JP2021095409A - 心臓保護及び腎臓保護の抗糖尿病治療におけるリナグリプチンの使用 - Google Patents
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Abstract
Description
2型糖尿病の治療は典型的にはダイエット及び運動、続いて経口抗糖尿病単一治療薬で始まり、通常の単一治療薬は或る患者で初期に血液グルコースを調節し得るが、それは高い二次失敗率と関連している。血糖調節を維持するための単一薬剤治療の制限は、少なくとも或る患者で、かつ時間の制限された期間にわたって、多種の薬剤を組み合わせて血液グルコースの減少(これは単一薬剤による長期治療中に持続し得ない)を達成することにより解消し得る。入手し得るデータは2型糖尿病の殆どの患者で現行の単一治療が失敗し、多種薬物による治療が必要とされるであろうという結論を支持する。しかしながら、2型糖尿病は進行性疾患であるので、通常の組み合わせ治療に対する良好な初期応答を有する患者でさえもが最終的に用量の増加又は付加的な経口もしくは非経口抗糖尿病薬による更なる治療(しばしば最後にインスリン治療による)を必要とするであろう。何とならば、血液グルコースレベルが時間の長期間にわたって安定に維持するのに非常に困難であるからである。既存の組み合わせ治療は血糖調節を増進する潜在性を有するが、それは無制限ではない(特に長期効力に関して)。更に、従来の治療薬は副作用、例えば、低血糖又は体重増加の増大されたリスクを示すことがあり、これがそれらの効力及び許容性を悪化し得る。
それ故、高血糖の集中治療は慢性損傷の発生を減少し得るが、糖尿病の多くの患者は、部分的に長期効力、安全性/寛容性の制限及び通常の抗高血糖治療薬の投薬の不便のために、不適切に治療されるに留まる。
加えて、肥満、過剰体重又は体重増加(例えば、幾つかの通常の抗糖尿病薬の副作用又は不利な作用として)が糖尿病及びその微小血管又は大血管合併症、及び/又は関連認知合併症の治療を更に複雑にする。
治療に通常使用される経口抗糖尿病薬(例えば、第一選択、第二選択又は第三選択、及び/又は単一治療もしくは(初期もしくは併用)組み合わせ治療)として、メトホルミン、スルホニル尿素、チアゾリジンジオン、グリニド及びα−グルコシダーゼ阻害薬が挙げられるかもしれないが、これらに限定されない。
治療に通常使用される非経口(典型的には注射される)抗糖尿病薬(例えば、第一選択、第二選択又は第三選択、及び/又は単一治療薬もしくは(初期もしくは併用)組み合わせ治療薬)として、GLP-1 又はGLP-1 類似体、及びインスリン又はインスリン類似体が挙げられるかもしれないが、これらに限定されない。
しかしながら、これらの通常の抗糖尿病薬又は抗高血糖薬の使用は種々の不利な作用と関連し得る。例えば、メトホルミンは乳酸アシドーシス又は胃腸副作用と関連することがあり、スルホニル尿素、グリニド及びインスリン又はインスリン類似体は低血糖及び体重増加と関連することがあり、チアゾリジンジオンは浮腫、骨破損、体重増加及び心不全/心臓作用と関連することがあり、またα−グルコシダーゼ遮断薬及びGLP-1 又はGLP-1 類似体は胃腸の不利な作用(例えば、消化不良、膨満もしくは下痢、又は悪心もしくは嘔吐)と関連し得る。
これらの副作用の夫々と関連する罹患状態に加えて、それらはまた不利な心血管のかかわりを有し得る。例えば、低血糖及び体重増加は不利なCV致死性結果の寄与因子と仮定される。
低血糖エピソードもまた認知スキルに有害と同定され、認知障害又は痴呆の一層大きいリスクと関連している。低血糖のリスクは老人で併存疾患及び多薬物使用により更に増大される。
更に、2型糖尿病の治療内で、それは、例えば、長く持続する治療上の利益を得るために、症状を有効に治療し、症状に特有の微小血管合併症及び/又は大血管合併症を回避し、疾患進行を遅延又は軽減するための要望である。
更に、抗糖尿病治療が糖尿病疾患の進行した段階でしばしば見られる長期合併症を予防し、かつ/又は治療するだけでなく、このような合併症(例えば、腎臓障害)を発生し、又は発生するリスクのあるこれらの糖尿病患者で治療選択肢であるという要望が残っている。
特に、抗糖尿病治療が微小血管(腎臓)合併症及び大血管(CV)合併症の好ましくは両方を一緒に、好ましくは一つの治療内で、予防し、かつ/又は治療するという要望がある。
更に、特に、微小血管(腎臓)合併症及び大血管(CV)合併症の両方を発生し、又は発生するリスクのあるこれらの糖尿病患者で治療選択肢を提供するようにとの要望がある。
また、抗糖尿病治療が好ましくは微小血管(腎臓)合併症及び大血管(CV)合併症の両方と一緒に、好ましくは一つの治療内で、加速された認知低下(これは微小血管合併症及び/又は大血管合併症と関連し得る)を予防し、かつ/又は治療するという要望がある。
更に、通常の抗糖尿病治療薬と関連する不利な作用について予防又はリスクの低減を与えるようにとの要望が残っている。
本発明のこのような治療(例えば、先に、又は後に更に詳細に記載されるような)は以下に更に詳しく記載されるような、長期(治療の期間)にわたるこのような或る種のDPP-4 阻害薬(好ましくは、一種以上の他の活性薬剤と組み合わされていてもよいリナグリプチン)による治療を含んでもよい。
本発明は心血管疾患及び/又は腎臓の微小血管疾患を有し、又はそのリスクのある患者(好ましくは糖尿病、特に2型糖尿病の患者)、例えば、高い血管のリスクのある患者(例えば、本明細書に記載されるような)、例えば、本明細書に以下に記載される実施態様1〜6又は1〜7の少なくとも一つに記載の患者における使用のための或る種のDPP-4 阻害薬(好ましくは、一種以上の他の活性薬剤と組み合わされていてもよいリナグリプチン)に関する。
本発明は、好ましくは糖尿病患者(特に2型糖尿病患者)、例えば、心血管疾患及び/又は腎臓の微小血管疾患を有し、又はそのリスクのある患者、例えば、高い血管のリスクのある患者(例えば、本明細書に記載されたこれらの患者)、例えば、本明細書に以下に記載される実施態様1〜6又は1〜7の少なくとも一つに記載の患者で血管疾患、例えば、心血管(CV)疾患及び/又は腎臓微小血管疾患(実施態様において、このような血管疾患は更に認知低下又は障害を含み得る)からの罹患状態及び/又は早期致死性のリスクを減少し、予防し、それに対して保護し、遅延し、かつ/又は低減する際の使用のための或る種のDPP-4 阻害薬(好ましくは、一種以上の他の活性薬剤と組み合わされていてもよいリナグリプチン)に関する。
或る実施態様において、本発明の治療(例えば、先に、又は後に記載されるもの、例えば、ヒト2型糖尿病患者、例えば、心血管疾患及び/又は腎臓微小血管疾患を有し、又はその高いリスクのある患者、例えば、高い血管のリスクのある患者(例えば、本明細書に記載されたこれらの患者)、例えば、本明細書に以下に記載される実施態様1〜6又は1〜7の少なくとも一つに記載のこれらの患者の心臓保護治療及び/又は腎臓保護治療)は長い期間、例えば、少なくとも1-6 年、2年以上、又は3-7 年、例えば、3-4 年、3-5 年、3-6 年、4-5 年、4-6 年、5-6 年又は5-7 年、好ましくは少なくとも48ヶ月、更に好ましくは少なくとも3年にわたっての或る種のDPP-4 阻害薬、特にリナグリプチン(必要により一種以上の他の活性物質、例えば、本明細書に記載されるものと組み合わせて、経口投与される、毎日好ましくは5 mg)による治療の期間を含んでもよい。
更に詳しい例につき、或る種のDPP-4 阻害薬、特にリナグリプチン(必要により一種以上の他の活性物質、例えば、本明細書に記載されるものと組み合わせて、経口投与される、毎日好ましくは5 mg)による治療の期間は、例えば、心血管疾患及び/又は腎臓微小血管疾患を有し、又はその高いリスクのある患者(例えば、糖尿病、特に2型糖尿病患者)、例えば、高い血管のリスクのある患者(例えば、本明細書に記載されたこれらの患者)、例えば、本明細書に以下に記載される実施態様1〜6又は1〜7の少なくとも一つに記載の患者で長い期間、好ましくは少なくとも48ヶ月、更に好ましくは少なくとも3年(例えば、少なくとも3-4 年、又は少なくとも5-6 年)にわたってもよい。
実施態様において、本発明は、好ましくは糖尿病患者(特に2型糖尿病患者)、例えば、心血管疾患及び/又は腎臓微小血管疾患を有し、又はその高いリスクのある患者、例えば、高い血管のリスクのある患者(例えば、本明細書に記載されたこれらの患者)、例えば、本明細書に以下に記載される実施態様1〜7の少なくとも一つに記載のこれらの患者で、罹患状態(例えば、腎臓罹患状態)及び/又は(早期)腎臓致死性、例えば、網膜症、腎症、神経障害、認知低下、痴呆、抑うつ障害、情緒もしくは不安障害、微量アルブミン尿症、顕性アルブミン尿症、慢性腎臓疾患 (CKD)、腎臓障害、腎臓死、終期腎臓疾患及び/又は推定糸球体濾過率の損失(例えば、eGFR ≧ 基準線から50%)から選ばれた一つ以上のリスクを減少し、予防し、それに対し保護し、遅延し(例えば、発生又は進行)、かつ/又は低減する際の使用のための或る種のDPP-4 阻害薬(好ましくは、一種以上の他の活性薬剤と組み合わされていてもよいリナグリプチン)に関する。
罹患状態(例えば、腎臓罹患状態)及び/又は(早期)腎臓致死性、例えば、網膜症、腎症、神経障害、認知低下、痴呆、抑うつ障害、情緒もしくは不安障害、微量アルブミン尿症、顕性アルブミン尿症、慢性腎臓疾患 (CKD)、腎臓障害、腎臓死、終期腎臓疾患及び/又は推定糸球体濾過率の損失(例えば、eGFR ≧ 基準線から50%)から選ばれた一つ以上のリスクを減少し、予防し、それに対し保護し、遅延し(例えば、発生又は進行)、かつ/又は低減する際の使用のための或る種のDPP-4 阻害薬(好ましくは、一種以上の他の活性薬剤と組み合わされていてもよいリナグリプチン)に関する。
また、本発明は、好ましくは糖尿病患者(特に2型糖尿病患者)、例えば、心血管疾患及び/又は腎臓微小血管疾患を有し、又はその高いリスクのある患者、例えば、高い血管のリスクのある患者(例えば、本明細書に記載されたこれらの患者)、例えば、本明細書に以下に記載される実施態様1〜6又は1〜7の少なくとも一つに記載のこれらの患者で、CV罹患状態、早期CV致死性、腎臓罹患状態及び早期腎臓致死性から選ばれた少なくとも一つ(好ましくは少なくとも二つ、更に好ましくは少なくとも三つ、更に好ましくは少なくとも四つ)のリスクを減少し、予防し、それに対し保護し、遅延し(例えば、発生又は進行)、かつ/又は低減する際の使用のための或る種のDPP-4 阻害薬(好ましくは、一種以上の他の活性薬剤と組み合わされていてもよいリナグリプチン)に関する。
更に、本発明は、好ましくは糖尿病患者(特に2型糖尿病患者)、例えば、心血管疾患及び/又は腎臓微小血管疾患を有し、又はその高いリスクのある患者、例えば、高い血管のリスクのある患者(例えば、本明細書に記載されたこれらの患者)、例えば、本明細書に以下に記載される実施態様1〜6又は1〜7の少なくとも一つに記載のこれらの患者で、大血管(例えば、心血管(CV))合併症を治療し、それに対して保護し、予防し、そのリスクを低減し、かつ/又はその発生もしくは進行を遅延し、かつ/又は
腎臓微小血管合併症(例えば、腎症)を治療し、それに対して保護し、予防し、そのリスクを低減し、かつ/又はその発生もしくは進行を遅延する際の使用のための或る種のDPP-4 阻害薬(好ましくは、一種以上の他の活性薬剤と組み合わされていてもよいリナグリプチン)に関する。
(腎臓)微小血管疾患、例えば、網膜症、アルブミン尿症(微量又は顕性)、慢性腎臓疾患 (CKD)、腎臓障害、腎臓死、末期腎臓疾患及び推定糸球体濾過率の損失(例えば、eGFR ≧基準線から50% )から選ばれたものを予防し、それに対して保護し、そのリスクを低減し、その進行を遅延し、かつ/又はその発生を遅延する方法における使用のための或る種のDPP-4 阻害薬(好ましくは、一種以上の他の活性薬剤と組み合わされていてもよいリナグリプチン)に関する。
腎臓微小血管の疾患又は事象、例えば、腎臓死、末期腎臓疾患及び推定糸球体濾過率の損失(例えば、eGFR ≧基準線から50% )から選ばれたものを予防し、そのリスクを低減し、かつ/又はその発生を遅延する方法における使用のための或る種のDPP-4 阻害薬(好ましくは、一種以上の他の活性薬剤と組み合わされていてもよいリナグリプチン)に関する。
更に、本発明は、好ましくはヒト糖尿病患者(特に2型糖尿病患者)、例えば、心血管の事象及び/又は腎臓微小血管疾患を有し、又はその高いリスクのある患者、例えば、高い血管のリスク(CV事象の高いリスク)のある患者(例えば、本明細書に記載された患者)、例えば、本明細書に以下に記載される実施態様1〜6又は1〜7の少なくとも一つに記載の患者で、心血管又は脳血管の疾患又は(重度の)事象、例えば、心血管(CV)死(致死性卒中、致死性心筋梗塞及び突然死を含む)、非致死性卒中、非致死性心筋梗塞(MI)(無症状MIは除かれてもよい)及び不安定狭心症のための入院(任意)から選ばれたものを予防し、そのリスクを低減し、かつ/又はその発生を遅延し、かつ/又は
腎臓微小血管の疾患又は事象、例えば、腎臓死、末期腎臓疾患及び推定糸球体濾過率の損失(例えば、eGFR ≧基準線から50% )から選ばれたものを予防し、そのリスクを低減し、かつ/又はその発生を遅延する(組み合わされた)方法における使用のための或る種のDPP-4 阻害薬(好ましくは、一種以上の他の活性薬剤と組み合わされていてもよいリナグリプチン)に関する。
腎臓微小血管の疾患又は事象、例えば、腎臓死、末期腎臓疾患及び推定糸球体濾過率の損失(例えば、eGFR ≧ 基準線から50% )から選ばれたものを予防する(組み合わされた)方法における使用のための或る種のDPP-4 阻害薬(好ましくは、一種以上の他の活性薬剤と組み合わされていてもよいリナグリプチン)に関する。
更に、本発明は、好ましくは糖尿病患者(特に2型糖尿病患者)、例えば、心血管疾患及び/又は腎臓微小血管疾患を有し、又はその高いリスクのある患者、例えば、高い血管のリスクのある患者(例えば、本明細書に記載されたこれらの患者)、例えば、本明細書に以下に記載される実施態様1〜6又は1〜7の少なくとも一つに記載のこれらの患者で、(加速された)認知低下もしくは障害又は痴呆を減少し、予防し、それに対して保護し、遅延し(例えば、発生又は進行)かつ/又はそのリスクを低減する際の使用のための或る種のDPP-4 阻害薬(好ましくは、一種以上の他の活性薬剤と組み合わされていてもよいリナグリプチン)に関する。
例えば(実施態様1)、本発明の心血管もしくは脳血管及び/又は腎臓(微小)血管の疾患、事象、合併症又は症状を有し、又はそのリスクのあるこのような患者は微小血管疾患(例えば、網膜症、神経障害、又は腎臓微小血管疾患、例えば、腎症、アルブミン尿症(例えば、微量又は顕性アルブミン尿症)、タンパク尿症、慢性腎臓疾患(例えば、CKD 段階1, 2, 3, 4又は5 )及び/又は腎臓障害(例えば、軽度、中等度もしくは重度の腎臓障害又は末期腎臓疾患(ESRD))、及び/又は(以前の)大血管(例えば、心血管又は脳血管)疾患(例えば、心筋梗塞、冠状動脈疾患、(虚血性又は出血性)卒中、頚動脈疾患及び/又は末梢動脈疾患)を有する患者(好ましくは、糖尿病、特に2型糖尿病の患者)であってもよい。
更なる例(実施態様2)につき、本発明の心血管もしくは脳血管及び/又は腎臓(微小)血管の疾患、事象、合併症又は症状を有し、又はそのリスクのあるこのような患者は(以前の)大血管(例えば、心血管又は脳血管)疾患(例えば、心筋梗塞、冠状動脈疾患、(虚血性又は出血性)卒中、頚動脈疾患及び/又は末梢動脈疾患)とともに、又はこれを持たずに、腎症もしくは慢性腎臓疾患(例えば、アルブミン尿症(例えば、微量又は顕性アルブミン尿症、タンパク尿症、特に顕性アルブミン尿症とともに)及び/又は腎臓障害(例えば、軽度、中等度もしくは重度の腎障害又は末期腎臓疾患(ESRD)(特に中等度、重度もしくはESRD段階の、かつ/又は特にアルブミン尿症、更に特に顕性アルブミン尿症と一緒の)を含む、腎症又は慢性腎臓疾患(例えば、CKD 段階1, 2, 3, 4又は5 、特にCKD 3 〜5)を有する患者(好ましくは、糖尿病、特に2型糖尿病の患者)であってもよい。
アルブミン尿症(例えば、微量又は顕性アルブミン尿症)
及び
以前の大血管(例えば、心血管又は脳血管)疾患(例えば、心筋梗塞、冠状動脈疾患、(虚血性又は出血性)卒中、頚動脈疾患及び/又は末梢動脈疾患)
の両方
及び/又は
(軽度又は中等度の)腎臓障害(例えば、CKD 段階1, 2 又は3 、例えば、CKD 段階1, 2(軽度)又は3a(軽度−中等度)、好ましくはeGFR ≧ 45-75 mL/分/1.73 m2) と顕性アルブミン尿症、
もしくは
アルブミン尿症(例えば、微量又は顕性アルブミン尿症)とともに、又はこれを持たずに(中等度又は重度の)腎臓障害(例えば、CKD 段階3 又は4 、例えば、CKD 段階3b(中等度−重度)又は4 (重度)、好ましくはeGFR 15-45 mL/分/1.73 m2)
を有する患者(好ましくは糖尿病、特に2型糖尿病の患者)であってもよい。
アルブミン尿症(例えば、尿アルブミンクレアチニン比 (UACR) ≧ 30 mg/g クレアチニン又は≧ 30 mg/l (尿1リットル当りのアルブミンミリグラム数)又は≧ 30μg/分(1分当りのアルブミンマイクログラム数)又は≧ 30 mg/24 h (24時間当りのアルブミンミリグラム数))及び
以前の大血管疾患、例えば、a)〜f)の一つ以上として特定されたもの:
a)以前の心筋梗塞、
b)進行した冠状動脈疾患、
c)高リスクの単一血管冠状動脈疾患、
d)以前の虚血性又は出血性卒中、
e)頚動脈疾患の存在、
f)末梢動脈疾患の存在
を有し、
かつ/又は
腎臓機能障害(例えば、CV並存疾患を有し、又は有さない)、例えば、
・eGFR 15-45 mL/分/1.73 m2 を有し、いずれかの尿アルブミンクレアチニン比 (UACR)を有する腎臓機能障害(例えば、MDRD式により特定されるような)、及び/又は
・eGFR ≧ 45-75 mL/分/1.73 m2 を有し、尿アルブミンクレアチニン比 (UACR) > 200 mg/g クレアチニン又は> 200 mg/l (尿1リットル当りのアルブミンミリグラム数) 又は> 200 μg/分 (1分当りのアルブミンマイクログラム数) 又は> 200 mg/24 h (24時間当りのアルブミンミリグラム数) を有する腎臓機能障害(例えば、MDRD式により特定されるような)
を有する患者(好ましくは糖尿病、特に2型糖尿病の患者)であってもよい。
別の実施態様(実施態様7)において、高い血管リスク(例えば、CV事象の高いリスク)のあるこのような患者は下記のCVリスク因子A)、B)、C)及び/又はD)の一つ以上を有する患者(好ましくは糖尿病、特に2型糖尿病の患者)であってもよい:
A)以前の血管疾患、例えば、
- 心筋梗塞(例えば、以前の6週以内に)、
- 冠状動脈疾患(例えば、血管造影図で左主冠状動脈又は少なくとも二つの主冠状動脈中で>=50% の管腔直径狭化)、
- 経皮冠状動脈介入(例えば、以前の6週以内に)、
- 冠状動脈バイパス移植(例えば、以前の4年以内に、又は手術後に再発アンギーナあり)、
- 虚血性又は出血性卒中(例えば、以前の3ヶ月以内に)、
B)血管関連末端器官損傷、例えば、
- 腎臓機能障害(例えば、中等度の腎臓機能障害、例えば、MDRD式と、eGFRF 30-59 mL/ 分/1.73m2 で特定されるような)、
