図面を参照し、開示の様々な態様を説明するために特定の言語を使用する。図面及び説明をこのように用いることは、その範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。追加の態様は、特許請求の範囲を含む開示に照らして明らかになり得、または、実践によって学習され得る。
本発明は、磁気を用いてX線源のアノードアセンブリのベアリングアセンブリへの負荷を低減することに関し、より具体的には、コンピュータ断層撮影(CT)システムにおいてベアリングアセンブリにかかる力を相殺するためにアノードアセンブリのシャフトをリフトするための電磁石に関する。電磁石は、ガントリの回転、アノードの回転、重力などに起因するベアリングアセンブリにかかる力を相殺し得る。例示的な実施形態は、アノード及びベアリングアセンブリに対して様々な位置におけるリフト電磁石(または磁気アクチュエータまたはリフト磁石)及びリフト電磁石の様々な変形及びアノードアセンブリにおけるベアリングアセンブリへの磁気リフトを支持するための構成要素を含む。一部の状況では、磁気リフトは、磁気アシストベアリングとも呼ばれ得る。
ここで、開示の例示的な実施形態の様々な態様を説明するために、図面を参照する。図面は、そうした例示的な実施形態の図形表現及び概略表現であり、開示を限定するものではなく、必ずしも縮尺通りに描かれているわけでもないことが理解されよう。
図1は、回転可能な円盤状のアノード122を備えた例示的な回転式または回転しているアノードX線源100の概略図である。X線源100は、ハウジング102、及びハウジング102内のX線インサート110を含む。ハウジング102は、インサート110を囲む。絶縁油または空気などの流体冷却剤が、ハウジング102とインサート110の間の空間または空洞を満たし、X線源100によって生成された熱を放散し得る。
カソードアセンブリ114のカソード112及びアノードアセンブリ120は、インサート110によって画定された真空エンクロージャ(または真空エンベロープ)内に配置される。アノードアセンブリ120は、アノード122、ベアリングアセンブリ130、及びベアリングアセンブリ130に機械的に結合されたロータ128を含む。アノード122は、カソード112から離間し、かつ、反対の位置に配置されている。アノード122及びカソード112は、アノード122とカソード112の間に高電圧差(または高電位)の印加を可能にする電気回路において接続されている。カソード112は、電源に接続された電子エミッタ116を含む。
X線源100の動作に先立って、インサート110は、インサート110によって囲まれ得る真空を生成するために排気され得る。動作中、熱及び電位が、カソード112の電子エミッタ116に印加されて、図1において「e」として示される電子を、熱電子放出によってカソード112から放出させる。次に、アノード122とカソード112の間に高電圧差を印加すると、電子「e」が、電子エミッタ116から、アノード122上に配置された焦点トラック124上の焦点に向けて加速する。焦点トラック124は、例えば、タングステン(W)、レニウム(Re)または他の適切な材料といった、高原子(「高Z」)番号を有する材料を含み得る。電子「e」が加速すると、それらは、かなりの量の運動エネルギーを獲得し、回転している焦点トラック124に当たると、この運動エネルギーの一部は、図1において「x」として示されるX線に変換される。
焦点トラック124は、放出されたX線「x」がX線源ウィンドウ104を通過し得るように配向されている。ウィンドウ104は、ベリリウム(Be)などのX線透過性材料を含むので、焦点トラック124から放出されたX線「x」は、ウィンドウ104を通過して、意図された物体、次いで検出器に当たってX線画像を生成する。
電子「e」が焦点トラック124に当たると、電子「e」のかなりの量の運動エネルギーは熱をもたらし、その大部分は、焦点トラック124に、特に焦点の領域に伝達される。焦点トラック124上の特定の焦点における熱を低減するため、円盤状のアノードターゲットは、通常はロータ128及びステータ106を含む誘導モータを使用して、高速で回転される。誘導モータは、トルクを生成するのに必要なロータ128における電流がステータ巻線との電磁結合によって得られる交流(AC)電動機であり得る。ロータ128は、ロータの回転がアノードに伝達されるように、ベアリングアセンブリ130のハブを通してアノード122に機械的に結合されている。他の構成では、モータは、直流(DC)モータであり得る。
電子「e」によって生成された熱によるアノード122の過熱を回避するために、ロータ128は、アノード122を、電子「e」のビームにさらされるアノードの領域が焦点トラック124に沿って変動するように、シャフトの中心線の周りを高速度(例えば、80−300Hz)で回転させる。X線源100はまた、アノード122及びカソード112によって生成される熱を管理するための他の冷却機能を含むことができる。
X線源(X線源100など)及び放射線検出器は、コンピュータ断層撮影(CT)スキャナなどの回転X線撮像システムに含めることができる。CTは、単一のスキャン操作(「スキャン」)でいくつかの投影画像(「X線投影」)を収集することによって物体の内部構造を撮像することを含むものであり、人体の選択された部分の内部構造を見るために医療分野で広く使用される。通常、いくつかの2次元投影は物体から作成されており、物体の3次元表現は、様々な断層撮影再構成法を用いて、これらの投影から構成される。3次元画像から、物体を通る従来のCTスライスを生成することができる。2次元投影は、通常、X線源からの放射線を、物体を通して透過させ、その放射線を2次元撮像デバイス(すなわち、放射線検出器)またはピクセル検出器のアレイ(単に「ピクセル」と呼ばれる)を含み得るイメージャ上に収集することによって生成される。このようなCTシステムの一例を図2Aに示す。
図2Aは、回転しているX線システムのガントリ200の例を示す。一部の状況では、ガントリ200は、回転しているアセンブリまたはガントリアセンブリと呼ばれ得る。ガントリ200は、回転可能なガントリフレーム202を支持する静止ガントリフレーム204を含む。回転可能なガントリフレーム202は、X線源210及び放射線検出器またはイメージャ(図示せず)を支持し得る。ガントリ200はまた、回転している構成要素及び/または静止ガントリフレーム204を囲み美的カバーを提供するためのガントリカバー206も含む。
