JP2021525251A - 骨癌誘発性アロディニアの抑制 - Google Patents

骨癌誘発性アロディニアの抑制 Download PDF

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Abstract

骨癌誘発性アロディニアの抑制。本発明は、患者における骨癌誘発性アロディニアを抑制する方法であって、骨癌に罹患している患者に治療有効量の無細胞毒性プロテアーゼを投与することを含む方法を提供する。

Description

本発明は、骨癌誘発性アロディニアを抑制する方法、好ましくは骨癌によって誘発される接触性アロディニアを抑制する方法に関する。
アロディニアは「他の痛み」を意味する。これは、通常は痛みを伴わない刺激から生じる痛みである。一例として、ひどく日焼けした対象は、軽く触れただけで激痛を感じる場合がある。より詳細には、日光への暴露により、皮膚が過敏になり、シャツを着たりシャワーを浴びたりすることに強い痛みが伴う場合がある。したがって、接触性アロディニア(別名静的接触性アロディニア又は機械的アロディニア)の患者は、枕の上に頭を置くこと、又は帽子、イヤリング、若しくはネックレスを身につけること等、接触により痛みを感じる場合がある。同様に、動的アロディニアの患者は、髪を軽く払うこと、又は顔を剃ることで痛みを感じる場合がある。アロディニアは、刺激された領域の外側で発生することがあるものの、「関連」痛(反射性疼痛としても知られる)とは区別される状態である。また、通常より大きな痛みを伴う疼痛刺激である痛覚過敏とも区別される。実際、上述したように、アロディニアは、まさにその定義上「通常は痛みを引き起こさない刺激による痛み」であり、痛覚過敏(通常は痛みを引き起こす刺激からの痛みの増加)とは対照的である。
アロディニアは、症状レベルだけでなく、分子/細胞レベルにおいても「関連痛」や痛覚過敏と区別される。末梢感作及び非適応性の中枢の変化は、アロディニア及び痛覚過敏の異なるサブタイプにおいて、別々のメカニズムで感覚モダリティ(例えば、接触、圧力、針刺し、寒さ、熱)に対する反応の生成及び維持に寄与することが知られている。片頭痛における「皮膚アロディニア」の基盤となるメカニズムは、特定のニューロンのセット、即ち三叉神経尾側核(trigeminal nucleus caudalis, TNC)の二次ニューロンの感作によるものであることが報告されている。
アロディニアと他の種類の痛みとの違いは、特定の鎮痛剤がアロディニアの治療に効果的ではないという事実により実証される。例えば、アロディニアは、トリプタン(脳の血管及び神経末端でセロトニン5-HT1B及び5-HT1D受容体のアゴニストとして作用する薬物のクラス)への反応が不良であることが報告されており、アロディニアが前記受容体と関連しておらず(又は関連が乏しく)、これらがアロディニア治療の候補標的として劣っていることが示唆されている。
アロディニアは、特定の障害、特に骨癌に関連している(例えば、誘発される)。進行癌患者の約3分の1では、疾患の過程で臨床的に関連する骨格転移が発生する。これは、乳癌、前立腺癌、又は肺癌に罹患している患者で最も顕著となる。実際に、骨は、肺と肝臓とに次いで3番目に多い転移部位である。
一般に、骨転移は悪性腫瘍の進行期で現れ、痛み(癌誘発性骨疼痛)に関連する。骨痛は、機能的帰結不良(impaired functional outcomes)及び生活の質の低下に関連する主要な臨床問題である。溶骨性及び造骨性両方の転移性骨癌患者において、痛みは、骨の構造的損傷、骨膜の炎症、及び神経絞扼により生じる。痛みは通常、損傷領域での疼きや焼け付きを生じる、深く突き刺すような局所的感覚として説明され、通常、体重を支えることによって悪化する。機械的アロディニアは、転移性骨癌で特に頻度が高く、咳、寝返り、又は穏やかな手足の動きの間に激痛を引き起こす。
進行した骨癌の痛み(アロディニア等)のオピオイド管理は一般的であり、適度な効果を有する。しかしながら、骨癌の疼痛緩和に必要な用量範囲は、容認できない認知及び胃腸の副作用を引き起こし、オピオイドが禁忌となる多くの患者タイプが存在する(以下を参照)。更に、現在広く認識されているオピオイド依存性の問題は、このクラスの薬物を最適な鎮痛剤として将来使用すること(特に長期使用すること)に深刻な疑問を投げかけている。
そのため、代替の抗アロディニア療法/治療法の必要性が高まっている。特に、骨癌誘発性疼痛を抑制するのに効果的な代替の鎮痛剤に対する必要性が存在する。
本発明は、骨癌誘発性アロディニアを抑制するための代替及び/又は改善された手段を提供することにより、この問題に対処する。
本発明は、無細胞毒性プロテアーゼの投与がアロディニアの抑制に繋がるという驚くべき発見に基づく。例えば、神経痛(無細胞毒性プロテアーゼが伝統的に使用されてきた)と比較したアロディニアの独特の分子的性質を考えると、これは驚くべきことである。
この発見に加えて、本発明者らは、無細胞毒性プロテアーゼが、特に不快な(例えば、生活の質の有意な低下に関連する)タイプのアロディニア、即ち骨癌誘発性アロディニアの抑制に繋がることを見出した。したがって、本発明者らは、無細胞毒性プロテアーゼによる治療から恩恵を受けることができる患者の重要な亜集団(又はサブグループ)を特定した。
したがって、本発明者らは、無細胞毒性プロテアーゼ(アロディニア)の新しい使用分野を発見しただけでなく、当該分野(骨癌誘発性アロディニアの抑制)での驚くべき技術的効果を発見した。
したがって、本発明は、患者における骨癌誘発性アロディニアを抑制する方法を提供し、前記方法は、骨癌に罹患している患者に治療有効量の無細胞毒性プロテアーゼを投与することを含む。
本発明は、対応する治療的使用、即ち、骨癌に罹患している患者における骨癌誘発性アロディニアの抑制に使用するための無細胞毒性プロテアーゼを提供する。
本発明の重要な利点において、本発明は、無細胞毒性プロテアーゼの有利な「目的変更」を提供し、オピオイド(例えば、モルヒネ)等の中毒性鎮痛剤に代わる治療を提供する。これは、別の(異なる)鎮痛剤が禁忌となる患者の治療に特に有利となり、一例として、全てのトリプタンは、心血管疾患(冠攣縮、症候性冠動脈疾患、心臓発作又は脳卒中後、管理不良高血圧、レイノ病、末梢動脈疾患)の患者には禁忌となる。殆どのトリプタンは、妊娠中及び授乳中、並びに18歳未満の患者にも禁忌となる。(単に例として)全身性肥満細胞症、未治療の甲状腺ホルモンレベルの低下、副腎の機能低下等、オピオイド(モルヒネ)には多くの禁忌が存在する。
一実施形態では、無細胞毒性プロテアーゼが、対象に投与される。「対象」、「個体」、及び「患者」という用語は、本明細書では相互に交換可能に用いられ、哺乳動物の対象を示す。一実施形態において、「対象」は、ヒト、コンパニオンアニマル(例えば、イヌ、ネコ、及び/又はウサギ等のペット)、家畜(例えば、ブタ、ヒツジ、ウシ、及び/又はヤギ)、及び/又は馬である。一実施形態において、対象(患者)はヒトである。
本発明の方法において、対象は、以前に骨癌を有すると診断されていない場合がある。或いは、対象は、以前に骨癌を有すると診断されていてもよい。対象は、骨癌について、疾病危険因子を示すもの、又は無症状であるものでもよい。対象は、骨癌に罹患しているもの、又は発症リスクを有するものでもよい。一実施形態において、対象は、以前に骨癌の治療を受けている。
本発明の方法において、対象は、骨癌誘発性アロディニアを有すると以前に診断されていない場合がある。或いは、対象は、骨癌誘発性アロディニアを有すると以前に診断されていてもよい。対象は、骨癌誘発性アロディニアついて、疾病危険因子を示すもの、又は無症状であるものでもよい。対象は、骨癌誘発性アロディニアに罹患しているもの、又は発症するリスクを有するものでもよい。一実施形態において、対象は、以前に骨癌誘発性アロディニアの治療を受けている。
「抑制すること」という用語は、本明細書では「治療すること」という用語と同じ意味で用いられる。したがって、本発明は、患者における骨癌誘発性アロディニアを治療する方法を含み、前記方法は、骨癌に罹患している患者に治療有効量の無細胞毒性プロテアーゼを投与することを含む。また、本発明は、対応する治療的使用、即ち、骨癌に罹患している患者における骨癌誘発性アロディニアの治療に使用するための無細胞毒性プロテアーゼを含む。