- 微量又は顕性アルブミン尿症(例えば、微量アルブミン尿症、又はランダムスポット尿アルブミン:クレアチニン比 >/= 30 μg/mg)、
- 網膜症(例えば、増殖性網膜症、又は網膜新生血管形成又は以前の網膜レーザー凝固療法)、
C)高齢(例えば、年齢>/= 70才)、
D)下記のCVリスク因子の少なくとも二つ:
- 進行した2型真性糖尿病(例えば、> 10年の期間)、
- 高血圧(例えば、収縮期血圧>140 mmHg 又は少なくとも1回の血圧低下治療)、
- 現行の毎日の喫煙、
- (アテローム発生)脂質異常又は高LDL コレステロール血液レベル(例えば、LDL コレステロール >/=135 mg/dL) 又は脂質異常のために少なくとも1回の治療。
アルブミン尿症(例えば、微量又は顕性アルブミン尿症)
及び
以前の大血管(例えば、心血管又は脳血管)疾患(例えば、心筋梗塞、冠状動脈疾患、(虚血性又は出血性)卒中、頚動脈疾患及び/又は末梢動脈疾患)
の両方
及び/又は
(軽度又は中等度の)腎臓障害(例えば、CKD 段階2 又は3 、好ましくはeGFR ≧ 45-75 mL/分/1.73 m2) と顕性アルブミン尿症
もしくは
(中等度又は重度の)腎臓障害(例えば、CKD 段階3 又は4 、好ましくはeGFR 15-45 mL/分/1.73 m2) (アルブミン尿症を有し、又は有さない)
を有する患者で、
心血管又は脳血管の疾患又は事象、例えば、心血管(CV)死(致死性卒中、致死性心筋梗塞及び突然死を含む)、非致死性卒中、非致死心筋梗塞(MI)(無症状MIは除かれてもよい)及び不安定な狭心症のための入院から選ばれるもの、
及び
腎臓微小血管疾患、例えば、腎臓死、末期腎臓疾患及び推定糸球体濾過率の損失(例えば、eGFR ≧基準線から50%)
を予防し、それに対し保護し、そのリスクを低減し、かつ/又はその発生を遅延する方法における使用のためのDPP-4 阻害薬(好ましくは、一種以上の他の活性薬剤と組み合わされていてもよいリナグリプチン)に関する。
アルブミン尿症(例えば、尿アルブミンクレアチニン 比 (UACR) ≧ 30 mg/g クレアチニン又は≧ 30 mg/l(尿1リットル当りのアルブミンミリグラム数)又は≧ 30μg/分(1分当りのアルブミンマイクログラム数)又は≧ 30 mg/24 h (24時間当りのアルブミンミリグラム数))及び
以前の大血管疾患、例えば、a)〜f)の一つ以上として特定されるもの:
a)以前の心筋梗塞、
b)進行した冠状動脈疾患、
c)高いリスクの単一血管冠状動脈疾患、
d)以前の虚血性又は出血性卒中、
e)頚動脈疾患の存在、
f)末梢動脈疾患の存在、
及び/又は
腎臓機能障害(例えば、CV並存疾患を有し、又は有さない)、例えば、
・腎臓機能障害(例えば、MDRD式により特定されるような)とeGFR 15-45 mL/分/1.73 m2といずれかの尿アルブミンクレアチニン比 (UACR) 、及び/又は
・腎臓機能障害(例えば、MDRD式により特定されるような)とeGFR ≧ 45-75 mL/分/1.73 m2と尿アルブミンクレアチニン比 (UACR) > 200 mg/g クレアチニン又は> 200 mg/l (尿1リットル当りのアルブミンミリグラム数)又は> 200μg/分(1分当りのアルブミンマイクログラム数)又は> 200 mg/24 h (24時間当りのアルブミンミリグラム数)により特定されるもの
を有する患者で、
心血管又は脳血管の疾患又は事象、例えば、心血管(CV)死(致死性卒中、致死性心筋梗塞及び突然死を含む)、非致死性卒中、非致死性心筋梗塞(MI)(無症状MIは除かれてもよい)及び不安定な狭心症のための入院から選ばれるもの、
及び
腎臓微小血管疾患、例えば、腎臓死、末期腎臓疾患及び推定糸球体濾過率の損失(例えば、eGFR ≧基準線から50%)から選ばれるもの
を予防し、そのリスクを低減し、かつ/又はその発生を遅延する方法における使用のためのDPP-4 阻害薬(好ましくは、一種以上の他の活性薬剤と組み合わされていてもよいリナグリプチン)に関する。
心血管又は脳血管の疾患又は事象、例えば、心血管(CV)死(致死性卒中、致死性心筋梗塞及び突然死を含む)、非致死性卒中、非致死性心筋梗塞(MI)(無症状MIは除かれてもよい)及び不安定な狭心症のための入院から選ばれるもの、
及び
腎臓微小血管疾患、例えば、腎臓死、末期腎臓疾患及び推定糸球体濾過率の損失(例えば、eGFR ≧基準線から50%)から選ばれるもの
を予防し、そのリスクを低減し、かつ/又はその発生を遅延する方法における使用のためのDPP-4 阻害薬(好ましくは、一種以上の他の活性薬剤と組み合わされていてもよいリナグリプチン)に関する。
症状I:
アルブミン尿症 (例えば、尿アルブミンクレアチニン比 (UACR) ≧ 30 mg/g クレアチニン又は≧ 30 mg/l (尿1リットル当りのアルブミンミリグラム数)又は≧ 30 μg/分(1分当りのアルブミンマイクログラム数)又は≧ 30 mg/24 h(24時間当りのアルブミンミリグラム数))及び
以前の大血管疾患、例えば、a)〜f)の一つ以上として特定されるもの:
a)以前の心筋梗塞(例えば、> 2 ヶ月)、
b)進行した冠状動脈疾患、例えば、下記のいずれか一つにより特定されるもの:
・冠血管造影図又はCT血管造影図による2以上の主冠状動脈(例えば、LAD 、CX又はRCA)における管腔直径の≧ 50% の狭化、
・管腔直径の≧ 50% 狭化を有する左主幹冠状動脈、
・≧ 2 の主冠状動脈の以前の経皮又は手術再血管形成(例えば、≧ 2 ヶ月)、
・例えば、1つの主冠状動脈の以前の経皮又は手術再血管形成(例えば、≧ 2 ヶ月)と少なくとも1つの付加的な主冠状動脈の冠血管造影図又はCT血管造影図による管腔直径の≧ 50% の狭化の組み合わせ、
・陽性非観血的ストレス試験、例えば、
- 左束枝ブロック、ウルフ−パーキンソン−ホワイト症候群、再分極異状による左心室肥大、又はペースメーカーによる心室リズム、異常なST-Tセグメントの場合の心房繊維化を有しない患者における陽性ECG 運動寛容性試験、
- 誘発された位置収縮壁運動異常を示す陽性ストレスエコー心電図、
- ストレス誘発可逆的潅流異常を示す陽性核心筋潅流イメージングストレス試験、
- 不安定狭心症の記録された診断により病院から排出された患者(例えば、≧ 2 - 12ヶ月)
により確かめられるような
d)虚血性又は出血性卒中(例えば、> 3 ヶ月)、
e)頚動脈疾患(症候的又は非症候的)の存在、例えば、
- 管腔直径の≧50%の狭化であると推定される少なくとも一つの病変によるイメージング技術、
- 以前の経皮又は手術頚動脈再血管形成
により記録されたようなもの
f)末梢動脈疾患の存在、例えば、
- 以前の肢血管形成、ステンティング又はバイパス手術、
- 大循環不十分のための肢又は足切断、
- 末梢動脈狭窄:少なくとも一つの肢における管腔直径の≧ 50% の狭化の血管造影図の証拠(例えば、末梢動脈: 普通の回腸動脈、内部回腸動脈、外部回腸動脈、大腿動脈、膝窩動脈の特定)。
症状II:
腎臓機能障害(例えば、CV並存疾患を有し、又は有さない)、例えば、
・eGFR 15-45 mL/分/1.73 m2といずれかのUACRを有する腎臓機能障害(例えば、MDRD式により特定されるような)、及び/又は
・eGFR ≧ 45-75 mL/分/1.73 m2と尿アルブミンクレアチニン比 (UACR) > 200 mg/g クレアチニン又は> 200 mg/l (尿1リットル当りのミリグラム数)又は> 200 μg/分(1分当りのアルブミンマイクログラム数)又は> 200 mg/24 h (24時間当りのアルブミンミリグラム数)を有する腎臓機能障害(例えば、MDRD式により特定されるような)
により特定されるような腎臓機能障害。
アルブミン尿症(例えば、微量又は顕性アルブミン尿症)
及び
以前の大血管(例えば、心血管又は脳血管)疾患(例えば、心筋梗塞、冠状動脈疾患、(虚血性又は出血性)卒中、頚動脈疾患及び/又は末梢動脈疾患)
の両方
及び/又は
(軽度又は中等度の)腎臓障害(例えば、CKD 段階2 又は3 、好ましくはeGFR ≧ 45-75 mL/分/1.73 m2) と顕性アルブミン尿症
もしくは
(中等度又は重度の)腎臓障害(例えば、CKD 段階3 又は4 、好ましくはeGFR 15-45 mL/分/1.73 m2) (アルブミン尿症を有し、又は有さない)
を有する患者で、
心血管又は脳血管の疾患、事象(例えば、重大な心血管事象)又は合併症、例えば、心血管死、(致死性又は非致死性)心筋梗塞(例えば、無症状又は非無症状MI)、(致死性又は非致死性)卒中、突然死、心不全、及び/又は入院(例えば、急性冠状動脈症候群、脚部切断、冠状動脈再血管形成手術、末梢再血管形成、心不全のため、又は不安定狭心症のため)
を治療し、予防し、それに対して保護し、そのリスクを低減し、その発生を遅延し、かつ/又はその進行を遅延し、
かつ/又は、例えば、(好ましくは、一つかつ同じ治療又は薬物により、又はその中で)(非腎臓又は、好ましくは、腎臓の)微小血管疾患又は合併症、例えば、網膜症、認知低下、腎症、(微量又は顕性)アルブミン尿症、慢性腎臓疾患 (CKD)、末期腎臓疾患、腎臓障害、急性又は慢性腎不全、腎臓死、及び/又は推定糸球体濾過率の損失(例えば、eGFR ≧基準線から50%)
を治療し、予防し、それに対して保護し、そのリスクを低減し、その発生を遅延し、かつ/又はその進行を遅延することと組み合わせて、又はそれと一緒の使用におけるDPP-4 阻害薬(好ましくは、一種以上の他の活性薬剤と組み合わされていてもよいリナグリプチン)に関する。
更に、本発明はそれを要する患者(特にヒト患者)で糖尿病、特に2型真性糖尿病及び/又はそれに関連する疾患もしくは症状(例えば、糖尿病合併症、例えば、糖尿病性腎症及び/又は(微量もしくは顕性)アルブミン尿症)を治療し、かつ/又は予防するための或る種のDPP-4 阻害薬(好ましくは、一種以上の他の活性薬剤と組み合わされていてもよいリナグリプチン)に関するものであり、その患者は心血管疾患及び/又は腎臓微小血管疾患を有し、又はその高いリスクがある(例えば、本明細書に特定されるような高い血管のリスクのある患者、例えば、本明細書に先に記載された実施態様1〜6又は1〜7の少なくとも一つに記載の患者)。
本発明の治療により受け易い代謝障害又は疾患の例として、1型糖尿病、2型糖尿病、耐糖能異常 (IGT)、空腹時血糖異常 (IFG)、高血糖、食後の高血糖、吸収後の高血糖、成人の潜在性自己免疫糖尿病(LADA)、過剰体重、肥満、脂質異常症, 高脂血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、高NEFA血症、空腹時又は食後高脂血症、例えば、食後脂肪血症(例えば、食後高トリグリセリド血症)、高血圧、アテローム硬化症、内皮機能不全、骨多孔症、慢性全身性炎症、非アルコール性脂肪肝疾患 (NAFLD)、網膜症、神経障害、腎症、ネフローゼ症候群、多のう胞性卵巣症候群、及び/又は代謝症候群が挙げられるかもしれないが、これらに限定されない。
アルブミン尿症(例えば、微量又は顕性アルブミン尿症)
及び
以前の大血管(例えば、心血管又は脳血管)疾患(例えば、心筋梗塞、冠状動脈疾患、(虚血性又は出血性)卒中、頚動脈疾患及び/又は末梢動脈疾患)
の両方
及び/又は
(軽度又は中等度の)腎臓障害(例えば、CKD 段階2 又は3 、好ましくはeGFR ≧ 45-75 mL/分/1.73 m2) と顕性アルブミン尿症
もしくは
(中等度又は重度の)腎臓障害(例えば、CKD 段階3 又は4 、好ましくはeGFR 15-45 mL/分/1.73 m2) (アルブミン尿症を有し、又は有さない)
を有する患者で、下記の方法:
−代謝障害又は疾患、例えば、1型真性糖尿病、2型真性糖尿病、耐糖能異常 (IGT)、空腹時血糖異常 (IFG)、高血糖、食後高血糖、吸収後高血糖、成人における潜在性自己免疫糖尿病(LADA)、過剰体重、肥満、脂質異常症、高脂血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、高NEFA血症、食後脂肪血症、高血圧、アテローム硬化症、内皮機能不全、骨多孔症、慢性全身性炎症、非アルコール性脂肪肝疾患 (NAFLD)、網膜症、神経障害、腎症、ネフローゼ症候群、多のう胞性卵巣症候群、及び/又は代謝症候群を予防し、その進行を遅くし、その発生を遅延し、又は治療する方法;
−血糖調節を改善かつ/又は維持し、かつ/又は空腹時血漿グルコース、食後血漿グルコース、吸収後血漿グルコース及び/又はグリコシル化ヘモグロビン HbA1cを減少し、又は血糖調節の悪化もしくは劣化、治療にもかかわらずインスリン治療もしくは上昇されたHbA1c についての要求を予防し、そのリスクを低減し、その進行を遅くし、その発生を遅延し、又は治療する方法;
−前糖尿病、耐糖能異常 (IGT)、空腹時血糖異常 (IFG)、インスリン耐性及び/又は代謝症候群から2型真性糖尿病への進行を予防し、遅くし、遅延し、又は反転する方法;
−体重及び/又は体脂肪及び/又は肝脂肪及び/又は筋細胞内脂肪を減少し、又は体重及び/又は体脂肪及び/又は肝脂肪及び/又は筋細胞内脂肪の増加を予防し、又は体重及び/又は体脂肪及び/又は肝脂肪及び/又は筋細胞内脂肪の減少を促進する方法;
−膵臓ベータ細胞の変性及び/又は膵臓ベータ細胞の機能の低下を予防し、遅くし、その発生を遅延し、又は治療し、かつ/又は膵臓ベータ細胞の機能を改善し、保存し、かつ/又は回復し、かつ/又は膵臓インスリン分泌の機能を刺激し、かつ/又は回復又は保護する方法;
−肝脂肪症、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)及び/又は肝繊維症を含む非アルコール性脂肪肝疾患 (NAFLD)を予防し、遅くし、その発生を遅延し、又は治療する(例えば、肝脂肪症、(肝臓)炎症及び/又は肝脂肪の異常な蓄積を予防し、その進行を遅くし、遅延し、軽減し、治療し、又は反転する)方法;
−通常の抗糖尿病単一治療又は複合治療では失敗する2型糖尿病を予防し、その進行を遅くし、その発生を遅延し、又は治療する方法;
−適切な治療効果に必要とされる通常の抗糖尿病薬(例えば、スルホニル尿素又はインスリン)の用量の減少を達成する方法;
−通常の抗糖尿病薬と関連する不利な作用(例えば、低血糖又は体重増加、例えば、インスリン又はスルホニル尿素薬と関連するような)のリスクを低減する方法; 及び/又は
−インスリン感受性を維持し、かつ/又は改善し、かつ/又は高インスリン血症及び/又はインスリン耐性を治療又は予防する方法
の少なくとも一つにおける使用のための或る種のDPP-4 阻害薬(好ましくは、一種以上の他の活性薬剤と組み合わされていてもよいリナグリプチン)に関する。
アテローム硬化症、アテローム血栓症、内皮機能不全、及び/又は心血管(CV)疾患及び/又は腎臓微小血管からの罹患状態及び/又は早期致死性を治療し、予防し、その発生を遅延し、その進行を遅延し、それに対して保護し、かつ/又はその可能性もしくはリスクを低減する方法、例えば、
心血管又は脳血管の疾患又は事象(例えば、心血管(CV)死(致死性卒中、致死性心筋梗塞及び突然死を含む)、非致死性卒中、非致死性心筋梗塞(MI)(無症状MIは除かれてもよい)及び不安定狭心症のための入院から選ばれる)を治療し、予防し、その発生を遅延し、その進行を遅延し、それに対して保護し、かつ/又はその可能性もしくはリスクを低減し、かつ
腎臓微小血管疾患(例えば、腎臓死、末期腎臓疾患及び推定糸球体濾過率の損失から選ばれる)を治療し、予防し、その発生を遅延し、その進行を遅延し、それに対して保護し、かつ/又はその可能性もしくはリスクを低減する組み合わされた方法に関する。
アルブミン尿症(例えば、微量又は顕性アルブミン尿症)
及び
以前の大血管(例えば、心血管又は脳血管)疾患(例えば、心筋梗塞、冠状動脈疾患、(虚血性又は出血性)卒中、頚動脈疾患及び/又は末梢動脈疾患)
の両方
及び/又は
(軽度又は中等度の)腎臓障害(例えば、CKD 段階2 又は3 、好ましくはeGFR ≧ 45-75 mL/分/1.73 m2) と顕性アルブミン尿症
もしくは
(中等度又は重度の)腎臓障害(例えば、CKD 段階3 又は4 、好ましくはeGFR 15-45 mL/分/1.73 m2) (アルブミン尿症を有し、又は有さない)
を有する患者で、
心臓保護及び腎臓保護における使用のため、かつ/又は
心血管又は脳血管の疾患又は事象(例えば、心血管(CV)死(致死性卒中、致死性心筋梗塞及び突然死を含む)、非致死性卒中、非致死性心筋梗塞(MI)(無症状MIは除かれてもよい)、及び不安定狭心症のための入院から選ばれる)、及び
腎臓微小血管疾患(例えば、腎臓死、末期腎臓疾患及び推定糸球体濾過率の損失から選ばれる)
を予防し、その発生を遅延し、それに対して保護し、その進行を遅延し、又はそのリスクを低減するための或る種のDPP-4 阻害薬(好ましくはリナグリプチン、必要により一種以上の他の活性薬剤と組み合わせてもよく、例えば、必要により一種以上の抗糖尿病薬と組み合わせてもよく、かつ/又は必要により一種以上の抗高血圧薬、例えば、ACE 阻害薬及び/又はARB と組み合わせてもよい)に関する。
例えば、本発明の治療(例えば、本明細書に先に、また後に記載される)は長い期間、好ましくは少なくとも48ヶ月、更に好ましくは少なくとも3年(例えば、少なくとも3-4年、又は少なくとも5-6 年)にわたっての或る種のDPP-4 阻害薬、特にリナグリプチン(必要により一種以上の他の活性物質、例えば、本明細書に記載されるものと組み合わせて、経口投与される、毎日好ましくは5 mg)による治療の期間を含んでもよい。
本発明の他の局面は以上及び以下の言及(実施例及び特許請求の範囲を含む)から当業者に明らかになる。
CD26としてまた知られている酵素DPP-4 (ジペプチジルペプチダーゼIV)はそれらのN末端にプロリン又はアラニン残基を有する幾つかのタンパク質のN末端からのジペプチドの開裂をもたらすことが知られているセリンプロテアーゼである。この性質のために、DPP-4 阻害薬はペプチドGLP-1 を含む生物活性ペプチドの血漿レベルに干渉し、真性糖尿病の治療に有望な薬物であると考えられる。
例えば、DPP-4 阻害薬及びそれらの使用がWO 2002/068420, WO 2004/018467、WO 2004/018468、WO 2004/018469、WO 2004/041820、WO 2004/046148、WO 2005/051950、WO 2005/082906、WO 2005/063750、WO 2005/085246、WO 2006/027204、WO 2006/029769、WO2007/014886 、WO 2004/050658、WO 2004/111051、WO 2005/058901、WO 2005/097798、WO 2006/068163、WO 2007/071738、WO 2008/017670、WO 2007/128721、WO 2007/128724、WO 2007/128761、又はWO 2009/121945 に開示されている。
DPP-4 はT細胞活性化及び免疫調節に役割を果たすT細胞抗原であるCD26の類似体である。更に、DPP-4 の或る基質(インクレチンを超える)は潜在的な心臓−腎臓作用を有し得る。
リナグリプチンは更に腎臓の糸球体の内皮及び有足細胞並びに近位の管状細胞の保全性だけでなく、内皮機能に直接の影響を有することがあり、リナグリプチンは腎臓中を含む、比較的高い組織分布を有する。