回転可能なガントリフレーム202は、回転可能なガントリフレーム202のガントリ開口208の軸の中心の周りを回転する環状形状(すなわち、リング形状)を含み得る。回転可能なガントリフレーム202上に配置された構成要素にかかる、矢印260で示される遠心力(またはガントリ力)は、重力(g−力、Gの、gの、またはG負荷)の単位を上回り得、g−力の倍数(例えば、g−力の20倍)であり得る。例えば、X線源210が回転可能なガントリフレーム202上に軸の中心から半径0.7メートルで取り付けられ、回転可能なガントリフレーム202が、0.275秒/回転(秒/回転)で回転している場合、ベアリングアセンブリなどの、X線源210上の構成要素は、37gの力を受け得る。
一般に、CTスキャナは、より高い回転ガントリ速度で動作することが望ましい。しかしながら、ガントリがより高速で回転するCTスキャナの動作は、ベアリングアセンブリはより大きな力(例えば、ガントリの回転によるg−力)を受けるので、X線源のベアリング寿命に悪影響を与え得る。そのような状況では、より高いガントリ速度、及び結果として生じる遠心力260は、ベアリングアセンブリの寿命を縮め得る。
一部のX線源は、より高い力(例えばg−力)を効果的に処理可能であり得る液体金属ベアリング(LMB)を実装する。しかしながら、LMBの実装は、コストを大幅に増加させる可能性があり、システム設計(例えば、X線源の設計)への大幅な変更を必要とし得る。
他のX線源は、X線源の回転している構成要素の支持を磁気的に支援するために、かつ、ベアリングアセンブリにかかる力を低減させるために、磁気リフト構成を実装し得る。一部の状況では、そのような構成は、既存の撮像システムに実装され得るので、かつ/または、非常に費用効果の高い後方互換性の向上を提供し得るので、LMBよりも有利な場合がある。図2Bに注目して、磁気リフト構成の例をさらに詳細に説明する。
図2Bは、ガントリ200の一部、特に、回転可能なガントリフレーム202に取り付けられたX線源210を示す。X線源210は、源ハウジング211、カソード(図1の112)によって放出された電子を受けることができるアノード242、アノード242のシャフト243に結合されたロータ234、ロータ234を囲むステータ232、ロータ234に結合された強磁性リフトシャフト226、及び、矢印262によって示される磁気揚力をリフトシャフト226に提供し、それによってロータ234及びアノード242のシャフト243を、遠心力と反対に、ガントリの回転軸に関して半径方向に沿って「リフトする」ことができるリフト電磁石222(またはリフト多極電磁石または電磁石)を含む。
本明細書中で使用される場合、リフトするとは、リフトシャフト226の半径方向に沿って力を加えることを指す。リフト力または揚力は、2つの構成要素を引き寄せる(例えば、リフトシャフト226及びリフト電磁石222)引力または2つの構成要素を押し分ける(例えば、リフトシャフト226及びリフト電磁石222)斥力もしくは反発力であり得る。本開示では、リフト力または揚力を引力として参照するが、リフト力または揚力は、半径方向に沿った任意の大きさ(正または負)を有する力であり得る。
説明のために、図2Bは、垂直方向のy−軸、水平方向のx−軸、及びx−y平面に直交するz−軸を有するデカルト座標系を含む。ガントリ200の回転は、x−y平面で生じ、アノード242のシャフト243の中心線またはアノード242の回転軸は、z−軸に平行に延在する。ガントリの回転中、遠心力260は、ガントリ200の軸213に直交してX線源210に加えられる。
リフト電磁石222は、磁気揚力262(例えば、磁力、反作用力、または平衡力)を、ベアリングアセンブリまたはアノードアセンブリにかかる力(ガントリ200の遠心力260を含む)を相殺、減衰、低減、または平衡化するように、遠心力260と実質的に反対の方向に加え得る。磁気揚力262は、以下の1つまたは複数をもたらし得る:振動またはノイズを低減する、ベアリング寿命を延ばす、ベアリング負荷能力を高める、熱接触を制御する、回転しているアセンブリのセンタリング及び精度を向上させる、ならびに、より小さなベアリング(例えば、ボールベアリングまたは他の回転ベアリング)の使用を可能にする。追加的にまたは代替的に、磁気揚力262の支援により、回転しているアノードX線源において他のベアリングタイプの使用が可能になり得る。医用撮像の場合、振動及びノイズを低減することで、患者及び/または医療スタッフの経験も向上し得る。
図3Aは、X線源210の斜視図を示す。図3Aに示されるように、X線源210は、カソード及びアノードを真空エンクロージャ(または真空エンベロープ)に囲む壁(例えばインサート壁、真空壁または真空エンベロープ壁)を含む、インサート212とも称されるエンベロープを含み得る。インサート212は、アノードアセンブリ240、ベアリングアセンブリ250、モータアセンブリ230、及びリフトアセンブリ220を囲み得る。リフト電磁石222は、巻線(またはコイルまたはワイヤ)224が示されるように極の間でコア225の周りにまたは極の周りに巻かれた、「M」または「W」形状に形成された3つの極を有するリフト電磁石コア225を含み得る。
図3Bは、X線源210の斜視断面図を示し、図3Cは、X線源210の側面断面図を示す。図3Bから図3Cに示されるように、アノードアセンブリ240、ベアリングアセンブリ250、モータアセンブリ230、及びリフトアセンブリ220は、アノードアセンブリ中心線(またはベアリング中心線)248の周りでの回転を容易にし得る。アノードアセンブリ240は、アノード242、及びアノード242を支持するアノード外側シャフト244を含む。アノードアセンブリ240はまた、アノード外側シャフト244に結合されかつベアリングアセンブリ250のベアリング252及び254に回転可能に結合されているアノード内側シャフト246も含む。
アノード内側シャフト246は、少なくとも1つのベアリングレース(例えば、ボールベアリングレース)を含み得る。例えば、図示の構成では、ベアリングアセンブリ250は、アノード内側シャフト246上の外側ボールベアリング252及び対応するレース、ならびに内側ボールベアリング254及び対応するレースを含む。本明細書で使用される場合、外側とは、アノードアセンブリ240の縁により近い、アノード242により近い、またはモータアセンブリ230からより離れた相対位置を指す。内側とは、アノードアセンブリ240の中部により近い、アノード242からより離れた、またはモータアセンブリ230により近い位置を指す。
図示の実施形態は、ローラ要素ベアリング(例えば、工具鋼ボールベアリングまたは工具鋼レースウェイ)を含むが、他の実施形態では、他のベアリングタイプが実装され得る。例えば、他の構成は、すべり軸受(例えば、スリーブ軸受またはジャーナル軸受)、または液体金属軸受などの流体軸受を含み得る。参照によりその全体が本明細書に援用される、2015年12月14日に出願された「液体金属の防湿コーティング」と題された米国特許出願第14/968,078号は、液体金属軸受の例を開示している。