本明細書で使用される「抑制する」若しくは「抑制すること」又は「治療する」若しくは「治療すること」という用語は、予防的抑制及び治療(例えば、骨癌誘発性アロディニアの発症を予防する)と、矯正的抑制及び治療(既に骨癌誘発性アロディニアに罹患している対象の抑制及び治療)とを包含する。好適な実施形態において、本明細書で使用される「抑制する」又は「抑制すること」という用語は、矯正治療を意味する。好適な実施形態において、本明細書で使用される「治療する」又は「治療すること」という用語は、矯正治療を意味する。「抑制する」若しくは「抑制すること」又は「治療する」若しくは「治療すること」という用語は、骨癌誘発性アロディニア及びその症状の両方を抑制すること及び治療することを包含する。一部の実施形態において、「抑制する」若しくは「抑制すること」又は「治療する」若しくは「治療すること」という用語は、骨癌誘発性アロディニアの症状を示す。
したがって、無細胞毒性プロテアーゼ及び/又は鎮痛剤分子(好ましくは無細胞毒性プロテアーゼ)は、治療有効量又は予防有効量で対象に投与し得る。
「治療有効量」とは、骨癌誘発性アロディニア(又はその症状)を抑制/治療するために単独で又は組み合わせて対象に投与された際に、こうした骨癌誘発性アロディニア又はその症状の抑制/治療をもたらすのに十分な、無細胞毒性プロテアーゼ及び/又は鎮痛剤分子(好ましくは無細胞毒性プロテアーゼ)の任意の量である。
「予防有効量」とは、単独で又は組み合わせて対象に投与された際に、骨癌誘発性アロディニアの発症又は再発を阻害又は遅延させる、無細胞毒性プロテアーゼ及び/又は鎮痛剤分子(好ましくは無細胞毒性プロテアーゼ)の任意の量である。一部の実施形態において、予防有効量は、骨癌誘発性アロディニアの発症又は再発を完全に防止する。発症を「阻害する」とは、骨癌誘発性アロディニアの発症(又はその症状)の可能性(likelihood)を減らすこと、又は発症を完全に防ぐことの何れかを意味する。
一実施形態において、本発明の方法及び使用は、経口、静脈内、動脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、直腸、又は膣内、吸入、局所、又はこれらの組み合わせから選択される1つ以上の投与ステップを含む。一実施形態において、投与は、静脈内、動脈内(例えば、注射又は点滴による)、皮下、又はこれらの組み合わせから選択された1つ以上となる。
一実施形態において、前記方法/治療的使用は、鎮痛剤(例えば、モルヒネ等のアヘン剤)の同時投与を含む。したがって、本発明は、無細胞毒性プロテアーゼ成分及びオピオイド成分を含む治療の組み合わせを提供する。鎮痛剤は、無細胞毒性プロテアーゼ成分とは区別され、好ましくは、有効未満の治療効果量で投与される。前記併用療法は、予想外の鎮痛効果を達成し、オピオイド成分の治療負担を軽減する。
治療の組み合わせの構成部分の適用/投与順序は変えることができる。無細胞毒性プロテアーゼ及びオピオイドは、単一の組成物の一部として、又は別個の組成物内において、同時に(例えば、共に相乗効果を達成するためのそれぞれに特定の至適用量で)同時に投与することができる。例えば、無細胞毒性プロテアーゼは、(例えば、対象への静脈内投与に適合する)第1の組成物内に存在してよく、オピオイドは、(例えば、対象への静脈内、皮下、又は経口投与に適合する)第2の組成物内に存在し得る。
更に、無細胞毒性プロテアーゼ及びオピオイドは、異なる時間に投与してもよい(例えば、無細胞毒性プロテアーゼは、骨癌誘発性アロディニアをオピオイドに対して感作させるために前投与してよく、その逆でもよい)。したがって、他の実施形態において、無細胞毒性プロテアーゼ及びオピオイドは、異なる時間に、別個の組成物内で、対象に投与される。
一実施形態において、無細胞毒性プロテアーゼ成分は、オピオイドの前に投与される。一実施形態において、無細胞毒性プロテアーゼ成分は、オピオイドと同時に投与される。一実施形態において、無細胞毒性プロテアーゼは、オピオイドと連続して投与される。
したがって、使用中、無細胞毒性プロテアーゼ成分は、異なる鎮痛成分の前に、これと同時に、又は後に投与することができる。
一実施形態において、アロディニアは、接触性アロディニア(「機械的アロディニア」という用語と同じ意味で用いられる)、静的アロディニア(例えば、接触時に反応する痛み)、動的アロディニア(例えば、軽く撫でることに反応する痛み)、熱(高温又は低温)アロディニア(例えば、患部における通常の温和な皮膚温度による痛み)、運動アロディニア(例えば、関節又は筋肉の正常な動きにより生じる痛み)、又は皮膚アロディニアから選択された1つ以上である。
一実施形態において、アロディニアは、接触性アロディニア(静的接触性アロディニア又は機械的アロディニアとも呼ばれる)及び/又は動的アロディニアからなるか、又はこれらを含む。好適な実施形態において、アロディニアは、接触性アロディニア(例えば、機械的アロディニア)である。
投与は、通常、構造的に損傷した骨、骨膜の炎症、神経絞扼、及び/又は他の損傷領域から選択される部位に対して局所的に行われる。投与は、通常、骨癌細胞の局所集中に近接して行われる。
一実施形態において、投与は、直接、骨癌細胞内又はその結合組織内へ行われる。
理論に拘束されることを望むものではないが、アロディニアは、転移性癌により誘発される可能性が高い(例えば、良性及び/又は非転移性癌に比べ可能性が高い)と考えられる。別の理論では、アロディニアは、骨への転移前に(例えば、周囲軟部組織侵害の浸潤により)、異なる(例えば、非骨)組織から生じる転移性癌により誘発される可能性が高いと仮定している。
一実施形態において、骨癌は、転移性骨癌(例えば、骨転移)である。
一実施形態では、骨癌は、骨以外の組織(例えば、骨組織と区別される組織)から生じる転移性癌である。(骨に転移する前に)癌が生じ得る組織の例には、前立腺、乳房、肺、及び/又は卵巣の組織が含まれる。
一実施形態において、患者(例えば対象)は、肺癌、乳癌、前立腺癌、及び卵巣癌(好ましくは転移性肺癌、転移性乳癌、転移性前立腺癌、及び転移性卵巣癌)から選択される(好ましくは前記骨癌に加えた)1つ以上の癌のうち1つを有する。患者は、肺癌を有し得る。患者は、乳癌を有し得る。患者は、前立腺癌を有し得る。患者は、卵巣癌を有し得る。
一実施形態において、骨癌は、良性腫瘍とは区別される転移性癌である。一実施形態において、アロディニアは、類骨腫により誘発されない。一実施形態において、骨癌は、類骨腫とは区別される(即ち、骨癌は、類骨腫を含まない)。
前記「骨癌誘発性アロディニアの抑制」の評価は、添付実施例を参照することにより実証され、実施例(例えば、実施例1)に記載された方法論を用いて評価し得る。例えば、実施例1(及び関連する材料及び方法)には、電子Von Frey試験を用いてアロディニアを測定する方法が記載されている。試験は、動物(好ましくはラット)の後足の足底面に増加する圧力を付加することを含む。この試験は、一方の後足が注射又は負傷により炎症を起こし、一方の後足(例:対照足)が正常な動物に対して、動物に投与された候補薬剤(例:無細胞毒性プロテアーゼ)を鎮痛作用について評価するために利用される。装置は、安定的に増加する力を付与し、足引っ込めを引き起こすのに必要な圧力(g)として反応閾値が決定されることで、観察された「足引っ込め閾値(g)」の値を提供する。
電子Von Frey試験で利用される動物は、好ましくは、ラットの骨癌性疼痛のMRMT-1乳癌細胞モデルであり(Medhurst S.J., et al., “A rat model of bone cancer”, Pain, 2002: pp.129-140; incorporated herein by reference、出典を明記することにより本願明細書の一部とする)、これは、癌性疼痛の製剤試験用の、特徴がはっきりした動物モデルである。このモデルは、前臨床疼痛研究に適合する期間に病因及び病理の側面を模倣することから、広く受け入れられているモデルである。
前記「足引っ込め閾値(g)」は、無細胞毒性プロテアーゼによる治療後、2日、4日、6日、8日、10日、12日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、又は21日から選択される1つ以上で測定し得る。一実施形態において、「足引っ込め閾値(g)」は、無細胞毒性プロテアーゼによる治療後及び/又は動物の足の損傷後、14日、18日、又は21日から選択される1つ以上(好ましくは21日)で測定し得る。好ましくは、処置前測定が、足の炎症又は損傷前に行われる。
一実施形態において、前記「足引っ込め閾値(g)」は、無細胞毒性プロテアーゼによる治療後及び/又は動物の足の損傷後、0分、30分、60分、90分、120分、150分、140分、及び160分から選択される1つ以上(好ましくは160分)で測定し得る。好ましくは、処置前測定が、足の炎症又は損傷前に行われる。