更に、ヒト腎臓からのサンプルはタンパク尿ヒト疾患(例えば、糖尿病性腎症又はネフローゼ症候群)が糸球体のDPP-4 のアップレギュレーションにより特徴づけられるようであることを示す。
更に、リナグリプチンは好ましくは糖尿病性腎症についての現行の通常の治療(例えば、ACE 阻害薬又はARB )の上に、微量又は顕性アルブミン尿症(例えば、30-3000 mg/g のクレアチニン)を有する、2型糖尿病患者で抗糖尿病作用及び抗アルブミン尿症作用/使用可能性により本目的に適し得る。
更なる実施態様において、本明細書に記載された患者は糖尿病(例えば、1型もしくは2型糖尿病又はLADA、特に2型糖尿病)を有する対象である。
特に、本発明内の対象はヒト、例えば、ヒト幼児、ヒト若者又は、特に、ヒト成人であってもよい。
更に特に、本発明内の対象はヒト2型糖尿病患者である。
或る実施態様において、本発明内の対象は早期糖尿病段階(一実施態様において)又は進行した糖尿病段階(別の実施態様において)の(ヒト)2型糖尿病患者である。
更なる実施態様において、本発明内の対象は腎臓疾患糖尿病段階(即ち、腎臓疾患と関連する糖尿病)の(ヒト)2型糖尿病患者である。
更なる好ましい実施態様において、リナグリプチンが心臓保護及び腎臓保護の両方の薬物(特に抗糖尿病薬物)として使用される。従って、リナグリプチンが心臓保護及び腎臓保護の両方における使用のためである。更にリナグリプチンが、リスクのある患者、例えば、高い血管のリスクのある患者(例えば、本明細書に特定される;例えば、本明細書に先に記載された実施態様1〜6の少なくとも一つに記載の患者)を含む、患者(特に糖尿病患者、例えば、2型糖尿病患者)に心臓保護及び腎臓保護の作用又は利益を与える際の使用のためである。
本発明内の更に好ましい実施態様において、リナグリプチンが、好ましくは、
例えば、心血管事象及び/又は腎臓微小血管疾患を有し、又はその高いリスクのある患者、例えば、高い血管のリスクのある患者(例えば、本明細書に記載されたようなCV事象の高いリスクのある患者、例えば、本明細書に上記された実施態様1〜6の少なくとも一つに記載の患者)、例えば、
アルブミン尿症(例えば、微量又は顕性アルブミン尿症)
及び
以前の大血管(例えば、心血管又は脳血管)疾患(例えば、心筋梗塞、冠状動脈疾患、(虚血性又は出血性)卒中、頚動脈疾患及び/又は末梢動脈疾患)
の両方
及び/又は
(軽度又は中等度の)腎臓障害(例えば、CKD 段階1,2 又は3 、例えば、CKD 段階1、2(軽度)又は3a(軽度−中等度)、好ましくはeGFR ≧ 45-75 mL/分/1.73 m2) と顕性アルブミン尿症
もしくは
(中等度又は重度の)腎臓障害(例えば、CKD 段階3 又は4 、例えば、CKD 段階3b(中等度−重度)又は4(重度)、好ましくはeGFR 15-45 mL/分/1.73 m2) (アルブミン尿症を有し、又は有さない)(例えば、微量又は顕性アルブミン尿症を有し、又は有さない)を有する患者を含む、ヒト糖尿病患者(特に2型糖尿病患者)で、
心血管又は脳血管の疾患又は事象(例えば、心血管(CV)死(致死性卒中、致死性心筋梗塞及び突然死を含む)、非致死性卒中、非致死性心筋梗塞(MI)(無症状MIは除かれてもよい)、及び不安定狭心症のための入院から選ばれる)、及び/又は
腎臓微小血管疾患(例えば、腎臓死、末期腎臓疾患及び推定糸球体濾過率の損失(例えば、eGFR≧ 基準線から50%)から選ばれる)
を予防し、それに対して保護し、そのリスクを低減し、かつ/又はその発生を遅延する方法に有益である。
心血管事象及び/又は腎臓微小血管疾患を有し、又はその高いリスクのある患者、例えば、高い血管のリスクのある患者(例えば、本明細書に記載されたようなCV事象の高いリスクのある患者)、例えば、
アルブミン尿症(例えば、微量又は顕性アルブミン尿症)
及び
以前の大血管(例えば、心血管又は脳血管)疾患(例えば、心筋梗塞、冠状動脈疾患、(虚血性又は出血性)卒中、頚動脈疾患及び/又は末梢動脈疾患)
の両方
及び/又は
(軽度又は中等度の)腎臓障害(例えば、CKD 段階1,2 又は3 、例えば、CKD 段階1、2(軽度)又は3a(軽度−中等度)、好ましくはeGFR ≧ 45-75 mL/分/1.73 m2) と顕性アルブミン尿症
もしくは
(中等度又は重度の)腎臓障害(例えば、CKD 段階3 又は4 、例えば、CKD 段階3b(中等度−重度)又は4(重度)、好ましくはeGFR 15-45 mL/分/1.73 m2) (アルブミン尿症を有し、又は有さない)(例えば、微量又は顕性アルブミン尿症を有し、又は有さない)を有する患者を含んで、糖尿病、特に2型糖尿病の(心臓保護及び腎臓保護)治療に有益である。
アルブミン尿症(例えば、微量又は顕性アルブミン尿症)
及び
以前の大血管(例えば、心血管又は脳血管)疾患(例えば、心筋梗塞、冠状動脈疾患、(虚血性又は出血性)卒中、頚動脈疾患及び/又は末梢動脈疾患)
の両方
及び/又は
(軽度又は中等度の)腎臓障害(例えば、CKD 段階1,2 又は3 、例えば、CKD 段階1、2(軽度)又は3a(軽度−中等度)、好ましくはeGFR ≧ 45-75 mL/分/1.73 m2) と顕性アルブミン尿症
もしくは
(中等度又は重度の)腎臓障害(例えば、CKD 段階3 又は4 、例えば、CKD 段階3b(中等度−重度)又は4(重度)、好ましくはeGFR 15-45 mL/分/1.73 m2) (アルブミン尿症を有し、又は有さない)(例えば、微量又は顕性アルブミン尿症を有し、又は有さない)を有する、患者(好ましくは糖尿病患者、特に2型糖尿病患者)の治療に有益である。
本発明の更に特別な実施態様において、リナグリプチンが
アルブミン尿症(例えば、尿アルブミンクレアチニン比 (UACR) ≧ 30 mg/g クレアチニン又は≧ 30 mg/l (尿1リットル当りのアルブミンミリグラム数)又は≧ 30μg/分(1分当りのアルブミンマイクログラム数)又は≧ 30 mg/24 h (24時間当りのアルブミンミリグラム数))及び
以前の大血管疾患、例えば、a)〜f)の一つ以上として特定されたもの:
a)以前の心筋梗塞、
b)進行した冠状動脈疾患、
c)高リスクの単一血管冠状動脈疾患、
d)以前の虚血性又は出血性卒中、
e)頚動脈疾患の存在、
f)末梢動脈疾患の存在
又は
腎臓機能障害(例えば、CV併存疾患を有し、又は有さない)、例えば、
・eGFR 15-45 mL/分/1.73 m2 を有し、いずれかの尿アルブミンクレアチニン比 (UACR)を有する腎臓機能障害(例えば、MDRD式により特定されるような)、及び/又は
・eGFR ≧ 45-75 mL/分/1.73 m2 を有し、尿アルブミンクレアチニン比 (UACR) > 200 mg/g クレアチニン又は> 200 mg/l (尿1リットル当りのアルブミンミリグラム数) 又は> 200 μg/分 (1分当りのアルブミンマイクログラム数) 又は> 200 mg/24 h (24時間当りのアルブミンミリグラム数) を有する腎臓機能障害(例えば、MDRD式により特定されるような)
を有する患者(好ましくは糖尿病、特に2型糖尿病の患者)の治療に有益である。
本発明の更に別の特別な実施態様において、リナグリプチンが本明細書に特定された症状IIを有する患者(好ましくは糖尿病患者、特に2型糖尿病患者)の治療に有益である。
本発明の別の実施態様において、リナグリプチン(本明細書に記載されたような一種以上の更なる活性薬剤と組み合わされていてもよい)が心血管及び/又は腎臓微小血管の疾患を有し、又はその高いリスクのある患者(好ましくは糖尿病患者、特に2型糖尿病患者)、例えば、本明細書に記載されたような高い血管リスク(CV事象の高いリスク)のある患者、例えば、本明細書に記載された実施態様1〜6又は1〜7の少なくとも一つに記載の患者、そして、必要により、アンギオテンシン転化酵素 (ACE)阻害薬及び/又はアンギオテンシンII受容体遮断薬 (ARB)による治療にもかかわらずアルブミン尿症の不適な制御を有する患者の治療に有益である。
認知についての本発明の治療の効果は毎日の生活スコア、栄養分析スコア、抑うつスケールスコア、認知スキル及び/又は機能的性能の基本的かつ器具による活動を含んでもよく、またそれらにより分析されてもよい。
必要により一種以上の他の活性薬剤と一緒の本明細書に特定された或る種のDPP-4 阻害薬(好ましくはリナグリプチン)を含む本発明のこれらの療法(例えば、治療又は予防又は保護)における使用のための医薬組成物又は組み合わせがまた意図されている。
更に、本発明は本発明の治療目的及び/又は予防目的及び/又は保護目的に適している医薬組成物を調製するための、1種、2種又はそれ以上の更なる活性薬剤(夫々、本明細書に特定されたような)と組み合わされていてもよい、或る種のDPP-4 阻害薬(好ましくはリナグリプチン)の使用に関する。
更に、本発明は本明細書に記載された治療における使用のための医薬組成物を調製するための或る種のDPP-4 阻害薬(好ましくはリナグリプチン)の使用に関する。
更に、本発明は本明細書に記載された治療方法に関するものであり、前記方法は有効量の或る種のDPP-4 阻害薬(好ましくはリナグリプチン)そして、必要により、一種以上の他の活性薬剤又は治療薬を必要とする患者(夫々、本明細書に記載されたような)に投与することを含む。
本発明の他の局面は先の、かつ以下の言及(実施例及び特許請求の範囲を含む)から当業者に明らかになる。
真性糖尿病の治療のモニタリングでは、HbA1c 値、ヘモグロビンB鎖の非酵素的グリケーションの産物が、格別重要である。その生成は実質的に血糖レベル及び赤血球の寿命に依存するので、“血糖記憶”の意味のHbA1c が先の4-12週の平均血糖レベルを反映する。HbA1c レベルが集中糖尿病治療により長時間にわたって良く調節されている(即ち、サンプル中の全ヘモグロビンの6.5 % 未満)糖尿病患者は、糖尿病性微小血管障害から有意に良好に保護される。糖尿病について利用できる治療は1.0 - 1.5 % のオーダの糖尿病の彼らのHbA1C レベルの平均の改善を与え得る。HbA1C レベルのこの低下は全ての糖尿病で7.0 % 未満、好ましくは6.5 % 未満、更に好ましくは6 % 未満のHbA1c の所望の目標範囲を彼らにもたらすのに充分ではない。
本発明の意味内で、不適当な血糖調節又は不十分な血糖調節は患者が6.5%より上、特に7.0%より上、更に好ましくは7.5%より上、特に8%より上のHbA1C 値を示す症状を特に意味する。不適当な血糖調節又は不十分な血糖調節を有する患者の実施態様は、6.5 〜10% (又は別の実施態様において、7.5 〜10%;又は別の実施態様において、7.5 〜11% 、又は別の実施態様において、6.5 〜8.5%、又は別の実施態様において、6.5 〜7.5%)のHbA1C 値を有する患者を含むが、これらに限定されない。不適当に調節された患者の特別な下位の実施態様はHbA1c 値 ≧ 9% を有する患者を含むが、これらに限定されない不十分な血糖調節を有する患者に関する。
血糖調節内で、HbA1c レベルの改善に加えて、2型真性糖尿病患者についての他の推奨される治療目標は正常又はできるだけ正常付近への空腹時血漿グルコース (FPG)レベル及び食後血漿グルコース (PPG)レベルの改善である。食前(空腹時)血漿グルコースの推奨される所望の目標範囲は70-130 mg/dL (又は90-130 mg/dL) 又は<110 mg/dLであり、また食後2時間の血漿グルコースは<180 mg/dL又は<140 mg/dLである。
更に、或る実施態様において、心血管又は脳血管及び/又は腎臓(微小)血管の疾患、事象、合併症又は症状を有し、又はそのリスクのある本発明の患者(好ましくは糖尿病、特に2型糖尿病の患者を含む)、例えば、高い血管リスク(例えば、CV事象の高いリスク)のある患者、例えば、本明細書に特に開示されたもの、例えば、本明細書に記載された実施態様1〜6又は1〜7の少なくとも一つに記載の患者)は更に以下のように特徴づけられるかもしれず、又は、例えば、下記の患者のいずれかを更に含むかもしれない。
このような治療ナイーブ患者に関する或る実施態様において、DPP-4 阻害薬(好ましくはリナグリプチン)が単一治療として使用されてもよく、又は、例えば、メトホルミン、チアゾリジンジオン(特にピオグリタゾン)、スルホニル尿素、グリニド、α−グルコシダーゼ阻害薬(例えば、アカルボース、ボグリボース)、GLP-1 もしくはGLP-1 類似体、又はインスリンもしくはインスリン類似体との初期の組み合わせ治療として、好ましくは単一治療として使用されてもよい。
一種又は二種の通常の抗糖尿病薬で前治療され、又は経験したこのような患者に関する或る実施態様において、DPP-4 阻害薬(好ましくはリナグリプチン)が一種以上の通常の抗糖尿病薬による治療にもかかわらず不十分な血糖調節を有する患者で一種又は二種の通Joyの抗糖尿病薬との併用組み合わせ治療として使用されてもよく、即ち、既存又はバックグラウンドの治療薬に加えられてもよく、例えば、メトホルミン、チアゾリジンジオン(特にピオグリタゾン)、スルホニル尿素、グリニド、α−グルコシダーゼ阻害薬(例えば、アカルボース、ボグリボース)、GLP-1 又はGLP-1 類似体、及びインスリン又はインスリン類似体から選ばれた一種以上(例えば、一種又は二種)の通常の抗糖尿病薬との併用治療として、例えば、
メトホルミン、α−グルコシダーゼ阻害薬、スルホニル尿素 又はグリニドとの併用治療として、又は
メトホルミン+α−グルコシダーゼ阻害薬、メトホルミン+スルホニル尿素、メトホルミン+グリニド、α−グルコシダーゼ阻害薬+スルホニル尿素、又はα-グルコシダーゼ阻害薬+グリニドとの併用治療として、又は
インスリンとメトホルミン、チアゾリジンジオン(特にピオグリタゾン)、スルホニル尿素、グリニドもしくはα−グルコシダーゼ阻害薬(例えば、アカルボース、ボグリボース)又はインスリン単独との併用治療として使用されてもよい。
−メトホルミン治療が禁忌される患者、例えば、ラベルに従ってメトホルミン治療に対して一種以上の禁忌を有する患者、例えば、
腎臓疾患、腎臓障害又は腎臓機能不全(例えば、地方で認可されるメトホルミンの製品情報により明記されるような)、
脱水、
不安定又は急性の鬱血性心不全、
急性又は慢性の代謝アシドーシス、及び
遺伝性ガラクトース不耐性
から選ばれた少なくとも一つの禁忌を有する患者
及び
−メトホルミンに起因する一種以上の不耐性副作用、特にメトホルミンと関連する胃腸副作用を患っている患者、例えば、
悪心、
嘔吐、
下痢、
腸内ガス、及び
重度の腹部不快
から選ばれた少なくとも一つの胃腸副作用を患っている患者を含むメトホルミン治療に不適当な患者に関する。
本発明の治療を受け易いかもしれない糖尿病患者の更なる実施態様は通常のメトホルミン治療が適当ではないこれらの糖尿病患者、例えば、メトホルミンに対して低下された耐性、不耐性もしくは禁忌のため、又は(軽度に)障害/低下された腎臓機能のために減少された用量のメトホルミン治療を必要とするこれらの糖尿病患者(老人の患者、例えば、≧ 60-65 才を含む)を含んでもよいが、これらに限定されない。
この状況では、更なる実施態様において、軽度の腎臓障害が、例えば、50-80 ml/ 分のクレアチニンクレアランス(男性で≦1.7 mg/dLまた女性で≦1.5 mg/dLの血清クレアチンレベルにほぼ相当する)により示唆されるかもしれず(それ以外に注目されない場合)、中等度の腎臓障害が、例えば、30-50 ml/ 分のクレアチニンクレアランス(男性で>1.7〜≦3.0 mg/dL、また女性で>1.5〜≦2.5 mg/dLの血清クレアチニンレベルにほぼ相当する)により示唆されるかもしれず(それ以外に注目されない場合)、また重度の腎臓障害が、例えば、< 30 ml/分のクレアチニンクレアランス(男性で>3.0 mg/dL、また女性で>2.5 mg/dLの血清クレアチニンレベルにほぼ相当する)により示唆されるかもしれない(それ以外に注目されない場合)。末期腎臓疾患を有する患者は透析(例えば、血液透析又は腹膜透析)を必要とする。
慢性腎臓疾患及びその段階 (CKD 1-5) は従って、例えば、腎臓損傷(アルブミン尿症)又は損なわれた推定糸球体濾過率 (GFR <60 [ml/ 分/1.73m2](腎臓損傷を有し、又は有さない)の存在に基づいて通常特性決定又は分類し得る。
アルブミン尿症段階は、例えば、本明細書に開示されたように、かつ/又は尿アルブミンクレアチニン比(例えば、通常UACR ≧30 mg/g 、或る場合には≧20 μg/ 分のアルブミン排泄速度)により分類されてもよく、例えば、微量アルブミン尿症は、例えば、UACR 30-300 mg/g (或る場合には20-200 μg/分) 又は、別の実施態様において、UACR 30-200 mg/gにより分類されてもよく、かつ/又は顕性アルブミン尿症は、例えば、UACR >300 mg/g (或る場合には>200 μg/分) 、又は、別の実施態様において、UACR >200 mg/gにより分類されてもよい。非常に高いUACR ≧2000 mg/g はネフローゼとして分類されてもよい。
本発明の意味内の患者の更なる実施態様(これは糖尿病又は非糖尿病であってもよい)はアンギオテンシン転化酵素(ACE) 阻害薬及び/又はアンギオテンシンII受容体遮断薬 (ARB)による治療にもかかわらずアルブミン尿症の不適当な調節を有する患者(好ましくは糖尿病患者)に関するものであってもよい。
本発明の意味内の患者の更なる実施態様(これは糖尿病又は非糖尿病であってもよい)は腎臓疾患及び/又は心血管疾患の履歴及び/又は薬物、例えば、糖尿病性腎症、大血管疾患(例えば、冠状動脈疾患、末梢動脈疾患、脳血管疾患、高血圧)、微小血管疾患(例えば、糖尿病性腎症、神経障害、網膜症)、冠状動脈疾患、脳血管疾患、末梢動脈疾患、高血圧、元喫煙者又は現行喫煙者、及び/又はアセチルサリチル酸、抗高血圧薬及び/又は脂質低下薬物、例えば、アセチルサリチル酸、ACE 阻害薬、ARB 、ベータ−遮断薬、カルシウムアンタゴニスト又は利尿薬、或いはこれらの組み合わせによる(以前の、又は進行中の)治療、及び/又はフィブレート、ニアシンもしくはスタチン、又はこれらの組み合わせによる(以前の、又は進行している)治療を有する患者(好ましくは糖尿病患者、特に2型糖尿病患者)に関するものであってもよい。
本発明の意味内の患者の更なる実施態様(これは糖尿病又は非糖尿病であってもよい)は糖尿病性腎症(付加的な通常のバックグラウンド治療、例えば、ACEi又はARB による治療を有し、又は有さない)を有する患者(好ましくは糖尿病患者、特に2型糖尿病患者)に関してもよく、例えば、脆弱性糖尿病性腎症患者、例えば、典型的には長い糖尿病期間 (> 5 年) 、腎臓障害(例えば、軽度 (60〜<90 のeGFR ml/分/1.73 m2) 又は中等度 (30〜<60 のeGFR ml/分/1.73 m2) の腎臓障害)及び/又は高い基準線UACR (例えば、微量又は顕性アルブミン尿症の進行した段階)を有する65才以上の年齢の患者を含んでもよい。
本発明の意味内の患者の更なる実施態様(これは糖尿病又は非糖尿病であってもよい)は糖尿病性腎症を有する患者(好ましくは糖尿病患者、特に2型糖尿病患者)、特にアンギオテンシン転化酵素 (ACE)阻害薬及び/又はアンギオテンシンII受容体遮断薬 (ARB)による(例えば、以前の、又は進行中の)治療のこれらの患者、例えば、アンギオテンシン転化酵素 (ACE)阻害薬及び/又はアンギオテンシンII受容体遮断薬 (ARB)による治療にもかかわらずアルブミン尿症の不適当な調節を有する患者に関するものであってもよい。
