細書に開示されているように、および/または尿中アルブミン/クレアチニン比(例えば通常はUACR≧30mg/g、いくつかの場合には≧20μg/分アルブミン排泄率)により分類され得、例えば微量アルブミン尿は例えばUACR30〜300mg/g(いくつかの場合には20〜200μg/分)もしくは、別の実施形態において、UACR30〜200mg/gにより分類され得、および/または顕性アルブミン尿は例えばUACR>300mg/g(いくつかの場合には>200μg/分)もしくは、別の実施形態において、UACR>200mg/gにより分類され得る。非常に高いUACR≧2000mg/gはネフローゼとして分類され得る。
糖尿病患者のさらなる実施形態はアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤および/またはアンジオテンシンII受容体遮断薬(ARB)を用いた療法にもかかわらずアルブミン尿の不適切な管理を伴う患者を指し得る。
糖尿病患者のさらなる実施形態は微小(腎臓)および/または大(心血管)病歴および/または投薬、例えばCKD/糖尿病性ネフロパシー、腎臓機能障害および/または(微量もしくは顕性)アルブミン尿、ならびに/または大血管性疾患(例えば冠状動脈疾患、末梢動脈疾患、脳血管疾患、高血圧)、ならびに/または微小血管疾患(例えば糖尿病性ネフロパシー、神経障害、網膜症)、ならびに/またはアセチルサリチル酸、降圧剤および/または脂質低下薬、例えばアセチルサリチル酸、ACE阻害剤、ARB、ベータ遮断薬、カルシウム−アンタゴニストもしくは利尿剤、またはこれらの組合せによる(以前のまたは進行中の)療法、ならびに/またはフィブラート、ナイアシンもしくはスタチンまたはこれらの組合せによる(以前のまたは進行中の)療法を有する患者(好ましくは糖尿病患者、特に2型糖尿病患者)を指し得る。
糖尿病患者のさらなる実施形態は糖尿病性ネフロパシー患者(例えばACEiまたはARBを用いるような追加の標準バックグラウンド療法を受けていてもいなくてもよい)、例えば、典型的にはより長い糖尿病罹病期間(>5年)、腎臓機能障害(例えば軽度(60〜<90のeGFRml/分/1.73m2)または中等度(30〜<60のeGFRml/分/1.73m2)の腎臓機能障害)および/またはより高いベースラインUACR(例えば進行した段階の微量もしくは顕性アルブミン尿)を有する≧65歳の年齢の脆弱な糖尿病性ネフロパシー患者を指し得る。
糖尿病患者のさらなる実施形態は糖尿病性ネフロパシーの患者、殊にアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤および/またはアンジオテンシンII受容体遮断薬(ARB)による(例えば以前または進行中の)療法を受けている患者、例えばアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤および/またはアンジオテンシンII受容体遮断薬(ARB)を用いた療法にもかかわらずアルブミン尿の管理が不適切な患者を指し得る。
DPP−4阻害剤は、例えばアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤またはアンジオテンシンII受容体遮断薬(ARB)のようなバックグラウンド薬物と組み合わせて(例えば追加、アドオンで)患者に投与され得る。
本発明の範囲内で、本発明による組合せ、組成物または併用は活性な構成要素または成分の同時、順次または別々の投与を予測し得ることと理解されたい。
これに関連して、本発明の意味の範囲内で「組合せ」または「組み合わせた」は、限定されることなく、固定されたおよび固定されてない(例えば自由な)形態(キットを含む)および使用、例えば構成要素または成分の同時、順次または別々の使用を含み得る。
本発明の併用投与は活性な構成要素または成分を投与することにより、例えばそれらを同時に1つの単一または2つの別々の製剤または剤形で投与することにより行い得る。あるいは、投与は活性な構成要素または成分を順次、例えば引き続いて2つの別々の製剤または剤形で投与することにより行い得る。
本発明の併用療法の場合、活性な構成要素または成分は別々に投与され得(別々に製剤化されていることを意味する)、または全部一緒に製剤化され得る(同一の調製物もしくは同一の剤形として製剤化されることを意味する)。したがって、本発明の組合せの1つの要素の投与はその組合せの他の要素の投与の以前でも、同時でも、または後でもよい。
他に断らない限り、併用療法は第一選択、第二選択もしくは第三選択療法、または初期もしくはアドオン併用療法もしくは補充療法を指し得る。
他に断らない限り、単剤療法は第一選択療法(例えば食事および運動単独での血糖管理が不充分な患者、例えば薬剤未投与の患者、典型的には診断後早期のおよび/もしくは以前に抗糖尿病薬で処置されていない患者、ならびに/または例えば腎臓機能障害のためにメトホルミン療法にふさわしくない患者例えばメトホルミン療法が禁忌の、もしくは例えば不耐容のために不適当な患者の療法)を指し得る。
他に断らない限り、アドオン併用療法は第二選択または第三選択療法(例えば(食事と運動に加えて)1種または2種の慣用の抗糖尿病薬による療法にもかかわらず血糖管理が不充分な患者、典型的には1種または2種の抗糖尿病薬で予め処置された患者、例えばかかる現存する抗糖尿病性バックグラウンド薬物治療の患者の療法)を指し得る。
他に断らない限り、初期併用療法は第一選択療法(例えば食事および運動単独による血糖管理が不充分な患者、例えば薬剤未投与の患者、典型的には診断後早期のおよび/または以前に抗糖尿病薬で処置されていない患者の療法)を指し得る。
異なる代謝機能障害が同時に起こることが多いので、いくつかの異なる有効成分を互いに組み合わせることが頻繁に指示される。したがって、診断される機能障害に応じて、DPP−4阻害剤をそれぞれの障害に対して慣用の1種以上の活性物質、例えば他の抗糖尿病性物質、殊に血液中の血糖レベルもしくは脂質レベルを下げる、血液中のHDLレベルを上げる、血圧を下げる、またはアテローム性動脈硬化もしくは肥満の治療で指示される活性物質の中から選択される1種以上の活性物質と組み合わせると、改善された治療成果を得ることができる。
上に述べたDPP−4阻害剤は、単剤療法でのその使用に加えて、改善された治療結果を得ることができる1種以上の他の活性物質と併せて使用してもよい。かかる併用治療は物質の自由な組合せとして、または固定された組合せの形態で、例えば錠剤もしくはカプセル剤で与えられ得る。このために必要な組合せ相手の医薬製剤は医薬組成物として商業的に入手され得る、または慣用的な方法を用いて当業者により製剤化され得る。医薬組成物として商業的に入手され得る活性物質は従来技術で数多くのところ、例えば年一回出版される医薬品のリスト、欧州製薬団体連合会(the federal association of the pharmaceutical industry)の「Rote Liste(登録商標)」、または「Physicians' Desk Reference」として知られている処方薬に関する製造業者情報の毎年改訂される編集物に記載されている。
抗糖尿病性組合せ相手の例はメトホルミン;スルホニル尿素、例えばグリベンクラミド、トルブタミド、グリメピリド、グリピジド、グリキドン(gliquidon)、グリボルヌリドおよびグリクラジド;ナテグリニド;レパグリニド;ミチグリニド;チアゾリジンジオン、例えばロシグリタゾンおよびピオグリタゾン;アルファ−グルコシダーゼ遮断薬、例えばアカルボース、ボグリボースおよびミグリトール;インスリンおよびインスリン類似体、例えばヒトインスリン、インスリンリスプロ、インスリングルシリン(insulin glusilin)、r−DNA−インスリンアスパルト、NPHインスリン、インスリンデテミル、インスリンデグルデク、インスリントレゴピル、インスリン亜鉛懸濁液およびインスリングラルギン;アミリンおよびアミリン類似体(例えばプラムリンチドまたはダバリンチド);GLP−1およびGLP−1類似体、例えばエキセンディン−4、例えばエキセナチド、エキセナチドLAR、リラグルチド、タスポグルチド、リキシセナチド(AVE−0010)、LY−2428757(GLP−1のPEG化型)、デュラグルチド(LY−2189265)、セマグルチドまたはアルビグルチド;ならびに/またはSGLT2−阻害剤、例えばダパグリフロジン、セルグリフロジン(KGT−1251)、アチグリフロジン(atigliflozin)、カナグリフロジン、イプラグリフロジン、ルセオグリフロジンもしくはトホグリフロジンである。
メトホルミンは通常様々な投与計画を用いて約500mg〜2000mgで、1日当たり2500mgまでで変化する用量で、約100mg〜500mgまたは200mg〜850mg(1日当たり1〜3回)、または1日当たり一回もしくは二回で約300mg〜1000mg、または遅延放出性のメトホルミンは1日当たり一回もしくは二回約100mg〜1000mg、好ましくは500mg〜1000mg、または1日当たり一回約500mg〜2000mgの用量で与えられる。特定の投薬量強度は250、500、625、750、850および1000mgの塩酸メトホルミンであり得る。
ピオグリタゾンの投薬量は通常1日一回約1〜10mg、15mg、30mg、または45mgである。
ロシグリタゾンは通常1日一回(または二回に分けて)4〜8mgの用量で与えられる(典型的な投薬量強度は2、4および8mgである)。
グリベンクラミド(グリブリド)は通常1日一回(または二回に分けて)2.5〜5〜20mgの用量で与えられ(典型的な投薬量強度は1.25、2.5および5mgである)、または微粉化グリベンクラミドは1日一回(または二回に分けて)0.75〜3〜12mgの用量で与えられる(典型的な投薬量強度は1.5、3、4.5および6mgである)。
グリピジドは通常1日一回2.5〜10〜20mg(もしくは二回に分けて40mgまで)の用量で与えられ(典型的な投薬量強度は5および10mgである)、または持続放出性のグリベンクラミドは1日一回5〜10mg(20mgまで)の用量である(典型的な投薬量強度は2.5、5および10mgである)。
グリメピリドは通常1日一回1〜2〜4mg(8mgまで)の用量で与えられる(典型的な投薬量強度は1、2および4mgである)。
グリベンクラミド/メトホルミンの二剤組合せは通常1日一回1.25/250〜1日二回10/1000mgの用量で与えられる(典型的な投薬量強度は1.25/250、2.5/500および5/500mgである)。