一実施形態において、本発明の無細胞毒性プロテアーゼは、無細胞毒性プロテアーゼを欠く以外は同一である投与(例えば、ビヒクルのみの投与)に比べ、骨癌誘発性アロディニアを、少なくとも10%、又は少なくとも20%、又は少なくとも30%、又は少なくとも40%、又は少なくとも50%、又は少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%、又は100%抑制する(「足引っ込め閾値」の少なくとも10%、又は少なくとも20%、又は少なくとも30%、又は少なくとも40%、又は少なくとも50%、又は少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%、又は100%の増加に対応する)。
一実施形態において、本発明の無細胞毒性プロテアーゼは、無細胞毒性プロテアーゼを欠く以外は同一である投与(例えば、ビヒクルのみの投与)に比べ、骨癌誘発性アロディニアを、少なくとも2%、又は少なくとも4%、又は少なくとも6%、又は少なくとも8%、又は少なくとも10%、又は少なくとも12%、又は少なくとも14%、又は少なくとも16%、又は少なくとも18%、又は20%抑制する(「足引っ込め閾値」の少なくとも2%、又は少なくとも4%、又は少なくとも6%、又は少なくとも8%、又は少なくとも10%、又は少なくとも12%、又は少なくとも14%、又は少なくとも16%、又は少なくとも18%、又は20%の増加に対応する)。
その天然の標的細胞を殺すことにより作用する細胞毒性プロテアーゼ(例えば、リシン、ジフテリア毒素、緑膿菌外毒素)とは対照的に、無細胞毒性プロテアーゼは、その天然の標的細胞の細胞機能を一時的に無力化することにより作用する。重要なことに、無細胞毒性プロテアーゼは、それが作用する天然の標的細胞を殺さない。無細胞毒性プロテアーゼの最も良く知られた例の一部には、クロストリジウム神経毒(例えば、DysportTM、NeuroblocTM、及びBotoxTMの名称で販売されるボツリヌス神経毒)、IgAプロテアーゼ(例えば、WO99/032272を参照)、及びアンタレアーゼ(antarease)プロテアーゼ(例えば、WO2011/022357を参照)が含まれる。更に詳細には、無細胞毒性プロテアーゼは、SNAREタンパク質(例えば、SNAP-25、VAMP、Syntaxin等)として知られる細胞内輸送タンパク質をタンパク分解性に切断することで、不活性化することにより作用するものであり、Gerald K (2002) "Cell and Molecular Biology” (4th edition) John Wiley & Sons, Inc.を参照されたい。SNAREという頭字語は、可溶性NSF付着タンパク質受容体(Soluble NSF Attachment Receptor)という用語に由来し、NSFは、N-エチルマレイミド感受性因子(N-ethylmaleimide-Sensitive Factor)を意味する。SNAREタンパク質は、真核細胞における小胞分泌プロセスの必須成分である。したがって、無細胞毒性プロテアーゼは、細胞分泌を抑制することにより作用する。このクラスのタンパク質には、結合リガンド(標的化部分としても知られる)を導入してタンパク質の天然の結合能力を変更することにより、修飾タンパク質に新たな標的細胞結合特性を付与した、再標的化無細胞毒性タンパク質が含まれる。出願人は、1990年代には、無細胞毒性プロテアーゼの再標的化に関連する技術を開発している(例えば、WO94/21300、WO96/33273、及びWO98/07864参照)。前記再標的化タンパク質は、(文献及び科学界全体で)標的化分泌阻害剤(Targeted Secretion Inhibitor、TSI)と呼ばれ、TSIへの言及には、WO2011/018665に記載されるような構造的等価物が含まれる。
本発明の好適な無細胞毒性プロテアーゼは、破傷風毒素、ボツリヌス神経毒(例えば、BoNT/A、BoNT/B、BoNT/C1、BoNT/D、BoNT/E、BoNT/F、BoNT/G、及びそのサブタイプ)、又はC.butyricum等のクロストリジウム神経毒である。好適な実施形態において、無細胞毒性プロテアーゼは、BoNT/Aである。
本明細書での無細胞毒性プロテアーゼへの言及には、天然及び組換えクロストリジウム神経毒プロテアーゼ、アンタレアーゼプロテアーゼ、及びIgAプロテアーゼが含まれる。これには、血清型ハイブリッド(BoNT構造ドメイン血清型ハイブリッド等)、修飾神経毒(TSI等)、及びマルチドメイン神経毒(マルチL鎖BoNT等)が含まれる。
本発明の無細胞毒性プロテアーゼは、クロストリジウム神経毒が示すことができるものと同じ連続的な中毒ステップをもたらす(図4参照)。例えば、クロストリジウム神経毒が天然標的細胞に結合することが、前記標的細胞のサイトゾル内への無細胞毒性プロテアーゼのエンドソーム放出につながり、サイトゾル内でのSNARE切断が生じる。好適な実施形態において、本発明の無細胞毒性プロテアーゼは、BoNT/A(例えば、BoNT/A1)が示すことができるものと同じ連続的な中毒ステップ、即ち、シナプス前筋接合部の神経細胞に(例えば、ポリシアロガングリオシド受容体を介して)結合することが、プロテアーゼのサイトゾル内へのエンドソーム放出につながり、サイトゾル内でのSNAP-25の切断が生じる。
例として、一般的なプロテアーゼ(基準)配列には以下が含まれる。
ボツリヌスA型神経毒 -アミノ酸残基(1-448)
ボツリヌスB型神経毒 -アミノ酸残基(1-440)
ボツリヌスC型神経毒 -アミノ酸残基(1-441)
ボツリヌスD型神経毒 -アミノ酸残基(1-445)
ボツリヌスE型神経毒 -アミノ酸残基(1-422)
ボツリヌスF型神経毒 -アミノ酸残基(1-439)
ボツリヌスG型神経毒 -アミノ酸残基(1-441)
破傷風神経毒 -アミノ酸残基(1-457)
IgAプロテアーゼ -アミノ酸残基(1-959)*
*出典を明記することにより本願明細書の一部としたPohlner, J. et al. (1987). Nature 325, pp. 458-462。
上記基準配列は、亜血清型により僅かな変化が生じ得ることから、指針と考えるべきである。一例として、US2007/0166332(出典を明記することにより本願明細書の一部とする)では、僅かに異なるクロストリジウム配列を挙げている。
ボツリヌスA型神経毒 -アミノ酸残基(M1-K448)
ボツリヌスB型神経毒 -アミノ酸残基(M1-K441)
ボツリヌスC型神経毒 -アミノ酸残基(M1-K449)
ボツリヌスD型神経毒 -アミノ酸残基(M1-R445)
ボツリヌスE型神経毒 -アミノ酸残基(M1-R422)
ボツリヌスF型神経毒 -アミノ酸残基(M1-K439)
ボツリヌスG型神経毒 -アミノ酸残基(M1-K446)
破傷風神経毒 -アミノ酸残基(M1-A457)
軽鎖を含む様々なクロストリジウム毒素フラグメントは、これらの軽鎖フラグメントが神経伝達物質放出器官のコア成分を特異的に標的にすることが可能であり、これによりクロストリジウム毒素が基質をタンパク分解性に切断する全体的な細胞機構の達成に関与できる場合、本発明の態様において有用となり得る。クロストリジウム毒素の軽鎖は、略420乃至460アミノ酸長を有し、酵素ドメインを含む。研究により、酵素ドメインの酵素活性には、クロストリジウム毒素軽鎖の全長を必要としないことが分かっている。非限定的な例として、BoNT/A軽鎖の最初の8個のアミノ酸は、酵素活性に必要ではない。他の非限定的な例として、TeNT軽鎖の最初の8個のアミノ酸は、酵素活性に必要ではない。同様に、軽鎖のカルボキシル末端は、活性に必要ではない。非限定的な例として、BoNT/A軽鎖の最後の32個のアミノ酸(残基417乃至448)は、酵素活性に必要ではない。他の非限定的な例として、TeNT軽鎖の最後の31個のアミノ酸(残基427乃至457)は、酵素活性に必要ではない。したがって、この実施形態の態様は、例えば、少なくとも350個のアミノ酸、少なくとも375個のアミノ酸、少なくとも400個のアミノ酸、少なくとも425個のアミノ酸、及び少なくとも450個のアミノ酸の長さを有する酵素ドメインを含むクロストリジウム毒素軽鎖を含むことができる。この実施形態の他の態様は、例えば多くとも350個のアミノ酸、多くとも375個のアミノ酸、多くとも400個のアミノ酸、多くとも425個のアミノ酸、及び多くとも450個のアミノ酸の長さを有する酵素ドメインを含むクロストリジウム毒素軽鎖を含むことができる。
一実施形態において、無細胞毒性プロテアーゼは、SNAP-23タンパク質等の非神経性SNAREタンパク質を切断する。一実施形態において、無細胞毒性プロテアーゼは、SNAP-23を切断可能な修飾ボツリヌス毒素L鎖である。こうした修飾L鎖の例は、Chen and Barbieri, PNAS, vol. 106, no. 23, p9180-9184, 2009に記載されている。