モータアセンブリ230は、ステータ232及びロータ234を含み得る。ロータ234は、一端にロータボイド236または開口部を含み、それは円筒形であり得る。ロータボイド236は、ロータ234が、アノードシャフト(例えば、アノード内部シャフト246)に取り付けられること、及び/またはベアリング中心線248と位置合わせされることを可能とする。構成要素(例えば、アノードシャフト、ロータ234、またはロータシャフト)は、恒久的または半恒久的な締結または取付け機構を使用して互いに取り付けられ得る。モータアセンブリ230に近接するインサート壁215(またはインサート壁の一部)は、ロータ234とステータ232の間に配置され得る。ステータ232の巻線の磁場からの電磁誘導は、インサート壁215を通過してロータ234に到達し得る。インサート壁215とロータ234の間の小さな隙間により、ロータ234は機械的抵抗なしに回転することが可能となる。
リフトアセンブリ220は、ロータ234に結合されたリフトシャフト226、及びリフトシャフト226に磁力を加え得るリフト電磁石222を含む。リフトシャフト226は、リフトシャフトボイド227または開口部を含み得、それは円筒形であり得る。ロータ−リフトシャフトアダプタ238は、ロータ234をリフトシャフト226に結合させ得る。ロータ−リフトシャフトアダプタ238は、両方とも動作のために磁場を用いるモータアセンブリ230とリフトアセンブリ220の間の磁気絶縁を向上させるために非強磁性材料を含み得る。図示されていない構成では、リフトシャフト226は、ロータ234と統合され得る、または、ロータ234に恒久的に取り付けられ得る(例えば、溶接またはろう付けされる)。
リフト電磁石222は、リフトシャフト226に向けて配向された少なくとも2つの極を含み得る。いくつかの構成では、リフト電磁石222は、巻線224が極の間でコア225(またはコアウェブ)の周りに巻かれた、「M」または「W」形状に形成された3つの極(三極)を含み得る。
材料の選択は、リフト電磁石222またはリフトシャフト226などの磁気デバイスの性能に影響を及ぼし得る。磁性材料は、真空において(例えば、X線源の真空エンベロープ)かつ処理後、磁化されたままであり、冷間引抜炭素磁性鉄(CMI−C)などの真空対応である必要がある。
リフト電磁石222またはリフトシャフト226は、強磁性かつ/またはフェリ磁性材料を含み得る。本明細書で使用される場合、技術を説明するのを簡単にするために、「強磁性」材料は、自発磁化を示すことができる材料(すなわち、強磁性材料またはフェリ磁性材料のいずれか)を指す。
コア225の周りの巻線224は、エナメル磁石線(すなわち、トランス線またはリッツ線)などの、電気的に絶縁されたシースを備える導電性材料(例えば、銅またはアルミニウム)を含み得る。
リフトシャフト226とリフト電磁石222の間の揚力を低減することができる2つの要因は、リフトギャップのサイズ、及び透磁率が1より大きいインサート壁などの間隙物質の存在である。図3Cに示すように、リフトギャップ228は、リフトシャフト226とリフト電磁石222の間の間隔であり得る。リフトギャップ228は、インサート壁214とリフトシャフト226の間の真空とともに、リフトアセンブリ220に近接するインサート壁214を含み得る。いくつかの例では、リフトギャップ228は、リフト電磁石222及びインサート壁214が異なる電位を有する場合などの、リフト電磁石222がインサート壁214に接触しない場合、インサート壁214とリフト電磁石222の間に空間を含み得る。真空を含むリフトギャップ228は、リフトシャフト226が機械的抵抗(例えば、インサート壁214またはリフト電磁石222に接触することによる摩擦)なしに回転するためのクリアランスを提供する。
真空及び空気は、1という比透磁率(μrで表される)を有し、したがって、それらは、電磁石シャフト226とリフト電磁石222の間の電磁結合を減衰させない。インサート壁214は、通常、リフト電磁石222とリフトシャフト226の間の電磁結合を減衰させ揚力を低減することができるような透磁率>1の導電性材料からなる。
透磁率は、材料における、その磁場の形成を支持する能力の尺度である。比透磁率は、自由空間の透磁率に対する所与の材料の透磁率の比率である。インサート壁214の厚さを薄くすること及び/または比透磁率が低い材料を使用することにより、リフト電磁石222と電磁石シャフト226の間に生成される磁力の減衰が最小化されることを確保する。リフト領域におけるインサート壁214は、ステンレス鋼などの、低い透磁率または最小の強磁性を有する材料を含み得る。さらに、リフトギャップ228を低減させると、リフト電磁石222によってリフトシャフト226に加えられる磁力は増加し得る。リフトシャフト226にかかるリフト電磁石222の力は、リフトギャップの2乗に反比例し、力Fは、略算式F=1/gap2によって低磁場において近似することができる。リフトギャップ228はgapで表されている。一例では、リフトギャップ228は、2ミリメートル(mm)未満であり得る。別の例では、リフトギャップ228は、1mm未満であり得る。
磁場の磁束が極の間ではなく主にリフトシャフト226に作用するために、極の端部間の距離は、リフトギャップ228よりも少なくとも10倍大きくあり得る。例では、リフト領域におけるインサート壁214は、1mm未満であり得る。
リフトアセンブリ220は、(リフトシャフト226を介して)回転しているアセンブリに磁気揚力を加え得、それによって、例えば、動作寿命を向上させ、かつ/または、ベアリングアセンブリ250及びその構成要素の耐荷重能力を高めることができる。リフト電磁石222の磁力は、ガントリ(例えば、ガントリ200)の遠心力などの、ベアリングアセンブリ250への負荷を相殺するために、ならびに振動を抑制しアノードアセンブリ(例えばアノードアセンブリ240)またはX線源の他の回転している構成要素に安定性を加えるために使用され得る。リフトアセンブリ220によって生成された力は、質量中心(または質量中心以外)を含む、回転しているアセンブリのどこにでも加えられ得、力を提供する磁気リフトデバイスの1つまたは組み合わせを使用し得る。
X線源210は、その全体が参照によって本明細書中に援用される、2017年3月20日に出願された「X線管用の磁気リフト装置」と題された米国特許出願第15/464,142号に記載されている任意の適切な特徴を含み得る。特に、X線源210は、上記で参照した出願に記載されたリフトアセンブリの任意の適切な態様、または任意の他の適切な特徴を含み得る。