或る実施態様において、本発明の治療を受け易いかもしれない患者は下記の疾患、障害又は症状の一つ以上を有してもよく、又はそのリスクがある:1型糖尿病、2型糖尿病、耐糖能異常 (IGT)、空腹時血糖異常 (IFG)、高血糖、食後高血糖、吸収後高血糖、成人の潜在性自己免疫糖尿病(LADA)、過剰体重、肥満、脂質異常症(例えば、アテローム発生脂質異常症を含む)、高脂血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、高NEFA血症、食後脂肪血症、高血圧、アテローム硬化症、内皮機能不全、骨多孔症、慢性全身性炎症、非アルコール性脂肪肝疾患 (NAFLD)、多のう胞性卵巣症候群、高尿酸血症、代謝症候群、腎症、微量又は顕性アルブミン尿症、タンパク尿症、ネフローゼ症候群、網膜症、白内障、神経障害、学習又は記憶障害、神経変性又は認知障害、痴呆、心血管又は脳血管疾患、組織虚血、糖尿病の足又は潰瘍、アテローム硬化症、高血圧、内皮機能不全、心筋梗塞、急性冠状動脈症候群、不安定狭心症、安定狭心症、末梢動脈閉塞性疾患、心筋症 (例えば、尿毒性心筋症を含む)、心不全、心臓肥大、心臓律動障害、血管再狭窄、卒中、(腎臓、心臓、脳又は肝臓の)虚血/再潅流障害、(腎臓、心臓、脳又は肝臓の)繊維症、(腎臓、心臓、脳又は肝臓の)血管再構築;糖尿病疾患。例えば、2型真性糖尿病が特に注目に値する(例えば、基礎となる疾患として)。
更に、本発明は本明細書に記載された療法(例えば、治療及び/又は予防及び/又は保護)における使用のための、メトホルミンと組み合わせての、本明細書に特定された或る種のDPP-4 阻害薬、好ましくはリナグリプチン (BI 1356)に関する。
更に、本発明は本明細書に記載された療法(例えば、治療及び/又は予防及び/又は保護)における使用のための、メトホルミン及び/又はスルホニル尿素と組み合わせての、本明細書に特定された或る種のDPP-4 阻害薬、好ましくはリナグリプチン (BI 1356)に関する。
更に、本発明は本明細書に記載された療法(例えば、治療及び/又は予防及び/又は保護)における使用のための、ピオグリタゾンと組み合わせての、本明細書に特定された或る種のDPP-4 阻害薬、好ましくはリナグリプチン (BI 1356)に関する。
更に、本発明は本明細書に記載された療法(例えば、治療及び/又は予防及び/又は保護)における使用のための、テルミサルタンと組み合わせての、本明細書に特定された或る種のDPP-4 阻害薬、好ましくはリナグリプチン (BI 1356)に関する。
更に、本発明は本明細書に記載された療法(例えば、治療及び/又は予防及び/又は保護)における使用のための、インスリン又はインスリン類似体(例えば、基礎インスリン、例えば、インスリングラルギン、インスリンデテミルもしくはインスリンデグルデック、又はNPH インスリン)と組み合わせての、本明細書に特定された或る種のDPP-4 阻害薬、好ましくはリナグリプチン (BI 1356)に関する。
更に、本発明は本明細書に記載された療法(例えば、治療及び/又は予防及び/又は保護)における使用のための、利尿薬、ARB 及び/又はACE 阻害薬と組み合わせての、本明細書に特定された或る種のDPP-4 阻害薬、好ましくはリナグリプチン (BI 1356)に関する。
更に、本発明は本明細書に記載された療法(例えば、治療及び/又は予防及び/又は保護)における使用のための、例えば、他の抗糖尿病物質、血糖レベルを低下する活性物質、血液中の脂質レベルを低下する活性物質、血液中のHDL レベルを上昇する活性物質、血圧を低下する活性物質、及びアテローム硬化症又は肥満の治療に指示される活性物質から選ばれた、一種以上の他の活性薬剤と組み合わせての、本明細書に特定された或る種のDPP-4 阻害薬、好ましくはリナグリプチン (BI 1356)に関する。
更に、本発明は本明細書に記載された治療における使用のための、本明細書に特定された或る種のDPP-4 阻害薬、好ましくはリナグリプチン (BI 1356)を含む医薬組成物に関する。
更に、本発明は本明細書に記載された治療における使用のための、本明細書に特定された或る種のDPP-4 阻害薬、好ましくはリナグリプチン (BI 1356)及びメトホルミンを含む医薬組成物に関する。
更に、本発明は本明細書に記載された治療における使用のための、本明細書に特定された或る種のDPP-4 阻害薬、好ましくはリナグリプチン (BI 1356)、及びピオグリタゾンを含む医薬組成物に関する。
更に、本発明は特に本明細書に記載された療法(例えば、治療及び/又は予防及び/又は保護)における同時、別々又は逐次の使用のための、或る種のDPP-4 阻害薬(特にリナグリプチン)及びメトホルミン、スルホニル尿素、ナテグリニド、レパグリニド、チアゾリジンジオン、PPAR−ガンマ−アゴニスト、アルファ−グルコシダーゼ阻害薬、インスリン又はインスリン類似体、及びGLP-1 又はGLP-1 類似体からなる群から選ばれた一種以上の他の抗糖尿病薬を含む組み合わせ(必要により利尿薬、ACE 阻害薬及び/又はARB 、例えば、テルミサルタンと(例えば、同時、別々又は逐次に)組み合わせてもよい)に関する。
更に、本発明は、必要とする患者(特にヒト患者)、例えば、心血管及び/又は腎臓微小血管の疾患を有し、又はその高いリスクのある患者、例えば、高い血管のリスク(例えば、CV事象の高いリスク)のある患者(例えば、本明細書に記載されたような)、例えば、本明細書に記載された実施態様1〜6又は1〜7の少なくとも一つに記載された患者を含む、本明細書に記載された患者、好ましくはヒト糖尿病患者(特に2型糖尿病患者)に有効量の本明細書に特定された或る種のDPP-4 阻害薬(特にリナグリプチン)そして、必要により、一種以上の他の活性薬剤、例えば、メトホルミン、スルホニル尿素、ナテグリニド、レパグリニド、チアゾリジンジオン、PPAR−ガンマ−アゴニスト、アルファ−グルコシダーゼ阻害薬、インスリン又はインスリン類似体、及びGLP-1 又はGLP-1 類似体からなる群から選ばれた(好ましくはメトホルミン、スルホニル尿素、ナテグリニド、レパグリニド、チアゾリジンジオン、PPAR−ガンマ−アゴニスト、アルファ−グルコシダーゼ阻害薬、及びインスリン又はインスリン類似体からなる群から選ばれた)一種以上の他の抗糖尿病薬を必要により一種以上の更なる活性薬剤(例えば、利尿薬、ACE 阻害薬及び/又はARB 、例えば、テルミサルタン)と(例えば、同時、別々又は逐次に)組み合わせて(例えば、同時、別々又は逐次に)投与することを含む、本明細書に記載された療法又は(治療もしくは予防もしくは保護)方法又は使用に関する。
更に、本発明は必要とする患者(特にヒト患者)、例えば、本明細書に記載された患者、好ましくは、例えば、心血管及び/又は腎臓微小血管の疾患を有し、又はその高いリスクのある患者、例えば、高い血管のリスク(例えば、CV事象の高いリスク)のある患者(例えば、本明細書に記載されたような)、好ましくは、例えば、本明細書に記載された実施態様1〜6又は1〜7の少なくとも一つに記載された患者を含む、ヒト糖尿病患者(特に2型糖尿病患者)に有効量のリナグリプチン及びメトホルミンを(例えば、同時、別々又は逐次に)投与することを含む、本明細書に記載された療法又は(治療もしくは予防もしくは保護)方法又は使用に関する。
更に、本発明は必要とする患者(特にヒト患者)、例えば、本明細書に記載された患者、好ましくは、例えば、心血管及び/又は腎臓微小血管の疾患を有し、又はその高いリスクのある患者、例えば、高い血管のリスク(例えば、CV事象の高いリスク)のある患者(例えば、本明細書に記載されたような)、例えば、本明細書に記載された実施態様1〜6又は1〜7の少なくとも一つに記載された患者を含む、ヒト糖尿病患者(特に2型糖尿病患者)に有効量のリナグリプチン及びメトホルミン及びスルホニル尿素を(例えば、同時、別々又は逐次に)投与することを含む、本明細書に記載された療法又は(治療もしくは予防もしくは保護)方法又は使用に関する。
更に、本発明は必要とする患者(特にヒト患者)、例えば、本明細書に記載された患者、好ましくは、例えば、心血管及び/又は腎臓微小血管の疾患を有し、又はその高いリスクのある患者、例えば、高い血管のリスク(例えば、CV事象の高いリスク)のある患者(例えば、本明細書に記載されたような)、例えば、本明細書に記載された実施態様1〜6又は1〜7の少なくとも一つに記載された患者を含む、ヒト糖尿病患者(特に2型糖尿病患者)に有効量のリナグリプチン及びピオグリタゾンを(例えば、同時、別々又は逐次に)投与することを含む、本明細書に記載された療法又は(治療もしくは予防もしくは保護)方法又は使用に関する。
更に、本発明は必要とする患者(特にヒト患者)、例えば、本明細書に記載された患者、好ましくは、例えば、心血管及び/又は腎臓微小血管の疾患を有し、又はその高いリスクのある患者、例えば、高い血管のリスク(例えば、CV事象の高いリスク)のある患者(例えば、本明細書に記載されたような)、例えば、本明細書に記載された実施態様1〜6又は1〜7の少なくとも一つに記載された患者を含む、ヒト糖尿病患者(特に2型糖尿病患者)に有効量のリナグリプチン及びテルミサルタンを(例えば、同時、別々又は逐次に)投与することを含む、本明細書に記載された療法又は(治療もしくは予防もしくは保護)方法又は使用に関する。
アルブミン尿症(例えば、微量又は顕性アルブミン尿症)
及び
以前の大血管(例えば、心血管又は脳血管)疾患(例えば、心筋梗塞、冠状動脈疾患、(虚血性又は出血性)卒中、頚動脈疾患及び/又は末梢動脈疾患)
の両方
及び/又は
(軽度又は中等度の)腎臓障害(例えば、CKD 段階1,2 又は3 、例えば、CKD 段階1、2(軽度)又は3a(軽度−中等度)、好ましくはeGFR ≧ 45-75 mL/分/1.73 m2) と顕性アルブミン尿症
もしくは
(中等度又は重度の)腎臓障害(例えば、CKD 段階3 又は4 、例えば、CKD 段階3b(中等度−重度)又は4(重度)、好ましくはeGFR 15-45 mL/分/1.73 m2) (アルブミン尿症を有し、又は有さない)(例えば、微量又は顕性アルブミン尿症を有し、又は有さない)を有する患者の療法(例えば、治療、予防、保護)に関するものであり、
前記方法は患者に、必要により一種以上の他の活性薬剤(例えば、先に、又は後に記載されるものから選ばれ、例えば、他の抗糖尿病物質、血糖レベルを低下する活性物質、血液中の脂質レベルを低下する活性物質、血液中のHDL レベルを上昇する活性物質、血圧を低下する活性物質、アテローム硬化症又は肥満の治療に指示される活性物質、及び/又は主なCV事象の治療又は予防に指示される活性物質及び/又は抗血小板物質及び/又は血液凝固阻止薬から選ばれる)と組み合わせて、有効量のリナグリプチンを投与することを含む。
アルブミン尿症(例えば、微量又は顕性アルブミン尿症)
及び
以前の大血管(例えば、心血管又は脳血管)疾患(例えば、心筋梗塞、冠状動脈疾患、(虚血性又は出血性)卒中、頚動脈疾患及び/又は末梢動脈疾患)
の両方
及び/又は
(軽度又は中等度の)腎臓障害(例えば、CKD 段階1,2 又は3 、例えば、CKD 段階1、2(軽度)又は3a(軽度−中等度)、好ましくはeGFR ≧ 45-75 mL/分/1.73 m2) と顕性アルブミン尿症
もしくは
(中等度又は重度の)腎臓障害(例えば、CKD 段階3 又は4 、例えば、CKD 段階3b(中等度−重度)又は4(重度)、好ましくはeGFR 15-45 mL/分/1.73 m2) (アルブミン尿症を有し、又は有さない)(例えば、微量又は顕性アルブミン尿症を有し、又は有さない)を有する患者で、心血管又は脳血管の疾患又は事象(例えば、心血管(CV)死(致死性卒中、致死性心筋梗塞及び突然死を含む)、非致死性卒中、非致死性心筋梗塞(MI)(無症状MIは除かれてもよい)及び不安定狭心症のための入院から選ばれる)を予防し、それに対して保護し、そのリスクを低減し、かつ/又はその発生を遅延し、かつ
腎臓微小血管疾患(例えば、腎臓死、末期腎臓疾患及び推定糸球体濾過率の損失(例えば、eGFR ≧基準線から50%)から選ばれる)を予防し、それに対して保護し、そのリスクを低減し、かつ/又はその発生を遅延する方法に関するものであり、
患者に、必要により一種以上の他の活性薬剤(例えば、他の抗糖尿病物質、血糖レベルを低下する活性物質、血液中の脂質レベルを低下する活性物質、血液中のHDL レベルを上昇する活性物質、血圧を低下する活性物質、アテローム硬化症又は肥満の治療に指示される活性物質、及び/又は主なCV事象の治療又は予防に指示される活性物質及び/又は抗血小板物質及び/又は血液凝固阻止薬から選ばれる)と組み合わせて、有効量のリナグリプチンを投与することを含む。
アルブミン尿症(例えば、微量又は顕性アルブミン尿症)
及び
以前の大血管(例えば、心血管又は脳血管)疾患(例えば、心筋梗塞、冠状動脈疾患、(虚血性又は出血性)卒中、頚動脈疾患及び/又は末梢動脈疾患)
の両方
及び/又は
(軽度又は中等度の)腎臓障害(例えば、CKD 段階1,2 又は3 、例えば、CKD 段階1、2(軽度)又は3a(軽度−中等度)、好ましくはeGFR ≧ 45-75 mL/分/1.73 m2) と顕性アルブミン尿症
もしくは
(中等度又は重度の)腎臓障害(例えば、CKD 段階3 又は4 、例えば、CKD 段階3b(中等度−重度)又は4(重度)、好ましくはeGFR 15-45 mL/分/1.73 m2) (アルブミン尿症を有し、又は有さない)(例えば、微量又は顕性アルブミン尿症を有し、又は有さない)を有する患者で、心血管又は脳血管の疾患又は事象(例えば、心血管(CV)死(致死性卒中、致死性心筋梗塞及び突然死を含む)、非致死性卒中、非致死性心筋梗塞(MI)(無症状MIは除かれてもよい)及び不安定狭心症のための入院から選ばれる)を予防し、それに対して保護し、そのリスクを低減し、かつ/又はその発生を遅延し、かつ
腎臓微小血管疾患(例えば、腎臓死、末期腎臓疾患及び推定糸球体濾過率の損失(例えば、eGFR ≧基準線から50%)から選ばれる)を予防し、それに対して保護し、そのリスクを低減し、かつ/又はその発生を遅延する方法に関するものであり、
患者に、有効量のリナグリプチンそして、必要により、メトホルミン、スルホニル尿素、ナテグリニド、レパグリニド、チアゾリジンジオン、PPAR−ガンマ−アゴニスト、アルファ−グルコシダーゼ阻害薬、インスリン又はインスリン類似体、及びGLP-1 又はGLP-1 類似体からなる群から選ばれた一種以上の他の抗糖尿病薬を、必要により、一種以上の更なる活性薬剤(例えば、利尿薬、ACE 阻害薬及び/又はARB 、例えば、テルミサルタン)と組み合わせて、投与することを含む。
更に、本発明は好ましくは2型糖尿病患者(例えば、本明細書に記載されたような心血管又は脳血管及び/又は腎臓(微小)血管の疾患、事象、合併症又は症状を有し、又はそのリスクのあるこれらの患者(例えば、本明細書に特定されたような高い血管リスクのある患者)を含む)、例えば、本明細書に記載された実施態様1〜6又は1〜7の少なくとも一つに記載のこれらの患者で、腎臓罹患状態及び/又は致死性を予防し、そのリスクもしくは可能性を低減し、又はその発生を遅延し、あるいはその進行を遅くする際の使用のための或る種のDPP-4 阻害薬、好ましくはリナグリプチン(必要により一種以上の他の活性薬剤(例えば、ARB 又はACE 阻害薬を含み、例えば、付加的な通常のバックグラウンド治療(例えば、ACEi又はARB による)を伴ない、又は伴なわない)と組み合わせて)に関する。
更に、本発明は好ましくは2型糖尿病患者(例えば、本明細書に記載されたような心血管又は脳血管及び/又は腎臓(微小)血管の疾患、事象、合併症又は症状を有し、又はそのリスクのあるこれらの患者(例えば、本明細書に特定されたような高い血管リスクのある患者)を含む)、例えば、本明細書に記載された実施態様1〜6又は1〜7の少なくとも一つに記載のこれらの患者で、糖尿病性腎症、微量又は顕性アルブミン尿症、慢性腎臓疾患 (CKD)、CKD の悪化、及び/又は急性腎不全を治療し、予防し、そのリスクを低減し、又はその発生もしくは進行を遅延する際の使用のための或る種のDPP-4 阻害薬、好ましくはリナグリプチン(必要により一種以上の他の活性薬剤と組み合わせて)に関する。
更に、本発明は特に糖尿病、特に2型真性糖尿病を有するヒト患者で、腎臓罹患状態及び/又は致死性を予防し、そのリスクを低減し、又はその発生を遅延し、又はその進行を遅くし、例えば、微量又は顕性アルブミン尿症の発生又は進行、慢性腎臓疾患 (CKD)の発生、CKD の悪化、及び/又は急性腎臓不全及び/又は死亡の発生を予防し、低減し、又は遅延する際の使用のため、かつ/又は
特に糖尿病、特に2型真性糖尿病を有するヒト患者(例えば、本明細書に記載されたような心血管又は脳血管及び/又は腎臓(微小)血管の疾患、事象、合併症又は症状を有し、又はそのリスクのあるこのような患者(例えば、本明細書に特定されたような高い血管リスクのある患者)を含む)、例えば、本明細書に記載された実施態様1〜6又は1〜7の少なくとも一つに記載のこのような患者で、アルブミン尿症(微量又は顕性アルブミン尿症)又は糖尿病性腎症を治療し、低下し、予防し、そのリスクを低減し、その発生を遅延し、又はその進行を遅くする際の使用のための或る種のDPP-4 阻害薬、好ましくはリナグリプチン(必要により一種以上の他の活性薬剤、例えば、一種以上の抗糖尿病薬と組み合わせて、かつ/又は必要により一種以上の更なる活性薬剤、例えば、一種以上の抗血小板物質、抗高血圧薬及び/又は脂質低下薬と組み合わせて)に関する。
及び/又は
腎臓微小血管の疾患又は合併症(例えば、腎症、(微量又は顕性)アルブミン尿症、慢性腎臓疾患 (CKD)、腎臓死、末期腎臓疾患、腎臓障害及び推定糸球体濾過率の損失(例えば、eGFR ≧ 基準線から50%)から選ばれる)
を治療し、予防し、それに対して保護し、そのリスクを低減し、その発生を遅延し、又はその進行を遅くする方法における使用のための或る種のDPP-4 阻害薬、好ましくはリナグリプチン(必要により一種以上の他の活性薬剤と組み合わせて)に関するものであり、特にこの方法はDPP-4 阻害薬をアンギオテンシン転化酵素 (ACE)阻害薬及び/又はアンギオテンシンII受容体遮断薬 (ARB)と組み合わせて患者に投与することを含む。
更に、本発明は好ましくは2型糖尿病患者(例えば、本明細書に記載されたような心血管又は脳血管及び/又は腎臓(微小)血管の疾患、事象、合併症又は症状を有し、又はそのリスクのあるこれらの患者(例えば、本明細書に特定されたような高い血管リスクのある患者)、例えば、本明細書に記載された実施態様1〜6又は1〜7の少なくとも一つに記載のこれらの患者を含み、かつ/又は、例えば、アンギオテンシン転化酵素 (ACE)阻害薬及び/又はアンギオテンシンII受容体遮断薬 (ARB)による治療にもかかわらずアルブミン尿症の不適当な調節を有するこれらの患者を含む)で、腎症、微量又は顕性アルブミン尿症、慢性腎臓疾患 (CKD)、CKD の悪化、腎臓障害及び/又は急性腎臓不全を治療し、予防し、そのリスクを低減し、又はその発生もしくは進行を遅延する際の使用のための或る種のDPP-4 阻害薬、好ましくはリナグリプチン(必要により一種以上の他の活性薬剤と組み合わせて)に関するものであり、特にこの方法はDPP-4 阻害薬をアンギオテンシン転化酵素 (ACE)阻害薬及び/又はアンギオテンシンII受容体遮断薬 (ARB)と組み合わせて患者に投与することを含む。