一実施形態において、無細胞毒性プロテアーゼは、BoNT/A、BoNT/C、又はBoNT/Eプロテアーゼであり、好適なSNAREモチーフは、SNAP(例えば、SNAP25)モチーフである。他の実施形態において、無細胞毒性プロテアーゼは、BoNT/B、BoNT/D、BoNT/F、若しくはBoNT/G、又は破傷風神経毒(TeNT)プロテアーゼであり、好適なSNAREモチーフは、VAMPモチーフである。他の実施形態において、無細胞毒性プロテアーゼは、BoNT/C1プロテアーゼであり、好適なSNAREモチーフは、シンタキシンモチーフである。
本発明のポリペプチド、特にそのプロテアーゼ成分は、PEG化してよく、これは、安定性、例えば、プロテアーゼ成分の作用の持続時間の増加に役立ち得る。PEG化は、プロテアーゼがBoNT/A、B、又はC1プロテアーゼを含む場合に特に、好適となる。PEG化は、好ましくは、プロテアーゼ成分のN末端に対するPEGの追加を含む。一例として、プロテアーゼのN末端は、同一又は異なるものにしてよい1個以上のアミノ酸(例えば、システイン)残基により伸長し得る。1つ以上の前記アミノ酸残基は、それ自体に結合された(例えば、共有結合された)PEG分子を有し得る。この手法の例は、出典を明記することによりその開示内容全体を本願明細書の一部としたWO2007/104567に記載されている。
無細胞毒性プロテアーゼは、好ましくはBoNT/A、BoNT/C1、又はBoNT/Eプロテアーゼであり、好適なSNAREモチーフは、SNAP(例えば、SNAP25)モチーフである。
或いは、無細胞毒性プロテアーゼは、BoNT/B、BoNT/D、BoNT/F、若しくはBoNT/G、又は破傷風神経毒(TeNT)プロテアーゼであってよく、好適なSNAREモチーフは、VAMPモチーフである。或いは、無細胞毒性プロテアーゼは、BoNT/C1プロテアーゼであり、好適なSNAREモチーフは、シンタキシンモチーフである。
使用中、本発明の無細胞毒性プロテアーゼ(例えば、クロストリジウム神経毒のL鎖、又は同等のSNARE切断プロテアーゼ)は、一般に、クロストリジウム神経スキャフォールド成分、即ち標的化部分(例えば、クロストリジウム神経毒のHCドメイン、又は等価物)及びトランスロケーションドメイン(例えば、クロストリジウム神経毒のHNドメイン、又は等価物)との連携/協調により、その標的位置に送達される。これらのスキャフォールド成分は、当業者に周知である。
一例として、一般的なトランスロケーション(基準)配列には以下が含まれる。
ボツリヌスA型神経毒 -アミノ酸残基(449-871)
ボツリヌスB型神経毒 -アミノ酸残基(441-858)
ボツリヌスC型神経毒 -アミノ酸残基(442-866)
ボツリヌスD型神経毒 -アミノ酸残基(446-862)
ボツリヌスE型神経毒 -アミノ酸残基(423-845)
ボツリヌスF型神経毒 -アミノ酸残基(440-864)
ボツリヌスG型神経毒 -アミノ酸残基(442-863)
破傷風神経毒 -アミノ酸残基(458-879)
上記基準配列は、亜血清型により僅かな変化が生じ得ることから、指針と考えるべきである。一例として、US2007/0166332(出典を明記することにより本願明細書の一部とする)では、僅かに異なるクロストリジウム配列を挙げている。
ボツリヌスA型神経毒 -アミノ酸残基(A449-K871)
ボツリヌスB型神経毒 -アミノ酸残基(A442-S858)
ボツリヌスC型神経毒 -アミノ酸残基(T450-N866)
ボツリヌスD型神経毒 -アミノ酸残基(D446-N862)
ボツリヌスE型神経毒 -アミノ酸残基(K423-K845)
ボツリヌスF型神経毒 -アミノ酸残基(A440-K864)
ボツリヌスG型神経毒 -アミノ酸残基(S447-S863)
破傷風神経毒 -アミノ酸残基(S458-V879)
本発明は、更に、必要なトランスロケーション活性を変異型トランスロケーションドメインが依然として示す限り、その変異型トランスロケーションドメインを含む。一例として、変異体は、基準トランスロケーションドメインに対して、少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、又は少なくとも98%のアミノ酸配列相同性を有し得る。フラグメントという用語は、トランスロケーションドメインに関して用いる場合、基準トランスロケーションドメインの少なくとも20個、好ましくは少なくとも40個、より好ましくは少なくとも80個、最も好ましくは少なくとも100個のアミノ酸残基を有するペプチドを意味する。クロストリジウムトランスロケーションドメインの場合、フラグメントは、好ましくは、基準トランスロケーションドメイン(例えば、HNドメイン)の少なくとも100個、好ましくは少なくとも150個、より好ましくは少なくとも200個、最も好ましくは少なくとも250個のアミノ酸残基を有する。TM「フラグメント」成分(上述)と同様に、本発明のトランスロケーション「フラグメント」は、基準配列に基づく変異型トランスロケーションドメインのフラグメントを包含する。
細菌毒素分子の特定のドメインが、こうした孔を形成可能であることは、十分に立証されている。ウイルスにより発現される膜融合タンパク質の特定のトランスロケーションドメインが、こうした孔を形成可能であることも知られている。このようなドメインは、本発明において利用し得る。
他の例には、ジフテリア毒素のトランスロケーションドメイン、シュードモナス外毒素A型のトランスロケーションドメイン、炭疽毒素のトランスロケーションドメイン、インフルエンザウイルスヘムアグルチニン、セムリキ森林ウイルス融合タンパク質、水疱性口内炎ウイルス糖タンパク質G、SERウイルスFタンパク質、及び泡沫状ウイルス外被糖タンパク質が含まれる。
本発明に関連して、トランスロケーションドメインを含む様々なクロストリジウム毒素HN領域は、これらの活性フラグメントが無細胞毒性プロテアーゼ(例えば、クロストリジウムL鎖)の細胞内小胞から標的細胞の細胞質への放出を促進して、クロストリジウム毒素が基質をタンパク分解性に切断する全体的な細胞機構の達成に関与できる場合、本発明の態様において有用となり得る。クロストリジウム毒素の重鎖からのHN領域は、略410乃至430アミノ酸長を有し、トランスロケーションドメインを含む。研究により、トランスロケーションドメインのトランスロケーション活性には、クロストリジウム毒素重鎖のHN領域の全長を必要としないことが分かっている。したがって、本実施形態の態様は、例えば、少なくとも350個のアミノ酸、少なくとも375個のアミノ酸、少なくとも400個のアミノ酸、及び少なくとも425個のアミノ酸の長さを有するトランスロケーションドメインを含むクロストリジウム毒素HN領域を含むことができる。本実施形態の他の態様は、例えば、多くとも350個のアミノ酸、多くとも375個のアミノ酸、多くとも400個のアミノ酸、及び多くとも425個のアミノ酸の長さを有するトランスロケーションドメインを含むクロストリジウム毒素HN領域を含むことができる。
ボツリヌス菌及び破傷風菌における毒素生成の遺伝学的基礎に関する詳細については、The Clostridia: Molecular Biology and Pathogenesis, Academic press内のHenderson et al (1997)を参照されたい。HNという用語は、天然に存在する神経毒HN部分を含むと共に、天然に存在しないアミノ酸配列及び/又は合成アミノ酸残基を有する修飾HN部分を、その修飾HN部分が上述したトランスロケーション機能を依然として示す限り包含する。
或いは、トランスロケーションドメインは、非クロストリジウム起源のものとし得る。非クロストリジウム(基準)トランスロケーションドメイン起源の例には、限定では無いが、ジフテリア毒素のトランスロケーションドメイン[O=Keefe et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1992) 89, 6202-6206、Silverman et al., J. Biol. Chem. (1993) 269, 22524-22532、及びLondon, E. (1992) Biochem. Biophys. Acta., 1112, pp.25-51]、シュードモナス外毒素A型のトランスロケーションドメイン[Prior et al. Biochemistry (1992) 31, 3555-3559]、炭疽毒素のトランスロケーションドメイン[Blanke et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1996) 93, 8437-8442]、トランスロケーション機能の様々な融合性又は疎水性ペプチド[Plank et al. J. Biol. Chem. (1994) 269, 12918-12924、及び Wagner et al (1992) PNAS, 89, pp.7934-7938]、及び両親媒性ペプチド[Murata et al (1992) Biochem., 31, pp.1986-1992]が含まれる。トランスロケーションドメインは、天然に存在するタンパク質内に存在するトランスロケーションドメインをそのまま反映してよく、或いは、トランスロケーションドメインのトランスロケーション能力を破壊しない限りアミノ酸の変化を含み得る。
