JP2021523181A - D−リボース及びビタミンb3により哺乳動物におけるnadレベルを上昇する方法及び組成物 - Google Patents

D−リボース及びビタミンb3により哺乳動物におけるnadレベルを上昇する方法及び組成物 Download PDF

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Abstract

D−リボース又はビタミンB3を伴うD−リボースの有効量を哺乳動物へ投与することにより、哺乳動物においてNADレベルを増加する方法及び組成物であって、ここで前記ビタミンB3は、ナイアシン、ニコチンアミド、ニコチンアミドリボシド又はニコチンアミドモノヌクレオチドであることができる。D−リボースとビタミンB3の間の比は、0.5:10〜10:0.5の間を変動することができる。哺乳動物への投与のタイミングは、哺乳動物が昼行性か又は夜行性かにかかわらず、哺乳動物が活動的又は活動寸前である時点である。
【選択図】図5

Description

背景
ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)は、細胞生命の中心であり;第一に、分解され且つ栄養分をアデノシン三リン酸(ATP)の形状のエネルギーへ変換することにより、酸化−還元(レドックス)反応及びエネルギー産生のための再利用可能な補酵素として;第二に、遺伝子発現、DNA修復、細胞死及び細胞周期、カルシウムシグナル伝達、グルコースホメオスタシス、及び概日リズムを含む、極めて重要な生物学的プロセスを制御する酵素反応において消費可能な基質としてである。
NADは、以下の3種のタンパク質群の主要基質であることが、最近発見された:(1)ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP);(2)cADP−リボースシンターゼ(CD38);及び、(3)サーチュイン(SIRT1−7)。これらのタンパク質群の各々は、DNA修復、ミトコンドリア機能障害、神経変性、及び年齢に関連した代謝障害を含む、広い範囲の機能を制御する。例えば、補酵素としての、NAD+並びにその関連代謝産物であるNADH、NADP+、及びNADPHは、細胞代謝における反応の60%以上に関与し、且つそれらのホメオスタシスは、酸化、対、還元の、並びに同化作用、対、異化作用のバランスの決定因子である。消費可能な基質として、NADの濃度は、加齢及び脂肪組成に直接関連している。加えて、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)、サーチュイン(SIRT1−7)、及びcADP−リボースシンターゼ(CD38)を含むNADを消費する酵素は、健康及び疾患に関する広範な分岐(ramification)を有する。従ってNADは、様々な代謝状態又は年齢に関連した状態の治療に関する治療的標的として役立ち、且つ健康及び長寿を促進することができる。
哺乳動物を操作する4種のNAD生合成経路が存在し、これはアミノ酸トリプトファンから始まるデノボ経路、及び3種のピリジンサルベージの代替ルートである。これらのピリジンは、ニコチン酸(Na)、ニコチンアミド(Nam)、及びニコチンアミドリボシド(NR)であり、これらは集合的にビタミンB3と称され、食餌による供給及び/又は細胞内NAD異化作用から生じ得る。デノボ経路に関する出発物質は、トリプトファンであり、これも同じくタマゴ、肉及びチーズなどの食餌によるタンパク質給源に由来する。
4種全てのNAD生合成ルートは、体内のNADレベルを増加するが、異なるルートを介して生成されたNADは、臓器及び組織中に異なるように分布される。肝臓においては、4種の経路の酵素の全てが存在することがわかっており、全てのNAD前駆体からNADへの転換が可能であり、且つ血流の循環を通じてNADを全ての臓器へ補給する(re-fuel)ことができる。他の組織においては、逆に、異なる酵素レベルが、特別で固有の代謝の必要性を反映しており、同じく外来性ピリジン給源(複数可)の利用可能性にも左右される。トリプトファンは、デノボNAD合成のための唯一認められた給源であるが、これは概して、正常なNADホメオスタシスを維持するには不充分であると考えられる。哺乳動物におけるほとんどのNADは、アミド化されたサルベージルートを介して、ニコチンアミド(Nam)から合成される。肝臓は再度、その上昇したNAD代謝回転により、Nam再利用が主流であり、且つ同じく時計機構による概日転写制御を基に、NAD再合成が、ニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ(NAMPT)により制御されるという、極めて重要な組織を表す。従って、Nam及びNR由来のNADは、デノボ合成由来のものよりも、際立って局所的且つ一時的分布を有することが理解可能である。