更に、本発明は特に糖尿病、特に2型真性糖尿病を有する患者(例えば、本明細書に記載されたような心血管又は脳血管及び/又は腎臓(微小)血管の疾患、事象、合併症又は症状を有し、又はそのリスクのあるこれらの患者(例えば、本明細書に特定されたような高い血管リスクのある患者)、例えば、本明細書に記載された実施態様1〜6又は1〜7の少なくとも一つに記載のこれらの患者を含み、例えば、抗血小板薬物、例えば、アセチルサリチル酸による(進行中の)治療、及び/又は抗高血圧薬物、例えば、ACE 阻害薬、ARB 、ベータ−遮断薬、カルシウム−アンタゴニスト又は利尿薬による(進行中の)治療、及び/又は脂質低下薬物、例えば、フィブレート、ニアシン又はスタチンによる(進行中の)治療、或いはこれらの組み合わせを受けている患者を含む)で、腎臓及び/又は心血管の罹患状態及び/又は致死性、好ましくは腎臓及び心血管の罹患状態及び/又は致死性の両方を予防し、それに対して保護し、そのリスクを低減し、又はその発生を遅延し、又はその進行を遅くする際の使用のための或る種のDPP-4 阻害薬、好ましくはリナグリプチン(必要により一種以上の他の活性薬剤、例えば、一種以上の抗糖尿病薬と組み合わせて、かつ/又は必要により一種以上の更なる活性薬剤(例えば、抗血小板物質、抗高血圧薬及び/又は脂質低下薬から選ばれる)と組み合わせて)に関する。
例えば、本発明の治療はCV事象の一次もしくは二時予防のために、又はそのリスクを低減するために或る種のDPP-4 阻害薬、特にリナグリプチン(好ましくは、必要により一種以上の他の活性物質と組み合わせて、経口投与される、1日当り5 mg)による治療の少なくとも3年の期間に関してもよい。
更なる例について、本発明の治療はCV事象の一次又は二時予防のために(又はそのリスクを低減するために)(例えば、二次予防のために少なくとも3-4 年又は5-6 年、一次予防のために少なくとも3-6 年又は7-10年)、例えば、CV罹患状態及び/又は(早期)CV致死性、例えば、CV死(例えば、致死性心筋梗塞、致死性卒中、致死性心不全、心臓性ショック、又は心臓突然死)、非致死性心筋梗塞、非致死性卒中(例えば(頭蓋内)出血性又は非出血性の卒中、及び/又は無症状又は非無症状)及び/又は不安定狭心症(例えば、不安定狭心症のための入院)、及び/又は、必要により、安定狭心症、一過性虚血性発作、鬱血性心不全、末梢再血管形成手術及び/又は冠状動脈再血管形成手術(例えば、このような罹患状態のいずれかのための入院)から選ばれる一つ以上を減少し、予防し、それに対して保護し、遅延し(例えば、発生又は進行)、かつ/又はそのリスクを低減するために或る種のDPP-4 阻害薬、特にリナグリプチン(好ましくは、必要により一種以上の他の活性物質と組み合わせて、経口投与される、1日当り5 mg)による治療の少なくとも3年の期間に関してもよい。
実施態様において、本発明の治療はCV事象の一次予防のため(又はそのリスクを低減するため)の或る種のDPP-4 阻害薬、特にリナグリプチン(好ましくは、必要により一種以上の他の活性物質と組み合わせて、経口投与される、1日当り5 mg)による治療の少なくとも3-6 年の期間に関してもよい。
更なる実施態様において、本発明の治療はCV事象の二次予防のため(又はそのリスクを低減するため)の或る種のDPP-4 阻害薬、特にリナグリプチン(好ましくは、必要により一種以上の他の活性物質と組み合わせて、経口投与される、1日当り5 mg)による治療の少なくとも5-6 年の期間に関してもよい。
更なる実施態様において、本発明の治療はCV事象の一次予防のため(又はそのリスクを低減するため)の或る種のDPP-4 阻害薬、特にリナグリプチン(好ましくは、必要により一種以上の他の活性物質と組み合わせて、経口投与される、1日当り5 mg)による治療の少なくとも7-10年の期間に関してもよい。
CV事象の一次予防は、例えば、CV健康である患者におけるように、その疾患を発生することからの保護(又はそのリスクの低減)に関してもよい。CV事象の二次予防は、例えば、CV事象/疾患のリスクがあり、又はCV疾患を有する患者におけるようにその発生の遅延、又はその疾患の進行を遅くすること、又はそれからの保護(又はそのリスクの低減)に関してもよい。
本発明の意味内のDPP-4 阻害薬として、先に、また後に挙げられるこれらのDPP-4 阻害薬のいずれか、好ましくは経口活性のDPP-4 阻害薬が挙げられるが、これらに限定されない。
第一の実施態様(実施態様A)において、本発明の状況におけるDPP-4 阻害薬が下記の式のあらゆるDPP-4 阻害薬又はその医薬上許される塩である。
第一の実施態様(実施態様A)に関して、好ましいDPP-4 阻害薬は下記の化合物のいずれか又は全て及びそれらの医薬上許される塩である。
・1-[(4-メチル-キナゾリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-(3-(R)-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン (WO 2004/018468, 実施例2(142)と比較のこと):
第二の実施態様(実施態様B)において、本発明の状況におけるDPP-4 阻害薬は
シタグリプチン、ビルダグリプチン、サキサグリプチン、アログリプチン、ゲミグリプチン、オマリグリプチン、エボグリプチン、
(2S)-1-{[2-(5-メチル-2-フェニル-オキサゾール-4-イル)-エチルアミノ]-アセチル}-ピロリジン-2-カルボニトリル、
(2S)-1-{[1,1,-ジメチル-3-(4-ピリジン-3-イル -イミダゾール-1-イル)-プロピルアミノ]-アセチル}-ピロリジン-2-カルボニトリル、
(S)-1-((2S,3S,11bS)-2-アミノ-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド [2,1-a]イソキノリン-3-イル)-4-フルオロメチル-ピロリジン-2-オン,
(3,3-ジフルオロピロリジン-1-イル)-((2S,4S)-4-(4-(ピリミジン-2-イル)ピペラジン-1-イル)ピロリジン-2-イル)メタノン、
(1((3S,4S)-4-アミノ-1-(4-(3,3-ジフルオロピロリジン-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)ピロリジン-3-イル)-5,5-ジフルオロピペリジン-2-オン、
(2S,4S)-1-{2-[(3S,1R)-3-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イルメチル)シクロペンチルアミノ]-アセチル}-4-フルオロピロリジン-2-カルボニトリル、
(R)-2-[6-(3-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-メチル-2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロ-2H-ピリミジン-1-イルメチル]-4-フルオロ-ベンゾニトリル、
5-{(S)-2-[2-((S)-2-シアノ-ピロリジン-1-イル)-2-オキソ-エチルアミノ]-プロピル}-5-(1H-テトラゾール-5-イル)-10,11-ジヒドロ-5H-ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン-2,8-ジカルボン酸ビス-ジメチルアミド、
3-{(2S,4S)-4-[4-(3-メチル-1-フェニル-1H-ピラゾール-5-イル)ピペラジン-1-イル]ピロリジン-2-イルカルボニル}チアゾリジン、
[(2R)-1-{[(3R)-ピロリジン-3-イルアミノ]アセチル}ピロリジン-2-イル]ボロン酸、
(2S,4S)-1-[2-[(4-エトキシカルボニルビシクロ [2.2.2]オクト-1-イル)アミノ]アセチル]-4-フルオロピロリジン-2-カルボニトリル、
2-({6-[(3R)-3-アミノ-3-メチルピペリジン-1-イル]-1,3-ジメチル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロ-5H-ピロロ [3,2-d]ピリミジン-5-イル}メチル)-4-フルオロベンゾニトリル、
6-[(3R)-3-アミノ-ピペリジン-1-イル]-5-(2-クロロ-5-フルオロ-ベンジル)-1,3-ジメチル-1,5-ジヒドロ-ピロロ [3,2-d]ピリミジン-2,4-ジオン、及び
(S)-2-メチルピラゾロ [1,5-a]ピリミジン-6-カルボン酸 {2-[(2-シアノピロリジン-1-イル)-2-オキソエチルアミノ]-2-メチルプロピル}アミド
からなる群から選ばれたDPP-4阻害薬又はその医薬上許される塩である。
本発明のDPP-4 阻害薬はリナグリプチン、シタグリプチン、ビルダグリプチン、アログリプチン、サキサグリプチン、テネリグリプチン、アナグリプチン及びゲミグリプチン、又は本明細書に挙げられたDPP-4 阻害薬の一種の医薬上許される塩、或いはそのプロドラッグからなる群から選ばれてもよい。
本発明内で強調すべき特に好ましいDPP-4 阻害薬はリナグリプチンである。本明細書に使用される“リナグリプチン”という用語はリナグリプチン又はその医薬上許される塩(これらの水和物及び溶媒和物、並びにこれらの結晶性形態を含む)を表し、リナグリプチンは1-[(4-メチル-キナゾリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-(3-(R)-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチンを表すことが好ましい。結晶性形態はWO 2007/128721に記載されている。リナグリプチンの製造方法が、例えば、特許出願WO 2004/018468及びWO 2006/048427に記載されている。リナグリプチンは構造上匹敵するDPP-4 阻害薬から区別される。何とならば、それは格別の効力及び長く持続する効果と有利な薬理学的性質、受容体選択性及び有利な副作用プロフィールを併有し、又は単一治療又は二重もしくは三重組み合わせ治療で予期しない治療上の利点又は改善をもたらすからである。
本発明の実施態様は患者における使用に適したDPP-4 阻害薬に関するものであり、前記患者は更に腎臓疾患、腎臓機能不全又は腎臓障害を患っており、特に前記DPP-4 阻害薬が正常な腎臓機能を有する患者についての同じ用量レベルで前記患者に投与されることを特徴とし、こうして、例えば、前記DPP-4 阻害薬が腎臓機能障害について下方の用量調節を必要としない。
例えば、本発明のDPP-4 阻害薬(特に腎臓機能障害を有する患者に適しているかもしれないもの)はその活性代謝産物が好ましくは比較的広い(例えば、>100 倍の)治療ウインドーを有し、かつ/又は、特に、肝臓代謝又は胆管排泄により(好ましくは腎臓に付加的な負荷を加えないで)主として排除されるこのような経口DPP-4 阻害薬であってもよい。
更に詳しい例において、本発明のDPP-4 阻害薬(特に腎臓機能障害を有する患者に適しているかもしれないもの)は比較的広い(例えば、> 100 倍の)治療ウインドー(好ましくは偽薬に匹敵する安全性プロフィール)を有し、かつ/又は下記の薬物動態学的性質の一つ以上を(好ましくはその治療経口用量レベルで)満足するこのような経口投与されるDPP-4 阻害薬であってもよい:
−DPP-4 阻害薬が主として親薬物として変化しないで排泄され(例えば、放射能標識炭素(14C) 物質の経口投薬後に尿及び糞便中に排泄される放射能の平均> 70% 、又は> 80% 、又は、好ましくは、90% )、かつ/又はそれが代謝により実質的に排除されず、又はごくわずかな程度で排除される(例えば、< 30% 、又は< 20% 、又は、好ましくは、10%);−DPP-4 阻害薬の(主な)一種以上の代謝産物が薬理学上不活性である。例えば、主な代謝産物が標的酵素DPP-4 に結合せず、必要により、それが親化合物と較べて迅速に排除される(例えば、≦ 20時間、又は、好ましくは、≦ 約16時間、例えば、15.9時間の代謝産物の終末半減期で)。
一実施態様において、3-アミノ-ピペリジン-1-イル置換基を有するDPP-4 阻害薬の血漿中の(主な)代謝産物(これは薬理学上不活性であってもよい)はその3-アミノ-ピペリジン-1-イル部分のアミノ基がヒドロキシル基により置換されて3-ヒドロキシ-ピペリジン-1-イル部分(例えば、キラル中心の配置の反転により生成される、3-(S)-ヒドロキシ-ピペリジン-1-イル部分)を生成するこのような誘導体である。
こうして、例えば、本発明のDPP-4 阻害薬は前記DPP-4 阻害薬が排泄の一次非腎臓経路を有し、即ち、前記DPP-4 阻害薬が(例えば、放射能標識炭素(14C) 物質経口用量の排除を追跡することにより測定して)腎臓により実質的に排泄されず、又はごくわずかな程度に排出される(例えば、投与された経口用量、好ましくは経口治療用量の< 10 %、好ましくは< 7 % 、例えば、約5 % )ことを特徴とし得る。
更に、本発明のDPP-4 阻害薬は前記DPP-4 阻害薬が(例えば、放射能標識炭素(14C) 物質経口用量の排除を追跡することにより測定して)肝臓、胆管又は糞便により実質的に、又は主として排泄されることを特徴とし得る。
更に、本発明のDPP-4 阻害薬は前記DPP-4 阻害薬が主として親薬物として変化されずに排泄され(例えば、放射能標識炭素(14C) 物質の経口投薬後に尿及び糞便中に排泄される放射能の平均> 70% 、又は> 80% 、又は、好ましくは、90 %で)、
前記DPP-4 阻害薬が代謝により実質的に排除されず、又はごくわずかな程度で排除され、かつ/又は
前記DPP-4 阻害薬の主な代謝が薬理学上不活性であり、又は比較的広い治療ウインドーを有することを特徴とし得る。
更に、本発明のDPP-4 阻害薬は前記DPP-4 阻害薬が慢性腎臓不全(例えば、軽度、中等度又は重度の腎臓障害又は末期腎臓疾患)を有する2型糖尿病患者の糸球体及び/又は管の機能を有意に損なわず、かつ/又は
軽度又は中等度の腎臓障害を有する2型糖尿病患者の血液血漿中の前記DPP-4 阻害薬トラフレベルが正常な腎臓機能を有する患者におけるレベルに匹敵し、かつ/又は
前記DPP-4 阻害薬が腎臓機能障害(例えば、好ましくは腎臓障害の段階にもかかわらず、軽度、中等度もしくは重度の腎臓障害又は末期腎臓疾患)を有する2型糖尿病患者で用量調節されることを必要としないことを特徴とし得る。
前記DPP-4 阻害薬が患者の>80%でトラフ時に(最後の投薬の24時間後に)DPP-4 活性の>80%阻害をもたらすその用量でその充分な治療用量を与えることを特徴とし得る。
更に、本発明のDPP-4 阻害薬は腎臓疾患、障害又は合併症と診断され、かつ/又は腎臓疾患、障害又は合併症を発生するリスクがある2型糖尿病患者、例えば、糖尿病性腎症(慢性及び進行性の腎臓不全、アルブミン尿症、タンパク尿症、生体中の体液保持(水腫)及び/又は高血圧を含む)を有し、又はそのリスクのある患者における使用に適していることを特徴とし得る。
特に注目されない限り、本発明によれば、先に、また後に挙げられる活性薬剤(DPP-4 阻害薬を含む)の特定はまたそれらの医薬上許される塩、並びにこれらのプロドラッグ、水和物、溶媒和物及び多形形態を意図し得ることが理解されるべきである。特に、本明細書に示される治療薬剤の用語は夫々の活性薬物を表す。塩、水和物及びこれらの多形形態に関して、本明細書に言及されるものが特に参考にされる。
本発明内で、本発明の組み合わせ、組成物又は組み合わされた使用は活性成分の同時、連続又は別々の投与をもくろみ得ることが理解されるべきである。
この状況において、本発明の意味内の“組み合わせ”又は“組み合わされた”は固定及び非固定(例えば、自由)形態(キットを含む)及び使用、例えば、成分の同時、連続又は別々の使用を含んでもよいが、これらに限定されない。
本発明の組み合わされた投与は活性成分を一緒に投与することにより、例えば、それらを一つの単一の、又は二つの別々の製剤又は剤形中で同時に投与することにより行ない得る。また、投与は活性成分を逐次に、例えば、二つの別々の製剤又は剤形中で連続して投与することにより行ない得る。
本発明の組み合わせ治療について、活性成分が別々に投与されてもよく(これはそれらが別々に製剤化されることを意味する)、又は一緒に製剤化されてもよい(これはそれらが同じ製剤中又は同じ剤形中で製剤化されることを意味する)。それ故、本発明の組み合わせの一つの要素の投与はその組み合わせの別の要素の投与の前、同時、又はその後であってもよい。
特に注目されない限り、組み合わせ治療は第一選択、第二選択又は第三選択治療、又は初期もしくは併用組み合わせ両方又は置換治療に関してもよい。
特に注目されない限り、併用組み合わせ治療は第二選択又は第三選択治療(例えば、1種又は2種の通常の抗糖尿病薬による(ダイエット及び運動プラス)治療にもかかわらず不充分な血糖調節の患者、典型的には1種又は2種の薬剤で前治療されている患者、例えば、このような既存の抗糖尿病バックグラウンド薬物による患者の治療)に関してもよい。
特に注目されない限り、初期の組み合わせ治療は第一選択治療(例えば、ダイエット及び運動単独による不充分な血糖調節の患者、例えば、薬物ナイーブ患者、典型的には診断後の早期の患者及び/又は抗糖尿病薬で既に治療されていなかった患者の治療)に関してもよい。
式(II)のプリン誘導体が、例えば、WO 2004/050658又はWO 2005/110999(これらの開示が本明細書に含まれる)に記載されたように得られる。
式 (III)及び(IV)のプリン誘導体が、例えば、WO 2006/068163、WO 2007/071738又はWO 2008/017670(これらの開示が本明細書に含まれる)に記載されたように得られる。これらのDPP-4 阻害薬(これらは先に詳しく記述される)の調製は、それらに関連して記述された刊行物に開示されている。特別なDPP-4 阻害薬の多形結晶性改良物及び製剤が夫々、WO 2007/128721及びWO 2007/128724(これらの開示が本明細書にそのまま含まれる)に開示されている。メトホルミン又は他の組み合わせパートナーとの特別なDPP-4 阻害薬の製剤がWO 2009/121945(その開示が本明細書にそのまま含まれる)に記載されている。
リナグリプチン/メトホルミンIR(即時放出)の二重の固定組み合わせ(錠剤)の典型的な有効成分含量は2.5/500 mg、2.5/850 mg及び2.5/1000 mg であり、これらは1日1-3 回、特に1日2回投与されてもよい。
リナグリプチン/メトホルミンXR(延長放出)の二重の固定組み合わせ(錠剤)の典型的な有効成分含量は5/500 mg、5/1000 mg 及び5/1500 mg (夫々一つの錠剤)又は2.5/500 mg、2.5/750 mg及び2.5/1000 mg (夫々二つの錠剤)であり、これらは1日1-2 回、特に1日1回投与されてもよく、好ましくは夕方に食事とともに服用される。
或る実施態様において、リナグリプチン/メトホルミンXR(延長放出)の二重の固定組み合わせ(錠剤)(例えば、5/1000 mg 、2.5/1000 mg 又は2.5/750 mgの有効成分含量)が食事条件下又は空腹条件下で(例えば、1日1回)投与される。