本発明での使用に適したウイルス(基準)トランスロケーションドメインの特定の例は、ウイルス発現膜融合タンパク質の特定のトランスロケーションドメインを含む。例えば、Wagner et al. (1992) 及びMurata et al. (1992)は、インフルエンザウイルスヘムアグルチニンのN末端領域に由来する多数の融合性及び親水性ペプチドのトランスロケーション(即ち、膜融合および小胞形成)機能を記載している。所望のトランスロケーション活性を有することが知られている他のウイルス発現膜融合タンパク質は、セムリキ森林ウイルス(Semliki Forest Virus, SFV)の融合性ペプチドのトランスロケーションドメイン、水疱性口内炎ウイルス(vesicular stomatitis virus, VSV)糖タンパク質Gのトランスロケーションドメイン、SERウイルスFタンパク質のトランスロケーションドメイン、及び泡沫状ウイルス外被糖タンパク質のトランスロケーションドメインである。ウイルスによりコードされたスパイクタンパク質、例えば、SFVのE1タンパク質及びVSVのGタンパク質は、本発明に関連して特定の用途を有する。
(基準)トランスロケーションドメインの使用は、それらの配列変異体の使用を含む。変異体は、その変異体が必要なトランスロケーション機能を保有する場合、1つ以上の保存的な核酸置換及び/又は核酸欠失若しくは挿入を含み得る。変異体は、その変異体が必要なトランスロケーション機能を保有する限り、1つ以上のアミノ酸置換及び/又はアミノ酸欠失若しくは挿入を含み得る。
本発明のポリペプチドは、更に、トランスロケーション促進ドメインを含み得る。前記ドメインは、標的細胞のサイトゾルへの無細胞毒性プロテアーゼの送達を促進し、例えば、出典を明記することによりその開示内容を本願明細書の一部としたWO08/008803及びWO08/008805に記載されている。
一例として、適切なトランスロケーション促進ドメインは、エンベロープウイルス融合性ペプチドドメインを含み、例えば、適切な融合性ペプチドドメインは、インフルエンザウイルス融合性ペプチドドメイン(例えば、23アミノ酸のA型インフルエンザウイルス融合性ペプチドドメイン)、アルファウイルス融合性ペプチドドメイン(例えば、26アミノ酸のセムリキ森林ウイルス融合性ペプチドドメイン)、ベシクロウイルス融合性ペプチドドメイン(例えば、21アミノ酸の水泡性口内炎ウイルス融合性ペプチドドメイン)、レスピロウイルス融合性ペプチドドメイン(例えば、25アミノ酸のセンダイウイルス融合性ペプチドドメイン)、モルビリウイルス融合性ペプチドドメイン(例えば、25アミノ酸のイヌジステンパウイルス融合性ペプチドドメイン)、アブラウイルス融合性ペプチドドメイン(例えば、25アミノ酸のニューカッスル病ウイルス融合性ペプチドドメイン)、ヘニパウイルス融合性ペプチドドメイン(例えば、25アミノ酸のヘンドラウイルス融合性ペプチドドメイン)、メタニューモウイルス融合性ペプチドドメイン(例えば、25アミノ酸のヒトメタニューモウイルス融合性ペプチドドメイン)、若しくはサル泡沫状ウイルス融合性ペプチドドメイン等のスプマウイルス融合性ペプチドドメイン、又はそのフラグメント若しくは変異体を含む。
他の例として、トランスロケーション促進ドメインは、クロストリジウム毒素HCNドメイン又はそのフラグメント若しくは変異体を含み得る。更に詳しくは、クロストリジウム毒素HCNトランスロケーション促進ドメインは、少なくとも200個のアミノ酸、少なくとも225個のアミノ酸、少なくとも250個のアミノ酸、少なくとも275個のアミノ酸の長さを有し得る。これに関連して、クロストリジウム毒素HCNトランスロケーション促進ドメインは、好ましくは、多くとも200個のアミノ酸、多くとも225個のアミノ酸、多くとも250個のアミノ酸、又は多くとも275個のアミノ酸の長さを有する。具体的な(基準)例は以下を含む。
ボツリヌスA型神経毒 -アミノ酸残基(872-1110)
ボツリヌスB型神経毒 -アミノ酸残基(859-1097)
ボツリヌスC型神経毒 -アミノ酸残基(867-1111)
ボツリヌスD型神経毒 -アミノ酸残基(863-1098)
ボツリヌスE型神経毒 -アミノ酸残基(846-1085)
ボツリヌスF型神経毒 -アミノ酸残基(865-1105)
ボツリヌスG型神経毒 -アミノ酸残基(864-1105)
破傷風神経毒 -アミノ酸残基(880-1127)
上述した配列位置は、血清型/サブタイプに応じて僅かに変化する場合があり、適切な(基準)クロストリジウム毒素HCNドメインの他の例は以下を含む。
ボツリヌスA型神経毒 -アミノ酸残基(874-1110)
ボツリヌスB型神経毒 -アミノ酸残基(861-1097)
ボツリヌスC型神経毒 -アミノ酸残基(869-1111)
ボツリヌスD型神経毒 -アミノ酸残基(865-1098)
ボツリヌスE型神経毒 -アミノ酸残基(848-1085)
ボツリヌスF型神経毒 -アミノ酸残基(867-1105)
ボツリヌスG型神経毒 -アミノ酸残基(866-1105)
破傷風神経毒 -アミノ酸残基(882-1127)
上述した促進ドメインは、何れも本発明での使用に適した上述のトランスロケーションドメインペプチドの何れかと組み合わせてよい。したがって、一例として、非クロストリジウム促進ドメインは、非クロストリジウムトランスロケーションドメインペプチド又はクロストリジウムトランスロケーションドメインペプチドと組み合わせてよい。或いは、クロストリジウム毒素HCNトランスロケーション促進ドメインは、非クロストリジウムトランスロケーションドメインペプチドと組み合わせてよい。或いは、クロストリジウム毒素HCN促進ドメインは、クロストリジウムトランスロケーションドメインペプチドと組み合わせてよく、その例には以下が含まれる:
ボツリヌスA型神経毒 -アミノ酸残基(449-1110)
ボツリヌスB型神経毒 -アミノ酸残基(442-1097)
ボツリヌスC型神経毒 -アミノ酸残基(450-1111)
ボツリヌスD型神経毒 -アミノ酸残基(446-1098)
ボツリヌスE型神経毒 -アミノ酸残基(423-1085)
ボツリヌスF型神経毒 -アミノ酸残基(440-1105)
ボツリヌスG型神経毒 -アミノ酸残基(447-1105)
破傷風神経毒 -アミノ酸残基(458-1127)
一例として、一般的な標的化部分(基準)配列には以下が含まれる。
ボツリヌスA型神経毒 -アミノ酸残基(Y1111-L1296)
ボツリヌスB型神経毒 -アミノ酸残基(Y1098-E1291)
ボツリヌスC型神経毒 -アミノ酸残基(Y1112-E1291)
ボツリヌスD型神経毒 -アミノ酸残基(Y1099-E1276)
ボツリヌスE型神経毒 -アミノ酸残基(Y1086-K1252)
ボツリヌスF型神経毒 -アミノ酸残基(Y1106-E1274)
ボツリヌスG型神経毒 -アミノ酸残基(Y1106-E1297)
破傷風神経毒 -アミノ酸残基(Y1128-D1315)。
無細胞毒性プロテアーゼは、1乃至100U/kg患者の用量で、好ましくは10乃至50U/kg患者の用量で投与し得る。
例えば、無細胞毒性プロテアーゼは、5U/kg、10U/kg、20U/kg、又は40U/kgから選択される1つ以上の用量(好ましくは40U/kg)で投与し得る。
一実施形態において、無細胞毒性プロテアーゼは、少なくとも2ヶ月の期間内に、好ましくは少なくとも3ヶ月の期間内に、単回投与として投与される。
配列相同性