前述のように、リフト電磁石によってリフトシャフトに加えられたリフト力は、ベアリングアセンブリ及び/またはリフトシャフトに結合された回転しているアノードにかかる力を相殺し得る。例えば、揚力は、所与のガントリ回転速度に対して一定であるCTシステムのガントリによって引き起こされるような静的力、及び/または、回転しているアノードアセンブリの回転数以上の頻度で変動する他の動的力を相殺し得る。リフト電磁石は、真空中で回転しているリフトシャフトに十分な制御可能なリフト力を提供するために必要とされ得る。したがって、開示された実施形態は、十分な揚力を生成するためにリフト電磁石の断面積を最大化する構成を含む。さらに、開示された実施形態は、リフト電磁石のコアの周りの巻線のコイル密度及び配置の効率を最大化し、それによって、リフトするのに必要な電流を減少させ、リフト力を増大させ、かつ/またはリフトシャフトに及ぼされる磁場を方向付ける構成を含む。
リフト電磁石及び/またはリフトシャフトリフトのサイズを大きくすると、リフトアセンブリによって生成されるリフト力は大きくなり得る。しかしながら、リフト電磁石及びリフトシャフトは、特定のX線源に実装される特定のサイズのインサート、真空エンベロープ、及び/またはハウジングに収まる必要があり得る。したがって、リフト電磁石及びリフトシャフトは、インサート、真空エンベロープ、及び/またはハウジングの制約内で最大化されるべきである。かくして、開示された実施形態は、様々なX線源に実装され得る比較的コンパクトな設計を含む。さらに、リフトシャフトはアノード及び/またはベアリングアセンブリに結合されてともに回転するので、いくつかの用途では、リフトシャフトの質量(したがって、アノード及び/またはベアリングアセンブリに結合された回転質量)を最小化することが望ましい場合がある。したがって、開示された構成は、リフトシャフト及び/または回転しているアセンブリの質量を最小化することを容易にし得る。リフト電磁石及びリフトシャフトの開示された構成は、回転しているアセンブリ(アノード、ベアリングアセンブリ、及びリフトシャフト)が自由に回転し、回転抵抗を最小化することを可能にする。さらに、効果的に動作するために、リフト電磁石及びリフトシャフトは、一方が他方より先に飽和しないように平衡を保つべきである。したがって、リフトシャフトサイズ及び電磁サイズは、同様の飽和最大値を有するべきである(例えば、平衡を保つべきである)。
一般に、磁場は、磁化材料を囲み、かつ、磁化材料によって、電磁石で用いられるような電荷(電流)を移動させることによって生成される。磁場は、記号B及びHで示される2つの異なるが密接に関連する磁場で表され得る。H磁場は通常、アンペア毎メートル単位で測定され、B磁場は通常、テスラまたはニュートン毎アンペア毎メートルで測定される。飽和とは、加えられた外部磁場Hを強めても、材料の総磁束密度Bをそのようにさらに高められないときに到達する状態である。飽和は、鉄、ニッケル、コバルト、及びそれらの合金などの強磁性体及びフェリ磁性体の特性である。
一部の構成では、リフト電磁石は、部分的なまたはほぼ完全な飽和レベルで動作し得る。したがって、リフト電磁石の様々な部分が同様の電力レベルで飽和するようにリフト電磁石を設計することが望ましい場合がある。かくして、開示された実施形態は、リフト電磁石の特定の部分が同様の電力レベルで飽和するような構成を含む。
図4Aは、リフト電磁石300の例の側面図を示す。リフト電磁石300は、図3Cのリフト電磁石222に関して説明された適切な態様、例えばコア302及び3つの極304、306、308を含み得る。巻線310、312、及び314は、極304、306、308の間でコア302の周りに巻き付けられ得る。図3Dでは、巻線310、312、及び314は、リフト電磁石300をより良く示すために破線で示されている。巻線310、312、314は、エナメルまたはポリマー(例えば、ポリイミド、または別の適切な絶縁材料)などの、電気的に絶縁されたシースを備えた導電性材料(例えば、銅、アルミニウムまたは別の適切な導電性材料)を含み得る。示されるように、リフト電磁石300は、リフトシャフト316に近接して配置され得、リフトシャフト316にリフト力を及ぼす。
図示の構成では、極304、306、308は単一の構成要素として示されているが、他の構成では、極304、306、308は、互いに結合されて極304、306、308を形成する別個の部品から形成され得る。そのような構成は、例えば、2018年9月28日に出願された「磁気アシストベアリング用の真空浸透」と題される米国特許出願第16/146,867号に開示されており、これは参照によりその全体が本明細書中に援用される。
リフト電磁石300は、リフト電磁石300の端部の極304、308を下って、リフト電磁石300の中心の極306をのぼって延在するB磁場を生成し得る。リフト電磁石300は、B磁場が極304、306、308で飽和するが、リフト電磁石300のコア302の残りの部分では飽和しないように構成され得る。B磁場が極304、306、308で飽和するとき、極304、306、308は、ギャップサイズまたは電流の変動に対する感受性は低くなり得る。リフト電磁石300は、極304、306、308の間に配置された湾曲部分318を含み得る。特に、湾曲部分318は、リフトシャフト316の反対側の、極304、306、308の端部に配置され得る。湾曲部分318は、極304、306、308の反対側の、コア302の残りの場所における磁気飽和を回避するように構成され得る。いくつかの構成では、湾曲部分318の曲率半径(または外径)は、コア302における磁気飽和を回避するように選択され得る。対照的に、鋭い角部は、磁場を集中させ、その結果、極が、磁気飽和をより容易に経験し得る。
極304、306、308は、距離D1だけ互いから離間され得る。距離D1は、巻線310、312、314のための空間を可能にするのに十分に大きくなるように選択され得る。巻線310、312、314は、距離D2だけ互いから離間され得る。いくつかの態様では、距離D2は、巻線310、312、314が互いに重なり合わないように十分に小さくあり得る。しかしながら、いくつかの構成では、距離D2は、巻線310、312、314間の絶縁破壊を回避するのに十分に大きくあり得る(例えば、電流が、隣接する巻線310、312、314の間を流れる場合)。他の構成では、絶縁破壊を回避するために、巻線310、312、314の間に誘電材料が追加され得る。他の態様では、巻線310、312、314を通って伝わる電流の抵抗を最小化しながら、極304、306、308の間(例えば、距離D1)に収まる巻線310、312、314の数を最大化することが望ましい場合がある。他の態様では、電源または巻線310、312、314のコストを削減するために、巻線310、312、314の抵抗を電源の最大ボルト及び電流出力に一致させることが望ましい場合がある。