グリピジド/メトホルミンの二剤組合せは通常1日二回2.5/250〜10/1000mgの用量で与えられる(典型的な投薬量強度は2.5/250、2.5/500および5/500mgである)。
グリメピリド/メトホルミンの二剤組合せは通常1日二回1/250〜4/1000mgの用量で与えられる。
ロシグリタゾン/グリメピリドの二剤組合せは通常1日一回もしくは二回4/1〜1日二回4/2mgの用量で与えられる(典型的な投薬量強度は4/1、4/2、4/4、8/2および8/4mgである)。
ピオグリタゾン/グリメピリドの二剤組合せは通常1日一回30/2〜30/4mgの用量で与えられる(典型的な投薬量強度は30/4および45/4mgである)。
ロシグリタゾン/メトホルミンの二剤組合せは通常1日二回1/500〜4/1000mgの用量で与えられる(典型的な投薬量強度は1/500、2/500、4/500、2/1000および4/1000mgである)。
ピオグリタゾン/メトホルミンの二剤組合せは通常1日一回もしくは二回15/500〜1日三回15/850mgの用量で与えられる(典型的な投薬量強度は15/500および15/850mgである)。
非スルホニル尿素インスリン分泌促進剤ナテグリニドは通常食事と共に60〜120mgの用量で与えられる(360mg/日まで、典型的な投薬量強度は60および120mgである);レパグリニドは通常食事と共に0.5〜4mgの用量で与えられる(16mg/日まで、典型的な投薬量強度は0.5、1および2mgである)。レパグリニド/メトホルミンの二剤組合せは1/500および2/850mgの投薬量強度で利用可能である。
アカルボースは通常食事と共に25〜100mgの用量で与えられる。ミグリトールは通常食事と共に25〜100mgの用量で与えられる。
血液中の脂質レベルを下げる組合せ相手の例はHMG−CoA−還元酵素阻害剤、例えばシンバスタチン、アトルバスタチン、ロバスタチン、フルバスタチン、プラバスタチン、ピタバスタチンおよびロスバスタチン;フィブラート、例えばベザフィブラート、フェノフィブラート、クロフィブラート、ゲムフィブロジル、エトフィブラートおよびエトフィリンクロフィブラート(etofyllinclofibrate);ニコチン酸およびその誘導体、例えばアシピモックス;PPAR−アルファアゴニスト;PPAR−デルタアゴニスト;PPAR−アルファ/デルタアゴニスト;アシル−補酵素A:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(ACAT;EC 2.3.1.26)の阻害剤、例えばアバシミブ;コレステロール吸収阻害剤、例えばエゼチミブ;胆汁酸に結合する物質、例えばコレスチラミン、コレスチポールおよびコレセベラム;胆汁酸輸送の阻害剤;HDL調節活性物質、例えばD4F、リバースD4F、LXR調節活性物質およびFXR調節活性物質;CETP阻害剤、例えばトルセトラピブ、JTT−705(ダルセトラピブ)または国際公開第2007/005572号パンフレットの化合物12(アナセトラピブ);LDL受容体モジュレーター;MTP阻害剤(例えばロミタピド);ならびにApoB100アンチセンスRNAである。
アトルバスタチンの投薬量は通常1日一回1mg〜40mgまたは10mg〜80mgである。
血圧を下げる組合せ相手の例はベータ遮断薬、例えばアテノロール、ビソプロロール、セリプロロール、メトプロロールおよびカルベジロール;利尿剤、例えばヒドロクロロチアジド、クロルタリドン、キシパミド、フロセミド、ピレタニド、トラセミド、スピロノラクトン、エピレレノン、アミロリドおよびトリアムテレン;カルシウムチャネル遮断薬、例えばアムロジピン、ニフェジピン、ニトレンジピン、ニソルジピン、ニカルジピン、フェロジピン、ラシジピン、レルカニピジン(lercanipidine)、マニジピン、イスラジピン、ニルバジピン、ベラパミル、ガロパミルおよびジルチアゼム;ACE阻害剤、例えばラミプリル、リシノプリル、シラザプリル、キナプリル、カプトプリル、エナラプリル、ベナゼプリル、ペリンドプリル、フォシノプリルおよびトランドラプリル;ならびにアンジオテンシンII受容体遮断薬(ARB)、例えばテルミサルタン、カンデサルタン、バルサルタン、ロサルタン、イルベサルタン、オルメサルタン、アジルサルタンおよびエプロサルタンである。
テルミサルタンの投薬量は通常1日当たり20mg〜320mgまたは40mg〜160mgである。
血液中のHDLレベルを上昇させる組合せ相手の例はコレステリルエステル転送タンパク質(CETP)阻害剤;内皮リパーゼの阻害剤;ABC1のレギュレーター;LXRアルファアンタゴニスト;LXRベータアゴニスト;PPAR−デルタアゴニスト;LXRアルファ/ベータレギュレーター、ならびにアポリポタンパク質A−Iの発現および/または血漿濃度を増大する物質である。
肥満の治療のための組合せ相手の例はシブトラミン;テトラヒドロリプスタチン(オルリスタット);アリザイム(alizyme)(セチリスタット);デクスフェンフルラミン;アクソカイン(axokine);カンナビノイド受容体1アンタゴニスト、例えばCB1アンタゴニストリモノバント;MCH−1受容体アンタゴニスト;MC4受容体アゴニスト;NPY5ならびにNPY2アンタゴニスト(例えばベルネペリト);ベータ3−ARアゴニスト、例えばSB−418790およびAD−9677;5HT2c受容体アゴニスト、例えばAPD356(ロルカセリン);ミオスタチン阻害剤;Acrp30およびアディポネクチン;ステロイルCoAデサチュラーゼ(SCD1)阻害剤;脂肪酸合成酵素(FAS)阻害剤;CCK受容体アゴニスト;グレリン受容体モジュレーター;Pyy3−36;オレキシン受容体アンタゴニスト;およびテソフェンシン;ならびに二剤組合せブプロピオン/ナルトレキソン、ブプロピオン/ゾニサミド、トピラメート/フェンテルミンおよびプラムリンチド/メトレレプチンである。
アテローム性動脈硬化の治療のための組合せ相手の例はホスホリパーゼA2阻害剤;チロシン−キナーゼの阻害剤(50mg〜600mg)、例えばPDGF−受容体−キナーゼ(欧州特許出願公開第564409号明細書、国際公開第98/35958号パンフレット、米国特許第5093330号明細書、国際公開第2004/005281号パンフレット、および国際公開第2006/041976号パンフレット参照);oxLDL抗体およびoxLDLワクチン;apoA−1 Milano;ASA;ならびにVCAM−1阻害剤である。
さらに、本発明のある種のDPP−4阻害剤は本発明目的からGLP−1以外であり得るDPP−4の基質(特にDPP−4の抗炎症性基質)と組み合わせて使用され得、かかるDPP−4の基質は例えば、限定されることはないが、以下の1つ以上を含む:
インクレチン:
グルカゴン様ペプチド(GLP)−1
グルコース依存性インスリン分泌刺激ペプチド(GIP)
神経活性剤:
サブスタンスP
神経ペプチドY(NPY)
ペプチドYY
エネルギー恒常性:
GLP−2
プロラクチン
下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ペプチド(PACAP)
その他のホルモン:
PACAP27
ヒト絨毛性ゴナドトロピンアルファ鎖
成長ホルモン放出因子(GHRF)
黄体形成ホルモンアルファ鎖
インスリン様成長因子(IGF−1)
CCL8/エオタキシン
CCL22/マクロファージ由来ケモカイン
CXCL9/インターフェロン−ガンマ−誘発モノカイン
ケモカイン:
CXCL10/インターフェロン−ガンマ−誘発タンパク質−10
CXCL11/インターフェロン−誘発性T細胞a科学誘引物質
CCL3L1/マクロファージ炎症性タンパク質1アルファアイソフォーム
LD78ベータ
CXCL12/ストローマ細胞由来因子1アルファおよびベータ
その他:
エンケファリン、ガストリン−放出ペプチド、バソスタチン−1、
ペプチドヒスチジンメチオニン、サイロトロピンアルファ
さらに、または加えて、本発明のある種のDPP−4阻害剤は、利尿剤、ACE阻害剤および/またはARBから選択されるような、ネフロパシーの治療において指示される1種以上の活性物質と組み合わせて使用され得る。
さらに、または加えて、本発明のある種のDPP−4阻害剤は心血管疾患または事象(例えば主要心血管事象)の治療または予防において指示される1種以上の活性物質と組み合わせて使用され得る。
また、任意に加えて、本発明のある種のDPP−4阻害剤は、1種以上の抗血小板薬、例えば(低用量)アスピリン(アセチルサリチル酸)、選択的COX−2もしくは非選択的COX−1/COX−2阻害剤、またはADP受容体阻害剤、例えばチエノピリジン(例えばクロピドグレルもしくはプラスグレル)、エリノグレルもしくはチカグレロル、またはトロンビン受容体アンタゴニスト、例えばボラパキサルと組み合わせて使用してもよい。
またさらに、任意に加えて、本発明のある種のDPP−4阻害剤は、1種以上の抗凝血剤、例えばヘパリン、クマリン(例えばワルファリンもしくはフェンプロクモン)、第Xa因子の五糖類阻害剤(例えばフォンダパリヌクス)、または直接トロンビン阻害剤(例えばダビガトラン)、または第Xa因子阻害剤(例えばリバーロキサバンもしくはアピキサバンもしくはエドキサバンもしくはオタミキサバン)と組み合わせて使用してもよい。
なおさらにまた、任意に加えて、本発明のある種のDPP−4阻害剤は、心不全の処置のための1種以上の薬剤(例えば国際公開第2007/128761号パンフレットに述べられているもの)と組み合わせて使用してもよい。
本発明は本明細書に記載されている具体的な実施形態により範囲が限定されることはない。本明細書に記載されているものに加えて本発明の様々な修正が本開示から当業者には明らかになろう。かかる修正は添付の特許請求の範囲の範囲内に入ることが意図されている。
本明細書で引用したすべての特許出願は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
本発明がより完全に理解されるように、以下に実施例を挙げる。本発明のさらなる実施形態、特徴、効果、特性または態様が実施例から明らかとなるであろう。実施例は、本発明の原理を制限することなく例としてそれを説明する役に立つ。
血管リスクが高い2型糖尿病の患者において心血管安全性および腎臓微小血管アウトカムを評価する心血管および腎臓アウトカム試験
心血管および腎臓微小血管のリスクが高い2型真性糖尿病の患者の処置:
2型真性糖尿病の(例えば高い血管リスクおよび/または進行した段階の糖尿病性腎臓病;例えば罹患しているCV疾患、腎臓病または両方を有する)患者の適切な集団におけるリナグリプチンによる処置(1種以上の他の活性物質、例えば1種以上の他の抗糖尿病薬と組み合わせてもよい)の心血管および腎臓の(微小血管)安全性、罹患率および/または死亡率および関連の有効性パラメーター(例えばHbA1c、空腹時血糖値、処置の持続可能性)に対する長期的影響を次のように調べることができる:
(薬剤未投与または≧連続7日であればGLP−1受容体アゴニスト、DPP−4阻害剤またはSGLT−2阻害剤による処置を除いて何らかの抗糖尿病性バックグラウンド薬物治療により予め処置された、例えばHbA1c6.5〜10%を有する)不充分な血糖管理、および心血管事象の高いリスクを有する2型糖尿病患者、例えば以下により定義される:
アルブミン尿(微量または顕性)および以前の大血管性疾患:例えば以下に示される状態Iにより定義される;
ならびに/または
腎機能障害:例えば以下に示される状態IIにより定義される;
状態I:
アルブミン尿(例えば尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)≧30mg/gクレアチニンまたは≧30mg/l(尿1リットル当たりのアルブミンのミリグラム)または≧30μg/分(1分当たりのアルブミンのマイクログラム)または≧30mg/24時間(24時間当たりのアルブミンのミリグラム))および
以前の大血管性疾患、例えばa)〜f)の1つ以上として定義される:
a)以前の心筋梗塞(例えば>2ヶ月)、
b)進行した冠状動脈疾患、例えば以下のいずれか1つにより定義される:
・冠動脈造影またはCT血管造影による2つ以上の主冠状動脈(例えばLAD(左前下行枝)、CX(回旋)またはRCA(右冠状動脈))における内腔径の≧50%狭小化、
・内腔径の≧50%狭小化を有する左主幹冠状動脈、
・≧2つの主冠状動脈の以前の経皮または外科的血管再生(例えば≧2ヶ月)、
・例えば1つの主冠状動脈の以前の経皮または外科的血管再生(例えば≧2ヶ月)および少なくとも1つの追加の主冠状動脈の冠動脈造影またはCT血管造影による内腔径の≧50%狭小化の組合せ、
c)例えば1つの主冠状動脈の内腔径の≧50%狭小化(例えば血管再生されてない患者における冠動脈造影またはCT血管造影による)および以下の少なくとも1つの存在として定義されるような高リスクの一枝冠状動脈疾患:
・例えば:
−左脚ブロック、ウォルフ・パーキンソン・ホワイト症候群、再分極異常を伴う左心室肥大、または調律された心室リズム、異常なST−Tセグメントの場合の心房性細動のない患者における陽性のECG運動負荷試験、
−誘発された局所収縮期壁運動異常を示す陽性の負荷心エコー図、
−ストレス誘発された可逆灌流異常を示す陽性の核心筋灌流画像ストレス試験、
−不安定狭心症の確認された診断を有する病院から退院した患者(例えば≧2〜12ヶ月)
のいずれかにより確認されるような陽性の非侵襲性ストレス試験、
d)以前の虚血性または出血性脳卒中(例えば>3ヶ月)、
e)例えば:
−内腔径の≧50%狭小化と推定される少なくとも1つの病変を伴うイメージング技術、
−以前の経皮または外科的頸動脈血管再生、
のいずれかにより確認されるような頸動脈疾患の存在(例えば症状を示すまたは示さない)、
f)例えば:
−以前の四肢血管形成、ステント留置またはバイパス手術、
−大循環機能不全に起因する以前の四肢または足の切断、
−少なくとも1つの四肢における内腔径の≧50%狭小化の末梢動脈狭窄の血管造影法の証拠(例えば末梢動脈の定義:総腸骨動脈、内腸骨動脈、外腸骨動脈、大腿動脈、膝窩動脈)
のいずれかにより確認される末梢動脈疾患の存在、
状態II:
腎機能障害(例えばCV併存疾患ありまたはなし)、例えば以下のいずれかにより定義される:
・推定糸球体ろ過量(eGFR)15〜45mL/分/1.73m2を何らかの尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)と共に有する腎機能障害(例えばMDRD式により定義される)、または
・推定糸球体ろ過量(eGFR)≧45〜75mL/分/1.73m2を有する尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)>200mg/gクレアチニンもしくは>200mg/l(尿1リットル当たりのアルブミンのミリグラム)もしくは>200μg/分(1分当たりのアルブミンのマイクログラム)もしくは>200mg/24時間(24時間当たりのアルブミンのミリグラム)と共に有する腎機能障害(例えばMDRD式により定義される);
かかる患者を、長期にわたる期間(例えば少なくとも12〜48ヶ月、好ましくは少なくとも約20〜24ヶ月)リナグリプチン(好ましくは5mg/日、好ましくは錠剤の形態で経口投与される、1種以上の他の活性物質、例えば本明細書に記載されているものと組み合わせてもよい)で処置し、(標準的治療に加えてアドオン療法として)プラシーボで処置された患者と比較する。
プラシーボで処置された患者と比較した治療の成功の証拠は、プラシーボと比較した非劣性または優越性、例えば心臓または脳血管事象の最初の発生までにかかる(より長い)時間、例えば複合CVエンドポイントの次の要素:心血管死(致死性脳卒中、致死性心筋梗塞および突然死を含む)、非致死性心筋梗塞(無症状心筋梗塞を除く)、非致死性脳卒中、および例えば心不全のための(任意の)入院;のいずれかの最初の発生までの時間ならびに/または
腎臓微小血管事象の最初の発生までにかかる(より長い)時間、例えば複合腎臓エンドポイントの次の要素:腎死、持続性末期腎疾患(ESRD)、およびeGFRの40%以上(もしくは50%以上)の持続的な低下のいずれかの最初の発生までの時間に見ることができる
さらなる治療の成功は、心血管死、(非)致死性心筋梗塞、無症状MI、(非)致死性脳卒中、不安定狭心症のための入院、冠状動脈血管再生のための入院、末梢血管再生のための入院、(鬱血性)心不全のための入院、全死因死亡、腎死、持続性末期腎疾患、eGFRの損失、顕性アルブミン尿の新たな発生、アルブミン尿の進行、CKDの進行、抗網膜症療法の必要性;またはアルブミン尿、腎臓機能、CKDの改善;または認知機能の改善もしくは加速認知低下の予防/加速認知低下に対する保護のいずれかの(より小さい)数またはその最初の発生までにかかる(より長い)時間に見ることができる。
認知機能は、例えばミニメンタルステート検査(MMSE)、トレイルメイキングテスト(TMT)および/または言語流暢性テスト(VFT)を用いるような認知機能の尺度として標準的な試験により評価することができる。
(プラシーボと比較した)追加の治療の成功はHbA1cおよび/またはFPGのベースラインからのより大きな変化に見ることができる。
さらなる追加の治療の成功は研究目的維持血糖管理(例えばHbA1c</=7%)にある研究処置の患者のより大きな割合に見ることができる。
さらなる追加の治療の成功はHbA1c</=7%を得るために(処置の間)追加の抗糖尿病薬を必要とすることなく研究終了時に血糖管理を維持する研究処置の患者のより大きな割合に見ることができる。
さらなる追加の治療の成功は研究処置でインスリンを開始したまたはインスリンで処置したまたは使用したインスリン用量の用量を低下させた患者のより低い割合に見ることができる。
さらなる追加の治療の成功は体重のベースラインからのより少ない変化または≦2%体重増加の患者のより大きい割合または研究終了時に≧2%体重増加の患者のより低い割合に見ることができる。
それぞれのサブグループ分析がこの研究において、微量または顕性アルブミン尿を有してもまたは有さなくてもよい、例えば段階3までのような慢性腎臓病(CKD)を有し、および/または45まで下がる、もしくは30まで下がる推定糸球体ろ過量(eGFR;mL/分/1.73m2)レベルを有する患者、例えば中等度の段階(CKD段階3、eGFR30〜60)の、特に軽度〜中等度の段階(CKD段階3a)の、例えばeGFRレベル45〜59を有する、または中等度〜重度の段階(CKD段階3b)の、例えばeGFRレベル30〜44を有する(慢性)腎臓機能障害の患者に対して行われ得る。
上の研究の全参加者の三分の二超(71%)がベースラインにおけるeGFRおよびアルブミン尿カテゴリーにより高いリスク(27.2%)または極めて高いリスク(43.5%)の(腎臓の)予後を有するとして分類される:
eGFRおよびアルブミン尿カテゴリーによる研究集団におけるCKDの予後
高いリスク:
UACR(mg/g)>300およびeGFR(ml/分/1.73m2)>60、または
UACR(mg/g)30〜299およびeGFR(ml/分/1.73m2)45〜59、または
UACR(mg/g)<30およびeGFR(ml/分/1.73m2)30〜44;
極めて高いリスク:
UACR(mg/g)>300およびeGFR(ml/分/1.73m2)45〜59もしくは30〜44もしく<30、または
UACR(mg/g)30〜299およびeGFR(ml/分/1.73m2)30〜44もしくは<30、または
UACR(mg/g)<30およびeGFR(ml/分/1.73m2)<30。
それぞれのサブグループ分析はまた、この研究において上に定義された高いリスクまたは極めて高いリスクの腎臓の予後を有する患者に対しても行われ得る。
結果
概略の結論
試験患者および試験プロトコルのコンプライアンス:
試験の集団は意図された通りであり、診療でしばしば出会う集団における心血管および腎臓アウトカムの評価が可能になった。6979例の処置した患者が主要な地理的地域および人種を示した。組み入れ基準に従って、患者はすべてCV事象の高いリスクを有していた。
患者の大部分(74%)はベースラインでeGFR<60mL/分/1.73m2または尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)≧300mg/gとして定義される蔓延腎臓病を有していた。患者の半分以上(57%)が大血管性疾患とアルブミン尿の両方に罹患していた。全体として、患者集団の71%が彼らのeGFRおよびアルブミン尿状況に基づいて有害腎臓事象に対する高いリスクまたは極めて高いリスクがあると考えられた(KDIGOリスク分類)。
全体として、すべての人口学的および臨床的特性は処置群間でバランスがとれていた。患者の1%未満が生命状態について追跡不能となった。試験投薬の早期の中止はリナグリプチン群よりプラシーボ群でやや高かった。重大なプロトコル違反はいずれの処置群でもほとんど報告されず、患者の>99%がパープロトコル解析セットに含まれた。試験期間のメジアンはリナグリプチンおよびプラシーボ群の両方で2.2年であった。処置曝露のメジアンはリナグリプチンおよびプラシーボ群でそれぞれ1.9および1.8年であった。
有効性:
一次および主要二次エンドポイント
