JP2021529643A - パリレン歯科用物品 - Google Patents

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Abstract

歯科用物品は、口腔構造の輪郭に従うように構成された複雑な三次元形状を画定する少なくとも1つのセグメントを含む歯科用物品を含み、この少なくとも1つのセグメントは、過半量のパリレンを含むコア構成要素を含む。

Description

本開示は、歯列アライナなどのポリマー系歯科用物品に関する。
歯科矯正の分野は、歯を診察し、指導を行い、口腔内の適切な位置に向けて矯正することに関する。歯のアライメントの問題に対処するために、様々な歯科矯正装置及び治療方法が開発されてきた。従来の手法は、一般に、歯を適切な咬合構成、つまり噛み合わせへと移動させるために、力を加えることを伴う。治療の1つのモードは、患者の歯に取り付けられた固定装具の使用と、アーチワイヤを使用して、歯を初期位置から選択された位置へと移動させる治療力を適用することと、を含む。そのような歯科装具は、患者の口腔内に留まり、プロセスを確認して適切なアライメントが達成されるまで歯に対して適切な圧力を維持するために、歯科矯正医によって定期的に調整される。
本開示は、過半量のパリレンを含むコア構成要素を有するセグメントを含む、歯科用アライナなどの歯科用物品に関する。パリレンは、歯科用物品の製造において、例えば、水性環境への長期間の曝露後でも示される望ましい機械的特性、光学的及び審美的特性、生体適合性、防汚性、などを含む、いくつかの有益な特性を有することが見出されている。上記に加えて、パリレンを製造するための製造プロセスは、清浄かつ精密であり、結果として、他の材料又は製造技術を使用したこのような物品の製造と比較して、歯科用物品への不純物の導入の低減又は実質的な排除、及び結果的な歯科用物品の高い厚さ均一性をもたらす。記載される特徴は、複雑な歯科用物品の製造中のカスタマイズ性及び制御性の向上した歯科用物品をもたらし得る。
いくつかの例では、本開示は、口腔構造の輪郭に従うように構成された複雑な三次元形状を画定する少なくとも1つのセグメントを含む歯科用物品について記載し、この少なくとも1つのセグメントは、過半量のパリレンを含むコア構成要素を含む。
いくつかの例では、本開示は、患者の口腔構造の三次元モデルを形成することと、口腔構造の輪郭に従うように構成された複雑な三次元形状を画定する少なくとも1つのセグメントを含む歯科用物品を形成することと、を含む方法を記載する。少なくとも1つのセグメントを形成することは、パリレンを含む層をモデル上に蒸着させることであって、この層は過半量のパリレンを含む、蒸着させること、パリレンを含む層を使用して、少なくとも1つのセグメントのコア構成要素を形成することと、を含む。
いくつかの例では、本開示は、口腔構造の輪郭に従うように構成された複雑な三次元形状を画定する少なくとも1つのセグメントを含む歯科用物品について記載し、この少なくとも1つのセグメントはコア構成要素を備え、このコア構成要素は、化学蒸着プロセスによって口腔構造のモデル上にパリレンを蒸着させることによって形成される。
いくつかの例では、本開示は、コンピューティングデバイスによって、患者の三次元(three−dimensional、3D)口腔構造のデジタル表現を受信することであって、口腔構造は患者の1本以上の歯の初期位置を提供する、受信することと、コンピューティングデバイスによって、患者用の歯科用物品の寸法及び形状を決定することであって、歯科用物品は、複数の歯を少なくとも部分的に取り囲んで、口腔構造の輪郭に従うように構成された複雑な3D形状を画定するように構成された、少なくとも1つのセグメントを備え、歯科用物品の寸法及び形状は、患者が歯科用物品を装着したときに、患者の1つ以上の歯をそれらの初期位置から調整された位置へと配置し直すように構成されている、決定することと、歯科用物品の寸法及び形状に基づいて、口腔構造の3Dモデルを形成することと、歯科用物品を形成することとを含み、歯科用物品の少なくとも1つのセグメントを形成することは、パリレンを含む層を3Dモデル上に蒸着させることであって、層は過半量のパリレンを含む、蒸着させることと、パリレンを含む層を選択された形状にトリミングして、少なくとも1つのセグメントのコア構成要素を形成することと、を含む、方法、について記載する。
1つ以上の例の詳細を、添付の図面及び以下の説明で示す。他の特徴、目的及び利点は、説明及び図面から、並びに特許請求の範囲から明らかとなるであろう。
過半量のパリレンを含むコア構成要素を含む歯科用物品の少なくとも1つのセグメントを有する、例示的な歯科用物品の斜視図である。
図1の歯科用物品のセグメントの概略断面図である。
図1の歯科用物品の一部を形成するために使用され得る別の例示的なセグメントの概略断面図である。
図1〜図3のコア構成要素及びセグメントを形成するための例示的な技術を説明するフロー図である。
図1のコア構成要素を形成するための例示的な層構築プロセスの概略断面図である。 図1のコア構成要素を形成するための例示的な層構築プロセスの概略断面図である。 図1のコア構成要素を形成するための例示的な層構築プロセスの概略断面図である。 図1のコア構成要素を形成するための例示的な層構築プロセスの概略断面図である。 図1のコア構成要素を形成するための例示的な層構築プロセスの概略断面図である。
実質的にパリレンで構成されたコア構成要素を含むセグメントに取り付けられた追加の歯科用構成要素を含む、別の例示的な歯科用物品の概略図である。 実質的にパリレンで構成されたコア構成要素を含むセグメントに取り付けられた追加の歯科用構成要素を含む、別の例示的な歯科用物品の概略図である。
診療所と製造施設とが、歯科装具の製造プロセス全体を通じて情報を通信する、例示的なコンピュータ環境を示すブロック図である。
デジタル歯科構造データを生成する例示的なプロセスを示すフロー図である。
ネットワークを介して製造施設に接続された、デジタル歯科構造データを生成するためクライアントコンピュータの一例を示すブロック図である。
歯科用物品の構築のために製造施設で行われるプロセスを示すフロー図である。
順序付けられた歯科用物品を使用した治療の連続的な繰り返しを示すフロー図である。
本開示は、過半量のパリレンを含むコア構成要素を有する当該物品のセグメントを含む歯科用物品、及びその製造方法に関する。このような歯科用物品としては、例えば、歯科用トレイアライナ、ナイトガード、リテーナ、マウスガード、口蓋拡張器、カスタムフォース部材及び取り付けポイント、ばねアライナ、アーチワイヤとアーチ部材と弾性バンド及びばねとブラケットと他の結合された装具とを組み込んだ歯科用物品、歯科用クラウン、インプラント、義歯、部分的義歯(partial)、一時的な代用物、治療薬を送達するためのトレイなどが挙げられる。本開示は主に、歯科用トレイアライナ又は口蓋拡張器などの、患者の口腔構造の複雑な輪郭に従う形状を有する少なくとも1つのセグメントを含む歯科用物品に焦点を当て、記載する。ただし、本明細書に記載する構成要素及び技術を用いて、多くの他の歯科用物品を構築できる。本開示は、歯科用トレイアライナ及び口蓋拡張器の詳細に焦点を合わせることによって、特定の種類の歯科用物品に限定されることを意図するものではない。
いくつかの例では、記載される歯科用物品は、例えば1本以上の歯の輪郭を含む、患者の口腔構造の輪郭又は幾何学的形状に従うように構成された、複雑な三次元形状を画定する少なくとも1つのセグメントを含む。セグメントは、大部分がパリレンで構成される(例えば、過半量若しくは50%超のパリレン)か、又は本質的にパリレンからなるコア構成要素を含む。以下で更に検討するように、パリレンは、歯科用物品の製造において、例えば、水性環境への長期間の曝露後でも示される十分な機械的特性、光学的又は審美的特性(例えば透明度)、生体適合性、防汚性、抗菌性、などを含む、いくつかの有益な特性を有することが見出されている。本明細書に記載する歯科用物品を製造するための記載された製造技術によって、不純物を低減させた又は実質的に含まないコア構成要素を同様に製造することができる。記載される特徴は、歯科用物品で使用される複雑な三次元形状の製造中のカスタマイズ性及び制御性の向上した歯科用物品をもたらし得る。
いくつかの例では、パリレンを含むコア構成要素は、化学蒸着(chemical vapor deposition、CVD)プロセスを使用して形成され得る。CVDプロセスは、他のポリマー形成プロセスと比較して、パリレンの密度が比較的高く(多孔率が比較的低く)かつ厚さ均一性の高いコア構成要素をもたらし得る。例えば、CVD蒸着されたパリレン材料は、患者の口腔構造の輪郭を模倣する複雑な三次元の幾何学的形状を画定するモデル上に蒸着されてもよい。パリレン材料は、モデルの複雑な形状を覆って分子上に分子単位で均一に蒸着され、その結果、下にあるモデルの幾何学的形状に実質的に一致し実質的に均一な(例えば、均一な又はほぼ均一な)厚さを有する、複雑な幾何学的形状を画定するコア構成要素が得られる。これに対して、このような複雑な三次元形状を覆うディップコーティング、スプレーコーティング、又は熱成形ポリマーは、モデルの急勾配の側面に沿ったポリマー材料の「ネッキング」若しくは薄化、プーリング(pooling)、又は他の製造上の困難な問題をもたらす場合があり、これらは結果的なポリマー材料の不均一な厚さをもたらす。このような態様は、薄化領域における歯科用物品の力の適用の大きさ若しくは力の適用の制御性の低下、材料がプーリング若しくは蓄積された領域における不適切なフィット、歯科用物品の早期の疲労、又はこれらの組み合わせをもたらし得る。CVD蒸着されたパリレン材料は、これらの製造上の欠点のうちの1つ以上に対処することができる。
いくつかの例では、蒸着されたパリレン材料の実質的に均一な厚さは、患者の1本以上の歯の上に直接、幾何学的に密に一致して配置され得る歯科用物品、特にコア構成要素を含むセグメントの製造を、容易にし得る。このような一致は、歯科用物品を使用して所望の結果を達成するために精密なフィットが重要であり得る、歯科用トレイアライナ、ナイトガード、歯科用アタッチメント、リテーナ、マウスガード、口蓋拡張器などの歯科用デバイスにとって重要な場合がある。
図1は、パリレンを主として(例えば、50%超)含むコア構成要素14を含む歯科用物品10の1つのセグメント12を有する、例示的な歯科用物品10の斜視図である。図2は、図1の歯科用物品10のセグメント12の概略断面図である。
歯科用物品10のセグメント12は、患者の口腔構造の輪郭に従うように構成された複雑な三次元形状を画定し得る。例えば、セグメント12は、患者の1本若しくは複数本の歯、歯肉、硬質若しくは軟質パレット、口腔の舌下の部分、又はこれらの組み合わせの、輪郭に従い得る。図1の例では、歯科用物品10は、1本以上の歯を覆う歯科用物品10の少なくとも一部を表すセグメント12を有する患者の歯科構造の複雑な輪郭に従うように構成された歯科用トレイアライナとして図示されている。いくつかの例では、セグメント12を患者の少なくとも1本以上の歯の輪郭に従うように成形し、1本又は複数本の歯を覆ってそれらに密接に接触するようにセグメント12を設置可能となっていてもよい。いくつかの例では、セグメント12は歯科用物品10全体を含んでもよく、その一方で、以下に更に記載するような他の例では、セグメント12は、例えば、患者の1本又は複数本の歯を覆って又はそれに接触して配置されるように構成された歯科用物品の部分などの、歯科用物品10の一部のみを含んでもよい。いくつかの例では、歯科用物品10は、複数のセグメント12を含んでもよく、各セグメント12は、それぞれのコア構成要素14を含み、異なるセグメント12は、1つ以上の歯科用構成要素(例えば、ばね、ワイヤ、ジャンパー、力伝導機構、ポリマーなど)によって接続されている。
いくつかの例では、歯科用物品10及びセグメント12は、正確な輪郭又は患者の口腔構造を模倣する必要はない。例えば、歯科用トレイアライナにおいて、歯科用物品10、セグメント12、又はその両方は、患者の歯に矯正力を加えて歯列構成を新しい所望の構成に向けて付勢するように、歯科用物品10の患者の口腔構造の正確な形状及び輪郭と、わずかに異なるサイズ及び形状であってもよい。歯を移動させるために、治療力は一般的に、閾値を超えなければならない。この閾値は、典型的な患者の集団に適合するようにある程度一般化されてもよく、又は、収縮期血圧、骨密度、免疫系の健全性、抗炎症薬の使用などを含むいくつかの因子に応じて、個々の患者に合わせて調整されてもよい。閾値又は治療力がない場合、歯は、歯科用トレイアライナが取り外されると、それらの元の位置を維持しようとするか、又は少なくとも部分的にそれらの前の位置に戻ろうとする。
いくつかの例では、セグメント12又は歯科用物品10の他の部分は、歯科用物品10が患者の歯に矯正力を適用するのに十分な剛性を呈し、それでも依然として患者の歯に押し付けるのに十分な柔性を有しかつ患者が受け入れられるように比較的薄くなるように、約100MPaを超える、例えば約300MPa〜約5GPaの弾性率を有し得る。歯科用トレイアライナの例では、セグメント12の可撓性により、歯科用物品10に患者の歯の輪郭上を前進させて、所望に応じて歯科用物品10を挿入すること及び/又は取り外すことが可能になり得る。いくつかの例では、患者の口腔内の水などの液体に曝露された後であっても、約300MPaを超える弾性率を有しかつ維持するようにセグメント12を調製することによって、歯科用物品10は、このような物品の厚さが比較的薄いままであっても(例えば、約100マイクロメートル(μm)〜約1000μmのオーダー)、所望の治療力を歯に適用することができる。加えて、又は代替的に、約5GPa未満の弾性率を定めるようにセグメント12を調製することによって、セグメント12は依然として、歯科用デバイス10が必要な場合にある程度の可撓性を有することを可能にするような、ある程度の可撓性を維持し得る。材料の弾性率は、ASTM D638に従って測定してもよい。