極304、306、308は、コア302の主部分から距離D3だけ延在し得る。距離D3は、磁場を生成するために十分な数の巻線310、312、314が極304、306、308の周りに巻かれるかまたは配置されることを可能にするのに十分大きくあり得る。コアの巻線部分と結合部分の境界面において、それはまた、磁場を含み、それをリフトシャフト316に向ける働きをする。しかしながら、距離D3は、リフト電磁石300及び/またはリフト電磁石を組み込んだX線源の設計上の制約によって制限され得る。特に、いくつかの状況では、X線源のサイズ及び質量は、それに組み込まれたリフト電磁石300の最大サイズ及び質量を制約し得、したがって、距離D3のサイズを制限し得る。しかしながら、距離D3は、それらの制約内で最大化され得る。
いくつかの構成では、コア302の材料は、極304、306、308における透磁率及び飽和を最大化するように選択され得る。しかしながら、透磁率が向上された一部の材料は、X線源用のリフト電磁石に含めるのに高額かつ桁違いの費用がかかる場合がある。したがって、コア302の材料は、桁違いの費用がかかる材料を使用せずに、透磁率及び飽和を最大化するように選択され得る。
例えば、コア302の材料には、最大比透磁率が1000000(μ/μ0)のアニールされたアモルファス金属合金、最大比透磁率が200000の水素(H)でアニールされた鉄(FE)、最大比透磁率80000の磁気ナノ結晶合金、最大比透磁率20000または50000のミューメタル、最大比透磁率18000のコバルト鉄合金、最大比透磁率8000のニッケル−鉄磁性合金(例えばパーマロイ)、最大比透磁率5000の鉄(FE)、最大比透磁率4000の電気鋼、最大比透磁率1000−1800のアニールされたフェライト系ステンレス鋼、または他の適切な材料が含まれ得る。
図4Bは、リフト電磁石300の底面断面図を示す。図示のように、極304は領域A1を含み、極306は領域A2を含み、極308は領域A3を含む。領域A1、A2、及びA3は、リフト電磁石300における磁場を最大化するように構成され得る。一例では、領域A1及びA3は、実質的に同じサイズであり得、領域A2は、領域A1または領域A3のサイズの少なくとも1.5倍(1 1/2)、1と4分の3倍(1 3/4)または2(2)倍であり得る。別の例では、領域A2は、領域A1とA3を足し合わせたものと実質的に同じサイズであり得る。
他の構成では、領域A2は、領域A1または領域A3の2倍よりもわずかに大きくあり得る。例えば、領域A2は、領域A1または領域A3の2倍よりも1%−5%大きくあり得る。別の例では、領域A2は、領域A1または領域A3の2倍よりも1%−100%大きくあり得る。さらに別の例では、領域A2は、領域A1とA3を足し合わせたものよりも1%−5%大きくあり得る。さらなる例では、領域A2は、領域A1とA3を足し合わせたものよりも1%−100%大きくあり得る。
極304、306、308の領域A1、A2、A3の断面は、極304、306、308の範囲全体にわたって実質的に同じであり得る。そのような構成は、極304、306、308で飽和し、コア302の残りの部分では飽和しないB磁場をもたらし得る。
いくつかの構成では、領域A1、A2、A3は、リフト電磁石300及び/またはリフト電磁石を組み込んだX線源の設計上の制約内で最大化され得る。特に、いくつかの状況では、X線源のサイズは、それに組み込まれたリフト電磁石300の最大サイズを制約し得る。しかしながら、極304、306、308の領域A1、A2、A3は、それらの制約内で最大化され得る。
極304、306、308は、丸みを帯びた部分320(そのうちの一部のみを図4Bにおいてラベル付けする)を含み得る。丸みを帯びた部分320は、極304、306、308の周りに巻線310、312、314を巻くことを容易にし得る。特に、丸みを帯びた部分320の曲率半径は、巻線310、312、314の内部曲率半径を超えないように選択され得る。そのような構成により、巻線310、312、314を、空間効率が良いように、極304、306、308の表面の近くにまたは完全に接触するように配置することが可能になり得る。追加的にまたは代替的に、そのような構成は、極304、306、308における磁気飽和を回避することを容易にし得る。いくつかの状況では、巻線310、312、314の曲率半径は、巻線310、312、314の材料特性によって制限され得る。
図5Aから図5Cは、巻線400、410、420の例示的な実施形態の断面図を示す。図5Aに示されるように、巻線400は、電気絶縁シース404(例えば、ポリマーまたはポリアミド)によって囲まれた導電性材料402(例えば、銅またはアルミニウム)を含み得る。いくつかの構成では、巻線400は、絶縁線で形成され得る。
図5Aに示されるように、巻線400は、実質的に円形または楕円形の断面を含む。対照的に、図5Bの巻線410は、正方形または矩形の断面を含み、図5Cの巻線420は、実質的に平面または高アスペクト比の矩形の断面を含む。図5Aに示すように、巻線400が互いに近接して配置されているときでさえ、空間406が、巻線400の間に含まれる。しかしながら、正方形の断面を有する巻線410は、それらの形状により空間406を含まず、その結果、所与の体積(例えば、極の周りの空間)における巻線410の密度が相対的に高くなる。同様に、平面断面を有する巻線420は、それらの形状により空間406を含まず、その結果、巻線420の密度が相対的に高くなる。
いくつかの構成では、巻線420は、導電性箔で形成され得る。このような構成では、他のタイプの巻線と同じ断面積を達成するために、箔の層を相対的に薄くする必要がある場合がある。
極を通して生成されるB磁場を最大化するために、巻線の総断面積を最大化することが望ましい場合がある。したがって、巻線は、互いの間に空間があることを回避するように、極の周りに配置され得る。
図6は、リフトシャフト500の例示的な実施形態の概略断面図を示す。リフトシャフト500は、環状断面を有するシャフト壁502を備えた実質的に円筒形であり得る。シャフト壁502は、開口部504を画定し得、内径D4及び外径D5を含み得る。シャフト壁502の厚さT1は、内径D4及び外径D5に依存し得る。内径D4及び外径D5は、シャフト壁502が所望の厚さT1を含むように最適化され得る。特に、厚さT1は、シャフト壁502を通して適切な飽和を、ひいてはリフトシャフト500を通して適切な磁場を維持しながら、リフトシャフト500の回転質量を最小化するように選択され得る。
いくつかの構成では、シャフト壁502の厚さT1を最小化して、リフトシャフト500の回転質量を低減し得る。しかしながら、厚さT1の最小値は、シャフト壁502が飽和したままであってリフトシャフト500を通るB磁場を最大化しかつB磁場の変動に対する加えられた力の感度を低減するように選択され得る。したがって、シャフト壁502の厚さT1は、この最小値に対応し、それによって、回転質量を減少させ、望ましい磁気性能をもたらすように選択され得る。