NAD代謝産物の臓器及び組織の分布は、それらの生物学的機能に関して重要である。運動しているマウスにおける肝臓と筋肉の間のNADPH変動に関する最新の文献は、最良の例である。NAD欠損症は、様々な病的状態と結びつけられているが、ニコチンアミドモノヌクレオチドアデノシルトランスフェラーゼ(NMNAT)の遺伝子の変質(alterations)が最近、ウォラー変性モデルを含む、いくつかの神経変性及び急性損傷モデルにおける、癌、レーベル先天黒内障、及び軸索保護と結びつけられている。
図1は、各群同じ用量の異なる化合物を給餌した後の雄ラットの4群から、0.25、0.5、1、2、4、8及び24時間の増分(increment)で採取した血液試料中で測定したNADレベルを示すグラフであり;第1群は、D−リボースを給餌し、第2群は、ナイアシンを給餌し、第3群は、ナイアシンと組合せたD−リボースを給餌し、第4群は、ニコチンアミドリボシド(NR)を給餌する。
図2は、図1に確定した増分で採取した各血液試料からの血液中で測定したNRレベルを示すグラフである。
図3は、異なる濃度のニコチンアミド(Nam)と組合せたD−リボースを給餌した後、1、2、3、及び4時間の増分で、雄及び雌のラットの4群の血液中で測定したNRレベルを示すグラフである。
図4は、ニコチンアミドと組合せたD−リボース(例えば、RiaGev(商標))及びその代謝産物に関して提唱された経路を図示している。
図5は、ニコチンアミドと組合せたD−リボース(例えば、RiaGev)による経口補給後の血液中のNAD+濃度を示す折れ線グラフである。
図6は、ニコチンアミドと組合せたD−リボース(例えば、RiaGev)による経口補給後の血液中のNR濃度を示す折れ線グラフである。
図7は、ニコチンアミドと組合せたD−リボース(例えば、RiaGev)による経口補給後の血液中のNMN濃度を示す折れ線グラフである。
図8は、異なる投与量のRiaGev(ニコチンアミドと組合せたD−リボース)の投与後の、肝臓、筋肉及び脳組織中のNAD+分布を示す棒グラフである。
図9は、異なる投与量のRiaGev(ニコチンアミドと組合せたD−リボース)の投与後の、肝臓、筋肉、脳及び脂肪組織中のNR分布を示す棒グラフである。
図10は、異なる投与量のRiaGev(ニコチンアミドと組合せたD−リボース)の投与後の、肝臓、筋肉、脳及び脂肪組織中のNMN分布を示す棒グラフである。
図11は、RiaGev(ニコチンアミドと組合せたD−リボース)と血液中のNAD+の投与量−反応関係を示す折れ線グラフである。
説明
NAD合成に関して4種の経路が存在する:
経路#1:以下のように示される、ニコチンアミド(Nam)のサルベージ経路:
Nam + PRPP → NMN + ATP → NAD
経路#2:以下のように示される、ニコチン酸(Na)のサルベージ経路:
Na + PRPP →NaMN + ATP →NaAD →NAD
経路#3:以下のように示される、アミノ酸トリプトファンからのデノボ生合成経路:
トリプトファン(tryptophin) →NAD
経路#4:以下のように示される、ニコチンアミドリボシド(NR):
NR + ATP →NAD
ここで:
Nam=ニコチンアミド;
PRPP=ホスホリボシルピロリン酸(phosphor-ribose-pyrophosphate);
NMN=ニコチンアミドモノヌクレオチド;
NAD=ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド;
Na=ニコチン酸(ナイアシン);
PP=ピロリン酸。