同一性パーセントは、限定では無く、グローバル法、ローカル法、及び、例えばセグメントアプローチ法等のハイブリッド法を含む様々な配列アラインメント方法の何れかを用いて決定することができる。同一性パーセントを決定するためのプロトコルは、当業者の範囲内の日常の手順である。グローバル法は、配列を分子の最初から最後まで整列させ、個々の残基対のスコアを合計すると共に、ギャップペナルティを与えることにより、最善のアラインメントを決定する。非限定的な方法には、例えば、CLUSTAL W(例えば、Julie D. Thompson et al., CLUSTAL W: Improving the Sensitivity of Progressive Multiple Sequence Alignment Through Sequence Weighting, Position- Specific Gap Penalties and Weight Matrix Choice, 22(22) Nucleic Acids Research 4673-4680 (1994)参照)及び反復改良法(例えば、Osamu Gotoh, Significant Improvement in Accuracy of Multiple Protein. Sequence Alignments by Iterative Refinement as Assessed by Reference to Structural Alignments, 264(4) J. MoI. Biol. 823-838 (1996)参照)が含まれる。ローカル法は、入力配列の全てが共有する1つ以上の保存モチーフを同定することにより配列を整列させる。非限定的な方法には、例えば、Match-box(例えば、Eric Depiereux and Ernest Feytmans, Match-Box: A Fundamentally New Algorithm for the Simultaneous Alignment of Several Protein Sequences, 8(5) CABIOS 501 -509 (1992)参照)、ギブスサンプリング(例えば、C. E. Lawrence et al., Detecting Subtle Sequence Signals: A Gibbs Sampling Strategy for Multiple Alignment, 262(5131 ) Science 208-214 (1993)参照)、Align-M(例えば、Ivo Van WaIIe et al., Align-M - A New Algorithm for Multiple Alignment of Highly Divergent Sequences, 20(9) Bioinformatics:1428-1435 (2004)参照)が含まれる。
したがって、配列同一性パーセントは、従来の方法により決定される。例えば、Altschul et al., Bull. Math. Bio. 48: 603-16, 1986及びHenikoff and Henikoff, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:10915-19, 1992を参照されたい。簡単に言うと、ギャップ開始ペナルティとして10、ギャップ伸長ペナルティとして1、及び以下に示すようなHenikoff and Henikoff(前掲)の「blosum62」スコア行列(アミノ酸を標準の1文字コードで示す)を用いてアラインメントスコアを最適化するように2つのアミノ酸配列を整列させる。
2つ以上の核酸又はアミノ酸配列間の「配列同一性パーセント」は、配列が共有する同一位置数の関数である。したがって、同一性パーセントは、同一のヌクレオチド/アミノ酸の数をヌクレオチド/アミノ酸の合計数で除算したものに100を乗算して計算し得る。配列同一性パーセントの計算は、ギャップ数と、2つ以上の配列のアラインメントを最適化するために導入する必要がある各ギャップの長さとを考慮して行ってもよい。2つ以上の配列間の配列比較及び同一性パーセントの決定は、当業者によく知られているBLAST等の特定の数学アルゴリズムを用いて実施することができる。
実質的に相同なポリペプチドは、1つ以上のアミノ酸置換、欠失、又は付加を有することを特徴とする。こうした変化は、好ましくは軽微な性質のものであり、即ち、保存的アミノ酸置換(下記参照)及びポリペプチドの折り畳み又は活性に著しく影響しない他の置換、一般には1乃至約30個のアミノ酸の僅かな欠失、及びアミノ末端メチオニン残基、約20乃至25残基までの小さなリンカペプチド、若しくはアフィニティタグ等の僅かなアミノ又はカルボキシル末端伸長である。
保存的アミノ酸置換
塩基性:
アルギニン
リジン
ヒスチジン
酸性:
グルタミン酸
アスパラギン酸
極性:
グルタミン
アスパラギン
疎水性:
ロイシン
イソロイシン
バリン
芳香族:
フェニルアラニン
トリプトファン
チロシン
小型:
グリシン
アラニン
セリン
トレオニン
メチオニン
20種類の標準アミノ酸に加えて、非標準アミノ酸(例えば4-ヒドロキシプロリン、6-N-メチルリジン、2-アミノイソ酪酸、イソバリン、及びα-メチルセリン)により、本発明のポリペプチドのアミノ酸残基を置換し得る。限られた数の非保存的アミノ酸、遺伝コードによりコードされないアミノ酸、及び非天然アミノ酸により、ポリペプチドアミノ酸残基を置換し得る。本発明のポリペプチドは、天然に存在しないアミノ酸残基を含むことができる
限られた数の非保存的アミノ酸、遺伝コードによりコードされないアミノ酸、天然に存在しないアミノ酸、及び非天然アミノ酸により、本発明のポリペプチドのアミノ酸残基を置換し得る。
本発明のポリペプチド内の必須アミノ酸は、部位特異的突然変異誘発又はアラニンスキャニング突然変異誘発等、当該技術分野において公知の手順により同定することができる(Cunningham and Wells, Science 244: 1081-5, 1989)。生物学的相互作用の部位は、推定接触部位のアミノ酸の突然変異と組み合わせて、核磁気共鳴、結晶学、電子回折、又は光親和性標識のような手法により決定されるように、構造の物理解析により決定することもできる。例えば、de Vos et al., Science 255:306-12, 1992; Smith et al., J. Mol. Biol. 224:899-904, 1992; Wlodaver et al., FEBS Lett. 309:59-64, 1992を参照されたい。必須アミノ酸の同定は、本発明のポリペプチドの関連成分(例えば、トランスロケーション又はプロテアーゼ成分)との相同性の解析から推測することもできる。
多重アミノ酸置換を、Reidhaar-Olson and Sauer (Science 241:53-7, 1988)又はBowie and Sauer (Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:2152-6, 1989)により開示されるもの等、公知の突然変異誘発及びスクリーニング方法を用いて実施及び試験することができる。簡単に言うと、これらの執筆者は、ポリペプチド内の2つ以上の位置を同時にランダム化し、機能的ポリペプチドを選択し、その後、突然変異誘発されたポリペプチドを配列決定して、各位置で許容される置換の範囲を決定する方法を開示している。使用可能な他の方法には、ファージディスプレイ(例えば、Lowman et al., Biochem. 30:10832-7, 1991、Ladnerらの米国特許第5,223,409号、HuseのWIPO公開番号WO92/06204)と、領域特異的突然変異誘発(Derbyshire et al., Gene 46:145, 1986; Ner et al., DNA 7:127, 1988)とが含まれる。
特に定義されない限り、本明細書で用いられる技術用語及び科学用語は、本明細書が属する技術分野の当業者が一般に理解するものと同じ意味を有する。Singleton, et al., DICTIONARY OF MICROBIOLOGY AND MOLECULAR BIOLOGY, 20 ED., John Wiley and Sons, New York (1994)及びHale & Marham, THE HARPER COLLINS DICTIONARY OF BIOLOGY, Harper Perennial, NY (1991)は、当業者にとって、本開示で用いられる多くの用語の一般的な辞書となる。
本開示は、本明細書に開示した方法及び材料の例により限定されず、本明細書に記載したものと類似する又は等価の任意の方法及び材料を、本開示の実施形態の実施又は試験に用いることができる。数値範囲は、範囲を定める数を含む。特に指示の無い限り、任意の核酸配列は、5’から3’の方向で左から右に書かれており、アミノ酸配列は、それぞれアミノからカルボキシへの方向で左から右に書かれている。
本明細書に記載の見出しは、本開示の様々な態様又は実施形態を限定するものではない。