図7は、シャフト壁510の例示的な実施形態に近接して配置されたリフト電磁石300の概略図を示す。リフト電磁石300によって生成されたB磁場は、極304、306を通って下に、次にシャフト壁510を通って、そして極306を通って上に移動し得る。一般に、B磁場は、破線で示される領域A4を通って延在し得る。領域A4を囲む領域A5は、相対的に低いB磁場を有し得る。したがって、いくつかの実施形態では、領域A5に対応する、低いB磁場を有するシャフト壁510の体積は低減され得る。いくつかの構成では、領域A5におけるシャフト壁510は、アノード回転アセンブリ全体の構造的完全性を維持しながらも、シャフト壁510を組み込んだリフトシャフト(例えば、リフトシャフト500)の回転質量を低減するように最小化され得る。シャフト壁510の領域A5は、例えば、機械加工または他の適切なプロセスによって低減され得る。
したがって、シャフト壁510は、不均一な厚さを有し得る。特に、いくつかの構成では、シャフト壁510は、B磁場が極304、306の間かつ極308、306の間でより強い場所でより厚くあり得、B磁場がリフトにあまり寄与しない極304、308の縁に近接するリフト電磁石300の端部でより薄くあり得る。いくつかの構成では、シャフト壁510は、リフト電磁石300の端部に近接して先細511になり得る。追加的にまたは代替的に、シャフト壁510は、極306の中心近くでより狭くかつ/または先細511になり得る。
他の構成では、例えばシャフト壁502に開口部を追加することによって、シャフト壁502において回転質量を低減し得る。例えば、シャフト壁502に、その回転質量を低減するためにドリルで穴を開け得る。いくつかの態様では、穴または開口部が、相対的に低いB磁場を有する領域A5に配置され得る。さらなる構成では、スロットが、シャフト壁502に画定され得る。図8は、スロット付きのリフトシャフトの構成例を示す。
図8は、リフトシャフト540の例示的な実施形態の概略断面図を示す。示されるように、いくつかの実施形態では、リフトシャフト540は、シャフト壁542に画定されたスロット546を含み得る。スロット546は、B磁場の方向に平行であり得、渦電流を低減し得る。渦電流は、導体における変化する磁場によって導体(例えば、金属)内に誘導された円形電流である。
図9は、ロータ524と統合されたリフトシャフト522の側面概略断面図を示す。いくつかの構成では、ロータ524は、回転アノードを回転させるように構成された誘導モータまたはモータアセンブリの一部であり得る(例えば、図3Aから図3Eを参照)。ロータ524は、リフトシャフト522及びロータ524がアノード(図示せず)とともに回転することを可能にし得るベアリングアセンブリ520に結合され得る。リフトシャフト522は、リフト電磁石300に近接して配置されて、ロータ524、リフトシャフト522、及びベアリングアセンブリ520を含む回転構成要素にリフト力を加える。
示されるように、いくつかの構成では、ロータ524及びリフトシャフト522は、モノリシック設計で組み合わされ得る。そのような構成では、ロータ524及びリフトシャフト522は、互いと結合される必要がない場合もあり、したがって、ロータ524とリフトシャフト522の間に結合または締結機構を必要としない場合がある。例えば、いくつかの構成では、ロータ524及びリフトシャフト522は、互いとろう付け、溶接、またはボルト締めされ得る。対照的に、リフトシャフト522がロータ524と統合されているとき、ろう付け、溶接、またはボルトは必要とされない場合がある。追加的にまたは代替的に、そのような構成では、ロータ524とリフトシャフト522の間に締結または結合構造がないため、回転構成要素の回転質量を低減し得る。さらに、ロータ524とリフトシャフト522の間に締結または結合構造がないため、回転構成要素の全長を短縮し得る。さらに、リフトシャフト522の長さは、回転構成要素の全長を維持しながら、より高い揚力のために増加させることができる。
いくつかの構成では、ロータ524及びリフトシャフト522の両方は、例えば、単一の材料片から一緒に形成または製造され得る。図示の構成では、ロータ524は、リフトシャフト522の対応する内径及び外径よりも小さい内径及び外径を含む。しかしながら、他の構成では、リフトシャフト522の直径は、ロータ524の対応する直径と実質的に同じまたは類似のサイズであり得る。
図10は、リフトシャフト530及びリフト電磁石534の例示的な実施形態の概略断面図を示す。リフトシャフト530は実質的に円筒形であり、環状断面を有する円形シャフト壁532を備えている。図示のように、リフト電磁石534は、シャフト壁532の円形形状と輪郭を描く円筒面または曲面536を含み得る。しかしながら、リフト電磁石534の曲面536とシャフト壁532の間の間隔は不均一であり得る。さらに、リフト電磁石534の曲面536の曲率半径は、リフトシャフト530のシャフト壁532の曲率半径よりも大きくあり得る。そのような構成では、中心位置での曲面536とシャフト壁532の距離D6は、リフト電磁石534の側部に近接する曲面536とシャフト壁532の距離D7よりも小さくあり得る。さらに、曲面536とシャフト壁532の距離は、リフト電磁石534の中心から離れるにつれて増え得る。
いくつかの構成では、距離D7は、距離D6よりも1%−30%または10%−20%大きくあり得る。さらなる構成では、距離D7は、距離D6よりも0.02−5mm大きくあり得る。一例では、距離D6は1.0mmであり得、距離D7は1.1mmであり得る。別の例では、D7は、D6より100ミクロン以上大きくあり得る。追加的にまたは代替的に、曲面536の曲率は、シャフト壁532の曲率と同心でない場合がある。
距離D6が距離D7よりも小さい構成では、側部の方がリフトシャフト530から離れて位置するため、リフト電磁石534によってリフトシャフト530に及ぼされる力は、側部よりも中心で大きい。そのような構成は、リフトシャフト530を、リフト電磁石534に対して、中心位置に保持かつ/または位置付けすることを容易にし得る。追加的にまたは代替的に、そのような構成は、リフト電磁石534とリフトシャフト530が互いと接触することを回避するのを容易にし得る。この接触は、リフトシャフト530が自由に回転するのを妨げ得かつ回転抵抗を生じさせ得、高電圧不安定性につながり得る真空中のパーティクルを生成し得るものである。