3種の経路(経路#1−#3)において、体内のNADレベルは、Na、Nam、NR又はNMNなどの前駆体又は中間体の供給により増大されることが認められている。実際、NADに関連した強化のためのこれらの構成成分を含有する食餌性補給品が存在する。
3種の生合成経路(経路#1−3)及びNR経路(経路#4)の各々においては、PRPP及び/又はATPが、必要とされる。PRPP及びATPの両方は、D−リボースの拡大産物(extension product)である(すなわち、D−リボース+ATP→PRPP)ことはわかっている。従って出願人は、D−リボースを投与することにより、体内のNADレベルを増加することは実行可能であるはずであると仮定した。出願人は、D−リボースの経口投与により体内のNADレベルを増加するという誰の先行する試みも知らない。
この仮説を試験するために、出願人は、D−リボース、又は他の化合物と組合せたD−リボースの経口投与は、哺乳動物の、具体的にはスプラーグダルウェイラットの体内のNADレベルを増加することができるかどうか、並びにD−リボース単独、又は他の化合物と組合せたD−リボースが、哺乳動物の体内のNADレベルを向上するために利用することができる条件を試験するために、実験を設計した。
実験1
4匹の雄のスプラーグダルウェイラットの4群に、用量100mg/kg体重で、下記表に確定した異なる化合物を各々ボーラス投与した:
Figure 2021523181
血液試料0.1mlを、給餌後0.25、0.5、1、2、4、8及び24時間の増分で、各群の各ラットから採取した。その後各血液試料を、NADレベルに関して、液体クロマトグラフィー/質量分析(LC/MS)により測定した。測定したNADレベルを、図1に図示し、各データポイントは、各群の4匹のラットの平均である。
図1について、各被験群は、ベースライン(図1の破線、被験化合物を投与しないNADレベルを表す)と比べ、24時間にわたり、有意に高いレベルのNADを有したことを示している。特に、第3群(D−リボース+ナイアシン給餌したラット)のNADレベルは、投与後に増加し、且つ他の群よりもより長い期間にわたり上昇したレベルに留まった。これは、リボース及びナイアシンからのNADの生合成機序と一致する。陽性対照群(第4群)は、最高のピーク値を有した。しかし、第4群のNADレベルは、第3群のNADレベルのように定常であるようには留まらない。D−リボース単独の給餌(すなわち、第1群ラット)又はナイアシン単独の給餌(すなわち、第2群ラット)もまた、上昇したNADレベルを生じ、生合成機序と一致した。しかし、第1群及び第2群ラットのNADレベルは、鋭く変動し、これはおそらく給餌又は点灯時間のためであろう(以下に考察)。
先に言及した増分で各群から採取した血液はまた、NRレベルについても、LC/MSにより測定した。測定したNRレベルを、図2に図示し、各データポイントは、同じ性別の3匹の動物の平均である。
図2について、各被験群のNRレベルは、ベースライン(図2の破線)を上回り、これはD−リボース、ナイアシン、又はナイアシンと組合せたD−リボースは、ラットにおけるNRレベルを増強することを指摘している。NRの全般的傾向は、NAD代謝産物の代謝時計のタイミングにうまく従っている。
実験2
4匹の雄のスプラーグダルウェイラットの3群に、下記表に確定したようなニコチンアミド(ナイアシンアミドとしても公知)と組合わせたD−リボースを3つの異なる投与量でボーラス投与した:
Figure 2021523181
血液試料0.1mlを、給餌後1、2、3及び4時間の増分で各ラットから採取した。その後各血液試料を、NAD及びNRのレベルについて、LC/MSにより測定した。測定したNRレベルを、図3に図示し、各データポイントは、各群からの4匹のラットの4つの平均である。
図3について、ニコチンアミド+リボースの300mg/kg体重の投与量は、ラットに関する至適投与量であることが示されている。投与量レベルの1000mg/kgまでの更なる増加は、NRレベルを有意に増強しなかった。100mg/kg投与量の投与量は、NRレベルの上昇に有効ではなく、このことは、D−リボース+ナイアシンの100mg/kgが、図2において示したように実験1においては良好な結果を明らかにしたので、やや驚きである。