歯科用物品10のセグメント12は、パリレンを主として(すなわち50%超のパリレンを)含む、コア構成要素14を含む。本明細書で使用するとき、「コア構成要素」は、セグメント12の中央の主要な構成要素を指すために使用される。コア構成要素14はセグメント12の構造構成要素であってもよく、例えば、別の構造構成要素上の材料の薄いコーティングとは対照的な、セグメント12の主要な荷重担持部分又は力伝達部分であってもよい。いくつかの例では、セグメント12はコア構成要素14のみを含んでもよく、一方、他の実施例では、セグメント12は、コア構成要素14及びそれに適用される1つ以上のコーティング層を含んでもよい。いくつかの例では、セグメント12は、患者の歯と接触させてセットすることを意図したセグメント12の表面から垂直に測定される材料厚さ(図2のT)を画定してもよく、この場合、コア構成要素14は、セグメント12の総厚さの約80%超、セグメント12の総厚さの約90%超、又はセグメント12の総厚さの約95%超を占める。
コア構成要素14は、過半量のパリレンを含んでもよい。例えば、コア構成要素14は、少なくとも50%のパリレン、少なくとも90%のパリレン、少なくとも95%のパリレン、少なくとも99%のパリレンを含んでもよく、又は、本質的にパリレンからなっていても(すなわち、存在し得る何らかの不純物以外はパリレンからなっていても)よい。以下に更に記載するように、いくつかの例では、コア構成要素14を形成するために使用されるパリレン材料は、パラキシリレンガスを使用するCVDプロセスの一部として形成されてもよく、パラキシリレンガスは重合を経て、最終的にコア構成要素14を形成するパリレンの層を構築する。コア構成要素14は、例えば、パリレンC(ポリクロロ−p−キシリレン)、パリレンD(ポリジクロロ−p−キシリレン)、パリレンF(ポリテトラフルオロ−p−キシリレン)、パリレンN(ポリ−p−キシリレン)、Specialty Coating Systems(Indianapolis,IN)から入手可能なParylene HT(登録商標)(Nダイマーのα水素原子をフッ素と置換する)、Specialty Coating Systemsから入手可能なSCS microRESIST(登録商標)Antimicrobial Parylene Technology,Specialty Coating Systemsから入手可能なParylene C−UVF(登録商標)、又はこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない、任意の好適な種類のパリレンを含み得る。
いくつかの例では、開始成分としてパラキシリレンダイマー(例えば、パリレンCの製造のための[2.2]パラシクロファン)を用いる自己開始型化学蒸着(CVD)プロセスを使用して、パリレンを蒸着させることができる。例えば、患者の口腔構造の三次元モデルなどのビルド表面は、約0.1トール(約13.33パスカル)のオーダーの圧力まで真空引きされた真空蒸着チャンバ内に配置されてもよく、その結果、蒸着チャンバ内の気体分子の平均自由行程が0.1cmのオーダーになる。固体又は気体状のパラキシリレンダイマーを、パラキシリレンダイマーがモノマーパラキシリレンガスに分解する温度まで加熱してもよい。モノマーガスをビルド表面を含む真空蒸着チャンバに導入してもよい。次いでモノマーガスをビルド表面上に蒸着させてもよく、モノマーガスはそこで重合してパリレンの層を形成する。ガス状パラキシリレンモノマーの平均自由行程が0.1cmのオーダーであるため、蒸着プロセスは見通し外プロセス(non-line of sight process)となる場合があり、パリレンはビルド表面の全て又はほぼ全ての表面上に蒸着され得る。したがって、いくつかの例では、パリレンは所望のビルド表面を完全にコーティングすることができ、コーティングをトリミングしてコア構成要素14とすることができる。
パラキシリレンダイマーの分解プロセスには副次的な分子の形成がないため、得られるモノマーパラキシリレンガスは実質的に純粋なものとなり、この結果、不純物又は残留モノマー材料が実質的に存在しない、純粋なパリレンから本質的になるコア構成要素14を得ることができる。更に、パリレンの形成は熱分解によって開始され自己伝播するため、溶媒、ラジカル開始剤、阻害剤、触媒、又は他の重合プロセスで典型的に見出される他の外来の物質の使用は、本質的にプロセスから、及び得られるコア構成要素14から排除される。結果として、コア構成要素14は、他のポリマー材料中に典型的に見出すことができ歯科用物品10において望ましくない効果を有し得る溶媒、ラジカル開始剤、触媒、阻害剤などの残留成分を本質的に含まない(例えば含まないか又はほとんど含まない)、高純度のパリレンを含み得る。いくつかの例では、CVD蒸着されたパリレンは、使用される初期のパリレン材料の純度に応じて、93重量%超のパリレンを含む層をもたらし得る。いくつかの例では、CVD蒸着されたパリレンは、95重量%超のパリレン、99重量%超のパリレンを含む層をもたらし得る。いくつかの例では、蒸着させたパリレン層は、そのパリレン層を製造するために使用された初期のモノマーの純度と同じか又はより高い純度のパリレンを含み得る。パリレンはまた、優れた生体適合性を有する。
いくつかの例では、パリレンはスプレー、ディップ、又は熱成形蒸着プロセスとは対照的なガス蒸着を介して蒸着されるため、パリレンはプーリング、ブリッジ、薄化を生じないか、又は、そのような蒸着プロセス中に生じ得るメニスカス特性及び欠陥を呈さない。結果として、パリレンは、材料の比較的薄く実質的に均一な厚さの層として、ビルド表面(例えば、マンドレル、金型プラグ、又は凸型モデル)に適用され得る。例えば、液体系コーティングの厚さ及び厚さ均一性は、粘度、作業温度及び湿度、並びに適用プロセス(例えば、スプレー又はディップコーティング)と関連し得る。いくつかの例では、液体系コーティング技術を使用して適用されるコーティングの厚さの変動は、その液体コーティングの目標最終厚さの+/−50%にもなり得る。この均一性の欠如は、急で複雑な曲面の領域又は急勾配の側壁を含む、患者の歯の三次元モデルなどの複雑な幾何学的形状をコーティングする際に、悪化する可能性がある。対照的に、CVDプロセスを用いて蒸着されたパリレンを含む層の厚さは、気化したダイマーの量及びチャンバ放置時間の量の関数となり得る。いくつかの例では、パリレンを含む層の厚さは、目標厚さの約+/−5%の公差に制御され得る。
コア構成要素14の厚さに関連する公差の改善は、歯科用トレイアライナが患者の歯を一度に1ミリメートルの何分の1かだけ移動させるように設計されている、歯科用トレイアライナなどの特定の歯科矯正用途に有用な場合がある。対照的に、液体又は熱成形ベースのコーティングは、コーティングに不均一な厚さ及びハイスポット(high spot)を生じさせる場合があり、このことは、アライメント不良又は不快感の増大につながる、患者の歯の表面のピンチポイント(pinch point)又は意図しない圧力点につながり得る。いくつかの例では、不均一な厚さ及びハイスポットは、意図する厚さ又は形状から歯の目標移動量を超えて逸脱し、歯の移動の制御性を低下させる場合がある。コア構成要素14の及びその結果としてのセグメント12の均一性によって、歯科用物品10の装着性、正確度、及び有効性を改善することができる。
いくつかの例では、実質的にパリレンからなるコア構成要素14の最終厚さは、少なくとも約50μm、少なくとも約100μm、少なくとも約250μm、少なくとも約500μm、少なくとも約1mm、又は少なくとも約2mmであり得る。いくつかの例では、コア構成要素14の最終厚さは、約2mm未満、約1mm未満、約500μm未満、約250μm未満、約100μm未満、又は約50μm未満であり得る。ただし他の例では、コア構成要素14の厚さは約2mm超、例えば最大約5mmであってもよい。いくつかの例では、コア構成要素14の厚さは、約25μm超かつ約200μm未満であってもよい。パリレンの層を少なくとも約25μmよりも大きくすることは、ビルド表面が(例えば、積層造形(additive manufacturing)を使用してビルド表面が形成される場合に生じ得るような)隆起部を含む例において、本明細書に記載するエイリアシング現象(aliasing effect)を低減するのに役立ち得る。
いくつかの例では、パラキシリレン分子のサイズが小さいこととCVDプロセスとに起因して、パリレンは、特に熱成形などの従来の形成技術を使用して蒸着させた他のポリマー材料と比較して、材料の比較的高密度の耐水層として蒸着させることができる。例えば、歯科用物品に使用される従来のポリマー材料は、長時間の水の存在下で、ポリマーの弾性率の低下などの、軟化又は機械的特性の劣化(例えば、吸湿膨張又は応力弛緩)を経験し得る。この低下は、ポリマー材料の弾性率を低下させ得る、水への曝露によるポリマー内の水素結合の減少又は消失に起因し得る。この低下はそのようなポリマーを軟化させ、これによりそのポリマーは、例えば、患者の1本以上の歯に対して力を適用又は維持するために使用される歯科用トレイアライナを含め、特定の種類の装置に対する好適さが低下する。パリレンの耐水性は水に対するバリアとして作用して、コア構成要素14への水の浸入を低減又は実質的に防止するが、このことによって、コア構成要素14が、水の存在下でその機械的特性を実質的に維持することが可能になる。更に、実質的にパリレンで構成されるコア構成要素14は、約5体積%未満の多孔率を定めており、呈する吸湿膨張が小さい。多孔率は細孔の容積をコア構成要素14の総体積で割ったものとして定義され、光学顕微鏡、水銀ポロシメトリーなどを使用して測定することができる。
いくつかの例では、セグメント12は、コア構成要素14に適用される1つ以上のコーティング層を含んでもよい。図3は、図1の歯科用物品10の一部を形成するために使用され得る別の例示的なセグメント20の概略断面図である。セグメント20は、コア構成要素14上に1つ以上のコーティング層22を有する、パリレンを主として含むコア構成要素14を含む。図3のコア構成要素14は、本明細書に記載する何らかの相違点を別にして、図1及び図2に関して上記したコア構成要素14と実質的に同じであってもよい。
コーティング層22は、コア構成要素14及びセグメント20の光学特性、摩耗特性、汚れ特性、抗菌性、耐水性、耐久性、触覚特性、又は他の特性のうちの1つ以上に影響を及ぼすように使用されてもよい。いくつかの例では、コーティング層22の1つ以上の層は、例えば、無機材料を含む1つ以上の層、ポリマーハードコートを含む1つ以上の層、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。
いくつかの例では、コーティング層22は、コア構成要素14の耐久性及び/又は耐摩耗性に影響する無機材料、例えば、金属、金属合金、金属酸化物、セラミック、ガラス、結晶質鉱物、又はこれらの組み合わせを含む、1つ以上の層を含んでもよい。例えば、コア構成要素14は十分な耐水性及び弾性特性を提供し得るが、一方でパリレンは、一部の無機材料と比較して、耐摩耗性が比較的低い場合がある。いくつかのそのような例では、純粋なパリレンの層は、歯、食品などの他の物体との繰り返しの接触又は擦り付けによって、摩滅する場合がある。特定の歯科用途(例えば、取り外し可能な歯科用トレイアライナ、歯科用リテーナなど)については低目の摩耗特性を許容できる場合があるが、そのような摩耗特性は、歯科用物品10が患者の口腔内に固定されるか又は口腔内に比較的永続的にある用途では、許容できなくなる場合がある。このような歯科用途としては、歯科用クラウン、ブリッジ、義歯、バイトスプリント、歯科矯正ブラケット、常時装着歯科アライナ、又は口蓋拡張器などを挙げることができ、この場合セグメント20は患者の口腔内に留まり、歯、食品などとの繰り返しの接触(例えば、咀嚼、粉砕)を受ける。そのような用途では、セグメント20は、コア構成要素14の耐久性及び耐摩耗性に寄与するようにコア構成要素14に適用される、無機材料の1つ以上のコーティング層22を含むことができる。加えて、又は代替的に、コーティング層22は、物品20に追加のバリア特性(例えば、水及び/又は抗菌バリア特性)を提供し得る無機材料(例えば、金属酸化物)を含んでもよい。
1つ以上のコーティング層22として使用され得る例示的な無機材料としては、例えば、金属(例えば、金、銀、アルミニウム、銅、インジウム、又はチタンなどの生体適合性金属)、金属合金、金属酸化物、ガラス、又はセラミック(例えば、シリカ、アルミナ、又はジルコニア)、ダイヤモンドライクカーボン、金属塩などが挙げられる。塩化物、フッ化物、硫酸塩、及び炭酸塩などの金属塩は、これらのイオンを含有する酸又は気体に金属を曝露することによって形成され得る。場合によっては、金属層への正電荷の印加は、塩を形成するために必要とされる負イオンを誘引するのに有益であり得る。いくつかの例では、1つ以上のコーティング層22は、異なる層内には異なる無機材料を有する、複数の層を含み得る。
いくつかの例では、1つ以上のコーティング層22は、元素金属を含む層と、大気又は酸素に富む気体環境への元素金属の曝露によって形成される酸化物層と、を含み得る。1つ以上のコーティング層22には、例えば、酸化銀、酸化亜鉛、酸化銅、酸化チタン、酸化アルミニウム、並びにこれらの混合物又は合金、例えば銀銅亜鉛合金の酸化物(例えばAgCuZnOx)、Agドープ酸化亜鉛、Agドープ酸化アルミニウム、Agドープ酸化チタン、及びAl−ドープ酸化亜鉛のうちの少なくとも1つを含む、任意の好適な生体適合性金属酸化物が含まれてもよい。いくつかの例では、金属酸化物に加えて、1つ以上のコーティング層22は任意選択的に、塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀、フッ化銀、ハロゲン化銅、ハロゲン化亜鉛、及びこれらの組み合わせなどの、追加の金属化合物を含み得る。金属酸化物を組み込んだ層の特性に関する更なる例が、参照によりその全体が組み込まれる米国特許仮出願第62/685,773号に記載されている。