反対に、距離D7が距離D6よりも小さかった場合、リフト電磁石534の側部における力は、中心における力よりも大きくなるであろう。そのような構成では、リフトシャフト530がリフト電磁石534に対して中心からずれて配置された場合、リフト電磁石534の力が、リフトシャフト530を側部に引っ張り得、その結果、リフトシャフト530が、リフト電磁石534にまたは、インサート壁537がリフトシャフト530とリフト電磁石534の間に配置されている場合、インサート壁537に接触し得る。したがって、図10に示される構成は、リフトシャフト530が自由に回転することを可能にし得、回転抵抗を最小化し得る。いくつかの構成では、距離D6と距離D7間の変動は、例えば、2つの構成要素が互いと接触しないことを確保するために、リフトシャフト530及びリフト電磁石534の組立公差及び製造公差に基づいて決定され得る。
いくつかの構成では、真空壁またはインサート壁537が、リフトシャフト530とリフト電磁石534の間に配置され得る。そのような構成では、リフト電磁石534は、真空エンクロージャの外側に配置され得、リフトシャフト530は、真空エンクロージャの内側に配置され得る。リフト電磁石534は、インサート壁537を通してリフトシャフト530に揚力を加え得る。他の構成では、リフト電磁石534及び/またはリフト電磁石534の極は、真空壁またはインサート壁539によって示されるような真空壁またはインサート壁を通って延在し得、それは、それを通って延在するリフト電磁石534を含む。そのような構成では、リフト電磁石534は、真空エンクロージャの外部と真空エンクロージャの内部の間を延在し得る。示されるように、いくつかの構成では、リフト壁537及び/またはリフト壁539は、リフトシャフト530と非同心であり得る。他の場合、リフト壁537及び/またはリフト壁539は、リフトシャフト530と同心であり得る。
いくつかの構成では、リフトアセンブリまたはX線源は、力、加速度、磁場、または負荷を測定するセンサを含み得る。例えば、センサは、ロードセル、加速度計、ガウスメータ、ホールセンサ、磁力計、磁気センサ、または他の適切なセンサを含み得る。センサは、源ハウジングの内側または外側に配置され得る。センサは、ガントリの回転から回転構成要素またはX線源に及ぼされる力を判定するために使用され得る。センサは、力と磁場の既知の関係に基づいて、リフトアセンブリによって加えられる力を検出し得かつ/または制御するために使用され得る。
追加的にまたは代替的に、リフトアセンブリは、リフト電磁石によって生成された磁場を測定する磁気センサを含み得る。例えば、磁気センサは、ホール効果センサまたは他の適切な磁気センサを含み得る。磁気センサは、リフト電磁石とX線源のハウジングの間に配置され得る。リフト電磁石の力は、力センサ、磁気センサ、またはその両方から受信した情報に応答して制御され得る。一例では、リフト電磁石の力は、リフト電磁石によって生成されるB磁場を監視する磁気センサを使用することによってかつリフト電磁石の出力をB磁場または2乗されたb磁場に比例して変化させることによって制御され得る。
追加的にまたは代替的に、リフト電磁石の力は、力センサを使用して、ガントリの回転によって引き起こされる回転構成要素またはX線源にかかる力を監視することによって制御され得る。そのような構成では、リフト電磁石の出力は、ガントリの回転から及ぼされる力に基づいて調整され得る。例えば、リフト電磁石によって生成される揚力は、ガントリの回転によって引き起こされる力と平衡化されるかまたは一致させられ得、それによって、この力を効果的に打ち消すか、または少なくとも力を低減する。
図11は、ポンド(lbs)単位でのリフト電磁石の力とB磁場の2乗(T2)の関係を示すグラフを示す。図示のように、B磁場の2乗は、リフト電磁石の力に関して線形関係にある。この関係は、力センサ及び/または磁気センサからの情報に基づいてリフト電磁石を制御するのに使用され得る。
図12Aから図12Bは、揚力を制御するために使用され得る1つまたは複数のセンサを含むリフト電磁石634の例示的な実施形態を示す。特に、図12Aは、リフト電磁石634の例示的な実施形態の側面図を示し、図12Bは、リフト電磁石634の概略断面図を示す。
図12Aから図12Bに示されるように、リフト電磁石634は、リフト電磁石634の様々な領域に配置され得るセンサ610、612、614、616、618及び620などの1つまたは複数のセンサを含み得る。センサは、図12Aから図12Bで円錐として表されるため、三角形は、センサの側面図を表し、円はセンサの上面図または底面図を表す。例えば、図12Aは、センサ614及び620の側面図を示し、図12Bは、センサ614及び620の上面図を示す。示されるように、センサ620は、リフト電磁石634のコアに埋め込まれている、またはコア上に配置されている。センサ610、612、614、616、618は、リフト電磁石634の極の上にまたは極に近接して配置されている。センサ610及び614は、リフト電磁石634の端部の極の1つに配置され、センサ612は、リフト電磁石634の中心の極に配置されている。センサ616、618は、真空エンベロープの内部と真空エンベロープの外部の間の境界面622に、またはそれに近接して配置されている。追加的にまたは代替的に、センサは、インサート壁に近接して、またはインサート壁がリフト電磁石634に結合されている位置に配置され得る。センサ610、612及び614などのセンサの一部は、真空エンベロープの内側にまたは真空エンクロージャに配置され得る。センサ616、618及び620などの他のセンサは、真空エンベロープまたは真空エンクロージャの外側に配置され得る。いくつかの構成では、極の上に配置されたセンサ610、612、614、616、618は、リフト電磁石634の巻線(図示せず)に埋め込まれ得る。他の構成では、センサ610、612、614、616、618は、巻線上に配置され得る。いくつかの構成では、センサは、リフトシャフト630を通過せずに2つの極の間を直接移動する「フリンジ」場を測定し得る。
図13は、リフト電磁石を制御するための例示的な方法700のフローチャートである。ステップ702で、所望の力を取得し得る。以下でさらに詳細に説明するように、所望の力は、図12Aから図12Bに関して上で説明したセンサ610、612、614、616、618、620などの1つまたは複数のセンサによって取得または検出された情報、データ、または力に基づいて取得し得る。いくつかの状況では、センサは、ガントリの回転から回転構成要素またはX線源に及ぼされる力を判定するために使用され得る。センサは、力と磁場の既知の関係に基づいて、リフトアセンブリによって加えられる力を検出し得かつ/または制御するために使用され得る。例えば、リフトアセンブリによって加えられる力は、図11に関して上に示され説明された力と磁場の関係に基づいて、かつセンサによって検出された力に基づいて制御され得る。