全般的に、これらの実験は、D−リボース単独、又はビタミンB3(ナイアシンもしくはニコチンアミド)と組合せたD−リボースは、哺乳動物においてNADレベルを増加することを明らかにしている。しかし、出願人は、補給のタイミング及び試料採取時刻が、実験結果に大きい役割を果たすように見えたので、至適投与量及びタイミングを含む正確な投与量スキームは、今後の実験において精緻化される必要があることを決定した。
例えば、実験2において、図2に示したように、この実験は、単に4時間かけて実施し、且つ血液試料は、午前中の補給後1、2、3及び4時間に採取した。この補給及び試料採取の時点は、意味のある結果を生じなかった。それに対し、実験1において、この実験は、24時間かけて実施した。このNADレベルは、夜間の時間(night time hour)のみより高かった。
出願人は、ラットは夜行性であるために(以下により詳細に考察する)、午前時間は、NAD代謝時計において示されるように、ラットにおけるNADの減少傾向におさまるので、夜間(evening)の給餌時間(図2の8〜24時間の間)は、午前時間よりも、ラットについてのD−リボース+ビタミンB3(ナイアシン又はニコチンアミド)補給に関するより良いタイミング枠であり得ると考える。この期間中のNAD生合成経路中の酵素の量は、ラット及び他の夜行性動物に関してNAD代謝産物が自然に増加する夜間の給餌時間よりもはるかに少ない。
この仮説を試験するために、出願人は、夜間給餌時間中に、より少ないD−リボース+ビタミンB3投与量を使用し、且つ新規投薬スキームのためにD−リボースとビタミンB3の間の比を調節する、追加実験を実施した。これらの追加実験を実施する際に、出願人は、NAD代謝産物の薬力学及び組織分布を決定するために、RiaGev(商標)として公知の製品を使用することにより、ニコチンアミドとD−リボースの最適化され且つ固定された比(先の実験を基に)を利用した。RiaGevは、Bioenergy Life Science社(13840 Johnson Street NE, Ham Lake, MN USA 55304)から入手可能である。
代謝分析は、RiaGev補給は、ニコチンアミドサルベージ経路を介して、NAD+、NMN、及びNRのレベルを増加することを推定している。図4に示したように、RiaGevは、主にニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ(NAMPT)によりNMNへ転換され、次にこれはNMNアデノシルホスホトランスフェラーゼ(NMNAT)によりNAD+へ転換される。NMNの溢流(overflow)は、そのリン酸部分を喪失し、NRを生じ、これはその後一連の工程において、NADへ転換される−NRK:NRキナーゼ、NADS:NADシンターゼ。
実験は、5日間にわたり1日2回経口投与された3つの投与量レベルの各々について、ラット血液中のナイアシンアミド/リボース代謝産物を測定するように設計した。
実験3
18匹の雄のスプラーグダルウェイラットを、本試験の被験動物として選択し、6つの処置群の各々について3匹とした。雄のスプラーグダルウェイラットは、信頼できる結果を伴う類似の実験において広範に使用されているので、これを選択した。1群につき3匹のラットの使用は、データのグラフ表示について有用な平均及び標準偏差を計算するのに必要な最小数をもたらす。
5連続日について、ラットは、ほぼ午前7:30〜8:30に、及びほぼ午後4:30〜5:45に投薬された。血液は、各午後の投薬後およそ0.5〜1.5時間に採取し、直ちに処理し、且つNAD+、NMN、及びNRについて、LC/MS/MSにより、アッセイした。午前中に朝食を及び夕方に夕食を食べる、ヒト及び他の夜行性でない哺乳動物(すなわち、昼行性哺乳動物)の行動を模倣するように、ほぼそのような時刻に動物に投与量を投与することにより、補給品投与量のタイミングを選択した。試料採取時刻は、夜行性動物が典型的には最も活動的又は活動寸前となり始める時である、ラット及び他の夜行性哺乳動物においてNAD代謝産物が自然に増加する時点(すなわち夜間)に対応するように選択した。ヒト及び他の昼行性動物については、NAD代謝産物は、昼行性哺乳動物が典型的には最も活動的又は活動寸前となり始める時である、午前中に自然に増加する。従って、ラットに関する夜間試料採取時点は、ヒト及び他の昼行性哺乳動物に関する午前に対応するであろう。