合計854例の患者が判定確認された一次エンドポイント事象(次の判定確認された要素のいずれかの最初の発生:CV死、非致死性MI、または非致死性脳卒中[3P−MACE])と共に報告された。リナグリプチン群の434例の患者(12.4%)およびプラシーボ群の420例の患者(12.1%)で事象があった。リナグリプチン対プラシーボに関するCox比例ハザード回帰モデルに基づくハザード比(HR)は1.02(95%CI0.89、1.17)であった。したがって、リナグリプチンはプラシーボに対して非劣性で、95%CIの上限が1.3未満であって、プラシーボより優れていないことが立証された。
合計633例の患者が判定確認された主要二次エンドポイント事象(次の判定確認された要素のいずれかの最初の発生:腎死、持続性ESRD(末期腎疾患)またはeGFR(推定糸球体ろ過量)のベースラインからの40%以上の持続的な低下[複合腎臓エンドポイント1])と共に報告された。リナグリプチン群で327例の患者(9.4%)が、プラシーボ群で306例の患者(8.8%)が事象を伴った。リナグリプチン対プラシーボのCox回帰に基づくHRは1.04(96%CI0.88、1.23)であった。したがって、リナグリプチンはプラシーボより優れていないことが判明した。組み合わせた持続性ESRDまたは腎死の分析に対して観察された正の傾向(リナグリプチン:136例の患者[3.9%]、プラシーボ:154例の患者[4.4%]が事象を有する)にもかかわらず、0.87のHRは統計的に有意でなかった。
一次および主要二次エンドポイントの感度分析をPPS(パープロトコルセット)、OS(オントリートメントセット)、TS(処置セット)+30日打ち切りアプローチおよびTS(処置セット)+0日打ち切りアプローチで行ったところ、すべての結果が主分析の知見と一致した。
また一次エンドポイントをある範囲のサブグループについて分析し、一般に処置効果に対するのと一致した結果がサブグループについて観察された。ベースライン時にインスリン処置ありもしくはなしの患者間で、あるいは対象の他のサブグループにおいて、例えばベースライン時に蔓延腎臓病のあるもしくはなしの患者またはeGFRカテゴリーにわたって処置効果に有意差は観察されなかった。
Figure 2021530508
三次エンドポイント
CVアウトカム
4P−MACE、CV死、全死因死亡、およびMI関連エンドポイントのエンドポイントに関して、リナグリプチンおよびプラシーボ群の間で有意差は観察されなかった。
脳血管結果
致死性および非致死性脳卒中ならびに一過性脳虚血発作のエンドポイントに関して、リナグリプチンおよびプラシーボ群間で有意差は観察されなかった。
心不全エンドポイント結果
心不全のための入院;CV死または心不全のための入院;全死因死亡または心不全のための入院;および心不全AEのエンドポイントに関して、リナグリプチンで処置した患者およびプラシーボの患者の間で有意差は観察されなかった。また、心不全の病歴を有するまたは有さない患者のサブグループおよび蔓延腎臓病を有するまたは有さないものでも差異は観察されなかった。ベースライン時にインスリンを使用するまた使用しない患者に関して、インスリンを使用する患者における中立の結果に対してインスリンを使用しない患者におけるリナグリプチンを好む処置交互作用によるかなりのサブグループが観察された。
Figure 2021530508
腎臓アウトカム結果
持続性ESRDまたは腎死に関する処置群間で有意差はなかった。
判定された複合腎臓エンドポイント2(腎死、持続性ESRD、もしくはeGFRのベースラインからの50%以上の持続的な低下)または複合腎臓エンドポイント3(腎死、持続性ESRD、もしくはeGFR(MDRD)<60ml/分/m2を伴うeGFR(MDRD)のベースラインからの30%以上の持続的な低下)(後者は判定されなかったが、中央検査室データのみに基づく)に関してリナグリプチン群およびプラシーボ群間で有意差は観察されなかった。
また、eGFR(MDRD)<60ml/分/m2を伴うeGFR(MDRD)のベースラインからの30%以上の持続的な低下;ならびに腎死、持続性ESRDまたはCV死の他の組み合わせたエンドポイントに関して処置群間でも有意差はなかった。
微小血管結果
複合微小血管アウトカム1(腎死、持続性ESRD、eGFRのベースラインからの50%以上の持続的な低下、アルブミン尿進行、糖尿病性網膜症に対する抗VEGF療法の網膜光凝固もしくは抗VEGF療法の硝子体内注射の使用または硝子体出血または糖尿病関連失明)までの時間のエンドポイントに関して、プラシーボ群と比較してリナグリプチン群においてリスクは有意に低下した。差異は主にリナグリプチン群におけるアルブミン尿進行のより低い発生により駆動された。
また、それぞれ40%および30%のeGFRの低下を使用する複合微小血管アウトカム2および3のエンドポイントに関して、リスクはプラシーボ群と比較してリナグリプチン群において有意に低下した。これらの差異もまた、リナグリプチン群におけるアルブミン尿進行のより低い発生により駆動された。
アルブミン尿関連結果
アルブミン尿進行のエンドポイントに関して、リスクはリナグリプチン群においてプラシーボ群と比較して有意に低下した。微量および顕性アルブミン尿の新たな発生はいずれもアルブミン尿進行と方向性が一致し、より大きい低下は蔓延したアルブミン尿または蔓延腎臓病の患者で観察された。リナグリプチン群においてプラシーボと比較してUACRの統計的に有意で臨床的に意味のある低下が132週まで観察され、ベースライン時に蔓延腎臓病の患者でより大きな効果が見られた。eGFRの経時的変化および慢性腎臓病(CKD)の状況における推移のさらなるエンドポイントが評価されたが、処置群間で臨床的に意味のある差異は観察されなかった。
さらなる三次エンドポイント結果
ステント血栓症、末梢血管新生のための入院、および網膜症関連エンドポイントのエンドポイントはすべてリナグリプチンおよびプラシーボ処置群間で有意差を示さなかった。
他のエンドポイント
HbA1cのベースラインからの経時的変化における処置群間の差異は132週の訪問まで有意であった。研究終了訪問時に追加の抗糖尿病薬またはバックグラウンド抗糖尿病薬の増大なしに血糖管理を達成した患者の割合はプラシーボ群よりリナグリプチン群で有意に大きかった。抗糖尿病薬にかかわらず研究の終了時に血糖管理を達成した患者の割合に対して同様なパターンが観察された(リナグリプチン:1012例の患者[29.0%、プラシーボ:685例の患者[19.7%])。同様なパターンが空腹時血糖値(FPG)に対して観察され、有意差が84週まで処置群間で観察された。
体重または腹囲の変化に関して研究の間処置群間で臨床的に意味のある差異は観察されなかった。ベースライン時にインスリン使用のない患者において、強化の開始またはインスリンの開始までの時間はリナグリプチンで処置した患者でプラシーボで処置した患者より遅かった。
結論:
この試験では、心血管リスクの高い2型糖尿病の患者において心血管および腎臓アウトカムに対するリナグリプチンの効果を評価した。DPP−4阻害剤を用いた他の完了したCVアウトカム試験と違って、この試験は、罹患している大血管性疾患の患者に加えて特に高い割合の蔓延腎臓病の患者を含み、したがって心血管および腎臓事象に対して極めて脆弱な集団を研究した。この試験で、リナグリプチンは、CV死、非致死性MI、または非致死性脳卒中(3P−MACE)の最初の発生までの時間に関して標準的治療に加えたプラシーボと比較して非劣性であることが示された。また、心不全のための入院またはその他のいずれかの心不全エンドポイントに対する増大したリスクもなかった。リナグリプチンは、腎死、持続性ESRDまたはeGFRのベースラインからの40%以上の持続的な低下の最初の発生までの時間においてプラシーボに匹敵していた。リナグリプチンは低血糖症に対するリスクを増大することなくアルブミン尿ならびにHbA1cを低下させた。リナグリプチンは全体として耐容性が良好であり、この研究における安全性プロファイルは薬剤の公知のプロフファイルと一致していた。要約すると、リナグリプチンの心血管および腎臓に対する安全性が罹患している大血管性および/または蔓延腎臓病を有するCV高リスク集団において立証された。
さらにより詳細に:
本心血管および腎臓アウトカム試験における2型糖尿病および心腎疾患を有する患者の心不全アウトカムに対するリナグリプチンの効果
バックグラウンドおよび目的:2型糖尿病(T2D)の人々は、特に付随する心血管(CV)および/または腎臓病の状況で、心不全のための入院(hHF)に対するリスクが増大している。ジペプチジルペプチダーゼ−4(DPP−4)阻害剤の全部ではないがいくつかは高CVリスク集団において増大したhHFと関連していた。ここで発明者らは、付随するCVおよび/または慢性腎臓病のためにhHFに対するリスクが高いT2Dの参加者を登録した大規模CVアウトカム試験である高い血管リスクの2型糖尿病を有する患者における心血管安全性および腎臓微小血管アウトカムを評価する心血管および腎臓アウトカム試験からのDPP−4阻害剤リナグリプチン(LINA)対プラシーボ(PBO)によるHFアウトカムの分析を提示する。
材料および方法:T2Dならびに付随するCVおよび/または腎臓病を有する人々を無作為化して、標準的治療に加えて1日一回(1:1)LINA 5mgまたはPBOを与えた。すべてのhHF、CVアウトカム、および死亡を、LINA対プラシーボを比較する個々および複合のHF関連アウトカム分析で中央判定した。医師により報告されたHF関連有害事象が、判定により確認されようとされまいと、それらも分析した。地域およびHFの病歴に対して調節するCox比例ハザードモデルを最初の事象の分析に使用した。再発性のhHF事象は負の二項モデルを用いて分析した。hHFに対するLINAの効果を、HFの病歴、インスリンの使用、年齢<または≧65歳、eGFR<または≧60ml/分/1.73m2、および地理的地域を含むベースラインサブグループにわたって比較した。