いくつかの例では、歯科用物品10の抗菌性又は抗バクテリア性を提供するために、金属酸化物を使用することができる。例えば、1つ以上のコーティング層22は、表面の微生物汚染によって又は歯科用物品10の表面上に形成されたバイオフィルムによって誘起され得る、例えば望ましくない臭気、風味、又は変色などの、微生物汚染の望ましくない結果のうちの少なくとも1つを低減又は実質的に防止するべく、長い期間にわたって抗菌性、抗バクテリア性、若しくは抗バイオフィルム性のうちの少なくとも1つを提供するための、1つ以上のコーティング層22の最外層を画定する、1種以上の金属酸化物を含んでもよい。いくつかの例では、抗菌効果は、例えば、歯科用物品10をアルコール又は患者の口腔内の体液若しくは体組織などの水性電解質と接触させ、その結果、例えば、Ag、Alなどの金属イオン、原子、分子、クラスターなどが放出されるときに生じ得る。抗菌効果を生じるのに必要な金属の濃度は、金属酸化物中の金属によって変わる。いくつかの例では、記載される抗菌効果は、約10ppm未満の濃度の唾液などの体液中で達成され得る。いくつかの例では、1つ以上のコーティング層22の最外層内の金属酸化物は、24時間接触後に、黄色ブドウ球菌及びミュータンス菌に対して少なくとも2logの微生物減少を呈し得る。log減少値は、ISO試験法 ISO 22196:2011「Measurement of antibacterial activity on plastics and other non−porous surfaces」に従って、試験材料に適応するようにその試験方法の適切な改良を行って、測定できる。加えて、又は代替的に、金属酸化物は、歯科用物品10上の歯石蓄積を防止できるか、又は、患者の歯のキャビティの形成を防止するための添加剤を含むことができる。
加えて、又は代替的に、1つ以上のコーティング層22は、ポリマーハードコートを含んでもよい。本明細書で使用するとき、「ポリマーハードコート」は、同じ厚さのパリレンの層よりも高い研磨摩耗耐性を有するポリマー系コーティング層について記載するために使用され得る。いくつかの例では、研磨摩耗耐性特性は、それぞれのコーティング材料の層の表面に対して歯の代用物を擦り付け、2週間の装着を模した後の層への損傷を評価することによって測定できる。ポリマーハードコートを含む層は、コア構成要素14の耐久性及び耐摩耗性を改善することができる。加えて、又は代替的に、ポリマーハードコートは、コア構成要素14の耐摩耗性を改善することができる。
ポリマーハードコートとして好適な例示的な材料としては、例えば、架橋性マトリックスモノマー、オリゴマー、又は1種以上の官能化無機充填剤を有するポリマーを挙げることができる。無機充填剤は、得られる層の耐摩耗性を改善するのに役立ち得る。いくつかの例では、ポリマーハードコートは、単一成分混合物、多成分硬化性調合物、分散液などとして調製され得る。好ましいポリマーハードコートは、比較的透明/半透明であってもよく、平滑であってもよく、コア構成要素14への強い接着性を実現してもよく、使用中のひび割れを最小限にするためのある程度の可撓性を有してもよく、防汚性を有してもよく、パリレンよりも大きい耐摩耗性を有してもよく、又はこれらの組み合わせであってもよい。ポリマーハードコートの例としては、3M Corporation(St.Paul,MN,USA)から入手可能な3M 906 Abrasion Resistant Hardcoat、又は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願第14/404,970号に記載されているハードコートを挙げることができる。
いくつかの例では、1つ以上のコーティング層22は、例えば、患者が歯科用物品10を装着している時、装飾的であり得るか又は患者の歯の外観を改善するように選択され得る所望の色をもたらすことのできる、染料又は顔料を、任意選択的に含んでもよい。染料又は顔料は、上記した無機材料又はポリマーハードコートに加えて添加されてもよい。加えて、又は代替的に、コア構成要素14は、特定の光学特性を呈するように構成されてもよい。例えば、コア構成要素14は、パリレンCとブラックライト下で蛍光発光するように設計された特殊な化合物とを含む、Parylene C−UVF(登録商標)を含んでもよい。
1つ以上のコーティング層22を、例えば、化学蒸着、プラズマ化学蒸着、蒸着、スパッタリング、原子層蒸着法、無電解めっき(例えば、化学的又は自己触媒的めっき)、電気めっき(例えば、第1の導電層がコア構成要素14上に蒸着された後の)、スプレーコーティング、ディップコーティングなどを含む、任意の好適な技術を使用して、コア構成要素14上に蒸着させることができる。いくつかの例では、1つ以上のコーティング層22は、コア構成要素14の表面から約0.1μm及び約5μmの総厚さ(図3のT’)を画定し得る。
図4は、図1〜図3のコア構成要素14並びにセグメント12及び20を形成するための例示的な技術を説明するフロー図である。図4の技術は、例示を目的とした歯科用物品10の様々な態様を参照して説明される。ただしこのような説明は限定することを意図するものではなく、図4の技術は他の歯科用物品と共に使用されてもよく、コア構成要素14並びにセグメント12及び20は、図4に記載される技術以外の技術を使用して形成されてもよい。図4について、明確にするために、図5A〜図5Eに示されている物品及び層に関して説明する。図5A〜図5Eは、コア構成要素14を形成するための例示的な層構築プロセスの概略断面図である。
図4の技術は、患者の口腔構造の三次元モデル50を形成すること(30)と、モデル50を剥離剤52でコーティングすること(32)と、パリレンを含むコーティング54をモデル50上に形成すること(34)と、任意選択的に、コーティング54をトリミングして歯科用物品10のコア構成要素14を形成すること(36)と、コア構成要素14をモデル50から分離すること(38)と、コア構成要素14の一部分上に1つ以上の任意選択のコーティング層22を適用すること(40)と、を含む。上記したように、コア構成要素14は、歯科用トレイアライナ、歯科用クラウン、ナイトガード、リテーナ、口蓋拡張器、インプラント、義歯、部分的義歯、一時的な代用物、ばねアライナ、歯科用アタッチメント、高分子アーチワイヤ、アーチ部材、カスタムフォース部材、ばね、ブラケット、又は他の結合された装具を含む歯科用物品、治療薬を送達するためのトレイなどを含み得る、歯科用物品10の一部を形成してもよく、これらはコア構成要素14を含む少なくとも1つのセグメント12又は20を含む。
図4の技術は、任意の好適な技術を使用して患者の口腔構造の三次元モデル50を形成すること(30)と、任意選択的に、ポリビニルアルコールなどの剥離剤52でモデル50をコーティングすること(32)と、を含む。図5Aは一旦形成された歯科モデル50を示し、図5Bは剥離剤52でコーティングされた歯科モデル50を示す。いくつかの例では、モデル50は、患者の口腔構造の印象のキャスティングを鋳込むことによって形成され得る。他の例では、歯科モデル50は、三次元プリント又は積層造形を使用して形成され得る。例えば、以下に更に記載するように、患者の歯及び歯肉の少なくとも一部分のデジタル三次元表現を、例えば口腔内スキャナを使用して生成することができる。歯科モデル50は、三次元プリンタを使用して歯のデジタル表現に基づいて直接生成されてもよい。
モデル50は一般に、患者の口腔構造の陽性の(positive)表現であるものとして例示及び記載されているが、いくつかの例では、モデル50は、パリレンがモデル50内の空洞の表面に沿って蒸着される、陰性の(negative)型であってもよい。空間モデル50の陽性か陰性かの選択は、形成される歯科装具の種類に応じて決定され得る。
いくつかの例では、歯科モデル50は形成後にミリング加工又は研磨されてもよく、モデル50の表面には、続いて適用されるパリレンがモデル50に固定的に付着するのを防止するのを助けるために、剥離剤52を適用してもよい。剥離剤52は、歯科用物品10の一部を形成しなくてもよい。
上記したように、歯科モデル50は、患者の口腔構造の輪郭を模倣するように構成された複雑な三次元形状を画定し得る。いくつかの例では、歯科モデル50は患者の口腔構造の正確な複製として構成されなくてもよく、むしろモデル50は、所望の歯のアライメント、又は所望の歯のアライメントに向けた中間段階を表し得る。
次に、本明細書に記載する技術を使用して(例えば、CVDを使用して)、パリレンを含むコーティング層54を、モデル50(34)に適用することができる。図5Cは、モデル50及び離型剤52を覆うようにコーティング54が適用された、歯科モデル50を示す。コーティング54は、所望の厚さに達するまでモデル50上に蒸着させることができる。コーティング54は、パリレンで構成される1つ以上の層を含んでもよい。パリレンは、例えば、少なくとも50μm、少なくとも100μm、少なくとも250μm、少なくとも500μm、少なくとも1mm、又は少なくとも2mmの厚さを含む、任意の好適な層の厚さまで蒸着させることができる。例えば、ハロゲン化モノマーを使用すること、及び/又は、更なる特性を提供するための添加剤、例えばSCS Coatings(Clear Lake,WI)からのmicroRESIST(登録商標) Antimicrobial Parylene Technologyを組み込むことによって、パリレンへの様々な修飾を行うことができる。いくつかの例では、コーティング54は、パリレンC、パリレンD、パリレンF、Parylene HT(登録商標)、SCS microRESIST(登録商標)、パリレンN、Parylene C−UVF(登録商標)、又はこれらの組み合わせの、1つ以上の層を含んでもよい。いくつかの例では、コーティング54は、パリレンCの少なくとも1つの層を含み得る。
歯科モデル50が三次元プリントされる例では、層ごとのプリントプロセスによって、輪郭線又は(エイリアシング現象としても知られる)「階段(stair steps)」によって跡付けられた、テクスチャ化表面が生成される場合がある。エイリアシング現象が歯科用物品10の外面(例えば、患者の唇又は舌と接触している物品の表面)に転移された場合、物品は、粗面化された若しくはその他の不快なテクスチャ若しくは触感を有する可能性があるか、又は、輪郭線からの光の散乱に起因して光学的外観が損なわれる。エイリアシング又は表面粗さから生じる他の望ましくない影響としては、バイオフィルム形成、及び歯列内の対向する表面との摩擦又は干渉の増大を挙げることができる。細菌培養物を含む口腔バイオフィルムは、酸産生、臭気、及び歯石蓄積をもたらす可能性がある。製造プロセス中に材料層の境界に形成される内側の隅角は、細菌培養物の隠れ場所の役割を果たして、それらを唾液流並びに舌及び口腔粘膜による拭き取り作用から保護する可能性がある。
いくつかの例では、剥離剤52の適用及びコーティング54を形成するための化学蒸着によるパリレンの蒸着によって、コア構成要素14へのエイリアシング現象の転移を低減することができ、歯科用物品10の視覚特性又は触覚特性を改善することができる。例えば、パリレンは、パリレンが個々のモノマー分子から剥離剤52の表面上に直接作り出される、CVDを使用して適用され得る。これらの分子はガス状で供給され、基材の表面上でポリマーへと縮合し、このことによりそれらを最小の微視的テクスチャとして蒸着させることが可能になる。より多くの分子が表面と一体化するにつれて、コーティングはより厚くなり、最終的にこれらの微視的テクスチャを充填し平滑化する。結果的に、モデル50上の剥離剤52の適用及びコーティング54の漸進的成長は、プリントプロセスから生じるエイリアシング現象又は全体的な表面テクスチャを平滑化することで、コーティング54の外面に沿った粗さを低減することができる。コア構成要素14の外面を平滑化することによって、歯科用物品10の患者の口腔内での触感が改善され得る。更に、パリレンは透明なコーティングとして蒸着されるため、コア構成要素14の外面を平滑化することによって、得られる歯科用物品10の透明性及び全体的な視覚的美観を改善することができる。加えて、コーティング54を形成するために蒸着プロセスを使用することにより、パリレン自体が、他のポリマー材料と比較して、表面粗さの低減されたより光沢のある仕上がりとなり得る。パリレンに起因する表面粗さの低減によりまた、装具の表面が高光沢に研磨されていないか又は光沢仕上げで保護されていない場合に、その表面上に生じ得るバイオフィルム形成を、他のポリマー材料と比較して抑制することもできる。
加えて、又は代替的に、コーティング54のCVD適用は、熱可塑性材料を用いた従来の圧力成形に勝るいくつかの利益を提供し得る。例えば、従来の圧力成形では、熱可塑性材料のシートを加熱して流動性プラスチック状態にし、次いでこのシートを三次元モデルを覆うように圧力成形する。この熱可塑性材はモデルと直接接触するので、シートがモデルに追従し冷却し凝固してその最終形状になるのに必要な時間内で、モデルに大きな熱が伝達される。加熱すると、モデルの表面にわたる温度勾配により、モデルは不均一に拡張し得る。モデルを構築するために使用される材料に応じて、モデルのガラス転移温度が近づき、モデル材料の軟化に至り得る。熱可塑性シートにわたる約45PSI(例えば、約3.1バール)の圧力勾配を伴い得る、このようなモデルにわたる続く圧力形成は、熱可塑性材料の形状で複製及び保存されることになるモデルの、永続的な歪みをもたらし得る。パリレンのCVD適用は上記した圧力勾配のいずれも伴わないため、コーティング54の形成中にモデル50のかかる歪みは観察されない。