本明細書において、アミノ酸は、アミノ酸の名前、3文字の略語、又は1文字の略語を用いて示す。本明細書で使用される「タンパク質」という用語は、タンパク質、ポリペプチド、及びペプチドを含む。本明細書で使用される場合、「アミノ酸配列」という用語は、「ポリペプチド」という用語及び/又は「タンパク質」という用語と同義である。場合により、「アミノ酸配列」という用語は、「ペプチド」という用語と同義である。場合により、「アミノ酸配列」という用語は「酵素」という用語と同義である。「タンパク質」及び「ポリペプチド」という用語は、本明細書において相互に交換可能に用いられる。本開示及び特許請求の範囲では、アミノ酸残基の従来の1文字及び3文字のコードが使用される場合がある。アミノ酸の3文字コードは、生化学的命名法に関するIUPAC-IUB共同委員会(Joint Commission on Biochemical Nomenclature, JCBN)に準拠して定義されたものである。また、遺伝暗号の縮重のため、ポリペプチドは、複数のヌクレオチド配列によりコードされ得ると理解される。
用語の他の定義は、明細書全体を通して現れる場合がある。実施形態の例をより詳細に説明する前に、本開示は、説明された特定の実施形態に限定されず、それ自体が変化し得ることを理解されたい。また、本開示の範囲は、添付特許請求の範囲によりのみ定義されるため、本明細書で用いられる用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定することを意図しないことも理解されたい。
値の範囲が提示された場合、その範囲の上限と下限との間の各介在値も、文脈上明らかに別の意味を示す場合を除き下限の単位の10分の1まで、具体的に開示されると理解される。記載範囲内の任意の記載値又は介在値と、記載範囲内の他の任意の記載値又は介在値との間の、より小さな範囲は、本開示に含まれる。こうしたより小さな範囲の上限及び下限は、独立して範囲内に包含又は除外してよく、より小さな範囲に上限及び下限の一方又は両方が含まれる場合又は何れも含まれない場合の各範囲も、記載範囲内で具体的に除外された任意の限界に応じて本開示に含まれる。記載範囲が限界の一方又は両方を含む場合、含まれた限界の一方又は両方を除外した範囲も、本開示に含まれる。
本明細書及び付記特許請求の範囲での使用において、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上明らかに別の意味を示す場合を除き、複数の指示対象を含むことに留意されたい。したがって、例えば、「毒素(a toxin)」への言及は、複数のそのような毒素を含み、「毒素(the toxin)」への言及は、1つ以上の毒素及び当業者に公知のその等価物への言及を含む。
本明細書にて論じた公表文献は、本出願の出願日より前の開示内容のみのために提示している。本明細書のいかなる部分も、このような公表文献が本明細書の付記特許請求の範囲の先行技術を構成することを認めるものと解釈するべきではない。
次に、本発明を、単なる例として、以下の図及び実施例を参照して説明する。
図1は、BoNT/Aプロテアーゼ(Dysport(登録商標)10-40U/kg)の用量曲線の研究を示しており、MRMT-1誘発骨癌性疼痛のラットモデルにおいて評価したBoNT/Aプロテアーゼの単回足底内投与の効果を示す。 図2は、比較研究を示しており、MRMT-1誘発性骨癌性疼痛のラットモデルにおいて評価した、モルヒネの単回投与の効果を示す。 図3は、比較研究を示しており、MRMT-1誘発性骨癌性疼痛のラットモデルにおいて評価した、モルヒネの単回投与の効果を示す。 図4は、無細胞毒性プロテアーゼ中毒のプロセスが4つのステップを含むものとして説明できることを示す:1)結合ドメインを介した(例えば、クロストリジウム神経毒のHC、又は同等の標的化部分を介した)、細胞表面に存在する結合部位との無細胞毒性プロテアーゼの結合、2)結合部位(及び結合した無細胞毒性プロテアーゼ)が細胞内に内部移行する、3)無細胞毒性プロテアーゼが、エンドソーム内からサイトゾルへ(例えば、クロストリジウム神経毒のHN、又は同等のトランスロケーションドメインを介して)放出される(即ち、トランスロケーションイベント)、4)放出された無細胞毒性プロテアーゼ(例えば、クロストリジウム神経毒のL鎖、又は同等のSNARE切断プロテアーゼ)は、その細胞内(SNAREタンパク質)標的に作用することができる。
次に、本発明を、単なる例として、以下の実施例を参照して説明する。
材料及び方法
ラットの骨癌性疼痛のMRMT-1乳癌細胞モデル(Medhurst S.J., et al., “A rat model of bone cancer”, Pain, 2002: pp.129-140)は、癌性疼痛に対する製薬試験用の特徴が明確な動物モデルである。このモデルは、前臨床疼痛研究に適合する期間に病因及び病理の側面を模倣することから、広く受け入れられているモデルである。
動物と飼育条件
60匹のオスのSprague-Dawleyラット(SPF状態、Janvier、フランス)で、手術中の体重が175乃至200gのものを研究用に選択した。
ラットは、温度(20乃至24℃)及び相対湿度(45%乃至65%)が制御された部屋に収容し、12時間明(午前6時30分乃至午後6時30分)/12時間暗の人工的な昼夜サイクルに順化させた。ラットは、水道水を自由に利用可能とし、ペレット状の完全食を自由に与えられた。動物は、ケージ毎に4匹収容し(ケージタイプE)、任意の試験前に少なくとも5日間順化させた。各ラットは、尾のマーキングにより識別した。
試薬
無細胞毒性プロテアーゼの使用(BoNT/A Dysport(登録商標))の詳細を表1に示す。
Figure 2021525251
基準物質(モルヒネ)の詳細を以下の表2に示す。
Figure 2021525251
使用したビヒクルの詳細(ビヒクルのみの対照実験等)の概要を以下の表3に示す。
Figure 2021525251
0乃至9%NaClを無細胞毒性プロテアーゼ及びモルヒネ溶液のビヒクルとして使用した。
MRMT-1セル及びHBSSの詳細を以下の表4に示す。
Figure 2021525251
主な機器及びデータ処理システム
Electronic von Frey(EVF3モデル、Bioseb、フランス)を、疼痛試験(接触性アロディニアの評価等)に使用した。
分析(例えば、統計分析)は、以下のツールを用いて行った。
・SigmaStatソフトウェアバージョン3.5(SPSS Science Software、エルクラート、ドイツ)。
・LabXダイレクトソフトウェアバージョン2.4(Mettler Toledo、フランス)。
・DragonNaturally Speakingソフトウェアバージョン13.0(Nuance、フランス)。
疼痛試験
接触性アロディニアは、電子Von Frey試験を用いて評価した。試験では、後足の足底面に増加する圧力を加える必要がある。試験は、一方の後足が注射又は負傷により炎症を起こし、一方の後足が正常な動物に対して、薬物を鎮痛作用について評価するために採用された。装置は、安定的に増加する力を付与し、足引っ込めを引き起こすのに必要な圧力(g)として反応閾値が決定された。各反応閾値の測定は、略2乃至3分の間隔で両方の後足に対して3回繰り返した。
実験計画
ラット10匹ずつの6グループを利用した。
グループ1:
HBSS、脛骨内、溶液
+0.9%NaCl、
足底内、溶液
グループ2:
HBSS中の30,000個のMRMT-1細胞、脛骨内、溶液
+0.9%NaCl、足底内、溶液
グループ3:
HBSS中の30,000個のMRMT-1細胞、脛骨内、溶液
+0.9%NaCl中のBoNT/A(Dysport 5U/kg)、足底内、溶液
グループ4:
HBSS中の30,000個のMRMT-1細胞、脛骨内、溶液
+0.9%NaCl中のBoNT/A(Dysport 10U/kg)、足底内、溶液
グループ5:
HBSS中の30,000個のMRMT-1細胞、脛骨内、溶液
+0.9%NaCl中のBoNT/A(Dysport 20U/kg)、足底内、溶液
グループ6:
HBSS中の30,000個のMRMT-1細胞、脛骨内、溶液
+0.9%NaCl中のBoNT/A(Dysport 40U/kg)、足底内、溶液
グループ7:
HBSS中の30,000個のMRMT-1細胞、脛骨内、溶液
+モルヒネHCl、0.9%NaCl中3mg/kg、皮下注射、溶液
用量は、遊離活性物質換算で表した。
ビヒクル及びBoNT/Aプロテアーゼ(Dysport)は、負傷した後足の足底内経路で、30Gの針により70μl/kgの量で投与した。
モルヒネを5ml/kgで皮下投与した。
外科手技
骨癌性疼痛は、麻酔したラット(キシラジン10mg/kg腹腔内、ケタミン60mg/kg腹腔内)の脛骨髄腔に30,000個のMRMT-1乳癌細胞をD0に移植することにより誘発した。