結果:この心血管および腎臓アウトカム試験は6979例の参加者を登録した。平均年齢65.9歳、BMI31.3kg/m2、eGFR54.6ml/分/m2およびHbA1c8.0%;62.9%が男性;58.5%が虚血性心疾患を有し、26.8%がHFの病歴を有していた。メジアンの追跡は2.2年であり、試験完全性および生命状態利用可能性はそれぞれ98.6%および99.7%であった。LINAはhHFの最初の事象までの時間のリスクに影響を及ぼさなかった(LINA209/3494、27.7/1000人年対PBO226/3485、30.4/1000人年;HR0.90[95%CI0.74、1.08])。LINA対PBOの一致して中立の効果が一連の個々および複合のHF関連アウトカム、再発性hHF事象、および利尿療法の開始にわたって観察された(図2、個々および複合のHF関連アウトカム、再発性hHF事象、利尿療法の開始に対する、ならびに対象のサブグループにおけるLINA対PBOの効果)。対象のサブグループにわたって、ベースラインのインスリンの使用により、また地域により異質性が観察された。ここで、ベースラインのインスリンの使用がないものの間でLINAの結果、しかしベースラインのインスリンの使用によるものではなく、hHFの名目上有意な低減が生じ(p交互作用=0.036)、また北アメリカおよびアジアではLINAによりhHFの名目上有意な低減があった(p交互作用=0.037)。
結論:T2Dならびに付随するCVおよび/または腎臓病を有する患者における大規模国際的なCVアウトカム試験で、リナグリプチンはHFの病歴を有するおよび有しない参加者の間を含め、hHFまたは他のHF関連アウトカムに対するリスクを増大しなかった。
また、さらにより詳細に:
本心血管および腎臓アウトカム試験における2型糖尿病および腎臓病を有する患者の腎臓および心血管アウトカムに対するリナグリプチンの効果
バックグラウンド:2型糖尿病(T2D)は末期腎臓病(ESKD)の一般的原因であるので、腎臓アウトカムに対する血糖降下療法の効果は、殊にCKDの人々において大変興味深い。
方法:本心血管および腎臓アウトカム試験では、T2Dおよびi)UACR>30mg/gの、付随するCV疾患またはii)蔓延したCKD(すなわちGFR<45ml/分/1.73m2および/もしくはUACR>200mg/g)を有する人々を無作為化して、二重盲検法で1日一回DPP−4阻害剤リナグリプチン(5mg)またはプラシーボを受けさせた。一次CVエンドポイントは3P−MACEであり、主要二次腎臓エンドポイント(判定されたESKD、腎死、またはeGFRのベースラインからの≧40%の持続的な低下)およびその他の腎臓アウトカム(アルブミン尿およびeGFRスロープを含む)も評価した。サブグループをベースラインの腎臓機能(eGFR≧/<45ml/分/1.73m2およびeGFR≧/<30、45または60ml/分/1.73m2)により評価した。
結果:27の国にまたがる660施設からの6979例の参加者(平均年齢65.9歳、HbA1c8.0%、eGFR54.6ml/分/1.73m2、43%がeGFR≦45、および80.3%がUACR>30mg/g)をメジアンの2.2年間追跡した。リナグリプチンはアルブミン尿進行およびアルブミン尿レベルを低減し;eGFRスロープ(表4)は影響を受けなかった。二次腎臓エンドポイント(HR1.04[0.89、1.22])、腎死、または持続性ESKD(0.87[0.69、1.10])、および腎死、持続性ESKD、または血清クレアチニンの持続≧倍増(0.92[0.77、1.11])、ならびに3P−MACEおよび心不全のための入院の割合(表4)も無作為化群間で同様であった。すべてのアウトカムは低下したeGFRを有するものにおいてより高い発生率で起こったが、結果は腎臓機能サブグループにわたって一致した(すべてp異質性>0.1)。
結論:リナグリプチンは長期のeGFRスロープまたはその他の腎臓アウトカムに影響を及ぼすことなくアルブミン尿の進行を遅くした。リナグリプチンはまた、臨床的証拠が特に乏しかった進行したCKDの患者におけるCV安全性も示した。
Figure 2021530508
また、さらにより詳細に:
研究デザイン
本心血管および腎臓アウトカム試験のデザインは既に記載されている(Rosenstock J, Perkovic V, Alexander J et al. Rrationale, Cardiovasc Diabetol. 2018;17:39、その開示は本明細書に組み込まれている)。簡単にいうと、これは、27ヶ国にまたがる660施設で行われ、少なくとも611例の参加者が判定で確認された一次のアウトカム事象を有するまで続けることを意図した無作為化された二重盲検の、プラシーボを対照とした臨床試験であった。
研究参加者
2型糖尿病、HbA1c6.5〜10.0%(両端を含む)、および高いCVリスクを有する成人が対象となる適格性があった。高いリスクはi)高いレベルのアルブミン尿(尿中アルブミン:クレアチニン比(UACR)>30mg/gもしくは同等として定義される微量もしくは顕性アルブミン尿)および罹患している大血管性疾患、ならびに/またはii)腎機能障害(eGFR45〜75ml/分/1.73m2およびUACR>200mg/gもしくは同等、またはUACRに関係なくeGFR15〜45)として定義された。大血管性疾患適格基準は心筋梗塞、冠状動脈疾患、脳卒中、頸動脈疾患、または末梢動脈疾患の文書に記録され確認された病歴に基づいていた。eGFR<15として定義されるまたは持続的透析を必要とする末期腎臓病(ESKD)の参加者は除外された。
研究手順
適格性のある個人を1日一回二重盲検経口リナグリプチン5mgまたは釣り合う用量のプラシーボに1:1で無作為化した。処置割り当ては地理的地域(北アメリカ、ラテンアメリカ、ヨーロッパ[+南アフリカ]、およびアジア)による階層化を有するコンピューターで作り出したランダム配列により決定された。無作為化に続いて、参加者は12週後の研究訪問のために戻り、その後研究終了まで24週毎に戻った。最終の追跡訪問は処置の終了後30日目に予定された。血糖均衡を維持するために、医師は、盲険のままにされる研究処置割り当てとは独立して、試験の間中適切な標準的治療に従って血糖管理のための追加の投薬(DPP−4阻害剤、GLP1受容体アゴニスト、およびSGLT2阻害剤を除く)をモニタリングし使用することが勧められた。他のCV危険因子の治療が適用できるガイドラインおよび進行中の標準治療に従って勧められた。通常より早く研究投薬を中止した患者はCVおよび主要二次腎臓アウトカム事象の確認のために追跡し、現地の法律および規則に従ってすべての無作為化された患者に関する研究完了時の生命状態情報を収集しようとした。
研究アウトカム
一次アウトカムはCV死、非致死性心筋梗塞(MI)または非致死性脳卒中(3−ポイント主要有害CV事象;MACE)の最初の発生までの時間として定義された。主要二次アウトカムは複合の判定確認された腎死、ESKD、またはeGFRのベースラインからの≧40%の持続的な低下の最初の発生までの時間として定義された。さらなるアウトカムはHFのための入院までの時間、全死因死亡、腎死またはESKDの複合、ならびにアルブミン尿、ハード腎臓アウトカムおよび主要な目事象を含んでいた微小血管複合アウトカムを含む。追加のアウトカムはアルブミン尿カテゴリーの進行およびHbA1cのベースラインからの変化であった。安全性は報告された有害事象に基づいて評価された。
結果
研究参加者
6991例の患者を無作為化し、そのうちの6979例に少なくとも1用量の研究薬剤を受けさせ、一次分析に含ませる。全体として、参加者の98.7%が研究を完了し、患者の25.6%は通常より早く研究薬剤を中止した。生命状態は研究完了時99.7%の患者で利用可能であった。ベースライン臨床特性は群間でバランスをとり、患者はCVおよび腎臓病危険因子に関して全体として良好に管理され(表5):57%が罹患しているCV疾患を、74%が蔓延腎臓病(eGFR<60ml/分/1.73m2および/またはUACR>300mg/gクレアチニンとして定義される)を、33%がCVおよび腎臓病の双方を有していた。15.2%がeGFR<30ml/分/1.73m2を有していた。処置持続時間および観察時間のメジアンはそれぞれ1.9および2.2年であった。
血糖管理
処置の12週後、全体的な低血糖症リスクを増大することなく(図3B)、より多くの患者が前から存在するインスリン療法の用量を開始または増大したプラシーボ群における(図3D)追加の血糖降下薬のより高い使用にもかかわらず(図3C)、リナグリプチン対プラシーボを用いて調節された糖化ヘモグロビンの平均の差は−0.51%(95%CI−0.55〜−0.46)(図3A)、全研究持続時間にわたる全体の差は−0.36%(95%CI−0.42、−0.29;最小二乗平均に基づく)であった。
体重、BP、LDL−C
全体として、体重、収縮期および拡張期の血圧ならびに低/高密度リポタンパク質コレステロールの変化は群間で差異がなかった。血圧降下薬、抗凝血剤またはLDL−コレステロール降下剤の新たな導入はリナグリプチンおよびプラシーボアーム間で同様であった。
心血管アウトカムおよび死亡
一次複合3−ポイントMACEは、リナグリプチンに無作為化された434/3494例(12.4%)の患者(100人年当たり5.77)およびプラシーボに無作為化された420/3485例(12.1%)の患者(100人年当たり5.63)で起こった。リナグリプチンはプラシーボに対して非劣性であったが(HR1.02[95%CI0.89、1.17]、p非劣性=0.0002;表6および図4A)、優越性を達成しなかった(p=0.7398)。一次アウトカムの事前に指定された感度分析は一致した結果を与えた。全体として、一次アウトカムに対するリスクは、糖化ヘモグロビンおよびカルシウムチャネル遮断薬の使用のサブグループに対するいくらかの異質性の兆候は別として事前に指定されたサブグループにわたって一致していた(表7)。4−ポイントMACEはリナグリプチンおよびプラシーボアームにおいてそれぞれ463/3493例(13.3%)対459/3485例(13.2%)で起こった(HR1.00[95%CI0.88、1.13]、p=0.9598)。同様に、CV死を含む個々の要素アウトカムのリスクに対して有意差は観察されなかった(表6;図4B)。あらゆる原因の死亡はリナグリプチン(10.5%、100人年当たり4.69)およびプラシーボ処置した参加者(10.7%、100人年当たり4.80)で同様の割合で起こった(HR0.98[95%CI0.84、1.13]、p=0.7402)(表6;図4C)。
腎臓および微小血管アウトカム
主要二次腎臓アウトカムはリナグリプチン(9.4%、100人年当たり4.89)およびプラシーボで処置した参加者(8.8%、100人年当たり4.66)アーム間で同様の割合で起こった(HR1.04[95%CI0.89、1.22]、p=0.62)(表6、図5A);事前に指定された感度およびサブグループ分析は、2型糖尿病の持続時間に対するいくらかの異質性の兆候は別として、類似の結果を示した;表8。腎死、持続性ESKD、またはeGFRの50%以上の持続的な低下の複合は同様な結果を示した(表6)。持続性ESKDまたは腎臓病による死亡の複合を含む「ハード腎臓事象」の追加のアウトカムは統計的に差異がなかった(3.9%、100人年当たり1.78対4.4%、100人年当たり2.04;HR0.87[95%CI0.69、1.10]、p=0.24[表6、図5B])。