いくつかの例では、圧力成形された熱可塑性物質はまた、この材料中に保存される、材料をその事前形成された形状に向かって戻すように付勢する残留応力を呈し得る。いくつかの例では、成形された熱可塑性材料は、患者の口への物品の挿入に関連する加熱によってなど、その後の加熱の結果、この以前の形状に向かって弛緩する場合がある。パリレンのCVDにはコーティング54の事前に製作される形態は一切関与しないため、コーティング54が上記した残留応力を呈することはない。
コーティング54が所望の厚さまで形成及び構築された後で、コーティング54を、例えばCNC5軸フライス又はレーザー切削ツールを使用して適切なサイズにトリム線56に沿ってトリミング(36)して、コア構成要素14を形成することができる。任意の過剰な材料58を任意選択的に除去することができる。図5Dには、所望のサイズにトリミングされたコーティング54が示されている。製造のこの時点で、大部分がパリレンで構成されたコア構成要素14(例えば、トリミングされたコーティング54)が形成されることになる。次いで、コア構成要素14を、例えば、物品及びモデルを温水に浸漬して、存在する場合に剥離剤52を溶解させることによって、モデル50(58)から分離することができる。図5Eは、モデル50から離型された、完成したコア構成要素14を示す。
いくつかの例では、コア構成要素14を、1つ以上の任意選択のコーティング層22でコーティングしてもよい(40)。例えば、図4の技術は、コア構成要素14を、無機材料の1つ以上の層、ポリマーハードコートの1つ以上の層、又はこれらの組み合わせでコーティングすることを含み得る。1つ以上のコーティング層22は、それぞれのコーティング層22の意図する機能及び所望する場所に応じて、コーティング54をトリミングする前に、コア構成要素14をモデル50から分離する前に、コア構成要素14をモデル50から分離した後で、又はこれらの組み合わせで、コア構成要素14に適用することができる。いくつかの例では、1つ以上のコーティング層22は、コア構成要素14の外面(例えば、患者の歯と接触して配置されることを意図しないコア構成要素の表面)上に蒸着させてもよい。例えば、歯科用物品10の触感又は光学特性を改善することを意図するコーティング層22を、例えば、コア構成要素14をモデル50から取り外す前にそれぞれのコーティングを蒸着させることによって、コア構成要素14の外面上に蒸着させることができる。加えて、又は代替的に、歯科用物品10の抗菌特性の改善を意図するコーティング層22を、例えば、コア構成要素14をモデル50から取り外した後でそれぞれのコーティングを蒸着させることによって、コア構成要素14の内面(例えば、患者の歯と接触して配置されることを意図したコア構成要素14の表面)、外面、又は両方の表面上に蒸着させることができる。
歯科用物品10は単純な歯科用トレイアライナとして主に記載されているが、歯科用物品10はそのような装置に必ずしも限定されない。他の例では、歯科用物品10は、ナイトガード、リテーナ、マウスガード、口蓋拡張器、歯科用クラウン、インプラント、義歯、部分的義歯、一時的な代用物、治療薬を送達するためのトレイなどを含むがこれらに限定されない、歯科処置に使用される他の口腔デバイスを含んでもよい。歯科用物品10はまた、コア構成要素14を含まないセグメント12、22に接続された追加の歯科用構成要素を含んでもよく、かつ/又は、パリレン以外の材料から構成されるコア構成要素を含んでもよい。例えば、歯科用物品10は、セグメント12に接続された1つ以上のカスタムフォース部材、ばね、ばねアライナ、ジャンパー、アーチワイヤ、アーチ部材、口蓋プレート、ブラケット、取り付け機構、弾性バンドなどを含んでもよく、セグメント12は患者の1本以上の歯を覆うようフィットするように構成されている。図6A及び図6Bは、実質的にパリレンで構成されたコア構成要素を含むセグメントに取り付けられた追加の歯科用構成要素を含む、別の例示的な歯科用物品の概略図である。図6A及び図6Bの歯科用物品は、第1のセグメント62Aと、第2のセグメント62Bと、プレート66から延びて第1のセグメント62A及び第2のセグメント62Bに接続する1つ以上のビーム64を有する、プレート66と、を含む、歯列矯正口蓋拡張器60の形態である。図6Aは、患者の歯列弓上に設置された口蓋拡張器60の咬合に関する図である。図6Bは、第1のセグメント62Aの一部分及びビーム64のうちの1つの一部の断面図である。
第1のセグメント62A及び第2のセグメント62Bのそれぞれは、患者の口腔構造の輪郭に従う複雑な三次元の幾何学的形状を画定してもよく、歯列弓のそれぞれの後方セグメントの少なくとも1本の歯を受け入れるように構成されている。少なくとも1本の歯は、それぞれの後方セグメントの全ての又は全てに満たない後方歯を含み得る。第1のセグメント62A及び第2のセグメント62Bのそれぞれは、実質的にパリレンで構成されたそれぞれのコア構成要素68A及び68Bを含む。それぞれのコア構成要素68A及び68Bは、以下に記す何らかの相違点を別にして、上記したコア構成要素14と実質的に同様であってもよい。上記したように、セグメント62A及び62Bのコア構成要素68A及び68Bは、コア構成要素68A及び68Bの物理的、機械的、又は審美的特性のうちの1つ以上を向上させるためにそこに適用される、1つ以上の任意選択のコーティング層22を含んでもよい。
第1のセグメント62A及び第2のセグメント62Bは、口蓋拡張器60の残りの歯科用構成要素、例えばビーム64によって加えられる力に耐えるのに十分な壁の厚さを画定し得る。例えば、第1のセグメント62A及び第2のセグメント62Bの壁は、約0.2mm〜約5mm、例えば、約0.5mm〜約3mm、又は約0.5mm〜約2mm、又は約1mmの厚さを画定し得る。いくつかの例では、第1のセグメント62A及び第2のセグメント62Bの咬合側の壁は、患者が咬合をより完全に閉じることができるように、第1のセグメント62A及び第2のセグメント62Bの舌側の壁及び頬側の壁よりも薄くてよい。
口蓋拡張器60はまた、コア構成要素68A及び68Bの材料とは異なる材料を含み得るビーム64及びプレート66の形態の、追加の歯科用構成要素も含む。ビーム64及びプレート66は第1のセグメント62Aと第2のセグメント62BAとの間に配置され、口蓋拡張治療中に外向きの力を加える。いくつかの例では、各ビーム64は、弾性率の比較的高い材料の2つの別個のビーム部材を画定する、分割ビーム設計であってもよい。弾性率の比較的高い材料は、ビーム64が変形に応じてエネルギーを蓄え、第1のセグメント62A及び第2のセグメント62Bに力を及ぼすことを可能にする。例えば、口蓋拡張器60は、第1及び第2の後方セグメントの所望の位置に対応する形状で形成されてもよく、患者又は提供者は、口蓋拡張器60を患者の歯の表面に設置するときに、口蓋拡張器60を変形させることができる。変形はビーム64内に集中してもよく、第1のセグメント62A及び第2のセグメント62Bに対する力の形態でビーム64によって放出されるエネルギーを生成することができる。ビーム64及びプレート66が形成される弾性率の比較的高い材料としては、例えば、ステンレス鋼、チタン、ニッケル−チタン合金、又は別の合金などの生体適合性金属、高弾性率ポリマー材料などを挙げることができる。
いくつかの例では、ビーム64及びプレート66の歯科用構成要素は、第1のセグメント62A及び第2のセグメント62Bとは別個に形成されてもよく、又は、第1のセグメント62A及び第2のセグメント62Bと一体に形成されてもよい。例えば、ビーム64及びプレート66は、積層造形(例えば、三次元プリント、熱成形、成形、又は彫成など)といった、任意の好適な技術を使用して形成することができる。その後でビーム64及びプレート66を、第1のセグメント62A及び第2のセグメント62Bに取り付けてもよい。
いくつかの例では、ビーム64及びプレート66を、コア構成要素68A及び68Bを形成するために使用されるCVDプロセスの一部として、第1のセグメント62A及び第2のセグメント62Bに取り付けることができる。例えば、ビーム64及びプレート66は、層54の蒸着前又はパリレン蒸着プロセスの途中のいずれかで、モデル50にそれらの意図された場所において組み込むことができる。組み込みが終わると、パリレンがビーム64及び/又はプレート66を少なくとも部分的にコーティングして、ビーム64及び/又はプレート66が、層54の構造の中に並びにその結果としてコア構成要素68A及び68Bの中に一体に取り付けられるようにして、パリレンの蒸着が完了され得る。
いくつかの例では、ビーム及びプレート66の一方又は両方はまた、構成要素が過半量のパリレンを含むように構築されてもよい。例えば、患者の口腔構造のモデルはまず、パリレンの初期層の蒸着後に、口蓋拡張器60を部分的に構築するように構築され得る。初期パリレン層の形成に続いて、口蓋拡張器60の一部を、一時的なマスキング材料によってマスクすることができる。いくつかの例では、マスキング材料は、所望の幾何学的間隙間隔(例えば、分割ビーム64の関連する間隙間隔)を画定してもよく、又は、追加のパリレン蒸着が望まれない口蓋拡張器60の部分を覆ってもよい。いくつかの例では、マスキング材料は、口蓋拡張器60又は他の歯科装具が完全に形成され所定のサイズにトリミングされた後で容易に除去できるように容易に変形される、柔軟な材料であってもよい。例示的なマスキング材料としては、例えば、シリコーンゴム、又は非常に弾性率の低いポリウレタンが挙げられる。マスキング材料は、パリレン接着に対する耐性を本来的に有してもよいか、又は、後処理中にマスキング材料をパリレンから後で分離することを可能にする、好適な離型剤でコーティングされてもよい。他の例では、マスキング材料は、ワックス若しくはポリカプロラクトン(polycaprolactone、PCL)などの比較的低い融点を有する材料、又はポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol、PVA)などの可溶性材料から構成されてもよい。その場合、マスキング材料を、材料を加熱及び溶融することで、又は材料を水若しくはアルコールなどの溶媒に曝露することでのいずれかで、液化によって除去することができる。
所望のようにマスキング材料を蒸着させた後で、露出した先に蒸着させたパリレンのセグメントと一体に結合する、パリレン形成を完了させるパリレンの追加の層を、物品に適用してもよい。次いで、得られた口蓋拡張器60又は他の歯科用物品を、適切なサイズ又は形状にトリミング又は切断し、マスキング材料を除去することができる。
他の例では、ビーム64又はプレート66などの補助部分は、モデルと隣り合って完全にパリレンコーティングの下か、又は上記したようにパリレンの層同士の間に埋め込まれるかのいずれかで、パリレン内に永続的に埋め込むことができる。パリレンの任意の又は全ての層が適用された後で、埋め込まれた部分の一部を露出させるために、装具の選択的トリミングを行ってもよい。
ビーム64及びプレート66を第1のセグメント62A及び第2のセグメント62Bに一体に取り付けるための上記したプロセスはまた、コア構成要素14を含む少なくとも1つのセグメント12を含むそれぞれの歯科用デバイス10に、他の歯列矯正構造、アタッチメントなどを組み込むためにも使用できる。それぞれの歯列矯正構成要素は、患者の口腔構造のモデル50に対して所望の位置に設置され、パリレン蒸着プロセスを通じてそれぞれのコア構成要素14に一体的に接続されてもよい。いくつかのそのような例では、コア構成要素14は、モデル50が画定している患者の口腔構造を模倣する、複雑な三次元形状を依然として画定し得る。
図7は、診療所104と製造施設110が、患者102用の歯科用物品112の製造プロセス全体を通じて情報を通信する、例示的なコンピュータ環境100を示すブロック図である。歯科用物品112は、上記した歯科用物品10、20、又は60のうちのいずれか1つを含み得る。最初に、診療所104の歯科矯正医は、任意の適切な画像化技術を使用して患者102の歯科構造の1つ以上の画像を生成し、デジタル歯科構造データ106(例えば、患者102の歯科構造のデジタル表現)を生成する。例えば、医師は、デジタル走査され得るX線画像を生成してもよい。あるいは、医師は、患者の歯科構造のデジタル画像を、例えば、従来のコンピュータ断層撮影(computed tomography、CT)、レーザー走査、口腔内走査、歯科印象のCTスキャン、印象から鋳込みされた歯科用模型の走査、超音波計測、磁気共鳴映像法(magnetic resonance imaging、MRI)、又は三次元(3D)データ取得の任意の他の好適な方法を使用して取り込んでもよい。他の実施形態では、デジタル画像は、Brontes Technologies,Inc.(Lexington,Massachusetts)によって開発され、参照により本明細書中に組み込まれる国際公開第2007/084727号(Boerjesら)に記載されているアクティブ波面サンプリング(active wavefront sampling)を用いる口腔内スキャナなどの手持式口腔内スキャナを使用して提供してもよい。あるいは、他の口腔内スキャナ又は口腔内接触プローブを使用することもできる。別の選択肢として、患者102の歯の陰性の印象を走査することによって、デジタル歯科構造データ106を提供してもよい。更に別の選択肢として、患者102の歯の陽性の物理的モデルを画像化することにより、又は患者102の歯のモデルに対して接触プローブを使用することにより、デジタル歯科構造データ106を提供してもよい。走査に使用されるモデルは、例えば、アルギネート又はポリビニルシロキサン(PVS)などの好適な印象材から、患者102の歯列の印象をキャスティングし、キャスティング材料(歯列矯正石膏又はエポキシ樹脂など)を印象に鋳込み、キャスティング材料を硬化させることによって作製することができる。上記のものを含む任意の好適な走査技法を用いてモデルを走査してもよい。他の可能な走査方法は、参照により本明細書中に組み込まれる米国特許出願公開第2007/0031791号(Cinaderら)に記載されている。