これらの動物には、最終の血液採取後、人道的に麻酔をかけ、且つ肝臓、二頭筋、末梢脂肪組織、及び全脳の代表的試料を収集し、瞬間凍結し、抽出し、且つLC/MS/MSにより、NAD+、NMN、及びNRについてアッセイした。表3は、これらの群及び投薬スケジュールを確定している。
参加基準:5日間の投薬期間中、18匹のラットは全て生存し、外見上は健康に見えた。
盲検:全ての試験は、盲検方式で行った。本試験に関与した研究スタッフは全員、自分達が試験するラットの群割付けを知らない。1名のスタッフメンバーが、投薬溶液(dose solution)を調製し、溶液のシリンジをコード化し(例えば、1−6)、及び盲検(処置キー)を作製した。
群割付け:ラットは、−1日目の体重を基に、その群の平均がほぼ同等となるように、処置群に割付けた。ラットは、体重、並びに本試験の処置群の総数に従い階層化された亜群内で無作為に割付けられた処置によりランク化した。
対照物質:ビヒクル(水中0.5%MC/0.1%Tween80);被覆されたニコチンアミド。
被験物質:投与容積10ml/kgで、投与量100、300、900及び2700mg/kgの強制的に経口により、5連続日1日2回投与される、12%ニコチンアミド+D−リボース。
投薬:注入される被験物質又は対照物質の容積は、10ml/kgであった。所定の動物セットにわたる処置の分布が推定されないように、ラットには、動物番号を基にした順番で投薬した。
Figure 2021523181
結果
1.RiaGev(ニコチンアミドと組合せたD−リボース)の薬力学
経時的な血中のNADレベルを、図5に表した。RiaGev摂取後、NADレベルは、投与量に依存した様式で、全ての用量で安定して増加した。NADレベルは、4日目の補給(8投与量)後に、それらのプラトーに達した。
経時的な血中のNRレベルを、図6に表した。血中のNR測定値もまた、経時的に増加したが、より小さい規模であった。これは、NRは、NAD生合成における溢流の短絡生成物(overflow shunt product)であるという事実と一致している(図1参照)。経時的な血中のNMNレベルを、図7に表した。血中のNMNレベルは、有意に変化せず、これは他の文献と一致している。
2.RiaGev代謝産物の組織分布
5日目の補給の終了時に、組織を採取し、且つそれらのNAD代謝産物の含量について分析した。肝臓、筋肉及び脳内のNAD含量を、図8に表している。図8に示したように、RiaGev由来のNADの最高レベルが、肝臓において検出された。肝臓はまた、バックグラウンドNADの最高レベルも有する。脳は、NADプールに関する二番目の臓器であり、筋肉はそれよりやや少なかった。
肝臓、筋肉、脳及び脂肪組織中のNR濃度を、図9に表している。RiaGev由来のNRの最高レベルが、肝臓において検出された。脳及び脂肪組織は、次に高いNRレベルを有し、それに筋肉組織が続いた。
肝臓、筋肉、脳及び脂肪組織中のNMN濃度を、図10に表している。RiaGev由来のNMNの最高レベルが、肝臓において検出された。脳は、次に高いNMNレベルを有し、それに筋肉組織が続き、次に脂肪組織が続いた。対照群の動物、又は100mg RiaGev群もしくは300mg RiaGev群の動物は、脂肪組織において測定可能なNMNレベルを有さなかった。
結論及び考察
本実験は、ニコチンアミドと組合せたD−リボース(RiaGev)は、体内において、NAD、MNN、及びNRを含む、NAD代謝産物のレベルを効果的に上昇することを明らかにしている。分析した全ての臓器及び組織に関して、正の投与量−反応関係が、RiaGevとNAD代謝産物の含量の間に存在する。5日間の時間経過実験は、RiaGev由来のNADレベルは、累積し、且つ経口補給の4日目(8投与量)以後、血液中でプラトーに達することを指摘している。投与量に対する血液中のNADのプラトー濃度は、図11にまとめている。
図11について、x−軸は、RiaGev投与量を表し、並びにy−軸は、そのベース(水対照)レベルを上回る血液NAD濃度の変化を示している。最も感度の良い投与量範囲は、300mg/kg〜900mg/kg BIDであるが、RiaGev(ニコチンアミドと組合せたD−リボース)は、試験した全ての投与量レベル(100mg/kg〜2700mg/kg BID)で、NADレベルを増加するということを、結論付けることができる。ニコチンアミド対照は、このラインの外側であることは明らかであり、これはニコチンアミドと組合せたD−リボースは、ニコチンアミドそれ単独よりもはるかに優れていることを意味する。