アルブミン尿カテゴリーの進行(すなわち正常アルブミン尿から微量アルブミン尿への変化、または微量アルブミン尿から顕性アルブミン尿への変化)はリナグリプチンにおいて(763/2162例[35.3%]、100人年当たり21.4)プラシーボアーム(819/2129例[38.5%]、100人年当たり24.5)より少ない頻度で起こった;HR0.86(95%CI0.78、0.95)、p=0.0034(表6、図5C)。腎臓および主要な目事象の双方を含む別の事前に指定された微小血管複合アウトカム(腎死、ESKD、またはeGFRの50%の持続的な低下、アルブミン尿進行、糖尿病性網膜症のための網膜レーザー凝固もしくは抗VEGF注射、硝子体出血、または糖尿病関連失明)はリナグリプチンで処置した参加者においてプラシーボに割り当てられたものより少ない頻度で起こった(HR0.86[95%CI0.78、0.95]、p=0.0032)(表6、図5D)。目アウトカムはリナグリプチンおよびプラシーボアーム間で統計的に差異がなかった(HR0.73[95%CI0.47、1.12]、p=0.1472)、表9、表10。
心不全
HFのための入院は、リナグリプチンに無作為化された209/3494例の患者(6.0%;100人年当たり2.77)およびプラシーボに無作為化された226/3485例の患者(6.5%;100人年当たり3.04)で起こり、2つの処置群間で有意差はなかった(HR0.90[95%CI0.74、1.08]、p=0.2635)(表6;図4D)。事前に指定された感度分析は一致した結果を与えた。CV死の最初の事象までの時間またはHFのための入院の複合アウトカムはリナグリプチンに無作為化された406/3494例の患者(11.6%;100人年当たり5.37)およびプラシーボに無作為化された422/3485例の患者(12.1%;100人年当たり5.66)で起こり、ここでも2つの処置群間で有意差はなかった(HR0.94[95%CI0.82、1.08]、p=0.3881)。
hHFまたは死亡の複合アウトカムに関してリナグリプチン対プラシーボに対して差異がなかった(406対422の事象;HR0.94、95%CI0.82、1.08)ことに加えて、hHFもしくは全死因死亡(499対518の事象;HR0.95、95%CI0.84、1.07、医師により報告されたHF事象(243対271の事象;HR0.87[0.73、1.03])、または医師により報告された事象もしくは判定されたhHFの最初の事象までの時間の組合せ(305対326の事象、HR0.92[0.79、1.08])に関してもリナグリプチン対プラシーボに対して差異がなかった。再発性の事象分析において、hHF事象の累積数(最初+再発)はリナグリプチンおよびプラシーボ群で差異がなく(326対359の事象;率比0.94、95%CI0.75、1.25)、リナグリプチン群の合計60例(1.7%)の参加者およびプラシーボ群の78例(2.2%)が≧2のhHF事象を有していた。ループ利尿剤の新たな導入はリナグリプチンおよびプラシーボ間で差異がなく(318/2530対324/2461例の参加者、HR0.94、95%CI0.81、1.10)、ループ利尿剤またはhHFの新たな開始の複合アウトカムにおいて差異がなかった(330/2530対333/2461例の参加者、HR0.95、95%CI0.82、1.11)。hHFの事前に指定されたおよび事後に規定された感度分析は一次分析と一致する結果を与えた。
hHFの発生はベースライン特性により定義されたサブグループで実質的に変化した(表11)。しかし、ベースライン時にHFの病歴を有していたまたは有していない参加者のサブセットで、処置群間でhHFに有意差は観察されなかった(交互作用のp−値0.8104)。また、CV死(p交互作用0.763)、または一次アウトカム3−ポイントMACE(p交互作用0.9588)に対するベースラインのHF病歴による無作為化された処置割り当ての影響についても異質性は観察されなかった。
分析されたいくつかのサブグループにより(表11):地域により(表11);ベースライン時のインスリン使用により(表11);およびベースラインBPによりhHFに対するリナグリプチンの効果の統計的な異質性があった。リナグリプチンでプラシーボより統計的に有意に低いhHFのリスクが北アメリカまたはアジアから登録されたもの(p交互作用=0.0368)およびベースライン時にインスリンで処置しなかったもの(p交互作用=0.0360)に対して観察された。加えて、リナグリプチンのhHF効果の異質性もベースライン収縮期BP(SBP)により観察され、<140mmHgのサブグループにおいてリナグリプチンでプラシーボより統計的により低いhHFのリスクが観察されたが、SBP≧140mmHgのサブグループでは観察されなかった(交互作用のp−値0.0060);しかしながら、p交互作用はSBP<対≧160mmHgに対して0.1113であった。hHFに対する事象率はベースライン時に蔓延腎臓病(eGFR<60ml/分/1.73m2および顕性アルブミン尿として定義される:100人年当たり3.65対蔓延腎臓病のない群で1.37)を有するプラシーボ群の参加者で2.7倍、そして低いeGFR(eGFR<30:100人年当たり6.23対eGFR≧60で1.47)の参加者で4.2倍増大した。しかしながら、処置アームにより異なる効果は認められなかった(p交互作用=0.3918、および0.8827)。
ベースライン時、無作為化の前1年以内に945例(13.5%)の参加者について(リナグリプチン群458例、プラシーボ群487例)LV EFが捕らえられた。EF評価の様式は様々であるが、心エコー検査は非常に最も一般的に使用される方法であり(90.2%)、EF−評価と無作為化との間の平均の日数はリナグリプチンおよびプラシーボ群でそれぞれ127および153日であった。平均の無作為化前EFはリナグリプチン群で54%、プラシーボ群で55%であり、それぞれ31.9%および29.2%がEF≦50%を有し(平均LV EFはそれぞれ39.1±8.4%および39.2±7.6%)、11.6%および11.7%のみがEF≦40%を有する(平均LV EFはそれぞれ29.7±6.4%および31.7±6.1%)。全体で116のhHF事象が無作為化前のEF−評価を有する参加者で起こった。少なくとも1つのhHF事象を有するこれらのうち、平均の無作為化前EFはリナグリプチン対プラシーボ群でそれぞれ46.1±13.8%対47.7±12.8%であったが、hFH事象のないもので対応する平均の前EFは54.7±11.8%および55.2±12.0%であった。hHF(p交互作用=0.141)に対して、hHFもしくはCV死の複合アウトカム(p交互作用=0.158)に対して、または3−ポイントMACE(p交互作用=0.310)に対してEF<または≧50%により分類される無作為化前EFによるリスクに対するリナグリプチン効果の異質性はなかった。
他の安全性および有害事象
有害事象、重篤な有害事象、および研究薬剤中止に至る有害事象はリナグリプチンまたはプラシーボで処置した患者において同様な割合で起こった(表6)。類天疱瘡事象(リナグリプチン7[0.2%]対0プラシーボ]、皮膚病変(リナグリプチン5[0.2%]対プラシーボ1[<0.1%)])、および判定確認された急性膵炎事象(リナグリプチン9[0.3%]対プラシーボ5[0.1%])に対する数値上の不均衡が観察された。慢性膵炎の判定確認された事象は同様な頻度(リナグリプチン2[0.1%]対プラシーボ3[0.1%])で起こった。
悪性腫瘍は双方の群において同様な頻度(リナグリプチン116[3.3%]対プラシーボ134[3.8%])で起こった。報告された膵臓がんの全体事象はまれであったが、数値上はリナグリプチン(11[0.3%])でプラシーボ群(4[0.1%])より高かった。腫瘍学専門家評価委員会は各々の処置アームの1つの症例を研究薬剤処置に関連している可能性があると見做した。
確認された低血糖有害事象(重度の低血糖症の事象を含む)はリナグリプチンおよびプラシーボアームで全体として同様な割合の患者で起こった(表6、図3B)。ベースライン時にスルホニル尿素を服用していた患者においてプラシーボと比較して数値の上で高い割合の低血糖症がリナグリプチンで観察されたが、低血糖症に対する増大したリスクのある他のサブグループでは観察されなかった(図6)。
Figure 2021530508

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心血管および腎臓アウトカム試験に関してまたさらにより詳細に:
心血管および腎臓(微小血管)アウトカム試験の約4分の3の患者がベースライン時に低下した腎臓機能(eGFR<60mL/分/1.73m2)および/または顕性アルブミン尿(尿中アルブミン/クレアチニン比>300mg/g)と定義される蔓延CKDを有していた。
KDIGOは、アルブミン尿および腎臓のリスクの組合せに基づいて低い、中程度、高いおよび極めて高いリスクに従って(有害腎臓事象に対する)腎臓の予後を分類している。この国際的に承認されている標準によると、心血管および腎臓アウトカム試験の44%の患者がベースライン時に極め高いリスクにあり、さらに27%の患者が高いリスクにあり、7%のみが低いリスクであった。
心血管および腎臓アウトカム試験の前のジペプチジルペプチダーゼ−4(DPP−4)阻害剤心血管アウトカム試験(CVOT)の限界は研究コホートの少数の患者だけがベースライン時に低下した腎臓機能(推定糸球体ろ過量(eGFR)<60ml/分/1.73m2)を有していたことである。さらに少ない患者が重度に低下した腎臓機能(eGFR<30ml/分/1.73m2)または顕性アルブミン尿(尿中アルブミン/クレアチニン比>300mg/g)を有していた。それに反して、心血管および腎臓アウトカム試験における62%および15%の患者がベースライン時に低下したまたは重度に低下した腎臓機能を有しており、顕性アルブミン尿の有病率は39%であり、これはサキサグリプチンCVOTにおいてベースライン時に顕性アルブミン尿の患者が10%であったことと対比される。シタグリプチンCVOTの顕性アルブミン尿有病率はデータが入手可能であった患者の限定された数に基づいており;アログリプチンCVOTの顕性アルブミン尿の有病率は報告されていない。
心臓および腎臓は心不全および慢性腎臓病(CKD)の同時に起きる罹患率を御する多様な相互作用により複雑に関連付けられている。心不全のための入院(HHF)リスクは腎機能障害(eGFRにより測定される)を示す患者において上昇している。しかし、リナグリプチンはベースラインの腎臓機能にかかわらずHHFのリスクに影響を及ぼさなかった。