歯の露出面を走査してデジタル画像を提供することに加え、歯列の見えていない特徴部、例えば、患者102の歯根、及び患者102の顎骨を画像化することが可能である。いくつかの実施形態では、デジタル歯科構造データ106は、これら特徴部のいくつかの3D画像を用意し、続いて、それらをともに「縫い合わせる」ことによって形成される。これらの異なる画像は、同じ画像化技術を使用して提供される必要はない。例えば、CTスキャンで提供される歯根のデジタル画像が、口腔内可視光線スキャナで提供される歯冠のデジタル画像と一体化してもよい。二次元(two-dimensional、2D)歯科画像の3D歯科画像とのスケーリング及びレジストレーションについては、参照により本明細書中に組み込まれる米国特許第6,845,175号(Kopelmanら)及び同じく参照により本明細書中に組み込まれる米国特許出願公開第2004/0029068号(Baduraら)に記載されている。参照により本明細書中に組み込まれる発行済みの米国特許第7,027,642号(Imgrundら)及び同じく参照により本明細書中に組み込まれる米国特許第7,234,937号(Sachdevaら)は、種々の3D源から提供されたデジタル画像を一体化する技術の使用について記載している。したがって、用語「画像化」は、これが本明細書において使用される際、視覚的に明らかな構造の、通常の写真画像化に限定されず、視界から隠れた歯科構造の画像化を含む。歯科構造としては、歯列弓の1本以上の歯の歯冠又は歯根、歯肉、歯周靭帯、歯槽骨、皮質骨、インプラント、人工歯冠、ブリッジ、ベニア、義歯、歯列矯正装置、又は治療前、治療中、若しくは治療後に歯列の一部とみなされ得る任意の構造物の、任意の部分を挙げることができるが、これらに限定されない。
デジタル歯科構造データ106を生成するために、コンピュータは、画像化システムからの未加工データを、使用可能なデジタルモデルに変換しなければならない。例えば、コンピュータが受け取る歯の形状を表す未加工データにおいて、未加工データは、多くの場合、3D空間内の点群にすぎない。典型的には、この点群を表面に構成し、1本以上の歯、歯肉組織及び他の周囲口腔構造を含む患者の歯列の3Dオブジェクトモデルを作製する。このデータが歯列矯正の診断及び治療において有用となるように、コンピュータは歯列表面を「セグメント化」し、個々の歯を表す1つ以上の個別の移動可能な3D歯オブジェクトモデルを生成してもよい。コンピュータはこれら歯モデルを歯肉から別個のオブジェクトへと更に分離してもよい。
セグメント化によって、ユーザは、歯の配列を個々のオブジェクトのセットとして特性評価し、操作することが可能となる。有利には、コンピュータはこれらモデルから、歯列弓周長、噛み合わせ、歯同士の間に介在する間隔などの診断情報、及び更にはAmerican Board of Orthodontics(ABO)の客観的評価を得てもよい。更なる利点として、デジタル歯列矯正セットアップは製造プロセスに柔軟性をもたらしてもよい。物理的プロセスをデジタルプロセスで置き換えることによって、データ取得工程とデータ操作工程とを、石膏モデル又は印象をある場所から別の場所へ輸送する必要なく、別々の場所で実行することが可能である。物理オブジェクトを輸送して行き来させる必要を低減する又はなくすことは、カスタマイズされた装具の顧客及び製造者の両者にとって、大幅なコストの節減につながり得る。
デジタル歯科構造データ106の生成後、診療所104は、デジタル歯科構造データ106をデータベースの患者記録内に保存してもよい。診療所104は、例えば、複数の患者記録を有するローカルデータベースを更新してもよい。あるいは、診療所104は、ネットワーク114を介して、(任意選択的に製造施設110内の)中央データベースを遠隔に更新してもよい。デジタル歯科構造データ106を保存した後に、診療所104は、デジタル歯科構造データ106を製造施設110に電子的に通信する。あるいは、製造施設110は、デジタル歯科構造データ106を中央データベースから取り出してもよい。あるいは、製造施設110は、既存のデジタル歯科構造データ106を、診療所104とは無関係のデータソースから取り出してもよい。
診療所104はまた、医師の診断と患者102の治療計画とに関する全般的な情報を伝える処方データ108を、製造施設110に転送してもよい。いくつかの例では、処方データ108は、より具体的であってもよい。例えば、デジタル歯科構造データ106は、患者102の歯科構造のデジタル表現であってもよい。診療所104の医師は、デジタル表現を精査し、患者102の個々の歯の所望の移動、間隔、及び最終位置のうちの、少なくとも1つを示してもよい。例えば、患者102の個々の歯の所望の移動、間隔、又は最終位置は、歯科用物品112によって治療の各段階で患者102の歯に加えられることになる力に影響し得る。患者102の個々の歯の所望の移動、間隔、又は最終位置のうちの少なくとも1つによって、医師、製造施設110の技師、及び製造施設110のコンピュータが、患者102の歯の所望の移動をもたらすように、歯科用物品112のためのモデル50の選択される寸法、形状、及び構造のうちの少なくとも1つを決定することが可能になる。デジタル表現の精査後、デジタル歯科構造データ106を、製造施設110に転送することができる。製造施設110は別の場所にあってもよく、又は診療所104内にあってもよい。
例えば、それぞれの診療所104は、臨床的環境において臨床医又は助手がローカルにインストールされたソフトウェアを使用して治療計画及びデジタル設計を完全に実施できるように、製造施設110に代わるそれ独自の設備を含んでもよい。製造はまた、3Dプリンタ(又は積層造形の他の方法によって)及びCVD機器の使用によって、診療所内で行ってもよい。3Dプリンタは、付加プリンティングによって、患者102の歯科構造及び/又は歯科用物品112の部分の物理的表現(例えば、モデル50)に関する、複雑な特徴部の製造を可能にする。3Dプリンタは、患者102の本来の歯科構造及び患者102の所望の歯科構造の繰り返しのデジタル設計を使用して、患者102の所望の歯科構造の複雑な三次元モデル50を生成できる。製造は、未硬化樹脂を除去し、支持構造を除去する、又は様々な部品を組み立てる後処理を含んでもよく、後処理は、臨床的環境においても必要なことがあり、実行され得るであろう。モデル50が形成されると、コア構成要素14及び結果的な歯科用物品112を製造するために、図9に関して上記したプロセスなどのCVDを使用することができる。
製造施設110では、患者102のデジタル歯科構造データ106を用いて、患者102の歯を配置し直すための歯科用物品112を構築する。その後のある時点で、製造施設110は、歯科用物品112を診療所104に、又はその代わりに患者102に直接、転送する。例えば、歯科用物品112は、順序付けられた歯科用物品であってもよい。その場合患者102は、患者102の歯を配置し直すために、歯科用物品112を、所定のスケジュールに従って長期にわたり順次装着する。例えば、患者102は歯科用物品112を、約1週間〜約6週間、例えば約2週間〜約4週間、又は約3週間、装着してもよい。任意選択的に、患者102は、歯科用物品112による治療の経過の定期的な観察のために、診療所104に戻ってもよい。
そのような定期的な観察の間に、歯科用物品112の長期の順次装着に関する患者102の所定のスケジュールを、臨床医が調整してもよい。観察には、一般に、患者102の歯の目視検査を含むとともに、デジタル歯科構造データを生成するための画像化も含んでよい。いくつかの比較的一般的でない状況において、臨床医は、例えば、新たな歯科用物品112を作成するために、新たに生成したデジタル歯科構造データ106を製造施設110に送信することによって、歯科用物品112による患者102の治療の中断を決定してもよい。同じ又は異なる例では、臨床医は、歯科用物品112による治療の所定のスケジュールの完了後に、新たに生成したデジタル歯科構造データ106を製造施設110に送信してもよい。加えて、歯科用物品112による治療の所定のスケジュールの完了後に、臨床医は、新たな歯科用物品を製造施設110に要求し、患者102の治療を継続してもよい。
図8は、本開示の一例による、診療所104で実施されるデジタル歯科構造データを生成するプロセス130を示すフロー図である。最初に、医師が診療所104において、患者102から患者の個人情報及び他の情報を収集し、患者記録を作成する(132)。記載されているように、患者記録は、診療所104内に配置されていてもよく、任意選択的に、製造施設110内のデータベースとデータを共有するように構成されていてもよい。あるいは、患者記録は、診療所104がネットワーク114を介してリモートアクセス可能な製造施設110のデータベース内に、又は製造施設110と診療所104との両方によりリモートアクセス可能なデータベース内に配置されてもよい。
次に、任意の好適な技術を用いて患者102のデジタル歯科構造データ106を生成し(134)、これにより、仮想歯科構造を作成してもよい。デジタル歯科構造データ106は、歯科構造の二次元(2D)画像及び/又は三次元(3D)表現から構成されてもよい。一例では、歯科構造の3D表現は、(Imaging Sciences International,LLC(1910 N Penn Road,Hatfield、PA)から入手可能な)i−CAT 3D歯科画像化デバイスなどのコーンビームコンピュータ断層撮影(cone beam computerized tomography、CBCT)スキャナを用いて生成される。診療所104は、CBCTスキャナにより生成した(放射線画像の形態の)3Dデジタル歯科構造データ106を、診療所104内、又はその代わりに、製造施設110内に配置されたデータベースに保存する。コンピューティングシステムは、複数のスライスの形態であってもよい、CBCTスキャナからのデジタル歯科構造データ106を処理し、3Dモデリング環境内で操作することができる歯科構造のデジタル表現を計算する。
2D放射線画像が使用される(136)場合、医師は、3Dデジタルデータを更に生成(138)してもよい。3Dデジタル歯科構造データ106は、例えば、患者102の歯科構造の物理的印象又は模型を形成し、その後、それをデジタル走査することによって生成してもよい。例えば、患者102の歯列弓の物理的印象又は模型は、(Laser Design,Inc.(Minneapolis,Minnesota)から入手可能な)OM−3Rスキャナ、又は(GOM GmbH(Braunschweig、Germany)から入手可能な)ATOSスキャナなどの、可視光スキャナを用いて走査してもよい。あるいは、医師は、咬合面の3Dデジタル歯科構造データ106を、患者102の歯列弓の口腔内走査又は既存の3D歯データを使用することで生成してもよい。一例では、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、「REGISTERING PHYSICAL AND VIRTUAL TOOTH STRUCTURES WITH PEDESTALS」という名称で、2013年7月23日に発行済みの米国特許第8,491,306号に記載される、模型又は印象からデジタル走査を形成する方法を使用してもよい。同じ又は異なる例において、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、「ORTHODONTIC DIGITAL SETUPS」という名称で、2013年12月5日に公開された米国特許第8,897,902号に記載されるような仮想歯面及び仮想歯座標系を画定するための技術を使用してもよい。いずれの場合においても、デジタルデータは3Dモデリング環境内にデジタルで位置合わせされ、歯根及び咬合面を含み得る歯科構造の複合的なデジタル表現を形成する。
一例では、歯列弓の咬合面の2D放射線画像及び3Dデジタルデータは、放射線画像及び3Dデジタルスキャンの両方を生成する前に、最初に、レジストレーションマーカ(例えば、位置合わせマーカ又は既知の幾何学的形状寸法を有するペデスタル)を患者102の歯科構造に取り付けることによって位置合わせされる。その後、2D放射線画像及び3Dデジタルデータ内のレジストレーションマーカのデジタル表現は、米国特許第8,491,306号に記載される位置合わせ技術を用いて、3Dモデリング環境内で位置合わせしてもよい。
別の例では、歯科構造の3Dデジタルデータは歯科構造の2つの3Dデジタル表現を組み合わせることによって生成される。例えば、第1の3Dデジタル表現は、CBCTスキャナ(例えば、i−CAT 3D歯科画像化デバイス)から取得した歯根の比較的低解像度の画像であってもよく、第2の3Dデジタル表現は、患者の歯列弓の印象の産業用CTスキャン又は模型の可視光(例えば、レーザー)走査から取得した歯冠の比較的高解像の画像であってもよい。3Dデジタル表現は、3D表現をコンピュータ環境内で操作することを可能にするソフトウェアプログラム(例えば、3D Systems,Inc.(333 Three D Systems Circle,Rock Hill,SC)から入手可能なGeomagic Studioソフトウェア)を用いて位置合わせしてもよく、又はその代わりに、米国特許第8,491,306号に記載される位置合わせ技術を使用してもよい。
次に、3Dモデリングソフトウェアを実行するコンピュータシステムが、患者の歯列弓の咬合面及び歯根構造を含む歯科構造の合成されたデジタル表現をレンダリングする。モデリングソフトウェアは、医師が3D空間内の歯のデジタル表現を患者の歯列弓のデジタル表現に対し操作することを可能にするユーザインターフェースを提供する。コンピュータシステムと対話することによって、医師は、患者102の個々の歯の最終位置、治療のそれぞれの段階の持続時間、又は治療段階の数、治療の段階中の患者102の歯に対する力の方向若しくは大きさなどの表示を選択することなどによって、治療情報を生成する(140)。例えば、患者102の個々の歯の最終位置、治療のそれぞれの段階の持続時間、又は治療段階の数は、歯科用物品112による治療の各段階における、患者102の歯に対する力の方向又は大きさに影響を及ぼすことができる。