例えば、本発明は更に特にメトホルミン治療(例えば、第二又は第三選択治療)にもかかわらず不充分な血糖調節の2型糖尿病患者における使用のための、例えば、1日1回又は2回500 mg、750 mg、850 mg又は1000 mg 投与される、メトホルミン塩酸塩の500 〜2000 mg (又は2500 mgまで)の毎日の合計量(例えば、毎日の量1000 mg〜2000 mg 、又は1500 mg 〜2000 mg 、例えば、500 mg 、1000 mg 、1500 mg 、2000 mg又は2500 mg )の、メトホルミン(例えば、1日1回又は2回投与される)との(併用)組み合わせ治療における使用のための本明細書で特定されたDPP-4 阻害薬(特に、例えば、好ましくは毎日1回投与される、5 mgの毎日の用量の、リナグリプチン)に関する。
例えば、本発明は更に、特に不充分な血糖調節(例えば、第一選択治療)の(薬物ナイーブ)2型糖尿病患者における使用のための、例えば、1日1回又は2回500 mg、750 mg、850 mg又は1000 mg として投与される、メトホルミン塩酸塩の500 〜2000 mg (又は2500 mgまで)の毎日の合計量(例えば、毎日の量1000 mg〜2000 mg 、又は1500 mg 〜2000 mg 、例えば、500 mg 、1000 mg 、1500 mg 、2000 mg又は2500 mg )の、メトホルミン(例えば、1日1回又は2回投与される)との(初期)組み合わせ治療における使用のための本明細書で特定されたDPP-4 阻害薬(特に、例えば、好ましくは毎日1回投与される、5 mgの毎日の用量の、リナグリプチン)に関する。
更なる例について、本発明はダイエット及び運動単独による不充分な血糖調節の(薬物ナイーブの、新たに診断された)2型糖尿病患者(例えば、第一選択治療、例えば、既に経口抗糖尿病治療薬又はインスリンで治療されていないダイエット及び運動養生法の患者)における使用のための、好ましくは1日1回(好ましくは夕方に)投与される、例えば、メトホルミン塩酸塩の1000 mg の毎日の合計量の、メトホルミンと同時投与される本明細書で特定されたDPP-4 阻害薬(特に、例えば、好ましくは毎日1回投与される、毎日の経口用量5 mgの、リナグリプチン)に関する。
実施態様Bに関して、実施態様BのDPP-4 阻害薬の合成方法が科学文献及び/又は公開された特許書類に記載されている。
本発明の活性化合物は種々の方法、例えば、投与の経口経路、頬経路、舌下経路、腸経路、非経口(例えば、経皮、筋肉内又は皮下)経路、吸入(例えば、液体もしくは粉末吸入、エアロゾル)経路、肺経路、鼻内(例えば、噴霧)経路、腹腔内経路、膣経路、直腸経路、又は局所経路により投与されてもよく、投与の夫々の経路に適した通常の無毒性の医薬上許される担体、アジュバント及びビヒクルを含む好適な投薬単位製剤中で、単独で、又は一緒に、製剤化されてもよい。
実施態様において、本発明のDPP-4 阻害薬は経口投与されることが好ましい。
DPP-4 阻害薬の好適な用量及び剤形は当業者により決められてもよく、本明細書又は関連文献に記載されたものを含んでもよい。
温血脊椎動物、特にヒトにおける医薬適用について、本発明の化合物は夫々の場合に1日1〜4回、通常体重1kg当り0.001 〜100 mg、好ましくは0.01-15 mg/kg 又は0.1-15 mg/kgの用量で使用される。この目的のために、化合物は、必要により他の活性物質と組み合わせて、一種以上の不活性の通常の担体及び/又は希釈剤、例えば、トウモロコシ澱粉、ラクトース、グルコース、微結晶性セルロース、ステアリン酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、クエン酸、酒石酸、水、水/エタノール、水/グリセロール、水/ソルビトール、水/ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、セチルステアリルアルコール、カルボキシメチルセルロース又は脂肪物質、例えば、硬質脂肪又はこれらの好適な混合物と一緒に通常のガレン製剤、例えば、単純錠剤もしくは被覆錠剤、カプセル、粉末、懸濁液又は座薬に混入されてもよい。
本発明のDPP-4 阻害薬の経口製剤又は剤形は既知の技術に従って調製されてもよい。
本発明の実施態様AのDPP-4 阻害薬の医薬組成物又は剤形(例えば、経口錠剤)は典型的には賦形剤として(活性成分に加えて)、例えば、一種以上の希釈剤、バインダー、崩壊剤、及び滑剤、好ましくは以下に開示される夫々を含んでもよい。実施態様において、崩壊剤は任意であってもよい。
実施態様Aの化合物に適した希釈剤の例として、セルロース粉末、リン酸水素カルシウム、エリスリトール、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、マンニトール、前ゼラチン化澱粉又はキシリトールが挙げられる。
実施態様Aの化合物に適した滑剤の例として、タルク、ポリエチレングリコール、ベヘン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、水添ヒマシ油又はステアリン酸マグネシウムが挙げられる。
実施態様Aの化合物に適した崩壊剤の例として、トウモロコシ澱粉又はクロスポビドンが挙げられる。
本発明の実施態様AのDPP-4 阻害薬の(経口)製剤又は剤形の好適な調製方法は
・好適な錠剤形成賦形剤との粉末混合物中の活性物質の直接錠剤形成;
・好適な賦形剤による造粒及びその後の好適な賦形剤との混合及びその後の錠剤形成だけでなく、フィルム被覆;又は
・カプセルへの粉末混合物又は顆粒の充填である。
好適な造粒方法は
・強力ミキサー中の湿式造粒続いて流動床乾燥;
・ワンポット造粒;
・流動床造粒; 又は
・好適な賦形剤との乾式造粒(例えば、ロール圧縮による)続いて錠剤形成又はカプセルへの充填である。
本発明の実施態様AのDPP-4 阻害薬の錠剤はフィルム被覆されてもよく、好ましくはフィルムコートがヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリエチレングリコール (PEG)、タルク、二酸化チタン及び鉄酸化物(例えば、赤色及び/又は黄色)を含む。
本発明のDPP-4 阻害薬の剤形、製剤及び投与の更なる詳細について、科学文献及び/又は公開された特許書類、特に本明細書に引用されたものが参考にされる。
医薬組成物(又は製剤)は種々の方法で包装されてもよい。一般に、分配のための物品は適当な形態で一種以上の医薬組成物を含む一つ以上の容器を含む。錠剤は典型的には容易な取扱、分配及び貯蔵並びに貯蔵中の環境との延長された接触時の組成物の適当な安定性の確保に適した一次パッケージ中に包装される。錠剤のための主な容器はびん又はブリスターパックであってもよい。
例えば、本発明の実施態様AのDPP-4 阻害薬を含む医薬組成物又は組み合わせ(錠剤)に適したびんは、ガラス又はポリマー(好ましくはポリプロピレン(PP)又は高密度ポリエチレン (HD-PE))からつくられてもよく、ネジキャップでシールされてもよい。ネジキャップは幼児による内容物への接近を妨げ、又は阻止するための幼児耐性安全性クロージャー(例えば、プレス及びツイストクロージャー)を備えていてもよい。必要とされる場合(例えば、高湿度の領域で)、乾燥剤(例えば、ベントナイトクレー、モレキュラーシーブ、又は、好ましくは、シリカゲル)の付加的な使用により、包装された組成物の貯蔵寿命が延長し得る。
例えば、本発明の実施態様AのDPP-4 阻害薬を含む医薬組成物又は組み合わせ(錠剤)に適したブリスターパックは、上部ホイル(これは錠剤により通気性である)及び底部(これは錠剤のためのポケットを含む)を含み、又はこれらから形成される。上部ホイルはその内側(シール側)で熱シール性ポリマー層で被覆されている金属ホイル、特にアルミニウム又はアルミニウム合金ホイル(例えば、20μm〜45μm、好ましくは20μm〜25μmの厚さを有する)を含んでもよい。底部は多層ポリマーホイル(例えば、ポリ(塩化ビニリデン(PVDC)で被覆されたポリ(塩化ビニル) (PVC);又はポリ(クロロトリフルオロエチレン)(PCTFE) と積層されたPVC ホイル)又は多層ポリマー−金属−ポリマーホイル(例えば、低温成形可能な積層PVC/アルミニウム/ポリアミド組成物)を含んでもよい。ブリスターパックの例として、alu/alu ブリスター、alu/PVC/ポリ酢酸ビニルコポリマー−アクリレートブリスター又はalu/PVC/PCTFE/PVCブリスターが挙げられるかもしれない。
物品は更にラベル又はパッケージインサートを含んでもよく、これは治療製品の商用パッケージに通例含まれる指示に関するものであり、これは指示、使用、用量、投与、禁忌及び/又はこのような治療製品の使用に関する警告についての情報を含んでもよい。一実施態様において、ラベル又はパッケージインサートは組成物が本明細書に記載された目的のいずれかのために使用し得ることを示す。
第一の実施態様(実施態様A)に関して、静脈内投与される場合の実施態様Aで本明細書に挙げられたDPP-4 阻害薬の典型的に必要とされる用量は0.1mg 〜10 mg 、好ましくは0.25mg〜5 mgであり、また経口投与される場合には0.5mg 〜100mg 、好ましくは2.5mg〜 50 mg 又は0.5 mg〜10 mg 、更に好ましくは2.5 mg〜10 mg 又は1 mg to 5 mgであり、夫々の場合に1日1〜4回投与される。こうして、例えば、経口投与される場合の1-[(4-メチル-キナゾリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-(3-(R)-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチンの量は1日当り患者当り0.5 mg〜10 mg 、好ましくは1日当り患者当り 2.5 mg〜10 mg 又は1 mg〜5 mgである。
実施態様Aで本明細書に挙げられたDPP-4 阻害薬を含む医薬組成物で調製された剤形は0.1-100 mgの用量範囲の活性成分を含む。こうして、例えば、1-[(4-メチル-キナゾリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-(3-(R)-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチンの特別な経口有効成分含量は0.5 mg、1 mg、2.5 mg、5 mg及び10 mg である。
本発明の組み合わせ及び組成物中の活性成分の用量は変化されてもよいが、活性成分の量は好適な剤形が得られるような量であるべきである。それ故、選ばれる用量及び選ばれる剤形は所望の治療効果、投与の経路及び治療の期間に依存すべきである。組み合わせの用量範囲は単一薬剤についての最大の寛容される用量から一層低い用量までであってもよい。
本発明の意味内で強調すべき特に好ましいDPP-4 阻害薬は1-[(4-メチル-キナゾリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-(3-(R)-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン(またBI 1356 又はリナグリプチンとして知られている)である。BI 1356 は高い効力、作用の24時間の期間、及び広い治療ウインドーを示す。12日間にわたって1日1回BI 1356 1 、2.5 、5 又は10 mg の多種の経口用量を受ける2型糖尿病の患者では、BI1356は有利な薬力学的プロフィール及び薬物動態学的プロフィール(例えば、下記の表3を参照のこと)とともに定常状態の迅速な達成(例えば、全ての用量グループにおける治療の2日目と5日目の間に定常状態血漿レベル(13日目の前投薬血漿濃度の> 90% )に達する)、わずかな蓄積(例えば、1 mgより上の用量で平均蓄積比RA,AUC ≦ 1.4)、及びDPP-4 阻害についての長く持続する効果の保持(例えば、5 mg及び10mgの用量レベルでほぼ完全な(> 90%) DPP-4 阻害、即ち、夫々、定常レベルで92.3及び97.3% 阻害、かつ薬物摂取後の24時間の間隔にわたって> 80% 阻害)だけでなく、≧ 2.5 mgの用量で≧ 80 % (1日目に既に)の食後2時間の血液グルコース変動幅の有意な減少と、投与される用量の1%より下である1日目の尿に排泄される未変化の親化合物の累積量(12日目に3-6%以下に増加する)(腎臓クレアランスは投与される経口用量について約14〜約70 ml/分であり、例えば、5 mgの用量について腎臓クレアランスは約70 ml/分である)を示す。2型糖尿病のヒトでは、BI 1356 は偽薬と同様の安全性及び寛容性を示す。約≧ 5 mgの低用量で、BI 1356 はDPP-4 阻害の全24時間の期間で真の1日1回の経口薬物として作用する。治療経口用量レベルで、BI 1356 は主として肝臓により排泄され、腎臓によりごくわずかな程度で排泄される(投与された経口用量の約< 7%)。BI 1356 は主に胆管により未変化で排泄される。腎臓により排除されるBI 1356 の分率は経時で増加する用量でごくわずかに増加し、その結果、患者の腎臓機能に基づいてBI 1356 の用量を変更する必要はおそらくないであろう。その低い蓄積潜在性と広い安全性限界と組み合わせてのBI 1356 の非腎臓排除は腎不全及び糖尿病性腎症の高い流行を有する患者集団で有意に有益であり得る。
上記DPP-4 阻害薬は、単一治療におけるそれらの使用の他に、一種以上の他の活性物質と連係してまた使用されてもよく、それにより改善された治療結果が得られる。このような組み合わされた治療は物質の自由な組み合わせとして、又は、例えば、錠剤もしくはカプセル中の、固定された組み合わせの形態で施されてもよい。これに必要とされる組み合わせパートナーの医薬製剤は医薬組成物として商業上得られてもよく、又は当業者により通常の方法を使用して製剤化されてもよい。医薬組成物として商業上得られてもよい活性物質が従来技術で多くの場所に、例えば、年間に現れる薬物のリスト、医薬工業の連邦協会の“Rote Liste (R)”、又は“Physicians’ Desk Reference ”として知られている処方薬物の製造業者の情報の毎年アップデートされる編纂に記載されている。
ピオグリタゾンの用量は1日1回で通常約1-10mg、15mg、30mg、又は45 mg である。
ロシグリタゾンは1日1回(又は分けられた2回)で通常4〜8mgの用量で与えられる(典型的な有効成分含量は2、4及び8mgである)。
グリベンクラミド(グリブリド)は1日1回(又は分けられた2回)で通常2.5-5 〜20 mg の用量で与えられ(典型的な有効成分含量は1.25、2.5 及び5 mgである)、又は微粉砕グリベンクラミドは1日1回(又は分けられた2回)で0.75-3〜12 mg の用量で与えられる(典型的な有効成分含量は1.5 、3 、4.5 及び6 mgである)。
グリピジドは通常1日で2.5 〜10-20 mg(又は分けられた2回で40 mg まで)の用量で与えられ(典型的な有効成分含量は5 及び10 mg である)、又は延長放出グリベンクラミドは1日1回で5 〜10 mg (20 mg まで)の用量で与えられる(典型的な有効成分含量は2.5 、5 及び10 mg である)。
グリメピリドは通常1日1回で1-2 〜4 mg (8 mgまで)の用量で与えられる(典型的な有効成分含量は1 、2 及び4 mgである)。
グリピジド/メトホルミンの二重組み合わせは通常毎日2回で2.5/250mgから10/1000 mgまでの用量で与えられる(典型的な有効成分含量は2.5/250、2.5/500 及び5/500 mgである)。
グリメピリド/メトホルミンの二重組み合わせは通常毎日2回で1/250 mgから4/1000 mg までの用量で与えられる。
ロシグリタゾン/グリメピリドの二重組み合わせは通常毎日1回又は2回で4/1 mgから毎日2回で4/2 mgまでの用量で与えられる(典型的な有効成分含量は4/1 、4/2 、4/4 、8/2 及び8/4 mgである)。
ピオグリタゾン/グリメピリドの二重組み合わせは通常毎日1回で30/2〜30/4 mg の用量で与えられる(典型的な有効成分含量は30/4及び45/4 mg である)。
ロシグリタゾン/メトホルミンの二重組み合わせは通常毎日2回で1/500 〜4/1000 mg の用量で与えられる(典型的な有効成分含量は1/500 、2/500 、4/500 、2/1000及び4/1000 mg である)。
ピオグリタゾン/メトホルミンの二重組み合わせは通常毎日1回又は2回で15/500mgから毎日3回で15/850 mg までの用量で与えられる(典型的な有効成分含量は15/500及び15/850 mg である)。
アカルボースは通常食事とともに25〜100 mgの用量で与えられる。ミグリトールは通常食事とともに25〜100 mgの用量で与えられる。
血液中の脂質レベルを低下する組み合わせパートナーの例はHMG-CoA-レダクターゼ阻害薬、例えば、シムバスタチン、アトルバスタチン、ロバスタチン、フルバスタチン、プラバスタチン、ピタバスタチン及びロスバスタチン;フィブレート、例えば、ベザフィブレート、フェノフィブレート、クロフィブレート、ゲムフィブロジル、エトフィブレート及びエトフィリンクロフィブレート;ニコチン酸及びその誘導体、例えば、アシピモックス;PPAR−アルファアゴニスト;PPAR−デルタアゴニスト、例えば、{4-[(R)-2-エトキシ-3-(4-トリフルオロメチル-フェノキシ)-プロピルスルファニル]-2-メチル-フェノキシ }-酢酸;PPAR- アルファ/デルタアゴニスト;アシル補助酵素 A:コレステロールアセチルトランスフェラーゼの阻害薬 (ACAT; EC 2.3.1.26)、例えば、アバシミド;コレステロール吸収阻害薬、例えば、アゼチミブ;胆汁酸に結合する物質、例えば、コレスチラミン、コレスチポール及びコレセベラム;胆汁酸輸送の阻害薬;HDL 調節活性物質、例えば、D4F 、逆D4F 、LXR 調節活性物質及びFXR 調節活性物質;CETP阻害薬、例えば、トルセトラピブ、JTT-705 (ダルセトラピブ)又はWO 2007/005572からの化合物12(アナセトラピブ); LDL 受容体モジュレーター;MTP 阻害薬(例えば、ロミタピド);及びApoB100アンチセンスRNA である。
アトルバスタチンの用量は通常1日1回で1mg から40mgまで、又は10mg〜80mgである。
テルミサルタンの用量は通常1日当り20 mg から320mg まで、又は40mg〜160 mgである。
血液中のHDL レベルを増大する組み合わせパートナーの例はコレステリルエステル運搬タンパク質(CETP)阻害薬;内皮リパーゼの阻害薬;ABC1のレギュレーター;LXR アルファアンタゴニスト;LXR ベータアゴニスト;PPAR−デルタアゴニスト;LXR アルファ/ベータレギュレーター、及びアポリポプロテインA-I の発現及び/又はその血漿濃度を増大する物質である。
アテローム硬化症の治療のための組み合わせパートナーの例はホスホリパーゼA2阻害薬;チロシン−キナーゼ、例えば、PDGF-受容体-キナーゼの阻害薬 (50mg〜600mg)(EP-A-564409 、WO98/35958、US 5093330、WO2004/005281 、及びWO2006/041976 を参照のこと);oxLDL 抗体及びoxLDL ワクチン;apoA-1 ミラノ: ASA ;及びVCAM-1阻害薬である。
更に、本発明の或る種のDPP-4 阻害薬は本発明の目的のためにDPP-4 の基質(特にDPP-4 の抗炎症性基質)(これはGLP-1 以外であってもよい)と組み合わせて使用されてもよく、DPP-4 のこのような基質として、例えば、下記の一種以上が挙げられるが、これらに限定されない:
グルカゴン様ペプチド (GLP)-1
グルコース依存性インスリン分泌刺激ペプチド (GIP)
神経活性物質:
物質P
ニューロペプチドY (NPY)
ペプチドYY
エネルギーホメオスタシス:
GLP-2
プロラクチン
下垂体アデニレートシクラーゼ活性化ペプチド (PACAP)
その他のホルモン:
PACAP 27
ヒト柔毛膜性生殖腺刺激ホルモンアルファ鎖
成長ホルモン放出因子 (GHRF)
黄体ホルモンアルファ鎖
インスリン様成長因子 (IGF-1)
CCL8/エオタキシン
CCL22/マクロファージ由来ケモカイン
CXCL9/インターフェロン−ガンマ誘発モノカイン
ケモカイン:
CXCL10/インターフェロン−ガンマ誘発タンパク質-10
CXCL11/インターフェロン誘発性T細胞化学誘引物質
CCL3L1/マクロファージ炎症性タンパク質1アルファイソ型
LD78ベータ
CXCL12/ストローマ由来因子1アルファ及びベータ
その他:
エンケファリン、ガストリン放出ペプチド、バソスタチン-1、
ペプチドヒスチジンメチオニン、チロトロピンアルファ。
更に、又は加えて、本発明の或る種のDPP-4 阻害薬は心血管の疾患又は事象(例えば、主な心血管の事象)の治療又は予防に指示される一種以上の活性物質と組み合わせて使用されてもよい。
更に、必要により加えて、本発明の或る種のDPP-4 阻害薬は一種以上の抗血小板薬、例えば、(低用量)アスピリン(アセチルサリチル酸)、選択的COX-2 又は非選択的COX-1/COX-2 阻害薬、又はADP 受容体阻害薬、例えば、チエノピリジン(例えば、クロピドグレル又はプラスグレル)、エリノグレルもしくはチカグレロル、又はトロンビン受容体アンタゴニスト、例えば、ボラパキサーと組み合わせて使用されてもよい。
更に、必要により加えて、本発明の或る種のDPP-4 阻害薬は一種以上の血液凝固阻止薬、例えば、ヘパリン、クマリン(例えば、ワルファリン又はフェンプロクモン)、因子Xaのペンタサッカリド阻害薬(例えば、フォンダパリヌクス)、又は直接トロンビン阻害薬(例えば、ダビガトラン)、又は因子Xa阻害薬(例えば、リバロキサバン又はアピキサバン又はエドキサバン又はオタミキサバン)と組み合わせて使用されてもよい。
更に、必要により加えて、本発明の或る種のDPP-4 阻害薬は心不全の治療のための一種以上の薬剤(例えば、WO 2007/128761に挙げられたもの)と組み合わせて使用されてもよい。
本発明は本明細書に記載された特別な実施態様により範囲を限定されるべきではない。本明細書に記載されたものに加えて本発明の種々の改良が本開示から当業者に明らかになるかもしれない。このような改良は特許請求の範囲内に入ることが意図されている。
本明細書に引用された全ての特許出願は参考として本明細書にそのまま含まれる。
ポドカリキシンの発現はポドカリキシン特異性抗体を使用して免疫組織化学により分析される。下記のグループの雄の糖尿病のdb/db マウス(開始時に生後10週で、3ヶ月にわたって治療される)からの腎臓切片が分析される:
糖尿病対照 (n=10) 、リナグリプチン 3 mg/kg (n=8)、エナラプリル 20 mg/kg (n=10)及び異型接合対照マウス (n=8)。
糸球体染色強さの評価の全てがスライドについて盲検にされた腎臓病の二人の異なる専門家により半定量的に行なわれる。
前もって特定されたスコアリング勾配は0、1、2、及び3である。0は発現なしを意味し、一方、3は発現が最高である場合に示される。グループ平均が非パラメーター試験と比較される。0.05未満のP値が有意と考えられる。
図1はリナグリプチン治療、エナラプリル治療又はビヒクル措置糖尿病db/db マウス及び健康な対照マウスにおける有足細胞保全性のマーカーとしてのポドカリキシンの発現を示す。
db/db マウスにおける概念研究(下記のアブストラクトを参照のこと)のこの証明はDPP-4 阻害が有足細胞損失と関連するタンパク尿症の治療のための新しい治療アプローチを与え得ることを示す。この研究はDPP-4 阻害薬リナグリプチンがdb/db マウスで血液グルコース非依存様式で有足細胞の損失を有意に減少することを明らかに実証する(図1)。有足細胞損失はポドカリキシン染色により測定される。シアログリコプロテインである、ポドカリキシンは、有足細胞のグリコカリクスの主成分であると考えられる。それは膜貫通シアロムチンのCD34ファミリーの員である。それは有足細胞の二次の足突起を被覆する。それは負に荷電され、こうして隣接する足突起を別々に保つように機能し、それにより尿濾過バリヤーを開いて保つ。この機能がマウスでのノックアウト研究により更に支持され、これらが有足細胞形態形成に必須の役割を明らかにする。
糖尿病性腎症は末期腎臓疾患の主な原因である。この研究は糖尿病性腎症のモデルとしての重度のインスリン耐性かつ老いたdb/db マウスにおける糖尿病性腎症についてのリナグリプチンの作用を調べた。雄の糖尿病のdb/db マウス(10週)を3グループに分け、ビヒクル (n=10) 、リナグリプチン 3 mg/kg/日 (n=8)、又はアンギオテンシン転化酵素 (ACE)阻害薬エナラプリル 20 mg/kg/日 (n=10) で12週間にわたって治療した。ビヒクルで措置された異型接合db/+ マウスが対照として使用された (n=8)。グルコース、トリグリセリド、インスリン、シスタチンC及びクレアチニンのレベルが基準線及びその後の毎月で血清サンプル及び尿サンプル中で分析された。体重、尿アルブミン排泄及びOGTTが周期的に監視された。
腎臓組織学(糸球体硬化症、管間質性繊維症)及びシアログリコプロテインポドカリキシン(糸球体中の有足細胞保全性のマーカー、糸球体損傷のマーカー)、グルカゴン様ペプチド1受容体 (GLP-1R) 、アルファ−平滑筋アクチン及びI型コラーゲンの発現が研究の終了時に評価された。
22週で、db/db マウスは健康なdb/+マウスと較べて空腹時血漿グルコース、インスリン、及びトリグリセリドの有意に (p<0.01) 高いレベル、及び増大された体重を示した。リナグリプチン及びエナラプリルは空腹時又は食後のグルコースレベルについて制限された作用を有した。しかしながら、組織分析は管間質性繊維症及び糸球体間質基質膨張が糖尿病ビヒクルと較べて両方の治療グループでほぼ対照レベルに減少されることを示した(両方についてp<0.05)。尿アルブミン排泄率及び管間質性繊維症がエナラプリルで治療されたものと較べてリナグリプチンで治療されたdb/db マウスで有意に減少された(両方ともp<0.05)。
db/db ビヒクル措置マウス中のポドカリキシン発現はdb/+対照と較べて有意に減少された (1.59±0.2 vs 2.65±0.1; p<0.001)。リナグリプチン及びエナラプリルで治療されたマウスは糖尿病のマウスと較べて有意に高いポドカリキシン発現を有していた (夫々、2.3±0.2及び2.4±0.2; 両方についてp<0.05) 。
α−平滑筋アクチンの発現パターンがまたメサンギウム細胞損傷のマーカーとして腎臓中で測定された。リナグリプチン治療は糖尿病のdb/db マウスの間質及び糸球体中のα−平滑筋アクチン陽性筋繊維芽細胞の発現を基準化した。同様の結果がI型コラーゲン付着について得られた。
腎臓切片の免疫組織化学染色が健康な対照マウス(2.15 ± 0.1; P < 0.01) と較べてdb/db マウスの皮質糸球体中のGLP-1R発現の減少を明らかにした (1.67 ± 0.07) 。リナグリプチン治療はビヒクル措置糖尿病db/db マウスと較べてdb/db マウスの糸球体中のGLP-1Rの発現を有意に増大した (1.90 ± 0.04; P < 0.05) 。
結論すると、この研究はリナグリプチンが損傷から有足細胞を保護し、それ故、グルコースホメオスタシスについてのその作用とは独立に糖尿病性腎症の治療、予防又は進行の遅延に有効であり得ることを示唆する。更に、この研究はリナグリプチンが糸球体硬化症及び/又は管間質性繊維症、又は糸球体及び/又は管間質の損傷を治療し、予防し、又はその進行を遅延するのに有益であることを示唆する。更に、この研究はリナグリプチンが有足細胞損傷及び筋繊維芽細胞形質転換(α-SMA発現の減少)の抑制により腎臓保護に有益であることを示唆する。
このモデルにおけるリナグリプチンの腎臓保護作用は糖尿病性腎症の治療のための現行のゴールドの標準であるACE 阻害薬による治療と同様に有効であると思われる。
最適の治療にもかかわらず、2型糖尿病 (T2D)を有するヒトはアルブミン尿症として顕在の、腎臓損傷の高いリスクに留まり、進行性の腎臓不全を発生し得る。更に、レニン−アンギオテンシン−アルドステロン系(RAAS)の阻害薬による最適の治療にもかかわらず、2型真性糖尿病(T2DM)を有する患者は進行性腎臓不全及び心血管疾患の増大されたリスクに留まり、これについてアルブミン尿症が予測可能なバイオマーカーとして出現していた。DPP-4 阻害薬である、リナグリプチンは、マウスでテルミサルタンの上でアルブミン尿症低下の証拠を既に示していた。本発明者らは早期糖尿病性腎症のT2D 患者におけるアルブミン尿症についてのリナグリプチンの臨床効果を研究した。不在、単一、又は二重の経口グルコース低下バックグラウンド治療についてのリナグリプチン (5 mg qd)の4種の、ランダム化、二重盲検、24週の、偽薬対照試験(例えば、リナグリプチン単一治療、メトホルミンへのリナグリプチン併用又はメトホルミン+スルホニル尿素へのリナグリプチン併用、又はリナグリプチン+メトホルミン初期組み合わせ)は尿アルブミン対クレアチニン比(UACR)について利用できるデータを有し、分析のために溜められた(n=2472)。参加者は、彼らがi) 30≦UACR≦3000 mg/g クレアチニン; ii)試験の4週以上前及び試験中にACE/ARB による安定な治療;及びiii) eGFR >30 ml/分/1.73 m2 を有する場合にこの研究に入れられた。終点は幾何平均UACRの変化率であった。この分析では、492 (19.9%) の患者がUACR及びeGFR閾値を満足し、彼らの46%が安定なACE/ARB 治療(リナグリプチン n=168; 偽薬n=59)を受けた。平均基準線A1C 及びメジアンUACRは夫々リナグリプチングループ及び偽薬グループについて8.2% vs 8.5%及び76 vs 78 mg/g クレアチニンであった。24週後に、A1C 及びFPG の偽薬修正変化は夫々-0.71%及び-26 mg/dl であった(両方ともp<.0001 )。リナグリプチンは-29% (-3〜-48%; p<.05)の偽薬に対するグループ間の差で調節UACRを有意に33% (95%CI 22 〜42%; p<.05) 低下した。総合して、腎臓機能及び血圧が変化されなかったが、偽薬の多くの患者が新しい抗高血圧薬を受けた(17% vsリナグリプチンで11% )。RAS 遮断で既に治療されなかった患者 (n=265)における感受性分析は同様の結果とわかった。リナグリプチンはグルコース低下効果を超えて腎臓保護特性を有し得る。この保護作用は人種とは独立であり得る。リナグリプチンは早期糖尿病性腎症を有するT2DM患者でアンギオテンシン転化酵素 (ACE)阻害又はアンギオテンシンII受容体遮断 (ARB)のケアーの標準の上でアルブミン尿症を治療又は低下するのに有益であり得る。
背景及び目的:真性糖尿病は末期腎臓疾患の最も普通の単一の原因になり、2型糖尿病(T2D) の高比率の個体が彼らの糖尿病の診断直後に微量アルブミン尿症及び顕性腎症を有することがわかる。DPP-4 阻害薬である、リナグリプチンは、腎臓疾患の進行した段階のT2D 患者で糖血効力及び安全性を最近示した。ここで、早期糖尿病性腎症を有するT2D 患者におけるアルブミン尿症についてのリナグリプチンの臨床効果が報告される。
結論:52週までの研究において、リナグリプチンはそのグルコース低下作用により予想され得るものを超えてアルブミン尿を低下した。アルブミン尿の変化が構造の変化に基づいて予想されるよりも更に迅速に見られた(例えば、総合のUACR作用が12週程度の早い治療期間で生じる)。アルブミン尿の減少は長期の腎臓の恩恵を示唆する。
更に、リナグリプチン (5 mg qd)は脆弱性の糖尿病性腎症の患者(例えば、ACEi又はARB による付加的な標準のバックグラウンド治療による、又はそれによらない:例えば、65才以上の年齢で典型的には長い糖尿病期間 (> 5 年) 、腎臓障害(例えば、軽度 (60〜<90 eGFR ml/分/1.73 m2) 又は中等度 (30〜<60 eGFR ml/分/1.73 m2) の腎臓障害)及び/又は一層高い基準線UACR (例えば、微量又は顕性アルブミン尿症の進行した段階)を有する患者)で(微量)アルブミン尿を低下する。
或る場合に、本発明の治療を受け易い糖尿病性腎症の患者は基準線で高血圧及び/又は脂質を低下する薬物、例えば、ACE 阻害薬、ARB 、ベータ−遮断薬、カルシウム−アンタゴニスト又は利尿薬、あるいはこれらの組み合わせによる(進行中の)治療、及び/又はフィブレート、ニアシンもしくはスタチン、又はこれらの組み合わせによる(進行中の)治療にあるかもしれない。
糖尿病の長期の血糖調節は腎臓微小血管合併症の低減されたリスクと関連している。リナグリプチンは動物モデルで腎臓保護作用を示し、腎症と関連する2型糖尿病(T2D) でアルブミン尿症を有意に軽減した。これらの作用は短期の血糖改善と独立であるので、リナグリプチンは腎臓保護作用を有し得ると考えられた。この研究の目的はフェーズ3の、ランダム化、二重盲検、偽薬対照試験(≧ 12週)でリナグリプチンによる腎臓安全性/成果を評価することであった。13の試験から前もって特定された事象が複合の一次終点:a)微量アルブミン尿症(最初に記録されたUACR ≧30 mg/g )又はb)顕性アルブミン尿症(最初に記録されたUACR ≧300 mg/g)、c)CKD (血清クレアチニン増加≧250 μモル/L)、d) CKD の悪化(eGFRの損失 >50% vs 基準線)、e)急性腎臓不全(ARF, 基準化MedDRA 質問)及びf)死亡(いずれかの原因)の新たな開始/出現を使用して分析された。含まれた5466人の患者(平均基準線HbA1c: 8.2% 及びeGFR: 91.4 ml/分/1.73m2)のうちの、3505人がリナグリプチン 5mg qd を受け、1961人が偽薬を受けた;累積暴露(ヒト年齢)は夫々1756及び1057であった。事象がリナグリプチンを受ける448 人(12.8%)の患者で生じ、それに対して偽薬について306 人(15.6%) で生じた。リナグリプチン vs. 偽薬についての複合終点についてのハザード比(HR)は0.84 (95% CI 0.72-0.97, p<.05) であり、人種により有意に変化されなかったが、患者<65 才vs >65 才で一層低かった (HR: 0.77 vs 1.04)。RRは個々の腎臓終点:微量アルブミン尿症 (-15%)及び顕性アルブミン尿症 (-12%)、CKD の新たな開始 (-56%) 又は悪化 (-24%) 、ARF (-7%)、及び死亡(-23%)について一貫して減少された。この大きいメタ分析において、腎臓安全性及び成果はリナグリプチン (5 mg/日、例えば、毎日1回;不適当に調節された2型糖尿病の患者で単一治療として、又は他の抗糖尿病薬(例えば、メトホルミン、スルホニル尿素、インスリン、メトホルミン+スルホニル尿素、メトホルミン+インスリン)と組み合わせて)で治療されたT2D の患者で有意に改善された。これらのデータはリナグリプチンの直接の腎臓保護作用を支持する。リナグリプチンは微量又は顕性アルブミン尿症、慢性腎臓疾患 (CKD)の発生、CKD の悪化、急性腎臓不全及び/又は死亡の発生を予防し、軽減し、又はその発生を遅延し、又はその進行を遅くするのに有益であり得る。こうして、リナグリプチンは好ましくはT2DM患者で腎臓罹患状態及び/又は致死性を予防し、そのリスクを低減し、又はその発生を遅延し、又はその進行を遅くするのに有益であり得る。特に、リナグリプチンは好ましくはT2DM患者でCDK を予防し、そのリスクを低減し、又はその発生/出現を遅延し、又はその進行を遅くするのに有益であり得る。
更に或る場合には、本発明の腎臓保護又はリスク低減(例えば、微量又は顕性アルブミン尿症の発生又は進行、慢性腎臓疾患 (CKD)の発生、CKD の悪化、急性腎臓不全及び/又は死亡の発生の予防、低減又は遅延)を受け易い(リスクのある)患者は腎臓の事象の増大されたリスクを有する患者(例えば、eGFR < 60 mL/ 分又は、特に< 30 mL/分/1.73 m2)を有する患者)、微量又は顕性アルブミン尿症患者、及び/又は老いた患者(例えば、> 70才)であってもよい。
心血管及び腎臓の微小血管の高いリスクのある2型真性糖尿病を有する患者の治療:
2型真性糖尿病を有する患者の妥当な集団(例えば、血管のリスクのある)におけるリナグリプチンによる治療の心血管及び腎臓 (微小血管) 安全性、罹患状態及び/又は致死性及び関連する効力パラメーター(例えば、HbA1c 、空腹時血漿グルコース、治療持続性)についての長期影響を以下のように調べることができる:
例えば、以下に示される症状Iに従って特定される、アルブミン尿症(微量又は顕性)及び以前の大血管疾患:
及び/又は
例えば、以下に示される症状IIに従って特定される、腎臓機能障害;
症状I:
アルブミン尿症 (例えば、尿アルブミンクレアチニン比 (UACR) ≧ 30 mg/g クレアチニン又は≧ 30 mg/l (尿1リットル当りのアルブミンミリグラム数)又は≧ 30 μg/分(1分当りのアルブミンマイクログラム数)又は≧ 30 mg/24 h(24時間当りのアルブミンミリグラム数))及び
以前の大血管疾患、例えば、a)〜f)の一つ以上として特定されるもの:
a)以前の心筋梗塞(例えば、> 2 ヶ月)、
b)進行した冠状動脈疾患、例えば、下記のいずれか一つにより特定されるもの:
・冠血管造影図又はCT血管造影図による2以上の主冠状動脈(例えば、LAD (左前下降)、CX(回旋)又はRCA(右冠状動脈))における管腔直径の≧ 50% 狭化、
・管腔直径の≧ 50% 狭化を有する左主幹冠状動脈、
・≧ 2 の主冠状動脈の以前の経皮又は手術再血管形成(例えば、≧ 2 ヶ月)、
・例えば、1つの主冠状動脈の以前の経皮又は手術再血管形成(例えば、≧ 2 ヶ月)と少なくとも1つの付加的な主冠状動脈の冠血管造影図又はCT血管造影図による管腔直径の≧ 50% 狭化の組み合わせ、
・陽性非観血的ストレス試験、例えば、
- 左束枝ブロック、ウルフ−パーキンソン−ホワイト症候群、再分極異状による左心室肥大、又はペースメーカーによる心室リズム、異状ST-Tセグメントの場合の心房繊維化を有しない患者における陽性ECG 運動寛容性試験、
- 誘発された位置収縮壁運動異常を示す陽性ストレスエコー心電図、
- ストレス誘発可逆的潅流異常を示す陽性核心筋潅流イメージングストレス試験、
- 不安定狭心症の記録された診断により病院から排出された患者(例えば、≧ 2 - 12ヶ月)
により確かめられるような、
d)以前の虚血性又は出血性卒中(例えば、> 3 ヶ月)、
e)頚動脈疾患(症候的又は非症候的)の存在、例えば、
- 管腔直径の≧50%狭化であると推定される少なくとも一つの病変によるイメージング技術、
- 以前の経皮又は手術頚動脈再血管形成
により記録されたような、
f)末梢動脈疾患の存在、例えば、
- 以前の肢血管形成、ステンティング又はバイパス手術、