付随する慢性腎臓病(CKD)および心血管(CV)疾患を有する2型糖尿病(T2D)の人々は再発性CV事象および低血糖症に対するリスクが増大している。これらの個人の治療は臨床的に困難であり、特にGFRカテゴリーG3b(eGFR30〜44ml/分/1.73m2)、G4(eGFR<30)およびG5(eGFR<15)において、血糖降下薬の安全性および有効性に対する証拠が乏しい。本発明者らは、心血管および腎臓アウトカム試験におけるGFRカテゴリーにわたってDPP−4阻害剤リナグリプチン(LINA)対プラシーボ(PBO)によるベースライン特性ならびにCVおよび腎臓アウトカムに対する効果を分析した。T2Dならびにi)UACR>30mg/gおよび付随するCV疾患、またはii)UACRに関係なくeGFR<45ml/分/1.73m2、もしくはeGFR≧45〜75mL/分/1.73m2およびUACR>200mg/gを有する人々を二重盲検法でLINA5mgまたはプラシーボ(PBO)にq.d.無作為化した。一次アウトカムはCV死、非致死性心筋梗塞、または非致死性脳卒中の最初の発生(3P−MACE)であり、ESKD、腎死、またはeGFRのベースラインからの≧40%の持続的な低下の判定された二次複合アウトカムを伴った。他の判定されたアウトカムは入院した心不全(hHF)および3P−MACE要素を含んでいた。GFRカテゴリー(G≦2、G3a、G3bおよびG≧4)にわたるサブグループ効果も評価した。6979例の参加者のうち、ベースライン時に15.2%がGFRカテゴリーG≧4、27.8%がG3b、19.3%がG3a、37.7%がG≦2であった。G≧4(平均±SDeGFR23.4±4.2mL/分/1.73m2)またはG3b(eGFR37.2±4.1)の参加者はG3a(eGFR51.4±4.4)およびG≦2(eGFR81.6±16.7)と比較してより多くのアルブミン尿、より長いT2D持続時間を有し、より頻繁にインスリンで処置されたが、スルホニル尿素およびメトホルミンによる処置はより少なかった。メジアンの2.2年を超えて、LINAは3P−MACE(HR.1.02[95%CI、0.89、1.17])、二次腎臓複合アウトカム(1.04[0.89、1.22])、hHF(0.90[0.74、1.08])、またはCV死亡(0.96[0.81、1.14])に対するリスクに影響を及ぼさなかった。
アルブミン尿カテゴリーの進行(すなわち正常アルブミン尿から微量/顕性アルブミン尿への変化、または微量アルブミン尿から顕性アルブミン尿への変化)はリナグリプチン(763/2162[35.3%])でプラシーボ群(819/2129[38.5%])より少ない頻度で起こった;HR0.86(95%CI0.78、0.95)、p=0.003。
発生は腎臓機能が低下するとより高くなり、例えば3P−MACE PBO発生率はG≧4(100人年当たり9.6)ではG≦2(100人年当たり4.0)に対して2.4倍高く、腎臓複合は9.8倍(100人年当たり14.7対1.5)、hHFは4.1倍(人年当たり6.2対1.5)、CV死は3.0倍(100人年当たり6.8対2.3)それぞれ高かった。一致した中立的効果がすべてのGFRカテゴリーにわたって観察された(交互作用のp−値:0.84[3P−MACE]、0.36[腎臓複合]、0.88[hHF]、0.23[CV死亡])。
アルブミン尿の進行は全体的にプラシーボに対してリナグリプチンで有意に低減し、一致した有益な効果はすべてのeGFRカテゴリーにわたって観察された(交互作用のp−値:0.35)。
有害事象(AE)は腎臓機能が低下すると共に増大したが、≧1AE、または≧1の重篤なAEの割合はLINAとPBOとでGFRカテゴリーにわたって釣り合っていた。HbA1cは有意に低下したが、LINA対PBOですべてのGFRカテゴリーにわたって低血糖症に対するリスクは増大しなかった。
T2DMならびに高いCVおよび腎臓リスクの成人間で、メジアンの2.2年にわたって各々通常治療に加えてプラシーボと比較してリナグリプチンを使用すると、二次腎臓アウトカムに対する影響はなく複合CVアウトカムの非劣性のリスクが得られた。
hHFおよびその合併症に対するリスクが極めて高いこの患者集団において、リナグリプチンはhHFに対するリスクを増大することなく使用することができる。
T2Dならびに付随するCVおよび腎疾患を有する患者に対する大規模国際的心血管(安全性)および腎臓(微小血管)アウトカム試験におけるこれらの知見は、特にGFRカテゴリーG3b(eGFR30〜44ml/分/1.73m2)、G4(eGFR<30)およびG5(eGFR<15)の場合血糖降下薬の安全性および有効性の証拠が乏しい、臨床的に困難な患者(高い心腎リスクがある)も含めて広範囲の腎臓病に対して使用することができるT2D療法としてのLINAの安全性および耐容性を支持する。
なおさらにまた、心血管および腎臓アウトカム試験に関してさらにより詳細に:
目的
ジペプチジルペプチダーゼ−4阻害剤であるリナグリプチンは、国際共同心血管および腎臓アウトカム試験において罹患している心血管疾患(CVD)および/または腎臓病を有する2型真性糖尿病(T2DM)患者で心血管および腎臓に対する安全性を示した。本発明者らは、リナグリプチンの効果をアジア人の患者で心血管および腎臓アウトカム試験において研究した。
方法
HbA1c6.5〜10.0%で、CVDに罹患しており、尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)>30mg/gで、および/または蔓延腎臓病(推定糸球体ろ過量[eGFR]15〜<45ml/分/1.73m2もしくは≧45〜75でUACR>200mg/g)のT2DM患者を通常治療に追加したリナグリプチンまたはプラシーボに無作為化した。一次エンドポイントは心血管死、非致死性心筋梗塞、または非致死性脳卒中(3−ポイントMACE)の最初の発生までの時間であった。
結果
全試験集団およびアジア人患者における心血管アウトカムおよび死亡率の結果を図7に示す。全試験集団およびアジア人患者における腎臓および微小血管アウトカムの結果を図8に示す。
6979例の患者のうち、555例(8.0%)がアジアに住むアジア人であった。メジアンの2.2年の追跡の間、3−ポイントMACEが全体集団と一致して(ハザード比[HR]:1.02;95%信頼区間[CI]:0.89〜1.17;地域による処置交互作用に対するP−値:0.3349)リナグリプチンおよびプラシーボ患者のそれぞれ29/272例(10.7%)および33/283例(11.7%)で起こった(HR:0.90;95%CI:0.55〜1.48)。アジア人患者における同様な中立性が腎不全による死亡、末期腎臓病への進行、または≧40%のeGFR低下の二次腎臓エンドポイントを含む他の心腎事象で見られた(HR:0.96、95%CI:0.58〜1.59)。リナグリプチンは心不全のための入院のリスクの名目上の低下を伴った(HR:0.47;95%CI:0.24〜0.95)。全体としてアジア人患者において、リナグリプチンは全体集団と一致してプラシーボと同様な有害事象率を有していた。

Claims (27)

  1. 糖尿病(好ましくは2型糖尿病)患者の治療における使用のための1種以上の他の活性薬剤と組み合わせてもよいリナグリプチンであって、前記患者のリナグリプチンによる治療が、スリーポイント主要有害心血管事象(3P−MACE)のリスクを、プラシーボで処置した患者と比較して増大せず、スリーポイント主要有害心血管事象(3P−MACE)は、心血管死、非致死性心筋梗塞(MI)および/または非致死性脳卒中を含む、リナグリプチン。
  2. リスクが、明細書中に記載の表1に示される通りであり、例えば以下のハザード比(HR):
    Figure 2021530508

    を特徴とする、請求項1に記載の使用のための1種以上の他の活性薬剤と組み合わせてもよいリナグリプチン。
  3. 糖尿病(好ましくは2型糖尿病)患者の治療における使用のための1種以上の他の活性薬剤と組み合わせてもよいリナグリプチンであって、前記患者のリナグリプチンによる治療が、心不全のための入院のリスクを、プラシーボで処置した患者と比較して増大しない、リナグリプチン。
  4. リスクが、明細書中に記載の図2に示される通りであり、例えばハザード比(HR)0.90(95%CI;0.74、1.08)を特徴とする、請求項3に記載の使用のための1種以上の他の活性薬剤と組み合わせてもよいリナグリプチン。
  5. 糖尿病(好ましくは2型糖尿病)患者の治療における使用のための1種以上の他の活性薬剤と組み合わせてもよいリナグリプチンであって、前記患者のリナグリプチンによる治療が、主要腎臓アウトカム事象のリスクを、プラシーボで処置した患者と比較して増大せず、主要腎臓アウトカム事象は、腎死、持続性末期腎疾患(ESRD)および/または推定糸球体ろ過量(eGFR)の40%以上の持続的な低下を含む、リナグリプチン。
  6. リスクが、本明細書の表2に示される通りであり、例えば以下のハザード比(HR):
    Figure 2021530508

    を特徴とする、請求項5に記載の使用のための1種以上の他の活性薬剤と組み合わせてもよいリナグリプチン。
  7. 糖尿病(好ましくは2型糖尿病)患者の治療における使用のための1種以上の他の活性薬剤と組み合わせてもよいリナグリプチンであって、前記患者のリナグリプチンによる治療が、プラシーボで処置した患者と比較して、アルブミン尿進行を防止する、その発生を遅延させる、またはそのリスクを低減し、アルブミン尿進行は、正常アルブミン尿から微量もしくは顕性アルブミン尿への変化および/または微量アルブミン尿から顕性アルブミン尿への変化を含む、リナグリプチン。
  8. 糖尿病(好ましくは2型糖尿病)患者の治療における使用のための1種以上の他の活性薬剤と組み合わせてもよいリナグリプチンであって、前記患者のリナグリプチンによる治療が、プラシーボで処置した患者と比較して、微小血管腎臓および/もしくは眼合併症を防止する、その発生を遅延させる、またはそのリスクを低減し、微小血管腎臓および/または眼合併症は、腎死、持続性ESRD、eGFRの≧50%の持続的な低下、アルブミン尿進行、網膜光凝固の使用、糖尿病性網膜症のための抗VEGF療法の硝子体内注射の使用、硝子体出血および/または糖尿病関連失明を含む、リナグリプチン。
  9. リナグリプチンが、以下:
    i)(1つ以上の)スリーポイント主要有害心血管事象(3P−MACE)のリスクを増大しない治療であって、(1つ以上の)スリーポイント主要有害心血管事象(3P−MACE)は、心血管死、非致死性心筋梗塞(MI)および/または非致死性脳卒中を含む、治療、
    ii)心不全のための入院のリスクを増大しない治療、
    iii)(1つ以上の)主要腎臓アウトカム事象のリスクを増大しない治療であって、(1つ以上の)主要腎臓アウトカム事象は、腎死、持続性末期腎疾患(ESRD)および/または推定糸球体ろ過量(eGFR)の40%以上の持続的な低下を含む、治療、
    iv)アルブミン尿進行を防止する、その発生を遅延させる、またはそのリスクを低減することを伴う治療であって、アルブミン尿進行は、正常アルブミン尿から微量もしくは顕性アルブミン尿への変化および/または微量アルブミン尿から顕性アルブミン尿への変化を含む、治療、
    ならびに/または
    v)(1つ以上の)微小血管腎臓および/または眼合併症を防止する、その発生を遅延させる、またはそのリスクを低減することを伴う治療であって、(1つ以上の)微小血管腎臓および/または眼合併症は、腎死、持続性ESRD、eGFRの≧50%の持続的な低下、アルブミン尿進行、網膜光凝固の使用、糖尿病性網膜症のための抗VEGF療法の硝子体内注射の使用、硝子体出血および/または糖尿病関連失明を含む、治療;
    ならびに/または
    iv)全死因死亡のリスクを増大しない治療、ならびに/または
    v)CV死のリスクを増大しない治療
    をもたらす、請求項1〜8のいずれか1項に記載の糖尿病(好ましくは2型糖尿病)患者の治療における使用のための1種以上の他の活性薬剤と組み合わせてもよいリナグリプチン。
  10. 患者が少なくとも1.8年もしくは少なくとも1.9年治療を受け、および/または少なくとも2.2年追跡される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の使用のための1種以上の他の活性薬剤と組み合わせてもよいリナグリプチン。
  11. 糖尿病患者が高いまたは増大した血管(例えば心腎)リスクを有し、殊に高いまたは増大した心血管および/または腎臓合併症または事象のリスクを有する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の使用のための1種以上の他の活性薬剤と組み合わせてもよいリナグリプチン。
  12. 患者が、罹患している大血管性疾患および/または腎疾患(例えばアルブミン尿および/または腎機能障害)(の病歴)に基づくような高いまたは増大した心血管および/または腎臓事象のリスクを有し;例えば、糖尿病患者がi)アルブミン尿および以前の大血管性疾患ならびに/またはii)所定の尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)を有する腎機能障害により定義されるような、大血管性(心血管)疾患を伴うまたは伴わない蔓延腎臓病または欠陥のある腎臓機能の証拠を有する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の使用のための1種以上の他の活性薬剤と組み合わせてもよいリナグリプチン。
  13. 糖尿病患者が:
    (i)アルブミン尿(微量または顕性)(例えば尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)≧30mg/gクレアチニンまたは≧30mg/l(尿1リットル当たりのアルブミンのミリグラム)または≧30μg/分(1分当たりのアルブミンのマイクログラム)または≧30mg/24時間(24時間当たりのアルブミンのミリグラム)として定義されるような)および以前の大血管性疾患、例えばa)〜f)の1つ以上として定義される:
    a)以前の心筋梗塞、
    b)進行した冠状動脈疾患、
    c)高リスクの一枝冠状動脈疾患、
    d)以前の虚血性または出血性脳卒中、
    e)頸動脈疾患の存在、
    f)末梢動脈疾患の存在
    ならびに/または
    (ii)例えば:
    ・推定糸球体ろ過量(eGFR)15〜45mL/分/1.73m2を有し、何らかの尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)を有する腎機能障害(例えばMDRD式により定義される)、または
    ・推定糸球体ろ過量(eGFR)≧45〜75mL/分/1.73m2を有し、尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)>200mg/gクレアチニンもしくは>200mg/l(尿1リットル当たりのアルブミンのミリグラム)もしくは>200μg/分(1分当たりのアルブミンのマイクログラム)もしくは>200mg/24時間(24時間当たりのアルブミンのミリグラム)を有する腎機能障害(例えばMDRD式により定義される)
    により定義されるような腎機能障害(例えばCV併存疾患ありまたはなし)
    を有する、請求項1〜12のいずれか1項に記載の使用のための1種以上の他の活性薬剤と組み合わせてもよいリナグリプチン。
  14. 治療が、リナグリプチンによる治療に先立って、(高いまたは増大した)血管(例えば心腎)リスクを有する糖尿病患者を特定すること、殊に心血管および/または腎臓事象の高いまたは増大したリスクを有する糖尿病患者を特定することをさらに含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載の使用のための1種以上の他の活性薬剤と組み合わせてもよいリナグリプチン。
  15. 治療が、リナグリプチンによる治療に先立って、心不全のリスクを有する糖尿病患者を特定することをさらに含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載の使用のための1種以上の他の活性薬剤と組み合わせてもよいリナグリプチン。
  16. リスクが、罹患している大血管性疾患および/または腎疾患(例えばアルブミン尿および/または腎機能障害)(の病歴)に基づく、例えば、例えばi)アルブミン尿および以前の大血管性疾患ならびに/またはii)例えば請求項13に定義されているような所定の尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)を有する腎機能障害により定義されるような、大血管性(心血管)疾患を伴うまたは伴わない蔓延腎臓病または欠陥のある腎臓機能の証拠に基づく、請求項14または15に記載の使用のための1種以上の他の活性薬剤と組み合わせてもよいリナグリプチン。
  17. 患者が、
    微量アルブミン尿(UACR30〜300mg/g)もしくは顕性アルブミン尿(UACR>300mg/g)のようなアルブミン尿、
    および/または
    軽度(eGFR≧60〜<90mL/分/1.73m2)、中等度(eGFR≧45〜<60mL/分/1.73m2)、中等度/重度(eGFR≧30〜<45mL/分/1.73m2)もしくは重度(eGFR<30mL/分/1.73m2)の腎臓機能障害のような腎機能障害
    を有する、請求項1〜16のいずれか1項に記載の使用のための1種以上の他の活性薬剤と組み合わせてもよいリナグリプチン。
  18. 心不全のリスクのある糖尿病(好ましくは2型糖尿病)患者を治療する方法であって、患者をリナグリプチンで治療することを含む、方法。
  19. 前記患者のリナグリプチンによる治療が、心不全のための入院のリスクを、プラシーボで処置した患者と比較して増大しない、請求項18に記載の方法。
  20. リナグリプチンによる治療に先立って心不全のリスクのある患者を特定することをさらに含む、請求項18または19に記載の方法。
  21. 心血管および/または腎臓事象に対して高いまたは増大したリスクを有する糖尿病(好ましくは2型糖尿病)患者を治療する方法であって、患者をリナグリプチンで治療することを含む、方法。
  22. 前記患者のリナグリプチンによる治療が、各々プラシーボで処置した患者と比較して、
    i)(1つ以上の)スリーポイント主要有害心血管事象(3P−MACE)のリスクを増大しない治療であって、(1つ以上の)スリーポイント主要有害心血管事象(3P−MACE)は心血管死、非致死性心筋梗塞(MI)および/もしくは非致死性脳卒中を含む、治療、
    ii)心不全のための入院のリスクを増大しない治療、ならびに/または
    iii)(1つ以上の)主要腎臓アウトカム事象のリスクを増大しない治療であって、(1つ以上の)主要腎臓アウトカム事象は、腎死、持続性末期腎疾患(ESRD)および/もしくは推定糸球体ろ過量(eGFR)の40%以上の持続的な低下を含む、治療である、請求項21に記載の方法。
  23. リナグリプチンによる治療に先立って心血管および/または腎臓事象に対する(高いまたは増大した)リスクを有する患者を特定することをさらに含む、請求項21または22に記載の方法。
  24. リスクが、例えばi)アルブミン尿および以前の大血管性疾患ならびに/またはii)例えば請求項13に定義されているような所定の尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)を有する腎機能障害により定義されるような、罹患している大血管性疾患および/または腎疾患(例えばアルブミン尿および/または腎機能障害)(の病歴)に基づく、請求項20または23に記載の方法。
  25. 患者が、
    微量アルブミン尿(UACR30〜300mg/g)もしくは顕性アルブミン尿(UACR>300mg/g)のようなアルブミン尿、
    および/または
    軽度(eGFR≧60〜<90mL/分/1.73m2)、中等度(eGFR≧45〜<60mL/分/1.73m2)、中等度/重度(eGFR≧30〜<45mL/分/1.73m2)もしくは重度(eGFR<30mL/分/1.73m2)の腎臓機能障害のような腎機能障害
    を有する、請求項18〜24のいずれか1項に記載の方法。
  26. 前記患者のリナグリプチンによる治療が、各々プラシーボで処置した患者と比較して
    iv)全死因死亡のリスクを増大しない、および/または
    v)CV死のリスクを増大しない、請求項21または22に記載の方法。
  27. リナグリプチンが5mgの経口1日用量で投与される、請求項1〜17のいずれか1項に記載の使用のための1種以上の他の活性薬剤と組み合わせてもよいリナグリプチン。
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