医師が3D環境内において診断及び治療計画に関する全般的な情報の伝達を完了すると、コンピュータシステムは、患者記録に関連付けられたデータベースを更新し、医師が指定した診断及び治療計画に関する全般的な情報を伝える処方データ108を記録する(142)。その後、処方データ108は、製造施設110がモデル50及び歯科用物品112を構築できるように、製造施設110に中継される(144)。
歯科矯正診療所にいる歯科矯正医に関して記載したが、図8に関して検討した工程の1つ以上は、製造施設110にいるユーザなどの遠隔ユーザによって実施されてもよい。例えば、歯科矯正医は、放射線画像データと患者の印象又は模型とを製造施設110に送信するのみであってもよく、製造施設110で、ユーザがコンピュータシステムと対話し、3Dモデリング環境内において治療計画を策定する。任意選択的に、3Dモデリング環境内における治療計画のデジタル表現は、その後、診療所104の歯科矯正医に送信してもよく、歯科矯正医は治療計画を精査し、自身の承認を返送するか所望の変更を示すかのいずれかであってもよい。
図9は、ネットワーク114を介して製造施設110に接続されたクライアントコンピュータ150の一例を示すブロック図である。図示される例では、クライアントコンピュータ150は、モデリングソフトウェア152の動作環境を提供する。モデリングソフトウェア152は、患者102の歯の3D表現をモデリングし、かつ描画するためのモデリング環境を提供する。図示される例では、モデリングソフトウェア152は、ユーザインターフェース154と、アライメントモジュール156と、レンダリングエンジン158と、を含む。
ユーザインターフェース154は、患者102の歯の3D表示を視覚的に表示するグラフィカルユーザインターフェース(graphical user interface、GUI)を提供する。加えて、ユーザインターフェース154は、モデル化された歯列弓内の患者102の歯を操作するために、診療所104の医師160から、例えば、キーボード及びポインティングデバイス、タッチスクリーンなどによる入力を受け取るためのインターフェースを提供する。
モデリングソフトウェア152は、ネットワークインターフェース170を介して製造施設110にアクセス可能であってもよい。モデリングソフトウェア152は、データベース162と対話して、治療データ164、患者102の歯科構造に関する3Dデータ166、及び患者データ168などの様々なデータにアクセスする。データベース162は、データ格納ファイル、ルックアップテーブル、又は1つ以上のデータベースサーバで実行されるデータベース管理システム(database management system、DBMS)を含む、様々な形態で提示してもよい。データベース管理システムは、リレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)、階層型データベース管理システム(HDBMS)、多次元データベース管理システム(MDBMS)、オブジェクト指向データベース管理システム(ODBMS若しくはOODBMS)、又はオブジェクトリレーショナルデータベース管理システム(ORDBMS)であってもよい。データは、例えば、Microsoft Corporation製のSQLサーバなど、単一のリレーショナルデータベース内に記憶してもよい。データベース162は、クライアントコンピュータ150のローカルとして示されるが、クライアントコンピュータ150からリモートに位置し、公共ネットワーク又は私設ネットワーク、例えばネットワーク114を介してクライアントコンピュータ150に結合してもよい。
治療データ164は、医師160によって選択されて、3Dモデリング環境内に配置される、患者102の歯の診断又は再配置情報を表す。例えば、治療データ164は患者の歯科構造のモデリングデータを含んでもよく、この結果、治療計画全体にわたって選択された大きさ及び方向の力ベクトルが歯科用物品112によって各歯に適用されることになり得る。
患者データ168は、医師160に関連する1人以上の患者の一群、例えば、患者102を表す。例えば、患者データ168は、各患者102に関する氏名、出生日、及び歯科疾病歴などの一般的な情報を特定する。
レンダリングエンジン158は、3Dデータ166にアクセスしてレンダリングし、ユーザインターフェース154により医師160に提示される3D図を生成する。より具体的には、3Dデータ166は、3D環境内で各歯(任意選択的に歯根を含む)及び顎骨を表す3Dオブジェクトを定義する情報を含む。レンダリングエンジン158は、各オブジェクトを加工し、3D環境内で医師160の視点に基づき、3D三角メッシュをレンダリングする。ユーザインターフェース154は、レンダリングされた3D三角メッシュを医師160に対して表示し、医師160が3D環境内で視点を変更し、オブジェクトを操作することを可能にする。
2012年6月5日に発行済みの「PLANAR GUIDES TO VISUALLY AID ORTHODONTIC APPLIANCE PLACEMENT WITHIN A THREE−DIMENSIONAL(13D)ENVIRONMENT」という名称の米国特許第8,194,067号、及び2010年6月8日に発行済みの「USER INTERFACE HAVING CROSS SECTION CONTROL TOOL FOR DIGITAL ORTHODONTICS」という名称の米国特許第7,731,495号は、本明細書中に記載される技術とともに使用され得るユーザインターフェースを有するコンピュータシステム及び3Dモデリングソフトウェアの他の例について記載している。このそれぞれはその全体が参照により組み込まれる。
クライアントコンピュータ150は、モデリングソフトウェア152を保存し、かつ実行するために、プロセッサ172とメモリ174とを含む。メモリ174は、任意の揮発性又は不揮発性ストレージ要素を意味してもよい。例としては、シンクロナスダイナミックランダムアクセスメモリ(SDRAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)、電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)及びフラッシュメモリなどのランダムアクセスメモリ(RAM)を含む。例としてはまた、ソリッドステートドライブ(SDD)、ハードディスク、磁気テープ、磁気又は光データストレージ媒体、コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD)、Blu−rayディスク、及びホログラフィックデータストレージ媒体などの不揮発性ストレージを挙げることもできる。
プロセッサ172は、汎用マイクロプロセッサ、特別設計のプロセッサ、特定用途用集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、ディスクリート論理回路のコレクション、又は本明細書中に記載される技術を実行することができる任意の種類の処理デバイスなどの1つ以上のプロセッサを意味する。一例では、メモリ174は、プロセッサ172によって実行されて、本明細書中に記載される技術を実行するプログラム命令(例えば、ソフトウェア命令)を記憶してもよい。他の実施例では、本技術は、プロセッサ172の特別にプログラムされた回路によって実行してもよい。これら又は他の手法では、プロセッサ172は、本明細書中に記載される技術を実行するように構成されてもよい。
クライアントコンピュータ150は、患者の3D歯科構造のデジタル表現と、任意選択的に、治療データ164及び/又は患者データ168とを製造施設110のコンピュータ180にネットワーク114を通じて送信するように構成されている。コンピュータ180は、ユーザインターフェース182を含む。ユーザインターフェース182は、歯のデジタルモデルの3D表現を視覚的に表示するGUIを提供する。加えて、ユーザインターフェース182は、患者の3D歯科構造のデジタル表現内の患者の歯を操作するための、例えば、キーボード及びポインティングデバイスによる入カをユーザから受け取るためのインターフェースを提供する。
コンピュータ180は、歯科用物品112が患者によって装着されたときに、1本以上の歯をそれらの初期位置から最終位置へと配置し直すようにモデル50及び歯科用物品112を構築するのに必要な寸法及び形状を自動的に決定するように、更に構成されてもよい。コンピュータ180は、コア構成要素14以外の追加の歯科用構成要素66の位置決めを更に決定することができる。コンピュータ180は、モデル50及び/又は歯科用物品112の製造のために、モデル50のデジタルモデルをコンピュータ支援製造システム184に送信するか、又は別の方法で送ることができる。
例えば、コンピュータ180は、モデル50の寸法及び形状のうちの少なくとも1つを決定するように構成されてもよい。コンピュータ180は、寸法及び形状の精査を含む、ユーザが精査するためのモデル50及び/又は歯科用物品112のデジタル表現を提示してもよい。代わりに、又は加えて、コンピュータ180は、ユーザからの入力を受け入れて、患者102のモデル50及び/又は歯科用物品112の寸法及び形状を決定することができる。例えば、ユーザ入力は、自動的に決定された寸法又は形状のうちの少なくとも1つに影響を及ぼすことができる。
クライアントコンピュータ150及びコンピュータ180は、例示的なコンピュータシステムの単なる概念的な表現である。いくつかの例では、クライアントコンピュータ150及び/又はコンピュータ180に関して記載した機能を1つのコンピューティングデバイスに組み合わせてもよく、コンピュータシステム内の複数のコンピューティングデバイス間で分散させてもよい。例えば、本明細書に記載する歯科装具のデジタル設計に、クラウドコンピューティングを用いてもよい。一例では、歯科構造のデジタル表現が診療所の1つのコンピュータで受信される一方で、取り外し可能な歯科装具の形状及び寸法は、コンピュータ180などの異なるコンピュータを用いて決定される。加えて、コンピュータ180などのその異なるコンピュータは形状及び寸法の決定のために同一データをすべて受信する必要がない場合がある。形状及び寸法は、少なくとも一部、対象症例の完全な3D表示を受け取ることなく歴史的症例又は例示的症例の仮想モデルの分析を通じて得た知識に基づき決定してもよい。このような例では、クライアントコンピュータ150とコンピュータ180との間で送信される、又は別の方式で特別仕様の歯科装具を設計するために利用されるデータは、患者の完全なデジタル歯科モデルを示す全データセットよりも、大幅に小さくできる。
図10は、歯科用物品112の構築のために製造施設110において行われるプロセス200を示すフロー図である。いくつかの例では、歯科用物品112は、歯科用物品112のうちの1つ以上を含んでもよい。製造施設110のコンピュータ180は、患者の1本以上の歯の初期位置を含むデジタル歯科構造データ106及び処方データ108を診療所104から受信する(202)。あるいは、コンピュータ180は、コンピュータ180内にある又はそうでなければコンピュータ180によってアクセス可能なデータベースから、情報を取り出すことができる。診療所104がまだ行っていない場合には、コンピュータ180に関わる訓練されたユーザが、コンピュータ180上で実行されるコンピュータ化モデリング環境と対話し、患者の歯科構造のデジタル表現に対し治療計画を策定し、処方データ108を生成してもよい。他の実施例では、コンピュータ180は、患者の歯科構造及び既定の設計制約のみに基づき治療計画を自動的に策定してもよい。
コンピュータ180が患者の歯科構造を受信すると、コンピュータ180は、患者の歯科用物品112の寸法及び形状を決定する(204)。取り外し可能な歯科装具の寸法及び形状は、取り外し可能な歯科装具が患者によって装着されたときに患者の1本以上の歯をそれらの初期位置から最終位置へと配置し直すように構成される。同じ又は更なる実施例では、コンピュータ180は、順次装着されるように構成された患者の歯科用物品112の寸法及び形状を決定する。
いくつかの例では、歯科用物品112の寸法及び形状を決定することは、コンピュータ180によって、歯科用物品112の寸法及び形状を既定の設計制約のセットに従って選択することを含む。予め設計された設計制約のセットは、歯科用物品112が患者によって装着され、かつ囲まれた歯がそれらの初期位置にあるときに、囲まれた歯のうちの1本以上に加えられる最小及び最大局所力、囲まれた歯のうちの1本以上に加えられる最小及び最大回転力、囲まれた歯のうちの1本以上に加えられる最小及び最大並進力、囲まれた歯のうちの1本以上に加えられる最小及び最大合力、並びに取り外し可能な歯科装具に加えられる最小及び最大歪みを含むがこれらに限定されない、1つ以上の因子を含み得る。歯周靭帯に対して骨リモデリング及び歯の移動をもたらすのに十分な圧力を与えるためには、最低限の力を加える必要がある。
歯科用物品112の寸法及び形状の決定時、コンピュータ180は、有限要素法(FEA)を用いて、患者の歯及び歯科用物品112にかかる力を分析してもよい。例えば、コンピュータ180は、順序付けられた歯科用物品を含む治療を示す、モデル化された歯がそれらの初期位置からそれらの最終位置へと移動する際の患者の歯のソリッドモデルにFEAを適用してもよい。コンピュータ180は、所望の力を歯に加えるための歯科用物品112の適切な構造を選択するために、FEAを使用してもよい。加えて、コンピュータ180は、治療中のモデル化された歯の移動全体を通した歯間の接点を決定するために、仮想咬合器を使用してもよい。コンピュータ180は、歯科用物品112の設計時、FEA力分析において、歯科用物品112からの力と併せて、咬頭嵌合力などの咬合接触力を更に含んでもよい。コンピュータ180は、力の印加を最適化し、治療時間を低減し、患者の快適性を改善するなどのために、歯が移動されることになる順序を更に決定することができる。