ステップ704で、磁場の強さを測定し得る。例えば、磁場の強さは、図12Aから図12Bに関して上記で説明されたセンサ610、612、614、616、618、620などの1つまたは複数のセンサによって測定し得る。ステップ706で、測定された磁場は、図11に関して上に示され説明された力と磁場の関係などの既知の関係を用いて力に変換され得る。ステップ706後、方法700は、ステップ708に進み得、そこで、所望の力は、既知の関係に基づいて判定された変換された力と比較され得る。ステップ710で、磁石駆動パラメータを調整し得る。いくつかの実施形態では、磁石駆動パラメータは、センサによって検出されたような、ガントリの回転による回転構成要素またはX線源にかかる力に対応するかまたはそれを相殺するように調整され得る。方法700は、必要に応じて継続し得、リフト電磁石によって出力された力及び/または磁場を制御かつ/または調整する。
開示されたプロセス及び/または方法について、プロセス及び方法で実行される機能は、文脈によって示され得るように、異なる順序で実装され得る。さらに、概説されたステップ及び操作は単なる例として提供され、ステップ及び操作の一部は、オプションであってもよく、より少ないステップ及び操作に結合されてもよく、または、追加のステップ及び操作に拡張されてもよい。
一例の実施形態では、リフトアセンブリ(220)は、X線源(100)の回転可能なアノード(122)に力を及ぼし得る。リフトアセンブリ(220)は、リフトシャフト(226)及びリフト電磁石(222)を含み得る。リフトシャフト(226)は、アノード(122)に結合され得、アノード(122)の回転軸の周りを回転するように構成され得る。リフト電磁石(222)は、磁力をリフトシャフト(226)に半径方向に加えるように構成され得る。リフト電磁石(222)は、シャフト壁(502)の少なくとも一部の周りに輪郭を描く曲面を含み得る。リフト電磁石(222)の曲面の曲率半径は、リフトシャフト(226)の曲率半径よりも大きくあり得、リフト電磁石(222)の曲面とシャフト壁(502)の間隔は不均一であり得る。
リフト電磁石(222)の中心における曲面とシャフト壁(502)の第1の距離は、リフト電磁石(222)の縁に近接する曲面とシャフト壁(502)の第2の距離よりも小さくあり得る。第2の距離は、第1の距離よりも1%−30%大きくあり得る。シャフト壁(502)は、不均一な厚さを有し得、かつ/または、リフト電磁石(222)の中心または端部に近接するテーパ(511)を含み得る。リフトシャフト(226)は、アノード(122)を回転させるように構成されたロータ(524)と統合され得る。
リフト電磁石(222)は、丸みを帯びた部分を含む少なくとも1つの極(304、306、308)及び極(304、306、308)の丸みを帯びた部分の周りに配置された巻線310、312、314を含み得る。
リフト電磁石(222)は、第1の断面積を有する第1の極(304)、第2の断面積を有する第2の極(306)、及び第3の断面積を有する第3の極(308)を含み得る。第2の断面積は、第1の断面積または第3の断面積の少なくとも1.5倍であり得る。第2の断面積は、第1の断面積または第3の断面積の2倍よりも1%−100%大きくあり得る。第2の断面積は、第1の断面積と第3の断面積を足し合わせたものと実質的に同じ大きさまたはそれより大きくあり得、第1の断面積と第3の断面積は、実質的に同じであり得る。
巻線310、312、314は、第1の極(304)、第2の極(306)、または第3の極(308)の少なくとも1つの周りに配置され得、巻線310、312、314は、円形、楕円形、矩形、または高アスペクト比の矩形の断面を含む。丸みを帯びた部分は、第1の極(304)、第2の極(306)、または第3の極(308)をリフト電磁石(222)のコアに結合させ得る。第1の極(304)、第2の極(306)、または第3の極(308)は、飽和状態でまたはほぼ飽和状態で動作するように構成され得る。
リフトアセンブリ(220)は、力、加速度、磁場、または負荷を測定する少なくとも1つのセンサを含み得る。センサは、リフト電磁石(222)のコアに埋め込まれ得る、リフト電磁石(222)の巻線310、312、314に埋め込まれ得る、リフト電磁石(222)の極の上に配置され得る、または、真空エンベロープの内部と真空エンベロープの外部の間の境界面に近接して配置され得る。
リフトシャフト(226)のシャフト壁(502)は、リフトシャフト(226)が飽和状態でまたはほぼ飽和状態で動作するのに十分な厚さを含み得る。
別の実施形態では、方法は、X線源(100)のアノードアセンブリ(120)を回転させること、回転しているアノードアセンブリ(120)に作用する力、加速度または負荷を判定すること、及び回転しているアノードアセンブリ(120)に作用する力、加速度または負荷に基づいて、アノードアセンブリ(120)に結合されたリフトシャフト(226)にリフト電磁石(222)によって磁力を加えることを含み得る。磁力の多くが、リフト電磁石(222)の縁よりもリフト電磁石(222)の中心において加えられ得る。この方法は、リフト電磁石(222)を飽和状態でまたはほぼ飽和状態で動作させることを含み得る。力、加速度、または負荷は、リフト電磁石(222)に結合されたセンサによって判定され得る。
別の実施形態では、リフトアセンブリ(220)は、X線源(100)の回転可能なアノード(122)に力を及ぼすように構成され得る。リフトアセンブリ(220)は、アノード(122)に結合されかつアノード(122)の回転軸の周りを回転するように構成されたリフトシャフト(226)を含み得る。リフトシャフト(226)は、シャフト壁(502)を含み得る。リフトアセンブリ(220)は、磁力をリフトシャフト(226)に半径方向に加えるための手段を備えるリフト電磁石(222)を含み得、磁力の多くは、リフト電磁石(222)の縁よりもリフト電磁石(222)の中心において加えられる。
この説明及び特許請求の範囲で使用される用語及び単語は、書誌的意味に限定されるものではなく、開示の明確かつ一貫した理解を可能にするために単に使用される。文脈による明確な別段の定めがない限り、単数形「a」、「an」、及び「the」には複数の指示対象が含まれることが理解されよう。したがって、例えば、「構成要素表面」への言及は、そのような表面のうちの1つまたは複数への言及を含む。
「実質的に」という用語によって、記載された特性、パラメータ、または値がその通りに達成される必要はなく、例えば公差、測定誤差、測定精度の制限及び当業者に知られている他の要因を含む偏差または変形が、特性が提供することを意図した効果を妨げない量で発生し得ることが意味される。
本開示の態様は、その趣旨または本質的な特性から逸脱することなく、他の形態で具現化され得る。記載された態様は、あらゆる点で例示的であり、限定するものと見なされるべきではない。請求された主題は、上述の説明によってではなく、添付された特許請求の範囲によって示される。特許請求の範囲の意味及び均等の範囲内に入る全ての変更は、それらの範囲内に包含されるものとする。