左脛骨の近位半分の皮膚に1cmの吻側尾側切開を行い、周囲の筋肉又は血管への損傷を最小限に抑えて骨を露出させた。21ゲージの針を使用して骨を穿孔し、ハミルトンシリンジに接続した細いカテーテルを挿入して、脛骨の髄内管に到達させた。次に、10μlの細胞懸濁液(癌グループ)又はHBSS(偽グループ)を穏やかに注入した。ボーンワックス及び外科用接着剤を用いて注入部位を閉じ、0.9%NaClにより十分に洗浄し、縫合糸により創傷を閉じた。
行動試験
癌細胞移植の11日後(D11)、両後足の足引っ込め閾値を全グループで測定した(ベースライン)。
グループ#1乃至#6のラットには、負傷した左足にガス麻酔下(3.5%イソフルラン/3L/分)で30Gの針により足底内注射することにより、ビヒクル又はBoNT/Aプロテアーゼ(Dysport(登録商標))を投与した。
モルヒネは、D14及びD21に皮下投与した。
ラットは、実験の最後に、認定された会社による除去までの間にCO2吸入により屠殺にした。
体重
試験前に、手術からD10及び各実験日まで、ラットの体重を毎日(土曜日及び日曜日を除き)測定した。
データの提示及び統計分析
結果は、以下のように表現した(各動物):
・各後足に付与したグラム(g)単位の圧力として定義され、各後足の3回の連続測定値の平均として計算した足引っ込め閾値。
各治療グループについては、
・動物群の平均として計算された足引っ込め閾値(平均±SEM)
・ビヒクル処置群の平均値から計算した足引っ込め閾値の変動のパーセンテージ。
試験物質及び基準物質の統計的効果を決定するために、結果の正規分布に応じて、データをパラメトリック又は非パラメトリック試験により分析した。有意水準は、p<0.05に設定した。
凍結乾燥物の溶解
BoNT/Aプロテアーゼ(Dysport(登録商標))は、使用したバッチ用に500Uの量の凍結乾燥物の形態でバイアルにおいて調整した。
500U/mlの母液を得るために、凍結乾燥物を適切な量の0.9%NaClで溶解した。
- 25G又は26Gの針付きのシリンジに充填し、中央のセプタムを通過させ、気泡を避けて1mlを注入した。
- 真空吸引を避けるために、シリンジを針と共に素早く取り外した。
- 毒素が溶解した後、バイアルを開けて、自動ピペットにより、正確に量を追加して、又は追加せずに、500U/ml溶液を得ることができた。
この溶液をストック溶液として利用し、+4℃で24時間保存した。
希釈
希釈に使用した容器は、ガラスであり、段階希釈は、避ける。
各試験日の終わりに、BoNT/A(Dysport(登録商標))の残存溶液は、次亜塩素酸ナトリウムの0.5%塩素活性溶液を使用して不活性化した。実験段階の終わりに、BoNT/A(Dysport(登録商標))の残存ストック溶液には、次亜塩素酸ナトリウムの0.5%塩素活性溶液を入れた。
約20μl/ラットの量を考慮して、次の溶液を以下に示す濃度で調製した。他の溶液も同様に調製した。
Figure 2021525251
実施例1
BoNT/Aプロテアーゼ(10乃至40U/kgのDysport(登録商標))用量曲線の研究
BoNT/Aプロテアーゼ(Dysport(登録商標))の単回足底内投与の効果を、MRMT-1誘発性骨癌性疼痛のラットモデルで評価しており、図1を参照されたい。BoNT/Aプロテアーゼ(Dysport(登録商標))の急性足底内投与は、足引っ込め閾値において、用量依存性及び時間依存性の欠陥の回復を発生させ、したがって、骨癌により誘発されたアロディニアを減少させた。
実施例2
モルヒネの比較研究
比較研究では、モルヒネの単回投与の効果を、同じMRMT-1誘発性骨癌性疼痛のラットモデルで評価した。モルヒネは、癌細胞の移植後、D14(図2を参照)又はD21(図3を参照)に投与した。結果は、足引っ込め閾値の欠陥の回復を示しており、したがって、骨癌により誘発されたアロディニアの減少を示している。
これらの結果は、実施例1に示した無細胞毒性プロテアーゼ(BoNT/A)について得られた結果を補完するものであり、骨癌誘発性アロディニアの相乗的抑制をもたらすために鎮痛剤分子(例えば、モルヒネ等のアヘン剤)を無細胞毒性プロテアーゼと同時投与し得ることを示している。
実施例3
ラットの体重の比較研究
対応するラットの体重を、実施例1との比較した研究において、複数の僅かに異なるBoNT/Aプロテアーゼ(Dysport(登録商標))投与量を利用してモニタした。BoNT/Aプロテアーゼ(Dysport(登録商標))の単回局所投与の効果を、同じMRMT-1誘発性骨癌性疼痛のラットモデルで評価した。体重(表6)は、癌細胞移植後のD11からD21に対応するBoNT/Aプロテアーゼの投与後に評価した。
Figure 2021525251
結果は、平均±SEMとして表現している。
[図1]
Paw withdrawal threshold: 足引っ込め閾値
Morphine: モルヒネ
protease: プロテアーゼ
Control paw: 対照足
Injured Paw負傷足
Time after treatment (day): 処置後の期間(日)
Baseline D11: ベースライン、D11
[図2、3]
Paw withdrawal threshold: 足引っ込め閾値
Morphine: モルヒネ
Control: 対照
Injured Paw: 負傷足
処置後の期間(分)
Baseline post-induction: ベースライン、誘発後
[図4]
Toxin: 毒素
Heavy Chain Binding Domain: 重鎖結合ドメイン
Receptor System: 受容体系
Heavy Chain Translocation Domain: 重鎖トランスロケーションドメイン
Light Chain: 軽鎖

Claims (13)

  1. 患者における骨癌誘発性アロディニアを抑制する方法であって、骨癌に罹患している患者に治療有効量の無細胞毒性プロテアーゼを投与することを含む方法。
  2. 骨癌に罹患している患者における骨癌誘発性アロディニアの抑制に使用するための無細胞毒性プロテアーゼ。
  3. 前記骨癌は、転移性骨癌である、請求項1記載の方法又は請求項2記載の使用する無細胞毒性プロテアーゼ。
  4. 前記患者は、別の癌を含み、好ましくは前記別の癌は、肺癌、乳癌、前立腺癌、及び卵巣癌から選択される1つ以上である、先行請求項の何れかに記載の方法又は使用のための無細胞毒性プロテアーゼ。
  5. 鎮痛剤分子(例えば、モルヒネ等のアヘン剤)の同時投与を含む、前記患者における骨癌誘発性アロディニアを相乗的に抑制するための、先行請求項の何れかに記載の方法又は使用のための無細胞毒性プロテアーゼであって、前記鎮痛剤分子は、前記無細胞毒性プロテアーゼの前に、これと同時に、又は後に投与される、方法又は無細胞毒性プロテアーゼ。
  6. 前記鎮痛剤分子は、(無細胞毒性プロテアーゼの不在下で投与された際に)前記患者における骨癌誘発性アロディニアを抑制しない量で投与される、請求項5記載の方法又は使用のための無細胞毒性プロテアーゼ。
  7. 前記アロディニアは、接触性アロディニア及び/又は動的アロディニアからなるか、又はこれらを含む、請求項5又は請求項6記載の方法又は使用のための無細胞毒性プロテアーゼ。
  8. 前記無細胞毒性プロテアーゼの投与は、構造的に損傷した骨、骨膜の炎症、神経絞扼、及び/又は他の損傷領域から選択される部位において行われる、請求項5乃至7の何れかに記載の方法又は使用のための無細胞毒性プロテアーゼ。
  9. 投与は、骨癌細胞の局所集中に近接して、又は前記骨癌細胞内に直接、又はその結合組織内に直接行われる、請求項8記載の方法又は使用のための無細胞毒性プロテアーゼ。
  10. 前記無細胞毒性プロテアーゼは、クロストリジウム神経毒、アンタレアーゼプロテアーゼ、又はIgAプロテアーゼから選択される、請求項1記載の方法又は使用のための無細胞毒性プロテアーゼ。
  11. 前記無細胞毒性プロテアーゼは、ボツリヌス神経毒、好ましくはBoNT/Aである、請求項10記載の方法又は使用のための無細胞毒性プロテアーゼ。
  12. 前記無細胞毒性プロテアーゼは、1乃至100U/kg患者の用量で、好ましくは10乃至50U/kg患者の用量で投与される、先行請求項の何れかに記載の方法又は使用のための無細胞毒性プロテアーゼ。
  13. 前記無細胞毒性プロテアーゼは、少なくとも2ヶ月の期間内、好ましくは少なくとも3ヶ月の期間内に単回投与として投与される、先行請求項の何れかに記載の方法又は使用のための無細胞毒性プロテアーゼ。
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