最終(5日目)の血中NAD濃度を、肝臓、筋肉、及び脳中の同時に起こるNAD含量と比べると、血液及び肝臓は、最高投与量のRiaGevにより飽和されるように見えるのに対し、脳及び筋肉はそうではないことは注目される。これは、肝臓及び血液は、NADの生成及び輸送の場所であるのに対し、筋肉及び脳は、NAD利用の臓器であるという事実を反映しているであろう。
RiaGevの薬力学は、ビタミンB3又はNR単独の薬力学とは明白に異なる。NRは、消費後約8時間でそのピークに達する。しかし、24時間分析は、RiaGevは、有意なピークを伴わなずに、NADレベルの広範な上昇を生じることを指摘した。このことは、NAD合成経路へ入るために、NRK又はNAMPTなどの単独の酵素に頼る他のNADをブーストする化合物よりも、RiaGevのはるかにより複雑な代謝を暗示している。実際、RiaGevの主要成分であるD−リボースの代謝の運命により注目すると、これは複数の入口からNAD合成経路へ侵入し得ることを明らかにしている。
D−リボースはPRPPを介しピリジンサルベージの効力を増強するとは、反応を達成するために、より少ない量のピリジンが必要であることを意味する。ナイアシン、ニコチンアミド、又はニコチンアミドリボシドを含むビタミンB3の大量の投与量に関する一つの懸念は、これが、体の解毒能、特に肝臓のメチル化及びヒドロキシル化の能力に対する働き(taxation)を上回る可能性があることである。RiaGev中のD−リボースの存在は、この懸念を軽減する。従って、ビタミンB3と組合わさせたD−リボースは、NADレベルの増加に有効なだけでなく、ヒトを含む哺乳動物に対し、より安全により多い投与量のビタミンB3補給ももたらす。

Claims (14)

  1. D−リボース又はビタミンB3を伴うD−リボースの有効量を哺乳動物へ投与することにより、哺乳動物におけるNADレベルを増加する方法であって、ここで前記ビタミンB3が、ナイアシン、ニコチンアミド、ニコチンアミドリボシド又はニコチンアミドモノヌクレオチドのいずれかを含む、方法。
  2. 前記有効量が、ビタミンB3のD−リボースに対する比が0.5:10〜10:0.5となる量である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記有効量が、ビタミンB3のD−リボースに対する比が1:5〜5:1となる量である、請求項1に記載の方法。
  4. 前記有効量が、20mg〜5400mg/日である、請求項1に記載の方法。
  5. 前記有効量が、100mg〜4000mg/日である、請求項1に記載の方法。
  6. 前記哺乳動物が活動的又は活動寸前である時点で、前記有効量が前記哺乳動物へ投与される、請求項1に記載の方法。
  7. 前記哺乳動物が昼行性である場合、前記有効量が日中に前記哺乳動物へ投与される、請求項6に記載の方法。
  8. 前記有効量が午前中に投与される、請求項6に記載の方法。
  9. 前記哺乳動物が夜行性である場合、前記有効量が夜間に前記哺乳動物へ投与される、請求項6に記載の方法。
  10. D−リボース又はビタミンB3を伴うD−リボースの有効量を含む、哺乳動物におけるNADレベルを増加するために投与される組成物であって、ここで前記ビタミンB3が、ナイアシン、ニコチンアミド、ニコチンアミドリボシド又はニコチンアミドモノヌクレオチドのいずれかを含む、組成物。
  11. 前記有効量が、ビタミンB3のD−リボースに対する比が0.5:10〜10:0.5となる量である、請求項10に記載の組成物。
  12. 前記有効量が、ビタミンB3のD−リボースに対する比が1:5〜5:1となる量である、請求項10に記載の組成物。
  13. 前記有効量が、20mg〜5400mg/日である、請求項10に記載の組成物。
  14. 前記有効量が、100mg〜4000mg/日である、請求項10に記載の組成物。
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