いくつかの例では、取り外し可能な歯科用物品112の寸法及び形状を決定することは、コンピュータ180によって、コア構成要素14の厚さ、任意選択的なコーティング層22の配置、追加の歯科用構成要素66、68の導入及び配置を、歯科用物品112が患者によって装着されたときに、患者の1本以上の歯をそれらの初期位置から最終位置へと配置し直すのに適した剛性を提供するように、選択することを含む。
歯科用物品112の寸法及び形状は、コンピュータ180のユーザインターフェース182を介してユーザに提示されてもよい(206)。歯科用物品112の寸法及び形状がユーザインターフェース182を介してユーザに提示される実施例では、ユーザは、設計データがコンピュータ支援製造システム184に送られる前に、設計制約を調整する又は歯科用物品112の寸法及び形状を直接調整する機会を有してもよい。いくつかの例では、歯科用物品112の寸法及び形状は、歯科用物品112がコンピュータ支援製造システム184によって製造される際に、コンピュータ180によって直接ユーザに提示されてもよい。例えば、コンピュータ180は、歯科用物品112を形成する際に使用されるモデル50のデジタルモデルをコンピュータ支援製造システム184に送信してもよく、コンピュータ支援製造システム184は、パリレンのCVD適用に使用されるコンピュータ180からのデジタルモデルに従って、モデル50を製造する。いくつかの例では、コンピュータ支援製造システム184は、歯科用物品112を構築する際に使用される任意選択のコーティング22又は追加の歯科用構成要素66及び68のうちの1つ以上などの、歯科用物品112の一部分を製造することができる。
しかしながら、患者のモデル50及び/又は歯科用物品112の寸法及び形状がコンピュータ180のユーザインターフェース182を介してユーザに提示され得る例においても、ユーザの承認後、コンピュータ180は、モデル50及び/又は歯科用物品112のデジタルモデルをコンピュータ支援製造システム184に送り(208)、コンピュータ支援製造システム184は、モデル50及び/又は歯科用物品112の一部をコンピュータ180からのデジタルモデルに従い製造する(210)。いくつかの例では、コンピュータ支援製造システム184は、3Dプリンタを含んでもよい。
他の例では、モデル50は、3Dプリンタによる患者の口腔構造(例えば、歯)の表現をプリントすること、歯の表現を覆う歯科用物品112の部分を熱成形すること、コア構成要素14のCVD適用、及び余分な材料をトリミングすること(任意選択的に、CNC又はロボット機械、例えばエンドミル又はレーザーカッターなどによって自動化される)を含んでもよい。患者の歯の表現は、歯科用物品112の部分又は構成要素の形成を容易にするための、隆起した表面を含んでもよい。
いくつかの例では、図10に関し記載した技術を、コンピュータ150、コンピュータ180、又は両方のコンピュータ可読記憶媒体などの、コンピュータ可読記憶媒体内で具現化してもよい。コンピュータ可読記憶媒体は、実行されると、図10に関して記載された技術を実行するようにプロセッサを構成する、コンピュータ実行可能命令を記憶することができる。
歯科用物品112の設計後、製造施設110は歯科用物品112をデジタル歯科構造データ106及び処方データ108に従い作製する(210)。最終的な歯科用物品112の構築には、3Dプリント、CVDの適用、熱成形、射出成形、ロストワックス鋳造、5軸ミリング加工、レーザー切削加工、スナップ嵌合及びオーバーモールドなどのプラスチック及び金属のハイブリッド製造技術、並びに他の製造技術を含んでもよい。
図11は、順序付けられた歯科用物品を使用した治療の連続的な繰り返しを示すフロー図400である。順序付けられた歯科用物品は、患者の1本以上の歯を配置し直すように構成される。いくつかの例では、順序付けられた歯科用物品は、歯科用物品112のうちの1つ以上を含んでもよい。
治療は、治療の第1の繰り返しから開始する(402)。治療の第1の繰り返しの開始時、患者の歯は隔離(detention)状態Xによって示されるような歯の初期位置にある(404)。順序付けられた歯科用物品の設計を容易にするために、患者の歯の走査が、例えば、上記したように行われる(406)。患者の歯の走査から、コンピュータ、例えばコンピュータ150は、順序付けられたセット内の歯科用物品112に関する異なる2つの形状及び寸法、すなわち第1のセットアップX 408A及び第2のセットアップX 408Bを決定する。患者の歯のデジタルモデルを作成するための例示的な技術は、「METHODS OF PREPARING A VIRTUAL DENTITION MODEL AND FABRICATING A DENTAL RETAINER THEREFROM」という名称の、2014年5月27日に発行済みの米国特許第8,738,165号(Cinaderら)に記載されている。米国特許第8,738,165号はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。コンピュータは、患者の歯のデジタルモデルを最初に調整して、治療後の患者の歯の所望の位置のモデルを作成することによって、第1のセットアップX 408A及び第2のセットアップX 408Bを決定してもよい。その後、コンピュータは、順序付けられたセット内のモデル50及び/又は歯科用物品112の形状及び寸法を、患者の歯を初期位置からそれらの所望の位置に移動させるために必要な時間及び力に基づき作成してもよい。順序付けられたセット内の歯科用物品112によって印加されるモデル化された力は、更に、治療中の患者の歯の段階的位置移動に基づいてもよい。このようにして、コンピュータは、順序付けられたセット内の歯科用物品112が患者によって装着されることになる治療時に歯の予想位置で歯に加えられる予想される力に従って、順序付けられたセット内の歯科用物品112を設計してもよい。
いくつかの例では、少なくとも2つ、例えば6つの歯科用物品112を製造するための第1のセットアップX 408A及び第2のセットアップX 408Bのそれぞれを使用して、少なくとも1つ、例えば3つの異なる歯科用物品112を製造できる。例えば、第1のセットアップX 408Aを使用して、第1の歯科用物品112Xa、軟質 410A、第2の歯科用物品112Xa、中間 410B、及び第3の歯科用物品112Xa、硬質 410Cを製造してもよく、第2のセットアップX 408Bを使用して、第4の歯科用物品112Xb、軟質 410D、第5の歯科用物品112Xb、中間 410E、及び第6の歯科用物品112Xb、硬質 410Fを製造してもよい。第1、第2、及び第3の歯科用物品112 410A〜410Cは、例えば、コア構成要素14の組成、コーティング22の組成、他の歯科用構成要素(例えば、66及び68)の組成、相対的な厚さなどを変更することによって、異なる剛性特性を含み得る。例えば、第2の歯科用物品112 410B及び第3の歯科用物品112 410Cは、第1の歯科用物品112 410Aよりも高い剛性特性を有し得、第3の歯科用物品112 410Cは、第2の歯科用物品112 410Bよりも高い剛性特性を有し得る。同様に、第4、第5、及び第6の歯科用物品112 410D〜410Fは、異なる剛性特性を含んでもよい。
歯科用物品112 410A〜410Fは、患者によって長期にわたり順次装着され得る。例えば、歯科用物品112 410A〜410Fは、約1週間〜約6週間、例えば約2週間〜約4週間、又は約3週間、装着されてもよい。歯科用物品112 410A〜410Fを使用した治療計画の後、患者の歯は、隔離(detention)状態X+1(412)によって示されるような、治療の第1の繰り返しにおける歯の最終位置にあってもよい。
患者の歯が歯列状態X+1に又はその付近にあると、患者は、臨床医の元に戻ってもよく、臨床医は、治療の第1の繰り返しの結果を評価してもよい(414)。治療の第1の繰り返しが、患者の歯の許容可能な最終位置をもたらした場合、治療は、終了することができる(416)。しかしながら、治療の第1の繰り返しによって、患者の歯の許容可能な最終位置がもたらされなかった場合、1回以上の追加の治療の繰り返しを実施してもよい。治療の次の繰り返しを開始するために、臨床医は、患者の歯の走査をもう一度行って、その後の順序付けられた歯科用物品のセットの設計を容易にすることができる(406)。いくつかの例では、治療の第1の繰り返しの結果の評価には、患者の歯の走査をもう一度行うことを含んでもよく、この場合、治療の次の繰り返しを開始することには、患者の歯科用物品の別のセットが患者の歯の新たな位置に基づき製造され得るように、患者の歯のデジタルモデルを製造施設に転送することを単に含んでもよい。更に別の例では、新たに取得した走査を用いて、歯科用物品112の1回以上の繰り返しを、臨床医の施設において作成してもよい。
図11の技術は、1つの特定の実施例を示すものであり、図11の技術に本開示の趣旨の範囲内において種々の改良を施してもよい。別の例として、順序付けられた歯科用物品のうちの各歯科用物品112は、固有の形状及び寸法を有してもよく、順序付けられた歯科用物品のうちの各歯科用物品112は、実質的に同じ又は同様な剛性特性を有する材料で作製されてもよい。別の例として、順序付けられた歯科用物品のうちの各歯科用物品112は、異なる選択された寸法及び/又は形状を含み得る。
実施形態
A.口腔構造の輪郭に従うように構成された複雑な三次元形状を画定する少なくとも1つのセグメントを含む歯科用物品であって、少なくとも1つのセグメントはコア構成要素を備え、コア構成要素は過半量のパリレンを含む、歯科用物品。
B.コア構成要素は少なくとも95重量パーセント(重量%)のパリレンを含む、実施形態Bに記載の歯科用物品。
C.少なくとも1つのセグメントは少なくとも95重量%のパリレンを含む、実施形態A又はBに記載の歯科用物品。
D.少なくとも1つのセグメントは、患者の口腔構造に接触するように構成された少なくとも1つのセグメントの表面から垂直に測定されるセグメント厚さを画定し、セグメント厚さの少なくとも80%はコア構成要素からなる、実施形態A〜Cのいずれか1つに記載の歯科用物品。
E.コア構成要素はコア厚さを画定し、コア厚さはコア構成要素全体にわたって約±5%未満である厚さ変動を画定する、実施形態A〜Dのいずれか1つに記載の歯科用物品。
F.コア構成要素は歯科用物品の構造部材を画定し、患者が装着時に患者の歯に矯正力を加えて患者の歯列構成を新しい所望の構成に向けて付勢するよう構成された、実施形態A〜Eのいずれか1つに記載の歯科用物品。
G.少なくとも1つのセグメントは、コア構成要素上に少なくとも1つの無機コーティングを更に備える、実施形態A〜Fのいずれか1つに記載の歯科用物品。
H.少なくとも1つの無機コーティングは金属酸化物を含む、実施形態Gに記載の歯科用物品。
I.金属酸化物は、酸化銀、酸化亜鉛、酸化銅、酸化チタン、酸化アルミニウム、及びこれらの合金から選択される少なくとも1つの金属酸化物を含む、実施形態Hに記載の歯科用物品。
J.金属酸化物は、銀ドープされた酸化亜鉛、銀ドープ及びアルミニウムドープされた酸化亜鉛、銀ドープされた酸化チタン、アルミニウムドープされた酸化亜鉛、酸化チタン、並びに銀ドープ及び銅ドープされた酸化亜鉛から選択される、実施形態Iに記載の歯科用物品。
K.少なくとも1つのセグメントは、コア構成要素上に少なくともポリマーハードコートを更に備える、実施形態A〜Jのいずれか1つに記載の歯科用物品。
L.少なくとも1つのセグメントは、歯科用トレイアライナ、ナイトガード、歯科用アタッチメント、リテーナ、口蓋拡張器、又はマウスガードの一部分を画定する、実施形態A〜Kのいずれか1つに記載の歯科用物品。
M.歯科用物品は少なくとも95重量%のパリレンを含む、実施形態A〜Lのいずれか1つに記載の歯科用物品。
N.複雑な三次元形状は、少なくとも1本の歯の口腔構造の輪郭に従うように構成されている、実施形態A〜Mのいずれか1つに記載の歯科用物品。
O.少なくとも1つのセグメントに取り付けられた歯科用構成要素を更に備える、実施形態A〜Nのいずれか1つに記載の歯科用物品。
P.歯科用構成要素はパリレン以外のコア材料を含む、実施形態Oに記載の歯科用物品。
Q.歯科用構成要素はパリレンを含むコーティング層を備える、実施形態O又はPに記載の歯科用物品。
R.パリレンを含むコーティング層は歯科用構成要素を封入している、実施形態Qに記載の歯科用物品。
S.パリレンを含むコーティング層はコア構成要素と一体に形成されている、実施形態Q又はRに記載の歯科用物品。
T.歯科用構成要素は口蓋拡張器又は歯科用トレイアライナの一部を備える、実施形態Q又はRに記載の歯科用物品。
U.患者の口腔構造の三次元モデルを形成することと、
口腔構造の輪郭に従うように構成された複雑な三次元形状を画定する少なくとも1つのセグメントを備える歯科用物品を形成することとを含み、少なくとも1つのセグメントを形成することは、パリレンを含む層をモデル上に蒸着させることであって、層は過半量のパリレンを含む、蒸着させることと、パリレンを含む層を使用して、少なくとも1つのセグメントのコア構成要素を形成することと、を含む、方法。
V.歯科用物品を形成することは、
パリレンを含む層をモデル上に蒸着させた後、層を選択された形状にトリミングしてコア構成要素を形成することと、

コア構成要素をモデルから分離することと、を更に含む、実施形態Uに記載の方法。
W.患者の口腔構造の三次元モデルを形成することは、モデルを三次元プリントすること、又はモデルを成形することを含む、実施形態Vに記載の方法。
X.パリレンを含む層をモデル上に蒸着させることは、パリレンを含む層を化学蒸着することを含む、実施形態U〜Wのいずれか1つに記載の方法。