- 顕性循環不十分のための以前の肢又は足切断、
- 末梢動脈狭窄:少なくとも一つの肢における管腔直径の≧ 50% 狭化の血管造影図の証拠(例えば、末梢動脈: 普通の回腸動脈、内部回腸動脈、外部回腸動脈、大腿動脈、膝窩動脈の特定)、
により記録されたようなもの
腎臓機能障害(例えば、CV並存疾患を有し、又は有さない)、例えば、
・推定糸球体濾過率(eGFR) 15-45 mL/分/1.73 m2といずれかの尿アルブミンクレアチニン比(UACR)を有する腎臓機能障害(例えば、MDRD式により特定される)、及び/又は
・推定糸球体濾過率(eGFR) ≧ 45-75 mL/分/1.73 m2と尿アルブミンクレアチニン比 (UACR) > 200 mg/g クレアチニン又は> 200 mg/l (尿1リットル当りのミリグラム数)又は> 200 μg/分(1分当りのアルブミンマイクログラム数)又は> 200 mg/24 h (24時間当りのアルブミンミリグラム数)を有する腎臓機能障害(例えば、MDRD式により特定される)により特定される腎臓機能障害
により特定されるような、不充分な血糖調節(ナイーブ又はいずれかの抗糖尿病バックグラウンド薬物で前治療され(連続7日以上の場合にGLP-1 受容体アゴニスト、DPP-4 阻害薬又はSGLT-2阻害薬による治療を除く)、例えば、HbA1c 6.5-10% を有する)、及び心血管事象の高いリスクを有する2型糖尿病患者を長い期間(例えば、4-5 年、又は好ましくは少なくとも48ヶ月)にわたってリナグリプチン(必要により一種以上の他の活性物質、例えば、本明細書に記載されたものと組み合わせて、好ましくは錠剤の形態で、経口投与される、1日当り好ましくは5 mg)で治療し、偽薬(ケアーの標準の上の併用治療として)で治療された患者と比較する。
腎臓微小血管の事象の最初の発生に要した(一層長い)時間、例えば、複合の腎臓の終点の下記の成分:腎臓死、持続された末期腎臓疾患、及びeGFRの50%以上の持続した減少のいずれかの最初の発生までの時間で、偽薬と較べて劣らないか、又は優れていることに見られる。
更なる治療の成功が心血管死、(非)致死性心筋梗塞、無症状MI、(非)致死性卒中、不安定狭心症のための入院、冠再血管形成のための入院、末梢再血管形成のための入院、鬱血性心不全のための入院、全ての原因の致死性、腎臓死、持続した末期腎臓疾患、eGFRの損失、顕性アルブミン尿症の新たな発生、アルブミン尿症の進行、CKD の進行、抗網膜症治療の必要のいずれかの(一層少ない)回数又はその最初の発生に要した(一層長い)時間;又はアルブミン尿症、腎臓機能、CKD の改善;又は認知機能の改善或いは加速された認知低下の予防/それに対する保護に見られる。
付加的な治療の成功(偽薬と較べての)がHbA1c 及び/又はFPG の基準線からの一層大きい変化に見られる。
更なる付加的な治療の成功は研究治療における患者の一層大きい比率が研究終了時に血糖調節(例えば、HbA1c </= 7%) を維持することに見られる。
更なる付加的な治療の成功は研究終了時にHbA1c </= 7% を得るために付加的な抗糖尿病薬を(治療中に)必要としないで血糖調節を維持する研究治療における患者の一層大きい比率に見られる。
更なる付加的な治療の成功はインスリンで開始され、又はインスリンで治療される研究治療における患者の一層低い比率又は使用されるインスリン用量の一層低い用量に見られる。
更なる付加的な治療の成功は体重の基準線からの一層低い変化又は≦ 2%の体重増加の患者の一層大きい比率又は研究の終了時に≧ 2%の体重増加の患者の一層低い比率に見られる。
Claims (30)
- 心血管及び/又は腎臓微小血管の疾患を有し、又はそのリスクのある患者、例えば、高い血管リスクのある患者の治療における使用のための、一種以上の他の活性薬剤と組み合わされていてもよいリナグリプチン又はその医薬上許される塩。
- 治療が心臓保護治療及び腎臓保護治療の両方である、請求項1記載の使用のための、一種以上の他の活性薬剤と組み合わされていてもよいリナグリプチン又はその医薬上許される塩。
- 治療が、CV罹患状態、早期CV致死性、腎臓罹患状態及び早期腎臓致死性から選ばれた少なくとも一つを予防し、それに対して保護し、その発生を遅延し、その進行を遅延し、かつ/又はそのリスクを低減することを含む、請求項1又は2記載の使用のための、一種以上の他の活性薬剤と組み合わされていてもよいリナグリプチン。
- 治療が、
例えば心血管(CV)死(致死性卒中、致死性心筋梗塞、致死性心不全、心臓性ショック及び/又は突然死を含む)、非致死性卒中(出血性又は非出血性)及び非致死性心筋梗塞(MI)(無症状MIを含み、又は含まない)及び、任意で入院(例えば、不安定狭心症、安定狭心症、一過性虚血性発作、冠再血管形成手術、末梢再血管形成又は鬱血性心不全のための)からなる群から選ばれる、心血管又は脳血管の疾患又は事象
を予防し、それに対して保護し、そのリスクを低減し、かつ/又はその発生を遅延し、
かつ/又は
例えばアルブミン尿症(例えば、微量又は顕性アルブミン尿症)、慢性腎臓疾患 (CKD)、腎臓障害、腎臓死、末期腎臓疾患及び推定糸球体濾過率の損失(例えば、eGFR ≧基準線から50%)からなる群から選ばれる、腎臓微小血管疾患
を予防し、それに対して保護し、そのリスクを低減し、その進行を遅延し、かつ/又はその発生を遅延することを含む、
請求項1、2又は3記載の使用のための、一種以上の他の活性薬剤と組み合わされていてもよいリナグリプチン。 - 治療が、
心血管(CV)死(致死性卒中、致死性心筋梗塞及び突然死を含む)、非致死性卒中、非致死性心筋梗塞(MI)(無症状MIは除かれてもよい)及び、任意で、不安定狭心症のための入院からなる群から選ばれた心血管又は脳血管の疾患又は事象の予防と、
腎臓死、末期腎臓疾患及び推定糸球体濾過率の損失(例えば、eGFR ≧基準線から50%)から選ばれた腎臓微小血管の疾患又は事象の予防と
の組み合わされた方法を含む、請求項1、2、3又は4記載の使用のための、一種以上の他の活性薬剤と組み合わされていてもよいリナグリプチン。 - 治療が下記の方法:
−代謝障害又は疾患、例えば、1型真性糖尿病、2型真性糖尿病、耐糖能異常 (IGT)、空腹時血糖異常 (IFG)、高血糖、食後高血糖、吸収後高血糖、成人における潜在性自己免疫糖尿病(LADA)、過剰体重、肥満、脂質異常症、高脂血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、高NEFA血症、食後脂肪血症、高血圧、アテローム硬化症、内皮機能不全、骨多孔症、慢性全身性炎症、非アルコール性脂肪肝疾患 (NAFLD)、網膜症、神経障害、腎症、ネフローゼ症候群、多のう胞性卵巣症候群、及び/又は代謝症候群を予防し、その進行を遅くし、その発生を遅延し、又は治療する方法;
−血糖調節を改善かつ/又は維持し、空腹時血漿グルコース、食後血漿グルコース、吸収後血漿グルコース及び/又はグリコシル化ヘモグロビン HbA1cを減少する方法;
−前糖尿病、耐糖能異常 (IGT)、空腹時血糖異常 (IFG)、インスリン耐性及び/又は代謝症候群から2型真性糖尿病への進行を予防し、遅くし、遅延し、又は反転する方法;
−真性糖尿病の合併症、例えば、微小血管及び大血管の疾患、例えば、腎症、微量又は顕性アルブミン尿症、タンパク尿症、ネフローゼ症候群、網膜症、白内障、神経障害、学習又は記憶障害、神経変性疾患又は認知障害、心血管又は脳血管の疾患、組織虚血、糖尿病の足又は潰瘍、アテローム硬化症、高血圧、内皮機能不全、心筋梗塞、急性冠状動脈症候群、不安定狭心症、安定狭心症、末梢動脈閉塞性疾患、心筋症、心不全、心臓律動障害、血管再狭窄、及び/又は卒中を予防し、そのリスクを低減し、その進行を遅くし、その発生を遅延し、又は治療する方法;
−体重及び/又は体脂肪及び/又は肝脂肪及び/又は筋細胞内脂肪を減少し、又は体重及び/又は体脂肪及び/又は肝脂肪及び/又は筋細胞内脂肪の増加を予防し、又は体重及び/又は体脂肪及び/又は肝脂肪及び/又は筋細胞内脂肪の減少を促進する方法;
−膵臓ベータ細胞の変性及び/又は膵臓ベータ細胞の機能の低下を予防し、遅くし、その発生を遅延し、又は治療し、かつ/又は膵臓ベータ細胞の機能を改善し、保存し、かつ/又は回復し、かつ/又は膵臓インスリン分泌の機能を刺激し、かつ/又は回復又は保護する方法;
−肝脂肪症、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)及び/又は肝繊維症を含む非アルコール性脂肪肝疾患疾患 (NAFLD)を予防し、遅くし、その発生を遅延し、又は治療する(例えば、肝脂肪症、(肝臓)炎症及び/又は肝脂肪の異常な蓄積を予防し、その進行を遅くし、遅延し、軽減し、治療し、又は反転する)方法;
−通常の抗糖尿病単一治療又は組み合わせ治療では失敗する2型糖尿病を予防し、その進行を遅くし、その発生を遅延し、又は治療する方法;
−適切な治療効果に必要とされる通常の抗糖尿病薬の用量の減少を達成する方法;
−通常の抗糖尿病薬と関連する不利な作用(例えば、低血糖又は体重増加)のリスクを低減する方法; 及び/又は
−インスリン感受性を維持し、かつ/又は改善し、かつ/又は高インスリン血症及び/又はインスリン耐性を治療又は予防する方法
の少なくとも一つを含む、請求項1から5のいずれか1項記載の使用のための、一種以上の他の活性薬剤と組み合わされていてもよいリナグリプチン。 - 治療が、加速された認知低下又は障害、痴呆、及び/又は抑うつ、情緒障害又は不安障害を予防し、それに対して保護し、その発生を遅延し、その進行を遅延し、かつ/又はそのリスクを低減することを含む、請求項1から6のいずれか1項記載の使用のための、一種以上の他の活性薬剤と組み合わされていてもよいリナグリプチン。
- 治療が、糖尿病、特に2型真性糖尿病、及び/又は糖尿病性腎症及び/又は(微量又は顕性)アルブミン尿症の治療を含む、請求項1から7のいずれか1項記載の使用のための、一種以上の他の活性薬剤と組み合わされていてもよいリナグリプチン。
- 患者が心血管疾患及び/又は腎臓微小血管疾患を有し、又はその高いリスクがあり、例えば、患者が高い血管リスク(例えば、CV事象の高いリスク)がある、請求項1から8のいずれか1項記載の使用のための、一種以上の他の活性薬剤と組み合わされていてもよいリナグリプチン。
- 患者が、
(a) 微小血管疾患(例えば、網膜症、神経障害、又は腎臓微小血管疾患、例えば、腎症、アルブミン尿症(例えば、微量又は顕性アルブミン尿症)、タンパク尿症、慢性腎臓疾患(例えば、CKD 段階1、2、3、4又は5)及び/又は腎臓障害(例えば、軽度、中等度又は重度の腎臓障害又は末期腎臓疾患(ESRD))、
及び/又は
(b) (以前の)大血管(例えば、心血管又は脳血管)疾患(例えば、心筋梗塞、冠状動脈疾患、(虚血性又は出血性)卒中、頚動脈疾患及び/又は末梢動脈疾患)
を有する、請求項1から9のいずれか1項記載の使用のための、一種以上の他の活性薬剤と組み合わされていてもよいリナグリプチン。 - 患者が、
腎症又は慢性腎臓疾患(例えば、CKD 段階1、2、3、4又は5、特にCKD 3〜5)(例えば、アルブミン尿症(例えば、微量又は顕性アルブミン尿症、タンパク尿症、特に顕性アルブミン尿症)及び/又は腎臓障害(例えば、軽度、中等度又は重度の腎臓障害又は末期腎臓疾患(ESRD)、特に中等度、重度又はESRD段階の腎臓障害及び/又は特にアルブミン尿症、更に特に顕性アルブミン尿症を含む)を有し、
(以前の)大血管(例えば、心血管又は脳血管)疾患(例えば、心筋梗塞、冠状動脈疾患、(虚血性又は出血性)卒中、頚動脈疾患及び/又は末梢動脈疾患)を有し、又は有さない、請求項1から10のいずれか1項記載の使用のための、一種以上の他の活性薬剤と組み合わされていてもよいリナグリプチン。 - 患者が、
アルブミン尿症(例えば、微量又は顕性アルブミン尿症)
及び
以前の大血管(例えば、心血管又は脳血管)疾患(例えば、心筋梗塞、冠状動脈疾患、(虚血性又は出血性)卒中、頚動脈疾患及び/又は末梢動脈疾患)
の両方
及び/又は
(軽度又は中等度の)腎臓障害(例えば、CKD 段階1、2又は3、例えば、CKD 段階1、2(軽度)又は3a(軽度−中等度)、好ましくはeGFR ≧ 45-75 mL/分/1.73 m2)と顕性アルブミン尿症
もしくは
(中等度又は重度の)腎臓障害(例えば、CKD 段階3又は4、例えば、CKD 段階3b(中等度−重度)又は4(重度)、好ましくはeGFR 15-45 mL/分/1.73 m2)を有し、アルブミン尿症を有し、又は有さない(例えば、微量又は顕性アルブミン尿症を有し、又は有さない)、
請求項1から11のいずれか1項記載の使用のための、一種以上の他の活性薬剤と組み合わされていてもよいリナグリプチン。 - 患者が、
(i) アルブミン尿症(微量又は顕性)(例えば、尿アルブミンクレアチニン比(UACR) ≧ 30 mg/g クレアチニン又は≧ 30 mg/l(尿1リットル当りのアルブミンミリグラム数)又は≧ 30μg/分(1分当りのアルブミンマイクログラム数)又は≧ 30 mg/24 h(24時間当りのアルブミンミリグラム数))及び
以前の大血管疾患、例えば、a)〜f)の一つ以上として特定されるもの:
a)以前の心筋梗塞、
b)進行した冠状動脈疾患、
c)高いリスクの単一血管冠状動脈疾患、
d)以前の虚血性又は出血性卒中、
e)頚動脈疾患の存在、
f)末梢動脈疾患の存在、
及び/又は
(ii)腎臓機能障害(例えば、CV共存症を有し、又は有さない)、例えば、
・腎臓機能障害とeGFR 15-45 mL/分/1.73 m2といずれかの尿アルブミンクレアチニン比 (UACR) 、及び/又は
・腎臓機能障害とeGFR ≧ 45-75 mL/分/1.73 m2と尿アルブミンクレアチニン比 (UACR) > 200 mg/g クレアチニン又は> 200 mg/l (尿1リットル当りのアルブミンミリグラム数)又は> 200μg/分(1分当りのアルブミンマイクログラム数)又は> 200 mg/24 h (24時間当りのアルブミンミリグラム数)
により特定されるような腎臓機能障害
を有する、請求項1から12のいずれか1項記載の使用のための、一種以上の他の活性薬剤と組み合わされていてもよいリナグリプチン。 - 患者が糖尿病患者、特に2型糖尿病患者である、請求項1から13のいずれか1項記載の使用のための、一種以上の他の活性薬剤と組み合わされていてもよいリナグリプチン。
- 一種以上の他の活性薬剤が、他の抗糖尿病物質、血糖レベルを低下する活性物質、血液中の脂質レベルを低下する活性物質、血液中のHDL レベルを上昇する活性物質、血圧を低下する活性物質、アテローム硬化症又は肥満の治療に指示される活性物質、及び/又は主なCV事象の治療又は予防に指示される活性物質及び/又は抗血小板物質及び/又は血液凝固阻止薬から選ばれる、請求項1から14のいずれか1項記載の使用のための、一種以上の他の活性薬剤と組み合わされていてもよいリナグリプチン。
- 一種以上の他の活性薬剤が、他の抗糖尿病薬及び/又は抗高血圧薬から選ばれる、請求項1から15のいずれか1項記載の使用のための、一種以上の他の活性薬剤と組み合わされていてもよいリナグリプチン。
- 他の活性薬剤が、メトホルミン、レパグリニド、ナテグリニド、スルホニル尿素、ピオグリタゾン、アルファ−グルコシダーゼ遮断薬及びインスリンから選ばれた抗糖尿病薬を含む、請求項1から16のいずれか1項記載の使用のための、一種以上の他の活性薬剤と組み合わされていてもよいリナグリプチン。
- 請求項1から17のいずれか1項記載の使用のための、メトホルミン、スルホニル尿素及び/又はインスリンと組み合わされていてもよいリナグリプチン。
- 請求項1から18のいずれか1項記載の使用のための、メトホルミンと組み合わされていてもよいリナグリプチン。
- 請求項1から19のいずれか1項記載の使用のための、インスリンと組み合わされていてもよいリナグリプチン。
- 請求項1から20のいずれか1項記載の使用のための、利尿薬、アンギオテンシン転化酵素 (ACE) 阻害薬及び/又はアンギオテンシンII受容体遮断薬 (ARB)、例えば、テルミサルタンと組み合わされていてもよいリナグリプチン。
- 患者が非糖尿病患者又は糖尿病患者、例えば、LADA又は、好ましくは、2型糖尿病患者である、請求項1から21のいずれか1項記載の使用のための、一種以上の他の活性薬剤と組み合わされていてもよいリナグリプチン。
- 患者が、ナイーブ又は一種以上の通常の抗糖尿病薬で前治療されている糖尿病(好ましくは2型糖尿病)患者、例えば、ダイエット及び運動単独による不充分な血糖調節を有する患者、又はダイエット及び運動+一種以上の通常の抗糖尿病薬による治療にもかかわらず不充分な血糖調節を有する患者である、請求項1から22のいずれか1項記載の使用のための、一種以上の他の活性薬剤と組み合わされていてもよいリナグリプチン。
- 患者が、メトホルミン、チアゾリジンジオン(特にピオグリタゾン)、スルホニル尿素、グリニド、α−グルコシダーゼ阻害薬(例えば、アカルボース、ボグリボース)、及びインスリン又はインスリン類似体からなる群から選ばれた1種又は2種の通常の抗糖尿病薬による治療にもかかわらず不充分な血糖調節を有する(前治療された)糖尿病(好ましくは2型糖尿病)患者であり、好ましくはリナグリプチンが前記1種又は2種の通常の抗糖尿病薬との併用組み合わせ治療で使用される、請求項1から23のいずれか1項記載の使用のための、一種以上の他の活性薬剤と組み合わされていてもよいリナグリプチン。
- 患者がダイエット及び運動単独による不充分な血糖調節を有する(ナイーブ)糖尿病(好ましくは2型糖尿病)患者であり、好ましくはリナグリプチンが単一治療で、又はメトホルミン、チアゾリジンジオン(特にピオグリタゾン)、スルホニル尿素、グリニド、α−グルコシダーゼ阻害薬(例えば、アカルボース、ボグリボース)、及びインスリン又はインスリン類似体からなる群から選ばれた通常の抗糖尿病薬との初期組み合わせ治療で使用される、請求項1から23のいずれか1項記載の使用のための、一種以上の他の活性薬剤と組み合わされていてもよいリナグリプチン。
- 患者がメトホルミンバックグラウンド治療にかかっている、請求項1から25のいずれか1項記載の使用のための、一種以上の他の活性薬剤と組み合わされていてもよいリナグリプチン。
- 患者が、糖尿病が早期段階にある糖尿病(特に2型糖尿病)患者である、請求項1から26のいずれか1項記載の使用のための、一種以上の他の活性薬剤と組み合わされていてもよいリナグリプチン。
- 患者が、糖尿病が進行した段階にある糖尿病(特に2型糖尿病)患者である、請求項1から26のいずれか1項記載の使用のための、一種以上の他の活性薬剤と組み合わされていてもよいリナグリプチン。
- 患者が、糖尿病が腎臓疾患又は腎臓障害と関連している糖尿病(特に2型糖尿病)患者である、請求項1から26のいずれか1項記載の使用のための、一種以上の他の活性薬剤と組み合わされていてもよいリナグリプチン。
- 患者が、長い期間、例えば、少なくとも1-6 年、2年以上、又は3-7 年、例えば、3-4 年、3-5 年、3-6 年、4-5 年、4-6 年、5-6 年又は5-7 年、好ましくは少なくとも48ヶ月、更に好ましくは少なくとも3年にわたって、一種以上の他の活性薬剤と組み合わされていてもよいリナグリプチンで治療される、請求項1から29のいずれか1項記載の使用のための、一種以上の他の活性薬剤と組み合わされていてもよいリナグリプチン。
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