Y.モデル上にパリレンを含む層を蒸着させる前に、モデルを剥離剤でコーティングすることを更に含む、実施形態U〜Xのいずれか1つに記載の方法。
Z.歯科用物品を形成することは、歯科用トレイアライナ、ナイトガード、歯科用アタッチメント、リテーナ、口蓋拡張器、又はマウスガードを形成することを含む、実施形態U〜Yのいずれか1つに記載の方法。
AA.コア構成要素を無機材料又はポリマーハードコートでコーティングすることを更に含む、請求項U〜Zのいずれか1つに記載の方法。
BB.コア構成要素をコーティングすることは、コア構成要素を無機材料でコーティングすることを含み、無機材料は、金属、金属合金、金属酸化物、金属塩、セラミック、ガラス、又は鉱物のうちの少なくとも1つを含む、実施形態AAに記載の方法。
CC.口腔構造の輪郭に従うように構成された複雑な三次元形状を画定する少なくとも1つのセグメントを含む歯科用物品であって、少なくとも1つのセグメントはコア構成要素を備え、コア構成要素は、化学蒸着プロセスによって口腔構造のモデルを覆うようにパリレンを蒸着させることによって形成されている、歯科用物品。
DD.コア構成要素は少なくとも95重量パーセント(重量%)のパリレンを含む、実施形態CCに記載の歯科用物品。
EE.少なくとも1つのセグメントは、患者の口腔構造に接触するように構成された少なくとも1つのセグメントの表面から垂直に測定されるセグメント厚さを画定し、セグメント厚さの少なくとも80%はコア構成要素からなる、実施形態CC又はDDに記載の歯科用物品。
FF.コア構成要素はコア厚さを画定し、コア厚さはコア構成要素全体にわたって約±5%未満である厚さ変動を画定する、実施形態CC〜EEのいずれか1つに記載の歯科用物品。
GG.少なくとも1つのセグメントは、コア構成要素上に少なくとも1つの無機コーティングを更に備える、実施形態CC〜FFのいずれか1つに記載の歯科用物品。
HH.少なくとも1つの無機コーティングは金属酸化物を含む、実施形態GGに記載の歯科用物品。
II.金属酸化物は、酸化銀、酸化亜鉛、酸化銅、酸化チタン、酸化アルミニウム、及びこれらの合金から選択される少なくとも1つの金属酸化物を含む、実施形態HHに記載の歯科用物品。
JJ.金属酸化物は、銀ドープされた酸化亜鉛、銀ドープ及びアルミニウムドープされた酸化亜鉛、銀ドープされた酸化チタン、アルミニウムドープされた酸化亜鉛、酸化チタン、並びに銀ドープ及び銅ドープされた酸化亜鉛から選択される、実施形態IIに記載の歯科用物品。
KK.少なくとも1つのセグメントは、コア構成要素上に少なくともポリマーハードコートを更に備える、実施形態CC〜JJのいずれか1つに記載の歯科用物品。
LL.少なくとも1つのセグメントは、歯科用トレイアライナ、ナイトガード、歯科用アタッチメント、リテーナ、口蓋拡張器、又はマウスガードの一部分を画定する、実施形態CC〜KKのいずれか1つに記載の歯科用物品。
MM.歯科用物品は少なくとも95重量%のパリレンを含む、実施形態CC〜LLのいずれか1つに記載の歯科用物品。
NN.コア構成要素を形成するために使用される口腔構造のモデルは少なくとも1本の歯の形状を含み、複雑な三次元形状は少なくとも1本の歯の輪郭に従うようになっている、実施形態CC〜MMのいずれか1つに記載の歯科用物品。
OO.少なくとも1つのセグメントに取り付けられた歯科用構成要素を更に備える、実施形態CC〜NNのいずれか1つに記載の歯科用物品。
PP.歯科用構成要素はパリレン以外のコア材料を含む、実施形態OOに記載の歯科用物品。
QQ.歯科用構成要素は、歯科用構成要素を封入しているパリレンを含むコーティング層を備える、実施形態OO又はPPに記載の歯科用物品。
RR.パリレンを含むコーティング層はコア構成要素と一体に形成されている、実施形態QQに記載の歯科用物品。
SS.歯科用構成要素は口蓋拡張器又は歯科用トレイアライナの一部を備える、請求項OO〜RRのいずれか1つに記載の歯科用物品。
TT.コンピューティングデバイスによって、患者の三次元(3D)口腔構造のデジタル表現を受信することであって、口腔構造は患者の1つ以上の歯の初期位置を提供する、受信することと、コンピューティングデバイスによって、患者用の歯科用物品の寸法及び形状を決定することであって、歯科用物品は、複数の歯を少なくとも部分的に取り囲んで、口腔構造の輪郭に従うように構成された複雑な3D形状を画定するように構成された、少なくとも1つのセグメントを備え、歯科用物品の寸法及び形状は、患者が歯科用物品を装着したときに、患者の1つ以上の歯をそれらの初期位置から調整された位置へと配置し直すように構成されている、決定することと、歯科用物品の寸法及び形状に基づいて、口腔構造の3Dモデルを形成することと、歯科用物品を形成することとを含み、歯科用物品の少なくとも1つのセグメントを形成することは、パリレンを含む層を3Dモデル上に蒸着させることであって、層は過半量のパリレンを含む、蒸着させること、パリレンを含む層を選択された形状にトリミングして、少なくとも1つのセグメントのコア構成要素を形成することと、を含む、方法。
実施例1−パリレンCコーティングされたポリウレタントレイの防汚性を、従来の歯科用物品に使用されるポリウレタントレイのサンプルと比較して試験した。両方の試験サンプルを、60℃のコーヒー溶液に一晩入れた。GRAND Rapids(MI,USA)から入手可能なX−Rite Color i7分光光度計を使用して、各試験サンプルの色パラメータ(L、a、b)を定量化した。汚れ試験の結果を表1にまとめる。
Figure 2021529643
実施例2−パリレンCを、様々な表面処理を受けた歯科構造の2つの三次元モデルを覆うように蒸着させた。2つのモデルの組成を下の表2にまとめる。モデルAを、Prodways Technologiesが製造したProdways LD7000プリンタでプリントした。モデルBを、Asigaが製造したAsiga HDで中空プリントし、中空部分にRTV Siliconeを充填して、パリレンからモデルの内面を保護した。
Figure 2021529643
Figure 2021529643
代表的なモデルAを、表3に示すように様々な剥離コーティングで処理した。
Figure 2021529643
代表的なモデルBを、表4に示すように様々な剥離コーティングで処理した。
Figure 2021529643
次いで歯科モデルを、化学蒸着を介してパリレンの層でコーティングした。選択された試験サンプルを真空チャンバ内に設置し、これを約0.1トールの圧力まで真空引きした。次いで、固体形態のパラキシリレンダイマーを加熱してモノマーパラキシリレンガスを生成し、これを試験サンプルを収容した真空蒸着チャンバ内に導入した。モノマーガスが試験サンプルの表面に接触すると、重合してパリレンC(例えば、芳香族水素のうちの1つを塩素原子で置換することで修飾されたポリ(パラキシリレン))が形成される。このプロセスを、約25μmの層の厚さが得られるまで継続した。パリレンコーティングチャンバを、モノマーがなくなるまでバッチ方式で6時間(13回)稼働させた。
厚さ80μmのパリレンの層を、モデルA−0、モデルA−1、モデルA−2,及びモデルA−3に適用した。これらのうち、モデルA−1、モデルA−2、及びモデルA−3上のパリレンの層は、あったとしてもわずかな破断で、モデルから除去することができた。モデルA−0上のパリレンの層はその除去中にある程度の破断を経験した。厚さ80μmのパリレンの層をモデルB−0及びモデルB−1に適用した。モデルB−0及びモデルB−1上のパリレンの層がいずれも、取り外し中にある程度の破断を経験した。表5に研究結果を示す。
Figure 2021529643
様々な実施例について説明してきた。これら及び他の実施例は、以下の特許請求の範囲内である。

Claims (20)

  1. 口腔構造の輪郭に従うように構成された複雑な三次元形状を画定する少なくとも1つのセグメントを含む歯科用物品であって、前記少なくとも1つのセグメントはコア構成要素を備え、前記コア構成要素は過半量のパリレンを含む、歯科用物品。
  2. 前記コア構成要素は、口腔構造のモデル上での化学蒸着プロセスからのパリレンを蒸着させることによって形成されている、請求項1に記載の歯科用物品。
  3. 前記コア構成要素は少なくとも95重量パーセント(重量%)のパリレンを含む、請求項1又は2に記載の歯科用物品。
  4. 前記少なくとも1つのセグメントは少なくとも95重量%のパリレンを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の歯科用物品。
  5. 前記少なくとも1つのセグメントは、患者の前記口腔構造に接触するように構成された前記少なくとも1つのセグメントの表面から垂直に測定されるセグメント厚さを画定し、前記セグメント厚さの少なくとも80%は前記コア構成要素からなる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の歯科用物品。
  6. 前記コア構成要素はコア厚さを画定し、前記コア厚さはコア構成要素全体にわたって約±5%未満である厚さ変動を画定する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の歯科用物品。
  7. 前記少なくとも1つのセグメントは、前記コア構成要素上に少なくとも1つの無機コーティングを更に備える、請求項1〜6のいずれか一項に記載の歯科用物品。
  8. 前記少なくとも1つの無機コーティングは、酸化銀、酸化亜鉛、酸化銅、酸化チタン、酸化アルミニウム、及びこれらの合金から選択される金属酸化物を含む、請求項7に記載の歯科用物品。
  9. 前記金属酸化物は、銀ドープされた酸化亜鉛、銀ドープ及びアルミニウムドープされた酸化亜鉛、銀ドープされた酸化チタン、アルミニウムドープされた酸化亜鉛、酸化チタン、並びに銀ドープ及び銅ドープされた酸化亜鉛から選択される、請求項8に記載の歯科用物品。
  10. 前記少なくとも1つのセグメントは、前記コア構成要素上に少なくともポリマーハードコートを更に備える、請求項1〜9のいずれか一項に記載の歯科用物品。
  11. 前記複雑な三次元形状は、少なくとも1つの歯の前記口腔構造の輪郭に従うように構成されている、請求項1〜10のいずれか一項に記載の歯科用物品。
  12. 前記少なくとも1つのセグメントに取り付けられた歯科用構成要素を更に備え、前記歯科用構成要素は、前記歯科用構成要素を封入するパリレンを含むコーティング層を備える、請求項1〜11のいずれか一項に記載の歯科用物品。
  13. 前記少なくとも1つのセグメントに取り付けられた歯科用構成要素を更に備え、パリレンを含むコーティング層が前記コア構成要素と一体に形成されている、請求項1〜11のいずれか一項に記載の歯科用物品。
  14. 前記歯科用構成要素は口蓋拡張器又は歯科用トレイアライナの一部を備える、請求項12又は13に記載の歯科用物品。
  15. 患者の口腔構造の三次元モデルを形成することと、
    前記口腔構造の輪郭に従うように構成された複雑な三次元形状を画定する少なくとも1つのセグメントを備える歯科用物品を形成することとを含み、前記少なくとも1つのセグメントを形成することは、
    パリレンを含む層を前記モデル上に蒸着させることであって、前記層は過半量のパリレンを含む、蒸着させることと、
    前記パリレンを含む層を使用して、前記少なくとも1つのセグメントのコア構成要素を形成することと、を含む、方法。
  16. 歯科用物品を形成することは、
    前記パリレンを含む層を前記モデル上に蒸着させた後、前記層を選択された形状にトリミングして前記コア構成要素を形成することと、
    前記コア構成要素を前記モデルから分離することと、を更に含む、請求項15に記載の方法。
  17. パリレンを含む層を前記モデル上に蒸着させることは、前記パリレンを含む層を化学蒸着することを含む、請求項15又は16に記載の方法。
  18. 前記歯科用物品を形成することは、歯科用トレイアライナ、ナイトガード、歯科用アタッチメント、リテーナ、口蓋拡張器、又はマウスガードを形成することを含む、請求項15〜17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 前記コア構成要素を無機材料又はポリマーハードコートでコーティングすることを更に含み、前記無機材料は、金属、金属合金、金属酸化物、金属塩、セラミック、ガラス、又は鉱物のうちの少なくとも1つを含む、請求項15〜18のいずれか一項に記載の方法。
  20. コンピューティングデバイスによって、患者の三次元(3D)口腔構造のデジタル表現を受信することであって、前記口腔構造は前記患者の1つ以上の歯の初期位置を提供する、受信することと、
    前記コンピューティングデバイスによって、前記患者用の歯科用物品の寸法及び形状を決定することであって、前記歯科用物品は、複数の歯を少なくとも部分的に取り囲んで、前記口腔構造の輪郭に従うように構成された複雑な3D形状を画定するように構成された、少なくとも1つのセグメントを備え、前記歯科用物品の前記寸法及び形状は、前記患者が前記歯科用物品を装着したときに、前記患者の前記1つ以上の歯をそれらの初期位置から調整された位置へと配置し直すように構成されている、決定することと、
    前記歯科用物品の前記寸法及び形状に基づいて、口腔構造の3Dモデルを形成することと、
    前記歯科用物品を形成することとを含み、前記歯科用物品の前記少なくとも1つのセグメントを形成することは、
    パリレンを含む層を前記3Dモデル上に蒸着させることであって、前記層は過半量のパリレンを含む、蒸着させることと、
    前記パリレンを含む層を選択された形状にトリミングして、前記少なくとも1つのセグメントのコア構成要素を形成することと、を含む、方法。
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